JP2011012694A - 液化ガス気化器 - Google Patents
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Abstract
【課題】海水や水などの液体を加熱媒体とする液化ガス気化器において、隣接する伝熱管の間を流れる海水が飛散するのを防ぐ。
【解決手段】鉛直に設置され互いに近接して配列される複数の伝熱管の内部を下端から導入された液化ガスが上昇させられる一方、伝熱管の外部では伝熱管の外面に沿って加熱流体が流れ落ちる構造の気化器において、伝熱管の少なくとも下端寄りの一部または全体に伝熱管の外部の加熱流体と内部の液化ガスとの温度差を利用して液化ガスの気化を行うと同時に熱電変換モジュールで発電を行う熱電変換モジュールを設置する一方、伝熱面が全面的に露出した伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5との接続部10に、両伝熱管4,5の輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線型遷移部14を配置すると共に隣接する流線型遷移部14の間にナイフエッジ11を設けるようにしている。
【選択図】図3
【解決手段】鉛直に設置され互いに近接して配列される複数の伝熱管の内部を下端から導入された液化ガスが上昇させられる一方、伝熱管の外部では伝熱管の外面に沿って加熱流体が流れ落ちる構造の気化器において、伝熱管の少なくとも下端寄りの一部または全体に伝熱管の外部の加熱流体と内部の液化ガスとの温度差を利用して液化ガスの気化を行うと同時に熱電変換モジュールで発電を行う熱電変換モジュールを設置する一方、伝熱面が全面的に露出した伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5との接続部10に、両伝熱管4,5の輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線型遷移部14を配置すると共に隣接する流線型遷移部14の間にナイフエッジ11を設けるようにしている。
【選択図】図3
Description
本発明は、液化されたガス例えば液化天然ガス (LNG)、液体水素、液体酸素、液体窒素などを海水や真水などの加熱流体で気化させる気化器に関する。さらに詳述すると、本発明は、気化器の伝熱管の周囲を流れる冷媒の流れを制御する技術に関する。
液化ガス気化器として一般的な従来のLNG気化器は、多数のアルミニウム合金製のフィン付き伝熱管を垂直に配置して並べたものの上下端を上ヘッダーと下ヘッダーとでそれぞれ連結し、下ヘッダーから供給されるLNGを各伝熱管に分配して伝熱管の内部を上向きに流す一方、伝熱管の外部では伝熱管表面に沿って流れ落ちるように海水を連続供給する構造とされている(特許文献1,2)。多数の伝熱管は、隣接する伝熱管との間に互いに一定の間隔を空けて一直線上に横に並べられ、伝熱管の外周面に沿って流れ落ちる海水の幕によって覆われる。これにより、伝熱管下端に入る時点で約−160℃のLNGは、伝熱管内を上昇する間に伝熱管の外面に沿って流れ落ちる海水の温度によって気化され、伝熱管の上端の上ヘッダーに集められる時点でほぼ気化している。
一方、海水温度は季節により大きく変動する。例えば、夏季では約25℃であるのに対し、冬季では約10℃となる。このため、冬季においては伝熱管下端部の約1m程度の範囲で海水が凍結することがある。このとき、アルミニウム合金製の伝熱管 (熱伝導率:約190W/mK)) に比べて氷 (熱伝導率:約2.2W/mK) は熱伝導率が低いため、LNGの気化性能が低下する。
また、特許文献1及び2に示す冷却水式気化器の場合には、海水の温度を利用してLNGを気化させるのであるが、LNGと海水の温度差を有効利用せずに、大量の冷熱が無駄に海洋中に投棄されることとなり、未利用エネルギーの有効利用の観点から好ましくないし、熱経済的にも不経済である。
そこで、本発明者等は、海水や水などの液体を加熱媒体とする液化ガス気化器において、伝熱管下端部での水の凍結を防ぐこと並びに液化ガスと加熱流体との温度差を電力に変換して有効利用することを目的として、フィン付き伝熱管の下端寄りの一部例えば伝熱管下端部の約1m程度の範囲の伝熱管表面に熱電変換モジュールを備え、液化ガスと海水との温度差により発電すると共に海水の氷結を未然に防ぐことを先に提案した(出願番号2008−062949、2008年3月12日出願)。ここで、熱電変換モジュールを取り付けるため矩形断面とされる伝熱管部位とそれよりも上のフィン付き伝熱管との接続部では、急激な形状変化を伴うため、伝熱管の表面に沿って勢いよく落下する水が伝熱管の表面から剥離して外側に飛散する。この水の流れの飛散を防ぐため、熱電変換モジュール付き伝熱管部位とそれよりも上のフィン付き伝熱管との接続部に、双方の両輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線形の遷移部(流線型遷移部と呼ぶ)を介在させることを提案している。
しかしながら、実際のLNG気化器では、設備の大型化を抑えるために、垂直に配置された多数の伝熱管が互いに隣接する伝熱管の間の間隙を可能な限り狭めて並べることが要求されるため、フィン付き伝熱管よりも更に直径方向に膨らんだ熱電変換モジュール付き伝熱管部分においては隣接する伝熱管の間の隙間が一層狭くなる傾向にある。このため、図1に示すように実際の液化ガス気化器の配列ピッチで2個の流線型遷移部を並べた場合、隣接する伝熱管の間の間隔は狭く、隣接する伝熱管の間を流れ落ちる水は流線型遷移部の下端まで到達した時点、即ち熱電変換モジュール付き伝熱管部分に到達した時点で逃げ場を失い、水平方向に飛散することが本発明者等の実験・研究により判明した。つまり、隣接する伝熱管の間の間隙を流れ落ちる海水が流線型遷移部に沿って流れ落ちるときに、隣接する伝熱管の間の間隙よりも間隔が狭くなる流線型遷移部の下端では、流線型遷移部の対向する面に沿って流れる海水の流れが互いに衝突して隣接する流線型遷移部の間から外へ飛び出るように飛散することが明らかとなった。そして、隣接する伝熱管の間を流れる海水が飛散することにより、互いに隣り合う熱電変換モジュール付き伝熱管のそれぞれの表面から剥離してしまうだけでなく、それらと隣り合う他の面を流れ落ちる海水においても、飛散する海水の流れに誘導されて伝熱管の表面から剥離してしまうこととなる。このことにより、海水で加熱される熱電変換モジュール付き伝熱管の面が少なくなってしまう。しかも、このため熱電変換モジュールに与える温度差が低減して発電効率が下がると共にLNGの冷熱を有効に利用できなくなる問題を含んでいる。
そこで本発明は、海水や水などの液体を加熱媒体とする液化ガス気化器において、隣接する伝熱管の間を流れる海水が飛散するのを防ぐことを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、鉛直に設置され互いに近接して配列される複数の伝熱管の内部を下端から導入された液化ガスが上昇させられる一方、前記伝熱管の外部では前記伝熱管の外面に沿って加熱流体が流れ落ちる構造の気化器において、前記伝熱管の少なくとも下端寄りの一部または全体に前記伝熱管の外部の前記加熱流体と内部の前記液化ガスとの温度差を利用して前記液化ガスの気化を行うと同時に前記熱電変換モジュールで発電を行う熱電変換モジュールを設置する一方、伝熱面が全面的に露出した前記伝熱管と熱電変換モジュール付き前記伝熱管との接続部に、両伝熱管の輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線型遷移部を配置すると共に隣接する前記流線型遷移部の間にナイフエッジを設けるようにしている。
ここで、ナイフエッジは流れに平行なフィンを表面に備えることが好ましい。
請求項1記載の発明によると、フィン付き伝熱管と熱電変換モジュール付き伝熱管の接続部に設置した流線型遷移部および隣接する流線型遷移部の間に設置したナイフエッジの作用により、隣接する伝熱管の間の間隙を流れ落ちる海水が流線型遷移部に沿って流れ落ちると同時に、ナイフエッジにより隣接する流線型遷移部の間から外側へ案内されるため、流線型遷移部の対向する面に沿って流れる海水の流れが互いに衝突することがなくなり、外側に飛散することがなくなることから、各熱電変換モジュール付き伝熱管の表面に沿って流れ落ちる。
したがって、伝熱管の内部を流れる液化ガスと外部を流れる加熱流体との間の温度差が熱電変換モジュールに印加されるので、液化ガスの気化と同時に発電が可能である。そして、熱電変換モジュールの存在が氷結し易い伝熱管の下端付近での加熱流体が流れる表面の温度低下を防ぐため、氷結を防止できる。つまり、本発明の液化ガス気化器によれば、気化器の性能を損なうことなく発電が可能である。
また、ナイフエッジの表面に流れに平行なフィンが設けられる場合には、ナイフエッジの表面に沿って流れ落ちる水を左右に分配するので一方の熱電変換モジュール付き伝熱管に著しく偏って流れ落ちることが少なくなる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお以下の説明では簡略化のため、加熱流体(海水や水など)を代表して水のみを表記するが、これに限定されるものではなく、その温度が液化ガスよりも高ければよく、海水、温水その他の液体および水蒸気と温水の二層流なども含むものとする。勿論、取水したままの海水、河川の水や水道水でもよいが、加熱流体の温度が高いほど気化性能および発電性能は向上することから、何らかの廃熱などによって前記流体を人為的に加熱したものでもよい。
図1から図4及び図13から図17に本発明の液化ガス気化器をLNG(液化天然ガス)の気化器に適用した実施の一形態を示す。この液化ガス気化器は、鉛直に設置した伝熱管1の少なくとも下端寄り(符号5で示す領域)の一部の面あるいは全ての面(軸方向にあるいは面)に熱電変換モジュール7を設置し、伝熱管1の外部の加熱流体27と内部の液化ガス26との温度差を利用して液化ガス26の気化を行うと同時に熱電変換モジュール7で発電を行うようにしている。ここで、熱電変換モジュール7は、液化ガスの気化と発電との両立を考慮すると、少なくとも水の凍結の起こり易い伝熱管1の下端寄りの領域5に設けることが好ましい。しかしながら、このことは直ちに熱電変換モジュール7を伝熱管1の下端から設置しなければならないことを意味するものではない。そして、伝熱管1の下端寄りの領域5では、その管軸方向の全域に熱電変換モジュール7を設けるようにしても良いが、場合によっては熱電変換モジュール7を設ける領域と熱電変換モジュール7を設けずに伝熱管1を直に露出させる領域とを設けるようにしても良い。熱電変換モジュール7は、例えば横断面矩形の伝熱管の隣接する他の伝熱管と向かい合う面を除く面、具体的には列を成す伝熱管群の前面側と背面側となる相対向する2面(管列の両端の管においては3面)、場合によっては前面と背面のいずれか一方の面に設けられることが好ましい。勿論、熱電変換モジュール7としては円弧状の構成することも可能であり、その場合には、円筒形の伝熱管の隣接する他の伝熱管と向かい合う面を除く面に設けられることが好ましい。また、熱電変換モジュール7は場合によっては伝熱管1の下端寄り領域5よりも上の中間領域などに設置されることもある。即ち、熱電変換モジュール7は伝熱管1の少なくとも下端寄り領域5の一部または全体に設置されることが好ましいが、これに特に限られるものではない。尚、実際の液化ガス気化器においては、多数の伝熱管が横に配列され上下端のヘッダ2,3で連結されているが、本実施形態の説明では説明の便宜上1本ないし2本を図示する。また、加熱流体27の供給方式としては、給水樋28をオーバーフローすることで伝熱管1の上端付近から外面に沿って流れ落ちる例を説明の便宜上挙げた。また、符号29は流れ落ちた海水である。
本発明者等の解析によると、アルミニウム合金製のフィン付き伝熱管の内部をLNG26が上向きに流れ、外部を海水27が伝熱管表面に沿って流れ落ちる構造の気化器(オープンラック型気化器と呼ばれることもある)の伝熱管では、冬季には、例えば6mのフィン付き伝熱管の下端部約1〜2mに着氷し、着氷最大厚さは約9mmになることがわかった。この着氷は気化能力を損なう原因となっている。そこで、実際に実用に供されている従来のLNG用気化器は、全長6〜8mのアルミニウム合金製のフィン付き伝熱管4が一般的であることから、その下端の一部例えば1〜2m程度を矩形断面の熱電変換モジュール付き伝熱管5に置き換えて直列に接続することが好ましい。この場合、伝熱管としての全長は変わらないが、勿論、伝熱管としての全長を変えても構わない。
本実施形態において、伝熱管1は、管の外周面に伝熱フィン4aを放射状に備える横断面円形のフィン付き伝熱管4と、図15及び16に示すように外周面に熱電変換モジュールを備えた横断面矩形の熱電変換モジュール付き伝熱管5とを直列に接続したものである。このフィン付き伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5とは、特定の材質に限られるものではないが、熱伝導性や耐腐食性などを考慮すればアルミニウム合金などの使用が好適であることから、その接続には例えばイナートガスアーク溶接(TIG溶接)などが用いられ、段差無く溶接される。
熱電変換モジュール付き伝熱管5は、横断面外輪郭形状が矩形状であり、いずれかの面に熱電変換モジュール7が備えられると共に、各熱電変換モジュール7の周りに断熱材8が配置されて凹凸の無い表面を形成するように設けられている。各熱電変換モジュール7の間に断熱材8が充填されるように配置されることで表面に凹凸がなくなり、熱電変換モジュール7の表面に沿って水が剥離されることなく流れ落ちるようにすることができる。本実施形態の場合、図15及び16に示すように、輪郭形状が矩形の伝熱管5のうち、相対向する2面に熱電変換モジュール7を備え、残る2面には断熱材8が張り付けられて伝熱管5の内外の温度差を熱電変換モジュール7に主に与えて発電させるように設けられている。熱電変換モジュール7は伝熱管5に対しビス9で固定され両者が密着している。
また、熱電変換モジュール7と熱電変換モジュール7との間の軸方向(長手方向)の隙間にも、図16に示すように、熱の短絡を防ぐ断熱材8が設置されている。これにより、液化天然ガス26の冷熱が無駄に海水27に流出しないようにして、伝熱管5の内外の温度差を熱電変換モジュール7に効果的に与えるようにしている。また、この断熱材8は、断熱性能の他に、液化ガスの極低温に対する耐久性、海水などの加熱流体に対する耐食性および耐水性などが要求される。そこで、防水処理を施した木材、樹脂などの使用が好適である。さらに、断熱材8は、熱電変換モジュール7の表面との段差を無くし、水の剥離を防ぐ役割をもつと同時に熱電変換モジュール7のケーブルを収納する役割を有する。
また、熱電変換モジュール7は水の侵入を防ぐため、接触する加熱流体27例えば海水などに対する耐食性を有する材料あるいは耐食コーティングを施して成るケースや樹脂などに密閉された構造であることが望ましい。このような熱電変換モジュール7としては、例えば、特開2006−49872に開示されているケース密封型の熱電変換モジュールで容易に実現される。この熱電変換モジュール7は、例えば図17に示すように、少なくとも一対の熱電半導体15を気密のケース20に密封し、加熱側電極部16と、冷熱側電極部17並びに各電極部16,17をそれぞれ覆って受熱部を構成する加熱板20a並びに冷却板19とを備え、加熱板20a並びに冷却板19を各々介して熱電半導体15の加熱側の受熱面と冷熱側の放熱面との間にかけられる温度差により発電するものである。この熱電変換モジュール7は、少なくとも加熱板20aと加熱側電極部16の間には、低摩擦係数の材質からなる熱伝導性を有するシート材あるいは熱伝導性のグリースなどの滑り材18が備えられ、滑り材18を介在させて加熱板20aと加熱側電極部16との間の熱的連結が図られている。冷熱側電極部17は電気絶縁性接着剤21で冷却板19に接着され、導電性接着剤22で半導体15に接着されている。また、加熱側電極部16は、電極層と電気絶縁層を有する傾斜機能材料(FGMコンプライアント・パッド)を用いることにより、滑り材18を介して加熱板20aと接触し、導電性接着剤22で半導体15に接着されているものもある。ただし熱電変換モジュールの構造としてはこれに限定されるものではない。なお、各熱電変換モジュールからは2本の電極が出ている。そして、気密のケース20は、熱伝導性に優れかつ耐食性にも優れる材料例えばアルミニウム合金などで構成され、剛性の高い冷却板19に対して溶接あるいは接着剤、ロウ付けで接合することにより一体化されている。また、ケース20には、例えばその側面部に電気絶縁体23を介して一対の導電部24が貫通するように設けられ、ケース内部の電極部とリード線25を介して接続されている。そして、この電極により各モジュールを互いに直列に接続することにより電気回路が構成される。勿論、電極と電線の接続部は水で濡れないように防水対策が必要である。また電線自体にも防水処理が必要である。尚、ケースに封入された熱電変換モジュールを用いる本実施形態では、電気的に絶縁された状態にあることから、前述の断熱材には特に電気絶縁性は要求されない。
フィン付き伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5との接続部10には、フィン付き伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5との輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線型遷移部14が配置されている。本実施形態の場合、流線型遷移部14は、図1に示すように、下端側が熱電変換モジュール付き伝熱管5の輪郭形状に合わせて矩形断面を成す角筒形状とされると共に、上端側がフィン付き伝熱管4と同じ直径並びにフィン形状を備える円筒形状とされ、両端の間の形状が段差無く連続的に繋げられるほぼ裁頭角錐形の流線形に構成されている。ここで、上端側に形成されためフィン14aは、円形の輪郭からより大きな形状の矩形の輪郭へと輪郭形状が変化することに伴って次第に溝を浅くして矩形断面の角筒形状部分ではフィンが消滅するように設けられている。そして、フィン付き伝熱管4の下端と熱電変換モジュール付き伝熱管5の上端とがそれぞれ流線型遷移部14に対して嵌合させられた状態(印籠継ぎ)で溶接あるいはビス止めにより接合されている。この流線型遷移部14は、熱伝導性・耐食性に優れる材質例えばアルミニウム合金などで形成することが好ましい。
上述の流線型遷移部14は、フィン付き伝熱管4の外面に沿って流れ落ちる水の流れを外側に飛散させることなく、あるいは剥離することなく流れ落ちさせ、熱電変換モジュール付き伝熱管5の外面に沿って流れ落ちるように導く。これにより、フィン付き伝熱管4の外面に沿って勢いよく流れ落ちる加熱流体・海水27は、フィン付き伝熱管4と矩形断面の熱電変換モジュール付き伝熱管5との接続部10における急激な形状変化のために外側に飛散したり、あるいは外面から剥離することなく、熱電変換モジュール付き伝熱管5の外面に沿って流れ落ちるように案内され、熱電変換モジュール7の表面に沿って流れる。
また、図3並びに図4に示すように、実際の配列ピッチで複数列に並べた状況の流線型遷移部14の間には、隣接する流線型遷移部14の間の間隙を充填するナイフエッジ11が設置される。ナイフエッジ11の一例を図2に示す。LNG気化器として実施する本実施形態の場合、ナイフエッジ11は、液化ガスの極低温に対する耐久性、海水などに対する耐食性および耐水性などが必要であり、例えばアルミニウム合金、耐寒製プラスチック、防水処理を施した木材および樹脂などの使用が適している。このナイフエッジ11は、上端が隣接する流線型遷移部14の間を横切る分水嶺となる線状の尖端11aを成し、下端11bが隣接された流線型遷移部14の間の間隔を充填しかつ流線型遷移部14の表側並びに裏側の表面の縁を僅かに覆うI型の形状を成し、これら上端11aと下端11bとの間が流線型遷移部14を側方からみた輪郭形状とほぼ同じ形状の斜面11cを形成している。本実施形態の場合、流線型遷移部14の奥行き方向の中程に分水嶺となる尖端11aが存在し、それを中心に前面側と背面側とに分岐する同じ幅の斜面11cが形成されている。そして、前面側と背面側の各斜面11cの間は流線型遷移部の下端の位置において隣接する流線型遷移部14の間の間隙を充填する肉厚の隔壁11dによって支持されている。したがって、隣接する流線型遷移部14の間を流れ落ちてくる海水がナイフエッジ11の尖端11aで前後に二分され、隣接する流線型遷移部14の相対する面並びにそれらの間のナイフエッジ11の各斜面11cに案内されて流れ落ちることによって、熱電変換モジュール付き伝熱管5の表側あるいは裏側の表面まで導かれ、熱電変換モジュール付き伝熱管5の表面に沿って流れ落ちるようにされる。
また、ナイフエッジ11は流れに平行なフィン13を下部領域に有している。このフィン13は、ナイフエッジの表面に沿って流れ落ちる水を左右に分配して一方の熱電変換モジュール付き伝熱管に著しく偏って流れ落ちることを防ぐものである。したがって、伝熱管ピッチが広かったり隣接する流線型遷移部14の間の間隙を流れ落ちる水量が少ない場合などには、偏った流れが発生し難いのでフィン13を設ける必要がない場合もある。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、熱電変換モジュール付き伝熱管5の外形状は、平板形状の熱電変換モジュール7を密着して取り付けるために適したものとして選定されたものであって、熱電変換モジュール付き伝熱管5としての形状が当該矩形状に限定される必然性はない。例えば湾曲した板状の熱電変換モジュールを用いる場合には、これに適合した断面形状即ち円管状に形成することも可能である。この場合には、熱電変換モジュールの外観に応じて流線型遷移部14の形状もほぼ裁頭円錐形の流線形に構成される。そして、ナイフエッジ11の形状も、それに応じたカーブを成す斜面を備え、隣接する流線型遷移部14の間を流れ落ちてくる海水がナイフエッジ11の尖端11aで前後に二分され、隣接する流線型遷移部14の相対する面並びにそれらの間のナイフエッジ11の各斜面11cに案内されて流れ落ちることによって、熱電変換モジュール付き伝熱管5の表側あるいは裏側の表面まで導かれ、熱電変換モジュール付き伝熱管5の表面に沿って流れ落ちるようにされる。
また、本実施形態では、伝熱管の下部に矩形断面の伝熱管が並んで配置され、それを円形のフィン付き伝熱管に接続するための流線型遷移部を介在させる実施形態について主に説明したが、これに特に限られるものではなく、場所を問わず段差を伴う矩形断面の伝熱管が並んで配置されている場合に効果的である。
伝熱管に沿って落下する水の流線型遷移部での挙動を確認するため、フィン付き伝熱管4と熱電変換モジュール付き伝熱管5との接続部に図1に示す流線型遷移部14を配置した伝熱管1を実際の配列ピッチで2本並べた状況と、この2本の伝熱管の流線型遷移部14の間にナイフエッジを設けた状況とについて流体実験を行い対比した。尚、実験においては、海水の代わりに水道水を使用し、ロート状給水ホースを介して供給される水6が室内に飛散しないように透明のパイプ12を被せてから水6を落とした。
ここで、実験に用いたフィン付き伝熱管4は、外径35mm、内径23mm、肉厚6mmの円形を成し、付け根部分の厚み約4mm、高さ8mmのフィンを平行に10枚設けたものを使用した(特許第3439644号)。他方、熱電変換モジュール付き伝熱管5には、50mm角の矩形伝熱管(内径23mm)を用いた。これには約50mm角の熱電変換モジュール7を本実験では片面に6個のみ設置し、残りの他の2面には断熱材8として防水処理を施した木材をビス止めにより張り付けた。また、上下の熱電変換モジュール7の間にも防水処理を施した木材8をビス止めにより張り付けた。これにより、断熱材8としての木片の間に熱電変換モジュールが面一となるように埋め込まれた構造とした。さらに、伝熱管の配列ピッチは60mm、流線型遷移部11の高さは200mmとした。そして、流線型遷移部14を長さ3mのアルミニウム合金製のフィン付き伝熱管4と長さ1mのアルミニウム合金製の熱電変換モジュール付き伝熱管5とにそれぞれ連結したもの(比較例1)と、同じ構成の伝熱管にナイフエッジ11を介在させたもの(実施例1)とを比較した。尚、本実験ではLNGを流さずに伝熱管の外に水を流すだけであるので、ナイフエッジ11としてはプラスチック製の図2に示す構成のものを採用し、図3および図4に示すように流線型遷移部14の間に取り付けた。
この実験の結果、図5〜図8に示すように、流線型遷移部14のみでは、2個の流線型遷移部14に挟まれた空間に落下してきた水6は、流線型遷移部14の下端付近にて逃げ場を失い、横方向に飛散している状況が確認できた。
他方、流線型遷移部14の間にナイフエッジ11を設置した場合には、図9〜図12に示すように、2個の流線型遷移部14に挟まれた空間に落下してきた水6は、ナイフエッジ11の整流効果により剥離せずに矩形状の熱電変換モジュール付き伝熱管5に密着して流れ落ちることが確認された。
1 伝熱管
4 フィン付き伝熱管
5 熱電変換モジュール付き伝熱管
7 熱電変換モジュール
8 断熱材
10 フィン付き伝熱管と熱電変換モジュール付き伝熱管との接続部
11 ナイフエッジ
14 流線型遷移部
26 液化ガス(液化天然ガス)
27 加熱流体(海水)
4 フィン付き伝熱管
5 熱電変換モジュール付き伝熱管
7 熱電変換モジュール
8 断熱材
10 フィン付き伝熱管と熱電変換モジュール付き伝熱管との接続部
11 ナイフエッジ
14 流線型遷移部
26 液化ガス(液化天然ガス)
27 加熱流体(海水)
Claims (2)
- 鉛直に設置され互いに近接して配列される複数の伝熱管の内部を下端から導入された液化ガスが上昇させられる一方、前記伝熱管の外部では前記伝熱管の外面に沿って加熱流体が流れ落ちる構造の気化器において、前記伝熱管の少なくとも下端寄りの一部または全体に前記伝熱管の外部の前記加熱流体と内部の前記液化ガスとの温度差を利用して前記液化ガスの気化を行うと同時に前記熱電変換モジュールで発電を行う熱電変換モジュールを設置する一方、伝熱面が全面的に露出した前記伝熱管と熱電変換モジュール付き前記伝熱管との接続部に、両伝熱管の輪郭形状を段差無く連続的に繋ぐ流線型遷移部を配置すると共に隣接する前記流線型遷移部の間にナイフエッジを設けるようにしたものである液化ガス気化器。
- 前記ナイフエッジは流れに平行なフィンを有しているものである請求項1記載の液化ガス気化器。
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JP2020012629A (ja) * | 2019-07-05 | 2020-01-23 | サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド | 結氷防止気化装置 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS55119919U (ja) * | 1979-02-20 | 1980-08-25 | ||
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JPH08163881A (ja) * | 1994-12-01 | 1996-06-21 | Kansai Electric Power Co Inc:The | Lng冷熱利用発電システム |
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