JP2011022742A - 無線タグ通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で複雑な制御を必要とすることなく、特定の領域に存在する無線タグ装置と通信を行うことができる無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】第1アンテナA及び第2アンテナBのうちいずれか一方から「Query」コマンドを送信し、残りの他方から「QueryRep」コマンドを送信する。このとき、それら第1アンテナA及び第2アンテナBの通信可能領域21,22の一部重なる重複通信可能領域23が、検出可能エリアAR内を順次移動するように送信出力を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子に対し無線通信を行う無線タグ通信装置に関する。
近年、情報を記憶する無線タグ回路素子と無線タグ通信装置との間で非接触で情報の送受信を行うRadio Frequency Identification(RFID)システムが様々な分野において実用化されている。
上記RFIDシステムを用いる場合において、特定の領域におけるタグの存在の有無を確認する場合等、特定の領域に存在する無線タグ回路素子のみと通信を行いたい場合がある。従来、このような場合に用いる無線タグ通信装置として、位相制御やアンテナ可動構造によりアンテナの指向性を制御するものがある。この無線タグ通信装置によれば、特定の方向の無線タグ回路素子のみと通信を行うことができる。
また、複数のアンテナを切り替えつつ通信を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。この無線タグ通信装置によれば、複数のアンテナを切り替えて各々通信を行うことにより、各アンテナの通信領域内に存在する無線タグ回路素子のみと通信を行うことができる。
特開2007−129680号公報
上述したアンテナの指向性を制御する無線タグ通信装置では、通信する方向を特定できるに留まり、特定の領域に存在する無線タグ回路素子のみとピンポイントで通信を行うことはできない。また、複数のアンテナを切り替えて通信を行う無線タグ通信装置では、特定の領域に存在する無線タグ回路素子のみとピンポイントで通信を行うためには多数のアンテナが必要となるため、構成及び制御が複雑化するという問題があった。
本発明の目的は、簡易な構成で複雑な制御を必要とすることなく、特定の領域に存在する無線タグ回路素子と通信を行うことができる無線タグ通信装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1発明の無線タグ通信装置は、情報を記憶する記憶部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた複数の無線タグ装置に対し無線通信を行う無線タグ通信装置であって、送信出力が可変である第1通信アンテナ及び第2通信アンテナと、前記無線タグ装置に対し、応答準備を指示する準備指示コマンドを、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナのうちいずれか一方を用いて送信する準備指示コマンド送信手段と、前記無線タグ装置に対し、応答を指示する応答指示コマンドを、前記準備指示コマンドの送信タイミングと時間的に重ならないタイミングで、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナのうちいずれか他方を用いて送信する、応答指示コマンド送信手段と、前記準備指示コマンドを送信するときの通信範囲と、前記応答指示コマンドを送信するときの通信範囲とが、互いに一部重なるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御する出力制御手段とを有し、前記準備指示コマンドと前記応答指示コマンドを受信した場合に、前記記憶部に記憶した情報を送信する前記複数の無線タグ装置に対し無線通信を行うことを特徴とする。
本願第1発明の通信対象とする無線タグ装置は、無線タグ通信装置から2種類のコマンドを受信したら応答を行う。このような無線タグ装置の特性を利用し、本願第1発明の無線タグ通信装置では、上記2種類のコマンドを別々のアンテナから送信する。すなわち、指示コマンド送信手段は、第1通信アンテナ及び第2通信アンテナのうちいずれか一方から準備指示コマンドを送信し、残りの他方から応答指示コマンドを送信する。このとき、出力制御手段が、それら第1通信アンテナ及び第2通信アンテナの通信範囲を、互いに一部重なるように制御する。これにより、複数の無線タグ装置のうち、上記の一部重なる通信範囲に限定的に存在していた無線タグ装置のみが、準備指示コマンド及び応答指示コマンドの両方を受信することができ、当該無線タグ装置のみが無線タグ通信装置に対する応答を実行する。
以上のようにして、本願第1発明によれば、指示コマンド送信手段による上記コマンドごとのアンテナ切替制御と出力制御手段による通信範囲の制御とを実行し、上述した一部重なる通信範囲を限定的に絞り込むことができる。これにより、広い範囲に複数の無線タグ装置が存在しているような場合でも、上記絞り込んだ範囲にある無線タグ装置に対してのみ情報送受信を行うことができる。これにより、簡易な構成で複雑な制御を必要とすることなく、特定の領域に存在する無線タグ装置と通信を行うことができる。
第2発明の無線タグ通信装置は、上記第1発明において、前記出力制御手段は、前記準備指示コマンドを送信するときの通信範囲と前記応答指示コマンドを送信するときの通信範囲とが重なる部分である目標通信領域を移動させるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御することを特徴とする。
これにより、広い範囲に複数の無線タグ装置が存在しているような場合でも、当該広い範囲を包含するように目標通信領域を移動させることで、当該広い範囲内に存在する全ての無線タグ装置に対し通信を行うことができる。また、目標通信領域を移動させながら、各移動位置における無線タグ装置の送受信結果を確認することで、無線タグ装置の存在位置を特定することが可能となる。
第3発明の無線タグ通信装置は、上記第2発明において、前記出力制御手段は、前記準備指示コマンドを送信するときの送信出力を順次減少又は増大しつつ、これに対応して前記応答指示コマンドを送信するときの送信出力を順次増大又は減少することにより、前記目標通信領域を移動させることを特徴とする。
本願第3発明によれば、準備指示コマンドの送信出力を順次減少しつつ応答指示コマンドの送信出力を順次増大することにより、応答指示コマンドを送信するアンテナ側から準備指示コマンドを送信するアンテナ側へと目標通信領域を移動させることができる。一方、準備指示コマンドの送信出力を順次増大しつつ応答指示コマンドの送信出力を順次減少することにより、準備指示コマンドを送信するアンテナ側から応答指示コマンドを送信するアンテナ側へと目標通信領域を移動させることができる。
第4発明の無線タグ通信装置は、上記第2又は3発明において、前記目標通信領域ごとに、前記応答指示コマンドによる前記無線タグ装置の応答の有無を判定する判定手段と、前記目標通信領域ごとの前記判定手段の判定結果に対応した報知を行う報知手段とをさらに備えたことを特徴とする。
これにより、操作者は、通信目標とする目標通信領域ごとに、無線タグ装置の送受信結果を確認することができる。この結果、無線タグ装置からの応答があった場合には、操作者は、当該応答した無線タグ装置の存在位置を確実に把握することができる。
第5発明の無線タグ通信装置は、上記第4発明において、前記出力制御手段は、前記目標通信領域を順次移動させるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御し、前記判定手段は、前記順次移動する前記目標通信領域ごとに、前記応答指示コマンドによる前記無線タグ装置の応答の有無を判定し、前記報知手段は、前記順次移動する前記目標通信領域ごとの前記判定手段の判定結果に対応した報知を行うことを特徴とする。
これにより、操作者は、目標通信領域を順次移動させながら、各目標通信領域ごとに無線タグ装置の送受信結果を確認することができる。この結果、広い範囲に複数の無線タグ装置が存在しているような場合でも、操作者は、当該広い範囲を小さな領域に分割しつつ、その小領域ごとに無線タグ装置の存在の有無を確認することで、無線タグ装置の存在位置を特定することができる。また、目標通信領域の移動量の大小に応じて、無線タグ装置の存在位置の特定精度を調節することが可能となる。すなわち、目標通信領域の移動量を小さく設定することにより無線タグ装置の存在位置を細かく特定でき、目標通信領域の移動量を大きく設定することにより無線タグ装置の存在位置を大まかに特定することができる。
第6発明の無線タグ通信装置は、上記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記出力制御手段は、前記準備指示コマンドを送信するときの送信出力が、前記応答指示コマンドを送信するときの送信出力よりも大きくなるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御することを特徴とする。
一般に、応答指示コマンドは個別に無線タグ装置と通信を行うため、準備指示コマンドよりも電波送出時間が長くなる傾向がある。したがって、本願第5発明のように準備指示コマンドの送信出力を応答指示コマンドの送信出力よりも大きくすることにより、無線タグ通信装置の消費電力を抑制することができる。
第7発明の無線タグ通信装置は、上記第6発明において、前記出力制御手段は、前記通信範囲のうち、前記第1通信アンテナよりも前記第2通信アンテナに近い領域に前記目標通信領域を形成する場合には、前記第1通信アンテナから出力する準備指示コマンドの送信出力が、前記第2通信アンテナから出力する前記応答指示コマンドの送信出力よりも大きくなるように制御し、前記通信範囲のうち、前記第2通信アンテナよりも前記第1通信アンテナに近い領域に前記目標通信領域を形成する場合には、前記第2通信アンテナから出力する準備指示コマンドの送信出力が、前記第1通信アンテナから出力する前記応答指示コマンドの送信出力よりも大きくなるように制御することを特徴とする。
これにより、準備指示コマンドの送信出力を応答指示コマンドの送信出力よりも確実に大きくなるように制御しつつ、第1通信アンテナ及び第2通信アンテナの通信範囲の全体に亘って目標通信領域を順次移動させ、無線タグ装置の探索を行うことができる。
第8発明の無線タグ通信装置は、上記第1乃至第7発明のいずれかにおいて、前記第1通信アンテナを用いて通信を行っている間、前記第2通信アンテナへの通電を停止するか、若しくは、前記第2通信アンテナを用いて通信を行っている間、前記第1通信アンテナへの通電を停止する、通電制御手段を有することを特徴とする。
稼働していないアンテナの通電を停止することで、無駄なエネルギ消費を防止することができる。
本発明によれば、簡易な構成で複雑な制御を必要とすることなく、特定の領域に存在する無線タグ装置と通信を行うことができる。
本実施形態のリーダの概略を表すシステム構成図である。 無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表すブロック図である。 リーダと1つの無線タグ回路素子との間で送受される信号のタイムチャートの一例を表す図である。 第1アンテナ及び第2アンテナによる送信出力を段階的に変化させることによって、重複通信可能領域が順次移動される様子を表す図である。 図4に示す動作をリーダに行わせるための通信パラメータ等の設定内容を表す動作テーブルである。 制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。 ステップS100の通信処理の詳細内容を表すフローチャートである。 報知部による報知内容の一例を表す図である。 Queryコマンドの送信出力をQueryRepコマンドより大きくする変形例の動作テーブルを表す図である。 アンテナを横並びに配置する変形例のリーダの概略を表すシステム構成図である。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のリーダ100の概略を表すシステム構成図である。
リーダ100(無線タグ通信装置)は、後述する2種類のコマンドを別々のアンテナA,Bから送信することにより、特定の領域に存在する無線タグ回路素子To(無線タグ装置)に対しピンポイントで無線通信を行うものである。このリーダ100は、リーダ本体10と、送信出力を可変させて通信可能な第1アンテナA(第1通信アンテナ)及び第2アンテナB(第2通信アンテナ)とを有している。第1アンテナAと第2アンテナBとは、それぞれの通信可能領域21,22(通信範囲)を互いに一部重ねることが可能なように、所定範囲の検出可能エリアARを挟んでメインローブ方向が対向するように設置されている。検出可能エリアARは、アンテナA,Bによる送信出力を可変することにより順次移動される、上記通信可能領域21,22が重なる部分である重複通信可能領域23(目標通信領域)に基づいてその範囲が決まるものであり、リーダ100はこの検出可能エリアAR内に存在する全ての無線タグ回路素子Toに対し通信することができる。
リーダ本体10は、制御回路11と、高周波回路12と、切替スイッチ13と、報知部14(報知手段)とを有している。制御回路11は、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに、無線タグ回路素子Toへアクセスするための各種コマンドを生成する。高周波回路12は、上記各種コマンドに基づき、第1アンテナA又は第2アンテナBを介し無線タグ回路素子Toに記憶されたタグ情報へアクセスする。このタグ情報にはタグIDが含まれる。切替スイッチ13は、制御回路11の制御に基づき、第1アンテナAと第2アンテナBとの切替を行う。報知部14は例えば液晶表示部等であり、第1アンテナA及び第2アンテナBによる無線通信結果を操作者に対し報知する。
制御回路11は、無線タグ回路素子Toに対し、応答準備を指示する準備指示コマンドとしての「Query」コマンドを、第1アンテナA及び第2アンテナBのうちいずれか一方を用いて送信するとともに、無線タグ回路素子Toに対し、応答を指示する応答指示コマンドとしての「QueryRep」コマンドを、上記「Query」コマンドの送信タイミングと時間的に重ならないタイミングで、第1アンテナA及び第2アンテナBのうちいずれか他方を用いて送信するように、高周波回路12及び切替スイッチ13を制御する。またこのとき、「Query」コマンドを送信するときの通信可能領域と「QueryRep」コマンドを送信するときの通信可能領域とが重なる部分である上記重複通信可能領域23が、検出可能エリアAR内を順次移動するように、第1アンテナA及び第2アンテナBそれぞれの送信出力を可変制御する。この制御内容の詳細については後述する。
図1に示す例では、検出可能エリアAR内に7つの無線タグ回路素子To−1〜To−7が存在し、当該検出可能エリアARを10の領域に分割した場合に、無線タグ回路素子To−1が領域2、無線タグ回路素子To−2が領域4、無線タグ回路素子To−3が領域5、無線タグ回路素子To−4,To−5が領域6、無線タグ回路素子To−6が領域8、無線タグ回路素子To−7が領域9に位置し、領域1,3,7,10には無線タグ回路素子Toが存在していない。なお、ここに示す検出可能エリアARの分割数は一例であり、アンテナA,Bによる送信出力を段階的に変化させる際の当該段階の数に応じて定まるものである。また各無線タグ回路素子Toは所定の物品等に添付され使用されるものであるが、本実施形態では添付対象についての記載を省略する。
図2は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図2において、無線タグ回路素子Toは、リーダ100の第1アンテナA又は第2アンテナBと非接触で信号の送受信を行うタグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続されたIC回路部150(記憶部)とを有している。
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、タグアンテナ151に接続された変復調部156と、リーダ100からの応答要求コマンドの受信時に当該無線タグ回路素子Toが応答信号をどの識別スロットに出力するかを決定するための乱数を発生させる乱数発生器158と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、乱数発生器158、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
変復調部156は、タグアンテナ151により受信されたリーダ100の第1アンテナA又は第2アンテナBからの質問波の復調を行い、また、制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波として送信する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、当該クロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
乱数発生器158は、リーダ100からの応答要求コマンドに指定されているスロット数指定値Qに対し、0から2−1までの乱数を発生させる。
制御部157は、変復調部156により復調された受信信号を解釈し、メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を乱数発生器158により発生させた乱数に対応する識別スロットで変復調部156によりタグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
次に、リーダ100と無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号とその送受方法について、国際規格ISO/IEC18000−6 TypeCのプロトコルを例に挙げて説明する。図3は、リーダ100と1つの上記無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を表す図である。ここでは、「Query」コマンドを第1アンテナAを用いて送信し、「QueryRep」コマンドを第2アンテナBを用いて送信する場合を一例として示しており、図3(a)が第1アンテナAによる無線通信、図3(b)が第2アンテナBによる無線通信に対応している。なお、この図3に示す信号の送受方法は、公知のRandom−Slotted Collision arbitration方式に基づくものであり、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。また、リーダ100と無線タグ回路素子Toとの間に記載されている矢印は信号の送信方向を示しており、送信相手が不特定である場合には破線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
図3(a)に示すように、リーダ100はまず最初に第1アンテナAに切り替え、設定された送信出力で通信可能領域21内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンドを送信する。この「Select」コマンドは、それ以降にリーダ100が無線通信を行う無線タグ回路素子Toの条件を指定するコマンドである。この「Select」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toのうちで、指定された条件を満たす無線タグ回路素子Toだけがその後に無線通信を行える状態となる。
次にリーダ100は、無線タグ回路素子Toに対してタグ情報を応答発信させるよう要求する前述した「Query」コマンドを送信する。この「Query」コマンドには、所定の数で指定するスロット数指定値Qが含まれている。高周波回路12から第1アンテナAを介し「Query」コマンドが送信されると、各無線タグ回路素子Toは0から2−1までの乱数を乱数発生器158により生成し、スロットカウント値SCとして保持する。なお、乱数を生成して無線タグ回路素子Toに上記スロットカウント値SCを保持させることが、特許請求の範囲に記載の「応答準備を指示する」に相当する。
そしてリーダ100は「Query」コマンドを送信後、所定の識別スロットで無線タグ回路素子Toからの応答を待ち受ける。この識別スロットとは、この「Query」コマンド、または後述する「QueryRep」コマンドを始めに送信してから所定の期間で区分される時間枠である。識別スロットは、通常、所定回数としての「Query」コマンドの第1識別スロット1回と「QueryRep」コマンドの第2以降の識別スロット2−1回の計2回が連続して繰り返される。
そして、図示の例のように無線タグ回路素子Toでスロットカウント値SCとして値0を生成したものは、この「Query」コマンドを含んだ第1識別スロットで応答する。このとき、当該無線タグ回路素子Toはタグ情報を送信する許可を得るための例えば16ビットの擬似乱数を用いた「RN16」コマンドを応答信号としてリーダ100へ送信する。そして、この「RN16」コマンドを受信したリーダ100は、この「RN16」コマンドに対応する内容でタグ情報の送信を許可する「Ack」コマンドを送信する。この「Ack」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toは、その無線タグ回路素子To自身が先に送信した「RN16」コマンドと受信した「Ack」コマンドが対応していると判断した場合に、当該無線タグ回路素子Toの個体がタグ情報の送信を許可されたものとみなしてタグ情報を送信する。このようにして、一つの識別スロットにおける信号の送受信が行われる。
その後、リーダ100は第2アンテナBに切り替え、2番目以降の識別スロットにおいて、設定された送信出力で通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対し前述した「QueryRep」コマンドを送信し、当該識別スロット時間枠で無線タグ回路素子Toからの応答を待つ。「QueryRep」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toは自身の上記スロットカウント値SCの値を一つだけ減算して保持し、当該スロットカウント値SCが値0になった時点の識別スロットで上記「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信をリーダ100との間で行う。なお、無線タグ回路素子Toにスロットカウント値SCの値を減算させつつ当該スロットカウント値SCが0になった時に応答させることが、特許請求の範囲に記載の「応答を指示する」に相当する。
なお、各識別スロットでスロットカウント値SCが0となる無線タグ回路素子Toがない場合には、「Query」コマンド又は「QueryRep」コマンド以外の送受信が行われないまま所定の時間枠でその識別スロットを終了する。特に、最初の「Query」コマンドの受信により無線タグ回路素子Toが乱数発生器158で値0を直接生成する確率は極めて低い。このため、通常は上記第1識別スロットでは無線タグ回路素子Toからの応答はなく、第2識別スロット以降において初めて無線タグ回路素子Toからの応答があり、上記「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信が行われ、リーダ100によりタグ情報が読み取られるものである。したがって、各無線タグ回路素子Toは、「Query」コマンドを受信した後さらに「QueryRep」コマンドを受信した場合に、タグ情報をリーダ100に対し送信するようになっている。
図4は、第1アンテナA及び第2アンテナBによる送信出力を段階的に変化させることによって、重複通信可能領域23が順次移動される様子を表す図である。なお、この図4では、前述の図3と同様に第1アンテナAで「Query」コマンドを送信し、第2アンテナBで「QueryRep」コマンドを送信する場合を示しており、また各無線タグ回路素子To−1〜To−7の配置関係は前述の図1と同様である。
図4(a)に示すように、リーダ100は、まず送信出力を「10」に設定し、第1アンテナAから通信可能領域21内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンド及び「Query」コマンドを送信する。次に送信出力を「1」に設定し、第2アンテナBから通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対して第2アンテナBから「QueryRep」コマンドを送信する。
なお、ここでいう送信出力の値は、当該アンテナの通信可能領域が到達可能な分割領域数を示すものであり、例えば第1アンテナAの出力が上記「10」に設定された場合には、当該第1アンテナAの通信可能領域21は図4(a)に示すように領域1から領域10までの範囲となり、第2アンテナBの出力が上記「1」に設定された場合には、当該第2アンテナBの通信可能領域22は図4(a)に示すように領域10のみの範囲となる。以下の説明でも同様である。
この場合、重複通信可能領域23は領域10部分に形成されることになるが、領域10には無線タグ回路素子Toが存在しないため、無線タグ回路素子Toは検出されない。
次に、図4(b)に示すように、リーダ100は送信出力を上記「10」より所定量減少させて「9」に設定し、第1アンテナAから通信可能領域21内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンド及び「Query」コマンドを送信する。次に送信出力を上記「1」より所定量増大させて「2」に設定し、第2アンテナBから通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「QueryRep」コマンドを送信する。この場合、重複通信可能領域23は領域9部分に形成されることになり、領域9には無線タグ回路素子To−7が存在するため、当該無線タグ回路素子To−7から応答がある。そして、上記「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信が行われ、無線タグ回路素子To−7のタグ情報が読み取られる。これにより、無線タグ回路素子To−7が領域9に存在することが検出される。
次に、図4(c)に示すように、リーダ100は送信出力を上記「9」より所定量減少させて「8」に設定し、第1アンテナAから通信可能領域21内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンド及び「Query」コマンドを送信する。次に送信出力を上記「2」より所定量増大させて「3」に設定し、第2アンテナBから通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「QueryRep」コマンドを送信する。この場合、重複通信可能領域23は領域8部分に形成されることになり、領域8には無線タグ回路素子To−6が存在するため、当該無線タグ回路素子To−6から応答がある。そして、上記「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信が行われ、無線タグ回路素子To−6のタグ情報が読み取られる。これにより、無線タグ回路素子To−6が領域8に存在することが検出される。
なお上記において、第2アンテナBから「QueryRep」コマンドを送信した際に、通信可能領域22内に無線タグ回路素子To−7が含まれるが、当該無線タグ回路素子To−7はその前に第1アンテナAから「Query」コマンドを受信していないため、応答することはない。
同様の手順を繰り返すことにより、最終的には図4(d)に示すように、リーダ100は送信出力を順次減少させて最小出力「1」に設定し、第1アンテナAから通信可能領域21内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンド及び「Query」コマンドを送信する。次に送信出力を順次増大させて最大出力「10」に設定し、第2アンテナBから通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「QueryRep」コマンドを送信する。この場合、重複通信可能領域23は領域1部分に形成されることになるが、領域1には無線タグ回路素子Toが存在しないため検出はされない。
以上のように、リーダ100は第1アンテナA及び第2アンテナBによる送信出力を段階的に変化させることによって、重複通信可能領域23を順次移動し、検出可能エリアAR内に存在する無線タグ回路素子Toの存在位置を特定することができる。
図5は、上記図4に示す動作をリーダ100に行わせるための通信パラメータ等の設定内容を表す動作テーブルである。この動作テーブルは予め設定されており、制御回路11によって読み出し可能に適宜の記憶手段に記憶されている。
図5に示すように、動作テーブルでは、各動作ナンバーごとに、「Query」コマンドを送信するアンテナ及びその送信出力と、「QueryRep」コマンドを送信するアンテナ及びその送信出力と、これにより形成される重複通信可能領域23の位置を表す領域ナンバーとが関連付けられて設定されている。
この動作テーブルは通信開始時に制御回路11によって読み出され、制御回路11は当該動作テーブルの動作ナンバー順に通信パラメータを設定して無線通信を実行する。まず動作ナンバー1では、制御回路11は、送信出力を「10」に設定して第1アンテナAから「Query」コマンドを送信し、送信出力を「1」に設定して第2アンテナBから「QueryRep」コマンドを送信する。これにより、重複通信可能領域23は領域10部分に形成される。この動作は前述の図4(a)に対応する。
動作ナンバー1による無線通信が終了すると、次に動作ナンバー2による無線通信を開始する。すなわち制御回路11は、送信出力を上記「10」より所定量減少させて「9」に設定して第1アンテナAから「Query」コマンドを送信し、送信出力を上記「1」より所定量増大させて「2」に設定して第2アンテナBから「QueryRep」コマンドを送信する。これにより、重複通信可能領域23は領域9部分に形成される。この動作は前述の図4(b)に対応する。
同様に動作ナンバー順に無線通信を繰り返し、最後の動作ナンバー10では、制御回路11は、送信出力を順次減少させて最小出力「1」に設定して第1アンテナAから「Query」コマンドを送信し、送信出力を順次増大させて最大出力「10」に設定して第2アンテナBから「QueryRep」コマンドを送信する。これにより、重複通信可能領域23は領域1部分に形成される。この動作は前述の図4(d)に対応する。
なお、上記図4及び図5では、送信出力を段階的に変化させる際の段階の数を10としているが、これに限るものではない。さらに細かく送信出力を変化させて上記段階の数を大きくすれば、検出可能エリアARを分割する領域の数も大きくなり、無線タグ回路素子Toの存在位置の特定精度を高くすることができる。一方、さらに大まかに送信出力を変化させて上記段階の数を小さくすれば、検出可能エリアARを分割する領域の数も小さくなり、無線タグ回路素子Toの存在位置の特定精度を低くすることができる。したがって、上記送信出力変化の段階の数は、要求される位置特定精度に応じて設定すればよい。
図6は、制御回路11によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
ステップS10では、制御回路11は、通信を開始するか否かを判定する。この判定は、操作者により通信開始指示入力がなされたか否かによって行われる。通信開始指示入力がなされるまでステップS10を繰り返し、通信開始指示入力がなされると判定が満たされてステップS20に移る。
ステップS20では、制御回路11は、上記動作テーブルの動作ナンバーを表す変数Kを1に初期化する。
ステップS30では、制御回路11は、動作テーブルを上述した記憶手段より読み出す。
ステップS100では、制御回路11は、第1アンテナA及び第2アンテナBによる送信出力を段階的に変化させることによって重複通信可能領域23を順次移動し、検出可能エリアAR内に存在する無線タグ回路素子Toの存在位置を特定する通信処理を実行する。
ステップS40では、制御回路11は、上記ステップS100の通信処理による通信結果に基づき、どの無線タグ回路素子Toがどの位置に存在するかを報知部14で報知する。そして、本フローチャートを終了する。
図7は、上記ステップS100の通信処理の詳細内容を表すフローチャートである。
ステップS105では、制御回路11は、上記ステップS30で読み出した動作テーブルから動作ナンバーがKである通信パラメータを抽出し取得する。
ステップS110では、制御回路11は、上記ステップS105で取得した通信パラメータに基づき、切替スイッチ13を制御してアンテナの切り替えを行うと共に送信出力の設定を行う。例えば図5に示す動作テーブルにおいてK=1の場合には、第1アンテナAに切り替えて送信出力を「10」に設定する。
ステップS115では、制御回路11は、第1アンテナA又は第2アンテナBから通信可能領域21又は通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンドを送信する。これにより、指定された条件を満たす無線タグ回路素子Toだけがその後に無線通信を行える状態となる。
ステップS120では、制御回路11は、スロット数指定値Qの値をQmaxに設定する。この設定値Qmaxは、当該通信処理において、どれだけの識別スロット数でタグ情報の検出を行うかを設定するパラメータである。この設定値Qmaxは、検出可能エリアAR内に存在する無線通信が可能であると予想される無線タグ回路素子Toの個数に応じて、あらかじめ設定されている。
ステップS125では、制御回路11は、第1アンテナA又は第2アンテナBから通信可能領域21又は通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対し、タグ情報を応答発信させるよう要求する「Query」コマンドを送信する。この「Query」コマンドには、上記ステップS120で設定したスロット数指定値Qmaxが含まれている。
ステップS130では、制御回路11は、スロット数をカウントするための変数nを1に初期化する。
ステップS135では、制御回路11は、当該識別スロットに対応する所定の受信時間の間に無線タグ回路素子Toからの応答信号として「RN16」レスポンスを正常に受信したか否かを判定する。「RN16」レスポンスを正常に受信しない場合、当該識別スロットで応答する無線タグ回路素子Toが存在しないとみなし、判定が満たされずに後述のステップS155へ移る。一方、「RN16」レスポンスを正常に受信した場合、当該識別スロットで応答する無線タグ回路素子Toが存在するとみなし、判定が満たされてステップS140に移る。
なお、前述したように、最初の「Query」コマンドの受信時に無線タグ回路素子Toが乱数発生器158で値0を直接生成する確率は極めて低いため、「Query」コマンドの受信後で「QueryRep」コマンドの受信前においては、通常は本ステップの判定は満たされずにステップS155に移る。
ステップS140では、制御回路11は、通信可能領域21又は通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対し、上記ステップS135で受信された「RN16」レスポンスに対応する内容でタグ情報の送信を許可する「Ack」コマンドを送信する。
ステップS145では、制御回路11は、上記「Ack」コマンドに対応して無線タグ回路素子Toより返信されたタグ情報を受信する。このタグ情報には、当該無線タグ回路素子Toを識別するタグIDが含まれる。
ステップS150では、制御回路11は、上記ステップS145で受信したタグ情報と、上記ステップS105で取得した通信パラメータに含まれる領域ナンバーとを関連付けて、適宜の記憶手段に記憶する。
ステップS155では、制御回路11は、スロット数をカウントするための上記変数nが2であるか否かを判定する。スロット数が2に達していない場合には、判定が満たされずにステップS160に移る。
ステップS160では、制御回路11は、上記ステップS105で取得した通信パラメータに基づき、切替スイッチ13を制御してアンテナの切り替えを行うと共に送信出力の設定を行う。例えば図5に示す動作テーブルにおいてK=1の場合には、第2アンテナBに切り替えて送信出力を「1」に設定する。
ステップS165では、制御回路11は上記変数nに1を加え、ステップS170では、制御回路11は、次の識別スロットにおいて、第1アンテナA又は第2アンテナBから通信可能領域21又は通信可能領域22内に存在する無線タグ回路素子Toに対し、「QueryRep」コマンドを送信する。そして、先のステップS135に戻る。
一方、上記ステップS155において、スロット数が2に達した場合には、判定が満たされてステップS175に移る。
ステップS175では、制御回路11は、動作テーブルの動作ナンバーを表す上記変数KがKmaxより大きいか否かを判定する。Kmaxは、動作テーブルに含まれる動作ナンバーの最大値であり、例えば図5に示す動作テーブルでは10となる。変数KがKmax以下である場合には、判定が満たされずにステップS180に移り、変数Kに1を加えて先のステップS105に戻る。そして、動作テーブルから次の動作ナンバーに対応する通信パラメータを取得し、再び通信を実行する。一方、上記ステップS175において、変数KがKmaxより大きい場合には、判定が満たされて本フローを終了する。
以上の手順によって、動作テーブルに含まれる各動作ナンバーごとにステップS105〜ステップS170が繰り返され、最後の動作ナンバーによる通信が終了するとステップS175の判定が満たされて通信処理が終了する。また各動作ナンバーごとの通信においては、ステップS110〜ステップS125により第1識別スロットにおける一方のアンテナによる「Query」コマンドの送信が行われ、続くステップS135〜ステップS170の繰り返しにより、第2識別スロット以降における他方のアンテナによる「QueryRep」コマンドの送信が、上記「Query」コマンドの送信タイミングと時間的に重ならないタイミングで連続して行われる。識別スロット数が2に達するとステップS155の判定が満たされて、当該動作ナンバーにおける通信が終了する。
なお、上記において、ステップS110及びステップS125が、特許請求の範囲に記載の準備指示コマンド送信手段を構成し、ステップS160及びステップS170が、応答指示コマンド送信手段を構成し、ステップS110及びステップS160が出力制御手段を構成する。またステップS135が、判定手段を構成する。
図8は、報知部14による報知内容の一例を表す図である。なお、この図8に示す報知内容は、前述の図1及び図4に示す無線タグ回路素子To−1〜To−7の配置関係に対応したものである。
図8に示すように、報知部14による報知内容には、各領域ナンバーごとに無線タグ回路素子Toが検出されたか否か、及び検出された場合にはどの無線タグ回路素子Toであるかが含まれる。なお、タグ情報の部分はタグIDとしてもよいし、当該無線タグ回路素子Toが添付される添付対象に関する情報としてもよい。
以上説明した実施形態においては、リーダ100の通信対象である無線タグ回路素子Toは、リーダ100から2種類のコマンドを受信したら応答を行う。すなわち、リーダ100から「Query」コマンドを受信したら、無線タグ回路素子Toは乱数を発生してスロットカウント値SCを保持し、その後さらにリーダ100から「QueryRep」コマンドを受信するごとにスロットカウント値SCを減算し、当該スロットカウント値SCが0となったら、無線タグ回路素子ToはIC回路部150に記憶したタグ情報をリーダ100に送信して応答を行う。
このような無線タグ回路素子Toの特性を利用し、本実施形態のリーダ100では、上記2種類のコマンドを別々のアンテナA,Bから送信する。すなわち、第1アンテナA及び第2アンテナBのうちいずれか一方から「Query」コマンドを送信し、残りの他方から「QueryRep」コマンドを送信する。このとき、それら第1アンテナA及び第2アンテナBの通信可能領域21,22が互いに一部重なるように送信出力が制御される。これにより、複数の無線タグ回路素子Toのうち、上記の一部重なる重複通信可能領域23に限定的に存在していた無線タグ回路素子Toのみが、「Query」コマンド及び「QueryRep」コマンドの両方を受信することができ、当該無線タグ回路素子Toのみがリーダ100に対する応答を実行する。
以上のようにして、本実施形態によれば、上記コマンドごとのアンテナ切替制御と出力可変制御による通信可能領域の制御とを実行し、上述した一部重なる重複通信可能領域23を限定的に絞り込むことができる。これにより、広い範囲に複数の無線タグ回路素子Toが存在しているような場合でも、上記絞り込んだ範囲にある無線タグ回路素子Toに対してのみ情報送受信を行うことができる。これにより、簡易な構成で複雑な制御を必要とすることなく、特定の領域に存在する無線タグ回路素子Toと通信を行うことができる。
また、本実施形態では特に、制御回路11は、第1アンテナAの通信可能領域21と第2アンテナBの通信可能領域22とが重なる部分である重複通信可能領域23を移動させるように、第1アンテナA及び第2アンテナBそれぞれの送信出力を制御する。これにより、広い範囲に複数の無線タグ回路素子Toが存在しているような場合でも、当該広い範囲を包含するように重複通信可能領域23を移動させることで、当該広い範囲内に存在する全ての無線タグ回路素子Toに対し通信を行うことができる。また、重複通信可能領域23を移動させながら、各移動位置における無線タグ回路素子Toの送受信結果を確認することで、無線タグ回路素子Toの存在位置を特定することができる。
また、本実施形態では特に、重複通信可能領域23を移動させるごとに、「QueryRep」コマンドによる無線タグ回路素子Toの応答の有無を判定し、この判定結果に対応した報知を報知部14で行う。これにより、操作者は重複通信可能領域23を移動させるごとに無線タグ回路素子Toの送受信結果を確認することができる。この結果、無線タグ回路素子Toからの応答があった場合には、操作者は、当該応答した無線タグ回路素子Toの存在位置を確実に把握することができる。
また、本実施形態では特に、重複通信可能領域23を順次移動させるように、第1アンテナA及び第2アンテナBそれぞれの送信出力を制御し、当該重複通信可能領域23を順次移動させるごとに「QueryRep」コマンドによる無線タグ回路素子Toの応答の有無を判定し、この判定結果に対応した報知を報知部14で行う。これにより、広い範囲に複数の無線タグ回路素子Toが存在しているような場合でも、操作者は、当該広い範囲を小さな領域に分割しつつ、その小領域ごとに無線タグ回路素子Toの存在を確認することで、無線タグ回路素子Toの存在位置を特定することができる。また、重複通信可能領域23の移動量の大小に応じて、無線タグ回路素子Toの存在位置の特定精度を調節することができる。すなわち、重複通信可能領域23の移動量を小さく設定することにより無線タグ回路素子Toの存在位置を細かく特定でき、重複通信可能領域23の移動量を大きく設定することにより無線タグ回路素子Toの存在位置を大まかに特定することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)「Query」の送信出力を「QueryRep」より大きくする場合
図9は、本変形例の動作テーブルを表す図である。前述の図5と異なる点は、動作ナンバー6以降で「Query」コマンドを送信するアンテナを第1アンテナAから第2アンテナBに変更し、「QueryRep」コマンドを送信するアンテナを第2アンテナBから第1アンテナAに変更した点である。すなわち、本動作テーブルによれば、リーダ100は、動作ナンバー1〜5においては第1アンテナAで「Query」コマンドを送信し、第2アンテナBで「QueryRep」コマンドを送信するが、動作ナンバー6〜10においては第2アンテナBで「Query」コマンドを送信し、第1アンテナAで「QueryRep」コマンドを送信する。
この結果、検出可能エリアARのうち、第1アンテナAよりも第2アンテナBに近い領域である領域6〜10に重複通信可能領域23を形成する場合には、第1アンテナAから出力する「Query」の送信出力が、第2アンテナBから出力する「QueryRep」の送信出力よりも大きくなるように制御し、第2アンテナBよりも第1アンテナAに近い領域である領域1〜5に重複通信可能領域23を形成する場合には、第2アンテナBから出力する「Query」の送信出力が、第1アンテナAから出力する「QueryRep」の送信出力よりも大きくなるように制御する。
そして、第1アンテナAによる送信出力については、動作ナンバー1〜5においては前述の実施形態と同様に10から6へ順次減少させるが、動作ナンバー6〜10においては「Query」コマンドを送信するアンテナを第1アンテナAから第2アンテナBへ切り替えるため、送信出力を反対に6から10へ順次増大させる。また、第2アンテナBによる送信出力については、動作ナンバー1〜5においては前述の実施形態と同様に1から5へ順次増大させるが、動作ナンバー6〜10においては「QueryRep」コマンドを送信するアンテナを第2アンテナBから第1アンテナAに切り替えるため送信出力を反対に5から1へ順次減少させる。その結果、「Query」コマンドを送信するときの送信出力が「QueryRep」コマンドを送信するときの送信出力より常に大きくなる。
なお、本変形例において制御回路11が実行する制御内容は、前述の図6及び図7に示すフローチャートと同等であり、前述の実施形態と異なる点は読み出す動作テーブルのみである。
本変形例によれば、以下のような効果を得る。すなわち、一般に国際規格ISO/IEC18000−6 Type Cに準拠する場合においては、「QueryRep」コマンドは個別に無線タグ回路素子Toと通信を行うため、「Query」コマンドよりも電波送出時間が長くなる傾向がある。したがって、本変形例のように「Query」コマンドの送信出力を「QueryRep」コマンドの送信出力よりも大きくすることにより、リーダ100の消費電力を抑制することができる。
(2)非稼働状態のアンテナの通電を停止する場合
本変形例は、第1アンテナAを用いて通信を行っている間、第2アンテナBへの通電を停止し、第2アンテナBを用いて通信を行っている間、第1アンテナAへの通電を停止するものである。
本変形例における制御回路11の制御内容は以下のようになる。すなわち、前述の図7に示すフローチャートのステップS110及びステップS160において、ステップS105で取得した通信パラメータに基づき、切替スイッチ13を制御してアンテナの切り替えを行うと共に送信出力の設定を行い、且つ、切り替えにより非稼働状態となったアンテナの通電を停止すればよい。図示は省略するが、この場合におけるステップS110A及びステップS160Aが、特許請求の範囲に記載の通電制御手段を構成する。
なお、上記に際し、第1アンテナAと第2アンテナBを用いた通信の切り替え時に間が開いて無線タグ回路素子Toへの電力供給が途中で途絶えると当該無線タグ回路素子Toが動作しなくなる。このため本変形例では、アンテナ切り替え時間を無線タグ回路素子Toがオフにならない時間となるように設定するか、あるいは、一方のアンテナへの通電開始後に他方のアンテナの通電を停止することで、無線タグ回路素子Toへの電力供給が途絶えないようになっている。
本変形例によれば、稼働していないアンテナの通電を停止することで、無駄なエネルギ消費を防止することができる。
(3)アンテナA,Bを横並びに配置する場合
前述の実施形態では、第1アンテナAと第2アンテナBとを互いに向かい合わせとなるように配置したが、横並びに配置してもよい。
図10は、本変形例のリーダ100の概略を表すシステム構成図である。この図10に示すように、本変形例では、第1アンテナAと第2アンテナBとは、互いのメインローブ方向が平行となるように、且つ、それぞれの通信可能領域21,22を互いに一部重ねることが可能なように、横並びに設置されている。このアンテナA,Bの配置以外の構成は、前述の実施形態と同様である。
このような構成とすることによる利点は、アンテナ前面の狭い範囲に存在する無線タグ回路素子Toのみを通信対象とし、ピンポイントの無線通信ができる点にある。すなわち図10に示す例では、アンテナA,Bの前面に6個の無線タグ回路素子To−1〜To−6が存在するが、重複通信可能領域23内に存在する無線タグ回路素子To−3のみと通信することができる。予め無線タグ回路素子Toの存在位置が把握されており、存在確認のために通信を行う場合等に有効である。
(4)その他
以上においては、動作テーブルの全動作ナンバーについて順次通信を実行し、重複通信可能領域23を順次移動させる場合を説明したが、予め無線タグ回路素子Toの存在位置が把握されており、存在確認のために通信を行うような場合には、動作テーブルにおける特定の動作ナンバーに対応する通信のみを実行し、特定の領域についてのみピンポイントで無線通信を行うようにしてもよい。
また以上では、リーダ100のタイプについて特に記載しなかったが、設置するタイプでもよいし、操作者が携帯可能なハンディタイプのものでもよく、特に限定されるものではない。
また以上では、応答準備を指示する準備指示コマンドとして「Query」コマンドを、応答を指示する応答指示コマンドとして「QueryRep」コマンドを送信するようにしたが、これに限定するものではない。国際規格ISO/IEC18000−6 TypeC以外のプロトコルを採用する場合には、当該プロトコルにおける対応するコマンドを用いればよい。
なお、以上において、図2中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。また、図6、図7に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
14 報知部(報知手段)
21 通信可能領域(通信範囲)
22 通信可能領域(通信範囲)
23 重複通信可能領域(目標通信領域)
100 リーダ(無線タグ通信装置)
150 IC回路部(記憶部)
151 タグアンテナ
A 第1アンテナ(第1通信アンテナ)
B 第2アンテナ(第2通信アンテナ)
To 無線タグ回路素子(無線タグ装置)

Claims (8)

  1. 情報を記憶する記憶部と情報を送受信可能なタグアンテナとを備えた複数の無線タグ装置に対し無線通信を行う無線タグ通信装置であって、
    送信出力が可変である第1通信アンテナ及び第2通信アンテナと、
    前記無線タグ装置に対し、応答準備を指示する準備指示コマンドを、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナのうちいずれか一方を用いて送信する準備指示コマンド送信手段と、
    前記無線タグ装置に対し、応答を指示する応答指示コマンドを、前記準備指示コマンドの送信タイミングと時間的に重ならないタイミングで、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナのうちいずれか他方を用いて送信する、応答指示コマンド送信手段と、
    前記準備指示コマンドを送信するときの通信範囲と、前記応答指示コマンドを送信するときの通信範囲とが、互いに一部重なるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御する出力制御手段とを有し、
    前記準備指示コマンドと前記応答指示コマンドを受信した場合に、前記記憶部に記憶した情報を送信する前記複数の無線タグ装置に対し無線通信を行う
    ことを特徴とする無線タグ通信装置。
  2. 前記出力制御手段は、
    前記準備指示コマンドを送信するときの通信範囲と前記応答指示コマンドを送信するときの通信範囲とが重なる部分である目標通信領域を移動させるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の無線タグ通信装置。
  3. 前記出力制御手段は、
    前記準備指示コマンドを送信するときの送信出力を順次減少又は増大しつつ、これに対応して前記応答指示コマンドを送信するときの送信出力を順次増大又は減少することにより、前記目標通信領域を移動させる
    ことを特徴とする請求項2記載の無線タグ通信装置。
  4. 前記目標通信領域ごとに、前記応答指示コマンドによる前記無線タグ装置の応答の有無を判定する判定手段と、
    前記目標通信領域ごとの前記判定手段の判定結果に対応した報知を行う報知手段と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線タグ通信装置。
  5. 前記出力制御手段は、
    前記目標通信領域を順次移動させるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御し、
    前記判定手段は、
    前記順次移動する前記目標通信領域ごとに、前記応答指示コマンドによる前記無線タグ装置の応答の有無を判定し、
    前記報知手段は、
    前記順次移動する前記目標通信領域ごとの前記判定手段の判定結果に対応した報知を行う
    ことを特徴とする請求項4記載の無線タグ通信装置。
  6. 前記出力制御手段は、
    前記準備指示コマンドを送信するときの送信出力が、前記応答指示コマンドを送信するときの送信出力よりも大きくなるように、前記第1通信アンテナ及び前記第2通信アンテナそれぞれの送信出力を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
  7. 前記出力制御手段は、
    前記通信範囲のうち、前記第1通信アンテナよりも前記第2通信アンテナに近い領域に前記目標通信領域を形成する場合には、前記第1通信アンテナから出力する準備指示コマンドの送信出力が、前記第2通信アンテナから出力する前記応答指示コマンドの送信出力よりも大きくなるように制御し、
    前記通信範囲のうち、前記第2通信アンテナよりも前記第1通信アンテナに近い領域に前記目標通信領域を形成する場合には、前記第2通信アンテナから出力する準備指示コマンドの送信出力が、前記第1通信アンテナから出力する前記応答指示コマンドの送信出力よりも大きくなるように制御する
    ことを特徴とする請求項6記載の無線タグ通信装置。
  8. 前記第1通信アンテナを用いて通信を行っている間、前記第2通信アンテナへの通電を停止するか、若しくは、前記第2通信アンテナを用いて通信を行っている間、前記第1通信アンテナへの通電を停止する、通電制御手段を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の無線タグ通信装置。
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