JP2011018507A - 発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部材コスト及びプロセスコストの増加を抑制しつつ外光の反射が抑制されたフロントライトとしての有機EL装置を得る。
【解決手段】透明基板12上に、透明導電性を有する第1電極24と少なくともEL層53を含む発光機能層50と局所的に形成された反射導電性を有する第2電極30とが順に積層されてなる発光素子20が配置されており、発光機能層50内で生じた光を透明基板12を介して射出する発光装置1であって、第2電極30の透明基板12側の反対側の面の少なくとも一部には、透明層26と半透過反射層28とが順に積層されていることを特徴とする発光装置1。
【選択図】図5
【解決手段】透明基板12上に、透明導電性を有する第1電極24と少なくともEL層53を含む発光機能層50と局所的に形成された反射導電性を有する第2電極30とが順に積層されてなる発光素子20が配置されており、発光機能層50内で生じた光を透明基板12を介して射出する発光装置1であって、第2電極30の透明基板12側の反対側の面の少なくとも一部には、透明層26と半透過反射層28とが順に積層されていることを特徴とする発光装置1。
【選択図】図5
Description
本発明は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
表示装置には、自発光型でなく、外光(外部から照射される光)を反射させて画像あるいは文字等を表示する反射型(あるいは半透過反射型)の表示装置がある。ここで、上述の「外光」を、周辺光、例えば周囲の照明や太陽光のように該表示装置とは関係なく光量が決まる光とすると、表示に要する光量が不足してコントラストが低下することが有り得る。そのため、近年、先行技術文献に記載するような、有機EL装置のような発光装置をフロントライトとして備えた反射型の表示装置が提案されている。かかる(文献に記載の)有機EL装置は、有機EL素子の観察者側に光吸収層を重ねて形成することで、上述の周辺光が該有機EL素子の電極により観察者側に向けて反射されることを抑制し、表示品質を向上させている。
SID2008 44.2Novel Front-Light system Using Fine-Pitch Patterned Oled(page655)Norio Koma et.al.
しかしながら、かかる光吸収層は、有機EL装置の観察者側に貼り付ける封止基板に予め形成しておき、有機EL素子が形成される素子基板と位置合せして貼り合せる必要があり、部材コスト及びプロセスコストの双方が増加してしまうという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]透明基板上に、透明導電性を有する第1電極と少なくともEL層を含む発光機能層と局所的に形成された反射導電性を有する第2電極とが順に積層されてなる発光素子が配置されており、上記発光機能層内で生じた光を上記透明基板を介して射出する発光装置であって、上記第2電極の上記透明基板側の反対側の面の少なくとも一部には、透明層と半透過反射層とが順に積層されていることを特徴とする発光装置。
上記第2電極と上記透明層と上記半透過反射層との積層体は、上記半透過反射層側から照射される光に対して光干渉層として機能する。すなわち照射される光の一部を反射させずに吸収できる。したがって、このような構成の発光装置であれば、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、周辺光が反射性を有する第2電極によって観察者側に反射されることを抑制でき、該表示装置の表示品質を向上できる。
なお、上述の「透明」とは透過率100%を意味するものではなく、可視光の透過率が60%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。
なお、上述の「透明」とは透過率100%を意味するものではなく、可視光の透過率が60%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。
[適用例2]上述の発光装置であって、上記半透過反射層により反射される光に生じる反射光の位相シフトをΦ1、上記第2電極により反射される光に生じる反射光の位相シフトをΦ2、上記透明層の層厚をd(nm)、反射の低減を目的とする光のピーク波長をλ(nm)、としたとき、
2d+(Φ2−Φ1)=(n+1/2)λ(nは整数)の条件を満たすことを特徴とする発光装置。
2d+(Φ2−Φ1)=(n+1/2)λ(nは整数)の条件を満たすことを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上述の反射の低減を目的とする光の、上記第2電極による反射光と上記半透過反射層による反射光とを効率よく打消し合わせることができる。
したがって、このような構成の発光装置であれば、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
したがって、このような構成の発光装置であれば、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
[適用例3]上述の発光装置であって、上記λは550nmであることを特徴とする発光装置。
波長が550nm近辺の光は視認性が最も高いため、このような構成であれば、人の視認性が高い波長範囲の光の反射を効率的に低減できる。したがって、このような構成の発光装置であれば、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
[適用例4]上述の発光装置であって、上記発光機能層は上記EL層と上記第2電極との間に電子注入層を有しており、上記透明層は該電子注入層を構成する材料と同一の材料からなることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、新たな材料を用意することなく上記透明層を形成できるため、製造コストの増加を抑制できる。
[適用例5]上述の発光装置であって、上記透明層は、LiF,CaF2,MgF2のうちのいずれかで形成されていることを特徴とする発光装置。
上述の材料は電子注入層の材料として好適であるため、このような構成であれば表示品質を損うことなく製造コストの増加を抑制できる。
[適用例6]上述の発光装置であって、上記透明層は酸化窒化シリコンからなることを特徴とする発光装置。
酸化窒化シリコンは封止性が高いため、このような構成であれば外光反射の低減と信頼性の確保を両立できる。
[適用例7]上述の発光装置であって、上記第2電極と上記半透過反射層とは、共通のマスクを用いたマスク成膜により形成されていることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上記第2電極の(透明基板側の反対側の)全面が光干渉層を備えることとなり、かつ光干渉層を必要としない領域には半透過反射層が形成されない。したがって、かかる発光装置であれば外光の反射をより一層抑制でき、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
[適用例8]上述の発光装置であって、上記透明層が、上記第2電極及び上記半透過反射層の形成に用いられたマスクと共通のマスクを用いたマスク成膜により形成されていることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上記透明基板と上記透明層とにより干渉構造が形成されることを回避できる。したがって、このような構成の発光装置であれば、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、上記発光素子の照射光が反射された光である表示光を効率よく取り出すことができ、該表示装置の表示品質を向上できる。
[適用例9]上述の発光装置であって、上記第2電極と上記半透過反射層とが同一の材料からなることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、該発光装置の製造に要する材料の種類を低減でき、製造コストを低減できる。
[適用例10]上述の発光装置であって、上記第2電極と上記半透過反射層とがAlからなることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、該発光装置の製造コストをより一層低減できる。
[適用例11]上述の発光装置であって、上記半透過反射層は屈折率が1より大きい材料からなることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上記光干渉層の光吸収性を向上できる。したがって、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質を向上できる。
[適用例12]上述の発光装置であって、上記半透過反射層がAgを90%以上含有する材料からなることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上記光干渉層の光吸収性をより一層向上できる。したがって、反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
[適用例13]上述の発光装置であって、平面視において、複数の上記発光素子が互いに間隔を空けて配置された発光領域と該発光領域の周囲の周辺領域とを有し、上記発光領域内において上記第1電極は上記発光機能層に覆われていることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば上記第1電極と上記第2電極とがショートすることを回避できる。したがって、該発光装置の信頼性を向上できる。
[適用例14]上述の発光装置であって、上記第2電極は上記発光領域内において互いに離間するように形成され、かつ、透明導電性を有する第2電極配線で互いに連結された複数個の島状パターンであることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、上記発光領域内において上記第2電極が占める面積を低減できる。したがって、該発光装置を反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において表示光を効率よく取り出すことができ、該表示装置の表示品質を向上できる。
[適用例15]上述の発光装置であって、上記第2電極配線は、上記第1電極を構成する透明導電材料層と同一の透明導電材料層を、上記第1電極と交わらないようにパターニングして形成されていることを特徴とする発光装置。
このような構成であれば、該発光装置の製造に要する材料の種類と、パターニング工程の回数を低減でき、製造コストを低減できる。
[適用例16]上述の発光装置であって、上記EL層が有機EL層であることを特徴とする発光装置。
有機EL層は任意の波長範囲の光を照射できるため、このような発光装置であれば反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の表示品質をより一層向上できる。
[適用例17]上述の発光装置をフロントライトとして用いたことを特徴とする反射型の表示装置。
このような構成の表示装置であれば外光の反射を低減して表示品質を向上できる。
[適用例18]透明基板上に透明導電性を有する第1電極を形成する第1の工程と、上記第1電極の少なくとも一部を覆うように、少なくともEL層を含む発光機能層を形成する第2の工程と、上記第1電極と上記発光機能層との積層体の少なくとも一部を覆うように、反射導電性を有する第2電極をマスク成膜法により局所的に形成する第3の工程と、上記第2電極を覆うように透明層を形成する第4の工程と、上記第3の工程で用いるマスクと同一のマスクを用いるマスク成膜法により、半透過反射層を、上記透明層を介して上記第2電極と重なるように形成する第5の工程と、を、この順に実施することを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、上記第2電極の上面にのみ上記半透過反射層を形成して、上記第2電極と上記透明層と上記半透過反射層との積層体である光干渉層を形成できる。したがって、製造コストの増加を抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
[適用例19]上述の発光装置の製造方法であって、上記第2〜5の工程は真空蒸着法により成膜する工程であり、かつ、同一の装置内で連続的に実施されることを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、搬送工程等の増加を抑制しつつ上述の光干渉層を形成できる。したがって、製造コストの増加をより一層抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
[適用例20]上述の発光装置の製造方法であって、上記第5の工程は、上記第3の工程で用いられる蒸着マスクと同一の蒸着マスクを用いて成膜する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、蒸着マスクを別途用意することなく上述の光干渉層を形成できる。したがって、製造コストの増加をより一層抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
[適用例21]上述の発光装置の製造方法であって、上記第4の工程は、上記第3の工程及び上記第5の工程で用いられる蒸着マスクと同一の蒸着マスクを用いたマスク蒸着法により上記透明層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、上記第2電極を形成後、蒸着マスクの着脱を行なうことなく上述の光干渉層を形成できる。したがって、製造コストの増加をより一層抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
[適用例22]上述の発光装置の製造方法であって、上記第2の工程は、電子注入層を含む複数の材料層を夫々異なる蒸着源を用いて形成する工程であり、上記第4の工程は上記電子注入層の形成に用いられる蒸着源と同一の蒸着源を用いて上記透明層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、上述の光干渉層の形成に要する蒸着源の数(種類数)を低減できる。したがって、製造コストの増加をより一層抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
[適用例23]上述の発光装置の製造方法であって、上記第5の工程は、上記第2電極の形成に用いられる蒸着源と同一の蒸着源を用いて上記半透過反射層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。
このような製造方法であれば、上述の光干渉層の形成に要する蒸着源の数(種類数)を低減できる。したがって、製造コストの増加をより一層抑制しつつ、外光の反射が低減されたフロントライト用の発光装置を得ることができる。
以下、本発明の各実施形態について図面に従って述べる。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる発光装置としての有機EL装置1、及び該有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型の表示装置として反射型液晶装置3を示す図である。反射型液晶装置3は、反射型の液晶パネル2とフロントライトとしての有機EL装置1とを組み合わせた装置である。観察者9側から照射される外光を反射して、観察者9にカラー画像を表示できる。なお、本図においては後述する発光機能層50(詳しくは有機EL層53(図5等参照))内で生じるEL光Iが外光に相当している。
図1は、第1の実施形態にかかる発光装置としての有機EL装置1、及び該有機EL装置をフロントライトとして用いた反射型の表示装置として反射型液晶装置3を示す図である。反射型液晶装置3は、反射型の液晶パネル2とフロントライトとしての有機EL装置1とを組み合わせた装置である。観察者9側から照射される外光を反射して、観察者9にカラー画像を表示できる。なお、本図においては後述する発光機能層50(詳しくは有機EL層53(図5等参照))内で生じるEL光Iが外光に相当している。
反射型の液晶パネル2は、素子基板10と対向基板11との一対の基板、及び該一対の基板間に挟持された液晶層79等からなる。素子基板10の液晶層79側(以下、「上側」あるいは「上層」と称する。)の面にはTFT(薄膜トランジスター)15と各々の該TFTに対応する画素電極17が規則的に形成されている。画素電極17の上層には第1の配向膜75が形成されており、液晶層79は該第1の配向膜と後述する第2の配向膜76とで挟持されている。なお、液晶パネル2は反射型であるため、素子基板10は透明性を要しない。したがって、プラスチック等の不透明性材料からなる基板を用いることもできる。
画素電極17は反射性を有しており、液晶層79側から照射されるEL光Iを反射光Rとして該液晶層の方向に反射する。なお、かかる反射性は、画素電極17自体を反射性材料で形成して得てもよく、また、ITO(酸化インジウム・錫合金)等の透明導電性材料で形成された画素電極17とAl等からなる反射層とを組み合わせて得てもよい。TFT15と画素電極17とは層間絶縁層(符号無し)で隔てられており、図示しないコンタクトホールを介して電気的に接続されている。各々のTFT15は図示しない周辺回路で制御されており、対応する画素電極17に任意の電圧を印加できる。
対向基板11はガラス等の透明性材料からなる基板であり、図示しないシール材等により素子基板10と平行、すなわち全域で等間隔となるように配置されている。対向基板11の液晶層79側の面には、カラーフィルター層70と対向電極18と第2の配向膜76とが、この順に配置されている。そして、液晶層79側の反対側の面には偏光板14が配置されている。
カラーフィルター層70は、平面視で画素電極17に対応するカラーフィルター71と隣り合う該カラーフィルター間に形成された遮光層(ブラックマトリクス)72とからなる。カラーフィルター71は、所定の波長範囲の光を高い割合で透過させ他の波長範囲の光を吸収することで、該カラーフィルターを透過する白色光を任意の波長範囲の光にしている。本実施形態の液晶パネルのカラーフィルター層70は、赤色光に相当する波長範囲の光を透過させる赤色カラーフィルターと緑色光に相当する波長範囲の光を透過させる緑色カラーフィルターと青色光に相当する波長範囲の光を透過させる青色カラーフィルターとの3種類のカラーフィルター71を備えている。上述の観察側から照射される光(白色光)はEL光Iとして、及び反射光Rとしての計2回カラーフィルター71を透過することで上述の3原色のいずれかに着色される。
対向電極18はITO等の透明導電材料からなり、EL光I及び反射光Rの進行を妨げることなく画素電極17との間に電界を形成できる。偏光板14は直線偏光板であり、入射してくるEL光Iを直線偏光にできる。第2の配向膜76は、上述の第1の配向膜75と共に液晶層79を挟持している。そして、第1の配向膜75の配向方向と第2の配向膜76の配向方向とは互いに直交している。したがって、画素電極17と対向電極18との間に電圧が印加されていない状態において、液晶層79に含有される液晶分子は平面視で長軸を略90度ツイストしている。
画素電極17と対向電極18との一対の電極間に電圧が印加されると、上述の液晶分子は該電圧に応じた角度で立ち上がり光の透過率を変化させる。すなわち、観察者9の方向から照射されるEL光Iの反射率を変化させ、反射光Rの光量を調整できる。上述したように画素電極17に印加される電圧は該画素電極毎に個別に制御されるため、反射光Rの光量も個別に制御される。そのため、反射型液晶装置3は、太陽光あるいは室内灯光等の外光、すなわち周辺光が充分にあれば、観察者9に対して任意のカラー画像を表示できる。フロントライトとは、かかる外光を任意に供給することで周囲の状況に影響されることなく表示を可能にするための装置である。
本実施形態にかかるフロントライトとしての有機EL装置1は、透明基板12と該透明基板の上層(観察者9側)に間欠的に配置された発光素子としての有機EL素子20、及び封止構造40等からなる。有機EL素子20の観察者9側には反射導電性を有する第2電極としての陰極30(図4等参照)が形成されている。かかる反射性(反射導電性)により、上述の有機EL層内で生じる光の内の多くがEL光Iとして液晶パネル2の方向に照射される。かかるEL光Iが個々の画素電極17で反射されることで、観察者9に対する画像が形成される。
ここで、上述の(陰極30)の反射性は、周辺光、すなわちEL光I以外の観察者9側から照射される光に対しても発揮される。したがって、かかる周辺光がある場合、上述の陰極30による反射光(画素電極17による反射光R以外の反射光)が、画像を形成する光とは別の光として観察者9側に照射され得る。本実施形態に係る有機EL装置1は、有機EL素子20の観察者9側に光干渉層22(図4等参照)を形成することで、かかる反射光(反射光R以外の反射光)を低減している。以下、有機EL素子20の構成を、光干渉層22の構造及び効果等を含めて述べる。
図2は、有機EL装置1の平面視における概略を示す模式平面図である。図示するように、有機EL装置1は平面視において、有機EL素子20が所定の間隔をもって規則的に配置されている発光領域100と該発光領域の周囲の領域である周辺領域101とを有している。発光領域100は液晶パネル2に対してEL光Iを照射する領域であり、液晶パネル2において画像が形成される領域に対応する領域である。
発光領域100内には帯状の第1電極としての陽極24と同じく帯状の第2電極配線としての陰極配線32とが1本おきに互いに略平行に配置されている。陽極24と陰極配線32との双方は共に透明導電性材料であるITOで形成されており、液晶パネル2において形成される画像の視認性には影響を及ぼさない。
陽極24上には、所定の間隔をおいて平面視で島状(パッド状)の発光機能層50が形成されている。そして該発光機能層の上層には、平面視で一方の側で隣り合う陰極配線32とまたがるように、Al(アルミニウム)からなる陰極30が形成されている。かかる陽極24と発光機能層50と陰極30との積層体が有機EL素子20である。発光領域100内における有機EL素子20の占有面積は、略1%である。したがって、有機EL装置1は、液晶パネル2において形成される画像の視認性に殆んど影響を及ぼすことなくEL光Iを照射できる。
複数本の陽極24と複数本の陰極配線32の双方は、周辺領域101で連結されている。そして、陽極24は図示しない電源のプラス極と接続され、陰極配線32は同じく図示しない電源のマイナス極と接続されている。反射型液晶装置3の使用者は、かかる電源の電圧を調整することで有機EL素子20を任意の発光強度で一斉に点灯させて、液晶パネル2にEL光Iを照射することができる。
なお、有機EL装置1においては、発光領域100は矩形であり有機EL素子20は該発光領域内に規則的に配置されているが、かかる態様に限定されるものではない。発光領域100は円形等の(不定形を含む)他の形状でもよく、有機EL素子20の配置もランダムなものでも構わない。
図3は、有機EL素子20の平面視での概略を示す模式平面図である。陽極24と陰極配線32とは、ショートを回避すべく充分な間隔を持って形成されている。発光機能層50は平面視で矩形であり、陽極24の延在方向に互いに充分な間隔を持って形成されている。陰極30は、陽極24と発光機能層50との積層領域、及び該領域と隣り合う部分の陰極配線32を横切るように形成されている。陰極30の幅(陽極24の延在方向の寸法)は発光機能層50の該寸法よりも充分に小さく、陰極30と陽極24とのショートが抑制されている。
図4は、図3のA−A’線における断面図であり、有機EL素子20の概略を示す摸式断面図である。陰極30の上層には、層厚85nmのLiF(弗化リチウム)からなる透明層26と層厚7nmのAl(アルミニウム)からなる半透過反射層28とが、この順に形成されている。透明層26と半透過反射層28とは、平面視で陰極30と略一致するように形成されている。したがって、上述の周辺光のうちの陰極30に向かう光は、一部が半透過反射層28の表面で反射され、一部が半透過反射層28と透明層26とを透過して陰極30に達し、該陰極の表面で反射される(その他、吸収され熱として放散される光もある。)。
ここで、半透過反射層28の表面で反射される光の進行方向と陰極30の表面で反射される光の進行方向とは略平行である。したがって、陰極30と透明層26と半透過反射層28との積層体は、所定の波長範囲の光を干渉させて消滅させる干渉層として機能する。該干渉層を、以下、光干渉層22と称する。有機EL装置1は、有機EL素子20を構成する要素の中で高い反射性を有する陰極30の上層に光干渉層22が形成されているため、上述の周辺光の反射を低減できる。したがって、かかる有機EL装置1を反射型の表示装置のフロントライトとして用いる場合において、該表示装置の、周辺光が存在する環境下における表示品質を向上できる。
かかる効果は、透明層26と半透過反射層28の層厚及び形成材料等で左右され得る。以下、該層厚等について述べる。
かかる効果は、透明層26と半透過反射層28の層厚及び形成材料等で左右され得る。以下、該層厚等について述べる。
図5は、光干渉層22の構造及び作用を、発光機能層50の詳細と共に示す図である。上述したように有機EL装置1は、透明基板12の上層(観察者9側)に形成された、陽極24と発光機能層50と陰極30とからなる有機EL素子20と、有機EL素子20の上層に形成された、陰極30と透明層26と半透過反射層28とからなる光干渉層22と、該光干渉層を含めて透明基板12の全面を覆う封止構造40等からなる。
封止構造40は外部からの水分等の侵入を抑制して有機EL装置1を保護するために設けられたものであり、SiONあるいはSiN等の耐水性を有する材料層を含んでいる。緩衝材料としての樹脂層等を含んでも良く、さらには、最外面にガラス基板等が接着されていても良い。発光機能層50は、陽極24側から順に積層された、正孔注入層51と正孔輸送層52と通電による正孔と電子との結合により光(EL光I)が生じる有機EL層53と電子輸送層54と電子注入層55と、からなる。
本実施形態の有機EL装置1及び後述する各有機EL装置において、正孔注入層51は層厚略40nmであり、出光興産株式会社製の商品名「HI−406」で形成されている。正孔輸送層52は層厚略15nmであり、出光興産株式会社製の商品名「HT−320」で形成されている。なお、正孔注入層51と正孔輸送層52とを、双方の機能を兼ねる単一の層で形成することもできる。電子輸送層54は膜厚10nmのAlq3(トリス8−キノリノラトアルミニウム錯体)で形成され、電子注入層55は、層厚が略1nmのLiFで形成されている。
有機EL層53は膜厚が略65nmであり、ホスト材料と該ホスト材料に混入されるドーパント材料とで形成されている。ホスト材料としては出光興産株式会社製の商品名「BH−232」が使用されている。ドーパント材料としては赤色、緑色、青色の夫々に対応する3種類のドーパントの混合物が使用されている。したがって、有機EL層53は通電により該3原色の混合光である白色光を、EL光Iとして射出する。
具体的には、赤色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「RD−001」が使用され、緑色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「GD−206」が使用され、青色ドーパントの材料としては出光興産株式会社製の商品名「BD−102」が使用されている。
図示するように、有機EL層53内で生じたEL光Iは直接、あるいは陰極30で反射されて、観察者9の側の反対側に位置する図示しない反射型の液晶パネル2(図1参照)に向けて射出される。一方、周辺光Lは、上述したように半透過反射層28等の表面で吸収される分を除くと、一部が半透過反射層28で反射され、該一部を除く分は陰極30で反射される。半透過反射層28で反射される光が第1の反射光F1であり、陰極30で反射される光が第2の反射光F2である。透明層26の層厚を適切に設定することで、上記2つの反射光を互いに打消し合わせて低減できる。
光は一般的に反射により位相がシフトする性質を有している。透明層26の層厚dは、第1の反射光F1の位相シフトをΦ1、第2の反射光F2の位相シフトをΦ2、反射の低減を目的とする光のピーク波長をλ(nm)、とした場合、下記の式(1)を満たすように設定されている。
2d+(Φ2−Φ1)=(n+1/2)λ(nは整数)・・・・・・式(1)
2d+(Φ2−Φ1)=(n+1/2)λ(nは整数)・・・・・・式(1)
なお、有機EL装置1では、上述の「ピーク波長」は周辺光Lのピーク波長ではなく、人間の比視感度が高い緑色光のピーク波長である550nmを用いている。また、Φ1及びΦ2は、透明層26と半透過反射層28の光学定数及び層厚等で決まる値である。かかる式(1)を満たすように透明層26の層厚等を設定することで、周辺光Lの消滅効果を向上させて表示品質を向上できる。すなわち、観察者9に、周辺光Lの陰極30による反射光を殆んど視認させずに、反射型の液晶パネル2による反射光R(図1参照)のみを視認させることができる。ただし、本実施形態の有機EL装置1の半透過反射層28の形成材料は製造コストの抑制も考慮してAlを用いているため、周辺光Lの低減効果は後述する他の実施形態における低減効果に比べて若干劣っている。
図18は有機EL装置1の半透過反射層28の形成材料であるAlの光学定数を示す図、図19は有機EL装置1の透明層26の形成材料であるLiFの光学定数を示す図である。なお、光学定数と屈折率と消衰係数の総称である。図18に示すように、Alの屈折率nは波長が略610nm以下では1.0よりも小さく、消衰係数も後述するAgの該係数よりも小さい。また、図19に示すように、LiFの光学定数は波長に関係なく略一定である。
図22は、有機EL装置1の陰極30の上面における反射率特性を示す図である。可視光の波長範囲の全域で反射率の低減効果が得られており、特にピーク波長である550nmの近傍において高い低減効果が得られている。かかる特性は、透明層26の層厚を、波長が略550nmの光が干渉するように設定したことの効果であり、視感度が最も高い波長領域における周辺光Lの反射を効果的に低減している。
以上述べたように、有機EL装置1は、陰極30をAlで形成して発光機能層50内で生じるEL光Iを高い割合で対向する反射型の液晶パネル2に向けて射出可能であると共に、観察者9側から陰極30に入射する周辺光Lの反射を光干渉層22により大幅に低減している。したがって、かかる有機EL装置1と反射型の液晶パネル2とが組み合わされた反射型液晶装置3は、周辺光Lの反射によるちらつきを抑制しつつ、高い輝度を得ており、表示品質が大幅に向上している。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態として、上述の有機EL装置1の製造方法を光干渉層22の形成工程を中心に述べる。図6〜10は、有機EL装置1の有機EL素子20と光干渉層22の製造方法を示す工程断面図である。なお、本実施形態においては陰極配線32は図示を省略している。以下、工程順に述べる。
次に第2の実施形態として、上述の有機EL装置1の製造方法を光干渉層22の形成工程を中心に述べる。図6〜10は、有機EL装置1の有機EL素子20と光干渉層22の製造方法を示す工程断面図である。なお、本実施形態においては陰極配線32は図示を省略している。以下、工程順に述べる。
まず、第1の工程として、図6(a)に示すように、透明基板12の一方の面の全域に透明導電性材料としてのITO層23を形成する。そして、該ITO層をフォトリソグラフィー法によりパターニングして、図6(b)に示すように陽極24を形成する。
次に、第2の工程として、図7(a)に示すように、第1の蒸着マスク81と蒸着源としての第1のるつぼ91を用いて真空蒸着法により発光機能層50を形成する。上述したように、発光機能層50は計5層の材料層の積層体である。図7(a)では最上層である電子注入層55(図5参照)の形成工程を示している。したがって、第1のるつぼ91には最上層の形成材料であるLiFが蒸着材料として充填されている。
他の4層の形成は、蒸着マスクは第1の蒸着マスク81を装着したままで、異なるるつぼを用いて行われる。具体的には、上述の5層の各形成材料が夫々充填された5種類のるつぼを所定の間隔で一方の方向に配置する。そして、第1の蒸着マスク81が装着された透明基板12を該一方の方向に所定の速度で移動させて、夫々異なるるつぼから飛翔してくる蒸着材料を順に積層する。第1の蒸着マスク81の開口部は、該断面図の断面線方向において、陽極24の寸法よりも若干大きく形成されている。したがって、図7(b)に示すように、発光機能層50は陽極24を覆うように形成される。
次に、第3の工程として、図8(a)に示すように、第2の蒸着マスク82と、蒸着材料としてAlが充填された第2のるつぼ92を用いて、真空蒸着法により陰極30を形成する。第2の蒸着マスク82の開口部は、該断面図の断面線方向において、発光機能層50の寸法よりも若干大きく形成されている。したがって、図8(b)に示すように、陰極30は発光機能層50を覆うように形成される。以上の工程で、有機EL素子20が形成される。
次に、第4の工程として、図9(a)に示すように、第2の蒸着マスク82と、蒸着材料としてLiFが充填された第1のるつぼ91を用いて、真空蒸着法により透明層26を形成する。本工程で用いる蒸着マスクは前工程である陰極30の形成工程で用いたものと同一である。したがって、上述の第3の工程と第4の工程とは、蒸着マスクの着脱を行なわずに、真空チャンバー内で連続的に実施される。また、本工程で用いる蒸着源としての第1のるつぼ91は、上記の第2の工程で既に用いられている。したがって、本工程は新たな蒸着源としてのるつぼを用意することなく実施できる。
次に、第5の工程として、図10(a)に示すように、第2の蒸着マスク82と、蒸着材料としてAlが充填された第2のるつぼ92を用いて、真空蒸着法により半透過反射層28を形成する。以上の工程で、光干渉層22が形成される。本工程で用いる蒸着マスクは前工程である透明層26の形成工程で用いたものと同一である。したがって、上記第3の工程から第5の工程までは、蒸着マスクの着脱を行なわずに、真空チャンバー内で連続的に実施される。また、本工程で用いる蒸着源としての第2のるつぼ92は、上述の第3の工程で既に用いられている。したがって、本工程は新たな蒸着源としてのるつぼを用意することなく実施できる。
以上述べたように、本実施形態にかかる有機EL装置1の製造方法は、透明層26と発光機能層50に含まれる電子注入層55とを同一の材料で形成し、かつ、半透過反射層28と陰極30とを同一の材料で形成している。したがって、新たな材料を用意することなく光干渉層22を形成できる。
また、本実施形態にかかる有機EL装置1の製造方法は、透明層26と半透過反射層28とを、陰極30の形成時に用いた蒸着マスク82と同一の蒸着マスク82を用いて形成している。したがって、新たな蒸着マスクを用意することなく、かつ蒸着マスクの着脱を行なうことなく光干渉層22を形成できる。
さらには、上述の蒸着マスクの共用により陰極30の上面にのみ光干渉層22が形成されるため、表示光であるEL光I(図5等参照)の進行を妨げることなく、周辺光L(図5参照)の反射を低減できる。したがって、本実施形態にかかる製造方法によれば、製造コストの増加を最小限に抑制した上で周辺光Lの反射を低減された有機EL装置1を得ることができる。また、かかる有機EL装置1をフロントライトとして用いることで、製造コストの増加を最小限に抑制しつつ表示品質が向上した反射型液晶装置(図1参照)を得ることができる。
なお、電子注入層55と透明層26との共通の材料としては、LiF以外にCaF2あるいはMgF2を用いることができる。いずれの材料とも電子注入性と透明性を併せ持つため、上記双方の層の共通材料にできる。したがって、蒸着源の数(種類数)の増加を抑制しつつ光干渉層22を形成できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の有機EL装置について述べる。第3の実施形態にかかる有機EL装置は、第1の実施形態にかかる有機EL装置1と同様の構成を有しており、光干渉層22を構成する半透過反射層28の形成材料のみが異なっている。すなわち、本実施形態にかかる有機EL装置の半透過反射層28は層厚10nmのAg(銀)で形成されている。透明層26は、有機EL装置1と共通の層厚85nmのLiFである。そこで、平面図及び断面図等の図示は省略して、反射率特性等の図(グラフ)のみを示す。
次に、第3の実施形態の有機EL装置について述べる。第3の実施形態にかかる有機EL装置は、第1の実施形態にかかる有機EL装置1と同様の構成を有しており、光干渉層22を構成する半透過反射層28の形成材料のみが異なっている。すなわち、本実施形態にかかる有機EL装置の半透過反射層28は層厚10nmのAg(銀)で形成されている。透明層26は、有機EL装置1と共通の層厚85nmのLiFである。そこで、平面図及び断面図等の図示は省略して、反射率特性等の図(グラフ)のみを示す。
図17は、層厚10nmのAg(銀)の光学定数を示す図である。図示するようにAgの光学定数は上述したAlの光学定数と比べると、全般的に高い値を示している。屈折率nは、波長が430nm以上の全領域において1.0を上回っている。また、消衰係数kは波長が略500nmの領域において最も高い値を示している。
図21は、第3の実施形態にかかる有機EL装置の、陰極30の上面における反射率特性を示す図である。図示するように、可視光の全波長領域において反射が大幅に低減されている。特に、視感度が最も高い波長である550nm近辺においては、反射が略0%近いレベルまで低減されている。したがって、本実施形態にかかる有機EL装置は、観察者9側から陰極30に入射する周辺光Lの反射がより一層大幅に低減されている。したがって、かかる有機EL装置を反射型の液晶パネル2と組み合わせると、表示品質がより一層向上した反射型液晶装置3を得ることができる。
かかる高い反射率の低減効果は、半透過反射層28を、Alに替えてAgで形成したものによる。したがって、該低減効果には屈折率nと消衰係数kの双方が影響していると考えられる。かかる光学定数は、干渉に影響を及ぼすと共に半透過反射層28自体の光吸収効果を増加させていると考えられる。すなわち、屈折率nと消衰係数kの双方が高い材料のからなる金属薄膜の表面においてはプラズモン吸収が生じており、光干渉層22による反射率の低減効果と合わせて、図21に示すような、高い反射率の低減効果が得られていると考えられる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の有機EL装置について述べる。第4の実施形態にかかる有機EL装置も第1の実施形態にかかる有機EL装置1と同様の構成を有している。そして、光干渉層22を構成する透明層26と半透過反射層28との形成材料が異なっている。すなわち、本実施形態にかかる有機EL装置は、透明層26が層厚61nmのSiONからなり、半透過反射層28は層厚10nmのAgからなっている。そこで、本実施形態の説明においては、上述の第3の実施形態と同様に平面図及び断面図等の図示は省略して、反射率特性等の図(グラフ)のみを示す。
次に、第4の実施形態の有機EL装置について述べる。第4の実施形態にかかる有機EL装置も第1の実施形態にかかる有機EL装置1と同様の構成を有している。そして、光干渉層22を構成する透明層26と半透過反射層28との形成材料が異なっている。すなわち、本実施形態にかかる有機EL装置は、透明層26が層厚61nmのSiONからなり、半透過反射層28は層厚10nmのAgからなっている。そこで、本実施形態の説明においては、上述の第3の実施形態と同様に平面図及び断面図等の図示は省略して、反射率特性等の図(グラフ)のみを示す。
図20は、SiONの光学定数を示す図である。上述したLiFの光学定数と類似しており波長依存性は殆んど無い。ただし、全体的に若干高い値を有している。
図23は、第4の実施形態にかかる有機EL装置の、陰極30の上面における反射率特性を示す図である。図示するように、可視光の全波長領域において反射が大幅に低減されている。上述の第3の実施形態の結果と同様に、視感度が最も高い波長である550nm近辺において、反射が略0%近いレベルまで低減されている。かかる効果は、専ら半透過反射層28をAgで形成したことによるものであり、透明層26の形成材料を変更したことはあまり影響していないと考えられる。ただし、透明層26をSiONで形成した場合、信頼性の向上効果が得られると考えられる。
SiONはLiFに比べて水分等の浸入を抑制する機能が優れている。したがって、本実施形態にかかる有機EL装置は、陰極30の上面の反射が大幅に低減されると共に信頼性も向上している。また、透明層26にSiONを用いることで、封止構造40(図5等参照)を簡略化できるという効果も発揮できる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は有機EL素子20の構成が異なっている。光干渉層22等は上述の第1の実施形態にかかる有機EL装置1と略同一である。そこで、本実施形態の有機EL装置については、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。
次に、第5の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は有機EL素子20の構成が異なっている。光干渉層22等は上述の第1の実施形態にかかる有機EL装置1と略同一である。そこで、本実施形態の有機EL装置については、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。
図11(a)は本実施形態の有機EL装置が備える有機EL素子20の平面視での概略を示す図であり、図11(b)は上記平面図のB−B’線における模式断面図である。図示するように第1の実施形態の有機EL素子20と略同一の構成を有しているため、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は一部省略する。
本実施形態の有機EL素子20の特徴は、陽極24の上層に周囲を隔壁38で囲まれた凹部が形成されており、発光機能層50は該凹部内に形成されている点にある。かかる構成により、かかる隔壁38により陰極30と陽極24とのショートが確実に回避できるため信頼性が向上している。また、発光機能層50を蒸着法に替えてインクジェット法で形成する場合において、発光機能層50の形成領域がばらつくことを抑制できる。したがって、かかる有機EL素子20を備える有機EL装置をフロントライトとして用いた場合、表示品質が向上した反射型の表示装置を得ることができる。なお、隔壁38はアクリル樹脂等の有機材料で形成することが好ましい。感光性有機材料を用いると、フォト工程(露光工程と現像工程)のみで隔壁38を形成できる。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は、上述の第5の実施形態の有機EL装置と同様に、有機EL素子20の構成が異なっている。そこで、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。そして、上述の第5の実施形態の説明と同様に、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は一部省略する。
次に、第6の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は、上述の第5の実施形態の有機EL装置と同様に、有機EL素子20の構成が異なっている。そこで、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。そして、上述の第5の実施形態の説明と同様に、共通する構成要素には同一の符号を付与し、説明の記載は一部省略する。
図12は、本実施形態の有機EL装置が備える有機EL素子20の平面視での概略を示す図である。本実施形態の有機EL素子20の特徴は、陽極24が、少なくとも発光領域100(図2参照)内においては発光機能層50で覆われている点にある。したがって、陽極24と陰極30との間のショート、及び陽極24と陰極配線32とのショートが発生する確率をより一層低減できる。
上述したように、有機EL装置1において、発光領域100内に平面視で有機EL素子20が占める割合は略1%である。かかる低い密度であれば上述ショートの発生確率は略0である。しかし、上述の有機EL素子20が占める割合を増加させた場合、該確率の増加が懸念される。本実施形態の有機EL装置が備える有機EL素子20は陽極24が完全に発光機能層50で覆われているため、上述の有機EL素子20が占める割合を増加させても上述のショートの発生確率を略0に保つことができる。したがって、有機EL素子20の形状(面積)あるいは個数(密度)を増大させて、発光強度を増加させることが容易である。また、かかる有機EL素子20を備える有機EL装置をフロントライトとして用いた場合、輝度が向上した反射型の表示装置を得ることができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態の有機EL装置について述べる。図13は、第7の実施形態にかかる有機EL装置の平面視における概略を示す模式平面図であり、上記第1の実施形態の説明における図2に相当する図である。
次に、第7の実施形態の有機EL装置について述べる。図13は、第7の実施形態にかかる有機EL装置の平面視における概略を示す模式平面図であり、上記第1の実施形態の説明における図2に相当する図である。
図示するように、本実施形態の有機EL装置は、透明基板12上に、帯状の陽極24と同じく帯状の陰極30とを有している。双方の電極は発光領域100の周辺部(符号無し)で連結されて、図示しない電源に接続されている。したがって、上述の各実施形態における陰極配線32(図3等参照)は形成されていない。
帯状の陽極24と帯状の陰極30とは平面視で重なるように形成されている。そして、発光機能層50(図4等参照)は発光領域100内の全域に形成されている。したがって、上述の陽極24と陰極30とが重なり合う部分が、有機EL素子(符号無し)として機能している。すなわち、本実施形態に係る有機EL装置は発光領域100内を互いに略平行に延在する複数本の帯状の有機EL素子を有している。
上述したように、本実施形態の有機EL装置は陰極配線32を有していないので、陰極30を平面視で有機EL素子20の形成領域以上に延長して陰極配線32と重ねる必要がない。したがって、光量、すなわち発光領域100内に占める有機EL素子の形成面積の割合を同一とした場合において、陰極30の形成領域(形成面積)を低減できる。したがって、本実施形態にかかる有機EL装置をフロントライトとして用いた場合、表示品質が向上した反射型の表示装置を得ることができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は、上述の第5の実施形態の有機EL装置と同様に、有機EL素子20の構成が異なっている。そこで、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。
次に、第8の実施形態の有機EL装置について述べる。本実施形態の有機EL装置は、上述の第5の実施形態の有機EL装置と同様に、有機EL素子20の構成が異なっている。そこで、図2に相当する全体図等は省略し、有機EL素子20の図のみ用いて述べる。
図14は、本実施形態の有機EL装置が備える有機EL素子20の平面視での概略を示す図である。図示するように、陰極30と陽極24は双方とも、矩形の電極部(符号無し)と該電極部を連結する幅の狭い配線部(符号無し)とからなっている。発光機能層(符号無し)は陰極30と陽極24との層間の全面に形成されている。したがって、陰極30と陽極24とが重なり合う矩形の領域が有機EL素子20として機能している。光干渉層(符号無し)は、配線部上も含む陰極30の全面に形成されている。
このような構成の有機EL装置であれば、有機EL素子20の平面形状あるいは形成密度の変更が比較的容易となる。したがって、EL光I(図5参照)の照射の対象となる反射型の液晶パネル2(図1参照)等に合せて任意の位置に有機EL素子20を形成できる。
(第9の実施形態)
次に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を、液晶パネル以外の物のフロントライトとして用いた場合を示す。図15は、第9の実施形態としての、第1の実施形態の有機EL装置1と電子ペーパー4とを組み合わせた反射型の表示装置を示す図である。なお、フロントライトとしての有機EL装置は有機EL装置1以外に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を用いることができる。
次に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を、液晶パネル以外の物のフロントライトとして用いた場合を示す。図15は、第9の実施形態としての、第1の実施形態の有機EL装置1と電子ペーパー4とを組み合わせた反射型の表示装置を示す図である。なお、フロントライトとしての有機EL装置は有機EL装置1以外に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を用いることができる。
電子ペーパー4はマイクロカプセル方式であり、図示するように支持基板60と透明基板12と、該一対の基板間に規則的に配置された一層のマイクロカプセル61等からなっている。透明基板12のマイクロカプセル61側には平板状の上部透明共通電極63が配置されており、支持基板60のマイクロカプセル61側には島状の下部電極62が1つのマイクロカプセル61に対して2個ずつ規則的に配置されている。
マイクロカプセル61内には、図示しない正に帯電した白色顔料粒子と、同じく図示しない負に帯電した黒色顔料粒子とが略同数収納されている。一組の下部電極62は双方を正また負の同電位にすることもできると共に、一方を正電位として他方を負電位とすることができる。かかる電位の制御により、各々のマイクロカプセル61毎に任意の白色顔料粒子又は黒色顔料粒子を透明基板12側に移動させることができる。その結果、透明基板12側には(白黒の)画像が形成される。そして、外光を反射させることで透明基板12側に位置する図示しない観察者に画像を表示できる。そして、かかる電子ペーパー4にフロントライトとしての有機EL装置1を組み合わせることで、外光(周辺光)の有無にかかわらず常時画像表示装置が可能な反射型の表示装置とすることができる。
(第10の実施形態)
図16は、第10の実施形態としての、第1の実施形態の有機EL装置1と機械式メーター5とを組み合わせた反射型の表示装置を示す図である。なお、フロントライトとしての有機EL装置は有機EL装置1以外に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を用いることができる。
図16は、第10の実施形態としての、第1の実施形態の有機EL装置1と機械式メーター5とを組み合わせた反射型の表示装置を示す図である。なお、フロントライトとしての有機EL装置は有機EL装置1以外に、上述の各実施形態にかかる有機EL装置を用いることができる。
機械式メーター5は、支持基板60上にメーター部65が配置されており、透明基板12で覆われている。なお、メーター部65は、駆動部66と針67と目盛板68とからなる。機械式メーター5自体は発光機能を有してはおらず、情報の伝達はすべて外光の反射により行っている。本実施形態の機械式メーター5は有機EL装置1が備える有機EL素子20からのEL光(不図示)の照射により、該有機EL装置側に位置する観察者(不図示)に対して常時情報の伝達が可能である。そして、有機EL装置1は上述のように外光(周辺光)の反射を低減するための光干渉層(不図示)を備えているため、有機EL素子20の陰極(不図示)の反射によるちらつきを生じさせずに情報を伝達できる。
1…フロントライトとしての有機EL装置、2…液晶パネル、3…反射型の表示装置として反射型液晶装置、4…電子ペーパー、5…機械式メーター、9…観察者、10…素子基板、11…対向基板、12…透明基板、14…偏光板、15…TFT、17…画素電極、18…対向電極、20…発光素子としての有機EL素子、22…光干渉層、23…ITO層、24…第1電極としての陽極、26…透明層、28…半透過反射層、30…第2電極としての陰極、32…第2電極配線としての陰極配線、38…隔壁、40…封止構造、50…発光機能層、51…正孔注入層、52…正孔輸送層、53…有機EL層、54…電子輸送層、55…電子注入層、60…支持基板、61…マイクロカプセル、62…下部電極、63…上部透明共通電極、65…メーター部、66…駆動部、67…針、68…目盛板、70…カラーフィルター層、71…カラーフィルター、72…ブラックマトリクス、75…第1の配向膜、76…第2の配向膜、79…液晶層、81…第1の蒸着マスク、82…第2の蒸着マスク、91…蒸着源としての第1のるつぼ、92…蒸着源としての第2のるつぼ、100…発光領域、101…周辺領域、F1…第1の反射光、F2…第2の反射光、I…EL光、L…周辺光、R…反射光。
Claims (23)
- 透明基板上に、透明導電性を有する第1電極と少なくともEL層を含む発光機能層と局所的に形成された反射導電性を有する第2電極とが順に積層されてなる発光素子が配置されており、前記発光機能層内で生じた光を前記透明基板を介して射出する発光装置であって、
前記第2電極の前記透明基板側の反対側の面の少なくとも一部には、透明層と半透過反射層とが順に積層されていることを特徴とする発光装置。 - 請求項1に記載の発光装置であって、
前記半透過反射層により反射される光に生じる反射光の位相シフトをΦ1、
前記第2電極により反射される光に生じる反射光の位相シフトをΦ2、
前記透明層の層厚をd(nm)、
反射の低減を目的とする光のピーク波長をλ(nm)、
としたとき、
2d+(Φ2−Φ1)=(n+1/2)λ(nは整数)の条件を満たすことを特徴とする発光装置。 - 請求項2に記載の発光装置であって、
前記λは550(nm)であることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置であって、前記発光機能層は前記EL層と前記第2電極との間に電子注入層を有しており、前記透明層は該電子注入層を構成する材料と同一の材料からなることを特徴とする発光装置。
- 請求項4に記載の発光装置であって、
前記透明層は、LiF,CaF2,MgF2のうちのいずれかで形成されていることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置であって、前記透明層は酸化窒化シリコンからなることを特徴とする発光装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記第2電極と前記半透過反射層とは、共通のマスクを用いたマスク成膜により形成されていることを特徴とする発光装置。 - 請求項7に記載の発光装置であって、前記透明層が、前記第2電極及び前記半透過反射層の形成に用いられたマスクと共通のマスクを用いたマスク成膜により形成されていることを特徴とする発光装置。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記第2電極と前記半透過反射層とが同一の材料からなることを特徴とする発光装置。 - 請求項9に記載の発光装置であって、
前記第2電極と前記半透過反射層とがAlからなることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記半透過反射層は屈折率が1より大きい材料からなることを特徴とする発光装置。 - 請求項11に記載の発光装置であって、
前記半透過反射層がAgを90%以上含有する材料からなることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の発光装置であって、
平面視において、複数の前記発光素子が互いに間隔を空けて配置された発光領域と該発光領域の周囲の周辺領域とを有し、
前記発光領域内において前記第1電極は前記発光機能層に覆われていることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記第2電極は前記発光領域内において互いに離間するように形成され、かつ、透明導電性を有する第2電極配線で互いに連結された複数個の島状パターンであることを特徴とする発光装置。 - 請求項14に記載の発光装置であって、
前記第2電極配線は、前記第1電極を構成する透明導電材料層と同一の透明導電材料層を、前記第1電極と交わらないようにパターニングして形成されていることを特徴とする発光装置。 - 請求項1〜15のいずれか一項に記載の発光装置であって、前記EL層が有機EL層であることを特徴とする発光装置。
- 請求項1〜16のいずれか一項に記載の発光装置をフロントライトとして用いたことを特徴とする反射型の表示装置。
- 透明基板上に透明導電性を有する第1電極を形成する第1の工程と、
前記第1電極の少なくとも一部を覆うように、少なくともEL層を含む発光機能層を形成する第2の工程と、
前記第1電極と前記発光機能層との積層体の少なくとも一部を覆うように、反射導電性を有する第2電極をマスク成膜法により局所的に形成する第3の工程と、
前記第2電極を覆うように透明層を形成する第4の工程と、
前記第3の工程で用いるマスクと同一のマスクを用いるマスク成膜法により、半透過反射層を、前記透明層を介して前記第2電極と重なるように形成する第5の工程と、
を、この順に実施することを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項18に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第2〜5の工程は真空蒸着法により成膜する工程であり、かつ、同一の装置内で連続的に実施されることを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項19に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第5の工程は、前記第3の工程で用いられる蒸着マスクと同一の蒸着マスクを用いて成膜する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項20に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第4の工程は、前記第3の工程及び前記第5の工程で用いられる蒸着マスクと同一の蒸着マスクを用いたマスク蒸着法により前記透明層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項18〜21のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第2の工程は、電子注入層を含む複数の材料層を夫々異なる蒸着源を用いて形成する工程であり、
前記第4の工程は前記電子注入層の形成に用いられる蒸着源と同一の蒸着源を用いて前記透明層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項18〜21のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第5の工程は、前記第2電極の形成に用いられる蒸着源と同一の蒸着源を用いて前記半透過反射層を形成する工程であることを特徴とする発光装置の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9559239B2 (en) | 2013-12-27 | 2017-01-31 | Seiko Epson Corporation | Optical device |
WO2018180444A1 (ja) * | 2017-03-27 | 2018-10-04 | パイオニア株式会社 | 光装置 |
-
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- 2009-07-08 JP JP2009161540A patent/JP2011018507A/ja not_active Withdrawn
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