JP2011038195A - 複合繊維シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 無機系抗菌剤微粒子の使用量を低減しながら高い抗菌作用を発揮すると共に、有害微生物や塵埃等の捕集性に優れ、圧損が低くて良好なフィルタ性能を有する不織布シートの提供。
【解決手段】 無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン(PO)組成物製のPO繊維(a)からなる不織布層(A)と、無機系抗菌剤微粒子を含有しないPO繊維(b)からなる不織布層(B)が積層した複合繊維シートであって、PO繊維(a)中の無機系抗菌剤微粒子含有量5〜20質量%、PO繊維(a)の平均繊維径0.1〜3μm、層(A)の目付0.1〜5g/m2、厚み0.01〜0.1mm、層(A)の面積1.0×10-2mm2当たり、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がPO繊維(a)表面に露出している箇所を1箇所以上有するか又は無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でPO繊維(a)表面に露出している箇所を1箇所以上有し、且つPO繊維(b)の平均繊維径0.5〜10μm、層(B)の目付5〜30g/m2及び厚み0.1〜0.3mmである複合繊維シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物から製造したポリオレフィン繊維から構成される不織布層と無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン繊維から構成される不織布層とが積層した複合繊維シートおよび当該複合繊維シートを用いたフィルタに関する。本発明の複合繊維シートは、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の使用量が少なくて、複合繊維シート全体では無機系抗菌剤微粒子の使用割合が低減しているにも拘わらず、高い抗菌・抗ウィルス作用を安定的に長期にわたって発揮すると共に、有害微生物や塵埃などの捕集性に優れ、圧損が低くて、良好なフィルタ性能を有し、しかも強度、軽量性などの点でも優れており、それらの優れた特性を活かして医療用品、衛生用品、食品包材、液体用フィルタ、気体フィルタなどのような、高い抗菌・抗ウィルス効果や衛生性、高いフィルタ性能が求められる各種用途に有効に使用することができる。
近年の衛生環境意識の高まり、風邪やインフルエンザの流行、更には鳥インフルエンザやコロナウィルスに代表される新型感染病の発症などを受け、様々な抗菌材料やそれらを用いた抗菌性製品の開発が盛んに行われている。抗菌性製品の中でも、低コストで製造でき、しかも加工が容易であることから、抗菌性繊維シートを用いた製品が種々提案されている。
有機系抗菌剤としては、フェノール、ハロゲンや硫黄を含有する有機系抗菌剤、およびそれ以外にも種々の抗菌剤が知られている。有機系抗菌剤は、ハロー効果を示し、抗菌性には優れるものの、人体に有害な物質が多く、また無機系抗菌剤に比べて耐熱性、安定性に乏しいために、高分子材料に添加して繊維を製造する際や、有機系抗菌剤を用いた繊維製品を水分や油分と接触して使用した場合に、分解、変質、製品からの散逸などを生じて抗菌効力を失い易く、しかも臭気の発生や繊維物性の低下などを生ずる。
かかる点から、有機系抗菌剤は加熱を伴う繊維や繊維製品の製造時にはあまり用いられていないのが実情である。
一方、銀、銅、錫、亜鉛などの特定の金属のイオンが抗菌作用を有することは古くから知られており、前記金属イオンをゼオライト、シリカゲル、ヒドロキシアパタイトなどの各種の無機担体にイオン交換作用や吸着作用などによって担持させた無機系抗菌剤、前記金属イオンを含有する無機化合物自体からなる無機系抗菌剤が種々開発されている。無機系抗菌剤は、有機系抗菌剤と比較して安全性が高いうえ、揮発や分解などを起こしにくいため、抗菌効果の持続性、耐熱性に優れている。かかる点から、無機系抗菌剤をバインダーによってポリオレフィン繊維などの繊維表面に付着させた不織布(特許文献1を参照)や、無機系抗菌剤を含有するポリオレフィン繊維から形成した不織布などが知られている(特許文献2および3を参照)。
しかし、無機系抗菌剤をバインダーによって不織布に付着させる方法は、バインダーに無機系抗菌剤を混合して後加工により無機系抗菌剤を不織布に付着させるため、加工工程が増えて生産上不利であり、しかも使用時などに無機系抗菌剤が不織布から脱落したり、剥離し易く、抗菌効果の持続性の点で問題がある。特に、ポリオレフィン繊維製の不織布よりなるフィルタでは、エレクトレット加工を施して濾過物の吸着能力を向上させることが可能であるが、バインダーを用いて無機系抗菌剤を後加工により付着させたポリオレフィン不織布は、バインダー成分がエレクトレット効果を阻害し、十分な濾過性能が得られないという問題がある。
また、無機系抗菌剤を含有するポリオレフィン繊維から形成した従来の不織布では、無機系抗菌剤が繊維に埋没した状態で含有されていて繊維表面に露出していないかまたは露出の程度が少ないために、無機系抗菌剤が有する抗菌作用を十分に発揮できない。しかも、無機系抗菌剤を含有するポリオレフィン繊維から形成した従来の不織布は、不織布を形成しているポリオレフィン繊維の繊維径がかなり大きく、それに伴って不織布の比表面積がそれほど高くないため、大気中や水中の粉塵や花粉などの粉体、ウィルス、細菌、黴などの病原体を濾過する抗菌性フィルタなどの抗菌性バリア性素材としたときに、その効果を十分に発揮しにくい。
上記のような状況下に、本発明者らは、高い抗菌作用を有すると共に抗菌効果の持続性に優れるポリオレフィン系繊維製の抗菌性繊維シートの提供を目的として検討を重ねてきた。そして、ポリオレフィン系樹脂中に練り込んだ無機系抗菌剤微粒子が、ポリオレフィン繊維の表面に多数露出し、それによって無機系抗菌剤微粒子が本来有する高い抗菌作用を有効に発揮する、抗菌・抗ウィルス効果に優れ、しかも抗菌・抗ウィルス効果の持続性に優れるポリオレフィン繊維製の抗菌性繊維シートの開発に成功して、ポリオレフィン繊維製抗菌性繊維シートおよびそれを用いたマスク用フィルムに係る発明を先に出願した(特許文献4および5を参照)。
特開平5−057002号公報 特開平5−153874号公報 特開平8−325915号公報 特開2008−88609号公報 特開2008−86626号公報
「Industrial and Engineering Chemistry」,1956,Vol.48,No.8号,p.1342−1346
本発明の目的は、抗菌・抗ウィルス効果およびその持続性に優れると共に、圧損が小さく且つ有害微生物や塵埃などの捕集効率が高くてフィルム性能に優れ、更に強度および軽量性にも優れる不織布シートを、従来よりも無機系抗菌剤微粒子の少ない使用量で提供することである。
本発明者らによる上記した特許文献4および5の発明を踏まえて、本発明者らは更に研究を重ねてきた。そして、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン繊維から形成した抗菌性繊維シートにおいて、繊維シートの全体を、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン繊維から形成せずに、繊維シートの大半を、無機系抗菌剤微粒子を含まない繊維径の小さなポリオレフィン繊維不織布層から形成し、その上に、目付が小さくて、薄い、無機系抗菌剤微粒子を多量に含有する繊維径の小さなポリオレフィン繊維織布層を積層した複合繊維シートにすると、当該複合繊維シート全体では、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の使用量を従来よりも大幅に低減することができ、それにも拘わらず高い抗菌・抗ウィルス効果を有し、抗菌・抗ウィルス効果の持続性にも優れていることを見出した。
さらに、本発明者らは、当該複合繊維シートは、塵埃や有害微生物などの異物の捕集効率が高く且つ圧損が小さくて、フィルタ性能に極めて優れることを見出した。
また、本発明者らは、当該複合繊維シートでは、その大半が、無機系抗菌剤微粒子を含有しない、繊維径の小さなポリオレフィン繊維から形成されていて、しかもその部分の厚みが小さいために、軽量でありながら、強度にも優れていることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)《1》 無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物から製造したポリオレフィン繊維(a)から構成される不織布層(A)と、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン繊維(b)から構成される不織布層(B)とが積層した複合繊維シートであって、
《2》 前記不織布層(A)が、
《2a》不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)における無機系抗菌剤微粒子の含有割合が5〜20質量%;
《2b》不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径が0.1〜3μm;
《2c》目付が0.1〜5g/m2
《2d》厚みが0.01〜0.1mm;および、
《2e》不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりにつき、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有するか、または無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有する;
という要件《2a》〜《2e》を備え、且つ、
《3》 前記不織布層(B)が、
《3a》不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が0.5〜10μm;
《3b》目付が5〜30g/m2;および、
《3c》厚みが0.1〜0.3mm;
という要件《3a》〜《3c》を備えることを特徴とする複合繊維シートである。
そして、本発明は、
(2) 不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)が含有する無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が0.01〜10μmである前記(1)の複合繊維シート;
(3) [不織布層(A)の目付]:[不織布層(B)の目付]の比が、1:100〜1:5である前記(1)または(2)の複合繊維シート;および、
(4) 密度が0.05〜0.12g/cm3である前記(1)〜(3)のいずれかの複合繊維シート;
である。
さらに、本発明は、
(5) 不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)が、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂(α)と無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン系樹脂(β)を混合したポリオレフィン系樹脂組成物であって且つポリオレフィン系樹脂(α)のメルトフローレート(MFRα)(g/10分)とポリオレフィン系樹脂(β)のメルトフローレート(MFRβ)(g/10分)の差の絶対値が下記の数式(1)を満足するポリオレフィン系樹脂組成物から形成されている前記(1)〜(4)のいずれかの繊維シートである。

0≦|MFRα−MFRβ|≦600 (1)

[但し、MFRαおよびMFRβは、いずれも、JIS K 7210に従って、温度230℃、荷重2.16kg、測定時間10分の条件下に測定したときのメルトフローレート(単位:g/10分)である。]
そして、本発明は、
(6) 不織布層(A)および不織布層(B)が、メルトブロー法によって製造した不織布よりなる層である前記(1)〜(5)のいずれかの繊維シートである。
また、本発明は、
(7) 前記(1)〜(5)のいずれかの繊維シートを用いたフィルタである。
本発明の複合繊維シートは、目付が小さく且つ薄い不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)だけに無機系抗菌剤微粒子が高濃度で含有されていて、しかも無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)の表面から多数露出しているため、複合繊維シート全体では、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の使用量(含有量)が従来よりも大幅に低減しているにも拘わらず、高い抗菌・抗ウィルス効果を有し、しかも抗菌・抗ウィルス効果の持続性にも優れている。
本発明の複合繊維シートは、塵埃や有害微生物などの異物の捕集効率が高く且つ圧損が小さくて、フィルタ性能に極めて優れている。
さらに、本発明の複合繊維シートは、複合繊維シートの大部分が、無機系抗菌剤微粒子を含有しない、繊維径の小さなポリオレフィン繊維から構成されていて、しかもその部分の厚みも小さいために、軽量でありながら、強度にも優れている。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合繊維シートは、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物よりなるポリオレフィン繊維(a)から構成される不織布層(A)と、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン繊維(b)から構成される不織布層(B)とが少なくとも積層されている積層シートである。
本発明の複合繊維シートにおける不織布層(A)は、無機系抗菌剤微粒子を、ポリオレフィン系樹脂組成物の全質量に基づいて、5〜20質量%の割合で含有するポリオレフィン系樹脂組成物を用いて製造したポリオレフィン繊維(a)(すなわち無機系抗菌剤微粒子を5〜20質量%の割合で含有するポリオレフィン繊維)から構成される不織布からなる層である。
不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)における無機系抗菌剤微粒子の含有量は、7〜20質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましい。
不織布層(A)が、無機系抗菌剤微粒子を上記した高濃度で含有するポリオレフィン繊維(a)から構成されていることによって、不織布層(A)の下記で説明する特定の小さな目付および特定の薄さと相俟って、無機系抗菌剤微粒子が、目付が小さく且つ厚さの薄い不織布層(A)に高濃度で選択的に配置され、しかも無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)の表面から多数露出していて、複合繊維シートに、細菌、ウィルス、黴などの病原体に対する極めて高い抗菌効果が付与される。
ポリオレフィン繊維(a)における無機系抗菌剤微粒子の含有量が本発明で規定しているよりも少ないと、複合繊維シートの抗菌効果が低下し、一方無機系抗菌剤微粒子の含有量が多すぎると、不織布層(A)を製造するための紡糸時にトラブルが生じ易くなり、しかもフィルタ性能が阻害され、コストが高くなる。
不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)に含有させる無機系抗菌剤微粒子の平均粒径は、不織布層(A)を製造する際の断糸や、無機系抗菌剤微粒子の脱落、「ショット」(繊維状にならないポリマー玉)の発生などを防止する観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜8μmであることがより好ましく、0.3〜6μmであることが更に好ましい。無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が10μmよりも大きいと、繊維シートや複合繊維シートを製造する際に断糸、繊維からの無機系抗菌剤微粒子の脱落、ショットの発生などが起き易くなる。一方、無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が0.01μmよりも小さいと、無機系抗菌剤微粒子間の凝集などが生じて、ポリオレフィン繊維(a)中に均一に混合されにくくなる。
本明細書における無機系抗菌剤微粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を使用して測定される平均粒径であり、その具体的な測定法は以下の実施例に記載するとおりである。
本発明で用いる無機系抗菌剤微粒子としては、人体に対して安全で、繊維の溶融紡糸時の加熱などにより揮発、分解、変質などを生じず、かつ短期間で抗菌・抗ウィルス作用が低下しない無機系抗菌剤微粒子のいずれもが使用できる[以下、抗菌作用(抗菌効果)、抗ウィルス作用(抗ウィルス効果)、その他の有害微生物に対する防除作用(防除効果)を総称して「抗菌作用(抗菌効果)」という]。
本発明で用い得る無機系抗菌剤微粒子の例としては、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン、錫イオンなどの抗菌作用を有する金属イオンを無機担体に保持させた無機系抗菌剤微粒子、酸化チタン系無機系抗菌剤微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
抗菌性を有する金属イオンを無機担体に保持させた無機系抗菌剤微粒子では、無機担体の種類は特に制限されず、繊維シートの劣化作用などを示さないものであればいずれも使用でき、イオン交換能や金属イオン吸着能を有していて金属イオンの保持能の高い無機担体が好ましく用いられる。そのような無機担体の例としては、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどを挙げることができ、そのなかでも高いイオン交換能を有するゼオライト、リン酸ジルコニウムが特に好ましい。
上記した無機系抗菌剤微粒子のうちでも、本発明では、銀イオンを前記した無機担体に保持させた無機系抗菌剤微粒子が特に好ましく用いられる。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径は、0.1〜3μmであり、0.5〜2.5μmであることが好ましく、0.7〜2.3μmであることがより好ましく、1.0〜2.0μmであることが更に好ましい。
不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径を、前記範囲にすることによって、ポリオレフィン繊維(a)中に含有させた無機系抗菌剤微粒子の繊維表面からの露出度や露出数が大きくなって、不織布層(A)、ひいては複合繊維シートの抗菌性能が一層高くなり、しかも柔軟性、フィルタ性能に優れたものとなる。不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径が0.1μmよりも小さいと、不織布層(A)中に無機系抗菌剤微粒子が保持されにくくなり、しかも生産性の低下、コストの上昇を招く。一方、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径が3μmを超えると、ポリオレフィン繊維(a)中に含まれる無機系抗菌剤微粒子のポリオレフィン繊維(a)の表面からの露出度が低下して、不織布層(A)に高い抗菌作用を付与することが困難になる。
なお、本明細書でいう不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)および不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径は、不織布層(A)または不織布層(B)を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真から測定した繊維径から求められる平均値であり、その詳細については以下の実施例に記載するとおりである。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)中に含まれる無機系抗菌剤微粒子の平均粒径:ポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径の比が1:10〜6:1であることが好ましく、1:2〜2:1であることがより好ましい。
無機系抗菌剤微粒子の平均粒径とポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径の比を前記範囲にすることにより、不織布層(A)を製造する際の紡糸性が良好になり、しかもポリオレフィン繊維(a)の表面から無機系抗菌剤微粒子が良好に露出し、また不織布層(A)からの無機系抗菌剤微粒子の脱落などを防止することができる。
本発明の複合繊維シートにおいては、不織布層(A)の目付は、0.1〜5/m2であり、0.5〜3g/m2であることが好ましく、0.8〜2g/m2であることがより好ましい。
不織布層(A)の目付が、前記した小さい値であることによって、不織布層(A)に選択的に(局所的)に無機系抗菌剤微粒子が配置されると共に、ポリオレフィン繊維(a)中に無機系抗菌剤微粒子を高濃度で含有させているにも拘わらず、複合繊維シート全体では、ポリオレフィン繊維(a)の使用量、ひいては無機系抗菌剤微粒子の使用量が少なくてすみ、無機系抗菌剤微粒子の使用量を従来よりも大幅に低減しながら、繊維シートに高い抗菌効果とその優れた持続性を付与することができる。
また、本発明の複合繊維シートでは、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン繊維(a)からなる不織布層(A)の目付が、前記した小さい値であって、しかも複合繊維シート全体に占める不織布層(A)の質量割合が小さいために、複合繊維シートの軽量化が達成されると共に、複合繊維シートの強度が高く維持される。
不織布層(A)の目付が本発明で規定するよりも小さいと、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の含有量が少なくなり過ぎて、繊維シートに十分な抗菌作用を付与できなくなり、しかも繊維表面積捕集効果が少なくなり、フィルタ性能が低下する。一方、不織布層(A)の目付が大きすぎると、通気抵抗が高くなってフィルタ性能が低下したり、強度の低下、軽量性の低下、生産性の低下などが生じ易くなる。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)の厚みが0.01〜0.1mmであり、0.015〜0.08mmであることが好ましく、0.018〜0.06mmであることがより好ましい。
不織布層(A)の厚みが本発明で規定する前記範囲よりも小さいと、不織布層(A)の目付を前記した0.1〜5g/m2の範囲にした場合であっても、不織布層(A)の通気性および通液性が低下して複合繊維シートのフィルタ性能が低下し、しかも硬くなり、風合が損なわれる。一方、不織布層(A)の厚みが本発明で規定する前記範囲よりも大きいと、不織布層(A)の目付を前記した0.1〜5g/m2の範囲にしたときに、不織布層(A)の密度が低くなって繊維間の空隙が大きくなり、有害微生物や塵埃などを通してしまい、フィルタ性能が低下し、しかも毛羽が発生し、加工性が低下する。
本発明の複合繊維シートを構成する不織布層(A)では、ポリオレフィン繊維(a)を構成するポリオレフィン系樹脂組成物中に溶融混練などによって練り込まれた無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)中に完全に埋没せずに、ポリオレフィン繊維(a)の表面に多数露出していて、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりにつき、
・無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有するか;または、
・無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有する。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)に含まれている無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)中に完全に埋没しておらず、繊維外に多数露出していることによって、無機系抗菌剤微粒子自体の抗菌作用が十分に発揮されるために、不織布層(A)、ひいては複合繊維シートに高い抗菌効果が付与される。
不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりの、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所の数が1箇所よりも少ないと、または無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所の数が1箇所よりも少ないと、不織布層(A)の抗菌性能、ひいては複合繊維シートの抗菌性能が低下する。
本発明の複合繊維シートを構成する不織布層(A)は、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりにつき、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1.5箇所以上、更には2箇所以上、特に2.5箇所以上の割合で有するか、または無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1.5箇所以上、更には2箇所以上、特に2.5箇所以上の割合で有することが好ましい。
なお、本明細書における「無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維の表面に露出」とは、無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維の表面から外部に突出して露出している場合をも包含する。
本発明の複合繊維シートを構成する不織布層(A)では、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所が、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たり1箇所以上である限りは、無機系抗菌剤微粒子の露出部分の面積(SEM写真に基づいて算出される面積)が0.01μm2未満であっても構わない。
無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出しているか否かは、不織布層(A)を、不織布層(A)の表面側から走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真(「SEM写真」から判別することができる。ポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機微粒子部分は、ポリオレフィン系樹脂よりなる繊維部分に比べて明色になっており、ポリオレフィン繊維(a)を形成しているポリオレフィン系樹脂部分と明確に区別できる。
不織布層(A)では、不織布層(A)の表面を撮影したSEM写真における無機系抗菌剤微粒子が露出した明色部分のサイズおよび数を測定することによって、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりの、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所の数を調べることができる。
具体的には、無機系抗菌剤微粒子が球形または球形に近い形状である場合は、ポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分は、SEM写真では、常に所定の直径を有する円または円に近い形状として撮影されるので(球の断面はどこをとっても円形)、その円の直径を測定して、球形をなす無機系抗菌剤微粒子の平均粒径と対比することによって、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出しているか否かを判定することができる。
例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された写真において、球形の無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している部位に相当する円の直径が無機系抗菌剤微粒子の平均粒径と同じであれば、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/2以上がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出していることになる。また、無機系抗菌剤微粒子の露出部分に相当する撮影された円の直径が無機系抗菌剤微粒子の平均粒径の1/20以上であれば、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出していることになる。
一方、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)中に含有させる無機系抗菌剤微粒子の形状が球形または球形に近い形状をなしていない場合は、SEM写真におけるポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分の形状は必ずしも円形またはそれに近い形状にはならない。また、ポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分の撮影された形状がたまたま円形またはそれに近い形状であっても、露出部分の体積が無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上になっていないことがある。そのような場合には、SEM写真における無機系抗菌剤微粒子の露出部分のサイズからは、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面から露出しているか否かを判定することが困難になり易い。そのため、無機系抗菌剤微粒子が球形でない場合または球形に近い形状でない場合は、露出部分の体積割合を求めるのではなく、SEM写真に基づく無機系抗菌剤微粒子の露出部分の面積によって、その露出程度を判定する。
本発明では、不織布層(A)の表面のSEM写真において、無機系抗菌剤微粒子が、0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所が、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たり1箇所以上存在している場合にも、不織布層(A)、ひいては本発明の複合繊維シートに高い抗菌特性が付与される。
不織布層(A)では、「無機系抗菌剤微粒子が、0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所が、不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たり1箇所以上存在する」という要件を満たす限りは、ポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分の体積が無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100未満であっても構わない。
ポリオレフィン繊維(a)中に含有させる無機系抗菌剤微粒子が球形または球形に近い形状の場合は、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出部の個数の測定は、上記した「無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所」を数えることによって行なってもよいし、または「無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所」を数えることによって行なってもよい。
不織布層(A)の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真には、不織布層(A)の最表面に位置するポリオレフィン繊維(a)と共に、その奥(内側)に位置するポリオレフィン繊維(a)も写っているが、写真からは最表面に位置するポリオレフィン繊維(a)と内側に位置するポリオレフィン繊維(a)の判別が難しいことが多いので、本発明では、ポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分のサイズや数の測定に当たっては、最表面に位置するポリオレフィン繊維(a)であるかまたは内側に位置するかポリオレフィン繊維(a)であるかを区別せずに、SEM写真に写っているポリオレフィン繊維(a)のすべてを対象としてポリオレフィン繊維(a)の表面から露出している無機系抗菌剤微粒子部分のサイズや数を測定するものとし、したがって不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所に係る上記規定は、そのようにして測定したときの値をいう。
不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)を製造するためのポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ブレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体などのポリオレフィン樹脂を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、特にポリプロピレンが、メルトブロー法によって不織布層(A)を製造する際の工程性が良好で、エレクトレット化が容易であり、しかも低コストであることから好ましく用いられる。
無機系抗菌剤微粒子を含有させた樹脂組成物を用いて、メルトブロー法によって不織布層(A)(不織布)を製造すると、無機系抗菌剤微粒子がポリマー中に含まれていることによって、「ショット」と称されるポリマー玉が非常に発生し易くなり、ショットの多発した不織布層を有する繊維シートをフィルタとして用いると「漏れ」が生ずるが、ポリプロピレンを用いて不織布層(A)を製造すると、そのようなショットの発生を防ぐことができる。
また、本発明の複合繊維シートにおける不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)を製造するためのポリオレフィン系樹脂としては、JIS K 7210に基づいて、温度230℃、荷重2.16kgおよび測定時間10分の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)が5〜2500g/10分、特に40〜1600g/10分のものが好ましく用いられる。MFRが前記範囲のポリオレフィン系樹脂を用いることによって、不織布層(A)を製造する際の繊維化が円滑に且つ均一に行われて、繊維径が細く、地合が均一となる。なお、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)が2種以上のポリオレフィン系樹脂の混合物から製造されている場合は、前記したMFRは、2種以上のポリオレフィン系樹脂の混合物のMFRをいう。
不織布層(A)の製造に当たっては、ポリオレフィン系樹脂中に無機系抗菌剤微粒子を一度に混合してポリオレフィン系樹脂組成物をつくり、それを用いて不織布層(A)(不織布)を製造してもよいが、不織布層(A)を構成しているポリオレフィン繊維(a)の表面に無機系抗菌剤微粒子を多数露出させて、高い抗菌作用を有する不織布層(A)を円滑に得るためには、不織布層(A)を製造するための無機系抗菌剤微粒子含有ポリオレフィン系樹脂組成物を次のようにして調製することが好ましい。
すなわち、メルトフローレートの差の絶対値が下記の数式(1)を満足するポリオレフィン系樹脂(α)とポリオレフィン系樹脂(β)を使用し、無機系抗菌剤微粒子をポリオレフィン系樹脂(α)の溶融下に混合してポリオレフィン系樹脂(α)の組成物をつくり、その組成物を、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン系樹脂(β)と混合して無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物をつくった後に、そのポリオレフィン系樹脂組成物を用いて不織布層(A)を製造することが好ましい。

0≦|MFRα−MFRβ|≦600 (1)

[上記式中、MFRαはポリオレフィン系樹脂(α)のメルトフローレート、MFRβはポリオレフィン系樹脂(β)のメルトフローレートであり、両メルトフローレートはいずれも、JIS K 7210に従って、温度230℃、荷重2.16kg、測定時間10分の条件下に測定したときのメルトフローレート(単位:g/10分)である。]
上記の数式(1)を満たすポリオレフィン系樹脂(α)とポリオレフィン系樹脂(β)を用いて上記した方法で調製した無機系抗菌剤微粒子含有ポリオレフィン系樹脂組成物を用いて不織布層(A)(不織布)を製造するに当たっては、ポリオレフィン系樹脂(α)のMFRαとポリオレフィン系樹脂(β)のMFRβの差の絶対値は、400以下であることがより好ましく、0〜300であることが更に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(α)とポリオレフィン系樹脂(β)を使用し、ポリオレフィン系樹脂(α)中に無機系抗菌剤微粒子を予め混合し、それにポリオレフィン系樹脂(β)を混合して無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、当該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いて不織布層(A)を製造するに当たっては、ポリオレフィン系樹脂(α)(無機系抗菌剤微粒子を含有させる前の樹脂):ポリオレフィン系樹脂(β)の使用割合は、質量比で、99:1〜1:99であることが好ましく、80:20〜3:97であることがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(α)とポリオレフィン系樹脂(β)を使用して上記した方法で無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製するに当たっては、二軸押出機などを使用して押し出しながらポリオレフィン系樹脂(α)に無機系抗菌剤微粒子を混合した後にそれにポリオレフィン系樹脂(β)を混合してもよいし、またはマスターバッチを用いてチップブレンドの後に押出してもよい。マスターバッチ法による場合は、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂(α)に無機系抗菌剤微粒子を練り込んだマスターバッチを準備し、これにポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂(β)を混合して無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製することによって、無機系抗菌剤微粒子のポリオレフィン系樹脂中での分散が良好となり、無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出しやすくなる。
ポリオレフィン系樹脂中への無機系抗菌剤微粒子の混合装置としては、無機系抗菌剤微粒子をポリオレフィン系樹脂中に均一に混合し得る装置であればいずれのものも使用でき、二軸押出機などの混練装置を使用することが、ポリオレフィン系樹脂中に無機系抗菌剤微粒子を生産性よく、均一に混合できる点から好ましい。
不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)を形成する無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の重合体や添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、ラジカル吸収剤、紫外線吸収剤などの耐候安定剤、界面活性剤、顔料などを挙げることができる。
不織布層(A)を構成する不織布の種類およびその製造方法は特に制限されず、上記した特性を備える不織布からなる層であればいずれでもよく、そのうちでも、不織布層(A)は、メルトブロー法によって製造することが極めて好ましい。メルトブロー法を採用して不織布層(A)を製造することによって、本発明で規定する平均繊維径を有するポリオレフィン繊維(a)から構成され、しかも本発明で規定する目付および厚みを有し、無機系抗菌剤微粒子が不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の表面から多く露出していて高い抗菌作用を有する不織布層(A)を円滑に製造することができる。
メルトブロー法による繊維シート(不織布)の製造方法については、非特許文献1にメルトブロー法についての基本的な装置および方法が開示されて以来、多くの方法が提案されている。本発明の複合繊維シートにおける不織布層(A)をメルトブロー法で製造するに当たっては、非特許文献1に記載されている方法や、その他従来から知られているメルトブロー法を採用することができる。
例えば、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物をメルトブロー不織布製造装置に供給して、そのエクストルーダー(押出機)で160〜340℃にて溶融した後、複数の紡糸孔が一列に配列した口金から温度200〜320℃で吐出すると同時に紡糸孔の近傍に設けたスリットから200〜330℃の加熱空気を噴出させて吐出した繊維を細化し、それを下方に位置するネットコンベアなどの上に捕集することによって不織布層(A)を製造することができる。
本発明の複合繊維シートにおける不織布層(B)は、無機系抗菌剤微粒子を含有しない平均繊維径0.5〜10μmのポリオレフィン繊維(b)から構成されている。
不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径は、1〜8μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましく、2.5〜4.5μmであることが更に好ましい。
不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が前記範囲であることによって、本発明の複合繊維シートの通気抵抗が適度な値になり、またはウィルス、細菌などの有害微生物、塵埃、その他の捕集効率が高くなり、フィルタ性能が優れたものとなる。ポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が前記よりも小さいと、通気抵抗が増し、フィルタなどとして用いる際に好適でなく、一方ポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が前記よりも大きくなると不織布層(B)における空隙サイズが大きくなって有害微生物や塵埃などの有害物質の捕集性能が低下する。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径よりも大きいことが好ましく、一般的には、ポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径は、ポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径の1〜20倍、更には1.5〜10倍、特に2〜5倍であることが好ましい。これによって、複合繊維シートに強度、耐久性、複合繊維シートの厚み方向での繊維径勾配が付与され、しかも複合繊維シートのフィルタ性能(捕集効率、圧損、寿命など)が向上する。
本発明の複合繊維シートにおける不織布層(B)の目付は5〜30g/m2であり、10〜25g/m2であることが好ましく、13〜22g/m2であることがより好ましい。不織布層(B)の目付が前記範囲であることにより、複合繊維シートに強度、耐久性が付与され、しかも複合繊維シートのフィルタ性能(捕集効率、圧損、寿命など)が良好なものとなる。
本発明の複合繊維シートにおける不織布層(B)の厚みは0.1〜0.3mmであり、0.12〜0.28mmであることが好ましく、0.15〜0.25mmであることがより好ましい。不織布層(B)の厚みが前記範囲であることにより、複合繊維シートの強度、耐久性、取扱性、フィルタ性能(捕集効率、圧損など)が良好になる。
不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)を製造するためのポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ブレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体などのポリオレフィン樹脂を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、特にポリプロピレンが、不織布層(B)を製造する際の工程性が良好で、エレクトレット化が容易であり、しかも低コストであることから好ましく用いられる。
不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)を形成するポリオレフィン系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の重合体や添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、ラジカル吸収剤、紫外線吸収剤などの耐候安定剤、界面活性剤、顔料などを挙げることができる。
不織布層(B)を形成する不織布の種類およびその製造方法は特に制限されず、本発明で規定する上記した特性を備える、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィンから製造された不織布であればいずれでもよい。不織布層(B)を形成する不織布としては、例えば、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン繊維から構成される、メルトブロー不織布、ニードルパンチや水流絡合によって絡合させた絡合不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、フィルムスプリットヤーン不織布などを挙げることができる。
そのうちでも、不織布層(B)は、メルトブロー法によって製造された不織布からなることが極めて好ましい。メルトブロー法を採用して不織布層(B)を製造することによって、本発明で規定する平均繊維径を有するポリオレフィン繊維(b)から構成され、しかも本発明で規定する目付および厚みを有する不織布層(B)を円滑に製造することができる。
不織布層(B)をメルトブロー法で製造するに当たっては、非特許文献1に記載されている方法や、その他従来から知られているメルトブロー法を採用することができる。
例えば、不織布層(A)の場合と同じように、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン系樹脂をメルトブロー不織布製造装置に供給して、そのエクストルーダー(押出機)で160〜340℃にて溶融した後、複数の紡糸孔が一列に配列した口金から温度200〜320℃で吐出すると同時に紡糸孔の近傍に設けたスリットから200〜330℃の加熱空気を噴出させて吐出した繊維を細化し、それを下方に位置するネットコンベアなどの上に捕集することによって不織布層(B)を製造することができる。
本発明の複合繊維シートの製造に当っては、上記したメルトブロー法によって不織布層(B)を製造した後、不織布層(B)を連続的に移送しながらその上に、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物をメルトブローして細化した繊維状となして薄い層状に堆積・積層させて不織布層(A)を形成する方法(ダイレクトメルトブロー法)が特に好ましく採用される。
この方法による場合は、不織布層(A)と不織布層(B)の接着工程が不要であり、しかも不織布層(B)上に不織布層(A)が強固に接着した複合繊維シートを、連続的に生産性よく製造することができる。
本発明の複合繊維シートでは、[不織布層(A)の目付]:[不織布層(B)の目付]の比が1:5〜1:100[不織布層(B)の目付が不織布層(A)の目付の5〜100倍]であることが好ましく、1:7〜1:80の範囲であることがより好ましく、1:10〜1:50であることが更に好ましい。
また、本発明の複合繊維シートでは、[不織布層(A)の厚み]:[不織布層(B)の厚み]の比が、1:3〜1:30[不織布層(B)の厚みが不織布層(A)の厚みの3〜30倍]であることが好ましく、1:5〜1:25の範囲であることがより好ましく、1:10〜1:20であることが更に好ましい。
[不織布層(A)の目付]:[不織布層(B)の目付]の比、および/または[不織布層(A)の厚み]:[不織布層(B)の厚み]の比が前記範囲にあると、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン繊維(a)から構成される、薄くて目付の小さな不織布層(A)において高い除菌効果が複合繊維シートに付与され、その一方で不織布層(A)よりも厚くて目付の大きい不織布層(B)において高いフィルタ性能を有する層が形成されて、有害微生物や塵埃などの補集と、通気、通液などが良好になされ、しかも複合繊維シートに強度、耐久性が付与される。
本発明の複合繊維シートは、複合繊維シートの取扱性、軽量性、強度などの点から、全体の厚み[不織布層(A)と不織布層(B)の合計厚み]が、0.08〜0.35mmであることが好ましく、0.10〜0.30mmであることがより好ましく、0.12〜0.28mmでることが更に好ましい。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)の密度が0.03〜0.2g/cm3、特に0.05〜0.1g/cm3で、不織布層(B)の密度が0.03〜0.2g/cm3、特に0.05〜0.1g/cm3であり、複合繊維シート全体の密度が0.03〜0.2g/cm3、特に0.05〜0.1g/cm3であることが、複合繊維シートの通気性、透液性、有害微生物や塵埃などの捕集性能、強度、耐久性、軽量性などの点から好ましい。
本発明の複合繊維シートでは、不織布層(A)と不織布層(B)は、複合繊維シートの加工性が良好で且つ複合繊維シートのフィルタ性能が低下しないような強度で接着していることが必要である。不織布層(A)と不織布層(B)の層間剥離強力が小さ過ぎると、複合繊維シートを各用途に用いる際に不織布層(A)と不織布層(B)とが剥離するなどのトラブルが生じ易くなり、一方不織布層(A)と不織布層(B)の層間剥離強力が大きすぎる場合は、不織布層(A)と不織布層(B)との接着界面で高密度化が生じていてフィルタ性能の低下が生ずることがある。
本発明の複合繊維シートは、複合繊維シート全体でのフラジール法による通気度が40〜120cc/cm2/secであることが好ましく、50〜100cc/cm2/secであることがより好ましく、60〜90cc/cm2/secであることが更に好ましい。複合繊維シートの通気度が前記した範囲にあることにより、通気抵抗と捕集性能のバランスがとれた状態となり、フィルタ性能がより良好になる。
本発明の複合繊維シートは、必要に応じて、他の材料と積層して使用することができる。積層する他の材料の種類は特に限定されず、本発明の複合繊維シートと積層可能な材料であればいずれでもよいが、シート状またはフィルム状の材料が、複合繊維シートとの積層が容易であり、しかも複合繊維シートに当該他の材料を積層して得られる積層体の取り扱い、加工などが容易である点から好ましく用いられる。
本発明の複合繊維シートと積層し得る他の材料の具体例としては、不織布、織布、編布、フィルム、紙などを挙げることができる。
これらのうちで、他の材料が不織布である場合は、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布などの長繊維不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布、紙などを挙げることができる。これらの不織布を形成する繊維の原料は特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミドまたはこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、アクリル系重合体、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリトリフロロクロロエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、レーヨン、ビニロン、パルプなどを挙げることができる。
また、不織布を他の材料として用いて本発明の複合繊維シートと積層する場合に、当該不織布は、芯鞘型構造やサイドバイサイド型構造などの複合繊維であってもよいし、また不織布は2種類以上の繊維を用いて形成されていてもよい。
本発明の複合繊維シートに他の材料を積層する場合は、当該他の材料を積層することで、本発明の複合繊維シートが有している優れた特性(特に良好な抗菌性能、フィルタ性能など)が損なわれないように、積層する他の材料およびその積層方法を選択することが必要である。
本発明の複合繊維シートの用途は特に制限されず、例えば、エアフィルタ、液体フィルタなどの各種フィルタ(濾材)、医療用品、衛生用品、食品包材、ワイパーなどに用いることができる。
本発明の複合繊維シートをフィルタとして用いる場合に、その濾材性能を向上させるためにエレクトレット加工を施してもよい。本発明の複合繊維シートは、不織布層(A)および不織布層(B)の両方がポリオレフィン繊維から構成されているので、エレクトレット加工により帯電させやすく、特に不織布層(A)および不織布層(B)がポリプロピレン繊維から構成されている場合は、工業的にエレクトレット化しやすく、また帯電効果が長期間安定して持続する。
エレクトレット化は、不織布層(A)と不織布層(B)のそれぞれを個別にエレクトレット化した後、両者を積層して複合繊維シートにし、その複合繊維シートを更にエレクトレット化してもよいし、不織布層(B)に不織布層(A)を積層して複合繊維シートを製造した後にのみエレクトレット化処理を行なってもよい。
本発明の複合繊維シートをエレクトレット加工する際のエレクトレット加工方法は特に制限されず、公知の方法に準じて行なうことができる。例えば、平板状またはロール状のアース電極と、その上方1〜10cmに設置された針状またはワイヤー状の電極の間に、不織布層(B)または複合繊維シートを、アース電極に接するようにして配置または通過させながら高圧直流電流(例えば電圧10〜70KVの直流電流)を印加することによりエレクトレット加工を行なうことができる。
以下に、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
また、以下の実施例、比較例および参考例における各物性値は、下記の方法により測定または評価した。
(1)ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR):
MFRの測定装置(宝工業社製「L244」)を使用して、JIS K 7210に従って、温度230℃、荷重2.16kgおよび測定時間10分の条件下で以下の実施例、比較例および参考例で使用したポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)(g/10分)を測定した。
(2)無機系抗菌剤微粒子の平均粒径:
(i) 以下の実施例、比較例および参考例で使用した無機系抗菌剤微粒子(銀系無機系抗菌剤微粒子)に、水を加えて十分に撹拌して、水中に均一に分散させた。
(ii) 上記(i)で得られた分散液を用いて、レーザー回折散乱式粒度測定装置(堀場製作所製「LA−920」)を使用して、粒度分布解析を行った。
なお、測定時、測定装置に内蔵されている超音波ホモジナイザーにより超音波を1分間照射した後に測定を行い、体積基準の粒度分布により計算される算術平均値(μm)を無機系抗菌剤微粒子の平均粒径とした。
(3)不織布層(A)および不織布層(B)を構成しているポリオレフィン繊維の平均繊維径:
不織布層(A)および不織布層(B)から試験片(縦×横=5cm×5cm)を採取し、試験片の表面における中央部(対角線の交点を中心とする部分)を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して1000倍の倍率で写真撮影した。これにより得られた写真の中央部(対角線の交点)を中心として写真上に半径15cmの円を描き、その円内に含まれる全ての未融着ポリオレフィン繊維(通常約50〜100本程度)の長さ方向の中央部またはそれに近い箇所での繊維径をノギスにより測定し、その平均値を採ってポリオレフィン繊維の平均繊維径(μm)とした。
なお、ポリオレフィン繊維の平均繊維径の測定に当たっては、写真に撮影されているポリオレフィン繊維が不織布層(A)または不織布層(B)の最表面に位置するポリオレフィン繊維であるかまたは内側に位置するポリオレフィン繊維であるかを区別せずに、SEM写真に写っているポリオレフィン繊維のすべてを対象として平均繊維径を求めた。
(4)不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の目付:
(i)不織布層(B)の目付:
以下の実施例、比較例および参考例において不織布層(B)として用いた不織布から、縦×横=20cm×20cmの正方形の試験片を採取し、JIS L1906(一般長繊維不織布試験方法)に準拠して、試験片の幅方向に沿って3箇所で目付を測定し、その平均値を算出して不織布層(B)の目付とした。
(ii)複合繊維シート(繊維シート)の目付:
以下の実施例、比較例および参考例で最終的に得られた複合繊維シート(繊維シート)から、縦×横=20cm×20cmの正方形の試験片を採取し、JIS L1906(一般長繊維不織布試験方法)に準拠して、試験片の幅方向に沿って3箇所で目付を測定し、その平均値を算出して複合繊維シート(繊維シート)全体の目付とした。
(iii)不織布層(A)の目付:
上記(ii)で得られた複合繊維シート(繊維シート)全体の目付から、上記(i)で得られた不織布層(B)の目付を差し引いて、不織布層(A)の目付とした。
(5)不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の厚み:
以下の実施例、比較例および参考例で最終的に得られた複合繊維シート(繊維シート)を、複合繊維シート(繊維シート)の長さ方向に対して直角の方向(幅方向)で、鋭利な剃刀で繊維が潰れないようにして厚さ方向に垂直に切断し、切り出した断面に金を真空蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し(断面がすべて収まる縮尺倍率)、不織布層(A)の厚み、不織布層(B)の厚みおよび複合繊維シート(繊維シート)全体の厚みを求めた。
(6)不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の密度:
上記(4)で得られた不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の目付、並びに上記(5)で得られた不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の厚みから、不織布層(A)、不織布層(B)および複合繊維シート(繊維シート)の見かけ密度を求めた。
(7)複合繊維シート(繊維シート)の不織布層(A)の表面における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所の数の測定:
(i)無機系抗菌剤微粒子の1/100以上露出箇所の数:
以下の実施例、比較例および参考例で最終的に得られた複合繊維シート(繊維シート)から試験片(縦×横=5cm×5cm)を採取し、試験片における不織布層(A)の表面における中央部(対角線の交点を中心とする部分)を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して2000倍の倍率で写真撮影した。これにより得られた写真の中央部(対角線の交点)を中心点として写真上で1辺が14cmの正方形[実際の複合繊維シート(繊維シート)では1辺が100μmの正方形]を描き、その正方形の範囲内に存在する、無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維表面に露出している箇所をピックアップすると共にその直径を測定し、それらの露出箇所のうち、無機系抗菌剤微粒子の1/100以上が露出している箇所の数を合計し、その合計数から、複合繊維シート(繊維シート)の不織布層(A)の表面1.0×10-2mm2当たりの無機系抗菌剤微粒子の1/100以上露出箇所の数を求めた。試験片10個を用意し、同様の測定を10回行って、平均値を採用した。
(ii)無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積で露出している箇所の数:
上記(i)で無機系抗菌剤微粒子の1/100以上露出箇所の寸法と数を測定した後、SEM写真における上記(i)の測定範囲(測定領域)と同じ領域内において、無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維表面に露出している箇所をピックアップしてその箇所の面積を測定し、無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積で露出している箇所の数を数え、複合繊維シート(繊維シート)の不織布層(A)表面1.0×10-2mm2当たりの「0.01μm2以上の面積で露出している箇所」の数を求めた。試験片10個を用意し、同様の測定を10回行って、平均値を採用した。
なお、無機系抗菌剤微粒子がポリオレフィン繊維の表面に露出している箇所の面積は、例えば、SEM写真における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所をその形状どおりに正確に切り取り、切り取ったものの重さ(wb)を測ると共に、同じSEM写真における基準面積S(例えば縦×横=10μm×10μmの正方形)の重さ(wa)を測ることによって、下記の数式(2)から求めることができる。

無機系抗菌剤微粒子の露出箇所の面積=S×(wb/wa) (2)
(8)複合繊維シート(繊維シート)の単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量:
複合繊維シート(繊維シート)における不織布層(A)の目付(M)(g/m2)と、不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)中の無機系抗菌剤微粒子の含有量(N)(質量%)との積から、複合繊維シート(繊維シート)の単位面積(1m2)当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量(g/m2)を求めた。
(9)複合繊維シート(繊維シート)の粉塵濾過性能(粉塵捕集効率)および圧損失:
(i) 以下の実施例、比較例および参考例で得られた、エレクトレット加工後の複合繊維シート(繊維シート)から、直径が110mmの円形の試験片を採取し、その試験片を粉塵濾過性能測定装置(柴田科学社製「AP6310FP」)の測定セル(濾過面の直径=85mm)に装着した。
(ii) 直径が2μm以下で且つ数量平均粒径が0.5μmのシリカダストを試験用粉塵として用いて、当該粉塵(シリカダスト)の濃度が30±5mg/m3である粉塵含有空気を調製した。
(iii) 上記(ii)で調製した粉塵(シリカダスト)含有空気を、30L/minの流量で上記(i)で準備した測定セルに1分間流した。このとき、セルの上流側の空気(濾過前空気)中の粉塵の濃度と、セルの下流側の空気(濾過後の空気)中の粉塵の濃度を、光散乱光量積分方式の検出機器を使用して測定した。
(iv) 上記(iii)で測定したセルの上流側の粉塵の濃度をD1、セルの下流側の粉塵の濃度D2として、下記の数式(3)から粉塵の捕集効率(%)を求めた。

粉塵捕集効率(%)={D1−D2)/D1}×100 (3)

(v) 上記(i)〜(iv)の粉塵捕集効率の測定の際に、粉塵濾過性能測定装置における測定セルの上流側および下流側間に微差圧計を配置し、粉塵含有空気を30L/minの流量で測定セルに流しているときに、その差圧(圧力損失)(Pa)を測定した。
(10)複合繊維シート(繊維シート)の通気度:
以下の実施例、比較例および参考例で得られた、エレクトレット加工後の複合繊維シート(繊維シート)の通気度を、JIS L1906(一般長繊維不織布試験方法)に準じて、フラジール形法にて測定した。
(11)複合繊維シート(繊維シート)の抗菌性(静菌活性値):
以下の実施例、比較例および参考例で得られた、エレクトレット加工後の複合繊維シート(繊維シート)について、JIS L1902「繊維製品の抗菌性試験方法」に準じて抗菌試験を行って、静菌活性値を求めた。
静菌活性値が高いほど抗菌作用に優れている。
採用した試験条件は下記のとおりである。
・菌液条件:1/20NB、0.2ml
・作用条件:37℃、18時間
・菌種:黄色ブドウ球菌
・静菌活性値:作用時間前後の生菌数の差を対数で表した値
静菌活性値=Log(a/b)
a=標準布の18時間後の生菌数
b=複合繊維シートまたは繊維シートの18時間後の生菌数
(12)複合繊維シート(繊維シート)の抗ウィルス性:
以下の実施例、比較例および参考例で得られた、エレクトレット加工後の複合繊維シート(繊維シート)について、JIS Z2801「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」に準じて抗ウィルス試験を行った。
採用した試験条件は下記のとおりである。
・菌種:インフルエンザ A ウィルス(A/New caledonia/20/99)
・菌液条件:作用ウィルス量 0.2ml
・作用条件:25℃、24時間
・効果判定:ウィルス感染価が初期の10%以下の場合に「効果あり」と判定し、10%を超える場合を「効果なし」と判定した。
《実施例1》
(1) ポリプロピレン(MFR=700g/10分)を、一般的なメルトブロー設備を使用し、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力1.2kg/cm2、単孔吐出量0.4g/孔・分、口金における紡糸孔数2850個(1列配置)、捕集距離30cmにてメルトブロー紡糸して、下記の表1に示す目付および平均繊維径を有する不織布層(B)[不織布層(B)用の不織布シート]を製造した。
(2)(i) ポリプロピレン(α)(MFR=700g/10分)80質量部に、リン酸ジルコニウムを主体とする無機イオン交換体に銀イオンを担持させた銀系無機抗菌剤微粒子(東亞合成社製「ノバロンAG300」、平均粒径1μm、略立方体形)20質量部を配合して、銀系無機系抗菌剤微粒子を含有するマスターバッチを調製した。
(ii) 上記(i)で調製したマスターバッチと、ポリプロピレン(β)(MFR=700g/10分)を、マスターバッチ:ポリプロピレン(β)=1:1の質量比で混合し、一般的なメルトブロー設備を使用し、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力1.2kg/cm2、単孔吐出量0.1g/孔・分、口金における紡糸孔数2850個(1列配置)にて、上記(1)で製造した不織布層(B)[不織布層(B)用の不織布シート]の上にメルトブロー紡糸を行って不織布層(A)を形成し、不織布層(A)/不織布層(B)からなる複合繊維シートを製造した。
(3) 上記(2)の(ii)で得られた複合繊維シートについて、複合繊維シートの厚み、複合繊維シートにおける不織布層(A)の目付および厚み、不織布層(A)を構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所数、不織布層(B)の厚み、複合繊維シート、不織布層(A)および不織布層(B)の密度、複合繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 一般的なエレクトレット設備を使用して、上記(2)の(ii)で得られた複合繊維シートに、針状電極とロール電極間の距離25mm、印加電圧−25KV、温度80℃の条件下でエレクトレット加工を施して、帯電複合繊維シートを製造した。
(5) 上記(4)で得られた帯電複合繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)において、不織布層(B)[不織布層(B)用の不織布シート]の目付を20g/m2に変え、実施例1の(2)の(ii)において不織布層(A)の目付を1.0g/m2に変えた以外は、実施例1と同じ操作を行なって、不織布層(A)/不織布層(B)からなる複合繊維シートを製造した。
(2) 上記(1)で得られた複合繊維シートについて、複合繊維シートの厚み、複合繊維シートにおける不織布層(A)の目付および厚み、不織布層(A)を構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所数、不織布層(B)の厚み、複合繊維シート、不織布層(A)および不織布層(B)の密度、複合繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた複合繊維シートに、実施例1の(4)と同様にしてエレクトレット加工を行なって、帯電複合繊維シートを製造した。
(4) 上記(3)で得られた帯電複合繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) 不織布層(B)用の不織布シートとして、ポリプロピレン繊維製のスパンボンド不織布(目付30g/m2、厚み0.26mm、不織布シートを構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径15μm)を使用し、当該スパンボンド不織布上へのメルトブロー紡糸による不織布層(A)の形成を、不織布層(A)の目付が5g/m2および不織布層(A)の厚みが0.05mmになるようにして行なった以外は、実施例1の(2)と同様に行なって、不織布層(A)/不織布層(B)からなる複合繊維シートを製造した。
(2) 上記(1)で得られた複合繊維シートについて、複合繊維シートの厚み、複合繊維シートにおける不織布層(A)の目付および厚み、不織布層(A)を構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所数、不織布層(B)の厚み、複合繊維シート、不織布層(A)および不織布層(B)の密度、複合繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)で得られた複合繊維シートに、実施例1の(4)と同様にしてエレクトレット加工を施して、帯電複合繊維シートを製造した。
(4) 上記(3)で得られた帯電複合繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例2》
(1) ポリプロピレン(MFR=700g/10分)を、一般的なメルトブロー設備を使用し、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力1.2kg/cm2、単孔吐出量0.4g/孔・分、口金における紡糸孔数2850個(1列配置)、捕集距離30cmにてメルトブロー紡糸を行い、下記の表1に示す目付および平均繊維径を有する不織布層(B)[不織布層(B)用の不織布シート]を製造した。
(2)(i) ポリプロピレン(α)(MFR=50g/10分)80質量部に、実施例1で使用したのと同じ銀系無機抗菌剤微粒子(東亞合成社製「ノバロンAG300」、平均粒径1μm、略立方体形)20質量部を配合して、銀系無機系抗菌剤微粒子を含有するマスターバッチを調製した。
(ii) 上記(i)で調製したマスターバッチと、ポリプロピレン(β)(MFR=700g/10分)を、マスターバッチ:ポリプロピレン(β)=1:1の質量比で混合し、一般的なメルトブロー設備を使用し、実施例1の(2)の(ii)と同じ条件を採用して、上記(1)で製造した不織布層(B)[不織布層(B)用の不織布シート]の上にメルトブロー紡糸して不織布層(A)を形成し、不織布層(A)/不織布層(B)からなる複合繊維シートを製造した。
(3) 上記(2)の(ii)で得られた複合繊維シートについて、複合繊維シートの厚み、複合繊維シートにおける不織布層(A)の目付および厚み、不織布層(A)を構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、不織布層(A)における無機系抗菌剤微粒子の露出箇所数、不織布層(B)の厚み、複合繊維シート、不織布層(A)および不織布層(B)の密度、複合繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 上記(2)の(ii)で得られた複合繊維シートに、実施例1の(4)と同様にしてエレクトレット加工を施して、帯電複合繊維シートを製造した。
(5) 上記(4)で得られた帯電複合繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
《比較例3》
(1)(i) ポリプロピレン(α)(MFR=50g/10分)80質量部に、実施例1で使用したのと同じ銀系無機抗菌剤微粒子(東亞合成社製「ノバロンAG300」、平均粒径1μm、略立方体形)20質量部を配合して、銀系無機系抗菌剤微粒子を含有するマスターバッチを調製した。
(ii) 上記(i)で調製したマスターバッチと、ポリプロピレン(β)(MFR=700g/10分)を、マスターバッチ:ポリプロピレン(β)=1:1の質量比で混合し、一般的なメルトブロー設備を使用し、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力1.2kg/cm2、単孔吐出量0.4g/孔・分、口金における紡糸孔数2850個(1列配置)にて、メルトブロー紡糸を行って、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリプロピレン繊維から構成させる繊維シート[不織布層(A)単独の繊維シート]を製造した。
(2) 上記(1)の(ii)で得られた繊維シートについて、繊維シートの厚み、目付、密度、繊維シートを構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、繊維シートにおける無機系抗菌剤微粒子の露出箇所、繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)の(ii)で得られた繊維シートに、実施例1の(4)と同様にしてエレクトレット加工を施して、帯電繊維シートを製造した。
(4) 上記(3)で得られた帯電繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
《参考例1》
(1)(i) ポリプロピレン(α)(MFR=700g/10分)80質量部に、実施例1で使用したのと同じ銀系無機抗菌剤微粒子(東亞合成社製「ノバロンAG300」、平均粒径1μm、略立方体形)20質量部を配合して、銀系無機系抗菌剤微粒子を含有するマスターバッチを調製した。
(ii) 上記(i)で調製したマスターバッチと、ポリプロピレン(β)(MFR=700g/10分)を、マスターバッチ:ポリプロピレン(β)=1:9の質量比で混合し、一般的なメルトブロー設備を使用し、紡糸温度280℃、エア温度290℃、エア圧力1.2kg/cm2、単孔吐出量0.1g/孔・分、口金における紡糸孔数2850個(1列配置)にて、メルトブロー紡糸を行って、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリプロピレン繊維から構成させる繊維シート[不織布層(A)単独の繊維シート]を製造した。
(2) 上記(1)の(ii)で得られた繊維シートについて、繊維シートの厚み、目付、密度、繊維シートを構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径、繊維シートにおける無機系抗菌剤微粒子の露出箇所、繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(3) 上記(1)の(ii)で得られた繊維シートに、実施例1の(4)と同様にしてエレクトレット加工を施して、帯電繊維シートを製造した。
(4) 上記(3)で得られた帯電繊維シートについて、その塵埃捕集効率、圧損、通気度、抗菌性、抗ウィルス性の測定または評価を上記した方法で行なったところ、下記の表1に示すとおりであった。
Figure 2011038195
上記の表1にみるように、実施例1および2の複合繊維シートは、上記した要件《2a》〜《2e》および要件《3a》〜《3c》を備えていることによって、複合繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量が0.15g/m2または0.10g/m2と少ないにも拘わらず、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量が0.34g/m2と多い参考例1の繊維シートと同じように、静菌活性値が高くて抗菌性に優れており、しかも抗ウィルス性にも優れている。さらに、実施例1および2の複合繊維シートは、粉塵捕集効率値が高く、圧損が小さく、通気度が大きく、フィルタ性能に優れている。
それに対して、比較例1の複合繊維シートは、不織布層(B)を構成するポリプロピレン繊維の平均繊維径が15.2μmと大き過ぎて本発明における要件《3a》を備えておらず、更に不織布層(B)の目付が35g/m2と大きすぎて本発明における要件《3b》を備えていないために、粉塵捕集効率および通気度が実施例1および2の複合繊維シートに比べて小さく、フィルタ性能に劣っている。
また、比較例2の複合繊維シートおよび比較例3の繊維シートは、不織布層(A)(繊維シート)を構成するポリプロピレン繊維の表面からの無機系抗菌剤微粒子の露出が少なくて本発明における要件《3e》を備えていないために、特に比較例3の繊維シートは繊維シートの単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量が1.80g/m2と多いにも拘わらず、実施例1および2の複合繊維シートに比べて、抗菌性(静菌活性値)が低く、あさらに抗ウィルス性にも劣っている。
また、参考例1の繊維シートは、実施例1および2の複合繊維シートと同じように高い抗菌性および抗ウィルス性を有しているが、実施例1および2の複合繊維シートに比べて、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の含有量が多く、また圧損が大きく、通気度が小さい。
本発明の複合繊維シートは、単位面積当りの無機系抗菌剤微粒子の使用量が少なくて、複合繊維シート全体では無機系抗菌剤微粒子の使用割合が低減しているにも拘わらず、高い抗菌作用を安定的に長期にわたって発揮すると共に、有害微生物や塵埃などの捕集性に優れ、圧損が低くて、良好なフィルタ性能を有し、しかも強度、軽量性などの点でも優れており、医療用品、衛生用品、食品包材、液体用フィルタ、気体フィルタなどの、高い抗菌効果や衛生性、高いフィルタ性能が求められる各種用途に有効に使用することができる。

Claims (7)

  1. 《1》 無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂組成物から製造したポリオレフィン繊維(a)から構成される不織布層(A)と、無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン繊維(b)から構成される不織布層(B)とが積層した複合繊維シートであって、
    《2》 前記不織布層(A)が、
    《2a》不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)における無機系抗菌剤微粒子の含有割合が5〜20質量%;
    《2b》不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)の平均繊維径が0.1〜3μm;
    《2c》目付が0.1〜5g/m2
    《2d》厚みが0.01〜0.1mm;および、
    《2e》不織布層(A)の面積1.0×10-2mm2当たりにつき、無機系抗菌剤微粒子の体積の1/100以上がポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有するか、または無機系抗菌剤微粒子が0.01μm2以上の面積でポリオレフィン繊維(a)の表面に露出している箇所を1箇所以上の割合で有する;
    という要件《2a》〜《2e》を備え、且つ、
    《3》 前記不織布層(B)が、
    《3a》不織布層(B)を構成するポリオレフィン繊維(b)の平均繊維径が0.5〜10μm;
    《3b》目付が5〜30g/m2;および、
    《3c》厚みが0.1〜0.3mm;
    という要件《3a》〜《3c》を備えることを特徴とする複合繊維シート。
  2. 不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)が含有する無機系抗菌剤微粒子の平均粒径が0.01〜10μmである請求項1に記載の複合繊維シート。
  3. [不織布層(A)の目付]:[不織布層(B)の目付]の比が、1:100〜1:5である請求項1または2に記載の複合繊維シート。
  4. 密度が0.05〜0.12g/cm3である請求項1〜3のいずれか1項に記載された複合繊維シート。
  5. 不織布層(A)を構成するポリオレフィン繊維(a)が、無機系抗菌剤微粒子を含有するポリオレフィン系樹脂(α)と無機系抗菌剤微粒子を含有しないポリオレフィン系樹脂(β)を混合したポリオレフィン系樹脂組成物であって且つポリオレフィン系樹脂(α)のメルトフローレート(MFRα)(g/10分)とポリオレフィン系樹脂(β)のメルトフローレート(MFRβ)(g/10分)の差の絶対値が下記の数式(1)を満足するポリオレフィン系樹脂組成物から形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合繊維シート。

    0≦|MFRα−MFRβ|≦600 (1)

    [但し、MFRαおよびMFRβは、いずれも、JIS K 7210に従って、温度230℃、荷重2.16kg、測定時間10分の条件下に測定したときのメルトフローレート(単位:g/10分)である。]
  6. 不織布層(A)および不織布層(B)が、メルトブロー法によって製造した不織布よりなる層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合繊維シート。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合繊維シートを用いたフィルタ。
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