JP2011025646A - 軽量気泡コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 珪酸質原料のブレーン値に変動が生じても、ばらつきが少なく且つ圧縮強度の規格を満たしたALCを簡易に作製する方法を提供する。
【解決手段】 粉末珪石等の珪酸質原料とメント粉末や生石灰粉末等の石灰質原料とからなる微粉末状の主原料に、水とアルミニウム粉末とを加えてスラリー状にして型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に石灰質原料の反応により半硬化させた後、オートクレーブにより高温高圧水蒸気養生を行う軽量気泡コンクリートの製造方法において、ボールミル等で粉砕された際の珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内、より好ましくは(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内にすることを特徴としている。
【選択図】 図3
【解決手段】 粉末珪石等の珪酸質原料とメント粉末や生石灰粉末等の石灰質原料とからなる微粉末状の主原料に、水とアルミニウム粉末とを加えてスラリー状にして型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に石灰質原料の反応により半硬化させた後、オートクレーブにより高温高圧水蒸気養生を行う軽量気泡コンクリートの製造方法において、ボールミル等で粉砕された際の珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内、より好ましくは(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内にすることを特徴としている。
【選択図】 図3
Description
本発明は建築物の壁、屋根、床などに使用される軽量気泡コンクリート(ALC)の製造方法に関する。
軽量気泡コンクリート(ALC)の製造は、先ずボールミル等で粉砕された粉末珪石等の珪酸質原料と、セメント粉末や生石灰粉末等の石灰質原料とを主原料とし、これに水と発泡剤であるアルミニウム粉末等の添加物とを加えてスラリー状として型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に、石灰質原料の反応により半硬化させる(半硬化工程)。次に切断などの方法によって所定寸法に成形し、オートクレーブによる高温高圧水蒸気の養生(養生工程)を行う。
これらの工程を経て、珪酸カルシウム水和物であるトバモライトが生成し、ALCの製品強度及び寸法安定性が向上する。すなわち、「半硬化工程」において石灰質原料の水和反応により珪酸カルシウム水和物が形成され、「養生工程」において珪石等の珪酸質原料が溶解し、珪酸カルシウム水和物と反応してトバモライトが生成する。
トバモライトの化学式は5CaO・6SiO2・5H2Oであり、CaOのSiO2に対するモル比(以下、C/Sと表す)の理論値は5/6=0.83である。「半硬化工程」で生成される水和物はC/Sが1.0付近となっているが、「養生工程」で珪石等の珪酸質原料が溶解するため、C/S=0.83となる。尚、非特許文献1に示されているように、これら一連の反応において、オートクレーブ養生における珪石等の珪酸質原料の溶解が律速となっている。
ところで、ALCの主原料となる珪石などの珪酸質原料は、前述したように、ボールミル等で粉砕してから用いられており、その際、所望の効果を得るため珪石の粒度を規定することが提案されている。例えば、特許文献1(特開昭59−128254号公報)には、凍結冷害に対する抵抗性を向上させるため、重量平均径で15μm以下とすることが提案されている。また、特許文献2(特開平4−197605号公報)には、水分や炭酸ガスの影響による収縮を低減するため、珪砂を2000〜2500cm2/gと6000〜12000cm2/gにピークを有する分布とすることが提案されている。
さらに、特許文献3(特開2001−019571号公報)には、入手し易い珪酸質原料をできるだけ使用しつつ寸法安定性及び曲げ強度に優れたALCを得るため、平均石英結晶粒径が10μm未満の珪石と10μm〜500μmの珪石を混合してその混合珪石の平均石英結晶粒径を15μm〜300μmとするとともに、10μm未満の珪石の混合割合を60重量%以下にした混合珪石を使用することが提案されている。
崎山、光田、tobermoriteの生成におよぼすAlの影響、セメント技術年報、31、pp.46−49、1977
ALCの工業生産では、生産効率を考慮して、一般的にオートクレーブ養生の保持時間を6.0時間程度に設定している。従って、当該6.0時間程度の保持時間で適切な溶解量となるように、珪石の粒度を管理する必要がある。なぜなら、オートクレーブ養生中の珪石粒は、粒の外側から溶解するため、粒度が小さいものが多量に存在する場合は短時間で多量に溶解し、逆に、粒度が大きいものが多量に存在する場合は溶解に時間がかかるからである。
このように、珪石の粒度によって溶解量が変化すると、トバモライトの生成に大きな影響を与える事になる。すなわち、珪石粒の粒度が大きすぎる場合、オートクレーブ養生の保持時間中の溶解が珪酸カルシウム水和物に対して不足し、トバモライトの生成が不十分となる。逆に粒度が小さすぎる場合、溶解が過剰となって微結晶トバモライトが多数生成し、トバモライトの結晶成長が妨げられる。よって、粒度が最適でない場合、トバモライトの結晶生成と結晶成長に不良が発生し、製品物性は不十分になるという問題がある。
一方、近年、ALC製造に最適な鉱床が枯渇してきており、珪石はより硬くなって粉砕効率が悪くなってきている。その結果、粉砕処理後の全体の粒度が大きくなる傾向にあるため、オートクレーブ養生の保持時間を増加しないと溶解量が不足するおそれがある。粉砕効率をあげるためにボールミルを変更する方法も考えられるが、珪石種毎にボールミルを使い分けるのは現実的では無い。このように、オートクレーブ養生において、珪石の粒度に応じた適切な保持時間を確保するのが困難になりつつあり、トバモライト生成が充分に行われず、製品物性が低下することが問題となっている。
このような状況の下、本発明者らは、珪石粒度とオートクレーブ養生の保持時間との関係について着目し、ボールミル等で粉砕された際に様々なブレーン値を有する珪石に対して、オートクレーブ養生の保持時間を変化させてトバモライト生成に及ぼす影響について鋭意研究した。その結果、所定の条件でオートクレーブ養生を行うことによって効果的にALCを製造し得ることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明が提供する軽量気泡コンクリートの製造方法は、珪酸質原料と石灰質原料とからなる微粉末状の主原料に、水とアルミニウム粉末とを加えてスラリー状にして型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に石灰質原料の反応により半硬化させた後、オートクレーブにより高温高圧水蒸気養生を行うものであり、ボールミル等で粉砕された際の珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内にすることを特徴としている。
上記軽量気泡コンクリートの製造方法においては、保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内にすることがより好ましい。
本発明によれば、ボールミル等で粉砕された際の珪酸質原料のブレーン値に変動が生じても、ばらつきが少なく且つ圧縮強度の規格を満たしたALCを簡易に作製する事が出来る。
本発明に係る軽量気泡コンクリートの製造方法は、粉末珪石等の珪酸質原料と、セメント粉末や生石灰粉末等の石灰質原料とからなる微粉末状の主原料に、水と発泡剤としてのアルミニウム粉末等の添加物とを加えてスラリー状にして型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に石灰質原料の反応により半硬化させた後(半硬化工程)、必要に応じて切断などの方法により所定寸法に成形し、オートクレーブにより高温高圧水蒸気で養生(養生工程)を行うものであり、ボールミル等で粉砕された際の珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、当該高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内、すなわち、(10.2−1.70×10−3×b)−1.7以上(10.2−1.70×10−3×b)+1.7以下の範囲にすることを特徴としている。ここで、保持時間とは、オートクレーブ内において一定の温度圧力条件が維持される時間であり、昇圧や降圧のための時間は含んでいない。
これにより、例えば、珪石等の珪酸質原料のロットが切り替わった時に、粉砕された珪酸質原料をサンプリングしてそのブレーン値を測定することによって、当該ロットの珪酸質原料を用いてALCを製造する際の最適なオートクレーブ養生保持時間を得ることができる。その結果、ALCのトバモライト002面のピーク強度を常に所望の値以上に保つことができるので、JISA5416で規定する圧縮強度を常に規格値以上にすることが可能となる。また、品質面においてばらつきの少ないALCを提供することが可能となる。
上記保持時間(hr)は、(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内にすることがより好ましく、これにより、より高いトバモライト002面ピーク強度を得ることができる。よって、ばらつきがより少なく且つより高い圧縮強度を備えた高品質なALCを提供することができる。
珪酸質原料として、914〜5313cm2/gの範囲で互いに異なるブレーン値を有する6種類の珪石を準備した。所定量の各珪石に対して、石灰質原料としてのセメントを、C/S=0.5となるように配合した。さらに水及びアルミニウム粉を、固形分100重量部に対して水が66重量部となるように配合して6種類のスラリーを得た。このときの配合の割合を下記表1に示す。
これら6種類のスラリーを、各々型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共にセメントの反応により半硬化させた。これにより、6種類の半硬化状の試料1〜6が得られた。次に、試料1を4つに分割し、180℃10気圧のオートクレーブにてそれぞれ2.0、4.0、6.0及び9.5時間の保持時間で養生した。試料2〜6についても試料1と同様に4分割して2.0、4.0、6.0及び9.5時間の保持時間でオートクレーブ養生した。
オートクレーブ養生が完了した各試料を乳鉢で粉砕した後、X線回折によりトバモライト002面ピーク強度を測定した。その測定結果を、珪石のブレーン値と共に下記表2に示す。尚、トバモライト002面ピーク強度は、強度比として示されている。この強度比は、同じ保持時間で処理された試料1〜6のうち、トバモライト002面ピーク強度が最大のものを基準値1.00とし、その他のトバモライトピーク強度をこの基準値に対する比となるように換算したものである。
次に、上記水蒸気養生を施して得られた各トバモライトの圧縮強度をJISA5416に基づいて測定した。この圧縮強度の測定結果を、上記002面ピーク強度比を横軸としてプロットしたものを図1に示す。この図から、JISA5416に基づく圧縮強度の規格値である3.0MPa対して余裕を見込んだ3.5MPa以上を設計条件とする場合は、トバモライト002面ピーク強度比の許容値を0.80以上に設定すればよいことが分かる。
ここで、上記表2の試料1〜6うち、オートクレーブ養生の保持時間を6.0時間とした時のトバモライト002面ピーク強度比に着目し、これらとブレーン値との関係を図2のようにプロットした。この図2から分かるように、ブレーン値を横軸としたときは、トバモライト002面ピーク強度比は、上に凸の山型になる事が分かる。従って、トバモライト002面ピーク強度比が前述した0.80以上を満たすものを所定の範囲内のブレーン値から判断することができる。尚、図2では当該強度比が0.80以上を満たすものを「○」で示し、満たさないものを「×」で示している。
オートクレーブ養生の保持時間6.0時間以外の2.0、4.0及び9.5時間についても、同様にトバモライト002面ピーク強度比が0.80以上を満たすものと満たさないものとを判別し、その結果を、図3に示すような、横軸をブレーン値、縦軸をオートクレーブ養生の保持時間としたグラフにプロットした。図3において、「○」は、トバモライト002面ピーク強度比0.80以上を満たす点である。特に、「◎」は当該強度比が1.00となる点である。一方、「×」は、トバモライト002面ピーク強度比0.80以上を満たさない点である。
この図3から、オートクレーブ養生の保持時間の増加に伴い、トバモライト002面ピーク強度比が最大となるブレーン値は小さくなることが分かった。さらに、この傾向は、直線で近似できることが分かった。すなわち、トバモライト002面ピーク強度比が最大となるオートクレーブ養生の保持時間(hr)をY、珪酸質原料のブレーン値(cm2/g)をbとしたとき、これらの関係は下記の式1で表すことができた。
[式1]
Y=10.2−1.70×10−3×b
Y=10.2−1.70×10−3×b
また、図3から、トバモライト002面ピーク強度比0.80以上を満たすものは、上記式1を示す直線に対して上下に位置し且つ該直線に平行な2本の線で挟まれる領域内に含まれることが分かった。具体的には、図3に示すように、上記式1を示す実線に対して±1.7時間の位置に2本の点線を引いたところ、これら2本の点線によって挟まれる領域内にトバモライト002面ピーク強度比が0.80以上を満たすもの(図3中の「○及び◎」)が含まれることが分かった。
以上の事から、トバモライト002面ピーク強度比を0.80以上にするには、珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)が(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内となるようにすればよいことが分かる。
尚、上記方法で得られるALCよりも品質のばらつきが少なく且つ高い圧縮強度を得るには、トバモライト002面ピーク強度比の許容値を前述した0.80よりも高く設定すればよい。例えば、図1に示すように、JISA5416に基づく圧縮強度で4.0MPa以上に規定する場合は、トバモライト002面ピーク強度比の許容値を0.9以上に規定すればよい。
これは、図3に示す上記式1を示す直線と各点線との距離を短くすることに対応している。すなわち、上記オートクレーブ養生の保持時間(hr)を、例えば、(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内に設定することによって、ばらつきがより少なく且つより高い圧縮強度のALCを得ることができる。
Claims (2)
- 珪酸質原料と石灰質原料とからなる微粉末状の主原料に、水とアルミニウム粉末とを加えてスラリー状にして型枠に注入し、アルミニウム粉末の反応により発泡させると共に石灰質原料の反応により半硬化させた後、オートクレーブにより高温高圧水蒸気養生を行う軽量気泡コンクリートの製造方法において、
珪酸質原料のブレーン値b(cm2/g)に対して、高温高圧水蒸気養生の保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±1.7の範囲内にすることを特徴とする軽量気泡コンクリートの製造方法。 - 前記保持時間(hr)を(10.2−1.70×10−3×b)±0.5の範囲内にすることを特徴とする、請求項1に記載の軽量気泡コンクリートの製造方法。
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JP2009176582A JP2011025646A (ja) | 2009-07-29 | 2009-07-29 | 軽量気泡コンクリートの製造方法 |
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CN115427372A (zh) * | 2020-04-28 | 2022-12-02 | 弗劳恩霍夫应用研究促进协会 | 使用溶解度高于石英的二氧化硅原料生产蒸压加气混凝土的方法 |
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2009
- 2009-07-29 JP JP2009176582A patent/JP2011025646A/ja active Pending
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