JP2011039675A - 画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】人間が画像を知覚する上で重要なエッジ等の要素を保存しつつノイズ低減を行う際に、ノイズが強い場合でも適切なフィルタ係数を算出する画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び、情報記録媒体を提供すること。
【解決手段】画像に含まれる注目画素の周辺の画素値の分布と、前記注目画素を中心とするウィンドウに含まれる画素毎の該画素の周辺の画素値の分布と、の分布間距離を算出する分布間距離算出部と、前記ウィンドウに含まれる画素毎に、前記分布間距離に基づいて該画素に対するフィルタ係数を算出する係数算出部と、前記ウィンドウに含まれる画素に対し、前記フィルタ係数によるフィルタ処理を行い、前記注目画素の補正値を取得するフィルタ処理部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像データ中のノイズを低減する画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムに関する。
スキャナやデジタルカメラ等の撮像機器により撮影した画像には、撮像素子及び回路の特性による、暗電流ノイズ、熱雑音、ショットノイズなどのノイズが含まれる。高画質の画像を得るためには、これらのノイズを低減する処理を施さなければならない。しかし、単純にローパスフィルタを用いてノイズを低減すると、エッジなど人間が画像を知覚する上で重要な要素も同時に失われて画質が劣化する。そこで、画像の領域の特性に応じて、適応的にノイズ低減を行う技術が必要となる。
そのようなノイズ低減技術の一つとして、εフィルタがある(非特許文献1参照)。εフィルタは、注目画素との信号差が一定閾値以下となる周辺画素の平均値で注目画素の画素値を置き換える手法であり、エッジなどの信号差の大きい成分を保存しつつノイズを低減する。
また、バイラテラルフィルタ(非特許文献2参照。)は、注目画素と周辺画素の信号差及び空間距離によって該周辺画素に対するフィルタ係数を作成し、該周辺画素値と該フィルタ係数の積のすべての周辺画素に対する和を注目画素の画素値と置き換える手法である。εフィルタ同様、エッジの保存とノイズ低減を両立させることができる。
さらに、εフィルタ/バイラテラルフィルタには種々の改良方式が開示されている。特開2008−205737号公報(特許文献1)に開示の撮像システム等では、注目画素と周辺画素のRGB間の距離をフィルタ係数に反映させる。これにより、カラー画像において効果的にノイズ低減を行うことができる。また特開2007−288439号公報(特許文献2)に開示の画像処理装置等では、注目画素と周辺画素の色味の差を検出してフィルタ係数に反映させており、モアレが発生しないように平滑化を行うことができる。
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の画像処理装置等の発明では、単一画素間の距離をフィルタ係数に反映させるため、強いノイズが存在すると画素間の距離に誤差が生じ、適切なフィルタ係数が算出されずノイズ低減効果が落ちるという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、人間が画像を知覚する上で重要なエッジ等の要素を保存しつつノイズ低減を行う際に、ノイズが強い場合でも適切なフィルタ係数を算出する画像処理装置、画像処理方法、及び、
コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は次の如き構成を採用した。本発明の画像処理装置は、画像に含まれる注目画素の周辺の画素値の分布と、前記注目画素を中心とするウィンドウに含まれる画素毎の該画素の周辺の画素値の分布と、の分布間距離を算出する分布間距離算出部と、前記ウィンドウに含まれる画素毎に、前記分布間距離に基づいて該画素に対するフィルタ係数を算出する係数算出部と、前記ウィンドウに含まれる画素に対し、前記フィルタ係数によるフィルタ処理を行い、前記注目画素の補正値を取得するフィルタ処理部と、を有する構成とすることができる。
これにより、人間が画像を知覚する上で重要なエッジ等の要素を保存しつつノイズ低減を行う際に、ノイズが強い場合でも適切なフィルタ係数を算出する画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムを提供することができる。
なお、上記課題を解決するため、本発明は、上記画像処理装置における画像処理方法、及び、その画像処理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとしてもよい。
本発明の画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムによれば、人間が画像を知覚する上で重要なエッジ等の要素を保存しつつノイズ低減を行う際に、ノイズが強い場合でも適切なフィルタ係数を算出する画像処理装置、画像処理方法、及び、コンピュータプログラムを提供することが可能になる。
図1は、第1の実施の形態における画像処理装置の機能構成の例を示す図である。 図2は、第1の実施の形態における画像処理方法を示すフロー図である。 図3は、注目画素の周辺の画素値分布と、ウィンドウ内画素の周辺の画素値分布と、の例を示す模式図である。 図4は、分布間距離によるフィルタ係数の関数を示す図である。 図5は、もっとも画素値が近い画素間の距離を示す図である。 図6は、画素の各対の距離を示す図である。 図7は、第7の実施の形態における画像処理装置の機能構成の例を示す図である。 図8は、第7の実施の形態における画像処理方法を示すフロー図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
〔本発明の実施の形態〕
〔第1の実施の形態−平均値による画素値分布間距離算出(グレースケール画像)〕
第1の実施の形態では、処理対象画像がグレースケール画像であり、画素値分布間距離は平均値間の距離を用いる例を説明する。
図1は、第1の実施の形態における画像処理装置の機能構成の例を示す図である。画像処理装置100は、処理対象画像11を入力とし、ノイズ低減画像12を出力する。画像処理装置100は、画像取得部101、注目画素選択部102、ウィンドウ内画素選択部103、画素値分布間距離算出部104、フィルタ係数算出部105、ウィンドウ内選択済判定部106、フィルタ演算部107、画像内選択済判定部108を有する。
画像取得部101は、入力される処理対象画像11を取得する。注目画素選択部102は、処理対象画像11から注目画素を選択する。ウィンドウ内画素選択部103は、注目画素の周りに設定されたウィンドウの中から、1つのウィンドウ内画素を選択する。画素値分布間距離算出部104は、注目画素の周囲の画素の画素値分布と、ウィンドウ内画素選択部103が選択した画素の周囲の画素の画素値分布と、の距離を算出する。
フィルタ係数算出部105は、画素値分布間距離算出部104が算出した距離に基づいて、ウィンドウ内画素選択部103が選択した画素に対するフィルタ係数を算出する。ウィンドウ内選択済判定部106は、ウィンドウ内画素選択部103、画素値分布間距離算出部104、及び、フィルタ係数算出部105が、ウィンドウ内の全ての画素に対する処理を終了したか否かを判定する。フィルタ演算部107は、フィルタ係数算出部105が算出したフィルタ係数により、ウィンドウ内画素に対するフィルタ演算を行う。これにより、フィルタ処理によって得られる注目画素の補正値を求めることができる。
画像内選択済判定部108は、処理対象画像11の中の全ての画素について、注目画素選択部102により選択されフィルタ演算が行われたか否かを判定する。
図2は、第1の実施の形態における画像処理方法を示すフロー図である。図2の画像処理方法では、入力される処理対象画像11に対し、画像処理装置100が有する各部が処理を行い、ノイズ低減画像12を出力する。
図2のステップS101では、画像取得部101が、処理対象画像11を取得する。
ステップS102では、注目画素選択部102が、処理対象画像11の中から注目画素を選択する。選択の順序は限定しない。たとえばラスタ走査により順次選択することができる。
ステップS103では、ウィンドウ内画素選択部103が、注目画素周りに設定されたウィンドウの中から画素を一つ選択する。ウィンドウの形は限定せず、矩形でも円形でも楕円形でもよい。
ステップS104では、画素値分布間距離算出部104が、注目画素の周辺の画素値分布とステップS103で選択したウィンドウ内画素の周辺の画素値分布との距離を算出する。
図3は、注目画素の周辺の画素値分布と、ウィンドウ内画素の周辺の画素値分布と、の例を示す模式図である。図3では、1つの正方格子が1画素を表す。ウィンドウは9画素×9画素である。画素値の分布は、注目画素の周辺の5画素×5画素、及び、1つのウィンドウ内画素の周辺の5画素×5画素の、それぞれの矩形領域のヒストグラムとして作成する。ステップS104では、例えば、図3に示す例のように得た分布から、それぞれの矩形領域の平均値を求め、平均値間の距離を算出する。
ステップS105では、フィルタ係数算出部105が、ステップS104で得られた分布間距離からフィルタ係数を算出する。第1の実施の形態では、ある閾値εを設けて、分布間距離が閾値ε以上である場合は0、そうでない場合は1とする。これにより、注目画素と異なる領域に属するウィンドウ内画素等を、フィルタ演算に使用することを防ぐことができる。結果として、エッジなど人間が画像を知覚する上で重要な要素を保存することができる。
ステップS106では、ウィンドウ内選択済判定部106が、ウィンドウ内の画素をすべて選択したかを判定する。すべて選択した場合はステップS107へ進み、そうでない場合は処理ステップS103に戻る。
処理ステップS107では、フィルタ演算部107が前記求めたフィルタ係数に基づきフィルタ演算を行う。具体的には各フィルタ係数を対応する画素値に乗算し、それらをウィンドウ内のすべての画素に対して加算する。最後に加算した値をフィルタ係数の総和で割って正規化を行う。得られた値をノイズ低減画像12の対応する画素の画素値とする。
処理ステップS108では、画像内選択済判定部108が処理対象画像内のすべての画素を選択したかを判定する。未選択の画素がある場合は処理ステップS102に戻り、そうでない場合はノイズ低減画像12を出力し、処理を終了する。
第1の実施の形態では、従来の技術に対して、ステップS104で分布間の距離を用いることにより、ノイズに対してロバストにフィルタ係数を算出する。また、本実施の形態では、ステップS105において、フィルタ係数を0又は1の2値としたが、多値にしてより精細な処理を行ってもよい。例えば、図4に示すような正の領域単調減少の関数を用いて、分布間距離xからフィルタ係数yを求めることができる。図4には、(a)から(c)の3つの関数の例を示す。図4に示す式(a)ないし(c)の中のギリシア文字はパラメータであり、画像処理装置の用途等により定められるとよい。なお、式(c)に示す関数において、ωを無限大に近付けると、上記で述べた閾値εによるフィルタ係数の0及び1を切り替える方式に近付く。
〔第2の実施の形態−平均値による画素値分布間距離算出(カラー画像)〕
第2の実施の形態では、処理対象画像がカラー画像であり、画素値分布間距離は平均値間の距離を用いる例を説明する。
第2の実施の形態において、画像処理装置100の機能構成は図1と同様であり、画素値分布間距離算出部104の作用が、第1の実施の形態と異なる他は同一である。そこで、ここでは、画素値分布間距離算出部104について説明する。
第1の実施の形態で処理したグレー画像では平均値は一つであったが、カラー画像では基底が3つあるため3次元のベクトルとなる。そこで、たとえばRGBの各平均値をとればよい。注目画素の周辺のRGBの平均値をR,G,B、ウィンドウ内画素の周辺のRGBの平均値をR,G,Bとする。この値から式(1)及び式(2)に示す分布間距離Dを求める。
Figure 2011039675
式(1)及び式(2)において、α、β、γは、画像処理装置100の用途等により定めるパラメータであり、RGB間のバランスを取るものである。式(3)は、式(1)及び式(2)を一般化して、実数pに対して分布間距離Dを定義したものであり、式(4)は、色差を用いて分布間距離Dを定義したものである。
Figure 2011039675
なお、RGBではなく、LやLなどの均等色空間でのユークリッド距離を用いてもよい。また、画素周辺の画素値の分布を用いるため、ベイヤ配列のように一つの画素位置に一色の画素値しかない場合でも、第2の実施の形態により画素分布間距離を算出することができる。
第2の実施の形態では、以上説明した画素値分布間距離算出部104の作用により、図2のステップS104の処理が実現される。
〔第3の実施の形態−平均値・分散による画素値分布間距離算出(グレースケール画像)〕
第3の実施の形態では、処理対象画像がグレースケール画像であり、画素値分布間距離が分布の平均値と分散とから算出する例について説明する。
第3の実施の形態において、画像処理装置100の機能構成は図1と同様であり、画素値分布間距離算出部104の作用が、第1の実施の形態と異なる他は同一である。そこで、ここでは、画素値分布間距離算出部104について説明する。
第3の実施の形態では、画素値分布間距離算出部104が、分布の平均値と分散とから画素値分布間距離を算出する。具体的には次のような手順で行う。まず、注目画素の周辺の画素値の平均値mと分散σ を算出する。次に、ウィンドウ内画素の周辺の画素値の平均値mと分散σ とを算出する。これらの値から次式で分布間距離Dを算出する。
Figure 2011039675
式(5)は一例である。平均間の距離に対して増加し、分散の大きさに対して減少するような定義式であれば、本実施の形態の例として使うことができる。
第3の実施の形態では、以上説明した画素値分布間距離算出部104の作用により、図2のステップS104の処理が実現される。
第3実施の形態によれば、周辺画素値がノイズによって受ける変動分を分散として捉えることができる。平均値距離を分散で割ることにより、ノイズの強弱に応じて距離を適切に調整するため、ノイズに対してロバストなフィルタ係数を得ることができる。
〔第4の実施の形態−平均値・分散による画素値分布間距離算出(カラー画像)〕
第4の実施の形態では、処理対象画像がカラー画像であり、分布の平均値と分散とから画素値分布間距離を算出する例について説明する。
第4の実施の形態において、画像処理装置100の機能構成は図1と同様であり、画素値分布間距離算出部104の作用が、第1の実施の形態と異なる他は同一である。そこで、ここでは、画素値分布間距離算出部104について説明する。
第4の実施の形態では、画素値分布間距離算出部104は、分布の平均値(ベクトル)と分散共分散行列とから画素値分布間距離を算出する。具体的には次のような手順で行う。
まず、注目画素周辺の画素値の平均値ベクトルμと分散共分散行列Σとを算出する。処理対象画像11がRGB画像の場合には、平均値ベクトルμの各要素はRGB成分に対応し、分散共分散行列Σの対角成分はRGBの分散となり、分散共分散行列Σの非対角成分はRGBの共分散となる。
同様に、ウィンドウ内の1つの画素の周辺の画素値の平均値ベクトルμと分散共分散行列Σとを算出する。これらを用いて、次式(6)により分布間距離Dを算出する。
Figure 2011039675
または、線形判別分析法を用いる。相関比(全体変動における級間変動の割合)を最大とする方向e(単位ベクトル)を算出し、その方向eにおける平均値と分散を算出し、第3の実施の形態と同様の方法を適用することができる。方向eの平均m、分散σ は次式(7)及び式(8)で算出する。
Figure 2011039675
第4の実施の形態では、以上説明した画素値分布間距離算出部104の作用により、図2のステップS104の処理が実現される。
本実施の形態によれば、色成分間の相関を考慮した上で分布間の距離を算出することができ、カラー画像に対してノイズがある場合でもロバストにフィルタ係数を決定することができる。
〔第5の実施の形態−カルバックライブラー情報量による画素値分布間距離算出〕
第5の実施の形態では、カルバックライブラー情報量を用いて画素値分布間距離を算出する例について説明する。
第5の実施の形態において、画像処理装置100の機能構成は図1と同様であり、画素値分布間距離算出部104の作用が、第1の実施の形態と異なる他は同一である。そこで、ここでは、画素値分布間距離算出部104について説明する。
第5の実施の形態では、画素値分布間距離算出部104は、カルバックライブラー情報量を用いて画素値分布間距離を算出する。具体的には次のように行う。
まず、注目画素の周辺の画素値のヒストグラムP(x)を作成する。画素値xは適当に離散化されているものとする。なお、グレー画像でもカラー画像でも適当に画素値空間を離散化しヒストグラムを作成する。
同様に、ウィンドウ内画素の周辺の画素値のヒストグラムQ(x)を算出する。これらのヒストグラムを用いて次式(9)により分布間距離Dを算出する。
Figure 2011039675
式(9)の分布間距離Dは、カルバックライブラー情報量にあたる。数学における距離の公理を満たさないが、本実施の形態では、これを分布間距離として用いる。なお、式(9)のP(x)とQ(x)を入れ替えて用いることも可能である。
第5の実施の形態では、以上説明した画素値分布間距離算出部104の作用により、図2のステップS104の処理が実現される。
第5の実施の形態によれば、周辺の画素値分布が正規分布から外れるような一般的な場合においても、適切なフィルタ係数を決定することができる。
〔第6の実施の形態−画素対間距離による画素値分布間距離算出〕
第6の実施の形態では、画素対間の距離を用いて画素値分布間距離を算出する例について説明する。
第6の実施の形態において、画像処理装置100の機能構成は図1と同様であり、画素値分布間距離算出部104の作用が、第1の実施の形態と異なる他は同一である。そこで、ここでは、画素値分布間距離算出部104について説明する。
第6の実施の形態では、画素値分布間距離算出部104は、画素対間の距離を用いて画素値分布間距離を算出する。具体的には次のように行う。
注目画素の周辺の画素値{p}とウィンドウ内画素の周辺の画素値{q}のうち、もっとも画素値が近い画素間の距離を算出する。図5は、もっとも画素値が近い画素間の距離を示す図である。図5において、距離d1が、もっとも画素値が近い画素間の距離である。次式(10)において、画素値分布間距離Dは、もっとも画素値が近い画素間の距離を表す。
Figure 2011039675
式(10)において、||・||は画素値空間で定義されるノルムである。
または、注目画素の周辺の画素値{p}とウィンドウ内画素の周辺の画素値{q}を一対一に対応付けたときの各対の距離の総和の最小値を分布間の距離としてもよい。図6は、各対の距離を示す図である。図6に矢印によって表される各距離の総和を、画素値分布間距離Dとする。画素対の距離の総和の最小化は二部グラフの重み付きマッチングアルゴリズムにより求めることができる。このとき、重複のない対集合をSとして、画素値分布間距離Dは、次式(11)により表される。
Figure 2011039675
第6の実施の形態では、以上説明した画素値分布間距離算出部104の作用により、図2のステップS104の処理が実現される。
第6の実施の形態によれば、統計量を経ずに距離を算出するため、周辺画素が少ない場合でもロバストに距離を算出しフィルタ係数を決定することができる。
〔第7の実施の形態−空間距離の反映〕
第1ないし第6の実施の形態は、注目画素の周辺の画素の画素値分布とウィンドウ内画素の周辺の画素の画素値分布との距離をフィルタ係数に反映させるものであった。本実施の形態では、さらに注目画素とウィンドウ内画素との空間距離をフィルタ係数に反映させる。例えば、バイラテラルフィルタを用いる。
図7は、第7の実施の形態における画像処理装置110の機能構成の例を示す図である。画像処理装置110は、画像取得部101、注目画素選択部102、ウィンドウ内画素選択部103、画素値分布間距離算出部104、空間距離算出部201、フィルタ係数算出部202、ウィンドウ内選択済判定部106、フィルタ演算部107、及び、画像内選択済判定部108を有する。
画像処理装置110は、図1の画像処理装置100の構成に加えて、空間距離算出部201を有する。なお、図7の画像処理装置110において、図1の画像処理装置100と同一の機能及び構成を有する各部には、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。
空間距離算出部201は、注目画素とウィンドウ内画素の空間的な距離を算出する。具体的には注目画素の空間位置(二次元ベクトル)をu、ウィンドウ内画素の空間位置をuとして、空間距離D’を、ノルム||・||を用いて次式(12)で表す。
Figure 2011039675
フィルタ係数算出部202は、フィルタ係数を算出する。具体的には第1ないし第6の実施の形態の何れか一の実施の形態で説明した方法で求めた画素値分布間距離Dと、空間距離算出部201が求めた空間距離D’のそれぞれを、図4に示した関数(a)ないし(c)の何れか一の引数xに与えて、フィルタ係数を算出する。得られた二つの係数を乗算し、これをフィルタ係数とする。
図8は、第7の実施の形態における画像処理方法を示すフロー図である。図8において、図2で説明した画像処理方法と同一の処理を行うステップは、同一の符号を付し、ここでは説明を省略する。図8の画像処理方法は、図2の画像処理方法におけるステップS105に代えて、ステップS201及びステップS202を有する。
ステップS201では、空間距離算出部が、式(12)により空間距離D’を算出する。ステップS202では、フィルタ係数算出部202が、画素値分布間距離Dと、空間距離D’とから、フィルタ係数を算出する。
第7の実施の形態によれば、注目画素とウィンドウ内画素の空間的な距離を考慮するため、注目画素との相関が強いと予測される空間的に近い画素の画素値をフィルタ処理に強く反映させることができる。
(コンピュータ等による実現)
なお、本発明の実施の形態に係る画像処理装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等で実現されてもよい。また、本発明の実施形態に係る画像処理方法は、例えば、CPUがROMやハードディスク装置等に記憶されたプログラムに従い、RAM等のメインメモリをワークエリアとして使用し、実行される。
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
以上のように、本発明にかかる画像処理装置は、ノイズ低減に有用であり、特に、撮像機器に適している。
11 処理対象画像
12 ノイズ低減画像
100 画像処理装置
101 画像取得部
102 注目画素選択部
103 ウィンドウ内画素選択部
104 画素値分布間距離算出部
105 フィルタ係数算出部
106 ウィンドウ内選択済判定部
107 フィルタ演算部
108 画像内選択済判定部
110 画像処理装置
201 空間距離算出部
202 フィルタ係数算出部
特開2008−205737号公報 特開2007−288439号公報
原島 博, 小田島 薫, 鹿喰 善明, 宮川 洋, "ε−分離非線形ディジタルフィルタとその応用," 電子情報通信学会論文誌 A , Vol.J65−A, No.4, pp.297−304, 1982. CC. Tomasi and R. Manduchi,"Bilateral Filtering for Gray and Color Images," Proc. Sixth Int’l Conf. Computer Vision, pp. 839−846, 1998.

Claims (10)

  1. 画像に含まれる注目画素の周辺の画素値の分布と、前記注目画素を中心とするウィンドウに含まれる画素毎の該画素の周辺の画素値の分布と、の分布間距離を算出する分布間距離算出部と、
    前記ウィンドウに含まれる画素毎に、前記分布間距離に基づいて該画素に対するフィルタ係数を算出する係数算出部と、
    前記ウィンドウに含まれる画素に対し、前記フィルタ係数によるフィルタ処理を行い、前記注目画素の補正値を取得するフィルタ処理部と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記分布間距離は、前記注目画素の周辺の画素値の平均と、前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素値の平均と、の距離であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記画像がカラー画像の場合に、前記分布間距離を得る際の画素値の平均は、画素値に含まれる3つの色コンポーネントのそれぞれについて求められた平均を要素とする3次元ベクトルであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
  4. 前記分布間距離は、前記注目画素の周辺の画素値の平均と、前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素値の平均と、の距離を、前記注目画素の周辺の画素値の分散と前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素値の分散と、で除算した値であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 前記分布間距離は、前記注目画素の周辺の画素値の分布と、前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素値の分布と、の間のカルバックライブラー情報量であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  6. 前記分布間距離は、前記注目画素の周辺の画素の一つの画素値と、前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素の一つの画素値と、の間の距離、又は、前記注目画素の周辺の画素の一つの画素値と、前記ウィンドウに含まれる画素の周辺の画素の一つの画素値と、の間の距離の、前記注目画素の周辺の全ての画素に対する和であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  7. 前記係数算出部は、前記分布間距離が所定の値以上の場合に、フィルタ係数を0とすることを特徴とする請求項1ないし6何れか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記係数算出部は、前記分布間距離を独立変数とする単調減少関数の従属変数の値を、前記フィルタ係数を求める際の重みとすることを特徴とする請求項1ないし6何れか一項に記載の画像処理装置。
  9. 画像に含まれる注目画素の周辺の画素値の分布と、前記注目画素を中心とするウィンドウに含まれる画素毎の該画素の周辺の画素値の分布と、の分布間距離を算出する分布間距離算出ステップと、
    前記ウィンドウに含まれる画素毎に、前記分布間距離に基づいて該画素に対するフィルタ係数を算出する係数算出ステップと、
    前記ウィンドウに含まれる画素に対し、前記フィルタ係数によるフィルタ処理を行い、前記注目画素の補正値を取得するフィルタ処理ステップと、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  10. コンピュータに、
    画像に含まれる注目画素の周辺の画素値の分布と、前記注目画素を中心とするウィンドウに含まれる画素毎の該画素の周辺の画素値の分布と、の分布間距離を算出する分布間距離算出ステップと、
    前記ウィンドウに含まれる画素毎に、前記分布間距離に基づいて該画素に対するフィルタ係数を算出する係数算出ステップと、
    前記ウィンドウに含まれる画素に対し、前記フィルタ係数によるフィルタ処理を行い、前記注目画素の補正値を取得するフィルタ処理ステップと、
    を有する画像処理方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
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