JP2011006511A - ナノコンポジット - Google Patents
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Abstract
【課題】マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにカーボンナノチューブが良好に分散した、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供する。
【解決手段】本発明のナノコンポジットは、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにフィラーが分散したナノコンポジットであって、該フィラーが、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のナノコンポジットは、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにフィラーが分散したナノコンポジットであって、該フィラーが、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブである。
【選択図】なし
Description
本発明は、ナノコンポジットに関する。詳細には、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンに、樹脂コーティングされたカーボンナノチューブが分散した、ナノコンポジットに関する。
マトリックス樹脂にフィラーが分散したナノコンポジットは、該フィラーの作用効果によって様々な特性を発現できるため、各種分野の材料として用いることができる(特許文献1)。
カーボンナノチューブは、機械的特性や電気的特性など、様々な特性を発現し得るフィラーとして知られている。このカーボンナノチューブをマトリックス樹脂に分散してナノコンポジットとすることができれば、様々な特性を発現することが期待される。
ところが、カーボンナノチューブをマトリックス樹脂に分散しようとすると、カーボンナノチューブが大きな凝集ドメインを形成してしまい、良好な分散状態を作ることが極めて困難であった。この困難性は、各種分野の材料として汎用されているポリオレフィンをマトリックス樹脂とする場合に、特に大きなものであった。
こうした問題を解決するために分散剤が用いられている。炭素繊維やカーボンナノチューブの樹脂への分散剤としては、酸基または酸無水物基を有する樹脂が用いられている(特許文献2、特許文献3)。これらの技術では、炭素繊維またはカーボンナノチューブとマトリックス樹脂と分散剤が同時に混合されている。
しかしながら、樹脂と分散剤とフィラーを一緒に混合すると、フィラーと接触しない分散剤の発生を避け得ないため、混合した分散剤を有効利用できないばかりでなく、余分の分散剤がマトリックス樹脂の物性を低下させる懸念がある。
本発明の課題は、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにカーボンナノチューブが良好に分散した、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することにある。
本発明のナノコンポジットは、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにフィラーが分散したナノコンポジットであって、該フィラーが、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブである。
好ましい実施形態においては、上記非塩素系変性ポリオレフィンの重量平均分子量が4000〜100000である。
好ましい実施形態においては、上記非塩素系変性ポリオレフィンの軟化点が50〜140℃である。
好ましい実施形態においては、上記非塩素系変性ポリオレフィンとOPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度が600〜1000g/15mmである。
好ましい実施形態においては、上記マトリックス樹脂がポリプロピレンである。
本発明によれば、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにカーボンナノチューブが良好に分散した、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することができる。
上記効果は、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンに分散させるフィラーとして、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブを用いることにより、発現することができる。
本発明のナノコンポジットは、マトリックス樹脂にフィラーが分散したナノコンポジットである。
本発明における上記マトリックス樹脂は、ポリオレフィンである。ポリオレフィンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリオレフィンを採用し得る。本発明の効果を十分に発現するためには、重合単位の炭素数が2〜4のポリオレフィンが好ましく、重合単位の炭素数が3のポリオレフィン(すなわち、ポリプロピレン)がより好ましい。
本発明における上記フィラーは、特定の樹脂でコーティングされたカーボンナノチューブである。
上記カーボンナノチューブとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なカーボンナノチューブを採用し得る。例えば、単層のカーボンナノチューブでも良いし、多層のカーボンナノチューブでも良い。また、先端が開いたカーボンナノチューブでも良いし、先端が閉じたカーボンナノチューブでも良い。
上記カーボンナノチューブは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造されたものを採用し得る。例えば、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学的気相成長法(CVD法)、触媒化学気相成長法(CCVD法)が挙げられる。
上記カーボンナノチューブの最大径は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な値を採り得る。本発明の効果を十分に発現するためには、上記カーボンナノチューブの最大径の上限は、250nmが好ましく、200nmがより好ましく、150nmがさらに好ましく、100nmが特に好ましく、50nmが最も好ましい。本発明の効果を十分に発現するためには、上記カーボンナノチューブの最大径の下限は、0.7nmが好ましく、1nmがより好ましく、2nmがさらに好ましく、4nmが特に好ましく、7nmが最も好ましい。上記カーボンナノチューブの最大径が250nmより大きいと、たとえ、本発明のように樹脂コーティングしても、マトリックス樹脂への分散性が低下するおそれがある。上記カーボンナノチューブの最大径が0.7nmより小さいと、マトリックス樹脂へ分散させた場合に該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現することができないおそれがある。カーボンナノチューブのアスペクト比は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは100以上である。アスペクト比が5より小さいと、マトリックス樹脂へ分散させた場合に該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現することができないおそれがある。アスペクト比は、走査型電子顕微鏡で長さと直径を測定し、その比より求めることができる。
本発明においてカーボンナノチューブをコーティングしている上記特定の樹脂は、非塩素系変性ポリオレフィンである。非塩素系変性ポリオレフィンとは、塩素を含まない変性ポリオレフィンである。本発明において、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブを用いることにより、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにカーボンナノチューブが良好に分散した、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することができる。
非塩素系変性ポリオレフィンによるコーティング層の厚みは、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜70nm、さらに好ましくは3〜50nmである。1nmより薄いとコーティングの効果が現れにくいおそれがある。100nmより厚いとコンポジットにおける非塩素系変性ポリオレフィンの割合が高くなるため、マトリックス樹脂の物性への影響が懸念される。
上記非塩素系変性ポリオレフィンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な非塩素系変性ポリオレフィンを採用し得る。本発明の効果を十分に発現するためには、重合単位の炭素数が2〜4のポリオレフィンの変性物が好ましく、重合単位の炭素数が3のポリオレフィン(すなわち、ポリプロピレン)の変性物がより好ましい。
上記非塩素系変性ポリオレフィンを得るための変性方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な変性方法を採用し得る。例えば、ポリオレフィンのグラフト変性により上記非塩素系変性ポリオレフィンを得る方法、α−オレフィンと変性用ビニルモノマーとの共重合による変性により上記非塩素系変性ポリオレフィンを得る方法が挙げられる。上記グラフト変性に用い得るビニルモノマーや上記共重合に用い得る変性用ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの酸性基が挙げられる。さらに(メタ)アクリル酸エステルを用いることもできる。非塩素系変性ポリオレフィン中の酸性基の量は、好ましくは0.01〜10meq/g、より好ましくは0.05〜6meq/gの範囲、さらに好ましくは0.1〜4meq/gの範囲である。
上記非塩素系変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量平均分子量を採用し得る。本発明の効果を十分に発現するためには、上記非塩素系変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、4000〜100000であることが好ましく、8000〜80000であることがより好ましい。上記非塩素系変性ポリオレフィンの重量平均分子量が上記範囲内にあることによって、カーボンナノチューブへのコーティングが効果的に可能となり、さらに、カーボンナノチューブに該非塩素系変性ポリオレフィンをコーティングした場合に、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンに該コーティングされたカーボンナノチューブが極めて良好に分散でき、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することができる。
上記非塩素系変性ポリオレフィンの軟化点は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な軟化点を採用し得る。本発明の効果を十分に発現するためには、上記非塩素系変性ポリオレフィンの軟化点は、50〜140℃であることが好ましく、55〜135℃であることがより好ましく、60〜135℃であることがさらに好ましい。上記非塩素系変性ポリオレフィンの軟化点が上記範囲内にあることによって、カーボンナノチューブへのコーティングが効果的に可能となり、さらに、カーボンナノチューブに該非塩素系変性ポリオレフィンをコーティングした場合に、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンに該コーティングされたカーボンナノチューブが極めて良好に分散でき、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することができる。
上記非塩素系変性ポリオレフィンは、好ましくは、高いヒートシール性を有する。上記非塩素系変性ポリオレフィンとOPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度は、600〜1000g/15mmであることが好ましく、650〜950g/15mmであることがより好ましく、700〜950g/15mmであることがさらに好ましい。上記非塩素系変性ポリオレフィンとOPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度が上記範囲内にあることによって、カーボンナノチューブへのコーティングが効果的に可能となり、さらに、カーボンナノチューブに該非塩素系変性ポリオレフィンをコーティングした場合に、マトリックス樹脂としてのポリオレフィンに該コーティングされたカーボンナノチューブが極めて良好に分散でき、該カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できるナノコンポジットを提供することができる。
本発明のナノコンポジットは、マトリックス樹脂としての上記ポリオレフィンに上記コーティングされたカーボンナノチューブが分散したナノコンポジットである。
本発明のナノコンポジットは、ポリオレフィンにカーボンナノチューブが良好に分散しているので、カーボンナノチューブの存在に起因する様々な特性を発現できる。例えば、耐熱性の向上、軽量での機械的強度の向上、耐摩耗性向上が挙げられる。
本発明のナノコンポジットで用いられるカーボンナノチューブは非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされているので、カーボンナノチューブが本来有する導電性を抑制することができる。したがって、本発明のナノコンポジットは、導電性を有することが好まれない各種材料に好ましく用いることができる。
本発明のナノコンポジットは、以上の特徴により、耐熱性が高いことが好まれる各種材料、軽量で且つ機械的強度が高いことが好まれる各種材料、耐摩耗性が高いことが好まれる各種材料、導電性を有することが好まれない各種材料に好ましく用いることができる。具体的には、例えば、バンパー、ダッシュボードなど、自動車分野における材料に好ましく用いることができる。
本発明のナノコンポジットにおいて、マトリックス樹脂にフィラーを分散させる方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、フィラーを任意の適切な溶媒に分散あるいは溶解させたものと、マトリックス樹脂を任意の適切な溶媒に溶解させたものとを混合して撹拌し、必要に応じて加熱を施し、その後、溶媒を除去する方法や、フィラーを任意の適切な溶媒に分散あるいは溶解させたものにマトリックス樹脂を加え、必要に応じて加熱を施し、ニーダー等で1次混練した後に、二軸混練する方法が挙げられる。
上記フィラーを分散あるいは溶解させ得る溶媒としては、非塩素系変性ポリオレフィンと親和性があり、且つ、常温で液体である低分子有機化合物から選択される。具体的には、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレンなどの塩素系化合物;フッ化ベンゼンなどのフッ素系化合物;が挙げられる。
上記マトリックス樹脂を分散あるいは溶解させ得る溶媒としては、ポリオレフィンと親和性があり、且つ、常温で液体である低分子有機化合物から選択される。具体的には、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレンなどの塩素系化合物;フッ化ベンゼンなどのフッ素系化合物;が挙げられる。
本発明のナノコンポジット中におけるフィラーの含有割合は、好ましくは0.01〜65体積%、より好ましくは0.1〜60体積%、さらに好ましくは0.5〜50体積%である。本発明のナノコンポジット中におけるフィラーの含有割合が0.01体積%より少ないと、フィラーを配合したことによる効果が十分に発揮できないおそれがある。本発明のナノコンポジット中におけるフィラーの含有割合が65体積%より多いと、ナノコンポジットを形成することが困難となるおそれがある。
本発明のナノコンポジットは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、例えば、分散剤、着色剤、防腐剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、香料、その他のポリマーが挙げられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
〔製造例1〕:非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブの製造
500mlビーカーに、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、「NC7000」、φ9nm、長さ1.5μm)1g、非塩素系ポリオレフィン(日本製紙ケミカル社製、「アウローレン(登録商標)200」、重量平均分子量:55000〜75000、軟化点:60〜70℃、OPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度:950g/15mm)1g、トルエン198g、およびスターラーチップを入れ、氷水浴で冷却して、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、超音波ホモジナイザー(日科機製、φ36mmチップ使用)を用いてカーボンナノチューブを分散した。分散は、10分間分散−5分間冷却のサイクルを、分散液の粘度が低下するまで約8〜10回繰り返した。この操作を15回行い、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を得た。
なお、上記非塩素系ポリオレフィンは、「アウローレン(登録商標)200T」(「アウローレン(登録商標)200」のトルエン溶液)を乾固した後、シクロヘキサン可溶分のみを抽出し、次いで、シクロヘキサンを乾固して得た。
このトルエン分散液からトルエンを除いて得られた固体の破断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブの周囲に厚さ約20nmのコーティング層が観察された。
500mlビーカーに、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、「NC7000」、φ9nm、長さ1.5μm)1g、非塩素系ポリオレフィン(日本製紙ケミカル社製、「アウローレン(登録商標)200」、重量平均分子量:55000〜75000、軟化点:60〜70℃、OPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度:950g/15mm)1g、トルエン198g、およびスターラーチップを入れ、氷水浴で冷却して、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、超音波ホモジナイザー(日科機製、φ36mmチップ使用)を用いてカーボンナノチューブを分散した。分散は、10分間分散−5分間冷却のサイクルを、分散液の粘度が低下するまで約8〜10回繰り返した。この操作を15回行い、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を得た。
なお、上記非塩素系ポリオレフィンは、「アウローレン(登録商標)200T」(「アウローレン(登録商標)200」のトルエン溶液)を乾固した後、シクロヘキサン可溶分のみを抽出し、次いで、シクロヘキサンを乾固して得た。
このトルエン分散液からトルエンを除いて得られた固体の破断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、カーボンナノチューブの周囲に厚さ約20nmのコーティング層が観察された。
〔比較製造例1〕:コーティングされていないカーボンナノチューブの製造
500mlビーカーに、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、「NC7000」、φ9nm、長さ1.5μm)1g、トルエン199g、およびスターラーチップを入れ、氷水浴で冷却して、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、超音波ホモジナイザー(日科機製、φ36mmチップ使用)を用いてカーボンナノチューブを分散した。分散は、10分間分散−5分間冷却のサイクルを、分散液の粘度が低下するまで約8〜10回繰り返した。この操作を15回行い、コーティングされていないカーボンナノチューブのトルエン分散液(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を得た。
500mlビーカーに、カーボンナノチューブ(ナノシル社製、「NC7000」、φ9nm、長さ1.5μm)1g、トルエン199g、およびスターラーチップを入れ、氷水浴で冷却して、マグネティックスターラーを用いて撹拌しながら、超音波ホモジナイザー(日科機製、φ36mmチップ使用)を用いてカーボンナノチューブを分散した。分散は、10分間分散−5分間冷却のサイクルを、分散液の粘度が低下するまで約8〜10回繰り返した。この操作を15回行い、コーティングされていないカーボンナノチューブのトルエン分散液(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を得た。
〔実施例1〕:ナノコンポジット(1)(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)の製造
製造例1で得られた非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液をエバポレーターで約2000mlに濃縮した。次いで、得られた濃縮液(固形分濃度0.011g/ml)にポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)198gを加え、ステンレス釜中で加熱しながら硬いペースト状にした。これを3バッチに分けてニーダー(トーシン社製、容量60ml、温度170℃、回転数1000rpm)に少しずつ入れ、10分間混練した。
得られた混練物を取り出し、ホットプレス(210℃)で板状に加工した後、ペレタイザーでペレット化した。
次いで、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化して、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を作製した。
次いで、成形ペレットとポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)とを混合し、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを3バッチに分けてニーダー(トーシン社製、容量60ml、温度170℃、回転数1000rpm)に少しずつ入れ、10分間混練した。
得られた混練物を取り出し、ホットプレス(210℃)で板状に加工した後、ペレタイザーでペレット化した。
次いで、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化して、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)としてのナノコンポジット(1)を作製した。
ナノコンポジット(1)の破断面のSEM画像を図1に示す。図1に示すように、ナノコンポジット(1)においては、カーボンナノチューブがポリプロピレン中に偏在することなく良好に分散している。
製造例1で得られた非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液をエバポレーターで約2000mlに濃縮した。次いで、得られた濃縮液(固形分濃度0.011g/ml)にポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)198gを加え、ステンレス釜中で加熱しながら硬いペースト状にした。これを3バッチに分けてニーダー(トーシン社製、容量60ml、温度170℃、回転数1000rpm)に少しずつ入れ、10分間混練した。
得られた混練物を取り出し、ホットプレス(210℃)で板状に加工した後、ペレタイザーでペレット化した。
次いで、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化して、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:5重量%)を作製した。
次いで、成形ペレットとポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)とを混合し、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを3バッチに分けてニーダー(トーシン社製、容量60ml、温度170℃、回転数1000rpm)に少しずつ入れ、10分間混練した。
得られた混練物を取り出し、ホットプレス(210℃)で板状に加工した後、ペレタイザーでペレット化した。
次いで、二軸混練機(テクノベル社製、「KZW 15/30」)を用いて、押出機の5つのゾーン温度を入口から出口にかけて順に100℃(入口温度)、170℃、170℃、170℃、160℃(出口温度)に設定して混練し、ペレタイザーにてペレット化して、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)としてのナノコンポジット(1)を作製した。
ナノコンポジット(1)の破断面のSEM画像を図1に示す。図1に示すように、ナノコンポジット(1)においては、カーボンナノチューブがポリプロピレン中に偏在することなく良好に分散している。
〔比較例1〕:比較用ナノコンポジット(C1)の製造
製造例1で得られた非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液の代わりに、比較製造例1で得られたコーティングされていないカーボンナノチューブのトルエン分散液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)としての比較用ナノコンポジット(C1)を作製した。
比較用ナノコンポジット(C1)の破断面のSEM画像を図2に示す。図2に示すように、比較用ナノコンポジット(C1)においては、カーボンナノチューブがポリプロピレン中に偏在しており、分散性が悪い。
製造例1で得られた非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブのトルエン分散液の代わりに、比較製造例1で得られたコーティングされていないカーボンナノチューブのトルエン分散液を用いた以外は、実施例1と同様に行い、成形用ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)としての比較用ナノコンポジット(C1)を作製した。
比較用ナノコンポジット(C1)の破断面のSEM画像を図2に示す。図2に示すように、比較用ナノコンポジット(C1)においては、カーボンナノチューブがポリプロピレン中に偏在しており、分散性が悪い。
〔実施例2〕:ナノコンポジット(1)の評価
実施例1で得られたナノコンポジット(1)の成形ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。なお、曲げ強度および曲げ弾性率は、JIS K 7171に準じて測定した。
評価結果を図3に示す。
実施例1で得られたナノコンポジット(1)の成形ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。なお、曲げ強度および曲げ弾性率は、JIS K 7171に準じて測定した。
評価結果を図3に示す。
〔比較例2〕:比較用ナノコンポジット(C1)の評価
比較例1で得られた比較用ナノコンポジット(C1)の成形ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
評価結果を図3に示す。
比較例1で得られた比較用ナノコンポジット(C1)の成形ペレット(カーボンナノチューブの含有量:2重量%)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
評価結果を図3に示す。
〔比較例3〕:マトリックス樹脂単独の評価
ポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
評価結果を図3に示す。
ポリプロピレンペレット(日本ポリプロピレン社製、「NOVATEC MA3」)を、射出成形機(NISSEI樹脂社製、「HM7 DENKI」)を用いて射出成形した。金型は引張、IZOD両用のものを使用した。モルド温度は35℃に設定し、引張サンプルは計量20mm、IZODサンプルは計量28mmで行った。射出成形条件は、温度が200℃(C1、C2、C3ともに)、射出圧力が100MPa、サイクルタイムが25秒に設定した。
得られた射出成形品の曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。
評価結果を図3に示す。
図3を見ると、実施例1で得られたナノコンポジット(1)は、曲げ強度、曲げ弾性率のいずれにおいても、比較例1で得られた比較用ナノコンポジット(C1)よりも優れている。さらに、カーボンナノチューブの含有量に着目すると、同等の曲げ強度、曲げ弾性率を発現させる場合、本発明のナノコンポジット(非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブが分散)であれば、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされていないカーボンナノチューブが分散したナノコンポジットと比較して、半分量以下でも同等の曲げ強度、曲げ弾性率を発現することができる。
本発明のナノコンポジットは、例えば、耐熱性が高いことが好まれる各種材料、軽量で且つ機械的強度が高いことが好まれる各種材料、耐摩耗性が高いことが好まれる各種材料、導電性を有することが好まれない各種材料に好ましく用いることができる。具体的には、例えば、バンパー、ダッシュボードなど、自動車分野における材料に好ましく用いることができる。
Claims (5)
- マトリックス樹脂としてのポリオレフィンにフィラーが分散したナノコンポジットであって、
該フィラーが、非塩素系変性ポリオレフィンでコーティングされたカーボンナノチューブである、ナノコンポジット。 - 前記非塩素系変性ポリオレフィンの重量平均分子量が4000〜100000である、請求項1に記載のナノコンポジット。
- 前記非塩素系変性ポリオレフィンの軟化点が50〜140℃である、請求項1または2に記載のナノコンポジット。
- 前記非塩素系変性ポリオレフィンとOPPフィルムとの140℃でのヒートシール強度が600〜1000g/15mmである、請求項1から3までのいずれかに記載のナノコンポジット。
- 前記マトリックス樹脂がポリプロピレンである、請求項1から4までのいずれかに記載のナノコンポジット。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009148841A JP2011006511A (ja) | 2009-06-23 | 2009-06-23 | ナノコンポジット |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014101233A (ja) * | 2012-11-16 | 2014-06-05 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 表面処理カーボンナノチューブ |
US10549996B2 (en) | 2015-12-29 | 2020-02-04 | Georgia Tech Research Corporation | Polymer coated multiwall carbon nanotubes |
JP7486910B1 (ja) | 2023-12-20 | 2024-05-20 | 株式会社エフ・シー・シー | 非水系カーボンナノチューブ分散液 |
-
2009
- 2009-06-23 JP JP2009148841A patent/JP2011006511A/ja active Pending
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