JP2011024782A - 超音波診断装置及び血流速度計測用制御プログラム - Google Patents

超音波診断装置及び血流速度計測用制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】高流速部位の自動検出によりCWドプラモードの検査効率を改善する。
【解決手段】超音波診断装置100の高流速部位検出部6は、被検体に対するカラードプラモードの超音波走査によって得られる2次元的な流速値データと所定閾値との比較により高流速部位を検出し、CW走査方向設定部7は、前記高流速部位と交叉する連続波ドプラ計測モード(CWドプラモード)の走査方向を設定する。次いで、スペクトラムデータ生成部44は、CW走査方向に対する超音波送受信によって得られたドプラ信号をFFT分析して時系列的なCWドプラスペクトラムデータを生成し、最大流速計測部8は、CWドプラスペクトラムデータの各々における最大ドプラ周波数を計測し、更に、時間的に変化する最大ドプラ周波数の極大値に基づいて前記高流速部位における最大血流速度を計測する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波診断装置及び血流速度計測用制御プログラムに係り、特に、被検体の診断対象部位に対する超音波連続波の送受信によって得られたドプラ信号に基づいて速い血流速度を正確に計測することが可能な超音波診断装置及び血流速度計測用制御プログラムに関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルス(送信超音波)を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波(受信超音波)を前記振動素子により電気信号に変換してモニタ上に表示するものである。この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作で2次元画像データや3次元画像データがリアルタイムで観察できるため、各種臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像とカラードプラ画像は、今日の超音波画像診断において不可欠なものとなっている。
一方、被検体の診断対象部位における血流速度を定量的に計測する方法としてドプラスペクトラム法があり、このドプラスペクトラム法は、パルスドプラスペクトラム法と連続波ドプラスペクトラム法に分類される。パルスドプラスペクトラム法では、診断対象部位に対して超音波パルスの送受信を所定時間間隔で複数回行ない、このとき得られる受信信号に対しサンプルゲートを設定して前記診断対象部位における生体組織からの反射波に基づいた受信信号成分(クラッタ成分)及び血球からの反射波に基づいた受信信号成分(血流ドプラ成分)を抽出する。そして、これらの受信信号成分をフィルタリング処理して検出した血流ドプラ成分をFFT(Fast Fourier Transform)分析することによりドプラスペクトラムデータを生成し、更に、前記診断対象部位から所定時間間隔で得られる受信信号成分に対し同様の処理を行なって得られた複数のドプラスペクトラムデータを時間軸方向に配列することによりスペクトラム画像データを生成する。
上述のパルスドプラスペクトラム法に対し連続波ドプラスペクトラム法では、診断対象部位の方向に対して超音波連続波の送受信を行ない、このとき得られる受信信号をフィルタリング処理して検出した血流ドプラ成分をFFT分析することによりCWドプラスペクトラムデータを生成する。そして、時系列的に得られる複数のCWドプラスペクトラムデータを時間軸方向に配列することによりスペクトラム画像データを生成する。
上述のパルスドプラスペクトラム法によれば、サンプルゲートの適用により診断対象部位からの血流情報を選択的に抽出することが可能となる。しかしながら、計測可能な最大血流速度は超音波パルスの繰り返し周波数に依存し、速い血流速度の計測に際してはドプラスペクトラムデータに折り返り現象が発生するため正確な血流計測は困難となる。一方、連続波ドプラスペクトラム法によれば、距離分解能を有していないため診断対象部位からの血流情報のみを選択的に抽出することは不可能であるが、このとき得られるCWドプラスペクトラムデータには上述のような折り返り現象が発生しないため、速い血流速度の計測に広く用いられている。このようなドプラスペクトラムデータの収集位置や収集方向は、リアルタイム表示されるBモード画像データあるいはカラードプラ画像データの観測下において操作者がマニュアル設定し、設定された収集位置や収集方向を示すマーカは上述の画像データに重畳されて表示部に表示される。
ところで、速い血流速度を有する部位(以下では、高流速部位と呼ぶ。)の血流計測を目的とする連続波ドプラ計測モードが適用された超音波検査の医師や検査技師(以下では、操作者と呼ぶ。)は、先ず、被検体の診断対象部位に対するカラードプラモードの超音波走査によって得られたカラードプラ画像データを表示部において観察し、このカラードプラ画像データにおいて折り返り現象が発生している領域(例えば、モザイク状のパターンが発生している領域)あるいはその可能性を有している領域をマウスやトラックボール等の入力デバイスを用いて指定あるいは所定のマーカを配置することにより高流速部位の位置をマニュアル設定する。次いで、計測モードをカラードプラモードから連続波ドプラ計測モードに切り替えた後、前記高流速部位と交叉する走査方向に対する超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて時系列的なCWドプラスペクトラムデータを生成し、このCWドプラスペクトラムデータにおける最大ドプラ周波数に基づいて高流速部位における最大血流速度を計測する(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−229039号公報
上述のように従来の連続波ドプラ計測モードにおける高流速部位の設定は、カラードプラ画像データを観測した操作者が入力部に設けられた入力デバイスを用いて行なってきた。一方、多くの被検体に対して超音波検査を行なわなくてはならない大きな医療施設においては、一人の被検体の超音波検査に要する時間を可能な限り短縮することが要求されている。そして、このような医療施設において上述のような高流速部位のマニュアル設定を含む連続波ドプラ計測モードの超音波検査が行なわれる場合、検査効率が著しく低下するのみならず医師や検査技師の負担が増大するという問題点を有していた。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラードプラ画像データの血流速度情報に基づいて検出した高流速部位の方向に連続波ドプラ計測モードの超音波送受信方向を容易かつ正確に設定することが可能な超音波診断装置及び血流速度計測用制御プログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、被検体に対する超音波パルスの送受信によって得られた受信信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置において、前記超音波パルスの送受信によって得られた前記カラードプラ画像データの流速値データに基づいて前記被検体における血流の高流速部位を検出する高流速部位検出手段と、前記高流速部位と交叉する超音波連続波の送受信方向をCW走査方向として設定するCW走査方向設定手段と、前記CW走査方向に対する超音波連続波の送受信を制御する走査制御手段と、前記超音波連続波の送受信によって得られた受信信号に基づいてCWドプラスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成手段と、前記CWドプラスペクトラムデータに基づいて前記高流速部位における最大血流速度を計測する最大流速計測手段とを備えたことを特徴としている。
又、請求項9に係る本発明の血流速度計測用制御プログラムは、被検体に対する超音波パルスの送受信によって得られた受信信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置に対し、前記超音波パルスの送受信によって得られた前記カラードプラ画像データの流速値データに基づいて前記被検体における血流の高流速部位を検出する高流速部位検出機能と、前記高流速部位と交叉する超音波連続波の送受信方向をCW走査方向として設定するCW走査方向設定機能と、前記CW走査方向に対する超音波連続波の送受信を制御する走査制御機能と、前記超音波連続波の送受信によって得られた受信信号に基づいてCWドプラスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成機能と、前記CWドプラスペクトラムデータに基づいて前記高流速部位における最大血流速度を計測する最大流速計測機能を実行させることを特徴としている。
本発明によれば、カラードプラ画像データの血流速度情報に基づいて検出した高流速部位の方向に連続波ドプラ計測モードの超音波送受信方向を容易かつ正確に設定することが可能となる。このため、連続波ドプラ計測モードを適用した超音波検査の効率が改善され、操作者の負担を大幅に軽減することができる。
本発明の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例の超音波診断装置が備える送受信部及び超音波データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例の超音波診断装置が備える画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例において生成されるCWドプラスペクトラムデータ及びスペクトラム画像データを説明するための図。 同実施例における高流速部位の位置を示す高流速部位マーカとこの高流速部位と交叉するCW走査方向を示すCW走査マーカを説明するための図。 同実施例の表示部において表示されるスペクトラム画像データの具体例を示す図。 同実施例における最大血流速度の計測手順を示すフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に述べる本実施例の超音波診断装置では、被検体に対しBモード及びカラードプラモードの超音波走査を行なってBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成すると共に、カラードプラモードにおいて得られる2次元的な流速値データと所定閾値との比較により高流速部位を検出する。次いで、この高流速部位と交叉する連続波ドプラ計測モード(以下では、CWドプラモードと呼ぶ。)の走査方向(以下では、CW走査方向と呼ぶ。)に対する超音波送受信によって時系列的なCWドプラスペクトラムデータを生成し、このCWドプラスペクトラムデータの各々における最大ドプラ周波数を計測する。そして、時間的に変化する最大ドプラ周波数の極大値に基づいて計測した前記高流速部位における最大血流速度の情報と極大値の位置を示す極大値マーカをCWドプラスペクトラムデータに基づいて生成したスペクトラム画像データに付加して表示部に表示する。
この場合、上述の流速値データに基づいて自動検出された高流速部位を示す高流速部位マーカがカラードプラ画像データが重畳されたBモード画像データ(以下では、Bモード/カラードプラ画像データと呼ぶ。)に付加され、CWドプラスペクトラムデータにおいて自動計測された最大ドプラ周波数の極大値を示す極大値マーカがスペクトラム画像データに付加され表示部において夫々表示される。そして、操作者は、これらの画像データを観察することにより高流速部位の自動検出及び極大値の自動計測が正確に行なわれたか否かを判定し、不正確な場合には、これらの画像データに付加されている高流速部位マーカ及び極大値マーカの位置を入力部の入力デバイスを用いて更新することにより正確な高流速部位及び極大値の設定を行なう。
(装置の構成)
本発明の実施例における超音波診断装置の構成と機能につき図1乃至図6を用いて説明する。尚、図1は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2及び図3は、この超音波診断装置が備える送受信部/超音波データ生成部及び画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1に示す超音波診断装置100は、被検体の体内に送信超音波(超音波パルス及び超音波連続波)を放射し、この送信超音波によって得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数個の振動素子が配列された超音波プローブ3と、前記被検体の所定方向に対して送信超音波を放射するための駆動信号を前記振動素子に供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、Bモード/カラードプラモード及びCWドプラモードの各計測モードにて得られる整相加算後の受信信号を処理してBモードデータ、カラードプラデータ及びCWドプラスペクトラムデータを生成する超音波データ生成部4と、超音波データ生成部4において得られるBモードデータ及びカラードプラデータを超音波送受信方向(走査方向)に対応させて保存することにより2次元的なBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成し、更に、後述のCW走査方向設定部7によって設定されたCWドプラモードの超音波送受信方向(CW走査方向)に対する超音波連続波の送受信によって得られる時系列的なCWドプラスペクトラムデータを時間軸方向に順次保存することによりスペクトラム画像データを生成する画像データ生成部5を備えている。
又、超音波診断装置100は、画像データ生成部5に設けられた後述の流速値データ生成部52に保存されている血流の2次元的な流速値データと所定の閾値との比較によりカラードプラモードでは計測が困難な速い血流速度を有する部位(高流速部位)を検出する高流速部位検出部6と、この高流速部位と交叉したCW走査方向を設定するCW走査方向設定部7と、CW走査方向にて時系列的に得られたCWドプラスペクトラムデータにおける最大ドプラ周波数の極大値に基づいて高流速部位における最大血流速度を計測する最大流速計測部8と、高流速部位の位置を示す高流速部位マーカ及びCW走査方向を示すCW走査マーカが付加されたBモード/カラードプラ画像データや最大ドプラ周波数の極大値を示す極大値マーカが付加されたスペクトラム画像データ等を表示する表示部9を備え、更に、Bモード/カラードプラモードにおける超音波走査の制御やCWドプラモードにおける超音波走査(即ち、CW走査方向に対する超音波送受信)の制御を行なう走査制御部10と、高流速部位の更新、極大値マーカの更新、計測モードの選択、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部11と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部12を備えている。
超音波プローブ3は、配列されたN個の図示しない振動素子をその先端部に有し、前記先端部を被検体の体表に接触させて超音波の送受信を行なう。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気的な駆動信号を送信超音波に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。そして、これら振動素子の各々は、図示しないNチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部2に接続されている。尚、本実施例では、N個の振動素子を有するセクタ走査用の超音波プローブ3について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブであっても構わない。
次に、図2に示す送受信部2は、被検体の所定方向に対し送信超音波(即ち、Bモード/カラードプラモードにおける超音波パルス及びCWドプラモードにおける超音波連続波)を放射するための駆動信号を超音波プローブ3の振動素子へ供給する送信部21と、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する受信部22を備え、送信部21は、レートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213を備えている。
レートパルス発生器211は、超音波パルスを送信超音波として用いるBモード及びカラードプラモードにおいて用いられ、被検体内に放射する送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスをシステム制御部12から供給される基準信号を分周することによって生成し送信遅延回路212へ供給する。
送信遅延回路212は、例えば、超音波プローブ3に内蔵されたN個の振動素子の中から選択されたNt個の送信用振動素子と同数の独立な遅延回路から構成され、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに送信超音波(超音波パルス)を集束するための集束用遅延時間と所定方向に対して前記送信超音波を放射するための偏向用遅延時間を設定する。
駆動回路213は、超音波プローブ3に内蔵されたNt個の送信用振動素子を駆動する機能を有し、例えば、上述の集束用遅延時間と偏向用遅延時間が与えられたレートパルスに基づいてBモード及びカラードプラモードにおける駆動用パルスを生成し、更に、走査制御部10から直接供給される制御信号に基づいて所定の深さに送信超音波(超音波連続波)を収束するための集束用遅延時間と所定方向へ前記送信超音波を放射するための偏向用遅延時間を有するCWドプラモードの駆動用連続波を生成する。
一方、受信部22は、超音波プローブ3に内蔵されたN個の振動素子の中から選択されたNr個の受信用振動素子に対応するNrチャンネルのプリアンプ221、A/D変換器222及び受信遅延回路223と加算器224を備え、Bモード/カラードプラモード及びCWドプラモードにおいて受信用振動素子からプリアンプ221を介して供給されたNrチャンネルの受信信号はA/D変換器222にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路223に送られる。
受信遅延回路223は、所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間と、所定方向に対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器222から出力されるNrチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器224は、受信遅延回路223から出力されるNrチャンネルの受信信号を加算合成する。即ち、受信遅延回路223と加算器224により、所定方向からの受信超音波に対応した受信信号は整相加算される。
次に、超音波データ生成部4は、受信部22の加算器224から出力されるBモードの受信信号を処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、カラードプラモード及びCWドプラモードの受信信号を直交検波してドプラ信号を検出するドプラ信号検出部42と、カラードプラモードにおいて検出されたドプラ信号に基づいてカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部43と、CWドプラモードにおいて検出されたドプラ信号に基づいてCWドプラスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成部44を備えている。
Bモードデータ生成部41は、包絡線検波器411と対数変換器412を備え、包絡線検波器411は、受信部22の加算器224から供給される整相加算後の受信信号を包絡線検波し、対数変換器412は、包絡線検波された受信信号の振幅を対数変換してBモードデータを生成する。
ドプラ信号検出部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備え、受信部22の加算器224から供給される受信信号を直交検波して実部と虚部とからなる複素型のドプラ信号を検出する。
一方、カラードプラデータ生成部43は、ドプラ信号記憶回路431、MTIフィルタ432及び自己相関演算器433を備え、同一方向に対する複数回の超音波走査においてドプラ信号検出部42から出力されるドプラ信号はドプラ信号記憶部431に順次保存される。次いで、高域通過用のデジタルフィルタであるMTIフィルタ432は、当該被検体の同一部位にて収集された時系列的なドプラ信号をドプラ信号記憶部431から読み出し、これらのドプラ信号に含まれている臓器の呼吸性移動や拍動性移動等に起因した成分(クラッタ成分)を除去する。そして、自己相関演算器433は、MTIフィルタ432によって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対し自己相関演算を行なって血流の平均流速値や血流速度の乱れを示す速度分散値をカラードプラデータとして算出する。
一方、スペクトラムデータ生成部44は、図示しない演算処理部と記憶部を有したFFT分析器441を備え、CW走査方向に対する超音波送受信によって得られた受信信号に対してドプラ信号検出部42が検出した複素型のドプラ信号は前記記憶部に保存される。そして、前記演算処理部は、前記記憶部に保存された所定期間のドプラ信号に対しFFT分析を行なって時系列的なCWドプラスペクトラムデータを生成する。
次に、図1に示した画像データ生成部5の具体的な構成につき図3のブロック図を用いて説明する。この画像データ生成部5は、図3に示すように、Bモード画像データ生成部51、流速値データ生成部52、分散値データ生成部53、カラードプラ画像データ生成部54及びスペクトラム画像データ生成部55を備えている。
Bモード画像データ生成部51は、図示しない記憶回路を備え、超音波データ生成部4のBモードデータ生成部41から走査方向単位で順次供給される対数変換後の受信信号(Bモードデータ)を前記記憶回路に保存してBモード画像データを生成する。
同様にして、流速値データ生成部52及び分散値データ生成部53も図示しない記憶回路を備え、流速値データ生成部52は、超音波データ生成部4のカラードプラデータ生成部43にて算出されるドプラ信号の中心周波数に基づいた血流の平均流速値を前記記憶回路に保存して2次元の流速値データを生成し、分散値データ生成部53は、カラードプラデータ生成部43にて算出されるドプラ信号の周波数分布に基づいた速度分散値を前記記憶回路に保存して2次元の分散値データを生成する。
そして、図示しない演算処理部を有するカラードプラ画像データ生成部54は、流速値データ生成部52から供給される流速値データ及び分散値データ生成部53から供給される分散値データを受信し、これらのデータが有する平均流速値及び速度分散値に対応した色情報に基づいてカラードプラ画像データを生成する。例えば、血流の平均流速値に対応した明度情報と速度分散値に対応した色相情報を各々の画素に設定することにより平均流速値と速度分散値の同時観測が可能なカラードプラ画像データを生成する。
一方、スペクトラム画像データ生成部55は、図示しない記憶回路を備え、超音波データ生成部4のスペクトラムデータ生成部44がCW走査方向から得られた受信超音波のドプラ成分に基づいて生成した時系列的なCWドプラスペクトラムデータを時間軸方向に配列してスペクトラム画像データを生成する。
再び、図1へ戻って、高流速部位検出部6は、図3に示した画像データ生成部5の流速値データ生成部52において生成された2次元的な血流の流速値データと予め設定された閾値αとを比較し、閾値αより大きな平均流速値を有する流速値データの画素を高流速部位として検出する。尚、閾値αより大きな平均流速値を有する連続した複数の画素あるいは離散的な複数の画素が存在する場合、これらの画素の中心位置を計測することにより高流速部位を検出する方法が好適であるが特に限定されない。そして、CW走査方向設定部7は、高流速部位検出部6によって検出された高流速部位と交叉する超音波送受信方向(即ち、超音波プローブ3の先端部中央と前記高流速部位とを結ぶ方向)をCW走査方向として設定する。
一方、最大流速計測部8は、超音波データ生成部4のスペクトラムデータ生成部44から時系列的に供給されるCWドプラスペクトラムデータの各々における最大ドプラ周波数を計測し、更に、時間的に変化する最大ドプラ周波数の極大値を計測する。尚、CWドプラスペクトラムデータにおける最大ドプラ周波数を自動計測する具体的な方法は、例えば、上述の特許文献1(特開平8−229039号公報)等に記載されているため、詳細な説明は省略する。そして、計測された最大ドプラ周波数の極大値に基づいて最大血流速度を計測し、得られた最大血流速度の計測結果は、極大値の位置情報(即ち、極大値の大きさ(周波数)及び発生タイミング(極大値時刻))と共に表示部9へ供給される。
又、極大値を示す後述の極大値マーカが付加されたスペクトラム画像データが表示部9のモニタ92に表示され、この極大値マーカの位置が入力部11の入力デバイスを用いて更新された場合、入力部11からシステム制御部12を介して極大値マーカの新たな位置情報を受信した最大流速計測部8は、この位置情報に対応するスペクトラム画像データのドプラ周波数に基づいて最大血流速度を再度計測する。そして、新たに得られた最大血流速度の計測結果は、更新された極大値マーカの位置情報と共に表示部9へ供給される。
尚、上述の最大血流速度(Vmax)は、最大ドプラ周波数によって一義的に決定され、極大値時刻における最大ドプラ周波数をfp(max)、高流速部位における血流方向とCW走査方向との交叉角度をφ、生体内の超音波速度をC、超音波周波数をfoとすれば次式(1)に基づいて算出することができる。
Figure 2011024782
図4(a)は、スペクトラムデータ生成部44において生成されたCWドプラスペクトラムデータAxに対して最大流速計測部8が計測した最大ドプラ周波数fpを示している。一方、図4(b)は、画像データ生成部5のスペクトラム画像データ生成部55が、スペクトラムデータ生成部44から時系列的に供給されるCWドプラスペクトラムデータAxを時間軸方向に配列して生成したスペクトラム画像データBx、最大流速計測部8によって計測された最大ドプラ周波数fpの時間的変化を示すトレンドデータCx及びこの最大ドプラ周波数fpのトレンドデータが極大値(fp(max))を示す極大値時刻Tpを示している。
次に、図1に示す表示部9は、表示データ生成部91とモニタ92を備え、画像データ生成部5において生成されたBモード画像データ、カラードプラ画像データ及びスペクトラム画像データを用いて表示データを生成する機能を有している。例えば、Bモード/カラードプラモードでは、カラードプラ画像データが重畳されたBモード/カラードプラ画像データに高流速部位を示す高流速部位マーカ及びCW走査方向を示すCW走査マーカが付加された表示データを生成し、CWドプラモードでは、スペクトラム画像データに最大ドプラ周波数fpの極大値fp(max)を示す極大値マーカやこの極大値fp(max)に基づいて算出された最大血流速度Vmax(式(1)参照)の情報が付加された表示データを生成する。そして、得られたこれらの表示データは、所定の表示フォーマットに変換され、更に、被検体情報等の付帯情報が付加されてモニタ92に表示される。
図5は、心臓の僧坊弁近傍において検出された高流速部位の位置を示す高流速部位マーカMhとこの高流速部位と交叉するCW走査方向を示すCW走査マーカMsを示している。一般に、図5に示すような僧坊弁Mvに閉鎖不全がある場合、心筋の収縮によって高い圧力が印加された左心室Lvの血流は、閉鎖不全により生じた僧坊弁MVの狭い開口を介して左心房Laへ逆流し、このとき、僧坊弁Mvの近傍に高流速部位が形成される。
このような高流速部位における血流計測を行なう場合、所定の繰り返し周期(レート周期)を有した送信超音波(超音波パルス)が用いられる通常のカラードプラモードでは、計測可能な最大血流速度は繰り返し周期によって制約されるため定量的な計測が困難となる場合が多い。このため、カラードプラモードの計測限界を超える高流速の血流計測では、既に述べたように、計測限界を有さないCWドプラモードが適用される。
高流速血流の計測を目的とした本実施例では、先ず、画像データ生成部5において生成されたBモード画像データBiにカラードプラ画像データCiが重畳されたBモード/カラードプラ画像データが表示部9のモニタ92に表示され、このときカラードプラ画像データCiにおいて、例えば、モザイク状に表示される高流速部位が画像データ生成部5の流速値データ生成部52によって生成される流速値データに基づいて検出される。そして、この高流速部位を示す高流速部位マーカMhと前記高流速部位と交叉するCW走査方向を示すCW走査マーカMsが上述のBモード/カラードプラ画像データに付加されてモニタ92に表示される。
一方、図6は、表示部9のモニタ92に表示された本実施例におけるスペクトラム画像データの具体例を示したものであり、図4において既に述べたように、スペクトラム画像データBxは、スペクトラムデータ生成部44から時系列的に供給されるCWドプラスペクトラムデータを時間軸方向に配列することによって生成される。そして、このスペクトラム画像データBxには、時間的に変化する最大ドプラ周波数fpの極大値(最大ドプラ周波数fp(max))を示す極大値マーカMmが付加され、更に、最大ドプラ周波数fp(max)に基づいて得られた最大血流速度Vmaxの計測結果が所定の位置に配置される。
一方、図1の走査制御部10は、Bモード画像データ及びカラードプラ画像データの収集を目的とした超音波走査の制御や高流速部位におけるスペクトラム画像データの収集を目的とした超音波走査の制御を行なう。特に、スペクトラム画像データの収集に際しては、高流速部位検出部6から供給される高流速部位の位置情報あるいは入力部11から供給される高流速部位の更新情報に基づいてCW走査方向設定部7が設定した前記高流速部位と交叉するCW走査方向の設定情報を受信し、この設定情報に基づいて送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路223における遅延時間を制御する。
入力部11は、操作パネル上に表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス、選択ボタン等の入力デバイスを備え、Bモード/カラードプラモードやCWドプラモードの選択を行なう計測モード選択機能111、高流速部位検出部6によって設定された高流速部位の位置を更新する高流速部位更新機能112、スペクトラム画像データに付加された極大値マーカの位置を更新する極大値マーカ更新機能113を有している。更に、被検体情報の入力、各種画像データの生成条件及び表示条件の設定、流速値データに対する閾値αの設定、各種コマンド信号の入力等も上述の表示パネルや入力デバイスを用いて行なわれる。
システム制御部12は、図示しないCPUと記憶回路を備え、操作者によって入力部11から入力/設定/選択された上述の情報は前記記憶回路に保存される。一方、前記CPUは、これらの情報に基づいて超音波診断装置100が有する各ユニットやシステム全体を統括的に制御し、高流速部位の検出及びこの高流速部位におけるスペクトラム画像データの生成と表示、更には、前記スペクトラム画像データに基づく最大血流速度の計測を行なう。
(最大血流速度の計測手順)
次に、本実施例の高流速部位における最大血流速度の計測手順につき図7のフローチャートに沿って説明する。
当該被検体に対する超音波検査に先立ち、超音波診断装置100の操作者は、入力部11において被検体情報の入力、各種画像データの生成条件及び表示条件の設定、流速値データに対する閾値αの設定等を行ない(図7のステップS1)、更に、計測モードとしてBモード/カラードプラモードの選択を行なう(図7のステップS2)。
次いで、操作者は、超音波プローブ3の先端部を被検体体表面の所定位置に固定し、最初の走査方向(図2のθ1方向)に対してBモードデータ及びカラードプラデータを収集するための超音波送受信を行なう。即ち、走査方向θ1に対するBモードデータの収集に際し図2のレートパルス発生器211は、システム制御部12から供給される基準信号を分周することによってレートパルスを生成し、送信遅延回路212は、レートパルス発生器211から供給されたレートパルスに対し送信超音波(超音波パルス)を所定の深さに集束するための遅延時間と、走査方向θ1に放射するための遅延時間を与えてNtチャンネルの駆動回路213へ供給する。そして、駆動回路213は、このレートパルスに基づいて生成した駆動信号を超音波プローブ3に配列されたNt個の送信用振動素子に供給して走査方向θ1に対し超音波パルスを放射する。
被検体に放射された超音波パルスの一部は、音響インピーダンスの異なる臓器間の境界面あるいは組織にて反射する。又、この超音波パルスが心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射する場合、その超音波周波数はドプラ偏移を受ける。
被検体の組織や血球にて反射した超音波反射波(受信超音波)は、超音波プローブ3に設けられたNr個の受信用振動素子によって電気信号(受信信号)に変換され、受信部22におけるNrチャンネルの独立なプリアンプ221にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器222にてデジタル信号に変換される。そして、デジタル変換後の受信信号が供給された受信遅延回路223は、走査制御部10から供給される走査制御信号に基づいて設定した所定の深さからの超音波反射波を集束するための遅延時間と、走査方向θ1からの受信超音波(超音波反射波)に対し強い受信指向性を設定するための遅延時間を前記受信信号に与える。
そして、上述の遅延時間が与えられたNrチャンネルの受信信号は、加算器224において整相加算された後、超音波データ生成部4のBモードデータ生成部41において包絡線検波と対数変換がなされ画像データ生成部5のBモード画像データ生成部51が有する記憶回路に保存される。
一方、走査方向θ1に対するカラードプラデータの収集に際しては、上述と同様の手順により走査方向θ1に対して連続した複数回の超音波送受信を行ない、このとき得られた受信信号に基づいて血流の平均流速値や速度分散値を算出する。
即ち、ドプラ信号検出部42のミキサ422及びLPF423は、走査方向θ1に対して行なわれる複数回の超音波送受信の各々において受信部22の加算器224から出力される受信信号を直交検波して実部及び虚部からなる複素型のドプラ信号を検出し、得られたドプラ信号をカラードプラデータ生成部43のドプラ信号記憶回路431に順次保存する。次いで、カラードプラデータ生成部43のMTIフィルタ432は、ドプラ信号記憶回路431に保存されたドプラ信号の中から所定の位置(深さ)にて得られた時系列的な複数のドプラ信号を抽出する。そして、抽出されたドプラ信号に対してフィルタリング処理を行ない、例えば、心筋等の運動によって生ずる組織ドプラ成分(クラッタ成分)を排除し、血流の流れに起因する血流ドプラ成分を抽出する。
一方、クラッタ成分が排除されたドプラ信号の供給を受けた自己相関演算器433は、このドプラ信号を用いて自己相関演算を行ない、更に、この演算結果に基づいて血流の平均速度値や速度分散値等を算出する。このような演算を走査方向θ1の他の位置(深さ)に対しても行ない、得られた走査方向θ1のカラードプラデータ(即ち、血流の平均速度値及び速度分散値)は、画像データ生成部5の流速値データ生成部52及び分散値データ生成部53が有する記憶回路に保存される。
走査方向θ1に対するBモードデータ及びカラードプラデータの生成と保存が終了したならば走査方向θ2乃至走査方向θPに対しても同様な超音波送受信を行ない、このとき得られたBモードデータ及びカラードプラデータも、画像データ生成部5のBモード画像データ生成部51、流速値データ生成部52及び分散値データ生成部53に順次保存される。即ち、Bモード画像データ生成部51の記憶回路には2次元的なBモード画像データが生成され、流速値データ生成部52及び分散値データ生成部53の記憶回路には平均流速値の2次元分布を示す流速値データ及び速度分散値の2次元分布を示す分散値データが生成される。そして、カラードプラ画像データ生成部54は、流速値データ生成部52及び分散値データ生成部53から供給される平均流速値及び速度分散値に対応した色情報に基づいてカラードプラ画像データを生成する。
一方、表示部9の表示データ生成部91は、画像データ生成部5のBモード画像データ生成部51から供給されるBモード画像データにカラードプラ画像データ生成部54から供給されるカラードプラ画像データを重畳してBモード/カラードプラ画像データを生成しモニタ92に表示する(図7のステップS3)。このようなステップS3の手順を繰り返すことにより、表示部9のモニタ92には、Bモード/カラードプラ画像データがリアルタイム表示される。
一方、高流速部位検出部6は、画像データ生成部5の流速値データ生成部52において生成された2次元的な血流の流速値データと入力部11において予め設定された閾値αとを比較し、閾値αより大きな平均流速値を有する流速値データの画素を高流速部位として検出する(図7のステップS4)。次いで、CW走査方向設定部7は、この高流速部位と交叉する超音波走査方向をCW走査方向として設定し、これらの設定情報を受信した表示部9の表示データ生成部91は、上述のステップS3において生成したBモード/カラードプラ画像データに高流速部位を示す高流速部位マーカ及びCW走査方向を示すCW走査マーカを付加してモニタ92に表示する(図7のステップS5)。
次に、操作者は、高流速部位マーカ及びCW走査マーカが重畳されて表示部9のモニタ92に表示されたBモード/カラードプラ画像データを観察することにより高流速部位が正しく検出されたか否かを判定し、正しく検出されていない場合には、入力部11に設けられた高流速部位更新機能112を用いて高流速部位マーカをBモード/カラードプラ画像データ上の好適な位置へ更新する(図7のステップS6)。次いで、入力部11からシステム制御部12を介して上述の更新情報を受信したCW走査方向設定部7は、更新された高流速部位と交叉するCW走査方向を新たに設定する。そして、新たに設定されたCW走査方向を示すCW走査マーカは更新後の高流速部位を示す高流速部位マーカと共にBモード/カラードプラ画像データに重畳されて表示部9のモニタ92に表示される(図7のステップS5)。
一方、上述のステップS5において高流速部位が正しく検出されていることを確認したならば、操作者は、入力部11の計測モード選択機能111を用いてCWドプラモードを選択する(図7のステップS7)。そして、走査制御部10は、入力部11からシステム制御部12を介して供給されるCWドプラモードの選択情報とCW走査方向設定部7からシステム制御部12を介して供給されるCW走査方向(即ち、上述の高流速部位と交叉するCW走査方向)の設定情報を受信し、送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路223に対し前記CW走査方向に送信超音波を放射するための遅延時間を設定する。
次いで、システム制御部12は、送受信部2の各ユニットを制御してスペクトラム画像データの収集を目的としたCWドプラモードの超音波送受信を上述のCW走査方向に対して行なう。そして、CW走査方向(例えば、図2のθx)から得られた超音波反射波に対する加算器224の出力信号(受信信号)はドプラ信号検出部42に供給される。
ドプラ信号検出部42は、前記受信信号に対し直交検波を行なって検出した時系列的なドプラ信号をスペクトラムデータ生成部44のFFT分析器441が備える記憶回路に一旦保存する。一方、FFT分析器441の演算回路は、前記記憶回路に保存された所定期間のドプラ信号をFFT分析してCWドプラスペクトラムデータを生成し、画像データ生成部5のスペクトラム画像データ生成部55が備える記憶回路に保存する。
同様にして、FFT分析器441は、後続して得られる所定期間のドプラ信号に対してもFFT分析を行なってCWドプラスペクトラムデータを生成し、前記記憶回路に逐次保存する。即ち、スペクトラム画像データ生成部55は、時系列的に生成されたCWドプラスペクトラムデータを自己の記憶回路において時間軸方向に配列することによりスペクトラム画像データを生成する(図7のステップS8)。
一方、最大流速計測部8は、超音波データ生成部4のスペクトラムデータ生成部44から時系列的に供給されるCWドプラスペクトラムデータの各々における最大ドプラ周波数を計測し、更に、時間的に変化する最大ドプラ周波数の極大値を計測する(図7のステップS9)。そして、計測された最大ドプラ周波数の極大値に基づいて最大血流速度を計測し(図7のステップS10)、得られた最大血流速度の計測結果は、極大値の位置情報と共に表示部9へ供給される。
表示部9は、上述のステップ8において生成されたスペクトラム画像データに極大値の位置情報に基づいて生成した極大値マーカや最大血流速度の計測結果、更には、被検体情報等の付帯情報を付加してモニタ92に表示する(図7のステップS11)。
次に、操作者は、上述の極大値マーカが付加されて表示部9に表示されたスペクトラム画像データを観察することによって極大値マーカの位置が適切か否かを判定し、その位置が不適切な場合には、入力部11に設けられた極大値マーカ更新機能113を用いて極大値マーカをスペクトラム画像データ上の好適な位置へ更新する(図7のステップS12)。
そして、更新された極大値マーカの位置情報を受信した最大流速計測部8は、この極大値マーカの位置に対応するドプラ周波数に基づいて最大血流速度を再度計測し、このとき得られた最大血流速度の計測結果と更新された極大値マーカはスペクトラム画像データに付加されて表示部9のモニタ92に表示される(図7のステップS10及びS11)。
以上述べた本実施例によれば、カラードプラ画像データの血流速度情報に基づいて検出した高流速部位に対しCWドプラモードの超音波送受信方向(CW走査方向)を容易かつ正確に設定することが可能となる。このため、CWドプラモードを適用した超音波検査の効率が改善され、操作者の負担を大幅に軽減することができる。
特に、平均流速値の2次元分布を示す流速値データと所定閾値との比較により高流速部位を短時間で自動検出することができるため、リアルタイムで収集されるカラードプラ画像データの各々における高流速部位の検出が可能となり、従って、その位置が変動するような高流速部位に対しても好適なCW走査方向を常時設定することができる。
又、高流速部位の位置を示す高流速部位マーカは、Bモード/カラードプラ画像データに付加されて表示部に表示されるため、高流速部位の検出が正確に行なわれているか否かをモニタリングすることが可能となり、更に、高流速部位更新機能を有した入力部を備えているため、高流速部位の検出が正しく行なわれない場合には、高流速部位更新機能を用いて高流速部位マーカを移動させることによりCW走査方向を好適な方向に設定することができる。
一方、上述の実施例によれば、最大血流速度は、高流速部位に対するCWドプラモードの超音波送受信によって得られるCWドプラスペクトラムデータの最大ドプラ周波数及び時間的に変化する前記最大ドプラ周波数の極大値に基づいて自動計測されるため、CWドプラモードにおける検査効率を更に改善することができる。
又、最大ドプラ周波数の極大値を示す極大値マーカがスペクトラム画像データに付加されて表示部に表示されるため、最大ドプラ周波数及びその極大値の計測が正確に行なわれているか否かを判定することが可能となり、更に、極大値マーカ更新機能を有した入力部を備えているため、最大ドプラ周波数あるいは最大ドプラ周波数の極大値が正しく計測されていない場合には、極大値マーカ更新機能を用いて極大値マーカを好適な位置へ移動させることにより正確な最大血流速度を得ることができる。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、高流速部位検出部6による高流速部位の検出が正確に行なわれない場合、Bモード/カラードプラ画像データに付加された高流速部位マーカを入力部11に設けられた高流速部位更新機能112を用いて移動させることにより高流速部位を好適な位置に更新し、更新後の高流速部位と交叉するCW走査方向をCW走査方向設定部7によって設定する場合について述べたが、高流速部位更新機能112に替わるCW走査方向更新機能を入力部11に設け、Bモード/カラードプラ画像データに付加されたCW走査マーカを前記CW走査方向更新機能を用いて好適な方向へ更新させてもよい。
又、上述の実施例では、カラードプラ画像データが重畳されたBモード画像データ(Bモード/カラードプラ画像データ)にCW走査マーカ及び高流速部位マーカを付加して表示部9に表示する場合について述べたが、カラードプラ画像データにCW走査マーカ及び高流速部位マーカを付加してもよい。
更に、図5に示したように、CW走査マーカ及び高流速部位マーカをBモード/カラードプラ画像データに付加して表示する場合について述べたが、CW走査マーカあるいは高流速部位マーカの何れか一方を上述の画像データに付加しても構わない。例えば、入力部11の高流速部位更新機能112を用いて更新した高流速部位に基づいてCW走査方向を設定する場合には高流速部位マーカを画像データに付加し、CW走査方向更新機能を用いてCW走査方向を直接更新する場合にはCW走査マーカを画像データに付加してもよい。
又、上述の実施例では、図6に示したように、スペクトラム画像データに極大値マーカを付加して表示する場合について述べたが、図4のように最大ドプラ周波数の時間的変化を示すトレンドデータを更に付加しても構わない。このトレンドデータの付加により極大値マーカの更新が更に容易となる。
尚、上述の実施例では、被検体の診断対象部位(例えば、心臓)に対する2次元走査によって得られた2次元の流速値データに基づいて高流速部位の検出とCW走査方向の設定を行なう場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、前記診断対象部位に対する3次元走査によって得られた3次元の流速値データに基づいて高流速部位の検出とCW走査方向の設定を行なってもよい。
2…送受信部
21…送信部
22…受信部
3…超音波プローブ
4…超音波データ生成部
41…Bモードデータ生成部
42…ドプラ信号検出部
43…カラードプラデータ生成部
44…スペクトラムデータ生成部
5…画像データ生成部
51…Bモード画像データ生成部
52…流速値データ生成部
53…分散値データ生成部
54…カラードプラ画像データ生成部
55…スペクトラム画像データ生成部
6…高流速部位検出部
7…CW走査方向設定部
8…最大流速計測部
9…表示部
91…表示データ生成部
92…モニタ
10…走査制御部
11…入力部
111…計測モード選択機能
112…高流速部位更新機能
113…極大値マーカ更新機能
12…システム制御部
100…超音波診断装置

Claims (9)

  1. 被検体に対する超音波パルスの送受信によって得られた受信信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置において、
    前記超音波パルスの送受信によって得られた前記カラードプラ画像データの流速値データに基づいて前記被検体における血流の高流速部位を検出する高流速部位検出手段と、
    前記高流速部位と交叉する超音波連続波の送受信方向をCW走査方向として設定するCW走査方向設定手段と、
    前記CW走査方向に対する超音波連続波の送受信を制御する走査制御手段と、
    前記超音波連続波の送受信によって得られた受信信号に基づいてCWドプラスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成手段と、
    前記CWドプラスペクトラムデータに基づいて前記高流速部位における最大血流速度を計測する最大流速計測手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記高流速部位検出手段は、前記カラードプラ画像データの生成に用いられる前記流速値データと所定の閾値とを比較し、前記閾値より大きな流速値を有する領域を前記高流速部位として検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記超音波連続波の送受信によって得られた受信信号を処理してドプラ信号を検出するドプラ信号検出手段を備え、前記スペクトラムデータ生成手段は、前記ドプラ信号検出手段によって検出されたドプラ信号を周波数分析することにより前記CWドプラスペクトラムデータを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 前記最大流速計測手段は、前記スペクトラムデータ生成手段によって生成された時系列的な前記CWドプラスペクトラムデータの各々における最大ドプラ周波数を計測し、時間的に変化する前記最大ドプラ周波数の極大値に基づいて前記最大血流速度を計測することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 表示手段を備え、前記表示手段は、前記高流速部位を示す高流速部位マーカ及び前記CW走査方向を示すCW走査マーカの少なくとも何れかを前記カラードプラ画像データに付加して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  6. 高流速部位更新手段を備え、前記表示手段において表示された前記カラードプラ画像データに付加されている前記高流速部位マーカあるいは前記CW走査マーカの位置が不適切な場合、前記高流速部位更新手段は、前記高流速部位マーカあるいは前記CW走査マーカを好適な位置へ移動させることにより高流速部位あるいはCW走査方向を更新することを特徴とする請求項5記載の超音波診断装置。
  7. 前記スペクトラムデータ生成手段において生成される時系列的な複数のCWドプラスペクトラムデータに基づいてスペクトラム画像データを生成するスペクトラム画像データ生成手段と、このスペクトラム画像データを表示する表示手段を備え、前記表示手段は、前記最大ドプラ周波数の極大値を示す極大値マーカ及び前記最大血流速度の計測結果の少なくとも何れかを前記スペクトラム画像データに付加して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  8. 極大値マーカ更新手段を備え、前記表示手段にて表示された前記スペクトラム画像データに付加されている前記極大値マーカの位置が不適切な場合、前記極大値マーカ更新手段は、前記極大値マーカの位置を更新し、前記表示手段は、更新された極大値マーカにおけるドプラ周波数に基づいて前記最大流速計測手段が計測した最大血流速度の情報を前記スペクトラム画像データに付加して表示することを特徴とする請求項7記載の超音波診断装置。
  9. 被検体に対する超音波パルスの送受信によって得られた受信信号に基づいてカラードプラ画像データを生成する超音波診断装置に対し、
    前記超音波パルスの送受信によって得られた前記カラードプラ画像データの流速値データに基づいて前記被検体における血流の高流速部位を検出する高流速部位検出機能と、
    前記高流速部位と交叉する超音波連続波の送受信方向をCW走査方向として設定するCW走査方向設定機能と、
    前記CW走査方向に対する超音波連続波の送受信を制御する走査制御機能と、
    前記超音波連続波の送受信によって得られた受信信号に基づいてCWドプラスペクトラムデータを生成するスペクトラムデータ生成機能と、
    前記CWドプラスペクトラムデータに基づいて前記高流速部位における最大血流速度を計測する最大流速計測機能を
    実行させることを特徴とする血流速度計測用制御プログラム。
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