JP2011032973A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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文隆 小松
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Abstract

【課題】各気筒の燃料噴射弁の個体差や吸入空気量のバラツキに起因する内燃機関の回転変動を低減できると共に、各気筒の空気過剰率の異常低下を抑制して排ガス性能の悪化を未然に防止できる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】気筒のPmiが目標Pmiよりも高いときには、Pmiを減少させるべく燃料噴射量の減少補正を実行し、平均Pmiが目標Pmiよりも低いときには、Pmiを増加させるべく燃料噴射時期の進角補正を実行し(図中の進角・減量のみ)、各気筒で目標Pmiを達成する。Pmiの増加に燃料増量で対処すると空気過剰率が急減してスモークを増大させるが、噴射時期の進角補正は空気過剰率にはほとんど影響がないため、空気過剰率を減少させることなくPmiを増加可能となる。
【選択図】図6

Description

本発明は内燃機関の燃料噴射制御装置に係り、詳しくは、各気筒の燃料噴射弁の個体差に起因した回転変動を抑制する燃料噴射制御装置に関する。
各気筒に対応して燃料噴射弁を備えた内燃機関、例えば各気筒の吸気ポートにそれぞれ燃料噴射弁が設けられたマルチポートインジェクション型のガソリン機関、或いは筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射型火花点火式ガソリン機関やディーゼル機関等では、各気筒の燃料噴射弁の個体差や吸入空気量のバラツキが内燃機関の回転変動を増大させる一つの要因になっている。即ち、各気筒の燃料噴射弁の噴射特性や吸入空気量が相違していると、気筒間の燃料噴射量のバラツキ及び吸気量のバラツキに起因する気筒間の燃焼圧力のバラツキに直結し、この現象により各気筒からクランク軸に付与されるトルクが変動することから、内燃機関の回転変動が増大してしまうという問題を抱えている。
各気筒の燃焼圧力のバラツキを補償するために種々の対策が提案されており、例えば特許文献1の技術を挙げることができる。当該特許文献1の技術では、各気筒の燃焼圧力をそれぞれ検出して気筒別の平均有効圧(以下、Pmiという)を算出し、このPmiを例えば全ての気筒のPmiの平均値として設定された目標Pmiに近づけるように、各気筒の燃料噴射弁の噴射量を補正することにより燃焼圧力のバラツキを抑制している。
実開昭62−132252号公報
しかしながら、特許文献に記載の技術のように、各気筒のPmiを目標Pmiにフィードバックした場合、全ての気筒のPmiが目標Pmiに一致することにより内燃機関の回転変動は低減できるものの、気筒間で吸入空気量やEGR量等のバラツキが存在していると、各気筒に対する噴射量補正に起因して気筒間の空気過剰率のバラツキを拡大させてしまうという別の問題が発生する。この現象は、何れかの気筒が許容範囲を越えた好ましくない空気過剰率に調整されることを意味し、結果として排ガス性能が悪化する可能性があった。
図6は特許文献1の技術による各気筒の燃料噴射量の補正状況を示す説明図であり、左側に示した特許文献1の技術によるPmiに基づく制御無しの場合には、気筒間に生じている燃焼圧力のバラツキによりPmiにもバラツキが生じており、一方、気筒間に存在する吸入空気量やEGR量等のバラツキに起因して各気筒の空気過剰率にはある程度の格差があるが、最も低い空気過剰率でも、図中に示すスモーク発生等の観点から許容でき得るλ下限値を下回らないような状態を一例として示したものである。
この状態において各気筒のPmiを目標Pmiに一致させるべく特許文献1の技術を適用した場合、例えばPmiが低い#4気筒に対しては燃料噴射量が増加補正されるが、噴射量の増加補正は空気過剰率に対して低下方向に作用することから、#4気筒では空気過剰率が低下して上記λ下限値を下回ってしまう。このため#4気筒の排ガスはスモークが増加し、各気筒の排ガスが集合した後のトータルでの排ガス特性でもスモーク増により排ガス性能が悪化してしまうことが判る。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、各気筒の燃料噴射弁の個体差に起因する内燃機関の回転変動を低減できると共に、各気筒の空気過剰率の異常低下を抑制して排ガス性能の悪化を未然に防止することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、内燃機関の各気筒に対応して設けられ、各気筒にそれぞれ燃料を噴射する燃料噴射手段と、内燃機関の各気筒の燃焼圧力を検出する燃焼圧力検出手段と、燃焼圧力検出手段により検出された燃焼圧力に基づき各気筒の平均有効圧を算出する平均有効圧算出手段と、平均有効圧算出手段により算出された各気筒の平均有効圧を内燃機関の運転状態から求めた目標平均有効圧に接近させるべく、各気筒の燃料噴射手段に対する制御指標をそれぞれ補正する第1の補正手段と、第1の補正手段により補正された各気筒の制御指標に基づき各気筒の燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段とを備え、第1の補正手段が、気筒の平均有効圧を減少させるときには、気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を減少補正するか又は燃料噴射弁の燃料噴射時期を遅角補正し、気筒の平均有効圧を増加させるときには、気筒の燃料噴射弁の燃料噴射時期を進角補正するものである。
従って、各気筒の平均有効圧を目標平均有効圧に接近させるべく、各気筒の燃料噴射手段に対する制御指標、例えば燃料噴射量や燃料噴射時期が第1の補正手段により補正され、補正後の制御指標に基づき燃料噴射制御手段により各気筒の燃料噴射手段が制御される。これにより各気筒の平均有効圧が目標平均有効圧に接近し、燃料噴射手段の個体差に起因する内燃機関の回転変動が低減される。
そして、本発明では、図4の特性図に示すように、噴射時期と平均有効圧との間に噴射時期を進角させるほど平均有効圧が増加する相関関係が成立することを鑑みて、気筒の平均有効圧の減少には燃料噴射量の減少補正又は燃料噴射時期の遅角補正で対処し、平均有効圧の増加には燃料噴射時期の進角補正で対処している。即ち、平均有効圧の増加に燃料増量で対処した場合、燃料増量により空気過剰率が急減してスモークを増大させる場合があるが、噴射時期の進角補正は空気過剰率にはほとんど影響がないため、空気過剰率を減少させることなく平均有効圧を増加可能となり、結果として目標平均有効圧を達成した上で空気過剰率の異常低下を抑制可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、第1の補正手段が、気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、平均有効圧を減少させるべく燃料噴射量の減少補正を実行し、気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、平均有効圧を増加させるべく燃料噴射時期の進角補正を実行するものである。
従って、平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、平均有効圧を減少させるべく燃料噴射量の減少補正が実行され、平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、平均有効圧を増加させるべく燃料噴射時期の進角補正が実行され、これにより各気筒で目標平均有効圧が達成される。
そして、平均有効圧の増加に燃料増量で対処した場合、平均有効圧が低い気筒では常にベース噴射量に対して余分な燃料噴射が必要になるが、噴射時期の進角は燃料消費を増大させる要因にならないため、結果として平均有効圧の増加に要する燃料消費を節減可能となる。一方で、平均有効圧の減少に噴射時期の遅角で対処した場合には、過剰な平均有効圧の発生要因である燃料噴射量をそのままとして、噴射時期の遅角により強引に平均有効圧を引き下げることから、無駄な燃料消費が発生するが、平均有効圧の減少には燃料減量で対処していることから、このような燃料消費が未然に回避される。
請求項3の発明は、請求項1において、第1の補正手段が、内燃機関の運転状態に基づき目標空気過剰率を算出すると共に、目標空気過剰率を達成可能な各気筒の燃料噴射量を算出し、気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、平均有効圧を減少させるべく燃料噴射時期の遅角補正を実行し、気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、平均有効圧を増加させるべく燃料噴射時期の進角補正を実行するものである。
従って、内燃機関の運転状態に対して最適な目標空気過剰率を達成可能な値として各気筒の燃料噴射量が算出される一方、平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、平均有効圧を減少させるべく燃料噴射時期の遅角補正が実行され、平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、平均有効圧を増加させるべく燃料噴射時期の進角補正が実行され、これにより各気筒で目標平均有効圧が達成される。
そして、噴射時期補正は空気過剰率にはほとんど影響しないことから、一方では、目標燃料噴射量に基づく制御により、全ての気筒の空気過剰率が内燃機関の運転状態に対して最適な目標空気過剰率に一致する。このため、排ガス性能がより一層向上される。
請求項4の発明は、請求項2又は3において、第1の補正手段により上記平均有効圧を増加させるべく進角補正された燃料噴射時期が内燃機関の耐圧限界に基づき設定された進角限界値に達しているか否かを判定する進角限界判定手段と、進角限界判定手段により燃料噴射時期が進角限界値に達したと判定されたとき、該当する気筒の燃料噴射時期を進角限界値に保持すると共に気筒の燃料噴射量を増加補正する第2の補正手段とを備えたものである。
従って、平均有効圧を増加させるべく進角補正された燃料噴射時期が内燃機関の耐圧限界に基づき設定された進角限界値に達したときには、第2の補正手段により該当する気筒の燃料噴射量が増加補正され、これにより各気筒で目標平均有効圧が達成される。このため、噴射時期の進角補正だけでは平均有効圧の増加が不足する場合であっても、目標平均有効圧を達成可能となる。
請求項5の発明は、請求項4において、内燃機関の各気筒の排ガスの空気過剰率を算出する空気過剰率算出手段と、第2の補正手段により燃料噴射量が増加補正されることにより、何れかの気筒の空気過剰率算出手段により算出された空気過剰率が排ガス特性に基づき設定された下限空気過剰率を下回るとき、第2の補正手段による補正に関わらず空気過剰率低下気筒に対する燃料増量を制限して空気過剰率を下限空気過剰率以上に保つ空気過剰率低下抑制手段とを備えたものである。
従って、第2の補正手段により燃料噴射量が増加補正されることにより、何れかの気筒の空気過剰率が下限空気過剰率を下回るときには、この空気過剰率低下気筒に対する燃料増量が空気過剰率低下抑制手段により制限される。このため、空気過剰率は下限空気過剰率以上に保持され、空気過剰率の異常低下に起因するスモークの増大が確実に防止される。
請求項6の発明は、請求項5において、空気過剰率低下抑制手段が、空気過剰率低下気筒に対する燃料増量の制限により空気過剰率の低下を抑制すると共に、空気過剰率低下気筒以外の所定気筒に対する燃料減量を制限して、全気筒の平均有効圧の平均値を目標平均有効圧に略一致させるものである。
従って、空気過剰率低下気筒に対して空気過剰率低下抑制手段により燃料増量が制限されて空気過剰率の低下が抑制され、一方、空気過剰率低下気筒以外の所定気筒に対しては燃料減量が制限される。結果として、全気筒の平均有効圧の平均値が目標平均有効圧に略一致し、内燃機関の回転変動を一層抑制可能となる。
請求項7の発明は、請求項3において、第1の補正手段により平均有効圧を減少させるべく遅角補正された燃料噴射時期が内燃機関の燃焼効率に基づき設定された遅角限界値に達しているか否かを判定する遅角限界判定手段と、遅角限界判定手段により燃料噴射時期が遅角限界値に達したと判定されたとき、該当する気筒の燃料噴射時期を遅角限界値に保持すると共に気筒の燃料噴射量を減少補正する第3の補正手段とを備えたものである。
従って、平均有効圧を減少させるべく遅角補正された燃料噴射時期が内燃機関の燃焼効率に基づき設定された遅角限界値に達したときには、第3の補正手段により該当する気筒の燃料噴射量が減少補正され、これにより各気筒で目標平均有効圧が達成される。このため、噴射時期の遅角補正だけでは平均有効圧の減少が不足する場合であっても、目標平均有効圧を達成可能となる。
以上説明したように請求項1の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、目標平均有効圧を達成するために平均有効圧を増加するときに、空気過剰率に対してはほとんど影響を及ぼさない燃料噴射時期の進角補正で対処しているため、空気過剰率を減少させることなく平均有効圧を増加でき、結果として、各気筒で目標平均有効圧を達成して燃料噴射手段の個体差に起因する内燃機関の回転変動を低減できると共に、空気過剰率の異常低下を抑制して排ガス性能の悪化を未然に防止することができる。
請求項2の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項1に加えて、平均有効圧の減少には燃料噴射量の減少補正で対処することにより、噴射時期の遅角で対処した場合のような無駄な燃料消費を未然に回避でき、一方、平均有効圧の増加には、燃料消費を増大させる要因にならない燃料噴射時期の進角補正で対処することにより燃料消費を節減でき、結果として更なる燃費向上を達成することができる。
請求項3の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項1に加えて、目標空気過剰率を達成可能なように各気筒の燃料噴射量を制御する一方、平均有効圧の減少には燃料噴射時期の遅角で対処し、平均有効圧の増加には燃料噴射時期の進角で対処することにより、各気筒で目標平均有効圧を達成できるだけでなく目標空気過剰率も達成でき、排ガス性能をより一層向上することができる。
請求項4の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項2又は3に加えて、平均有効圧の増加に対して噴射時期の進角補正に加えて燃料増量でも対処することから、平均有効圧の調整幅が拡大し、噴射時期の進角補正だけでは平均有効圧の増加が不足する場合であっても目標平均有効圧を達成でき、もって内燃機関の回転変動をより確実に低減することができる。
請求項5の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項4に加えて、燃料増量により何れかの気筒の空気過剰率が下限空気過剰率を下回るときには、この空気過剰率低下気筒に対する燃料増量を制限することで空気過剰率を下限空気過剰率以上に保持でき、もって空気過剰率の異常低下に起因するスモークの増大が確実に防止することができる。
請求項6の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項5に加えて、空気過剰率低下気筒以外の所定気筒に対する燃料減量を制限することにより、全気筒の平均有効圧の平均値を目標平均有効圧に略一致させるため、内燃機関の回転変動を一層抑制することができる。
請求項7の発明の内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、請求項3に加えて、平均有効圧の減少に対して噴射時期の遅角補正に加えて燃料減量でも対処することから、平均有効圧の調整幅が拡大し、噴射時期の遅角補正だけでは平均有効圧の減少が不足する場合であっても目標平均有効圧を達成でき、もって内燃機関の回転変動をより確実に低減することができる。
第1及び第2実施形態の燃料噴射制御装置を適用したディーゼルエンジンを示す全体構成図である。 第1実施形態のECUが実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートである。 同じく第1実施形態のECUが実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートである。 燃料噴射時期とPmiとの関係を示す特性図である。 第1実施形態における各気筒のPmiの制御状況を示す説明図である。 同じく第1実施形態におけるPmi、燃料噴射量、λの制御状況を示す説明図である。 第2実施形態のECUが実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートである。 同じく第2実施形態のECUが実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートである。 第2実施形態におけるPmi、燃料噴射量、λの制御状況を示す説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明をディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置に具体化した第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態の燃料噴射制御装置を適用したディーゼルエンジンを示す全体構成図である。
エンジン1は、図示しないコモンレールに蓄圧された高圧燃料を各気筒2内に直接噴射して圧縮着火により燃焼させる4気筒コモンレール式ディーゼルエンジンであり、図1は、4気筒のうちの1つの気筒の断面を示している。
エンジン1は、複数の気筒2が形成されたシリンダブロック4の上部にシリンダヘッド6が載置されて構成されている。各気筒2には上下摺動可能にピストン8が設けられおり、当該ピストン8の頂面と気筒2の内壁、及びシリンダヘッド6下面に囲まれて燃焼室10が形成されている。シリンダヘッド6には、燃焼室10内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁12(燃料噴射手段)、及び当該燃焼室10内の圧力、即ち、燃焼室10内での噴射燃料の燃焼により発生した燃焼圧力を検出する筒内圧センサ14(燃焼圧力検出手段)が、それぞれ燃焼室10内に臨むように設けられている。
シリンダヘッド6には、燃焼室10と連通しエンジン1の幅方向一側に延びた吸気ポート16及び燃焼室10と連通しエンジン1の幅方向他側に延びた排気ポート18が形成されている。シリンダヘッド6には、吸気ポート16及び排気ポート18に対応して吸気バルブ20及び排気バルブ22が設けられ、これらの吸排気バルブ20,22の開閉動作に応じて各ポート16、18と燃焼室10との連通及び遮断が行われる。尚、吸気ポート16及び排気ポート18は1気筒につきそれぞれ2箇所設けられ、各吸排気ポート16,18に対応して吸気バルブ20及び排気バルブ22がそれぞれ設けられている。
又、エンジン1の幅方向一側には、吸気ポート16と連通する吸気管24が接続されている。吸気管24には、吸気上流側に図示しないエアクリーナが設けられており、その吸気下流側にはエンジン1に吸気量を検出するエアフローセンサ26が設けられている。又、吸気管24のエアフローセンサ26より吸気下流側の箇所には、吸気を加圧するターボチャージャ28のコンプレッサ28a、加圧された吸気を冷却するインタークーラ30、吸気量を調整するスロットルバルブ32が順に設けられている。
一方、エンジン1の幅方向他側には排気ポート18と連通する排気管34が接続されている。排気管34には、上記ターボチャージャ28のコンプレッサ28aと回転軸が連結され排気流により回転するタービン28bが設けられている。
又、排気管34の排気上流側部分と吸気管24の吸気下流側部分とはEGR通路36を介して連通されており、排気を吸気系に還流可能に構成されている。EGR通路36には、EGRガスを冷却するEGRクーラ38及び吸気系へ還流させるEGRガス量を調整するEGRバルブ40が設けられている。
一方、車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)42が設置されている。ECU42の入力側には、上記筒内圧センサ14、エアフローセンサ26、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ44、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサ46、吸気の温度を検出する吸気温度センサ48、吸気の圧力を検出する吸気圧力センサ50、エンジン1の冷却水温度を検出する冷却水温度センサ52等の各種センサ類が接続されている。又、ECU42の出力側には、各気筒の燃料噴射弁12、スロットルバルブ32、EGRバルブ40等の各種デバイス類が接続されている。
そして、ECU42はエンジン1の運転制御をはじめとする総合的な制御を実行する。エンジン1の運転制御に関しては、アクセル開度やエンジン回転速度等から求めた燃料噴射量に基づき燃料噴射弁12を駆動制御し(燃料噴射制御手段)、このとき、各気筒の燃焼圧力から求めた平均有効圧(以下、Pmiという)を指標とした制御を実行することにより気筒間の燃焼圧力のバラツキを抑制している。そして、当該Pmiに基づく制御では、[発明が解決しようとする課題]で述べた特許文献1の技術のように目標Pmiの達成のための燃料増量を行うと、空気過剰率の異常低下を引き起こすという問題点を鑑みて、燃料増量に代えて噴射時期の進角で対処しており、以下、このECU42により行われる燃料噴射制御について詳述する。
図2,3はECU42が実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートであり、ECU42は機関の運転中に当該ルーチンを所定の制御インターバルで実行する。
まず、ECU42はステップS2でクランク角、アクセル開度、気筒毎の燃焼圧力等の各センサからの検出情報を読み込む。続くステップS4では、現在のアクセル開度等から運転者が要求する機関トルクとして目標トルクを算出した上で、燃料噴射圧、噴射時期、エンジン1固有のフリクションロス等の諸条件を考慮して、目標トルクを達成可能な各気筒の平均有効圧の目標値(以下、目標Pmiという)を算出すると共に、現在の運転領域においてスモーク等の観点から許容でき得る下限の空気過剰率(以下、λ下限値という)を算出する。続くステップS6では気筒毎の角度情報及び燃焼圧力に基づき、それぞれの気筒のPmiを算出する(平均有効圧算出手段)。
その後、ステップS8で目標Pmi及び各気筒のPmiに基づき、全ての気筒のPmiの平均値(以下、平均Pmiという)を算出すると共に、次式(1),(2)に従って、目標Pmiに対する各気筒のPmiのそれぞれの偏差(以下、Pmi偏差Aという)、及び目標Pmiに対する平均Pmiの偏差(以下、Pmi偏差Bという)を算出する。
Pmi偏差A=目標Pmi−各気筒のPmi……(1)
Pmi偏差B=目標Pmi−平均Pmi ……(2)
ここまでの処理は全気筒を対象としたものであるが、以降の処理では、エンジン1の各気筒の噴射順序に従って各気筒に対する燃料噴射量や点火時期の補正処理を順次実行する。以下の説明では、噴射順序に従って燃料噴射量や点火時期の補正対象となった気筒を対象気筒と称する。
まず、ステップS10で現在の対象気筒以外の他の気筒でλ制限が実行されているか否かを判定する。以下に述べるように、対象気筒に対してはPmiを目標Pmiに接近させるべく燃料噴射量や噴射時期の補正が適用されるが、その際に燃料噴射量の増加補正に伴って空気過剰率が許容範囲を下回ってしまう対象気筒については、燃料増量を制限することにより空気過剰率を許容範囲にとどめており、この処理をλ制限と称している。λ制限は後述するステップS20,22で実行しているため、その内容は当該処理の説明の際に詳述する。
ステップS10の判定がNo(否定)で他の気筒でλ制限が実行されていないときには、ステップS12に移行する。ステップS12では対象気筒のPmi偏差Aが0より大か否かを判定する。ステップS12の判定がYes(肯定)で対象気筒のPmiが目標Pmiよりも低いときには、続くステップS14で現在の燃料噴射時期が進角限界値に達しているか否かを判定する(進角限界判定手段)。
図4は燃料噴射時期とPmiとの関係を示す特性図であり、燃料噴射量を同一条件として噴射時期を変化させてPmi変化を測定した試験結果から求めた特性である。この図に示すように、ある噴射時期の領域内では噴射時期とPmiとの間に相関関係が成立し、噴射時期を進角させるほどPmiは増加する。但し、この相関関係が成立する領域内であっても、噴射時期の進角はエンジン1固有の耐圧限界から制限を受け、耐圧限界の燃焼圧力に相当するPmi以上に噴射時期を進角するとエンジン破損を招くことを鑑みて、その直前の噴射時期として予め進角限界値が設定されている。
上記ステップS14では、このように設定された進角限界値に基づき対象気筒の燃料噴射時期の判定が行われ、判定がNoで噴射時期が未だ進角限界値に達していないときには、ステップS16に移行して対象気筒の噴射時期を予め設定された補正量だけ進角補正した後(第1の補正手段)、ルーチンを終了する。従って、対象気筒のPmiが目標Pmiよりも低く、且つ噴射時期が進角限界値に達しない限り、ステップS16の処理が繰り返されて対象気筒の噴射時期は次第に進角側に補正され、それに伴って対象気筒のPmiが増加する。
又、対象気筒への噴射時期の進角補正が繰り返された結果、ステップS14の判定がYesになると、ステップS18に移行して対象気筒の燃料噴射量を予め設定された補正量だけ増加補正する(第2の補正手段)。続くステップS20では、対象気筒の空気過剰率が上記λ下限値より大か否かを判定する。本実施形態では、吸入空気量、EGR量、及び対象気筒に対する燃料噴射量等に基づいて各気筒の排ガスの空気過剰率を算出しているが(空気過剰率算出手段)、これに限ることはなく、例えば後述する第2実施形態のように、各気筒の排気ポート18と連通する排気管34のブランチに空燃比センサ61を設けて、各気筒から排出される排ガスの空気過剰率を直接的に検出してもよい。
ステップS20の判定がYesで、噴射量の増加補正による対象気筒の空気過剰率の低下が許容範囲内であるときには、そのままルーチンを終了する。従って、対象気筒の噴射時期が進角限界値に達した後は、噴射時期の進角補正に代えて燃料増量により対象気筒のPmiが増加し続ける。
一方、ステップS18での燃料増量により対象気筒の空気過剰率は次第に低下し、空気過剰率がλ下限値を下回ってステップS20の判定がNoになると、ステップS22に移行して対象気筒の燃料噴射量の増加補正をλ下限値に対応する値に制限する(空気過剰率低下抑制手段)。結果として、対象気筒の空気過剰率はλ下限値を下回ることが防止される。このステップS20,22の処理が上記ステップS10で述べたλ制限であり、λ制限を受けた気筒が本発明の空気過剰率低下気筒に相当する。
又、上記ステップS12の判定がNoで対象気筒のPmiが目標Pmiよりも高いときには、ステップS24に移行して対象気筒の燃料噴射量を予め設定された補正量だけ減少補正した後(第1の補正手段)、ルーチンを終了する。
以上のように、他の気筒でλ制限が実行されていないときはステップS10〜24の処理が対象気筒に対して順次実行され、目標Pmiに対して対象気筒のPmiが低いときには、まず、燃料噴射時期の進角によりPmiを増加させ、噴射時期が進角限界値に達した後には、燃料増量によりPmiを増加させ、一方、目標Pmiに対して対象気筒のPmiが高いときには、燃料減量によりPmiを減少させ、これにより対象気筒のPmiを次第に目標Pmiに接近させて最終的に一致させる。又、Pmiを増加させるための燃料増量の結果、対象気筒の空気過剰率がλ下限値を下回るときには、このときの対象気筒を空気過剰率低下気筒と見なしてλ制限により空気過剰率をλ下限値以上に保持する。
一方、上記ステップS10の判定がYesで他の気筒でλ制限が実行されているときには、ステップS26に移行する。ステップS26ではPmi偏差Bが0であるか否かを判定し、判定がYesのときにはルーチンを終了する。ステップS26の判定がNoのときにはステップS28に移行して、Pmi偏差Bが0より大か否かを判定する。ステップS28の判定がNoで平均Pmiが目標Pmiよりも高いときには、ステップS30で対象気筒の燃料噴射量を予め設定された補正量だけ減少補正した後、ルーチンを終了する。
又、ステップS28の判定がYesで平均Pmiが目標Pmiよりも低いときには、上記ステップS14に移行し、ステップS14以降の処理により、噴射時期の進角及び必要に応じて燃料増量により対象気筒のPmiを増加させる。
図5は各気筒のPmiの制御状況を示す説明図であるが、この図では、#4気筒が空気過剰率低下気筒としてλ制限を受けている。即ち、#4気筒では目標Pmiに対してPmiが低いことから、進角限界値まで噴射時期が進角された後、引き続き噴射量の増加補正によりPmiの増加が図られるが、燃料増量により空気過剰率がλ下限値を下回ってしまうことから、λ下限値に対応する燃料噴射量に達した時点で増量補正が中止されている(図5中のポイントa)。尚、他の気筒ではPmiが目標Pmiに一致するように燃料噴射量の補正が行われていることが判る。
何れの気筒に対してもλ制限されていない場合には、上記のように各気筒のPmiは目標Pmiにそれぞれ一致するのであるが、#4気筒に対するλ制限の実行は、目標Pmiの達成するための#4気筒に対する噴射量の増加補正が不完全なものになることを意味し、これは#4気筒自体のPmiが不足して目標Pmiを達成できないばかりか、目標Pmiに対して平均Pmiが不足する要因にもなる。ステップS10を経てステップS28でYesの判定を下したときには、このような目標Pmiに対して平均Pmiが不足した状況であり、空気過剰率低下気筒に対してλ制限が実行された後に、最初にステップS10でYesの判定を下された対象気筒に対してステップS14以降で噴射時期の進角や燃料増量が実行されてPmiが増加され、これにより平均Pmiが目標Pmiに一致する。
このときのPmiが増加される対象気筒は、図5では#1気筒として示されており、この#1気筒に対する燃料増量(図5中のポイントa以降)に伴って平均Pmiが目標Pmiに一致する。#1気筒のPmiは一旦低下した後に増加しており、燃料噴射量の減少補正後に増加補正されたように示されているが、実際の制御過程では、増加補正と減少補正とが並行して実行されることで、本来は実行されるべき#1気筒に対する燃料減量が制限されるように噴射量補正が行われる。
尚、図2,3のフローチャートでは、λ制限の対象となる空気過剰率低下気筒以外の全ての気筒の内、最初にステップS10でYesの判定を下した対象気筒に対してステップS14以降で噴射時期の進角及び燃料増量を適用しているが、このときの対象気筒は、図5に例示した#1気筒のように、目標Pmiを達成するために燃料減量されるべき気筒、換言すれば、燃料増量しても空気過剰率をλ下限値以上に保持できる余地を有する気筒を対象とすることが望ましい。そこで、ステップS12とステップS14との間に、現在の対象気筒が目標Pmiを達成するために燃料減量されるべき気筒であるか否かの判定を追加し、当該判定でYesとなった対象気筒に対してステップS14移行の処理を実行するようにしてもよい。
図6は本実施形態によるPmi、燃料噴射量、λの制御状況を示す説明図であり、Pmiに基づく制御無しの場合、及び特許文献1の技術の場合を併記している。本実施形態の制御状況は、ステップS16の噴射時期の進角補正及びステップS24の燃料減量のみを実行した場合、加えてステップS18の燃料増量を実行した場合、加えて何れかの気筒に対してステップS20,22のλ制限を実行した場合で相違することから、これら3種の制御状況を個別に示している。
Pmiに基づく制御無しの場合には、各気筒に共通の燃料噴射量が適用されており、燃料噴射弁12の個体差による気筒間の燃料噴射量のバラツキや吸入空気量のバラツキに起因して各気筒のPmiにもバラツキが生じていることから、気筒間の燃焼圧力のバラツキによりエンジン1に回転変動が生じていることが推測できる。又、気筒間での吸入空気量やEGR量等のバラツキに起因して、各気筒の空気過剰率にも格差が生じている。
これに対して特許文献1の技術では、各気筒に対する燃料噴射量の補正により各気筒のPmiが目標Pmiに一致している。同時に、この噴射量補正に伴って各気筒の空気過剰率のバラツキは拡大し、例えば図6中に示すPmiが過小な#4気筒では、目標Pmiを達成するために燃料噴射量が増加補正された結果、空気過剰率が更に低下してλ下限値を下回っている。空気過剰率の低下により#4気筒の排ガスはスモークが増加し、排ガス性能を悪化させる要因になってしまう。
これに対して本実施形態では、噴射時期の進角補正及び燃料減量のみの場合、例えば図6ではPmiが過小な#3気筒及び#4気筒に対しては噴射時期の進角補正が適用され、Pmiが過大な#1気筒及び#2気筒に対しては噴射量の減少補正が適用され、全ての気筒のPmiが目標Pmiに一致している。そして、噴射時期の進角補正はPmiを増加させるものの空気過剰率にはほとんど影響しないため、#3気筒及び#4気筒の空気過剰率は、Pmiに基づく制御無しの場合と同じくλ下限値以上に保持される。
又、例えば#3気筒及び#4気筒に対して噴射時期の進角補正だけではPmiの増加が不足し、加えて燃料増量を行った場合でも、目標Pmiは達成される。この場合には、燃料増量により#3気筒及び#4気筒の空気過剰率は減少するが、既に噴射時期の進角によりPmiがある程度増加していることから、特許文献1の技術に比較すれば格段に少量の燃料増量で目標Pmiを達成できる。よって、#3気筒及び#4気筒の空気過剰率の低下幅は特許文献1の技術よりも小さくなり、このように空気過剰率がλ下限値を下回りλ制限を要するケースは少ない。
一方、例えば燃料増量により#4気筒の空気過剰率がλ下限値を下回るとしてλ制限が実行された場合、図5に基づき述べたように、目標Pmiを達成するための#4気筒に対する噴射量の増加補正が不完全なものになり、#4気筒のPmiは目標Pmiに対して不足する。しかしながら、平均Pmiが目標Pmiよりも低いときには他の気筒、例えば#1気筒に対してステップS16,18で噴射時期の進角や燃料増量が実行されてPmiが増加される。これにより、λ制御された#4気筒のPmiの不足分が補われることから、全ての気筒のPmiを目標Pmiに一致させることはできないものの、平均Pmiが目標Pmiに一致する。
以上の図6の説明図に基づき、特許文献1の技術に比較して本実施形態では以下に述べる特有の作用効果が得られる。
図2,3のステップS12の判定に基づき、対象気筒のPmiが目標Pmiよりも低いときにはステップS16,18の処理によりPmiを増加させ、対象気筒のPmiが目標Pmiよりも高いときにはステップS24の処理によりPmiを減少させており、これらの処理により、特許文献1の技術と同じく全ての気筒のPmiが目標Pmiに一致することから、気筒間の燃焼圧力のバラツキによる回転変動を最大限に抑制することができる。
この点自体は特許文献1の技術と相違ないが、本実施形態の最大の特徴は、対象気筒のPmiを増加させる際には、可能な限りステップS16の噴射時期の進角補正により対処し、それでも不足する場合のみステップS18の燃料増量により対処しており、一方、対象気筒のPmiを減少させる際には、ステップS24の燃料減量により対処している点にある。
Pmiの増加に燃料増量のみで対処する特許文献1の技術によれば、図6に示す#4気筒のように、燃料増量により空気過剰率がλ下限値を下回ってスモークを増大させる気筒が発生する。これに対して本実施形態では、空気過剰率にはほとんど影響がない噴射時期の進角補正によりPmiを増加させるため、目標Pmiを達成した上で空気過剰率の異常低下を抑制でき、これに起因する排ガス性能の悪化を未然に防止することができる。
又、特許文献1の技術では、Pmiが低い気筒では常にベース噴射量に対して余分な燃料噴射が必要になり燃料消費の増大の要因になったが、噴射時期の進角は燃料消費を増大させる要因にならないため、結果としてPmiの増加に要する燃料消費量を節減できる。一方で、図4の特性図から明らかなように、Pmiを減少する際には噴射時期の遅角で対処することも可能ではある。しかしながら、この場合には、過剰なPmiの発生要因になっている燃料噴射量をそのままとして、噴射時期の遅角により強引にPmiを引き下げることから、無駄な燃料消費が発生することを意味する。
そこで、本実施形態では、Pmiの減少には噴射時期の遅角ではなく、あえて燃料減量で対処しており、これにより過剰なPmiの発生要因になっている燃料噴射量の相当分を節減できる。このようにPmiの増加及び減少に対してそれぞれ最適な調整手法を用いていることから、特許文献1の技術に比較して、Pmiの補正に伴う無駄な燃料消費を未然に回避して燃費向上を実現できるという利点も得られる。但し、必ずしもPmiの減少に燃料減量で対処する必要はなく、例えば上記のように噴射時期の遅角で対処してもよい。
又、噴射時期の進角補正に加えて燃料増量を行った場合でも、既に噴射時期の進角によりPmiがある程度増加していることから、特許文献1の技術に比較すれば格段に少量の燃料増量で目標Pmiを達成でき、この場合でも燃費向上に寄与することができる。しかも、燃料増量が少ないことは空気過剰率の低下幅の縮小に繋がり、空気過剰率がλ下限値を下回るケースが減少することから、λ制限の実行により燃料増量が不足して目標Pmiを達成できない事態を回避でき、この要因は目標Pmiの達成に貢献する。
そして、噴射時期の進角補正に燃料増量を加えたことによりPmiの調整幅が拡大するため、噴射時期の進角補正だけではPmiの増加が不足する場合であっても目標Pmiを達成でき、エンジン1の回転変動を一層確実に低減できるという効果も得られる。
一方、過小なPmiを増加させるべく噴射時期の進角後に燃料増量を実行してPmiの増加が図られた場合、図6に基づき説明した特許文献1の技術のように、燃料増量により空気過剰率がλ下限値を下回ってしまう。このとき、本実施形態では、空気過剰率の異常低下を抑制するためのλ制限が実行されるため、対象気筒の空気過剰率をλ下限値以上に確実に保持できる。これにより、空気過剰率の異常低下に起因するスモークの増大を防止でき、ひいては特許文献1の技術に比較して排ガス性能を大幅に向上することができる。
λ制限の実行により燃料増量が不完全なものになることから、対象気筒では目標Pmiに到達せず平均Pmiが不足する。しかしながら、平均Pmiが目標Pmiよりも低いときには他の気筒に対してステップS16,18で噴射時期の進角や燃料増量が実行されてPmiが増加される。これにより、λ制限された気筒のPmiの不足分が補われることから、全ての気筒のPmiを目標Pmiに一致させることはできないものの、平均Pmiが目標Pmiに一致される。よって、Pmiに基づく制御無しの場合に比較すれば、エンジン1の回転変動を十分に抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別のディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態の燃料噴射制御装置の全体的な構成は図1に示す第1実施形態と基本的に同様であり、主な相違点は、ECU42が実行するPmi・λ制御ルーチンにある。そこで、共通する箇所は第1実施形態と同一部材番号を付して説明を省略し、構成の相違する箇所を重点的に説明する。
図1に破線で示すように本実施形態では、各気筒の排ガスの空燃比を空燃比センサ61により個別に検出しており、そのために各気筒の排気ポート18と連通する排気管34のブランチには気筒毎に空燃比センサ61が設けられている。
図7,8はECU42が実行するPmi・λ制御ルーチンを示すフローチャートである。
まず、第1実施形態と同じくステップS42でセンサ検出情報を読み込み、続くステップS44で目標Pmi及びλ下限値を算出すると共に、加えて本実施形態では、目標空気過剰率に対応する各気筒の目標燃料噴射量を算出する(第1の補正手段)。目標空気過剰率は、現在のエンジン1の運転領域における最適な空気過剰率として算出され、この目標空気過剰率を各気筒で達成可能な値として目標燃料噴射量が各気筒毎に算出される。
即ち、図6に基づき述べたPmiに基づき制御無しの場合のように、気筒間での吸入空気量やEGR量等のバラツキに起因して各気筒の空気過剰率には格差が生じているため、各気筒で目標空気過剰率を達成するには、各気筒の空気過剰率に関する特性を考慮して個別に目標燃料噴射量を設定する必要がある。そこで、予めエンジン台上試験を実施して、目標空気過剰率の達成に必要な各気筒の燃料噴射量をエンジン運転領域毎に求めてマップ化しておき、ステップS44では、このマップから目標空気過剰率に対応する各気筒の燃料噴射量を目標燃料噴射量として導き出す。
その後、ECU42はステップS46で各気筒のPmiを算出し(平均有効圧算出手段)、ステップS48で平均Pmi、及び目標Pmiに対する各気筒のPmiの偏差Aを上記(1)式に従って算出する。尚、本実施形態では、第1実施形態で述べた偏差Bについては使用しないことから,ステップS48での算出処理もしていない。続くステップS50で対象気筒のPmi偏差Aが0であるか否かを判定し、判定がYesのときには、当該対象気筒について噴射時期補正や噴射量補正の必要なしと見なしてルーチンを終了する。
又、ステップS50の判定がNoのときには、ステップS52に移行して対象気筒のPmi偏差Aが0より大か否かを判定する。ステップS52の判定がYesで対象気筒のPmiが目標Pmiよりも低いときにはステップS54に移行し、現在の燃料噴射時期が進角限界値に達しているか否かを判定する(進角限界判定手段)。第1実施形態と同じく進角限界値は、エンジン1の耐圧限界の燃焼圧力を考慮した値である。ステップS54の判定がNoで噴射時期が未だ進角限界値に達していないときには、ステップS56に移行して対象気筒の噴射時期を予め設定された補正量だけ進角補正した後(第1の補正手段)、ルーチンを終了する。
ステップS56での対象気筒への噴射時期の進角補正が繰り返された結果、ステップS54の判定がYesになるとステップS58に移行し、上記ステップS44で対象気筒に対して設定された目標燃料噴射量を予め設定された補正量だけ増加補正する(第2の補正手段)。続くステップS60では、空燃比センサ61により検出された対象気筒の空気過剰率が上記λ下限値より大か否かを判定する。ステップS60の判定がYesで、噴射量の増加補正による対象気筒の空気過剰率の低下が許容範囲内であるときには、そのままルーチンを終了する。従って、対象気筒の噴射時期が進角限界値に達した後は、噴射時期の進角補正に代えて燃料増量により対象気筒のPmiを増加させる。
又、ステップS68での燃料増量により対象気筒の空気過剰率が次第に低下してλ下限値を下回ると、ECU42はステップS62で当該気筒を空気過剰率低下気筒と見なしてλ制限を実行する。即ち、対象気筒の目標燃料噴射量の増加補正をλ下限値に対応する値に制限することで空気過剰率をλ下限値以上に保持する。
一方、上記ステップS52の判定がNoで対象気筒のPmiが目標Pmiよりも高いときには、ステップS64に移行して現在の燃料噴射時期が遅角限界値に達しているか否かを判定する(遅角限界判定手段)。図4に基づいて説明したように、燃料噴射時期とPmiとの間には相関関係が成立しているが、相関関係が成立する領域内であっても、噴射時期の過剰な遅角は燃焼効率の低下とスモークの発生を引き起こすことから、効率低下が許容範囲を越える直前の値として遅角限界値が設定されている。
ステップS64の判定がNoで噴射時期が未だ遅角限界値に達していないときには、ステップS66に移行して対象気筒の噴射時期を予め設定された補正量だけ遅角補正した後(第1の補正手段)、ルーチンを終了する。尚、補正量としては、進角と遅角で共通の値を適用してもよいし、別の値を適用してもよい。
ステップS66での対象気筒への噴射時期の遅角補正が繰り返された結果、ステップS64の判定がYesになるとステップS68に移行し、上記ステップS44で対象気筒に対して設定された目標燃料噴射量を予め設定された補正量だけ減少補正した後(第3の補正手段)、ルーチンを終了する。従って、対象気筒の噴射時期が遅角限界値に達した後は、噴射時期の遅角補正に代えて燃料減量により対象気筒のPmiが減少し続ける。
このように、目標Pmiに対して対象気筒のPmiが低いときには、まず、燃料噴射時期の進角によりPmiを増加させ、噴射時期が進角限界値に達した後には、燃料増量によりPmiを増加させる。一方、目標Pmiに対して対象気筒のPmiが高いときには、まず、燃料噴射時期の遅角によりPmiを減少させ、噴射時期が遅角限界値に達した後には、燃料減量によりPmiを減少させる。又、Pmiを増加させるための燃料増量の結果、対象気筒の空気過剰率がλ下限値を下回るときには、このときの対象気筒を空気過剰率低下気筒と見なしてλ制限により空気過剰率をλ下限値に保持する。
図9は本実施形態によるPmi、燃料噴射量、λの制御状況を示す説明図であり、Pmiに基づく制御無しの場合を併記している。本実施形態の制御状況は、ステップS56,66の噴射時期の進角補正及び遅角補正のみを実行した場合、加えてステップS58,58の燃料増量及び燃料減量を実行した場合、加えて何れかの気筒に対してステップS60,62のλ制限を実行した場合で相違することから、これら3種の制御状況を個別に示している。
Pmiに基づく制御無しの場合には、各気筒に共通の燃料噴射量が適用されており、燃料噴射弁の個体差による気筒間の燃料噴射量や吸入空気量のバラツキに起因して各気筒のPmiにもバラツキが生じていることから、気筒間の燃焼圧力のバラツキによりエンジン1に回転変動が生じていることが推測できる。又、気筒間での吸入空気量やEGR量等のバラツキに起因して、各気筒の空気過剰率にも格差が生じている。
これに対して本実施形態では、噴射時期の進角補正及び遅角補正のみの場合、例えば図9ではPmiが過小な#3気筒及び#4気筒に対しては噴射時期の進角補正が適用され、Pmiが過大な#1気筒及び#2気筒に対しては噴射時期の遅角補正が適用され、全ての気筒のPmiが目標Pmiに一致している。一方、各気筒毎に設定された目標燃料噴射量に基づき各気筒では目標空気過剰率が達成されているが、噴射時期補正は、Pmiを増減させるものの空気過剰率にはほとんど影響しないため、各気筒の空気過剰率の制御に対して外乱として作用することはなく、各気筒の空気過剰率は何ら問題無く所期の目標空気過剰率に制御される。
又、例えば#4気筒に対して噴射時期の進角補正だけではPmiの増加が不足し、加えて燃料増量を行った場合でも、目標Pmiは達成される。この場合には、燃料増量により#4気筒の空気過剰率は減少するが、既に噴射時期の進角によりPmiがある程度増加していることから、特許文献1の技術に比較すれば格段に少量の燃料増量で目標Pmiを達成できる。よって、#4気筒の空気過剰率の低下幅は特許文献1の技術よりも小さくなり、このように空気過剰率がλ下限値を下回るケースは少ない。
一方、例えば燃料増量により#4気筒の空気過剰率がλ下限値を下回るとしてλ制限が実行され場合、目標Pmiを達成するための#4気筒に対する噴射量の増加補正が不完全なものになり、#4気筒のPmiは目標Pmiに対して不足する。しかしながら、上記のように既に噴射時期の進角によりPmiがある程度増加していることから、λ制限の実行によるPmiの不足は軽微なものである。
以上の図9の説明図に基づき、特許文献1の技術に比較して本実施形態では以下に述べる特有の作用効果が得られる。
本実施形態の最大の特徴は、エンジン1の運転状態から求めた目標空気過剰率を達成できる各気筒の目標燃料噴射量を求め、この目標燃料噴射量に基づく噴射量制御により各気筒の空気過剰率を目標空気過剰率に一致させる一方、空気過剰率にはほとんど影響を及ぼさない噴射時期の進角補正及び遅角補正により各気筒のPmiを目標Pmiに一致させ、それでも不足する場合のみ燃料増量や燃料減量により対処している点にある。
従って、噴射時期の進角補正及び遅角補正により全ての気筒のPmiを目標Pmiに一致させることができると共に、噴射時期補正は空気過剰率にはほとんど影響しないことから、一方では、目標燃料噴射量に基づく制御により各気筒の空気過剰率を目標空気過剰率に一致させることができる。このように本実施形態では、各気筒で目標Pmiを達成できるのみならず、目標空気過剰率も達成できる。第1実施形態では、λ制限により空気過剰率の異常低下は抑制できるものの、各気筒の空気過剰率は不一致のままであったが、本実施形態では、全ての気筒の空気過剰率がエンジン1の運転領域に対して最適な目標空気過剰率に一致することから、排ガス性能をより一層向上することができる。
加えて、噴射時期の進角は燃料消費を増大させる要因にならないため、第1実施形態と同じく、Pmiの増加に要する燃料消費量を節減して燃費向上に貢献することができる。
又、噴射時期の進角補正や遅角補正に加えて燃料増量や燃料減量を行った場合でも、既に噴射時期の進角や遅角によりPmiがある程度目標Pmiに接近していることから、少量の燃料増量や燃料減量で目標Pmiを達成でき、特に燃料増量が少量で済むことは燃費向上に寄与する。しかも、燃料増量や燃料減量が少ないことは空気過剰率の増加幅や低下幅の縮小に繋がり、仮に目標空気過剰率を達成できないとしてもその誤差は僅かなものとなり、排ガス性能の極端な悪化を確実に防止することができる。
そして、噴射時期の進角補正や遅角補正に燃料増量や燃料減量を加えたことによりPmiの調整幅が拡大するため、噴射時期補正だけではPmiの増加や減少が不足する場合であっても目標Pmiを達成でき、エンジン1の回転変動を一層確実に低減できるという効果も得られる。
一方、第1実施形態と同じく、過小なPmiを増加させるべく噴射時期の進角後に燃料増量を実行してPmiの増加が図られた場合、燃料増量により空気過剰率がλ下限値を下回ってしまうが、このときにはλ制限により対象気筒の空気過剰率をλ下限値以上に確実に保持できる。これにより、空気過剰率の異常低下に起因するスモークの増大を防止でき、ひいては特許文献1の技術に比較して排ガス性能を大幅に向上することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態ではディーゼルエンジン1の燃料噴射制御装置に具体化したが、これに限ることはなく、例えば各気筒の筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射型火花点火式ガソリンエンジンに適用してもよい。無論、これらのガソリンエンジンにおいても、図4に示す燃料噴射時期とPmiとの相関関係が成立するため、本発明を適用可能である。
又、上記各実施形態では、進角補正した噴射時期が進角限界値に達したとき、或いは遅角補正した噴射時期が遅角限界値に達したときに、燃料増量や減量を行って目標Pmiを達成したが、これらの燃料増量や燃料減量は必ずしも実行する必要はなく、これらの処理を省略してもよい。
又、上記各実施形態では、目標Pmiを達成する燃料増量により空気過剰率がλ下限値を下回ることになる空気過剰率低下気筒に対してλ制限を実行すると共に、この気筒に対する燃料噴射量の不足分だけ他の気筒に対して実行すべき燃料減量を制限することにより、平均Pmiを目標Pmiに一致させたが、必ずしもλ制限を実行する必要はない。
又、λ制限は実行するとしても、これに対応して他の気筒に対する燃料減量の制限を実行する必要はない。この場合には、空気過剰率低下気筒に対する燃料増量を制限した分だけ平均Pmiが目標Pmiよりも低くなるが、例えば乗員が強い加速Gを受ける急加速等では回転変動を特に感じ難くなるため、これによる弊害は無視できる程度である。そして、λ制限に対応して行われる他の気筒への燃料減量の制限処理を省略できることから、ECU42の制御プログラムを簡略化できるという別の利点が得られる。
1 エンジン(内燃機関)
12 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
14 筒内圧センサ(燃焼圧力検出手段)
42 ECU(燃料噴射制御手段、第1〜3の補正手段、進角限界判定手段、
遅角限界判定手段、平均有効圧算出手段、噴射量補正手段、
空気過剰率算出手段、空気過剰率低下抑制手段)
61 空燃比センサ(空気過剰率算出手段)

Claims (7)

  1. 内燃機関の各気筒に対応して設けられ、各気筒にそれぞれ燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    上記内燃機関の各気筒の燃焼圧力を検出する燃焼圧力検出手段と、
    上記燃焼圧力検出手段により検出された燃焼圧力に基づき各気筒の平均有効圧を算出する平均有効圧算出手段と、
    上記平均有効圧算出手段により算出された各気筒の平均有効圧を上記内燃機関の運転状態から求めた目標平均有効圧に接近させるべく、上記各気筒の燃料噴射手段に対する制御指標をそれぞれ補正する第1の補正手段と、
    上記第1の補正手段により補正された各気筒の制御指標に基づき上記各気筒の燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段と
    を備え、
    上記第1の補正手段は、上記気筒の平均有効圧を減少させるときには、該気筒の燃料噴射弁の燃料噴射量を減少補正するか又は該燃料噴射弁の燃料噴射時期を遅角補正し、上記気筒の平均有効圧を増加させるときには、該気筒の燃料噴射弁の燃料噴射時期を進角補正することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 上記第1の補正手段は、上記気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、該平均有効圧を減少させるべく上記燃料噴射量の減少補正を実行し、上記気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、該平均有効圧を増加させるべく上記燃料噴射時期の進角補正を実行することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 上記第1の補正手段は、上記内燃機関の運転状態に基づき目標空気過剰率を算出すると共に、該目標空気過剰率を達成可能な各気筒の燃料噴射量を算出し、上記気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも高いときには、該平均有効圧を減少させるべく上記燃料噴射時期の遅角補正を実行し、上記気筒の平均有効圧が目標平均有効圧よりも低いときには、該平均有効圧を増加させるべく上記燃料噴射時期の進角補正を実行することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 上記第1の補正手段により上記平均有効圧を増加させるべく進角補正された燃料噴射時期が上記内燃機関の耐圧限界に基づき設定された進角限界値に達しているか否かを判定する進角限界判定手段と、
    上記進角限界判定手段により上記燃料噴射時期が進角限界値に達したと判定されたとき、該当する気筒の燃料噴射時期を上記進角限界値に保持すると共に該気筒の燃料噴射量を増加補正する第2の補正手段と
    を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 上記内燃機関の各気筒の排ガスの空気過剰率を算出する空気過剰率算出手段と、
    上記第2の補正手段により燃料噴射量が増加補正されることにより、何れかの気筒の上記空気過剰率算出手段により算出された空気過剰率が排ガス特性に基づき設定された下限空気過剰率を下回るとき、上記第2の補正手段による補正に関わらず該空気過剰率低下気筒に対する燃料増量を制限して空気過剰率を下限空気過剰率以上に保つ空気過剰率低下抑制手段と
    を備えたことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 上記空気過剰率低下抑制手段は、上記空気過剰率低下気筒に対する燃料増量の制限により空気過剰率の低下を抑制すると共に、該空気過剰率低下気筒以外の所定気筒に対する該燃料減量を制限して、全気筒の平均有効圧の平均値を上記目標平均有効圧に略一致させることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 上記第1の補正手段により上記平均有効圧を減少させるべく遅角補正された燃料噴射時期が上記内燃機関の燃焼効率に基づき設定された遅角限界値に達しているか否かを判定する遅角限界判定手段と、
    上記遅角限界判定手段により上記燃料噴射時期が遅角限界値に達したと判定されたとき、該当する気筒の燃料噴射時期を上記遅角限界値に保持すると共に該気筒の燃料噴射量を減少補正する第3の補正手段と
    を備えたことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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