JP2011003800A - 低熱膨張複合放熱板及びその製造方法 - Google Patents

低熱膨張複合放熱板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚さ方向の熱伝導性が良好な低熱膨張複合放熱板を提供する。
【解決手段】スリット孔2を形成した低熱膨張材3からなるスリット多孔板4の上下に、高熱伝導材5をクラッド圧延により接合すると共に、スリット孔2内で上下の高熱伝導材5も接合して形成されるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子を実装する半導体回路部材、特に大電流を印加し高温になる半導体素子を実装する際の熱放散を目的としたヒートスプレッダ及びヒートシンクなどの半導体回路部材として好適な低熱膨張複合放熱板及びその製造方法に関するものである。
半導体素子は、SiやSiCなどの低熱膨張材で形成される。例えば、Siの線膨張係数は、約4×10-6(1/K)である。一方、ヒートスプレッダやヒートシンクの材料である純Cuや純Alの線膨張係数は、約20×10-6(1/K)である。
よって、ヒートスプレッダやヒートシンクなどの半導体回路部材に純Cuや純Alを用いると、半導体素子をヒートスプレッダやヒートシンクなどの半導体回路部材に実装したとき、チップ材(半導体素子)との線膨張差に基づく熱応力の発生により、半導体素子と上記半導体回路部材の間の半田やろう材による接合部分で剥離が生じることがある。
そこで従来、これらの半導体回路部材には線膨張係数を整合させる目的で、低熱膨張の焼結金属(Mo,W,Cu−Mo,Cu−Wなど)、クラッド材(Cu/インバー合金(Invar)/Cu:CICクラッド材など)、セラミックス(AlN,Al23,Si34など)が用いられてきた。なお、ここでのインバー合金とは、Fe−36mass%Ni合金のことである(以下、単にFe−36Niのように示す)。
最近では、それら半導体回路部材には線膨張係数の整合だけでなく、熱放散性を高める目的で優れた熱伝導性、そして軽量かつ低価格であることが求められている。
特開2003−179191号公報 特開2000−183234号公報 特開2002−208660号公報 特開平6−77365号公報 特開2004−152970号公報 特開平5−386号公報 特開2003−152144号公報 特開平4−329845号公報
日立電線株式会社、[online]、[平成21年5月20日検索]、インターネット〈http://www.hitachi-cable.co.jp/products/copper/clad/semi/index.html〉
しかし、前述の低熱膨張の焼結金属には熱伝導性、重量及び価格、CICクラッド材などのクラッド材にはインバー合金部分の断熱作用及び重量、AlN,Al23,Si34などのセラミックスには機械的靱性、熱伝導性及び価格の問題がそれぞれある。
例えば、特許文献1では含浸材(Al−SiC,Al−C)、焼結材(Cu−Cu2O)が提案され、特許文献2ではAl−インバー合金が提案され、特許文献3ではAl−Al23が提案されている。しかし、これら金属基板複合材料は、一般に高価で加工性が悪いという問題がある。
また、例えば、特許文献4ではCu,Cu−W又はCu−Moで作られた金属板と、Mo又はWの金属細線を編んだ金属網とを重ね合わせて一体化してなる放熱用基板材料が提案されている。しかし、このような放熱用基板材料では、編んだ金属細線へのCuの回り込みが悪く、良好な伝熱特性は得られないという問題があり、価格的にも高価となってしまう。
そこで、低価格なCICクラッド材などクラッド材を活用するため、その欠点である熱伝導の異方性を解決すべく、厚さ方向の熱伝導性を改善する提案が数多くなされている。
その一つとして特許文献5では、穿孔したインバー合金など低線膨張材を用いるもので、その上下を高熱伝導材などでホット(HOT)プレス接合することが提案されているが、低線膨張材を穿孔することから、材料歩留面で十分とは言えないし、また、ホットプレスでは作業能率が悪く、高価なものとなってしまう問題がある。
また、特許文献6では、Cu/インバー合金/Cuのクラッド圧延の際の加工条件で、インバー層を破り、断続的に上下のCuを接合することが提案されているが、Cu/Cu貫通率(上下のCuの接合部分の面積比率)を上げ、厚さ方向の一定仕様の熱伝導率を改善確保することは難しいという問題がある。
さらに、特許文献7では、インバー合金からなるエキスパンドメタル(JIS−G3351参照)を用い、圧延で平滑にしておき、その上下にCu(或いはAl)を貼り合わせ、エキスパンドメタルの孔部でCu(或いはAl)同士を接合し、厚さ方向の熱伝導性を改善した低熱膨張放熱板が提案されている。
エキスパンドメタルは、一般には、板厚に対し孔サイズが10〜100倍と大きい網状の多孔板であり、このエキスパンドメタルの上下にCuを貼り付けて低熱膨張放熱板に用いる場合、その開孔率が問題となる。すなわち、孔サイズが板厚の10〜100倍と大きい網状の多孔板であれば製造は可能であるが、板厚に対し孔サイズが小さい多孔板は製造が難しい。また、エキスパンドメタルの上下にCuを貼り付ける際にはクラッド圧延を行うが、そのクラッド圧延で孔サイズが2倍以上になることから、低熱膨張放熱板に特性上のばらつきが生じる問題が残る。
以上に記した通り、低熱膨張放熱板の特許文献は非常に多く出されているが、結果的に高価なものであり、また、安価にしたCICクラッド材などは熱伝導に異方性があり、さらに改善が要求される。そのため、工業的に用いるには、もう一工夫必要である。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、厚さ方向の熱伝導性が良好で安価な低熱膨張複合放熱板及びその製造方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成される低熱膨張複合放熱板である。
請求項2の発明は、スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成し、これを複数積層して形成される低熱膨張複合放熱板である。
請求項3の発明は、スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板と、高熱伝導材とを交互に配置し、それらを同時に多層クラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成される低熱膨張複合放熱板である。
請求項4の発明は、前記低熱膨張材は、インバー合金からなり、前記高熱伝導材は、Cu又はCu合金、或いはAl又はAl合金からなる請求項1〜3のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板である。
請求項5の発明は、前記スリット孔は、スリット幅方向ピッチが1mm以下、その直角方向ピッチが0.3mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板である。
請求項6の発明は、前記スリット孔は、開孔率(低熱膨張材の板厚に対する孔サイズ)が15%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板である。
請求項7の発明は、前記高熱伝導材の接合部分の面積比率(低熱膨張材のスリット孔面積比率:貫通率)が、20%以上80%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板である。
請求項8の発明は、クラッド圧延された後の前記スリット多孔板の微細網の目構造は、スリット幅方向ピッチ及びその直角方向ピッチが0.7mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板である。
請求項9の発明は、スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して低熱膨張複合放熱板を形成する低熱膨張複合放熱板の製造方法である。
請求項10の発明は、スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板と、高熱伝導材とを交互に配置し、それらを同時に多層クラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して低熱膨張複合放熱板を形成する低熱膨張複合放熱板の製造方法である。
本発明によれば、厚さ方向の熱伝導性が良好で安価な低熱膨張複合放熱板を提供することができる。
本発明の一実施の形態を示す低熱膨張複合放熱板の構成図である。 本発明の低熱膨張複合放熱板に用いるスリット多孔板のスリット孔形状を示す平面図である。 本発明の低熱膨張複合放熱板に用いるスリット多孔板のスリット孔形状を示す平面図である。 本発明の低熱膨張複合放熱板の製造方法を説明する図である。 本発明の一実施の形態を示す低熱膨張複合放熱板の構造図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線断面図である。 本発明の一実施の形態を示す低熱膨張複合放熱板の構造図であり、(a)は平面図、(b)はB−B線断面図である。 低熱膨張複合放熱板の厚さ方向熱伝導率と熱膨張係数の関係を示す図である。 本発明の他の実施の形態を示す低熱膨張複合放熱板の製造方法を説明する図である。 本発明の他の実施の形態を示す低熱膨張複合放熱板の断面図である。 実施例及び比較例の厚さ方向熱伝導率、熱膨張係数、Invar比の比較結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る低熱膨張複合放熱板の構成図である。
図1に示すように、低熱膨張複合放熱板1は、長手方向に対して直角又は斜め方向(図1では斜め方向、詳しくは後述)に千鳥状にスリット孔2を形成した低熱膨張材3からなるスリット多孔板4の上下に、高熱伝導材5をクラッド圧延により接合すると共に、スリット孔2内で上下の高熱伝導材5も接合して形成されるものである。ここで、長手方向とは圧延方向のことである。
つまり、低熱膨張複合放熱板1は、スリット多孔板4の上下に高熱伝導材5を貼り合わせ、スリット孔2内で上下の高熱伝導材5同士を接合して、厚さ方向の熱伝導性を改善するようにしたものである。
スリット孔2は、複数の孔部6からなり、低熱膨張材3は、例えば、Fe−36.5Ni(インバー)、Fe−32Ni−5Co(スーパーインバー)、Fe−54Co−9.5Cr(ステンレスインバー)などのインバー合金からなる。
高熱伝導材5は、Cu又はCu合金、或いはAl又はAl合金からなる。例えば、低熱膨張材3の一方の面にCu、他方の面にAlを貼り合わせるようにしてもよい。以下、スリット多孔板4の上下に高熱伝導材5を貼り合わせた構成をInvar複合材構成と言う。
低熱膨張複合放熱板1としての特性を確保するには、低熱膨張材3と高熱伝導材5との構成バランスを的確に決める必要があるため、高熱伝導材5の接合部分の面積比率(低熱膨張材3のスリット孔面積比率:貫通率)は、20%以上80%以下となるように管理される。
以下、スリット多孔板4のスリット孔形状の詳細を説明する。
低熱膨張材3に形成するスリット孔2は、図2(a)〜(c)に示すように、スリット多孔板4の長手方向に対して直角方向に形成するようにしてもよく(スリット孔2a〜2c)、また、図3(a)〜(c)に示すように、長手方向に対して斜め方向に形成するようにしてもよい(スリット孔2d〜2f)。
これらスリット孔2a〜2fは、せん断あるいは打ち抜きにて形成される。具体的には、図2(a)、図3(a)のスリット孔2a,2dは、先端歯によるせん断により形成され、図2(b)、図3(b)のスリット孔2b,2eは、平歯によるせん断により形成される。そのため、これらスリット孔2a,2d,2b,2eでは形成時の屑の発生はない。
図2(c)、図3(c)のスリット孔2c,2fは、打ち抜きにより形成される。そのため、形成時に打ち抜き部分が屑となるが、スリットなので屑量は少ない。
図2(a)〜(c)に示すように、長手方向とその直角方向にせん断スリットを入れるには、材料の送りに同期して切断歯を幅方向に移動させる必要があり、そのようなせん断装置が必要となる。
図3(a)〜(c)に示すように、長手方向に対して斜め方向にせん断スリットを入れる場合も同様であるが、千鳥状のせん断スリットは、切歯が上下方向のみ移動するのみでも、低熱膨張材3をピッチに同期させて送り込むことにより形成することができる。
また、放熱対象の半導体素子が数ミリ程度の小さなものであり、低熱膨張複合放熱板1としても微小な均一性が要求されるため、スリット孔2は、スリット幅方向ピッチが1mm以下、その直角方向ピッチが0.3mm以下に形成され、低熱膨張材3の板厚に対する孔サイズ、すなわち開孔率は15%以下にされ、さらにスリット孔2が引き伸ばされることにより形成されるスリット多孔板4の微細網の目構造(詳細は後述する)は、スリット幅方向ピッチ及びその直角方向ピッチが0.7mm以下となるようにされる。
この低熱膨張複合放熱板1の製造方法を説明する。
Cu/インバー合金(Invar)/CuといったInvar複合材構成の低熱膨張複合放熱板を製造する場合に問題となるのは、半導体素子が数ミリ程度の小さなものであり、低熱膨張複合放熱板としても微小な均一性が要求されること、それを安価に製造する必要があることである。製造上の問題点は、コアとなる低熱膨張材(インバー合金)の微細多孔化、及びその後の高熱伝導材の貼り合わせによる材料の伸びにある。
高熱伝導材の貼り合わせ方法として、冷間クラッド圧延法があり、安価に高精度品を製造できることから、本実施の形態では、基本的に冷間クラッド圧延を用いる。冷間クラッド圧延の特徴は、冷間、すなわち大気中で異種金属を接合できることであるが、大変形が必要で、その加工度、すなわちリダクションは、通常40〜60%であり、ここで多孔化した低熱膨張材(Invar多孔板)を介して金属を接合するためには、60〜75%のリダクションが必要となる。
長手方向の材料の伸びは、2.5〜4倍となり、通常のInvar多孔板を用いたのでは、長手方向に伸びたInvar複合材構成となってしまい、良好な低熱膨張放熱特性は得られない。
そのため、本実施の形態に係る低熱膨張複合放熱板1の製造方法では、コアとして、長手方向に対して直角又は斜め方向に千鳥状のスリット孔2を形成した低熱膨張材3からなるスリット多孔板4を用いることで、高加工度クラッド圧延後のInvar複合材構成を高特性が得られる最適な断面構成形状とする。
具体的には、先ず、コアとなる低熱膨張材3に、上述のスリット孔2を形成し、スリット多孔板4を得る。その後、そのスリット多孔板4の上下に、高熱伝導材5をクラッド圧延により接合する。
スリット多孔板4と高熱伝導材5との接合は、図4に示すように、スリット多孔板4をボビン巻きした1つのスリット多孔板コイル30と、高熱伝導材5をボビン巻きした2つの高熱伝導材コイル31とを用い、スリット多孔板4を高熱伝導材5で挟み込むように配置し、各コイル30,31からそれぞれスリット多孔板4及び高熱伝導材5を繰り出し、圧延ロール32を通して冷間(或いは温間)のクラッド圧延にてこれらを接合する。トータルで60〜70%のリダクションを加えることで、接合することができる。このとき、高熱伝導材5は、スリット多孔板4の孔部6に流動し、上下の高熱伝導材5で接合される。高熱伝導材5の接続部は、リダクションとしては小さめとなるが、大変形により新生面ができ、結合できるようになる。クラッド圧延後は、600〜800℃で拡散熱処理を行い、接合を完全なものとする。以上の工程により、低熱膨張複合放熱板1を得られる。
得られた低熱膨張複合放熱板1の構造を図5(a),(b)、図6(a),(b)に示す。図5(a),(b)が、図2(c)に示したスリット孔形状のスリット多孔板4を用いた場合の構造図であり、図6(a),(b)が、図3(a)に示したスリット孔形状のスリット多孔板4を用いた場合の構造図である。
図5(a),(b)、図6(a),(b)に示すように、大変形のクラッド圧延を行うことにより、等方的な断面構成形状となる。
次に、低熱膨張複合放熱板1の作用を説明する。
Invar複合材構成の低熱膨張複合放熱板(高熱伝導材:Cu)の熱伝導率と熱膨張係数は、構成材の特性値から計算することができる。
先ず、コアである低熱膨張材が多孔質でない無垢のクラッド材の場合、低熱膨張複合放熱板(Cu/インバー合金/Cu:CICクラッド材)の熱伝導率λ(λm)は、
板面方向で、
λ=λ1・f1+λ2・f2 ・・・(1)
板厚方向で、
λm=(λ1・λ2・(Π1+Π2))/(λ1Π2+λ2Π1) ・・・(2)
コアである低熱膨張材が多孔質のスリット多孔板4の場合、すなわち本発明の低熱膨張複合放熱板1の板厚方向の熱伝導率λiは、
λi=λ2η+λm・(1−η) ・・・(3)
ここで、λ1:インバー合金の熱伝導率、λ2:Cuの熱伝導率
1:インバー合金の断面比率、f2:Cuの断面比率
Π1:低熱膨張材の厚さ、Π2/2:表面Cu層厚さ
となる。
また、熱膨張率ρは、板面方向が問題で、ヤング率はインバー合金が142GPa、Cuが136GPaと近いことから、両構成材も付重平均値に近付き、
ρ=ρ1・f1+ρ2・f2 ・・・(4)
ここで、ρ1:インバー合金の熱膨張率、ρ2:Cuの熱膨張率
となる。
以上の関係式から、低熱膨張複合放熱板の熱伝導率λt(=λ,λm)と熱膨張率ρの関係式を計算した結果が図7である。図7に示すように、横軸の熱膨張率ρは、ほぼ断面比率と対応し、縦軸の熱伝導率λtが、断面構成に依り大きく変化する。
低熱膨張材として無垢のクラッド材を用いた場合、板面方向の熱伝導率λtは、式(1)で表され、断面比率に対応した直線変化であるが、式(2)で表される板厚方向の熱伝導率λmは、三角形の他の二辺上の変化で、断面構成に依らずインバー合金の低い値に近くなってしまう。これがCICクラッド材の問題点である。
本実施の形態に係る低熱膨張複合放熱板(CIC−α)1の場合、貫通率ηと断面比率f1,2の割合により、三角形内の任意の値を取ることができる。
Cuの貫通率は、板厚方向の熱伝導率とほぼ相関し、大きい方が良くなるが、取れる範囲は、熱膨張率で限定され、結果的に面内熱伝導率とほぼ同じ値まで取れることになる。構成的には、上下面のCu層が薄いほど板厚方向の熱伝導率は高くなる。
以上要するに、本実施の形態に係る低熱膨張複合放熱板1によれば、スリット孔2を形成した低熱膨張材3からなるスリット多孔板4の上下に、高熱伝導材5をクラッド圧延により接合すると共に、スリット孔2内で上下の高熱伝導材5も接合して形成されるため、厚さ方向の熱伝導性を向上させることができる。
また、低熱膨張複合放熱板1の低熱膨張材3は、インバー合金からなり、高熱伝導材5は、Cu又はCu合金、或いはAl又はAl合金からなる。インバー合金/Cu、或いはインバー合金/Alの構成は、Cu−Mo,Cu−Wなどの焼結金属を用いた場合に比べて安価である。そのため、経済性のメリットが大きい。
さらに、低熱膨張材3に形成されるスリット孔2は、スリット幅方向ピッチが1mm以下、その直角方向ピッチが0.3mm以下であり、開孔率(低熱膨張材の板厚に対する孔サイズ)が15%以下であり、スリット孔2が引き伸ばされることにより形成されるスリット多孔板4の微細網の目構造は、スリット幅方向ピッチ及びその直角方向ピッチが0.7mm以下となるようにされるため、微小な均一性を実現でき、放熱対象の半導体素子が数ミリ程度の小さなものであっても十分に放熱性能を発揮することができる。
以上より、低熱膨張複合放熱板1の用途としては、従来のパワーモジュールなどの応用に用いることができると共に、さらに低熱膨張、放熱性を要求する安価な用途への応用が期待できる。
本実施の形態では、スリット多孔板4の上下に高熱伝導材5を貼り付けた単層の低熱膨張複合放熱板1について説明したが、クラッド圧延で製造できる板厚は0.1〜0.3mm程度であり、単層の低熱膨張複合放熱板1では、仕上がり板厚が限定される。それ以上の厚さの低熱膨張複合放熱板を製造する場合には、図8に示すように、スリット多孔板4と高熱伝導材5とを交互に配置し、それらを同時に多層クラッド圧延により接合すると共に、スリット孔2内で上下の高熱伝導材5も接合して多層の低熱膨張複合放熱板を形成するとよい。それ以外にも、図9に示すように、単層の低熱膨張複合放熱板1を複数枚積層接合した積層構造品としてもよい。この構造を造るには、単層の低熱膨張複合放熱板1を拡散接合、高温半田、或いは低温ろう材で接合することで製造できる。
この積層の構造にしても、特性は単層の低熱膨張複合放熱板1とほぼ同じで、同様の膨張係数、板厚方向の熱伝導率を示すこととなる。その意味では、本発明のメリットが特に生かされることとなる。
本実施の形態においては、長手方向に対して直角又は斜め方向に千鳥状のスリット孔2を形成したが、スリット孔2の形状はこれに限定されず、低熱膨張複合放熱板1として微小な均一性を保つことができるような種々の形状とすることができる。
本発明の実施のあたっては、低熱膨張材3として、Fe−36Niを用い、これをスリット多孔板4とした(実施例1,2)。スリット孔形状は、図3(a)に示した形状とした。
このスリット多孔板4の上下に、高熱伝導材5として、Cuシートを配置させた。その具体的なスリット多孔板4の寸法(板厚、孔ピッチ)を表1に示す。また、表1には低熱膨張複合放熱板1の寸法と、熱膨張係数、厚さ方向の熱伝導率の値を示す。
Figure 2011003800
表1では、スリット多孔板4及び後述する比較例1〜3で用いる低熱膨張材、すなわちコアを総称してInvar多孔板と記載し、これらInvar多孔板を用いて作製された低熱膨張複合放熱板をInvar複合材と記載している。
また、表1において、孔ピッチとはスリット多孔板のスリット幅方向ピッチのことであり、貫通孔ピッチとは圧延後のスリット多孔板のスリット幅方向ピッチのことであり、Invar比とはInvar体積比のことである。
スリット多孔板4は、微細化するため、板厚0.2mmのものを用い、孔ピッチも0.5mmとしている。その上下に、Invar比が所定値となるような厚さの高熱伝導材(Cuシート)5を合わせ、クラッド圧延した。
クラッド圧延は、図4で説明したように連続的に行った。圧延は冷間で行い、インバー合金/Cuに金属間化合物を造らないようにし、圧延後600℃程度で拡散熱処理をし、拡散はしているが金属間化合物がない接合状態とした。これにより、厚さ方向の熱伝導性を確保した。
また、圧延は70%程度の加工度をとり、スリット多孔板4のスリット孔2内にCuを充満させ、Cu同士を接合させた。必要に応じ、さらに圧延して所定のサイズに仕上げた。
さらに、比較例として、低熱膨張材に特に微細のエキスパンドメタルを用いた低熱膨張複合放熱板(比較例1)と、低熱膨張材にスリット孔が形成されていない通常のCICクラッド材を用いた低熱膨張複合放熱板(比較例2,3)を実施例1,2と同様にクラッド圧延して作製した。
外見上は、以上でCu/インバー合金/Cuの低熱膨張複合放熱板ができるが、問題は、その内構造によって特性が大きく変化することである。
図10には、表1の伝熱特性、熱膨張係数とInvar比を比較して示す。Invar比としては、50%と30%程度のものを代表的に作製し、比較している。
表1の比較例2,3の欄に示すように、従来のCICクラッド材を用いた場合には、熱膨張係数は8.4×10-6,11×10-6/℃・mと十分小さく低熱膨張を示すが、厚さ方向の熱伝導率が21,31W/℃・mと面内方向の200,260W/℃・mと比較して1桁以上小さい。これがCICクラッド材の問題である。
これに対し、実施例1の場合、低熱膨張材3にスリット孔2を形成したスリット多孔板4を用い、そのスリット孔2にCuを充填し、厚さ方向の熱伝導性を改善しており、実施例1,2では、孔ピッチ0.5mmと小さくしている。
Invar比が50%と30%程度のもので比較しているが、熱膨張係数はCICクラッド材とほぼ同じで低熱膨張である。しかし、厚さ方向の熱伝導率が163,221W/℃・mと大きくなっており、CICクラッド材の面内特性に近付いていることが分かる。
比較例1は、市場に出ている最小ピッチサイズのエキスパンドメタルを用いたものであるが、まだ大きく、実施例1,2の倍のピッチとなっている。そのため、厚さ方向の熱伝導性は、Cuと同じような特性となっているが、Invar比が小さいために、熱膨張係数が大きすぎ、使用に耐えない。エキスパンドメタルの場合、開孔率がそもそも大きく、その後クラッド圧延をしたのでは、孔ピッチが小さくできず、均一性の点で問題がある。
要するに、本発明のような微細孔形状の低熱膨張複合放熱板は、エキスパンドメタルを用いたのでは製造することができず、スリット多孔板4を用いることで初めて製造することができる。つまり、スリット多孔板4を用いるメリットがここにある。
本発明の効果は、従来のCICクラッド材と比較し、板厚方向の熱伝達特性が桁オーダーで改善していることの一点であるが、CICクラッド材の欠点がこの点に集中していることから、応用できる範囲は格段と増加するものと考えている。
1 低熱膨張複合放熱板
2 スリット孔
3 低熱膨張材
4 スリット多孔板
5 高熱伝導材

Claims (10)

  1. スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成されることを特徴とする低熱膨張複合放熱板。
  2. スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成し、これを複数積層して形成されることを特徴とする低熱膨張複合放熱板。
  3. スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板と、高熱伝導材とを交互に配置し、それらを同時に多層クラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して形成されることを特徴とする低熱膨張複合放熱板。
  4. 前記低熱膨張材は、インバー合金からなり、前記高熱伝導材は、Cu又はCu合金、或いはAl又はAl合金からなる請求項1〜3のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板。
  5. 前記スリット孔は、スリット幅方向ピッチが1mm以下、その直角方向ピッチが0.3mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板。
  6. 前記スリット孔は、開孔率(低熱膨張材の板厚に対する孔サイズ)が15%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板。
  7. 前記高熱伝導材の接合部分の面積比率(低熱膨張材のスリット孔面積比率:貫通率)が、20%以上80%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板。
  8. クラッド圧延された後の前記スリット多孔板の微細網の目構造は、スリット幅方向ピッチ及びその直角方向ピッチが0.7mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の低熱膨張複合放熱板。
  9. スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板の上下に、高熱伝導材をクラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して低熱膨張複合放熱板を形成することを特徴とする低熱膨張複合放熱板の製造方法。
  10. スリット孔を形成した低熱膨張材からなるスリット多孔板と、高熱伝導材とを交互に配置し、それらを同時に多層クラッド圧延により接合すると共に、前記スリット孔内で上下の前記高熱伝導材も接合して低熱膨張複合放熱板を形成することを特徴とする低熱膨張複合放熱板の製造方法。
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