JP2011028980A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】過充電防止を容易に行うことができる非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極2と、負極活物質としてチタン酸リチウムを含んでなる負極活物質層32を負極集電体31に積層してなる負極3と、前記正極2と前記負極3を空間的に分離するセパレータ4と、前記正極2、前記負極3、及び前記セパレータ4を収納する外装材5とを具備する非水電解質二次電池1において、前記負極集電体31は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、前記負極活物質層32は、リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体33を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、負極活物質にチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、エレクトロニクス分野における急速な技術発展により、電子機器の小型・軽量化が進んでいる。その結果、電子機器のポータブル化、コードレス化が進行し、その駆動源となる二次電池にも小型、軽量、高エネルギー密度化が切望されている。このような要望に応えるべく、高エネルギー密度な非水電解質二次電池としてリチウム二次電池が開発されており、最近では、外装材にアルミラミネート外装材を用いた超薄型・軽量なリチウム二次電池が開発され、商品化されている。
そして、ごく最近では、高エネルギー密度な非水電解質二次電池であるリチウム二次電池をハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自転車、電動バイク、電動フォークリフト、無人搬送車などの車載用、及び電力系統に連系して運用するための系統連系用に利用するための研究が大いに進められている。
しかし、リチウム二次電池は、充放電にともなう電極の体積膨張・収縮により電池厚さが変化し易い。そのため、例えばアルミラミネート外装材を用いたリチウム二次電池では、これが原因となって電池がよれたり、電極間が広がったりして電池の抵抗が大きくなり、電池特性を低下させることが問題となっている。
このような問題を回避するために、負極活物質としてチタン酸リチウム(Li4Ti512;LTO)を用い、正極活物質としてLiCoO2、LiNiO2、スピネル構造を有するLiMn24などのリチウム含有複合酸化物を用いたリチウム二次電池(非水電解質二次電池)が開発されている。かかる非水電解質二次電池は、正極と負極の間でリチウムイオンを可逆的に往復させることにより充放電を行う。負極活物質として用いられるチタン酸リチウムは、充放電に伴う体積変化が殆ど無く、その結果、電池厚さの変化が極めて小さいため、これを負極活物質として利用することで前記した問題の解決を図っている。
かかる非水電解質二次電池としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
図10に示すように、特許文献1に記載の非水電解質二次電池100は、正極端子121と接合された正極活物質層122を含む正極102と、純アルミニウム又はアルミニウム合金製の負極端子131と接合されたチタン酸リチウムの負極活物質層132を含む負極103と、前記正極102と前記負極103を空間的に分離するセパレータ104と、前記正極102、前記負極103、及び前記セパレータ104を収納する外装材105とを具備している。そして、この特許文献1では、負極端子131と負極活物質層132との間の剥離強度を0.005N/mm以上とすることにより、大電流放電特性と充放電を行うサイクル寿命に優れたものとしている。
特開2005−100771号公報
しかしながら、特許文献1に記載の非水電解質二次電池100は、大電流放電特性とサイクル寿命に優れるものの、リチウムイオンに対する酸化還元電位が約1.5Vであるチタン酸リチウムを負極活物質として用い、リチウムイオンと結合して合金を形成するときの電位が約0.3Vであるアルミニウムを負極端子131として用いているため、これらの電位差が大きく、充電時にチタン酸リチウムにリチウムイオンを収容することができなくなると急激に負極103の電位が降下(セル電圧は上昇)し、急激に過充電に至るという問題がある。
一般的に非水電解質二次電池は、充電時に過充電になると正極において酸化反応が起こり、電解液が分解してガスが発生し、電池の膨れ、発煙、発火などが生じたり、正極材料が分解して構造破壊が生じたりする。例えば、前記非水電解質二次電池100の負極103は、過充電になるとリチウムイオン(Li+)が負極端子131のアルミニウム(Al)と反応してリチウムアルミニウム合金(LiAl)を生成する結果、充電容量が減少する。さらに過充電となるとリチウムイオンが金属リチウム(Li)として負極端子131上に析出するためショートする可能性もある。下記に充電時及び過充電時の負極103における反応式を示す。なお、充電時は電子と親和性の高いものからリチウムイオンが充填されるため、下記反応式(1)〜(3)はこの順に反応が進む。下記反応式(1)、(2)は満充電時までに生じる反応であり、下記反応式(3)は過充電時に生じる反応である。
Li4Ti512+3Li++3e- → Li7Ti512 ・・・(1)
Al+Li++e- → LiAl ・・・(2)
Li++e- → Li ・・・(3)
ここで、前記反応式(1)で生成されたLi7Ti512は可逆反応物であり、前記反応式(2)で生成されたLiAlは一部不可逆反応物であり、前記反応式(3)で生成されたLiは不可逆反応物である。
そのため、従来は、過充電に至らないように、電池へ充電される電流値制御のための電流センサーや個々の電池の電圧監視のための高精度な電圧センサー、或いはこれらのセンサー等を重畳的に用いたり、充電器を電池容量の高充電状態領域(高SOC(State of Charge)領域)を使用しない、つまり、満充電にしないようなアルゴリズムで充電したりしていた。しかし、これらの手段はいずれも電池単体以外の部分のコストが嵩み、また電池が本来有するエネルギーを十分使うことができないなどの問題があった。
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、過充電防止を容易に行うことができる非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と、負極活物質としてチタン酸リチウムを含んでなる負極活物質層を負極集電体に積層してなる負極と、前記正極と前記負極を空間的に分離するセパレータと、前記正極、前記負極、及び前記セパレータを収納する外装材とを具備する非水電解質二次電池において、前記負極集電体は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、前記負極活物質層は、リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体を有することを特徴としている。
本発明に係る非水電解質二次電池は、負極活物質層に、リチウムイオン(Li+)に対するチタン酸リチウム(Li4Ti512)の酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウム(Al)とリチウム(Li)が合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素(ME;metal element)を含んで形成されている金属形成体を有しているため、過充電となりチタン酸リチウムがリチウムイオン(Li+)を収容することができなくなっても、前記した金属元素で全部又は一部が形成されている金属形成体でチタン酸リチウムに収容できなかったリチウムイオンを収容することができる。
つまり、充電時は電子と親和性の高いものからリチウムイオンが充填されるため、負極活物質層がリチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素で全部又は一部が形成されている金属形成体を有することで金属リチウム(Li)が析出する状態となる前に、リチウムイオンと前記金属形成体の金属元素(ME)を反応させて反応物を生成させることができる。下記にその反応式を示す。前記したように充電時は電子と親和性の高いものからリチウムイオンが充填されるため、下記反応式(1)〜(3)はこの順に進む。下記反応式(1)、(1.5)、(2)は満充電時までに生じる反応であり、下記反応式(3)は過充電時に生じる反応である。
Li4Ti512+3Li++3e- → Li7Ti512 ・・・(1)
ME+αLi++αe- → LiαME ・・・(1.5)
Al+Li++e- → LiAl ・・・(2)
Li++e- → Li ・・・(3)
但し、前記反応式(1.5)におけるαは、金属元素によって充電できるLiのモル数と等しい数を表す。
なお、前記反応式(1)で生成されたLi7Ti512は可逆反応物であり、前記反応式(1.5)で生成されたLiαMEは可逆反応物又は一部不可逆反応物であり、前記反応式(2)で生成されたLiAlは一部不可逆反応物であり、前記反応式(3)で生成されたLiは不可逆反応物である。
このように、前記反応式(1)で示される反応と前記反応式(2)で示される反応の間に前記式(1.5)で示される反応が生じるようにしているため、図1に示すように、本発明による場合(本発明品)は、本発明によらない場合(従来技術)と比較して満充電前後の電圧値の変化を緩やかにすることができる。なお、図1のグラフ中の破線は本発明によらない場合(従来技術)の電圧の変化を示し、実線は本発明による場合(本発明品)の電圧の変化を示す。
このように、本発明によれば満充電前後で急激に負極の電位が降下して急激に過充電に至るのを防止することができる。つまり、本発明によれば過充電を制御する領域(過充電制御領域)を広げることができ、充電の制御を容易に行えるようにすることができる。
また、本発明に係る非水電解質二次電池においては、前記金属形成体が、前記負極活物質層中に担持されている金属粒子、及び前記負極活物質層と接する金属層のうちの少なくとも一方の形態であるのが好ましい。
このようにすれば、充電時にチタン酸リチウムがリチウムイオンを収容することができなくなっても、前記した形態で有している金属形成体の金属元素によってチタン酸リチウムに収容できなかったリチウムイオンを確実に収容することができる。そのため、満充電前後の電圧値の変化を確実に緩やかにすることが可能となり、急激に負極の電位が降下して急激に過充電に至るのをより防止し易くなる。つまり、過充電制御領域をより確実に広げることができるので充電の制御をより容易に行うことができる。
本発明に係る非水電解質二次電池によれば、負極活物質層がリチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体を有しているので、満充電前後の負極の電圧値の変化を緩やかにすること、つまり、過充電制御領域を広げることが可能となる。そのため、急激に負極の電位が降下して急激に過充電に至るのを防止することができる。その結果、本発明に係る非水電解質二次電池によれば、充電の制御が容易となり、過充電防止を容易に行うことができる。
負極活物質層がリチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素を含む場合とそうでない場合における電圧の変化する様子を示したグラフである。 本発明の第1実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す断面図である。 (a)及び(b)は、負極活物質層を備えた負極の構成の一例を説明する概念図である。 負極活物質層を備えた負極の構成の他の一例を説明する概念図である。 本発明の第2実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を示す一部切欠図である。 実施例1と比較例に係る電池を雰囲気温度25℃、0.1mAの定電流という条件で完全放電状態から過充電まで充電した結果を示すグラフである。 (a)は、実施例2に係る電池について完全放電状態から過充電まで充電した結果を示すグラフであり、(b)は、参考のために示したグラフであって、実施例1に係る電池について完全放電状態から過充電まで充電した結果を示すグラフである。 実施例3に係る電池のサイクル実験の結果を示すグラフである。 負極活性物質をSnOのみで作製した非水電解質二次電池を実施例1と同様にして作製し、充放電による容量の変化を調べた結果を示すグラフである。 従来公知の非水電解質二次電池の構成の一例を示す断面図である。
本発明の要旨は、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いる非水電解質二次電池において、負極活物質層にリチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体を有するようにすることで負極の電圧値の変化(電位降下)を緩やかにして過充電制御領域を広げ、充電の制御を容易にすることにより過充電防止を容易に行えるようにしたことにある。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る非水電解質二次電池について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図2に示す第1実施形態に係る非水電解質二次電池1は、所謂ボタン形のリチウムイオン二次電池である。
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る非水電解質二次電池1は、正極2と、負極3と、前記正極2と前記負極3を空間的に分離するセパレータ4と、前記正極2、前記負極3、及び前記セパレータ4を収納する外装材5とを具備している。また、この非水電解質二次電池1は、正極2と負極3とを適度な圧力で接するようにするためのスペーサー及びスプリングワッシャーを具備している(いずれも図示せず)。
正極2は、正極集電体21と、この正極集電体21の片面若しくは両面に積層された正極活物質層22とを有している。
正極集電体21は、非水電解質二次電池1の正極集電体21として一般的に使用される純アルミニウム、アルミニウム合金などを用いて5〜100μm程度の厚さで形成することができる。
また、正極活物質層22は、正極活物質、電子導電体及び結着剤を含んで形成されている。
正極活物質としては、リチウムマンガン複合酸化物(LixMn24又はLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1-yCoy2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnyCo1-y2)、スピネル構造リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、オリビン構造リチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫化リチウム(Li2S)を用いることができる。また、正極活物質としては、Li2MnO3、Li2-x-yFexMny2、Li2Fe1-xMnxSiO4、LiNi1/3Mn1/3Co1/32、二酸化マンガン(MnO2)、バナジウム酸化物(V25)などを用いることもできる。なお、前記した化合物におけるx,yは0を超え1以下の範囲であることが好ましい。また、正極活物質は、前記した化合物を単独で又は複数混合して用いることができる。さらに、正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であれば前記した化合物に限定されることなく用いることができることはいうまでもない。
電子導電体としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛などを用いることができる。
また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ゴムなどを用いることができる。結着剤はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒に溶解して用いることができる。
正極活物質、電子導電体及び結着剤の配合比は、従来公知の配合比とすることができ、例えば、正極活物質を84〜97質量%、電子導電体を1〜8質量%、結着剤を2〜6質量%とすることができる。
正極2は以上のようにして構成されているが、リチウムイオンの供給源となる構成であればよく、前記した構成に限定されないことはいうまでもない。
負極3は、負極集電体31と、この負極集電体31の片面若しくは両面に積層された負極活物質層32とを有している。
本発明における負極集電体31は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、正極集電体21と同様に、例えば、5〜100μm程度の厚さとすることができる。純アルミニウムやアルミニウム合金を用いると、コスト低減と軽量化を図ることができる。
負極活物質層32は、負極活物質、電子導電体及び結着剤を含んで形成されている。なお、電子導電体及び結着剤は、正極2と同様のものを用いることができ、負極活物質、電子導電体及び結着剤の配合比は、正極2と概ね同様の配合比とすることができる。
本発明においては、負極活物質としてチタン酸リチウムを用い、当該負極活物質を含んでなる負極活物質層32は、リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑(つまり、Li/Li+の標準電極電位に対する電位[V vs.Li/Li+]よりも卑)であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴(つまり、Li/Li+の標準電極電位に対する電位[V vs.Li/Li+]がアルミニウムよりも貴)である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体33を有している。
リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも貴である金属元素や、アルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも卑である金属元素を用いると、満充電前後において、Li7Ti512を生成する反応(前記反応式(1)の反応)とLiAlを生成する反応(前記反応式(2)の反応)の間に、LiαME(但し、MEは金属元素を表し、αは、金属元素によって充電できるLiのモル数と等しい数を表す。)を生成する反応(前記反応式(1.5)の反応)を生じさせることができない。そのため、満充電前後の電圧値の変化を緩やかにすることができず、満充電前後で急激に負極3の電位が降下して急激に過充電に至るのを防止することができない。
金属形成体33を形成する金属元素としてはMn、Sn、Sb、Bi、Inを挙げることができる。そして、金属形成体33としてはこれらの金属元素及びこれらの酸化物のうちの少なくとも1つを用いることができる。なお、長期充放電サイクルにおいてもその効果を有するためには可逆性に優れる材料であるという観点、及び不可逆容量が少ないという観点から、酸化物でないものを用いるのが好ましい。
金属形成体33は、図3の(a)及び(b)に示すように、負極活物質層32中に担持されている金属粒子33a、及び図4に示すように、負極活物質層32と接する金属層33bのうちの少なくとも一方の形態とするとよい。金属形成体33を負極活物質層32中に担持される金属粒子33aとすると、金属粒子33aの分散性が向上し、金属粒子33a同士が凝集しにくくなる。そのため、金属粒子33aの表面積の低下を防止することができ、過充電領域が狭くなるのを防止することができる。
また、金属層33bとした場合は、当該金属層33bの電子伝導が良好であるため、非水電解質二次電池1内に異物などが混入して内部短絡が生じた場合であっても、負極集電体31側にこれを配することによりその短絡電流を図3(a)、(b)に示した金属粒子33aよりも小さくすることができる。
金属形成体33を負極活物質層32中に担持される金属粒子33aとする場合は、後記するように負極3の作製時にチタン酸リチウムの粉体(金属粒子)、電子伝導体及び結着剤とともに金属粒子33aを混合して形成すると、図3(a)に示すように、チタン酸リチウムの金属粒子と、電子伝導体と、結着剤(図示せず)とが混在するような形態で負極活物質層32中に担持させることができる。また、予めチタン酸リチウムの粉体の表面に金属粒子33aを付着させておき、これを電子伝導体及び結着剤と混合して形成すると、図3(b)に示すように、チタン酸リチウムの金属粒子の表面に付着した形態で負極活物質層32中に担持させることができる。いずれも、金属粒子33aの濃度は1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%とするのがよい。金属粒子33aの濃度が1質量%よりも少ないと金属粒子33aの濃度が少ないために満充電前後におけるLiαME生成量が少なくなる結果、過充電制御領域を広げることができないおそれがある。一方、金属粒子33aの濃度が10質量%よりも多いとリチウムイオンの量が少なくなるため容量が減るおそれがある。
また、金属形成体33を負極活物質層32と接する金属層33bとする場合は、負極集電体31上に前記した金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方を用いて薄く形成し、その上に負極活物質層32を形成すればよい(図4参照)。かかる金属層33bは、例えば、PVdFを溶解したNMP溶液にInの粉体を分散させ、これを塗布するなどの方法によって、図4に示すように負極集電体31上に形成されたチタン酸リチウムの層の上に形成することができる。
金属形成体33を負極活物質層32中に担持される金属粒子33aとした場合は、平均粒子径約0.05〜5μmとすればよく、金属形成体33を負極活物質層32と接する金属層33bとした場合は、約0.1〜3μmの厚さとすればよい。金属粒子33aの平均粒子径と金属層33bの厚さがこの範囲であれば、満充電前後においてLi7Ti512を生成する反応(前記反応式(1)の反応)とLiAlを生成する反応(前記反応式(2)の反応)の間に、LiαMEを生成する反応(前記反応式(1.5)の反応)が生じるようにすることができる。
前記したようにセパレータ4は、正極2と負極3を空間的に分離するものであり、非水電解質を保持するものである。かかるセパレータ4は、非水電解質二次電池に一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンなどのポリオレフィン系合成樹脂で作製した多孔質フィルム又はポリアクリロニトリルで作製した不織布を用いることができる。
セパレータ4に保持される非水電解質は、電解質を有機電解液又はイオン液体(常温溶融塩)などの非水溶媒に溶解することにより調整することができる。なお、かかる非水電解質は、電解質を溶解した非水溶媒をポリフッ化ビニリデンやアクリル系ポリマーなどによりゲル化してゲルポリマー電解質としたり、ポリ酸化エチレン(PEO)によりドライポリマー電解質としたりすることもできる。
電解質としては、無機又は有機のリチウム塩を用いることができる。例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(CF3CF2SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23などのリチウム塩を単独で又は複数混合して用いることができる。
電解質の濃度は、0.7〜1.8mol/Lの範囲とすればイオン伝導率を高く維持することができるので好ましい。
有機電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステルや、低沸点溶媒であるジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状エステルを用いることができる。これらの有機電解液は単独で用いてもよいし、複数混合して用いてもよい。
イオン液体としては、イミダゾリウム塩を陽イオンとするイオン液体や環状第四級アンモニウム塩を陽イオンとするイオン液体を用いることができる。
イミダゾリウム塩を陽イオンとするイオン液体としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウム塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩などのジアルキルイミダゾリウム塩を陽イオンとするイオン液体や、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム塩、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩などのトリアルキルイミダゾリウム塩を陽イオンとするイオン液体を挙げることができる。
環状第四級アンモニウム塩を陽イオンとするイオン液体としては、トリメチルエチルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を陽イオンとするイオン液体や、N−メチルピリジニウム塩、N−エチルピリジニウム塩、N−プロピルピリジニウム塩、N−ブチルピリジニウム塩、1−エチル−2メチルピリジニウム塩、1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩、1−ブチル−2,4ジメチルピリジニウム塩などのアルキルピリジニウム塩を陽イオンとするイオン液体を挙げることができる。また、環状第四級アンモニウムを陽イオンとするイオン液体としては他にもピラゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩などを陽イオンとするイオン液体を挙げることができる。
以上に示したイオン液体は単独の化合物を用いてもよく、複数の化合物を混合して用いてもよい。
外装材5は、図2に示すような所謂ボタン形のリチウムイオン二次電池の場合、正極缶51と封口板52が相当する。正極缶51及び封口板52は、純アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどを用いて絞り加工やプレス加工、或いは板材を任意の形状に成形した後に端部を接合するなどの任意の加工法によって角筒形或いは円筒形の金属缶とすることができる。なお、外装材5の肉厚は0.5mm以下とするとよい。
また、所謂ボタン形のリチウムイオン二次電池とする場合は、以上の構成に加えて、正極2、負極3及びこれらの間に設けられるセパレータ4の外縁を挟持して固定封入するためのガスケット6を設けるとよい。
次に、図2に示した本発明に係る非水電解質二次電池1の製造方法を説明する。
まず、正極2の製造方法を説明する。正極2は、前記した化合物の中から任意に選択した正極活物質をアセチレンブラックなどの電子導電体及びポリフッ化ビニリデンなどの結着剤に混練し、これをスラリー状とした後、正極集電体21上に塗布(積層)して乾燥し、任意の形状となるように打ち抜き加工して成形することにより正極活物質層22を作製する。
次いで、負極3の製造方法を説明する。負極3は、負極活物質であるチタン酸リチウムをアセチレンブラックなどの電子導電体及びポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とともに、前記した金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成された金属形成体33を金属粒子33aの形態で混練し、これをスラリー状とした後、負極集電体31上に塗布(積層)して乾燥し、任意の形状となるように打ち抜き加工して成形することにより負極活物質層32を作製する。なお、このようにして作製した負極3は、図3(a)に示したように、負極活物質層32中に適度に分散して担持された状態となる。
そして、乾燥アルゴン雰囲気中において、正極缶51の内側に正極集電体21が接するように正極2を収容する一方、封口板52に負極集電体31が接するように負極3を収容する。なお、このとき正極缶51の内側には必要に応じて正極と負極を適度な圧力で接するためのスペーサーとスプリングワッシャーを設置してもよい。
その後、円環状のガスケット6を正極集電体21と正極缶51の側壁の間に収容した後、非水電解質を保持させたセパレータ4の一方の面を正極活物質層22及びガスケット6の上に設け、負極活物質層32がセパレータ4の他方の面に接するようにして封口板52を重ねる。
次いで、正極缶51の外縁と、ガスケット6の外縁と、封口板52の外縁とをかしめて密封することにより、図2に示す本発明に係る非水電解質二次電池1を製造することができる。
<第2実施形態>
図5に示す非水電解質二次電池10は、ラミネート外装材53を外装材5として用いたリチウム二次電池である。
図5に示すように、かかる非水電解質二次電池10は、外部に延出させた正極端子21a及び当該正極端子21aと接合された正極活物質層22を含む正極2と、外部に延出させた負極端子31a及び当該負極端子31aと接合された負極活物質層32を含む負極3と、当該正極2と当該負極3の間に、前記した非水電解質を保持させたセパレータ4を介在させて偏平形状に捲回した構造を有し、ラミネート外装材53内に封入された構造を有する。
ラミネート外装材53は、純アルミニウムやアルミニウム合金からなる金属箔にポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムを被覆することにより作製することができ、その厚さは0.2mm以下とするとよい。
正極端子21a及び負極端子31aは、第1実施形態として説明した非水電解質二次電池1の正極集電体21及び負極集電体31と同様の材料を用いて作製することができる。
正極活物質、負極活物質、非水電解質及びセパレータ4は、第1実施形態として説明した非水電解質二次電池1と同様のものを用いることができる。
かかる非水電解質二次電池10は、正極端子21aを接合した正極活物質層22と、負極端子31aを接合した負極活物質層32の間に非水電解質を保持させたセパレータ4を介在させて偏平形状に捲回した後、正極端子21a及び負極端子31aのみを外部に出して捲回した正極活物質層22、負極活物質層32及びセパレータ4をラミネート外装材53内に入れ、当該ラミネート外装材53の外周を加熱プレスして密封することにより製造することができる。
第2実施形態に係る非水電解質二次電池10も第1実施形態に係る非水電解質二次電池1と同様に、負極活物質層32に、リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体33(図5において不図示)を有しているため、過充電となりチタン酸リチウムがリチウムイオン(Li+)を収容することができなくなっても、含まれている前記金属元素でチタン酸リチウムに収容できなかったリチウムイオンを収容することができる。
すなわち、第2実施形態に係る非水電解質二次電池10は、第1実施形態と同様に、前記反応式(1)で示される反応と前記反応式(2)で示される反応の間に、前記式(1.5)で示される反応が生じるようにすることができ、満充電前後の電圧値の変化を緩やかにすることが可能である。従って、満充電前後で急激に負極3の電位が降下して急激に過充電に至るのを防止することができる。つまり、過充電制御領域を広げることができ、充電の制御を容易に行えるようにすることができる。
そして、以上に説明した非水電解質二次電池1及び非水電解質二次電池10は、2つ以上直列或いは並列に接続して所定のケースに入れるなどすることにより組電池(図示せず)とすることができる。
このようにして組電池化した非水電解質二次電池1及び非水電解質二次電池10は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(P−HEV)、電気自動車(EV)などの車載用二次電池や系統連系用二次電池として好適に使用することができる。
非水電解質二次電池1及び非水電解質二次電池10は、組電池化して車載用二次電池や系統連系用二次電池として使用された場合であっても、前記した金属形成体33を用いているので負極3の電圧値の変化(電位降下)が緩やかであり、過充電制御領域が広いため、充電の制御を容易に行うことができる。従って、負極3の電位(電圧)をモニタリングし、過充電となる前に、例えば、負極3の電位が2.8Vになったら充電を停止するようにハード的又はソフト的に制御することが容易となる。このようにすれば、従来よりも高いSOCまで充電(例えば、SOC95%程度まで充電)することが容易に行えるようになる。よって、非水電解質二次電池1や非水電解質二次電池10が本来有するエネルギーを十分に使うことができるようになり、充電容量の向上や電池の出力の向上を図ることができる。延いては、HEVやEV等の走行距離の向上や輸送機械の出力の向上を図ることができるようになる。
次に、本発明に係る非水電解質二次電池の実施例について説明する。
(1)実施例1
実施例1に係る非水電解質二次電池として、コイン形のリチウム二次電池(CR2032)を以下のようにして作製した。
正極は、正極活物質であるLiCoO2の金属粒子90質量%と、電子導電体であるアセチレンブラックの超微粒子5.0質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン5.0質量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散してスラリー状にしたものを正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に均一に塗布し、乾燥後、所定の形状に打ち抜いて作製した。
負極は、負極活物質としてLi4Ti512の金属粒子86.5質量%にInの金属粒子4.5質量%を添加したものを用い、電子導電体であるアセチレンブラックの超微粒子3.0質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン6.0質量%とを混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散してスラリー状にしたものを負極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に均一に塗布し、乾燥後、所定の形状に打ち抜いて作製した。
次に、乾燥アルゴン雰囲気下において、ステンレス製の正極缶の内側に、正極と負極を適度な圧力で接するためにスペーサーとスプリングワッシャーを設置し、このスプリングワッシャーに正極集電体が接するように収容する一方、ステンレス製の封口板に負極集電体が接するように収容した。
次いで、円環状のガスケットを正極集電体と正極缶の側壁の間に収容した後、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを容積比1:1で混合した溶媒にLiPF6を濃度1mol/Lで溶解した電解液を保持させたポリエチレン製の多孔質フィルムからなるセパレータを正極活物質層及びガスケットの上に置き、その上に負極活物質層がセパレータに接するようにして封口板を重ねた。
次いで、正極缶の外縁と、ガスケットの外縁と、封口板の外縁とをかしめて密封し、図2の断面図に示すようなコイン形の非水電解質二次電池を作製した。
(2)比較例
比較例に係る非水電解質二次電池は、負極活物質にInの金属粒子を添加しないでLi4Ti512の金属粒子のみを用いた以外は実施例1と全く同様のコイン形のリチウム二次電池(CR2032)を作製した。
実施例1と比較例に係る電池を雰囲気温度25℃、0.1mAの定電流で12時間充電を行うことで完全放電状態から過充電まで充電した結果を図6に示す。なお、図6中の横軸は充電容量[mAh]を示し、第1縦軸は電圧[V]を示し、第2縦軸は電池中央部分の高さの変化[mm]を示す。
図6に示すとおり、比較例に係る電池の過充電制御範囲と比較して実施例1に係る電池の過充電制御範囲が広くなっていることがわかった。また、電池中央部分の高さの変化も、比較例に比して実施例1は膨らみ開始時期が遅く、膨らみ量(変化量)も少ないことがわかった。
(3)実施例2
実施例2に係る非水電解質二次電池は、負極活物質にInの金属粒子を2質量%添加して、Li4Ti512の金属粒子を89質量%とした以外は実施例1と全く同様のコイン形のリチウム二次電池(CR2032)を作製した。
実施例2に係る電池を前記と同じ条件で完全放電状態から過充電まで充電した。その結果を前記比較例の充電結果とともに図7(a)に示す。なお、図7(a)中の横軸は充電容量[mAh]を示し、縦軸は電圧[V]を示す。また、参考までに図7(b)に実施例1に係る電池を完全放電状態から過充電まで充電したグラフを示した。これは、図6の電圧の測定値を示したグラフである。
図7(a)に示すとおり、Inの金属粒子の含有量が少ない実施例2においても過充電制御範囲は比較例と比較して広くなっていることがわかった。なお、過充電制御範囲の広さは実施例1に係る電池の方が広かった(図7(b)及び図6参照)。
(4)実施例3
実施例3に係る非水電解質二次電池は、負極活物質としてLi4Ti512の金属粒子86質量%にSnOの錫酸化物粒子5.0質量%を、電子導電体であるアセチレンブラックの超微粒子3.0質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン6.0質量%とを混合したものを用いた以外は実施例1と全く同様のコイン形のリチウム二次電池(CR2032)を作製した。
実施例3に係る電池を前記と同じ条件で完全放電状態から過充電まで充電した。その結果、実施例1と同様、過充電制御範囲が広くなっていた(実験結果は実施例1とほぼ同じであったため図示しない。)。
但し、実施例3に係る電池について充放電を繰り返して行うサイクル実験を行ったところ、サイクル毎に容量が減少する現象が認められた。その結果を図8に示す。なお、サイクル実験の充電は過充電に至るものであり、充電の条件は3.7Vまでの定電流充電とし、放電の条件は1.5Vまでの定電流放電とした。サイクル実験の充放電はこの条件で6回行った。比較のために実施例1の電池についても同じ条件、同じ回数の充放電を行うサイクル実験を行った。その結果を図8に示す。
図8に示すグラフは、実施例1に係る電池及び実施例3に係る電池のそれぞれについて2回目の放電容量を100%として計算している。図8に示すとおり、実施例1(図8の中抜き菱形“◇”で示す)に係る電池はサイクル実験を行っても容量が減少する現象は認められなかったが、実施例3(図8の黒塗り菱形“◆”で示す)に係る電池はサイクル実験を行ったところ、前記したようにサイクル毎に容量が減少する現象が確認された。
この容量減少の原因の一部は負極活物質のLi4Ti512が満充電状態の後も更に充電を継続した際に、SnとLiが反応して生じる体積変化に起因する電極膨張のためと考えられるが、原因の多くは添加したSnOに含まれる酸素(O)が充電の際に一部のリチウムイオンと結合して可逆性の低い反応物である酸化リチウム(LixO)を生成したためと考えられる。下記にその反応式を示す。
SnO+xLi++e- → Sn+LixO ・・・(4)
ySn+zLi++e- →LizSny ・・・(5)
なお、前記反応式(4)及び(5)は、過充電を伴う充電における反応を示す反応式であって、前記反応式(4)は過充電電圧3.6V程までにおける反応を表し、前記反応式(5)は過充電電圧4.0V程までにおける負極の添加物SnOの反応を表す。前記反応式(4)及び(5)におけるx及びzは活物質中のリチウム量を示し、yは活物質中のスズ量を示す。
前記反応式(4)におけるLixOは可逆性の低い(乏しい)反応物である。そして、前記反応式(5)におけるLizSnyは可逆性の良好な反応物である。よって、LizSnyは放電することでLi+を放出することができる。
参考のために負極活性物質をSnOのみで作製した非水電解質二次電池を実施例1と同様にして作製し、充放電による容量の変化を調べたので図9に示す。なお、図9中の横軸は単位重量あたりの容量[mAh/g]を示し、縦軸は電位[V]を示す。
図9に示すとおり、1回目に0.9mAh/g(つまり、前記反応式(5)の過充電電圧4.0V相当)まで充電したが、放電は0.6mAh/gとなった。すなわち、負極活性物質をSnOのみで作製した非水電解質二次電池は、1回目の充電で前記反応式(4)の右辺に示される酸化リチウム(LixO)が生成されたために充電容量の約30%が不可逆容量となった。ちなみに、2回目の充電では0.6mAh/gまで充電することができ、2回目の放電も0.6mAh/gとなった。つまり、この実験においては1回目の充放電で多くの不可逆容量が表れたと判断することができる。なお、かかる現象は充電条件によって異なるものであり、充電の条件を変更すれば1回目の不可逆容量は減り、2回目の充電で残りの不可逆容量が表れる可能性がある。
この実験により、充電容量の観点からは、InやSnなどのリチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素は、酸化物の形態で用いるよりも酸化していない形態で用いた方が好ましいことがわかる。なお、かかる金属元素は、酸化物の形態であるか否かを問わず過充電制御範囲を広くするという効果については同等の効果を得ることができることは前記したとおりである。
1、10 非水電解質二次電池
2 正極
21 正極集電体
21a 正極端子
22 正極活物質層
3 負極
31 負極集電体
31a 負極端子
32 負極活物質層
33 金属形成体
33a 金属粒子
33b 金属層
4 セパレータ
5 外装材
51 正極缶
52 封口板
53 ラミネート外装材
6 ガスケット

Claims (2)

  1. 正極と、負極活物質としてチタン酸リチウムを含んでなる負極活物質層を負極集電体に積層してなる負極と、前記正極と前記負極を空間的に分離するセパレータと、前記正極、前記負極、及び前記セパレータを収納する外装材とを具備する非水電解質二次電池において、
    前記負極集電体は、純アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、
    前記負極活物質層は、リチウムイオンに対するチタン酸リチウムの酸化還元電位よりも卑であり且つアルミニウムとリチウムイオンが合金を形成するときの電位よりも貴である金属元素及びこの金属元素の酸化物のうちの少なくとも一方で全部又は少なくとも一部が形成されている金属形成体を有する
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記金属形成体が、前記負極活物質層中に担持されている金属粒子、及び前記負極活物質層と接する金属層のうちの少なくとも一方の形態であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015053240A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 富士フイルム株式会社 集電体用アルミニウム基材、集電体、正極、負極および二次電池
JP2015099794A (ja) * 2012-01-19 2015-05-28 株式会社東芝 非水電解質電池および電池パック

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