JP2011026028A - 乗客コンベアの制動方法およびその装置 - Google Patents

乗客コンベアの制動方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】乗客負荷を検出する負荷検出装置、および制動力を変化させ得る制動機を必要とすることなく、乗客負荷によらず一定の減速度を保つ乗客コンベアの制動方法およびその装置を得る。
【解決手段】無端状に形成された踏段チェーンに多数の踏段が取付けられて無限軌道を形成する乗客コンベアを制動する乗客コンベアの制動方法であって、前記踏段の目標減速度の速度線に対して上部にずらした上部制限速度と、前記目標減速度の速度線に対して下部にずらした下部制限速度を設定し、前記踏段の移動速度が前記下限制限速度を下回る場合には制動を行なわず、前記上部制限速度を上回る場合には制動を行なう。
【選択図】図3

Description

この発明は、エスカレーターあるいは電動道路等の乗客コンベアの制動方法およびその装置に係り、特に、傾斜を有する乗客コンベアの制動方法およびその装置に関するものである。
一般に、エスカレーターあるいは電動道路等の乗客コンベアには様々な安全装置が備えられており、その安全装置が動作した時には乗客コンベアが停止するようになっている。乗客コンベアは、通常、駆動機と制動機への電源の供給を遮断し、駆動力を零にすると同時に制動機で制動力をかけて乗客コンベアを停止に至らせる構成になっている。そして、停止に伴う減速度αは次の式で表される。
α∝(Tb±Tp)/J
ここで、∝:比例、Tb:制動機の制動力、Tp:乗客負荷による制動力、J:乗客コンベア全体の慣性であり、±項は、乗客コンベアの上昇運転のとき+、つまり減速側に働き、乗客コンベアの下降運転のとき−、つまり加速側に働く。そして、乗客コンベア全体の慣性Jに占める乗客の慣性の割合は小さく、Jはほぼ一定であり、また、制動機の制動力Tbは一定であるため、停止時の減速度αは±Tp項、つまり運転方向と乗客負荷により左右される。
前記のように、乗客コンベアの下降運転で乗客が多い場合には減速度αは小さく、上昇運転で乗客が多い場合には減速度αは大きくなるが、乗客コンベアは、通常、いかなる条件でも、つまり下降運転で乗客が多い場合でも、ある停止距離以内で止まれるように減速度αが設計されるため、上昇運転で乗客が多い場合の減速度αは必要以上に大きくなる。
そこで、従来、乗客負荷によらず一定の減速度αを保つために、乗客コンベアの運転方向を検出する運転方向検出装置と、乗客負荷を検出する負荷検出装置と、運転方向により制動力を変化させることができる制動機と、この制動機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段により、運転方向検出装置が検出した運転方向と負荷検出装置が検出した乗客負荷の大きさとに応じて、制動機の制動力を変化させる乗客コンベアの制動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−59165号公報(要約の欄、図1)
前記特許文献1に開示された技術によれば、乗客コンベアの下降運転時の制動力を上昇運転時の制動力よりも負荷がゼロ近傍において小さく制御されるので、乗客負荷によらず一定の減速度を保つことができる特徴がある。しかし、制動機の制動力を変化させるのに、乗客負荷を検出する負荷検出装置を必要とし、また、運転方向により制動力を変化させ得る制動機を必要とする。更には、制動機を制御する制御手段が必要になるため、制動機の機器構成が複雑になると共に、コストアップとなる課題がある。
この発明は、前記従来装置の課題を解決するためになされたものであり、乗客負荷を検出する負荷検出装置、および制動力を変化させ得る制動機を必要とすることなく、乗客負荷によらず一定の減速度を保つ乗客コンベアの制動方法およびその装置を提供するものである。
この発明に係る乗客コンベアの制動方法は、無端状に形成された踏段チェーンに多数の踏段が取付けられて無限軌道を形成する乗客コンベアを制動する乗客コンベアの制動方法であって、前記踏段の目標減速度の速度線に対して上部にずらした上部制限速度と、前記目標減速度の速度線に対して下部にずらした下部制限速度を設定し、前記踏段の移動速度が前記下限制限速度を下回る場合には制動を行なわず、前記上部制限速度を上回る場合には制動を行なうものである。
この発明に係る乗客コンベアの制動方法によれば、減速時に目標減速度に合わせて制動・非制動を切替え、減速度を緩やかにすることにより、乗客負荷を検出する負荷検出装置、および制動力を変化させ得る制動機を必要とすることなく、乗客負荷によらず一定の減速度を保つ乗客コンベアの制動装置を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置を説明する全体構成図である。 従来のエスカレーターの制動装置によるエスカレーターの停止時の速度曲線を示す図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置によるエスカレーターの停止時の速度曲線を示す図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置の制動方法について説明する図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置によるエスカレーターの停止時の速度曲線を示す図である。
以下、乗客コンベアとしてエスカレーターを例に挙げ、添付の図面を参照して、この発明に係る乗客コンベアの制動方法およびその装置について好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置を説明する全体構成図である。図1において、エスカレーター1は、上階床面1aと下階床面1bとの間に細長状に延びる主枠2と、主枠2内の上階床面1a側端部に形成された機械室3aと、主枠2内の下階床面1b側端部に形成された機械室3bとを備えている。
また、主枠2は上階床面1aに支持金具2aにより連結され、さらに下階床面1bに支持金具2bにより連結されている。主枠2の上階床面1a側機械室3a内には、電動機を備えた駆動機4と、駆動機4を制動する制動機5が、駆動機4の図1において向こう側に設けられると共に、駆動機4および制動機5を制御する制御手段、例えばインバータ制御手段6が設けられている。
駆動機4には動力駆動チェーン7が連結され、この動力駆動チェーン7により主枠2内に配置された駆動スプロケット8が駆動される。さらに主枠2の長手方向の他端部に設けられた下階床面1b側機械室3b内には、従動スプロケット9が設けられ、駆動スプロケット8と従動スプロケット9に無端状の踏段チェーン10が巻き掛けられている。さらにこの踏段チェーン10に多数の踏段11が等間隔で連結され、無限軌道を形成している。
各踏段11の前後に前輪および後輪(いずれも図示せず)が取り付けられており、踏段11は、これらの前輪および後輪を介して主枠2内に設けられた往路ガイドレール、帰路ガイドレールおよび反転ガイドレールからなるガイドレール(図示せず)に案内される。このようにして多数の踏段11は、踏段チェーン10の移動に連動して循環走行するように構成されている。
前記構成のエスカレーター1において、例えば、図1には図示されていない安全装置が動作した時に、インバータ制御手段6が駆動機4および制動機5への電源の供給を遮断するように制御し、駆動力を零にすると同時に制動機5で制動力をかけてエスカレーター1を停止させる構成については従来装置と同様である。
ところで、エスカレーター1が停止するとき、通常であれば、前述のように停止に伴う減速度が乗客負荷により異なり、エスカレーター1の下降運転で乗客が多い場合には減速度は小さく、上昇運転で乗客が多い場合には減速度は大きくなる。そして、エスカレーター1は、通常、いかなる条件でも、つまり下降運転で乗客が多い場合でも、ある停止距離以内で止まれるように減速度が設計されており、上昇運転で乗客が多い場合の減速度は必要以上に大きくなる。これに対し、実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置は、次に説明するように、エスカレーター1の移動速度が、乗客負荷によらず一定の減速度を保つように制動し、この点で従来装置と異なるものである。
図2は、従来の制動装置での常時制動の場合と常時非制動にした場合のエスカレーター1の停止時における速度曲線で、この図に示すように、上昇運転で乗客負荷が多いほど減速度は大きくなり、下降運転では小さくなる。常時非制動の場合には、逆に加速側になる場合もある。
これに対し、実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置は、図3に示すように、目標減速度の速度線に対して、上部にずらした上部制限速度線Vuとし、下部にずらしたものを下部制限速度線Vdとして設定されており、速度が下限制限速度Vdを下回る場合には制動を行なわず、上部制限速度線Vuを上回る場合には制動を行なうように切替えられる。これにより下限制限速度Vdを下回らないように減速度を抑えるように動作する。
次に、実施の形態1に係るエスカレーターの制動装置の制動方法について図4のフロー図を用いて説明する。
図4において、まず停止指令(ステップS1)に基づき制動機5への電源供給を遮断して制動を行なう(ステップS2)。制動の状態(ステップS3)では、エスカレーターの移動速度、即ち、踏段11の移動速度と下部制限速度Vdを比較しながら、下部制限速度Vdを下回る場合、つまり、前回の移動速度が下部制限速度Vd以上で、かつ現在の移動速度が下部制限速度Vdより小さい場合(ステップS4)には、制動機5に電源を供給し、非制動(ステップS5)にする。
逆に、非制動の状態(ステップS6)で上部制限速度Vuを上回る場合、つまり前回のエスカレーターの移動速度、即ち、踏段11の移動速度が上部制限速度Vu以下で、かつ現在の移動速度が上部制限速度Vuより大きい場合(ステップS7)には、制動機5への電源を遮断し、制動(ステップS2)を行なう。また、停止後には常に制動を行ない(ステップS8)、エスカレーター1を停止させる(ステップS9)。
エスカレーターの移動速度、即ち、踏段11の移動速度を前記のように制御することにより、上昇運転で乗客が多い場合、つまり減速度が大きい場合には、制動機5の制動・非制動を切替え、図5に示す速度曲線のように、目標減速度に従い減速する。また、下降運転で乗客が多い場合には、従来と同様に常時制動を行ない、図4に示す速度曲線のように減速する。
以上説明したように、実施の形態1に係るエスカレーターの制動方法およびその装置は、目標減速度の速度線に対して、上部にずらした上部制限速度線Vu、下部にずらした下部制限速度線Vdを設定し、速度が下限制限速度Vdを下回る場合には制動を行なわず、上部制限速度線Vuを上回る場合には制動を行なうように切替える動作を行なうので、従来装置のように、乗客負荷を検出する負荷検出装置、および制動力を変化させる制動装置を必要とすることなく、乗客負荷によらず一定の減速度を保つことができる。
1 エスカレーター
1a 上階床面
1b 下階床面
2 主枠
3a、3b 機械室
4 駆動機
5 制動機
6 インバータ制御手段
7 動力駆動チェーン
8 駆動スプロケット
9 従動スプロケット
10 踏段チェーン
11 踏段

Claims (2)

  1. 無端状に形成された踏段チェーンに多数の踏段が取付けられて無限軌道を形成する乗客コンベアを制動する乗客コンベアの制動方法であって、
    前記踏段の目標減速度の速度線に対して上部にずらした上部制限速度と、前記目標減速度の速度線に対して下部にずらした下部制限速度を設定し、前記踏段の移動速度が前記下限制限速度を下回る場合には制動を行なわず、前記上部制限速度を上回る場合には制動を行なう乗客コンベアの制動方法。
  2. 無端状に形成された踏段チェーンに多数の踏段が取付けられて無限軌道を形成する乗客コンベアを制動する乗客コンベアの制動装置であって、
    前記踏段を移動させる駆動機と、前記駆動機を制動する制動機と、前記踏段の目標減速度の速度線に対して上部にずらした上部制限速度と、前記目標減速度の速度線に対して下部にずらした下部制限速度を設定すると共に、前記踏段の移動速度が前記下限制限速度を下回る場合には前記駆動機に対し前記制動機を非制動状態とし、前記踏段の移動速度が前記上部制限速度線を上回る場合には前記駆動機に対し前記制動機を制動状態とする制御手段と、を備えたことを特徴とする乗客コンベアの制動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106006306A (zh) * 2016-06-17 2016-10-12 广东水利电力职业技术学院 一种u型轨道行人过街节能电梯

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