JP2011025266A - キャパシタディスチャージスタッド溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】母材およびスタッドボルトのうちのいずれか一方にアルミニウムまたはアルミニウム合金を用い、他方に銅または銅合金を用いて、投入エネルギー40J〜400Jの条件でキャパシタディスチャージスタッド溶接する。直流逆極性溶接であり、溶接に先立ち、スタッドボルトを酸洗いする。
【選択図】なし
Description
例えば、アルミニウム板と鋼板の溶接においては、溶接部にAlとFeとの脆弱な金属間化合物が生成し、健全な溶接部が得られない場合が多い。
同様に、良好な熱伝導性を活かした銅部材に用いられるアルミニウムと銅との溶接においても、CuAl2などの金属間化合物が生成しやすく、接合不良を生じ、溶接部の強度は極めて小さい。
しかしながら、この場合、被溶接部材とは別のインサート材を挿入する必要があり、経済的ではなく、直接溶接する方が望ましい。また、アルミニウムと銅とのスタッド溶接については、インサート材を挿入して溶接することは不可能である(特許文献2参照)。
これに対して、スタッド溶接法を適用すると、短時間に溶接ができるため、溶接部において溶融した両金属の混合を抑制することが可能であり、また、熱による組織の変化も抑えられる。さらに、使用エネルギーを抑えることができ、省エネルギー化にも繋がる。特に、キャパシタディスチャージスタッド溶接方法(以下、CDスタッド溶接ということがある。)はコンデンサに蓄えられたエネルギーのみ利用して溶接するので、溶接時間は3〜10m秒と非常に短い。本発明者らは、CDスタッド溶接によりアルミニウムと銅を溶接する方法について鋭意検討した結果、本実施の形態に係るキャパシタディスチャージスタッド溶接方法を見出した。
本実施の形態に係るキャパシタディスチャージスタッド溶接方法によれば、被溶接面において極めて薄い層の溶融が生じるための必要最小限のエネルギーを局所的に投入することで被溶接面を溶融、密着することができ、このとき、投入エネルギーが少ない為、被溶接面が自ずと急速冷却されることで、金属間化合物の生成が抑制され、接合不良を生じない。
溶接電源には、直流正極性、交流および直流逆極性の3種類がある。
直流正極性は、スタッドを負極とし、母材を正極としてアークを発生する。正極性の場合はアークがもっとも安定し、かつ母材の溶込みが深く、例えばTIG溶接では汎用される。
直流逆極性は、スタッドを正極とし、母材を負極としてアークを発生する。逆極性の場合はアークの安定性に欠けるが、母材の酸化皮膜を破壊するクリーニング作用を有する利点がある。
交流は、正極性と逆極性が交互に行われる。交流の場合、直流正極性および直流逆極性の両極性の中間の特性が得られるが、アークが切れ易いという欠点がある。
本発明者らはこれら溶接電源の特性について鋭意検討した結果、直流逆極性を用いることにより、溶接強度のより良好な溶接部が得られることを見出した。
なお、充電電圧およびコンデンサ容量の設定条件にかかわらず、逆極性とすることは正極性にすることに比べて良好な溶接強度を得るうえで好ましい。
上記の作用効果メカニズムについては定かではないが、スタッドボルトを酸洗いすることにより、スタッドと母材との間におけるアークの発生がより均一化され、そして、クリーニング作用が被溶接部の全面に生じることによるものと考えられる。
また、本実施の形態に係るキャパシタディスチャージ溶接方法によれば、得られる溶接部の強度が大きく、また、脆弱性の問題がない。
キャパシタディスチャージスタッド溶接方法によって溶接するときに、CuAl2などの金属間化合物の生成が見られない溶接可能条件を以下の手順で検討した。
溶接にはCDスタッド溶接機(仕様:コンデンサ容量4700μF〜131,900μF、充電電圧DC30
V〜180V、充電及び放電制御はSCRスイッチング制御)を用いた。スタッド溶接はギャップ方式(ギャップ:1mm)で行った。溶接は、それぞれの充電電圧およびコンデンサ容量の組み合わせ条件ごとに、正極性および逆極性の双方の条件で行った。
スタッド溶接後、溶接部断面をエメリー紙#300〜#2000まで研磨し、コロイダルシリカで鏡面に仕上げて溶接部断面を観察した。
表1中、充電電圧が「100−170V」とは、100V、110V、120V、130V、140V、150V、160Vおよび170Vの各条件を一括して簡便に表記したものである。
また、表1中、「○」は溶接部を外観観察した結果、試料全体が接合良好の状態にあるものを示し、「×」は接合不良の状態にあるものを示す。
溶接部の断面写真を図1に示す。図1は、コンデンサ容量28,200μF、充電電圧E=140V、逆極性の場合で、溶接部にはAlとCuが溶融混合して接合され、金属間化合物の形成は見られない。
上記溶接可能条件の検討と同様の条件、手順で溶接して、得られた溶接部の引張荷重(引張強度)をインストロン型引張試験機(引張速度:1.5 mm/min)で測定した。
また、A1050、コンデンサ容量18,100μF、充電電圧E=160Vの条件の実施例の引張破断面のX線回折結果を図3に示す。図3中、Al側およびCu側の破断面において、CuAl2などの金属間化合物は見られない。
予めスタッドボルト先端を酸洗い後、コンデンサ容量を28,200μFとし、および正極性とするとともに、表3に示す条件とした以外は、上記溶接可能条件の検討と同様の条件、手順で溶接して、得られた溶接部の引張荷重を測定した。酸洗いは、常温の希硝酸の浴にスタッドボルト先端を数秒間浸漬して行い、その後、水洗いしたスタッドボルトを溶接に用いた。
Claims (5)
- 母材およびスタッドボルトのうちのいずれか一方にアルミニウムまたはアルミニウム合金を用い、他方に銅または銅合金を用いて、投入エネルギー40J〜400Jの条件で溶接することを特徴とするキャパシタディスチャージスタッド溶接方法。
- 投入エネルギー90J以上の条件で溶接することを特徴とする請求項1記載のキャパシタディスチャージスタッド溶接方法。
- 直流逆極性溶接であることを特徴とする請求項1記載のキャパシタディスチャージスタッド溶接方法。
- 溶接に先立ち、スタッドボルトを酸洗いすることを特徴とする請求項1記載のキャパシタディスチャージスタッド溶接方法。
- 母材とスタッドボルトの先端の間のギャップを0.2mm〜2mmに設定して溶接サイクルを開始することを特徴とする請求項1記載のキャパシタディスチャージスタッド溶接方法。
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JPH07299563A (ja) * | 1994-05-09 | 1995-11-14 | Kikukawa Kogyo Kk | 構造材に対するスタッド溶接方法及びスタッド付き構造材 |
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