JP2011016233A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】金型内に導入部材、フィルター、及び供給部材をセットし、溶融させた樹脂材料を金型内に流入させて固化させることにより各パーツを一体化する構成において、樹脂材料を円滑に流動させてより確実に一体化させることが可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】供給ユニット15の入口開口周縁部49は位置決めピン50を突出し、インク導入針19の出口開口周縁部54は位置決めピンが挿入されるピン挿入空部55を有し、フィルターの周縁部56に、位置決めピンが挿通される挿通口57が開設され、位置決めピンが挿通口に挿通されると共にピン挿入空部に挿入され、出口開口周縁部と入口開口周縁部とによりフィルターの周縁部が挟持された状態で、インク導入針と供給ユニットとが樹脂材料により一体化された。
【選択図】図6
【解決手段】供給ユニット15の入口開口周縁部49は位置決めピン50を突出し、インク導入針19の出口開口周縁部54は位置決めピンが挿入されるピン挿入空部55を有し、フィルターの周縁部56に、位置決めピンが挿通される挿通口57が開設され、位置決めピンが挿通口に挿通されると共にピン挿入空部に挿入され、出口開口周縁部と入口開口周縁部とによりフィルターの周縁部が挟持された状態で、インク導入針と供給ユニットとが樹脂材料により一体化された。
【選択図】図6
Description
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体吐出装置に用いられる液体吐出ヘッドに関するものであり、特に、液体供給源からの液体を導入する導入部材と、導入部材から導入された液体を濾過するフィルターと、これらの導入部材及びフィルターが取り付けられる供給部材と、を備えた液体吐出ヘッドに関するものである。
例えば、液体吐出ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと言う。)では、液体状のインクを封入したインクカートリッジ等の液体供給源に、導入部材の一種であるインク導入針を挿入することで、このインク導入針の先端部分に開設された導入孔を通じて液体供給源内のインクを記録ヘッド内部に導入している。また、近年では、プリンター本体側に配置したインクカートリッジと記録ヘッドのインク導入針に装着したサブタンク(液体供給源の一種)とをインクチューブで連結し、ポンプを作動してインクカートリッジ内に空気を送り込むことにより、インクカートリッジに貯留されたインクを、インクチューブを通じて記録ヘッド側に圧送する構成のものも提案されている。
上記の記録ヘッドは、上記インク導入針の他、複数の部品を組み付けることで作製されている。例えば、上記インク導入針から導入された液体を圧力室側に供給する供給流路を備える供給ユニット(供給部材)、リザーバーから圧力室を通ってノズルに至るまでのインク流路(液体流路)を形成する流路ユニット、圧力発生手段としての圧電振動子を備えるアクチュエータユニット、流路ユニット及びアクチュエータユニットが取り付けられるヘッドケース等によって構成されている。そして、この種の記録ヘッドでは、インク導入針から記録ヘッド内に導入されたインクを濾過するフィルターが、インク導入針と供給ユニットとの間に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。このフィルターは、インクに混入した気泡や異物等を濾別して、これらの気泡等が圧力室側に流入することを抑制する機能を有する。なお、特許文献1に開示されている記録ヘッドでは、フィルターは供給ユニットに対して熱溶着により固定され、インク導入針と供給ユニットとは超音波溶着により固定されている。
ところが、インク導入針と供給ユニットとを超音波溶着により固定する構成の場合、超音波溶着時に細かい樹脂の破片等の異物が生じることがあった。そして、このような異物が記録ヘッドのインク流路やノズル近傍に付着する等して、インクの吐出の妨げになる虞があった。
上記のような問題に対し、型枠(金型)内にインク導入針、フィルター、及び供給ユニットをセットし、この状態で、予め溶融された樹脂材料を型枠内に流し込んでこれを固化させることにより、各パーツを一体化する方法も提案されている。この方法によれば、上記のような異物の発生を防止することができる。
上記構成では、例えば、供給ユニットにおいて、インク導入針の設置範囲の外側に位置決めピンが設けられ、フィルターにはインク導入針と供給ユニットにより挟持される範囲よりも外側に突出した部分が設けられ、この突出部分に位置決めピンが挿通される挿通口が開設され、位置決めピンをフィルターの挿通口に挿通することにより、フィルターの位置決めが行われていた。
ところが、インク導入針と供給ユニットとを上記の樹脂材料によって一体化する場合、樹脂材料が流動する位置に位置決めピンやフィルターの突出部分が存在すると、これらの部位が樹脂材料の流動を妨げる虞があった。樹脂材料の流動が妨げられると、樹脂材料の充填不足が生じる可能性があり、インク導入針と供給ユニットとを確実に一体化することができない虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金型内に導入部材、フィルター、及び供給部材をセットし、溶融させた樹脂材料を金型内に流入させて固化させることにより各パーツを一体化する構成において、樹脂材料を円滑に流動させてより確実に一体化させることが可能な液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体供給源からの液体を液体流路内に導入し、当該液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドであって、
前記液体供給源内の液体を導入する液体導入路が内部に形成された導入部材と、
前記導入部材が取り付けられた状態で前記液体導入路と連通して当該液体導入路からの液体を前記液体流路側に供給する液体供給路が内部に形成された供給部材と、
前記導入部材と前記供給部材との間に配置され、前記液体導入路側から液体供給路側に流れる液体を濾過するフィルターと、
を備え、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの一方は、位置決めピンを突出し、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの他方は、前記位置決めピンが挿入されるピン挿入空部を有し、
前記フィルターの周縁部に、前記位置決めピンが挿通される挿通口が開設され、
前記位置決めピンが前記挿通口に挿通されると共に前記ピン挿入空部に挿入され、前記導入部材の出口開口周縁部と前記供給部材の入口開口周縁部とにより前記フィルターの周縁部が挟持された状態で、前記導入部材と前記供給部材とが樹脂材料により一体化されたことを特徴とする。
前記液体供給源内の液体を導入する液体導入路が内部に形成された導入部材と、
前記導入部材が取り付けられた状態で前記液体導入路と連通して当該液体導入路からの液体を前記液体流路側に供給する液体供給路が内部に形成された供給部材と、
前記導入部材と前記供給部材との間に配置され、前記液体導入路側から液体供給路側に流れる液体を濾過するフィルターと、
を備え、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの一方は、位置決めピンを突出し、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの他方は、前記位置決めピンが挿入されるピン挿入空部を有し、
前記フィルターの周縁部に、前記位置決めピンが挿通される挿通口が開設され、
前記位置決めピンが前記挿通口に挿通されると共に前記ピン挿入空部に挿入され、前記導入部材の出口開口周縁部と前記供給部材の入口開口周縁部とにより前記フィルターの周縁部が挟持された状態で、前記導入部材と前記供給部材とが樹脂材料により一体化されたことを特徴とする。
この構成によれば、位置決めピン及びフィルターが、導入部材と供給部材とが重なる領域内に収められ、導入部材及び供給部材を樹脂材料によって一体化する工程において樹脂材料が流動する位置にフィルター及び位置決めピンが無いので、これらのフィルターや位置決めピンが樹脂材料の流動を妨げることが無い。このため、樹脂材料が円滑に充填され、樹脂材料の充填不足が防止される。その結果、導入部材と供給部材とをより確実に一体化することができる。
また、位置決めピン及びフィルターが導入部材と供給部材とが重なる領域内に収められることから、供給部材上で1つの導入部材の設置に必要な面積を抑えることができ、その分、導入部材同士の配置間隔を狭めることができる。これにより、液体吐出ヘッド全体の小型化に寄与することができる。
また、位置決めピン及びフィルターが導入部材と供給部材とが重なる領域内に収められることから、供給部材上で1つの導入部材の設置に必要な面積を抑えることができ、その分、導入部材同士の配置間隔を狭めることができる。これにより、液体吐出ヘッド全体の小型化に寄与することができる。
また、上記構成において、前記ピン挿入空部は、前記供給部材に前記導入部材が取り付けられ状態で外部空間と連通し、前記供給部材と前記導入部材との一体時に樹脂材料が流入される構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、導入部材及び供給部材を樹脂材料によって一体化する際に、ピン挿入空部内にも樹脂材料が充填されるため、ピン挿入空部内に空気が残らない。これにより、気泡の発生が抑制される。即ち、ピン挿入空部内に空気が残る構成の場合、この空気が気泡として流路内に侵入する虞があり、この気泡が原因でノズルから液体が吐出されない等の不具合が生じる可能性がある。しかしながら、本構成によれば、このような不具合を回避することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体吐出ヘッドとして、インクジェット式プリンター(液体吐出装置の一種)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
図1に示すように、このプリンター1は、記録ヘッド2が取り付けられると共にインクカートリッジ3(液体供給源の一種)が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4を記録紙の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構6と、記録紙8を紙送り方向に移動させる紙送り機構7とを備えている。
上記のキャリッジ移動機構6(ヘッド移動手段)は、キャリッジ移動モーター10を駆動源とし、プリンター1における主走査方向(紙幅方向)に架設されたガイド軸9に沿って、キャリッジ4を主走査方向に往復移動させるように構成されている。上記の紙送り機構7は、駆動源としての紙送りモーター11と、この紙送りモーター11によって回転駆動される上下一対の紙送りローラー12(下のローラーのみを図示)とから構成される。そして、上下のローラーによって記録紙8を挟み付け、この状態でローラーを回転することで記録紙8を搬送する。
図2は、本実施形態における記録ヘッド2の構成を説明する斜視図である。
本実施形態における記録ヘッド2は、インクカートリッジ3が装着される供給ユニット15と、複数のヘッドユニット16と、ヘッドカバー17とにより概略構成されている。
本実施形態における記録ヘッド2は、インクカートリッジ3が装着される供給ユニット15と、複数のヘッドユニット16と、ヘッドカバー17とにより概略構成されている。
上記供給ユニット15は、内部に供給流路47(本発明における液体供給路の一種。図6等参照。)が形成された合成樹脂製の部材であり、本発明における供給部材の一種である。この供給ユニット15の一方の面側のベース部18には、複数のインク導入針19が取り付けられている。このインク導入針19は、本発明における導入部材の一種である。本実施形態においては各種のインク色に対応させて合計10本のインク導入針19が、主走査方向に5本ずつ列設されて副走査方向に2段となるようにベース部18上に配設されている。このインク導入針19は、インクカートリッジ内部のインクを、導入孔51から導入流路52および供給ユニット15内の供給流路47を通じてヘッドユニット16のインク流路側に導入するように構成されている。これらの供給ユニット15及びインク導入針19の詳細については後述する。
供給ユニット15の他方の面側である底面には、本実施形態において合計5つのヘッドユニット16が、主走査方向に横並びに位置決めされた状態で固定される。また、各ヘッドユニット16に夫々対応した5つのカバー開口部20を有する金属製のヘッドカバー17が、各ヘッドユニット16の周縁部を包囲する状態で供給ユニット15に取り付けられる。このヘッドカバー17は、各ヘッドユニット16を保護する機能の他、各ヘッドユニット16のノズル形成基板23(図3参照)と導通することで記録紙等から発生する静電気による障害を防止する機能を奏する。そして、ヘッドカバー17の各開口部20からは、各ヘッドユニット16のノズル形成基板23に開設されたノズル32(図3参照)が露出するようになっている。
図3は、本実施形態におけるヘッドユニット16の構成を示す分解斜視図であり、図4は、ヘッドユニット16の断面図である。なお、便宜上、ヘッドユニット16を構成する各部材(ヘッドユニット構成部材)の積層方向を上下方向として説明する。このヘッドユニット16は、ノズル形成基板23、圧力室形成基板24、リザーバー形成基板25、及び、コンプライアンス基板26からなるキャビティユニット27と、圧電振動子28(圧力発生手段の一種)と、駆動IC29とを積層した状態でユニットケース30に取り付けて概略構成されている。
上記ノズル形成基板23は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル32を列状に開設したステンレス鋼製のプレートである。本実施形態におけるノズル形成基板23には、例えば180dpiのピッチで180個のノズル32を列設することで2条のノズル列が構成されている。圧力室形成基板24は、本実施形態においてはシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)によって作製され、その表面から異方性エッチングすることによって複数の隔壁で区画された圧力室33が各ノズル32に対応して複数形成されている。また、この圧力室形成基板24には、各圧力室33の共通のインク室としてのリザーバー34の一部を区画する連通空部35が形成されている。この連通空部35は、供給口36を介して各圧力室33と連通している。
圧力室形成基板24の上面(ノズル形成基板23側とは反対側の面)には、予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜37(図3参照)が形成されており、この弾性膜37上に下電極膜と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層と、上電極膜と(何れも図示せず)を順次積層することで形成された圧電振動子28が圧力室33毎に形成されている。この圧電振動子28は、所謂撓みモードの圧電振動子であり、圧力室33の上部を覆い隠すように配置されている。そして、この圧電振動子28は、充電により中心部が圧力室33から遠ざかるように撓んで圧力室33を収縮させ、放電により中心部が圧力室33に近づくように撓んで圧力室33を膨張させる。この圧電振動子28の電位レベルを変えることで、対応する圧力室33の容積が変化し、圧力室33が加圧されたり減圧されたりする。つまり、圧力室内のインクに圧力変動が生じる。この圧力を、圧電振動子28に印加する駆動信号によって制御することで、ノズル32からインク滴を吐出させたり、或いは、ノズル32に露出したメニスカスを微振動させたりすることができる。
また、圧力室形成基板24上には、基板厚さ方向に貫通したリザーバー部38を有するリザーバー形成基板25が配置される。このリザーバー形成基板25は、圧力室形成基板24と同様にシリコン単結晶基板を用いて作製されている。また、このリザーバー形成基板25におけるリザーバー部38は、圧力室形成基板24の連通空部35と連通してリザーバー34を区画するようになっている。このリザーバー34から供給口36及び圧力室33を通りノズル32に至るまでのインク流路は、本発明における液体流路に相当する。また、本実施形態におけるノズル形成基板23、リザーバー形成基板25、及び圧力室形成基板24は、流路形成基板を構成している。
リザーバー形成基板25の上面(圧力室形成基板24とは反対側の面)には、プリンター本体側からの駆動信号を受け、この駆動信号によって各圧電振動子28を駆動するための駆動IC29が設けられている。この駆動IC29の各端子は、図示しないボンディングワイヤ等を介して各圧電振動子28の個別電極からの引き出し配線と接続されている。そして、駆動IC29の各端子は、TCP(テープキャリアパッケージ)等の配線部材39を介してプリンター本体側のプリンターコントローラと電気的に接続され、この配線部材39を介してプリンターコントローラ側から駆動信号等の各種信号が供給されるようになっている。
また、リザーバー形成基板25の上面側には、コンプライアンス基板26が配置される。このコンプライアンス基板26は、例えばステンレス鋼等の金属製の支持板26aの表面にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂フィルムを弾性薄膜部26bとしてラミネートした複合板材によって構成されている。このコンプライアンス基板26には、リザーバー34の開口面を封止するコンプライアンス部26cが設けられている。このコンプライアンス部26cは、リザーバー34の開口面に対向する領域の支持板26aを例えばエッチング加工等によって除去することにより、弾性薄膜部26bのみとしている。そして、このコンプライアンス部26cは、圧電振動子28の駆動時のリザーバー34内のインクの圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
ユニットケース30は、高さ方向を貫通したケース流路41が内部に形成されると共に、その底面においてコンプライアンス部26cに対向する領域に凹部42が形成された部材である。上記ケース流路41は、供給ユニット15の供給流路に連通してインク導入針19側からのインクをリザーバー34側に供給するための流路である。また、凹部42は、コンプライアンス部26cの変形を許容する空間を形成するために設けられている。上記ユニットケース30の中心部、具体的には、リザーバー形成基板25上に設けられた駆動IC29に対向する領域には、高さ方向に貫通した空部43が開設されており、配線部材39がこの空部43を挿通して駆動IC29と接続されるようになっている。
以上のように構成された各ヘッドユニット16では、インク導入針19から導入されたインクが、導入流路、供給ユニット15の供給流路、及び、ユニットケース30のケース流路41を通じてリザーバー34に取り込まれ、リザーバー34からノズル32に至るインク流路がインクで満たされる。この状態で、駆動IC29からの駆動信号が圧電振動子28に供給されてこの圧電振動子28が撓み変形されることで、当該圧電振動子28に対応する圧力室33内のインクに圧力変動が生じる。そして、このインクの圧力変動によってノズル32からインク滴が吐出される。
次に、上記の供給ユニット15の詳細について説明する。
図5は、供給ユニット15の平面図であり、図6は、図5におけるA−A′線断面図である。また、図7は、供給ユニット15におけるベース部18の一部を拡大して示した平面図である。なお、図7は、インク導入針19が取り付けられていない状態の供給ユニット15を図示している。
図5は、供給ユニット15の平面図であり、図6は、図5におけるA−A′線断面図である。また、図7は、供給ユニット15におけるベース部18の一部を拡大して示した平面図である。なお、図7は、インク導入針19が取り付けられていない状態の供給ユニット15を図示している。
供給ユニット15のベース部18には、複数のインク導入針19がフィルター45を間に介在させた状態でそれぞれ配設されている。そして、供給ユニット15とインク導入針19とは、合成樹脂からなる固定部46によって一体化されている。この供給ユニット15の内部には、一端が入口開口48としてベース部18に開口すると共に他端が底面に開口した供給流路47が形成されている。この供給流路47は、インク導入針19毎に対応して独立して形成され、フィルター45を介してインク導入針19の導入流路52と連通するようになっている。入口開口48は、開口端に向けて開口径が次第に広くなる漏斗状に形成されている。この供給流路47の入口開口48の周縁部、即ち、入口開口周縁部49は、ベース部18の他の部分よりも隆起して土手状になっている。そして、この入口開口周縁部49の端面から、取り付け状態のインク導入針19側に向けて位置決めピン50が突設されている。本実施形態においては、1つの入口開口周縁部49に合計4つの位置決めピン50が互いに間隔を空けて形成されている。なお、入口開口周縁部49は、フィルター45が当接配置されるフィルター配置部としても機能する。また、入口開口周縁部49は必ずしもベース部18から隆起していなくても良い。
インク導入針19は、インクカートリッジ3の内部に挿入される中空針状の部材であり、合成樹脂から形成されている。このインク導入針19の内部には、導入流路52(液体導入路の一種)が形成されている。この導入流路52の一端は、インク導入針19の先端部に開設された導入孔51を通じてインク導入針の外部空間と連通している。また、導入流路52の他端は、インク導入針19の先端部とは反対側の基端面に出口開口53として開口している。インク導入針19の基端部は、基端面側に向かって次第に拡径した形状になっている。これに応じて導入流路52の他端部も出口開口53に向けて次第に拡径している。出口開口53の開口径は、供給ユニット15の入口開口48の開口径と同程度に揃えられている。
図8に示すように、インク導入針19の基端面における出口開口53の周縁部、即ち、出口開口周縁部54において、供給ユニット15の入口開口周縁部49における各位置決めピン50に対応する位置には、基端面から先端部側に向けて窪んだピン挿入空部55がそれぞれ形成されている。本実施形態において、供給ユニット15の4つの位置決めピン50に対応して合計4つのピン挿入空部55が出口開口周縁部54における基端部の肉厚内に設けられている。このピン挿入空部55は、インク導入針19が供給ユニット15に取り付けられる際に位置決めピン50が挿入される空部であり、当該位置決めピン50よりも一回り大きい円筒形状の空部に形成されている。なお、ピン挿入空部55に関し、円筒形状に限られず、位置決めピン50が収容可能であれば、任意の形状を採用することができる。
なお、本実施形態では、位置決めピン50が供給ユニット15の入口開口周縁部49に形成され、4つのピン挿入空部55がインク導入針19の出口開口周縁部54に設けられた構成を例示したが、これには限らない。例えば、位置決めピン50がインク導入針19の出口開口周縁部54に設けられ、ピン挿入空部55が供給ユニット15の入口開口周縁部49に形成される構成を採用することも可能である。
また、位置決めピン50の数、及び、ピン挿入空部55の数については、本実施形態のように4つには限られない。位置決めピン50の数、及び、ピン挿入空部55の数をより多くするほど、フィルター45の位置ずれや撓みを抑制することができる。特に、合成樹脂製の供給ユニット15の膨張・収縮に起因するフィルター45の撓みを抑制することができる。
また、位置決めピン50の数、及び、ピン挿入空部55の数については、本実施形態のように4つには限られない。位置決めピン50の数、及び、ピン挿入空部55の数をより多くするほど、フィルター45の位置ずれや撓みを抑制することができる。特に、合成樹脂製の供給ユニット15の膨張・収縮に起因するフィルター45の撓みを抑制することができる。
図9は、インク導入針19と供給ユニット15との間に配設されるフィルター45の平面図である。このフィルター45は、例えばステンレス鋼などの金属が細かく綾畳織されたシート状の部材である。このフィルター45は、インク導入針19の基端面と同程度の大きさ(厳密に同一に限らず多少の誤差は許容される)の円形又は楕円形に成型されている。そして、このフィルター45の周縁部において、供給ユニット15の位置決めピン50に対応する位置に、当該位置決めピン50が挿通される挿通口57が開設されている。本実施形態においては、4本の位置決めピン50に対応して合計4つの挿通口57がフィルター周縁部56に設けられている。なお、挿通口57に関し、図9(a)に示すように、フィルター45の外周よりも少し中央側に位置する円形の独立した穴で構成されても良いし、図9(b)に示すように、フィルター45の外周から中央側に向けてU字状に切り欠かれた切欠により構成されても良い。
そして、上記のフィルター45が、各挿通口57にそれぞれ対応する位置決めピン50が挿通されて供給ユニット15の入口開口周縁部49に配置されると、供給流路47の入口開口48に対してフィルター45が位置決めされる。なお、この状態でフィルター45を入口開口周縁部49に熱溶着しても良い。ここで、位置決めピン50の全長は、フィルター45の厚さよりも十分に長く設計されている。このため、フィルター45が入口開口周縁部49に配置された状態では、図6に示すように、位置決めピン50が挿通口57から突出する。さらに、各位置決めピン50がインク導入針19のピン挿入空部55にそれぞれ挿入された状態で、出口開口周縁部54と入口開口周縁部49とが重ね合わされて、インク導入針19が供給ユニット15のベース部18に配置される。これにより、フィルター45がインク導入針19の出口開口周縁部54と供給ユニット15の入口開口周縁部49とによって挟み付けられる。この際、各位置決めピン50がピン挿入空部55にそれぞれ挿入されることにより、供給ユニット15の入口開口48に対してインク導入針19の出口開口53が位置決めされ、導入流路52と供給流路47とがフィルター45を介して連通する。
次に、インク導入針19と供給ユニット15とを一体化する工程について説明する。
インク導入針19と供給ユニット15との一体化には、図10に示すように、金型60が用いられる。この金型60は、ベース面60aと、当該ベース面60aの四辺からそれぞれ起立した側壁60bとから成るトレイ形状の部材である。金型60のベース面60aには、インク導入針19が途中まで挿通される挿通穴62が、供給ユニット15に配設される各インク導入針19に対応して合計10箇所開設されている。また、ベース面60aにおいて挿通穴62とは異なる位置には、樹脂材料の注入口であるゲート63が開設されている。このゲート63は、供給ユニット15のベース部18の中央部分に対応する位置に設けられていることが望ましい。また、ゲート63がベース面60aにおいて複数箇所に設けられる構成であっても良い。
インク導入針19と供給ユニット15との一体化には、図10に示すように、金型60が用いられる。この金型60は、ベース面60aと、当該ベース面60aの四辺からそれぞれ起立した側壁60bとから成るトレイ形状の部材である。金型60のベース面60aには、インク導入針19が途中まで挿通される挿通穴62が、供給ユニット15に配設される各インク導入針19に対応して合計10箇所開設されている。また、ベース面60aにおいて挿通穴62とは異なる位置には、樹脂材料の注入口であるゲート63が開設されている。このゲート63は、供給ユニット15のベース部18の中央部分に対応する位置に設けられていることが望ましい。また、ゲート63がベース面60aにおいて複数箇所に設けられる構成であっても良い。
一体化工程では、まず、金型60の開放面側(ベース面60aとは反対側の面)が供給ユニット15のベース部18に向けられた姿勢で、当該ベース部18に配置された各インク導入針19の先端部分がそれぞれ対応する挿通穴62に挿通された状態で、金型60がベース部18にセットされる。このセット状態では、金型60の各側壁60bの先端面がベース部18に当接することにより、ベース部18と金型60のベース面60aとの間には空間が形成される。この空間は、樹脂材料が流入される流入空間61である。また、この状態では、流入空間61内にはインク導入針19の基端部が収容される一方で、インク導入針19の先端部は、挿通穴62から外部に露出する。
そして、上記のセット状態で、予め溶融された樹脂材料が、金型60のゲート63から流入空間61内に注入される。この樹脂材料は、流入空間61の全体に満たされる。ここで、フィルター45や位置決めピン50は、何れもインク導入針19と供給ユニット15との間に収められて、インク導入針19及び供給ユニット15よりも外側(流入空間61側)に露出しない構成であるため、即ち、樹脂材料が流動する位置にフィルター45及び位置決めピン50が無いため、これらのフィルター45や位置決めピン50が、インク導入針19と供給ユニット15の一体化工程において樹脂材料の流動を妨げる虞が無い。このため、樹脂材料が流入空間61内に円滑に充填される。その結果、樹脂材料の充填不足を防止することが可能となり、インク導入針19と供給ユニット15とをより確実に一体化することができる。
また、フィルター45や位置決めピン50がインク導入針19及び供給ユニット15よりも外側に露出しない構成であることから、供給ユニット15のベース部18上で1つのインク導入針19の設置に必要な面積が抑えられ、その分、インク導入針同士の配置間隔を狭めることができる。これにより、記録ヘッド全体の小型化に寄与することができる。なお、フィルター45の周縁部の一部が、インク導入針19の出口開口周縁部54と供給ユニット15の入口開口周縁部49との間から僅かにはみ出していても、一体化工程において樹脂の流動を妨げない程度であれば許容される。
このようにして、ベース部18にセットされた金型60の流入空間61に樹脂材料が充填された後、充填された樹脂材料が固化される。これにより、図6に示すように、固化した樹脂材料が固定部46となり、インク導入針19と供給ユニット15とが一体化される。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
図11及び図12は、本発明の第2実施形態の構成を説明する図であり、図11は供給ユニット15及びインク導入針19の要部断面図、図12は供給ユニット15に取り付けられたインク導入針19の拡大平面図である。なお、図12は、インク導入針19と供給ユニット5とが固定部46によって一体化される前の状態を示している。上記第1実施形態では、位置決めピン50が、インク導入針19のピン挿入空部55内に挿入されて、インク導入針19の外側には露出しない構成を示したが、この第2実施形態では、位置決めピン50がインク導入針19の外部に露出している点が上記第1実施形態と異なる。なお、その他の構成については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
上記第1実施形態におけるピン挿入空部55がインク導入針19の肉厚内に形成されて外部空間から独立しているのに対し、第2実施形態におけるインク導入針19のピン挿入空部55′は、インク導入針19の外側面から導入流路52側に向けてインク導入針19の肉厚方向の途中まで切り欠かれて形成されている点が異なっている。そして、供給ユニット15側の各位置決めピン50をそれぞれピン挿入空部55′に挿入してインク導入針19を供給ユニット15のベース部18に取り付けた状態では、ピン挿入空部55′が外部空間と連通するので、位置決めピン50がインク導入針19の外部に露出する。この位置決めピン50は、図12に示すように平面で見た場合、インク導入針19の設置範囲内に配置されるので、上記第1実施形態と同様に、インク導入針19と供給ユニット15の一体化工程において樹脂材料の流動を妨げることが無い。また、上記第1実施形態におけるピン挿入空部55の場合、インク導入針19と供給ユニット15の一体化工程では当該ピン挿入空部55内に樹脂材料は充填されずに空気が残るが、本実施形態では、一体化工程においてピン挿入空部55′内にも樹脂材料が充填されるため、ピン挿入空部55′内に空気が残らない。これにより、インク流路内での気泡の発生が抑制される。即ち、ピン挿入空部内に空気が残る構成の場合、この空気が気泡としてインク流路内に侵入する虞があり、この気泡が原因でノズルからインクが吐出されない等の不具合が生じる可能性がある。つまり、インクを吐出するときの圧力変動を気泡が吸収したり、或いは、気泡がインク流路やノズルを塞ぐことにより、ノズルからインクが吐出されなかったり、吐出されたとしてもインク重量が減少したりする虞がある。しかしながら、本構成によれば、このような不具合を回避することができる。
なお、ピン挿入空部に関し、本実施形態のように切欠により構成するのには限られず、上記第1実施形態で例示したピン挿入空部55がインク導入針19の肉厚方向又は位置決めピンの長さ方向に貫通するような構成を採用することもできる。この構成においても、一体化工程においてピン挿入空部内にも樹脂材料が充填されるので、本実施形態の構成と同様な作用効果を奏する。要は、インク導入針19に供給ユニット15が取り付けられ状態で、ピン挿入空部が外部空間と連通していればよい。
以上では、液体吐出ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド2を例に挙げて説明したが、本発明は、導入部材、供給部材、及びフィルターを有するものであれば、他の液体吐出ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,15…供給ユニット,16…ヘッドユニット,18…ベース部,19…インク導入針,45…フィルター,46…固定部,47…供給流路,48…入口開口,49…入口開口周縁部,50…位置決めピン,51…導入孔,52…導入流路,53…出口開口,54…出口開口周縁部,55…ピン挿入空部,56…フィルター周縁部,57…挿通口,60…金型,61…流入空間,62…挿通穴
Claims (2)
- 液体供給源からの液体を液体流路内に導入し、当該液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドであって、
前記液体供給源内の液体を導入する液体導入路が内部に形成された導入部材と、
前記導入部材が取り付けられた状態で前記液体導入路と連通して当該液体導入路からの液体を前記液体流路側に供給する液体供給路が内部に形成された供給部材と、
前記導入部材と前記供給部材との間に配置され、前記液体導入路側から液体供給路側に流れる液体を濾過するフィルターと、
を備え、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの一方は、位置決めピンを突出し、
前記導入部材の出口開口周縁部または前記供給部材の入口開口周縁部のうちの他方は、前記位置決めピンが挿入されるピン挿入空部を有し、
前記フィルターの周縁部に、前記位置決めピンが挿通される挿通口が開設され、
前記位置決めピンが前記挿通口に挿通されると共に前記ピン挿入空部に挿入され、前記導入部材の出口開口周縁部と前記供給部材の入口開口周縁部とにより前記フィルターの周縁部が挟持された状態で、前記導入部材と前記供給部材とが樹脂材料により一体化されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記ピン挿入空部は、前記供給部材に前記導入部材が取り付けられ状態で外部空間と連通し、
前記供給部材と前記導入部材との一体時に樹脂材料が流入されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
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-
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- 2009-07-07 JP JP2009160378A patent/JP2011016233A/ja active Pending
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