JP2011012046A - 油中水型乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧持ちがよく後残りのさっぱりさがあり、さらに高内水相比であり、長期保存において変臭を生じず、塗布後にはふっくら感ややわらかさを与える油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】(A)イソステアリン酸グリセリンと、(B)水性成分と、(C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分と、(D)亜硫酸塩とを含み、(1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上であり、(2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上であり、(3)成分(A)中に含まれるジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンの総量が(A)の総量に対して15質量%未満であり、(4)成分(D)の組成物全体に占める割合が0.0001〜1質量%であるものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は油中水型乳化組成物に関し、さらに詳しくは、変臭を起こさず安定で、高い保湿効果を備え、塗布後の肌のふっくら感及びやわらかさの向上した油中水型乳化組成物に関する。
乳化組成物は水中油型(O/W)及び油中水型(W/O)に大別されており、さらには油中水中油型(O/W/O)、水中油中水型(W/O/W)等のマルチタイプも存在する。これらは従来、化粧品分野ではスキンケア用のクリーム、乳液、ヘアケア用クリーム等に活用され、医薬品分野では経皮用クリーム等として活用されている。
その中でも油相を外相、水相を内相とした油中水型の乳化組成物は、油溶性の有効成分、例えばエモリエント油、油溶性の薬剤、紫外線吸収剤等を効率的に皮膚上に展開できることから皮膚外用剤として適した剤型であり、この点において水中油型よりも優れている。
内水相成分の量を全乳化組成物で除して得られる内水相比は、乳化物の性質、さらには乳化物を含む化粧料においては使用感に大きな影響を与える。具体的には、クリームなどに活用される油中水型乳化組成物において、内水相比を高めるとさっぱりとした良好な使用感を与えることができ、内水相比が低いとしっとりとした油っぽい感触となる。
通常の油中水型乳化組成物は、内水相比を高めていった場合、60%付近で安定性を保持することが困難になってくる。これは、内水相の乳化粒子を構成する水分子がマイグレーションして他の乳化粒子に吸収されること(オストワルドライプニング)による乳化粒子の増大や、内水相比が高いために乳化粒子同士の衝突頻度が著しく増大することに起因する乳化粒子の合一などが起こるためである。従って、剛体球の細密充填率(74%)付近である70%を超えた内水相比で乳化物を安定化することは困難であった。また、乳化系は熱力学的に非平衡であるため、これを工業的に活用できるように安定化させるためには、乳化剤の量、内水相比、水性成分の種類及びその量、油分の種類及びその量、他の安定剤の種類及びその量などの使用に制限があった。
すなわち、皮膚に対する保湿効果の高い油中水型乳化組成物を、使用性を高めるのに適した高内水相比のものとして、且つ安定性を良好に保ちながら提供することは困難であった。
これに対し、界面活性剤としてモノオレイン酸グリセリンを主に用いることにより、内水相比の高い油中水型乳化組成物が開発されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、上記油中水型乳化組成物は、塗布中のみずみずしさや塗布後の保湿効果を有しているものの、不飽和のオレイン酸由来の誘導体を用いているために長期保存で変臭を生じるという課題があった。さらに、塗布後にふっくら感、やわらかさを十分に与えることは困難であった。
また、モノオレイン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレートから選ばれる1種又は2種以上の界面活性剤、および固形油分を用いることにより、みずみずしい使用性と塗布後の保湿効果を有する油中水型乳化組成物が開発されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この上記乳化物においても、先と同様に、変臭の問題は解決されず、さらに、塗布後にふっくら感、やわらかさを十分に与えることも困難であった。
さらに、逆ミセルが充填したディスコンティニュアス逆ミセルキュービック液晶を外相とし、水を乳化滴として取り込んだ高内水相比の液晶中水型乳化組成物が開発されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では界面活性剤や油の種類およびその量が著しく制限されており、実用性に乏しく、また保存安定性においても満足のいくものではなかった。
特開2007−153824号公報 特開2008−24630号公報
栗林さつき,オレオサイエンス Vol.1.No.3,247-254(2001)
前記従来の方法は、内水相比を高くするために使用する界面活性剤に工夫を加えた結果、べたつき感を伴い使用性で問題があったり、高内水相比を保持しながら安定性を保つためには配合する油分の種類に制限があったり、化粧料とした際に長期保存で変臭を生じ、塗布後の肌のふっくら感、やわらかさに欠ける等、品質において必ずしも満足のいくものではなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、化粧持ちがよく、肌にみずみずしい効果を与える高内水相比を有する油中水型固形乳化組成物でありながら、長期保存でも変臭を生じず、塗布後にはふっくら感ややわらかさを与える油中水型乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、亜硫酸塩を加えることで安定性が良好で変臭がなく、また炭素数の小さいイソパラフィンを含む油相成分を用いることにより、後残りのさっぱりさがあり、乳化安定性が非常に良好で、化粧持ちがよく、さらに塗布後にはふっくら感ややわらかさを有する仕上がりになる等の使用性に優れた油中水型乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を含み、さらに下記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする油中水型乳化組成物である。
成分:
(A)イソステアリン酸グリセリン
(B)水性成分
(C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分
(D)亜硫酸塩
条件:
(1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上である。
(2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。
(3)成分(A)中に含まれるジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンの総量が(A)の総量に対して15質量%未満である。
(4)成分(D)の組成物全体に占める割合が0.0001〜1質量%である。
本発明の油中水型乳化組成物は、化粧持ちがよく後残りのさっぱりさがあり、さらに高内水相比であり、長期保存において変臭を生じず、塗布後にはふっくら感ややわらかさを与えるものである。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
((A)イソステアリン酸グリセリン)
本発明で用いられる成分(A)のイソステアリン酸グリセリンは、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が高いものであり、種々の公知の合成法により提供され得るものである。通常の合成法によれば、モノイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリンの混合物として生成される。本発明にかかる油中水型乳化組成物を構成する成分(A)は、含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの純度が高いことが好ましい。モノイソステアリン酸グリセリンの精製法として、通常分子蒸留法が用いられるが、これに限定されるものではない。
成分(A)に含まれるグリセリン脂肪酸ジエステルおよびグリセリン脂肪酸トリエステルは、成分(A)全量に対して15質量%未満である。
モノイソステアリン酸グリセリンが界面活性剤(乳化剤)としての機能を有するのに対し、ジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンは油分としての挙動を呈する。従って、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が低い場合には、乳化物は成分(C)の油性成分に加え、ジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンが油性成分として配合されたような挙動をとる。すなわち、合成されたモノイソステアリン酸グリセリンの純度が低く、成分(C)の油性成分として配合される油分の一種として、また成分(A)の不純物として含まれるグリセリン脂肪酸ジエステルおよび/またはグリセリン脂肪酸トリエステルが、成分(A)の全量に対して15質量%を超えてしまうと、乳化物の安定性が損なわれる。なお、モノイソステアリン酸グリセリンの純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの一般的な方法で測定することができる。
本願では、成分(A)イソステアリン酸グリセリン中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上であり、成分(A)中に含まれるジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンの総量が(A)の総量に対して15質量%未満であることが好ましい。
なお、成分(A)イソステアリン酸グリセリンの好適な配合量としては、油中水型乳化組成物全量に対して0.1〜3.0質量%、好ましくは0.8〜2.5質量%である。0.1質量%未満では乳化物の安定性が著しく損なわれる場合があり、3.0質量%を超えると使用性に劣る場合がある。
((B)水性成分)
本発明に用いられる成分(B)の水性成分は化粧品、医薬品などに通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で配合することができる。
(B)水性成分としては、水の他に、無機塩、保湿剤、水溶性高分子が含まれる。
このうち保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット等が挙げられる。
水溶性高分子としては、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、グルタミン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOLなど)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
(B)水性成分の好適な配合量としては、油中水型乳化組成物全量に対して68〜85質量%、好ましくは73〜83質量%である。68質量%未満では本発明の内水相比が68%以上が達せられず、さっぱり感に劣るようになる。85質量%を超えると安定性の面で問題を生じるようになるからである。
((C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分)
本発明においては、油性成分は炭素数20以下のイソパラフィンを必須成分として含むものである。炭素数が20以下のイソパラフィンとしては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。炭素数が20以下のイソパラフィンの配合量は、油性成分中の炭化水素油全量に対して30質量%以上が好ましい。30質量%未満であると、後のこりのさっぱりさに欠ける組成物となってしまう。ここで、(C)油性成分中の炭化水素油の配合量は、30〜85質量%であることが好ましい。
その他の油性成分としては、化粧品、医薬品に通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で使用することができる。
液状油分としては、好ましくはシリコーン油であり、さらに好ましくは環状シリコーン油である。シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどに代表される鎖状シリコーン油、およびオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどに代表される環状シリコーン油がある。
なお、乳化物の安定性を損なわない範囲で極性の油分を少量配合することが望ましい。極性油分としては、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソデシル、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチルなどに代表されるエステル油がある。
また、非極性油としては、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素油があるが、その中でも上述した炭素数が20以下であるイソパラフィンを含むことが必要である。
また、成分(C)の油性成分はさらに固形油分を含むことが好適である。固形油分としては、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油などの固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプスワックスなどの炭化水素類、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコールなどが挙げられる。なお、固形油分の配合量は化粧料全量に対して0.5〜2質量%が好ましく、より好ましくは1〜1.5質量%である。固形油分の配合量が0.5質量%未満では安定性に劣る場合があり、2質量%より多くなると化粧料ののびが重くなる。
(C)油性成分の好適な配合量としては、油中水型乳化組成物全量に対して13〜32質量%、好ましくは18〜27質量%である。13質量%未満では安定性が悪く、さらに、ふっくらさ、やわらかさが不足する。30質量%を超えると内水相比が68%以上とならず、ベタツキがあり使用感に劣るようになる。
((D)亜硫酸塩)
本発明に用いられる(D)亜硫酸塩は、亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウムなどが挙げられる。中でも、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムが好ましく用いられる。亜硫酸塩は1種または2種以上を用いることができる。
本発明における亜硫酸塩の配合量としては、組成物全体に占める割合が0.0001〜1質量%であることが好ましい。0.0001質量%未満では、本発明の効果、すなわち、変臭防止効果は発揮されない。また、1質量%を超えて配合しても、本発明の効果を増強するものではない。
((E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン)
本発明の油中水型乳化組成物には、さらに(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合することが好ましい。本発明に用いられる成分(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンは分岐鎖を4個有しており、市販品として例えばフィタントリオール(DSM Nutritional Products社製)が挙げられる。
(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合する場合、その配合量は油中水型乳化組成物中、0.3〜0.5質量%が好ましい。テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合することにより、低温での結晶化防止がなされ、低温安定性が向上する。
(その他)
本発明の油中水型乳化組成物には、上記必須成分の他に、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤を配合することができる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラミル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸2-グルコシド、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール2−Lアスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、アラントイン、アズレン等の坑炎症剤、アルブチン等の美白剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤、イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ−オリザノール等が挙げられる。
上記薬剤は遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸または塩基の塩の形で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
本発明にかかる油中水型乳化組成物の内水相比は68%以上であり、好ましくは70%以上である。68%未満であるとさっぱりとした使用感が得られない場合がある。さらに本発明においては、80%以上の高内水相比である油中水型乳化組成物の調製も可能であり、さっぱりとした使用感をもたせることが可能である。なお、内水相比は、成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで計算される。
本発明の油中水型乳化組成物は、成分(B)と成分(A)とを混合することで得られる相平衡状態がバイコンティニュアスキュービック液晶と水相、またはバイコンティニュアスキュービック液晶と他の相および水相が共存する多相状態であることが好ましい。
キュービック液晶は4種の構造が存在することが知られている。閉鎖集合体であるミセルあるいは逆ミセルが、それぞれ油あるいは水の連続層中で立方晶型に充填したディスコンティニュアスキュービック液晶や脂質二重層が三次元的に連なった曲面を形成し立方晶型に配列した両連続構造であるバイコンティニュアスキュービック液晶がある。バイコンティニュアスキュービック液晶にも、水と油の存在位置を逆転させた逆型が存在する。本発明における乳化組成物は、成分(B)の水性成分と成分(A)のイソステアリン酸グリセリンを混合することで得られる相平衡状態が、バイコンティニュアスキュービック液晶と水相、またはバイコンティニュアスキュービック液晶と他の相、および水相が共存する多相状態となるような成分(A)及び成分(B)の組み合わせから構成されることが好ましい。
バイコンティニュアスキュービック液晶は界面活性剤が無限会合した2分子膜が立方晶型に配列したものである。外観は透明で光学的には等方性であり、高粘度のゲル状を呈する。バイコンティニュアスキュービック液晶の判別方法には、外観による判定、相平衡図の作成、電気伝導度測定、NMRによる自己拡散係数の測定、小角X線散乱、フリーズフラクチャー法を用いて調製したレプリカの電子顕微鏡観察等により決定される。
本発明における液晶構造の判別方法としては、以下の様な手法が考えられる。まず、(A)成分のイソステアリン酸グリセリン、(B)成分の水性成分を良く混合した後、遠心分離処理により共存する複数の相を分離する。通常の遠心分離装置を用いた場合には、数時間から数日の処理時間を要する場合がある。共存する相がなく1相の状態であれば全体が均一に透明な状態となる。逆型を含むバイコンティニュアスキュービック液晶は、外観は透明で光学的には等方性であり、高粘度のゲル状を呈する。光学的に等方性であることは、偏光板2枚を90度の位相差で組み合わせた間にサンプルを保持し、光の透過がないことから判別できる。外観が透明で光学的に等方性であり、高粘度のゲル状の相については、さらに小角X線散乱によって構造を同定することができる。逆型を含むバイコンティニュアスキュービック液晶の散乱パターンは、Pn3m と呼ばれる構造の場合には√2、√3、√4、√6、√8、√9、またはIa3dと呼ばれる構造の場合には√6、√8、√14、√16、√20のピーク比となる。
小角X線散乱に代わる簡便な方法として、H.Kunieda et al., J.Oleo Sci. vol.52, 429-432(2003)に記載されているように、水溶性および油溶性の色素を用いて、その拡散時間から構造を推定する方法もある。
本発明にかかる油中水型乳化組成物は、従来外皮に適用されている化粧料、医薬品、および医薬部外品に広く応用することが可能である。例えば、美白用美容液、乳液、クリーム、パック、ファンデーション、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、洗顔料、スプレー、ムース、ヘアーリンス、シャンプー、皮膚科用軟膏等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
実施例に先立ち、本発明で用いた評価方法及び評価基準を説明する。
1.油中水型乳化組成物の評価方法
(1)後残りのさっぱりさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化組成物を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
◎:パネル10名中9名以上が後残りがさっぱりすると回答。
○:パネル10名中7名以上9名未満が後残りがさっぱりすると回答。
△:パネル10名中5名以上7名未満が後残りがさっぱりすると回答。
×:パネル10名中5名未満が後残りがさっぱりすると回答。
(2)ふっくらさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化組成物を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
○:パネル10名中8名以上がふっくらすると回答。
△:パネル10名中5名以上8名未満がふっくらすると回答。
×:パネル10名中5未満がふっくらすると回答。
(3)やわらかさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化組成物を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
○:パネル10名中8名以上がやわらかいと回答。
△:パネル10名中5名以上8名未満がやわらかいと回答。
×:パネル10名中5未満がやわらかいと回答。
(4)保湿効果
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化組成物を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
◎:パネル10名中9名以上が保湿効果があると回答。
○:パネル10名中7名以上9名未満が保湿効果があると回答。
△:パネル10名中5名以上7名未満が保湿効果があると回答。
×:パネル10名中5未満が保湿効果があると回答。
(5)安定性
油中水型乳化組成物を0℃および40℃で1ヶ月保存し、硬度および外観を調製直後と比較し、安定性を目視により評価した。
◎:水および/または油の分離が全く認められない。
○:水および/または油の分離が極僅かに認められる。
×:水および/または油の分離が明らかに認められる。
(6)高温経時の変臭
油中水型乳化組成物を60℃で7日間放置した後、変臭の程度を官能評価し、下記基準により香料専門パネル20名により判定した。
◎:変臭がないと答えたパネルが16名以上。
○:変臭がないと答えたパネルが12〜15名。
△:変臭がないと答えたパネルが8〜11名。
×:変臭がないと答えたパネルが7名以下。
実施例1〜13、比較例1〜10
下記表1〜表4に示す油中水型乳化組成物を下記の方法で調製し、前記の評価基準に基づいて、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、安定性、高温経時の変臭を評価した。その結果を併せて表1〜表4に示す。
(調製法)
成分(A)に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンおよびその合成副生成物、成分(A´)、成分(C)の油性成分およびその他の油溶性成分を混合し、約40度に加熱して溶解する。成分(B)の水性成分およびその他の水溶性成分を混合、溶解する。油溶性成分のパーツを比較的強く攪拌しながら(場合によっては加熱しながら)水溶性成分のパーツを徐添し乳化物を調製する。なお、加熱している場合は、調整した乳化物を撹拌しながら冷却する。
また、モノイソステアリン酸グリセリンの純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの一般的な方法で測定することができる。
前記調製法で得られる油中水型乳化組成物の内水相比は、水および水溶性成分の質量を、水および水溶性成分と油および油溶性成分の合計質量で除することで計算した。
Figure 2011012046
*1:ABIL EM90(Deggusa社製)
*2:KSG−210(信越化学工業社製)
*3:KF−6017P(信越化学工業社製)
*4:Benton38V(Elements Specialities社製)
*5:Surfhope SE cosme C−1715L(三菱化学フード社製)
*6:パラミックス91(日興リカ株式会社製)
*7:PE−MCワックス(日興リカ株式会社製)
実施例1〜6の結果より明らかなように、本発明によれば油中水型乳化物として一般に困難であった70%以上での内水相比において安定性を保持させることが可能で、保湿効果は改善され、ふっくらさとやわらかさの効果についても改善され、変臭の問題もないことがわかった。
Figure 2011012046
前記表2に示すように、純度が85%、75%、45%のモノイソステアリン酸グリセリンの配合量を1.0質量%とした他は、同一の組成でモノイソステアリン酸グリセリンの純度がW/O型乳化組成物の相状態と乳化安定性にもたらす影響について検討した。
その結果、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が85%である場合(実施例7)、乳化安定性に優れた組成物であるが、その純度が75%になると(比較例7)、低温における乳化安定性が若干低下した。さらに純度が45%とまで下がると(比較例8)、乳化安定性もさらに低下する傾向にあった。
Figure 2011012046
前記表3に示すように、実施例8〜12において、(A)成分に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの配合量を適宜変化させて、それぞれの評価を検討した。
この結果、モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%)を1〜3質量%の範囲において配合した場合、優れた使用感及び、乳化安定性が得られることが分かった。
Figure 2011012046
前記表4に示すように、炭素数20以下のイソパラフィンを含まない比較例9では、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさが共に劣るものとなっている。また、炭素数20以下のイソパラフィンを含むが、炭化水素油全量に対して30質量%未満である実施例13では、ふっくらさ、やわらかさや、安定性が若干劣る。
(D)亜硫酸塩を含まない比較例10では、高温経時の変臭が生じている。
以下に、本発明の油中水型乳化組成物の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
処方例1 保湿クリーム
(配合成分) (質量%)
(1)精製水 残部
(2)塩化ナトリウム 1.0
(3)グリセリン 5.0
(4)モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%) 0.7
(5)スクワラン 2.0
(6)イソヘキサデカン 5.0
(7)イソノナン酸トリデシル 2.5
(8)ワセリン 2.0
(9)(ポリエチレン25%/マイクロクリスタリンワックス75%)混合物 1.0
(10)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン 0.3
(11)香料 適量
(12)亜硫酸カリウム 0.005
炭化水素油全量に対する炭素数20以下のイソパラフィンの割合:71.4%
内水相比:86.5%
(製法)
油分(5)〜(11)、(12)を室温にて混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(4)を加えた水相を前記油相に徐添し、ホモディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、油中水型乳化組成物からなる保湿クリームを製造した。得られた保湿クリームを上記と同様に安定性試験を実施した。得られた保湿クリームは安定性が良好で、高温経時による変臭もなく、はり感に優れた使用性を有していた。
処方例2 W/O型乳化化粧下地
(配合成分) (質量%)
(1)精製水 残部
(2)食塩 1.0
(3)グリセリン 5.0
(4)モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%) 0.7
(5)スクワラン 2.0
(6)イソヘキサデカン 7.0
(7)イソノナン酸イソノニル 2.5
(8)ワセリン 2.0
(9)(パラフィン92.5%/マイクロクリスタリンワックス7.5%)混合物 1.0
(10)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン 0.3
(11)香料 適量
(12)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.2
(13)タルク 2.0
炭化水素油全量に対する炭素数20以下のイソパラフィンの割合:77.7%
内水相比:82.5%
(製法)
油分(5)〜(11)、(13)を室温にて混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(4)を加えた水相を前記油相に徐添し、ホモディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、油中水型乳化組成物からなるW/O型乳化化粧下地を製造した。得られたW/O型乳化化粧下地を上記と同様の安定性試験を実施した。得られたW/O型乳化化粧下地は安定性が良好ではり感に優れた使用性を有していた。

Claims (7)

  1. 下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を含み、さらに下記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする油中水型乳化組成物。
    成分:
    (A)イソステアリン酸グリセリン
    (B)水性成分
    (C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分
    (D)亜硫酸塩
    条件:
    (1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上である。
    (2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。
    (3)成分(A)中に含まれるジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンの総量が(A)の総量に対して15質量%未満である。
    (4)成分(D)の組成物全体に占める割合が0.0001〜1質量%である。
  2. 成分(C)に含まれる炭素数20以下のイソパラフィンの質量が、成分(C)中に含まれる炭化水素油全量に対して30質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化組成物。
  3. 成分(A)の質量が組成物全量に対して0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化組成物。
  4. 亜硫酸塩が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、および亜硫酸カルシウムの中から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
  5. 成分(C)中には固形油分が含まれることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
  6. さらに(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを含むことを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
  7. 成分(B)と成分(A)とを混合することで得られる相平衡状態がバイコンティニュアスキュービック液晶と水相、またはバイコンティニュアスキュービック液晶と他の相および水相が共存する多相状態であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
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