JP2011021268A - 不溶性金属電極の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】主として使用済みまたは使用過程品あるいは未使用の不溶性金属電極から電極物質とチタンまたはチタン合金基体を分離し基体金属はそのまま再使用可能な状態として回収し、また電極物質は十分な濃度で容易に回収出来る高濃度の沈殿物として回収する方法を提供する。
【解決手段】チタン基体表面に酸化イリジウム及び/又は酸化ルテニウムを含む電極物質を被覆してなる不溶性金属電極からの電極物質及びチタン基体の分離回収方法であって、(1)不溶性金属電極表面を清浄化する工程と、(2)塩化アルカリ水溶液を塗布する工程と、(3)前記塩化アルカリを塗布した不溶性金属電極を500℃から700℃で加熱処理する工程と、(4)更に該電極表面に、苛性アルカリ溶液を塗布する工程と、(5)加熱して該苛性アルカリの融点以上に保持して反応させる工程と、(6)酸に浸漬する工程とを有する不溶性金属電極の被覆と基体を分離して回収する回収方法。
【選択図】なし

Description

本発明は主として使用済みのチタンやチタン合金基体の表面に白金族金属酸化物を含む被覆層を有する不溶性金属電極について該被覆層及びチタンやチタン合金基体を回収して再使用するための被覆槽と基体を分離して回収する不溶性金属電極の回収方法に関するものである。
チタンを基体としてその表面に酸化ルテニウムや酸化イリジウム被覆を有する不溶性金属電極は工業電解の代表であるクロルアルカリ電解を主として広く使用されていることはよく知られている。この電極の寿命はきわめて長いのが普通であり、10年以上そのまま使い続けられることがしばしばある。しかしながら時としては装置故障などで電極被覆物質のみの劣化が起こり、あるいは酸素発生用電極の様に電極物質の劣化が無くても電極物質と基体であるチタンあるいはチタン合金との間に不電導性被覆を作ってしまい比較的短期間に電極としての作用が無くなってしまう等ということがみられる。
これらに対する電極の再生法は種々提案されており、基体が十分に厚い板状の場合は機械加工で削ったり、ブラスト等で被覆を除いた後、機械加工で表面の改質を行ったり、酸洗によって表面を減耗させて表面被覆残留物を除去するなどの方法が単独であるいは組み合わせて用いられてきた。更に再使用のためにはこれらの基体をチタン材として扱い、基体としての前処理からやり直すと言うことも行われている。この様な加工を行う場合、基体であるチタンやチタン合金は再使用できるが、高価な電極物質はその量がわずかであり、機械加工やブラスト処理などの加工による金属端材やブラスト材などと混合して希釈されてしまうために、実質的には回収ができなかった。つまりこれらから回収の試みが行われ、その可能性は見出されたが、ほとんどは回収費の方が高価になり経済性の点から実質的には行われていない。また化学的にアルカリ溶融塩中に浸漬するということが行われていたが同じく基体チタンあるいはチタン合金は回収できるものの、被覆である電極物質は過剰の溶融塩に溶解してしまい希釈されるために、技術的には回収できるが、経済性の点から回収は行われていない。
被覆を構成する電極物質のみの回収であれば電極に対してロールがけなどを行い機械的にはがれやすくしておき、それを化学的に剥がす方法や、高温に加熱し、それを急冷することによってはがしてしまう基体金属と被覆の熱膨張差による方法などが提案されている。これらはいずれも電極物質の回収は出来るがチタンやチタン合金をそのまま基体として使用することは出来ず、鉄鋼の添加用や再溶解用など金属の原料としてしか使えなかった。
近年チタンの価格高騰、供給不足からチタンやチタン合金基体の入手が困難になっており回収してそのまま使いたいというケースが多く出ている。また同時に希少金属であり極めて高価な白金族金属を合わせて回収したいという要望が多く出されているが、上記したような従来の方法では特殊な場合を除いては回収が不可能であった。たとえば基材厚みが十分にあれば上記のように表面を機械加工して回収することが出来るが、1mm以下の厚みの場合はそれも実質的には不可能であり、たとえできても基体そのものが薄くなりすぎて通電がうまくできない、あるいはひずんでしまうなどと言う問題があり基体としての再利用が極めて限られてしまう。またメッシュ状の基体の場合は機械加工は無理であり、またブラストのような方法では基体が歪んでしまう、あるいは穴部での除去が不十分になるなどの問題があった。
これらについての回収技術について多くの提案がなされているが、以下に代表的な特許技術を示す。
つまり特許文献1では電極被覆の剥離方法として、電極基体表面を腐食性の酸により溶解して被覆を分離し、被覆、基体を回収することが示されている。しかし、現実には電極基体と被覆の間にある安定で強固な酸化物やしばしば電極被覆と基体金属の間に化学結合のために、被覆の剥離が困難になるという問題があった。また特許文献2には高濃度のアルカリ水溶液を電極表面に塗布し、加熱して電極被覆をアルカリ中に溶解し、基体と被覆を回収する旨示されている。これによっては、チタン基体も同時にアルカリ中に溶解するため基体の減耗が大きく、また被覆はアルカリマトリックス中に溶解して回収すべき電極被覆の濃度がきわめて低くなるために実用レベルでは回収が困難であった。
特許文献3,並びに特許文献4には電極物質を物理的、化学的に剥離してからの電極物質の回収方法が示されているが、その剥離方法として酸による基体腐食や研磨による剥離などが示されてはいるものの、いずれも基体を消耗させて被覆を回収するようにしており、基体をそのまま再使用する為には基体の消耗が大きくなりすぎるという欠点があった。
また特許文献5ではあらかじめ廃電極に対して圧延処理を行い物理的に電極物質とチタンとの間の付着性を劣化しておき、酸処理によってチタン表面を腐食させて電極物質を剥離させる方法が述べられている。この方法も有効ではあるがチタン基体と電極物質を同時に回収は出来るが、チタンを基体としてそのまま再使用することは出来ず回収には再溶解の必要があった。
特許文献6では電極を切り刻みバレル研磨などにより被覆を分離回収すると共に、基体チタンを回収することが示されている。比較的簡単に出来て有効ではあるが、基体をそのまま再使用できないという問題があった。
これらに示すように多くの検討がなされているが電極物質と基材金属を同時に回収する適当な方法は見いだせず、実質的に基体チタンまたはチタン合金をそのまま基体として回収し、電極物質を合わせて回収することは全く行われていないのが現状である。
さらに本発明者は特許文献7に示す、本発明の元となった不溶性電極の回収方法を提案した。つまり、電極表面に苛性アルカリを塗布し、なじませた後に、加熱反応させてアルカリ化合物とし、酸に浸漬して剥離する方法であって、これにより電極被覆と基体との分離回収がほぼ可能となったが、特に苛性アルカリ電解用の不溶性金属電極の被覆についての剥離が不安定となりやすく、更なる改良が望まれた。
特開昭59−123730公報 特開2002−88494公報 特開2002−212650公報 特開2002−194581公報 特開2001−294948公報 特開2001−303141公報 特開2008−81837公報
本発明は主として使用済みまたは使用過程品あるいは未使用の不溶性金属電極から電極物質とチタンまたはチタン合金基体を分離し基体金属はそのまま再使用可能な状態として回収し、また電極物質は十分な濃度で容易に回収出来る高濃度の沈殿物として回収する回収方法を提供することを課題とした。
本発明はチタン基体表面に酸化イリジウム及び/又は酸化ルテニウムを含む電極物質を被覆してなる不溶性金属電極からの電極物質及びチタン基体の分離回収方法であって、(1)不溶性金属電極表面を清浄化する工程と、(2)塩化アルカリ水溶液を塗布する工程と(3)前記塩化アルカリを塗布した不溶性金属電極を550℃から700℃で加熱処理する工程と(4)更に該電極表面に、苛性アルカリ溶液を塗布する工程と、(5)加熱して該苛性アルカリの融点以上に保持して反応させる工程と、(6)酸に浸漬する工程とを有する不溶性金属電極の被覆と基体を分離して回収する回収方法であって、これにより基体の消耗がほとんどなしで、電極物質を分離することが出来、基体・電極物質の両者を容易に回収できる。
つまり、まず、電極物質中への不純物の混入を最小にするために、電極表面の清浄化を行う。この方法としては特には指定されず付着物によって適宜選択できる。たとえばイオン交換膜法の苛性アルカリ電解に使用した電極では本来ほとんど付着物がないので表面の清浄化として水洗いあるいは希薄な塩酸などに浸漬する酸洗浄などを行う。保存状態によっては鉄さびなどの付着があり、その場合は塩酸などの酸による洗浄を行うことが望ましい。また海水電解などに使われた電極では表面に炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムなどの化合物が付着している場合が多いので酸洗浄を行う。あるいはアルカリ処理を行うなどを行うことも出来る。あるいはこれらを組み合わせることにより、より清浄な表面とすることが出来る。
次いでアルカリ塩化物水溶液を塗布し、または液中に浸漬して、アルカリ塩化物水溶液を十分に表面に含ませる。なおアルカリ塩化物水溶液としては、飽和食塩水が最も望ましいが、塩化カリウム、塩化リチウムなど他のアルカリ塩化物水溶液でもよいし、それらの混合物水溶液でもよい。アルカリ塩化物水溶液を十分に含ませた後に空気中に放置し、あるいは100℃程度で加熱して乾燥をする。さらにこのものを550℃から700℃、望ましくは550℃から650℃の温度で加熱し、反応させる。加熱温度が550℃より低いと、反応が進みにくく、結果として被覆の剥離が不完全となる傾向があり、又700℃より高いと、被覆の剥離の点からは問題ないが、基体チタンと被覆の間に基体酸化と思われる多量の酸化チタンの生成が起こり、基体の消耗が大きくなること、又チタンやチタン合金基体の金属組織が変化する傾向が有るために、そのままでは再使用しにくくなる。加熱時間は特に問わないが、15分から60分程度が適当である。15分より短いと十分な反応が起こらず、また60分以上の加熱では加熱の効果は変わらなくなる。この加熱による反応ははっきりしないが、おそらくアルカリ塩化物中の塩素イオンがコーティング物質中に組み込まれていわゆる部分的に塩素根の入った、塩素化酸化物(あるいはオキシクロライドと呼ばれることもある。)になるものと考えられる。これは特に被覆物質中にチタン成分が入っている場合に有効であり少なくとも部分的に酸化チタンがチタンオキシクロライドに変化するものと考える。この作業によりコーティング表面にわずかながら凹凸が生じることが見られることからもこのような反応が起こっていると思われる。このような処理を行い冷却後は表面に残留するアルカリ塩化物を水洗により洗い落とす。なお洗浄を行わなくても良いが、その場合はアルカリ塩化物による以後の液などに汚染の起こる可能性がある。
次いで前記アルカリ塩素化物による処理を行なった電極被覆表面に苛性アルカリ水溶液を塗布する。苛性アルカリとしては特には指定されないが、反応性に富み、しかも容易に入手できる苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が最適である。但し、苛性ソーダと苛性カリ(水酸化カリウム)との混合物も有効に使用できる。塗布する苛性アルカリの濃度は50質量%以上の高濃度品であることが望ましく、その高い粘度のために電極被覆表面に安定にアルカリが保持される。もちろんアルカリ濃度は50質量%以下であっても電極被覆表面に保持できるのであれば問題はない。なお液の塗布は、電極被覆面を完全に覆うようにし、十分にしみこませるようにする。時として電極表面は苛性アルカリ水溶液に対しては撥水性であることがあり、液をはじいてしまうことがあるが、その場合にも、完全に濡れるまでブラシなどを使い、あるいは苛性ソーダ水溶液中に保持するなどの処理を行う。なお塗布の代わりに、このような苛性アルカリ水溶液に電極全体を浸漬することもよく、その場合は浸漬後余分な苛性アルカリ水溶液を十分に液切しておくことが必要である。
通常は塗布後10から30分程度室温で保持した後60から200℃の温度で乾燥する。これによって苛性アルカリの水分の大部分は飛んでしまい、部分的に水分を含む苛性アルカリ無水物が表面に析出した形となる。乾燥時間は特に指定されないが10分から30分程度が望ましい。ただこの乾燥工程は必須ではなく、アルカリ液体が電極表面に均一に保持されるような場合は次の加熱処理工程と兼ねさせる事も出来る。
更にこれを苛性アルカリの融点より僅かに高い温度で加熱処理を行う。つまり苛性アルカリが苛性ソーダの場合その融点は330℃付近であるために350℃から500℃での加熱処理が望ましく、この温度で10分から1時間程度、通常は30分程度反応させる。この反応のメカニズムははっきりしないが後に酸と反応して電極物質を分離させることから、苛性アルカリ中のアルカリイオンが電極物質中の酸塩素化物(オキシクロライド)と選択的に反応するとともに、溶融アルカリとして、電極物質並びに基体チタンと電極物質界面の酸化物と反応すると考えられる。更に、このような処理を行った電極を放冷する。この冷却は炉内で行っても良いが能率の点からは炉外の大気中で放冷することが望ましい。もちろん冷却をせずに次の無機酸への浸漬処理を行うことも可能であり、その場合は酸の飛び跳ねなどに注意することが必要である。
このようにアルカリ処理した電極を硝酸、塩酸あるいは硫酸などの無機酸に浸漬する。無機酸の濃度は通常は5から20質量%程度の希酸が望ましい。またその温度は特には指定されないが反応をより早くするために僅かに加温しておくことも有効であり、40℃程度が適当である。ここで使用する酸は無機酸であれば特には指定しないが、塩酸並びに硝酸を使用した場合、酸液による剥離溶解後の酸液の中和処理を行っても電極物質の液からの分離が完全ではなくなる場合があるので、その点からは硫酸が特に好ましく用いられる。酸の濃度は特には指定されないが通常3から20質量%程度が最適であり、硫酸の場合は3から10質量%が特に好ましい。なお、この浸漬によって被覆である電極物質が酸中に溶解すると共に部分的には被覆が剥離し酸液中にわずかに沈殿する。この時に酸液を攪拌する、あるいは電極表面をブラッシングすることによって、あるいは酸液の流通を良くして溶解・剥離を加速することが出来る。
このような剥離溶解は、通常一回の処理で十分であるが、必要に応じて塩化アルカリ塗布から加熱焼成までを繰り返すことによってあるいはアルカリ塗布から加熱焼成処理を繰り返すことによって、分離をより完全にすることが出来る。この処理によっては基体金属であるチタン又はチタン合金はほとんど消耗しない。
更に、被覆である電極物質を含む酸液は中和によって電極物質を主とする沈殿を生成する。中和は苛性アルカリ水溶液によることが望ましく、もちろんアンモニアなどの弱アルカリでも良い。なお、硫酸による処理を行った場合苛性アルカリとして苛性ソーダを使用して中和すると、時としてわずかに硫酸ナトリウムを生じることがある。これは硫酸ナトリウムの硫酸に対する溶解度が低いためであり、そのような場合はわずかに加温しながら中和物を濾過することで硫酸ナトリウムなしに電極物質を酸化物あるいは水酸化物として回収することが出来る。なお酸が硝酸や塩酸の場合には中和によっても電極物質が完全には沈殿しないことがあるのでそのような場合はオゾンや過酸化水素などの酸化剤を加えることにより完全に沈殿させることが出来る。沈殿は濾過分離して回収処理を行う。なお電極被覆を剥離したチタン、チタン合金基体はほとんど消耗していないので、そのままあるいはブラスト・エッチングなどの前処理を行った後に、電極基体として再使用できる。
このようにして濾過分離した電極物質は加熱脱水により、酸化物固体となる。このようにして分離した電極(被覆)物質は通常の条件で回収が出来る。たとえばこのものを500℃から700℃で水素還元すると電極物質中の白金族金属分のみを還元することが出来、チタン・タンタルなどの共存物質は酸化物として残る。このようにして白金族金属を選択金属化した後に、ルテニウムであれば次亜塩素酸中で加熱酸化することによってRuOとして揮散させ塩酸にトラップして塩化ルテニウム酸として回収することが出来る。またイリジウムであれば塩化アルカリと共に塩素ガスを通じて塩化イリジウム酸アルカリとし、それからアルカリを分離して塩化イリジウム酸や塩化イリジウムとして回収することが出来る。又その他では王水に溶解して回収することも出来る。もちろん電解的に回収することも可能である。
この様にして電極基体と電極物質とを分離し、しかも収率良く分離回収することが出来るようになる。このときに電極基体金属表面の酸化物が金属それ自身を保護するためか基体金属の消耗が必要以上に進まないので、基体の消耗はほとんど無く、また電極被覆はあらかじめ活性化され、それが実質的に溶融塩処理されることにより、酸浸漬によりほとんど酸中に溶解するとともに一部は沈殿として剥離する。このようにして基体金属と電極被覆物質は容易に分離され、回収される様になる。
本発明における電極は板状、三次元的な形態を有する物からエクスパンドメッシュ、その他種々の形態をとるのでそれに合わせての作業になる。これについて、以下実施例にて説明するが、それに制約されるものではない。
「実施例1」
イオン交換膜法食塩水電解で5年間使用した、厚さ1mmのチタン製エクスパンドメッシュを基体とする不溶性金属電極からチタン基体と電極被覆物質の回収を行った。イオン交換膜電解に使用された電極であるので表面付着物はほとんどなかったがより清浄化を図るために中性洗剤を用いて洗浄した後水洗した。このものを飽和食塩水に15分間浸漬して十分に電極物質にしみこませた後、食塩水から取り出し、15分間放置して過剰な食塩水を除いた。次いで、600℃に保持したマッフル炉に入れて炉内で40分間保持した。炉から取り出した後室温で放冷した。これにより電極表面がわずかにでこぼこになるとともに食塩と思われる白色の固まりが電極表面に付いていた。白色の固まりは水洗により除去し乾燥した。このようにして処理を行った電極について、表面に70%の苛性ソーダ(NaOH)水溶液を刷毛にて十分になじむように塗布した後、40℃に保持した乾燥器に入れて30分間乾燥した。更に、400℃に保持したマッフル炉に入れて30分間加熱反応させた。加熱後は炉から取り出し、室温で冷却した後、5%硫酸水溶液中に浸漬した。浸漬時間は30分であった。浸漬後電極を取り出したところ、電極被覆物質は電極基体であるチタンエクスパンドメッシュから完全に剥離して基体チタンのみとなっており、灰白色になっていた。また硫酸水溶液は黒色に変化しておりわずかに黒色の沈殿が見られた。取り出したチタンエクスパンドメッシュの表面を実体顕微鏡で観察したところ、被覆の残留は見えず、また表面は、電極製造時の前処理であるエッチング表面が露出していた。これにより、チタン基体の減耗はほとんどないことがわかった。また硫酸水溶液を10%苛性ソーダ水溶液で中和沈殿を行ないNo.2濾紙で濾過を行ったところ黒色の沈殿が得られ、濾液は無色透明となった。このようにして、電極被覆は沈殿としてほぼ完全に回収することが出来た。
「実施例2」
塩化アルカリ液として塩化ナトリウムと塩化カリウムをモル比で1:1となるように混合した飽和食塩水を使用した以外実施例1と同様にして処理を行なった。この結果実施例1の食塩水処理に比較して電極被覆の剥離にわずかに長時間かかった以外はほぼ同様な良好な電極基体と被覆の分離が出来、回収が出来た。
「実施例3」
実施例1と同様にして不溶性電極の電極基体と電極被覆を分離し、回収する試験を行った。 ここでは、飽和食塩水浸漬後の加熱温度を振って、電極被覆の剥離溶解の状態を調べた。なおここでは効果をよりはっきり確認するために被回収電極として未使用のイオン交換膜法食塩水電解用の不溶性金属電極を使用した。電極被覆はイリジウム、ルテニウム及びチタンの複合酸化物からなり、厚み1.2mmのチタン製エクスパンドメッシュ基体上に被覆されていた。被覆量は投影面あたりイリジウムとルテニウムの合量で15〜18g/m2であった。なお食塩水浸漬・加熱後の処理は50質量%の苛性ソーダ水溶液に15分浸漬した後30分間過剰な苛性ソーダ水溶液を除くと共に乾燥し、その後420℃のマッフル炉内で加熱処理を行った。加熱処理後の浸漬酸としては5質量%の硫酸を使用した。
結果を表1に示した。表1の結果からわかるように加熱温度が500℃未満では剥離が必ずしも完全には行かず、また750℃では剥離はより完全にはなるが、食塩処理のみで一部の電極被覆の剥離が起こってしまうとともに、チタン基体表面の酸化剥離が進んでしまい基体に悪影響のあることが認められた。
Figure 2011021268
(注)(1):飽和食塩水処理後の加熱温度である。
(2):飽和食塩水処理、加熱後の被覆表面状態を示す。
(3):アルカリ処理・420℃加熱処理・酸浸漬処理後の基体の状態である。
(4):アルカリ処理・420℃加熱処理・酸浸漬処理後の酸液の状態である。
No.1、2及び7は比較例である。
「実施例4」
実施例1と同様にして、塩素酸製造用に使用したチタン板上にルテニウムとチタンを主成分とする複合酸化物を被覆した不溶性金属電極から被覆とチタン基体を分離し、基体と被覆の回収試験を行った。塩化アルカリとしては飽和食塩水と飽和塩化カリウム水溶液を体積で1:1に混合した液を用い、15分間浸漬した後650℃で45分間加熱した。水洗した後、60質量%の苛性ソーダ水溶液を被覆表面に塗布した。なお被覆表面はわずかに凹凸を生じており親水性であったので苛性ソーダ水溶液は被覆とすぐになじみ、しみこんだ。15分乾燥した後に450℃に保持したマッフル炉で30分間処理し、冷却後、10質量%塩酸水溶液に浸漬した。15分後に電極を引き上げたところ、チタン板となっており、表面には被覆時のブラスト・エッチング処理のあとが見えており、そのまま再使用が可能であった。又塩酸液には沈殿はほとんど無く黒色となっていたので苛性ソーダ水溶液で中和し、沈殿をさせた。液はわずかに着色が見られたので、これに少量の過酸化水素水を加えた後1時間ほど保持してNo.2濾紙で濾過を行った。黒色沈殿が得られ、炉液は無色透明であった。黒色沈殿の組成はほぼ30%の酸化ルテニウムと70%の酸化チタンからなっており、元の電極物質の組成比に近いことが分かり、ほぼ完全に回収できていることが分かった。
産業上の利用の可能性
チタンを主とする金属基体を使用した不溶性金属電極について表面被覆層である高価で希少金属に属する白金族金属とチタンあるいはチタン合金を変形することなく回収再利用することが出来る本発明は、従来の技術が基体か白金族金属のいずれかの回収にとどまっていたのに比較して極めて有利となることから急速に拡大すると推量される。

Claims (7)

  1. チタン基体表面に酸化イリジウム及び/又は酸化ルテニウムを含む電極物質を被覆してなる不溶性金属電極からの電極物質及びチタン基体の分離回収方法であって、(1)不溶性金属電極表面を清浄化する工程と、(2)塩化アルカリ水溶液を塗布する工程と(3)前記塩化アルカリを塗布した不溶性金属電極を550℃から700℃で加熱処理する工程と(4)更に該電極表面に、苛性アルカリ溶液を塗布する工程と、(5)加熱して該苛性アルカリの融点以上に保持して反応させる工程と、(6)酸に浸漬する工程とを有する不溶性金属電極の被覆と基体を分離して回収する回収方法。
  2. 前記不溶性電極のチタン基体がチタン合金基体であることを特徴とする請求項1の回収方法。
  3. 前記塩化アルカリの水溶液が食塩の飽和水溶液であることを特徴とする請求項1または2のいずれかの回収方法
  4. 前記苛性アルカリが苛性ソーダであり、苛性ソーダ水溶液を塗布しなじませた後、350から500℃で10分から60分反応させることを特徴とする請求項1から3のいずれかの回収方法。
  5. 前記酸が無機酸であることを特徴とする請求項1から4のいずれかの回収方法。
  6. 前記無機酸が希硫酸であることを特徴とする請求項5の回収方法
  7. 前記苛性アルカリの塗布、加熱反応、並びに酸浸漬処理を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1から6のいずれかの回収方法
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