JP2011003388A - X線管及びx線ct装置 - Google Patents

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森田  裕
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Abstract

【課題】陽極接地型のX線管において筐体内の塵埃に起因する異常放電を抑制する。
【解決手段】本発明のX線管は、真空筐体106と、真空筐体に収容された陽極102と、真空筐体に陽極と互いに電極面を対向させて収容された陰極101と、陰極の電極面の反対側の面に接続されて真空筐体から引き出される導体を真空筐体の内部で覆ってなる絶縁体110とを備え、真空筐体及び陽極に接地電位が与えられ、陰極に負電位が与えられる陽極接地型として構成される。上記課題を解決するため、陰極及び絶縁体の外周面とこの外周面に対向する真空筐体の内壁面との間に、接地電位が与えられ穴が形成された導電性の電界緩和部材107が設けられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、X線管及びX線CT装置に係り、特に、陽極接地型のX線管及び陽極接地型のX線管を備えたX線CT装置に関する。
X線CT装置は、X線管から扇状のX線ビームを被検体に照射し、被検体を透過したX線をX線管と対向する位置に配置したX線検出器で検出し、この検出したデータを画像処理して被検体の断層像を撮影するものである。
X線検出器は円弧状に配列された数百個以上の検出素子群で構成され、被検体を挟んでX線管に対向して配置されており、検出素子の数に対応した数の放射状に分布するX線を検出する。X線管、検出器、及びこれらを搭載するスキャナ回転盤等により構成されたスキャナが被検体の周りを360度回転する時に一定角度ごとに被検体の透過X線を検出することにより被検体の断層像が構成される。
近年、三次元画像の生成が可能となるらせん軌道スキャンと呼ばれるスキャンが可能なX線CT装置(らせんCT)や、検出器を多列化した多列検出器CT(マルチスライスCT)が普及しており、従来に比べてX線照射量を増やすためにX線管に供給する電力を増大させる必要が生じている。
一方で、X線管に供給する電力を増大させることにより、X線管内で異常放電が生じるおそれがある。X線管内の異常放電の原因はいくつか考えられるがその一つにX線管内の塵埃に起因するものが挙げられる。塵埃は製造時に混入したものもあれば、X線管内で回転陽極を支持する軸受けの磨耗等により発生したものもある。
塵埃による異常放電は以下のようなメカニズムで発生すると考えられる。すなわち、X線管内の塵埃は陰極と陽極による高電界により帯電する。塵埃が正に帯電した場合、塵埃は陰極に向かって加速される。一方、塵埃が負に帯電した場合、塵埃は陽極に向かって加速される。また、場合によっては塵埃がX線管の筐体や絶縁体に向かって加速されることもある。加速された塵埃は陰極、陽極、筐体又は絶縁体に衝突すると、そのエネルギーが熱となり、塵埃、又は塵埃が衝突した陰極、陽極、筐体、絶縁体の一部がガス又はプラズマに変化する。ガス又はプラズマは絶縁性能を低下させ、X線管内で異常放電を発生させると考えられる。
特許文献1には、このようにX線管内の塵埃を原因とする異常放電を防止する方法として、いわゆる中性点接地型X線管において、陽極と陰極との電位差に起因する電界の影響を受けない位置に塵埃を捕捉する塵埃捕捉容器を設け、X線管の回転にともなう遠心力で塵埃を塵埃捕捉容器に移動させて異常放電を防止することが記載されている。
特開2007−179888号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、いわゆる中性点接地型のX線管を対象とするものであり、いわゆる陽極接地型のX線管において塵埃に起因する異常放電を効果的に抑制することについては考慮されていない。
すなわち、特許文献1に記載されたX線管は、絶縁性の筐体には陽極電位から陰極電位へ向かう筐体の沿面方向に電位勾配が生じているため、塵埃捕捉容器を筐体の沿面方向に延在させることができない。このため、塵埃捕捉容器を陽極と陰極に対向する絶縁性の筐体の概ね中央付近の一部にしか設置できないので、X線管内の塵埃の捕捉領域が小さくなり、異常放電を防止することができないおそれがある。
そこで本発明は、陽極接地型のX線管において筐体内の塵埃に起因する異常放電を抑制することを課題とする。
本発明のX線管は、真空筐体と、真空筐体に収容された陽極と、真空筐体に陽極と互いに電極面を対向させて収容された陰極と、陰極の電極面の反対側の面に接続されて真空筐体から引き出される導体を真空筐体の内部で覆ってなる絶縁体とを備えており、真空筐体及び陽極に接地電位が与えられ、陰極に負電位が与えられる陽極接地型のX線管である。上記課題を解決するための第1態様は、陰極及び絶縁体の外周面とこの外周面に対向する真空筐体の内壁面との間に、接地電位が与えられ穴が形成された導電性の電界緩和部材を設けることを特徴としている。
すなわち、陽極接地型のX線管では、陰極の負電位と真空筐体の接地電位の電位差に起因して、陰極及び絶縁体の外周面とこの外周面に対向する真空筐体の内壁面との間に電界が生じている。この電界領域に接地電位が与えられ穴が形成された導電性の電界緩和部材を設けることにより、真空筐体の内壁面と電界緩和部材との間の領域の電界が緩和される。その結果、この電界が緩和された領域に入った真空筐体内の塵埃を捕捉することができるので、陽極接地型のX線管の塵埃に起因する異常放電を抑制することができる。
また、電界緩和部材は、陰極及び絶縁体の外周面とこの外周面に対向する真空筐体の内壁面との間に、導体の引き出し方向に延在して設けられてなる金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかとすることができる。また、電界緩和部材を筒状に形成された金属網又は金属メッシュとし、陰極及び絶縁体の外周面と距離を離してこの外周面を覆うように設けることができる。
つまり、陽極接地型のX線管では、真空筐体が一様に接地電位となっているため電界緩和部材を導体の引き出し方向に延在して設けることができる。その結果、真空筐体の内壁面と電界緩和部材との間の電界が緩和される領域が大きくなるため、真空筐体内に存在する塵埃を効率よく電界緩和領域に捕捉することができる。
また、X線管がX線CT装置に用いられるX線CT用X線管である場合、電界緩和部材は、陰極及び絶縁体の外周面とこの外周面に対向する真空筐体の内壁面との間の、X線CT装置のスキャナの回転にともなって遠心力が働く方向側に、導体の引き出し方向に延在して設けられてなる金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかとすることができる。
つまり、X線CT装置に用いられるX線CT用X線管は、X線CT装置のスキャナの回転にともなって被検体の周りを回転するので、X線管には回転にともなう遠心力が生じ、X線管内の塵埃に遠心力が作用する。そこで、電界緩和部材をX線CT装置のスキャナの回転にともなって遠心力が働く方向側に設けることで、塵埃を遠心力により真空筐体の内壁面と電界緩和部材との間の電界が緩和された領域に移動させて捕捉することができる。
本発明の陽極接地型のX線管の上記課題を解決する第2の態様は、陰極及び絶縁体の外周面に対向する真空筐体の内壁面に、陰極と真空筐体との電位差に起因する電界を緩和する溝を形成することである。
すなわち、真空筐体の内壁面に溝を形成することにより、この溝の底部では陰極の負電位と真空筐体の接地電位の電位差に起因して生じる電界を緩和することができる。その結果、この溝の底部の電界が緩和された領域に入った真空筐体内の塵埃を捕捉することができるので、陽極接地型のX線管の塵埃に起因する異常放電を抑制することができる。
溝は、陰極及び絶縁体の外周面に対向する真空筐体の内壁面に、導体の引き出し方向に延在して形成することにより、溝の底部の電界が緩和された領域を大きくすることができるので効果的に塵埃を捕捉することができる。
また、真空筐体に接続され穴が形成された金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかの蓋部材を、溝を覆うように蓋状に設けることにより、溝の底部だけではなく溝の底面、側面及び蓋部材で囲まれる溝の内部全体の電界を緩和することができるので、より塵埃を効果的に捕捉することができる。
X線管がX線CT装置に用いられるX線CT用X線管である場合は、溝は、陰極及び絶縁体の外周面と対向する前記真空筐体の内壁面の、X線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向側に、導体の引き出し方向に延在して形成することができる。これによれば、X線CT装置のスキャナの回転にともなってX線管内の塵埃に遠心力が作用し、この遠心力によって電界が緩和された溝の底部に移動した塵埃を捕捉することができる。
本発明によれば、陽極接地型のX線管において筐体内の塵埃に起因する異常放電を抑制することができる。
本実施形態のX線CT装置の構成を示す図である。 陰極接地型X線管の構成を示す断面図である。 陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。 第1実施例の陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。 第1実施例の陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。 第1実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。 第1実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。 第1実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。 第2実施例の陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。 第2実施例の陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。 第2実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。 第2実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。 第2実施例の陽極接地型X線管の変形例を示す断面図である。
以下、本発明を適用してなるX線管及びX線CT装置の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。また、本実施形態ではX線CT装置に用いられるX線CT用X線管を例に挙げて説明するが、これに限らず工業用の陽極接地型のX線管に本発明を適用することができる。
図1は本実施形態のX線CT装置の構成を示す図である。図1に示すように本実施形態のX線CT装置は、商用電源1から電力の供給を受ける周波数変換器2と、周波数変換器2から出力される高周波交流が供給される電力伝達用ブラシ3と、X線CT装置の各種部品が載置されるスキャナ回転盤4と、スキャナ回転盤4の盤面に円状に設けられた電力伝達用スリップリング5を備えている。電力伝達用ブラシ3はスキャナ回転盤4に固定された電力伝達用スリップリング5と摺動可能に接触されている。これによりスキャナ回転盤4が回転していても周波数変換器2から出力される高周波交流が常時電力伝達用ブラシ3を介して電力伝達用スリップリング5に電気的に導通する。
また、X線CT装置は、電力伝達用スリップリング5に接続された高電圧発生装置6と、高電圧発生装置6と接続されたX線管7と、被検体10を載置する寝台9を挟んでX線管7と対向するX線検出器11とを備えている。X線管7とX線検出器11は被検体10を載置する寝台9を挟んで対向するようにスキャナ回転盤4に搭載されており、スキャナ回転盤の回転にともなって回転する。また、X線CT装置は、X線検出器11と接続されたデータ収集システム12と、スキャナ回転盤4の盤面に電力伝達用スリップリング5より小さな径の円状に設けられたデータ伝達用スリップリング13と、データ伝達用スリップリング13と摺動可能に接続されたデータ伝達用ブラシ14と、データ伝達用ブラシ14に接続された画像再構成装置15とを備えている。
本実施形態のX線CT装置の動作を簡単に説明する。周波数変換器2から供給される高周波交流は高電圧発生装置6にて高電圧直流に変換されてX線管7に供給される。X線管7は高電圧直流の供給を受けて内部で電子ビームを発生し、電子ビームがターゲットに当たりX線ビーム8が発生する。
X線ビーム8は寝台9に載った被検体10を透過し、X線ビーム8の強度がX線検出器11で電気信号に変換される。この電気信号はデータ収集システム12でデジタル信号に変換され、データ伝達用スリップリング13とデータ伝達用ブラシ14を介して画像再構成装置15に送られる。これらの動作はスキャナを被検体10の周りを回転させながら所定の角度ごとに行なわれる。画像再構成装置15は得られたX線強度のデータを基に画像を再構成して、被検体10の断層像データを出力する。断層像データはコンピュータ16に送られ、画像表示装置17で断層像を表示し、断層像データを画像記録装置18に記憶することができる。
ところで、従来のX線CT装置では1枚の断層像を得るためにスキャナを1回転させるため、細かく寝台を動かしながら何度も撮影する必要があり、撮影時間が長くかかった。近年、三次元画像の生成が可能となるらせん軌道スキャンと呼ばれる(ヘリカルスキャン、スパイラルスキャン、ボリュームスキャンとも呼ばれる)スキャンが可能なX線CT装置(らせんCT)が普及してきた。このらせんCTはスキャナが連続回転を行うと同時に、寝台を体軸方向に一定速度で移動させることにより、X線管は被検体に対し相対的にらせん運動をさせるものである。
このらせんCTは撮影中にスキャナの回転と並行して撮影位置も変えているため、全体の撮影時間が短縮できる。また、撮影中に体軸方向にも連続走査しているため、三次元データを収集できる。このらせん軌道スキャンを実現するためには、スキャナを回転しながらX線を連続的に発生させるため、X線管には高電圧かつ大電流を供給する必要がある。
また一方、近年のX線CT装置は例えば心臓の診断も可能とするために、検出器を多列化した多列検出器CT(マルチスライスCT)が開発され、また、回転速度もますます高速化する傾向にある。スキャナの1回転に要する時間が例えば0.4秒以下のX線CT装置が要望されるようになってきた。
従来のX線CT装置と比較すると、このような高速回転型X線CT装置はスキャナ1回転あたりでX線管の照射するX線量が少なくなってしまうため、検出器でノイズが混入し、撮影した画像のノイズが増大するという問題がある。したがって、X線管の単位時間当たりのX線照射量を増やすため、X線管に供給する電力を増大させる必要がある。
このように、近年のX線CT用X線管ではX線照射量を増やすため、X線管に供給する電力を増大させる必要が生じているが、その一方で、X線管に供給する電力の増大にともなってX線管内で異常放電が生じるおそれがある。医療機器であるX線CT装置においては、異常放電等の絶縁不良はシステム全体の停止やX線管の交換を伴うことから、X線管の絶縁信頼性を高める必要がある。
塵埃による異常放電は以下のようなメカニズムで発生すると考えられる。すなわち、X線管内の塵埃は陰極と陽極による高電界により帯電する。塵埃が正に帯電した場合、塵埃は陰極に向かって加速される。一方、塵埃が負に帯電した場合、塵埃は陽極に向かって加速される。また、場合によっては塵埃が筐体や絶縁体に向かって加速されることもある。加速された塵埃は陰極、陽極、筐体または絶縁体に衝突すると、そのエネルギーが熱となり、塵埃または衝突した陰極、陽極、筐体または絶縁体の一部がガスまたはプラズマに変化する。ガスまたはプラズマは絶縁性能を低下させ、X線管内で異常放電を発生させる。
このようなX線管内の塵埃を原因とする異常放電を防止する方法として、従来、いわゆる中性点接地型X線管において、陽極と陰極との電位差に起因する電界の影響を受けない位置に塵埃を捕捉する塵埃捕捉容器を設け、X線管の回転にともなう遠心力で塵埃を塵埃捕捉容器に移動させて異常放電を防止することが知られている。
図2は中性点接地型のX線管の構成を示す断面図である。図2に示すように、中性点接地型のX線管は、内部が真空に保たれる真空筐体105と、真空筐体105に収容された陰極101と、陰極101と電極面を対向させて収容された陽極102とを備えて構成されている。陰極101には負電圧が印加され、陽極102には正電圧が印加されることにより、電子ビームが発生し、電子ビームが陽極102に衝突する際にX線が発生するようになっている。陽極102は過熱を防止するためロータ103とステータ104からなるモータにより回転するようになっている。陰極101と陽極102の間には例えば100kVを超える電位差があるため、真空筐体105はガラス等で構成される絶縁体で形成されている。
このような中性点接地型のX線管において塵埃捕捉容器を設ける場合、真空筐体105には陽極側と陰極側との電位差に起因して沿面方向に電界が生じているため、塵埃捕捉容器を真空筐体105の沿面方向に長くすることができない。その結果、概ね真空筐体105の中央付近の一部にしか設置できないので、X線管内の塵埃の一部しか電界が緩和された塵埃捕捉容器に移動させることができず、完全に異常放電を防止することができないという問題点がある。
これに対して本実施形態のX線管は、陽極接地型のX線管を対象としている。図3は本実施形態の陽極接地型X線管の構成を示す断面図である。陽極接地型のX線管は、内部が真空に保たれる真空筐体106と、真空筐体106に収容された陽極102と、真空筐体106に陽極102と互いに電極面を対向させて収容された陰極101と、陰極101の電極面の反対側の面に接続されて真空筐体106から引き出される図示していない導体を真空筐体106の内部で覆ってなる絶縁体110とを備えて構成される。また、真空筐体106及び陽極102には接地電位が与えられ、陰極101には負電位が与えられるようになっている。
陰極101には電子を放出するためのフィラメントまたは電極が設置されており、陰極101に負電圧が印加され、陽極102が接地電位であるため、両者の間に電位差が発生することにより電子ビームが発生し、電子ビームが陽極102の電極面に衝突する際にX線が発生する。陽極102は回転軸を介してロータ103に結合されており、ステータ104が発生する磁場によりロータ103が回転することにより、陽極102も回転する構造となっている。陽極102の過熱を防止するためロータ103とステータ104からなるモータにより陽極102は回転するようになっている。
ここで、陰極101と陽極102の間には例えば100kVを超える電位差が生じるため、陰極101と真空筐体106の間つまり陰極101の電極面と反対側の面から真空筐体106の壁面までの導体を覆うようにセラミックス等で構成される絶縁体110で絶縁されている。陰極101は絶縁体110で支持されている。真空筐体106は強度に優れた金属で構成することにより、スキャナの高速回転による遠心力に対して強度を有する構造とすることができる。例えば材料はステンレス、チタン合金等の金属を用いることができる。なお、絶縁体110の内部には、陰極101と接続されるケーブルヘッドの導体を覆う表面接地のケーブルヘッド絶縁体の先端部が挿入される空間が形成されている。以下、真空筐体106に存在する塵埃に起因する異常放電を抑制するための具体的な構造を、実施例を用いて説明する。
図4は第1実施例の陽極接地型のX線管の構成を示す断面図であり、図5は図4の破線108における断面図である。図4,5に示すように、陰極101及び絶縁体110の外周面とこの外周面に対向する真空筐体106の内壁面との間に、電界緩和部材107が設けられている。電界緩和部材107は、筒状に形成された金属網又は金属線を編んだメッシュで形成され、陰極101及び絶縁体110の外周面と距離を離してこの外周面を覆うように設けられている。
電界緩和部材107は金属網又は金属メッシュに限らず、穴が形成された金属板とすることもできる。また電界緩和部材107は金属に限らず導電性を有する部材を用いることができる。電界緩和部材107に接地電位を与えるために、電界緩和部材107は真空筐体106に接続されている。なお電界緩和部材107は厳密に接地電位とする必要はなく接地電位に近い電位となるように絶縁体110に接続されていてもよい。要は電界緩和部材107とこれに対向する真空筐体106の内壁面との間の電界を緩和できればよい。
このような構成にすることにより、電界緩和部材107と真空筐体106の間の電界を緩和することができる。これまでの実験では真空筐体106内面の電界を約0.1kV/mm以下とすることにより、塵埃を原因とする異常放電を防止することができることがわかっている。電界緩和部材107はチタン、ニッケル、モリブデン、タンタル、クロム、タングステン等の金属又はこれらを含む合金が望ましい。これらの金属は融点が高く、真空中での放電が発生しにくい材料である。
本実施例によれば、X線管内の塵埃はX線管を搭載したスキャナの回転による遠心力で低電界の電界緩和部材107と真空筐体106の間に入り込み、電界の加速を受けないことにより、塵埃が電界緩和部材107と真空筐体106の間に留まり、X線管の異常放電を防止することができる。また本実施形態のような陽極接地型のX線管では、真空筐体106が一様に接地電位となっているため電界緩和部材107を陰極の導体の引き出し方向に延在して設けることができる。その結果、真空筐体106の内壁面と電界緩和部材107との間の電界が緩和される領域が大きくなるため、真空筐体106内に存在する塵埃を効率よく電界緩和領域に捕捉することができる。また、陰極101、陽極102間に電位差を発生させる前にスキャナを回転させることで、真空筐体106の内壁面と電界緩和部材107との間の空間に塵埃を移動させてから陰極101、陽極102間に電界をかけることができるので、より確実に塵埃を原因とする異常放電を防止することができる。
なお、本実施例は、電界緩和部材107は陰極101及び絶縁体110と真空筐体106が正対する箇所だけ設置する例を挙げたが、構造上電界が発生する箇所にも追加して設置しても良い。また、本実施例では、電界緩和部材107は陰極101及び絶縁体110の周囲に筒状に配置しているが、これに限らずX線管を搭載したスキャナの回転運動による遠心力で塵埃が移動する外側向きの面だけに設置しても良い。
すなわち、図6〜図8は第1実施例の変形例を示す断面図であり、図4の破線108における断面図である。この変形例は、陰極101及び絶縁体110の外周面とこの外周面に対向する真空筐体106の内壁面との間の、X線CT装置のスキャナの回転にともなって遠心力が働く方向側に、導体の引き出し方向に延在して電界緩和部材107を設けるものである。図6〜8において矢印111はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向を示している。
図6〜8のように、電界緩和部材107はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向側にのみ設けられており、かつ導体の引き出し方向に延在して設けられている。電界緩和部材107は穴あき金属板、金属網、又は金属メッシュとすることができる。電界緩和部材107は図6のように平らな金属板、金属網、又は金属メッシュとすることもできるし、図7のように真空筐体106の内壁面の湾曲に沿って湾曲するようなものとすることもできる。また図8のように真空筐体106の内壁面の湾曲と反対側に凸になるように金属板、金属網、又は金属メッシュを折り曲げて塵埃が捕捉される領域を大きく形成することもできる。なお、本構成においても、陰極101、陽極102間に電位差を発生させる前にスキャナを回転させることで、真空筐体106の内壁面と電界緩和部材107との間の空間に塵埃を移動させてから陰極101、陽極102間に電界をかけることができるので、より確実に塵埃を原因とする異常放電を防止することができる。
図9は第2実施例の陽極接地型のX線管の構成を示す断面図であり、図10は図9の破線108における断面図である。図9,10に示すように、陰極101及び絶縁体110の外周面に対向する真空筐体106の内壁面に、陰極101と真空筐体106との電位差に起因する電界を緩和する溝109(くぼみ)が形成されている。また、溝109はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向側に、陰極の導体の引き出し方向に延在して形成されている。さらに、真空筐体106に接続され穴が形成された金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかの蓋部材112が、溝109を覆って蓋状に設けられている。なお、図10において矢印111はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向を示している。
本実施例では、真空筐体106の陽極102が収容されている領域まで延在して溝109を形成しているが、これに限らず陰極101及び絶縁体110と真空筐体106が正対する箇所だけ形成してもよい。また、構造上電界が発生する箇所に追加して形成してもよい。本実施例によれば、溝109の底面の電界を緩和することができる。これまでの実験では溝109底面の電界を0.1kV/mm以下とすることにより、塵埃を原因とする異常放電を防止することができることがわかっている。
また、本実施例にように、溝109に金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかの蓋部材112を設けることにより、溝109の底部だけではなく溝109の内部全体を電界が緩和された領域とすることができるので、より塵埃を効果的に捕捉することができる。蓋部材112はチタン、ニッケル、モリブデン、タンタル、クロム、タングステン等の金属またはこれらを含む合金が望ましい。これらの金属は融点が高く、真空中での放電が発生しにくい材料である。以上、本実施例によれば、X線管内の塵埃はX線管を搭載したスキャナの回転による遠心力で低電界の溝109内に入り込み、電界の加速を受けないことにより、塵埃が溝109内に留まり、X線管の異常放電を防止することができる。
なお、上記説明では溝109に金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかの蓋部材112を設けることを例に挙げて説明したが、これに限らず蓋部材112を設けないで溝109を形成するのみとすることができる。図11は第2実施例の変形例を示す断面図であり、図9の破線108における断面図である。図11において矢印111はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向を示している。この変形例によれば、溝109の底部では陰極101の負電位と真空筐体106の接地電位の電位差に起因して生じる電界を緩和することができる。その結果、真空筐体106内に存在する塵埃をこの溝109の底部の電界が緩和された領域に捕捉することができるので、陽極接地型のX線管の塵埃に起因する異常放電を抑制することができる。
また、上記第2実施例では真空筐体106の円筒状の壁の一部を突出させることにより溝109を形成する例を示したが、これには限られない。すなわち、図12,図13は第2実施例の変形例を示す断面図であり、図9の破線108における断面図である。図12,図13において矢印111はX線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向を示している。図12,13に示すように、真空筐体106の内壁面を凹状に削って溝109を形成することもできる。この変形例においても、図12のように溝109の開口部に蓋部材112を設けて溝109の底面、側面及び蓋部材112で囲まれる領域の電界を緩和して塵埃を細くすることもできる。また、図13のように溝109を形成するのみで蓋部材112を設けない場合であっても、溝109の底部は電界が緩和されるので塵埃を捕捉することができる。なお、本実施例においても、陰極101、陽極102間に電位差を発生させる前にスキャナを回転させることで、真空筐体106の内壁面と電界緩和部材107との間の空間に塵埃を移動させてから陰極101、陽極102間に電界をかけることができるので、より確実に塵埃を原因とする異常放電を防止することができる。
4 スキャナ回転盤
7 X線管
10 被検体
11 X線検出器
15 画像再構成装置
101 陰極
102 陽極
105,106 真空筐体
107 電界緩和部材
109 溝
110 絶縁体
112 蓋部材

Claims (9)

  1. 真空筐体と、該真空筐体に収容された陽極と、前記真空筐体に前記陽極と互いに電極面を対向させて収容された陰極と、該陰極の前記電極面の反対側の面に接続されて前記真空筐体から引き出される導体を前記真空筐体の内部で覆ってなる絶縁体とを備え、前記真空筐体及び前記陽極に接地電位が与えられ、前記陰極に負電位が与えられる陽極接地型のX線管であって、
    前記陰極及び前記絶縁体の外周面と該外周面に対向する前記真空筐体の内壁面との間に、接地電位が与えられ穴が形成された導電性の電界緩和部材が設けられてなることを特徴とするX線管。
  2. 前記電界緩和部材は、前記陰極及び前記絶縁体の外周面と該外周面に対向する前記真空筐体の内壁面との間に、前記導体の引き出し方向に延在して設けられてなる金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかである請求項1のX線管。
  3. 前記電界緩和部材は筒状に形成された金属網又は金属メッシュであり、前記陰極及び前記絶縁体の外周面と距離を離して該外周面を覆うように設けられてなる請求項1のX線管。
  4. 前記X線管はX線CT装置に用いられるX線CT用X線管であり、
    前記電界緩和部材は、前記陰極及び前記絶縁体の外周面と該外周面に対向する前記真空筐体の内壁面との間の、前記X線CT装置のスキャナの回転にともなって遠心力が働く方向側に、前記導体の引き出し方向に延在して設けられてなる金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかである請求項1のX線管。
  5. 真空筐体と、該真空筐体に収容された陽極と、前記真空筐体に前記陽極と互いに電極面を対向させて収容された陰極と、該陰極の前記電極面の反対側の面に接続されて前記真空筐体から引き出される導体を前記真空筐体の内部で覆ってなる絶縁体とを備え、前記真空筐体及び前記陽極に接地電位が与えられ、前記陰極に負電位が与えられる陽極接地型のX線管であって、
    前記陰極及び前記絶縁体の外周面に対向する前記真空筐体の内壁面に、前記陰極と前記真空筐体との電位差に起因する電界を緩和する溝が形成されてなることを特徴とするX線管。
  6. 前記溝は、前記陰極及び前記絶縁体の外周面に対向する前記真空筐体の内壁面に、前記導体の引き出し方向に延在して形成されてなる請求項5のX線管。
  7. 前記真空筐体に接続され穴が形成された金属板、金属網、又は金属メッシュのいずれかの蓋部材が、前記溝を覆って蓋状に設けられてなる請求項5のX線管。
  8. 前記X線管はX線CT装置に用いられるX線CT用X線管であり、
    前記溝は、前記陰極及び前記絶縁体の外周面と対向する前記真空筐体の内壁面の、前記X線CT装置のスキャナの回転にともなう遠心力が働く方向側に、前記導体の引き出し方向に延在して形成されてなる請求項5のX線管。
  9. 被検体を載置する寝台を挟んで対向するX線管及びX線検出器と、前記X線管及びX線検出器が搭載され前記寝台周りに回転するスキャナ回転盤と、前記X線検出器のX線検出結果に基づいて前記被検体の断層画像を構成する画像再構成部とを備えてなり、前記X線管が請求項1乃至8のいずれかのX線管であるX線CT装置。
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