JP5158816B2 - キメラ抗体の一段階作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、抗体の作製方法に関する。より詳細には、キメラ抗体及び該抗体を産生するキメラB細胞の作製方法に関する。
抗体は、生体物質の同定や機能解析などを行う上で欠くことのできない重要なツールである。とりわけ、近年では、疾患の治療において抗体の果たす役割には目覚ましいものがあり、抗体医薬の分野は急激な進歩を遂げている。生体内において、抗体は、特定の抗原と結合して、様々な生体内防御反応、例えば、抗体依存性細胞障害(ADCC)活性や、補体依存性細胞障害(CDC)活性を惹起して、癌細胞など生体において異物として認識される物の除去を行っている。このような抗体の能力に着目し、抗体医薬の研究が精力的に行われるようになってきた。多種多様な疾患の治療に対して抗体医薬を利用するためには、あらゆるタイプの疾患原因抗原に対し、迅速かつ簡便に、そして、所望の結合特性を備えた抗体を大量に供給する技術が必要となる。
従来、所望の物理的、生理的特徴を備えた抗体群を調製する技術として、モノクローナル抗体の作製技術が用いられていた。モノクローナル抗体を作製する場合、一般的には、生体内免疫によって生じたB細胞をミエローマと融合させるハイブリドーマ法が用いられる。しかし、この方法には、生体内免疫の利用によって生じる免疫寛容の問題の他、最終的な所望の抗体を取得するまでに時間と労力が掛かることなど、多くの難点が存在している。そこで、免疫寛容の問題を克服する技術として、生体内免疫を利用しない方法が開発された。この方法は、ファージ粒子に種々の抗体遺伝子を埋め込み、抗体遺伝子産物をファージ上に提示させ、このファージによる抗体ライブラリーから所望の抗体を取得する方法で、ファージディスプレイ法と呼ばれている。この技術は、免疫寛容を回避する点では優れているが、ファージライブラリーから得られる抗体は完全体ではないため、さらに、組換えDNA技術等により、完全体の調製を行う必要がある。従って、時間と労力の点においては、生体内免疫による方法と比較して、格段に進展したとまでは言い難い。
上記の伝統的なモノクローナル抗体作製技術の課題を克服した方法として、ADLib法(特許文献1及び非特許文献1)及びADLib法をさらに改良した方法(特許文献2)が知られている。ADLib法は、あらゆるタイプの抗原に対して、所望の結合特性を備えた抗体を大量かつ簡便に調製することが可能な技術である。この方法は、自律的に抗体遺伝子の多様化が進行したニワトリB細胞由来DT40細胞によって構築される抗体ライブラリーから、所望の抗体を選択的に取得する技術である。ADLib法は、インビトロ系の利点である免疫寛容の回避が可能である点、1段階でIgM型の完全抗体が得られる点において、従来の技術と比較して優れている。しかし、上述の抗体の医薬用途における使用において、IgM以外のクラス、例えば、IgG、IgA、IgD、IgEなどを調製することが必要である。また、抗体を医薬として生体に投与する場合には、投与対象の体内において、できるだけ免疫原性を低く抑える必要があるため、少なくとも、抗原性の高い抗体の定常領域は、投与対象である動物種由来の物にする必要がある。そこで、上記ADLib法などを利用する場合においても、所望の動物種の定常部を備えた任意のクラスの抗体を、調製する技術が必要となってくる。
抗体のクラスを変換する技術としては、例えば、上述のADLibシステムによって取得したIgM型の抗体の重鎖可変領域をIgGの重鎖定常領域と遺伝子工学的に連結させ、CHO細胞などで発現させる方法が開示されている(特許文献3)。この方法は、定常領域をIgGに変換した多様な抗体を取得できるという点において優れている。しかし、完全体の抗体遺伝子を細胞外において人工的に操作し、可変領域と定常領域が連結したキメラ抗体を発現させる場合、得られるキメラ抗体の一部において、所与の抗原特異性が失われることがあり、また、キメラ抗体遺伝子を本来発現している細胞とは異なる細胞において発現させるため、期待される発現量が得られない場合もある。
異なる動物種間のキメラ抗体を作製する技術もこれまでに多く報告されているが、これらの方法の多くは、異なる動物種由来の可変領域及び定常領域遺伝子を発現ベクターに組み込んだ後、このベクターをCHO細胞などの宿主細胞内で発現させた後、取得する方法である(例えば、特許文献4及び特許文献5)。このような方法では、複雑な遺伝子工学的操作が必要となる上、多くの種類の抗体を迅速かつ簡便に作製することは難しい。
特許4214234号 WO2008/047480 WO2008/035463 特開2001−238676 特開2005−245337
Seoら、Nature Biotech.23:731-735,2005
本発明は、キメラ抗体を迅速かつ簡便に作製する方法、及び該方法によって作製されるキメラ抗体、並びに、該キメラ抗体を産生するキメラB細胞を作製する方法の提供を目的とする。
また、本発明は、抗体のクラスを変換する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、抗体産生B細胞の染色体上のVDJ領域下流に所望の動物由来の所望のクラスの抗体重鎖定常領域遺伝子(又はその一部)を挿入した染色体改変型B細胞から、通常発現する抗体に加え、所望の抗体重鎖定常領域を有するキメラ抗体が選択的スプライシングにより同時に産生されることを偶然に見出し、本発明を完成させた。
抗体は、5つのクラス(IgM、IgG、IgD、IgE及びIgA)に分類されるが、抗体医薬を含む様々な用途において最もよく利用されているのはIgGである。そのため、いかに結合特性にすぐれた抗体が得られたとしてもそのクラスが例えば、IgMであると、その利用範囲はある程度限られてしまう。また、抗体を生体へ投与し十分な機能を発揮させるためには、抗体の定常部を投与対象動物由来のもので構築し、できるだけ該抗体の免疫原性を低く抑える必要がある。従来、定常領域が異なる動物種又はクラスに由来する抗体は、予め所望のキメラ抗体をコードする遺伝子を挿入した発現ベクターを構築し、このベクターから抗体分子を適当な宿主細胞中で発現させることにより取得されていた。しかし、この方法は、多くの複雑な操作が必要である上、調製された抗体も、定常領域を置換する前と同じ結合特性を保持しているとは限らなかった。
発明者らは、抗体産生B細胞の染色体上の適当な位置に、所望の抗体重鎖定常領域遺伝子を挿入し、B細胞内における抗体産生メカニズムの研究を行った。従来の知見によると、抗体重鎖定常領域遺伝子は、複数のエクソンの選択的スプライシングによって生じるが、そのスプライシングの位置は、ターミネーターなどのシスエレメントの有無には依存せず、そのパターンの予測は難しいと考えられている(Peterson et al., Mol. Cell. Biol., 1994, 14:77-86)。また、一般に、スプライシングの生じる位置も頻度も動物種によって異なるため(例えば、ヒトやマウスに比べるとトリのスプライシング頻度は低い(Chacko et al., BMC Genomics 2009, 10:S5 1-10))、異なる動物由来の抗体重鎖定常領域遺伝子が所望の位置でスプライシングされるとの保証はない。
かかる状況において、発明者らは、ニワトリのB細胞由来のDT40細胞染色体上のVDJ領域下流に存在する抗体重鎖遺伝子のエクソン1とエクソン2の間にヒト由来IgG1重鎖遺伝子を挿入し、得られたキメラB細胞から抗体の産生を試みた。その結果、定常領域がヒトIgG1由来のトリ−ヒトキメラIgG1抗体の産生に成功した。さらに、驚くべきことに、該キメラ抗体の他、DT40細胞から本来産生している分泌型IgM及び膜結合型IgMも同時に産生されることも確認された。ここで、産生される抗体が膜結合型となるか分泌型となるかは、B細胞内での選択的スプライシングによって決定されることであり、また、キメラ抗体が産生されるか否かについても、このスプライシングによって決定されることである。よって、同一のDT40細胞が、上記3種類の抗体を産生するということは、本発明当時の当該業者の予想を越えた重要な新知見である。さらに、ここで重要なことは、膜結合型の抗体が産生されることである。仮に、所望のキメラ抗体の産生が確認できたとしても、キメラ抗体産生細胞が分泌型抗体のみしか産生していない場合には、所望のキメラ抗体を産生している細胞についてフローサイトメトリーや磁気ビーズ分画方などで膜結合型抗体の有無を同定する術がなく、莫大な抗体産生細胞群のライブラリーから、所望の抗体産生細胞を効率的に分離することは困難である。実際、従来の技術においては、目的の抗体を産生する細胞を取得するために、最初に、膜結合型の抗体が産生する発現ベクターを使用して目的の抗体の産生細胞を同定したのち、再度、分泌型の抗体産生用のベクターを構築し直して、分泌型抗体を産生する細胞を取得するといった複雑な工程が必要であった(Akamatsu et al., J Immunol. Methods 2007 327 40-52)。この点に関しても、発明者らが今回見出した知見は、1段階の工程により迅速かつ簡便に所望のキメラ抗体を取得できる点において、格段の進歩性を提供するものである。
さらに、本発明者らは、上記キメラ抗体産生細胞内で、前駆体mRNAのポリアデリニル化に関与する因子を過剰発現させると、所望のキメラ抗体の産生量が増大することも見出した。
以上の発明者らによる知見に基づき、本発明は以下のように構成される。
すなわち、本発明の以下の(1)〜(17)である。
(1)抗体産生B細胞の染色体上のVDJ領域下流に存在する任意のイントロンに、以下の(a)又は(b)の遺伝子もしくはその一部を挿入したキメラB細胞。
(a)該B細胞が由来する動物とは異なる動物の抗体重鎖定常領域遺伝子、
(b)該B細胞が産生する抗体とは異なるクラスの抗体重鎖定常領域遺伝子
(2)ポリアデニル化に関与する因子又はポリアデニル化に関与する因子の補充に関与する転写伸長・活性化因子を過剰発現している上記(1)に記載のキメラB細胞。
(3)前記ポリアデニル化に関与する因子が、CstF又はCstF−64サブユニットである上記(2)に記載のキメラB細胞。
(4)前記ポリアデニル化に関与する因子の補充に関与する転写伸長・活性化因子が、ELL2である上記(2)に記載のキメラB細胞。
(5)前記キメラB細胞の細胞表面上に抗体が発現していることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のキメラB細胞。
(6)前記キメラB細胞の抗体可変領域遺伝子に、多様な変異を導入することを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のキメラB細胞。
(7)前記多様な変異の導入が、前記抗体産生B細胞又は前記キメラB細胞中のヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の機能を低下又は喪失させることによって達成される上記(6)に記載のキメラB細胞。
(8)前記ヒストン脱アセチル化酵素が、HDAC2であることを特徴とする上記(7)に記載のキメラB細胞。
(9)前記多様な変異の導入が、前記キメラB細胞をHDAC阻害剤で処理することで達成される上記(6)に記載のキメラB細胞。
(10)前記異なるクラスがIgGである上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のキメラB細胞。
(11)前記異なる動物が、ヒト、マウス、ウサギのいずれかである上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のキメラB細胞。
(12)前記抗体産生B細胞が、DT40細胞である上記(1)乃至(11)のいずれかに記載のキメラB細胞。
(13)前記任意のイントロンが、前記抗体産生B細胞染色体上の抗体重鎖定常領域遺伝子のエクソン1とエクソン2の間に位置することを特徴とする上記(12)に記載のキメラB細胞。
(14)上記(1)乃至(13)のいずれかに記載のキメラB細胞からなる抗体産生細胞ライブラリー。
(15)上記(1)乃至(13)のいずれかに記載のキメラB細胞からキメラ抗体を作製する方法。
(16)上記(15)に記載の方法により取得されるキメラ抗体。
(17)上記(1)乃至(13)のいずれかに記載のキメラB細胞又は上記(16)に記載のキメラ抗体を作製するためのキット。
本発明によれば、目的のキメラ抗体を産生するキメラB細胞を簡易かつ迅速に作製することができる(従来のキメラ抗体を作製する技術では、キメラ抗体の作製に数ヶ月程度かかっていたが、本発明の方法によれば2週間程度で所望のキメラ抗体を取得することができる)。
また、本発明によれば、本発明により作製されるキメラB細胞中の抗体可変領域の多様性を高めることにより、多様な抗体産生特性を獲得した細胞集団からなる抗体産生細胞ライブラリーを構築することができる。
本発明のキメラB細胞又は本発明の抗体産生細胞ライブラリーを使用すれば、所望の抗原に対し、所望の結合特性を保持したキメラ抗体を迅速に作製することが可能となる。
本発明は、キメラ抗体の産生量をさらに増大させる方法も提供する。
トリ−ヒトキメラIgG1重鎖を作製するための導入遺伝子の構成及びキメラ抗体が作製さる過程の概要を模式的に示した図である。Bsd:ブラストサイジン選択マーカー 作製したキメラB細胞から産生される抗体をウェスタンブロット法により解析した結果を示す。AとBはキメラB細胞の細胞抽出液に対して、抗トリIgM抗体(A)又は抗ヒトIgG抗体(B)を用いて、ウェスタンブロット解析を行った結果である。Cは、培養上清に対して、抗ヒトIgG抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った結果である。 キメラB細胞上に膜結合型トリIgMが存在することをFACS解析により確認した結果である。 得られたキメラB細胞(13.29クローン)に対し、抗体可変領域の多様化を促進する処理を施した後、得られたキメラB細胞の可変領域の配列解析を行い、可変領域配列の変異の状況を調べた結果である。 抗体可変領域を多様化したキメラB細胞ライブラリーからアポフェリチンを抗原として認識する抗体産生細胞の選択及び産生抗体の確認をELISA法により行った結果である。図中、○を付している候補クローンは、アポフェリチンに高い反応を示すトリIgMの他ヒトキメラIgGの反応も確認された。なお、本ELISA法によって検出された抗体は培養上清に存在するものであることから、ここで得られた細胞クローンは、分泌型のトリIgMも産生していることが明らかとなった。 Aは、図5に示される候補13のクローンから産生されるキメラIgG1を、プロテインGカラムを使用して精製した結果を示す。Bは、精製したアポフェリチン特異的なキメラIgGのトリIgMに対する相対的結合親和性を競合ELISA法により測定した結果である。グラフは、2つの異なる抗アポフェリチン抗体クローン(図5の#4と#13)を用いた4回の実験から得られた値の平均標準偏差値を示したものである。グラフから算出したIC50値は、キメラIgG=1.7nM、トリIgM=1.8nMである。 1段階目のELISAスクリーニングにおいて低反応性キメラ抗体を排除した場合の効果を示す。 CstF−64の過剰発現がキメラIgG及びIgMの発現に及ぼす影響について検討した結果である。Aは、定量的ELISA法により決定した培養上清中のキメラIgG濃度を縦軸に示した。実験は、培養開始時の細胞濃度を0.5×10(細胞/ml)、1×10(細胞/ml)及び2×10(細胞/ml)として各々行った。バーは、同じ実験条件において、異なる2つのクローンに対し2回行った実験値の平均標準偏差を示す。Bは、定量的ELISA法により決定した培養上清中のトリIgM濃度を縦軸に示した。実験は、培養開始時の細胞濃度を1×10(細胞/ml)として行った。バーは、同じ実験条件において、異なる2つのクローンに対し2回行った実験値の平均標準偏差を示す。A及びB中、CX13はCstF−64を発現させていないキメラIgG産生細胞のことであり、CstF−64は、CstF−64を過剰発現させたキメラIgG産生細胞のことである。
本発明の実施形態の1つは、抗体産生B細胞の染色体上のVDJ領域下流に存在する任意のイントロンに、以下の(a)又は(b)の遺伝子もしくはその一部を挿入したキメラB細胞である。
(a)該B細胞が由来する動物とは異なる動物の抗体重鎖定常領域遺伝子、
(b)該B細胞が産生する抗体とは異なるクラスの抗体重鎖定常領域遺伝子
本発明で使用される抗体産生B細胞は、特に限定されるものではなく、いかなる動物種由来の細胞であってもよい。株化されたものでも、されていないものでも使用可能であるが、株化された細胞が好ましい。抗体産生B細胞としては、例えば、ヒト由来のNalm6細胞やニワトリ由来のDT40細胞を挙げることができ、特に好ましくは、DT40細胞である。
本明細書中においては、「キメラ」なる用語は、通常使用される意味よりも広い意味で使用される。つまり、本来保持していない遺伝情報を保持した、例えば、染色体、細胞、遺伝子、タンパク質などについて、キメラ染色体、キメラ細胞、キメラ遺伝子、キメラタンパク質(キメラ抗体など)のように使用することとする。
本実施形態で作製されるキメラB細胞は、目的のキメラ抗体を産生することができる。本発明で作製されるキメラ抗体は、その可変部は、使用する抗体産生B細胞に由来する遺伝子によってコードされるものであり、後述するように、必要に応じて変異が導入されていてもよい。作製されるキメラ抗体の定常部は、所望の動物種由来又は所望のクラスの抗体に由来する定常部をコードする抗体重鎖定常領域遺伝子(又はその一部)によってコードされる。キメラ抗体を産生するキメラB細胞を作製するためには、使用する抗体産生B細胞の染色体上に存在するVDJ領域下流の任意のイントロンに、所望の定常部をコードする遺伝子を挿入する必要がある。この任意のイントロンとは、VDJ領域下流の重鎖定常部コード領域に存在するイントロンであればどの位置に存在するものであっても良いが、好ましくは、使用するB細胞に元来存在する重鎖定常領域遺伝子の上流又はエクソン1−2間が好ましい。
抗体産生B細胞の染色体上に挿入する抗体重鎖定常領域遺伝子は、該遺伝子が由来する動物種は限定されることなく、作製するキメラ抗体の使用目的によって適宜選択することができる。例えば、キメラ抗体をヒトへの投与目的に使用する場合には、ヒト由来の抗体重鎖定常領域遺伝子を選択するであろうし、または、マウスへの投与を意図する場合には、マウス由来の抗体重鎖定常遺伝子を選択することができる。従って、当該遺伝子が由来する動物は、限定されるものではなく、あらゆる動物が含まれが、特に例示するならば、例えば、ヒト、サル(霊長類の他、原猿などの非霊長類も含む)、マウス、ウサギ、ラット、ヒツジ、ウマ、ウシ、トリ、イヌ、ネコなどである。特に好ましくは、ヒト、マウス、ウサギなど、抗体投与対象となる頻度の高い動物である。また、抗体産生B細胞の染色体上に挿入する抗体重鎖定常領域遺伝子のクラスも特に限定されず、IgG、IgM、IgD,IgE、IgAから適宜選択することができる。
これらの抗体重鎖定常領域遺伝子は、公のデータベースなどから遺伝子情報を取得し、取得した情報に基づいて、所望の動物由来のゲノムDNAなどからPCR法によって、増幅、単離することができる。得られた抗体重鎖定常領域遺伝子は、公知の遺伝子導入技術(遺伝子ターゲティング技術)を利用して、染色体上の目的の位置に挿入することができる。これら一連の技術は、当業者であれば容易に実施することができ、適宜、市販のキットなどを利用して行ってもよい。
本実施形態で作製されるキメラB細胞は、キメラ抗体の他、使用した抗体産生B細胞が元来産生していた抗体の膜結合型及び分泌型の抗体も同時に産生することができる。これらの抗体は、異なる選択的スプライシングによって生じるものであり、この選択的スプライシングの様式は、使用する抗体産生B細胞の種によって異なる可能性が考えられる。用いる抗体産生B細胞によっては、キメラ抗体は産生しても、膜結合型の従来型の抗体を産生しないキメラB細胞が産生される可能性も考えられる。このような細胞であっても、キメラ抗体を産生するものであれば、本発明の範囲に含まれるものであるが、迅速かつ簡便にキメラ抗体を作製する目的に対しては、膜結合型の抗体を産生するキメラB細胞が好ましい。
本実施形態で作製されるキメラB細胞には、所望の重鎖定常部を有するのみならず、その染色体上の抗体可変領域に多種多様な変異を持つキメラB細胞も含まれる。抗体の多様性は、可変領域が再編成され、非常に多くの異なる抗原認識特性を獲得する結果生じる。よって、本実施形態で作製されるキメラB細胞は、染色体上の適切な位置への抗体重鎖定常領域遺伝子等の挿入前後において、可変領域の再編成に必要な多様な変異を導入する処理が施されたキメラB細胞も含まれる。ここで、可変領域の再編成に必要な変異を導入する方法は、XRCC2及びXRCC3を欠失させたB細胞を使用する方法(例えば、Cumber et al., Nature Biotech. 204:1129-1134 2002又は特開2003-503750など)、AID遺伝子の発現を制御する方法(例えば、Kanayama et al., Nucleic Acids Res. 34:e10.,2006又は特開2004-298072など)、あるいは、相同組換え機構を利用する方法(例えば、特許文献1、特許文献2又は非特許文献1など)など、当該技術分野で公知の方法を利用することができる。とりわけ、好ましい方法は、相同組換え機構を利用する方法である。好ましい相同組換え機構を利用する方法として、免疫細胞に内在するヒストン脱アセチル化酵素活性を何らかの方法で阻害して、該免疫細胞内での体細胞遺伝子変換を著しく促進させる方法をあげることができる(詳細は、上記特許文献1、特許文献2又は非特許文献1などを参照のこと)。細胞に内在するヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害する方法として、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で、本発明のキメラB細胞を処理する方法(特許文献1又は非特許文献1を参照)や本発明のキメラB細胞又はこれが由来する抗体産生B細胞中のヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の機能を低下又は喪失させる方法(特許文献2を参照)などを使用することができる。使用可能なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、特に限定されるものではなく、例えば、トリコスタチンA、ブチル酸、バルプロ酸などをあげることができる。その他、可能であれば、活性阻害の対象であるヒストン脱アセチル化酵素の不活性型タンパク質(ドミナントネガティブ)などを阻害物質として使用してもよい。
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)遺伝子の機能を低下又は喪失させる場合、遺伝子機能を低下又は喪失させる対象となるHDACのアイソフォームは、使用する抗体産生B細胞によっても異なるが、好ましくは、HDAC2遺伝子である(詳細は、特許文献2を参照のこと)。
さらに、本発明のキメラB細胞は、その細胞中において前駆体mRNAのポリアデニル化に関与する因子、又はそれらの補充に関与する転写伸長・活性化因子を過剰発現していてもよい。
本発明のキメラB細胞から産生されるキメラ抗体の産生量を増大させるために、該キメラB細胞から元来産生される抗体(例えば、トリB細胞のIgM)に対する所望のキメラ抗体(例えば、キメラIgG)の産生比率を高める必要がある。
これまでに、B細胞中において、膜結合型IgMと分泌型IgMが同時に発現される場合、これら両抗体の発現量は、RNAの切断−ポリアデニル化とRNAスプライシング反応とのバランスによってコントロールされていることが知られている(Peterson et al., Mol. Cell. Biol. 9 726-738 1989)。すなわち、選択的スプライシングが行われずにプロモーターに近いポリAサイトが使用されると分泌型IgMが産生され、選択的スプライシング後に末端のポリAサイトが使用されると膜結合型IgMが産生される。
また、B細胞が成熟型プラズマ細胞に分化する際、プロモーターに近いポリAサイトに、ポリアデニル化に関与する因子(例えば、CstF、CPSF)や、それらの補充に関与する転写伸長・活性化因子(例えば、ELL2、PC4)が結合し(Takagi et al., Cell, 87, 941-952 1996; Edwalds-Gilbert et al., Nucleic Acids Symp. Ser., 33, 229-293 1995; Shell et al., J. Immunol., 179(11), 7663-7673 2007)、特にCstFとELL2の過剰発現によりポリAサイトの使用が増強され、分泌型IgMの産生が膜結合型IgMよりも増大することが知られている(Takagi et al., Cell, 87, 941-952 1996; Martincic et al., Nat. Immunol., 10, 1102-1109 2009)。逆に未成熟型B細胞では、RNAスプライシング反応を促進する因子(例えば、U1A、hnRNP F)の発現によりポリアデニル化因子の補充が抑制され、分泌型IgMより膜結合型IgMの生産が優先されることが知られている(MA et al., RNA, 12(1), 122-132 2006; Veraldi et al., Mol. Cell. Biol, 21(4), 1228-1238 2001)。
そこで、本発明のキメラB細胞は、その細胞中において前駆体mRNAのポリアデニル化に関与する因子、例えば、CstF(Cleavage stimulation factor:切断促進因子)、CPSF(Cleavage-polyadenylation specificity factor:切断−ポリアデニル化特異因子)の過剰発現、又はそれらの補充に関与する転写因子、例えば、ELL2(Elongation factor RNA polymerase II:RNAポリメラーゼII伸長因子)、PC4(Positive cofactor4: 転写補助活性化因子)、の過剰発現、又はそれらの補充を妨げるスプライシング因子、例えばU1A(Spliceosomal protein U1A:スプライセオソームたんぱく質)、hnRNP F(Heterogeneous nuclear ribonucleoprotein F:ヘテロ核リボヌクレオタンパク質)の発現抑制をしていてもよく、特に、CstFの過剰発現が好ましい。
ここで、CstFは、77kDa(CstF−77)、64kDa(CstF−64)及び50kDa(CstF−50)のサブユニットからなり、各サブユニットいずれのサブユニットを単独で過剰発現させてもよいが、各々を組み合わせて発現させてもよく、特に、好ましくは、CstF−64を過剰発現させることである。「過剰発現」とは、目的タンパク質(ここでは、CstF−64など)の発現量が、野生型の細胞株における該タンパク質の発現量よりも多い状態のことである。過剰発現は、内在性の目的タンパク質が何らかの要因で過剰に発現されている状態であってもよく、外来性の目的タンパク質を発現させた状態のいずれでもよいが、好ましくは、外来性の目的タンパク質を発現させた状態である。外来性の目的タンパク質の発現は、当業者おいて容易に実施することができ、目的タンパク質を構成的(構成的プロモーターの使用)に発現させてもよく、あるいは、必要な時期に一過的に発現誘導(誘導的プロモーターの使用)を行ってもよい。
前記実施形態に関連した本発明の実施形態として、本発明には、本発明のキメラB細胞からなる抗体産生細胞ライブラリーも含まれる。本発明の抗体産生細胞ライブラリーは、異なる抗原を認識する多様な抗体を産生する細胞集団からなる。
本発明の他の実施形態は、本発明のキメラB細胞からキメラ抗体を調製する方法、及び調製されたキメラ抗体である。
本発明のキメラB細胞は、所望の抗体重鎖定常部を有するキメラ抗体を産生することができる。このキメラB細胞を、当該細胞に適した培養条件にて培養を行うと、キメラ抗体と共に、当該キメラ抗体と同一の抗原性を持つ膜結合型抗体を同時に発現させることができる。そこで、膜結合型抗体と目的の抗原との結合性を指標にして、目的の抗原を認識するキメラ抗体を産生するキメラB細胞を選択し、該キメラB細胞をクローン化すれば、該クローン化したキメラB細胞から所望のキメラ抗体を継続的に取得することが可能となる。ここで、作製したキメラB細胞の中から、所望の抗原特異性を示すキメラ抗体を産生するキメラB細胞を選択するために、ADLib法を利用することができる。ADLib法は、多様な抗体を調製するための方法として上述した中の相同組換え機構を利用する方法であり、多様な抗体を産生するB細胞ライブラリーを構築してその中から所望の抗体産生細胞を選択する一連の方法である(特許文献1又は非特許文献1を参照のこと)。
本発明の実施形態には、本発明のキメラB細胞又はキメラ抗体を作製するためのキットも含まれる。
キメラB細胞を作製するためのキットとしては、キメラB細胞の元細胞である抗体産生B細胞(例えば、DT40細胞など)、該細胞を培養するために必要な培地や必要なサプリメントなどの他、染色体に挿入する抗体重鎖定常領域遺伝子(又はその一部)を含んだ遺伝子ターゲット用ベクターや遺伝子導入に必要な試薬類が含まれる。また、キメラB細胞の抗体可変領域の多様性を促進するために必要な要素、例えば、HDAC阻害剤やHDAC遺伝子の機能低下又は喪失を行うのに必要な試薬類が含まれていてもよい。
キメラ抗体を作製するためのキットには、所望の抗原特異性を有する抗体を選択するための試薬類として、例えば、種々の抗原、磁気ビーズの他、磁気ビーズ調製用試薬、抗体選択に使用される標識抗体、ELISAなどの検査に必要なプレートなど、キメラ抗体の作製に必要と考えられるものであれば、いかなる物が含まれていてもよい。
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
1.実験方法
1−1.細胞の培養条件
ニワトリB細胞由来のDT40細胞は、COインキュベーターにて5%CO、39.5℃で2×10から1.5×10細胞/mlの濃度を保つように継代培養した。培地は、イスコフ改変ダルベッコ培地(Invitrogen社)を用い、10%FBS、1%ニワトリ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL,2−メルカプトエタノール55μMを加えて使用した。キメラIgG精製直前の継代には、牛血清IgGなどの混入を抑えるため10%FBSの代わりに10%Ultra−Low IgG FBS(Gibco−Invitrogen社)を加えた培地を使用した。また、トリコスタチンA(和光純薬)は、メタノールに2mg/mLに溶解したものをストックとし、2.5ng/mLとなるように培地に希釈した。
1−2.ベクターの構築(図1を参照)
まず、ヒトIgHG1(IgG1重鎖)定常部の全長(エクソン:CH1、H(ヒンジ)、CH2、CH3、ポリアデニル化サイトを含む約3Kb断片)とトリIgHM(IgM重鎖)定常部のエクソン1-3を含む断片をExpand Long Range PCR システム(Roche社)を用いてゲノムDNAからPCR増殖した。QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)で精製後、それぞれのPCR産物断片をTOPO TAクローニングキット(Invitrogen社)でメーカーの手順に従いpCR2.1TOPOベクターにクローニングした。その際、トリIgHM定常部の断片を一度に増殖するのは困難なので、予めエクソン1-2断片とエクソン2−3断片をそれぞれクローニングし、PmlIとMscI制限酵素で切り出したエクソン2-3断片をエクソン1-2に連結反応で繋げて(DNA Ligation Kit Ver.2.1、タカラバイオ社)、目的断片の全長をクローニングした。
PCRプライマー:
ヒトIgHG1;
TGTGGTGACTGAGCCTCCAGA (配列番号1)/ GAGTGTTCACGTGTGCGAGGA(配列番号2)
トリIgHMエクソン1-2;
TCAAAGCGAAGGGAAAGAGA (配列番号3)/ GGCTGCCATTTTTGTACCAC(配列番号4)
トリIgHMエクソン2-3;
TTCCGCAACGCCTCCATCCTC(配列番号5) / TTCACCTTACACACGTAGCCATC(配列番号6)
クローニングしたそれぞれの断片はABI 3730xl シーケンサー(Applied Biosystems社)を用いて配列解析で確認した。
次に、ヒトIgHG1定常部の下流のEcoRV制限酵素サイトにβ−アクチンプロモーター制御下のブラストサイジン耐性選択マーカーカセット(bsr)を平滑末端連結で挿入し、ヒトIgHG1エクソンH、CH2、CH3とbsrマーカーを含む断片をMluIとXhoIで切り出した。その挿入断片を、トリIgHMのエクソン1と2の間のイントロン内にあるBseRI制限酵素サイトに平滑末端連結で挿入した。
CstF−64の過剰発現用コンストラクトについては、まず、野生型DT40からTrizol(Invitrogen社)処理により、全RNAを抽出し、ClaIとNheI切断サイトで挟まれるCstF−64 cDNAを逆転写PCR(Superscript III One-Step RT-PCR、Invitrogen社)で増幅した。ここで使用したプライマー配列は以下の通りである。
CstF−64 cDNAのクローニング;
CCATCGATGCGGGGCTGTCGGTGCGCGAC(配列番号13)/CTAGCTAGCTCAGGGTGCCCCTGTGGATTTC(配列番号14)
増幅した配列解析による確認の後、ClaI及びNheIで切り出し、切り出したcDNA断片を、pIRES−neo(Clontech社)由来のベクターであるpIEn−NTベクター(但しpIRES−neo中のCMV発現プロモーターをCAGGSプロモーター(CMVエンハンサー及びトリβ−アクチンプロモーターを含む)で置換したベクター)に挿入した。
1−3.DT40細胞の形質転換とキメラIgG発現細胞の選別
上記で構築したトリIgHM/ヒトIgHG1キメラベクター30μgを、NcoI制限酵素で直線化し、野生株のDT40(1×10細胞)に電気穿孔で形質転換した(Bio−Rad 社Gene Pulser、0.4cm gap、550V、25μFD)。COインキュベーターにて5%CO、37℃で24時間培養後、単一クローンを単離するため、4枚の96穴プレートでブラストサイジン25μg/mlを加えた培地で、1週間の培養を行い選択した。選択されたシングルコロニーを増殖後、Trizol処理(Invitrogen社)でRNAを抽出し、逆転写PCR(Superscript III One-Step RT-PCR with Platinum Taq Polymerase、Invitrogen社)でトリIgM可変V領域からヒトIgHG1エクソンCH2までの配列を含むキメラIgG1重鎖mRNAを発現するクローンを選別した(逆転写PCRプライマー:ACTCGTCTCCTCCCTCCTGC(配列番号7) / GCTGGGAGGGCTTTGTTGGAGAC(配列番号8))。さらに、キメラIgG1重鎖のcDNA産物(トリ可変分V領域からヒトIgHG1の終止コドンまで)の配列をABI 3730xl シーケンサー(Applied Biosystems社)で確認した。
ここで得られたトリ/ヒトキメラIgG1ポジティブ株のことを、ここでは、CX13と称することもある。
CstF−64の過剰発現用コンストラクトについては、上述の通り作成したプラスミド50μgをPvuIで直線化し、CX13キメラ株(1×10細胞)に形質転換し、安定なクローンを2mg/mlのジェネティシン(Invitrogen社)を含む培地中で選択を行った。
1−4.自律多様化ライブラリーの作製と抗体可変領域遺伝子の配列解析
選択したキメラIgG1発現クローンを、TSA(トリコスタチンA)を加えた12mlの培地で4週間、更に50mlの培地で2週間継代培養した。1×10細胞からゲノムDNAを抽出し(Illustra GenomicPrep Mini Spin Kit、GE Healthcare社)、その200分の1(5000細胞分)を鋳型として抗体遺伝子の軽鎖と重鎖それぞれの可変部(V領域)をPCR増殖した(PCRプライマー:軽鎖=CACACCTCAGGTACTCGTTGCG (配列番号9)/ TCAGCGACTCACCTAGGACGG(配列番号10)、重鎖=ACTCGTCTCCTCCCTCCTGC(配列番号11) / AGGCGGAGGAGACGATGACTTCGGTC(配列番号12))。PCR産物をQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社)で精製後、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen社)でクローニングし、ABI 3730xl シーケンサー (Applied Biosystems社)で軽鎖15クローン、重鎖24クローンの配列解析を行った。培養前の元株の遺伝子配列と比べ、遺伝子変換又は点変異などによる異なる配列を持つクローンの比率を測定した。
1−5.タンパク質電気泳動(SDS−PAGE)とウェスタン解析
解析するDT40の各クローンにつき、約1×106細胞を200μlのRIPA緩衝液(150mM塩化ナトリウム、1%トリトンX-100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、50mMトリス pH8.0)で溶解し、30分4℃で回転子にて撹拌後、10分、20000gで遠心して上清を細胞抽出液として回収した。2〜5μlの細胞抽出液、又は無処置の培養上清を同量のLaemmli(2×)緩衝液(4%ドデシル硫酸ナトリウム、10% 2-メルカプトエタノール、20%グリセロール、0.004%ブロモフェノールブルー、0.125M Tris−HCl pH 6.8)で希釈し、95℃で5分変性させ、10%アクリルアミドゲルで通常の手順に従いXCell SureLock Mini-Cell装置(Invitrogen社)を用いてドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ニトロセルロースメンブレン(Hybond-ECL、GE-Healthcare社)にブロッティングしたものに、10000分の1希釈したHRP抱合型抗ヒトIgG-Fc抗体(Bethyl社)を反応させ、化学発光(ECL Western Blotting Detection Reagents、GE Healthcare社)で検出した。N結合型糖鎖を切断したタンパク質を準備するには、メーカーの手順に従いPNGase F(NEB社)酵素処理を行った。対象IgG1タンパク質にはヒトIgG1 Kappa(Sigma社)を0.1μg/mlにリン酸緩衝食塩水又は培地に希釈したものを使用した。
1−6.FACS(蛍光励起セルソーター)解析
細胞膜表面における膜結合型トリIgMの発現の確認は、DT40約1×10細胞を回収し、染色緩衝液(0.3%BSAを含むリン酸緩衝食塩水)で洗浄、懸濁し、4μg/mlのFITC蛍光標識抱合型抗トリIgM抗体(Bethyl社)と5μg/mlのヨウ化プロピジウム(死細胞染色試薬)で染色した。Cytomics FC500フローサイトメーター(Beckman Coulter社)を用いてFITCシグナル強度の定量で膜表面にIgMを発現する細胞の割合を測定した。
1−7.抗原の磁気ビーズへの固定化
磁気ビーズ(Dynal社 M280 Tosylactivated)懸濁液(磁気ビーズ密度=2.0×10)を1.5mlチューブ内に20μL分取し、磁気スタンド上にて1分程度静置して磁気ビーズを集積した後、上清を除去した。緩衝液A(0.1M Na-リン酸緩衝液pH7.4)を40μL添加してボルテックスミキサーで懸濁し、上記同様に磁気スタンドに静置した後、上清を除去した。この洗浄操作を合計で2回繰り返し、最終的に沈殿状態として磁気ビーズを回収した。アポフェリチンを緩衝液A 40μLに溶解し、上述の沈殿状態の磁気ビーズと混合し、懸濁した。混合物を37℃下、ローテーターにて終夜反応させた。その後緩衝液C(0.1%BSAを含むリン酸緩衝食塩水pH7.4)40μLで1回洗い、後緩衝液D(0.1%BSAを含む 0.2M Tris-HCl pH8.5)40μLを加えて懸濁した。この懸濁液を25℃下、ローテーターにて終夜反応させた。その後緩衝液C 40μLで2回洗い、最終的に、磁気ビーズを0.02%アザイドを加えた緩衝液C 40μLに懸濁した。
1−8.抗体産生細胞のセレクション
セレクション緩衝液(1%BSAを含むリン酸緩衝食塩水=150mM 塩化ナトリウム,10mMリン酸緩衝液 pH7.4)1mLに、上述の抗原化合物を結合させた磁気ビーズ懸濁液5μLを添加して混合し、磁気スタンドにて2分間静置の後、上清を除去した。これを3回繰り返し、最終的にセレクション緩衝液1mLに懸濁し、氷冷した。
その後は、ADLibシステムの標準手法に従ってキメラIgG1抗体産生細胞のスクリーニングを実施した。具体的には、キメラIgG1抗体産生細胞の自律多様化ライブラリー50mLをチューブに回収し、190×g、10分、4℃で遠心し、上清を除去した。次にセレクション緩衝液10mLで細胞を懸濁し、15mLチューブに移した。190×g、10分、4℃で遠心し、上清を除去したセレクション緩衝液1mLで細胞を懸濁し、1.5mLチューブに移した。これを1100×g、5分、4℃で遠心して上清を除去した。この細胞沈殿物に前述の氷冷しておいた抗原付き磁気ビーズ懸濁液1mLを添加して懸濁した。この懸濁液を、ローテーターを用い、30分間4℃で反応させた後、ピペッティングで懸濁してから磁気スタンドにチューブを立て、氷上で5分間静置させた。上清を除去し、セレクション緩衝液1mLで懸濁し、再度磁気スタンドに立て、氷上で3分間静置させた。この操作を5回繰り返した。その後、最終的にセレクション緩衝液0.5mLで懸濁した。コーニング社製リザーバーに37℃に温めておいた培地30mLを添加し、その培地中にこの0.5mLの懸濁液を全量投入し、ピペッティングで良く混合した。その後、96穴プレートの各ウェルにこの細胞懸濁液を300μL/ウェルずつ播種した。この際、7ウェルにバックグラウンド用コントロールとして培地のみを300μLずつ添加しておく。その後、39.5℃で 1週間 COインキュベーターで培養した。
1−9.ELISA
目的抗原と対照抗原をそれぞれリン酸緩衝食塩水で5μg/mL(スキムミルク添加の場合は5%)になるように希釈し、100μLずつ96穴イムノプレート(U底Maxisorpイムノプレート、Nunc社)に入れ、4℃で終夜反応させた。その後、液をよく切り、ブロッキング緩衝液(1%BSAを含むリン酸緩衝食塩水)200μLを入れ、室温で30分間以上反応させた。その後、洗浄液(1%BSA、0.05% ween20を含むリン酸緩衝食塩水)200μLで3回洗浄した。洗浄後、液をよく切り、培養上清100μLずつを入れ、室温で1時間反応させた。その後、さらに洗浄液200μLで5回洗浄した。次に、二次抗体としてHRP抱合型抗トリIgM抗体、又はHRP抱合型抗ヒトIgG抗体(Betyl社)をブロッキング緩衝液で10,000倍、又は2,000倍希釈した溶液100μLを入れ、室温で45分間反応させた。その後、反応液を切り、洗浄液200μLで5回洗浄し、残余の溶液をできる限り除去した。最後に3,3',5,5'-tetramethylbenzidine(TMB)溶液(Dako Cytomation社)100μLを5秒ごとに各レーンに添加し、室温で3分反応させた。その後、20倍希釈硫酸(1N)100μLを、5秒ごとに各レーンに入れ、450nmの吸光度を測定した。
1−10.キメラIgG1の精製/濃縮
選択したクローンを10%Ultra−Low IgG FBS(Gibco−Invitrogen社)を加えた30mlの培地中、約2×10細胞/mlの最終濃度で24時間培養した。10分、190gで遠心し、上清を22μmフィルターで濾過した。その上清をプロテインGアフィニティークロマトグラフィーカラム(Mab Trap Kit、GE Healthcare社)でメーカーの手順どおりに精製し、3mlの最終緩衝液に溶出した(約10倍濃縮)。
1−11.定量的サンドイッチELISA
抗ヒトIgG-Fc抗体(Bethyl社)を10μg/mLにリン酸緩衝食塩水に希釈し、100μLずつ96穴イムノプレート(U底Maxisorpイムノプレート、Nunc社)に入れ、室温下1時間で反応させた。その後、上記のELISAの手法と同じくブロッキング緩衝液で30分間反応、3回洗浄、培養上清 100μLを室温で1時間反応、5回洗浄、二次抗体((HRP抱合型抗ヒトIgG抗体 20,000倍希釈、Bethyl社)100μLを室温で45分間反応した。更に5回洗浄後、TMB溶液100μLを室温で3分反応させ、20倍希釈硫酸(1N)100μLで反応停止後、450nmの吸光度を測定した。標準のヒトIgG1 Kappa(Sigma社)1μg/mlを1から128倍まで培地又はリン酸緩衝食塩水に希釈したものを用いて作製した標準曲線を元に、各サンプルに付き最低2点の測定で精製前と精製後におけるキメラIgG1の濃度を定量した(通常、O.D.が0.6〜1.2の範囲内で測定)。
1−12.競合ELISA
まず、培養上清を新鮮な培地で連続的に希釈し、上述のELISA法のように、適定を行い、最大O.D.=0.7となるようにした。次いで、0.05nM〜500nMの範囲でアポフェリチンを希釈し、室温で培養上清を共に一晩インキュベートした。その後、混合液をELISA法で解析し、フリーな抗体による最大結合量を50%に阻害する抗原濃度を算出した。
2.実験結果
構築したベクター(図1)を用いてトリDT40培養細胞を形質転換した結果、トリ/ヒトキメラIgG1重鎖の発現を確認できるクローンの選択に成功した(キメラ13.29)。ヒトIgHG1断片の下流には終始コドン・ターミネーターを配置していたが、ヒト重鎖第3エクソン(CH3)よりもさらに下流に配置されたエクソン(例えば、トリ重鎖第3及び第4エクソン)を含んだトリIgM重鎖全長のmRNAも検出された。選択されたクローン13.29の細胞抽出液中にトリIgMとキメラIgG1の存在が確認され(図2A及びB)、培養上清中においても、分泌型のトリIgM(図5)とキメラIgG1(図2C)の存在が確認された。トリIgM重鎖定常部エクソン1の配列には、N結合型糖鎖結合サイトが含まれるため、トリIgM重鎖及びその定常部エクソン1を含むキメラ抗体重鎖の見かけの分子量は標準のヒトIgG1に比べて著しく大きくなっている(図2B、「標準ヒトIgG1κ」のレーンと「キメラIgG1算出クローン」のレーンを比較)。この点については、本実施例で得られたトリIgM重鎖及びヒトキメラIgG1重鎖をN結合糖鎖切断処理したところ、予測分子量になることを確認している(トリIgM約60KDa、キメラIgG約50KDa)。また、キメラ13.29クローンの膜結合型抗体に関し、FACS解析を行ったところ、標準のDT40細胞と同じように膜結合型トリIgMが発現していることを確認した(図3)。従って、キメラ13.29クローンは、トリ−ヒトキメラIgGを分泌する他、トリ膜結合型IgMとトリ分泌型IgMの3種類の抗体を産生していることが明らかとなった。
本実施例で取得したキメラ13.29クローンをTSA(トリコスタチンA)含有培地で6週間培養し、可変領域遺伝子配列の多様化を促進した後、多様化の状況を配列解析で確認した(図4)。その結果、軽鎖の可変領域は100%、重鎖では54%の配列が培養前の元クローンと異なる配列パターンを示し、トリIgMのみ発現する野生株DT40と同等の高い効率で多様化が促進されていることが確認された。従って、キメラ13.29クローンの可変領域を多様化する結果、該キメラB細胞が自律的に種々の抗体を産生する細胞集団を形成し、抗体産生細胞ライブラリーが構築されることが明らかとなった。
13.29クローンから構築した抗体産生細胞ライブラリーを用いて、アポフェリチンを固定した磁気ビーズにより、ADLibシステムに従って抗アポフェリチン抗体産生細胞のセレクションを行った。その結果、O.D.450値が0.500以上でアポフェリチンに反応を示す分泌型トリIgMと共に、目的のキメラIgG1抗体を産出する細胞クローンの候補を、複数取得することができた(図5)。キメラIgG1については、上清に分泌される抗体の濃度がトリIgMより薄いため、反応強度が低くめに現れるので、O.D.450値が0.200以上のものを陽性として選択した。
上記セレクションで得られた抗アポフェリチン抗体を発現するクローンの一つ(候補#13)を一例として選択し、該候補クローンを増殖させた後、プロテインGアフィニティーカラムでキメラIgG1抗体の精製/濃縮を行った。精製後、アポフェリチンに対して高い反応と特異性を示すキメラIgG1抗体が得られた(図6A)。定量的サンドイッチELISAで測定したキメラIgG1抗体の上清中濃度は、精製前:0.45μg/ml、精製後:4.43μg/mlで、約10倍濃縮されていることを確認した。
次に、競合ELISA法を用いて、トリIgMとキメラIgGのアポフェリチンに対する親和性の比較を行った。競合抗原量に対する抗体結合量の割合をプロットし、溶液中のフリーな抗体の結合を50%阻害するのに必要な競合抗原の量(IC50)を決定した(図6B)。IC50は、抗体の解離定数と関連する値である。2つの異なるクローンの平均のIC50値(図5候補クローン#4と#13)は、トリIgM(1.8nM)とキメラIgG(1.7nM)で近似していた。この結果から、抗原特異的なトリIgMを指標としてキメラB細胞を選択することで、トリIgMと同等の特異性及び親和性を持つキメラIgGを選択できることが示された。
所望の抗原特異性を示すキメラ抗体を選択する場合、キメラ化を行うことで、得られたキメラ抗体と抗原との反応性に少なからず影響が現れる。キメラ化によっても反応性を保持したキメラ抗体を効率よく取得するには、1段階目のELISAによる選択の際に抗ヒトIgG二次抗体による選択(抗ヒトIgG二次抗体によるアッセイで高めのELISA反応値を示すクローンを選択する)も同時に行い、早い段階で、所望の反応性を備えたキメラ抗体を選択することが重要である(図7)。図7に示すクローンAは、最初のELISAによるスクリーニングの段階で抗ヒトIgG二次抗体と高い反応性を示し、クローンBは低めの反応性を示していた(図5 候補クローン#13と#11)。これら2クローンは抗トリIgM二次抗体とは同等の反応性を示していた(図7左図)。これら2クローンについて、各々、プロテインGによりキメラIgGを精製濃縮すると、クローンAの抗ヒトIgG二次抗体に対する反応性は高い値を示し、クローンBの反応性はかなり低い値を示す結果となった(図7右図)。なお、これら2クローンのキメラIgG1の濃度には顕著な差は無いことも定量的サンドイッチELISAで確認しており(精製前クローンA:0.32μg/ml、クローンB:0.38μg/ml、精製後クローンA:5.5μg/ml、クローンB:6.2μg/ml)、上記の反応性の違いは濃度の違いでなく、キメラ化の影響によるものであることが示された。
次に、キメラIgGの産生量を増加させるために、培養上清中のIgG濃度がより高くなるように、IgMに対するIgGの発現割合を変えることができないかどうか検討を行った。前述のように、B細胞が成熟型プラズマ細胞に分化する際、プロモーターに近いポリAサイトの使用が、CstFなどのポリアデニル化に関与する因子の過剰発現により増強され、分泌型IgMの産生が膜結合型IgMよりも増大することが知られている。本発明で構築した抗体発現コンストラクトはヒトIgHG1インサートの下流にポリAサイトを含んでいるため、ポリアデニル化に関与する因子の1つであるCstFの64kDaサブユニット(CstF−64)をキメラ抗体産生株に導入して過剰発現させることで、キメラIgGの産生量が増大するのではないかと予想し、以下のように検討を行った。
まず、キメラIgGの発現量の変化を検討するにあたり、細胞の成長のばらつきによる影響を排除するために、異なる初期細胞密度(0.5×10、1×10、2×10)により培養を開始したクローンを2クローン用いて実験を行った。各細胞密度培養16時間後に上清を回収した。CstF−64を過剰発現させたキメラ抗体産生株(図8A、CstF−64)の培養上清中のキメラIgG濃度は、CstF−64を過剰発現させていない由来を同じくする株(図8A、CX13)のキメラIgG濃度より2〜3倍高かった(図8A)。これに対し、CstF−64を過剰発現させたキメラ抗体産生株の培養上清中のIgM濃度は劇的に減少し、少なくとも1/10程度になっていた(図8B)
この結果から、キメラIgG産生細胞中でポリアデニル化因子のCstF−64を過剰発現させると、IgMの発現が停止し、相対的にIgGの合成が増大することが分かる(IgG:IgMの比率が、約1:5から約4:1に変動した)。
本発明は、キメラ抗体を産生するキメラB細胞の迅速かつ簡便な作製方法を提供するものである。抗体医薬の重要性に鑑み、今後の創薬、医療の分野において、所望の薬効を示す抗体医薬の開発に際し、本発明が提供する技術は、極めて重要な役割を担うものとして期待される。

Claims (16)

  1. 抗体産生B細胞の染色体上のVDJ領域下流に存在する抗体重鎖遺伝子のエクソン1とエクソン2の間に、以下の(a)又は(b)の遺伝子もしくはその一部を挿入したキメラB細胞。
    (a)該B細胞が由来する動物とは異なる動物の抗体重鎖定常領域遺伝子、
    (b)該B細胞が産生する抗体とは異なるクラスの抗体重鎖定常領域遺伝子
  2. ポリアデニル化に関与する因子又はポリアデニル化に関与する因子の補充に関与する転写伸長・活性化因子を過剰発現している請求項1に記載のキメラB細胞。
  3. 前記ポリアデニル化に関与する因子が、CstF又はCstF−64サブユニットである請求項2に記載のキメラB細胞。
  4. 前記ポリアデニル化に関与する因子の補充に関与する転写伸長・活性化因子が、ELL2である請求項2に記載のキメラB細胞。
  5. 前記キメラB細胞の細胞表面上に抗体が発現していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のキメラB細胞。
  6. 前記キメラB細胞の抗体可変領域遺伝子に、多様な変異を導入することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキメラB細胞。
  7. 前記多様な変異の導入が、前記抗体産生B細胞又は前記キメラB細胞中のヒストン脱アセチル化酵素遺伝子の機能を低下又は喪失させることによって達成される請求項6に記載のキメラB細胞。
  8. 前記ヒストン脱アセチル化酵素が、HDAC2であることを特徴とする請求項7に記載のキメラB細胞。
  9. 前記多様な変異の導入が、前記キメラB細胞をHDAC阻害剤で処理することで達成される請求項6に記載のキメラB細胞。
  10. 前記異なるクラスがIgGである請求項1乃至9のいずれかに記載のキメラB細胞。
  11. 前記異なる動物が、ヒト、マウス、ウサギのいずれかである請求項1乃至10のいずれかに記載のキメラB細胞。
  12. 前記抗体産生B細胞が、DT40細胞である請求項1乃至11のいずれかに記載のキメラB細胞。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載のキメラB細胞からなる抗体産生細胞ライブラリー。
  14. 請求項1乃至12のいずれかに記載のキメラB細胞からキメラ抗体を作製する方法。
  15. 前記抗体産生B細胞のCH1、CH2及びCH3遺伝子領域中のCH1遺伝子領域とCH2遺伝子領域の間に前記異なる動物の抗体重鎖定常領域遺伝子又は異なるクラスの抗体重鎖定常領域遺伝子が配置された核酸配列が挿入された遺伝子ターゲット用ベクターを含む、請求項1乃至12のいずれかに記載のキメラB細胞を作製するためのキット。
  16. 請求項14に記載の方法により取得されるキメラ抗体であって、抗体産生B細胞の抗体重鎖可変領域及びCH1領域と、該B細胞が由来する動物とは異なる動物の抗体重鎖定常領域若しくはその一部、あるいは、該B細胞が産生する抗体とは異なるクラスの抗体重鎖定常領域若しくはその一部からなる抗体重鎖、及び当該抗体産生B細胞の抗体軽鎖を含む、キメラ抗体。
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