本発明の実施の形態について以下説明する。なお、図面の各構成の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
本実施の形態におけるプロセスカートリッジは、画像形成装置に対して装着自在であるものであって、像担持体と、この像担持体に接触する帯電部材と、を備え、該像担持体と該帯電部材との間にシート部材が介在していればよく、これら以外の構成は特に限定されるものではない。以下、本実施の形態おけるプロセスカートリッジを構成する帯電部材、像担持体及びシート部材について説明する。
[帯電部材]
本実施の形態に用いる帯電部材としては、電子写真や静電記録プロセスに用いられる接触式帯電部材であれば特に限定はされないが、ロール、ブラシ、チューブ、ブレード等の形状であって、電圧が印加されて用いられる導電部材である。
本実施の形態において、より高い効果を得るためには、帯電部材は、特に、帯電ロールであるのが好ましい。以下に、帯電部材の例として帯電ロールについて説明する。
帯電ロールの構成は、特に制限されるものではないが、少なくとも、導電性支持体表面に導電性弾性層が設けられたものであればよく、この導電性弾性層上に抵抗層や表面層などの他の層が形成されたものであってもよい。また、必要に応じて、層間に接着剤を用いてもかまわない。
以下、本実施の形態における帯電部材の最も好ましい態様である帯電ロールを構成する、導電性支持体、導電性弾性層、抵抗層、及び表面層について詳細に説明する。なお、これらの構成部材は、帯電ロール以外の形状の帯電部材についても同様に利用することができる。
導電性支持体は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂;などの導電性の材質で構成される。
導電性弾性層及び抵抗層は、例えば、ゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR及びこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。特に、導電性弾性層では、これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
上記のゴム材に分散させる導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上、30質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上、25質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上、5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上、3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
導電性弾性層の形成に際しては、この層を構成する導電剤、ゴム材、その他の成分(加硫剤や必要に応じて添加される発泡剤等)の各成分の混合方法や混合順序は特に限定されないが、一般的な方法としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等により混合し、押出成形やプレス成形や射出成形等によって成形する方法が挙げられる。
表面層は高分子材料を用いて構成される。高分子材料としては、特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
これらの高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合或いは共重合して用いてもよい。また、高分子材料の数平均分子量は、1,000以上、100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上、50,000以下の範囲であることがより好ましい。
表面層は、上記高分子材料の他に、導電剤として前述した導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子が用いて構成されることが好ましい。これらの添加量は特に制限はないが、高分子材料100質量部に対して、1質量部以上、50質量部以下の範囲であることが好ましく、5質量部以上、20質量部以下の範囲であることがより好ましい。
表面層に用いられる微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体が、単独又は混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
表面層の形成に際しては、導電性弾性層表面に表面層を構成する材料を含む塗布液を浸漬塗布等の公知の塗布法を利用して塗膜を形成し、この塗膜を加熱乾燥させる方法が用いられる。また、予めチューブ状に形成した表面層を導電性弾性層表面にかぶせて、形成してもよい。なお、表面層は接着剤を用いて導電性弾性層表面と接着固定してもよい。
チューブにおいては、導電性支持体及び導電性弾性層からなるロールの外径よりも、内径が若干小さいチューブ状の表面層を用いる場合は、チューブ状の表面層の内周側に空気等の流体を注入した状態とし、この状態で表面層内周側にロールを挿入し、その後、流体の注入を停止させることで導電性弾性層表面に表面層を固定してもよい。
[シート部材]
本実施の形態におけるシート部材は、不織布からなる基材と樹脂表面層とを含み、未使用プロセスカートリッジの像担持体と帯電部材の間に介在させるものである。なお、本実施の形態におけるプロセスカートリッジは、使用時にシート部材が除去されて使用される。ここで、「不織布」は、繊維を織ったり編んだりせずに結合させたシート状のもので上質紙やコート紙のような印刷紙、クラフト紙のような包装紙、ラシャ紙、ケント紙などの紙、導電剤を含有する導電紙を含む意味で用いられる。
次に、図1から図8を用いて、本実施の形態におけるシート部材の構成について説明する。まず、図1に示すように、シート部材20は、未使用プロセスカートリッジの像担持体と帯電部材の間のニップ部分に相当する基材22の領域に、樹脂表面層24が形成されて、樹脂表面層24は、シート部材20を使用時に引き抜く方向と反対側に設けられている。さらに、図1のA−A線に沿った断面を表す図2に示すように、シート部材20は、基材22と樹脂表面層24とが、局所的に、例えば樹脂表面層24の長手方向端部にて、樹脂接着層26により接着されている。ここで、シート部材20は、樹脂接着層26を形成する接着剤を用い、基材22にシート状の樹脂表面層24を接着して形成される。また、樹脂表面層24の大きさは特に限定されないが、像保持体と帯電部材との接触する領域全体に形成されていることが好ましく、また、図2に示す印刷方向をシート部材の長さ方向とした場合、樹脂表面層24の幅は特に限定されないが、像担持体の画像形成領域より広いことが好ましい。なお、後述する図3から図8に示す樹脂表面層24の大きさに関しても、上記同様の大きさである。
また、図3に示すように、シート部材30は、未使用プロセスカートリッジの像担持体と帯電部材の間のニップ部分に相当する基材22の領域に、樹脂表面層24が形成されて、樹脂表面層24は、シート部材20を使用時に引き抜く方向と反対側に設けられている。さらに、図3のB−B線に沿った断面を表す図4に示すように、シート部材30は、基材22と樹脂表面層24とが、全面的に樹脂接着層36により接着されている。ここで、シート部材30は、樹脂接着層26を形成する接着剤を用い、基材22にシート状の樹脂表面層24を接着して形成される。
また、図5に示すように、シート部材40は、未使用プロセスカートリッジの像担持体と帯電部材の間のニップ部分に相当する基材22の領域であって、シート部材20を使用時に引き抜く方向と反対側に、樹脂表面層24が形成されている。さらに、図5のC−C線に沿った断面を表す図6に示すように、シート部材40は、基材22に樹脂表面層24が直接形成されている。図5,図6に示すシート部材40において、樹脂表面層24は、例えば、後述する樹脂表面層24を構成する樹脂または樹脂溶液を基材22に塗布またはキャストして形成してもよく、または、樹脂表面層24を構成する樹脂の粒子を通常の画像形成装置を用いて転写して形成してもよく、または、樹脂表面層24を構成する樹脂を用いてスクリーン印刷してもよい。
また、図7に示すように、シート部材50は、未使用プロセスカートリッジの像担持体と帯電部材の間のニップ部分に相当する基材22の領域に、樹脂表面層24が形成されて、樹脂表面層24は、シート部材20を使用時に引き抜く方向と反対側に設けられている。さらに、図7のD−D線に沿った断面を表す図8に示すように、シート部材50は、基材22と樹脂表面層24との間に樹脂層28が設けられ、樹脂層28と基材22とは全面的に樹脂接着層36により接着されている。ここで、シート部材50は、樹脂接着層26を形成する接着剤を用い、基材22にシート状の樹脂層28を接着して、さらに、樹脂表面層24を、後述する樹脂表面層24を構成する樹脂または樹脂溶液を樹脂層28に塗布またはキャストして形成してもよく、または、樹脂表面層24を構成する樹脂の粒子を通常の画像形成装置を用いて転写して形成してもよく、または、樹脂表面層24を構成する樹脂を用いてスクリーン印刷してもよい。
上述した図1から図4および図7,図8に示すように、本実施の形態におけるシート部材は、基材と樹脂表面層との間に一層以上の樹脂層(樹脂接着層も含む)が形成されてもよく、かかる場合、像担持体に接する樹脂表面層24の抵抗値は、基材22側の樹脂層の抵抗値より低いことが好ましい。像担持体に接する樹脂表面層24の抵抗値が、基材22側の樹脂層の抵抗値より低いので、帯電部材と像担持体が接触して搬送される時に、仮に像担持体との接触で像担持体の表面に電荷が発生しても、生じた電荷が相対的に抵抗値の低い樹脂表面層24に移行する。したがって、像担持体表面の電荷の蓄積が抑制され、従来に比べ、使用初期の帯電ムラが抑制され、画像欠陥が防止される。
また、図7,図8に示すシート部材50のように、基材22と樹脂表面層24との間に樹脂接着層36からなる第1樹脂層と樹脂層28からなる第2樹脂層とが形成されている場合、像担持体に接する樹脂表面層24の抵抗値と基材22に接する第1樹脂層である樹脂接着層36の抵抗値は、第2樹脂層である樹脂層28の抵抗値より低いことが好ましい。担持体に接する樹脂表面層24の抵抗値と基材22に接する第1樹脂層である樹脂接着層36の抵抗値は、第2樹脂層である樹脂層28の抵抗値より低いので、上述同様、帯電部材と像担持体が接触して搬送される時に、仮に像担持体との接触で像担持体の表面に電荷が発生しても、生じた電荷が相対的に抵抗値の低い樹脂表面層24に移行する。したがって、像担持体表面の電荷の蓄積が抑制され、従来に比べ、使用初期の帯電ムラが抑制され、画像欠陥が防止される。
ここで、基材22と樹脂表面層24と間に樹脂層が形成されている場合、樹脂表面層24の抵抗値は、例えば109Ω/□以上、1012Ω/□以下であり、基材22側の樹脂層の抵抗値または基材22に接する第1樹脂層である樹脂接着層36の抵抗値は、例えば1013Ω/□以上であり、両層の抵抗値の差が103Ω/□以上あることが好ましい。一方、図5,6に示すように、基材22に直接樹脂表面層24が形成されている場合、樹脂表面層の抵抗値は、上記抵抗値の範囲外であってもよく、すなわち導電層または絶縁層のいずれでもよい。ここで、本実施の形態の「導電層」とは、1013Ω/□未満の層をいい、一方「絶縁層」とは、1013Ω/□以上をいう。
上記抵抗値は、表面抵抗率で表され、この表面抵抗率は、図20に示す円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911(1995)に従い、電圧100Vを印加し、10秒後の電流値から求めた値である。図20は、円形電極の例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)であり、円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に試験片Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
本実施の形態における不織布からなる基材は、シート部材を引き抜いて除去する際に、像担持体と帯電部材との間にシート部材の一部がちぎれて残留しない程度の強度が望まれ、一方、シート部材の装着時はプロセスカートリッジ内で変形させて装着される場合多いため可撓性も求められる。さらに、輸送の振動時に像担持体の回転に伴うシート部材の脱落防止のために、帯電部材との摩擦が必要であり、予め定められた厚みの紙が好ましい。紙は、上質紙やコート紙のような印刷紙、クラフト紙のような包装紙、ラシャ紙、ケント紙等が挙げられ、導電剤を含む導電紙を用いてもよい。
<樹脂表面層>
本実施の形態において樹脂表面層は、ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル系共重合体、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂からなる群から選択される樹脂からなる。なお、樹脂表面層の表面抵抗、表面粗さ等の表面形態は限定されない。
[ポリオレフィン]
上記ポリオレフィンとしては、例えば、エチレンやプロピレンを重合させたポリエチレンやポリプロピレン、またエチレン、プロピレン、α−オレフィンを共重合させた樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリエチレン、また各オレフィン樹脂のブレンド樹脂などが挙げられる。ブリード等の感光体汚染性の観点より、低圧重合や高圧重合を問わずポリエチレンは好ましく、特にまた感光体へのキズ付け防止の観点より、低硬度で柔軟な低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば「ミラソン」(三井化学社製)、導電処理がなされた「ASクリーンフィルム」(アキレス社製)が用いられる。
また、ポリオレフィンとして、ポリエチレンを用いる場合、低密度ポリエチレンが最も好ましく、次いで中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの順で好ましい。ここで、低密度ポリエチレンとは、比重が0.91以上、0.93未満のものをいい、中密度ポリエチレンとは、比重が0.93以上、0.942未満のものをいい、高密度ポリエチレンとは、比重が0.942以上のものをいう。
ポリオレフィンからなる樹脂表面層の膜厚は、可撓性があり、帯電部材と像担持体との間に介在したときシワになりづらく、輸送時や引き抜き時に切断されなければ特に限定はしないが、1μm以上、500μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下はより好ましい。
[フッ素樹脂またはシリコーン樹脂]
樹脂表面層として、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂を用いる場合、フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及び、これらを含むテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などの共重合体などが挙げられる。シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどのオルガノシリコーンを分子鎖に含む樹脂が挙げられ、さらに、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、アルキル変性などの単独、または複合の変性シリコーン樹脂も用いられる。フッ素樹脂またはシリコーン樹脂は、他の樹脂に比べ、摩擦係数が小さいため、シート部材の引き抜き性に優れる。
フッ素樹脂またはシリコーン樹脂からなる樹脂表面層の膜厚は、可撓性があり、帯電部材と像担持体との間に介在したときシワになりづらく、輸送時や引き抜き時に切断されなければ特に限定はしないが、10μm以上、500μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下がより好ましい。
[ポリウレタンまたはポリエステル]
樹脂表面層として、ポリウレタンまたはポリエステルを用いる場合、ポリウレタンとしては原材料のポリオールの種類によりエステル系、エーテル系、カーボネート系などが挙げられるが、像担持体としての感光体との接着性の観点から、エステル系のウレタンが好ましい。ポリウレタンまたはポリエステルは、他の樹脂に比べ、衝撃吸収性に優れ、搬送時に未使用の像担持体と帯電部材との衝撃を吸収し、像担持体への帯電履歴形成が抑制される。
ポリエステルとしては、代表的なものとしてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ(エチレン/1,4−ジメチレン・シクロヘキサン)テレフタレート共重合樹脂などが挙げられる。その中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい。
また、ポリウレタンまたはポリエステルとして、上記ポリウレタンまたはポリエステルのアクリル系共重合体を用いてもよい。
ポリウレタンまたはポリエステルからなる樹脂表面層の膜厚は、可撓性があり、帯電部材と像担持体との間に介在したときシワになりづらく、輸送時や引き抜き時に切断されなければ特に限定はしないが、押出成型の場合には、10μm以上、500μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下がより好ましい。また、転写成型の場合には、10μm以上、200μm以下、ウエット塗布では10μm以上、50μm以下での膜厚形成が好ましい。
[ポリアミドまたはポリイミド]
樹脂表面層として、ポリアミドまたはポリイミドを用いる場合、ポリアミドとしては、例えば、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン6−12、610ナイロン、11ナイロンなどの共重合ナイロン樹脂などが挙げられる。特に感光体へのキズ付け防止の観点より、低硬度で柔軟なナイロン樹脂がより好ましい。特に、ポリアミドは、プラス帯電し易いため、仮に搬送時に像担持体にプラスの電荷が発生しにくい。
また、ポリイミドとしては、例えば、芳香族ポリイミドなどが挙げられる。
ポリアミドまたはポリイミドからなる樹脂表面層の膜厚は、可撓性があり、帯電部材と像担持体との間に介在したときシワになりづらく、輸送時や引き抜き時に切断されなければ特に限定はしないが、10μm以上、500μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下がより好ましい。
[フェノール樹脂またはポリアセタール]
樹脂表面層として、フェノール樹脂またはポリアセタールを用いる場合、フェノールとして、レゾール型、ノボラック型は限定されない。またアルキル変性されたフェノール樹脂でもかまわない。液状での取り扱いが可能であるため、基材上への塗布によりフェノール層が形成されるのが好ましい。ポリアセタールとしては、オキシメチレンを単位構造にもつホモポリマーやオキシエチレン共重合体、末端処理は特に限定されない。市販品例としてデルリン(デュポン社製)やジュラコン(ポリプラスチックス社製)がある。特に、ポリアセタールは、上述したフッ素樹脂やシリコーン樹脂に次いで摩擦係数が小さいため、シート部材の引き抜き性に優れる。
フェノール樹脂またはポリアセタールからなる樹脂表面層の膜厚は、可撓性があり、帯電部材と像担持体との間に介在したときシワになりづらく、輸送時や引き抜き時に切断されなければ特に限定はしないが、例えば、ポリアセタールからなる樹脂表面層の膜厚は、10μm以上、500μm以下が好ましく、20μm以上、100μm以下がより好ましく、一方、ポリアセタールからに比べ膜が硬くなるフェノール樹脂からなる樹脂表面層の膜厚は、10μm以上、100μm以下が好ましい。
[像担持体]
本実施の形態における像担持体の一例として、電子写真感光体を例に取って以下に説明する。
図13から図16は、それぞれ本実施の形態における電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図であり、電子写真感光体11を基体12及び感光層13の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図13から図16に示した電子写真感光体11はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層13には電荷発生層15と電荷輸送層16とが別個に設けられている。
より詳しくは、図13に示した電子写真感光体11においては、導電性基体12上に電荷発生層15及び電荷輸送層16がこの順で積層されて感光層13が構成されており、図14に示した電子写真感光体11においては、導電性基体12上に下引き層14、電荷発生層15及び電荷輸送層16がこの順で積層されて感光層13が構成されており、図15に示した電子写真感光体11においては、導電性基体12上に下引き層14、電荷発生層15、電荷輸送層16及び保護層17がこの順で積層されて感光層13が構成されている。図16に示した電子写真感光体11においては、導電性基体12に下引き層14、中間層18、電荷発生層15、電荷輸送層16が、この順で積層されて感光層13が構成されている。また、ここには記していないが、感光層が電荷発生材料と電荷輸送材料とを共に含有する単一の層からなる単層型電子写真感光体においても、本実施の形態は好適に実施することが可能である。
以下、電子写真感光体11の各構成要素について詳述する。
導電性基体12としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製シート;紙、プラスチック、ガラス等の基体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基体に蒸着したもの;金属箔を上記基体にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基体に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体12の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体12として金属製パイプ基材を用いる場合、当該パイプ基材の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基材表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。表面処理としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
下引き層14に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、下引き層14には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、本実施の形態においては、下引き層14に金属酸化物微粒子を含有せしめることも可能である。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤がより好ましい。
また、下引き層14中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
下引き層14はアクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を含有させて形成することもできる。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、特にキノン基を有する化合物が好ましく用いられる。さらにアントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が好ましく用いられる。アントラキノン構造を有する化合物としては、アントラキノン以外に、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物などがあげられ、いずれも好ましく用いることができる。さらに具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリンなどが特に好ましく用いられる。
これらのアクセプター性化合物の付与量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定できるが、好ましくは金属酸化物に対して0.01質量%以上、20質量%以下で付与される。さらに好ましくは金属酸化物に対して0.05質量%以上、10質量%以下で付与される。0.01質量%未満では下引き層内の電荷蓄積改善に寄与するだけの十分なアクセプター性を付与できないため、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすい。また20質量%を超える場合には金属酸化物同士の凝集を引き起こしやすく、その為下引き層形成時に下引き層内で金属酸化物が良好な導電路を形成することが出来ず、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる。
金属酸化物微粒子へのアクセプター化合物の付与方法としては、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、有機溶媒に溶解させたアクセプター化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に付与される。添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましく、溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、アクセプター化合物が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくい欠点があるため好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに溶剤の沸点温度以上で乾燥を行うことができる。また、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、アクセプター化合物の有機溶剤溶液を添加し、還流あるいは有機溶剤の沸点以下で攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に付与される。また、溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留、加熱乾燥により留去される。
アクセプター化合物を付与される金属酸化物微粒子としては、102Ω・cm以上、1011Ω・cm以下程度の粉体抵抗が必要である。これは下引き層14がリーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが必要であるためである。
下引き層14は、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を基体12上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる下引き層14の厚みは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1μm以上、10μm以下であることが好ましく、さらに、0.5μm以上、5.0μm以下であることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合には、15μmを超えることが好ましく、15μm以上、50μm以下であることがより好ましい。下引き層14の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
中間層18に用いられる材料としては、前記下引き層14に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、中間層18には、前記下引き層14と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、中間層18中には、前記下引き層14と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると中間層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
中間層18は、前記下引き層14と同様に、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を基体12上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる中間層18の厚みは、0.1μm以上、10μm以下であることが好ましく、さらに、0.5μm以上、5μm以下であることがより好ましい。中間層18の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体を、長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
電荷発生層15はヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有することが好ましい。電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される本実施の形態に用いられるヒドロキシガリウムフタロシアニンは所望の特性を得られるヒドロキシガリウムフタロシアニンであれば、いかなるものも使用できるが、特にCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°及び28.3°に回折ピークを有するものが好ましく用いられる。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、所定の結着樹脂中に分散保持されて電荷発生層15を構成する。かかる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。これらの結着樹脂は1種を単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。電荷発生物質と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1から1:10の範囲が好ましく、さらには、8:2から3:7の範囲がより好ましい。
電荷発生層15を形成する際には、結着樹脂を所定の有機溶剤に溶解した溶液に、上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を分散させた塗布液が用いられる。電荷発生層用塗布液の有機溶剤としては、結着樹脂を溶解可能なもの、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等の溶剤が使用可能である。より具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を結着樹脂液中に分散する方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。
本実施の形態におけるヒドロキシガリウムフタロシアニン分散液は、前記吸収ピークの位置と強度比が所定の範囲に維持される限りにおいては、分散性を向上させるため、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に表面処理を施すことが可能である。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるが、これに限定されるものではない。カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、カップリング剤の他に、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物を配合してもよい。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
また、電荷発生層用塗布液は分散後に遠心分離処理を行うことができる。遠心分離処理により塗布液分散時に混入する分散容器や分散メディアの磨耗片や、分散不良の粗大粒子を効率よく除去することが可能となる。
電荷発生層15は、上述の電荷発生層用塗布液をブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法などにより塗布し、乾燥することによって得ることができる。ここで、電荷発生層1の塗工液に用いる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いもよい。
このようにして得られる電荷発生層15の膜厚は、良好な電気特性と画質を与えるために、0.05μm以上、5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、1μm以下であることがより好ましい。電荷発生層15の厚みが0.05μm未満であると、十分な感度を与えることができない。一方、電荷発生層15の厚みが5μmを超えると、帯電性の不良などの弊害を生じさせ易い。
電荷輸送層16は、電荷輸送物質及び結着樹脂を含んで構成される。かかる電荷輸送物質としては、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル]−(1−ナフチル)−フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質が挙げられる。また、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質も使用可能である。さらに、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体を用いることもできる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
また、電荷輸送層16の結着樹脂としては、電気絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(質量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
電荷輸送層16は、上記材料を含む電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層15上に塗布し、乾燥させることにより形成される。塗布液に用いる溶剤としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の有機溶剤より任意に選択できるが、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が好適に使用される。また、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層16の厚みは、好ましくは5μm以上、60μm以下、より好ましくは10μm以上、50μm以下である。本実施の形態において、30μm以上であると、振動による濃度ムラが強く発生する傾向があるため、特に好ましく適応できる。
電荷輸送層16には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5’,6”−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメート等がある。
また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニルキノン、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系や、Cl−、CN−、NO2−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、電荷輸送層16には、磨耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることができる。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン及びそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
また、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
本実施の形態における電子写真感光体には、図15に示したように、必要に応じて保護層17を形成することができる。表面保護層17としては、下記一般式(I)で表される化合物を含んで形成される硬化膜が好ましい。
F−[D−A]b ・・・(I)
上記一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を表し、Dは2価の基を表し、Aは−SiR1 3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表し、bは1〜4の整数を表す。ここで、R1は水素、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基を表し、R2は水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。aは1〜3の整数を表す。
一般式(I)中のA、すなわち−SiR1 3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基は、架橋反応による3次元的なSi−O−Si結合(無機ガラス質ネットワーク)を形成する役割を担っている。
また、一般式(I)中、Fは、光電特性、より具体的には光キャリア輸送特性を有する有機基であり、従来、電荷輸送物質として知られている光機能性化合物の構造をそのまま用いることができる。Fで表される有機基としては、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格等が挙げられる。
Fで表される有機基の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。Fが一般式(II)で表される基であると、特に優れた光電特性と機械特性を示す。
一般式(II) 中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に置換あるいは未置換のアリール基を表す。Ar5は、置換あるいは未置換のアリール基、又はアリーレン基を表す。Ar1〜Ar4のうちb個は、−D−SiR1 3−a(OR2)aで表される基に結合する。kは0又は1を表す。
上記一般式(II)中のAr1〜Ar4としては、下記式(II−1)〜(II−7)のうちのいずれかであることが好ましい。
−Ar−Z’s−Ar−Xm (II−7)
式中、R6は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を表し、R7〜R9はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Xは一般式(I)中の−D−SiR1 3−a(OR2)aを表し、m及びsはそれぞれ0又は1を表し、tはそれぞれ1〜3の整数を表す。
ここで、式(II−7)中のArとしては、下記式(II−8)又は(II−9)で表されるものが好ましい。
式中、R10及びR11はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、tは1〜3の整数を表す。
また、式(II−7)中のZ’としては、下記式(II−10)〜(II−17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。
−(CH2)q− (II−10)
−(CH2CH2O)r− (II−11)
式中、R12及びR13はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ1〜10の整数を表し、tはそれぞれ1〜3の整数を表す。
上記式(II−16)、(II−17)中のWとしては、下記(II−18)〜(II−26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。
−CH2− (II−18)
−C(CH3)2− (II−19)
−O− (II−20)
−S− (II−21)
−C(CF3)2− (II−22)
−Si(CH3)2− (II−23)
式中、uは0〜3の整数を表す。
また、一般式(II)中、Ar5は、kが0のときはAr1〜Ar4の説明で例示されたアリール基であり、kが1のときはかかるアリール基から所定の水素原子を除いたアリーレン基である。
一般式(I)中、Dで表される2価の基は、光電特性を付与するFと3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合するAとを結びつける働きを担い、且つ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担うものである。Dで表される2価の基としては、具体的には、−CnH2n−、−CnH2n−2−、−CnH2n−4−で表わされる2価の炭化水素基(nは1〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−C6H4−C6H4−、及びこれらを組み合わせたものや置換基を導入したもの等が挙げられる。
一般式(I)中、bは2以上であることが好ましい。bが2以上であると、一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2個以上有することになり、無機ガラス質ネットワークの形成が容易となり、機械的強度が向上する傾向にある。
一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
B−An ・・・(III)
一般式(III)中、Aは−SiR1 3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す。ここで、R1、R2、aは一般式(I)中のR1、R2、aと同様である。Bは、枝分かれを含んでもよい2価以上の炭化水素基、2価以上のフェニル基及び−NH−から選ばれる基の少なくとも1つ、或いはこれらの組み合わせから構成される。nは2以上の整数を表す。
一般式(III)で表される化合物は、A、すなわち−SiR1 3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している化合物である。この一般式 (III)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物との反応又は一般式(III)で表される化合物同士の反応により、Si−O−Si結合を形成して3次元的な架橋硬化膜を与える。一般式(III)で表される化合物と一般式(I)で表される化合物とを併用すると、硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、また、硬化膜に適度な可とう性が付与されるため、より強い機械強度が得られる。一般式(III)で表される化合物の好ましい例を表1に示す。
一般式(I)で表される化合物と共に、さらに架橋反応可能な他の化合物を併用してもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−4101007、KNS−5300、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
保護層17には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対する放電生成物、トナーおよび紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。
フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有化合物の含有量は、保護層17全量を基準として20質量%以下とすることが好ましい。フッ素含有化合物の含有量が20質量%を超えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
上記化合物を含む保護層17は十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の含有量としては、保護層17全量を基準として15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
また、保護層17には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
保護層17は、上記化合物を含有する塗布液を電荷輸送層16上に塗布し、加熱処理することで形成される。これにより、一般式(I)で表される化合物等が3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜が形成される。加熱処理の温度は、下層に影響しなければ特に制限はないが、好ましくは室温から200℃、より好ましくは100℃から160℃である。
架橋硬化反応は、無触媒で行ってもよく、また、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、オクエ酸第一スズ等の有機スズ化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
また、保護層用塗布液の塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
また、塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
このようにして形成される保護層17の膜厚は、好ましくは0.5μm以上、20μm以下、より好ましくは2μm以上、10μm以下である。
[画像形成装置]
図9は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図9に示す画像形成装置200は、電子写真感光体207と、電子写真感光体207を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光して潜像を形成する露光装置206と、露光装置206により形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写体(画像出力媒体)500に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、この場合には、除電器214が設けられていないものもある。
図9中の帯電装置208は、電子写真感光体207の表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて、感光体207の表面を帯電させる方式(接触帯電方式)のものであり、上述した帯電装置が用いられる。
露光装置206としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。
転写装置212としては、電子写真感光体207上に形成されたトナー像を被転写体500に転写する際に、電子写真感光体に向けて所定の電流密度の電流を供給可能なものであることが好ましい。
クリーニング装置213は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本実施の形態の画像形成装置は、図9に示したように、除電器214として光照射装置をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
図10は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図10に示した画像形成装置210は、電子写真感光体207に形成されたトナー像を、1次転写部材212aに転写した後、1次転写部材212aと2次転写部材212bとの間に供給される被転写体(画像出力媒体)500に転写する中間転写方式の転写装置を備えるもので、かかる転写の際には1次転写部材212aから電子写真感光体に向けて所定の電流密度の電流が供給可能となっている。なお、図10中には示していないが、画像形成装置210は、図9に示した画像形成装置200と同様に除電器を更に備えていてもよい。また、画像形成装置210の他の構成は画像形成装置200の構成と同様である。
画像形成装置210においては、上述の通り、中間転写方式が適用されている点が異なるが、上記第1実施形態に係る画像形成装置200の場合と同様に、電子写真感光体207と、帯電装置とを組み合わせることで、良好な画質を長期にわたって安定的に得ることができる。
更に、電子写真感光体207に形成されたトナー像が1次転写部材212aに転写される際に、1次転写部材212aから電子写真感光体207に向けて所定の電流密度の電流を供給することで、被転写媒体500の種類・材質等による転写電流の変動を抑制することができるため、電子写真感光体207に流入する電荷量を精度よく制御することができるようになる。その結果、高画質化及び環境に対する負荷の低減を一層高水準で達成することが可能となる。
図11は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の基本構成を概略的に示す断面図である。図11に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。これらのトナーは平均形状係数が100〜140という条件を満たすものである。また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。ここで、電子写真感光体401a〜401dと、平均形状係数が100〜140である各色トナーとを組み合わせることによって、タンデム方式のカラー画像形成装置においても、高画質化及び環境に対する負荷の低減を高水準で達成することが可能となる。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、支持ロール408及び張力付与ロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して支持ロール408と当接するように配置されている。支持ロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写媒体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙などの被転写媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、又は、ドラム状であってもよい。
また、中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
本実施の形態におけるプロセスカートリッジは、ケース内に、感光体からなる像担持体、帯電部材、像担持体と帯電部材との間に介在されるシート部材の他に、現像装置、像担持体用のクリーニング装置を、取り付け部材により組み合わせて一体化したものであることが好ましい態様である。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている必要がある。
図12は本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態を概略的に示す断面図である。プロセスカートリッジ300は、電子写真感光体207とともに、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を取り付けレール216を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。現像装置211は、トナーを電子写真感光体207に供給するものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、転写装置212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
次に、図17および図18には、未使用の像担持体と帯電部材との間にシート部材を介在させる構成が例示されている。なお、図17,図18において、像担持体である電子写真感光体207と帯電部材である帯電装置208以外の構成については、省略して記載されている。
図17に示すように、電子写真感光体207と帯電装置208との間に樹脂表面層が存在するようにシート部材20が挿入され、さらにシート部材20の引き抜き方向に相当する基材の一端側を電子写真感光体207に渡しかけて、プロセスカートリッジのケース100の開口部102より突出させて装着し、一方、シート部材の基材の他端側には、帯電部材208側に折り返しされた折り返し部60が設けられていることが好ましい。この折り返し部60により、未使用搬送時に、電子写真感光体207と帯電装置208との間からシート部材20が脱落することが抑制される。ここでは、シート部材20を例に取り説明したが、これに限るものではなく、上述したシート部材30,40,50も同様に装着される。また、図1から図8において、樹脂表面層22は基材22の端部に設けられているが、これに限るものではなく、折り返し部60が基材22のみからなる場合には、シート部材の装着に応じて、基材22に対する樹脂表面層24の形成位置を適宜選択することが好ましい。
また、図18に示すように、帯電装置208に接着して表面をクリーニングするクリーニングロール205があるプロセスカートリッジの場合には、電子写真感光体207と帯電装置208との間に樹脂表面層が存在するようにシート部材20が挿入され、さらにシート部材20の引き抜き方向に相当する基材の一端側は電子写真感光体207に渡しかけられ、プロセスカートリッジのケース110の開口部112より突出するように装着され、一方、シート部材の基材の他端側は、帯電装置208に渡しかけられ、さらに帯電装置208とクリーニングロール205との間に挿入され装着される。帯電装置208とクリーニングロール205との間にシート部材20の基材の他端側を挿入することにより、未使用搬送時に、電子写真感光体207と帯電装置208との間からシート部材20が脱落することが抑制される。ここでも、シート部材20を例に取り説明したが、これに限るものではなく、上述したシート部材30,40,50も同様に装着される。また、図1から図8において、樹脂表面層22は基材22の端部に設けられているが、これに限るものではなく、帯電装置208とクリーニングロール205との間に挿入する部分が基材22のみからなる場合には、シート部材の装着に応じて、基材22に対する樹脂表面層24の形成位置を適宜選択することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中「部」は「質量部」を表す。
まず、シート部材の樹脂表面層に用いる樹脂の摩擦係数の大きさの度合いについて、図19に示す装置を用いて評価した。図19に示す帯電ロールと感光体との間に、長さ200mm、幅350mmで厚み60μmである樹脂シートを挟み込み、次いで、樹脂シートを50cm/sの一定速度で引き抜いた際に、実際に帯電ロールを駆動させるために必要な最大駆動トルクを測定した。ここで、最大駆動トルクが小さいほど、樹脂の摩擦係数が小さい。表2に結果を示す。
表2において、フッ素樹脂として「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製)を用い、シリコーン樹脂として「シリコンフィルム」(アズワン社製)を用い、ポリアセタールとして「デルリン900P」(デュポン社製)を用い、ポリアミドとして「アラミンCM8000」(東レ社製)を用い、ポリオレフィンとして低密度ポリエチレンの「ミラソン27」(三井化学社製)を用い、ポリウレタンとして「クランジールU−1490」(クラボウ社製)を用い、ポリエステルとして「テトロンフィルムGE」(帝人デュポンフィルム社製)を用い、ポリイミドとして「カプトン100H」(東レ・デュポン社製)を用い、フェノール樹脂として「スミライトレジンPR50209」(住友ベークライト社製)を用いた。
−感光体Aの作製−
ホーニング処理を施した30mmφの円筒状Al基板上にジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)100部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)10部、イソプロパノール400部、及びブタノール200部を含む溶液を浸漬塗布し、150℃にて、10分間加熱乾燥し、0.1μmの下引き層を形成した。
このアルミニウム基材上にX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンの10部をポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)10部、および酢酸n−ブチル1000部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、100°で10分間加熱乾燥して膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。これを感光体Aとする。
次に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン40部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60質量部と、シリコーンオイル表面処理シリカ「RY50」(日本エアロジル社製)を10質量部と、をテトロヒドロフラン280質量部及びトルエン120質量部に十分に溶解混合した後、さらに混合した。このとき、室温を25℃に設定し、混合工程における液温度を25℃に保った。その後、ガラスビーズを用いたサンドグラインダーにて分散し、シリコーンオイル表面処理シリカ分散液を作成した。このとき、サンドクラインダーのベッセルに24℃の水を流し、分散液の温度を50℃に保持した。
得られた塗布液を上記電荷発生層の上に電荷発生層と同様に浸漬塗布し、130℃40分で34μmの電荷輸送層を形成した。
−帯電ロールAの作製−
《弾性層の形成》
金属芯金として、径φ8mmのSUMロールに無電解ニッケルめっき処理したものを用いた。以下の混合物をオープンロールで混練りし、上記めっき処理された芯金の周囲に、ゴム厚さ3mmとなるように、半導電弾性層を形成し、その後プランジ研磨により厚さ2mmで十点平均表面粗さRzが1μm以上5μm以下になるように表面を仕上げ、半導電弾性層を形成した。
・ゴム材 100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム:Gechron3106:95%、アクリロニトリルブタジエンゴム:Nipol1312:5%:日本ゼオン社製)
・カーボンブラック(#3030B:三菱カーボンブラック社製) 15質量部
・イオン導電剤 1質量部
(塩化ベンジルトリエチルアンモニウム:関東化学社製)
・加硫剤((硫黄)200メッシュ:鶴見化学工業社製) 1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製) 2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製) 0.5質量部
・酸化亜鉛(亜鉛華1号:正同化学工業社製) 5質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSSB:白石カルシウム) 30質量部
《最表層の形成》
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メチルエチルケトンで希釈し、前記半導電弾性層の端部側表面に浸漬塗布し、一方、分散液Aと粗面化フィラーとの総質量に対して径φ10μmのArkema INC社製の多孔質ナイロン樹脂を30質量部添加した分散液Bをメチルエチルケトンで希釈し、前記半導電弾性層の中央付近の側表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ10μmの最表層を形成し、帯電ロールAを得た。
(分散液A)
・高分子材料 100質量部
(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液 バイロン30SS:東洋紡績社製)
・硬化剤 26.3質量部
(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製)
・導電剤 10質量部
(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製)
《シート部材およびプロセスカートリッジの作製》
<実施例1>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。該シート部材を、カラー複写機DocuCentre−IIIC3300(富士ゼロックス社製)のプロセスカートリッジの感光体Aと帯電ロールAとの間に、引き抜き側が感光体回転方向になるようにニップ部分がシート部材の基材および樹脂表面層が存在するように介在させ、プロセスカートリッジを得た。なお、感光体の電荷輸送層の膜厚は34μmである。
<実施例2>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの直鎖状低密度ポリエチレン(比重:0.93、「ウルトゼックス2520F」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例3>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの中密度ポリエチレン(比重:0.94、「ネオゼックス3510F」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例4>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの高密度ポリエチレン(比重:0.95、「ハイゼックス3300F」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例5>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリプロピレン(比重:0.91、「F109BA」(グランドポリマー社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例6>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(「V115」(宇部興産社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例7>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのメタロセン触媒低密度ポリエチレン(比重:0.92、「エボリューSP2320」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例8>
黒色のラシャ紙(330×200(印刷方向)mm)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例9>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの高密度ポリエチレン(比重:0.95、「ハイゼックス3300F」(三井化学社製))のシートを図4に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、シートの全面に両面テープを貼り、上質紙とソートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例10>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)と膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))を未接着のまま、プロセスカートリッジに実施例1同様に装着した。カートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例11>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚100μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例12>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を37μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例13>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を42μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例14>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を47μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例15>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのカーボン含有導電性低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製)にケッチェンブラックEC300Jを4質量部配合、表面抵抗率:1.0×109Ω/□)のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例16>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシート1を両面テープを用い、上質紙とシート1を貼付し、次いで、膜厚20μmのカーボン含有導電性低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製)にケッチェンブラックEC300Jを4質量部配合、表面抵抗率:1.0×109Ω/□)のシート2を両面テープを用い、シート1とシート2を貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例17>
導電紙(330×200(印刷方向)mm、106Ω)に膜厚20μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例18>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリエチレン−ポリプロピレン共重合体(「F569D」(グランドポリマー社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例19>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚10μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例1>
シート部材を装着しない以外は、実施例1に準拠してプロセスカートリッジを作製した。
<比較例2>
シート部材として黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。なお、後述する画質評価にて、比較例1に比べ、比較例2の100枚印刷後の画質が良いのは、印刷することで帯電履歴が軽減され、比較例1に比べ、比較例2の上質紙を介在させるだけでも電荷発生が低減されることがわかる。
<比較例3>
シート部材として導電紙(330×200(印刷方向)mm、106Ω)を装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。なお、後述する画質評価にて、比較例2に比べ、比較例3の100枚印刷後の画質が良いのは、印刷することで帯電履歴が軽減され、比較例2の上質紙に比べ、比較例3の導電質紙を介在させるだけでもさらに電荷発生が低減されることがわかる。
<比較例4>
シート部材として膜厚100μmの低密度ポリエチレン(比重:0.92、「ミラソン27」(三井化学社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例5>
シート部材として導電紙(330×200(印刷方向)mm、106Ω)のみを装着し、プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を37μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<比較例6>
シート部材として導電紙(330×200(印刷方向)mm、106Ω)のみを装着し、プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を42μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<比較例7>
シート部材として導電紙(330×200(印刷方向)mm、106Ω)のみを装着し、プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を47μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例20>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例21>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚50μmのポリフッ化ビニリデン(「KFシート」(クレハ社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例22>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚50μmのポリフッ化ビニル(「フルオンPFA」(旭硝子社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例23>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚50μmのテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(「フルオンETFE」(旭硝子社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例24>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚25μmのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(「フルオンPFA」(旭硝子社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例25>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚100μmのシリコーンゴム(「シリコンフィルム」(アズワン社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例26>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚1μmのエポキシ変性シリコーン樹脂をコートした後、UV硬化し、図8に示す構成になるように、上質紙に樹脂表面層を形成してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例27>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図4に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、シート全面に両面テープを貼り、上質紙とシートとを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例28>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)と膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))を未接着のまま、プロセスカートリッジに実施例1同様に装着した。カートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例29>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚100μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例30>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を37μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例31>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を42μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<実施例32>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚30μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは、感光体Aの電荷輸送層の膜厚を47μmに変更した以外は実施例1と同様に作製した。
<比較例8>
シート部材として膜厚100μmのシリコーン樹脂(「シリコンフィルム」(アズワン社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例9>
シート部材として膜厚100μmのポリテトラフルオロエチレン(「ニトフロンフィルムNo.900UL」(日東電工社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例33>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのエステル系ポリウレタン(「クランジールU−1490」(クラボウ社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例34>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのエーテル系ポリウレタン(「クランジールU−1390」(クラボウ社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例35>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(「テトロンフィルムGE」(帝人デュポンフィルム社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例36>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)(「ジュラネックス200FP」(ウインテックポリマー社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例10>
シート部材として膜厚100μmのエーテル系ポリウレタン(「クランジールU−1390」(クラボウ社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例11>
シート部材として膜厚100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(「テトロンフィルムGE」(帝人デュポンフィルム社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例37>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのメタノールで溶解したポリアミド樹脂(「アミランCM8000」(東レ社製))を塗布し、図8に示す構成になるように、上質紙に樹脂表面層を形成してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例38>
黒色のラシャ紙(330×200(印刷方向)mm)に膜厚20μmのメタノールで溶解したポリアミド樹脂(「アミランCM8000」(東レ社製))を塗布し、図8に示す構成になるように、上質紙に樹脂表面層を形成してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例39>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚25μmのポリイミド樹脂(「カプトン100H」(東レ・デュポン社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例40>
黒色のラシャ紙(330×200(印刷方向)mm)に膜厚25μmのポリイミド樹脂(「カプトン100H」(東レ・デュポン社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例41>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリアミドイミド樹脂(「バイロマックスHR12N2」(東洋紡社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例12>
シート部材として膜厚100μmのポリアミド樹脂(「アミランCM8000」(東レ社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例13>
シート部材として膜厚125μmのポリイミド樹脂(「カプトン500H」(東レ・デュポン社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例42>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚10μmのフェノール樹脂(「スミライトレジンPR50209」(住友ベークライト社製))を塗布し、図8に示す構成になるように、上質紙に樹脂表面層を形成してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例43>
黒色のラシャ紙(330×200(印刷方向)mm)に膜厚10μmのフェノール樹脂(「スミライトレジンPR50209」(住友ベークライト社製))を塗布し、図8に示す構成になるように、上質紙に樹脂表面層を形成してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例44>
黒色の上質紙(330×200(印刷方向)mm、厚口)に膜厚20μmのポリアセタール樹脂(「デルリン900P」(デュポン社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<実施例45>
黒色のラシャ紙(330×200(印刷方向)mm)に膜厚20μmのポリアセタール樹脂(「デルリン900P」(デュポン社製))のシートを図2に示す構成になるように、樹脂接着層として両面テープを用い、上質紙とシートを貼付してシート部材を作製した。プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例14>
シート部材として膜厚100μmのフェノール樹脂(「スミライトレジンPR50209」(住友ベークライト社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
<比較例15>
シート部材として膜厚100μmのポリアセタール樹脂(「デルリン900P」(デュポン社製))のシート(330×200(印刷方向)mm)のみを装着した以外、プロセスカートリッジは実施例1と同様に作製した。
《評価》
−振動試験−
プロセスカートリッジを梱包し、振幅:25mm、周波数:10Hz、加速度:7mm/s2の振動を4時間与えた。
−強振動試験−
プロセスカートリッジを梱包し、振幅:25mm、周波数:300Hz、加速度:7mm/s2の振動を4時間与えた。
−画質評価−
振動試験後シート部材を引き抜いて除去し、プロセスカートリッジをDocuCentre−IIIC3300(富士ゼロックス社製)に装着し、マゼンダの50%ハーフトーン画像をA3で印刷し、1枚目の画質(初期画質)を目視にて評価した。また、10枚および100枚印刷後の画質評価は、更に印刷し、10枚目および100枚目の画質を目視にて評価した。なお、印刷環境は、22℃、55%RHで実施した。画質評価の指標は以下の通りである。なお、Cまでを合格とする。
A:画質欠陥が未発生。
B:目視にて確認可能な程度の極めて軽微な色スジあるいは画質欠陥が発生。
C:軽微な色スジあるいは画質欠陥が発生。
D:色スジあるいは画質欠陥が発生。
E:強い色スジあるいは画質欠陥が発生。