JP2011012133A - インクジェット記録用インクセット - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷物の白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得られるインクジェット記録用インクセット、及びそれを用いたインクジェット印刷方法を提供する。
【解決手段】(1)着色インクとクリアインクとを含むインクセットであって、着色インクが、塩生成基を有するポリマーに着色剤が含有されたポリマー粒子(A)と、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量が5g以下であって、エステル化合物、エーテル化合物、及びスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上の水不溶性有機化合物(B)とを含むインクであり、クリアインクが、(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマー選ばれる1種以上の物質を含有し、該物質の極性が、該ポリマー粒子(A)のポリマーとは逆極性であるインクである、インクジェット記録用インクセット、及び(2)前記インクセットを用いた印刷方法であって、クリアインクを印刷した上に、着色インクを重ねて印刷するインクジェット印刷方法である。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録用インクセット、及びそれを用いたインクジェット印刷方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特許文献1には、専用紙に印字した際の光沢性、写像性の改善を課題として、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子を含む着色インクと、同じ電荷の架橋ポリマー粒子を含むクリアインクとを含有する、インクジェット記録用インクセットが開示されている。このインクセットは、クリアインクを未着色部に着弾させ、着色インクのドットの段差を平滑化することにより、光沢性、写像性を改善するものである(段落〔0008〕)。
特許文献2には、光沢メディア上での定着性、光沢性の改善、普通紙上での滲み、濃淡ムラ等の改善を課題として、着色成分と水とを含むインク組成物により記録された記録画像上に、水に不溶又は難溶の可塑剤を内包した樹脂エマルジョンと保湿剤と水を含むコート液で、コートを施す画像形成方法が開示されている。
特許文献3には、普通紙に印字を行う際のブリーディングの改善、及び定着性と発色性の両立を課題として、顔料インクと共に使用され、該顔料インクと接触すると反応する反応液であって、(a)多価金属塩と(b)非イオン性高分子化合物と(c)液媒体とを含むインクジェット記録用反応液及びインクセットが開示されている。
しかし、これらのインクセットでは、白抜けを低減させることはできなかった。
特開2008−179778号公報 特開2008−230161号公報 特開2008−265060号公報
本発明は、印刷物の白抜け(印字部におけるインクドット間の隙間)を低減し、細部に渡る均一な画像色を得られるインクジェット記録用インクセット、及びそれを用いたインクジェット印刷方法を提供することを課題とする。
本発明者は、特定の水不溶性有機化合物を添加した着色インクと逆極性を有するクリアインクとを用いる凝集システムにより、印刷物の白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)着色インクとクリアインクとを含むインクセットであって、着色インクが、塩生成基を有するポリマーに着色剤が含有されたポリマー粒子(A)と、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量が5g以下であって、エステル化合物、エーテル化合物、及びスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上の水不溶性有機化合物(B)とを含むインクであり、クリアインクが、(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質を含有し、該物質の極性が、着色インクに含有されているポリマーとは逆極性であるインクである、インクジェット記録用インクセット。
(2)前記(1)のインクセットを用いたインクジェット印刷方法であって、クリアインクを印刷した上に、着色インクを重ねて印刷するインクジェット印刷方法。
本発明によれば、印刷物の白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得られるインクジェット記録用インクセット、及びそれを用いたインクジェット印刷方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、着色インクとクリアインクとを含むインクセットであって、着色インクが、塩生成基を有するポリマーに着色剤が含有されたポリマー粒子(A)(以下、「着色剤を含有するポリマー粒子(A)」、又は単に「ポリマー粒子(A)」ともいう)と、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量が5g以下であって、エステル化合物、エーテル化合物、及びスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上の水不溶性有機化合物(B)とを含むインクであり、クリアインクが、(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質を含有し、該物質の極性が、着色インクに含有されているポリマーとは逆極性であるインクであることを特徴とする。
本発明に用いられる着色インク中の、着色剤を含有するポリマー粒子(A)は、印刷媒体上で、クリアインク中の(a)多価金属塩、(b)金属酸化物等と凝集体を形成し、着色インクが普通紙中に浸透するのを抑制し、印字濃度を高めることができる。しかし、凝集体が生成すると、印字濃度を高めることができるものの、細部での画像色の均一性は改善されない傾向にある。これは、凝集体が生成することでインクの普通紙内部への浸透が抑制されるだけでなく、印刷媒体上でのインクの広がりまでが抑制してしまい、白抜けが発生するためと考えられる。
本発明においては、該ポリマー粒子(A)と前記特定の水不溶性有機化合物(B)とを組み合わせたことにより、水不溶性有機化合物(B)の少なくとも一部がポリマー粒子(A)に含有されることで、印刷媒体上で着色インクがクリアインクと接してポリマー粒子(A)の一部が凝集した後でも、クリアインクと接触していない残りのポリマー粒子(A)が、上記凝集体上で、着弾した着色インクのドット面積を超えて広がることで、白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を発現すると考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分について説明する。
<着色インク>
(着色剤)
本発明においては、着色インクが着弾した後に着色剤を印刷媒体上で広げ、白抜けを低減し、均一な画像を得る観点から、ポリマー粒子(A)中に着色剤を含有させている。着色剤としては、耐水性の観点から、顔料が好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・オレンジ及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
〔着色剤を含有するポリマー粒子(A)〕
着色剤を含有するポリマー粒子(A)に用いられるポリマーは、水不溶性有機化合物(B)を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーの塩生成基に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
ポリマー粒子(A)を構成するポリマーは、クリアインク中の成分と凝集させる観点、及び吐出性の観点から、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ともいう)由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(b)(以下「(b)成分」ともいう)由来の構成単位、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステル(c)(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位、及び下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)(以下「(d)成分」ともいう)由来の構成単位から選ばれる1種以上の構成単位とを含有することが好ましい。
CH2=C(R11)COO(R12O)qR13 (1)
(式中、R11は水素原子又はメチル基、R12は炭素数2又は3の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
ポリマー粒子(A)を構成するポリマーは、他のモノマー成分由来の構成単位を有していてもよいが、ポリマー中、他のモノマー成分由来の構成単位の含有量は、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下であり、他のモノマー成分由来の構成単位を有さないことが好ましい。
このポリマーは、(a)成分と、(b)成分、(c)成分及び(d)成分からなる群から選ばれる一種以上とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ともいう)を共重合させることにより得ることが好ましい。
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているもの等が挙げられる。なお本明細書にいうカチオン性モノマーとは、常にカチオン性を帯びたモノマーのみならず、pHの変化によりカチオン性を帯びることがあるモノマーも含む。
カチオン性モノマーとしては、アミノ基又は四級アンモニウム塩を含有する不飽和モノマーが好ましく、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、又はこれらの塩酸、硫酸、酢酸、燐酸等の無機酸、有機酸の塩類、又はメチルハライド(クロライド、ブロマイド等)、エチルハライド(クロライド、ブロマイド等)、ベンジルハライド(クロライド、ブロマイド等)、ジアルキル(メチル、エチル等)硫酸、ジアルキル(メチル、エチル等)炭酸、エピクロロヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられる。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(以下、単に「(b)マクロマー」ともいう)は、ポリマー粒子(A)が着色剤を含有した場合に、ポリマー粒子(A)の分散安定性を高める観点から用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系マクロマーとは、マクロマーの片末端に存在する重合性官能基として、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものを意味する。
(b)マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、(b)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーの中では、ポリマー粒子(A)の分散安定性等の観点から、片末端に前記重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー、及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが挙げられる。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
スチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体としては、下記式(2)で表されるアクリロニトリル等が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、x、yは平均付加モル数を示し、x/y=6/4〜10/0である。)
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、着色剤との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
(b)マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(3)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32O〕t-Si(CH33 (3)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)マクロマーとして商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステルは、保存安定性を高める観点から用いることができる。
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
その具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はtert−)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基を有していてもよい(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はtert−)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示す。
上記の中では、顔料への吸着力を高め、より高い印字濃度を得る観点から、(メタ)アクリル酸アリールエステルが好ましく、メタクリル酸ベンジル又はアクリル酸ベンジルがより好ましい。
(d)(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)は、顔料が前記ポリマーに含有された後の安定性を補助し、吐出安定性を高めるという観点から用いることができる。
CH2=C(R11)COO(R12O)qR13 (1)
(式中、R11は水素原子又はメチル基、R12は炭素数2又は3の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
一般式(1)におけるR12の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、又はプロパン−1,2−ジイル基等挙げられる。qは好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜23である。qが2以上の場合、R12は同一でも異なっていてもよく、ブロック付加、ランダム付加のいずれであってもよい。
13は、好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ又はtert−)ブチル基、(イソ)アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、(イソ)オクチル基、(イソ)デシル基、(イソ)ドデシル基、(イソ)ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。
(d)成分の好適例としては、末端にアルキル基を有するポリエチレングリコール(n=2〜30、nはアルカンジイルオキシ基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、末端にアルキル基を有するポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、末端にアルキル基を有するポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。
特に好適な具体例としては、2−エチルヘキシロキシポリエチレングリコール(n=4)メタクリレート、2−エチルヘキシロキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート、ポリプロピレングリコール(n=12)モノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(n=8)ポリプロピレングリコール(n=6)モノメタクリレート等が挙げられる。
また、(d)成分の市販例としては、新中村化学工業株式会社の単官能性アクリレートモノマー(NKエステル)EH−4E、EH−9E、M−90G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PP−500、PP−800、50PEP−300、50POEP−800B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリマー製造時における、上記(a)〜(d)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は水不溶性ポリマー中における(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性、及び着色インクとクリアインクとの接触により適切に凝集体を形成させる観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、特に着色剤との相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜35重量%である。
モノマー混合物中における〔(b)成分+(c)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは70〜95重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分+(d)成分]〕の重量比は、着色インクとクリアインクとの接触により適切に凝集体を形成させる観点から、好ましくは0.02〜0.8、より好ましくは0.03〜0.6、更に好ましくは0.05〜0.5である。
本発明で用いられるポリマーを製造する際に、モノマー混合物中、本発明の効果を損なわない範囲、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下で、上記(a)〜(d)成分以外の他のモノマーを含有していてもよい。
(ポリマーの製造)
本発明でポリマー粒子(A)に用いられるポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
ポリマーの重量平均分子量は、印字濃度及び着色剤の分散安定性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定した。
前記ビニルポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価(HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。又は、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。ポリマーの酸価又はアミン価は、50〜200が好ましく、50〜150が更に好ましい。
〔水不溶性有機化合物(B)〕
本発明で用いられる水不溶性有機化合物(B)は、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量が5g以下であって、エステル化合物、エーテル化合物、及びスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上の水不溶性有機化合物である。
水不溶性有機化合物(B)は、前記ポリマー粒子(A)中に少なくとも一部が存在し、該ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする観点から、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。また、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量は5g以下であり、好ましくは3g以下、更に好ましくは1g以下である。
水不溶性有機化合物(B)は、該ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする観点から、そのLogP値が−1〜11であることが好ましく、1〜9がより好ましく、1.5〜8がより好ましく、2〜7が更に好ましい。
また、水不溶性有機化合物(B)とポリマー粒子(A)との相互作用の観点から、〔[水不溶性有機化合物(B)のLogP値]−[ポリマーのLogP値]〕の値が、−4〜8であることが好ましく、−2〜6であることがより好ましく、−1.5〜5であることがより好ましく、−1〜4であることが更に好ましい。
ここで「LogP値」とは、水不溶性有機化合物(B)の1−オクタノール/水の分配係数の対数値を意味し、KowWin(Syracuse Research Corporation,USA)のSRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値を用いる(The KowWin Program methodology is described in the following journal article: Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92.)。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している。LogP値は、一般に有機化合物の親疎水性の相対的評価に用いられる数値である。
水不溶性有機化合物のSP値は、該ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする観点から、7〜12が好ましく、9〜11がより好ましい。
本明細書にいう溶解パラメータ(SP値)とは、Fedorsの方法〔Robert F.Fedors, Polymer Engineering and Science, 14, 147-154 (1974)〕により、下記のFedorsの式に基づいて求められた値δ[(MPa)1/2]であり、化合物の化学構造の原子または原子団の蒸発エネルギーの総和(Δei)とモル体積の総和(Δvi)の比の平方根から求められる。
Fedorsの式: δ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
水不溶性有機化合物(B)は、ポリマー粒子(A)に含有させ易くするため、エステル化合物、エーテル化合物、又はスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上であり、(f)分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物(エステル結合、エーテル結合又は両方を含んでいてもよい)、及び/又は(g)分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、硫酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物がより好ましい。(f)化合物のエステル又はエーテル結合は、2〜3個が好ましく、エステル結合とエーテル結合とを有するものでもよい。(g)化合物のエステル又はエーテル結合は、1〜3個が好ましい。官能基数は、1〜3個が好ましい。リン酸残基とは、リン酸の一部がエステル化された残りのリン酸基のことをいう。
エステル化合物の中では、1価カルボン酸又はその塩と多価アルコールから得られるエステル、多価酸(多価カルボン酸、リン酸)又はその塩と1価アルコールから得られるエステルが好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。また、エーテル化合物の中では、多価アルコールのエーテル化合物が好ましい。
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)等が挙げられる。
多価酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸、フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
1価アルコールとしては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール(例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール)、炭素数6〜12の芳香族アルコール(例えば、フェノール)及びこれらのアルキレンオキシド化合物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の炭素数2〜12の多価アルコール及びこれらのアルキレンオキシド化合物等が挙げられる。脂肪酸やアルコールとしては飽和又は不飽和のいずれのものも使用できる。
水不溶性有機化合物(B)の具体例としては、(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル、(4)リン酸エステル、(5)オキシ酸エステル、(6)グリコールエステル、(7)エポキシ系エステル、(8)スルホンアミド、(9)ポリエステル、(10)グリセリルアルキルエーテル、(11)グリセリルアルキルエステル、(12)グリコールアルキルエーテル、(13)グリコールアルキルエステル、(14)トリメチロールプロパンのエーテル又はエステル、(15)ペンタエリスリトールのエーテル又はエステル等が挙げられる。
これらの中では、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする等の観点から、前記(1)〜(5)、(8)及び(10)の化合物が好ましく、脂肪族ジ又はトリカルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル及び(4)リン酸エステルから選ばれる1種以上であることが好ましく、脂肪族ジカルボン酸エステル、芳香族ジ又はトリカルボン酸エステル、シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル及びリン酸エステルから選ばれる1種以上であることがより好ましく、下記一般式(4)で表わされる化合物が更に好ましい。
(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル、及び(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルは、下記式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。R1及びR2は同一でも異なっていてもよいが、R1及びR2が共に水素原子である場合を除く。R1〜R3は置換基を有していてもよい。m及びnは、それぞれ独立に0〜30の平均付加モル数を示し、AOはアルカンジイルオキシ基を示す。)
1及びR2は、該ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くし、白抜けを低減させ、細部に渡る均一な画像色を得る観点から、好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数4〜12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、炭素数7〜23、好ましくは炭素数7〜11のアラルキル基、又は炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜10のアリール基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。以下の式においても同様である。
3は、2価の脂肪族炭化水素基、環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基が好ましく、好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルカンジイル基(アルキレン基)又はアルケニレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基、更に好ましくはフェニレン基、炭素数3〜8の環式飽和又は不飽和炭化水素基である。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ヘプタメチレン基、ヘキサメチレン基、ペンタン−1,5−ジイル基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、フェニレン基等が挙げられる。以下の式においても同様である。
m及びnは、それぞれ独立に、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜15、更に好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜14、最も好ましくは2〜12である。
AOは、エチレンオキシ基(EO)、プロピレンオキシ基(トリメチレンオキシ基又はプロパン−1,2−ジイルオキシ基)(PO)、又はブチレンオキシ基(テトラメチレンオキシ基等)(BO)等の炭素数2〜4のアルカンジイルオキシ基(アルキレンオキシ基)であり、m及びnが2以上の場合はAOは同一でも異なっていてもよく、異なる場合はAOはブロック付加していても、ランダム付加していてもよい。
1〜R3が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基等のオキシカルボニル基、アセチル、ベンゾイル基等のアシル基、アセチルオキシ基等のアシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、オキソ基、エポキシ基、エーテル基、エステル基等が例示できる(これらを総称して「置換基」という)。これらの置換基は1つであっても2つ以上を組み合わせてもよい。
3が有していてもよい置換基としては、−CO(O)−(AO)L−R4が好ましい。式中、AOは前記と同じである。Lは、前記のmと同じ意味を示し、好ましい範囲も同じである。R4は、前記のR1と同じ意味を示し、好ましい範囲も同じである。この場合、R3は、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
(1)脂肪族カルボン酸エステルは、より具体的には、前記式(4)において、R3が、置換基を有していてもよい、2価の脂肪族炭化水素基である化合物が更に好ましい。この置換基としては前記の置換基が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ジメチルセバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジエチルサクシネート、ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等の脂肪族二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(ブチルジエチレングリコール)アジペート、ビス(オクトキシポリエチレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EOの各平均付加モル数m及びn=1〜4)、ビス(オクトキシポリプロピレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、POの各平均付加モル数m及びn=1〜6)、ビス(オクトキシポリエチレングリコール・ポロプロピレングリコール)アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの各合計平均付加モル数m及びn=4〜12、ブロック付加)、ビス[オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)]アジペート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの各合計平均付加モル数m及びn=4〜12、ランダム付加)、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジイソブチルセバケート等の炭素数6〜14の脂肪族二塩基酸のジエステルが好ましい。
(2)芳香族カルボン酸エステルは、より具体的には、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1及びR2は、前記と同じ意味であり、同一でも異なっていてもよい。AO、m及びnは、前記と同じ意味であり、m及びnはが2以上の場合はAOは同一でも異なっていてもよい。)
芳香族カルボン酸エステルの具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルフタレート、ビス(ジメチルシクロヘキシル)フタレート、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)フタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル、トリブチルトリメリテート、トリイソブチルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステル、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート等の炭素数3〜18のアルキル基を有するベンジルフタレート、ビス(オクトキシポリエチレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EOの各平均付加モル数m及びn=1〜5)、ビス(オクトキシポリプロピレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、POの各平均付加モル数m及びn=1〜4)、ビス(オクトキシポリエチレングリコール・ポロプロピレングリコール)フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの各合計平均付加モル数m及びn=4〜12、ブロック付加)、ビス[オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)]フタレート(R1及びR2は共に2-エチルヘキシル、EO及びPOの各合計平均付加モル数m及びn=4〜12、ランダム付加)等のフタル酸エステル、及びトリブチルトリメリテート、トリイソブチルトリメリテート等の炭素数3〜5の脂肪族アルコール残基を有するトリメリット酸ジエステルが好ましい。
(3)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルは、より具体的には、下記式(6)で表されるシクロヘキサン(セン)カルボン酸エステルが更に好ましい。シクロアルカン(ケン)基としては、炭素数3〜8の不飽和基を1つ有していてもよい、環式炭化水素基が挙げられる。
Figure 2011012133
(式中、R1及びR2は、前記と同じ意味であり、同一でも異なっていてもよい。AO、m及びnは、前記と同じ意味であり、m及びnはが2以上の場合はAOは同一でも異なっていてもよい。)
シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルの具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンカルボン酸エステル類、3,4−シクロヘキセンジカルボン酸ジブチルエステル、3,4−シクロヘキセンカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキセンカルボン酸エステル等が挙げられる。
(4)リン酸エステルは下記式(7)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1及びR2は、前記と同じ意味であり、同一でも異なっていてもよい。)
リン酸エステルの具体例としては、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。これらの中でも、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等の炭素数5〜9のアルコキシアルキル基を有するリン酸エステル、トリブチルホスフェート等の炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基を有するリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を有するリン酸エステルが好ましい。リン酸エステルは、リン酸ジ又はトリエステルが好ましい。
(5)オキシ酸エステルは下記式(8)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味である。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
オキシ酸エステルの具体例としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等が挙げられる。
(6)グリコールエステルは下記式(9)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味である。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。)
グリコールエステルの具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)等が挙げられる。
(7)エポキシ系エステルは下記式(10)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1は前記と同じ意味である。R4及びR5は各々独立に水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R6は炭素数1〜6のアルカンジイルオキシ基を示す。)
エポキシ系エステルの具体例としては、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
(8)スルホンアミドは下記式(11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1及びR2は、前記と同じ意味であり、同一でも異なっていてもよい。)
スルホンアミドの具体例としては、o−及びp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
(9)ポリエステルは下記式(12)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011012133
(式中、R1、R2及びR3は、前記と同じ意味であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。pは1〜18、好ましくは1〜10の数を表す。)
ポリエステルの具体例としては、ポリ(1,2−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等が挙げられる。
(10)グリセリルアルキルエーテルの具体例としては、グリセリルモノエーテル、グリセリルジエーテル、グリセリルトリエーテルが挙げられる。これらの中では、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するグリセリルモノエーテルが好ましい。アルキル基の炭素数は8〜30であるが、好ましくは8〜22、更に好ましくは8〜14である。このアルキル基として、例えば2−エチルヘキシル、(イソ)オクチル、(イソ)デシル、(イソ)ドデシル、(イソ)ミリスチル、(イソ)セチル、(イソ)ステアリル、(イソ)ベヘニル基が挙げられる。
アルキル基の位置については、特に制限はなく、1−アルキルグリセリルモノエーテル、2−アルキルグリセリルモノエーテルのいずれであってもよい。
(11)グリセリルアルキルエステルの具体例としては、グリセリルモノアルキルエステル、グリセリルジアルキルエステル、グリセリルトリアルキルエステル等が挙げられる。
これらの中では、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸)エステルが好ましい。アルキル基の総炭素数は、6以上が好ましく、8以上がより好ましい。
より具体的には、グリセリルトリアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノアセテート等が挙げられる。
(12)グリコールアルキルエーテルの具体例としては、グリコールモノアルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテルが挙げられる。化合物(12)のグリコールとしては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、アルキル基としては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。
(着色インクの製造)
本発明に用いられる着色インクの製造方法に特に限定はないが、例えば、次の工程(1)〜(3)により着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体を得た後、必要に応じて、通常用いられる水、湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加して着色インクを製造することができる。
工程(1):塩生成基を有するポリマー、有機溶媒、着色剤、水、及び必要なら中和剤を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体と水不溶性有機化合物(B)とを混合する工程
工程(1)では、まず、塩生成基を有するポリマーを有機溶媒に溶解させ、得られた有機溶媒溶液に、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。
該混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
ポリマーが塩生成基を有するので、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜11であることが好ましい。前記水不溶性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。有機溶媒としては、前記のものを用いることができる。
前記工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。工程(1)の分散における温度は5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は0.5〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
分散力を与える手段としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料の小粒子径化及び前記ポリマー粒子(A)の安定性の観点から、ビーズミル及び/又はマイクロフルイダイザーが好ましい。
前記工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子(A)を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られた着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体は、着色剤を含有するポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子(A)の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とポリマーにより複合粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子(A)表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(3)では、工程(2)で得られた水分散体と、水不溶性有機化合物(B)とを混合すればよい。好ましくは、工程(2)で得られた水分散体と、水不溶性有機化合物(B)とを混合し、分散処理する方法である。これにより、水不溶性有機化合物(B)の少なくともその一部がポリマー粒子(A)に含有された、水不溶性有機化合物(B)と着色剤とを含有するポリマー粒子(A)の水分散体を安定化し、吐出安定性を向上させることができる。
分散処理する手段としては、前記の工程(1)と同じである。また、超音波ホモジナイザーを用いることもできる。例えば、超音波ホモジナイザーとしては、周波数20〜2000kHz、反応総液量の1リットル当たりのワット数が好ましくは20〜1000W、より好ましくは50〜800Wであるものが望ましい。かかる超音波分散機は、株式会社日本精機製作所、アレックス社等から市販されている。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。工程(3)の分散における温度は5〜50℃が好ましく、5〜35℃が更に好ましい。
得られる着色インクにおける、ポリマー粒子(A)の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
(着色インク)
上記の方法により得られる着色インク中の各成分の含有量及びそれらの割合は次のとおりである。
着色インク中、水不溶性有機化合物(B)の含有量は、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くし、白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得る観点から、0.1〜3重量%が好ましく、0.15〜2重量%がより好ましく、0.2〜1重量%が更に好ましい。
着色インク中、ポリマー粒子(A)の含有量(水不溶性有機化合物(B)、着色剤を除いた固形分量。以下同じ。)は、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くし、白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得る観点から、0.25〜8重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましく、0.5〜3重量%が更に好ましく、着色剤の含有量は、印字濃度の観点から、2〜10重量%が好ましく、2〜8重量%がより好ましい。
〔水不溶性有機化合物(B)/ポリマー粒子(A)〕の重量比は、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くし、白抜けを低減し、細部に渡る均一な画像色を得る観点から、1/50〜1/1が好ましく、1/30〜1/1がより好ましく、1/10〜1/1が更に好ましい。
〔水不溶性有機化合物(B)/着色剤〕の重量比は、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする観点から、1/40〜5/1であることが好ましく、1/30〜1/1であることがより好ましい。
〔ポリマー粒子(A)/着色剤〕の重量比は、ポリマー粒子(A)の分散安定性の観点から、10/90〜75/25であることが好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。
着色インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
着色インクの表面張力(25℃)は、インクノズルからの良好な吐出性を確保する観点から、好ましくは20〜35mN/m、より好ましくは25〜35mN/mである。
着色インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sがより好ましい。
<クリアインク>
クリアインクは、(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質を含有し、該物質の極性は該ポリマー粒子(A)のポリマーとは逆極性である。
ここで、「該ポリマー粒子(A)のポリマーとは逆極性である」とは、着色剤を含有するポリマーの塩生成基がアニオン性である場合、クリアインクは、二価以上のカチオン性の金属イオンとアニオン性イオンとの塩である(a)多価金属塩、カチオン性の(b)金属酸化物(アルミナ等)、カチオン性の(c)ポリマーを用いることを意味する。また、着色剤を含有するポリマーの塩生成基がカチオン性である場合、クリアインクは、アニオン性の(b)金属酸化物(シリカ等)、アニオン性の(c)ポリマーを用いることを意味する。
より好適な組み合わせは、着色インク中のポリマーの塩生成基がアニオン性であり、クリアインクが、二価以上のカチオン性の金属イオンとアニオン性イオンとの塩である(a)多価金属塩、カチオン性の(b)金属酸化物、及びカチオン性の(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質を含有する組み合わせである。
次に、クリアインクに含まれる(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーついて説明する。
(a)多価金属塩
(a)多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成されるものをいう。
多価金属イオンは特に限定されない。その具体例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、銅(II)、亜鉛等の二価金属イオン、鉄(III)及びアルミニウム等の三価金属イオンが挙げられる。一方、多価金属イオンに結合する陰イオンも特に限定されず、例えば、臭化物イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
(a)多価金属塩の具体例としては、塩化物、臭化物、硝酸塩、酢酸塩、乳酸塩、グリセロリン酸マグネシウム、グリセロリン酸カルシウム及びミョウバン等が挙げられる。
塩化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化鉄(II)、塩化銅(II)、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)等が挙げられ、臭化物としては、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、臭化鉄(II)、臭化銅(II)、臭化亜鉛等が挙げられる。
また、硝酸塩としては、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸鉄(II)、硝酸銅(II)、硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、酢酸マグネシウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸鉄(II)、酢酸銅(II)、酢酸亜鉛等が挙げられ、乳酸塩としては、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。これらは、通常の形態で結晶水を含むものであってもよい。
上記の(a)多価金属塩の中では、前記ポリマー粒子(A)との凝集性の観点から、硝酸カルシウム等の硝酸塩、乳酸カルシウム等の乳酸塩がより好ましい。
(b)金属酸化物
(b)金属酸化物を構成する元素は、周期律表(長周期型)の2A族、2B族、3A族、3B族、4A族、4B族、5A族、6A族、7A族又は8族に由来のものである。金属は、半金属であってもよい。(b)金属酸化物の具体例としては、酸化珪素(以下、シリカという)、酸化アルミニウム(以下、アルミナという)、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等、又はこれら酸化物の表面を官能基で修飾あるいは表面改質したもの、あるいは界面活性剤で複合粒子化したもの等が挙げられる。
これらの中で、カチオン性のアルミナや、アニオン性のシリカが、クリアインクへの配合安定性の観点から好ましい。
(1)アルミナ
アルミナは、アルミナゾルとして、アルミナ粒子を溶媒中に均一に分散させたものが好ましい。アルミナ粒子の表面電荷は、通常、正に帯電しているので、塩酸、酢酸、硝酸-等のアニオンを安定剤として添加することができる。アルミナを含有するクリアインクのpHは、アルミナの解膠状態の安定性や均一分散性を向上させるため、25℃でpH2〜6程度の酸性にすることが好ましい。
アルミナとしては、アルミナの超微粒子を水中に分散させたコロイダルアルミナが好ましく、市販品としては、日産化学工業株式会社製のアルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520等が挙げられる。
(2)コロイダルシリカ
アニオン性コロイダルシリカは、シリカ粒子の表面にシラノール基、水酸基と、カルボキシル基やスルホン基等のアニオン性基が存在する無水ケイ酸の超微粒子を、水性液体中に安定に分散したものである。
アニオン性コロイダルシリカを含有するクリアインクは、コロイドを安定化するために、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニア等を含有させ、25℃でpH8〜11程度のアルカリ性にすることが好ましい。
アニオン性コロイダルシリカとしては、高分子量の無水珪酸の超微粒子を水中に分散させたものが好ましい。市販品としては、日産化学工業株式会社製のスノーテックス S、スノーテックス N、スノーテックス C、スノーテックス XL、スノーテックス XS、スノーテックス ZL、スノーテックス 20、スノーテックス 30、スノーテックス 40、スノーテックス MP2040、触媒化成工業株式会社製のCataloid SI−350、Cataloid SI−50、Cataloid SI−30、Cataloid S−20L、Cataloid S−20H、CataloidS−30L、Cataloid S−45P、Cataloid SI−40、Cataloid SI−80P等が挙げられる。
(c)ポリマー
クリアインクに含まれる(c)ポリマーとしては、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーが挙げられ、連続相を水系とする溶媒中に、界面活性剤の存在下又は不存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるカチオン性ポリマー微粒子又はアニオン性ポリマー微粒子であってもよく、水溶性であってもよい。
(c)ポリマーの具体例としては、(メタ)アクリル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、スチレン系ポリマー等が挙げられる。
カチオン性ポリマーは、少なくとも1種以上のカチオン性モノマーを必須成分とするモノマーを重合することにより得ることができ、アニオン性ポリマーは、少なくとも1種以上のアニオン性モノマーを必須成分とするモノマーを重合することにより得ることができる。両方のモノマーが用いる場合は、得られるポリマーは、用いるモノマーのモル数が多い方の極性を有する。
カチオン性モノマー、アニオン性モノマーとしては、前述の段落〔0011〕に記載のモノマーが挙げられる。
なお、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンは、ポリマー製造後に、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸等の無機酸、有機酸の塩類で処理することによってカチオン性ポリマーにすることができる。
カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーは、ノニオン性モノマーが入っていても何等差し支えない。ノニオン性モノマーとしては、不飽和モノマーが好ましく、例えば(メタ)アクリル系アミド系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、ブタジエン系モノマー、塩化ビニル系モノマー等が挙げられる。
カチオン性ポリマー中、カチオン性モノマー由来の構成単位の含有量、アニオン性ポリマー中、アニオン性モノマー由来の構成単位の含有量は、前記ポリマー粒子(A)との凝集性の観点から、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは2〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%である
カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーを構成するポリマーの重量平均分子量は、前記ポリマー粒子(A)を凝集体上で広げ易くする観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000がより好ましく、10,000〜300,000が更に好ましい。なお、(c)ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
上記の(c)ポリマーの中では、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含有する(メタ)アクリル系ポリマー、及び更にスチレン由来の構成を含有する、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー等のアニオン性ポリマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級化物又は酸中和物由来の構成単位を含有する(メタ)アクリル系ポリマー、及び更にスチレン由来の構成単位を含有する、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー等のカチオン性ポリマーがより好ましい。
また、上記したような(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、(c)ポリマーの含有量は、併用する着色インク中のポリマー粒子と反応して凝集物を形成するのに十分な濃度であればよい。クリアインク中、これらの含有量は、それぞれ又は合計量として、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
クリアインクには、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
クリアインクの表面張力(25℃)は、インクノズルからの良好な吐出性を確保する観点から、好ましくは20〜35mN/m、より好ましくは25〜35mN/mである。
クリアインクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sがより好ましい。
<インクジェット記録用インクセット>
本発明のインクジェット記録用インクセットは、クリアインクと着色インクとを含有するインクセットである。
本発明のインクセットは、有彩色等から選ばれる1色以上の着色インクと、クリアインクとの組み合わせを含むことが好ましく、2色インクセット、3色インクセット、4色インクセット、5色インクセット、6色インクセット、7色インクセット以上のいずれであってもよい。
より好ましくは、減法混色の3原色であるマゼンタインク、イエローインク及びシアンインクから選ばれる1色以上の着色インクとクリアインクとを備えたインクセットであり、これら着色インクとして、2色以上の着色インクを備えたインクセットがより好ましく、3色の着色インクを備えたインクセットが更に好ましい。本発明のインクセットは、更に、ブラックインクを備えていてもよい。
<インクジェット印刷方法>
本発明のインクジェット印刷方法は、本発明のインクセットを用いたインクジェット印刷方法であって、クリアインクを印刷した上に、着色インクを重ねて印刷する方法である。
クリアインクを先に印刷し、その後から着色インクを重ねて印刷することにより、印刷媒体上に先に着弾したクリアインクと後で着弾した着色インクが接してポリマー粒子(A)の一部が凝集した凝集体上で、クリアインクと未接触の残りのポリマー粒子(A)が、上記凝集体上で広げ易くなり、白抜けを効果的に低減し、細部に渡る均一な画像色を発現すると考えられる。本発明のインクセットを用いたインクジェット印刷方法は、着色インクをインクジェット方式で印刷すればよく、クリアインクは、ローラー等で塗工しても、インクジェット方式で印刷してもよい。
本発明で用いられる印刷媒体は、凝集体上で、前記ポリマー粒子(A)を広げるという本願の効果を効果的に発揮する観点から、普通紙又はコート紙に適している。
クリアインク中の(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質の印刷媒体上の合計塗布量は、凝集体を生成させる観点から、0.5〜40g/m2が好ましく、1〜30g/m2がより好ましく、1.5〜25g/m2が更に好ましい。
本発明のインクジェット印刷方法においては、インクジェット用プリンターの各色用インクカートリッジにクリアインク及び着色インクをそれぞれ充填し、各インクカートリッジに対応する各微小ノズルからインク液滴をそれぞれ吐出させて印刷させることができる。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
なお、ポリマーの重量平均分子量の測定は以下の方法により行った。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
合成例1(塩生成基を有するポリマーの合成)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2011012133
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
(b)スチレンマクロマー
東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)、数平均分子量:6,000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
(d)ポリエチレングリコールモノメタクリレート
新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G、エチレンオキシド平均付加モル数=9、末端:メチル基
合成例2(水不溶性有機化合物Bの合成)
反応容器内に、無水フタル酸100部、2−エチルヘキシルアルコールのエチレンオキサイド4モル付加物(日本乳化剤株式会社製、商品名:ニューコール1004)433部、及びテトライソプロポキシチタネート0.5部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った後、220℃に昇温し、エステル化反応を行った。さらに同温度にて、6.67×103Paで減圧反応を行うことでエステル化反応を完結させ、余分なアルコールを留去することでフタル酸と2−エチルヘキシルアルコールのエチレンオキサイド4モル付加物とのジエステルの水不溶性有機化合物Bを得た。
製造例1〔着色インク(A−1)の製造〕
(1)顔料を含有するポリマー粒子の水分散体の製造
(a)合成例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー20部をメチルエチルケトン173部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)7.0部(中和度80%)及びイオン交換水282部加えて塩生成基を中和し、これに更にマゼンタ顔料(C.I.ピグメント・レッド269、山陽色素株式会社製、商品名:パーマネントカーミン3810)80部を加え、浅田鉄工株式会社製のピコミル(商品名、分散メディア:ジルコニア、温度:20℃、分散メディア/分散液重量比:8/2)を用いて周速15m/sにて2時間分散処理を施した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で180MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得た。
(b)上記(a)で得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体40部、合成例2で得られた水不溶性有機化合物B 0.65部、及びイオン交換水2.59部を混合し、超音波ホモジナイザーUS−300T(株式会社日本精機製作所製)を用い、V−LEVEL200μAで、10分間処理することで、顔料含有ポリマー粒子と水不溶性有機化合物Bとを含む水分散体を得た。
(2)着色インク(A−1)の製造
上記(1)(b)で得られた水分散体を、表2に示す化合物と混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す着色インク(A−1)を得た。
なお、表2に記載のグリセリン、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールは親水性溶媒であり、アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製、アセチレングリコールEO付加物(EO平均付加モル数:9))はアセチレングリコール系界面活性剤、PEG1000はポリエチレングリコール(数平均分子量1000)である。
製造例2〔着色インク(A−2)の製造〕
製造例1において、マゼンタ顔料の代わりに、イエロー顔料(C.I.ピグメント・イエロー74、山陽色素株式会社製、商品名:ファーストイエロー7414)を用い、表2に示すインク組成にしたこと以外は、製造例1と同様にして、表2に示す着色インク(A−2)を得た。
製造例3〔着色インク(A−3)の製造〕
製造例1において、合成例2で得られた水不溶性有機化合物Bの代わりに、ジブチルセバケート(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は、表2に示すと同様にして、表2に示す着色インク(A−3)を得た。
製造例4〔着色インク(A−4)の製造〕
製造例1(1)(a)で得られた分散液に、表2に示す化合物と混合し、製造例1(2)と同様にして、表2に示す着色インク(A−4)を得た。
製造例5〔着色インク(A−5)の製造〕
製造例4において、マゼンタ顔料の代わりに、イエロー顔料(前記C.I.ピグメント・イエロー74)を用いた以外は、製造例4と同様にして、表2に示す着色インク(A−5)を得た。
Figure 2011012133
製造例6(クリアインクの製造)
表3に示す化合物を混合し、クリアインクを得た。
なお、表3に記載のアセチレノールE100は、川研ファインケミカル株式会社製のアセチレングリコール系界面活性剤(アセチレングリコールEO付加物(EO平均付加モル数:9))である。
Figure 2011012133
実施例1
キヤノン株式会社製のサーマル方式インクジェトプリンター(型番:PIXUS MX7600)を用いて市販のインクジェット普通紙(型番:GF−500、キヤノン株式会社製)に製造例6で得られたクリアインクを塗布(塗布量2.5g/m2)し、直ちに製造例1で得られた着色インク(A−1)をキヤノン株式会社製のサーマル方式インクジェトプリンター(型番:PIXUS iP4100)のブラックインクカートリッジからベタ印字(フォトショップ上の濃度設定値;RGB値がR:0、G:0、B:0)した後、25℃で24時間放置し、印字物を得た。また、別の普通紙に、上記と同様に、クリアインクを塗布し、直ちにデューティ10%(濃度設定値;R:229、G:229、B:229)で印字した後、25℃で24時間放置し、印字物を得た。
実施例2
実施例1において、製造例1で得られた着色インク(A−1)の代わりに、製造例2で得られた着色インク(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして印字物を得た。
実施例3
実施例1において、製造例1で得られた着色インク(A−1)の代わりに、製造例3で得られた着色インク(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして印字物を得た。
比較例1
実施例1において、製造例1で得られた着色インク(A−1)の代わりに、製造例4で得られた着色インク(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして印字物を得た。
比較例2
実施例1において、製造例1で得られた着色インク(A−1)の代わりに、製造例5で得られた着色インク(A−5)を用いた以外は、実施例1と同様にして印字物を得た。
比較例3
製造例1で得られた着色インク(A−1)をキヤノン株式会社製のサーマル方式インクジェトプリンター(型番:PIXUS iP4100)のブラックインクカートリッジから市販のインクジェット普通紙(型番:GF−500、キヤノン株式会社製)に前記と同様にベタ印字した後、25℃で24時間放置し、印字物を得た。また、別の普通紙に、前記と同様にデューティ10%で印字した後、25℃で24時間放置し、印字物を得た。
比較例4
比較例3において、製造例1で得られた着色インク(A−1)の代わりに、製造例4で得られた着色インク(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして印字物を得た。
上記で得られた印字物について、白抜け率及び目視での画像評価を以下の方法により評価した。結果を表4に示す。
(1)白抜け率の評価
得られたベタ印字物の反射率の分布を画像評価機(米国QEA社(Quality Engineering Associates Inc.) 製、商品名:PIASII)を用いて測定(ピクセルサイズ:5.2μm×5.2μm、測定面積:3.32mm×3.32mm)し、下記計算式に従って白抜け率(%)を求めた。
白抜け率(%)=〔(反射率が20%以上の面積)/測定面積〕×100
(2)ベタ印字物の画像評価
得られたベタ印字物を、目視で下記の基準により画像評価した。
A:画像の色が細部に渡るまで均一である。
B:画像の色にやや濃淡がある。
C:画像の色に明らかに濃淡がある。
(3)ドット直径の測定
得られた10%デューティーの印字物のドット直径を、前記画像評価機(商品名:PIASII)を用いて測定した。ドット直径は、無作為に選択した100ドットの直径の平均値とし、長径と短径がある場合は、長径をドット直径とした。
Figure 2011012133
表1から、マゼンタインク(PR269)を用いた実施例1と比較例1とのドット直径、及びイエローインク(PY74)を用いた実施例2と比較例2とのドット直径をそれぞれ比較すると、実施例1及び2のインクでは、印刷媒体上で着色インクがクリアインクと接してポリマー粒子(A)の一部が凝集した後でも、クリアインクと未接触の残りのポリマー粒子(A)が、凝集体上で広がることで、着弾した着色インクのドット直径が大きくなり、白抜け率が小さく、均一な画像色を得られていることが分かる。
一方、クリアインクを用いない比較例3、4のドット直径は大きいが、白抜け率が高く、画像の均一性に劣る。これは、印刷媒体内部に着色イングが深く浸透しているためと考えられる。

Claims (5)

  1. 着色インクとクリアインクとを含むインクセットであって、着色インクが、塩生成基を有するポリマーに着色剤が含有されたポリマー粒子(A)と、水100g(20℃)に溶解しうる最大重量が5g以下であって、エステル化合物、エーテル化合物、及びスルホン酸アミド化合物から選ばれる1種以上の水不溶性有機化合物(B)とを含むインクであり、クリアインクが、(a)多価金属塩、(b)金属酸化物、及び(c)ポリマーから選ばれる1種以上の物質を含有し、該物質の極性が、該ポリマー粒子(A)のポリマーとは逆極性であるインクである、インクジェット記録用インクセット。
  2. 水不溶性有機化合物(B)が、(f)分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物、及び/又は(g)分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸残基、カルボニル基、エポキシ基及び水酸基から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物である、請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. ポリマー粒子(A)を構成するポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(b)由来の構成単位、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステル(c)由来の構成単位、及び下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)由来の構成単位から選ばれる1種以上の構成単位とを含有する、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
    CH2=C(R11)COO(R12O)qR13 (1)
    (式中、R11は水素原子又はメチル基、R12は炭素数2又は3の炭化水素基、R13は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
  4. 塩生成基がアニオン性基であり、クリアインク中の前記物質の極性がカチオン性である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のインクセットを用いたインクジェット印刷方法であって、クリアインクを印刷した上に、着色インクを重ねて印刷するインクジェット印刷方法。
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