JP2011004623A - 水田溝切り機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水田溝切り機は、回転駆動される駆動用車輪4と、当該駆動用車輪4の後方で水田に溝を形成する溝切り刃20と、当該溝切り刃20を駆動用車輪4に支持させる伝動軸用パイプ1とステー15を備える。溝切り刃20はステー15に対して揺動自在に接続されている。溝切り刃20に設けられたロックピン33に係止される係止爪37を備えた取っ手34を有し、取っ手34を持ち上げるとロックピン33への係止が解除される。さらに、駆動用車輪4の回転中心を中心として伝動軸用パイプ1が回転し、溝切り刃20が傾斜角度を大きくして泥から引き抜かれ、駆動用車輪4を中心として方向転換が可能となる。
【選択図】図1
Description
歩行型の水田溝切り機においては、前後方向に延びる伝動軸用パイプの後端部および前端部にそれぞれ、エンジンおよび減速機が取り付けられている。エンジンの回転動力は、伝動軸用パイプ内の伝動軸を介して減速機へ伝達される。伝動軸用パイプの中間部には、ハンドルの基端部が固定されており、このハンドルは後方へ向かって延びエンジンの上方へ張り出している。減速機の出力軸には、車輪が取り付けられており、この車輪は、減速機を介して減速されて伝達されて来るエンジンからの回転動力により回転駆動される。伝動軸用パイプには、斜め後方に延びるステーが固定されており、このステーの後端部には、溝切り刃(培土板)が前端側を後端側より高くなるように傾斜して取り付けられている。
したがって、水田溝切り機をその場で方向転換させるためには、水田溝切り機を持ち上げて駆動用車輪と溝切り刃とを泥の中から出して回転させる必要があった。
この際には、水田溝切り機の重量に対する力だけではなく、土中の車輪下部や溝切り刃を泥から引き抜く際の泥の抵抗に対する力も必要となり、大きな労力を必要とする。
特に、溝切り刃は、全体が後方に向うほど下に傾斜して後端部が泥の中に沈んだ状態となるとともに、この傾斜角度で後端部が泥を掬うような形状となっているので、そのまま溝切り刃を上に持ち上げると、大きな泥の抵抗が作用するとともに、後端部上に掬い上げられた泥の重量が作用し、水田溝切り機を持ち上げる際に大きな力が必要となり、作業者の負担となっていた。
また、この際に溝切り刃の後端部は、駆動用車輪側に引き寄せされることになり、溝切り刃の移動の支点となっている駆動用車輪の回転中心側に近づくことになる。これにより、溝切り刃を駆動用車輪の回転中心を支点として泥から引き抜くように移動させる際に必要となる回転トルクが減少し、上述のように溝切り刃の角度が急傾斜となることと合わせて、より少ない力で溝切り刃を抜き出すことができる。
また、この段階では、溝切り刃だけを泥の中から引き抜くように持ち上げているだけで、水田溝切り機全体を持ち上げた場合に比べて僅かな力しか必要としない。
溝切り刃を泥の中から引き上げた後には、駆動用車輪を一輪とすれば、駆動用車輪の下部だけが泥の中にあるので、駆動用車輪と溝切り刃とが前後に離れた位置で泥の中に埋まっている状態よりも、泥の抵抗が少なくなり、駆動用車輪を中心として水田溝切り機を方向転換することが可能となる。
また、水田溝切り機を持ち上げて方向転換するものとしても、既に溝切り刃が泥の上側となっているので、従来より容易に水田溝切り機を持ち上げて方向転換することができる。
また、揺動規制部材により、溝切り刃と支持手段とが可橈性部材で繋がれていても、溝切り刃が使用位置より上側に揺動するのを規制することができる。
図1は本発明の第1実施形態に係る乗用型水田溝切り機を示す測面図であり、図2〜図4は、溝切り刃を泥から引き抜く方法を説明するための水田溝切り機を示す側面図である。
ハンドルには、スロットルレバー(図示せず)が取り付けられており、このスロットルレバーによりエンジン2のスロットル開度、すなわちエンジン2の出力を調整する。また、ハンドルには、ストップスイッチ(図示せず)が取り付けられており、このストップスイッチによりエンジン2の点火プラグへの電流の流れをショートさせ、エンジン2の駆動を停止させる。
溝切り刃20は、取付部分を除いて任意の横断面において左右対称な構造となっており、概略V字状の水田の溝の側面を形成するための左右の側板部21と、側板部21の上端から左右方向外方へ張り出した左右の張り出し板部22と、溝切り刃20の後端部底部に設けられ、溝の底面を形成するための左右の底板部23と、張り出し板部22の先端から上方に少し突出している左右の上方突出板部24とを備えている。左右の側板部21、張り出し板部22、底板部23および上方突出板部24はそれぞれ、アルミニウム合金あるいはステンレス鋼等からなる1枚の金属板が折り曲げられて形成されている。
ただし、この例においては、取付部材28と溝切り刃20の前端部の上部とが固定された状態ではなく、回転自在にピン接合された状態となっている。言い換えれば、ステー15に支持板16を介して取付部材28が固定され、この取付部材28に溝切り刃20の前端部の上部が回動自在に取り付けられている。
ここで、駆動用車輪4が接続された減速機3が固定され、かつ、本体フレームとしても機能する伝動軸用パイプ1および当該伝動軸用パイプ1に固定されたステー15が、溝切り刃20を駆動用車輪4に支持させる支持手段となる。
取付部材28と溝切り刃20の回転接合部30とこれらを回転自在に接合する回転軸31とが支持手段に溝切り刃20を回転自在(揺動自在)に接続する接続手段となる。回転軸31は、水田溝切り機の前後方向に対して直交する方向に沿って水平に配置されており、溝切り刃20は、前側(前端部の上部)を回転中心として、後ろ側が上下に移動するように回転自在とされている。
また、取っ手34の手で掴まれる取っ手本体36は、3つの頂点のうちの1つの頂点に設けられている。
この頂点は、3つの頂点のうち最も上側で、かつ、最も後ろ側の頂点となっており、上述の取っ手34の前端の頂点に設けられた回転軸35を中心に上下に回転移動する。取っ手本体36は、左右に水平に延在する棒状の部材となっている。
したがって、回転軸35、取っ手本体36および係止爪37を備える取っ手34がロックピン33に着脱自在に係止される着脱係止手段となる。
方向転換する際には、図1に示すように、溝切り刃20が上述の使用位置となっており、取っ手34の係止爪37がロックピン33に係止されている。この状態で、水田溝切り機から降りて、取っ手34の取っ手本体36を掴んで持ち上げる。この際には、図2に示すように、まず、取っ手34が回転軸35を中心に取っ手本体36が上方に移動するように回転する。これにより、上述のようにロックピン33と係止爪37との係止が解除され、溝切り刃20が使用位置から下側に回転可能となる。
この際に、溝切り刃は、前端側上部の回転軸31の部分に上方向へ向う力が作用し、泥の中に埋まった状態の溝切り刃20の後部には、泥の抵抗が作用する。これにより、溝切り刃20に回転力が作用し、回転軸31を中心に回転し、溝切り刃20の前側と後ろ側との高低差が大きくなり、溝切り刃20が使用位置の角度より急な角度で傾斜している。
また、この状態では溝切り刃20が既に泥の上に出ているので、泥の抵抗が少なくなっており、従来より容易に水田溝切り機を持ち上げることが可能であり、水田溝切り機を持ち上げて回転させてもよい。
この際には、溝切り刃20の角度が上述のように急角度になることと、回転中心から最も離れた溝切り刃20の後端が回転中心に近づくこととにより、泥の抵抗の低減、泥が流れ落ちることによる泥の荷重の低減、回転トルクの低減等が生じ、容易に小さな力で溝切り刃20を泥の中から出すことができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る水田溝切り機を示す側面図であり、図6(a)は図5の丸円部Aの拡大図であり、図6(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。なお、図5および図6は、溝切り刃20を水田の泥から引き抜いた状態を示している。
第2実施形態の水田溝切り機は、溝切り刃20を支持手段に対して揺動自在とする構成が第1実施形態と異なっているが、その他の構成は、第1実施形態と同様となっており、同様の構成要素には、図1に示す第1実施形態の水田溝切り機と同様の符号を付して説明を省略する。
可橈性部材41は、例えば、ゴム製(例えば、天然ゴム、各種合成ゴム、前記合成ゴム以外のゴム状の合成樹脂)とされ、円柱状の形状(角柱の形状でもよい)となっている。可橈性部材41は、第1実施形態のステー15と同様に、伝動軸用パイプ1から後方斜め下方に延びるように伝動軸用パイプ1に固定されている。
接続部材43に支持板16が固定されるとともに溝切り刃20に固定された取付部材28が支持板16に固定されている。
ホルダ42が前端が第1実施形態のステー15と同様に伝動軸用パイプ1に接合されている。ホルダ42の伝動軸用パイプ1に接続された前端部に、可橈性部材41の前端部が固定されており、可橈性部材41は、ホルダ42を解して伝動軸用パイプ1に固定されている。
ここで、溝切り刃20が上述の使用位置にある場合には、可橈性部材41の全体、すなわち、伝動軸用パイプ1から溝切り刃20側の接続部材43に接続されている部分までが、ホルダ42に収容されている。また、ホルダ42の後端部内に接続部材43の前部が収納されている。この状態では、使用位置より上に溝切り刃20を移動させようとすると、接続部材43および可橈性部材41の上にホルダ42が配置されているので、溝切り刃20をその後部が上に上がるように揺動することができない。
したがって、可橈性部材41が溝切り刃20の後側が上下に移動可能となるように当該溝切り刃20の前側を支持手段としての伝動軸用パイプ1に揺動自在に接続する接続手段となる。
また、ホルダ42は、可橈性部材41の左右も囲んでいるので、使用時に溝切り刃20
が左右に揺動するのを防止している。
また、機械的に回転する構造がないので、泥の影響を受け難い。
なお、ホルダ42に溝切り刃20を持ち上げるための取っ手を設けてもよい。
4 駆動用車輪
15 ステー(支持手段)
20 溝切り刃
28 取付部材(接続手段、揺動規制手段)
30 回転接合部(接続手段)
31 回転軸(接続手段)
32 突出片(回転規制手段)
33 ロックピン(係止部材、回転規制手段)
34 取っ手(回転規制手段、着脱係止手段)
35 回転軸(回転規制手段、着脱係止手段)
36 取っ手本体(回転規制手段、着脱係止手段)
37 係止爪(回転規制手段、着脱係止手段)
41 可橈性部材(接続手段)
42 ホルダ(揺動規制手段、揺動規制部材)
Claims (3)
- 回転駆動される駆動用車輪(4)と、当該駆動用車輪(4)の後方で水田に溝を形成する溝切り刃(20)と、当該溝切り刃(20)を前記駆動用車輪(4)に支持させる支持手段(1,15)とを備える水田溝切り機であって、
前記溝切り刃(20)の後側が上下に移動可能となるように当該溝切り刃(20)の前側を前記支持手段(1,15)に揺動自在に接続する接続手段(28,30,31,41)と、
前記溝切り刃(20)の使用時の位置より上側への揺動を規制する揺動規制手段(28,42)とを備えることを特徴とする水田溝切り機。 - 前記接続手段(28,30,31)が前記溝切り刃(20)を前記支持手段(1,15)に回転自在に接続し、
前記溝切り刃(20)の前記支持手段(1,15)に対する回転を規制する回転規制手段(32,33,34,35,36,37)を備え、
前記回転規制手段(32,33,34,35,36,37)は、前記溝切り刃(20)に設けられた係止部材(33)と、前記支持手段(1,15)に設けられ、前記係止部材(33)に着脱自在に係止する着脱止係止手段(34,35,36,37)とを備え、
前記着脱係止手段(34,35,36,37)には、手で掴むことが可能な取っ手(34,36)が設けられるとともに、当該取っ手を上方に移動した際に前記係止部材(33)との係止が解除されることにより溝切り刃(20)が回転可能となることを特徴とする請求項1に記載の水田溝切り機。 - 前記接続手段(41)は、前記溝切り刃(20)の前側と前記支持手段(1)とにそれぞれ接続される可橈性部材(41)を備え、当該可橈性部材(41)により前記溝切り刃(20)が前記支持手段(1)に対して揺動自在とされ、
前記揺動規制手段(42)は、前記支持手段(1)に接続されるとともに、前記可橈性部材(41)の上側に重なって前記支持手段(1)から前記溝切り刃(20)の前部まで設けられた揺動規制部材(42)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の水田溝切り機。
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