JP2011023533A - シリコン基板とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】p/n型反転の起きる領域を従来よりより深々度範囲に形成可能とするシリコン基板の製造方法を提供する。
【解決手段】p型ウェーハで、窒素がドープされ、アルゴンガス、水素ガス、あるいはそれらの混合ガス雰囲気中にて処理温度1100〜1250℃、処理時間1〜5時間とされる熱処理により、表面から深さ方向への抵抗分布が、0.1〜10kΩcm程度のp型表面領域と、深さ方向に抵抗値が上昇下降してピークを有するピーク領域と、酸素ドナーによるp/n型反転深度領域とを有し、前記ピーク領域におけるピーク位置がウェーハ表面からの深度10〜70μmの範囲とされる。
【選択図】図3

Description

本発明は、シリコン基板とその製造方法に関し、特に、ゲッタリング能を向上し、固体撮像素子等のデバイス製造に供されるシリコン基板に用いて好適な技術に関する。
シリコンからなる薄厚の半導体デバイスは、CZ(チョクラルスキー)法等により引き上げられたシリコン単結晶からスライスしたシリコン基板に回路を形成することにより製造されるものである。シリコン基板に重金属が不純物混入した場合、デバイス特性が著しく劣化することになる。
シリコン基板に重金属が不純物混入する要因としては、第一に、単結晶引き上げ、スライス、面取り、および、研磨、研削、エッチング等の表面処理からなるシリコン基板の製造工程における金属汚染、第二にシリコン基板に回路を形成する、回路形成後にウェーハ裏面を削って50μm程度まで薄厚化する等の工程であるデバイスの製造工程における重金属汚染があげられる。
そこで、従来からシリコン基板に酸素析出物を形成するIG(イントリンシックゲッタリング)法、シリコン基板の裏面にバックサイドダメージなどのゲッタリングサイトを形成するEG(エキシントリックゲッタリング)法が利用されている。
特許文献1には、IG処理する技術が提案されている。
特許文献2には、0005段にEG法の例が、また、炭素イオン注入に関する技術が記載されている。
このように、固体撮像素子に用いられるシリコン基板として、エピタキシャル成長前に酸素析出熱処理を実施し酸素析出物を形成するイントリンシックゲッタリング法あるいはシリコン基板に炭素イオンなどのイオンをイオン注入するイオン注入法が用いられている
特開平6−338507号公報 特開2006−313922号公報 特開平11−204771号公報
しかしながら、最近デバイス工程におけるデザインルールが1nm程度と微細化するにつれて、施される熱処理が低温化する傾向がある。これにともなって、ゲッタリング能を呈するように基板内で析出をおこなう能力が不足してきた。このため、デバイス製造工程より前に、熱処理をおこなうことが特許文献3に開示されているが、このようなエピ工程前のプレアニールでは、基板裏面にキズが発生する等の不具合があった。
また、特許文献2のように高温の熱処理が炭素注入基板に施された場合、炭素注入で形成された結晶欠陥(結晶格子歪みなど)が緩和されゲッタリングシンクとしての機能が低下することが懸念される。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、デバイス工程における処理温度の低下によっても、充分なゲッタリング能を有するとともに、シリコン基板のキズなどの発生を防止可能として、白傷欠陥の発生を低減可能で、かつ、デバイス収率の向上か可能なシリコン基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のシリコン基板の製造方法は、CZ法により窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cm(ASTM F123-1981)、初期酸素濃度が1.4×1018〜1.6×1018atoms/cm(ASTM F123-1979)としてシリコン単結晶を育成し、
該シリコン単結晶をスライスして、その表面にエピタキシャル層を形成した後、ポストアニール工程として、600〜850℃の熱処理を施すことにより上記課題を解決した。
また、本発明の固体撮像素子のシリコン基板は、上記の製造方法により製造されることができる。
本発明に係わる固体撮像素子の製造に適したシリコン基板は、窒素添加による析出物の核(重金属のゲッタリングシンク)を有し直上にシリコンエピタキシャル層を形成したものである。
このようなシリコン基板を固体撮像素子の製造に用いることにより固体撮像素子を構成するトランジスタおよび埋め込み型フォトダイオードに重金属汚染起因の欠陥が生じることがなくなり固体撮像素子の白傷欠陥の発生を未然に防ぐことができ、固体撮像素子の歩留まりを向上させることができるものである。
したがって、本発明によれば、高いゲッタリング能を有するので、金属汚染の影響を低減可能なシリコン基板を提供でき、これにより、製造コスト、デバイス工程におけるパーティクル発生などの問題点を解決できるという効果を奏することができる。
本発明に係るシリコン基板の製造方法の一実施形態における各工程でのシリコン基板を示す正断面図である。 固体撮像素子の製造手順を示す図である。 本発明に係るシリコン基板の製造手順を示すフローチャートである。 CZ引上げ炉の縦断面図である。 水素添加による引き上げ速度領域の変化を示す模式図である。 本発明の実施例における熱処理を説明する図である。 窒素濃度を変化させたシリコン単結晶におけるスライス位置を示す 白傷欠陥の発生数WSとポストアニール条件との関係を示すグラフである。 白傷欠陥の発生数WSと窒素濃度との関係を示すグラフである。模式図である。
以下、本発明に係るシリコン基板とその製造方法における一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本実施形態に係るシリコン基板の製造方法の各工程におけるシリコン基板を示す正断面図であり、図3は、本実施形態におけるシリコン基板の製造方法を示すフローチャートであり、図において、符号W0はシリコン基板である。
本実施形態では、固体撮像素子とされるデバイス製造に用いるシリコン基板について説明する。
本実施形態の製造方法においては、図3に示すように、シリコン単結晶引き上げ工程S1、ウェーハ加工工程S2、エピタキシャル層成膜工程S3、ポストアニール工程S4とされるウェーハ製造工程、および、デバイス工程S5とを有するものとされる。
図1に示す例では、まず、図3にシリコン単結晶引き上げ工程S1で示すように、石英ルツボ内にシリコン結晶の原料であるポリシリコンを積層配置し、同時に設定される基板のタイプに従ってp−タイプであればドーパントとしてB(ボロン)を投入して、例えばチョクラルスキー法(CZ法)に従って、窒素を添加したCZ結晶を後述するように水素雰囲気として引き上げる。なお、CZ結晶とは、磁場印加CZ結晶も含めたチョクラルスキー法で製造された結晶の呼称である。
ここで、シリコン単結晶としては、原料段階で窒素を含む化合物を添加したり、窒素が存在する雰囲気中でシリコン単結晶を作製するとともに、その酸素濃度Oiを制御して引き上げられる。以下、窒素添加CZシリコン単結晶の引き上げについて説明する。直径300mmのウェーハについて説明するが、該発明はこれに限定されるものではない。
図4は、本実施形態におけるシリコン単結晶の製造を説明するのに適したCZ炉の縦断面図である。CZ炉は、チャンバー内の中心部に配置されたルツボ(石英ルツボ)101と、ルツボ101の外側に配置されたヒータ102とを備えている。ルツボ101は、内側に原料融液103を収容する石英ルツボ101を外側の黒鉛ルツボ101aで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸101bにより回転および昇降駆動される。ルツボ101の上方には、円筒形状の熱遮蔽体107が設けられている。熱遮蔽体107は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体107の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体107の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体107の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート(鉛直)面に形成されている。
このCZ炉は、例えば、目標直径が310mm、ボディ長が例えば1200mmの300mmの単結晶育成が可能なものとされる。
熱遮蔽体107の仕様例を挙げると次のとおりである。ルツボに入る部分の外径は例えば570mm、最下端における最小内径Sは例えば370mm、半径方向の幅(厚み)Wは例えば100mmとする。また、ルツボ101の外径は例えば650mmであり、熱遮蔽体107の下端の融液面からの高さHは例えば60mmである。
次に、窒素添加CZシリコン単結晶を育成するための操業条件の設定方法について説明する。
まず、ルツボ内に高純度シリコンの多結晶を装入し、例えば、結晶中の抵抗率がp−タイプとなるように、pタイプの基板に比べて少ないドーパント ボロン(B)を添加する。
本発明において、ボロン(B)濃度がp+タイプとは、抵抗率8mΩcm〜10mΩcmに相当する濃度であり、pタイプとは抵抗率0.1〜100Ωcmに相当する濃度であり、pタイプとは抵抗率0.1Ωcm〜0.01Ωcmに相当する濃度である。または、リン(P)濃度がn+タイプとは、抵抗率8mΩcm〜10mΩcmに相当する濃度であり、nタイプとは抵抗率0.1〜100Ωcmに相当する濃度であり、n−タイプとは抵抗率0.1Ωcm〜0.01Ωcmに相当する濃度である。
また、p/p−タイプとは、p−タイプ基板の上にpタイプのエピタキシャル層を積層したウェーハを意味し、p/n−タイプとは、n−タイプ基板の上にpタイプのエピタキシャル層を積層したウェーハを意味する。
本実施形態においては、窒素濃度が上述した範囲となるようにシリコン溶融液にドーパントを添加したり、窒素を含む雰囲気中で引き上げをする。
また、上述した酸素濃度となるように、結晶回転速度、ルツボ回転速度、加熱条件、印加磁場条件、引き上げ速度等を制御する。
そして、装置内を不活性ガス雰囲気で、減圧の1.33〜26.7kPa(10〜200torr)とし、不活性ガス(Arガス等)中に水素ガスを3〜20体積%となるように混合して炉内に流入させる。圧力は、1.33kPa(10torr)以上、好ましくは4〜26.7kPa(30〜200torr)、さらに、好ましくは、4〜9.3kPa(30〜70torr)が望ましい。圧力の下限は、水素の分圧が低くなると、融液および結晶中の水素濃度が低くなるため、これを防止するために上記の下限の圧力を規定した。圧力の上限は、炉内の圧力が増大するとAr等の不活性ガスの融液上でのガス流速が低下することにより、カーボンヒーターやカーボン部材から脱ガスした炭素や、融液から蒸発したSiO等の反応物ガスが排気しにくくなることにより、結晶中の炭素濃度が高くなり、また、SiOが炉内の融液上部の1100℃程度またはより低温の部分に凝集することで、ダストを発生させ融液に落下することで結晶の有転位化を引き起こすため、これらを防止するために上記の上限の圧力を規定した。
次いで、ヒータ102により加熱してシリコンを溶融させ融液103とする。次に、シードチャック105に取り付けた種結晶を融液103に浸漬し、ルツボ1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行う。結晶方位は{100}、{111}または{110}のいずれかとし、結晶無転位化のためのシード絞りを行った後、ショルダー部を形成させ、肩変えして例えば310mmの目標ボディ径とする。
その後は一定の引き上げ速度で例えば1200mmまでボディ部を育成し、通常条件で縮径しテイル絞りを行った後、結晶成長を終了する。ここで、引き上げ速度は、抵抗率、シリコン単結晶径サイズ、使用する単結晶引き上げ装置のホットゾーン構造(熱環境)などに応じて適宜選定されるが、例えば、定性的には単結晶面内でOSFリングが発生する領域が含まれる引き上げ速度を採用することができ、その下限は単結晶面内にOSFリング領域が発生しかつ転位クラスタが発生しない引き上げ速度以上とすることができる。
また、前記不活性雰囲気中における水素濃度を、炉内圧は、4.0〜9.33kPa(30〜70torr)に対して3%以上20%以下の範囲に設定することができる。炉内圧は、1.33kPa(10torr)以上、好ましくは4.0〜26.7kPa(30torr〜200torr)、さらに、好ましくは、4.0〜9.3kPa(30torr〜70torr)が望ましい。この下限値は、水素の分圧が低くなると、融液および結晶中の水素濃度が低くなるため、これを防止するために上記の下限の圧力を規定した。上限値は、炉内の圧力が増大するとAr等の不活性ガスの融液上でのガス流速が低下することにより、カーボンヒーターやカーボン部材から脱ガスした炭素や、融液から蒸発したSiO等の反応物ガスが排気しにくくなることにより、結晶中の炭素濃度が高くなり、また、SiOが炉内の融液上部の1100℃程度またはより低温の部分に凝集することで、ダストを発生させ融液に落下することで結晶の有転位化を引き起こすため、これらを防止するために上記の上限の圧力を規定した。水素分圧として、40pa以上、400Pa以下となることが好ましい。
水素を含む不活性雰囲気中で育成時のシリコン単結晶中の水素濃度は、雰囲気中の水素分圧によって制御できる。水素の結晶への導入は、雰囲気中の水素がシリコン融液に溶解して定常(平衡)状態となり、さらに、結晶へは凝固時に濃度偏析によって液相と固相中の濃度が分配される。
融液中の水素濃度は、ヘンリーの法則から気相中の水素分圧に依存して決まり、凝固直後の結晶中水素濃度は雰囲気中の水素分圧を制御することで結晶の軸方向に一定に所望する濃度で制御できる。
このようなシリコン単結晶育成方法によれば、水素を含む不活性雰囲気中でシリコン単結晶を引き上げることにより、結晶径方向全域にCOPおよび転位クラスタを含まず、かつ、格子間シリコン優勢領域(PI領域)の単結晶を引き上げ可能なPI領域引き上げ速度の範囲を拡大して引き上げて、単結晶直胴部を転位クラスタを含まない格子間シリコン優勢領域(PI領域)とすることができる。同時に、このようなシリコン単結晶育成方法によれば、OSFリングの幅が縮小していることにより、従来、Grown−in欠陥フリー単結晶を引き上げる際には、非常に狭い範囲に設定しなくてはならなかったPI領域引き上げ速度を広げて、極めて容易に、かつ従来よりもはやい引き上げ速度でGrown−in欠陥フリー単結晶を育成することが可能となるとともに、結晶面内にOSFリング領域が発生する条件でシリコン単結晶を引き上げた場合には、OSFリングの幅を縮小してその影響を低減することが可能となる。
なお、ここで、PI領域引き上げ速度範囲は水素雰囲気中と水素のない不活性雰囲気中とで比較する際に、上述した凝固直後の結晶内の軸方向温度勾配Gの値が一定で変化しない状態で比較するものとする。
具体的には、格子間シリコン型のGrown−in欠陥フリー領域(PI領域)からなるGrown−in欠陥フリー単結晶を引き上げ可能なPI領域引き上げ速度範囲を、水素雰囲気とすることによって、水素のない時に比べて4倍以上、さらには、図5に示すように、4.5倍のマージンに拡大して引き上げをおこなうことができ、このような範囲の引き上げ速度によって所望の単結晶を引き上げることが可能となる。
このとき、OSFリングの発生領域を小さくすることができる。なお、PV領域(空孔型のGrown−in欠陥フリー領域)の大きさは水素添加によって変化しない。
本実施形態においては、上述したように水素添加をおこなうことで、Grown−in欠陥フリー単結晶を引き上げ容易とするとともに、窒素を添加することによって、OSFリングの影響も低減することができるため、これら相乗効果により、このウェーハ上にエピタキシャル層を成長させた際にOSFリングに起因する欠陥を低減することができ、前述した所望の品質を有する単結晶の引き上げをおこなうことができ、作業効率を向上して、シリコン単結晶、あるいはこのシリコン単結晶から製造するシリコン基板の製造コストを大幅に削減することが可能となる。
図3に示すシリコン単結晶引き上げ工程S1の次に、図3にウェーハ加工工程S2で示すように、この窒素添加CZシリコン単結晶から加工して、図1(a)に示すように、窒素を含むシリコン基板W0を得る。
ウェーハ加工工程S2におけるシリコン基板(ウェーハ)W0の加工方法は通常に従い、IDソーまたはワイヤソー等の切断装置によってスライスし、得られたシリコンウェーハをアニールした後、表面を研磨・洗浄等の表面処理工程とおこなう。なお、これらの工程の他にもラッピング、洗浄、研削等種々の工程があり、工程順の変更、省略等目的に応じ適宜工程は変更使用される。
このようにして得られたシリコン基板1は、ドーパント濃度がp−タイプとされ、窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cm(ASTM F123-1981)、および酸素濃度が1.4×1018〜1.6×1018atoms/cm(ASTM F123-1979)とされる。
窒素は固溶形態でシリコンに含有されるので、シリコン格子中に窒素をシリコンと置換する形で導入される。すなわち、窒素の原子半径はシリコン原子と比較して小さいため置換位置に窒素を配位した場合、結晶の応力場は圧縮応力場となり格子間の酸素および不純物が圧縮応力場に捕獲されやすくなる。この置換位置窒素を起点に、例えばデバイス工程において、転位を伴う酸素との析出物が高密度で発現しやすくなり、シリコン基板W0に高いゲッタリング効果を付与することができる。これにより、後述するデバイス作り込み工程S4においても、充分なゲッタリング能を有することが可能となる。
このような窒素の添加濃度は、上述の範囲に規制する必要がある。なぜなら、窒素濃度が上記の範囲未満では、窒素・酸素系析出物の形成促進が活発にならないので、上記した高密度な窒素・酸素系析出物の形成を実現できない。
一方、上記の範囲を超えると、窒素・酸素系析出物の形成が促進され高密度な窒素・酸素系析出物を得られるが、析出物のサイズが抑制される結果、析出物周りの歪みが弱くなる傾向が強くなる。従って、歪みの効果が弱いことから不純物を捕獲するための効果が減少する。
さらに、シリコン基板W0中の酸素濃度Oiを、上記の範囲に規制する必要がある。なぜなら、酸素濃度が上記の範囲未満では、窒素・酸素系析出物の形成が促進されないために、上記した高密度な析出物が得られない。
一方、上記の範囲を超えると、酸素析出物のサイズが減少し母体シリコン原子と析出物界面における歪みの効果が緩和され歪みによるゲッタリング効果が低下することが懸念されるからである。
次に、図3にウェーハ加工工程S2で示すように、窒素添加CZ結晶である上記シリコン基板W0の表面を鏡面加工してから、例えばSC1およびSC2を組み合わせたRCA洗浄を行う。その後、図3にエピタキシャル層成膜工程S3で示すように、エピタキシャル層を成長するためにエピタキシャル成長炉に装入し、各種CVD法(化学気相成長法)を用いて、図1(b)に示すように、例えば、ドーパント濃度がpタイプとされるエピタキシャル層W0aを成長させる。
エピタキシャル層W0aを形成したp/p−タイプのシリコン基板W1は、図1(c)に示すように、該エピタキシャル層W0a上に、必要に応じて酸化膜W1b、さらに窒化膜W1cを形成してシリコンウェーハW2としてから、デバイス製造工程等の後工程に供する。
ここで、デバイス製造工程に供されるシリコン基板W1またはシリコン基板W2におけるシリコン基板W0は、ボロン並びに固溶窒素を含むCZ結晶であるが、該結晶成長中に形成された酸素析出核、あるいは酸素析出物がエピタキシャル成長時の熱処理によりシュリンクするため、シリコン基板W1段階のシリコン基板W0には、顕在化された酸化析出物は光学顕微鏡では観察されない。
次に、図3にポストアニール工程S4で示すように、重金属をゲッタリングするためのゲッタリングシンクを確保するために、エピタキシャル層W0a成長後に、この条件を付与することにより更なる析出促進が期待できる温度条件として、好ましくは600〜850℃程度で0.25〜4時間、酸素と、アルゴン、窒素等の不活性ガスとの混合雰囲気中で低温熱処理を施し、置換位置窒素を起点にして窒素・酸素系の酸素析出物W07を析出させる必要がある。
なお、本発明において窒素・酸素系析出物とは、窒素を含有した複合体(クラスター)である析出物を意味する。
なお、ポストアニール工程S4におけるIG効果を持たせる熱処理が、上記の温度範囲より低いと窒素・酸素の複合体形成が不足し、基板の金属汚染が生じた場合に充分なゲッタリング能を発現できないため好ましくなく、また上記の温度範囲より高いと、酸素析出物の凝集が過剰におこり、結果的に、ゲッタリングシンクの密度が足りなくなるため、好ましくない。
また、この熱処理においては、600℃、30分の条件と同等な析出の発現が可能な熱処理温度・時間以上であれば、温度の上下および処理時間の増減は異なる条件に設定することも可能であり、また、800℃、4時間の条件と同等な析出の発現が可能な熱処理温度・時間以下であれば、温度の上下および処理時間の増減は異なる条件に設定することも可能である。
この酸素析出物W07は、ポストアニール工程S4後の固溶窒素を含有するシリコン基板W1を出発材とすれば、デバイス製造工程の初期段階を経る過程でシリコン基板W0の全体にわたって自然発生的に析出するため、デバイス製造工程S5での金属汚染に対するゲッタリング能力の高いゲッタリングシンクを、エピタキシャル層の直下からシリコン基板W0の全厚にわたって形成することができる。従って、エピタキシャル層の近接領域におけるゲッタリングが実現される。
このゲッタリングを実現するには、窒素・酸素系の複合体である酸素析出物(BMD)W07は、ポストアニール工程S4後のシリコン基板W0中に1.0×10〜1.0×1011個/cm で存在し、かつ、サイズが10〜100nmあることが好ましい。
なお、この場合のBMDサイズとは、シリコン基板の厚み方向断面のTEM観察像における析出物の対角線長を意味し、該観察視野内の析出物の平均値で示すこととする。
ポストアニール工程S4後の酸素析出物W07のサイズを上記の範囲のうち下限以上にするのは、母体シリコン原子と酸素析出物の界面に生じる歪みの効果を用いて格子間不純物(例えば重金属など)を捕獲(ゲッタリング)する確率を増加するためである。また、酸素析出物W07のサイズが上記の範囲以上であると、基板強度が低下する、あるいは、エピタキシャル層での転位発生等の影響が出るため、好ましくない。
また、酸素析出物W07のシリコン基板中における密度は、シリコン結晶中における重金属の捕獲(ゲッタリング)は、母体シリコン原子と酸素析出物との界面に生じる歪みおよび界面準位密度(体積密度)に依存するために、上記の範囲とすることが好ましい。
図3にデバイス工程S5で示すように、シリコンウェーハW2表面上にデバイスとなる構造を形成し、図2に示すように、シリコン基板W3を製造する。
固体撮像素子に適応したデバイス工程S5としては、固体撮像素子の一般的な製造工程を採用することができる。その一例としてCCDデバイスについて図2に示すが、特にこの工程に限定する必要はない。
すなわち、デバイス作り込み工程S5は、まず、図2(a)に示すように、図1(b)に示したp−型シリコン基板1の上にp型のエピタキシャル層2を形成したシリコン基板3を用意し、図2(b)に示すように、このエピタキシャル層2の所定位置に第1のn型ウエル領域11を形成する。その後、図2(c)に示すように、表面にゲート絶縁膜12を形成するとともに、第1のn型ウエル領域11の内部にイオン注入によってp型及びn型の不純物を選択的に注入して、垂直転送レジスタを構成するp型の転送チャネル領域13、n型のチャネルストップ領域14および第2のn型ウエル領域15をそれぞれ形成する。
次に、図2(d)に示すように、ゲート絶縁膜12の表面の所定位置に転送電極16を形成する。その後、図2(e)に示すように、p型の転送チャネル領域13と第2のn型ウエル領域15との間にp型及びn型の不純物を選択的に注入することによって、n型の正電荷蓄積領域17とp型の不純物拡散領域18とを積層させたフォトダイオード19を形成する。
さらに、図2(f)に示すように、表面に層間絶縁膜20を形成した後、フォトダイオード19の直上方を除いた層間絶縁膜20の表面に遮光膜21を形成することによって、固体撮像素子10となる基板W3を製造することができる。
なお、固体撮像素子10となるデバイス工程S5における熱処理条件は、図6に示す各条件に対応するものである。
具体的には、エピタキシャル層W0aを成膜したシリコン基板W1に対して、図6に示すinitialから、step1、step2、step3、step4、step5のそれぞれが、フォトダイオードおよび転送用のトランジスタ形成工程の各工程が終了した時点に対応するといえる。
また、エピタキシャル層W0aの厚さは、デバイスが固体撮像素子とされる場合、素子の分光感度特性を向上させる理由から、2〜10μmの範囲とすることが好ましい。
シリコンウェーハW2にデバイス工程においてエピタキシャル層W0aに埋め込み型フォトダイオードを形成することによって、固体撮像素子となる。
なお、酸化膜W0bおよび窒化膜W0cの厚みは、転送トランジスタの駆動電圧を設計する際の制約から、それぞれ酸化膜W0bを50〜100nm、および、窒化膜W0c、具体的には固体撮像素子におけるポリシリコンゲート膜W1bを1.0〜2.0μmとすることが好ましい。
上記のデバイス工程S5においては、例えば、ゲート酸化膜形成工程、素子分離工程およびポリシリコンゲート電極形成などの工程において、600℃〜1000℃程度の熱処理が行われるのが通例であり、この熱処理において、上述した酸素析出物W07の析出を図ることができ、以降の工程においてゲッタリングシンクとして作用させることができる。
なお、これらのデバイス工程S5における熱処理条件は、図6に示す各条件に対応することができる。
以下、ポストアニール工程S4において、熱処理条件を設定する方法について説明する。
固体撮像素子の製造においては、素子のスペックとして、白傷欠陥(WSホワイトスポット)発生数の管理が重要である。この白傷欠陥は、製造工程中の重金属汚染によって発生する可能性があり、汚染した重金属をシリコン基板内のゲッタリングシンクでゲッタリングすることが重要である。このゲッタリングシンクは、スライス基板となるシリコン単結晶引き上げ時において設定される窒素濃度、酸素濃度、ドーパント濃度、および、ポストアニール工程S4における熱処理条件によって、発生状況を制御することが可能である。
このため、最初に設定された白傷欠陥の許容範囲に対して、まず、図7に示すように、シリコン単結晶引き上げ工程S1において、複数の条件の単結晶を引き上げる。図7に示す例では、酸素濃度Oiが一定とされるとともに、それぞれ、窒素濃度Nsが5×1011atoms/cm〜10×1011atoms/cm、1×1013atoms/cm、5×1011atoms/cm〜10×1014atoms/cmのように、結晶軸方向(成長方向)に濃度を変化させる。また、図示しないが、図7と同様にして窒素濃度を変化させるとともに、図7に示した例とは異なる酸素濃度Oi(一定)を有する単結晶を同様にして引き上げる。
これらの単結晶から、ウェーハ加工工程S2として、それぞれ異なる窒素濃度、酸素濃度を有するシリコン基板をスライスし、エピタキシャル層成膜工程S3として上述のようにエピタキシャル膜を成膜する。その後、まず、予め設定した初期ポストアニール条件により、ポストポルトアニール工程S4をおこない、デバイス工程S5により、デバイスである固体撮像素子を製造し、これらのデバイスにおいて、白傷欠陥WSの発生数を単面積あたりまたは単位素子(画素)数あたりの発生数(密度)として測定する。
すると、ポストアニール工程の条件により、白傷欠陥WSの発生数が低下する。図8で図に実線で示すポストアニールをおこなわない場合に比べて、図8で図に一点鎖線で示すように、ポストアニールをおこなった場合には、白傷欠陥の発生数WSは低下する。ここで、横軸であるポストアニール条件とは、温度・時間等の条件をまとめて、析出がどのような状態になるかにあわせて設定される。なお、図8において、N6,N7,N10はそれぞれ、図7に示した窒素濃度の単結晶位置からスライスしたウェーハに対応するものである。
次いで、これらの結果から、図8にWS−10として示す最初に設定された白傷欠陥の許容範囲(この場合は上限値であり例えば、10個/単位画素数)に対して、これを超えた白傷欠陥が発生したポストアニールの条件を除いて、ポストアニールの条件を設定し、これをポストポルトアニール工程S4にフィードバックする。
このとき、酸素濃度Oi、窒素濃度Nsを振った場合に図8と同様に白傷欠陥発生数WSが変化するため、この値も考慮して、ポストアニール工程S4の条件を設定する。なお、図9は、酸素濃度Oiを固定して窒素濃度Nsを変化させた場合の例である。
この例では、白傷欠陥発生数の最小値WSminとなる窒素濃度Ns−mを最適値とすることができる。
本実施形態のシリコン基板では、インゴット引き上げ時に窒素をドープして酸素濃度を所定の範囲とし、ポストアニール工程S4として上述した条件で熱処理をおこなうことで、ゲッタリングシンクとなる析出物のエンハンスを促進することにより、DZ層下のバルクにおいてIG能を有することができるので、デバイス工程における充分なゲッタリング能を有する状態を維持することが可能なため、白傷欠陥の発生を抑制することができるシリコン基板とすることが可能である。
また本発明の基板は、例えば、NAND-FLASHあるいはNOR-FLASHなどのMulti Chip Package(MCP)用のウェーハとしての利用等が可能である。この場合もデバイス構造はCMOSであることから前述したドーパント濃度、窒素濃度、酸素濃度の範囲にてIGによる高ゲッタリング能力の維持が可能である。
なお、ポストアニール工程S4における析出物への影響としては、p型のドーパントが高濃度の基板と比べて、本実施形態のようにp型ドーパント濃度が低い場合あるいはn型ドーパントの基板である場合には、後工程の低温デバイス工程とされる熱処理によって基板中に析出物が析出する際に、その密度は増加するがサイズが小さく充分なゲッタリングシンクとすることができず、充分なゲッタリング能を呈することができない。この影響を低減してゲッタリング能を付与するために、このポストアニール工程S4により、窒素・酸素による複合欠陥形成を促進することが重要である。
このようなゲッタリング能としては、基板表面における重金属汚染発生の程度を仮定し、その後の熱処理によってこの重金属が拡散しても、白傷欠陥が生じることが無いようにその範囲が設定される。
このような条件としては、例えば、Niを汚染源として汚染レベル1×1012atoms/cm程度とした場合、あるいは、Cuを汚染源として汚染レベル1×1013atoms/cm程度とした場合のいずれにもおいても、図6に示す各条件に対応するデバイス工程での熱処理条件を経た後に、表面汚染レベルが検出限界(Niでは1×1010atoms/cm 、Cuでは1×10atoms/cm)にまで低減するだけのゲッタリング能を有する状態として設定されることができる。この場合、上記のゲッタリング能を呈するために必要なイントリンシックゲッタリングシンクとしてシリコン基板W0中に存在する前記BMDサイズ・密度を上述した範囲とすることができる。
さらに、高濃度B(ボロン)ドープしたシリコン単結晶では、ボロン濃度の低い状態、あるいは、P(リン)などの他のドーパントに比べて熱処理による酸素析出物の凝集が起こりやすい。これは、高濃度ボロンおよび酸素などの不純物がクラスタリングし酸素析出物の核とする欠陥を形成しやすいためと考えられる。さらに、このようなボロン起因の熱処理による酸素析出物の凝集は、高酸素濃度のシリコン結晶中において顕著である。したがって、本願発明は、このような高濃度ボロンドープシリコン基板ではなく、低いボロン濃度のシリコン基板、あるいは、ボロン以外のリンなどをドープした基板に適応することができるものである。
また、エピタキシャル層成膜工程S3より後に、ポストアニール工程S4をおこなうことにより、アニール時において、基板裏面にキズが発生してしまうことを防止することができる。
また同時に、エピタキシャル層成膜工程S3より後に、ポストアニール工程S4をおこなうことにより、窒素・酸素の複合体形成が不足し、基板の金属汚染が生じた場合に充分なゲッタリング能を発現できない状態を防止することができるとともに、酸素析出物の凝集が過剰におこり、結果的に、ゲッタリングシンクの密度が足りなくなる状態を防止することができる。
発明者らは、窒素、酸素およびボロンの状態・振る舞いを分析・検討した結果、B濃度が抵抗率8mΩcm〜10mΩcmに相当する濃度、窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cm(ASTM F123-1981)、初期酸素濃度が1.4×1018〜1.6×1018atoms/cm(ASTM F123-1979)という条件で引き上げたシリコン単結晶において、ウェーハに加工してエピタキシャル層を成膜し、600〜800℃とする熱処理工程を経れば、BMDの大きさ・密度として、重金属のゲッタリングに必要なゲッタリングシンクを形成可能で、充分なゲッタリング能を有するためのシリコン基板を製造可能であることを見出した。
以下、本発明において、高いゲッタリング能を呈すると考えられるモデルについて説明する。
ドーパント(B)濃度が、1×1015atoms/cm程度(0.5〜5×1015atoms/cm)とされて、抵抗率が10Ωcm程度となっているp−基板においては、窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cmとして窒素をドープした場合において、酸素濃度を1.4〜1.6×1018atoms/cm程度とする。すると、このような基板で、ポストアニール工程S4において、ペアリングしやすいのは窒素−酸素であると考えられる。したがって、シリコン結晶中においてゲッタリングシンクに関係する結合状態としては、窒素−酸素ペアが形成されることになると考えられる。
ここで、窒素はシリコンよりも原子半径は小さいので、シリコンの格子点に入ると、その付近がひずみ、歪み場が形成されることになる。この状態の基板にポストアニール工程S4あるいはこれに加えてデバイス製造工程での熱処理等をおこなうことで、窒素−酸素ペア付近の歪み場に格子間の酸素が集まり、BMDが形成されることになる。このように、デバイス領域あるいは重金属汚染が起こりやすいウェーハ表面に近い位置で、Nがシリコン基板中にドープされており、その付近がひずんでいるため、重金属が拡散してゲッタリングされることで、その結果、ゲッタリング効果が得られる。つまり、窒素−酸素ペアがあることによって、酸素析出物の核生成中心(ニュークリエーションセンター)になる。
なお、上記の複合体形成には、シリコン結晶中の空孔(Vacancy)と格子間型シリコン(Interstitial−Si)も関与していることが予想される。
また、本発明では、これらの析出核をボロン・窒素・酸素による複合欠陥とする。
また、デバイス像素子の製造においては、重金属汚染を防止することが非常に重要であるため、上記のB、OによるIGに、さらに、EGとしてのテクスチャを基板裏面に形成することで、結果的に充分なゲッタリング能を得ることができる。
さらに、ポストアニール工程S4を施した上記のシリコン基板はその強力なゲッタリング特性のため、重金属汚染に敏感な素子用のシリコン基板として有効である。また、電子デバイス製造工程においては配線ルールの微細化が進展するほどシリコン基板の平坦度がデバイス歩留に影響するため、高平坦度が求められる。本発明のように、窒素ドープした高ボロン濃度のp+基板であれば、平坦度の悪化するPBSを形成することなしに、充分なゲッタリング能を有することが可能となる。
さらに、デバイス製造工程開始前までに充分なゲッタリング効果を発現し、デバイス工程中にこれを維持することが必要であるため、p型シリコン基板の製造工程においては、窒素をドープしない場合に、析出エンハンスを上げるために酸素濃度を10〜20×1018atoms/cm程度と高くすることが好ましい。しかし、このように基板中の酸素濃度を高くすると、エピタキシャル層にまで転位が伸展したエピ欠陥の発生が懸念される。これに対し、本発明のように、上記の濃度としてNをドープしポストアニール工程S4をおこなうことで、0.5μm程度以上の大きなスタッキングフォールト(SF)の発生を抑制する効果がある。
さらに、本発明のように、上記の濃度として窒素をドープすることで、析出核からの2次欠陥の伸展を抑制することもできる。これは、大きさ0.5〜5μmの析出物では発生した歪みを解放するために、この歪み場の付近に2次転位が発生するが、上記のようにNをドープすることで、大きさ0.5〜100nmの析出物を多数形成することができるため、歪みを解放したとしても、小さな2次転位しか発生せず、ポストアニール工程S4を経ることで、エピタキシャル層まで転位が伸展することがないためである。しかも、このように小さな析出核を密度1.0×1010〜1.0×1013/cm程度に多数存在させることができるので、充分なゲッタリング能を発現することが可能となる。
さらに、本発明は、シリコン結晶に窒素を5.0×1012〜1.0×1014atoms/cmの範囲で添加した場合、結晶成長過程において窒素、ボロンまたは酸素を核とするゲッタリングシンクが形成され、これらは高温熱処理でも安定に存在しエピタキシャル成長後においても存在しうる。したがって、エピタキシャル成長直後から酸素析出の核として作用しデバイス熱処理工程で成長しデバイス熱処理工程での重金属汚染に対してゲッタリングシンクとして有効に働く。
本発明においては、CZ法によりボロン(B)濃度が抵抗率8mΩcm〜10mΩcmに相当する濃度、窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cm(ASTM F123-1981)、初期酸素濃度が1.4×1018〜1.6×1018atoms/cm(ASTM F123-1979)を有するシリコン単結晶を引き上げる工程と、
引き上げたシリコン単結晶からスライスしたシリコン基板に、酸素析出物を形成する熱処理をおこなう熱処理工程とを有することができる。
本発明は、前記酸素析出物を形成する熱処理を温度600℃〜800℃、処理時間0.25時間〜3時間、酸素と、アルゴンまたは窒素等の不活性ガスとの混合雰囲気中でおこなうことができる。
また、本発明において、前記酸素析出物を形成する熱処理を行う前に、前記スライスしたシリコン基板表面にB濃度が抵抗率0.1〜100Ωcmのシリコンエピタキシャル層を成膜する工程を有することが好ましい。
さらに、本発明は、前記シリコン単結晶を育成する際の不活性雰囲気ガス中に水素を添加することが可能であり、この際、前記シリコン単結晶を引き上げる工程における不活性ガスに水素を添加した雰囲気の気圧を、減圧の1.33kPa〜26.7kPaとし、前記雰囲気中の水素ガス濃度を3体積%〜20体積%とすることができる。
また、本発明のシリコン基板は、上記のいずれか記載の製造方法により製造されたものであって、
イントリンシックゲッタリングシンクとなるBMDのうち、大きさ10〜100nmのものが密度1.0×10〜1.0×1011個/cm存在する手段を採用することもできる。
なお、この場合のBMDサイズとは、シリコン基板の厚み方向断面のTEM観察像における析出物の対角線長を意味し、該観察視野内の析出物の平均値で示すこととする。
本発明において、固体撮像素子のシリコン基板としては、固体撮像素子の埋め込み型フォトダイオードの直下となる位置に大きさ10〜100nmのBMDが密度1.0×10〜1.0×1011個/cmで存在するゲッタリング層が形成されたシリコン基板であって、
上記の製造方法により製造されたシリコン基板の直上にボロン(B)濃度が抵抗率0.1〜100Ωcmとされたシリコンエピタキシャル層が形成され、
前記エピタキシャル層の直下には、前記ゲッタリング層が設けられてなることができる。
なお、シリコン基板として、p+型が望ましい理由は、デバイス設計上の理由として、デバイスが動作する場合に生じる浮遊電荷が意図しなかった寄生トランジスタを動作させてしまう、いわゆるラッチアップ現象をp+ウェーハ(シリコン基板)を用いることで防止でき、デバイスの設計が容易になることがある。また、トレンチ構造のキャパシタを用いる場合にトレンチ周辺の電圧印加時の空乏層広がりがp+ウェーハの場合は防止できる利点がある。
W0,W1…シリコン基板
W0a…エピタキシャル層

Claims (2)

  1. CZ法により窒素濃度が5.0×1012〜1.0×1014atoms/cm(ASTM F123-1981)、初期酸素濃度が1.4×1018〜1.6×1018atoms/cm(ASTM F123-1979)としてシリコン単結晶を育成し、
    該シリコン単結晶をスライスして、その表面にエピタキシャル層を形成した後、ポストアニール工程として、600〜850℃の熱処理を施すことを特徴とするシリコン基板の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により製造されたことをと特徴とする固体撮像素子用のシリコン基板。
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