JP2011010598A - 鳥類卵管細胞を用いた抗体製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鳥類卵管細胞を用いたタンパク質の発現方法であって、(i)リコンビナーゼ認識配列によって挟まれたスタッファー遺伝子配列の上流側に構成的発現プロモーター配列が配置され、該スタッファー遺伝子の下流側に抗体をコードする遺伝子配列が配置された少なくとも1つの遺伝子配列カセットを含むベクター、および(ii)鳥類卵管細胞に特異的なプロモーター、および該プロモーターの下流に配置されたリコンビナーゼをコードする遺伝子配列を含むベクターを鳥類卵管細胞に導入する工程を含む、タンパク質の発現方法。
【選択図】図1
Description
性の抗体分子の重鎖、軽鎖を遺伝子導入し、培養上清中に抗体分子を分泌させる方法が主流である。この方法は大規模な培養装置を用いる為、商業規模の抗体生産を行う上で莫大な設備投資が必要である。また、細胞培養に用いる高額な培地類も医療用抗体のコスト高の原因になっている。これらのことから培養細胞に依存しない効率的な医療用抗体の生産法が必要とされている。
鳥類卵管細胞を用いたタンパク質の発現方法であって、
(i)リコンビナーゼ認識配列によって挟まれたスタッファー遺伝子配列の上流側に構成
的発現プロモーター配列が配置され、該スタッファー遺伝子の下流側に抗体をコードする遺伝子配列が配置された少なくとも1つの遺伝子配列カセットを含むベクター、および(ii)鳥類卵管細胞に特異的なプロモーター、および該プロモーターの下流に配置されたリコンビナーゼをコードする遺伝子配列を含むベクターを鳥類卵管細胞に導入する工程を含む、タンパク質の発現方法。
前記のリコンビナーゼが、Creリコンビナーゼであることを特徴とする、項1に記載のタ
ンパク質の発現方法。
(i)リコンビナーゼ認識配列に挟まれたスタッファー遺伝子配列の上流側に構成的発現
プロモーター配列が配置され、該スタッファー遺伝子の下流側に抗体をコードする遺伝子配列が配置された少なくとも1つの遺伝子配列カセットを含むベクター、および(ii)鳥類卵管細胞に特異的なプロモーター、および該プロモーターの下流に配置されたリコンビナーゼをコードする遺伝子配列を含むベクターが導入された鳥類卵管細胞。
前記のリコンビナーゼが、Creリコンビナーゼであることを特徴とする項3に記載の鳥類
卵管細胞。
卵白中へ、抗体分子を蓄積させる効果を有することも予想される。
York, 2001; Ausubel, F. M. et al. ” Current Protocols in Molecular Biology ”, John Wiley & Sons, New York, N. Y, 2007等に記載されている。
体をコードする遺伝子の発現を抑制し、前記スタッファー遺伝子がコードするタンパク質が、鳥類の細胞に対して無害のものであれば特に限定されない。具体的には、ネオマイシン、ハイグロマイシン、またはピューロマイシンなどの薬剤耐性遺伝子や、EGFP(Enhanced GFP)、またはmCherry(Clontech社)などの蛍光タンパク質をコードする遺伝子など
が挙げられる。
細胞内局在を制御できるCre-ERのような核内受容体との融合型のリコンビナーゼもこれに含まれる。好ましくはCreリコンビナーゼである。Creリコンビナーゼによって認識されるポリヌクレオチド配列の例としては、一連のloxP配列が挙げられる。前記の一連のloxP配列とは、Hoess, RH. et al (1986)Nucleic Acids Research vol. 14 2287-2300の記載
、若しくはNCBI(National Center for Biotechnology Information)のウェブサイトな
どを参照して入手することが出来る。
構成的発現プロモーター配列を配置し、下流側には抗体をコードする遺伝子配列を配置した遺伝子配列カセット作製する。前記の遺伝子配列カセットを、少なくとも1つ配置したベクターを作製する。このようなベクターは図1の(A)に記載のベクターを例に説明す
ることが出来る。
出来る。
ロモーターならびに、抗体をコードする遺伝子の配列は、遺伝子配列カセット間において同一であっても異なっていても良いものとする。ただし抗体をコードする遺伝子配列がカセット間において異なっている場合は、それぞれのカセット間に含まれるリコンビナーゼ認識配列が、異なっていることが望ましい。
リコンビナーゼ認識配列のうち、下流側に配置されたものよりも更に下流に設置される。
。また、上記の(i)に記載の方法によって作製されるベクターに含まれる、少なくとも
1つ以上の遺伝子配列カセットは、それぞれが異なるベクターに含まれていても良いものとする。
ロモーター配列、ポリアデニレーション配列、インスレーター配列、リボソーム導入部位(Internal Ribosome Entry Site; IRES)配列、薬剤耐性遺伝子配列、レポーター遺伝子配列トランスポゾン配列またはインテグラーゼ配列などが含まれていても良いものとする。
る機能や、遺伝子間のエンハンサーの干渉作用を断ち切るような、エンハンサーブロッキング機能を有する配列のこといい、前記の機能を有する限り特に限定されない。具体的には、ヒト由来βグロビンのHS1〜5、ニワトリ由来βグロビンのHS4などが挙げられる。
クターの導入前に、(i)のベクター内に含まれる薬剤耐性遺伝子や蛍光タンパク質の遺
伝子などのマーカーの発現を確認する方法を用いて、導入細胞を選抜する工程が含まれていても良いものとする。
ー内に含まれる薬剤耐性遺伝子や蛍光タンパク質の遺伝子などのマーカーの発現を確認する方法を用いて、導入細胞を選抜する工程が含まれていても良いものとする。さらに、導入するベクターの比に関しても、抗体の生産に適した範囲で自由に設定することができる。
図1の(A)に示す第1のベクターはCreリコンビナーゼ認識配列である2つのloxP配列(配列番号1)に挟まれたスタッファー遺伝子領域(ネオマイシン耐性遺伝子、IRES配列ならびに強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子、およびSV40ポリA付加シグナル配列を
含む)を、その上流に構成的発現プロモーターとしてCAGプロモーターを、更にスタッフ
ァー遺伝子領域の下流に、ヒトイムノグロブリン軽鎖遺伝子(配列番号2)およびウシ成長ホルモン(BGH)ポリA付加シグナル配列を有し、これらを1つ目の遺伝子配列カセットとした。
)大文字・下線・太字部分)、ヒトイムノグロブリンκ軽鎖Genbank CAA75031.1 (GI:2765423)の一部をコードするヌクレオチド(図2の(A)小文字部分)と融合させたものである。
パク質(Clontech)およびウサギβ-グロビン(RBG)ポリA付加シグナル配列を含む)、
さらにその下流に発現を所望するタンパク質としてヒトイムノグロブリン重鎖遺伝子(配列番号4)および単純ヘルペスウイルス(HSV)のチミジンキナーゼ(TK)ポリA付加シグナルを有する。
許文献1に記載されたオボアルブミンプロモーターを含む領域2.8kbを有し、その下流にCreリコンビナーゼ遺伝子(GenBank: AB449974.1, (GI:194578727))およびBGHポリA付加
シグナルを有している。鳥類卵管細胞においてゲノムに挿入された場合の内因性遺伝子制御の影響を抑制する為にプロモーター上流並びにCreリコンビナーゼ遺伝子の下流にニワ
トリ由来βグロビンのHS4インスレーター配列を2回くりかえして挿入した。加えて培養
細胞中で導入遺伝子が選択可能になるようにSV40プロモーターの下流に抗生物質耐性遺伝子としてハイグロマイシン耐性遺伝子ならびにHSVのTKのポリA付加シグナルを含んでいる。このベクターをOVA2.8-Creと名づけた。
ベクターAI111が導入細胞内で2つの構成的発現プロモーターによる外来遺伝子を発現
するか、また、Creリコンビナーゼ依存的にスタッファー分子の発現を抑制しヒト抗体分
子を発現誘導するかをヒト胎児腎臓由来培養細胞株HEK293T細胞を用いて検討した。HEK293T細胞1.5x105を6穴細胞培養プレートに播種し、翌日各々6μlのFuGENE6(Roche)を用
いて表1の組み合わせにより遺伝子導入を行なった。ベクターCMV-Creは構成的発現プロモーターCMVプロモーターの下流にCreリコンビナーゼおよびウシ成長ホルモンポリA付加シ
グナルを有している。
ターにより外来遺伝子を発現しうること、また、Creリコンビナーゼ量依存的にスタッフ
ァー分子の発現を抑制することを示している。
HEK293T細胞1.5x105を6穴細胞培養プレートに播種し、翌日各々6μlのFuGENE6 (Roche)を用いて表3に記載の組み合わせにより遺伝子導入を行なった。ベクターCMV-HcはCMV
プロモーターの下流にヒトイムノグロブリン重鎖遺伝子(配列番号4、)およびHSVのTK
ポリA付加シグナルを、ベクターCMV-Lcは、CMVプロモーターの下流にヒトイムノグロブリン軽鎖遺伝子(配列番号2、)およびBGHポリA付加シグナルをそれぞれ有している。ベクターpBSはトランスフェクションに用いるDNA量を同一にする為のコントロールベクターとして使用した。
下でポリアクリルアミドゲル電気泳動し、PVDF膜に転写後、高次構造を有するヒトIgGを
特異的に認識することができる抗ヒトIgGFc抗体(I-124, Leinco Technologies Inc. MO
)を用いたウェスタンブロッティング法により培養上清中のヒトIgGを測定した。図4の
レーン3に示すようにベクターAI111を導入したHEK239T細胞の培養上清は、Creリコンビ
ナーゼを共発現させた場合にのみ、該抗ヒトIgGFc抗体に認識されるほぼ単一のシグナル
(移動度150kDa以上)を認めた。このシグナルはヒトイムノグロブリン軽鎖及び重鎖を共発現させた場合に認められるシグナルと同一の移動度とみなされた(図4、レーン4)。
これらのことから、ベクターAI111は細胞内において2つの蛍光分子を同時に発現するこ
と、Creリコンビナーゼ非存在下ではヒト抗体分子を殆ど発現しないこと、Creリコンビナーゼ依存的に蛍光分子の発現が消失すること、Creリコンビナーゼ依存的に蛍光分子の下
流にあるヒト抗体分子が、高次構造を保った状態で生産されることが示された。
鳥類卵管細胞に対して特異的な発現を示すオボアルブミンプロモーターの下に、Creリ
コンビナーゼを発現させるベクターOVA2.8-Creと、ベクターAI111をニワトリ卵管由来初
代培養細胞に導入し培養上清中のヒトイムノグロブリンを測定した。また、従前より提唱されている技術との比較のためにオボアルブミンプロモーターによりヒトイムノグロブリン遺伝子が発現誘導を受ける図5のベクターとして、ベクターOVA2.8-Hc+Lcを作製した。
鎖遺伝子(配列番号2、図2の(A))およびBGHポリA付加シグナルをそれぞれ導入し、
各オボアルブミンプロモーターの上流およびHSVのTKポリA付加シグナルの下流にニワトリ由来βグロビンのHS4インスレーター配列をを2回くりかえしてつないだものである。
り、既に報告された技法に則り採取し、(Muramatsu T.らComp.Biochem.Physiol. 112B巻209-216頁, 1995, Sanders M. M.およびMcKnight G.S. Endocrinology 116巻398-405頁, 1985)12穴細胞培養プレートに40-60%の密度になるよう等量ずつ播種した。採取後48時間以内に以下のベクターの組み合わせで各々FuGENE6を1.5μl用いてトランスフェクション
を行なった。ベクターpBSはトランスフェクションに用いるDNA量を同一にする為のコントロールベクターとして使用した。
下でポリアクリルアミド電気泳動し、PVDF膜に転写後、抗ヒトIgGFc抗体(I-124)を用いたウェスタンブロッティング法により培養上清中のヒトIgGを測定した。図6に示すよう
にベクターAI111とベクターOVA2.8-Creを導入したニワトリ卵管由来初代培養細胞培養上
清中に抗ヒトIgGFc抗体に認識される移動度150kDa以上のほぼ単一のシグナルを認めた(
図5、レーン2)。一方で、ベクターAI111とベクターpBS、あるいはベクターOVA2.8-Hc+LcとベクターpBSを導入した細胞の培養上清中には殆どシグナルを認めなかった(図6、
レーン1および3)。この結果から、ベクターAI111とベクターOVA2.8-Creの組み合わせ
は、鳥類卵管細胞に対しても、抗体の発現に対して効果を有することが判明した。
カーボネートコートバッファー(0.025M sodium bicarbonate, 0.025M sodium carbonate)100μlに抗ヒトIgGFc抗体(I-124)100ngを懸濁し、96-well Nunc-Immuno plate(Nalge-Nunc International、Roskilde、Denmark)に4℃で一夜吸着させた。洗浄バッファー(20mM Tris-HCl(pH7.6), 150mM NaCl, 0.05% Tween 20)250μlで2回洗浄後、ブロッ
キング溶液(5% ウシ血清アルブミン/洗浄バッファー)250μlを加え室温で1時間静置後、
ブロッキング溶液を廃棄し、洗浄バッファー250μlで1回洗浄後、培養上清ならびに培養
液にヒトモノクローナル抗体(ハーセプチン、中外製薬)を20μg/mlから0.256ng/mlまで培地で1/5倍ずつ連続希釈したものをそれぞれ100μlずつ加え、室温で2時間インキュベートした。液を捨て、洗浄バッファー250μlで3回洗浄後、ブロッキング溶液にて10000倍希
釈したPeroxidase-conjugated AffiniPure Goat Anti-Human IgG(H+L)(109-035-003, Jackson Immuno Research, PA)を100μlずつ加え室温で2時間インキュベートした。液を捨て、洗浄バッファー250μlで3回洗浄後、TMB One Solution(Promega, WI)100μlを添加し5分後1M-HClを加え、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices, CA)を用い、450nMでの吸光度を計測した。
ベクターOVA2.8-Hc+Lcを導入した場合培養上清1mlあたりに含まれるヒトイムノグロブリ
ン量はそれぞれ約20ngと0.5ngと推定され、本発明により従来提唱されていた方法の40
倍以上の外来の抗体タンパク質発現誘導能を認めた。
Claims (4)
- 鳥類卵管細胞を用いたタンパク質の発現方法であって、
(i)リコンビナーゼ認識配列によって挟まれたスタッファー遺伝子配列の上流側に構成
的発現プロモーター配列が配置され、該スタッファー遺伝子の下流側に抗体をコードする遺伝子配列が配置された少なくとも1つの遺伝子配列カセットを含むベクター、および(ii)鳥類卵管細胞に特異的なプロモーター、および該プロモーターの下流に配置されたリコンビナーゼをコードする遺伝子配列を含むベクターを鳥類卵管細胞に導入する工程を含む、タンパク質の発現方法。 - 前記のリコンビナーゼが、Creリコンビナーゼであることを特徴とする、請求項1に記
載のタンパク質の発現方法。 - (i)リコンビナーゼ認識配列に挟まれたスタッファー遺伝子配列の上流側に構成的発
現プロモーター配列が配置され、該スタッファー遺伝子の下流側に抗体をコードする遺伝子配列が配置された少なくとも1つの遺伝子配列カセットを含むベクター、および(ii)鳥類卵管細胞に特異的なプロモーター、および該プロモーターの下流に配置されたリコンビナーゼをコードする遺伝子配列を含むベクターが導入された鳥類卵管細胞。 - 前記のリコンビナーゼが、Creリコンビナーゼであることを特徴とする請求項3に記載
の鳥類卵管細胞。
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---|---|---|---|---|
WO2008079608A1 (en) * | 2006-12-21 | 2008-07-03 | Genentech, Inc. | Compositions and methods for the expression of nucleic acids |
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2009
- 2009-07-02 JP JP2009157413A patent/JP5447803B2/ja active Active
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