JP2011038518A - 風力タービンブレードを製造するための方法および構成 - Google Patents

Abstract

【課題】風力タービンブレードを、迅速に、かつしわの点で高品質に製造するための改善された方法を提供することである。本発明は、本発明の方法の範囲内で使用される構成を提供すること。
【解決手段】風力タービンブレードの製造方法において、
・積層体のベースとして使用される底部層がフォーミングツールの中に置かれ、
・積層体を形成するために、予め決められた数の付加的な層が前記ベースの上面に積層され、
なお積層体は、風力タービンブレードの製造のための別個のモジュールとして使用され、
・底部層は、周囲空気が積層体を垂直に通過して流れるのを阻止するためにほぼ気密の材料から形成され、
・積層体を持ち上げて風力タービンブレードのさらなる製造のための成形金型に運ぶために、積層体の最も上にある層に対して、空気の吸引が、機械によって、積層体が機械に向かって吸引されるようにして行われる。
【選択図】図１

Description

本発明は、風力タービンブレードを製造するための方法および構成に関する。

風力タービンブレードは、通常、ガラス繊維マットからなる母材を使用して形成される。母材の形成は、著しい量のハンドレイアップ作業によって特徴付けられており、このハンドレイアップ作業では、ブレードの強度および剛性を強化するために、異なる配向の繊維を備える複数の繊維マットが互いに上面に載置される。このハンドレイアップ作業は困難であり、かつ時間がかかる。

ブレードをサンドイッチ構造に形成するために、繊維強化積層体、バルサ木材、および繊維マットを使用することが公知である。下側の成形金型は、３Ｄブレード構造体を形成するための積層体、繊維マット、およびバルサ木材からなる種々異なるシートを支持するために使用される。ブレード構造体が完成すると、このブレード構造体の上部に上側の成形金型を載置することができる。上側の成形金型は、構造体全体を閉じこめるために下側の成形金型と結合される。ＶＡＲＴＭ成形法により、ブレードを完成させるために、樹脂または他の適当な液状の熱可塑性物質が、上側と下側とが結合された成形金型の中に注入される。

繊維マットは、構造体の繊維強化材として使用され、例えばチョップストランドマット、織布マット、多軸インターレイドスクリム（multi-axis interlaid scrim）、縦糸強化一方向性プリフォーム（warp-thread reinforced unidirectional preforms）、単一のロービング束（single roving bundles）、または、結合されたロービング束（joined roving bundles）を含む。これらはあらゆる公知の材料、例えばガラス、ケブラー、カーボン、または麻から形成することができる。

ブレードのある位置においてはこの位置のブレード構造の安定性を改善するために、複数の繊維マットを互いに積み重ねる必要がある。これは手動で主として手作業によって行われるので、繊維マットを積層するために多くの時間がかかる。

繊維強化積層体の構造特性は通常、強化繊維の量、種類、および配向によって決まる。典型的には、充填が繊維の長手方向に行われる限りにおいて、繊維の剛性および強度を考慮することができる。

したがって従来のデザインは、完成した積層体の繊維が、フォーミングツールの中に配置されたときの繊維方向と同じ方向に配向されることを仮定している。フォーミングツールは、風力タービンブレードのための成形金型とすることができる。成形金型はのちに、ブレードを製造するための「真空補助樹脂含浸工法（vacuum assisted resin transfer method）」、すなわちＶＡＲＴＭの範囲内で使用することができる。

しかしながら多くの場合、繊維層にしわが生じ得る。このしわは製造プロセスや、繊維マットおよび使用される織物の特性に起因するものである。

しわは、ハンドレイアップ作業によって、および、織特性、または不織布における繊維同士の相互結合によって生じる。したがって困難なレイアップ作業中におけるしわを防止するために、高度な技術を持つ経験豊富なレイアップ作業者が必要とされる。

しわによって、繊維は結果的に所望の配列または配向を示さなくなる、すなわちより屈曲した形状またはより屈曲の少ない形状を示すこととなる。しわは構造体の内部に留まり、ＶＡＲＴＭの注入樹脂によってのちに固定される。

しわは全体構造を弱化させ、その結果として積層体または構造全体に厳しい過負荷がかかり得る。しわによって結果的に、製造された構造体の剛性および／または強度が損失してしまう。この損失は構造体の現実的な安全域を超えてしまうことが多い。

しわが、製造された構造体の表面近傍に位置していれば、このしわを修復することも可能である。しわの修復は時間のかかる手作業によって行わなければならない。

一方で、構造体全体におけるしわの修復は著しいコストと時間の損失であり、回避しなければならない。

したがって本発明の課題は、風力タービンブレードを、迅速に、かつしわの点で高品質に製造するための改善された方法を提供することである。本発明は、本発明の方法の範囲内で使用される構成を提供することである。

これらの課題は請求項１に記載の、
風力タービンブレードの製造方法において、
・積層体のベースとして使用される底部層がフォーミングツールの中に置かれ、
・積層体を形成するために、予め決められた数の付加的な層が前記ベースの上面に積層され、
なお、積層体は、風力タービンブレードの製造のための別個のモジュールとして使用されるものであり、
・前記底部層は、周囲空気が積層体を垂直に通過して流れるのを阻止するためにほぼ気密の材料から形成され、
・積層体の最も上にある層に対して、空気の吸引が、積層体が機械に向かって吸引されるようにして機械によって行われ、積層体が持ち上げられて風力タービンブレードのさらなる製造のための成形金型に運ばれる、
ことを特徴とする方法、
および、請求項１１に記載の、
請求項１から１０のいずれか一項記載の方法を実行する間に使用される構成において、
・該構成はフォーミングツールを備えており、
該フォーミングツールは、該フォーミングツールの中に置かれた底部層を支持するために使用され、
該底部層は、積層体のベースとして使用されるものであり、
・前記積層体は、底部層と、予め決められた数の付加的な層とを含み、
該付加的な層は、前記ベースの上面に垂直に積層され、
前記積層体は、ブレードの製造のための別個のモジュールとして使用することができ、
・前記底部層は、周囲空気が積層体を通過して垂直に流れるのを阻止するために、ほぼ気密の材料から製造されており、
・前記フォーミングツールの近傍に機械が配置されており、該機械は、積層体の最も上の層に作用し、
前記機械は、積層体から空気を抜き取るよう構成されており、前記積層体は前記機械に向かって吸引され、前記積層体が持ち上げられて前記風力タービンブレードのさらなる製造のための成形金型の中に運ばれるようにする
ことを特徴とする構成、
によって解決される。

本発明の発展形態は従属請求項の対象である。

風力タービンブレードを製造するための本発明の方法によれば、底部層がフォーミングツールの中に置かれる。底部層は、積層体のベースとして使用される。積層体を形成するために、予め決められた数の付加的な層がベースの上面に垂直に積み重ねられる。この積層体は、ブレードの製造のための別個のモジュールとして使用されるものである。底部層は、周囲空気が積層体を垂直に通過して流れるのを防ぐために、ほぼ気密の材料から製造される。空気の吸引ないし抜き取りが、機械によって、積層体の最も上にある層に対して、該積層体が機械に向かって吸引されるようにして行われる。これにより積層体を持ち上げることが可能となり、積層体を、ブレードのさらなる製造のための成形金型に運ぶことが可能となる。

成形金型は上述したように、ブレードの製造のためにのちにＶＡＲＴＭ工程の範囲内で使用することができる。

このモジュールは最も簡単な実施形態においては、繊維材料からなる単一層と、ベースとしての底部層のみを含む。技術的真空状態を使用することによって、モジュールを持ち上げて成形金型または別の用途のための別のキャリアの中に配置することが可能となる。

単一層と、ベース、例えば繊維材料の単一層とを組み合わせることもでき、この繊維材料の単一層は、ほぼ気密の特性を示す予備含浸材料によって製造される。

本発明によれば、準備された積層体を、構成部分として風力タービンブレード用の成形金型の中に運ぶことができるので、ブレード製造プロセスをスピードアップすることが可能となる。これにより、ブレードの構成部材またはモジュールを前もって予め製造しておくことも可能となる。例えば積層体の層を、層の寸法に関して、積層される前に予め製造しておくことができる。このようにして高価なブレード用成形金型をより迅速かつより効果的に使用することができるので、製造時間を短縮することができる。

本発明の方法によれば、大きくて重い繊維マットをレイアップしてフォーミングツールに配置しなければならないハンドレイアップ作業の量も低減される。今や、真空吸着昇降（vacuum lifting）を使用することによって、複数の層の１つまたは複数の束を適当な位置に迅速にレイアップすることが可能となる。このようにして本発明により、レイアップ作業者のための労働条件が改善される。

本発明によってレイアップ作業の質を改善することができる。なぜなら、繊維層を精確に持ち上げて位置づけるために、機械を使用することが可能となったからである。したがってしわを回避することができる。この結果としてブレード構造はより強くなり、よりムラがなくなる。

フォーミングツールは成形金型とすることができるか、または最も簡単な形態においては、レイアップテーブルまたは作業台とすることができる。

フォーミングツールは、風力タービンブレードの負圧側用のものまたは圧力側用のものとすることができる。

フォーミングツールは、ブレード構造体のための完成された積層体を含む。有利な実施形態においては、製造セットアップは、本発明に従って使用される真空吸着昇降装置の作業半径内に位置する。

別の実施形態においては、フォーミングツールが風力タービンブレードの一部を形成するよう構成されており、ここではキャリアがフォーミングツールの底部に配置される。

繊維材料の、結合されていない一方向性のロービング束（unconnected unidirectional roving-bundles of a fiber-material）からなる少なくとも１つの層が、キャリアの上面に配列される。これらのロービング束は、長手方向、軸方向、または別の予め決められた方向に配列される。

本発明によれば、積層されたロービング束をキャリアとともに成形金型の中に運搬および移動させることが可能である。この成形金型は、ブレードをサンドイッチアセンブリに形成するために使用されるものである。

このことは従来技術に比べて著しい利点である。なぜなら従来技術においては、ハンドレイアップ法による製造では単一のロービング束（single roving bundles）は取り扱うことができないという事実により、単一のロービング束は使用されてこなかったからである。

さらに、ブレード形成において結合されていない単一のロービング束からなる層（layers of unconnected single roving bundles）を使用することによって、層におけるしわを回避することができる。このことは従来技術に比べて大きな利点である。なぜなら従来技術においては、ハンドレイアップ法ではしわが形成され易いので、織布の層が使用されていたからである。

本発明に従って製造されたブレードを示す図である。 本発明による積層体をより詳細に示す図である。 本発明による積層体をより詳細に示す図である。

本発明を、以下図面を用いてより詳細に説明する。

図１は、本発明によって製造されたブレードＢＬを示す。

ブレードの製造のための別個のモジュールを形成するために、予め決められた数の繊維マットＦＭが積層体ＰＩとして垂直に積層される。

積層体ＰＩのためのベースＢＡとして、少なくともほぼ気密の材料からなる底部層が使用される。積層体ＰＩは以下に説明するように成形金型ＭＯの中に移送される。成形金型ＭＯは、サンドイッチ構造状のブレードを製造するために使用されるものである。

図２および図３は、本発明による積層体ＰＩをより詳細に図示している。

積層体ＰＩのために、最も上にある繊維マットＦＭＴに対して空気の吸引が行われる。この空気の吸引は、積層体ＰＩが垂直方向に圧縮されるようにして行われるが、なぜならベースＢＡが、周囲空気が該ベースＢＡおよび積層体ＰＩを垂直に通過して流れるのを阻止するからである。

このようにして積層体ＰＩを垂直方向に持ち上げることが可能となり、積層体ＰＩを該積層体のベースＢＡとともに移送させることが可能となる。

ベースＢＡとして非塗工紙（uncoated paper）または塗工紙（coated paper）を使用することができる。なぜなら、これらの材料はほぼ気密であるからである。ベースＢＡのためにプラスチックフォイルを使用することも可能である。

図３を参照すると、複数の積層体ＰＩ１，ＰＩ２，ＰＩ３を垂直に積層することも可能であり、これらの積層体は図１のブレードを構成するために使用される。積層体ＰＩ１〜ＰＩ３は、該積層体のベースＢＡ１，ＢＡ２，ＢＡ３によって分離されている。

第１積層体ＰＩ１のベースＢＡ１は、成形金型ＭＯの表面に近接配置されるようになっており、ベースＢＡ１として紙またはプラスチックフォイルを使用することができる。

プラスチックフォイルが使用される場合には、このプラスチックフォイルは後で取り除かなければならない。なぜならプラスチックフォイルは、のちにＶＡＲＴＭ工程中にブレードに使用される樹脂とは接着しないからである。

第１積層体ＰＩ１の上面に載置される第２積層体ＰＩ２は、該第２の積層体のベースＢＡ２として紙を使用する。紙は樹脂と接着するので、この紙は積層された積層体の内部に留まることができる。

Claims (18)

1. 風力タービンブレードの製造方法において、
   ・積層体のベースとして使用される底部層がフォーミングツールの中に置かれ、
   ・積層体を形成するために、予め決められた数の付加的な層が前記ベースの上面に積層され、
   なお、積層体は、風力タービンブレードの製造のための別個のモジュールとして使用されるものであり、
   ・前記底部層は、周囲空気が積層体を垂直に通過して流れるのを阻止するためにほぼ気密の材料から形成され、
   ・積層体の最も上にある層に対して、空気の吸引が、積層体が機械に向かって吸引されるようにして機械によって行われ、積層体が持ち上げられて風力タービンブレードのさらなる製造のための成形金型に運ばれる、
   ことを特徴とする方法。
2. 前記層は、繊維マット、織布の積層体、不織布の積層体、ロービング束、部分含浸繊維、繊維の予備含浸層、バルサ木材、またはバルサフォームを含む、
   ことを特徴とする請求項１記載の方法。
3. 前記層は該層の寸法に関して、積層される前に予め製造される、
   ことを特徴とする請求項１または２記載の方法。
4. ・気密またはほぼ気密の材料として非塗工紙または塗工紙が使用されるか、
   ・気密またはほぼ気密の材料としてプラスチックフォイルが使用されるか、または、
   ・気密またはほぼ気密の材料として繊維材料の予備含浸層が使用される、
   ことを特徴とする請求項１から３のいずれか一項記載の方法。
5. 前記空気の吸引により、積層体の内部においては技術的真空状態になる、
   ことを特徴とする請求項１記載の方法。
6. 前記空気の吸引が行われる前に、周囲空気が積層体の中に水平方向に侵入するのを回避するために、積層体が機械的に圧縮される、
   ことを特徴とする請求項１から５のいずれか一項記載の方法。
7. 複数の積層体が、フォーミングツールの中で垂直に積層され、
   これらの積層体は、各積層体のために設けられたベースによって隔てられている、
   ことを特徴とする請求項１から６のいずれか一項記載の方法。
8. 第１の積層体は、底部層として紙またはプラスチックを使用する、
   なお、第１の積層体のベースは、前記成形金型の表面近傍に配置するよう構成されている、
   ことを特徴とする請求項７記載の方法。
9. 前記第１の積層体の上面に置かれる第２の積層体は、第２の積層体の底部層として紙を使用する、
   ことを特徴とする請求項８記載の方法。
10. 前記積層体は紙によって包囲されており、該紙は底部層として使用され、かつ積層体全体のためのボックスとしても使用される、
    ことを特徴とする請求項１から９のいずれか一項記載の方法。
11. 請求項１から１０のいずれか一項記載の方法を実行する間に使用される構成において、
    ・該構成はフォーミングツールを備えており、
    該フォーミングツールは、該フォーミングツールの中に置かれた底部層を支持するために使用され、
    該底部層は、積層体のベースとして使用されるものであり、
    ・前記積層体は、底部層と、予め決められた数の付加的な層とを含み、
    該付加的な層は、前記ベースの上面に垂直に積層され、
    前記積層体は、ブレードの製造のための別個のモジュールとして使用することができ、
    ・前記底部層は、周囲空気が積層体を通過して垂直に流れるのを阻止するために、ほぼ気密の材料から製造されており、
    ・前記フォーミングツールの近傍に機械が配置されており、該機械は、積層体の最も上の層に作用し、
    前記機械は、積層体から空気を抜き取るよう構成されており、積層体は前記機械に向かって吸引され、積層体が持ち上げられて前記風力タービンブレードのさらなる製造のための成形金型の中に運ばれるようにする
    ことを特徴とする構成。
12. 前記層は、繊維マット、織布の積層体、不織布の積層体、ロービング束、部分含浸繊維、繊維の予備含浸層、バルサ木材、またはバルサフォームを含む、
    ことを特徴とする請求項１１記載の構成。
13. 前記層は、積層される前に予め製造された寸法を有する、
    ことを特徴とする請求項１１または１２記載の構成。
14. ・気密またはほぼ気密の材料として非塗工紙または塗工紙が使用されるか、
    ・気密またはほぼ気密の材料としてプラスチックフォイルが使用されるか、または、
    ・気密またはほぼ気密の材料として繊維材料の予備含浸層が使用される、
    ことを特徴とする請求項１１から１３のいずれか一項記載の構成。
15. 前記フォーミングツールは垂直に積層された複数の積層体を含み、
    これらの積層体は、各積層体のために設けられたベースによって隔てられている、
    ことを特徴とする請求項１１から１４のいずれか一項記載の構成。
16. 第１の積層体は、該第１の積層体のベースが前記成形金型の表面近傍に配置されるよう構成されており、底部層として使用される紙またはプラスチックから製造されている、
    ことを特徴とする請求項１５記載の構成。
17. 第２の積層体が前記第１の積層体の上面に置かれており、第２の積層体の底部層として紙を含む、
    ことを特徴とする請求項１６記載の構成。
18. 前記積層体全体は紙によって包囲されており、該紙は底部層として使用され、かつ積層体全体のためのボックスとしても使用される、
    ことを特徴とする請求項１１から１７のいずれか一項記載の構成。

Images