JP2011039004A - 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法 - Google Patents

磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011039004A
JP2011039004A JP2009189420A JP2009189420A JP2011039004A JP 2011039004 A JP2011039004 A JP 2011039004A JP 2009189420 A JP2009189420 A JP 2009189420A JP 2009189420 A JP2009189420 A JP 2009189420A JP 2011039004 A JP2011039004 A JP 2011039004A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
metal
metal powder
peeling
movement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009189420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5275942B2 (ja
Inventor
Keiji Mashita
啓治 真下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2009189420A priority Critical patent/JP5275942B2/ja
Publication of JP2011039004A publication Critical patent/JP2011039004A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5275942B2 publication Critical patent/JP5275942B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Abstract

【課題】複数の金属部材間の接触による該金属部材の材料界面における、粉の発生・移動や酸化の状態等の磨耗現象を、広い範囲の解析領域について、短時間に容易に解析することが可能な磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法を提供する。
【解決手段】磨耗現象解析システム10は、材料界面をモデル化するモデル生成部21と金属粉の挙動のシミュレートするシミュレーション部22を備えている、また、シミュレーション部22は、各セル7の酸化率を決定する酸化率決定部31、各セル7の剥離判定を実行する剥離判定部32、剥離したセル7の移動先を決定する移動先決定部33、及び、インデント部4とプレート部5との間の接触電気抵抗を算出する接触電気抵抗算出部34を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法に関する。特に、複数の金属部材間の接触による該金属部材の材料界面における磨耗現象を解析する磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法に関する。
摩耗は、複数の材料が接触して相対運動する際に、表面から材料が除去されていく現象である。また、磨耗は、現象或いは主原因などに基づいて分類されており、「凝着摩耗」「アブレシブ摩耗」「疲労摩耗」などがあり、実際にはこれらが複合して発生している事が多い。
上述した磨耗現象は、身の回りでよく経験される現象で、特に、工業製品においては機能・性能・信頼性に深く関わっている。摩耗の発生が起因する問題としては、例えば、車のタイヤ表面の摩耗の進展(時間経過)にともないタイヤ表面の摩擦性能が劣化し、ブレーキの効きが悪くなる等の問題が挙げられる。
また、摩耗は、摩擦と一緒に研究される事が多く、これまでも試験や計算機による解析で磨耗現象の研究が行われている。試験的な評価としては、例えば、特許文献1に開示されているフレッティング疲労評価を対象とした発明が挙げられる。特許文献1では、試験的に整理された界面応力とフレッティング疲労の関係を用いて、条件に応じて界面応力を有限要素法で算出する事で疲労を予測している。
また、有限要素法を用いて多体間の接触問題として取り扱うプログラムや、剥離(粉の発生)などの問題について有限要素法で扱った解析も実施されている。
また、分子動力学による評価もさかんに実施されている。この評価プログラムは、表面を構成する各原子を1粒子として相互の結合を取り扱うモデルで、摩耗による原子の移動や摩擦力など詳細なデータ検証が行われている。
特開2002−310867号公報
しかしながら、特許文献1の場合、良い精度でフレッティング疲労を評価できるが、問題が限定され、様々な条件の変更に対応できない場合が多いという問題点があった。
また、有限要素法を用いて多体間の接触問題として取り扱うプログラムを利用する場合においては、表面金属の剥離(粉の発生)や粉の移動をモデル化することが、有限要素法を用いる場合複雑となってしまうという問題点もあった。また、剥離などの問題について有限要素法を用いた場合、剥離箇所が限られた条件となり、実際の材料間の接触のように接触面のいたるところで剥離が起こるような状況では莫大な計算時間がかかってしまい、そのため、剥離などの問題をある程度限定して条件で取り扱う必要があった。
また、分子動力学による評価についても、有限要素法を用いた場合と同様に、計算時間が膨大になるため、ある程度の領域に絞った解析モデルの構築が必要である。
上述したように、摩耗現象に対しては界面で起こっている現象をある程度ブラックボックス化して試験的な経験式によって評価するプログラム(例えば、特許文献1)や、界面で起こっている現象を詳細にモデル化してある程度領域を限定して評価するプログラムがあるが、それぞれに一長一短があり、摩耗条件の変化やそれに伴い界面で発生する現象を、実際に満足できる計算時間の範囲内で評価する事は困難であった。
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、複数の金属部材間の接触による該金属部材の材料界面における、粉の発生・移動や酸化の状態等の磨耗現象を、広い範囲の解析領域について、短時間に容易に解析することが可能な磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法を提供することを目的とする。
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかる磨耗現象解析システムは、コンピュータを使用して、複数の金属部材間の接触によって生ずる前記金属部材の表面近傍から剥離された金属粉の挙動をシミュレートすることにより、前記金属部材の材料界面における磨耗現象を解析する磨耗現象解析システムであって、前記複数の金属部材の材料界面を含む解析領域を前記金属粉の解析単位となる大きさの複数のセルに分割して、分割した各前記セルに当該セル部分に対応する材質を割り当てるモデル生成手段と、前記各セルの位置と割り当てられた前記材質から決定される材料特性に基づいて、前記各セルの酸化率及び剥離確率を算出し、算出した剥離確率に基づいて剥離対象と判定された前記セルに対応付けられる前記金属部材及び前記金属粉の剥離された移送後の位置を移動確率に基づいて決定し、決定した移動後と移動前に対応する位置の前記セルの前記材質を再度割り当てることにより、前記金属粉の挙動をシミュレートするシミュレート手段と、を備え、剥離によって発生した前記金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて磨耗現象を解析することを特徴とする。尚、本明細書において、金属部材及び金属粉とは、酸化率が0%〜100%の範囲であるものを包含するものとして定義する。
本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析システムは、上記の本発明の第1の態様にかかる磨耗現象解析システムにおいて、前記モデル生成手段が、前記複数の金属部材の材料界面を含む前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した解析領域を、前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した大きさ及び形状の複数の前記セルに分割し、分割した前記各セルの位置に対応付けて、複数の前記金属部材、複数の前記金属部材から発生した前記金属粉、及び空気のいずれかを材質として、前記セル毎に割り当てることを特徴とし、前記シュミレート手段が、前記各セルの位置と前記各セルに割り当てた前記材質とよって決定される材料特性を用いた酸化ルールに基づいて、前記セル毎に、前記セルの位置に対応付けられた前記金属部材及び前記金属粉の酸化率を決定する酸化率決定手段と、複数の前記金属部材の前記セルを対象として、当該各セルの位置と当該各セルに割り当てた材質とによって決定される材料特性と剥離確率とを用いた剥離ルールに基づいて、当該セル毎に、当該セルの位置に対応付けられた前記金属部材が剥離するための条件を満たしているか否かを判定する剥離判定手段と、前記剥離判定手段によって剥離するための条件を満たした剥離対象となる前記金属部材に対応する前記セル及び前記金属粉に対応する前記セルを対象として、当該セルの位置と前記移動確率による移動ルールを利用して、対象となる移動前の前記セルに対応付けられた剥離対象となる当該金属部材及び当該金属粉の移動後に対応する前記セルの位置を決定し、当該金属部材及び当該金属粉の移動前と移動後に対応する前記セルに前記材質を再度割り当てる移動先決定手段と、を備えていることを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかる磨耗現象解析システムは、上記の本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析システムにおいて、前記酸化ルールが、酸化率の決定対象となる対象セルに対する前記対象セルの周囲の複数の周囲セルの相対的な位置、及び当該複数の周囲セルに割り当てられた前記材質とに基づいて、前記対象セルの酸化率の増加量を算出することを特徴とする。
本発明の第4の態様にかかる磨耗現象解析システムは、上記の本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析システムにおいて、前記剥離ルールが、剥離判定の対象となる判定対象セルにかかる応力、及び、前記判定対象セルと前記判定対象セルの周囲の複数の周囲セルとの結合力である剥離耐力をパラメータとしたワイブル統計の累積故障率を利用して、前記判定対象セルの剥離判定を行うことを特徴とする。
本発明の第5の態様にかかる磨耗現象解析システムは、上記の本発明の第2乃至4のいずれか1つの態様にかかる磨耗現象解析システムにおいて、前記シミュレート手段が、前記セルに割り当てられた前記材質と前記材質に対応付けられた体積電気抵抗値とに基づいて、前記複数の金属部材間の接触電気抵抗を算出する接触電気抵抗手段を、更に備え、発生した前記金属粉に対応付けられる前記セルの位置に基づいて当該金属粉の挙動をシミュレートし、算出された前記接触電気抵抗と当該金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて前記金属部材の材料界面における磨耗現象の1つであるフレッティング現象を解析することを特徴とする。
本発明の第1の態様にかかる磨耗現象解析方法は、コンピュータを使用して、複数の金属部材間の接触によって生ずる前記金属部材の表面近傍から剥離された金属粉の挙動をシミュレートすることにより、前記金属部材の材料界面における磨耗現象を解析する磨耗現象解析方法であって、(a)前記複数の金属部材の材料界面を含む解析領域を前記金属粉の解析単位となる大きさの複数のセルに分割して、分割した各前記セルに当該セル部分に対応する材質を割り当てる工程と、(b)前記各セルの位置と割り当てられた前記材質から決定される材料特性に基づいて、前記各セルの酸化率及び剥離確率を算出し、算出した剥離確率に基づいて剥離対象と判定された前記セルに対応付けられる前記金属部材及び前記金属粉の剥離された移送後の位置を移動確率に基づいて決定し、決定した移動後と移動前に対応する位置の前記セルの前記材質を再度割り当てることにより、前記金属粉の挙動をシミュレートする工程と、を備え、剥離によって発生した前記金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて磨耗現象を解析することを特徴とする。
本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析方法は、上記の本発明の第1の態様にかかる磨耗現象解析方法において、前記工程(a)が、前記複数の金属部材の材料界面を含む前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した解析領域を、前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した大きさ及び形状の複数の前記セルに分割し、分割した前記各セルの位置に対応付けて、複数の前記金属部材、複数の前記金属部材から発生した前記金属粉、及び空気のいずれかを材質として、前記セル毎に割り当てることを特徴とし、前記工程(b)が、(b1)前記工程(a)により分割された前記各セルの位置と前記各セルに割り当てた前記材質とよって決定される材料特性を用いた酸化ルールに基づいて、前記セル毎に、前記セルの位置に対応付けられた前記金属部材及び前記金属粉の酸化率を決定する工程と、(b2)複数の前記金属部材の前記セルを対象として、当該各セルの位置と当該各セルに割り当てた材質とによって決定される材料特性と剥離確率とを用いた剥離ルールに基づいて、当該セル毎に、当該セルの位置に対応付けられた前記金属部材が剥離するための条件を満たしているか否かを判定する工程と、(b3)前記工程(b2)によって剥離するための条件を満たした剥離対象となる前記金属部材に対応する前記セル及び前記金属粉に対応する前記セルを対象として、当該セルの位置と前記移動確率による移動ルールを利用して、対象となる移動前の前記セルに対応付けられた剥離対象となる当該金属部材及び当該金属粉の移動後に対応する前記セルの位置を決定し、当該金属部材及び当該金属粉の移動前と移動後に対応する前記セルに前記材質を再度割り当てる工程と、(b4)前記工程(a)及び前記工程(b)において得られた各種情報、並びに、予め設定した各種設定値のうちの所望の情報を出力する工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明の第3の態様にかかる磨耗現象解析方法は、上記の本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析方法において、前記酸化ルールが、酸化率の決定対象となる対象セルに対する前記対象セルの周囲の複数の周囲セルの相対的な位置、及び当該複数の周囲セルに割り当てられた前記材質とに基づいて、前記対象セルの酸化率の増加量を算出することを特徴とする。
本発明の第4の態様にかかる磨耗現象解析方法は、上記の本発明の第2の態様にかかる磨耗現象解析方法において、前記剥離ルールが、剥離判定の対象となる判定対象セルにかかる応力、及び、前記判定対象セルと前記判定対象セルの周囲の複数の周囲セルとの結合力である剥離耐力をパラメータとしたワイブル統計の累積故障率を利用して、前記判定対象セルの剥離判定を行うことを特徴とする。
本発明の第5の態様にかかる磨耗現象解析方法は、上記の本発明の第2乃至4のいずれか1つの態様にかかる磨耗現象解析方法において、前記工程(b)が、(c)前記セルに割り当てられた前記材質と前記材質に対応付けられた体積電気抵抗値とに基づいて、前記複数の金属部材間の接触電気抵抗を算出する工程を、前記工程(b1)の前に備え、発生した前記金属粉に対応付けられる前記セルの位置に基づいて当該金属粉の挙動をシミュレートし、算出された前記接触電気抵抗と当該金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて前記金属部材の材料界面における磨耗現象の1つであるフレッティング現象を解析することを特徴とする。
本発明によれば、複数の金属部材間の接触による該金属部材の材料界面における、粉の発生・移動や酸化の状態等の磨耗現象を、広い範囲の解析領域について、短時間に容易に解析することができる。また、様々な設計条件の下における、磨耗現象の時間履歴を、実際の部材を使用して実験することなく、高精度に評価することができる。また、他の要因により金属部材の材質の変更や部品等の構成の変更を実施しなければならないような場合に、磨耗現象による問題(例えば、フレッティング現象による問題)の発生や影響を、実際の製品を製造する前に評価することができる。
コネクタ接続端子1の概略断面図であり、図1(a)は、全体概略断面図を、図1(b)は、メス端子2とオス端子3の解析領域部6の拡大概略断面図を示している。 インデント部の形状が異なる解析領域部6の拡大概略断面図を示した図である。 本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムを実行させるコンピュータの概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムにおけるシステム構成の一例を示す図である。 析領域部6を複数のセル7に分割した状態を示した図の一例である。 対象セル7aと周囲セル7bの位置関係を示す図である。 周囲セル7bと対象セル7aとの位置関係と、周囲セル7bの状態とにより設定される酸化確率を示す図である。 応力σの層単位の算出方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムの処理手順を示すフローチャート図の一例である。 剥離判定処理手順を示すフローチャート図の一例である。 実施例1における摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果と実験結果を示した図である。 実施例1における摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果のみを示した図である。 図12の(状態A)、(状態B)及び(状態C)のときの解析領域部6における材料界面の状態を示した図である。 実施例2における摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果を示した図である。 実施例3における摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果を示した図である。
本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムは、複数の金属部材間の接触による該金属部材の材料界面における(例えば、コネクタ接続端子の表面等における)、金属粉の発生、金属部材や金属粉の酸化の状態等をシミュレートすることにより、磨耗現象を解析(評価)するシステムであり、コンピュータを使用したシステムである。
例えば、コネクタ接続端子は、図1に示すように、コネクタ接続端子1のメス端子2にオス端子3を差し込んだとき、メス端子2のインデント部4とオス端子3のプレート部5とが接触し電気接続が得られる構成になっている。図1は、コネクタ接続端子1の概略断面図であり、図1(a)は、全体概略断面図を、図1(b)は、メス端子2とオス端子3の解析領域部6の拡大概略断面図を示している。
尚、解析領域部6は、断面が曲率を有する半円状のインデント部4と断面が平面状のプレート部5とが直接接触する部分を含む所定の領域のことであり、コネクタ接続端子1の構成(例えば、使用されている材質や形状等)により設定される磨耗現象の解析対象となる領域である。また、インデント部4は導電性基体4aとメッキ層4bとから構成され、プレート部5は導電性基体5aとメッキ層5bとから構成されている。尚、解析領域部6は、図1(b)に示すような、断面が半球状のインデント部4に限定されるものではなく、図2(a)に示すような、断面が上部に広がる台形状のインデント部4’であっても、図2(b)に示すような、断面が下に凸の三角形状のインデント部4”であっても良い。以下、図1(a)及び(b)に示したコネクタ接続端子1を例に挙げて、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムを説明する。
図3は、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムを実行させるコンピュータ100の概略構成を示す図である。図3に示すように、コンピュータ100は、CPU(中央処理装置)101、ROM102、RAM103、各種出力装置104等を備えている。
CPU101は、コンピュータ100で実行させる磨耗現象解析システムを実現するためのソフトウェア(ファームウェアを含む)およびデータを記憶しているROM102から、必要な情報を読み出し、実行することにより、磨耗現象解析システムを実現する。また、RAM103は、コンピュータ100で実行させる磨耗現象解析システムを実現するために必要なデータの記憶装置として機能する。また、各種出力装置104は、例えば、表示装置、印刷装置、外部記憶装置等であり、CPU101から命令された出力情報を命令に従って出力する。
次に、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムにおけるシステム構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システムにおけるシステム構成の一例を示す図である。
図4に示すように、磨耗現象解析システム10は、モデル生成部21、シミュレーション部22、構成条件・設定条件記憶部27、及び解析データ記憶部28を備え、更に、シミュレーション部22は、酸化率決定部31、剥離判定部32、移動先決定部33、接触電気抵抗算出部34、及び出力部35を備えている。磨耗現象解析システム10は、CPU101が、ROM102に記憶されているモデル生成部21、シミュレーション部22の各機能(酸化率決定部31、剥離判定部32、移動先決定部33、接触電気抵抗算出部34、及び出力部35の機能)に対応するソフトウェアと、ROM102に記憶されている構成条件・設定条件記憶部27に対応するデータを読み出して、解析を実行し、得られた解析結果の各種データをRAM103の解析データ記憶部28に格納すると共に、所望の情報を各種出力装置104に出力させることにより、磨耗現象解析システムを実現する。
モデル生成部21は、解析領域部6を複数のセル7に分割する。図5は、解析領域部6を複数のセル7に分割した状態を示した図の一例である。セル7の形状は、図5に示すような四角形であっても、三角形であっても、六角形であっても良い。また、解析領域部6における磨耗現象の解析(評価)は、解析領域部6を図5に示すような2次元のセル(例えば、四角形)に分割して2次元平面で解析することも、解析領域部6を3次元のセル(例えば、立方体)に分割して3次元空間で解析することもできる。以下、解析領域部6における磨耗現象の解析(評価)は、図5に示すような2次元平面での解析で説明する。また、セル7の形状は四角形として説明する。
また、セル7の大きさは、構成条件・設定条件記憶部27に記憶されているコネクタ接続端子1の構成、並びに、解析時間と解析精度に基づいて、発生した金属粉のサイズの最小単位が、セル7の大きさとなるように設定する。
また、モデル生成部21は、分割した各セル7に材質を割り当てる。割り当てる材質の種類は、各セル7の位置に対応付けられるインデント部4を構成する導電性基体4aの材質とメッキ層4bの材質、プレート部5を構成する導電性基体5aの材質とメッキ層5bの材質、並びに、空気である。
尚、図1(b)では、インデント部4の導電性基体4aとメッキ層4b、並びに、プレート部5の導電性基体5aとメッキ層5bは、それぞれ1層から構成されているが、複数層によって構成されている場合であっても良く、複数層によって構成されている場合は各セル7の位置に対応付けられる層の材質を、各セル7に割り当てるようにする。また、初期状態の酸化率も設定し、各セル7に割り当てる。尚、初期状態の酸化率は、通常、製品が製造され使用される前に多少酸化してしまうことを考慮するためである。
また、モデル生成部21は、生成したセル7の分割情報、各セル7に割り当てられた材質及び酸化率を解析データ記憶部28に格納する。
次に、図4に示す磨耗現象解析システム10のシミュレーション部22を説明する。シミュレーション部22は、酸化率決定部31、剥離判定部32、移動先決定部33、接触電気抵抗算出部34、及び出力部35を備え、モデル生成部21によって分割された各セル7の位置と割り当てられた材質から決定される材料特性に基づいて、各セル7の酸化率及び剥離確率を算出し、算出した剥離確率に基づいて剥離対象と判定されたセル7の剥離された移送後の位置を移動確率に基づいて決定し、決定した移動後の位置と移動前の位置のセル7の材質を再度割り当てることにより、金属粉の挙動をシミュレートする。
酸化率決定部31は、モデル生成部21によって分割された各セル7における酸化の進展状態を表す酸化率を算出する。
酸化率は、0から1の間の値をとり、0は全く酸化していない状態を、1は完全に酸化している状態を示す値である。図6に示すように、酸化率の算出対象となるセル7を対象セル7aとしたとき、対象セル7aを囲む複数個の周囲セル7b(図6では周囲セル7bは8個である)の状態構成により、対象セル7aの酸化率は、材料特性を利用した酸化ルールに基づいて算出される。
酸化ルールは、周囲セル7bの材質が空気である場合に酸化率が大きくなり、金属である場合に酸化率が小さくなり、周囲セル7bが金属粉である場合も酸化率が大きくようなルールである。酸化ルールとして、下記の関係式(1)を利用して、1摺動サイクル内における対象セル7aの酸化率の増加量ΔPを算出し、酸化率を決定する。ここで、φは補正係数であり、P(i)は、例えば、図7に示すような、周囲セル7bと対象セル7aとの位置関係と、周囲セル7bの状態とにより設定される酸化確率である。
Figure 2011039004
尚、図7に示す、酸化セルとは酸化率が所定の酸化率値以上である金属部材(インデント部4またはプレート部5)に相当するセル7であり、金属セルとは酸化率が所定の酸化率値未満である金属部材に相当するセル7であり、空気セルとは空気に相当するセル7であり、酸化粉セルとは酸化率が所定の酸化率値以上である金属部材の表面から剥離した金属粉に相当するセル7であり、金属粉セルとは酸化率が所定の酸化率値未満である金属部材の表面から剥離した金属粉に相当するセル7である。
また、酸化率決定部31は、算出した酸化率を各セル7に対応付けて解析データ記憶部28に格納する。
次に、図4に示す磨耗現象解析システム10の剥離判定部32を説明する。剥離判定部32は、1摺動サイクル内にインデント部4またはプレート部5の表面近傍のセル7(金属セルまたは酸化セル)に対応する金属部材もしくは金属粉がインデント部4またはプレート部5から剥離するか否かを、剥離ルールに基づいて判定する。即ち、金属粉セルまたは酸化粉セルが生成されるか否かを判定する。インデント部4とプレート部5との直接の接触によって、インデント部4とプレート部5のそれぞれに応力σがかかる。この応力σが剥離耐力κ(対象セル7aと周囲セル7bとの間の結合力)を上回る場合に、セル7に対応する金属部材もしくは金属粉のインデント部4またはプレート部5からの剥離が発生する。従って、対象セル7aにかかる応力σ及び剥離耐力κを算出して、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉がインデント部4またはプレート部5から剥離するか否かを、材料特性を利用した剥離ルールに基づいて判定する。
剥離ルールに基づいて(例えば、同一層に含まれるセル7は全て同一の応力とする層単位の算出方法を利用する)、各セル7にかかる応力σを算出する。図8に示すように、同一層(例えば、第1層乃至第m層)は、インデント部4に直接接触するプレート部5の表面のセル7で、かつ、縦方向の同一段に属するセル7の集合をプレート部5側の第1層8aとし、第1層8aに隣接するセル7の集合をプレート部5側の第2層8bとし、第2層8bに隣接するセル7の集合をプレート部5側の第3層8cとして、解析領域部6の境界である第m層までを順次設定する。また、インデント部4側もプレート部5側と同様に設定する。
層単位の算出方法において第i層(i=1〜m)に属するセル7にかかる応力σは、下記の関係式(2)を利用して算出される。ここで、Fは接触力であり、Siは、第i層の面積である。ここで、第i層の面積とは、第(i−1)層に接する第i層の面積である。また、第1層の面積は、インデント部4とプレート部5とが接触する接触面の面積である。
Figure 2011039004
上記の関係式(2)は、インデント部4またはプレート部5の表面に近いセル7ほど大きい応力がかかる関係式となっていることを示している。また、1摺動サイクル毎に、インデント部4とプレート部5とが接触する接触面が変化することから、1摺動サイクル毎にセル7にかかる応力σが変化することを示している。
尚、セル7にかかる応力σは、解析時間を短縮させるため、上述したような層単位で応力σを算出しているが、高精度な解析を行うためにセル単位で応力σを算出しても良い。
また、対象セル7aの剥離耐力κは、剥離ルールに基づいて、下記の関係式(3)を利用して算出する。ここで、κiは、周囲セル7bの材質に対応付けられた結合力である。
Figure 2011039004
尚、周囲セル7bが空気セルの場合はκi=0であり、周囲セル7bがインデント部4またはプレート部5である場合の結合力κiは、該周囲セル7bに対応する材質のせん断強さκaと、結合力に関係する隣接するセル7の個数が8個であることとを利用して、下記の関係式(4)で表される。
Figure 2011039004
上記の関係式(3)は、インデント部4またはプレート部5の表面のセル7の結合力は小さく、インデント部4またはプレート部5の内部の結合力は大きくなることを示している。
判定対象となる対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉の剥離判定は、剥離した金属粉をセル7として扱うとき、実際の金属粉に比べてセル7のサイズが大きいために、実際にはセル7の大きさの何割かに相当する領域が剥離しているにもかかわらず、セル単位としては剥離しない状況が起こってしまうという問題を解決するため、剥離ルールに基づいて、算出した応力σと剥離耐力κをパラメータとする下記の関係式(5)に示すワイブル統計の累積故障率Yを利用して判定する。ここで、nは剥離確率のあいまいさを示す係数である。
Figure 2011039004
累積故障率Yは0から1の間の値であり、累積故障率Yが大きいほど、剥離する可能性が大きくなり、所定の閾値以上となったとき、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉がインデント部4またはプレート部5から剥離したと判定する。
また、剥離判定部32は、判定した剥離判定結果を各セル7に対応付けて解析データ記憶部28に格納する。
次に、図4に示す磨耗現象解析システム10の移動先決定部33を説明する。移動先決定部33は、剥離判定部32によって剥離するための条件を満たした(剥離すると判定された)剥離対象となる対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が剥離された後に移動した位置(移動後の位置)を、移動ルールに基づいて決定する。
移動ルールは、例えば、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が移動可能な範囲は、摺動によって引きずられる状況を想定し、構成条件・設定条件記憶部27に記憶されている摺動距離の範囲内の空気セルとし、かつ、移動先の空気セルはインデント部4またはプレート部5の表面に接する空気セルとする。また、移動先となる範囲の各空気セルに対する対象セル7aからの移動確率は、一律ではなく、移動前の位置から移動先までの距離が大きくなるに従って移動確率が小さくなるような移動確率分布とする。設定されたこの移動確率分布に基づいて、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が移動する移動先のセル7、即ち、移動後の位置を決定する。
また、移動先決定部33は、決定した移動後の位置のセル7(移動前は空気セル)に、移動前の対象セル7aの材質、酸化率等の情報を割り当てると共に、移動前の対象セル7aに空気セルの材質を割り当て、解析データ記憶部28に格納する。
次に、図4に示す磨耗現象解析システム10の接触電気抵抗算出部34を説明する。接触電気抵抗算出部34は、構成条件・設定条件記憶部27に記憶されている、材質に対応付けられた体積電気抵抗値と各セル7に割り当てられた材質を利用して、電気抵抗ルールに基づいて、インデント部4とプレート部5との間の接触電気抵抗を算出し、算出した接触電気抵抗を解析データ記憶部28に格納する。
電気抵抗ルールは、例えば、セル6を抵抗(集中定数)として、上下左右に隣接する各セル7を結んだ集中定数等価回路として、インデント部4とプレート部5との間の接触電気抵抗を算出する。
次に、図4に示す磨耗現象解析システム10の出力部35を説明する。出力部35は、上述した磨耗現象解析システム10のモデル生成部21、酸化率決定部31、剥離判定部32、移動先決定部33、及び接触電気抵抗算出部34によって算出・決定された情報を、解析データ記憶部28から取得して、所定のフォーマットに基づいた出力データを生成して、出力装置(例えば、表示装置、印刷装置、記憶装置等)に出力する。
上述した本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システム10により、インデント部4とプレート部5との間の接触によるインデント部4とプレート部5の材料界面における、金属粉の発生・移動や酸化の状態等の磨耗現象を、解析領域部6について、短時間に容易に解析することができる。また、様々な設計条件の下における、磨耗現象の時間履歴を、実際のコネクタ接続端子1を使用して実験することなく、高精度に評価することができる。また、他の要因によりインデント部4とプレート部5の材質の変更や部品等の構成の変更を実施しなければならないような場合に、磨耗現象による問題(例えば、フレッティング現象による問題)の発生や影響を、実際の製品を製造する前に評価することができる。
次に、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析方法について説明する。
図9は、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムの処理手順を示すフローチャート図の一例である。図9に示すように、磨耗現象の解析処理は、まず、解析領域部6を複数のセル7に分割し、分割した各セル7に材質を割り当てて、材料界面のモデル化を行う(S101)。尚、各セル7に割り当てる材質の種類は、各セル7の位置に対応付けられるインデント部4を構成する導電性基体4aの材質とメッキ層4bの材質、プレート部5を構成する導電性基体5aの材質とメッキ層5bの材質、並びに、空気である。
次に、各セル7における酸化の進展状態を表す酸化率を、酸化ルールに基づいて決定(算出)する(S102)。酸化率は、0から1の間の値をとり、0は全く酸化していない状態を、1は完全に酸化している状態を示す値である。図6に示すように、酸化率の算出対象となるセル7を対象セル7aとしたとき、対象セル7aを囲む複数個の周囲セル7b(図6では周囲セル7bは8個である)の状態構成により、対象セル7aの酸化率は、材料特性を利用した酸化ルールに基づいて算出される。ここでは、酸化ルールとして、上記の関係式(1)を利用して、1摺動サイクル内における対象セル7aの酸化率の増加量ΔPを算出し、酸化率を決定する。
次に、1摺動サイクル内にインデント部4またはプレート部5の表面近傍のセル7(金属セルまたは酸化セル)に対応する金属部材もしくは金属粉がインデント部4またはプレート部5から剥離するか否かを、剥離ルールに基づいて判定する(S103)。応力σが剥離耐力κ(対象セル7aと周囲セル7bとの間の結合力)を上回る場合に、セル7に対応する金属部材もしくは金属粉のインデント部4またはプレート部5から剥離が発生する。従って、対象セル7aにかかる応力σ及び剥離耐力κを算出して、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉がインデント部4またはプレート部5から剥離するか否かを、材料特性を利用した剥離ルールに基づいて判定する。尚、詳細な判定方法は後述の図10において説明する。
次に、ステップS103によって剥離するための条件を満たした(剥離すると判定された)剥離対象となる対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が剥離され後に移動した位置(移動後の位置)を、移動ルールに基づいて決定する(S104)。
移動ルールは、例えば、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が移動可能な範囲は、摺動によって引きずられる状況を想定し、摺動距離の範囲内の空気セルとし、かつ、移動先の空気セルはインデント部4またはプレート部5の表面に接する空気セルとする。また、移動先となる範囲の各空気セルに対する対象セル7aからの移動確率は、一律ではなく、移動前の位置から移動先までの距離が大きくなるに従って移動確率が小さくなるような移動確率分布とする。設定されたこの移動確率分布に基づいて、対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉が移動する移動先のセル7、即ち、移動後の位置を決定する。また、決定した移動後の位置のセル7(移動前は空気セル)に、移動前の対象セル7aの材質、酸化率等の情報を割り当てると共に、対象セル7aに空気セルの材質を割り当てる。
次に、材質に対応付けられた体積電気抵抗値と各セル7に割り当てられた材質を利用して、電気抵抗ルールに基づいて、インデント部4とプレート部5との間の接触電気抵抗を算出する(S105)。電気抵抗ルールは、例えば、セル6を抵抗(集中定数)として、上下左右に隣接する各セル7を結んだ集中定数等価回路として、インデント部4とプレート部5との間の接触電気抵抗を算出する。
次に、ステップS101乃至S105の各ステップにおいて算出・決定された情報を出力装置(例えば、表示装置、印刷装置、記憶装置等)に出力する(S106)。
最後に、所定の摺動回数(計算サイクルの回数)だけ摺動させたか否かを判定し(S107)、所定の摺動回数に達するまでステップS102乃至S106を繰り返し、解析処理を終了する。尚、図9においては、ステップS107の判定処理をステップS106の次に実行しているが、ステップS107の判定処理をステップS104とステップS105との間において、解析処理の終了を判定するようにしても良い。
次に、上述したステップS103の剥離判定の処理手順の詳細を説明する。図10は、剥離判定処理手順を示すフローチャート図の一例である。図10に示すように、まず、剥離ルールに基づいて、対象セル7aにかかる応力σを算出する(S201)。ここでは、例えば、同一層に含まれるセル7は全て同一の応力とする層単位の算出方法を利用して、即ち、上述した第i層(i=1〜m)に属するセル7にかかる応力σである上記の関係式(2)を利用して、対象セル7aにかかる応力σを算出する。
次に、対象セル7aの剥離耐力κ(対象セル7aと周囲セル7bとの間の結合力)を、剥離ルールに基づいて、上記の関係式(3)を利用して算出する(S202)。
次に、判定対象となる対象セル7aに対応する金属部材もしくは金属粉の剥離判定を、剥離ルールに基づいて、算出した応力σと剥離耐力κをパラメータとする上記の関係式(5)に示すワイブル統計の累積故障率Yを利用して判定する(S203)。
最後に、解析領域部6の全てのセル7に対応する金属部材もしくは金属粉について剥離判定を行ったか否かを判定し(S204)、解析領域部6の全てのセル7に対応する金属部材もしくは金属粉について剥離判定を行うまでステップS201乃至S203を繰り返し、剥離判定処理を終了する。
上述した本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析方法により、インデント部4とプレート部5との間の接触によるインデント部4とプレート部5の材料界面における、金属粉の発生・移動や酸化の状態等の磨耗現象を、解析領域部6について、短時間に容易に解析することができる。また、様々な設計条件の下における、磨耗現象の時間履歴を、実際のコネクタ接続端子1を使用して実験することなく、高精度に評価することができる。また、他の要因によりインデント部4とプレート部5の材質の変更や部品等の構成の変更を実施しなければならないような場合に、磨耗現象による問題(例えば、フレッティング現象による問題)の発生や影響を、実際の製品を製造する前に評価することができる。
次に、本発明の好適な実施例について説明する。
(実施例1)
本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システム10を利用して、図1(a)及び(b)に示したコネクタ接続端子1におけるフレッティング現象について、接触電気抵抗の時間履歴を解析した。実施例1では、解析に使用したネクタ接続端子1において、インデント部4の導電性基体4a及びプレート部5の導電性基体5aの材質は共に銅とし、インデント部4のメッキ層4b及びプレート部5のメッキ層5bの材質は共に錫とした。また、インデント部4のメッキ層4b及びプレート部5のメッキ層5bの厚さは共に0.5μmとした。また、インデント部4の断面の形状は、直径が1mmの半円形状とした。また、酸化した錫の分子構造は、実際にはSnOとSnOの混合と考えられるが、本実施例ではSnOが100%であるとして計算した。また、各セル7のサイズは1辺が50nmの正方形とした。また、接触力Fを3Nとし、摺動距離を30μmとした。
上述した条件で、摺動回数(計算回数)に伴う接触電気抵抗を算出した。図11は、摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果と実験結果を示した図である。ここで、縦軸は接触電気抵抗を示し、横軸は摺動回数(計算回数)を示す。また、実験結果は、実際に上述した条件に近いコネクタ接続端子1を摺動させたときの接触電気抵抗を測定した結果である。
図11に示すように、濃い実線で示す解析結果と、薄い実線で示す実験結果とを比較すると、摺動回数に伴う接触電気抵抗の変化が、概ね同じ傾向となった。即ち、解析結果及び実験結果共に、摺動回数が小さいとき接触電気抵抗が小さく、摺動回数が増えるのに伴い接触電気抵抗が大きくなり最大値をとり、その後、摺動回数が増えるのに伴い接触電気抵抗は小さくなるという結果となった。この結果、本発明の一実施形態にかかる磨耗現象解析システム10が、コネクタ接続端子1におけるフレッティング現象について、精度良く、短時間に解析できることがわかった。
また、上述したコネクタ接続端子1におけるフレッティング現象について解析した結果、以下のことがわかった。図12は、図11における摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果のみを示した図である。上述したように、摺動回数が小さいとき(状態A)は、接触電気抵抗は低く、摺動回数が増えるのに伴い接触電気抵抗が大きくなり、(状態B)のときに最大値をなり、その後、摺動回数が増えるのに伴い(状態C)、接触電気抵抗は小さくなる。図13は、(状態A)、(状態B)及び(状態C)のときの解析領域部6における材料界面の状態を示した図である。
図12及び図13に示すように、(状態A)のときは、解析領域部6の材料界面において、酸化の進んでいない金属粉が発生している状態になっているため、発生した金属粉が接触電気抵抗に対しては大きな影響を及ぼさず、接触電気抵抗は低い状態となっていた。(状態B)のときは、解析領域部6の材料界面において、酸化の進んだ金属粉(酸化粉)が発生している状態になっているため、発生した酸化粉が接触電気抵抗に対しては大きな影響を及ぼし、接触電気抵抗を上昇させていた。(状態C)のときは、解析領域部6の材料界面において、金属粉または酸化粉が摺動により解析領域部6以外の場所に移動し、更に、金属粉または酸化粉の供給源であるメッキ層(メッキ層4b及びメッキ層5b)自体がなくなり、比抵抗の大きい酸化粉がほとんどない状態になってしまったため、接触電気抵抗を下降させた。
(実施例2)
実施例2では、メッキ層(メッキ層4b及びメッキ層5b)の厚さを薄く(0.25μm)した条件以外、実施例1と同様の条件で、摺動回数(計算回数)に伴う接触電気抵抗を算出した。図14は、摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果のみを示した図である。
図14に示すように、実施例1(図12参照)に比較して実施例2の場合は、摺動回数が増加しても接触電気抵抗の上昇が小さく抑えられている。この結果より、金属粉または酸化粉の供給源であるメッキ層(メッキ層4b及びメッキ層5b)の厚みが薄いため、実施例1の(状態C)に相当する状態に早期に移ったことがわかった。
(実施例3)
実施例3では、メッキ層(メッキ層4b及びメッキ層5b)の材質を剥がれ難い材質(CuSn)にした条件以外、実施例1と同様の条件で、摺動回数(計算回数)に伴う接触電気抵抗を算出した。図15は、摺動回数に伴う接触電気抵抗の算出結果のみを示した図である。
図15に示すように、実施例1(図12参照)に比較して実施例3の場合は、摺動回数が増加しても接触電気抵抗の上昇が小さく抑えられている。この結果より、金属粉または酸化粉の供給源であるメッキ層(メッキ層4b及びメッキ層5b)自体が剥がれ難い材質であることから、金属粉または酸化粉の発生が抑えられ、更に、発生している金属粉または酸化粉が摺動により解析領域部6以外の場所に移動したため、大量の金属粉または酸化粉が材料界面に堆積せずに、接触電気抵抗を上昇しないことがわかった。
1 : コネクタ接続端子
2 : メス端子
3 : オス端子
4、4’、4” : インデント部
5 : プレート部
4a、5a : 導電性基体
4b、5b : メッキ層
6 : 解析領域部
7 : セル
7a : 対象セル
7b : 周囲セル
10 : 磨耗現象解析システム
21 : モデル生成部
22 : シミュレーション部
31 : 酸化率決定部
32 : 剥離判定部
33 : 移動先決定部
34 : 接触電気抵抗算出部
35 : 出力部
27 : 構成条件・設定条件記憶部
28 : 解析データ記憶部

Claims (10)

  1. コンピュータを使用して、複数の金属部材間の接触によって生ずる前記金属部材の表面近傍から剥離された金属粉の挙動をシミュレートすることにより、前記金属部材の材料界面における磨耗現象を解析する磨耗現象解析システムであって、
    前記複数の金属部材の材料界面を含む解析領域を前記金属粉の解析単位となる大きさの複数のセルに分割して、分割した各前記セルに当該セル部分に対応する材質を割り当てるモデル生成手段と、
    前記各セルの位置と割り当てられた前記材質から決定される材料特性に基づいて、前記各セルの酸化率及び剥離確率を算出し、算出した剥離確率に基づいて剥離対象と判定された前記セルに対応付けられる前記金属部材及び前記金属粉の剥離された移送後の位置を移動確率に基づいて決定し、決定した移動後と移動前に対応する位置の前記セルの前記材質を再度割り当てることにより、前記金属粉の挙動をシミュレートするシミュレート手段と、
    を備え、
    剥離によって発生した前記金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて磨耗現象を解析することを特徴とする磨耗現象解析システム。
  2. 前記モデル生成手段は、前記複数の金属部材の材料界面を含む前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した解析領域を、前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した大きさ及び形状の複数の前記セルに分割し、分割した前記各セルの位置に対応付けて、複数の前記金属部材、複数の前記金属部材から発生した前記金属粉、及び空気のいずれかを材質として、前記セル毎に割り当てることを特徴とし、
    前記シミュレート手段は、
    前記各セルの位置と前記各セルに割り当てた前記材質とよって決定される材料特性を用いた酸化ルールに基づいて、前記セル毎に、前記セルの位置に対応付けられた前記金属部材及び前記金属粉の酸化率を決定する酸化率決定手段と、
    複数の前記金属部材の前記セルを対象として、当該各セルの位置と当該各セルに割り当てた材質とによって決定される材料特性と剥離確率とを用いた剥離ルールに基づいて、当該セル毎に、当該セルの位置に対応付けられた前記金属部材が剥離するための条件を満たしているか否かを判定する剥離判定手段と、
    前記剥離判定手段によって剥離するための条件を満たした剥離対象となる前記金属部材に対応する前記セル及び前記金属粉に対応する前記セルを対象として、当該セルの位置と前記移動確率による移動ルールを利用して、対象となる移動前の前記セルに対応付けられた剥離対象となる当該金属部材及び当該金属粉の移動後に対応する前記セルの位置を決定し、当該金属部材及び当該金属粉の移動前と移動後に対応する前記セルに前記材質を再度割り当てる移動先決定手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の磨耗現象解析システム。
  3. 前記酸化ルールは、酸化率の決定対象となる対象セルに対する前記対象セルの周囲の複数の周囲セルの相対的な位置、及び当該複数の周囲セルに割り当てられた前記材質とに基づいて、前記対象セルの酸化率の増加量を算出することを特徴とする請求項2に記載の磨耗現象解析システム。
  4. 前記剥離ルールは、剥離判定の対象となる判定対象セルにかかる応力、及び、前記判定対象セルと前記判定対象セルの周囲の複数の周囲セルとの結合力である剥離耐力をパラメータとしたワイブル統計の累積故障率を利用して、前記判定対象セルの剥離判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の磨耗現象解析システム。
  5. 前記シミュレート手段は、前記セルに割り当てられた前記材質と前記材質に対応付けられた体積電気抵抗値とに基づいて、前記複数の金属部材間の接触電気抵抗を算出する接触電気抵抗手段を、更に備え、
    発生した前記金属粉に対応付けられる前記セルの位置に基づいて当該金属粉の挙動をシミュレートし、算出された前記接触電気抵抗と当該金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて前記金属部材の材料界面における磨耗現象の1つであるフレッティング現象を解析することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の磨耗現象解析システム。
  6. コンピュータを使用して、複数の金属部材間の接触によって生ずる前記金属部材の表面近傍から剥離された金属粉の挙動をシミュレートすることにより、前記金属部材の材料界面における磨耗現象を解析する磨耗現象解析方法であって、
    (a)前記複数の金属部材の材料界面を含む解析領域を前記金属粉の解析単位となる大きさの複数のセルに分割して、分割した各前記セルに当該セル部分に対応する材質を割り当てる工程と、
    (b)前記各セルの位置と割り当てられた前記材質から決定される材料特性に基づいて、前記各セルの酸化率及び剥離確率を算出し、算出した剥離確率に基づいて剥離対象と判定された前記セルに対応付けられる前記金属部材及び前記金属粉の剥離された移送後の位置を移動確率に基づいて決定し、決定した移動後と移動前に対応する位置の前記セルの前記材質を再度割り当てることにより、前記金属粉の挙動をシミュレートする工程と、
    を備え、
    剥離によって発生した前記金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて磨耗現象を解析することを特徴とする磨耗現象解析方法。
  7. 前記工程(a)は、前記複数の金属部材の材料界面を含む前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した解析領域を、前記複数の金属部材の特徴に基づいて予め設定した大きさ及び形状の複数の前記セルに分割し、分割した前記各セルの位置に対応付けて、複数の前記金属部材、複数の前記金属部材から発生した前記金属粉、及び空気のいずれかを材質として、前記セル毎に割り当てることを特徴とし、
    前記工程(b)は、
    (b1)前記工程(a)により分割された前記各セルの位置と前記各セルに割り当てた前記材質とよって決定される材料特性を用いた酸化ルールに基づいて、前記セル毎に、前記セルの位置に対応付けられた前記金属部材及び前記金属粉の酸化率を決定する工程と、
    (b2)複数の前記金属部材の前記セルを対象として、当該各セルの位置と当該各セルに割り当てた材質とによって決定される材料特性と剥離確率とを用いた剥離ルールに基づいて、当該セル毎に、当該セルの位置に対応付けられた前記金属部材が剥離するための条件を満たしているか否かを判定する工程と、
    (b3)前記工程(b2)によって剥離するための条件を満たした剥離対象となる前記金属部材に対応する前記セル及び前記金属粉に対応する前記セルを対象として、当該セルの位置と前記移動確率による移動ルールを利用して、対象となる移動前の前記セルに対応付けられた剥離対象となる当該金属部材及び当該金属粉の移動後に対応する前記セルの位置を決定し、当該金属部材及び当該金属粉の移動前と移動後に対応する前記セルに前記材質を再度割り当てる工程と、
    (b4)前記工程(a)及び前記工程(b)において得られた各種情報、並びに、予め設定した各種設定値のうちの所望の情報を出力する工程と、
    を備えていることを特徴とする請求項6に記載の磨耗現象解析方法。
  8. 前記酸化ルールは、酸化率の決定対象となる対象セルに対する前記対象セルの周囲の複数の周囲セルの相対的な位置、及び当該複数の周囲セルに割り当てられた前記材質とに基づいて、前記対象セルの酸化率の増加量を算出することを特徴とする請求項7に記載の磨耗現象解析方法。
  9. 前記剥離ルールは、剥離判定の対象となる判定対象セルにかかる応力、及び、前記判定対象セルと前記判定対象セルの周囲の複数の周囲セルとの結合力である剥離耐力をパラメータとしたワイブル統計の累積故障率を利用して、前記判定対象セルの剥離判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の磨耗現象解析方法。
  10. 前記工程(b)は、(c)前記セルに割り当てられた前記材質と前記材質に対応付けられた体積電気抵抗値とに基づいて、前記複数の金属部材間の接触電気抵抗を算出する工程を、前記工程(b4)の前に備え、
    発生した前記金属粉に対応付けられる前記セルの位置に基づいて当該金属粉の挙動をシミュレートし、算出された前記接触電気抵抗と当該金属粉の挙動と当該金属粉の酸化率とに基づいて前記金属部材の材料界面における磨耗現象の1つであるフレッティング現象を解析することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の磨耗現象解析方法。

JP2009189420A 2009-08-18 2009-08-18 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法 Active JP5275942B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009189420A JP5275942B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009189420A JP5275942B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011039004A true JP2011039004A (ja) 2011-02-24
JP5275942B2 JP5275942B2 (ja) 2013-08-28

Family

ID=43766919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009189420A Active JP5275942B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5275942B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06308017A (ja) * 1993-04-21 1994-11-04 Nippon Steel Corp 摺動摩耗解析方法とその解析装置
JPH0835831A (ja) * 1994-07-22 1996-02-06 Hitachi Ltd 摩擦摩耗解析装置
JP2002310867A (ja) * 2001-04-16 2002-10-23 Hitachi Ltd フレッテイング疲労評価方法
JP2007225573A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Mitsuboshi Belting Ltd 解析装置、解析方法及びプログラム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06308017A (ja) * 1993-04-21 1994-11-04 Nippon Steel Corp 摺動摩耗解析方法とその解析装置
JPH0835831A (ja) * 1994-07-22 1996-02-06 Hitachi Ltd 摩擦摩耗解析装置
JP2002310867A (ja) * 2001-04-16 2002-10-23 Hitachi Ltd フレッテイング疲労評価方法
JP2007225573A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Mitsuboshi Belting Ltd 解析装置、解析方法及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5275942B2 (ja) 2013-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2507496C1 (ru) Способ определения разрушения, устройство, программа и читаемый компьютером носитель записи для определения разрушения
Zhai et al. Stress-dependent electrical contact resistance at fractal rough surfaces
Capelli et al. A genetic-algorithm-optimized fractal model to predict the constriction resistance from surface roughness measurements
Newman Jr et al. Fatigue and crack-growth analyses on 7075-T651 aluminum alloy coupons under constant-and variable-amplitude loading
CN114429058A (zh) 机器学习模型的训练方法、训练装置、预测系统
Zhao et al. Loading–unloading normal stiffness model for power-law hardening surfaces considering actual surface topography
Manap et al. Computer simulation of cold sprayed deposition using smoothed particle hydrodynamics
Ghatrehsamani et al. Experimentally verified prediction of friction coefficient and wear rate during running-in dry contact
Zhang et al. Electrical contact resistance endurance of AgNi10 alloy under fretting wear: Experiment and numerical prediction
Liu et al. Effect of roughness on electrical contact performance of electronic components
Yang et al. Experimental and modelling study of interaction between friction and galling under contact load change conditions
Weight et al. Configuration selection, modeling, and preliminary testing in support of constant force electrical connectors
Huang et al. Mechanical behavior and fatigue life estimation on fretting wear for micro-rectangular electrical connector
Jiang et al. Prediction of electrical contact endurance subject to micro-slip wear using friction energy dissipation approach
JP2017059444A (ja) 全固体電池用電極シミュレーション方法及び装置、並びに全固体電池用電極の製造方法
JP5275942B2 (ja) 磨耗現象解析システム及び磨耗現象解析方法
Schreiner et al. Simulation of the Calendering Process of NMC‐622 Cathodes for Lithium‐Ion Batteries
Eid et al. An elastic–plastic finite element analysis of interacting asperities in contact with a rigid flat
Zhmurkin et al. 3-Dimensional numerical simulation of open-Barrel crimping process
Dyck et al. Calculation of the wear surface and the coefficient of friction for various coated contact geometries
Sohouli et al. Finite Element Analysis of Elastic-Plastic Contact Mechanic Considering the Effect of Contact Geometry and Material Propertie
Kondo et al. An analysis of relationship between contact resistance and fracture of oxide film for connector contacts using finite element method
Lall et al. A novel numerical multiphysics framework for the modeling of Cu-Al wire bond corrosion under HAST conditions
Chen et al. Contact unloading behaviors of elastic-power-law strain hardening material considering indenter elasticity effect
CN115809491A (zh) 一种核电领域颗粒物的沉积分析方法及装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120601

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130327

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130516

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5275942

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350