JP2011029494A - 回路基板、及び前記回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に樹脂被膜2を形成し、前記樹脂被膜2の外表面側からレーザ加工又は機械加工することによって、所望の形状及び深さの回路溝3を形成し、前記回路溝3の表面及び前記樹脂被膜2の表面に触媒金属5を被着させ、前記絶縁基材1から前記樹脂被膜2を剥離することによって形成された絶縁基材1と、前記絶縁基材1に無電解めっきを施すことによって形成された電気回路6とを備え、前記絶縁基材1が、フィラーを含有することを特徴とする回路基板10である。
【選択図】図1

Description

本発明は、回路基板、及び前記回路基板の製造方法に関する。
携帯電話機等の携帯情報端末機器、コンピュータ及びその周辺機器、及び各種情報家電製品等の電気機器において、高機能化が急速に進行している。それに伴って、これら電気機器に搭載される回路基板には、電気回路のさらなる高密度化が要求されている。このような回路の高密度化の要求を満たすために、線幅及び線間隔(隣り合う電気回路と電気回路との間の部分の幅)のより狭い電気回路の配線を正確に形成できる方法が求められている。高密度化された回路配線においては、配線間における短絡やマイグレーション等が発生しやすくなっている。
回路基板の製造方法としては、サブトラクティブ法やアディティブ法等によって、絶縁基材上に電気回路を形成する方法等が知られている。サブトラクティブ法とは、金属箔張積層板の表面の電気回路を形成したい部分以外の金属箔を除去(サブトラクティブ)することにより、電気回路を形成する方法である。一方、アディティブ法とは、絶縁基材上の回路を形成したい部分のみに無電解めっきを施すことにより、電気回路を形成する方法である。
サブトラクティブ法は、金属箔張積層板表面の金属箔をエッチングすることにより、電気回路を形成したい部分のみの金属箔を残し、その他の部分を除去する方法である。この方法によれば、除去される部分の金属を浪費することになるために製造コストの点等から不利である。一方、アディティブ法は、電気回路を形成したい部分にのみ、無電解めっきによって金属配線を形成することができる。このために、金属を浪費せず、資源の無駄が少ない。このような点からも、アディティブ法は、好ましい回路形成方法である。
従来の代表的なアディティブ法の1つであるフルアディティブ法により、金属配線からなる電気回路を形成する方法について、図5を参照しながら説明する。なお、図5は、従来のフルアディティブ法による金属配線を形成する各工程を説明するための模式断面図である。
はじめに、図5(A)に示すように、スルーホール101が形成された絶縁基材100の表面にめっき触媒102を被着させる。なお、絶縁基材100の表面は、予め粗化されている。次に、図5(B)に示すように、めっき触媒102を被着させた絶縁基材100上に、フォトレジスト層103を形成させる。次に、図5(C)に示すように、所定の回路パターンが形成されたフォトマスク110を介して、前記フォトレジスト層103を露光させる。次に、図5(D)に示すように、露光したフォトレジスト層103を現像して、回路パターン104を形成させる。そして、図5(E)に示すように、無電解銅めっき等の無電解めっきを施すことによって、現像により形成された回路パターン104の表面及びスルーホール101の内壁面に金属配線105を形成させる。上記のような各工程を施すことにより、絶縁基材100上に金属配線105からなる回路が形成される。
上述した従来のアディティブ法においては、絶縁基材100の表面全体にめっき触媒102が被着される。そのために、次のような問題が生じていた。すなわち、フォトレジスト層103が高精度に現像された場合には、フォトレジストで保護されていない部分のみにめっきを形成させることができる。しかしながら、フォトレジスト層103が高精度に現像されなかった場合には、図6に示すように、本来めっきを形成したくない部分に不要なめっき部分106が残ることがある。これは、絶縁基材100の表面全体にめっき触媒102が被着されているために起こる。不要なめっき部分106は、隣接する回路間に短絡やマイグレーション等を引き起こす。このような短絡やマイグレーションは、線幅及び線間隔の狭い回路を形成する場合にはより生じやすくなる。なお、図6は、従来のフルアディティブ法により形成された回路の輪郭形状を説明するための模式断面図である。
また、上記の回路基板の製造方法とは異なる製造方法としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の製造方法等が挙げられる。
特許文献1には、別のアディティブ法として以下のような方法が開示されている。
はじめに、絶縁基板(絶縁基材)に溶剤可溶性の第1の感光性樹脂層とアルカリ可溶性の第2の感光性樹脂層を形成する。そして、第1及び第2の感光性樹脂層を所定の回路パターンを有するフォトマスクを介して露光する。次に、第1及び第2の感光性樹脂層を現像する。次に、現像により生じた凹部を含む表面全体に触媒を吸着させた後、アルカリ可溶性の第2の感光性樹脂をアルカリ溶液で溶解させることにより不要な触媒のみを除去する。そして、その後、無電解めっきを施すことにより触媒が存在する部分にのみ正確に回路を形成する。
また、下記特許文献2には、以下のような方法が開示されている。
はじめに、絶縁基板(絶縁基材)上に樹脂の保護膜をコーティングする(第1の工程)。次に、前記保護膜をコーティングした絶縁基板上に機械加工あるいはレーザービームの照射により配線パターンに対応した溝及びスルーホールを単独又は同時に描画形成する(第2の工程)。次に、前記絶縁基板全面に活性化層を形成する(第3の工程)。次に、前記保護膜を剥離して前記絶縁基板上の活性化層を除去し溝及びスルーホールの内壁面にのみ活性化層を残す(第4の工程)。次に、前記絶縁基板にめっき保護膜を用いないめっきを施し前記活性化された溝およびスルーホールの内壁面にのみ選択的に導電層を形成する(第5の工程)。
特開昭57−134996号公報 特開昭58−186994号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、溶剤溶解性の異なる2種の感光性樹脂層を形成し、また、現像時においても2種の溶剤で現像し、触媒を吸着させた後に、さらに、アルカリ溶液で第2の感光性樹脂を溶解させる必要があるなど、製造工程が非常に煩雑であった。
また、特許文献2には、絶縁基板上に保護膜として熱硬化性樹脂をコーティングし加熱硬化させた後、所定の配線パターンに従って保護膜及び絶縁基板を切削加工することや、絶縁基板表面の熱硬化性樹脂を溶剤で除去することが記載されている(特許文献2の第2頁左下欄第16行〜右下欄第11行)。
特許文献2に記載された保護膜として用いられる熱硬化性樹脂については、その種類については特に記載されていない。一般的な熱硬化性樹脂は、耐溶剤性に優れているために単なる溶剤では除去しにくいという問題があった。また、このような熱硬化性樹脂は、樹脂基材との密着性が高すぎて、樹脂基材の表面に保護膜の断片を残すことなく、保護膜のみを正確に除去することは困難であった。また、充分に剥離するために強い溶剤を用いたり、長時間浸漬したりした場合には、基材表面のめっき触媒も除去されてしまう。この場合には、めっき触媒が除去された部分には導電層が形成されなくなる。また、強い溶剤を用いたり、長時間浸漬したりした場合には、熱硬化性樹脂からなる保護膜がバラバラになるように崩れ、保護膜中のめっき触媒が溶剤中に再分散されることがあった。このように溶剤中に再分散されためっき触媒は、樹脂基材表面に再付着してしまい、その部分に不要なめっき膜が形成されてしまうおそれもあった。そのために特許文献2に開示された方法のような方法によれば、正確な輪郭を有する回路を形成することが困難であった。
さらに、上述したような従来の各種回路基板の製造方法を用いて、電気回路の高密度化を実現するために線幅及び線間隔の狭い電気回路を形成した場合、以下のような問題が生じる。すなわち、回路の線幅及び線間隔が狭くなるにつれて、電気回路を構成する金属配線が、絶縁基材の回路溝から剥離しやすくなるという問題があった。このような回路の剥離は、電子機器の信頼性を低下させる原因になりうる。
具体的に、携帯電話機をはじめとする携帯情報端末機器に搭載される電気回路基板において起こりうる問題を一例として説明する。
携帯情報端末機器に搭載される電気回路基板には、比較的大きなLSI(Large Scale Integration)が実装される。このようなLSIは、電気回路基板の回路の一部として形成されたランド部分において、半田バンプにより接合される。携帯情報端末機器は、携帯されるために衝撃を受ける機会が多々ある。このような衝撃を受けた場合、実装されたLSIに力が掛かってランド部分を構成する金属配線が絶縁基材から剥離するおそれがあった。
さらに、回路の線幅及び線間隔が狭くなるにつれて、回路を構成する金属配線の強度も低下するという問題もあった。上記の例においては、このことが原因となって、LSIに実装されたLSIに力が掛かってランド部分を構成する金属配線が切断して損傷を受けるおそれがあった。
すなわち、電気回路の線幅及び線間隔が狭くなるにつれて、上記のような回路の損傷は起りやすくなるという問題があった。
上記のような問題を解決するために、回路配線の線幅を広くして、金属配線を補強し、金属配線と絶縁基材との接触面積を広げて、金属配線と絶縁基材との密着性を高める方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、回路の高密度化が図れなくなる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板を提供することを目的とする。また、前記回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、絶縁基材と電気回路との密着性を高めるために、絶縁基材の組成に着目した。フィラーを含有していない絶縁基材を用いた場合、レーザ加工又は機械加工することによって形成される回路溝の表面は、フィラーが含有されていないので、平滑になりやすいと考えられる。そして、一般的には、表面が平滑な回路溝のほうが、電気回路を形成しやすいと考え、レーザ加工又は機械加工によって形成される回路溝の表面の平滑性を低めうるフィラーを含有させないと考えられる。
しかしながら、本発明者等は、フィラーを含有していない絶縁基材を用いた場合、前記絶縁基材に形成させた回路溝の表面に触媒金属を被着させた後に無電解めっきを施しても、回路溝上に電気回路となるめっき層が形成されていない箇所や形成されためっき層が剥がれるという現象が生じることを発見した。
そして、本発明者等は、この現象は以下のことによると推察した。
まず、前記回路溝の表面が平滑であるので、前記回路溝の表面に触媒金属を被着させても、充分に被着せず、脱落することによると考えた。
さらに、絶縁基材は、フィラーを含有していないので、熱線膨張係数が大きいことによると考えた。具体的には、温度変化によって、絶縁基材が変形しやすく、その変形によって電気回路にかかる応力が、電気回路と絶縁基材との密着力を上回ってしまうためであると考えた。
そして、レーザ加工又は機械加工によって回路溝を形成する際、絶縁基材にフィラーが含有されていないので、絶縁基材の耐熱性が低く、熱による溶融が発生して、回路溝の形状がいびつになることによると考えた。すなわち、電気回路にかかる応力が、このいびつな形状により不均一になり、電気回路にかかる応力が、電気回路と絶縁基材との密着力を上回ってしまう部分ができるためであると考えた。
そこで、本発明者等は、レーザ加工又は機械加工によって形成される回路溝の表面の平滑性を低めうるフィラーを絶縁基材にあえて含有することによって、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明の一態様に係る回路基板は、表面に樹脂被膜を形成し、前記樹脂被膜の外表面側からレーザ加工又は機械加工することによって、所望の形状及び深さの回路溝を形成し、前記回路溝の表面及び前記樹脂被膜の表面に触媒金属を被着させ、前記絶縁基材から前記樹脂被膜を剥離することによって形成された絶縁基材と、前記絶縁基材に無電解めっきを施すことによって形成された電気回路とを備え、前記絶縁基材が、フィラーを含有することを特徴とする。
上記のような構成によれば、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板が得られる。なお、前記電気回路は、具体的には、前記無電解めっきを施すことによって、絶縁基材の回路溝上に形成される。
上述した絶縁基材と電気回路との密着性を高める効果は、以下のメカニズムによると推察される。
まず、前記回路溝を形成する際、絶縁基材にレーザ加工又は機械加工を施すことによって、形成される回路溝の表面が、フィラーに由来する微小な凹凸が形成されると考えられる。そして、この微小な凹凸によって、前記回路溝の表面に被着させた触媒金属の脱落を充分に抑制することができると考えられる。よって、無電解めっきによって、前記回路溝上に形成される電気回路の欠損の発生を充分に抑制することができると考えられる。
さらに、この微小な凹凸によるアンカー効果によって、絶縁基材の回路溝上に形成される電気回路と絶縁基材との密着性を高めることができると考えられる。
また、前記絶縁基材は、フィラーを含有するので、熱膨張係数が小さくなる。よって、温度変化により絶縁基材が変形しにくく、形成される電気回路にかかる応力が少なくなる。したがって、その変形によって電気回路にかかる応力による、電気回路の剥離を抑制することができると考えられる。
さらに、レーザ加工又は機械加工によって回路溝を形成する際、絶縁基材にフィラーが含有されているので、絶縁基材の耐熱性が高く、熱による溶融が発生しにくい。よって、形成される回路溝の形状がいびつになることを充分に抑制できると考えられる。すなわち、回路溝の形状がいびつになることが抑制されるので、電気回路にかかる応力が均一になり、電気回路の剥離を抑制することができると考えられる。
以上のことから、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板が得られると考えられる。
また、前記フィラーの含有量が、前記絶縁基材に対して10〜90質量%であることが好ましい。このような構成によれば、電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性のより高い回路基板が得られる。
また、前記フィラーの平均粒子径が、0.05〜10μmであることが好ましい。このような構成によれば、電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性のより高い回路基板が得られる。
また、前記フィラーの平均粒子径が、前記回路溝の幅、前記回路溝の深さ、及び隣接する回路溝と回路溝との間の部分の幅のうちの最小値に対して、0.25〜50%であることが好ましい。このような構成によれば、電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性のより高い回路基板が得られる。
また、前記フィラーが、無機微粒子であることが好ましい。このような構成によれば、電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性のより高い回路基板が得られる。このことは、上記メカニズムのうち、例えば、絶縁基材の熱膨張係数をより小さくすることができることによる寄与をより大きくできると考えられる。すなわち、温度変化により絶縁基材がより変形しにくく、形成される電気回路にかかる応力がより少なくなる。よって、その変形によって電気回路にかかる応力による、電気回路の剥離をより抑制することができると考えられる。
また、前記電気回路が、少なくとも5〜30μmの線幅の部分を含むことが好ましい。このような線幅の狭い部分を含む電気回路の場合、充分に高密度化された回路を備える回路基板が得られる。また、このような線幅の狭い電気回路の場合、一般的に、電気回路と絶縁基材との接触面積が狭く、電気回路と絶縁基材との密着性が低くなり、電気回路が絶縁基材から剥離しやすい。上記のような構成にすることによって、上記のような線幅の狭い電気回路の場合であっても、電気回路と絶縁基材との密着性が充分に高く、絶縁基材からの電気回路の剥離を抑制できる回路基板が得られる。
また、本発明の他の一態様に係る回路基板の製造方法は、絶縁基材表面に樹脂被膜を形成する被膜形成工程と、前記樹脂被膜の外表面側から前記絶縁基材にレーザ加工又は機械加工することにより所望の形状及び深さの回路溝を形成する回路溝形成工程と、前記回路溝の表面及び前記樹脂被膜の表面に触媒金属を被着させる触媒被着工程と、前記絶縁基材から前記樹脂被膜を剥離する被膜剥離工程と、前記樹脂被膜が剥離された絶縁基材に無電解めっきを施すめっき処理工程とを備え、前記被膜形成工程が、前記絶縁基材として、フィラーを含有するものを用いることを特徴とする。
上記の構成によれば、線幅及び線間隔の狭い電気回路を絶縁基材上に形成した場合であっても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板を製造することができる。
本発明によれば、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高い回路基板を提供することができる。また、前記回路基板の製造方法が提供される。
第1実施形態に係る回路基板を製造する各工程を説明するための模式断面図である。 第1実施形態において、前記回路溝形成工程後と前記めっき処理工程中の絶縁基材1の状態を説明するための図面である。 フィラーを含有していない絶縁基材21を用いた場合の絶縁基材21の状態を説明するため図面である。 第2実施形態に係る立体回路基板を製造する各工程を説明するための模式断面図である。 従来のフルアディティブ法による金属配線を形成する各工程を説明するための模式断面図である。 従来のフルアディティブ法により形成された回路の輪郭形状を説明するための模式断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る回路基板は、表面に樹脂被膜を形成し、前記樹脂被膜の外表面側からレーザ加工又は機械加工することによって、所望の形状及び深さの回路溝を形成し、前記回路溝の表面及び前記樹脂被膜の表面に触媒金属を被着させ、前記絶縁基材から前記樹脂被膜を剥離することによって形成された絶縁基材と、前記絶縁基材に無電解めっきを施すことによって形成された電気回路とを備え、前記絶縁基材が、フィラーを含有することを特徴とする。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態にかかる回路基板を製造する方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る回路基板を製造する各工程を説明するための模式断面図である。
はじめに、図1(A)に示すように、絶縁基材1の表面に樹脂被膜2を形成させる。なお、この工程は、被膜形成工程に相当する。なお、前記絶縁基材1は、フィラーが含有されている。具体的には、例えば、樹脂とフィラーとを含む基材等が挙げられる。
次に、図1(B)に示すように、前記樹脂被膜2が形成された絶縁基材1に、前記樹脂被膜2の外表面側からレーザ加工又は機械加工することにより所望の形状及び深さの回路溝3を形成させる。なお、前記回路溝3を形成させるためのレーザ加工又は機械加工は、前記樹脂被膜2の外表面を基準として、前記樹脂被膜2の厚み分を超えて切削する。また、必要に応じて、前記絶縁基材1に貫通孔4を形成するための穴あけを行ってもよい。なお、この工程は、回路溝形成工程に相当する。
次に、図1(C)に示すように、前記回路溝3の表面及び前記回路溝3が形成されなかった前記樹脂被膜2の表面に触媒金属(めっき触媒)5を被着させる。このとき、前記絶縁基材1に前記貫通孔4が形成されている場合には、前記貫通孔4の内壁表面にも前記触媒金属5が被着される。なお、この工程は、触媒被着工程に相当する。
次に、図1(D)に示すように、前記絶縁基材1から前記樹脂被膜2を剥離させる。そうすることによって、前記絶縁基材1の、前記回路溝3や前記貫通孔4が形成された部分の表面にのみ触媒金属5を残留させることができる。一方、前記樹脂被膜2の表面に被着された触媒金属5は、前記樹脂被膜2に担持された状態で、前記樹脂被膜2とともに除去される。なお、この工程は、被膜剥離工程に相当する。
次に、図1(E)に示すように、前記樹脂被膜2が剥離された絶縁基材1に無電解めっきを施す。そうすることによって、前記触媒金属5が残存する部分にのみめっき層6が形成される。すなわち、前記回路溝3や前記貫通孔4が形成された部分に、電気回路となるめっき層6が形成される。そして、電気回路は、このめっき層6からなるものであってもよいし、前記めっき層6にさらに無電解めっき(フィルアップめっき)を施して、さらに厚膜化させたものであってもよい。具体的には、例えば、図1(E)に示すように、前記回路溝3全体を埋めるようにめっき層6からなる電気回路を形成させ、前記絶縁基材と前記電気回路との段差をなくすようにしてもよい。なお、この工程は、めっき処理工程に相当する。
上記各工程によって、図1(E)に示すような回路基板10が形成される。このように形成された回路基板10は、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい。
上述した絶縁基材と電気回路との密着性を高める効果は、以下のメカニズムによると推察される。
なお、図2は、第1実施形態において、前記回路溝形成工程後と前記めっき処理工程中の絶縁基材1の状態を説明するための図面である。図2(A)は、前記回路溝形成工程後の絶縁基材1の状態を示し、図2(B)は、前記めっき処理工程中の絶縁基材1の状態を示す。
まず、前記回路溝形成工程後の絶縁基材1は、図2(A)に示すように、絶縁基材1にレーザ加工又は機械加工を施すことによって、回路溝3が形成されている。そして、前記回路溝3の表面には、図2(A)に示すように、絶縁基材1に含有されていたフィラー11が部分的に露出したり、フィラー11に基づく隆起が形成されていたりすると考えられる。よって、前記回路溝3の表面が、フィラー11に由来する微小な凹凸が形成されると考えられる。そして、前記触媒被着工程によって、前記回路溝3の表面に被着させた触媒金属は、この微小な凹凸によって、脱落しにくいと考えられる。
その後、前記被膜剥離工程によって、樹脂被膜2を剥離した後、前記めっき処理工程において、無電解めっきを施すことによって、図2(B)に示すように、前記回路溝3上に電気回路となるめっき層7が形成される。このめっき層7は、前記回路溝3の表面に被着させた触媒金属の脱落が抑制されているので、欠損の発生を充分に抑制しつつ形成できると考えられる。
さらに、この微小な凹凸によるアンカー効果によって、絶縁基材の回路溝上に形成される電気回路と絶縁基材との密着性を高めることができると考えられる。
また、前記絶縁基材は、フィラーを含有するので、熱膨張係数が小さくなる。よって、温度変化により絶縁基材が変形しにくく、形成される電気回路にかかる応力が少なくなる。したがって、その変形によって電気回路にかかる応力による、電気回路の剥離を抑制することができると考えられる。
さらに、レーザ加工又は機械加工によって回路溝を形成する際、絶縁基材にフィラーが含有されているので、絶縁基材の耐熱性が高く、熱による溶融が発生しにくい。よって、形成される回路溝の形状がいびつになることを充分に抑制できると考えられる。すなわち、回路溝の形状がいびつになることが抑制されるので、電気回路にかかる応力が均一になり、電気回路の剥離を抑制することができると考えられる。
以上のことから、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい回路基板が得られると考えられる。すなわち、前記めっき層7にフィルアップめっきを施しても、得られた電気回路は、絶縁基材から剥離されにくいものになると考えられる。
これに対して、フィラーを含有していない絶縁基材21を用いた場合、本実施形態と同様の方法で、電気回路を形成しても、回路溝上に電気回路となるめっき層が形成されていない箇所や形成されためっき層が剥がれるという現象が生じることを、本発明者等は発見した。以下のようになると推察される。
なお、図3は、フィラーを含有していない絶縁基材21を用いた場合の絶縁基材21の状態を説明するため図面である。図3(A)及び図3(B)は、それぞれ、図2(A)及び図2(B)に対応する図面である。
まず、レーザ加工又は機械加工によって、絶縁基材21に形成された回路溝23の表面は、平滑であるので、前記回路溝23の表面に触媒金属を被着させても、充分に被着せず、脱落すると考えられる。
その後、樹脂被膜22を剥離した後、無電解めっきを施しても、図3(B)に示すように、前記回路溝23の表面に触媒金属が被着されていない部分に起因する、前記回路溝23上に電気回路となるめっき層25が形成されない部分23aが形成されると考えられる。
また、絶縁基材21は、フィラーを含有していないので、熱線膨張係数が大きくなる。よって、温度変化によって、絶縁基材21が変形しやすく、その変形によってめっき層25にかかる応力が、めっき層25と絶縁基材21との密着力を上回ってしまい、めっき層25が剥離した部分25aが形成されてしまうと考えられる。
そして、レーザ加工又は機械加工によって回路溝23を形成する際、絶縁基材21にフィラーが含有されていないので、絶縁基材21の耐熱性が低く、熱による溶融が発生して、回路溝23の形状がいびつになると考えられる。よって、めっき層25にかかる応力が、このいびつな形状により不均一になり、めっき層25にかかる応力が、めっき層25と絶縁基材21との密着力を上回ってしまう部分ができ、めっき層25が剥離した部分25aが形成されてしまうと考えられる。
以上のことから、電気回路となるめっき層25が絶縁基材21の回路溝23上に形成されなかったり、剥離してしまうと考えられる。すなわち、前記めっき層25にさらにフィルアップめっきを施した場合、得られた電気回路は、絶縁基材21からより剥離しやすいものになると考えられる。
以下、本実施形態の各構成について、説明する。
前記絶縁基材1は、フィラーが含有されている。具体的には、例えば、樹脂とフィラーとを含む基材等が挙げられる。
前記樹脂としては、回路基板の製造に用いられうる各種有機基板を構成する樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、回路基板の製造に用いられうる各種有機基板を構成するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、指環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、難燃性を付与するために、臭素化又はリン変性した、上記エポキシ樹脂等も挙げられる。また、前記エポキシ樹脂としては、上記各エポキシ樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記各樹脂で基材を構成する場合、一般的に、硬化させるために、硬化剤を含有させる。前記硬化剤としては、硬化剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミノトリアジンノボラック系硬化剤等が挙げられる。前記フェノール系硬化剤としては、例えば、ノボラック型、アラルキル型、テルペン型等が挙げられる。また、前記硬化剤としては、上記各硬化剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記フィラーとしては、無機微粒子であっても、有機微粒子であってもよく、特に限定されない。
前記無機微粒子を構成する材料としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化チタン(TiO)等の高誘電率充填材;ハードフェライト等の磁性充填材;水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)、グアニジン塩、ホウ酸亜鉛、モリブテン化合物、スズ酸亜鉛等の無機系難燃剤;タルク(Mg(Si10)(OH))、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、雲母等が挙げられる。前記無機微粒子としては、上記無機微粒子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの無機微粒子は、熱伝導性、比誘電率、難燃性、粒度分布、色調の自由度等が高いことから、所望の機能を選択的に発揮させる場合には、適宜配合及び粒度設計を行って、容易に高充填化を行うことができる。
また、前記無機微粒子は、前記絶縁基材中での分散性を高めるために、シランカップリング剤で表面処理してもよい。また、前記絶縁基材は、前記無機微粒子の、前記絶縁基材中での分散性を高めるために、シランカップリング剤を含有してもよい。前記シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、エポキシシラン系、メルカプトシラン系、アミノシラン系、ビニルシラン系、スチリルシラン系、メタクリロキシシラン系、アクリロキシシラン系、チタネート系等のシランカップリング剤等が挙げられる。前記シランカップリング剤としては、上記シランカップリング剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記絶縁基材は、前記無機微粒子の、前記絶縁基材中での分散性を高めるために、分散剤を含有してもよい。前記分散剤としては、具体的には、例えば、アルキルエーテル系、ソルビタンエステル系、アルキルポリエーテルアミン系、高分子系等の分散剤等が挙げられる。前記分散剤としては、上記分散剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記有機微粒子としては、具体的には、例えば、ゴム微粒子等が挙げられる。
前記フィラーは、上記各フィラー中でも、無機微粒子が、高充填化を容易に行うことができる点や、凹凸形状によるアンカー効果をより発揮できる点から好ましい。さらに、この中でも、シリカ微粒子が、上記効果に加えて、低膨張化、低吸湿化、低誘電率化、低誘電正接化、高強度化、高弾性率化等を発揮でき、耐熱性を高めることができる点から好ましい。また、得られる回路基板の放熱性を高める必要がある場合は、シリカ粒子だけではなく、シリカ微粒子とともにアルミナ微粒子や水酸化アルミニウム微粒子を含有させることが好ましい。
前記フィラーの含有量は、前記絶縁基材に対して10〜90質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることが好ましい。前記フィラーの含有量として、上記範囲内にすると、電気回路、例えば、Cuからなる電気回路の線膨張係数に近づき、低反り及び低応力を実現できる。また、前記フィラーの含有量が少なすぎる場合、めっき層が形成されない部分の発生やめっき層の剥離を充分に抑制できない傾向がある。このことは、前記回路溝や前記貫通孔の表面に、上述したようなフィラー由来の微小な凹凸が形成されにくいことによると考えられる。また、前記フィラーの含有量が多すぎる場合、絶縁基材の平滑性が低下し、よって、被膜剥離工程での樹脂被膜を剥離する際、絶縁基材を損傷してしまう等の不具合が発生する傾向がある。
前記フィラーの平均粒子径は、0.05〜10μmであることが好ましく、0.1〜7μmであることがより好ましい。また、前記フィラーの平均粒子径が、前記回路溝の幅W、前記回路溝の深さD、及び隣接する回路溝と回路溝との間の部分の幅のうちの最小値に対して、0.25〜50%であることが好ましく、0.5〜40%であることがより好ましい。なお、ここで平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを指し、一般的な粒度計、例えば、粒度計(株式会社島津製作所製のSALD2100)を用いて測定することができる。
前記フィラーが小さすぎると、めっき層が形成されない部分の発生やめっき層の剥離を充分に抑制できない傾向がある。このことは、前記回路溝や前記貫通孔の表面に、上述したようなフィラー由来の微小な凹凸が形成されにくいことによると考えられる。また、前記フィラーが大きすぎると、より高密度化された回路、例えば、線幅及び線間隔が10μm以下の回路を形成する際、所望の回路溝を形成できない傾向がある。さらに、めっき層が形成されない部分の発生やめっき層の剥離を充分に抑制できない傾向もある。このことは、フィラーが大きすぎると、上述したようなフィラー由来の微小な凹凸が形成されにくくなることによると考えられる。
また、フィラーの平均粒子径は、前記回路溝の幅(トレンチ幅)が10μm以下の場合、0.05〜3μmであることが好ましく、トレンチ幅が10μmを超え20μm以下の場合、0.05〜5μmであることが好ましく、トレンチ幅が20μmを超え30μm以下の場合、0.05〜7μmであることが好ましく、トレンチ幅が30μmを超える場合、0.05〜10μmであることが好ましい。
また、前記隣接する回路溝と回路溝との間の部分の幅(トレンチ間幅)、及び前記回路溝の深さ(トレンチ深さ)についても、前記トレンチ幅と同様の関係が満たされる。
そして、前記トレンチ幅、前記トレンチ間幅、及び前記トレンチ深さのうちの最小値が、フィラーの平均粒子径の好適範囲を決定する。具体的には、例えば、前記トレンチ幅、前記トレンチ間幅、及び前記トレンチ深さのいずれもが、20μmである場合、平均粒子径が0.05〜5μmのフィラーが好適に用いられる。一方、前記トレンチ幅、及び前記トレンチ間幅がいずれも20μmであっても、前記トレンチ深さが10μmであれば、平均粒子径が0.05〜3μmのフィラーが好適に用いられる。
また、前記絶縁基材の形態としては、特に限定されない。具体的には、シート、フィルム、プリプレグ、及び三次元形状の成形体等が挙げられる。前記絶縁基材1の厚みは、特に限定されない。具体的には、シート、フィルム、プリプレグの場合には、例えば、10〜200μmであることが好ましく、20〜100μm程度であることがより好ましい。
前記樹脂被膜2は、前記被膜剥離工程で剥離可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、有機溶剤やアルカリ溶液により容易に溶解しうる可溶型樹脂や、後述する所定の液体(膨潤液)で膨潤しうる膨潤性樹脂からなる樹脂被膜等が挙げられる。これらの中では、正確な除去が容易である点から膨潤性樹脂被膜が特に好ましい。前記膨潤性樹脂被膜としては、例えば、後述する所定の液体(膨潤液)に対して実質的に溶解せず、膨潤により前記絶縁基材1表面から容易に剥離するような樹脂被膜等が挙げられる。
前記樹脂被膜2の形成方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記絶縁基材1の主面に液状材料を塗布した後、乾燥させる方法や、前記絶縁基材1の主面に予め形成された樹脂フィルム等の樹脂被膜2になり得るものを貼り合せる方法等が挙げられる。なお、液状材料を塗布する方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、従来から知られたスピンコート法やバーコーター法等が挙げられる。
前記樹脂被膜2の厚みとしては、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。一方、前記樹脂被膜2の厚みとしては、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。前記樹脂被膜2の厚みが厚すぎる場合には、レーザ加工又は機械加工することにより形成される溝や孔等の精度が低下する傾向がある。また、前記樹脂被膜2の厚みが薄すぎる場合は、均一な膜厚の樹脂被膜を形成しにくくなる傾向がある。
次に、前記樹脂被膜2として好適な膨潤性樹脂被膜を例に挙げて説明する。
前記膨潤性樹脂被膜としては、膨潤液に対する膨潤度が50%以上である樹脂被膜が好ましく用いられうる。さらに、膨潤液に対する膨潤度が100%以上である樹脂被膜がより好ましく、1000%以下である樹脂被膜がさらに好ましい。なお、前記膨潤度が低すぎる場合には、前記被膜剥離工程において膨潤性樹脂被膜が剥離しにくくなる傾向がある。また、前記膨潤度が高すぎる場合には、被膜強度が低下することにより剥離する際に破れる等して剥離が困難になる傾向がある。
前記膨潤性樹脂被膜の形成方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、前記絶縁基材1の主面に、膨潤性樹脂被膜を形成しうる液状材料を塗布した後、乾燥させる方法や、支持基板に前記液状材料を塗布した後、乾燥することにより形成される被膜を絶縁基材1の主面に転写する方法等が挙げられる。
膨潤性樹脂被膜を形成しうる液状材料としては、例えば、エラストマーのサスペンジョン又はエマルジョン等が挙げられる。前記エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体等のジエン系エラストマー、アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマー等が挙げられる。このようなエラストマーによれば、サスペンジョン又はエマルジョンとして分散されたエラストマー樹脂粒子の架橋度又はゲル化度等を調整することにより所望の膨潤度の膨潤性樹脂被膜を容易に形成することができる。
なお、前記膨潤性樹脂被膜としては、特に、膨潤度が膨潤液のpHに依存して変化するような被膜であることが好ましい。このような被膜を用いた場合には、前記触媒被着工程における液性条件と、前記被膜剥離工程における液性条件とを異なるものにすることにより、触媒被着工程におけるpHにおいては膨潤性樹脂被膜は絶縁基材に対する高い密着力を維持し、被膜剥離工程におけるpHにおいては容易に膨潤性樹脂被膜を剥離させることができる。
さらに具体的には、例えば、前記触媒被着工程が、例えば、pH1〜3の範囲の酸性触媒金属コロイド溶液中で処理する工程を備え、前記被膜剥離工程がpH12〜14の範囲のアルカリ性溶液中で膨潤性樹脂被膜を膨潤させる工程を備える場合には、前記膨潤性樹脂被膜は、前記酸性触媒金属コロイド溶液に対する膨潤度が25%以下、さらには10%以下であり、前記アルカリ性溶液に対する膨潤度が50%以上、さらには100%以上、さらには500%以上であるような樹脂被膜であることが好ましい。
このような膨潤性樹脂被膜の例としては、所定量のカルボキシル基を有するエラストマーから形成されるシートや、プリント配線板のパターニング用のドライフィルムレジスト(以下、DFRとも呼ぶ)等に用いられる光硬化性のアルカリ現像型のレジストを全面硬化して得られるシートや、熱硬化性やアルカリ現像型シート等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエラストマーの具体例としては、カルボキシル基を有するモノマー単位を共重合成分として含有することにより、分子中にカルボキシル基を有する、スチレン−ブタジエン系共重合体等のジエン系エラストマー;アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル系エラストマー;及びポリエステル系エラストマー等が挙げられる。このようなエラストマーによれば、サスペンジョン又はエマルジョンとして分散されたエラストマーの、酸当量,架橋度またはゲル化度等を調整することにより所望のアルカリ膨潤度を有する膨潤性樹脂被膜を形成することができる。エラストマー中のカルボキシル基はアルカリ水溶液に対して膨潤性樹脂被膜を膨潤させて、絶縁基材表面から膨潤性樹脂被膜を剥離する作用をする。また、酸当量とは1当量のカルボキシル基当たりのポリマー重量である。
カルボキシル基を有するモノマー単位の具体例としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸無水物等が挙げられる。
このようなカルボキシル基を有するエラストマー中のカルボキシル基の含有割合としては、酸当量で100〜2000、さらには100〜800であることが好ましい。酸当量が小さすぎる場合には、溶媒または他の組成物との相溶性が低下することにより、めっき前処理液に対する耐性が低下する傾向がある。また、酸当量が小さすぎる場合には、アルカリ水溶液に対する剥離性が低下する傾向がある。
また、エラストマーの分子量としては、1万〜100万、さらには、2万〜6万であることが好ましい。エラストマーの分子量が大きすぎる場合には剥離性が低下する傾向があり、小さすぎる場合には粘度が低下するために膨潤性樹脂被膜の厚みを均一に維持することが困難になるとともに、めっき前処理液に対する耐性も悪化する傾向がある。
また、DFRとしては、所定量のカルボキシル基を含有する、アクリル系樹脂;エポキシ系樹脂;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;ウレタン系樹脂等を樹脂成分とし、光重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物のシートが用いられうる。このようなDFRの具体例としては、特開2000−231190号公報、特開2001−201851号公報、特開平11−212262号公報に開示されたような光重合性樹脂組成物のドライフィルムを全面硬化させて得られるシートや、アルカリ現像型のDFRとして市販されている、例えば、旭化成株式会社製のUFGシリーズ等が挙げられる。
さらに、その他の膨潤性樹脂被膜の例としては、カルボキシル基を含有する、ロジンを主成分とする樹脂(例えば、吉川化工株式会社製の「NAZDAR229」)やフェノールを主成分とする樹脂(例えば、LEKTRACHEM社製「104F」)等が挙げられる。
膨潤性樹脂被膜は、絶縁基材表面に樹脂のサスペンジョン又はエマルジョンを従来から知られたスピンコート法やバーコーター法等の塗布手段を用いて塗布した後、乾燥する方
法や、支持基材に形成されたDFRを真空ラミネーター等を用いて絶縁基材表面に貼りあわせた後、全面硬化することにより容易に形成することができる。
また、前記回路溝形成工程で形成される回路溝の幅は特に限定されない。具体的には、例えば、前記回路溝が、少なくとも5〜30μmの線幅の部分を含むことが好ましい。前記回路溝3によって、無電解めっきによってめっき層が形成される部分、すなわち、電気回路が形成される部分が規定される。具体的には、例えば、ここで形成される回路溝の幅は、本実施形態で形成する電気回路の線幅となる。すなわち、このような線幅の狭い電気回路の場合、充分に高密度化された回路を備える回路基板が得られる。また、このような線幅の狭い電気回路の場合、一般的に、電気回路と絶縁基材との接触面積が狭く、電気回路と絶縁基材との密着性が低くなり、電気回路が絶縁基材から剥離しやすい。上記のような構成にすることによって、上記のような線幅の狭い電気回路の場合であっても、電気回路と絶縁基材との密着性が充分に高く、絶縁基材からの電気回路の剥離を抑制できる回路基板が得られる。
なお、回路溝の深さは、フィルアップめっきにより、電気回路と絶縁基材とに段差をなくした場合には、本実施形態で形成する電気回路の深さとなる。また、レーザ加工を用いた場合には、線幅20μm以下のような微細な回路も容易に形成できる。
前記めっき触媒5は、前記めっき処理工程において無電解めっきによりめっき層を形成したい部分にのみめっき層を形成させるために付与される触媒である。めっき触媒としては、無電解めっき用の触媒として知られたものであれば特に限定なく用いられうる。また、予めめっき触媒の前駆体を被着させ、樹脂被膜の剥離後にめっき触媒を生成させてもよい。めっき触媒の具体例としては、例えば、金属パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)等、または、これらを生成させるような前駆体等が挙げられる。
めっき触媒5を被着させる方法としては、例えば、pH1〜3の酸性条件下で処理される酸性Pd−Snコロイド溶液で処理した後、酸溶液で処理するような方法等が挙げられる。具体的には、例えば、次のような方法が挙げられる。
はじめに、回路溝3及び貫通孔4が形成された絶縁基材1の表面に付着している油分等を界面活性剤の溶液(クリーナー・コンディショナー)中で所定の時間湯洗する。次に、必要に応じて、過硫酸ナトリウム−硫酸系のソフトエッチング剤でソフトエッチング処理する。そして、pH1〜2の硫酸水溶液や塩酸水溶液等の酸性溶液中でさらに酸洗する。次に、濃度0.1%程度の塩化第一錫水溶液等を主成分とするプリディップ液に浸漬して絶縁基材1表面に塩化物イオンを吸着させるプリディップ処理を行う。その後、塩化第一錫と塩化パラジウムを含む、pH1〜3の酸性Pd−Snコロイド等の酸性触媒金属コロイド溶液にさらに浸漬することによりPd及びSnを凝集させて吸着させる。そして、吸着した塩化第一錫と塩化パラジウムとの間で、酸化還元反応(SnCl+PdCl→SnCl+Pd↓)を起こさせる。これにより、めっき触媒である金属パラジウムが析出する。
なお、酸性触媒金属コロイド溶液としては、公知の酸性Pd−Snコロイドキャタリスト溶液等が使用でき、酸性触媒金属コロイド溶液を用いた市販のめっきプロセスを用いてもよい。このようなプロセスは、例えば、ローム・アンド・ハース電子材料株式会社からシステム化されて販売されている。
前記樹脂被膜2を除去する方法としては、アルカリ溶液等の液に樹脂被膜2で被覆された絶縁基材1を所定の時間浸漬することにより、樹脂被膜2を溶解除去又は膨潤剥離するような方法が挙げられる。アルカリ溶液としては、例えば、1〜10%程度の濃度の水酸化ナトリウム水溶液等が用いられうる。また、浸漬中に超音波照射することにより除去効率を高めてもよい。なお、膨潤させて剥離するときには、軽い力で引き剥がしてもよい。
また、前記樹脂被膜2として、前記膨潤性樹脂被膜を用いた場合について、説明する。
前記膨潤性樹脂被膜2を膨潤させる液体(膨潤液)としては、絶縁基材1、膨潤性樹脂被膜2及びめっき触媒5を実質的に分解又は溶解させることなく、膨潤性樹脂被膜2が容易に剥離される程度に膨潤させうる液体であれば特に限定なく用いられうる。このような膨潤液は、膨潤性樹脂被膜2の種類や厚みにより適宜選択されうる。具体的には、例えば、膨潤性樹脂被膜がジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーのようなエラストマーから形成されている場合には、例えば、1〜10%程度の濃度の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液が好ましく用いられうる。
なお、触媒被着工程において上述したような酸性条件で処理するメッキプロセスを用いた場合には、膨潤性樹脂被膜2が、酸性条件下においては膨潤度が10%以下であり、アルカリ性条件下では膨潤度が50%以上であるような、例えば、ジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーのようなエラストマーから形成されていることが好ましい。このような膨潤性樹脂被膜は、pH12〜14であるようなアルカリ水溶液、例えば、1〜10%程度の濃度の水酸化ナトリウム水溶液等により容易に膨潤し、剥離する。なお、剥離性を高めるために、浸漬中に超音波照射してもよい。また、必要に応じて軽い力で引き剥がすことにより剥離してもよい。
膨潤性樹脂被膜2を膨潤させる方法としては、膨潤液に、膨潤性樹脂被膜2で被覆された絶縁基材1を所定の時間浸漬する方法が挙げる。また、剥離性を高めるために、浸漬中に超音波照射することが特に好ましい。なお、膨潤のみにより剥離しない場合には、必要に応じて軽い力で引き剥がしてもよい。
前記無電解めっき処理の方法としては、部分的にめっき触媒5が被着された絶縁基材1を無電解めっき液に浸漬して、めっき触媒5が被着された部分のみに無電解めっき膜(めっき層)を析出させるような方法が用いられうる。
無電解めっきに用いられる金属としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。これらの中では、Cuを主成分とするメッキが導電性に優れている点から好ましい。また、Niを含む場合には、耐食性や、はんだとの密着性に優れる点から好ましい。
無電解めっき膜6の膜厚は、特に限定されない。具体的には、例えば、0.1〜10μm、さらには1〜5μm程度であることが好ましい。特に、前記回路溝3の深さを深くすることにより、膜厚の厚いめっきであって、断面積が大きい金属配線を容易に形成することができる。この場合には、金属配線の強度を向上させることができる点から好ましい。
めっき処理工程により、絶縁基材1表面のめっき触媒5が残留する部分のみに無電解めっき膜が析出する。そのために、回路溝を形成したい部分のみに正確に導電層を形成することができる。一方、回路溝を形成していない部分に対する無電解めっき膜の析出を抑制することができる。従って、狭いピッチ間隔で線幅が狭いような微細な回路を複数本形成するような場合でも、隣接する回路間に不要なめっき膜が残らない。そのために、短絡の発生やマイグレーションの発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、平面の絶縁基材上に電気回路を形成して得られる回路基板について説明したが、本発明は、特に、それに限定されない。具体的には、絶縁基材として、段差状の立体面を有するような三次元形状の絶縁基材を用いても、正確な配線の電気回路を備える回路基板(立体回路基板)が得られる。
以下、第2実施形態にかかる立体回路基板の製造方法について説明する。
図4は、第2実施形態に係る立体回路基板を製造する各工程を説明するための模式断面図である。
はじめに、図4(A)に示すように、段差部分を有する立体絶縁基材51の表面に樹脂被膜2を形成させる。なお、この工程は、被膜形成工程に相当する。
前記立体絶縁基材51としては、従来から知られた立体回路基板の製造に用いられうるような各種樹脂成形体が特に限定なく用いられうる。このような成形体は射出成形により得ることが、生産効率の点から好ましい。樹脂成形体を得るための樹脂材料の具体例としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、各種ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。
前記樹脂被膜2の形成方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、前記第1実施形態の場合と同様の形成方法等が挙げられる。
次に、図4(B)に示すように、前記樹脂被膜2が形成された立体絶縁基材51に、前記樹脂被膜2の外表面側からレーザ加工又は機械加工することにより所望の形状及び深さの回路溝3を形成させる。なお、前記回路溝3を形成させるためのレーザ加工又は機械加工は、前記樹脂被膜2の外表面を基準として、前記樹脂被膜2の厚み分を超えて切削する。なお、この工程は、回路溝形成工程に相当する。
前記回路溝3によって、無電解めっきによってめっき層が形成される部分、すなわち、電気回路が形成される部分が規定される。
次に、図4(C)に示すように、前記回路溝3の表面及び前記回路溝3が形成されなかった前記樹脂被膜2の表面に触媒金属(めっき触媒)5を被着させる。なお、この工程は、触媒被着工程に相当する。このような触媒被着処理により、図4(C)に示すように、回路溝3の表面、及び樹脂被膜2の表面に触媒金属5を被着させることができる。
次に、図4(D)に示すように、前記立体絶縁基材51から前記樹脂被膜2を剥離させる。そうすることによって、前記立体絶縁基材51の前記回路溝3が形成された部分の表面にのみ触媒金属5を残留させることができる。一方、前記樹脂被膜2の表面に被着された触媒金属5は、前記樹脂被膜2に担持された状態で、前記樹脂被膜2とともに除去される。なお、この工程は、被膜剥離工程に相当する。
次に、図4(E)に示すように、前記樹脂被膜2が剥離された立体絶縁基材51に無電解めっきを施す。そうすることによって、前記触媒金属5が残存する部分にのみめっき層6が形成される。すなわち、前記回路溝3や前記貫通孔4が形成された部分に、電気回路となるめっき層6が形成される。なお、この工程は、めっき処理工程に相当する。
上記各工程によって、図4(E)に示すような、三次元形状の立体絶縁基材51に電気回路6が形成された回路基板60が形成される。このように形成された回路基板60は、絶縁基材上に形成される電気回路の線幅及び線間隔が狭くても、絶縁基材と電気回路との密着性の高く、電気回路が損傷しにくい。また、本実施形態にかかる回路基板は、立体回路基板の段差部を有する面にも、正確且つ容易に回路形成されている。
以下、本実施形態の製造方法を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例により何ら限定されて解釈されるものではない。
(実施例1)
まず、絶縁基材として、平均粒子径0.5μmのシリカ粒子(株式会社アドマテックス製のSO−C2)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製の850S)と、硬化剤としてのジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製のDICY)とからなる基材を用意した。なお、前記絶縁基材は、前記シリカ粒子の含有量が前記絶縁基材に対して30質量%であり、厚みが100μmの基材であった。
次に、前記絶縁基材の表面に、2μm厚のスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)の被膜(樹脂被膜)を形成した。なお、被膜の形成は、前記絶縁基材の主面に、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)のメチルエチルケトン(MEK)サスペンジョン(日本ゼオン(株)製、酸当量600、粒子径200nm、固形分15%)を塗布し、80℃で30分間乾燥することにより行った。
そして、樹脂被膜が形成された絶縁基材に対して、レーザ加工により幅20μm、深さ20μm、長さ30mmの略長方形断面の回路溝の形成を行った。なお、レーザ加工には、UV−YAGレーザを備えたレーザ光照射装置(ESI社製のMODEL5330)を用いた。
次に、回路溝が形成された絶縁基材をクリーナーコンディショナ(界面活性剤溶液、pH<1:ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製のC/N3320)中に浸漬し、その後、水洗した。そして、過硫酸ナトリウム−硫酸系のpH<1のソフトエッチング剤でソフトエッチング処理した。そして、PD404(シプレイ・ファーイースト株式会社製、pH<1)を用いてプリディップ工程を行った。そして、塩化第一錫と塩化パラジウムを含むpH1の酸性Pd−Snコロイド溶液(CAT44、シプレイ・ファーイースト(株)製)に浸漬することにより、無電解銅めっきの核(触媒金属)となるパラジウムをスズ−パラジウムコロイドの状態で絶縁基材に吸着させた。
次に、pH<1のアクセラレータ薬液(ACC19E、シプレイ・ファーイースト株式会社製)に浸漬することにより、パラジウム核を発生させた。そして、絶縁基材を、pH14の5%水酸化ナトリウム水溶液中に超音波処理しながら10分間浸漬した。これにより、表面のSBR被膜は膨潤し、きれいに剥離された。このとき、絶縁基材表面にSBR被膜の断片等が残っていなかった。そして、絶縁基材を無電解めっき液(シプレイ・ファーイースト株式会社製の、CM328A,CM328L、CM328C)に浸漬させて無電解銅めっき処理を行った。
前記無電解銅めっき処理により、前記回路溝上に厚み5μmのめっき層が形成された。さらに、無電解銅めっき処理(フィルアップめっき)を、前記回路溝を埋めるまで行った
なお、膨潤性樹脂被膜の膨潤度は、以下のように求めた。
離型紙上に膨潤性樹脂被膜を形成するために塗布したSBRサスペンジョンを塗布し、80℃で30分間乾燥した。これにより2μm厚の樹脂被膜を形成した。そして、形成された被膜を強制的に剥離することにより、試料を得た。
そして、得られた試料0.02g程度を秤量した。このときの試料重量を膨潤前重量m(b)とする。そして、秤量された試料を20±2℃の水酸化ナトリウム5%水溶液10ml中に15分間浸漬した。また、別の試料を同様にして、20±2℃の塩酸5%水溶液(pH1)10ml中に15分間浸漬した。
そして、遠心分離器を用いて1000Gで約10分間遠心分離処理を行い、試料に付着した水分等を除去した。そして、遠心分離後の膨潤した試料の重量を測定し、膨潤後重量m(a)とした。得られた、膨潤前重量m(b)及び膨潤後重量m(a)から、「膨潤度SW=(m(a)−m(b))/m(b)×100(%)」の式から、膨潤度を算出した。なお、その他の条件は、JIS L1015 8.27(アルカリ膨潤度の測定方法)に準じて行った。
このとき、pH14の水酸化ナトリウム5%水溶液に対する膨潤度は750%であった。一方、pH1の塩酸5%水溶液に対する膨潤度は3%であった。
(実施例2)
前記シリカ粒子の含有量が30質量%の絶縁基材から、50質量%の絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(実施例3)
平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子を含有する絶縁基材から、平均粒子径が1.5μmのシリカ粒子を含有する絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(実施例4)
平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が30質量%の絶縁基材から、平均粒子径が1.5μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が50質量%の絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(実施例5)
平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が30質量%の絶縁基材から、平均粒子径が1.7μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が75質量%の絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(実施例6)
平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子を含有する絶縁基材から、平均粒子径が0.05μmのシリカ粒子を含有する絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(実施例7)
平均粒子径が0.5μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が30質量%の絶縁基材から、平均粒子径が0.05μmのシリカ粒子を含有し、その含有量が50質量%の絶縁基材に代えたこと以外、実施例1と同様である。
(比較例)
絶縁基材として、フィラーを含有しない絶縁基材[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製の850S)と、硬化剤としてのジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製のDICY)とからなる基材]を用いること以外、実施例1と同様である。
前記実施例1〜7及び比較例を以下のように評価した。
(回路溝の形状)
まず、回路溝を形成した後の絶縁基材を、前記回路溝の延びる方向に垂直な方向に、
7箇所、切断した。その切断面をマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製のKH−7700)を用いて観察した。そして、以下の評価基準で評価した。
◎:樹脂の溶出が確認された箇所が全くなかった(0箇所であった)
○:樹脂の溶出が確認された箇所が、7箇所中、1箇所であった
△:樹脂の溶出が確認された箇所が、7箇所中、2箇所であった
×:樹脂の溶出が確認された箇所が、7箇所中、3箇所以上であった。
(めっき未着)
前記無電解めっきによって、絶縁基材の回路溝(幅20μm、長さ30mm)上に形成されためっき層を、フィルアップめっきを行う前に、マイクロスコープ(株式会社ハイロックス製のKH−7700)を用いて、形成しためっき層全体を観察した。そして、以下の評価基準で評価した。
◎:めっき層が形成されていないと確認された箇所が全くなかった(0箇所であった)
○:めっき層が形成されていないと確認された箇所が、1箇所であった
△:めっき層が形成されていないと確認された箇所が、2箇所であった
×:めっき層が形成されていないと確認された箇所が、3箇所以上であった。
(めっき剥離)
前記無電解めっきによって、絶縁基材の回路溝(幅20μm、長さ30mm)上に形成されためっき層を、フィルアップめっきを行う前にマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製のKH−7700)を用いて、形成しためっき層全体を観察した。そして、以下の評価基準で評価した。
◎:めっき層が剥離していると確認された箇所が全くなかった(0箇所であった)
○:めっき層が剥離していると確認された箇所が、1箇所であった
△:めっき層が剥離していると確認された箇所が、2箇所であった
×:めっき層が剥離していると確認された箇所が、3箇所以上であった。
上記評価結果を、表1に示す。
Figure 2011029494
表1からわかるように、フィラーであるシリカ粒子を含有する絶縁基材を用いた場合(実施例1〜7)は、フィラーを含有しない絶縁基材を用いた場合と比較して、回路溝を形成する際に、回路溝内に発生する樹脂の溶出を抑制されていた。さらに、実施例1〜7は、比較例と比較して、めっき未着やめっき剥離が抑制されていた。これらのことから、実施例1〜7によれば、電気回路と絶縁基材との密着性の高い回路基板が得られることがわかった。
1,21 絶縁基材
2,22 樹脂被膜
3,23 回路溝
4 貫通孔
5 触媒金属
6 めっき層(電気回路)
7 めっき層
10 回路基板
11 フィラー
51 立体絶縁基材
60 回路基板

Claims (7)

  1. 表面に樹脂被膜を形成し、前記樹脂被膜の外表面側からレーザ加工又は機械加工することによって、所望の形状及び深さの回路溝を形成し、前記回路溝の表面及び前記樹脂被膜の表面に触媒金属を被着させ、前記絶縁基材から前記樹脂被膜を剥離することによって形成された絶縁基材と、
    前記絶縁基材に無電解めっきを施すことによって形成された電気回路とを備え、
    前記絶縁基材が、フィラーを含有することを特徴とする回路基板。
  2. 前記フィラーの含有量が、前記絶縁基材に対して10〜90質量%である請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記フィラーの平均粒子径が、0.05〜10μmである請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
  4. 前記フィラーの平均粒子径が、前記回路溝の幅、前記回路溝の深さ、及び隣接する回路溝と回路溝との間の部分の幅のうちの最小値に対して、0.25〜50%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
  5. 前記フィラーが、無機微粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  6. 前記電気回路が、少なくとも5〜30μmの線幅の部分を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路基板。
  7. 絶縁基材表面に樹脂被膜を形成する被膜形成工程と、
    前記樹脂被膜の外表面側から前記絶縁基材にレーザ加工又は機械加工することにより所望の形状及び深さの回路溝を形成する回路溝形成工程と、
    前記回路溝の表面及び前記樹脂被膜の表面に触媒金属を被着させる触媒被着工程と、
    前記絶縁基材から前記樹脂被膜を剥離する被膜剥離工程と、
    前記樹脂被膜が剥離された絶縁基材に無電解めっきを施すめっき処理工程とを備え、
    前記被膜形成工程が、前記絶縁基材として、フィラーを含有するものを用いることを特徴とする回路基板の製造方法。
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