本発明による解決の利点は、この解決により、ポンピング放射が上記の増幅器構造自体によって主に吸収され、従って、正孔及び電子の増幅器構造内への移動の際の損失を低減することができるということにあることが分かる。
更には、上記のポンピング放射場が増幅器構造を複数回通過することにより、増幅器構造の効率的なポンピングが達成される。
この観点において、少なくとも1つの増幅器構造内におけるポンピング放射の吸収が、この増幅器構造に隣接する包囲構造内におけるポンピング放射の吸収を上回る場合に、特に有利である。
又、上記の包囲構造内におけるポンピング放射の吸収が、増幅器構造内におけるポンピング放射の吸収と比較して無視可能であり、従って、増幅器構造が、本質的にポンピング放射によって直接的にポンピングされる場合に、更に良い。
特に、ソリッドステートボディの不必要な加熱を回避するために、少なくとも1つの増幅器構造内におけるポンピング放射の吸収が、この増幅器構造外のソリッドステートボディの残りの容積領域内におけるポンピング放射の吸収を上回っている場合に、特に有利である。
本発明による解決に関する以上の説明においては、レーザ活性容積領域の設計の詳細については、まだ説明していないが、原理的には、まずは、関連付けられた表面内に延在する1つの増幅器構造を備えるだけで十分である。
しかしながら、互いにある距離で離隔して位置するが、積層方向において互いに上下に配置された表面内にある複数の増幅器構造を上記のレーザ活性容積領域が具備することにより、レーザ増幅器放射場の増幅を更に改善可能である。この結果、レーザ増幅器放射場が個々の増幅器構造を通過するときに、それぞれの増幅器構造がレーザ増幅器放射場の増幅に寄与できるようになる。
以上の説明においては、包囲構造の設計の詳細については、まだ説明していないが、原理的には、この包囲構造は、増幅器構造の直接的な機能に決定的な影響を及ぼさないため、増幅器構造との干渉が生じない限り、任意に選択した材料によって構成可能であろう。
しかしながら、包囲構造は、それが半導体材料から形成される場合には特に干渉することなく動作し、この包囲構造は、結晶構造を有し、また増幅器構造自体と本来同一の格子定数でない場合にも、類似の格子定数を有することが好ましい。
特に有利な解決によれば、この包囲構造は、半導体材料から構成された層によって形成されるべきであり、これによって、その量子構造(Quantenstruktur)に隣接して簡単な方式で包囲構造を構築可能であるためである。
光ポンピングによって生成される電子及び正孔が増幅器構造内に確実に留まるようにするために、増幅器構造の半導体材料は、その包囲構造よりも小さなバンド距離(Bandabstand)を有することが好ましい。
このバンド距離は、半導体技術における慣習的な用語として理解するべきもの、即ち、最上位の価電子帯(Valenzband)と最下位の伝導帯(Leitungsband)の間のエネルギー差のことである。
ソリッドステートボディ内に増幅器構造を好適に埋め込むことによって、その増幅器構造が配置されている表面の両側に、少なくとも1つの個別の包囲構造が配置される。
以上においては、包囲構造自体の設計の詳細については、まだ説明していないが、例えば、1つの有利な解決法によれば、それぞれの包囲構造は、ソリッドステートボディのその他の領域の影響に対して増幅器構造の最適な埋め込みと遮へい(Abschirmung)を達成することができるように、上記の表面に対して横方向に、増幅器構造の厚さの倍数に等しい厚さを有する。
この点については、例えば、包囲構造は、上記の表面に対して横方向に、少なくとも10nmに等しい厚さを有する。
包囲構造が、上記の表面に対して横方向に、少なくとも30nmに等しい厚さを有している場合が、一層良い。
本発明による解決法に関する以上の説明においては、レーザ活性容積領域内における増幅器構造の配置の詳細については、まだ説明していないが、例えば、1つの特に好適な解決法によれば、増幅器構造は、それらの間に位置する中間層によって互いに分離される。
これらの中間層は、任意に選択した材料から構成可能である。
このタイプの中間層は、好ましくは、増幅器構造に隣接して配置されたそれぞれの包囲構造を有することになる。この点において、これらの中間層は、包囲構造とは別個に構築可能である。しかしながら、包囲構造間に、追加の材料又は異なるタイプの材料から構成される中間層を備えることも可能である。
これらの中間層は、増幅器構造内におけるポンピング放射場からのポンピング放射の吸収が、この中間層によるポンピング放射の吸収に等しいか或いはこれより大きいような材料から構成されるのが好ましい。
これらの中間層によるポンピング放射の吸収は、増幅器構造内におけるポンピング放射の吸収と比べて、無視可能であることが好ましい。
以上においては、増幅器構造が配置されている表面との関連におけるレーザ増幅器放射場の進行コース(Verlauf)の詳細については、まだ説明していない。
レーザ増幅器放射場内おける特に有利な増幅は、レーザ増幅器放射場が、増幅器構造が延在する表面に対して横方向に進行する場合に、達成可能である。
この点については、レーザ増幅器放射場は、ほぼ増幅器構造の積層方向の方向に進行することが好ましい。
以上においては、レーザ増幅器放射場の進行コースの方向における増幅器構造間の距離の詳細については、まだ説明していない。
増幅器構造の少なくとも一部においては、1つの特に有利な解決法によれば、これらは、例えば、レーザ増幅器放射場の進行コースの方向、好ましくは、その積層方向において、最適なレーザ増幅の場合のレーザ増幅器放射場の波長の半分又はその波長の半分の整数倍にほぼ相当する距離を有する。
この結果、増幅器構造の全てを積層方向において所定の距離で配列するか、或いは、複数の増幅器構造を組み合わせて、それぞれのグループ内において小さな距離で配列される増幅器構造を有する複数のグループを形成し、そして、異なるグループの増幅器構造が所定の距離で同じ様に配列されるように、これら増幅器構造のグループを所定の距離で配列することが可能である。
このようなソリッドステートボディ内における増幅器構造間の距離により、ポンピング放射源による光ポンピングによるレーザ活性容積領域のレーザ増幅が何ら生じない場合には、それらの距離が、もはや、レーザ活性容積領域のレーザ増幅状態における所定の距離に正確に対応していない危険性がある。
このため、この増幅器構造間の距離は、レーザ活性容積領域のレーザ増幅中のソリッドステートボディの熱力学的平衡状態における最適なレーザ増幅の波長の半分の倍数に対応していることが好ましい。
以上においては、それぞれに属する増幅器構造が配置される表面のアライメント(Ausrichtung)の詳細については、まだ説明していない。
1つの好適な解決法によれば、増幅器構造が配置される表面は、ソリッドステートボディの外側冷却表面に対してほぼ平行に延在する。
更なる有利な解決法によれば、増幅器構造が配置される表面は、レーザ増幅器放射場の出口表面にほぼ平行に延在する。
この場合、このほぼ平行とは、上記の表面が互いに最大10°の角度を形成し得ることを意味する。
本発明によるレーザ増幅システムの場合には、上記の表面の方向に伝播する放射又はその表面に対してある角度で伝播する放射の場合にも生ずる如何なる放射増幅をも防止するために、レーザ増幅器放射場の波長の倍数に達する厚さを有する光学的に不活性な層が、レーザ増幅器放射場の出口表面と増幅器構造が延在する表面との間に配置されることが好ましい。
以上においては、増幅器構造自体の設計の詳細については、まだ説明していない。
例えば、1つの有利な解決法によれば、増幅器構造は、増幅器構造のバンドエッジ(Bandkante)における状態密度(Zustandsdichte)の増加がその結果として発生するほどにわずかな厚さを有する。
増幅構造は、半導体レーザの場合に使用されている通常の量子構造より、それぞれの表面に対して直角の方向において、厚いものであってよい。しかしながら、有利な解決によれば、この増幅器構造は、量子構造として設計される。
この場合、これらの量子構造の厚さは、特に、ほぼその量子構造の材料内における電子の波長の大きさのオーダ内にある。
この量子構造は、それらの厚さが、上記の表面に対して横方向に、20nm未満になるように寸法決めされるのが好都合である。
この量子構造自体の設計に関しては、様々な可能性が考えられる。
例えば、1つの可能性として、量子構造は、量子膜(Quantenfilm)として設計され、このような量子膜は、ほぼ二次元の電子ガスを有する。
量子構造を実現するための更なる可能性は、これを量子ワイヤ(Quantendraht)から形成することであり、このような量子ワイヤは、ほぼ一次元の電子ガス(Elektronengas)を有する。
更なる可能性は、量子構造を量子点(Quantenpunkt)から形成することであり、従って、ほぼゼロ次元の電子ガスを有するようにすることである。
以上においては、ソリッドステートボディ内におけるレーザ増幅器放射場の進行コースの詳細については、まだ説明していないが、例えば、レーザ増幅器放射場がソリッドステートボディを完全に通過することが考えられよう。
しかしながら、最適な方式で一方側においてソリッドステートボディを冷却できるようにするために、即ち、好ましくは、少なくとも上記の表面の方向におけるレーザ増幅器放射場の延在範囲(Ausdehnung)にわたって実質的に均一な温度勾配が、冷却表面の方向においてソリッドステートボディ内に生じるようにするために、ソリッドステートボディは、レーザ活性容積領域の一方側にレーザ増幅器放射場のための反射器(Reflektor)を有するようにする。
この場合、この反射器は、例えば、ソリッドステートボディの外側表面に誘電体層としてつけることが可能であろう。
しかしながら、ソリッドステートボディは、上記の反射器が特に単結晶層を有するソリッドステートボディの内部反射器である場合に、この結果として、誘電体、特に、このソリッドステートボディに、特に、その冷却表面の領域内につけられる多結晶又は非晶質層(Amorphen Schicht)の不都合な断熱効果を回避することができるので、特に有利に冷却可能である。
この点においては、上記の内部反射器は、ソリッドステートボディ内において、一連の層によって形成されるのが好ましい。
特に有利な解決法によれば、ソリッドステートボディには、レーザ活性容積領域の一方側に、上記の内部反射器を形成する反射容積領域(reflektierende Volumenbereich)が備えられており、この反射容積領域内に、上記の複数の層が配列されている。
この点において、特に有利な解決法によれば、この反射容積領域は、ブラッグ反射器(Braggreflektor)として設計された領域を有する。
本発明によれば、ソリッドステートボディは、特に、上記の内部反射器が冷却表面から100μm未満に達する距離に配置される場合に、最適な方式で冷却可能である。
以上においては、ソリッドステートボディ内のポンピング放射場の進行コースの詳細については、まだ説明していないが、例えば、1つの有利な実施例によれば、ポンピング放射場は、増幅器構造が延在する表面に対して横方向に伸びる方向に、レーザ活性容積領域を複数回通過するようにされる。
特に有利な解決法によれば、ポンピング放射場は、レーザ増幅器放射場と同じソリッドステートボディの外側表面を通過する。
この場合、この外側表面は、冷却表面の反対側に位置するように配置されたソリッドステートボディの外側表面であることが好ましい。
増幅構造が延在する表面と、このポンピング放射場の通過のための表面の相対的な配列に関しては、特に有利な解決法によれば、増幅器構造が配置されている表面は、ポンピング放射場の通過のためのソリッドステートボディの表面に平行に延在するようにされる。
以上においては、ソリッドステートボディをポンピング放射場が複数回通過する間のポンピング放射場の案内(Fuehrung)の詳細については、まだ説明していないが、例えば、ポンピング放射場が外部の光学装置によって案内されるように、ソリッドステートボディを配置し、単にポンピング放射場がソリッドステートボディを完全に複数回通過するように、ソリッドステートボディを配置することが考えられよう。
しかしながら、ソリッドステートボディが、レーザ活性容積領域の一方側に、ポンピング放射のための反射器が備えられる場合が、特に有利である。
この反射器は、ソリッドステートボディの外側表面上に置くことができる。しかしながら、この反射器が、ソリッドステートボディ内に配置される内部反射器である場合が、更に有利である。
この点において、ポンピング放射場のための反射器は、一連の層から形成されるのが好ましい。
この一連の層は、ソリッドステートボディ内に任意に選択されて分布するように配列可能であろう。
しかしながら、ポンピング放射場用の内部反射器が、それ自体に複数の層を有する反射容積領域によって形成される場合が、特に好都合である。
有利な設計によれば、この反射容積領域は、ブラッグ反射器として設計された領域を有する。
ソリッドステートボディが、レーザ増幅器放射場のための内部反射器のみならず、ポンピング放射場のための内部反射器をも有する場合には、原理的に、これら2つの内部反射器は、互いに独立的に設計可能であるが、これは、これらの反射器の1つが、常に、それぞれ他方の放射場を可能な限り全く吸収しないということを前提とするものである。
従って、特に有利な解決法によれば、レーザ増幅器放射場用の反射器とポンピング放射場用の反射器を組み合わせて1つの反射器を形成するようにされる。
この場合、この反射器は、一連の層によって形成されるのが好ましく、この構造及び配列は、特に、レーザ増幅器放射場とポンピング放射場の入射角度が異なることのために両方の放射場に対して最適な反射を達成できるように、レーザ増幅器放射場の波長及び入射角度とポンピング放射場の波長及び入射角度とについて最適化される。
それぞれに関連している表面の方向における、従って、積層方向に対して横方向における増幅器構造の延在範囲の詳細については、まだ説明していないが、最も簡単な場合においては、増幅器構造は、ソリッドステートボディの端部表面(Randflaeche)まで、積層方向に対して横方向に、従って、関連している表面の方向に延在するようにされる。
しかしながら、この表面の方向における増幅器構造の延在範囲を小さく保つために、従って、この表面の方向における、レーザ増幅の波長を有する放射の如何なる増幅をも抑制するために、増幅器構造は、積層方向に対して横方向に、この方向におけるソリッドステートボディの延在範囲よりも小さな延在範囲を有するようにされるのが好ましい。
この点において、増幅器構造と関連しているそれぞれの表面内に、1つの増幅器構造のみを備えることが考えられる。
しかしながら、この代わりに、互いに並べて配列された複数の増幅器構造をそれぞれの表面内に備えることも考えられる。
本発明によって設計された増幅器構造を最適な方式でポンピングできるようにするために、ポンピング放射場が、それぞれの増幅器構造が延在する表面を、その表面の方向における増幅器構造の延在範囲よりも小さな表面領域内において通過するようにし、従って、ポンピング放射場のポンピング放射を最適に利用できるようにすることが好ましい。
特に、多重励起(Mehrfachanregung)の場合には、ポンピング放射場は、増幅器構造が配置されている表面を通過するごとにその間に1つの表面領域を通過し、その結果、これらの表面領域の合計が、相互に接続された励起領域となり、特に、これらの表面領域が、可能な限りオーバラップするようにされることが好ましい。
更なる解決法によれば、ポンピング放射場は、少なくとも1つの増幅器構造が配置されている表面の複数の接続されていない部分の表面領域を同時に通過し、それらの表面領域内に存在する少なくとも1つの増幅器構造を光ポンピングするようにされる。
このようなポンピング放射場の進行コースは、それぞれが、少なくとも1つの増幅器構造が配置されている表面の部分表面領域を通過する複数の接続されていないポンピング光放射場セグメント(Pumplichtstrahlungsfeldsegment)をポンピング放射場が有することによって達成可能であることが好ましい。
特にレーザ増幅器放射場の波長を有し、増幅器構造の表面の方向に伝播する放射の増幅を抑制する本発明による解決法の更に改善された実施例によれば、積層方向に対して横方向に連結するように配列された増幅器構造が、互いに光学的に分離されるようにされる。
この点において、増幅器構造は、光吸収材料から構成されるバリアによって互いに分離されるのが好ましく、この吸収材料は、量子構造のレーザ増幅の波長範囲において主に吸収するのが好ましい。
増幅器構造が配置されている表面の方向におけるこの望ましくない増幅の抑制は、光吸収材料から構成されるバリアによって増幅器構造を取り囲む場合に、特に良好である。
このタイプのバリアは、光吸収材料から構成されるバリアが、増幅器構造が配置されている表面内において閉曲線を形成している場合に、特に有利に実現することができる。
レーザ増幅器放射場の結合及び非結合(Einkopplung und Auskopplung)を最適化するためにソリッドステートボディは、レーザ活性容積領域の一方側に、レーザ増幅器放射場に対して反射防止を行うように設計されることが好ましい。
これは、例えば、反射防止層によって実現可能であろう。
しかしながら、特に、ソリッドステートボディが既に個々の層から構築済みである場合、このソリッドステートボディがレーザ活性容積領域の一方側に反射防止容積領域を備える場合に、特に有利である。
このような反射防止容積領域は、半導体材料又は半導体の様な材料から同じ様に製造される複数の層から構成されることが好ましい。
特に、この反射防止容積領域と反射器を形成する容積領域は、積層方向において、レーザ活性容積領域の別々の側に配置される。
また、ポンピング放射場の最適な結合をも実現するために、ソリッドステートボディは、ポンピング放射場の入射側で反射防止されるように設計されるのが好ましい。
このソリッドステートボディの反射防止設計は、反射防止容積領域によって実現可能であるのが好ましい。
一実施例においては、ポンピング放射場は、レーザ活性容積領域の少なくとも1つの表面の延長に対して横方向に、ソリッドステートボディに入射するのが好ましい。この場合には、ソリッドステートボディは、レーザ活性容積領域の一方側にポンピング放射場に対して反射防止するように設計され、この反射防止構造はまた、意図的にレーザ活性容積領域に対して横方向に伸びる増幅器放射場に対して反射防止するようにされる。
この解決法では、反射防止容積領域と反射器を形成する容積領域は、積層方向において、レーザ活性容積領域の別々の側に配置されるのが好ましい。
以上の個々の実施例に関する説明の範囲においては、レーザ増幅器放射場もその表面を通って出て行く外側表面と同じ外側表面を通じて、ポンピング放射場がソリッドステートボディに入る実施例についてのみ述べられている。
この代わりに(或いは、これに加えて)、更なる好適な実施例においては、ポンピング放射場は、レーザ活性容積領域の少なくとも1つの表面の延長部に略平行な側面を経由してソリッドステートボディに進入する。
この結果、レーザ増幅器放射場に対して横方向に、ソリッドステートボディをポンピングすることができる。
最適な方式で増幅器構造を光ポンピングできるようにするために、ポンピング放射場は、広がってソリッドステートボディに進入し、その内部において、レーザ増幅器放射場の光軸に対して横方向の反射によって導かれる。
このようにポンピング放射場がソリッドステートボディ内に広がって進入した結果、複数の伝播方向における放射が生成され、これが、反射中に、一方において、均一な強度を有する大きな増幅構造のポンピングをもたらし、その場合、ポンピング放射場が増幅器構造を複数回通過する効果をもたらすことになる。
このソリッドステートボディ内におけるポンピング放射場の反射は、様々な手段によって実現可能である。例えば、ポンピング放射場に対して調節された特殊な反射器をソリッドステートボディ内に備えることが考えられよう。
尚、これらの反射器をレーザ増幅器放射場が通過する場合には、これらの反射器は、レーザ増幅器放射場に対して透明になるように設計される。
しかしながら、特に有利な解決法によれば、このポンピング放射場の反射は、ソリッドステートボディ内の屈折率の傾斜(Brechungsindexgradient)によって実現される、即ち、この反射は、個々の屈折率の傾斜における角度が全反射(Totalreflexion)の臨界角度(Grenzwinkel)を下回らず、この結果、常に全反射が存在するように実現される。
以上においては、レーザ増幅器放射場の設計及び決定の詳細について、まだ説明していないが、例えば、1つの有利な実施例によれば、レーザ増幅器放射場は、ソリッドステートボディからある距離に配置された少なくとも1つの外部ミラーを有する増幅器の光学手段によって規定されており、従って、この増幅器の光学手段が、最適な方式でレーザ増幅器放射場を決定するための自由度を提供する。
基本モード(Grundmode)、又は基本モード並びにこの基本モードに近いモードを有するレーザ放射場の進入のみを許容し、この結果、良好な焦点合せ(Fokussierung)が重要なすべてのアプリケーションにとって有利なモード構造をレーザ増幅器放射場が有するように上記の増幅器の光学手段が設計されている場合に、本発明による解決法は、特に有利である。
本発明の更なる特徴と利点は、以下の説明と、いくつかの実施例を例示している図面の主題をなしている。
図1及び図2に示されている本発明によるレーザ増幅システムの第1実施例は、冷却部材16の外側表面14の冷却表面12に配置されたソリッドステートボディ10を有しており、冷却部材16とソリッドステートボディ10の間には、外側表面14における冷却表面12の面接合によって、良好な熱結合が実現されている。
このソリッドステートボディ10は、ソリッドステートボディ10を通過して、例えば、光軸22に沿って伝播するレーザ増幅器放射場20の光学的増幅の役割を果す。
図2に示されているように、レーザ増幅器放射場20を増幅するために、ソリッドステートボディ10内には、レーザ活性容積領域24が備えられており、このレーザ活性容積領域は、量子構造30a、30b、及び30cとして設計され、そして互いに平行に延在すると共に互いに上下に配置された表面26a〜26c内に延在する増幅器構造を有しており、これらの増幅器構造は、半導体材料から製造されると共に、表面26に対して横方向に、その量子構造を形成する半導体材料内の電子の波長の最大10倍程度の大きさの厚さを有し、これは等倍の厚さが更に良好である。例えば、半導体材料GaAsの厚さは、通常、約5〜約100nmであるが、約5〜約10nmが好ましい。
この結果、これらの量子構造30a〜30cにより、それらの中に存在する電子ガスの延在範囲が決定され、従って、寸法が制限された電子ガスが存在している。これらの量子構造30a〜30cは、例えば、表面26内に延在し二次元の電子ガスを有する膜、表面26内に延在し一次元の電子ガスを有する量子ワイヤ、あるいは表面26内に配列され、ゼロ次元の電子ガスを有する量子点として形成可能である。
このような量子構造については、例えば、Karl Joachim Ebelingの著作である「Integrierte Optoelektronik」(Springer Verlag、1992年、215〜221頁)に記載されている。
この点において、表面26は、好ましくは、冷却表面12に対して略平行で、光軸22に対して横方向に延在しているのが好ましく、レーザ増幅器放射場20の光軸22に対して直角であるのが更に良好であり、表面26は、積層方向28において、レーザ増幅器放射場20の波長の半分又は波長の半分の整数倍の大きさ程度だけ互いに離れた距離Aを有する。
このような表面26の等距離配列の代わりに、その内部に量子構造が備えられた互いに極めて近接して位置する表面のグループを備え、これらの異なるグループの表面の間に、レーザ増幅器放射場20の波長の半分の整数倍の大きさ程度の距離Aを備えることも可能である。
量子構造30は半導体材料から成る層であるので、これらは、両側において対応する表面26a〜26cと隣接している包囲構造34a、34b、34c、及び34dの間にそれぞれ配置されているのが好ましく、ここで、例えば、包囲構造34a及び34bは、表面26aの両側に配置され、従って、積層方向28において見た場合に、量子構造30aは、これらの間に取り囲まれている。
また、これらの包囲構造34も、半導体材料から構成されるのが好ましい。特に、この包囲構造が量子構造30の半導体材料と同一の結晶構造及び格子定数(Gitterkonstante)を有し、従って、包囲構造34の半導体材料が、好ましくは、本質的に類似した半導体材料であるのが有利である。
この点において、包囲構造34は、それらに隣接する量子構造の厚さよりも大きな厚さを有するのが好ましく、量子構造30の倍数になっているのが更によい。
包囲構造34は、特に、その最小値が10nm〜100nmの範囲にある厚さを有する。
積層方向28に互いに並んで位置するように配列された2つの量子構造30間に配置されているこれらの包囲構造34は、全体として、積層方向28に互いに並んで位置するように配列されているこれらの量子構造30間の距離を規定する中間層を形成可能である。
しかしながら、積層方向28に互いに並んでいる2つの包囲構造34間、即ち、それぞれ量子構造30と対向していない側に追加の層構造を備え、従って、中間層が、包囲構造34と、それらの間に配置された中間構造から全体として形成されるようにすることも考えられる。
しかしながら、図4に示されているように、包囲構造34間のバンド距離EUは、量子構造30間のバンド距離EQよりもかなり大きくなっている。
このバンド距離EU及びEQ間の差は、量子構造30の光ポンピングに関連して詳細に後述するように、明らかに異なっているのが好ましい。
特に、ソリッドステートボディ10は、反射容積領域38を有するのが好ましく、この領域には、ブラッグ反射器40を形成すると共に、特に表面26に対して本質的に平行に延在する表面44内において光軸22に対して横方向に、好ましくは、直角に同じ様に延在するいくつかの層42が配列されている。
この反射容積領域38は、レーザ活性容積領域24と冷却表面12の間に配置される。
更には、ソリッドステートボディ10は、この反射容積領域38の反対に位置するレーザ活性容積領域24の一方側に配置されて、レーザ増幅器放射場20のためのソリッドステートボディ10の出口表面50に隣接している反射防止容積領域48を有する。
この場合、この反射防止容積領域48も、特に表面26及び表面44に平行に伸び、これにより、光軸22に対して横方向に、好ましくは、直角に、同様に延在する表面54内において延在する少なくとも1つの層52から形成されているのが好ましい。
更には、出口表面50も、表面26、44、及び54にほぼ平行に延在するように設計される。
反射容積領域38内のブラッグ反射器40は、全体として60として示されている増幅器光学手段のミラーを形成するが、この増幅器光学手段60の第2の、例えば、部分的に透明なミラー62は、出口表面50から離隔して、好ましくは、これからある大きな距離だけ離して、配置される。この増幅器光学手段60は、レーザ増幅器放射場20が、通常、増幅器光学手段60の基本モードのレーザ増幅器放射場20を表すと共に、恐らくは、これに加えて、更に高次のモードであるが、本質的に基本モードに近いモードのみをも有するように設計される。
レーザ活性容積領域24内の量子構造30は、全体として70として示され、ポンピング放射源72から進行してソリッドステートボディ10を複数回通過するポンピング放射場によって、ポンピングされる。
例えば、第1実施例においては、このポンピング放射場70の第1ブランチ(Ast)74は、ポンピング放射源からソリッドステートボディ10内に進行して、レーザ活性容積領域24を通過し、これにより、その断面76内に配置されている量子構造30をポンピングする。
続いて、ポンピング放射場70は、ポンピング放射場70に対する反射器80で反射され、従って、第1ブランチ74は、反射器80によって第2ブランチ78内に写像(Abbild)され、これが、反射器80から偏向ミラー82の方向に進行することになり、この結果、この第2ブランチ78も、レーザ活性容積領域24を通過し、これにより、その断面内に配置されている量子構造30を光ポンピングする。例えば、偏向ミラー82においてポンピング放射場70の戻りの反射が発生し、従って、第2ブランチ78から写像された第3ブランチ84が、第2ブランチ78とは正反対の方向に進行し、そして再び、ソリッドステートボディ10に進入し、レーザ活性容積領域24を通過して、その断面内に配置されている量子構造30を光ポンピングし、反射器80で反射され、従って、ポンピング放射場70の第4ブランチ84に写像され、これが、反射器80から進行して再度ポンピング光放射源72の方向に伸び、従って、レーザ活性容積領域24をもう一度通過して、その断面内に配置されている量子構造30を光ポンピングする。
ポンピング放射場70がレーザ活性容積領域24を全部で4回通過するため、量子構造30によるポンピング放射場70の吸収が低い場合にも、量子構造30の効率的な多重ポンピングを行うことができる。
この図示の第1実施例においては、反射器80は、同様にブラッグ反射器として設計されていると共に、ブラッグ反射器40によっても形成されている、即ち、ブラッグ反射器40は、一方においては、光軸22に沿って伝播するレーザ増幅器放射場20に対して可能な限り良好な反射を提供するように設計すると共に、他方においては、光軸22に対して鋭角で入射するポンピング放射場70に対して可能な限り良好な反射を提供するように設計するように、層42の数とそれらの間の距離に関して寸法決めが行われる。
これら2つの放射場20、70は、層42に異なる角度で衝突するので、2つの異なる波長に対して、ブラッグ反射器40、80を最適化可能である。
この点においては、特に、長い波の放射よりも、より大きな入射角でより短い波の放射が入射する場合のほうが有利である。
しかしながら、この代わりに、一変形の範囲内において、レーザ活性容積領域24と対向していないブラッグ反射器40の一方側に反射器80を配置することも可能であるが、この場合には、ブラッグ反射器40を、ポンピング放射場を吸収しないように設計しなければならない。
他の可能性は、反射器80を、例えば、冷却表面12上に位置するように配置された反射層として設計することであろう。
このポンピング放射場70の反射とブランチ74及び78並びに84及び86の形成の結果として、量子構造30cが延在している表面26cは、例えば、一方において、表面延在範囲(Flaechenausdehnung)Faを有する表面領域88a内において、即ち、ブランチ74及び86によって通過され、他方においては、表面延在範囲Fbを有する表面領域88b内において、即ち、ブランチ78及び84によって、通過されることになる。
この点において、これらの表面領域88a及び88bは、大部分がオーバーラップし、全体として相互に結合された励起領域88を提供しており(図3)、この場合、表面領域88a及び88bのオーバーラップ領域88cにおいてのみではあるが、量子構造30cの本質的に均質なポンピングが行われることになり、従って、レーザ増幅器放射場20は、表面26cの方向において、この表面領域88a及び88bのオーバーラップ領域88cにわたって本質的に延在するが、特に、これらを超えて突出しない延在範囲を有することが好ましい。
これと同じ考慮は、例えば、表面26b及び26a内の量子構造30a及び30bなどの残りの量子構造に対してもなされるが、反射器80から最も遠く離れている量子構造30cは、表面領域88a及び88bの最も小さなオーバーラップ領域88cを有する。
図1及び図2において、レーザ増幅器放射場20の光軸22に対するブランチ74、76、84、86の経路は、実際的に示されているものではなく、概略的にしか示されていなく、光軸22に対する角度は、ソリッドステートボディ10の外よりも、ソリッドステートボディ内において、より高い屈折率のために、より小さくなる。
ポンピング放射場70がそれぞれの量子構造を複数回通過する第1実施例との関連で示されている上記の解決法は、ポンピング放射場70のこの種のガイドの最も簡単な場合を表している。
ポンピング放射場70のガイドの更に複雑な形態については、例えば、欧州特許出願第0632551号、又は独国特許出願第10005195号、又は独国特許出願第19835107号、又は独国特許出願第19835108号明細書に記載されており、ポンピング放射場をガイドするための様々な可能性に関しては、これらを参照すれば充分である。
本発明による解決法の場合には、量子構造30を形成する半導体材料の上部価電子帯Vと下部伝導帯L間のバンド距離EQは、図4に基づいて前述したように、包囲構造34を形成する半導体材料のバンド距離EUよりも明らかに小さく、従って、光の波長、従って、ポンピング放射場70の光子のエネルギーEPを選択することにより、ポンピング放射場70によって、量子構造30の半導体材料の光ポンピングのみが行われ、好ましくは、包囲構造34の半導体材料の光ポンピングや、またソリッドステートボディ10を形成するその他の材料の光ポンピングが生じないようにすることができる。
逆に、ソリッドステートボディ10は、量子構造30及び反射器80とは異なり、ソリッドステートボディ10がポンピング放射場70及びレーザ増幅器放射場20に対して可能な限り良好な透明性を有するように構築される。
本発明によるソリッドステートボディ10は、エピタキシー(Epitaxie)によって基板90上に生成されるのが好ましく、その際には、ブラッグ反射器40、80を形成する層42を有する反射容積領域38を、まず、基板90上に直接構築し、これに続いて、例えば、最も簡単な場合においては、包囲構造34を形成し、次いで、この上に量子構造30aを形成する。次いで、この量子構造30aに、例えば、包囲構造34bの追加の包囲構造を形成し、次いで、再び包囲領域34c、この上に、量子構造30c、そして、最後に包囲構造34dを形成する。しかしながら、これに続いて、もっと多くの量子構造30及び包囲構造を交互に上下に並べて形成し、それら全体がレーザ活性容積領域24を形成することも可能である。
最後に、このレーザ活性容積領域24上に、例えば、反射防止層52を有する反射防止容積領域48を形成する。
適用可能な場合には、レーザ活性容積領域24と反射防止容積層48の間に、例えば、パッシベーション層(Passivierungsschicht)などの追加の機能層を備える。
冷却表面12を介して可能な限り有利に冷却部材16にソリッドステートボディ全体を結合させるために、可能な限り薄い基板90を選択するか、或いは、反射容積領域38、レーザ活性容積領域24、及び反射防止容積領域48を構築した後に再び、例えば、反射容積領域38を付ける直前に基板90上に設けられた腐食停止層(Aetzstoppschicht)92のところまで材料を基板90から除去するのが好ましい。
この結果、冷却表面12と反射容積領域38間の距離を可能な限り小さく保つことが可能になり、従って、冷却表面12と、ポンピング放射場70の吸収のために加熱するので可能な限り効率的に冷却する必要があるレーザ活性容積領域24との間の距離をも可能な限り小さく保つことも可能となる。
一般な目標としては、ソリッドステートボディ10の反射容積領域38と冷却表面12の間の距離は、可能な限り、100μm未満になるようにする。
図5に示されている本発明によるレーザ増幅システムの第2実施例においては、ソリッドステートボディ10’は、まず最初にレーザ活性容積領域24を基板90上に構築し、これに続いて反射容積領域38を形成することにより、この反射容積領域38が、ソリッドステートボディ10に付けられる最後の層を形成し、次いで、ソリッドステートボディ10’の冷却表面12を反射容積領域38の最上位の層によって形成することにより、ソリッドステートボディ10’を冷却表面12を有する冷却部材16の外側表面14上に配置したときに、反射容積領域38と冷却表面12の間の距離を可能な限り小さくできるようになる。
この第2実施例においては、続いて、レーザ活性容積領域24の反対側に位置する基板90の一方側に付けられて出口表面50を形成する反射防止層によって、反射防止容積領域48を形成する。
尚、この第2実施例は、第1実施例と同じように設計されているため、詳述していない特徴に関しては、第1実施例に関する説明をすべて参照することができる。
図6に示されている本発明によるレーザ増幅システムの第3実施例においては、光軸22に対して横方向におけるレーザ増幅器場の、特に、反射防止容積領域48’内における如何なる導波をも回避するために、これは、この反射防止容積領域48’の最も近くに配置された量子構造30と反射防止層52の間に、光学的に不活性な中間領域94が存在するように設計されており、この中間領域は、レーザ増幅器放射場20の放射の波長の倍数に実質的に等しい厚さDZを有しており、この結果、反射防止容積領域48’の最も近くに配置されている量子構造30と、この場合、反射器層として機能する反射防止層52との間には、ソリッドステートボディ10の側壁96の方向における有効な増幅率が存在しないようになっている。
尚、この第3実施例も第1及び第2実施例と同じように設計されているため、詳述していないその他の特徴に関しては、これらの実施例に関する説明をすべて参照することができる。
第1実施例と関連して説明し、図1及び図2に示されているように、量子構造30、図2においては、量子構造30a及び30b、が延在する表面26、図2においては、表面26a及び26b、は、積層方向28において、それらの間に、好ましくは、レーザ増幅器放射場20の波長の半分又はレーザ増幅器放射場20の波長の半分の整数倍に相当する距離を有しており、従って、光軸22の方向に伝播するレーザ増幅器放射場20は、常に、量子構造30を通って、最大振幅の場所で確実に増幅される。
同様に、第1実施例との関連で説明したように、本質的に冷却表面12の表面全体にわたって熱の放出が行なわれなければならないので、この結果、図7に示されている第4実施例の場合には、光軸22の方向にソリッドステートボディ10内で伸びる温度傾斜が発生することになり、これは、レーザ増幅器放射場20内のすべての領域内で、光軸22に対して横方向の全ての方向において、本質的に等しく、従って、図7に示されているように、ソリッドステートボディ10内の温度は、冷却表面12からの距離の増大と共に上昇することになる。量子構造30a、30b、及び30cの場合には、この結果、量子構造30aの温度Taは、量子構造30bの温度Tbより低くなり、この温度Tbは、量子構造30cの温度Tcよりも低くなる。
ソリッドステートボディ10内のこのような温度傾斜の結果、大部分の半導体材料において、温度の上昇に伴って、正孔に対する価電子帯Vと電子に対する伝導帯Lの間のバンド距離が小さくなる。
このために、例えば、量子構造30bのバンド距離EQbが、量子構造30aのバンド距離EQaよりも小さくなる(図8)。
しかしながら、それぞれの量子構造30によって光を放出するエネルギーは、バンド距離EQに依存するのではなく、バンド距離EQとそれぞれ電子に対するゼロ点エネルギー(Nullpunktsenergie)E0Lと正孔に対するゼロ点エネルギーE0Vの合計に依存する。この結果、例えば、量子構造30a及び30bの個々の量子構造30内のゼロ点エネルギーをシフトさせることにより、放射光のエネルギーELを変えることが可能であり、従って、バンド距離EQaがバンド距離EQbよりも大きくて、量子構造30aの放射光のエネルギーELaを量子構造30bのエネルギーELbにほぼ等しくすることができる。このような伝導帯におけるゼロ点エネルギーEOL及び価電子帯におけるEOVの変化は、制限されたディメンジョンの方向(dimensions-begrenzten Richtung)における構成及び/又は延在範囲、例えば、それぞれの二次元の量子構造30、例えば量子構造30a又は30b、の厚さを変えることによって実現可能である(図8)。
この結果、例えば、量子構造30a、30b、及び30cの個々の量子構造30における温度Ta,Tb及びTcが異なるにも拘らず、放出されるレーザ放射のエネルギーELを、例えば、量子構造30a、30b、及び30cのすべての量子構造30において本質的に等しくし、従って、レーザ増幅器放射場20の最適な増幅を実現することができる。
この実施例のレーザ増幅システムは、第1実施例と同じ構造のものであるため、その他の部分については、第1実施例に関する説明をすべて参照することができる。
このように温度Ta,Tb,Tcの違いを考慮することより、レーザ増幅器放射場20において、図9に示されているような増幅プロファイル(Verstaerkungsprofil)が達成されることになり、これは、周波数f0が対応するエネルギーEL付近のわずかな帯域幅を有している。
しかしながら、図10に示されているように、周波数f0付近でスペクトル的に広がった増幅プロファイルを得る必要がある場合には、図11に示されている第5実施例においては、量子構造30が配置されている表面26を、積層方向28において、正確にレーザ増幅器放射場20の波長の半分又はその波長の半分の整数倍の距離に配列するのではなく、むしろその波長の半分からわずかにずらすことにより距離が変るようにしている。例えば、表面26b内の量子構造30bは、表面26a内に延在する量子構造30aから、波長の半分より大きい距離に配置されているのに対して、表面26c内に延在する量子構造30cは、量子構造30aから、波長の半分の整数倍の距離にほぼ位置するように配置されている。
同じことが、表面26d内に延在する量子構造30dに対しても適用されているのに対し、表面26e内に延在する量子構造30eの場合には、量子構造30aからの距離は、再び、波長の半分の整数倍よりも多少小さくなっている。
この結果、レーザ活性容積領域24において、レーザ増幅器放射場20を、正確に所定の波長で増幅することができるのみならず、正確な所定の波長からずれた波長についても、それを増幅することができる。
以上において説明した実施例の場合には、図3に示されているように、均一で相互に連結された表面領域88をポンピング放射場70によって光ポンピングするように、それぞれの表面26内の量子構造30の励起を行うことを前提としている。
この代わりに、図12に示されている第6実施例においては、互いに分離されている部分的な表面領域100a、100b、100c、及び100d内で表面26を通過する放射場セグメント70’a、70’b、70’c、及び70’dを有するポンピング場70’により、例えば、表面26c内に延在する量子構造30cなどの量子構造30を励起するのみならず、追加の量子構造30のすべてを励起することが可能であり、従って、本質的にソリッドステートボディ10の断面全体にわたって延在する量子構造30cの励起が、部分的な表面領域100a〜100d内においてのみ行われるのに対し、互いに分離されているこれらの部分的な表面領域100a〜100dの間に位置している量子構造30cの領域は、光ポンピングされない。
これにより、光ポンピング領域の延在範囲が全て過大になることを許容することなしに、従って、表面26に平行な方向において望ましくない光学的増幅を得ることなしに、簡単な方式で、1つの表面内に備えられている量子構造30の光学的な増幅を最適化する可能性が生ずる。
従って、このようなポンピング放射場70’によって励起された量子構造30は、図13に示されているように、互いに独立した個々のレーザ増幅器放射場20’を形成することになる。
しかしながら、図13に示されているこれらのレーザ増幅器放射場は、外部結合手段、例えば、部分的に透明なミラーや、レーザ増幅器放射場20’の1つをマスタ放射場として使用することによって互いに結合することができる。
外部結合を備える代わりに、例えば、図14に示されているように、例えばタルボット(Talbot)共振器の形態の増幅器の適切な光学手段60’により、量子構造30cの光学的に励起された個々の表面領域100a〜100cによって増幅される個々のレーザ増幅器放射場20’を内部結合によって組み合わせて、コヒーレントな出力放射場102を形成する。
このタイプのタルボット共振器は、例えば、R.Diehl(監修)のHigh-Power Diode Lasers、Topics Appl. Phys. 78、Springer-Verlag、Berlin Heidelberg、2000年、303〜367頁、のUwe Brauch、P.Loosen、H.Opowerによる記事「High-Power Diode Lasers for Direct Applications」に、図37と関連して記述されている。
放射場セグメント70’a〜70’dを含むこのようなポンピング放射場70’は、単一のポンピング放射源とその放射の分割によるか、或いは、複数のポンピング放射源によるかのいずれかによって生成可能である。ポンピング放射場70を形成するための光は、好ましくは、ライトガイドを介して導かれ、それらの出口側の端部は、全体としてポンピング放射場70’を得るために、放射場セグメント70’a〜70’dの所望の配列に従って互いに位置付けられている。
その他の部分については、ソリッドステートボディ10及び量子構造30は、前述の実施例と同じように設計可能であるため、詳細な説明を省略するが、前述の説明をすべて参照することができる。
図15に示されている本発明によるレーザ増幅システムの第7実施例においては、それは、それぞれの表面、図15においては、例として、表面26c、内に備えられた1つの相互に連結された量子構造30cではなく、複数の個々の量子構造301〜30N、この場合には、30C1〜30CN、になっており、これらは、表面26cの互いに分離された個々の部分的な表面領域311〜31Nをすべてカバーしている。
この図15に示されている第7実施例においては、それぞれの表面26内に配列された個々の量子構造301〜30Nは、この場合にも、面状の量子構造、即ち、量子膜であり、従って、それらの内部に存在する電子ガスは、この場合にも、二次元の電子ガスである。
それぞれの表面26内のこのような面状の量子構造301〜30Nは、例えば、部分的な表面領域311〜31N内の適切な材料の組成によって実現可能である。
図16に示されている第8実施例においても、複数の量子構造30’1〜30’Nが、それぞれの表面26内に、30’C1〜30’CNで示したように同様に備えられている。しかしながら、この場合には、量子構造30’1〜30’Nは、面状の量子構造ではなく、むしろ所謂量子ワイヤであり、その内部には、もはや二次元の電子ガスは存在せず、1次元、即ち、それぞれの量子ワイヤ30’1〜30’Nの長手方向においてのみ存在している。
好ましくは、このタイプの量子ワイヤ301〜30Nも、それぞれの表面26の部分的な表面領域311〜31N内における適切なドーピングによって実現可能である。
この点において、量子ワイヤ301〜30Nは、表面26に対して直角におけるそれらの厚さ程度の幅を、その長手方向に対して横方向に有することが好ましい。
図17に示されている第9実施例においては、量子構造30’’1〜30’’N、例えば、図17に示され、それぞれの表面26、例えば、表面26c、内に備えられている量子構造30’’C1〜30’’CN、は、量子膜でも量子ワイヤでもなく、その内部に所謂ゼロ次元の電子ガスが存在している所謂量子点であって、これらの量子点は、それぞれの表面26内において、表面26に対して横方向にその厚さの程度の大きさの最大延在範囲を有している。
これらの第7、第8、及び第9実施例の場合における、量子構造30、ソリッドステートボディ10、レーザ増幅器放射場20及びポンピング放射場70のガイドのその他の特徴については、これまでの実施例における説明をすべて参照されたい。
図18に示されている第10実施例は、図15による実施例に基づいたものであり、この実施例においては、個々の量子構造301〜30N、この場合には、量子構造30C1〜30CN、間のスペース110は、表面26に平行な方向におけるいかなる増幅をも回避するために、高吸収材料をバリア114として有している。
この点において、図19に示されているように、レーザ増幅器放射場20の波長で放射のかなりの部分を吸収する材料によって、スペース110内において、少なくともレーザ活性容積領域24の延長範囲にわたって積層方向28の方向に伸びるバリア114を形成し、従って、例えば、包囲構造34の領域内の表面26に平行な方向における増幅器放射場の形成を防止するようにするのが好ましい。
尚、この第10実施例に関しても、その他の特徴についてはこれまでの実施例を参照されたい。
一般に、それぞれの表面26に平行な方向における如何なる増幅器放射場の形成をも抑制するために、好ましくは、図20に示されている第11実施例において、ソリッドステートボディ10が、冷却表面12と出口表面50間に延在するその側部表面120の領域内に、側部表面120の領域内においてソリッドステートボディ10の全体を取り囲んで、表面26の方向に伝播する放射が反射して戻ることによって再度増幅されることを防止する反射防止層122を備える。
この代わりに、図21及び図22に示されている第12実施例においては、反射防止層122の代わりに、側部表面120’が、レーザ増幅器放射場20の波長の光に対する最大の非結合(Auskopplung)の角度に相当する角度で表面26に対して伸びるようにし、従って、側部表面120’の領域内において表面26に平行に伝播する光は、同じように反射して戻ることなく、ソリッドステートボディ10から出ることになり、従って、表面26に平行に伝播する放射の共振増幅を同じく回避することができる。
これらの第11及び第12実施例の更なる特徴についても、これまでの実施例に関する説明を参照されたい。
図23に示されている第13実施例においては、ポンピング放射源72’’は、ポンピング放射場70’がレーザ増幅器放射場20の出口表面50を経由してソリッドステートボディ10に入るようには配置されておらず、ポンピング放射場70’’がソリッドステートボディの側部表面120を経由してソリッドステートボディ10に入るように、即ち、好ましくは、これが、レーザ活性容積領域24の領域内において行われるように配置されている。
この点においては、ポンピング放射が、量子構造30が延在する面26に対して異なった鋭角で伸びる伝播1301〜130Nの方向でソリッドステートボディ10に入るような広がりを、ポンピング放射場70’’が有することを前提としている。
このポンピング放射場70’’は、一方においては、ポンピング放射場70’’が、反射防止容積領域48によって出口表面50の近傍において全反射されることにより、また他方においては、レーザ活性容積領域24と反射容積領域38の間に配置され、境界表面132に隣接するレーザ活性容積領域24の包囲構造34内の屈折率を下回る屈折率を有している中間層134に対する境界表面132において反射されることにより、ソリッドステートボディ10内において表面26に平行な方向に導かれる。
そして、この伝播1301〜130Nの異なる方向に伝播するポンピング放射を有するポンピング放射場70’’が反射防止容積領域48と中間層134の境界表面132において反射した結果として、特に、ポンピング放射場70’’が、ポンピング放射源72’’の反対側に位置する側部に配置された反射表面136の領域内において反射して再度ポンピング放射源72’’の方向に戻るときに、ポンピング放射場70’’が、マルチモード導波に類似の表面26に対してそれぞれ異なる角度で複数の伝播1301〜130Nの方向に伝播するということにより、少なくとも側部表面120から十分に離隔した距離において、例えば、表面26の表面領域132内において、量子構造30の多重ポンピングが生ずることになる。
その他の部分については、この実施例の量子構造30は、上述のすべての実施例に従って設計可能である。
又、この第13実施例の場合にも、量子構造30、ソリッドステートボディ10、及びレーザ増幅器放射場20の導波の設計に関係する特徴については、これまでの実施例に関する説明をすべて参照されたい。