JP2011012189A - 帯電防止性感圧式接着剤組成物、並びにそれを用いてなる帯電防止性感圧式接着シート及び積層体 - Google Patents

帯電防止性感圧式接着剤組成物、並びにそれを用いてなる帯電防止性感圧式接着シート及び積層体 Download PDF

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政勝 高橋
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Katsutetsu Fukuda
克哲 福田
Masashi Koide
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Abstract

【課題】光学フィルムへの密着性が良く、光学フィルムを被着体に貼着後、高温高圧下、高温下、又は高温高湿下に長期間曝されても、貼着界面での発泡や、浮き・剥がれが生じず、光漏れ現象も発生しないだけではなく、リワーク性にも優れ、更に帯電防止性の良好な帯電防止性感圧式接着剤組成物を提供する。
【解決手段】ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、ポリアミノ化合物を反応させてなる重量平均分子量が、70000〜200000であるウレタンウレア樹脂100重量部に対して、アンモニウム塩系の化合物、及び/又は、アルカリ金属塩系の化合物0.05〜5.0重量部、硬化剤0.3〜3.0重量部、及び、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤0.01〜3.0重量部を含む帯電防止性感圧式接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム等の光学部材の貼り合わせに好適に用いられる帯電防止性感圧式接着剤組成物に関し、更に前記帯電防止性感圧式接着剤組成物を用いた帯電防止性感圧式接着性シート、積層体、及び液晶セル用部材に関する。
近年、表示装置は、電子計算機、電子時計、携帯電話、テレビジョン等の家庭用・業務用電化製品、車載用の機器等に活用され、それぞれの用途に応じた過酷な条件下で使用される機会が多くなっている。そして、これらの表示装置を構成する表示部材には、偏光フィルムや位相差フィルム等の各種光学フィルムが用いられている。
ところで、偏光フィルムは、色素で染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルムがトリアセチルセルロース系保護フィルムやシクロオレフィン系保護フィルムで挟まれた状態のものである。偏光フィルムに使用されているトリアセチルセルロース系保護フィルムやシクロオレフィン系保護フィルムは、一般的な感圧式接着剤による接着が困難である。又、偏光フィルムは、これら材料の特性故に寸法安定性にも乏しく、特に高温下、又は高温高湿条件下では、フィルムの収縮による寸法の変化が激しい。
光学フィルム/感圧式接着層/被着体からなる積層体が、高温下、又は高温高湿条件下に置かれ、光学フィルムの寸法が変化すると、感圧式接着層と被着体との貼着界面に気泡が生じたり(発泡)、光学フィルムが被着体から浮き上がり、剥がれたりする。用いられる感圧式接着剤の主たる成分であるベース樹脂の分子量や感圧式接着剤の架橋度を調整し、接着力を大きくすることによって、光学フィルムの寸法変化に抗して、過酷な環境下でも発泡、浮き・剥がれが生じないようにする試みが従来なされてきた。
しかし、単に接着力を高くすることによって、光学フィルムの寸法変化に抗しようとすると、高温下、又は高温高湿条件下で生じる光学フィルムの寸法変化に起因する応力分布が不均一となり、応力が光学フィルムの四隅に集中したり周辺端部に集中したりする。その結果、光学フィルムが液晶表示装置に用いられる偏光フィルムである場合、液晶表示装置の四隅や周辺端部から光が漏れる、いわゆる「光漏れ現象」が発生するという問題が生じた。
又、液晶ディスプレイ等の製造工程において、偏光板を液晶セルなどの光学部品に貼着するに際し、貼着位置にずれが生じた場合など、貼着からある時間が経過した後に偏光板を剥離し、高価な液晶セルを再利用することが必要となる場合がある。従って、偏光板に塗布されている感圧式接着剤を介して貼着した後、ある時間経過後であっても液晶セルから比較的容易に剥離することができるリワーク性の良好な感圧式接着剤が求められていた。
更に偏光フィルムや位相差フィルム等の各種光学フィルムは、感圧式接着剤を用いて、被着体(液晶セルを構成しているガラスや他の光学フィルム)に貼着される。具体的には、各種光学フィルム/感圧式接着剤層/剥離シートという積層状態にある感圧式接着シートから感圧式接着剤層表面を覆っていた剥離シートを剥がし、感圧式接着剤層を介して偏光フィルムや位相差フィルム等が被着体である液晶セルガラス等に貼着される。剥離シートを剥離する際、静電気が生じる可能性があり、その静電気によって、貼着時に埃やクズを吸引してしまい、異物混入という貼着状態の不具合欠点を引き起こしたり、被着体内部に封止されている液晶や電子回路が損傷を受けたりする可能性がある。
上記したように、液晶セル用のガラス部材に偏光フィルムを積層するために使用する感圧式接着剤には、良好な光学特性(透明性)、耐熱性及び耐湿熱性、光漏れ防止性、リワーク性、帯電防止性等が求められる。そして、位相差フィルムや各種ディスプレイのカバーフィルムを積層するための感圧式接着剤にも同様の性能が求められる。そこで、過酷な条件下でも、被着体との界面に発泡が生じず、浮き・剥がれも生じない光学フィルム貼着用の感圧式接着剤であって、光漏れ現象が発生しない、帯電防止性や光学特性に優れリワーク性に優れた様々な感圧式接着剤が提案されてきた。
樹脂成分として、反応性官能基を有する単量体、及び他の単量体をラジカル共重合してなる重量平均分子量100万以上200万以下の共重合体(A)と、上記共重合体の存在下でカルボキシル基を有する単量体、及び他の単量体をラジカル共重合してなる重量平均分子量1万以上10万以下の共重合体(B)、並びに上記共重合体(A)及び/又は上記共重合体(B)と反応可能な反応性官能基を少なくとも2個有する多官能性化合物からなる感圧式接着剤、更に該感圧式接着剤からなる感圧式接着層が光学部材の少なくとも一方の面に形成されている光学部材が提案されている(特許文献1)。
又、ウレタン樹脂又はウレタンウレア樹脂を含む感圧式接着剤組成物を使用することが提案されている(特許文献2、3、4)。
一方、感圧式接着剤の帯電防止機能の付与については、アクリル系粘着剤に電荷制御剤を添加する例が開示されている。電荷制御剤としては、金属錯体タイプやイミド系、ビスフェノール系、リン酸系、カルボン酸系、四級アミンタイプ、オニウム系、イミダゾール系などが例示されている(特許文献5)。
又、ポリ(メタ)アクリレートをベースとした感圧式接着剤にカチオン系界面活性剤と過塩素酸リチウムを配合した帯電防止性感圧式接着剤が開示されている(特許文献6)。
又、感圧式接着剤の帯電防止機能の付与と上記耐久性及びリワーク性、更に光学特性に優れた、特定のボロン系化合物とアクリル樹脂とからなる帯電防止性感圧式接着剤が開示されている(特許文献7)。
更に、感圧式接着剤の帯電防止機能の付与と上記耐久性に優れた、イオン化合物とポリエステル樹脂とからなる帯電防止性感圧式接着剤が開示されている(特許文献8)。
更に、アルキレンオキサイド鎖を有するポリオール成分とポリエステルポリオール成分、及びジイソシアネート成分を反応させて得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂と、イオン化合物、3官能のイソシアネート化合物とを含有する帯電防止ポリウレタン粘着剤が開示されている(特許文献9)。
特許文献1〜4に記載される感圧式接着剤を用いてなる感圧式接着フィルムは、いずれも、被着体に貼着後、高温高圧下、高温下、又は、高温高湿下に長期間曝されても、被着体との貼着界面に発泡が生じず、浮き・剥がれも生じず、光漏れ現象も発生しない。しかし、液晶表示装置の更なる高性能化や大型化においては、高温高湿下での耐久性や光学機能維持特性が不十分であった。又、帯電防止性の付与については有効な方法が記載されていない。特に特許文献2〜4に記載される感圧式接着剤は貼着した後、接着力が経時で上昇しリワークが困難になる場合があった。又、特許文献5〜8に記載されている手法では十分な帯電防止性の発現が困難であった。更に特許文献5、6、9に記載される手法であると光学用途に使用した場合、使用する帯電防止剤の影響で耐湿熱性が低下してしまうという問題があった。
特開2004−331697号公報 特開2003−292928号公報 特開2002−38119号公報 特開2009−8859号公報 特開2004−155977号公報 特開2006−2140号公報 特開2009−84541号公報 特開2008−308533号公報 特開2005−154491号公報
本発明の目的は、光学フィルムへの密着性が良く、光学フィルムを被着体に貼着後、高温高圧下、高温下、又は高温高湿下に長期間曝されても、貼着界面での発泡や、浮き・剥がれが生じず、光漏れ現象も発生しないだけではなく、リワーク性にも優れ、更に帯電防止性の良好な帯電防止性感圧式接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す感圧式接着剤組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第1の発明は、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、ポリアミノ化合物(c)を反応させてなる重量平均分子量(Mw)が、70,000〜200,000であるウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して、
下記一般式[1]で表されるアンモニウム塩系の化合物(B1)、及び/又は、下記一般式[2]で表されるアルカリ金属塩系の化合物(B2)0.05〜5.0重量部、
硬化剤(C)0.3〜3.0重量部、
及び、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)0.01〜3.0重量部を含む帯電防止性感圧式接着剤組成物に関する。
Figure 2011012189
(R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表し、R5〜R8は、隣り合う置換基同士で環を形成してもよい。)
Figure 2011012189
(R9〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表す。A+は、アルカリ金属イオンを表す。)
又、第2の発明は、ポリイソシアネート(b)の使用量が、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中、8〜16重量%であり、ポリアミノ化合物(c)の使用量が、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中、0.5〜11重量%である第1の発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物に関する。
又、第3の発明は、硬化剤(C)が、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体である第1又は第2の発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物に関する。
又、第4の発明は、ポリアルキレングリコール(E)を含む第1〜3いずれかの発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物に関する。
又、第5の発明は、ポリアルキレングリコール(E)が、ポリプロピレングリコールであり、ウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して0.5〜10重量部含まれる第4の発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物に関する。
又、第6の発明は、第1〜5いずれかの発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層をシート状基材上の片面又は両面に形成してなる帯電防止性感圧式接着性シートに関する。
又、第7の発明は、光学部材上に、第1〜5いずれかの発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層されてなる積層体に関する。
又、第8の発明は、光学部材が、偏光板である第7の発明の積層体に関する。
又、第9の発明は、液晶セル用ガラス部材、第1〜5いずれかの発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が、順次積層されてなる液晶セル用部材に関する。
又、第10の発明は、光学部材が、偏光板である第9の発明の液晶セル用部材に関する。
本発明により、光学フィルムへの接着性が良く、光学フィルムを被着体に貼着後、高温高圧下、高温下、又は高温高湿下に長期間曝されても、貼着界面での発泡や、浮き・剥がれが生じず、光漏れ現象も発生しないだけではなく、リワーク性にも優れ、更に帯電防止性の良好な帯電防止性感圧式接着剤組成物を提供することができた。
本発明に用いるウレタンウレア樹脂(A)について説明する。本発明のウレタンウレア樹脂(A)は、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、ポリアミノ化合物(c)を反応させてなる樹脂である。
本発明は、ウレタンウレア樹脂(A)の合成に用いるポリオールとしてポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)を使用することを特徴とする。ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)を使用することでウレタンウレア樹脂(A)中にポリプロピレングリコール骨格を導入でき、このことにより帯電防止性と感圧式接着剤層の耐湿熱特性との両立が可能となる。本発明では、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)と併用してその他のポリオール(d)を使用することができるが、前記理由から、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とその他のポリオール(d)との合計100重量%中、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)の使用量は、80〜100重量%が好ましく、100重量%がより好ましい。80重量%未満であると、光学特性が悪化したり帯電防止性の発現が困難になったりする場合がある。
ウレタンウレア樹脂(A)中に導入されたポリプロピレングリコール骨格は、後述するアンモニウム塩系の化合物(B1)又はアルカリ金属塩系の化合物(B2)と錯体(複合体)を形成し、ミクロブラウン運動性の高いポリプロピレングリコールの分子運動により、生成するイオンが運ばれ易くなることで良好な帯電防止性が発現するものと考えられる。
本発明に使用するポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)としては公知のものが使用でき、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールと各種ポリアルキレングリコール又は各種ポリエステルポリオールとの共重合体などが挙げられる。この中でも帯電防止性と感圧式接着剤層の耐湿熱性とを高いレベルで両立できるという観点からポリプロピレングリコールが特に好ましい。
本発明に使用するポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)の重量平均分子量は、好ましくは100〜5,000、更に好ましくは500〜3,500である。100未満であれば、樹脂中のウレタン及びウレア結合濃度の増加を招き、接着力を低下させるばかりか感圧接着剤の光学特性を損なう場合がある。5,000を超えると、感圧式接着剤に凝集力を付与するウレタン結合及びウレア結合の減少を招き感圧式接着剤の耐熱性を損なう場合がある。
ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)と併用できるその他のポリオール(d)としては、公知のものを使用でき、ポリエステルポリオール類、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)以外のポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、及びその他のグリコール類が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、公知のポリエステルポリオールを用いることができる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、多官能アルコール成分と二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールがある。多官能アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの2個の水酸基を有する化合物が挙げられ、更にグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。
二塩基酸成分としては、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の脂肪族あるいは芳香族二塩基酸が挙げられる。
又、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン等のラクトン類等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールも使用できる。
ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)以外のポリエーテルポリオール類としては、公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。例えば、テトラヒドロフラン、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のプロピレンオキサイドを除くアルキレンオキサイドの重合体、共重合体、及びグラフト共重合体;
ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール若しくはこれらの混合物の縮合によるポリエーテルポリオール類などの水酸基が2個以上のものを用いることができる。更にビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド等のプロピレンオキサイドを除くアルキレンオキサイドを付加させたグリコール類を使用することができる。
ポリカーボネートポリオール類とは、下記一般式[3]で示される構造を、その分子中に有するものであり、公知のポリカーボネートポリオールを使用することができる。
一般式[3]
−[−O−R13−O−CO−]m
(式中、R13は2価の有機残基、mは1以上の整数を表す。)
ポリカーボネートポリオールは、例えば、(1)グリコール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応、(2)グリコール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られる。
(1)の製法で用いられる炭酸エステルとして具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
(1)及び(2)の製法で用いられるグリコール又はビスフェノールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ビスフェノール類にエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等も用いることができる。これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
ポリカーボネートポリオールにおいて具体的には、クラレ株式会社のクラレポリオールCシリーズを用いることができる。そのなかでもPMHC−1050、PMHC−2050、C−1090、C−2090、C−1065N、C−2065N、C−1015N、C−2015Nは柔軟性があり、ウレタンウレア樹脂(A)の原料としてポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)と好ましく併用することができる。
その他のグリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2個の水酸基を有する化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグルコシド等の3個以上の水酸基を有する化合物等が挙げられる。
更に、その他のグリコール類としては、少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールを使用することもできる。イオン性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム基、ホスホニウム基、及び第4級スルホニウム基などが挙げられる。
少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールは、本発明のウレタンウレア樹脂を水性化したり、ウレタンプレポリマー合成時の反応速度を速めたりする点、更には、成膜性を向上させる等の点でも好適に使用される。
例えば、少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールとしてカルボキシル基を有するポリオールを使用した場合、ウレタンウレア樹脂(A)にカルボキシル基を導入でき、このカルボキシル基を後述する硬化剤(C)との反応点として使用することができる。少なくとも1個のイオン性官能基を含有するポリオールとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸の様な、ジオキシカルボン酸などが挙げられる。
又、その他のポリオール(d)としては、上記したその他のポリオール(d)中の水酸基に対して、当量未満の下記ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基を反応させて得られる、末端が水酸基のウレタンポリオールであってもよい。
上記記載のポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)及びその他のポリオール(d)は、感圧式接着剤組成物としての性能を満たすため、ウレタンウレア樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が0〜−80℃となるように適宜選択するのが好ましい。尚、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
本発明に用いられるポリイソシアネート(b)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
又、一部上記ポリイソシアネート(b)のトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(別名:PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。尚、ポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、又はこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネート(b)として使用することができる。
本発明に用いられるポリイソシアネート(b)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)等の無黄変型、又は難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性の点から好ましい。
更に、上記記載のポリイソシアネート(b)として、感圧式接着剤組成物の光学特性や反応性の制御の面でイソホロンジイソシアネート(別名:IPDI)を使用するのが好ましい。
ポリイソシアネート(b)の使用量は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中[ウレタンウレア樹脂(A)の合成に使用するポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)、必要に応じて使用するその他のポリオール(d)、ポリイソシアネート(b)、ポリアミノ化合物(c)、及び必要に応じて使用する反応停止剤(e)の合計100重量%中]、8〜16重量%の割合が好ましく、更に好ましくは10〜13重量%である。8重量%未満であると感圧式接着剤の凝集力が低下し、耐久性の付与が困難になる場合がある。又、16重量%を超えると樹脂の柔軟性が低下することから、感圧式接着剤の応力緩和性を損なうこととなり光学特性が悪化したり、ウレタンウレア樹脂(A)の分子運動が抑制されることとなり、後述するアンモニウム塩系の化合物(B1)又はアルカリ金属塩系の化合物(B2)から生じるイオンの移動度を低下させることになり、十分な帯電防止性を得ることができなかったりする。
次に、本発明に使用するポリアミノ化合物(c)について説明する。本発明のポリアミノ化合物(c)は、2個以上のアミノ基を有する化合物であり、公知のものを使用できる。
具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン;
イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ポリアミン;
フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス−(sec−ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;
及びダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン、末端に一級又は二級アミノ基を有するデンドリマー、両末端にプロポキシアミンを有し、下記一般式[4]で示されるポリオキシアルキレングリコールジアミン等も使用することができる。
一般式[4]
2N−CH2−CH2−CH2−O−(Cm2m−O)n−CH2−CH2−CH2−NH2
(式中、mは2〜4の任意の整数、nは2〜50の任意の整数を示す。)
本発明に使用するポリアミノ化合物(c)としては、反応の制御の面から特に一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)にエチレン性不飽和化合物(c2)をマイケル付加反応させた化合物(c3)が好ましく、更にエチレン性不飽和化合物(c2)としては、ウレタンウレア樹脂(A)への架橋点導入の面から、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を使用するのが好ましい。
一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)としては、上記の2個以上のアミノ基を有する化合物の中で一級アミノ基を2個以上有するものを使用することができ、特にイソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンは、マイケル付加反応の制御が容易であり、得られるマイケル付加反応させた化合物(c3)を使用して得られたウレタンウレア樹脂(A)の透明性が優れていることから好ましい。
エチレン性不飽和化合物(c2)のうち水酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコール、ダイセル化学工業製プラクセルFA、プラクセルFA2D、プラクセルFA3、プラクセルFA5、プラクセルFA10L、プラクセルFM1D、プラクセルFM2D、プラクセルFM3、プラクセルFM3X、プラクセルFM5、プラクセルFM5Lなどの水酸基を末端に有するポリエステル鎖を有する不飽和化合物、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基を末端に有するポリエーテル鎖を有する不飽和化合物が挙げられる。
上記化合物を単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができるが、特に後述する硬化剤(C)との反応性や、感圧式接着剤の光学特性などの面から4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用するのが好ましい。
又、エチレン性不飽和化合物(c2)のうち水酸基を有しないものを例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。極性の調節を目的とする場合には、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有アクリレート、又は対応するメタクリレートが挙げられる。レベリング性の調節等を目的とする場合には、炭素数6以上が好ましい。
更に、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等のα−オレフィン類;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有不飽和化合物類;
アミド基含有不飽和化合物、ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物、四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物などの窒素含有不飽和化合物類;
を併用することができる。
アミド基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。
又、四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物は、上記ジアルキルアミノ基含有不飽和化合物を四級アンモニウム化せしめることにより得られる。対イオンとしてCl-、Br-、I-のハロゲンイオン又はQSO3 -(Q:炭素数1〜12アルキル基)を有する四級アンモニウム塩基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−[1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル]アンモニウムクロライド、トリメチル−3−[1−(メタ)アクリルアミドプロピル]アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−[1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル]アンモニウムクロライド等が挙げられる。
更に、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキルアルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有不飽和化合物;
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する不飽和化合物、及びその誘導体;
グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレートなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
酢酸アリル、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレンなどのビニル化合物;
アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン等のエチニル化合物;
も併用することができる。
一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)と、エチレン性不飽和化合物(c2)とのマイケル付加反応では、一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)中のアミノ基の活性水素1モルと、エチレン性不飽和化合物(c2)中のエチレン性不飽和基1モルとが反応する。一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)中のアミノ基は、電子吸引性の基を持つ化合物のエチレン性不飽和基に容易にマイケル付加をするため、エチレン性不飽和化合物(c2)としては(メタ)アクリル系化合物が好ましく、特にアクリレート系化合物が、マイケル付加反応の効率の点から最も好ましい。
一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)にエチレン性不飽和化合物(c2)をマイケル付加反応させた化合物(c3)の合成方法としては、マイケル付加反応に関する公知方法をそのまま利用できる。エチレン性不飽和化合物(c2)が、(メタ)アクリル系化合物、特にアクリレート系化合物等である場合、必要に応じてアルコール等の触媒下に10〜100℃で反応が進行する。使用するエチレン性不飽和化合物(c2)の種類にも因るが40〜80℃の反応温度が好ましい。反応温度が高すぎるとエステルアミド交換反応が生じるため好ましくない。又、エチレン性不飽和化合物(c2)が電子吸引性基を持たない場合には金属触媒の存在で反応が可能になり、この場合、触媒存在下で加熱しながら60〜100℃で反応させると適度な反応速度になり好ましい。又、合成溶剤は使用してもしなくても良く、その種類は特に限定しないが、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、ベンゼン等の公知の溶剤を使用できる。溶剤を使用する場合の溶液濃度は好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。これより希薄な場合には反応が進行しにくいため好ましくない。又、反応時間としては、使用するエチレン性不飽和化合物(c2)の種類により異なるが、30分〜5時間で終了する。
一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)に付加させるエチレン性不飽和化合物(c2)の比率としては、マイケル付加反応させた化合物(c3)中に少なくとも2個の一級又は二級のアミノ基が残存するように、一級アミノ基を2個以上有する化合物(c1)が有する一級アミノ基1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.2〜1.0モルの割合でエチレン性不飽和化合物(c2)中のエチレン性不飽和基を反応させることが好ましい。これより少ないとエチレン性不飽和化合物(c2)を導入した効果が得られない場合があり、更に保存安定性が低いことから好ましくない。これより多くても反応に寄与しない。
ポリアミノ化合物(c)の使用量は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中[ウレタンウレア樹脂(A)の合成に使用するポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)、必要に応じて使用するその他のポリオール(d)、ポリイソシアネート(b)、アミノ化合物(c)、及び必要に応じて使用する反応停止剤(e)の合計100重量%中]、0.5〜11重量%の割合が好ましく、更に好ましくは1.0〜4.0重量%である。0.5重量%未満であると凝集力が低下し、耐久性の付与が困難になる場合がある。又、11重量%を超えると樹脂の柔軟性が低下することから帯電防止性の付与が困難になったり、光学特性が悪化したりする場合がある。
本発明のウレタンウレア樹脂(A)は、末端がイソシアネート基であるウレタンプレポリマーと、ポリアミノ化合物(c)とを反応してなるが、更に必要に応じて反応停止剤(e)としてモノアミノ化合物を反応させることができる。
反応停止剤(e)は、分子量を制御したり、ウレタンウレア樹脂(A)末端の未反応で残るイソシアネート基と反応して樹脂の反応活性を安定化させたりする役割を果たす。
本発明に用いる反応停止剤(e)としては、例えば、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソノニルアミン等のジアルキルアミン類の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の水酸基を有するモノアミン、モノメチルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン等のアルキルヒドラジン類、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、ラウリン酸ヒドラジド等のヒドラジド類、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン等の三級アミノ基と一級アミノ基を有する化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等アルコキシシリル基を有するモノアミノ化合物を用いることができる。更に、一級又は二級アミノ基を1個だけ有するアミノ化合物も反応停止剤として用いることができる。
上記の反応停止剤(e)の中でも2−アミノ−2−メチル−プロパノールなどのように水酸基を有するモノアミン化合物は、末端が水酸基である保存安定性に優れたウレタンウレア樹脂(A)を得ることができる。更に末端が水酸基であるウレタンウレア樹脂(A)は、この水酸基を後述する硬化剤(C)との反応点として使用することができることから好ましい。尚、水酸基を有するモノアミンの場合、アミノ基と水酸基との両方が、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基と反応可能であるが、アミノ基の反応性の方が高く、優先的にイソシアネート基と反応する。
上記の反応停止剤(e)は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中[ウレタンウレア樹脂(A)の合成に使用するポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)、必要に応じて使用するその他のポリオール(d)、ポリイソシアネート(b)、ポリアミノ化合物(c)、及び必要に応じて使用する反応停止剤(e)の合計100重量%中]0.05重量部〜2.0重量%が好ましく、0.05重量部未満であると樹脂の反応安定性を損なう場合があり、2.0重量%以上であると樹脂の重量平均分子量(Mw)が低くなり耐久性を損なう場合がある。
更に、この様にして得られたウレタンウレア樹脂(A)の水酸基に環状エステル化合物及び/又は環状エーテル化合物を開環付加して変性することができる。
本発明に用いるウレタンウレア樹脂(A)の製造方法は、まず、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)及び必要に応じて使用されるその他のポリオール(d)と、ポリイソシアネート(b)とを反応させて、少なくとも1個のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを作製する。次に、得られたウレタンプレポリマーとポリアミノ化合物(c)と必要に応じて反応停止剤(e)とを反応させてウレタンウレア樹脂(A)を作製することができる。
ウレタンプレポリマーの合成時には、公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
三級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、ジオクチル錫ジラウリレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジオクチル錫ジラウリレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
上記三級アミン系化合物、有機金属系化合物等の触媒は、場合によっては単独でも使用できるが、併用することもでき、特にポリオール成分としてポリエステルジオール類とポリエーテルジオール類を併用する場合においては、ジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫を併用することにより安定に均一なウレタンプレポリマーが得られるので好ましい。
ウレタンプレポリマーを合成するときに用いる有機金属化合物触媒は、ウレタンプレポリマーが、ポリアミノ化合物(c)と反応するとき、反応を著しく促進する。イソシアネート基とアミノ基との反応は、元来、非常に早いが、有機金属化合物触媒の存在下では、更に反応が促進され、制御が困難になる場合がある。このとき、キレート化合物が存在していると、この有機金属化合物触媒とキレートを形成し、触媒能が調整され、ポリアミノ化合物(c)との反応を制御しやすくする。
当該キレート化合物としては、アセチルアセトン、ジメチルグリオキシム、オキシン、ジチゾン、エチレンジアミン四酢酸(別名:EDTA)のようなポリアミノオキシ酸、クエン酸のようなオキシカルボン酸、縮合リン酸等が挙げられる。キレート化合物の中では、アセチルアセトンが有機溶媒に可溶であり、揮発性を有して必要で有れば除去することが容易であり好ましい。
又、当該キレート化合物は、反応後もウレタンウレア樹脂(A)中に残留する。本発明のウレタンウレア樹脂(A)を含む帯電防止性感圧式接着剤組成物には、硬化剤(C)を添加するが、このとき、キレート化合物は、ウレタンウレア樹脂(A)と硬化剤(C)との反応速度をも調整し、結果的に保存安定性の優れた帯電防止性感圧式接着剤組成物を与えることができる。
本発明のウレタンプレポリマーの合成時には公知の溶剤が好適に使用される。溶剤の使用は反応制御を容易にする役割を果たす。斯かる目的で使用される溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、ベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジグライム、ジメトルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルミアミド等が挙げられる。ウレタンウレア樹脂(A)の溶解性、溶剤の沸点、ポリアミノ化合物(c)の溶解性等の点から特に酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン又はこれらの混合溶剤が好ましい。又、溶剤を使用した場合のウレタンプレポリマー反応系内の濃度は、樹脂固形分が好ましくは50〜95重量%、更に好ましくは60〜90重量%であり、濃度が低すぎると反応性が低下しすぎることから好ましくない。
本発明においてウレタンプレポリマーを合成するウレタン化反応は、種々の方法が可能であるが以下の2つの方法に大別される。[I]ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とポリイソシアネート(b)、更に必要に応じてその他のポリオール(d)、溶剤、及び触媒とを全量仕込む方法。[ii]ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)と、必要に応じてその他のポリオール(d)及び溶剤とをフラスコに仕込み、ポリイソシアネート(b)を滴下した後、必要に応じて触媒を添加する方法。反応を精密に制御する場合は[ii]が好ましい。ウレタンプレポリマーを得る反応の温度は120℃以下が好ましい。更に好ましくは50〜110℃である。120℃より高くなると反応速度の制御が困難になり、所定の重量平均分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得られなくなる。ウレタン化反応は、触媒の存在下、50〜110℃で1〜20時間行うのが好ましい。
ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との配合比は、化合物の反応性、3価以上の化合物の存在比、得られた樹脂の用途などで大きく左右される。ウレタンプレポリマーが少なくとも1個のイソシアネート基を有するためには、ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)中の水酸基の1モルに対して、ポリイソシアネート(b)中のイソシアネート基が1モルより多くなることが必要であり、好ましくは1.01〜4.00モル、更に好ましくは1.10〜2.00モルの範囲内が適当である。
又、上記のようにして得られたイソシアネート基含有化合物であるウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と、ポリアミノ化合物(c)が有する一級又は二級のアミノ基とのウレア化反応は、以下の2つの方法に大別される。[iii]ウレタンプレポリマーをフラスコに仕込み、ポリアミノ化合物(c)を滴下する方法。[iv]ポリアミノ化合物(c)をフラスコに仕込み、ウレタンプレポリマーを滴下する方法。反応に問題がなければ、操作が容易な[iii]の方法が好ましい。本発明のウレア化反応の温度は、100℃以下が好ましい。更に好ましくは70℃以下である。70℃でも反応速度は大きく、制御できない場合は、50℃以下が更に好ましい。100℃より高くなると反応速度の制御が困難であり、所定の重量平均分子量と構造を有するウレタンウレア樹脂(A)を得ることは難しい。又、ポリアミノ化合物(c)の合成溶剤としてアルコール系溶剤を用いた場合には、ポリアミノ化合物(c)を滴下する際に反応系内の温度を50℃以下、更には40℃以下にしておくことが好ましい。
反応停止剤(e)の使用量は、ポリアミノ化合物(c)と混合添加する場合と、単独で最後に添加する場合により異なるが、混合添加する場合にはウレタンプレポリマー中のイソシアネート基1モルに対して、反応停止剤(e)中のアミノ基が、好ましくは0.5モル以下、更に好ましくは、0.3モル以下になる量を使用するのが望ましく、単独で最後に添加する場合には最終的に存在するイソシアネート基1モルに対して0.5〜3.0モルであり、特にウレタンウレア樹脂(A)の安定化を目的とした場合には1〜3.0モルが好ましい。この範囲外では成膜性が低下したり、変着色したりする等の悪影響が見られる場合がある。
反応の終点は、滴定に因るイソシアネート%測定、IR測定によるイソシアネートピークの消失により判断する。
カルボキシル基や三級アミノ基を有するウレタンウレア樹脂(A)は、水に分散もしくは溶解せしめるためイオン化することもできる。
ウレタンウレア樹脂(A)の分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量で70,000〜200,000である必要がある。好ましくは、80,000〜130,000である。重量平均分子量が70,000未満であると感圧接着剤としての耐久性と光学機能維持特性とのバランスが悪化する。又、200,000を超えると粘度が高すぎ扱いにくくなる。
又、得られたウレタンウレア樹脂(A)の溶液粘度は特に制限はなく、樹脂の用途により選択されるが、好ましくは、固形分50重量%で3000〜25000mPa・s(25℃)である。粘度が高すぎると塗工加工が困難になる可能性があり、又、低すぎると十分な分子量の樹脂ができていない場合がある。
次に、本発明に用いられる下記一般式[1]で表されるアンモニウム塩系の化合物(B1)、及び下記一般式[2]で表されるアルカリ金属塩系の化合物(B2)について説明する。
Figure 2011012189
(R〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表し、R5〜R8は、隣り合う置換基同士で環を形成してもよい。)
Figure 2011012189
(R9〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表す。A+は、アルカリ金属イオンを表す。)
アンモニウム塩系の化合物(B1)は、カチオン部がN+5678であり、アニオン部も含め、構成部がすべて有機物となることから、上記ウレタンウレア樹脂(A)や溶剤への相溶性が高いという特徴を持つ。又、アンモニウム塩系の化合物(B1)を用いた場合、帯電防止性能が環境湿度の影響を受けにくい。
又、アルカリ金属塩系の化合物(B2)は、カチオン部がアルカリ金属イオンであるので、製造工程が短縮でき安価で製造することができるといった特徴を持つ。しかし、アルカリ金属塩系の化合物(B2)を用いた場合、電子部品、例えば、内装回路、トランジスタ、IC、CPUを汚染する可能性があり、これらが汚染されると動作異常の発生が懸念される。又、アルカリ金属塩系の化合物(B2)を用いた場合、被着体がアルミニウム等であると、高温多湿の環境で浮きが発生し易い。更に、アルカリ金属塩系の化合物(B2)を用いた場合、帯電防止性能が環境湿度の影響を受けやすい。
よって、本発明においては、上記一般式[1]で表されるアンモニウム塩系の化合物(B1)を用いることがより好ましい。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
更に、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基及び置換基を有してもよい複素環基の水素原子は更に他の置換基で置換されていても良い。
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
このような置換基のうち、好ましい置換基として電子求引性の置換基が挙げられる。電子求引性の置換基が置換することにより、一般的にイオン性化合物は解離しやすくなり、帯電防止能は高くなる。
このような、電子求引性の置換基とは、共鳴効果や誘起効果によって相手から電子をひきつける置換基の総称であり、その多くは、ハメット則において、置換基定数σが正の値で示される。これらの置換基としては、特に制限はないが、具体的には、Chemical Review Vol.91、第165−195項1991年発行に記載のσpが0より大きなものが挙げられ、より具体的には、ハロゲン基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、アミド基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキルチオ基、ペルフルオロアルキルカルボニル基、スルホンアミド基、4−シアノフェニル基等があげられる。
1〜R4 、R9〜R12は、化合物の安定性面から考慮して、好ましくは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基であり、より好ましくは、置換基を有してもよいアリール基である。
5〜R8は、化合物の安定性面から考慮して、置換基を有してもよいアルキル基が好ましい。
本発明において一般式[1]で表されるアンモニウム塩系化合物(B1)の代表例を、例示化合物(B1−1)〜(B1−15)として以下の表1に、又、一般式[2]で表されるアルカリ金属塩系化合物(B2)の代表例を、例示化合物(B2−1)〜(B2−4)として以下の表2にそれぞれ具体的に例示するが、これらに限られるものではない。尚、例示化合物中のMeはメチル基、Etはエチル基、Buはノルマルブチル基、c−Hexはシクロヘキシル基、Phはフェニル基を示す。
Figure 2011012189
Figure 2011012189
又、本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、上記アンモニウム塩系の化合物(B1)、又はアルカリ金属塩系化合物(B2)と併用してそれ以外の帯電防止剤を使用してもよい。併用する化合物としては、特に限定されないが公知の界面活性剤やアルカリ金属の有機塩が挙げられ、これらは単独で又は複数を併用することができる。
又、本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、上記アンモニウム塩系の化合物(B1)、又はアルカリ金属塩系化合物(B2)をウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して0.05〜5.0重量部含み、好ましくは0.3〜3.0重量部含む。0.05重量部未満であると十分な帯電防止性が得られず、5.0重量部以上添加してもそれ以上の帯電防止性を得るのは困難であるばかりか耐熱性の不良を生じる。
次に、硬化剤(C)及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)について説明する。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、上記ウレタンウレア樹脂(A)、上記アンモニウム塩系の化合物(B1)及び/又はアルカリ金属塩系の化合物(B2)、硬化剤(C)、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする。前記ウレタンウレア樹脂(A)中に存在する反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。従って、本発明に用いられる硬化剤(C)の有する官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基、メチロール基、アジリジン基、カルボジイミド基等が挙げられる。硬化剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、高分子量ポリカルボジイミド類、N−メチロール基含有化合物、多官能アジリジン化合物、金属キレートなどが挙げられるが、これらの中でも、硬化剤として作用するために、ウレタンウレア樹脂(A)の水酸基と反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。特にポリイソシアネート化合物は、架橋反応後の接着性や被覆層への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、及びこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体、更にはこれらポリイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物は、エポキシ基を分子内に複数有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。多官能エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
高分子量ポリカルボジイミド類としては、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
多官能アジリジン化合物としては、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
金属キレートとしては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルとの配位化合物などが挙げられる。
上記硬化剤(C)は、単独又は併用して使用できる。上記硬化剤(C)としては、反応性やポットライフ、更には感圧式接着剤層の光学特性などからポリイソシアネート化合物が好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体が好ましい。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して、上記硬化剤(C)を0.3〜3.0重量部含有することを特徴とする。特に0.5〜2.0重量部含有することがより好ましい。3.0重量部を越えると帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層の架橋構造が密になり、感圧式接着剤層のタックが低下傾向となり、被着体に対する接着性が低下すると共に、柔軟性が低下するので、偏光板などの光学用フィルム用感圧接着剤に使用した場合、光漏れ防止性などの光学特性を損なうことになる。又、0.3重量部未満では、十分な架橋構造が得られないため、凝集力が低下し、耐熱性、耐湿熱性が低下する。ウレタンウレア樹脂(A)の反応性官能基と上記硬化剤(C)中の官能基との反応により、樹脂組成物が三次元架橋し、各種基材や被着体との密着性を確保するだけでなく、従来よりも過酷な条件下における耐熱性及び耐湿熱性をも向上することができるため、光学部材用として好ましく使用することができる。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、耐湿熱性の向上を目的として、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)を含む。シランカップリング剤(D)は、本発明の感圧式接着剤層中で特に傾斜構造を形成しやすく、接着剤層表面に偏在化し、耐湿熱特性の向上に特に効果を発揮すると考えられる。
シランカップリング剤(D)としては公知のものを使用できる。例えば、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン;
5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキル基とアルコキシ基とを有するシラン;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有する化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス( 2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのいずれか1種以上を単独もしくは混合して使用することができる。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して、シランカップリング剤(D)を0.01〜3.0重量部含有することを特徴とする。特に0.1〜2.5重量部含有することがより好ましい。3.0重量部を越えると光学機能維持特性を損なう。又、0.01重量部未満では、十分な耐湿熱性向上が見られない。上記のいずれか1種以上を単独もしくは混合して使用することができる。
次に本発明のポリアルキレングリコール(E)について説明する。本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、リワーク性の付与の目的でポリアルキレングリコールを(E)含むことが好ましい。更にポリアルキレングリコール(E)の可塑効果により本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物の接着力をコントロールすることが可能となる。本発明のポリアルキレングリコール(E)としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。室温で液状のものが好ましい。特に樹脂との相溶性や透明性などの面でポリプロピレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールの添加量は、ウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して0.5〜10.0重量部が好ましく、特に1.0〜8.0重量部が好ましい。0.5重量部未満であるとリワーク性が付与できない場合がある。又、10.0重量部を超えると耐熱性の不良を生じる場合がある。
本発明に関わる帯電防止性感圧接着剤組成物には、必要に応じて、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を併用することもできる。更に、用途に応じて、有機・無機の顔料、フィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、光安定剤等の添加剤を配合しても良い。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物を使用して、感圧式接着剤層とシート状基材とからなる積層製品(以下、「帯電防止性感圧式接着性シート」という。)を得ることができる。例えば、種々のシート状基材の片面、又は両面に本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥・硬化することによって帯電防止性感圧式接着シートを得ることができる。帯電防止性感圧式接着シートを構成する感圧式接着剤層は、「感圧式」であるから室温程度でタックを有する。帯電防止性感圧式接着剤組成物を塗工するに際し、適当な液状媒体、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、その他の炭化水素系溶媒等の有機溶媒や、水を更に添加して、粘度を調整することもできるし、帯電防止性感圧式接着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。ただし、水やアルコール等は多量に添加するとウレタンウレア樹脂(A)と硬化剤(C)との反応阻害を引き起こす可能性があるため注意が必要である。
シート状基材としては、セロハン、各種プラスチックシート、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、金属板、木材、偏光板などの光学フィルム等の平坦な形状のものが挙げられる。又、各種基材は単独でも用いることもできるし、複数のものを積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。更に表面を剥離処理したものや帯電防止処理したものを用いることもできる。
各種プラスチックシートとしては、各種プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂、シクロオレフィン系樹脂のフィルム等が挙げられる。
常法に従って適当な方法で上記シート状基材に帯電防止性感圧式接着剤組成物を塗工した後、帯電防止性感圧式接着剤組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、液状媒体を除去したり、帯電防止性感圧式接着剤組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある接着剤層を冷却して固化したりして、シート状基材の上に接着剤層を形成することができる。感圧式接着剤層の厚さは、0.1μm〜200μmであることが好ましく、5μm〜50μmであることがより好ましい。0.1μm未満では充分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物をシート状基材に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては接着剤組成物の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
本発明の積層体は、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等の種々の光学特性を持つ、いわゆるシート(前述の通りフィルムともいう)状の光学部材に、上記本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層された状態のものである。感圧式接着剤層の他の面には、剥離処理されたシート状基材を積層することができる。
本発明の積層体は、(ア)剥離処理されたシート状基材の剥離処理面に帯電防止性感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、シート状の光学部材を感圧式接着剤層の表面に積層したり、(イ)シート状の光学部材に帯電防止性感圧式接着剤組成物を塗工、乾燥し、感圧式接着剤層の表面に剥離処理されたシート状基材の剥離処理面を積層したりすることによって得ることができる。
このようにして得た積層体から感圧式接着剤層の表面を覆っていた剥離処理されたシート状基材を剥がし、例えば、感圧式接着剤層を液晶セル用ガラス部材に貼着することによって、「シート状の光学部材/感圧式接着剤層/液晶セル用ガラス部材」という構成の液晶セル用部材を得ることができる。
又、本発明の帯電防止性感圧式接着性シート、及び積層体の用途は特に限定されないが、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル、電極周辺部材等各種エレクトロニクス関連の部材やプロテクトフィルム用途に好適に使用することができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例における「部」及び「%」は、特にことわらない限り「重量部」及び「重量%」を表す。
合成例4〜23で得られた各樹脂の重量平均分子量(Mw)を以下の方法に従って求めた。
<重量平均分子量(Mw)測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
[アミノ化合物の合成]
合成例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)25.0部、トルエン25.0部を仕込み。4−ヒドロキシブチルアクリレート 19.1部、ブチルアクリレート 18.8部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン37.9部を加えた。更に酢酸エチルを加え固形分を50%に調整したものを化合物(1)溶液とした。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)40.0部、トルエン40.0部を仕込み。4−ヒドロキシブチルアクリレート 67.8部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン67.8部を加えた。更に酢酸エチルを加え固形分を50%に調整したものを化合物(2)溶液とした。
合成例3
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)30.0部、トルエン30.0部を仕込み。4−ヒドロキシエチルアクリレート 18.4部、エチルアクリレート 17.6部を室温で滴下した。滴下終了後、80℃で2時間反応させた後、トルエン36.0部を加えた。更に酢酸エチルを加え固形分を50%に調整したものを化合物(3)溶液とした。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例4
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにサンニックスPP−2000(2官能ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)439部、イソホロンジイソシアネート61.1部、トルエン125部、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.042部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル374部、アセチルアセトン1.4部を加えた後、化合物(1)溶液19.3部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール0.6部及び酢酸エチル100部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−1)の重量平均分子量Mwは115,000であった。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例5〜13、15、16
表3に示す配合に従って合成例4と同様の方法でウレタンウレア樹脂(A−2)〜(A−10)、(A−12)、(A−13)を得た。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例14
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにサンニックスPP−2000(2官能ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)774部、イソホロンジイソシアネート126部、トルエン225部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.075部を仕込み、100℃まで徐々に昇温し2時間反応を行った。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、40℃まで冷却し、酢酸エチル486部、アセチルアセトン8.1部を加えた後、酢酸エチル180部に溶解させた化合物(2)溶液107部を1時間で滴下し、更に1時間熟成した後、2−アミノ−2−メチル−プロパノール2.9部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−11)の重量平均分子量Mw82,900であった。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例17
表3に示す配合に従って合成例14と同様の方法でウレタンウレア樹脂(A−14)を得た。
[ウレタンウレア樹脂の合成]
合成例18
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにPCDLT5650J(ポリカーボネート系ポリオール、旭化成ケミカル社製)49部、デナコールDA350(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸変性体、ナガセケムテックス社製)0.5部、ジブチル錫ジラウレート0.05部、及びトルエン60部を仕込み、50℃に昇温した。続いてキシリレンジイソシアネート10.7部をフラスコに滴下し反応を開始した。そのまま2時間反応させた後、鎖延長剤としてエチレンジアミン3.0部を添加し、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。このウレタンウレア樹脂(A−15)の重量平均分子量Mwは110,000であった。
Figure 2011012189
PP1000:サンニックスPP−1000(2官能ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
PP2000:サンニックスPP−2000(2官能ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
PP3000:サンニックスPP−3000(2官能ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
PE−62:ニューポールPE−62(ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの共重合体、三洋化成工業株式会社製)
PTMG:PTMG−3000(2官能ポリテトラメチレングリコール、保土ヶ谷化学工業製)
C1090:クラレポリオールC−1090(2官能ポリカーボネートジオール、株式会社クラレ製)
PCDLT5650J:PCDLT5650J(ポリカーボネート系ポリオール、旭化成ケミカル社製)
DA350:デナコールDA350(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸変性体、ナガセケムテックス社製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HMDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
XDI:キシリレンジイソシアネート
DOTDL:ジオクチル錫ジラウレート
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート
IPDA:イソホロンジアミン
AMP:2−アミノ−2−メチル−プロパノール
[ウレタン樹脂の合成]
合成例19
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP−1010(2官能ポリエステルポリオール、クラレ株式会社製)68部、ポリエーテルポリオールG−3000B(3官能ポリポロピレングリコール、旭電化株式会社製)265部、トルエン125部、触媒として2−エチルヘキサン酸鉄0.03部、ナフテン酸鉛0.04部を仕込み、液が十分均一になった後に、ヘキサメチレンジイソシアネート(住友バイエル株式会社製)24部を1時間で滴下して、90℃で3時間反応を行った。IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了したトルエン115部を加えウレタン樹脂(A−16)を得た。このウレタン樹脂(A−16)の重量平均分子量Mwは50,000であった。
[アクリル樹脂の合成]
合成例20
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート99部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0部、アセトン150部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.06部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を60℃に昇温させ、5時間反応させた。反応終了後、トルエンを190部とアクリル酸0.25部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50部を添加して、70℃に昇温し、6時間反応させた。反応後、トルエン55部を添加して室温まで冷却しアクリル樹脂を得た(A−17)。得られたアクリル樹脂(A−17)の重量平均分子量は160万であった。
[アクリル樹脂の合成]
合成例21
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにn−ブチルアクリレート76部、メチルメタクリレート22部、アクリル酸1.5部、アセトン100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら窒素雰囲気下で、この反応溶液を還流温度で転化率が75%になるまで4.5時間反応させ、重量平均分子量が100万の共重合体と単量体との混合溶液を得た。次いで、トルエン200部、アクリル酸0.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を添加し、転化率が100%になるまで更に6時間反応させ、Tgが−29.4℃のアクリル樹脂(A−18)の溶液を得た。アクリル樹脂(A−18)は、重量平均分子量が100万、Tgが−29.9℃の分子量15万未満の重合体を含有しない高分子量成分と、重量平均分子量が3万、Tgが−28℃の分子量15万以上の重合体を含有しない低分子量成分とを含有していた。前記、高分子量成分と低分子量成分とは、GPCの排出曲線において、独立した2つのピークを示し、両者の面積比は75/25であった。
[アクリル樹脂の合成]
合成例22
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、窒素ガスを封入後、酢酸エチル75部、アセトン15部、ブチルアクリレート55部、2−エチルヘキシルアクリレート25部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、2−メトキシエチルアクリレート10部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込んだ。攪拌しながら溶剤の還流温度で7時間反応してアクリル樹脂(A−19)の溶液を得た。得られたアクリル樹脂(A−19)の重量平均分子量は100万であった。
[ポリエステル樹脂の合成]
合成例23
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、イソフタル酸116部、セバシン酸61部、1,4−ブタンジオール30部 、1,6−ヘキサンジオール26部、ネオペンチルグリコール57部、トリメチロールプロパン2.5部を仕込んだ。重合槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下、100℃に昇温した。100℃で1時間保持した後、約8時間かけて徐々に180〜240℃に上げて脱水反応を行った。次いで、酸価が15以下になったら、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を加えて、徐々に減圧し、1〜3トール、260℃で5時間反応を行い、徐々に冷却して、トルエン/酢酸エチル混合溶液(重量比=1/3)に溶解して反応を終了した。得られたポリエステル樹脂(A−20)の重量平均分子量は90,000であった。
<アンモニウム塩系の化合物(B1)の製造>
特開2009−84541号公報に従って表1記載のアンモニウム塩系の化合物(B1−1)、(B1−6)、(B1−8)、(B−15)を合成した。
実施例1〜17
合成例4〜15で得られた樹脂(A−1)〜(A−12)の固形分100部に対し、アンモニウム塩系の化合物(B1)又はアルカリ金属塩系の化合物(B2)、硬化剤(C)、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)、及びポリアルキレングリコール(E)を表4に従って配合して帯電防止性感圧式接着剤組成物を得た。
比較例1〜13
合成例4、16〜21、23で得られた樹脂(A−1)、(A−13)〜(A−18)、(A−20)の固形分100部に対し、アンモニウム塩系の化合物(B1)、硬化剤(C)、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)、及びポリアルキレングリコール(E)を表5に従って配合して帯電防止性感圧式接着剤組成物を得た。
比較例15〜21
合成例4、14、19、20、22で得られた樹脂(A−1)、(A−11)、(A−16)、(A−17)、(A−19)の固形分100部に対し、帯電防止剤、硬化剤(C)、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)、及びポリアルキレングリコール(E)を表6に従って配合して帯電防止性感圧式接着剤組成物を得た。
上記帯電防止性感圧式接着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム(以下、「剥離フィルム」という。)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、感圧式接着剤層を形成した。乾燥後、感圧式接着剤層に、ポリビニルアルコール(PVA)系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)で挟んだ多層構造の偏光板の片面を貼り合せ、「剥離フィルム/感圧式接着剤層/TACフィルム/PVA/TACフィルム」なる構成の積層体を得た。次いで、得られた積層体を温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成(暗反応)させて、接着剤層の反応を進行させ、積層体を得た。
上記で得られた積層体を350mm×250mmの大きさに裁断し、剥離フィルムを剥がし、厚さ1.1mmのフロートガラス板の両面に、それぞれの偏光板の吸収軸が直交するようにラミネーターを用いて貼着した。続いて、この偏光板が貼り付けられたガラス板を50℃−5気圧の条件のオートクレーブ内に20分保持させて、偏光板をガラス板に強固に密着させ、液晶セル用部材を得た。リワーク性、耐湿熱性、光学特性、及び帯電防止性を以下の方法で評価した。結果を表4〜表6に示す。
<リワーク性の評価方法>
上記積層体を幅25mmに裁断し、剥離フィルムを剥がし、露出した感圧式接着層を厚さ0.7mmのガラス板に23℃−50%RHにて貼着し、50℃雰囲気下で5Kg/cm2の圧力をかけ、15分保持して貼り合せた後、JIS Z 0237に準じてロール圧着した。圧着24時間後、80℃で500時間静置した後、23℃−50%RH雰囲気下で剥離試験器にて、180度ピール、引っ張り速度300mm/分で、偏光フィルムをガラス板から剥離し、ガラス板表面及び接着剤層面を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
4:「感圧式接着剤層が、ガラス板表面に全く転移しておらず、感圧式接着剤層表面も平滑である。」
3:「感圧式接着剤層は、ガラス板表面に転移してはいないが、感圧式接着剤層表面にわずかに凹凸が生じている。」
2:「感圧式接着剤層の一部がガラス板表面に転移し、感圧式接着剤層表面にも顕著な凹凸が生じている。」
1:「感圧式接着剤層がガラス板表面に完全に転移している。」
<耐湿熱性の評価方法>
耐湿熱性の評価として、上記液晶セル用部材を80℃、相対湿度90%で1000時間放置した後の浮きハガレ、発泡を目視で観察した。耐湿熱性について、下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「浮きハガレ・発泡が全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干浮きハガレ・発泡が認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に浮きハガレ・発泡があり、実用不可である。」
をそれぞれ意味する。
<光学特性の評価方法>
光学特性の評価として、90℃で1000時間放置した後の上記液晶セル用部材に光を透過させたときの光漏れ(白抜け)を目視で観察した。光学特性について、下記の3段階の評価基準に基づいて評価をおこなった。
○:「光漏れが全く認められず、実用上全く問題なし。」
△:「若干光漏れが認められるが、実用上問題がない。」
×:「全面的に光漏れがあり、実用不可である。」
をそれぞれ意味する。
<帯電防止性>
実施例1〜17、比較例1〜21の帯電防止性感圧式接着剤組成物に関しては、上記積層体の剥離フィルムを剥がし、露出した感圧式接着剤層表面の表面抵抗値をデジタル超高抵抗/微少電流計(R8340 ADVANTEST製)で測定した。
○:「表面抵抗値が3.0×109以上、8.0×109未満。」
△:「表面抵抗値が8.0×109以上、2.0×1010未満。」
×:「表面抵抗値が2.0×1010以上、1.0×1014未満。」
をそれぞれ意味する。
Figure 2011012189
Figure 2011012189
Figure 2011012189
B1−1:表1記載のアンモニウム塩系の化合物(B1−1)
B1−6:表1記載のアンモニウム塩系の化合物(B1−6)
B1−8:表1記載のアンモニウム塩系の化合物(B1−8)
B1−15:表1記載のアンモニウム塩系の化合物(B1−15)
B2−1:表2記載のアルカリ金属塩系の化合物(B2−1)、(市販品を使用)
B2−4:表2記載のアルカリ金属塩系の化合物(B2−4)、(市販品を使用)
F−1:過塩素酸リチウム
F−2:カチオン系界面活性剤[塩化アルキルビス(2−ヒドロキシルエチル)メチルアンモニウム]
F−3:電荷制御剤(保土ヶ谷化学製、TN−105)
F−4:過塩素酸ナトリウム
C−1:ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体
C−2:トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体
C−3:キシリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体
C−4:ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート体とアセチルアセトンとの1:1混合物
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
E−1:サンニックスPP−2000(ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
E−2:PEG−600(ポリエチレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
E−3:サンニックスPP−600(ポリプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社製)
表4の実施例1〜17に示すように、特定量の、ウレタンウレア樹脂(A)、アンモニウム塩系の化合物(B1)もしくはアルカリ金属塩系の化合物(B2)、硬化剤(C)、及びシランカップリング剤(D)からなる本発明の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、リワーク性、耐湿熱性、光学特性、及び帯電防止性のいずれも良好であった。一方、表5及び表6に示すように、比較例1〜21の帯電防止性感圧式接着剤組成物は、リワーク性、耐湿熱性、光学特性、及び帯電防止性のいずれかが不良であり、すべての特性を満足できなかった。

Claims (10)

  1. ポリプロピレングリコール骨格を有するポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られるウレタンプレポリマーに、ポリアミノ化合物(c)を反応させてなる重量平均分子量(Mw)が、70,000〜200,000であるウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して、
    下記一般式[1]で表されるアンモニウム塩系の化合物(B1)、及び/又は、下記一般式[2]で表されるアルカリ金属塩系の化合物(B2)0.05〜5.0重量部、
    硬化剤(C)0.3〜3.0重量部、
    及び、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(D)0.01〜3.0重量部を含む帯電防止性感圧式接着剤組成物。
    Figure 2011012189
    (R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表し、R5〜R8は、隣り合う置換基同士で環を形成してもよい。)
    Figure 2011012189
    (R9〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基を有してもよい複素環基を表す。A+は、アルカリ金属イオンを表す。)
  2. ポリイソシアネート(b)の使用量が、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中、8〜16重量%であり、ポリアミノ化合物(c)の使用量が、ウレタンウレア樹脂(A)100重量%中、0.5〜11重量%である請求項1記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物。
  3. 硬化剤(C)が、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体である請求項1又は2記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物。
  4. ポリアルキレングリコール(E)を含む請求項1〜3いずれか記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物。
  5. ポリアルキレングリコール(E)が、ポリプロピレングリコールであり、ウレタンウレア樹脂(A)100重量部に対して0.5 〜10重量部含まれる請求項4記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層をシート状基材上の片面又は両面に形成してなる帯電防止性感圧式接着性シート。
  7. 光学部材上に、請求項1〜5いずれか記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層が積層されてなる積層体。
  8. 光学部材が、偏光板である請求項7記載の積層体。
  9. 液晶セル用ガラス部材、請求項1〜5いずれか記載の帯電防止性感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着剤層、及び光学部材が、順次積層されてなる液晶セル用部材。
  10. 光学部材が、偏光板である請求項9記載の液晶セル用部材。
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