JP2011037642A - 透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度を有する透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】カラー液晶プロジェクターに含まれる防塵窓は、スピネルからなる母相21と、母相21中に分散したアルミナ粒子22とを備えた透光性スピネルセラミックス20からなっている。これにより、透光性スピネルセラミックス20は、母相21中に強度の高いアルミナ粒子22が分散した構造を有する粒子分散型複合材料となる。その結果、防塵窓をカラー液晶プロジェクターにセットする際における機械的な応力等による欠けや傷などの損傷の発生が抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法に関し、より特定的には、高い強度を有する透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法に関するものである。
一般に、液晶表示装置においては、液晶の表面を汚れや外気から保護する目的で、当該表面に何らかの保護層が配置される。たとえば、液晶表示装置がパーソナルコンピュータのモニタ等として使用される場合、上記保護層として透明プラスチックを採用することにより、十分な効果が得られる。一方、液晶表示装置が携帯電話機の画面として使用される場合、より高い強度が要求されることを考慮して、上記保護層としてはガラス等が用いられる場合がある。
最近では、このような液晶画面の表裏を透明化して液晶パネルとし、当該液晶パネルに一方から光を当て、レンズ等で透過光を調整した液晶プロジェクターが市販されている。このような液晶プロジェクターにおいて液晶を保護するために配置される透明基板には、単に液晶を汚れや外気から保護する機能だけでなく、近接して配置される光源の熱から液晶を保護し、かつ放熱する機能も求められる。また、透明基板自身の温度も上昇するため、耐熱性も必要とされる。
上述のような用途に用いられる透明基板の素材としては、たとえばガラスを用いることが考えられる。また、ガラスからなる透明基板に対して熱伝導性を20〜30倍向上させる単結晶サファイアを透明基板の素材として使用することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、単結晶サファイアを透明基板の材料として採用した場合、単結晶サファイアには複屈折なる特性があるため、組み立て時に結晶軸の方位を合わせる等の複雑な作業が必要になるという問題がある。また、単結晶サファイアは高価であるという問題もある。
これに対し、上記透明基板の材料として、安価な焼結セラミックスであるスピネルセラミックスが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。このスピネルセラミックスは熱伝導率が高く、かつ透明な材料である。そのため、上記透明基板の素材として使用可能である。
特開2000−284700号公報 特開2007−65696号公報
しかしながら、スピネルセラミックスは一般的に強度があまり高くないため、たとえば光学基板としてプロジェクター装置にセットする際の機械的な応力等により、基板が欠けたり傷がついたりしてしまうという課題があった。
そこで、本発明の目的は、高い強度を有する透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法を提供することである。
本発明に従った透光性スピネルセラミックスは、スピネルからなる母相と、母相中に分散したアルミナ粒子とを備えている。
上記透光性スピネルセラミックスにおいては、アルミナ粒子が3mol%以上50mol%以下を占めるものとすることができる。
上記透光性スピネルセラミックスにおいては、アルミナ粒子の平均粒径は30nm以下とすることができる。
上記透光性スピネルセラミックスにおいては、上記母相は、MgAl、ZnAl、またはMgAlとZnAlとの固溶体からなっていてもよい。
上記透光性スピネルセラミックスにおいて好ましくは、3点曲げ強度が460MPa以上である。
また、液晶プロジェクター用光学素子の材料として、上記透光性スピネルセラミックスを用いることができる。つまり、カラー液晶プロジェクターなどの液晶プロジェクター用光学素子は、上記透光性スピネルセラミックスからなるものとすることができる。
また、透明基板の材料として、上記透光性スピネルセラミックスを用いることができる。つまり、たとえばカラー液晶プロジェクターなどの液晶プロジェクター用光学素子として使用可能な透明基板は、上記透光性スピネルセラミックスからなるものとすることができる。
なお、本願においてスピネルとは、ABの組成を基本構造として持つ化合物をいうが(ここで、AおよびBは任意の元素、Oは酸素を示す)、元素AおよびBが過剰、もしくは不足したいわゆる固溶体も含む。
本発明に従った透光性スピネルセラミックスの製造方法は、スピネルの化学量論組成に比べてAlに富む配合割合となるように原料粉末を混合して混合粉末を作製する工程と、混合粉末を成形して成形体を作製する工程と、成形体を焼結して焼結体を作製する工程と、焼結体をHIP処理することにより高密度焼結体を作製した後、高密度焼結体を急冷する工程と、急冷された高密度焼結体にα型アルミナ粒子を析出させる工程とを備えている。
上記透光性スピネルセラミックスの製造方法においては、高密度焼結体を急冷する工程では、1000℃/min以上の冷却速度で冷却が実施されてもよい。
上記透光性スピネルセラミックスの製造方法においては、α型アルミナ粒子を析出させる工程では、高密度焼結体に対して熱処理が実施されることによりα型アルミナ粒子を析出させてもよい。
上記透光性スピネルセラミックスの製造方法においては、α型アルミナ粒子を析出させる工程では、高密度焼結体に対してレーザーを照射することによりα型アルミナ粒子を析出させてもよい。
上記透光性スピネルセラミックスの製造方法においては、α型アルミナ粒子を析出させる工程では、高密度焼結体は900℃以上1100℃以下の温度に加熱されてもよい。
上記透光性スピネルセラミックスの製造方法においては、成形体を作製する工程では、原料粉末に含まれるスピネルを構成する金属元素としてAlと、MgおよびZnの少なくともいずれか一方とが採用されてもよい。
本発明の透光性スピネルセラミックスは、母相中に強度の高いアルミナ粒子が分散した構造を有する粒子分散型複合材料となっている。そのため、本発明の透光性スピネルセラミックスによれば、高い強度を有する透光性スピネルセラミックスを提供することができる。また、本発明の透光性スピネルセラミックスの製造方法によれば、容易に上記本発明の透光性スピネルセラミックスを製造することができる。
カラー液晶プロジェクターの構造を示す概略図である。 透光性スピネルセラミックスの構造を示す概略図である。 透光性スピネルセラミックスの製造方法の概略を示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の一実施の形態におけるカラー液晶プロジェクター100においては、メタルハライドランプやキセノンランプなどの光源1から出射された光は、リフレクター2により反射され、紫外線カットフィルター3などを透過した後、インテグレータ偏光変換光学系4に導かれる。インテグレータ偏光変換光学系4を通過した光は、光の波長に応じて透過する光と反射する光とを選択可能なダイクロイックミラー5により、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に分解される。次に、3原色に分解された光のそれぞれは、必要に応じて全反射ミラー6において反射され、偏光板7および防塵窓8を通過した後、液晶パネル11を通過し、クロスダイクロイックプリズム9において合成される。そして、合成された光は、投射レンズ系10を通して、カラー液晶プロジェクター100の外部に投射されることにより、画像の投影が実現される。
ここで、上記カラー液晶プロジェクター100に含まれる防塵窓8などの光学素子には、透光性を確保しつつ、近接して配置される光源1の熱から液晶パネル11を保護し、かつ放熱する機能も求められる。また、光源1の熱によって温度も上昇するため、防塵窓8には耐熱性が求められる。さらに、防塵窓8は、カラー液晶プロジェクター100にセットする際の機械的な応力等によって、欠けたり傷がついたりすることが抑制される程度の強度も必要とされる。これに対し、本実施の形態における光学素子である防塵窓8は、以下に示す構成を有する透明基板であることにより、当該要求に対応することが可能となっている。
すなわち、カラー液晶プロジェクター100に含まれる防塵窓8は、図2を参照して、スピネルからなる母相21と、母相21中に分散したアルミナ粒子22とを備えた透光性スピネルセラミックス20からなっている。母相21を構成するスピネルは、熱伝導率が高く、かつ透明な材料である。そのため、防塵窓8は、透光性を確保しつつ、近接して配置される光源1の熱から液晶パネル11を保護し、かつ放熱する機能を有している。また、上記透光性スピネルセラミックス20からなっていることにより、防塵窓8は、十分な耐熱性も有している。さらに、上記透光性スピネルセラミックス20は、母相21中に強度の高いアルミナ粒子22が分散した構造を有する粒子分散型複合材料となっているため、高い強度が実現されている。その結果、防塵窓8は、カラー液晶プロジェクター100にセットする際の機械的な応力等による欠けや傷などの損傷の発生が抑制されている。
ここで、上記透光性スピネルセラミックス20においては、アルミナ粒子22が分散していることにより強度が向上しているが、透光性スピネルセラミックス20に占めるアルミナ粒子22の割合を3mol%以上とすることにより、より確実に透光性スピネルセラミックス20の強度を向上させることができる。一方、透光性スピネルセラミックス20に占めるアルミナ粒子22の割合が50mol%を超えると、アルミナ粒子が独立して存在しにくくなり、可視光を散乱させる結果、光の透過率が低下するおそれがある。そのため、上記透光性スピネルセラミックス20においては、透光性スピネルセラミックス20に占めるアルミナ粒子22の割合が3mol%以上50mol%以下であることが好ましい。
また、上記透光性スピネルセラミックス20においてアルミナ粒子の平均粒径が30nmを超えると、光の透過率が低下するおそれがある。そのため、上記透光性スピネルセラミックス20においては、アルミナ粒子22の平均粒径は30nm以下とすることが好ましい。
さらに、上記透光性スピネルセラミックス20においては、母相21は、MgAl、ZnAl、またはMgAlとZnAlとの固溶体からなっていることが好ましい。これにより、原料の入手が容易となり、安価な透光性スピネルセラミックス20からなる防塵窓8を提供することができる。特にZnOは安価で入手しやすいという利点がある。
また、上記透光性スピネルセラミックス20においては、3点曲げ強度が460MPa以上であることが好ましい。これにより、当該透光性スピネルセラミックス20からなる防塵窓8に十分な強度を付与することができる。
次に、本実施の形態における透光性スピネルセラミックス20からなる防塵窓8の製造方法の一例を説明する。なお、ここでは、母相21を構成するスピネルとしてマグネシウム−アルミニウム系スピネルであるMgAlが採用される場合を例として説明するが、母相21として採用可能なスピネルこれに限られない。
図3を参照して、本実施の形態における防塵窓8の製造方法においては、まず、工程(S10)として原料粉末混合工程が実施される。この工程(S10)では、たとえば一般的に入手が容易なマグネシア粉末とアルミナ粉末とを用意し、これらを混合することにより、混合粉末とする。混合方法は任意の方法を採用することができるが、たとえばボールミル等を用いて混合する方法を採用することができる。このとき、スピネルとしての化学量論組成(MgAl)よりもAlに富むように(すなわちアルミナに富むように)、マグネシア粉末とアルミナ粉末とを混合する。なお、原料粉末としては、上述のような酸化物以外に、水酸化物、塩化物などを採用することも可能であるが、安定で扱い易い酸化物を採用することが好ましい。また、マグネシア粉末とアルミナ粉末との混合比を変化させることにより、最終的に析出させるアルミナの量を制御することができる。
次に、工程(S20)として成形工程が実施される。この工程(S20)では、工程(S10)において作製された混合粉末が成形され、防塵窓8の形状に対応した形状を有する成形体が作製される。混合粉末の成形は、たとえば一般的なプレス成形により実施することができる。
次に、工程(S30)として焼結工程が実施される。この工程(S30)では、工程(S20)において作製された成形体が、たとえば1700℃程度に加熱されて焼結されることにより緻密化が進行した焼結体が作製される。この時点で、当該焼結体には数%程度の気孔が存在する。
次に、工程(S40)としてHIP処理工程が実施される。この工程(S40)では、工程(S30)において作製された焼結体がHIP(Hot Isostatic Press;熱間静水圧焼結)処理されることにより、高密度焼結体が作製される。これにより、上記焼結体に存在する気孔の割合が低下する。HIP処理における加熱温度は、たとえば1800℃以上とすることができる。
次に、工程(S50)として加熱−急冷工程が実施される。この工程(S50)では、工程(S40)において作製された高密度焼結体が、上記HIP処理における加熱温度と同程度の温度に加熱された後、急冷される。
ここで、HIP処理と同程度の温度(たとえば1800℃以上の温度)に加熱されると、上記高密度焼結体はスピネル(MgAl)にアルミナ(Al)が固溶したスピネル固溶体となっている。MgAl中に固溶可能なAlの割合は、室温では極めて小さく2〜3mol%程度であるが、温度が高くなるに従って固溶可能なAlの割合が増大する。そのため、HIP処理と同程度の温度に加熱されると、上述のようにスピネルとしての化学量論組成(MgAl)よりもAlに富むように原料粉末が調整されて作製された上記高密度焼結体においては、MgAl中に過剰なAlが十分に固溶する。そして、この状態から適切な急冷を行なうことにより、Alが析出しない状態で上記高密度焼結体を室温程度にまで冷却することができる。この状態では、上記高密度焼結体は、いわば過飽和状態のスピネル固溶体となっている。
次に、工程(S60)としてα型アルミナ粒子析出工程が実施される。この工程(S60)では、工程(S50)において急冷された高密度焼結体に、Alを析出させる処理が実施される。具体的には、たとえば急冷された上記高密度焼結体を熱処理炉内に装入し、スピネル中に固溶可能なアルミナの割合が低い温度域に加熱する。これにより、高密度焼結体内にアルミナ粒子が析出する。析出するアルミナはcorundumと呼ばれるα型アルミナである。その後、必要に応じて仕上げ加工などが実施されることにより、本実施の形態における透光性スピネルセラミックスからなる防塵窓の製造が完了する。
ここで、工程(S50)における冷却速度が十分でない場合、冷却過程においてスピネル固溶体からAl粒子が析出し、析出したAl粒子同士が合体して粒成長する。その結果、透光性スピネルセラミックスの透光性が低下する。これに対し、当該冷却速度を1000℃/min以上とすることにより、高い透光性をより確実に実現することができる。
また、工程(S60)において、加熱温度が900℃未満では、アルミナ粒子の析出が起こりにくくなる。一方、加熱温度が1100℃を超えると、析出するアルミナ粒子が成長して粒径が大きくなり、可視光の散乱率が高くなるため、得られる透光性スピネルセラミックスの透明度が低下する。したがって、工程(S60)における加熱温度は900℃以上1100℃以下とすることが好ましい。
さらに、防塵窓8が薄く、光が透過しやすい場合、上記工程(S60)における熱処理炉を用いた加熱処理に代えて、高密度焼結体に対するレーザー照射を実施してα型アルミナ粒子を析出させてもよい。レーザー照射を行なうことにより、極めて短時間で高密度焼結体の温度が上昇するため、アルミナが微粒になりやすく、防塵窓8に高い透光性を付与することが容易となる。
このようにして製造されることにより微小なα型アルミナ粒子が析出した透光性スピネルセラミックスは、高い強度を有する。焼結法で作製した、MgAlセラミックスは、強度改善のために焼結体の表面の欠陥除去処理(一般には1000℃程度で熱処理する)を行っても、3点曲げ強度は420MPa程度であるが、本発明品はより高い強度が得られる。また、高強度化と同時に、高硬度も達成される。
なお、上記実施の形態においては、工程(S40)においてHIP処理を実施した後、工程(S50)において加熱した上で急冷するプロセスについて説明したが、本発明の透光性スピネルセラミックスの製造方法はこれに限られない。たとえば、工程(S40)においてHIP処理を実施した後、室温まで冷却することなく、そのままHIP装置内において高密度焼結体を急冷するプロセスを採用してもよい。
また、上記実施の形態においては、スピネルとしてMgAlが採用される場合について説明したが、本発明の透光性スピネルセラミックスはこれに限られず、たとえばZnAlや、これらの固溶体であるMg(1−x)ZnAlで示される固溶体スピネルなどを採用することもできる。
種々の製造プロセスにより製造した透光性スピネルセラミックスについて特性を調査する実験を行なった。まず、試料となる透光性スピネルセラミックスの製造方法について説明する。
試料の製造は、上記実施の形態において説明した透光性スピネルセラミックスの製造方法と同様の手順で行なった。具体的には、図3を参照して、工程(S10)では原料粉末として平均粒径0.3μmのMgO、ZnOおよびAlの粉末を準備し、これらを所定の割合で混合することにより混合粉末を作製した。なお、原料粉末は全て純度99.99%以上のものを用いた。
次に、工程(S20)では、上記原料粉末を圧力250kg/cmの条件下で成形し、直径20mm、厚さ5mmの成形体を作製した。さらに、工程(S30)では、当該成形体を焼結炉に装填し、大気雰囲気、大気圧の条件下で各種温度に加熱し、2時間保持することにより焼結処理し、焼結体を得た。さらに、工程(S40)では、当該焼結体をAr(アルゴン)ガス中において800℃/hrの昇温速度で所定の温度まで昇温し、各種圧力下で1時間保持してHIP処理を行って、高密度焼結体を得た。
その後、工程(S50)では、高密度焼結体を一旦室温まで冷却してHIP装置から取り出した。さらに、当該高密度焼結体を大気炉に入れてHIP処理温度と同温度まで加熱し、その後各種冷却速度で室温まで冷却した。そして、工程(S60)では、熱処理炉内に高密度焼結体を装入して所定温度に加熱し、所定時間保持する熱処理を実施することにより試料を完成させた。また、工程(S60)において、上記熱処理に代えて、高密度焼結体にエキシマレーザーを60秒間照射した試料も作製した。この場合のレーザーの強度は11.6MW/cmとした。
次に、上記試料の評価方法を説明する。TEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)を用いて試料の組織を観察し、析出している粒子の格子像から粒子を同定するとともに、その平均粒径を測定した(以下の表1において「アルミナ粒径」と表示)。また、試料の質量、体積から真密度を計算した。一方で、各種スピネルとアルミナの真密度を用いて、スピネル−アルミナ系複合材料が構成された場合の理論密度を計算した。そして、試料の真密度と理論密度とから試料中のアルミナの含有量を計算した。原料粉末の組成から算出した粒子の析出量に基づき、相対密度を算出した。さらに、試料を3mm×4mm×50mmの直方体形状に加工し、30mmスパンの3点曲げ強度を測定した(以下の表1において「曲げ強度」と表示)。また、試料を厚み1mmに加工した後、ダイヤモンドスラリーを用いて鏡面研磨を行ない、分光光度計にて直線透過率(t=1.0mm)を測定した。ここで、上記試料に対する波長420nm〜680nmの光(可視光線に対応する)の直線透過率は420nmにおいて最も低くなった。そのため、各試料について、波長420nmの光の直線透過率を測定した(以下の表1において「透過率」と表示)。表1に試料の作製条件および評価結果を示す。
Figure 2011037642
表1を参照して、MgOとAlとをMgAlの化学量論組成に一致するように混合した比較例1の試料においては、母相中にアルミナ粒子が分散していない。その結果、曲げ強度は422MPaとなっており、十分な強度が得られなかった。
これに対し、MgOとAlとをMgAlの化学量論組成に対してAlに富むように混合した実施例1〜15に試料においては、母相中に分散したアルミナ粒子が確認された。その結果、実施例の試料における曲げ強度は、上記比較例の試料の曲げ強度に比べて高くなっており、本発明の透光性スピネルセラミックスは高い強度を有していることが確認された。
さらに、アルミナ粒子が占める割合が3mol%未満である実施例1は、他の実施例に比べて強度が低くなっている。また、アルミナ粒子が占める割合が50mol%を超える実施例8は、他の実施例に比べて透過率が低くなっている。このことから、透光性スピネルセラミックスにおいてアルミナ粒子が占める割合は、3mol%以上50mol%以下とすることが好ましいことが確認された。
また、アルミナ粒子の平均粒径が30nmを超える実施例4、7および8の透過率は、他の実施例の透過率に比べて小さくなっている。このことから、アルミナ粒子の平均粒径は30nm以下とすることが好ましいといえる。
さらに、アルミナ粒子を析出させる際に、炉内での加熱に代えてレーザー照射を採用した実施例15は、加熱温度を特定することはできなかったが、他の実施例に比べて高い強度を有している。これは、炉内で加熱される場合に比べて極めて短時間で高密度焼結体の温度が上昇したため、アルミナ粒子の粒径が非常に小さくなっており、その結果高い強度が実現されたものと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法は、強度の向上が求められる透光性スピネルセラミックスおよびその製造方法に、特に有利に適用され得る。
1 光源、2 リフレクター、3 紫外線カットフィルター、4 インテグレータ偏光変換光学系、5 ダイクロイックミラー、6 全反射ミラー、7 偏光板、8 防塵窓、9 クロスダイクロイックプリズム、10 投射レンズ系、11 液晶パネル、20 透光性スピネルセラミックス、21 母相、22 アルミナ粒子、100 カラー液晶プロジェクター。

Claims (11)

  1. スピネルからなる母相と、
    前記母相中に分散したアルミナ粒子とを備えた、透光性スピネルセラミックス。
  2. 前記アルミナ粒子が3mol%以上50mol%以下を占める、請求項1に記載の透光性スピネルセラミックス。
  3. 前記アルミナ粒子の平均粒径は30nm以下である、請求項1または2に記載の透光性スピネルセラミックス。
  4. 前記母相は、MgAl、ZnAl、またはMgAlとZnAlとの固溶体からなっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光性スピネルセラミックス。
  5. 3点曲げ強度が460MPa以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光性スピネルセラミックス。
  6. スピネルの化学量論組成に比べてAlに富む配合割合となるように原料粉末を混合して混合粉末を作製する工程と、
    前記混合粉末を成形して成形体を作製する工程と、
    前記成形体を焼結して焼結体を作製する工程と、
    前記焼結体をHIP処理することにより高密度焼結体を作製した後、前記高密度焼結体を急冷する工程と、
    急冷された前記高密度焼結体にα型アルミナ粒子を析出させる工程とを備えた、透光性スピネルセラミックスの製造方法。
  7. 前記高密度焼結体を急冷する工程では、1000℃/min以上の冷却速度で冷却が実施される、請求項6に記載の透光性スピネルセラミックスの製造方法。
  8. 前記α型アルミナ粒子を析出させる工程では、前記高密度焼結体に対して熱処理が実施されることにより前記α型アルミナ粒子を析出させる、請求項6または7に記載の透光性スピネルセラミックスの製造方法。
  9. 前記α型アルミナ粒子を析出させる工程では、前記高密度焼結体に対してレーザーを照射することにより前記α型アルミナ粒子を析出させる、請求項6または7に記載の透光性スピネルセラミックスの製造方法。
  10. 前記α型アルミナ粒子を析出させる工程では、前記高密度焼結体は900℃以上1100℃以下の温度に加熱される、請求項6〜9のいずれか1項に記載の透光性スピネルセラミックスの製造方法。
  11. 前記成形体を作製する工程では、前記原料粉末に含まれるスピネルを構成する金属元素としてAlと、MgおよびZnの少なくともいずれか一方とが採用される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の透光性スピネルセラミックスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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