JP2011039246A - レーザ装置 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】波長変換光学素子の温度が均一になるようにし、波長変換時の位相整合性への影響を抑えることが可能なレーザ装置を提供する。
【解決手段】所定波長のレーザ光を射出するレーザ光発生部及びレーザ光を紫外光に変換する波長変換部を備えたレーザ装置において、レーザ光をレーザ光の波長と異なる波長のレーザ光に変換して射出するCLBO結晶27と、CLBO結晶27を固定保持する第1及び第2治具51,52と、CLBO結晶27を第1及び第2治具51,52を介して所定温度に加熱するヒータ55と、CLBO結晶27と第1治具51の間におけるCLBO結晶27のヒータ55に対向する面に接して設けられ、第1治具51と異なる熱抵抗を持つ材質からなる第3治具53とを備えることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、所定温度に加熱され昇温状態で使用される波長変換光学素子を含みレーザ光発生部から射出されたレーザ光を紫外光に波長変換する波長変換部を備えたレーザ装置に関する。
波長変換を行うことにより紫外光を出力するレーザ装置としては、例えば、レチクルのパターンを基板に転写する露光装置や、各種光学式検査装置、レーザ治療装置等の光源として用いられている。この種のレーザ装置では、光増幅器により増幅された赤外波長領域のレーザ光を、複数の波長変換光学素子から成る波長変換部において順次波長変換し、最終的にArFエキシマレーザの発振波長と同じ波長である193nmの紫外光として出力するような構成のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
波長変換光学素子としては、非線形光学結晶(以下、結晶と称する)等が用いられ、その種別や組み合わせには種々の形態があるが、結晶に入射する光の位相整合として温度位相整合を利用する場合には、結晶をその結晶種別及び整合条件に応じて所定温度に加熱した昇温状態で温度制御する必要がある。また、波長変換光学素子として、CsLiB610(CLBO)結晶のような潮解性を有する光学素子を用いる場合には、大気中に含まれる水分の吸収を防止する必要があり、このため150℃程度の所定温度に加熱し昇温状態に保持することが求められる(例えば、特許文献2を参照)。よって、このような結晶を備えたレーザ装置では、結晶を加熱するヒータが設けられ、常時所定温度に加熱された状態で保持されるように構成されている。
特開2000−200747号公報 特開2003−046173号公報
ところで、上述したようなレーザ装置には、ヒータを備え結晶を昇温状態で保持する結晶ホルダが設けられているものがある。結晶ホルダは、レーザ装置の構成上、コンパクトにすることが望ましく、そのためにはヒータの数を少なくし1つとすることが最適である。しかし、コンパクト性を重視しヒータの数を1つとしたホルダ構造では、結晶の上下左右面それぞれにおけるヒータからの距離が異なるため、その距離に応じて結晶の上下左右面それぞれにおいて温度が異なることがある。結晶のそれぞれの面において温度が異なる場合、結晶に入射するレーザ光の波長変換時の位相整合に影響が生じ、波長変換効率が変動するという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、波長変換光学素子の温度が均一になるようにし、波長変換時の位相整合性への影響を抑えることが可能なレーザ装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明に係るレーザ装置は、所定波長のレーザ光を所定波長と異なる波長のレーザ光に変換する波長変換光学素子と、所定波長のレーザ光を入射させる入射部及び異なる波長のレーザ光を射出させる射出部を有し、入射部へのレーザ光の入射及び射出部からのレーザ光の射出が可能な状態で波長変換光学素子の外周を覆うように設けられ、波長変換光学素子を固定保持する光学素子保持部材と、光学素子保持部材により固定保持されている波長変換光学素子を、光学素子保持部材を介して所定温度に加熱するヒータと、波長変換光学素子及び光学素子保持部材に接する位置に、波長変換光学素子の表面に均一に熱を伝導させる熱伝導調整部材とを備えることを特徴とする。
なお、熱伝導調整部材は、波長変換光学素子から見てヒータ側に設けられ、光学素子保持部材と比較して熱伝導率が低い材質からなることが好ましい。また、波長変換光学素子は、その形状が直方体であり、1つの面が前記ヒータと対向するように固定保持され、波長変換光学素子のヒータに対向する面に対して垂直な面及び光学素子保持部材に接する位置に、光学素子保持部材から波長変換光学素子の垂直な面への熱伝導を遮断する断熱部材を備えることは本発明の好ましい構成態様である。
本発明に係るレーザ装置によれば、波長変換光学素子の表面に均一に熱を伝導させる熱伝導調整部材が設けられることにより、波長変換光学素子の各表面における温度を均一にして、波長変換時の位相整合性への影響を抑えることができる。
本発明におけるレーザ装置の概要構成である。 上記レーザ装置におけるレーザヘッドの概要構成である。 上記レーザ装置における波長変換部の構成図である。 上記レーザ装置の波長変換部における結晶ホルダの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は波長変換光学素子の温度分布を示す図、(c)及び(d)は結晶ホルダの各部材における熱抵抗モデルを示す図である。 上記結晶ホルダが抱える問題を解消した新しい結晶ホルダの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は波長変換光学素子の温度分布を示す図、(c)及び(d)は各部材における熱抵抗モデルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明を適用したレーザ装置1は、例えば、レチクルのパターンを基板に転写する露光装置の光源装置として用いられるものである。レーザ装置1の概要構成を 図1に示すとともに、レーザ装置1におけるレーザヘッド2の概要構成を図2に示しており、まずこれらの図面を参照しながら、レーザ装置1について説明する。
レーザ装置1は、図1に示すように、紫外光を出力するレーザシステムへの組み込みが容易になるように構成されている小型箱状のレーザヘッド2と、レーザヘッド2の制御機能を備えレーザヘッド2と別置される大型筐体状の制御ラック3とを備えて構成され、レーザヘッド2と制御ラック3とが種々の電気ケーブルや、パージガス供給用のガスチューブ、冷却水配管等のインタフェース4により相互接続されている。
レーザヘッド2は、図2に示すように、波長1547[nm]の赤外領域の基本波のレーザ光を射出するレーザ光発生部10と、レーザ光発生部10から射出された基本波のレーザ光を波長193[nm]の紫外光に波長変換する波長変換部20とを備えて構成されている。レーザ光発生部10は、種光となるレーザ光(シード光)Lsを発生させるレーザ光源11と、レーザ光源11により発生されたシード光Lsを増幅させる光増幅器12,13とから構成される。レーザ光源11及び光増幅器12,13は、このレーザ装置1を用いるレーザシステムの用途及び機能に応じ、適切な発振波長、増幅率のものが用いられる。レーザ光源11としては、例えば波長が1547[nm]の単一波長のレーザ光を発生させる分布帰還型半導体レーザ(DFB半導体レーザ)を用いることが可能であり、第1段目の光増幅器12としては、例えば半導体レーザ励起のエルビウム(Er)・ドープ・ファイバー光増幅器(EDFA)、第2段目の光増幅器13としては、例えばラマン・レーザ励起のEDFAを用いることが可能である。
波長変換部20は、後述する複数の波長変換光学素子を備えて構成され、この波長変換光学素子により、レーザ光発生部10から射出されたレーザ光(光増幅器により増幅された基本波レーザ光)Lrが、所定波長の紫外光に波長変換される。具体的には、レーザ光発生部10から射出された波長1547[nm]の基本波レーザ光が、複数の波長変換光学素子によって順次波長変換され、最終的に基本波の8倍波(第8次高調波)でArFエキシマレーザと同一波長である193[nm]の紫外光Lvが出力されるようになっている。このように、赤外領域(あるいは可視領域)の基本波レーザ光を紫外光に波長変換する波長変換部の構成(波長変換光学素子の種別や組み合わせ)には、種々の公知の形態がある。
本実施形態では、レーザ光発生部10から波長変換部20に、Lr(P偏光Lr1,P偏光Lr2,S偏光Lr3)を入射させて、基本波(波長λ=1547[nm])、2倍波(λ=774[nm])、及び5倍波(λ=309[nm])を生成し、これらの和周波発生により7倍波(λ=221[nm])、8倍波(λ=193[nm])を発生させる構成を採っている。この構成例を図3に示している。なお、上述した7倍波及び8倍波生成用の波長変換光学素子には、CLBO(CsLiB610)結晶を用いることができる。この波長変換部20の構成について、図3を参照しながら以下で説明する。
まず、第1の基本波レーザ光Lr1は、レンズ31により波長変換光学素子21に集光入射され、第2次高調波発生(SHG)により周波数が基本波の2倍、波長が半分の2倍波を発生させる。波長変換光学素子21により発生されたP偏光の2倍波、及び波長変換光学素子21を透過したP偏光の基本波は、レンズ32により波長変換光学素子22に集光入射され、和周波発生により周波数が基本波の3倍のS偏光の3倍波を発生させる。これらの波長変換光学素子21,22としては、例えば、2倍波発生用の波長変換光学素子21としてPPLN結晶、3倍波発生用の波長変換光学素子22としてLBO結晶が用いられる。なお、波長変換光学素子21としては、PPLN結晶に代えて、PPKTP結晶、PPSLT結晶、LBO結晶等を用いることもできる。
波長変換光学素子22により発生されたS偏光の3倍波と、波長変換光学素子22を透過したP偏光の基本波及び2倍波は、2波長波長板41を透過し2倍波だけをS偏光に変換する。2波長波長板41としては、例えば、結晶の光学軸と平行にカットした一軸性の結晶の平板からなる波長板が用いられる。この波長板は、特定の波長の光(2倍波)に対して偏光を回転させ、上記特定の波長以外の波長の光に対しては偏光を回転させないように、波長板(結晶)の厚さを上記特定の波長の光に対してλ/2の整数倍で、上記特定の波長以外の波長の光に対しては、λの整数倍になるようにカットする。
S偏光に変換された2倍波及び3倍波は、レンズ33により波長変換光学素子23に共に集光入射され、和周波発生によりP偏光の5倍波を発生させる。波長変換光学素子23からは、P偏光の5倍波と、S偏光の2倍波及び3倍波、並びにP偏光の基本波が射出される。なお、5倍波を発生させる波長変換光学素子23としては、LBO結晶を用いることが多いが、BBO結晶、CBO結晶等を用いることも可能である。ここで、波長変換光学素子23から射出されるP偏光の5倍波は、ウォークオフの影響を受けて断面が楕円形になっている。そこで、波長変換光学素子23の後方に設けられた2枚のシリンドリカルレンズ34v,34hにより、上記5倍波の楕円形の断面形状が円形に整形され、ダイクロイックミラー44に入射されるようになっている。
第2の基本波レーザ光Lr2は、レンズ35により波長変換光学素子24に集光入射され、第2次高調波発生(SHG)によりP偏光の2倍波を発生させる。波長変換光学素子24からは、P偏光の2倍波と基本波が射出され、レンズ36,37を介してダイクロイックミラー45に入射される。波長変換光学素子24としては、PPLN結晶を用いることができる他、PPKTP結晶。PPSLT結晶、LBO結晶等を用いることもできる。
第3の基本波レーザ光Lr3は、レンズ38を介してダイクロイックミラー45に入射される。ダイクロイックミラー45は、基本波の波長帯域の光を透過し、2倍波の波長帯域の光を反射するように構成されており、このダイクロイックミラー45に入射し透過するS偏光の基本波と、波長変換光学素子24により発生されダイクロイックミラー45により反射されたP偏光の2倍波とが同軸上に合成されるようになっている。
上記合成されたS偏光の基本波及びP偏光の2倍波は、ダイクロイックミラー44に入射される。ダイクロイックミラー44は、基本波及び2倍波の波長帯域の光を透過し、5倍波の波長帯域の光を反射させるように構成されており、このダイクロイックミラー44に入射し透過するS偏光の基本波及びP偏光の2倍波と、波長変換光学素子23により発生されダイクロイックミラー44により反射されたP偏光の5倍波とが同軸上に合成されるようになっている。
このように、同軸上に合成されたS偏光の基本波,P偏光の2倍波、及びP偏光の5倍波は波長変換光学素子25に入射される。波長変換光学素子25により、P偏光の2倍波とP偏光の5倍波による和周波発生が行われS偏光の7倍波が発生される。波長変換光学素子25からは、このS偏光の7倍波とともにP偏光の2倍波及び5倍波、並びにS偏光の基本波が射出される。7倍波を発生させる波長変換光学素子25としては、上述したCLBO結晶が用いられる。
波長変換光学素子25から射出された光は、波長変換光学素子26に入射され、波長変換光学素子26によりS偏光の基本波とS偏光の7倍波が和周波発生により合成され、P偏光の8倍波が発生される。8倍波を発生させる波長変換光学素子26としては、CLBO結晶が用いられる。なお、波長変換光学素子26からは上記8倍波以外に、基本波、2倍波等、他の波長成分の光も射出されるが、波長変換部20(レーザ装置1)から8倍波のみを出力させる場合には、ダイクロイックミラー、偏光ビームスプリッタ、またはプリズム等を使用して、これらを分離すればよい。以上のように構成される波長変換部20において、7倍波発生用の波長変換光学素子25,及び8倍波発生用の波長変換光学素子26は、いずれもCLBO結晶を用いているが、このCLBO結晶は潮解性を有するため、ヒータで150℃程度の所定の温度に加熱した昇温状態に保持し、波長の変換効率を確保するため温度が当該所定の温度で均一になるように厳密に温度管理する必要がある(例えば、温度勾配を0.1度以下に抑える必要がある)。また、CLBO結晶は傷みやすいため定期的に交換する必要もある。
そこで、レーザ装置1では、後述する結晶ホルダを用いて、波長変換光学素子25,26を昇温状態に保持している。結晶ホルダは、所望の波長のレーザ光を射出するための波長変換光学系の一部であり、装置の構成上、コンパクトにすることが望ましい。また、波長変換光学系において温度管理すべき結晶ホルダの数は通常複数であるため、ヒータの数は、少ない方がよりシンプルな制御系を構成でき1個とするのが最適である。そこで、よりコンパクト且つ制御系の構成をシンプルにするために、本実施形態における結晶ホルダは、ヒータの数を1個として、波長変換光学素子25,26は、後述する治具により挟み込まれる形でホールドされた状態で昇温状態に保持されるようになっている。
上記内容を踏まえて構成された結晶ホルダ150について、図4(a)を参照しながら説明する。なお、以下の図4及び後述する図5に関する説明では、紙面の上下左右方向をそのまま上下左右方向と称し、紙面に対して垂直な方向を前後方向と称する。光は前後方向に進行し光軸は前後方向に延びるようになっている。図4(a)は、結晶ホルダ150を光軸に対して直交する面で切断したときの断面図を示している。
結晶ホルダ150は、波長変換光学素子25,26(以下、CLBO結晶27と称する)を保持する断面形状がL字形の第1治具151及び第2治具152と、ヒータ155とを備えて構成される。CLBO結晶27は、第2治具152の上面に載置された状態で上方から第1治具151により覆い被されて固定保持され、この時、CLBO結晶27の上面及び左右の面の一方が第2治具152に、下面及び左右の面の他方が第1治具151に接触し、CLBO結晶27の端部が第1及び第2治具151,152に密着するようになっている。第1治具151と第2治具152は、ネジ等の固定手段(不図示)により互いに固定保持されているが、ばね等の弾性部材を介して固定保持することも可能である。ヒータ155は、第2治具152の下方に設けられ、ヒータ155から発生した熱は、第2治具152から直接、または、その上方の第1治具151を介して、上下左右からCLBO結晶27に供給されるようになっている。
CLBO結晶27は、第1及び第2治具151,152に固定保持された状態で光が入射されるようになっているが、光を常にCLBO結晶27の同じ位置に入射させると劣化が早まり、CLBO結晶27の交換頻度が増えるという問題がある。そこで、所定時間毎に、結晶ホルダ150が上下左右方向に移動し、この移動により、光が入射される位置を所定時間毎に変化させ、CLBO結晶27の交換周期を長くすることが可能になっている。
しかし、結晶ホルダ150は以下に示す問題を有しており、これについて、図4(b)〜(d)を参照しながら説明する。図4(b)は、CLBO結晶27の温度分布、図4(c)は、CLBO結晶27とヒータ155との間の熱抵抗(温度の伝わりにくさ、単位はK/W)の関係、図4(d)は、ヒータ155、第1及び第2治具151,152、CLBO結晶27、並びに外部の空気200との間の熱抵抗モデル(熱の供給経路とその伝わりにくさ)を示した図である。
図4(c)及び(d)におけるR1001、R1002は、それぞれ第1治具151における、ヒータ155から第2治具152、ヒータ155からCLBO結晶27への熱抵抗、R1101は、第2治具152における第1治具151からCLBO結晶27への熱抵抗を示している。R1201、R1202は、それぞれCLBO結晶27における、第1治具151から空気200、第2治具152から空気200への熱抵抗、R1004、R1104、R1204は、それぞれヒータ155から空気200、第1治具151から空気200、第2治具152から空気200への熱抵抗を示している。R1001、R1002、R1101、R1201、R1202、R1004、R1104、R1204の単位は、全てK/Wである。なお、図4(b)及び後述する図5(b)に示す温度分布については、白色に近く色が薄い部分が高温で黒色に近く色が濃い部分が低温というように、色の濃淡で温度分布がわかるようになっている。
ここで、ヒータ155を第1治具151(CLBO結晶27)の下方に配置した場合においては、熱源(ヒータ155)からの距離が異なるため、CLBO結晶27の上下面の温度が同一にならず、上下方向に温度勾配が生じる。すなわち、図4(b)に示すように、ヒータ155からの距離が短いCLBO結晶27の下面は温度が高くなり、ヒータ155からの距離が長いCLBO結晶27の上面は温度が低くなる。このように、CLBO結晶27に温度勾配が生じると、結晶ホルダ150が上下方向に移動する度に波長の変換効率が変化し、入射された光の波長変換時の位相整合性に影響を与える問題が生じる。すなわち、光が入射するCLBO結晶27の温度が変化するため、適切に波長変換が行われなくなる虞があるという問題がある。
ところで、CLBO結晶27の上下面の温度を等しくするための条件について、第2治具152からCLBO結晶27へ供給される熱量をQ123(単位はW)、第2治具からその外部へ放熱される熱量をQ12(単位はW)、第2治具152からCLBO結晶27に供給される伝熱量をa、第1治具151からCLBO結晶27に供給される伝熱量をbとして検討する。なお、本実施形態における熱量は、輻射熱、対流、及び空気への熱伝導によるものを含む。まず、CLBO結晶27の上面の温度と下面の温度を同じにする場合、以下の式(1)を満たさなければならない。
また、ヒータ155と第1治具151との接合面から、第1治具151とCLBO結晶27との接合面までの熱経路の平均距離をL1002(単位はmm)、第1治具151の熱伝導率をk1(単位はW/(m・K))、第1治具151におけるヒータ155からCLBO結晶27への熱経路の平均断面積をA012(単位はmm)とすると、式(2)の関係が成り立つ。なお、本実施形態における熱経路とは、各部材の接触面積から推測される各部品への伝熱経路のことを示す。
そして、ヒータ155と第1治具151との接合面から、第1治具151と第2治具152との接合面までの熱経路の平均距離をL1001(単位はmm)、第1治具151と第2治具152との接合面から、第2治具152とCLBO結晶27との接合面までの熱経路の平均距離をL1101(単位はmm)、第2治具152の熱伝導率をk2(単位はW/(m・K))、第1治具151におけるヒータ155から第2治具152への熱経路の平均断面積をA011、第2治具152における他部品への熱経路の平均断面積をA02とすると、式(2)と同様に式(3)の関係が成り立つ。
ここで、第1治具151と第2治具152が同じ材質で熱伝導率k1とk2が共に138.1[W/(m・K)]、また、L1001及びL1002が15.5[mm]、L1101が8[mm] 、A011が50[mm]、A012が40[mm]、A02が20[mm]とすると、式(2)及び式(3)より、R1001=2.806[K/W]、 R1101=5.702[K/W]、 R1002=1.086[K/W]となる。
そして、第2治具152とCLBO結晶27の間の通過熱量Q123が2.641×10-2(W)、第2治具の放熱量Q12が1.0765×10-1(W)とすると、式(1)の左辺は4.527×10-1、式(1)の右辺は、2.8689×10-2×(b/a)となる。以上、式(1)により、(b/a)=15.77となる。このように、CLBO結晶27の上方(熱源がある方向に対して反対の方向)と接触する第2治具152からCLBO結晶27に供給される熱量が、CLBO結晶27の下方(熱源がある方向)と接触する第1治具151からCLBO結晶27に供給される熱量の15.77倍となれば、CLBO結晶27の上面の温度と下面の温度を同じにすることができるが、第1治具151と第2治具152の構成をどのように変更しても、また、いかなる材料を用いてもこれを15.77倍とすることは不可能である。
従って、結晶ホルダ150においては、CLBO結晶27の上下方向の温度を均一にすることができず、CLBO結晶27において、光が入射する位置により位相特性及び波長の変換効率が変動するため、波長変換の条件が上記位置によって変わり、適切に波長変換を行うことができない。そこで、本実施形態では、CLBO結晶27の上下方向の温度を均一にすることが可能な結晶ホルダ50について説明する。以下で、この結晶ホルダ50について、図5(a)を参照しながら説明する。
図5(a)は、結晶ホルダ50を光軸に対して直交する面で切断したときの断面図を示している。結晶ホルダ50は、この図5(a)に示すように、CLBO結晶27を保持する第1治具51、第2治具52、及び第3治具53と、ヒータ55とを備えて構成される。第3治具53は、第1治具51の上方に設けられ、CLBO結晶27を固定保持するときにCLBO結晶27の下面が第3治具53の上面に接触するように構成され、第2治具52は、その下面がCLBO結晶27の上面と接するように、上方からCLBO結晶27を覆って固定保持するようになっている。この第3治具53として熱伝導率が低い(熱が伝わりにくい)材質のものを用いることにより、CLBO結晶27の上下面の温度を同一とすることができる。図5(b)に示すように、CLBO結晶27の上下面の温度を同一とすれば、結晶内の温度をおおよそ均一とすることができる。この第3治具53を設けることにより、波長変換時の位相整合性に影響を与え適切に波長変換が行われなくなる問題を回避することが可能になっている。
ところで、ヒータ55からCLBO結晶27の下方に供給される熱の熱量については、CLBO結晶27の中央部分が最も大きく、中央部分から離れる程熱が外部に発散されるため小さくなる。従って、CLBO結晶27の下面に均一に熱を供給するためには、熱伝導率が低い材質の第3治具53を、上記中央部分には厚く、そして中央部分から離れる箇所ほど薄くすることが好ましい。従って、第3治具53の下面(ヒータ側の面)は、図5(a)及び(b)に示すように、中央部分が下に突出する曲面となっている。なお、この第3治具53の下面については、球の一部のような形状にしてもよい。
ヒータ55は、第1治具51の下方に設けられ、ヒータ55から発生した熱は、第1治具51及び第3治具53を介して下方から、または、第1治具51及び第2治具52を介して上方から、CLBO結晶27に供給されるようになっている。また、第3治具53の上面から下面に向かって延び、CLBO結晶27の両側面に密着するように、断熱部材54が設けられ、CLBO結晶27の両側面(左右方向)からは熱がCLBO結晶27に供給されず、左右方向に温度勾配が生じないようになっている。なお、断熱部材54としては、極めて熱伝導率が低い材質のものを用いるか、または単なる空間(空気)としてもよい。
以上のように構成される結晶ホルダ50においては、結晶ホルダ150と同様に、所定時間毎に上下左右方向に移動してCLBO結晶27に入射される光が所定時間毎に異なる位置に入射されるようになっている。また、CLBO結晶27を均一な温度を維持して保持することが可能となっているが、この理由について、図5(b)〜(d)を参照しながら説明する。図5(b)は、結晶ホルダ50及び第3治具53の温度分布、図5(c)は、CLBO結晶27とヒータ55との間の熱抵抗(温度の伝わりにくさ)の関係、図5(d)は、ヒータ55、第1〜第3治具51,52,53、CLBO結晶27、外部の空気200との間の熱抵抗モデル(熱の供給経路とその伝わりにくさ)を示した図である。
図5(d)におけるR1001、R1005は、それぞれ第1治具51における、ヒータ55から第2治具52、ヒータ55から第3治具53への熱抵抗、R1101は、第2治具152における第1治具151からCLBO結晶27への熱抵抗を示しており、R1502、R1202は、それぞれCLBO結晶27における、第1治具151から空気200、第2治具152から空気200への熱抵抗、R1004、R1104、R1204、R1502は、それぞれヒータ55から空気200、第1治具51から空気200、第2治具52から空気200、第3治具53から空気200への熱抵抗を示している。また、R1501は、第3治具53における第1治具51からCLBO結晶27への熱抵抗を示している。R1001、1005、R1101、R1502、R1202、R1004、R1104、R1204、R1502の単位は、全てK/Wである。
上述したように、第3治具53としては熱伝導率が低い材料を用いているが、どの程度の熱伝導率であれば最適であるかについて、以下で説明する。結晶ホルダ150の場合と同じ条件で、第2治具152とCLBO結晶27の間の通過熱量をQ123(単位はW)、CLBO結晶27に第3治具53から供給される伝熱量をb、CLBO結晶27に第2治具52から供給される伝熱量をaとし、更に、第1治具51と第2治具52との接合面の温度をT112(単位はK)、第1治具51と第3治具53との接合面の温度をT115(単位はK)とすると、第3治具53における第1治具51からCLBO結晶27への熱抵抗R1501を式(4)のように表現することができる。
ここで、上述したように、第2治具52における第1治具51からCLBO結晶27への熱抵抗R1101を2.896[K/W]、T115=149.5[K]、T112=148.5[K]とすると、式(4)より式(5)が導かれる。
また、第3治具53における第1治具51からCLBO結晶27への熱経路の平均断面積をA05 [mm2]、第3治具53の熱伝導率をk5[W/(m・K)]、第3治具53の上下方向の長さ(第1治具51とCLBO結晶27との接合面の距離)をL1501[mm]とすると、R1501を、式(6)のように表すことができる。
そして、L1501=3.0[mm]、A05=50[mm2]とし、これを式(6)に代入するとともに、式(5)のR1501の値を代入して計算すると、k5について、式(7)のように表される。
CLBO結晶27にその下面から供給される熱量とCLBO結晶27にその上面から供給される熱量が等しいとすると、(b/a)=1となり、これと式(7)より、k5=1.9627[W/(m・K)]となる。従って、ヒータ55からCLBO結晶27までの距離を7.5[mm]、CLBO結晶27の上下方向の長さを4.0[mm]とすると、第3治具53として、CLBO結晶27より若干熱伝導率が高い(1.9627[W/(m・K)])物質を用いるとよいことがわかる。このような物質としては、例えば、容易に加工することが可能なエンジニアセラミックスのステアタイト(MgO・SiO2)やチタニア系が該当する。また、第3治具53の厚さ(上下方向の長さ)をもう少し大きくすれば、熱伝導率が3.0[W/(m・K)]であるジルコニア(ZrO2)等を使用することもできる。
以上、本実施形態における結晶ホルダ50においては、CLBO結晶27の下面に熱伝導率が低い材質の第3治具53を設けることにより、CLBO結晶27の上面と下面の温度を同一にすることが可能となり、これにより、CLBO結晶27内の温度の偏りを無くすことができ、結晶の温度の偏りにより適切に波長変換が行われなくなる問題を回避することができる。
なお、本実施形態では、7倍波及び8倍波を発生させる結晶について、CLBO結晶27を例として挙げて説明したが、CLBO結晶以外の結晶に対しても、本発明を適用させることができる。
また、本実施形態では、ヒータ55が、第1治具51及び第3治具53を介して、CLBO結晶27の下方に設けられている例について説明したが、ヒータ、治具、及びCLBO結晶の位置関係または構成についてはこれに限定されることなく、例えば、ヒータが、熱伝導率が低い第3治具を介して、CLBO結晶の上方に設けられる構成にしてもよいし、CLBO結晶から見てヒータと反対側に熱伝導率が高い部材を設けて、ヒータの反対側からの熱伝導を高くするようにしてもよい。
そして、本実施形態では、基本波のレーザ光を波長193nmの紫外光に変換するレーザ装置1について説明したが、紫外光の波長は193nmに限定されることなく、例えば、KrFエキシマレーザ(248nm)やF2レーザ(157nm)等と同じ波長帯域であってもよい。更に、本発明に係るレーザ装置の適用例としては、各種の光学式検査装置や、レーザ治療装置等、他の種々の装置においても用いることができる。
1 レーザ装置
27 CLBO結晶(波長変換光学素子)
51 第1治具(第1保持部)
52 第2治具(第2保持部)
53 第3治具(熱伝導調整部材)
54 断熱部材
55 ヒータ

Claims (5)

  1. 所定波長のレーザ光を前記所定波長と異なる波長のレーザ光に変換する波長変換光学素子と、
    前記所定波長のレーザ光を入射させる入射部及び前記異なる波長のレーザ光を射出させる射出部を有し、前記入射部へのレーザ光の入射及び前記射出部からのレーザ光の射出が可能な状態で前記波長変換光学素子の外周を覆うように設けられ、前記波長変換光学素子を固定保持する光学素子保持部材と、
    前記光学素子保持部材により固定保持されている前記波長変換光学素子を、前記光学素子保持部材を介して所定温度に加熱するヒータと、
    前記波長変換光学素子及び前記光学素子保持部材に接する位置に、前記波長変換光学素子の表面に均一に熱を伝導させる熱伝導調整部材とを備えることを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記熱伝導調整部材は、前記波長変換光学素子から見て前記ヒータ側に設けられ、前記光学素子保持部材と比較して熱伝導率が低い材質からなることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記波長変換光学素子は、その形状が直方体であり、1つの面が前記ヒータと対向するように固定保持され、
    前記波長変換光学素子の前記ヒータに対向する面に対して垂直な面及び前記光学素子保持部材に接する位置に、前記光学素子保持部材から前記波長変換光学素子の前記垂直な面への熱伝導を遮断する断熱部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。
  4. 前記光学素子保持部材が、前記波長変換光学素子から見て前記ヒータ側に設けられる第1保持部と、前記ヒータと反対側に設けられる第2保持部とから構成され、
    を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ装置。
    但し、R1501は前記熱伝導調整部材における前記第1保持部から前記波長変換光学素子への熱抵抗、
    1101は前記第2保持部における前記第1保持部から前記波長変換光学素子への熱抵抗、
    123は前記第2保持部と前記波長変換光学素子の間の通過熱量、
    aは前記第2保持部から前記波長変換光学素子への伝熱量、
    bは前記熱伝導調整部材から前記波長変換光学素子への伝熱量、
    115は前記第1保持部と前記熱伝導調整部材の接合面の温度、
    112は前記第1保持部と前記第2保持部の接合面の温度、
    1101は前記第1保持部と前記第2保持部の接合面から前記第2保持部と前記波長変換光学素子の接合面までの熱経路の平均距離、
    2は前記第2保持部の熱伝導率、
    02は前記第2保持部における他部品への熱経路の平均断面積である。
  5. 前記熱伝導調整部材の前記ヒータに対向する面は、その中央部分が前記ヒータ側に突出した曲面形状となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2493278A2 (en) 2011-02-25 2012-08-29 NEC Corporation Electric device
JP2014215577A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 レーザーテック株式会社 光源装置、検査装置、及び波長変換方法

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