JP2011025901A - サスペンション油圧発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のサスペンションの動きで効率の高い発電システムを提供する。
【解決手段】車両のサスペンションに油圧シリンダー1のロッドを連結し、サスペンションの上下運動に従って油圧シリンダー1のピストンを上下させ、このシリンダーのポートに1対の方向が逆のチェックバルブ9を装着し、油の流れ方向を一定にしてその油圧で油圧モータ14を回転させ、この軸に連結した発電機15を回すことにより効率の高い電力が得られる電動機駆動車両用発電装置。
【選択図】図4
【解決手段】車両のサスペンションに油圧シリンダー1のロッドを連結し、サスペンションの上下運動に従って油圧シリンダー1のピストンを上下させ、このシリンダーのポートに1対の方向が逆のチェックバルブ9を装着し、油の流れ方向を一定にしてその油圧で油圧モータ14を回転させ、この軸に連結した発電機15を回すことにより効率の高い電力が得られる電動機駆動車両用発電装置。
【選択図】図4
Description
本発明は車両の発電装置に関し、車両が走行中に路面や線路の凹凸を吸収し車体にその振動を少なくする機能を持つサスペンションの動作力を利用して発電を行う、電動機駆動車両用の発電装置に関するものである。
自動車や電車などの車両は走行中に様々な路面や線路の凹凸を車輪とサスペンションで吸収しているが、その力を利用して直接磁石とコイルによって発電を行うものが提案されている。たとえば特開1992−75112号公報(特許文献1)に開示されている。また、サスペンションの動きを制御する機構に電磁式作動機を具備し、その電磁式作動機が発電する電力を電源に回生可能に構成した車両用サスペンションシステムが提案されている。例えば特開2007−302194号公報(特許文献2)の請求項11に開示されている。
しかし、この方法では効率良くサスペンションの動きを電気エネルギーに変換することはできない。特許文献1ではサスペンション可動部(ピストン等)に磁石を取付けたものとその固定部(シリンダー等)周囲に取り付けた起電力発電用コイルを備えた電磁誘導式のサスペンション発電機構である。
この機構ではサスペンションの動きの力に関係なく、コイルと磁石の強さにより発電量が決定される。車両の走行時発生するサスペンションの動きとパワーは強大にもかかわらず、この力を最大限に活かし大きな発電量を得ようとすると、大きなコイルと磁石の組み合わせが必要となり現実とはかけ離れた構想と言える。また、実際にサスペンション搭載可能な大きさの発電装置では小さな起電力しか生成できなくなり、装置の構成に掛かるコストに対しその発電量は微量に過ぎず、コストを掛ける価値は無い。
また、特許文献2では本来の目的はサスペンションの制御にあり、発電を目的とした機構ではなく、発生する電力も前記同様微量であり、文献中の表現もサスペンション制御に使用した電力の回生起電力としてバッテリに返すものであり、サスペンションの上下運動から主に発電を目的とした機構とは言えない。同文献からも多くの電力を発生するには発電機のローターを大きくする必要があり、ローターのイナーシャが大きくなるためサスペンションの高周波振動を吸収できなくなるなど、大きな発電機は直接サスペンションに装着できないとしている。
特開1992−75112号公報 特開2007−302194号公報
したがって、本発明の目的は、車両が走行中の路面や線路から発生する強大なエネルギーを油圧シリンダーとチェックバルブと油圧モータを主な構成とする油圧回路を構成し、無駄無くサスペンションの動作エネルギーを油圧に変換する効率の高い、大きな発電量を得る発電装置を提供することを目的とする。
本発明のサスペンション油圧発電システムは、車両の中でも自動車を例にして説明すると走行中に路面の凹凸を吸収するサスペンションの動きによって上下運動するロアアームに油圧シリンダーのロッドを連結しシリンダー内のピストンの上下運動により、油圧シリンダー内の油を2つのポートから押出し、吸込む作用を成す。
この動作からそれぞれのポートで吐出、吸引のどちらか一方方向に油の流れを制御し吐出、吸引のそれぞれの流れを集約することにより、車輪の上下運動を油の流動運動に変換することが出来る。この一方方向の流動方向を集約するために、油圧シリンダーの油の出入り口の配管経路にそれぞれ流れの方向が反対を成す1対のチェックバルブを入れ、油の流れを制御することでシリンダーが上下し上室、下室とも油が出入りしても油の流れ方向を一定に保つことが出来る。
図3で、例えば車輪が路面の凹凸で上昇した場合の動きを矢印a1とするとこの車輪を固定するロアアームに連結した油圧シリンダーのロッドを介してピストンが矢印a2のように上昇し上室内の油を押出す。この油はポートp1を出てチェックバルブを矢印a3の流れで配管経路へ吐出する。
この時、ピストンが上昇と同時に下室は負圧状態となりポートp2から油を吸込む力が発生し矢印a4の如くチェックバルブを経由して外部配管から吸引を行う。
今度は同図で、車輪が路面の凹凸で下降した場合の動きを矢印b1とすると、ピストンは矢印b2のように下降し下室内の油をポートp2から押出し矢印b4の経路を経て吐出する。同時に上室は負圧になりポートp1より矢印b3の経路で油を吸引する。
以上の動作で車輪の上下運動はシリンダーのピストンを上下させシリンダー内の油をチェックバルブで制御し吐出、吸引を行う。このとき一つの車輪に油圧シリンダーが1本または複数本使用し、その油圧シリンダーには方向を変えた2対のチェックバルブを配置する。ポートp1及びポートp2のそれぞれの吐出側のチェックバルブを繋いで吐出として配管し、それぞれの吸引側のチェックバルブを繋いで吸引として配管する。これで油圧シリンダーのピストンが上昇しても下降しても吐出、吸引は一方方向へ流れる。
図4は1台の電気自動車全体の油圧経路と発電までの動作を表すJIS油圧記号配管図である。図3で説明したように車輪の上下運動を油圧シリンダーの上下動作からチェックバルブの制御を経て吐出された油はプラダ形アキュームレータで脈動を抑え、且つ瞬間的に高圧となっても一旦圧力を蓄え矢印の流れで配管経路へ押し出す。4つの車輪は同様にして同じ配管経路へ押し出され合流して一つの流れとして油圧モータに到達し油圧モータを回転させ、油圧モータから出た油は油圧タンクに送られる。
各油圧シリンダーが動くとき吸引動作では、配管経路を通じて油圧タンクより吸引され全体としては吐出、吸引動作は油圧タンクを介して循環する。このとき油の圧力は吐出の油圧回路は油圧シリンダーから油圧モータ間は圧縮の高圧になり、油圧タンクを境界として油圧シリンダーの吸引の油圧回路では負圧となる。
自動車が高速走行時、油圧回路では必要以上の高圧なる場合、リリーフバルブ(公知の機構)にて油圧タンクに戻すことにより油圧回路内の圧力を一定に保つ。このリリーフバルブは油圧回路の圧力が設定値を越えたときに圧油をタンクに戻して回路の圧力を設定圧以上に上昇しないように抑える機能を持っている。
また、これ以上充電する必要がなければ電磁弁の切り替えで吐出の油を油圧モータに流さず直接油圧タンクに戻す必要もある。例えばハイブリッド車でバッテリの充電量が十分ある場合でこれ以上充電する必要がなく、尚且つ、例えば坂道の下り走行になった場合、本発明のサスペンション油圧発電システムでは走行によりサスペンションも上下運動をする。このため圧油は生成し続け油圧モータは回転する。これにより発電機も回転し不必要な充電を起し過充電を起す。油圧回路に電磁弁を設置し各車輪の油圧シリンダーから吐出する圧油を油圧モータに流さず直接油圧タンクに流すように切り替えることにより必要の無いときに油圧モータを回転させない制御を行う。
上記油圧モータの回転はカップリングを介して発電機を回転させ、ここで発生した電力はバッテリに充電し、電気自動車の走行用モータその他の電力として供給する。このように、今後益々開発が必要とされる電気自動車の場合、1回の充電でどれだけ走行距離を伸ばせるかが普及の鍵となっているが、本発明のサスペンション油圧発電システムを利用すれば走行しながら、その走行に対してエネルギーの消費をしないシステムからのエネルギー供給が叶うため、相対的に航続距離が伸びることとなる。
またハイブリッド車は、走行は電動モータで行い発電を従来のガソリンエンジンが発電機を回して行ない、発電した電力をバッテリに充電しその充電された電力で電動モータを回して走行している。ここではバッテリの充電量が少なくなった場合にエンジンを始動させ発電を行う。バッテリが満充電になればエンジンは停止し、総合的にエンジンの始動時間を減らして燃費を良くしている。
ここに本発明におけるサスペンション油圧発電システムを併用すれば、通常走行中に油圧モータで発電機を回し充電を行い、それでもバッテリの充電量が足りなくなった場合エンジンを始動すれば、総合的にますます燃料の消費量が減り燃費の向上が得られる。
本発明におけるサスペンション油圧発電システムではサスペンションの上下運動のエネルギーを一旦油圧に変換し、その圧油で直接油圧モータを駆動し発電を行っているため、例えば小刻みな路面の振動さえも圧油に変換することができ、且つ高速走行時の高周波の振動や車輪の突き上げ状態でのピーク振動もアキュームレータで吸収し一時蓄積を行うことでエネルギー損失の少ないシステムを形成している。
また、同じく本発明におけるサスペンション油圧発電システムでは発電量はその搭載する自動車の車体重量に関係しているため、重量の重い大型車やトレーラなど車輪が多数搭載した車ほど発電量は大きくなる。そのためバッテリの搭載量も少なく設定でき全体重量の軽減に繋がりエネルギー消費も抑えることが出来る。
また、列車や電車の場合、発電所から供給された電力を架線から取り込み電動機を回して走行するが、本発明のサスペンション油圧発電システムを搭載すれば相対的に消費電力を抑えることができエネルギーの消費を減らすことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるサスペンション油圧発電システムで電気自動車の乗用車用フロントサスペンションを模式的に示す斜視図である。図3は同じく本発明の実施の形態1におけるサスペンション油圧発電システムのサスペンションと油圧回路の動作原理を示すJIS油圧記号回路図である。図4は同じく本発明の実施の形態1におけるサスペンション油圧発電システムの自動車1台分の全体油圧経路を示すJIS油圧記号回路図である。
まず図1では通常の車輪を支える機構として上部はストラット形コイルサスペンション8aのアッパーマウント25で車体と連結し、下部をロアアーム4に対してボールジョイント27で連結し車輪の自由動作を支えている。このロアアームは支点3で車体と連結固定し、前記アッパーマウント25と供に3点支持を形成し車輪を支えている。
このサスペンション機構のロアアーム4の力点6に近い所に本発明の油圧シリンダー1のロッド先端を作用点5として連結しこの油圧シリンダー1の反対側の固定は1山クレビス形マウント26により車体と連結する。
後に説明する実施の形態3の板バネサスペンション8bでも同様であるがこの油圧シリンダー1の取り付け方法で1山クレビス形マウント26を車体側に、ロッドをロアアーム側に連結することは、車輪7の路面からの動きに対し所謂バネ下荷重をより軽くすることで路面からの力に追従しやすくするためである。バネ下荷重が重くなれば相対的に車体への振動が大きくなることを意味している。
本機能を図3及び図4を参照して説明すると、本実施の形態に於けるサスペンション油圧発電システムは図3より、走行中の路面の凹凸は車輪7の上下運動が力点6を動かしロアアーム4を介して油圧シリンダー1のロッド19を上下させその動きはピストン18を上下させる。
このピストン18の上下運動の力は油圧シリンダー内の上室20と下室21内の油をポートp1,p2を出入り口として油圧シリンダー外部の油圧モータ14に対して吐出、吸引を起す。例えば路面からの矢印a1の力が車輪7に掛かり車輪が上昇するとピストン18は上昇し上室20の油はポートp1から油圧シリンダー1の外部配管へ吐出する。
この吐出した油は配管を通り矢印a3の経路でチェックバルブ9を通り外部配管経路へ押し出される。このときのチェックバルブ9の動作原理(公知の機構)を図6に示す。この図では矢印Aから送られた油はポペット22を押出し、矢印Bの様に外部に流れる。この様子をJIS油圧記号で示したのが図6の下部に示す。この記号ではAからBに流れる様子を表す。
同図で逆に矢印Bから油が入ってきた場合はスプリング23の力でポペット22を押し油の通路を塞いで矢印Aへ出ないようになる。この原理で油は必ず矢印Aから矢印Bへ流れその逆は通さない動作を行う。
図3では、上記機能を持つチェックバルブ9を反対方向から流れるものを組み合わせ1対にし、油圧シリンダーのポートp1,p2それぞれに配置し配管を繋いで一方方向に流れる組み合わせを作り油圧シリンダーの上下どちらの動きでも一定方向の吐出、吸引を行う様にした。
この図3では車輪7を支えるロアアーム4は自動車の車体に支点3で連結し、車輪7の動きを力点6が動作し作用点5を経由して油圧シリンダー1のロッド19の動きとして力が伝わってゆく。
図4では、本発明の実施の形態1におけるサスペンション油圧発電システムの自動車1台分の油圧回路をJIS油圧記号を用いて表したものである。この図では前記図3で示した一つの車輪の吐出、吸引を4つの車輪で動作し、吐出の流れの途中にプラダ形アキュームレータ10を入れて車輪の脈動を吸収させ安定した流速の圧油を油圧モータ14に供給する。
このアキュームレータ(公知の機構)では一種の油圧タンクの形状を成し、油を一時蓄える作用がある。このタンク内に空気の入ったゴム(プラダ)風船を入れ圧油が掛かればゴム風船の中の空気が圧縮し空気の容積が減少し圧油がこのタンクに充満する。
その後、このタンクに注入する圧油の圧力が減少すれば先に圧縮された空気が膨張しタンク内の油をタンク外に押出し配管経路を経て油圧モータの回転力となる。この機能を利用しピーク圧や脈動を吸収しその力を無駄にしないで油圧モータを回す力に変換している。
上記の吐出の油を4輪とも配管を繋ぎ一つの配管として圧油を供給した油圧モータ14は圧油の力で軸が回転し、この回転をカップリング24を介して発電機15を回転させ発電するが、自動車が高速運転時や悪路走行時に異常に吐出の油が高圧になればリリーフバルブ11を介して油圧タンク13に流す。この作用で吐出配管内の油圧を一定に保ち異常高圧からシステム全体を守っている。
しかし、この高速運転時や悪路走行時に起きる圧油の異常高圧は配管経路が細い場合、配管の圧損により圧油がリリーフバルブに到達する前に油圧シリンダー側やアキュームレータ側で異常高圧になる可能性があり、最悪の場合はアキュームレータの破裂も考えられる。
この状態を回避するためには配管経路を太くし圧損を小さくすると共に、なるべくリリーフバルブとアキュームレータの距離を短く配置する配慮が必要である。
図7では、本発明におけるサスペンション油圧発電システムの油圧モータ14(公知の機構)の動作原理を示す断面図である。図より矢印Aより注入した油は1組のギヤの回転を経て矢印Bへ吐出する。このとき油はギヤの外周を流れその流れの力によってギヤが回転しその回転力が外部に出力する。
(実施の形態2)
(実施の形態2)
前記、実施の形態1では電気自動車の油圧回路で圧油が油圧モータを回しカップリングを介して直接発電機15を回し発電するが、前述の如く最近の自動車ではハイブリッド車が益々増えつつある。実施の形態2として、図5を参照しつつ説明すると本発明では前記油圧モータ14の軸に油圧モータ側クラッチ30を具備し、エンジン31の出力軸にエンジン側クラッチ28を具備し、このエンジン側クラッチ28と連結のためのチェン29を配備し、相互切り替えて発電機15を回す仕組みを作る。
この機構により、走行中にバッテリ17の電力が不足すれば油圧モータ14を回しカップリング24を介し、油圧モータ側クラッチ30を繋ぎ、エンジン側クラッチ28を外して発電機15を回し発電する。ところが車両が停車中の時など油圧モータ1が回転しない場合は油圧モータ側クラッチ30を外しエンジン側クラッチ28を繋ぎエンジン31を始動しチェン29を介して発電機15を回して発電する。
或いは、不足電力と油圧モータ1の回転計34による回転数から計算して走行中でも必要な電力が油圧モータ1から賄えないと制御コンピュータ33が判断した場合、上記の方法で油圧モータからエンジン31に切り替えることが可能である。
このときは前記電磁弁12を動作させ圧油を油圧モータ1に供給せず油圧タンク13に直接送り込み油圧モータ1を回転させない制御を行う。
この制御のシステムを図8に示す。図では前記制御動作に関しバッテリの残量、発電機の電力計32、油圧モータの回転計34の値よりコンピュータ33が制御し、油圧モータ側クラッチ30、エンジン側クラッチ28、エンジン始動、電磁弁12の制御より油圧モータの回転を制御している。
また、図9に実施の形態2に於けるコンピュータの制御プログラムのフロー図を示す。このプログラムは車両のイグニッションスイッチがON状態で実行するものである。以下に本プログラムに従うサスペンション油圧発電システムの実施の形態2に於ける制御に関するフローを図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
サスペンション油圧発電システムの制御プログラムに従う制御では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)で走行中の現在のバッテリの残量を計算する。一般にハイブリッド車両では既存のシステム設備でバッテリ残量計算は実施しているので本件ではこの情報を利用しS2で残量判定が基準以上の場合は電磁弁12はOFFの確認後何もせずS1に戻るループを行っている。
走行中の或る時、S2でこのバッテリ残量が不足と判断した場合、実際には既設システムはエンジン始動の指令信号を出力するが、本システムがその指令信号を受取り、S4でエンジン側クラッチ28のOFFを確認後S5で油圧モータ側クラッチ30をONし油圧モータ1と発電機15を連結しS6で電磁弁12をONし圧油を油圧モータ1に掛けてS7で油圧モータと発電機を回して発電する。
以上の手続きを経て油圧モータにて発電を行うが、発電開始後システムは油圧モータの回転数をS8で回転計34にて計測を行う。また、S9で発電機からの出力を電力計32で計測する。以上の計測により現在走行中に消費している電力と発電機が発電する電力の量をS10で比較し、消費電力よりも発電量が多い場合はそのままS8に戻り発電を続けS11にてバッテリが満充電になるまで監視ループを繰り返す。
このS11で満充電になった場合、S12で油圧モータ側クラッチ30をOFFにし、S13で電磁弁12をOFFにしS14で油圧モータを停止させる。そして、S1に戻り上記を繰り返す。
先のS10で発電量が消費量よりも少ない場合は、S15に進み油圧モータ側クラッチ30をOFFし、S16で電磁弁12もOFFしS17油圧モータを停止する。
今度はS18にてエンジン側クラッチ28をON後S19でエンジン始動を行う。本来のハイブリッド車の性能から必ず満充電は可能であるがS20で発電量を計測しつつ発電を行う。S21で満充電完了後はS22でエンジン側クラッチ28をOFFしS23でエンジンを停止する。そして、S1に戻り上記を繰り返す。
また、走行中S4からS10を実行しながら発電量よりも消費量が多くても発電を行えばS18以降のエンジン発電までの走行距離は延びるため油圧モータ発電を実行することが望ましい。
また、S3、S14、S23後にS24でイグニッションスイッチが切られたかの判定を行っているが、実際にはS7、S19など各発電中でもこのスイッチが切られればプログラムは終了し発電は基より車両の走行も終了する。
以上が実施の形態2のハイブリッド車での発電のフローチャートであるが、実施の形態1の電気自動車の場合はこのフローチャートのS1からS14までの流れを行い、ハイブリッド車のようにエンジンを装着していないためにS15以降には進めず、基本的にS10で消費量よりも発電量が大きくなることはなく、バッテリの残量不足で走行は停止。バッテリの再充電及び充電済みと交換が必要となる。
(実施の形態3)
図2は本発明の実施の形態1におけるサスペンション油圧発電システムのトラックの後輪に取付けた油圧シリンダー1を示す。トラックの後輪では板バネサスペンション8bの上下運動を油圧シリンダー1がその力を取り入れる。通常この位置はショックアブゾーバ(公知の機構)が取り付けてあり、本システムではこのショックアブゾーバの代わりに油圧シリンダー1を配置するが、設定によってはこのショックアブゾーバの機能を代用することも可能である。
通常自動車は路面の凹凸の振動を車体に伝えず乗り心地を良くするためにバネなどのサスペンションを備える。しかし、走行中にこのバネは徐々に振幅を広げ跳ねるようになる場合がある。それを小さな穴から油が抜ける場合に抵抗になるような原理の動作減衰装置であるショックアブゾーバをバネと併用で具備することでこの飛び跳ね現象を抑制している。
本発明のサスペンション油圧発電システムも形状がこのショックアブゾーバとよく似た形と設置方法であり、且つ油圧配管内の圧油の圧力設定によってこのショックアブゾーバと同じ機能を得ることが出来る。
(実施の形態4)
また、電車や列車或いは貨車などもこのトラック用サスペンションとよく似た構造の台車を有し板バネサスペンションの代わりにコイルスプリング、エアサスペンション等で構成している。この台車と車輪及び台車と車体との間にショックアブゾーバが搭載しているが、このショックアブゾーバを本発明のサスペンション油圧発電システムに於ける油圧シリンダーに置き換えれば列車全体が発電システムとして構成できる。
(実施の形態5)
図10は具体的な動力計算を行うに際し実施の形態1に於いて簡単なモデルを設定し、そのモデル例を示す。このモデルを基に車両の走行状態を幾つかの仮定条件を設定し計算を行う。
まず、標準的なハイブリッド車を想定し仮定条件を設定するならば、車両の総重量が1,000kgで走行速度を時速40kmとする。次に図10より油圧シリンダーのボア径をφ60とする。また走行100mの範囲内に高さの平均5cmの凹凸が平均20ヶ所あると仮定する。
以上の仮定条件を設定し動力計算を行うと、まず図11より油圧シリンダーの圧油生成量の計算から始める。図より1回の凹凸の上昇で生成される吐出量Qは式(1)より282.8cm3となる。車両1台分で4本あるので式(2)となる。
車両速度が時速40kmでは1分間に移動する距離は式(3)の666.7mである。前記仮定条件で100mの範囲内に高さの平均5cmの凹凸が平均20ヶ所あると設定したので上記1分間の走行では式(4)より150.834l/minの吐出量が生成される。実際の走行で通常の舗装道路を想定するとおおよそこの仮定条件は妥当ではないかと見当できる。当然環境や道路の状態は様々であるからこの限りでは無いが一応普通の設定として仮定する。
次に図12で油圧モータの1回転あたりの押し退け量の計算と前記計算の吐出量から油圧モータの回転数の計算を行う。同図より、油圧モータの1回転当りの油の押し退け量はギヤの歯の容積を計算して、ギヤの外周径よりギヤの歯底の径を引いた量の半分と仮定しギヤの奥行きからギヤ1枚分の容積を計算する。ギヤモータは2枚のギヤから構成しているのでこのギヤ2枚分の容積が油圧モータの1回転当りの押し退け量である。このことから式(5)より油圧モータの1回転当りの押し退け量は63.6cm3となる。
先の車両1分間の吐出量150.834l/minと上記油圧モータの1回転当りの押し退け量63.6cm3より油圧モータの回転数は式(6)より2,371.6rpmとなる。この回転数では油圧モータでは少し高速であるが、実際には最高回転数を合わせた押し退け量の油圧モータを設計する。
今度は油圧シリンダーから吐出される圧油の圧力計算を行うと、図13より前記仮定条件である車両の総重量1,000kgから1輪当りの荷重は250kgとなる。この荷重で油圧シリンダーのピストンを上下している。図の計算式(7)より86.65[MPa]の圧力の油が吐出される。
これらの計算から図14では油圧モータのトルクを計算すると、式(8)の公式を用いて式(9)から5.26[N.m]のトルクが発生する。上記、油圧モータの押し退け量を増やすと最高回転数は下がるが軸トルクは増す関係にあり仕事量は変わらない。
以上の計算では一種の静荷重的なトルク計算であるが実際に走行ではこれにいわゆる動荷重として加速度的な荷重が加算される。このことを鑑みて推測するならこのサスペンション油圧発電システムではおおよそ5〜8kwほどの発電を行うことが推測される。国産の代表的なハイブリッド車のモータ出力は20kw程であるから、ほぼ3分の一以上が本発明であるサスペンション油圧発電システムより供給可能と考える。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1油圧シリンダー、2高圧ホース、3支点、4ロアアーム、5作用点、6力点、7車輪、8aストラット形コイルサスペンション、8b板バネサスペンション、9チェックバルブ、10プラダ形アキュームレータ、11リリーフバルブ、12電磁弁、13油圧タンク、14油圧モーター、15発電機、16リターン配管、17バッテリ、18ピストン、19ロッド、20上室、21下室、22ポペット、23スプリング、24カップリング、25アッパーマウント、26 1山クレビス形マウント、27ボールジョイント、28エンジン側クラッチ、29チェン、30油圧モータ側クラッチ、31エンジン、32電力計、33制御コンピュータ、34回転計
Claims (4)
- 車両のサスペンションに油圧シリンダーのロッドを連結し、サスペンションの上下運動に従って油圧シリンダーのピストンを上下する機構を構成し、このシリンダーのポートに1対の方向が逆のチェックバルブを装着し、油の流れの方向を一定にしてその圧油で油圧モータを回転させ、この軸に連結した発電機を回すことにより発電を行う電動機駆動車両用発電装置。
- 前記油圧シリンダーのそれぞれのポートに流れ方向の向きが反対になるように構成した1対のチェックバルブを取り付け、油圧シリンダーの上下運動で吐出、吸引の油の流れ方向を一定にした請求項1に記載のチェックバルブ取り付け方法。
- 請求項1に記載した油圧モータと発電機の間にクラッチをそれぞれ設け、通常走行では油圧モータで発電機を回し、停車中や舗装道路など油圧モータでは発電が賄えない時、ハイブリッド車の場合に油圧モータからエンジンに切り替えて発電機を回す機構を持つ請求項1に記載の電動機駆動車両用発電装置。
- 列車や電車など発電所からの送電された電力を架線より供給されて走行する車両において、その台車のサスペンションに請求項1の機構を装着し発電を行い、発電所等からの供給電力を軽減できる請求項1に記載の電動機駆動車両用発電装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009186871A JP2011025901A (ja) | 2009-07-21 | 2009-07-21 | サスペンション油圧発電システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2009
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