JP2011004807A - 超音波探触子 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の機械走査型超音波探触子においては、液体室が設けられていたため、重量化及び大型化という問題があった。
【解決手段】振動子ユニット24は、ユニット本体25と、その下端に設けられたゲル36と、を有する。振動子ユニット24は揺動運動し、各運動位置においてゲル36の下面36Aが接触壁22の内面22Bに密着する。ゲル36は、保形性(弾力性)、湿潤性、低摩擦性、化学的安定性等の性質を有している。ゲル36を交換するための構造を設けるようにしてもよいし、ゲル36を内面22Bにより密着させる付勢構造を採用するようにしてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】振動子ユニット24は、ユニット本体25と、その下端に設けられたゲル36と、を有する。振動子ユニット24は揺動運動し、各運動位置においてゲル36の下面36Aが接触壁22の内面22Bに密着する。ゲル36は、保形性(弾力性)、湿潤性、低摩擦性、化学的安定性等の性質を有している。ゲル36を交換するための構造を設けるようにしてもよいし、ゲル36を内面22Bにより密着させる付勢構造を採用するようにしてもよい。
【選択図】図1
Description
本発明は超音波探触子に関し、特に、機械的に走査される振動子ユニットを備えた超音波探触子の構造に関する。
超音波探触子は、生体に対する超音波診断において使用され、超音波の送受波を行うものである。様々な超音波探触子が実用化されている。その中で、機械走査型超音波探触子(メカニカルスキャンプローブ)は、探触子ケース、振動子ユニット、機械走査機構等を有する。かかる超音波探触子において、振動子ユニットは、直線状に平行走査され、円弧状に揺動走査され、あるいは、回転走査される。振動子ユニットが単振動子によって構成される場合、そのような振動子ユニットを揺動走査すれば扇状の二次元ビーム走査面が形成される。一方、振動子ユニットが1Dアレイ振動子によって構成される場合、そのような振動子ユニットを電子走査方向と直交する機械走査方向に揺動走査すれば二次元ビーム走査面が揺動走査されることになるので、三次元エコーデータ取込み空間(三次元空間)が構成される。
機械走査型超音波探触子において、探触子ケースの内面(生体接触部の内面)と、可動体としての振動子ユニットの送受波面との間に空気層が存在すると、超音波の伝搬を確保できない。振動子ユニットと空気層の間で音響インピーダンスの著しい段差が生じ、そこで超音波が反射してしまうためである。そこで、従来の機械走査型超音波探触子は、その内部に音響伝搬のための液体が充填された液体槽を備えている。その液体は、生体の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスをもったオイル、水等である。液体槽中で振動子ユニットを運動させれば、振動子ユニットの送受波面と探触子ケースの内面との間に常に液体が介在することになるので、良好な音響伝搬を確保できる。
しかしながら、上記の液体槽を利用する場合、振動子ユニット(特に1Dアレイ振動子を備えた比較的大きな振動子ユニット)は、その運動時に、液体からの大きな抵抗を受ける。このため、探触子ケース内に大型の駆動機構を設ける必要がある。また、液体の外部流出や気泡発生を防止するために、液体槽として特別な気密構造を採用する必要がある。このような理由から、超音波探触子が大型化、重量化してしまうという問題が指摘されている。
特許文献1には、振動子と生体との間に設けられる半固体状の油性ゲルが開示されている。当該ゲルは、従前のエコーゼリーに代えて利用される音響媒体であって、保形性を有するものである。すなわち、外力によって変形するが、それが無くなると原形に復帰するものである。特許文献2には水を多く含む保形性を有するハイドロゲルが開示されている。特許文献3にはシリコーンオイルを含有する低摩擦性をもったオルガノゲルが開示されている。これも保形性を有するゲルであると解される。しかし、特許文献1,2,3には超音波探触子内部でのそのようなゲルの利用については一切開示されていない。
特許文献4の図1及び図2には、振動子アレイと整合層を一体化して回転体を構成すること、及び、その回転体の下面(送受波面)を円板状の音響レンズの内面に当接させること、が開示されている。この構成において、回転体を回転させると、音響レンズの表面上において回転体の下面がスリップ運動することになる。しかし、そのような構成を採用した目的は、探触子それ自体を90度回転させないでも、その内部において振動子を90度回転させることにより、直交2断面を形成できるようにすることにあり、つまり、当該構成は、振動子の回転中に超音波の送受波を行うものではない。また、引用文献4には超音波探触子内部で保形性を有するゲルを利用することは一切開示されていない。なお、特許文献5にはオイルを含有する音響レンズを備えた超音波探触子が開示されている。
本発明の目的は、超音波探触子の内部構造を簡易化し、あるいは、超音波探触子を軽量化することにある。
あるいは、本発明の目的は、液体槽を用いなくても、振動子ユニットの各運動位置において良好な音響伝搬が確保されるようにすることにある。
本発明は、生体の超音波診断で使用される超音波探触子において、生体接触部を有する探触子ケースと、前記探触子ケース内に設けられた可動体としての振動子ユニットと、前記探触子ケース内において前記振動子ユニットを機械的に走査することによって、前記振動子ユニットにより形成される超音波ビーム又はビーム走査面を機械的に走査する機械走査機構と、を含み、前記振動子ユニットは、超音波振動子を有するユニット本体と、前記ユニット本体における生体側の下面を覆うように設けられ、保形性を有するゲル状の材料で構成され、前記ユニット本体の下面と前記生体接触部の内面との間における超音波伝搬を確保するためのゲル状媒体層と、を有し、前記ゲル状媒体層における生体側の下面がスリップ面を構成する、ことを特徴とする。
上記構成によれば、ユニット本体の下面から放射された超音波は、ゲル状媒体層及び生体接触部を通過し、生体内へ放射される。生体内からの反射波は、生体接触部及びゲル状媒体層を通過し、ユニット本体の下面に到達する。ユニット本体の下面と生体接触部の内面との間に常にゲル状媒体層が介在しているので、振動子ユニットの機械走査過程において常に良好な超音波伝搬を確保できる。よって、従来の超音波探触子において必要であった液体槽(液体が充填されていた部屋)を不要にでき、同時に、振動子ユニットの側面全体に及んでいた液体抵抗を無くすことができる。これにより、音響伝搬を確保しつつも、超音波探触子の小型化及び軽量化を図れるという利点を得られる。
超音波探触子は生体表面に当接されるものであるのが望ましいが、体腔内に挿入されるものであってもよい。生体接触部は超音波探触子内部から液体の流出、滲み出しを防止する隔壁又は仕切膜として機能するものである。生体接触部を透明性を有する部材で構成すれば、その内部に設けられたゲル状媒体槽を外部から観察可能である。生体接触部の外面が生体に直接的に当接されてもよいし、スタンドオフ材等を介して生体に間接的に当接されてもよい。その際に、従来同様に流動性のあるエコーゼリーが生体や外面に塗布されてもよい。単振動子を有する振動子ユニット及び1Dアレイ振動子を有する振動子ユニットのいずれも用いることができる。機械走査の方式としては、直線走査、円弧走査(あるいは揺動走査)、回転走査等があげられる。振動子ユニットが、振動子の他に、整合層、音響レンズ、バッキング等を有していてもよい。生体接触部が音響レンズの作用を発揮してもよい。
ゲル状媒体層は、保形性を有する材料により構成される。すなわち、経時劣化を考えないならば、一定形状を保持する性質を有し、換言すれば、外力によって塑性変形してしまうものではなく、外力によって弾性変形するものである。これによりユニット本体の下面と生体接触部の内面との隙間を音響媒体で満たすことができる。超音波伝搬経路上における空気層排除の観点から、あるいは、密着性向上の観点から、ゲル状媒体層は、液体湿潤性を有する材料により構成されるのが望ましい。その場合に利用される液体は、長期間にわたって安定なもの、つまり変質等を容易に生じないものであるのが望ましい。また、ゲル状媒体層は、低摩擦性をもった材料により構成されるのが望ましい。状況に応じて、特許文献1−3に記載したゲルやその他のゲルを用いることができる。近時、多様なゲルが実用化されており、また今後新しく色々なゲルが実用化されてくると思われるので、使用条件に応じて最適なゲルを選択するのが望ましい。
望ましくは、前記ゲル状媒体層は弾力性を有する。望ましくは、前記ゲル状媒体層は液体湿潤性を有する。望ましくは、前記ゲル状媒体層が含有する液体はオイルである。この構成によれば、機械走査が比較的高速で繰り返し実行されても、そのような過程において、送受波面とゲル状媒体層の表面との密着性を常に維持できる。ゲル状媒体層の押圧によってそこから液体が滲み出るなら、その液体が潤滑液として機能し、しかも空気層の除外作用も発揮するので、有利である。媒体層に対して泡立ちを防止する薬剤を添加するようにしてもよいし、ケース内に泡を消す構造を設けるようにしてもよい。
ゲル状媒体層が含有する液体がオイルであれば長期間にわたってその変質を防止できる。生理食塩水等を利用することもできる。振動子ユニットの運動空間から液体が簡単に漏れ出ないように、運動室の構築に当たってはシール構造を採用するのが望ましい。但し、従来の液体槽で見られるように(微小気泡の発生すら許さない)厳格なシール構造まで採用する必要性は必ずしもない。
望ましくは、前記ゲル状媒体層は、その原形状態において、前記生体接触部の内面と前記ユニット本体の下面との間の隙間よりも大きな厚みを有する。望ましくは、前記ユニット本体の下面と前記生体接触部の内面との間の隙間が小さくなるように、前記振動子ユニット及び前記生体接触部の少なくとも一方に付勢力を与える手段を含む。この構成によれば、ゲル状媒体層の弾力性に代えてあるいはそれに加えて付勢力手段によって付勢力を与えて密着度を高められる。いずれにしても、送受波面の全体について常時、密着状態が形成されるようにするのが望ましい。
望ましくは、前記探触子ケースが前記ゲル状媒体層の交換のための交換構造を有する。ゲル状媒体層だけが交換される構造を採用してもよいし、ゲル状媒体層と生体接触壁等の他の構造物が交換される構造を採用してもよい。この構成によれば、ゲル状媒体層の劣化時にそれを新しいものに交換できる。劣化の判断は、目視にて直接的に行うこともできるし、超音波画像に含まれるノイズ等から間接的に判断することもできる。実際の劣化を問わずに定期的に交換するようにしてもよい。
望ましくは、前記探触子ケースには、前記振動子ユニットを収容した運動室が設けられ、前記運動室内には、前記ゲル状媒体層に含有された液体と同じ液体からなる補充液が予め入れられる。補充液を入れておけばゲル状媒体層の乾燥を防止してその湿潤性を維持できる。望ましくは、前記探触子ケース内には、前記ゲル状媒体層に含有された液体と同じ液体からなる補充液を前記ゲル状媒体層へ供給する補充液供給手段が設けられる。
望ましくは、前記超音波振動子は、素子配列方向に並んだ複数の振動素子を有する1Dアレイ振動子であり、前記ユニット本体の下面は、前記素子配列方向に伸長した長さを有し、前記機械走査機構は、前記素子配列方向と直交する機械走査方向に前記振動子ユニットを往復運動させ、前記ゲル状媒体層は、前記素子配列方向において前記ユニット本体の下面の長さ以上の幅を有し、且つ、前記機械走査方向において前記ユニット本体の幅以上の幅を有する。望ましくは、前記ゲル状媒体層の下面は丸みをもった縁部を有する。この構成によれば、送受波面の運動によっても、送受反面の全面をゲル状媒体層に常に密着させることができる。また、運動時の負荷抵抗を低減でき、またゲル状媒体層に生じる局所応力を緩和できる。
本発明によれば、超音波探触子の内部構造を簡易化できる。あるいは、それを軽量化することができる。あるいは、液体槽中に振動子ユニットを浸漬させなくても、振動子ユニットの各運動位置において良好な音響伝搬を確保できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る超音波探触子の好適な実施形態が示されており、図1はその断面図である。この超音波探触子は、超音波診断装置に対して図示されていないプローブケーブルを介して接続されるものである。この超音波探触子は生体表面に当接して用いられ、その状態で超音波の送受波を行うものである。これにより受信信号が得られ、その受信信号に基づいて超音波画像が形成される。
図1に示す超音波探触子10は、上ケース12及び下ケース14を有している。上ケース12及び下ケース14は樹脂などにより構成され、それらは上下方向に連結されてプローブケースを構成している。上ケース12の外面は検査者の手により保持され、それはグリップ部を構成する。下ケース14は生体の表面上に当接される接触壁22を有している。
超音波探触子10の内部にはフレームをなす内ケース16が設けられている。内ケース16と下ケース14によって囲まれる部屋が運動室18である。運動室18は液体が漏れ出ない程度の密閉空間である。そのためシール構造が採用されている。ただし、従来の超音波探触子のような厳格な密閉構造までは必ずしも必要とされていない。上ケース12の内部空間20には後に説明する走査機構23の一部であるモータ28が設けられている。
超音波探触子10は走査機構23及び振動子ユニット24を有する。走査機構23は、モータ28及びウォームギア30を有している。ウォームギア30は、ギア32及びギア34により構成されている。ギア32はモータ軸28Aに連結されている。モータ28は内ケース16に固定されている。なお、走査機構23が減速用ギア機構等を有していてもよい。
振動子ユニット24は、回転軸26を中心として揺動運動するものである。振動子ユニット24は、ユニット本体25とゲル36とを有する。ユニット本体25は、その先端部すなわちその下端部に1Dアレイ振動子27を有している。1Dアレイ振動子27は電子走査方向に配列された複数の振動素子により構成されるものである。1Dアレイ振動子27により超音波ビームが形成され、その超音波ビームを電子的に走査することによりビーム走査面が構成される。振動子ユニット24の揺動運動により、ビーム走査面も揺動運動し、これにより3次元データ取込領域が構成される。
具体的には、モータ28の回転運動がウォームギア30により回転軸26の回転運動に転換されており、回転軸26の回転によりそれに固定連結された振動子ユニット24が回転運動する。その運動方向が図1においてθによって表されている。振動子ユニット24に整合層、音響レンズ及びバッキング層等の公知の部材を設けるようにしてもよい。
上述したように、下ケース14は接触壁22を有している。この接触壁22は、開口膜として機能するものであり、外面22A及び内面22Bを有する。外面22Aは生体に接触する面である。内面22Bはゲル36に接するスリップ面を構成する。必要に応じて外面22Aにはエコーゼリー等が塗布される。接触壁22は、丸みをもって形成されており、図1に示す断面図において、接触壁22は回転軸26を中心とした一定の曲率をもって形成されている。接触壁22は均一の厚さを有しているが、もちろん必要に応じてその厚さが連続的に変化してもよい。
本実施形態において、下ケース14における少なくとも接触壁22は透明性を有する部材により構成してもよい。これにより運動室18の内部を、具体的にはゲル36を外部から容易に観察することができる。
ユニット本体25の下面(生体側の面)25Aの全体がゲル36で覆われている。すなわち、ユニット本体25の下端部に対してゲル36はキャップのように機能している。ゲル36は、電子走査方向において下面25Aの長さ以上の幅を有し、機械走査方向において下面25Aの幅以上の幅を有する。図1に示す例では、ゲル36は、ユニット本体25の両側面よりも機械走査方向に膨らんだ一対の張り出し部を有している。ゲル36の厚みは、下面25Aと内面22Bとの間の隙間の大きさ以上であり、つまり機械走査のいずれの位置においても、下面25Aと内面22Bとの間がゲルによって満たされるように、言い換えれば、音響伝搬が確保されるように、その厚み(その形状)が定められている。ゲル36は、機械走査方向において必ずしも均一の厚さでなくてもよく、その中央部が盛り上がっていてもよい。ゲル36の下面(生体側の面)36Aは、可動体としての振動子ユニット24の送受波面を構成し、同時に、それがスリップ面を構成する。ゲル36は、上方に開いた凹部(溝)36Bを有し、その凹部36Bにユニット本体25の下端部が差し込まれている。図1に示す例では、ゲル36の下面36Aはその原形状態において機械走査方向に沿って一定の曲率半径をもった円筒面である。その曲率半径は、内面22Bの曲率半径と同じであってもよいし、それよりも小さくあるいは大きくてもよい。ゲル36は、弾性圧縮状態において、ユニット本体25と内面22Bとの間に介在配置されるのが望ましい。下面36Aの機械走査方向における両端部が丸みをもって構成されている。ゲル36は、ユニット本体25に対して、接着剤によって固定されてもよい。もちろん枠体やねじなどを利用してゲル36を固定するようにしてもよい。
ゲル36は保形性つまり弾力性を有する。すなわち、その設置時の押圧力により潰れるが、弾性復元力により、その押圧力が基本的にそのまま維持される。下面25Aと内面22Bとの隙間の大きさは機械走査方向において基本的に同じとなっているので、押圧力も機械走査方向の各位置において同じである。但し、密着性が維持される限りにおいて機械走査の過程で押圧力(あるいは潰れ状態)が変化してもよい。また、ゲル36は湿潤性を有している。すなわち、ゲル36は液体としてのオイルを含有した高分子材料により構成されており、下面(送受波面)25Aの押圧部分において液体が内部から滲み出る程度の湿潤性を有している。振動子ユニット24の設置時に、運動室18内に乾燥防止用の少量の補充液を入れておくのが望ましい。それが図1において符号38Bで示されている。ゲル36の表面(スリップ面)のウェット状態が維持されるならば、内面22Bとの間における摩擦を非常に小さくでき、また下面25Aと内面22Bとの間に空気層が生じることを効果的に防止できる。ゲル36は化学的な安定性を有する低摩擦性をもった柔軟な高分子材料により構成するのが望ましい。このような材料を用いれば下面25Aを保全でき、またその運動時における抵抗を緩和することが可能である。
なお、ゲル36として耐久性のあるものが用いられており、それは容易には劣化せず、ある程度長期間連続して使用可能である。ただし、ゲル36の劣化等が生じた場合にそれを新しいものに交換できるように構成するのが望ましい。
上述したように運動室18は気密空間として構成され、ゲル36が有する液体の蒸発や流出が防止されている。上記のように、プローブ製造段階において、運動室18内に少量の同一液体38Bを入れておけば、ゲル36の湿潤状態を長期間にわたって維持することができる。補充液は運動室18内を自由に運動することになるが、それは保湿状態を維持するためだけのものであるため、そのような運動は診断上問題とならない。
なお、補充液の供給機構を別途設けるようにしてもよい。例えば機械走査の往路端及び復路端に相当する位置に補充液を含有したスポンジを設け、振動子ユニットの側面によってスポンジが押されると、そこから補充液が滲み出るように構成してもよい。
図2には、超音波探触子10の他の断面図が示されている。図1に示した断面図と図2に示した断面図は直交関係にある。
内ケース16には2つの軸受16A,軸受16Bが形成されており、それらによって回転軸26が回転自在に保持されている。各軸受16A,軸受16Bの詳細構造は省略されている。回転軸26にはギア34が連結されており、そのギア34はギア32に噛み合っている。振動子ユニット24は図示される例においてリニア型ユニットであり、その下端部分には上述したように1Dアレイ振動子が設けられている。図においてはx方向が電子走査方向すなわち素子配列方向である。下面25Aには、それと内面22Bとの間の隙間を満たすようにゲル36が設けられており、そのゲル36は振動子ユニット24の運動位置にかかわらず、常に音響伝搬を確保する。下面25Aはx方向に伸長した長方形の面であり、当該x方向においてゲル36は下面25Aの幅よりも大きな横幅を有している。
図1及び図2に示した超音波探触子10によれば、探触子ケース内に液体が充填された部屋を設ける必要がなく、図示したような空気が入った運動室18だけを設ければよいので、振動子ユニット24を機械的に走査した場合において生じる液体抵抗すなわち液体に衝突することによる負荷の問題を解消することができる。もっとも、ゲル36が内面22Bに接触していることから、そこでの負荷は発生するが、その負荷は従来の媒体負荷に比べてかなり小さいため、走査機構を従来におけるものよりも小型化、軽量化することが可能である。これは超音波探触子それ自体の小型化及び軽量化に繋がるものである。上述したゲル36としては、生体の音響インピーダンスに等しいかあるいはそれに近い音響インピーダンスをもった材料により構成するのが望ましく、その際において、上述したような弾力性、湿潤性、低摩擦性、化学的安定性等の各条件を満たす材料を選択するのが望ましい。そのような材料として、現在存在する多数のゲル材料の中から、用途や条件に応じて適切なものを選択するのが望ましい。例えば特許文献1−3に示したようなものを用いることも可能である。オイルをゲル36に含浸させることにより長期間によっても変質が生じ難いという利点を得られる。もっとも、生理食塩水等を液体として利用することも可能である。なお、上述した実施形態においてはゲルは運動部材として利用されていたが、ゲルを内面22B上に固定部材として設けることも可能である。その場合においては、ユニット本体25の下面25Aが、固定部材としてのゲルの上面にスリップしながら当接することになる。そのような場合にはゲルとして機械走査方向に大きく広がったものを利用する必要がある。一方、図1及び図2に示した構成では少量のゲルを用いるだけで各運動位置において音響伝搬を確保できるという利点が得られる。また、ゲルの当接面が緩やかに湾曲した内面であるので、運動時の負荷が非常に小さいという利点が得られる。
図3には振動子ユニット24の具体例が分解斜視図として示されている。振動子ユニット24は、リニア型のユニット本体25と、ゲル36と、枠体80と、により構成されている。枠体80は、開口80Aを有する。枠体80によってゲル36をユニット本体25に固定することができ、その場合においてゲル36の下面(図3において上向きの面)を開口80Bを介して露出させることができる。図4には組み立て後の振動子ユニット24が示されている。
図5には、付勢機構の例が示されている。図示される付勢機構56は、バネ62を用いて、振動子ユニット24を内面22Bに押し付けて、ゲル36の内面22Bへの密着状態をより確実にするものである。具体的には、上ケース12に対して下ケース14が上下方向に運動可能に取り付けられている。上ケース12には台座58が形成され、一方、下ケース14の上端部が台座60として機能している。台座58と台座60との間にはバネ62が設けられている。符号57は上ケース12と下ケース14とを繋ぐ連結部材を示している。実際には、運動室を取り囲むように複数のバネが設けられている。それらのバネ62は引っ張り方向に力を発揮するものであり、すなわち内ケース16に対して下ケース14が近づく方向に付勢力が働いている。これにより内面22Bをゲル36に押し付けることが可能である。このような構成においては、ゲル36の弾性と付勢機構56の付勢力との2つの作用により、密着性をより高めることが可能である。例えばゲル36が経年変化により厚みにばらつき等が生じても、その付勢力によって確実に密着性を維持することが可能である。
図5に示す構成によれば、連結部材57を外して下ケース14を取り外すことができる。その状態では、振動子ユニット24が露出することになるので、ゲル36を容易に交換できる。
なお、ユニット本体がコンベックス形状を有していてもよい。ユニット本体の下面の形状としては平坦、凸形、凹形等が考えられる。
10 超音波探触子、12 上ケース、14 下ケース、16 内ケース、18 運動室、22 接触壁、23 走査機構、24 振動子ユニット、25 ユニット本体、36 ゲル。
Claims (11)
- 生体の超音波診断で使用される超音波探触子において、
生体接触部を有する探触子ケースと、
前記探触子ケース内に設けられた可動体としての振動子ユニットと、
前記探触子ケース内において前記振動子ユニットを機械的に走査することによって、前記振動子ユニットにより形成される超音波ビーム又はビーム走査面を機械的に走査する機械走査機構と、
を含み、
前記振動子ユニットは、
超音波振動子を有するユニット本体と、
前記ユニット本体における生体側の下面を覆うように設けられ、保形性を有するゲル状の材料で構成され、前記ユニット本体の下面と前記生体接触部の内面との間における超音波伝搬を確保するためのゲル状媒体層と、
を有し、
前記ゲル状媒体層における生体側の下面がスリップ面を構成する、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1記載の超音波探触子において、
前記ゲル状媒体層は弾力性を有する、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項2記載の超音波探触子において、
前記ゲル状媒体層は液体湿潤性を有する、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項3記載の超音波探触子において、
前記ゲル状媒体層が含有する液体はオイルである、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
前記ゲル状媒体層は、その原形状態において、前記生体接触部の内面と前記ユニット本体の下面との間の隙間よりも大きな厚みを有する、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
前記ユニット本体の下面と前記生体接触部の内面との間の隙間が小さくなるように、前記振動子ユニット及び前記生体接触部の少なくとも一方に付勢力を与える手段を含む、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
前記探触子ケースが前記ゲル状媒体層の交換のための交換構造を有する、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
前記探触子ケースには、前記振動子ユニットを収容した運動室が設けられ、
前記運動室内には、前記ゲル状媒体層に含有された液体と同じ液体からなる補充液が予め入れられた、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波探触子において、
前記探触子ケース内には、前記ゲル状媒体層に含有された液体と同じ液体からなる補充液を前記ゲル状媒体層へ供給する補充液供給手段が設けられた、ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項1記載の超音波探触子において、
前記超音波振動子は、素子配列方向に並んだ複数の振動素子を有する1Dアレイ振動子であり、
前記ユニット本体の下面は、前記素子配列方向に伸長した長さを有し、
前記機械走査機構は、前記素子配列方向と直交する機械走査方向に前記振動子ユニットを往復運動させ、
前記ゲル状媒体層は、前記素子配列方向において前記ユニット本体の下面の長さ以上の幅を有し、且つ、前記機械走査方向において前記ユニット本体の幅以上の幅を有する、
ことを特徴とする超音波探触子。 - 請求項10記載の超音波探触子において、
前記ゲル状媒体層の下面は丸みをもった縁部を有する、ことを特徴とする超音波探触子。
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WO2016053048A1 (ko) * | 2014-10-02 | 2016-04-07 | 삼성전자 주식회사 | 초음파 탐촉자용 어태치먼트, 초음파 탐촉자, 초음파 검사 장치 및 초음파 검사 방법 |
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