JP2011018708A - 超電導コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】使用周波数が高くても交流損失を低減することができる超電導コイル、及びこの超電導コイルを具える給電構造を提供する。
【解決手段】超電導コイル1は、テープ状の超電導線材10をフラットワイズに巻回してなる単層のソレノイドコイルであり、冷却ケース20に収納されて冷媒21により超電導状態に維持される。超電導コイル1は、多層のパンケーキコイルと比較して、超電導コイル1を構成する超電導線材10自体が形成する磁場を低減することができるため、高周波数の電力が供給された場合でも、交流損失を低減できる。超電導コイル1は、磁性コア30に配置されて給電構造2を構築する。給電構造2は、超電導コイル1を一次側コイルとし、磁性コア30を介して電磁誘導により、磁性コア1051に配置された二次側コイル1050に非接触で電力を供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、テープ状の超電導線材から構成される超電導コイル、及びこの超電導コイルを具える給電構造に関するものである。特に、使用周波数が高い場合であっても、交流損失を低減することができる超電導コイルに関するものである。
昨今、環境保全や地球温暖化の防止などを考慮して、ハイブリッド自動車や電気自動車といったモータを利用する車両が開発されている。このような車両として、例えば、図4(I)に示す車両100のように、モータ101に電力を供給する電池部102として二次電池を利用し、充電機構103を具えるものがある。また、電池部102への給電技術として、電磁誘導を利用した非接触方式による技術が提案されている。この技術では、例えば、一次側コイル510と、このコイル510が配置された磁性コア511とからなる給電部51を具える給電装置50を道路200などに設置する。また、車両100の充電機構103には、二次側コイル1050と、このコイル1050が配置された磁性コア1051とからなる受電部105を具える。そして、電源部52から一次側コイル510に供給された電力を、磁性コア511,1051を介して電磁誘導により車両100の二次側コイル1050に供給する。車両100は、二次側コイル1050からの交流電力を充電機構103に具える充電回路104により適宜整流などした後、得られた直流電力を電池部102に充電する。
特許文献1では、電気抵抗による損失を低減するために、上記一次側コイルに超電導コイルを利用することを提案している。
特開平08-126108号公報
上記電磁誘導による給電技術において、二次側コイルの励磁力(起電力)を大きくするために、一次側コイルに供給する電力の使用周波数を高めることが挙げられる。使用周波数を高めることで、ターン数の増大や磁性コアの大型化による給電部の大型化を回避することができる。しかし、超電導コイルに高周波数の電力を供給すると、ヒステリシス損といった交流損失が大きくなる、という問題がある。
そこで、本発明の目的の一つは、使用周波数が高くても交流損失を低減することができる超電導コイルを提供することにある。また、本発明の他の目的は、効率よく二次側コイルに給電することができる給電構造を提供することにある。
超電導コイルでは、テープ状の超電導線材を渦巻状に巻回した所謂パンケーキコイルが代表的である。この超電導線材からなるパンケーキコイルに高周波数の電力を供給すると、超電導線材自体が形成する磁場(磁束密度)が大きくなる。そして、上記パンケーキコイルの交流損失は、上記磁場の大きさ、及び使用周波数の大きさに比例して大きくなる。そこで、本発明者は、テープ状の超電導線材を巻回した状態を変化させて、即ち、コイルの形状を変化させて、磁場の低減を検討したところ、渦巻状の多層構造ではなく、螺旋状の単層構造であると、超電導線材自体の磁場を効果的に低減することができる、との知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。
本発明の超電導コイルは、テープ状の超電導線材を巻回してなるコイルであり、上記超電導線材をフラットワイズに巻回してなる単層のソレノイドコイルである。
上記構成によれば、高周波数、特に商用周波数(代表的には、50Hz、60Hz)よりも大きな周波数の電力が供給された場合でも、コイルを構成する超電導線材自体に生じる磁場を効果的に低減することができる。その理由は、以下のように考えられる。
テープ状の超電導線材、特に酸化物超電導相を具える線材では、その厚さ方向に鎖交する磁場(垂直磁場)により交流損失が大きくなる。パンケーキコイルでは、超電導線材がその厚さ方向に積層されている。ここで、酸化物超電導線材は、一般に、幅に比較して厚さが薄い(0.1〜0.5mm程度)。そのため、パンケーキコイルでは、積層された各超電導線材間の距離が短く、最も離れた超電導線材間の距離でも、高々(超電導線材の厚さ)×(巻回数-2)に過ぎない。このように各超電導線材がその厚さ方向に密接していることで、各超電導線材が形成する磁場が相互に鎖交する。特に、パンケーキコイルでは、各超電導線材がその厚さ方向に積層されることで、各超電導線材が形成する垂直磁場が鎖交し合うため、交流損失が大きくなる。一方、単層のソレノイドコイルでは、当該コイルを構成する各超電導線材がその厚さ方向に存在せず、各超電導線材が形成する垂直磁場が相互に影響し難く、パンケーキコイルのような鎖交が生じ難い。即ち、単層のソレノイドコイルでは、交流損失を増大させ易い垂直磁場による影響を低減することができる。また、本発明超電導コイルでは、単層であることで、コイルの厚さが超電導線材の厚さに等しく薄いため、超電導線材の幅方向に鎖交する磁場(平行磁場)の影響を低減できる。従って、単層のソレノイドコイルである本発明超電導コイルは、高周波数の電力が供給されても、交流損失を効果的に低減することができる。
本発明超電導コイルの一形態として、上記超電導線材が酸化物超電導相を具える形態が挙げられる。
超電導相には、Nb-TiやNb3Snといった金属系超電導相、Bi(ビスマス)系酸化物やRE(希土類)系酸化物といった酸化物超電導相が挙げられる。いずれの超電導相を含有する超電導線材も、当該線材自体が形成する磁場を低減する効果を有する。特に、酸化物超電導相は、超電導転移温度が高く、金属系超電導相よりも冷媒温度を高くすることができる。
本発明超電導コイルの一形態として、当該超電導コイルの使用周波数が1kHz以上1MHz以下である形態が挙げられる。
本発明超電導コイルは、商用周波数よりも遥かに高い1kHz〜1MHzといった周波数の電力が供給されても、当該コイルを構成する超電導線材自体の磁場を低減して、交流損失を低減することができる。また、使用周波数を高くすることで、本発明超電導コイルを電磁誘導による給電装置の一次側コイルに利用する場合、二次側コイルの励磁力を効果的に高められる。上記二次側コイルの出力の向上、及び本発明超電導コイルの交流損失の低減効果を考慮すると、使用周波数は、10kHz以上100kHz以下がより好ましく、10kHz以上20kHz以下が実用的であると期待される。
本発明超電導コイルは、一次側コイルと二次側コイルとの間を電磁的に結合する電力機器の構成部品に好適に利用することができる。例えば、本発明超電導コイルを利用して、以下の本発明給電構造を構築することができる。本発明の給電構造は、一次側コイルからの電磁誘導により、磁性コアに配置された二次側コイルに非接触で電力を供給するためのものであり、上記一次側コイルに利用される上記本発明超電導コイルと、この超電導コイルが配置された磁性コアとを具える。
上記構成によれば、特に、高周波数の電力を一次側コイルに供給することで、二次側コイルの励磁力を大きくすることができながら、一次側コイルが上記本発明超電導コイルであることで交流損失を低減することができる。従って、上記本発明給電構造を利用することで、損失を低減し、電力供給の効率を向上することができる。
本発明超電導コイルは、高周波数の電力が供給された場合でも交流損失が少ない。本発明給電構造は、一次側コイルに高周波数の電力を供給した場合に交流損失が少なく、二次側コイルの出力を効率よく高められる。
図1は、実施形態1の超電導コイルを具える給電構造により、二次側コイルに電力を供給する状態を説明する説明図である。 図2は、m段n列の超電導コイルに交流電力を供給したときの列数及び段数と、磁束密度との関係を示すグラフであり、図2(I)は平行磁場における磁束密度、図2(II)は垂直磁場における磁束密度を示す。 図3は、m段n列の超電導コイルに交流電力を供給したときの磁束密度の分布状態を示す分布(コンター)図である。 図4(I)は、電磁誘導による非接触方式の給電技術を説明する概略構成図、図4(II)は、一次側コイルを具える給電部、及び二次側コイルを具える受電部を説明する説明図である。
以下、主として図1,4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る超電導コイル1は、例えば、給電構造2の一次側コイルに利用される。給電構造2の基本的構成は、図4に示す給電部51と同様であり、一次側コイル(超電導コイル1)と、このコイルが配置される磁性コア30とを具え、受電部105に対して、非接触で電力供給を行う。特に、超電導コイル1は、その形状に特徴がある。具体的には、超電導コイル1は、テープ状の超電導線材10を螺旋状に巻回して構成されるコイルであり、特に、単層のソレノイドコイルである。
超電導線材10は、横断面が長方形状の線材であり、超電導相を具える。超電導相は、Biを含む酸化物、例えば、Bi2Sr2CaCu2Ox(Bi2212)、(BiPb)2Sr2Ca2Cu3O10+d(Bi2223)や、Y(イットリウム)、Ho(ホルミウム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Gd(ガドリニウム)といった希土類元素を含む酸化物、例えば、REBa2Cu3O7-d(RE123)といった酸化物超電導相を好適に利用することができる。酸化物超電導相は、金属系超電導相と比較して超電導転移温度が高く、所謂高温超電導体と呼ばれ、液体窒素といった冷媒を利用することができるため、液体ヘリウムを使用する上記金属系超電導相と比較してエネルギー効率がよい。上記Bi系酸化物超電導相を具える超電導線材は、銀又は、Ag-Au合金、Ag-Mg合金、Ag-Sb合金、Ag-Mn合金などの銀合金からなる金属マトリクス中に上記Bi系酸化物超電導相を具えるBi系銀シース超電導線材が挙げられる。Bi系銀シース超電導線材は、使用実績があり、信頼性が高い。一方、上記RE系酸化物超電導相を具える超電導線材は、ステンレスやNi基合金(例えば、ハステロイ(登録商標))などからなる基板の上にYBCOやHoBCOと表される上記RE系酸化物超電導相を蒸着したRE系薄膜線材が挙げられる。RE系薄膜線材は、臨界電流密度が高く、上記Bi系銀シース超電導線材よりも薄くし易い上に、薄いことで平行磁場による交流損失を低減することができる。
上記超電導線材10の厚さは、0.1〜0.5mm程度、アスペクト比(幅/厚さ)は、10〜20程度が好ましい。
ここでは、超電導線材10は、幅ws:4.26mm×厚さts:0.22mm、銀比(横断面における面積比)=1.6、Bi2223からなる超電導相を具えるものを利用している。
超電導コイル1は、当該コイルの軸方向に平行に切断した縦断面において、上記長方形状の超電導線材10の長辺側の面(以下、この面を長辺面10wと呼ぶ)が内周側になるようにフラットワイズに巻回したコイルである。即ち、図1の一点鎖線円内に拡大して示すように、超電導コイル1をその軸方向に平行に切断した縦断面において、各ターンを構成する超電導線材10の短辺側の面(以下、この面を短辺面10tと呼ぶ)が隣り合うように超電導線材10が巻回されている。かつ、各ターンを構成する超電導線材10の長辺面10wの内周側及び外周側には、別の超電導線材10が存在しない単層構造である。なお、ターン数は、所望の特性に応じて適宜選択することができる。
上記超電導コイル1は、例えば、液体窒素といった冷媒21が充填された冷却ケース20に収納されて、超電導状態に維持される。冷却ケース20は、代表的には、真空断熱構造を有するものであり、円筒状の超電導コイル1を収納可能な円筒状のものが利用できる。公知のケースを利用してもよい。
上記冷却ケース20に収納された超電導コイル1は、例えば、図1に示すように、磁性コア30に配置されて給電構造2を構築することができる。給電構造2は、上述のように超電導コイル1を一次側コイルとし、磁性コア30を介して電磁誘導により、磁性コア1051に配置された二次側コイル1050に非接触で電力を供給することができる。
磁性コア30,1051はいずれも、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料から構成されており、両磁性コア30,1051は、超電導コイル1に通電することで形成された磁束の通路(磁路)に利用される。両磁性コア30,1051は、上記超電導コイル1による磁束の授受が可能な形状のものが利用できる。代表的には、E字状コアやU字状コアを利用することができる。ここでは、一次側の磁性コア30は、内側コア部31と、内側コア部31を挟むように離間して配置された一対の外側コア部32と、これら三つのコア部31,32を連結する連結コア部33とを具えるE字状コアを利用している。二次側の磁性コア1051も同様のE字状コアであり、各磁性コア30,1051の内側コア部及び一対の外側コア部がそれぞれ対向するように配置される。そして、図1に一点鎖線で示すような閉ループ状の磁路を形成するように、内側コア部31と一方の外側コア部32との間の連結コア部33に一つの超電導コイル1を配置し、内側コア部31と他方の外側コア部32との間の連結コア部33に別の一つの超電導コイル1を配置している。これら両超電導コイル1は、各コイルを形成する超電導線材10の一端が接続されている。従って、電源部(図示せず)から電力が投入されると、一方の超電導コイル1から他方の超電導コイル1に電流が流れる。両超電導コイル1を接続せず、それぞれに一つずつ電源部を接続させてもよい。
上記超電導コイル1を具える給電構造2は、超電導コイル1に電力を投入すると磁性コア30に磁束が流れ、この磁束が二次側の磁性コア1051にも流れ、この磁束により二次側コイル1050を励磁させることで、二次側コイル1050に非接触で電力を供給することができる。このような給電構造2は、例えば、図4に示すような給電装置50の給電部51に好適に利用することができる。なお、図4に示す車両100は、モータ101に加えてエンジン部106を具える。また、車両100は、電池部102の電力をインバータ部107で適宜変換してモータ101に電力を供給する。給電装置50は、電源部52からの電力をインバータ部53で適宜変換して給電部51に電力を供給する。
上記超電導コイル1は、単層のソレノイドコイルであることで、後述する試験例に示すように、高周波数の電力が投入された場合であっても、自己磁場を低減することができる。従って、超電導コイル1は、従来のパンケーキコイルと比較して、交流損失を低減することができる。
(試験例1)
テープ状の超電導線材を用いて、m段n列の超電導コイルを形成し、磁束密度を調べた。
この試験では、超電導線材として、幅ws:4.3mm×厚さts:0.3mmのBi2223からなる超電導相を具えるBi系銀シース超電導線材を用いた。この超電導線材により、m段n列のコイル(m,nはいずれも自然数、m=1,2,…,20、n=1,2,…,20)を形成する。m段は、超電導線材がその厚さ方向にm層積み重ねられたことを意味し、n列は、超電導線材がその幅方向にn個並べられたことを意味する。例えば、1段n列のコイルは、単層のソレノイドコイルであってnターンのコイルを示し、m段1列のコイルは、mターンのパンケーキコイルを示す。
m段n列のコイルに周波数:10kHz、125Aの電流を流したとき、当該コイルを構成する超電導線材が形成する平行磁場における磁束密度(T)、及び当該コイルを構成する超電導線材が形成する垂直磁場における磁束密度(T)を求めた。その結果を図2に示す。各磁束密度(T)は、市販のシミュレーションソフト(ここでは、JMAGF)を用いて求めた。平行磁場は、長方形状の超電導線材の横断面において短辺側の面(短辺面)に直交する方向の磁場であり、垂直磁場は、上記横断面において長辺側の面(長辺面)に直交する方向の磁場である。
また、1段10列の超電導コイル(単層のソレノイドコイルであって10ターンのコイル)と、10段1列の超電導コイル(10ターンのパンケーキコイル)の磁束密度の分布(コンター)を調べた。その結果を図3に示す。磁束密度の分布は、磁束密度の大きさを色別(磁束密度が大きい順に赤,橙,黄,緑,水色,青,紫)で表わすことが可能な市販のシミュレーションソフトを用いて求めた。図3は、グレースケールで示すが、実際には上記色別がある。また、図3では、各コイルをその軸方向に平行に切断した断面において、当該軸の両側に存在するコイルを形成する線材群のうち、片側のみを示す。つまり、ソレノイドコイルでは、各超電導線材の短辺面が隣り合うように並んだ線材群が見られ、パンケーキコイルでは、各超電導線材の長辺面が接するように積み重ねられた線材群が見られる。
図2に示すように段数が少ないほど、即ち、超電導線材における厚さ方向の積層数が少ないほど、平行磁場における磁束密度、及び垂直磁場における磁束密度のいずれもが小さいことが分かる。特に、1段k列の単層のソレノイドコイルは、k列1段のパンケーキコイルに比較して磁束密度が小さいことが分かる(k=1,2,…,20)。このことは、図3の分布図からも裏付けられる。1段10列の超電導コイル(ソレノイドコイル)と10段1列の超電導コイル(パンケーキコイル)とは、アンペアターンが等しいコイルである。しかし、前者のソレノイドコイルは、コイルを形成する線材群自体が紫色であり、コイル自体の磁束密度が非常に小さい(コイルの周囲:水色〜青色)。これに対し、後者のパンケーキコイルは、コイルを形成する線材群の中心部分は、水色であるものの、線材群の周縁側に向かうにつれて緑色〜橙色〜赤色となっており、コイル自体の磁束密度が非常に大きい(コイルの周囲:赤色〜緑色)。即ち、パンケーキコイルのように超電導線材が積層されたコイルでは、各超電導線材が形成する磁場が大きい上に、他の超電導線材にも影響を与えることで、結果としてコイル全体の磁束密度を大きくしていると言える。
また、上記ソレノイドコイルの交流損失(ACロス)を1としたときの上記パンケーキコイルの交流損失を市販のシミュレーションソフトを用いて求めたところ、850であった。このことから、テープ状の超電導線材をフラットワイズに巻回して単層のソレノイドコイルとした場合、パンケーキコイルよりも交流損失を効果的に低減できることが分かる。
(試験例2)
テープ状の超電導線材からなる超電導コイル、及び常電導材料からなる常電導コイルを作製し、高周波数の電力を供給したときの損失を調べた。
この試験では、磁性コアに配置された二次側コイルに対して、5kWの出力が得られるように常電導コイルを設計した。具体的には、上記常電導コイルとして、市販の銅リッツ線からなる一対のソレノイドコイルを用意した(各コイル:11ターン)。そして、表1の構造に示すように、各コイルをE字状コアの連結コア部にそれぞれ配置させた。E字状コアは、連結コア部の幅W:300mm、内側コア部の幅Wcc:60mm、外側コア部の幅Wcs:30mm、内側コア部と外側コア部との間の幅wc:90mm、内側コア部(外側コア部)の厚さtc:20mmとした。
超電導線材として、試験例1で用いたBi系銀シース超電導線材と同じものを用いて、パンケーキコイルを一対、及びソレノイドコイルを一対、それぞれ用意した。そして、上記常電導コイルを配置したE字状コアと同サイズのE字状コアを用意し、常電導コイルと同様に連結コア部に上記一対のコイルを配置した。また、このE字状コアに配置するにあたり、各コイルのターン数を可能な限り多くした。ターン数を表1に示す。
用意した上記常電導コイル、超電導線材からなるパンケーキコイル、及び単層のソレノイドコイルに対して、20kHz、38Aの電流を流した場合の銅損、鉄損、冷却電力(ACロス、侵入熱)を市販のシミュレーションソフトを用いて求めた。その結果を表1に示す。冷却電力とは、冷媒及び超電導線材を所定の冷却温度に保持するために必要な冷凍機の消費電力であり、ここでは、入熱量を冷凍機の性能指数:COP(10%)で除した値とする(冷却電力=入熱量/COP(10%))。上記入熱量が交流損(ACロス)に伴う場合、「冷却電力 ACロス」と示し、上記入熱量が侵入熱に伴う場合、「冷却電力 侵入熱」と示す。表1の冷却電力の欄において、上段の数値は、COP(10%)で除した値、下段の括弧内の数値は、COPで除した値を示す。
表1に示すようにテープ状の超電導線材、特に酸化物超電導相を具える超電導線材を用いた単層のソレノイドコイルは、パンケーキコイルと比較して、損失を効果的に低減できることが分かる。
また、一次側コイルとして超電導コイルを利用することで、常電導コイルを利用した場合に比較して、銅損が生じない上に、超電導線材の断面積が小さくても大電流を流せることで、コイルの小型化を図ることができる。この試験では、上記ソレノイドコイルは、常電導コイルと同じアンペアターンとした場合、損失が同等以下である上に、小型であることが分かる。更に、コイルを構成する超電導線材の断面積が小さいことでターン数を増やせるため、励磁力を大きくすることができる。
加えて、上記常電導コイルにより図4に示すような給電構造を構築した場合、磁性コア間の距離を短くする必要がある。例えば、車両の受電部と道路の給電部との間の距離を大きくするために、給電部をジャッキアップするなどの対処が求められる。これに対して、上記超電導コイルにより上記給電構造を構築した場合、表1に示す例ではターン数が多いものの、上記常電導コイルよりも磁束密度が大きいため磁性コア間の距離を長くすることができ、上述のジャッキアップなどを不要にしたり、ジャッキアップする量を低減することができる。
上記試験例1,2の結果から、テープ状の超電導線材、特に酸化物超電導相を具える超電導線材を用いて単層のソレノイドコイルを形成した場合、高周波数の電力を供給した場合であっても、交流損失を効果的に低減できることが分かる。従って、上記単層のソレノイドコイルは、非接触式の給電装置の構成部品などに好適に利用できると期待される。
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、超電導線材の材質、サイズ、超電導コイルのターン数などを適宜変更することができる。
本発明給電構造は、電磁誘導により、磁性コアに配置された二次側コイルに電力を供給する際に好適に利用することができる。本発明超電導コイルは、上記本発明給電構造の構成部品に好適に利用することができる。
1 超電導コイル 2 給電構造
10 超電導線材 10w 長辺面 10t 短辺面 20 冷却ケース 21 冷媒
30 磁性コア 31 内側コア部 32 外側コア部 33 連結コア部
50 給電装置 51 給電部 510 一次側コイル 511 磁性コア 52 電源部
53 インバータ部
100 車両 101 モータ 102 電池部 103 充電機構 104 充電回路
105 受電部 1050 二次側コイル 1051 磁性コア 106 エンジン部
107 インバータ部
200 道路

Claims (4)

  1. テープ状の超電導線材を巻回してなる超電導コイルであって、
    前記超電導線材をフラットワイズに巻回してなる単層のソレノイドコイルであることを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記超電導線材は、酸化物超電導相を具えることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記超電導コイルの使用周波数が1kHz以上1MHz以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超電導コイル。
  4. 一次側コイルからの電磁誘導により、磁性コアに配置された二次側コイルに非接触で電力を供給するための給電構造であって、
    前記一次側コイルに利用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイルと、
    前記超電導コイルが配置された磁性コアとを具えることを特徴とする給電構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015099817A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 トヨタ自動車株式会社 受電装置
WO2015111804A1 (ko) * 2014-01-27 2015-07-30 조선대학교산학협력단 전기자동차용 초전도 무선충전기
KR101642221B1 (ko) * 2015-03-09 2016-07-25 정윤도 냉각된 상전도 안테나를 이용한 무선전력전송장치

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