JP2011037034A - 多層表示体及び多層表示体の製造方法 - Google Patents

多層表示体及び多層表示体の製造方法 Download PDF

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雄介 平野
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Abstract

【課題】輝度の高い金属特有の光沢を有し、鮮明な文字及び/又は図柄を表示することができる多層表示体、及びそのような多層表示体の製造方法を提供する。
【解決手段】多層表示体1は、樹脂成形体11と、その一面に設けられた金属層12と、その表面に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層は、平面方向に間隔をおいて位置する厚膜部131と、その周縁に連なる傾斜部132と、隣り合う傾斜部の間の薄膜部133と、を有する表示部13を備える。また、多層表示体の製造方法は、レーザー光を、走査方向が交差するように少なくとも2方向に走査させて樹脂層に照射し、レーザー光の光路のうちの隣り合う光路間に厚膜部を形成し、レーザー光の光路に薄膜部を形成し、且つ厚膜部と薄膜部との間に、厚膜部から薄膜部へと薄膜化している傾斜部を形成する表示部形成工程を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、多層表示体及び多層表示体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、厚膜部と傾斜部と薄膜部とを有する特定の構造の表示部を備え、輝度の高い金属光沢を有する多層表示体、及び樹脂成形体と、金属層と、樹脂層とを備える積層体に、樹脂層の側からレーザー光を照射し、特定の構造であって、輝度の高い金属光沢を有する表示部を形成する多層表示体の製造方法に関する。
金属光沢を有する表示体は、従来、樹脂層の表面に金属層が設けられた基板、及びこの基板の金属層の表面に更に保護用の透光性の樹脂層が設けられた基板等を加工する方法により作製されている。また、この加工はレーザー光の照射によりなされることが多く、レーザー光の照射により、金属層の所定部分が除去され、文字及び/又は図柄が形成され、表示体が作製される。
前記のような表示体として、メッキ等により形成された皮膜にレーザー光を照射し、皮膜が除去された空間を通して更に照射された2以上の異なるエネルギーを有するレーザー光によって、2以上の異なる色調のマーキングが鮮明に形成される多色マーキング付き成形品が知られている(例えば、特許文献1参照。)。更に、透明樹脂シートと、その内部に配置される金属装飾層とを備え、透明樹脂シートの外表面に金属調の加工溝を有する多層成形体も知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、熱可塑性樹脂の表面に、発泡白色隆起のためのレーザー光照射をし、その後、レーザー光を遮断し、マーキングする方法も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2006−82304号公報 特開2006−256032号公報 特開昭62−13287号公報
しかし、特許文献1に記載された多色マーキング付き成形品では、多色発色レーザーマーキング用成形品が金属膜を備えていたとしても、この金属膜の所定部分がレーザー光の照射により除去されており、全体が十分な金属光沢を有する成形体とすることはできない。また、特許文献2に記載された多層成形体では、透明樹脂シートの外表面に金属調の加工溝が形成された形態であり、全体が十分に輝度の高い金属光沢を有する成形体とすることはできない。更に、特許文献3に記載されたマーキング方法では、樹脂の発泡白色隆起をマーキングに利用しているため、金属光沢を有するマーキングを形成することはできない。
本発明は、厚膜部と傾斜部と薄膜部とを有する特定の構造の表示部を備え、輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を提供することを目的とする。また、本発明は、樹脂成形体と、金属層と、樹脂層とを備える積層体に、樹脂層の側からレーザー光を走査方向が交差するようにして照射し、樹脂の一部を除去することにより、特定の構造であって、輝度の高い金属光沢を有する表示部を備える多層表示体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.樹脂成形体と、該樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた樹脂層と、を備える多層表示体であって、前記樹脂層は、平面方向に間隔をおいて位置する厚膜部と、該厚膜部の周縁に連なる傾斜部と、隣り合う該傾斜部の間の薄膜部と、を有する表示部を備えることを特徴とする多層表示体。
2.前記厚膜部と前記傾斜部との境界部及び該傾斜部と前記薄膜部との境界部、の各々の厚さ方向の断面が円弧状をなしている前記1.に記載の多層表示体。
3.前記傾斜部は凹部及び凸部のうちの少なくとも一方を有し、該凹部及び該凸部の径方向の最大寸法が1〜40μmである前記1.又は2.に記載の多層表示体。
4.前記凹部及び前記凸部の個数が、各々の前記傾斜部当たり5〜50個である前記3.に記載の多層表示体。
5.前記厚膜部の厚さが10〜15μmであり、且つ前記薄膜部の厚さが1.0〜3.0μmである前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
6.前記厚膜部の平面方向の寸法が40〜500μmである前記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
7.前記傾斜部の幅が20〜60μmである前記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
8.隣り合う前記傾斜部間の最短寸法が20〜120μmである前記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
9.樹脂成形体と、該樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた樹脂層と、を有する積層体に、該樹脂層の側からレーザー光を照射し、該樹脂層に表示部を形成する表示部形成工程を備える多層表示体の製造方法であって、前記表示部形成工程では、前記レーザー光を、走査方向が交差するように少なくとも2方向に走査させて前記樹脂層に照射し、該レーザー光の光路に薄膜部を形成し、隣り合う光路の間に厚膜部を形成し、且つ該厚膜部と該薄膜部との間に、該厚膜部から該薄膜部へと薄膜化している傾斜部を形成することを特徴とする多層表示体の製造方法。
10.前記レーザー光を20〜90°の角度をなす2方向に走査させて照射する前記9.に記載の多層表示体の製造方法。
11.前記レーザー光のスポット径が80〜200μmであり、且つ該レーザー光の光路のうちの同方向であって、且つ隣り合う光路の各々の中心線の間の距離(L)と、該スポット径(D)との比(L/D)が1.5〜3.5である前記9.又は10.に記載の多層表示体の製造方法。
12.前記樹脂層の厚さが10〜15μmである前記9.乃至11.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
13.前記金属層はめっき法又は蒸着法により設けられている前記9.乃至12.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体の製造方法。
14.前記金属層の前記表面に塗料を塗布し、乾燥させて、前記樹脂層を形成し、その後、前記レーザー光を照射して該樹脂層の一部を溶融させ、前記厚膜部、前記薄膜部及び前記傾斜部を形成する前記9.乃至13.のうちのいずれか1項に記載の多層表示体の製造方法。
15.前記塗料がアクリルウレタン樹脂塗料である前記14.に記載の多層表示体の製造方法。
本発明の多層表示体は、金属層の表面に設けられた樹脂層が、厚膜部と傾斜部と薄膜部とを有する表示部を備え、輝度の高い金属光沢を有する。また、この表示部と、文字等を表示する表示部とを併せて備える表示体とすることにより、輝度の高い金属光沢を有し、且つ文字及び/又は図柄が鮮明に表示される多層表示体とすることができる。
更に、厚膜部と傾斜部との境界部及び傾斜部と薄膜部との境界部、の各々の厚さ方向の断面が円弧状をなしている場合は、より輝度の高い表示部を備える多層表示体とすることができる。
また、傾斜部が凹部及び凸部のうちの少なくとも一方を有し、凹部及び凸部の径方向の最大寸法が1〜40μmである場合、及び凹部及び凸部の個数が、各々の傾斜部当たり5〜50個である場合は、凹部及び凸部による光の乱反射によって、より輝度が高く、優れた外観を有する表示部を備える多層表示体とすることができる。
更に、厚膜部の厚さが10〜15μmであり、且つ薄膜部の厚さが1.0〜3.0μmである場合は、例えば、レーザー光の照射により表示部を形成するときに、適量の樹脂が溶融し、流動して、傾斜部が形成され、且つ傾斜部間に適度な厚さの薄膜部が形成されるため、鮮明性に優れ、輝度の高い表示部を備える多層表示体とすることができる。
また、厚膜部の平面方向の寸法が40〜500μmである場合、傾斜部の幅が20〜60μmである場合、及び隣り合う傾斜部間の最短寸法が20〜120μmである場合は、より輝度の高い表示部を備える多層表示体とすることができる。
本発明の多層表示体の製造方法によれば、レーザー光を、走査方向が交差するように走査させて樹脂層の側から照射することにより、隣り合う光路間に形成された厚膜部と、光路に形成された薄膜部と、厚膜部と薄膜部との間に形成された傾斜部と、を有する表示部が容易に形成される。そのため、輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を製造することができる。また、この表示部とともに、文字等を表示する表示部を併せて形成することにより、輝度の高い金属光沢を有し、且つ文字及び/又は図柄が鮮明に表示される多層表示体を容易に製造することができる。
更に、レーザー光を20〜90°の角度をなす2方向に走査させて照射する場合は、より輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を容易に製造することができる。
また、レーザー光のスポット径が80〜200μmであり、且つレーザー光の光路のうちの同方向であって、且つ隣り合う光路の各々の中心線の間の距離(L)と、スポット径(D)との比(L/D)が1.5〜3.5である場合は、適度な間隔で位置する厚膜部と、所定寸法の薄膜部と、所定幅の傾斜部とを有する表示部を形成することができ、より輝度の高い金属光沢を有し、且つより鮮明な表示部を備える多層表示体を製造することができる。
更に、樹脂層の厚さが10〜15μmである場合は、適量の樹脂が溶融し、流動して、所定幅の傾斜部が形成され、且つ傾斜部間に適度な厚さの薄膜部が形成されるため、十分に輝度の高い金属光沢を有し、且つ金属層が樹脂により保護されるため、金属光沢の低下が抑制される多層表示体を製造することができる。
また、金属層がめっき法又は蒸着法により設けられる場合は、一般的な金属層形成方法であって、より容易に、且つ安価に多層表示体を製造することができる。
更に、金属層の表面に塗料を塗布し、乾燥させて、樹脂層を形成し、その後、レーザー光を照射して樹脂層の一部を溶融させ、厚膜部、薄膜部及び傾斜部を形成する場合は、簡易な操作、工程により、より輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を容易に製造することができる。
また、塗料がアクリルウレタン樹脂塗料である場合は、樹脂層を形成した後、時間が経過しても、レーザー光の照射により樹脂層を溶融させることができ、厚膜部、薄膜部及び傾斜部が容易に形成されるため、より輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を製造することができる。
本発明の多層表示体の断面の模式図である。 図1の一部を拡大した図であり、レーザー光のスポット径とピッチとを説明するための模式図である。 図1の多層表示体を正面からみたときの模式図である。 レーザー光の走査方向がなす角度が図3のときより小さく、厚膜部の平面形状が略菱形になっている多層表示体を正面からみたときの模式図である。 実施例1の多層表示体を斜め上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例2の多層表示体を斜め上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例1の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例2の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例1と比べてピッチを小さくした実施例3の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例2と比べてピッチを小さくした実施例4の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例1と比べてピッチを大きくした実施例5の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 実施例2と比べてピッチを大きくした実施例6の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 レーザー光を1方向のみに走査させて照射し、表示部を形成した比較例1の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 レーザー光のスポット径とピッチとを同じとした他は、実施例1と同様にして表示部を形成した比較例2の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。 レーザー光のスポット径とピッチとを同じとした他は、実施例2と同様にして表示部を形成した比較例3の多層表示体に上方から光りを当て、上方から光学顕微鏡により観察し、撮影したデータに基づく説明図である。
以下、図も参照しながら、本発明を詳しく説明する。
[1]多層表示体
本発明の多層表示体1は、樹脂成形体11と、樹脂成形体11の一面に設けられた金属層12と、金属層12の表面に設けられた樹脂層と、を備え、樹脂層は、平面方向に間隔をおいて位置する厚膜部131と、厚膜部131の周縁に連なる傾斜部132と、隣り合う傾斜部132の間の薄膜部133と、を有する表示部13を備える(図1、2参照)。
前記「樹脂成形体」は、その一面に金属層を設けることができ、多層表示体の基板としての機械的強度及び耐候性等を有しておればよく、材質は特に限定されない。樹脂成形体は成形が容易な熱可塑性樹脂を用いて作製することが好ましく、この熱可塑性樹脂としては、各種の樹脂を特に限定されることなく、用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブダジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうちでは、めっき法及び蒸着法等により金属層を容易に形成することができるABS樹脂が特に好ましい。
樹脂成形体の成形方法も特に限定されず、前記の各種の熱可塑性樹脂、特にABS樹脂を用いて、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の各種の方法により成形することができる。これらの成形方法は、樹脂成形体の形状、寸法及び用途等により適宜選択して採用することが好ましい。また、樹脂成形体の形状、寸法及び用途も特に限定されず、用途としては、携帯電話等の電子機器、化粧品容器等の各種容器、パチンコ等の遊技機部品、自動車等の内装部品及び家電製品等の装飾部品などの、優れた外観及び高級感等を必要とする各種製品が挙げられ、各々の製品によって所定の形状及び寸法とすることができる。
樹脂成形体の一面に形成される前記「金属層」は、金属光沢を有し、優れた外観を備える多層表示体とすることができればよく、その材質は特に限定されない。金属層の形成に用いる金属としては、金、クロム、アルミニウム、ニッケル、インジウム、スズ及び亜鉛等が挙げられ、特に優れた外観を有する多層表示体とすることができる金、クロム、アルミニウムが好ましく、形成方法がめっき法であるときは金及びクロム、形成方法が蒸着法であるときはアルミニウムがより好ましい。
金属層の厚さも特に限定されず、15〜35μm、特に20〜30μmとすることができる。金属層の厚さが15〜35μmであれば、樹脂成形体の一面の全面を十分に被覆することができ、且つ樹脂成形体の一面に微細な凹凸がある場合でも、表面が十分に平滑になり、輝度の高い金属光沢を有し、優れた外観を備える多層表示体とすることができる。
金属層の表面に設けられる前記「樹脂層」は、厚膜部と、傾斜部と、薄膜部とを有する表示部を形成することができればよく、その材質は樹脂であることを除いて特に限定されない。この樹脂層は、例えば、金属層の表面に塗布された塗料を硬化させて形成することができ、この場合、その材質は用いられる塗料に含有される樹脂と同材質になる。この塗料は特に限定されず、アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシウレタン樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、メラミン樹脂塗料等の各種の塗料を用いることができ、優れた外観を有する多層表示体とすることができるアクリルウレタン樹脂塗料が好ましい。
輝度の高い金属光沢を有する多層表示体とするためには、樹脂層は十分な透明性を有している必要がある。この透明性は特に限定されないが、全光線透過率を指標とした場合に、30〜95%であることが好ましく、40〜95%、特に50〜95%であることがより好ましい。この全光線透過率が30〜95%であれば、透明性が十分に高く、厚膜部と、その周縁に連なる傾斜部と、傾斜部間の薄膜部とにより、輝度の高い金属光沢を有する表示部が形成された多層表示体とすることができる。
尚、全光線透過率は、ISO13468−1により、厚さ2mmの試験片を用いて測定することができる。
前記「表示部」は、平面方向に間隔をおいて位置する厚膜部と、厚膜部の周縁に連なる傾斜部と、隣り合う傾斜部の間の薄膜部と、を有する。
前記「厚膜部」は、樹脂層の平面方向に間隔をおいて位置しており、傾斜部及び薄膜部と比べて相対的に厚い部分である。この厚膜部の厚さは特に限定されないが、5〜15μmであることが好ましく、7〜15μm、特に7〜12μmであることがより好ましい。また、前記「傾斜部」は、厚膜部の周縁に連なり、厚薄はあるものの、厚膜部から薄膜部に向かって厚さが減少する傾向にある部分である。
更に、前記「薄膜部」は、隣り合う傾斜部の間にあり、厚膜部及び傾斜部と比べて相対的に薄い部分である。この薄膜部の厚さは特に限定されないが、1.0〜3.0μmであることが好ましく、1.2〜2.8μm、特に1.5〜2.5μmであることがより好ましい。薄膜部は、下地の金属層の光沢が十分に視認される部分であり、薄膜部の厚さが1.0〜3.0μmであれば、輝度の高い金属光沢を有する多層表示体とすることができる。また、金属層が薄膜部によって覆われており、露出していないため、金属層の酸化劣化及び汚損等が抑えられ、十分な金属光沢が長期に亘って維持される。
また、厚膜部と傾斜部との境界部(図2の13a参照)、及び傾斜部と薄膜部との境界部(図2の13b参照)、の各々の厚さ方向の断面の形状は特に限定されず、円弧状であってもよく、鋭角的な形状であってもよいが、円弧状であることが好ましい。境界部が円弧状であると、表示部に光が当たったときに、乱反射し、輝度の高い金属特有の光沢がより強くなり優れた外観を有する多層表示体とすることができる。
更に、傾斜部の表面は凹凸面であってもよく、平滑面であってもよいが、凹凸面であることが好ましい。また、傾斜部は、微細な凹部及び/又は凸部(図3、4の132a参照)を有していることが好ましく、表面が凹凸面であり、且つこの凹凸面が微細な凹部及び/又は凸部を有していることがより好ましい。これによって、輝度の高い金属光沢を有する表示部とすることができる。この凹部及び凸部の径方向の最大寸法も特に限定されないが、1〜40μm、特に3〜40μm、更に5〜35μmであればよい。この最大寸法が1〜40μmであれば、より優れた金属光沢を有する多層表示体とすることができる。また、凹部及び/又は凸部の、各々の傾斜部当たりの個数も特に限定されないが、5〜50個、特に5〜40個、更に8〜40個であればよい。この個数が5〜50個であれば、更に優れた光沢を有する多層表示体とすることができる。
また、薄膜部は略平坦面であるが、微細な凹部及び/又は凸部(図3、4の133a参照)を有していることが好ましい。この薄膜部における凹部及び凸部の径方向の最大寸法も特に限定されないが、1〜25μm、特に1〜20μm、更に2〜15μmであればよい。更に、凹部及び/又は凸部の個数も特に限定されないが、直径50μmの円内に、少ないところでは0個、多いところでは10個である。このように、薄膜部が凹部及び/又は凸部を有することによって、より優れた金属光沢を有する多層表示体とすることができる。
傾斜部及び薄膜部は、前記のように凹部及び/又は凸部を有するが、傾斜部及び薄膜部、特に溶融した樹脂が流動して形成された傾斜部の一方の端部近傍、即ち、厚膜部と傾斜部との境界部、及び他方の端部近傍、即ち、傾斜部と薄膜部との境界部、は、凹部及び凸部の他に、気泡を有していてもよい。このように気泡を有している場合、特に各々の境界部近傍では、光が当たったときに乱反射し、より輝度の高い金属光沢を有する多層表示体とすることができる。
厚膜部、傾斜部及び薄膜部の各々の寸法は、輝度の高い金属光沢を有する表示部が形成される限り、特に限定されない。厚膜部の平面方向の寸法は40〜500μm、特に60〜400μm、更に80〜300μmであればよい。また、傾斜部の幅は20〜60μm、特に25〜55μm、更に30〜50μmであればよい。更に、隣り合う傾斜部の間、即ち、薄膜部の最短寸法(幅)は20〜120μm、特に30〜100μm、更に40〜80μmであればよい。
[2]多層表示体の製造方法
本発明の多層表示体の製造方法は、樹脂成形体と、樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、金属層の表面に設けられた樹脂層と、を有する積層体に、樹脂層の側からレーザー光を照射し、該樹脂層に表示部を形成する表示部形成工程を備え、この表示部形成工程では、レーザー光を、走査方向が交差するように少なくとも2方向に走査させて樹脂層に照射し、レーザー光の光路のうちの隣り合う光路の間に厚膜部を形成し、レーザー光の光路に薄膜部を形成し、且つ厚膜部と薄膜部との間に、厚膜部から薄膜部へと薄膜化している傾斜部を形成する。
前記「積層体」は、樹脂成形体と、樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、金属層の表面に設けられた樹脂層と、を有する。また、前記「樹脂成形体」は、前記[1]における樹脂成形体と同様に、各種の熱可塑性樹脂を用いて形成することができ、この熱可塑性樹脂としては、前記と同様に、ABS樹脂が好ましい。樹脂成形体の成形方法も特に限定されず、前記と同様に、各種の方法により成形することができ、これらの成形方法は、樹脂成形体の形状、寸法及び用途等により適宜選択して採用することが好ましい。更に、樹脂成形体の形状、寸法及び用途も特に限定されず、前記[1]における樹脂成形体に係る記載をそのまま適用することができる。
樹脂成形体の一面に形成される前記「金属層」は、前記[1]における金属層と同様に、各種の金属を用いて形成することができ、この金属としては、前記と同様に、金、アルミニウム、銀、クロムが好ましく、金、アルミニウム、銀がより好ましい。また、金属層の厚さも特に限定されず、前記[1]における金属層の厚さに係る記載をそのまま適用することができる。
金属層の形成方法も特に限定されず、金属薄膜を形成するための通常の方法により形成することができる。この形成方法としては、めっき法及び蒸着法等が挙げられる。めっき法としては、無電解めっき法と電解めっき法とが挙げられ、例えば、無電解めっき法により銅層を形成し、その後、電解めっき法により銅層の表面に金層及びクロム層等を形成することで、金属層を形成することができる。また、蒸着法としては、物理蒸着法と化学蒸着法とがあり、物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法等が挙げられ、化学蒸着法としては、熱化学蒸着法、プラズマ化学蒸着法等が挙げられるが、いずれの蒸着法であってもよい。
金属層の表面に設けられる前記「樹脂層」は、レーザー光を照射することにより、厚膜部と、傾斜部と、薄膜部とを有する表示部を形成することができればよく、その材質は特に限定されない。この樹脂層の形成方法は特に限定されないが、例えば、金属層の表面に塗布された塗料を硬化させることにより形成することができる。この場合、樹脂層の材質は用いられる塗料に含有される樹脂等と同材質になる。用いる塗料は特に限定されず、前記[1]において記載した各種の塗料を用いることができ、形成される樹脂層が、金属層との優れた接着性及び十分な耐候性等を有するため、アクリルウレタン樹脂塗料が特に好ましい。
樹脂層は、各々の塗料を所定の方法で金属層に塗布し、所定の温度で所要時間加熱する等の方法により形成することができる。未硬化層は、塗料の種類等により定められた通常の条件で硬化させればよく、過度に高温、長時間の加熱は、塗料に含有される樹脂の熱劣化等を生じることがあり、好ましくない。また、加熱等により樹脂層を構成する樹脂に架橋構造が導入される塗料の場合、適度に架橋させる必要がある。適度な架橋であれば、樹脂層を形成した後、例えば、14日間経過してからレーザー光を照射しても、経時による輝度の低下等がなく、優れた外観が維持される表示部を形成することができる。一方、過度に架橋させると、レーザー光を照射しても溶融せず、凹部及び/又は凸部を有する傾斜部などを形成することができず、より強力なレーザー光を照射したときは、樹脂が劣化し、樹脂層を形成することができないことがある。
前記「表示部形成工程」では、積層体に、樹脂層の側からレーザー光を照射することにより表示部が形成される。
前記「表示部」は、積層体に、樹脂層の側から樹脂層にレーザー光を照射し、レーザー光の光路のうちの隣り合う光路間に厚膜部を形成し、レーザー光の光路に薄膜部を形成し、且つ厚膜部と薄膜部との間に傾斜部を形成することにより作製することができる。
前記「厚膜部」は、レーザー光の光路のうちの隣り合う光路間の幅方向の一部に形成される。即ち、光路間の全幅が厚膜部になるわけではない。このように、厚膜部が、光路間の全幅ではなく、幅方向の一部に形成されるのは、レーザー光が照射されていなくても、レーザー光が照射された部分からの伝熱により樹脂が溶融し、流動して傾斜部の一部を形成することになるためである。この厚膜部の厚さについては、前記[1]における厚膜部の厚さに係る記載をそのまま適用することができ、厚膜部の厚さは5〜15μmであることが好ましい。
また、前記「薄膜部」は、レーザー光の光路の幅方向の中央部に形成される。即ち、光路の全幅が薄膜部になるわけではない。このように、レーザー光が照射された部分の全てが薄膜部とならないのは、レーザー光が照射されていない他部から溶融した樹脂が流れ込み、厚膜化して傾斜部の一部を形成することになるためである。この薄膜部の厚さについては、前記[1]における薄膜部の厚さに係る記載をそのまま適用することができる。
更に、各々の厚膜部に連なる前記「傾斜部」は、前記のように、樹脂層のうちのレーザー光の光路に近接し、伝熱がなければ厚膜部となる部分が伝熱により溶融し、流動して、レーザー光の光路に流れ込むことにより形成される。このように、傾斜部は、溶融し、流動した樹脂により形成されるため、厚膜部と傾斜部との境界部及び傾斜部と薄膜部との境界部、の厚さ方向の断面は鋭角的ではなく、円弧状になる。これにより、表示部に光りが当たったときに、これらの境界部が特に高輝度の金属光沢を有する部分として視認され、優れた外観を有する表示部を形成することができる。
また、傾斜部は、溶融し、流動した樹脂により形成されるため、その厚さは厚膜部から薄膜部へと薄膜化する傾向にはあるものの、平坦面ではなく凹凸面であり、且つ前記[1]において記載したように、多数の凹部及び/又は凸部を有する。そして、この凹部及び/又は凸部に光りが当たったときに、乱反射し、前記の境界部を除く傾斜部の他部も、特に高輝度の金属光沢を有する部分として視認され、より優れた外観を有する表示部を形成することができる。
表示部の形成には前記「レーザー光」が用いられる。レーザー光の種類は、照射することにより表示部を形成することができればよく、特に限定されない。レーザーには、固体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー等があるが、薄層の樹脂層を加工することができ、且つ金属層を損傷させることがない、低出力のレーザーとしては、例えば、ガスレーザーの1種である炭酸ガスレーザーを用いることができる。このレーザーとしては、出力の低い特別仕様の炭酸ガスレーザー、例えば、1回の照射では厚さ1mmの樹脂シートの切断が限界であるような低出力の炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。
表示部は、樹脂層の一部にレーザー光を照射することにより形成されるが、本発明では、レーザー光を、走査方向が交差するように少なくとも2方向に走査させて照射する。これにより、レーザー光が照射されておらず、且つ伝熱による樹脂の溶融もない、即ち、樹脂層がそのまま残存して形成されている厚膜部と、レーザー光が照射され、樹脂が揮散し、薄膜化されて形成された薄膜部と、溶融し、流動した樹脂により厚膜部と薄膜部との間に形成され、厚薄はあるものの、厚膜部から薄膜部へと平均厚さが減少している傾斜部と、を備える表示部が形成される。
レーザー光は、通常、2〜4方向に走査させて照射することができ、2〜3方向、特に2方向であっても、輝度の高い金属光沢を有する多層表示体を製造することができる。更に、2方向に走査させる場合、2方向がなす角度は特に限定されないが、20〜90°、特に30〜80°の角度とすることができる。この角度が90°、即ち、走査方向が直交しているときは、形成される厚膜部の平面形状は略正方形又は略長方形になり(図3参照)、90°以外のときは、菱形状になる(図4参照)。また、3方向に走査させる場合、3回目の走査方向は特に限定されないが、他の2方向のいずれとも同じ角度をなす方向とし、且つ他の2回の照射時の光路の交差点と交差するように走査させることが好ましい。この場合、厚膜部の平面形状は略三角形になる。
また、レーザー光のスポット径及びピッチも、所定寸法の厚膜部、所定幅の薄膜部及び所定幅の傾斜部が形成され、輝度の高い金属光沢を有する表示部が形成される限り、特に限定されない。レーザー光のスポット径は80〜200μmであればよく、100〜180μm、特に120〜160μmであることが好ましい。更に、レーザー光の光路のうちの同方向であって、且つ隣り合う光路の各々の中心線の間の距離(この距離を「ピッチ」とする。)は、このピッチ(L、図2参照)とスポット径(D、図2参照)との比(L/D)が1.5〜3.5、特に1.5〜2.5、更に2.0〜2.3となる距離であることが好ましい。レーザー光のスポット径が80〜200μmであり、L/Dが1.5〜3.5であれば、より優れた外観を有する表示部を形成することができる。
レーザー光の走査速度は、レーザー光の出力を勘案し、下記の式により表されるレーザー照射量が適正な範囲となるように調整することが好ましい。レーザー照射量が過少であると、輝度の高い表示部を形成することができないことがある。一方、レーザー照射量が過多であると、厚膜部、薄膜部及び傾斜部が形成されず、又は厚膜部の寸法、薄膜部の幅及び傾斜部の幅が適正な範囲とならず、十分な金属光沢を有する表示部を形成することができない場合がある。
レーザー照射量(J/mm)=レーザー出力(W)/走査速度(mm/分)
また、樹脂層は、照射されるレーザー光に対して過度に透過性であると、加工することができないため、適度にレーザー光吸収性である必要がある。一方、樹脂層が過度にレーザー光吸収性であったり、過度に強いレーザー光を照射したりすると、レーザー光が照射された部分の樹脂が全て除去されてしまって薄膜層が形成されないことがあり、金属層が損傷を受けることもある。また、厚膜部の周縁が過度に溶融して輪郭が不鮮明になったり、傾斜部の幅が過度に大きくなったりして、十分な金属光沢を有する表示部を形成することができない場合がある。
適度なレーザー光吸収性を有する樹脂層は、例えば、樹脂層の形成に用いられる塗料に予めレーザー光吸収剤を配合しておくことにより形成することができる。このレーザー光吸収剤としては、フタロシアニン、ナフタロシアニン等のシアニン系化合物、ポルフィリン、ペリレン、クオテリレン、金属錯体、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、インモニウム染料等が挙げられる。これらのレーザー光吸収剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
一方、透明性に優れ、且つ高輝度の表示部とするためには、樹脂層は十分に透明である必要があり、配合することにより樹脂層の透明性が大きく低下しないレーザー光吸収剤を、樹脂層の透明性を大きく低下させない範囲で適量配合することが好ましい。この樹脂層の透明性は特に限定されないが、前記の方法により測定した全光線透過率を指標とした場合、30〜95%であることが好ましく、40〜95%、特に50〜95%であることがより好ましい。このように、樹脂層の透明性を大きく低下させることのないレーザー光吸収剤を適量配合することによって、適度なレーザー光照射により、透明性が高い樹脂層とすることができるとともに、輝度の高い金属光沢を有する表示部を形成することができる。
レーザー光吸収剤を樹脂層に配合する場合、配合量は、樹脂及びレーザー光吸収剤の種類並びにレーザー光の照射条件等によって調整することが好ましいが、樹脂層を100質量部としたときに、0.1〜3質量部とすることができ、0.3〜2.5質量部、特に0.5〜2質量部とすることが好ましい。この配合量が0.1〜3質量部であれば、レーザー光の照射により、厚膜部と薄膜部と傾斜部とを有する表示部を容易に形成することができる。
また、前記のように、加熱等により樹脂層に架橋構造が導入される塗料の場合、過度に架橋させることは好ましくなく、金属層の表面に形成された樹脂層は、レーザー光の照射により容易に溶融し、流動して、厚膜部、薄膜部及び傾斜部が形成されることが好ましい。例えば、未硬化層を通常の条件で硬化させ、生成させた樹脂層には、硬化処理後、48時間、特に36時間、更に24時間経過以内にレーザー光を照射し、加工することが好ましい。特に、樹脂層の形成に用いられる塗料がアクリルウレタン樹脂塗料である場合、硬化後、前記の時間経過以内にレーザー光を照射し、加工することが好ましい。このようにすれば、厚膜部と薄膜部と傾斜部とを有する特定の構造の表示部を有する多層表示体を容易に製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
横方向の寸法が49mmであり、縦方向の寸法が、一端面から長さ80mm、70mm及び50mmに形成された段階状のABS樹脂シート(各々の段の厚さは1mmである。)の側面を含む全面に、厚さ25μmの金めっき層が設けられた基板の、金めっき層の表面に、レベリング剤及びカップリング剤が配合されたアクリルウレタン樹脂塗料を塗布し、加熱して水を除去し、厚さ10μmの硬化膜(樹脂層)を形成し、積層体を作製した。次いで、この積層体の階段状の面の側から、レーザー加工装置が備えるレーザー発振器から発振される炭酸ガスレーザーを照射した。
用いた炭酸ガスレーザーのスポット径は140μmであり、ピッチは300μmとして(前記のL/Dは2.1となる。)、1度目は積層体の横方向に対して45°の角度をなす方向に、2度目は1度目の方向に対して90°の角度をなす方向に走査させて照射し、厚さ10μm(硬化膜と同じ厚さである。)の厚膜部、厚さ2.0μmの薄膜部、及び厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した(図5参照)。
このようにして製造した多層表示体に、上方100mmの位置に配置した光源からLED光を照射したところ、図7のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
実施例2
レーザー光を走査させる方向を、1度目は積層体の横方向に対して75°の角度をなす方向、2度目は1度目の方向に対して30°の角度をなす方向とした他は、実施例1と同様にしてレーザー光を照射し、実施例1と同じ厚さの厚膜部及び薄膜部並びにこれらの厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した(図6参照)。このようにして製造した多層表示体に、実施例1と同様にして光を照射したところ、図8のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
実施例3
ピッチを220μmとした(前記のL/Dは1.6となる。)他は、実施例1と同様にしてレーザー光を照射し、実施例1と同じ厚さの厚膜部及び薄膜部並びにこれらの厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した。このようにして製造した多層表示体に、実施例1と同様にして光を照射したところ、図9のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
実施例4
ピッチを220μmとした(前記のL/Dは1.6となる。)他は、実施例2と同様にしてレーザー光を照射し、実施例1と同じ厚さの厚膜部及び薄膜部並びにこれらの厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した。このようにして製造した多層表示体に、実施例1と同様にして光を照射したところ、図10のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
実施例5
ピッチを450μmとした(前記のL/Dは3.2となる。)他は、実施例1と同様にしてレーザー光を照射し、実施例1と同じ厚さの厚膜部及び薄膜部並びにこれらの厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した。このようにして製造した多層表示体に、実施例1と同様にして光を照射したところ、図11のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
実施例6
ピッチを450μmとした(前記のL/Dは3.2となる。)他は、実施例2と同様にしてレーザー光を照射し、実施例1と同じ厚さの厚膜部及び薄膜部並びにこれらの厚膜部と薄膜部との間の傾斜部を有する表示部を形成した。このようにして製造した多層表示体に、実施例1と同様にして光を照射したところ、図12のように、輝度の高い金属光沢を有していた。
比較例1
実施例1における2度目のレーザー光照射を実施せず、即ち、レーザー光を1方向のみに走査させて照射し(レーザー光のスポット径は140μm、ピッチは300μmである。)、多層表示体を形成した。また、実施例1と同様にして光を照射したところ、図13のように、金属光沢のない多層表示体であった。
比較例2
ピッチを140μmとした(前記のL/Dは1.0となる。)他は、実施例1と同様にしてレーザー光を照射した。この条件では、樹脂層の全面にレーザー光が照射されることになるため薄膜部、薄膜部及び傾斜部が形成されず、実施例1と同様にして光を照射したところ、図14のように、金属光沢のない多層表示体であった。
比較例3
ピッチを140μmとした(前記のL/Dは1.0となる。)他は、実施例2と同様にしてレーザー光を照射した。この条件では、樹脂層の全面にレーザー光が照射されることになるため薄膜部、薄膜部及び傾斜部が形成されず、実施例1と同様にして光を照射したところ、図15のように、金属光沢のない多層表示体であった。
本発明は、携帯電話等の電子機器の筐体、化粧品容器等の各種容器の蓋及び本体、パチンコ等の遊技機部品、自動車等の内装部品及び家電製品等の装飾部品などの、優れた外観及び高級感等を必要とする各種製品等の広範な分野において利用することができる。
1;多層表示体、11;樹脂成形体、12;金属層、13;樹脂層に形成された表示部、131;厚膜部、132;傾斜部、132a;傾斜部の凹部及び凸部、133;薄膜部、133a;薄膜部の凹部及び凸部、13a;厚膜部と傾斜部との境界部、13b;傾斜部と薄膜部との境界部、D;レーザー光のスポット径、L;ピッチ。

Claims (15)

  1. 樹脂成形体と、該樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた樹脂層と、を備える多層表示体であって、
    前記樹脂層は、平面方向に間隔をおいて位置する厚膜部と、該厚膜部の周縁に連なる傾斜部と、隣り合う該傾斜部の間の薄膜部と、を有する表示部を備えることを特徴とする多層表示体。
  2. 前記厚膜部と前記傾斜部との境界部及び該傾斜部と前記薄膜部との境界部、の各々の厚さ方向の断面が円弧状をなしている請求項1に記載の多層表示体。
  3. 前記傾斜部は凹部及び凸部のうちの少なくとも一方を有し、該凹部及び該凸部の径方向の最大寸法が1〜40μmである請求項1又は2に記載の多層表示体。
  4. 前記凹部及び前記凸部の個数が、各々の前記傾斜部当たり5〜50個である請求項3に記載の多層表示体。
  5. 前記厚膜部の厚さが5〜15μmであり、且つ前記薄膜部の厚さが1.0〜3.0μmである請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
  6. 前記厚膜部の平面方向の寸法が40〜500μmである請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
  7. 前記傾斜部の幅が20〜60μmである請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
  8. 隣り合う前記傾斜部間の最短寸法が20〜120μmである請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
  9. 樹脂成形体と、該樹脂成形体の一面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた樹脂層と、を有する積層体に、該樹脂層の側からレーザー光を照射し、該樹脂層に表示部を形成する表示部形成工程を備える多層表示体の製造方法であって、
    前記表示部形成工程では、前記レーザー光を、走査方向が交差するように少なくとも2方向に走査させて前記樹脂層に照射し、該レーザー光の光路のうちの隣り合う光路間に厚膜部を形成し、該レーザー光の光路に薄膜部を形成し、且つ該厚膜部と該薄膜部との間に、該厚膜部から該薄膜部へと薄膜化している傾斜部を形成することを特徴とする多層表示体の製造方法。
  10. 前記レーザー光を20〜90°の角度をなす2方向に走査させて照射する請求項9に記載の多層表示体の製造方法。
  11. 前記レーザー光のスポット径が80〜200μmであり、且つ該レーザー光の光路のうちの同方向であって、且つ隣り合う光路の各々の中心線の間の距離(L)と、該スポット径(D)との比(L/D)が1.5〜3.5である請求項9又は10に記載の多層表示体の製造方法。
  12. 前記樹脂層の厚さが5〜15μmである請求項9乃至11のうちのいずれか1項に記載の多層表示体。
  13. 前記金属層はめっき法又は蒸着法により設けられている請求項9乃至12のうちのいずれか1項に記載の多層表示体の製造方法。
  14. 前記金属層の前記表面に塗料を塗布し、乾燥させて、前記樹脂層を形成し、その後、前記レーザー光を照射して該樹脂層の一部を溶融させ、前記厚膜部、前記薄膜部及び前記傾斜部を形成する請求項9乃至13のうちのいずれか1項に記載の多層表示体の製造方法。
  15. 前記塗料がアクリルウレタン樹脂塗料である請求項14に記載の多層表示体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104175273A (zh) * 2013-05-28 2014-12-03 胡厚飞 具有立体浮凸字体的手工具
JP2017087475A (ja) * 2015-11-05 2017-05-25 セイコーエプソン株式会社 ラベル生成装置、ラベル、及びラベル生成方法

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