JP2011011226A - 可撓式スキッドテーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】固定式のワークを加工する際、工具の貫通部分でワークを支持するスキッドとの干渉によるスキッドの損傷、或いは工具の損傷を低減することができる可撓式スキッドテーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】板材加工機のワークの下面を支持する可撓式スキッドテーブル3であって、複数の突起部がマトリクス状に配置された取付ベース14と、該取付ベースの前記突起部に嵌合される密着コイルバネ13と、該密着コイルバネによって支持される先端が円錐形状の剣先12とで構成されることを特徴とする可撓式スキッドテーブル。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワーク固定式の板金レーザ加工機に於いて、ワーク支持装置のスキッドが機械的退避構造を具備する可撓式スキッドテーブルに関する。
従来のワーク固定式の板金レーザ加工機において、ワークの支持は剣山式やハニカム式があるが、全てソリッドなスキッド構造で機構的な退避構造を持っていない。
同様にレーザ加工機において、タップ加工やその他の機械加工、例えばパンチング加工による下向き成形などを複合的に行う場合の問題がある。ワーク上面から加工を開始した工具がワーク下面へ貫通するとき、工具の貫通部分がワークを支持するスキッドに干渉し、スキッドの損傷あるいは工具の損傷からワーク加工不良に至ることが懸念される。他の板材加工機においても、ソリッドなスキッドテーブルを用いたワーク支持構造が一般的である。
そのため、ワークを支えるスキッド構造について、退避機能を備えたスキッドテーブルが提案されている。
例えば、特許文献1に開示されている熱切断加工装置では、図5に示すように、熱切断加工装置1の熱切断加工ヘッド10から照射されるレーザビームによるワーク支持部材11の先端部の消耗を防ぎワークを水平に支持するスキッドテーブル3が提案されている。
また、例えば特許文献2に開示されている熱切断加工機は、熱加工ヘッドがスキッドテーブルに設けられたワーク支持部材に近づくと、支持部材が自動的に降下してレーザビームをワークの下方まで通過させて加工不良を防止するスキッドテーブルが提案されている。
更に、例えば、特許文献3に開示されている板材加工機におけるワーク支持装置では、被加工材のワークの材料の種類のいずれにも用いることが可能なスキッドテーブルが提案されている。ワーク支持部材の構成がワーク裏傷を防止する所定の弾力変形を伴うゴム製ローラ、合成樹脂の糸を束ねたブラシ、ボールベアリング等から成るスキッドテーブルである。
特開平2−99291号公報 特開平3−204188号公報 特開平9−103912号公報
しかし、従来の板材加工機におけるスキッドテーブルには以下の課題がある。
図5に示す特許文献1に開示されている熱切断加工装置1の場合、ワーク支持部材11は針材であるが弾性体で無いため、干渉部において能動的にワーク支持部材11を下方にのみ退避させる構成である。
特許文献2に開示されている熱切断加工装置の場合、ワーク支持部材はプレート形状で、回転により干渉部において能動的にワーク支持部材を一方向にのみ可撓退避させる構成である。
また、特許文献3に開示されているワーク支持装置の場合、ワーク支持部材は圧縮コイルバネ支持の側面拘束構造のため、上下方向のみの退避が可能で、干渉部において回転切削工具の横方向からの側面干渉にはワーク支持部材を退避できない構成である。また、合成樹脂等の糸を束ねたブラシ支持のワーク支持部材は、干渉部においてあらゆる方向の干渉に対しブラシの撓みにより退避可能でワークの裏傷やバタつきが発生しない利点がある。しかし、束ねた糸の毛細管現象によりグリース等の油分を吸い上げるため、スパッタの飛散する酸素リッチ環境では火災の発生する恐れがある。
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものである。ワーク固定式のレーザ加工機のスキッドテーブル上で、複合的に機械加工を行う際に、ワーク貫通後の工具がスキッドに干渉し、工具やスキッドの破損、及びワークの加工不良を解決するため全方向退避が可能な可撓式スキッドテーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するため、以下(1)〜(4)の構成を備えるものである。
(1)板材加工機のワークの下面を支持する可撓式スキッドテーブルであって、複数の突起部がマトリクス状に配置された取付ベースと、該取付ベースの前記突起部に嵌合される密着コイルバネと、該密着コイルバネによって支持される先端が円錐形状の剣先とで構成されることを特徴とする可撓式スキッドテーブル。
(2)前記円錐形状の剣先が、前記ワークと点当接する当接部を有し、該当接部を介して前記ワークを支持することを特徴とする前記(1)記載の可撓式スキッドテーブル。
(3)前記密着コイルバネが、前記ワークが載置された状態で密着構造となることを特徴とする前記(1)又(2)に記載の可撓式スキッドテーブル。
(4)前記密着コイルバネが、前記剣先と前記突起部を連結する高弾性を有する線材であることを特徴とする前記(1)乃至(3)いずれか1項に記載の可撓式スキッドテーブル。
本発明によれば、上記構成を有することで受動的退避機能を有する全方向退避が可能な可撓式スキッドテーブルを提供できる。
スキッドは、剣先とベースの間を密着コイルバネで繋ぐ構造で構成されている。剣先を円錐形状に形成し、ワーク貫通後のレーザ光、アシストガス、スパッタの逃げ道を容易にすることで、1台の加工機でレーザ加工と切削加工、その他の機械加工を交互に遅滞なく行うことができる。そのためワークを別の加工機へ移動するマテリアルハンドリングによる時間的ロスをなくすことができる。密着コイルバネにより、垂直方向負荷を受ける機能を有し、水平方向変位を可能とする弾力性により、ワークを支持しながら機械加工用工具の干渉を水平方向へ回避することが可能となる。
その結果、ワークのバタつきを抑えてワークを平面で支えることができるためワーク支持面に傷の発生がない、切削工具との干渉が発生してもスキッドの円錐形状の剣先により工具との干渉を左右の変化で吸収して損傷を防止する。また、ドロスのような局所的な突出部が在ってもスキッドの密着コイルバネの撓みにより高さの変化を吸収することでワークのバタつきを発生させない等の受動的退避機能を有する全方向退避が可能な構成となっている。そのため、従来の能動的退避機能を備えたワークテーブルのように複雑な計算処理とそれに連動して動く機械的機構を必要としない単純な構成のワークテーブルを実現している。また、スキッドの構造が簡単な剣先と密着コイルバネから成る支持部材を備えているため、整備性も良くレーザ加工やタップ加工等の切削加工、或いはその他の機械加工を複合的に遅滞なく行える可撓式スキッドテーブルを提供することができる。
本実施例1に係る可撓式スキッドテーブルを備えたワーク固定式のレーザ加工機の概略構成図 本実施例1に係る可撓式スキッドテーブルの構成図、(a)スキッドの断面図、(b)スキッドのマトリックス配置図 本実施例1に係る可撓式スキッドテーブルを用いたレーザ加工図 本実施例1に係る可撓式スキッドテーブルのスキッドの持つ全方位退避の機能図、(a)切削加工タップの干渉に対する左右の退避図、(b)ワークにドロスが付着した際の退避図 従来の熱切断加工装置の構成図
以下に、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施例に係る可撓式スキッドテーブルを備えたワーク固定式のレーザ加工機の概略構成図である。図1において水平方向の1つの方向をX軸方向、X軸方向に直角を成すもう1つの方向をY軸方向として水平面を形成し、この水平面に対し鉛直な方向をZ軸方向とする。
図1において、Wは被加工体のワークである。1は板材加工機であるレーザ加工機である。2はレーザ加工機1の支持台を下方から支えるベース部である。3はワークWの支持台である可撓式スキッドテーブルである。4はその一部がベース部2と一体構造の上方に起立したポスト部である。5はポスト部4の上端部に設置されたオーバヘッドビームである。6は可撓式スキッドテーブル3に設置されたX軸ガイドレールである。7はX軸ガイドレール上を移動自在に設けられたX軸キャリッジである。8はX軸キャリッジ7に取り付けられたワーク把持用のクランプである。クランプ8は8a、8bの2個のクランプから成る。9はオーバヘッドビーム5のY軸ガイドレールに取り付けられたY軸キャリッジである。10は上下方向(Z軸方向)に移動自在のレーザヘッドである。
レーザ加工機1には水平方向(X軸方向及びY軸方向)に展開した水平面を有する可撓式スキッドテーブル3が設置され、テーブル上の水平面にワークWが載置可能となっている。また、可撓式スキッドテーブル3を下から支えるベース部2の一端部と一体構造となるように設置されたポスト部4の上端部には、レーザヘッド10が組み込まれたオーバヘッドビーム5が取り付けられ、可撓式スキッドテーブル3の上面に延伸して設置されている。
可撓式スキッドテーブル3上には、ポスト部4側の端部に設置されたX軸ガイドレール6上を、不図示の駆動モータ等によって移動自在なX軸キャリッジ7が設けられている。該X軸キャリッジ7に取り付けられたワーク把持用のクランプ8a、8bによってワークWを固定し、X軸キャリッジ7によりワークW上の加工部位がレーザヘッド10のX軸方向の直下に来るように移動位置決めされる。
また、Y軸キャリッジ9に取り付けられたレーザヘッド10は、オーバヘッドビーム5内部の不図示のY軸ガイドレールに沿って水平移動し、ワークW上の加工部位に移動し位置決めされる。レーザヘッド10はZ軸方向の移動手段を有しており、上下方向に移動しながら位置決めされたワークWの加工部位にレーサ光を照射して加工を施す。尚、図中では、オーバヘッドビーム5に組み込まれているのはレーザヘッド10のみであるが、板材加工の作業工程に応じてヘッドをタップ等の切削工具ヘッドであっても良い。
次に、本実施例の可撓式スキッドテーブル3について図2を用いて詳細に説明する。
図2(a)は本発明の可撓式スキッドテーブル3に使用されているスキッド11の形状を示す図である。図2(b)はスキッド11がテーブル上に碁盤目のようにマトリックスに配置されている配置図である。図2において、12はワークWを支持する円錐状の剣先である。13はスキッド11の弾性体の密着コイルバネである。密着コイルバネとは、隙間のない密着巻きでコイルされた形状のバネである。14はテーブル上にスキッド11を固定するコイルバネ取付ベースである。コイルバネ取付ベース14の上面には、マトリックスに配置された円柱状の突起部があり密着コイルバネ13がこの突起部に嵌合して取り付けられる。
本発明の可撓式スキッドテーブル3の構成と機能は以下の通りである。
図2(a)に示すようにスキッドの構成は、コイルバネ取付ベース14の円柱状の突起部に密着コイルバネ13を嵌合して垂直な向きで配置し、コイルバネ上端に円錐形状の剣先12を嵌合して配置する。図2(b)に示すように、剣先12と密着コイルバネ13を組み合わせたスキッド11をスキッドテーブル上の水平面上に並べ、密着コイルバネ13で支持された剣先12をマトリックス状に配置し、この上にシート状のワークWを載せて支持する。剣先12を嵌合する密着コイルバネ13を密着構造とすることで、スキッド11の垂直方向の変位を無くし、ワーク荷重および機械加工の垂直方向負荷に対抗する機能を持たせて常にワークWを水平に保っている。
図3に示すように、ワークWを直接支持する先端を円錐形状の剣先12とすることで、レーザ光およびアシストガス、スパッタがワークWの貫通穴から逃げ易くして、ワークWとスキッド11の接触部で発生する加工不良を無くして良好なレーザ加工を可能にする。
従来、ワークWと支持部材との当接部は、レーザ光による熱が支持部材へ拡散して穴が貫通不良と成り、或いはレーザ貫通後に支持部材とワークWとを溶接してしまう等の加工不良が発生する部分である。そのため、ワーク加工部分に該当する支持部材を回避させる複雑な計算処理と、それに連動して動く機械的機構を設ける必要が有った。この問題を解決するため、先端を円錐形状の剣先12にしてワークWとの当接部の面積を可能な限り小さくした点当接としてワークWから剣先への熱の拡散を防いでいる。レーザ貫通後は、剣先12の円錐形状の傾斜部がアシストガス、スパッタの逃げをスムーズにしてドロスの発生や溶接の危険性を回避している。その結果、工具回避のための複雑な計算処理と機械的機構を必要とせず、単純なスキッド11の構成による受動的退避機能を有しながら全方向退避が可能な可撓式スキッドテーブルを実現している。
図4(a)は、タップ等の機械加工用工具の位置に剣先12がありワーク貫通後の工具が剣先に干渉する場合を示している。ワーク貫通後の工具先端による剣先12の傾斜部への垂直方向負荷は、水平方向ベクトルに分力されると同時に、剣先を支持する密着コイルバネ13の曲げ弾性による剣先12の水平方向移動で機械的に剣先12が工具回避の動きをすることを可能にしている。また、図4(b)に示すようにドロスのような局所的な突出部が在っても、密着コイルバネ13が撓んで変形することでワークWの上下の変動を吸収できる。
本発明の可撓式スキッドテーブル3のスキッド11は、円錐形状の剣先12と密着コイルバネ13の弾性変形する機能によって受動的退避機能を有しながら全方向退避が可能な構成となっている。また、スキッド11の構造が簡単で、スキッド11を構成する剣先12や密着コイルバネ13の交換も容易である。合成樹脂等の細い糸を束ねたブラシ支持の課題であった、毛細管現象によるグリース等の油分の吸い上げ効果による火災の発生の懸念は、剣先12と密着コイルバネ13の組み合わせにより毛細管現象を絶つことで低減することができる。
尚、ワークWの支持部材の組み合わせは、本実施例に限定されるものでは無く、スキッド11が弾性変形可能なもので有れば良い。例えばその他の可撓式スキッドテーブル3の構成として以下のスキッド11の構成がある。
まず、スキッド11の剣先12を支持する密着コイルバネ13の代わりに、剣先とベースの連結材としてバネ鋼などの高弾性を有する線材も使用可能である。次に、密着コイルバネ13を支持するコイルバネ取付ベース14の突起部は、スリットを設けることで従来の板金によるスキッドでも取り付け可能である。また、剣先12の形状は、レーザ光を回避するのに有効な形状であれば、円錐形状でもテーパのある矩形でも可能であり、円錐形状に限定するものではない。更に、剣先12の材質は、レーザ光を吸収し難く、かつ工具干渉に対する十分な硬度があればセラミックでも金属でも炭素強化炭素材でも可能である。
以上説明した様に、本実施例の可撓式スキッドテーブル3によれば、マトリックス状に配置されたスキッド11の構成が、ワークWのバタつきを抑へてワークWを平面で支える円錐形状の剣先12により、ワーク支持面に傷の発生させること無く支持する。そして、ドロスのような局所的な突出部が在っても密着コイルバネ13の撓みにより高さの変化を吸収することでワークWのバタつきを発生させない。また、切削工具等との干渉が発生した場合でも、工具先端の垂直方向負荷が円錐形状の剣先12により水平方向に分力されるため、剣先を支持する密着コイルバネ13の曲げ弾性による剣先12の水平方向移動で、機械的に剣先12が工具回避の動きをする。その結果、可撓式スキッドテーブル3のスキッド11は単純な構成でありながら、受動的退避機能を有する全方向退避が可能な構成となっている。また、スキッド11の構造が単純で剣先12や密着コイルバネ13の交換が簡単に行える等の整備性に優れている。この剣先12と密着コイルバネ13から成るスキッド11によって、レーザ加工やタップ加工等の切削加工、或いはその他の機械加工を複合的に組み合わせた加工処理であっても遅滞なく加工を行える可撓式スキッドテーブルを提供することができる。
W ワーク
1 レーザ加工機(板材加工機に対応)
2 ベース部
3 可撓式スキッドテーブル
4 ポスト部
5 オーバヘッドビーム
6 X軸ガイドレール
7 X軸キャリッジ
8 クランプ
9 Y軸キャリッジ
10 レーザヘッド
11 スキッド(支持手段に対応)
12 剣先
13 密着コイルバネ
14 コイルバネ取付ベース

Claims (4)

  1. 板材加工機のワークの下面を支持する可撓式スキッドテーブルであって、
    複数の突起部がマトリクス状に配置された取付ベースと、該取付ベースの前記突起部に嵌合される密着コイルバネと、該密着コイルバネによって支持される先端が円錐形状の剣先とで構成されることを特徴とする可撓式スキッドテーブル。
  2. 前記円錐形状の剣先が、前記ワークと点当接する当接部を有し、該当接部を介して前記ワークを支持することを特徴とする請求項1記載の可撓式スキッドテーブル。
  3. 前記密着コイルバネが、前記ワークが載置された状態で密着構造となることを特徴とする請求項1又2に記載の可撓式スキッドテーブル。
  4. 前記密着コイルバネが、前記剣先と前記突起部を連結する高弾性を有する線材であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の可撓式スキッドテーブル。
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