JP2011017550A - 燃料集合体および沸騰水型原子炉 - Google Patents

燃料集合体および沸騰水型原子炉 Download PDF

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Abstract

【課題】最外周の燃料棒の出力が過度に高くならないようにする。
【解決手段】沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体20において、最外周に配置される燃料棒21,22に収納されたウランの濃縮度を、燃料集合体断面の平均値以下とする。特に、チャンネルボックス23の内幅が140mm以上200mm以下であり、燃料棒21,22が12行12列に配列された燃料集合体20において、効果が大きい。最外周のそれぞれの辺には断面平均以下の濃縮度のウランを収納した部分長燃料棒22が2本以上配置され、標準燃料棒21は燃料有効部の下端から1/3以下の所定の高さまでGdが添加されたものを含み、最高濃縮度のウランを収納する標準燃料棒21はGdが添加された2本以上の標準燃料棒21と隣接していることが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料集合体および沸騰水型原子炉に関する。
一般に、沸騰水型原子炉用燃料集合体においては、n行n列の正方格子状に燃料棒が束縛されており、それら燃料棒は4角筒状のチャンネルボックス内に格納している。沸騰水型原子炉用燃料集合体の大きさは、改良沸騰水型原子炉(ABWR)の導入で燃料格子ピッチの拡大が図られたものの、燃料集合体のサイズ、すなわちチャンネルボックスの内幅はいずれの沸騰水型原子炉でもほぼ同じである。
近年、改良沸騰水型原子炉に対し、資源の有効利用・発電コスト低減を目指した沸騰水型原子炉の研究開発が進められている。そのなかの一つとして、大型の燃料集合体の使用を想定した沸騰水型原子炉の概念が示されている。
燃料集合体を大型化する利点の一つとして、原子炉に装荷する燃料集合体の数を増やすことなく原子炉の出力増加が可能である点が挙げられる。これは、燃料集合体を大型化することにより、現行ABWR炉心においてバイパス水領域となっていた部分にも燃料を装荷することができ、炉心単位体積当たりの出力密度を高めることが可能となるためである。
また、燃料集合体を大型化する他の利点として、現行ABWRに比べて炉心に装荷する燃料集合体の体数を減らすことができることが挙げられる。たとえば、内部仕切版により内部が4象限に分割され、サイズが従来燃料の約2倍の大型燃料集合体を供給することで、1回の燃料移動作業において、従来よりも約4倍多くの燃料棒を移動させることができる。その結果、燃料集合体の取扱いに必要な時間を短縮できる(たとえば特許文献1参照)。
一方で、燃料集合体を大型化すると、炉心に装荷される燃料集合体の数が減ることによって炉心設計に対する自由度が制限され、炉心半径方向ピーキング係数を低下させることが難しくなる傾向があることが予想される。また、燃料集合体を大型化すると、制御棒価値が低下する可能性がある。これは、従来のABWRに装荷される燃料集合体ではバイパス水であった領域にも燃料棒が配置されることにより、中性子スペクトルが硬くなることに起因する。
これに対し、炉心に充分な炉停止余裕を確保するための手段として、たとえば、大型燃料集合体の対角線方向に対向する2つのコーナー部に直接隣接するように制御棒を配置するK格子型の制御棒配置の利用が挙げられる(たとえば特許文献2参照)。しかし、K格子型の制御棒配置には、十字型の制御棒ハウジングの技術開発や安全性確認など解決すべき技術上の課題がある。
また、特許文献3には、たとえばボイド係数の観点から、チャンネルボックス内幅が203mm以上222mm以下とし、水ロッドの面積を55cm以上65cm以下にすることでボイド係数の絶対値が小さい大型燃料集合体の提供が可能であるとされている。ただし、この文献で示されている燃料集合体はK格子を前提にしており、十字型制御棒ハウジングが必要である。
特許文献4には、現行ABWRと同一または寸法が同等の圧力容器を有する沸騰水型原子炉において、炉心の外表面と体積を最適にできる燃料格子サイズが15種類挙げられている。また、特許文献5には燃料格子サイズLと燃料棒配列数nの関係について5種類が上げられている。
特開平8−254589号公報 特開昭63−82392号公報 特許第3079609号公報 特開平10−206585号公報 特開2007−163382
原子炉の最大線出力密度などの炉心特性は、単に燃料格子サイズや燃料棒格子配列数だけで決まるものではなく、燃料集合体内の水平断面および軸方向の濃縮度分布およびガドリニウム濃度分布に大きく依存する。特に、燃料集合体が大型化すると、燃料集合体の横断面内での熱中性子束の平坦度が低下し、最外周の燃料棒の出力が過度に高くなる可能性がある。この可能性は、燃料集合体の取出燃焼度の増大を目的とした燃料集合体の平均濃縮度の増加に伴って大きくなる。
そこで、本発明は、沸騰水型原子炉に装荷された燃料集合体の最外周の燃料棒の出力が過度に高くならないようにすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、4角筒状のチャンネルボックス内に複数本の主たる核分裂性物質としてウランを収納した燃料棒を正方格子状に束ねて沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体において、最外周部に位置する前記燃料棒に収納されたウランの濃縮度はいずれも燃料集合体断面の平均値以下であることを特徴とする。
また、本発明は、角筒状のチャンネルボックス内に複数本の主たる核分裂性物質としてウランを収納した燃料棒を正方格子状に束ねた燃料集合体が装荷された沸騰水型原子炉において、前記燃料集合体の最外周部に位置する前記燃料棒に収納されたウランの濃縮度はいずれも燃料集合体断面の平均値以下であることを特徴とする。
本発明によれば、沸騰水型原子炉に装荷された燃料集合体の最外周の燃料棒の出力が過度に高くならないようにできる。
本発明に係る燃料集合体の第1の実施の形態における燃料棒の配置を示す図であって、(a)はそれぞれの位置の燃料棒の種類を示す横断面図、(b)はそれぞれの種類の燃料棒のU−235濃縮度およびガドリニウムの添加の有無を示す模式的立断面図である。 本発明に係る燃料集合体の第1の実施の形態における図3のII−II矢視横断面図である。 図2のIII−III矢視立断面図である。 本発明に係る燃料集合体の第1の実施の形態における原子炉内での燃料集合体中の熱中性子束分布の例を示すグラフである。 本発明に係る燃料集合体の第2の実施の形態における燃料棒の配置を示す図であって、(a)はそれぞれの位置の燃料棒の種類を示す横断面図、(b)はそれぞれの種類の燃料棒のU−235濃縮度およびガドリニウムの添加の有無を示す模式的立断面図である。
本発明に係る燃料集合体の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施の形態]
図2は、本発明に係る燃料集合体の第1の実施の形態における図3のII−II矢視横断面図である。図3は、図2のIII−III矢視立断面図である。
燃料集合体20は、燃料棒21,22、下部タイプレート25および上部タイプレート26を有している。下部タイプレート25および上部タイプレート26は、軸方向に離間して配置されている。燃料棒21,22は、下部タイプレート25から上部タイプレート26に向かって延びて、内部に主たる核分裂性物質としてウランを収納している。
燃料棒21,22は、たとえば円筒状の被覆管31の内部にウラン酸化物のペレット32を収納し、両端を端栓33で封じたものである。燃料棒21,22には、標準燃料棒21と、標準燃料棒21よりも短い部分長燃料棒22とがある。
複数の燃料棒21,22は、燃料棒21,22と同じ方向に延びる角筒状のチャンネルボックス23の内側で、12行12列の正方格子状に配列されている。12行12列の正方格子の中央には、燃料棒21,22と同じ方向に延びたウォータチャンネル24が配置されている。ウォータチャンネル24は、たとえば4行4列の格子位置を占めている。
下部タイプレート25と上部タイプレート26との間には、たとえば7つのスペーサ27が配置されている。スペーサ27は、燃料棒21,22およびウォータチャンネル24の相互の水平方向の間隔を保持している。
燃料棒21,22の外径は、約1.1cmである。燃料棒21,22のピッチ、すなわち隣り合う燃料棒21,22の中心間の距離は、約1.4cmである。チャンネルボックス23の内幅は、約17cmである。燃料有効長、すなわちウランが収納された燃料有効部の下端から上端までの距離は、約3.7mである。燃料集合体20の全長は、約4.5mである。
図1は、本実施の形態における燃料棒の配置を示す図であって、(a)はそれぞれの位置の燃料棒の種類を示す横断面図、(b)はそれぞれの種類の燃料棒のU−235濃縮度およびガドリニウムの添加の有無を示す模式的立断面図である。図1において、燃料棒21,22に付した記号1,2,3,4,5,V1,V2,G1,G3は、それぞれ燃料棒の種類を示している。
図1において、記号1,2,3,4,5,G1,G3で示す燃料棒は、標準燃料棒21である。図1において、記号V1,V2で示す燃料棒は、部分長燃料棒22である。部分長燃料棒22には、燃料有効部の下端から燃料有効部の長さの2/3の範囲に燃料が装填されている。燃料有効部とは、標準燃料棒21に装填された燃料の下端から上端までの領域である。
記号1,2,3,4,5で示す標準燃料棒21は、可燃性毒物であるガドリニウム(Gd)が添加されないペレット32が装填されたウラン燃料棒である。記号1,2,3,4,5で示す標準燃料棒21のそれぞれに装填されるペレット32のU−235濃縮度は、a(wt%)、b(wt%)、c(wt%)、d(wt%)およびe(wt%)である。
記号G1,G3で示す標準燃料棒21は、燃料有効部の一部または全部にガドリニウムが、たとえばガドリニウム酸化物(Gd)の形態で添加されたペレット32が装填されたGd入り燃料棒である。記号G1で示す標準燃料棒21は、燃料有効部の全体にわたって、U−235濃縮度がa〜e(wt%)の所定の濃縮度のウランにガドリニウムが添加されたペレット32が装填されている。記号G3で示す標準燃料棒21は、燃料有効部の下端から燃料有効部の長さの1/3の範囲にU−235濃縮度がb(wt%)のウランにガドリニウムが添加されたペレット32が装填され、燃料有効部の上端から燃料有効部の長さの2/3の範囲にU−235濃縮度がb(wt%)の所定の濃縮度のウランにガドリニウムが添加されたペレット32が装填されている。
記号V1,V2で示す部分長燃料棒22は、燃料有効部の下端から燃料有効部の長さの2/3の範囲にガドリニウム(Gd)が添加されない燃料ペレット32が装填されている。記号V1,V2で示す部分長燃料棒22のそれぞれに装填される燃料ペレット32のU−235濃縮度は、c(wt%)およびf(wt%)である。
ここで、ペレット32のU−235濃縮度a,b,c,d,e,fと、燃料集合体平均濃縮度との関係は、a>b>燃料集合体平均濃縮度>c>d>e>fとする。燃料集合体平均濃縮度は、たとえば5wt%を超える値である。本実施例では、燃料有効部の全体にわたってU−235濃縮度が一定の燃料棒21,22を用いているため、燃料集合体全体の平均濃縮度は、それぞれの横断面での平均濃縮度とほぼ同じである。つまり、図1に示すように、燃料集合体20の外周部には、燃料集合体20の断面平均濃縮度よりも低い濃縮度のウランのペレット32が装填された燃料棒21,22のみが配置されている。
チャンネルボックス23の外側およびウォータチャンネル24の内部には、非沸騰水領域が形成されていて、より多くの減速材が存在している。このため、燃料集合体20中の熱中性子束は、チャンネルボックス23およびウォータチャンネル24に近づくにつれて大きくなる傾向がある。
図4は、本実施の形態における原子炉内での燃料集合体中の熱中性子束分布の例を示すグラフである。図4において、実線は図2におけるA−A断面での、破線は図2におけるB−B断面での、熱中性子束の相対値をそれぞれ示す。
熱中性子束は、外周部から内側に向かって、すなわち、ウォータチャンネル24に近づくにつれて小さくなり、さらにウォータチャンネル24に近づくと再び大きくなる。これは、チャンネルボックス23の外側およびウォータチャンネル24の内部の水領域で減速された中性子が、燃料集合体20の外周部およびウォータチャンネル24の近傍には多く存在するためである。
特に、燃料集合体20のコーナー部では、側面中央付近に比べてより多くの水と面するため、熱中性子束が高い。燃料集合体20のコーナー部の熱中性子束は、チャンネルボックス23およびウォータチャンネル24に面せずに熱中性子束が比較的小さい外側から2層目の燃料棒位置に比べて、約2倍に達している。また、燃料集合体20の側面中央付近の燃料棒位置と、ウォータチャンネル24の側面中央に面する燃料棒位置では、図4の破線で示すように、ほぼ同程度の熱中性子束となっている。
沸騰水型原子炉では、種類が異なっても炉心中の水対ウラン比はほぼ同じである。炉心中の水対ウラン比がほぼ同じとすると、燃料棒21,22の外径およびピッチは、ほぼ同じとなる。また、水中での熱中性子の平均自由行程は、運転状態で約3cmである。このため、沸騰水型原子炉では、燃料集合体20のサイズや、格子の行および列の数によらず、チャンネルボックス23の外側に面する第1層目の燃料棒では熱中性子束が高く、第2層目では第1層目に比べてかなり小さくなる。
燃料棒21,22の出力Pは、その燃料棒21,22の濃縮度Enと熱中性子束φthとの積に比例し、
P ∝ En × φth
と表される。チャンネルボックス23に面する最外周に存在する燃料棒21,22の位置では、熱中性子束φthが高い。このため、最外周の燃料棒21,22の出力は過度に高くなるおそれがある。特に、燃料集合体平均濃縮度が5wt%を超える燃料集合体20では、個々の燃料棒21,22の濃縮度を高くする必要があるため、最外周の燃料棒21,22の出力は、さらに高くなる傾向にある。
そこで、本実施の形態では、チャンネルボックス23に面する最外周に存在する燃料棒21,22の濃縮度を燃料集合体20の断面平均以下にしている。これにより、最外周の燃料棒21,22の出力が、過度に高くなることを抑制できる。
本実施の形態では、ウォータチャンネル24は、燃料集合体20の横断面中央に4行4列分の格子位置を占めている。また、同程度の大きさの燃料集合体では、ウォータチャンネル24の代わりに1本または複数のウォータロッドを用いた場合でも、熱中性子束分布の平坦化のために、燃料集合体20の横断面中央には同程度の水領域が確保される。したがって、燃料棒21,22を12行12列以上の正方格子に配置した場合、チャンネルボックス23の外側やウォータチャンネル24の内側の水領域から第2層目以上となる燃料棒21,22が2層以上存在することになる。
チャンネルボックス23の外側やウォータチャンネル24の内側の水領域から第2層目以上となる燃料棒21,22では、熱中性子束が比較的小さい。このため、これらの燃料棒21,22の濃縮度を、たとえば燃料集合体平均濃縮度以上に高めても、出力が過度に高くなることはない。つまり、チャンネルボックス23の外側やウォータチャンネル24の内側の水領域から第2層目以上となる燃料棒21,22の濃縮度を高めて、燃料集合体平均濃縮度を高めても、過度に高い出力となる燃料棒21,22をなくすことができる。一方、燃料集合体20の平均濃縮度を高めると、取出燃焼度を高めることができ、経済性が向上する。
よって、燃料棒21,22を12行12列以上の正方格子に配置した場合には、特に、経済性を損なうことなく、過度に高い出力となる燃料棒21,22をなくすことができ、安全性が向上する。
また、水中での熱中性子の平均自由行程は、運転状態で約3cm、炉停止状態で約1.5cmである。したがって、熱中性子が多い場所、たとえば最外周燃料棒の位置に水平方向の長さが3cm程度の領域を設けると、運転時には熱中性子はこの領域を飛び越えることができるが、炉停止状態ではこの領域を飛び越えることができず、この領域に吸収されてしまう。すなわち、この領域は、運転時には効かないが炉停止状態では中性子吸収体として働くことになる。
このような領域を燃料集合体20の上部に設けると、燃料集合体20としての反応度の低下を抑制しつつ、原子炉の炉停止余裕を増やすことができる。このような領域は、部分長燃料棒22を、最外周部のそれぞれの辺に2本以上配置することによって形成される。本実施の形態では、全部で12本の部分長燃料棒21を最外周部に配置している。最外周部の次に熱中性子が多い場所として、ウォータチャンネル24などの水棒に隣接する位置が挙げられる。ここに部分長燃料棒22を配置してもよい。
最外周の辺の中央部に部分長燃料棒22を配置する場合と、角に置く場合とでは好適な濃縮度が違う。部分長燃料棒22の濃縮度は、2種類以上用意することが望ましい。本実施の形態では、2種類の濃縮度の部分長燃料棒22を用いている。
沸騰水型原子炉では、炉心下端部から入った水が炉心上端部では沸騰し体積の約70%を蒸気が占めるまでになっている。このため、水密度は、炉心下部と炉心上部では大きく異なる。その結果、軸方向の濃縮度分布を一様にすると、出力分布がボトムピークとなり炉心特性が悪化する。軸方向で濃縮度差を設けて炉心上部の濃縮度を高めて、炉心下部の濃縮度を下げることと、出力分布がボトムピークになることを抑制できる。
濃縮度差を設ける方法としては、燃料棒21,22の中で軸方向に濃縮度差を設けることが考えられる。しかし、この方法では、燃料集合体20内の水平断面の出力分布を悪化させる可能性がある。それに対し、部分長燃料棒22の濃縮度を燃料集合体平均以下にすれば、燃料集合体20の水平断面の出力分布を悪化させずに軸方向に濃縮度差を設けることができる。そこで、本実施の形態では、12本の部分長燃料棒22を用いることによって、軸方向に濃縮度差を設けている。
また、本実施の形態では、燃料有効部の下端から所定の高さまでガドリニウムが添加され、それより上側にはガドリニウムが添加されていない標準長燃料棒21を用いている。これにより、特にボトムピークになりやすい運転サイクル初期における、炉心下部の出力を抑制できる。ガドリニウムを添加する領域は、運転サイクル初期においてボイド率が0%に近い、燃料有効部の下端から燃料有効長の1/3程度までとするとよい。また、添加するガドリニウムの割合は、特にボトムピークになりやすい4GWd/t程度までの燃焼度で出力を抑制するように、Gdの濃度として2wt%程度が好適である。
可燃性毒物であるGdを添加した燃料棒21,22は、周りの熱中性子を吸収して燃料集合体20の反応度を制御するともに、隣接する燃料棒21,22の出力を抑える。本実施の形態では、最高濃縮度の燃料棒21に少なくとも2本のGd入り燃料棒21,22を隣接させることによって、最高濃縮度の燃料棒21の出力を低下させている。また、これにより、最高濃縮度の燃料棒21の燃焼期間が延びる。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明に係る燃料集合体の第2の実施の形態における燃料棒の配置を示す図であって、(a)はそれぞれの位置の燃料棒の種類を示す横断面図、(b)はそれぞれの種類の燃料棒のU−235濃縮度およびガドリニウムの添加の有無を示す模式的立断面図である。図5において、燃料棒21,22に付した記号1,2,3,4,5,V1,V2,G1,G3は、それぞれ燃料棒の種類を示している。
本実施の形態の燃料棒21,22は、図1に示された燃料棒と同じである。本実施の形態の燃料集合体20は、第1の実施の形態と燃料棒21,22の配置が異なる。
本実施の形態でも、チャンネルボックス23に面する最外周に存在する燃料棒21,22の濃縮度を燃料集合体の断面平均以下にしている。これにより、最外周の燃料棒21,22の出力が、過度に高くなることを抑制できる。
また、部分長燃料棒22を、特に広い水領域に面する4つのコーナー部に配置している、すなわち、最外周部のそれぞれの辺に2本以上配置している。このため、燃料集合体20としての反応度の低下を抑制しつつ、原子炉の炉停止余裕が増大される。
部分長燃料棒22の濃縮度は、燃料集合体平均以下である。このため、燃料集合体20の水平断面の出力分布を悪化させずに軸方向に濃縮度差を設けることができる。
最高濃縮度の燃料棒21には、少なくとも2本のGd入り燃料棒21,22を隣接させている。これにより、最高濃縮度の燃料棒21の出力を低下させ、最高濃縮度の燃料棒21の燃焼期間が延びる。
[その他の実施の形態]
なお、以上の説明は単なる例示であり、本発明は上述の各実施の形態に限定されず、様々な形態で実施することができる。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
20…燃料集合体、21…標準燃料棒、22…部分長燃料棒、23…チャンネルボックス、24…ウォータチャンネル、25…下部タイプレート、26…上部タイプレート、27…スペーサ、31…被覆管、32…ペレット、33…端栓

Claims (8)

  1. 4角筒状のチャンネルボックス内に複数本の主たる核分裂性物質としてウランを収納した燃料棒を正方格子状に束ねて沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体において、最外周部に位置する前記燃料棒に収納されたウランの濃縮度はいずれも燃料集合体断面の平均値以下であることを特徴とする燃料集合体。
  2. 前記チャンネルボックスの内幅が140mm以上200mm以下であり、前記燃料棒は12行12列に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料集合体。
  3. 前記燃料棒は標準長燃料棒とこの標準長燃料棒よりも短い部分長燃料棒を含み、最外周のそれぞれの辺には2本以上の前記部分長燃料棒が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料集合体。
  4. 前記部分長燃料棒に収納されたウランの濃縮度は、いずれも燃料集合体断面の平均値以下であることを特徴とする請求項3に記載の燃料集合体。
  5. 前記燃料棒は、ウランが収納された燃料有効部の下端から前記燃料有効部の長さの1/3以下の所定の高さまでガドリニウムが添加され、前記燃料有効部の下端から前記所定の高さより高い部分にはガドリニウムが添加されていないものを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料集合体。
  6. 最高濃縮度のウランを収納する前記燃料棒は、ガドリニウムが添加された2本以上の前記燃料棒と隣接することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の燃料集合体。
  7. 燃料集合体平均濃縮度が5wt%を超えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料集合体。
  8. 角筒状のチャンネルボックス内に複数本の主たる核分裂性物質としてウランを収納した燃料棒を正方格子状に束ねた燃料集合体が装荷された沸騰水型原子炉において、前記燃料集合体の最外周部に位置する前記燃料棒に収納されたウランの濃縮度はいずれも燃料集合体断面の平均値以下であることを特徴とする沸騰水型原子炉。
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