JP2011003317A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】PDPにおける輝度の向上、及びコントラスト(特に明室コントラスト)の向上を実現できる技術を提供する。
【解決手段】本PDPは、セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、セルのピッチ面積Spitchと、セルの開口部の面積Scellとを用いて、第1の開口率(セル開口率)Acell=Scell/Spitchとしたとき、例えば、[0.25≦Acell≦0.55](条件1−2)、を特徴とする。セル開口率(Acell)を低減し、発光効率(ηmd)の低減以上にパネル反射率(β)を低減させることにより基本発光効率(ηfn)を向上させる。
【選択図】図4
【解決手段】本PDPは、セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、セルのピッチ面積Spitchと、セルの開口部の面積Scellとを用いて、第1の開口率(セル開口率)Acell=Scell/Spitchとしたとき、例えば、[0.25≦Acell≦0.55](条件1−2)、を特徴とする。セル開口率(Acell)を低減し、発光効率(ηmd)の低減以上にパネル反射率(β)を低減させることにより基本発光効率(ηfn)を向上させる。
【選択図】図4
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)及びそれを備える表示装置(プラズマディスプレイ装置:PDP装置)に関し、特に、発光効率等に係わるセル(画素等)の構造等の技術に関する。
PDP装置、液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL等のフラットパネルディスプレイでは、性能やコストの競争が激しく、特に、PDPの性能としては、低電力化、高輝度化、高コントラスト化が要求されている。これら性能を向上するためには、基本的には発光効率あるいは放電効率を向上させることが有効である。
特開2007−184282号公報(特許文献1)(特に図4a)には、放電効率を向上させる技術について開示されている。具体的には、セル(隔壁により区画される単位放電セル)における、「単位放電空間の面積」対「単位放電セルの面積」の比率([単位放電空間の面積]/[単位放電セルの面積])を、0.45以上0.59以下、とするセル構造に関する技術が提案されている。このような構成とすることで、放電効率を向上させ、また同時にパネルの外部光反射率を低減し、コントラスト特性を向上させる旨が記載されている。なお、上記「単位放電セルの面積」とは、隣接する隔壁の中央線の間隔により規定されており、上記「単位放電空間の面積」とは、隣接する隔壁の内側面の間隔により規定されている。また、隔壁の上方にブラック層がある場合、その幅によっても上記面積に影響する旨が記載されている。
また、特開2005−32478号公報(特許文献2)では、放電のpd積(放電ガス圧力pと放電電極間距離dとの積)を増大させ、あるいは放電ガス中のキセノン(Xe)組成比を増大させることにより、発光効率を増大し、一方で、表示放電領域面積率(Ad)を0.05以上0.4以下とすることで、セット発光効率やセット輝度を増大させ、さらに明室コントラストを増大させる旨が記載されている。なお、上記セットとは、PDP(基本パネル、モジュール)にフィルタを加えたものである。上記Ad=Sd/Sp、Sd:表示放電領域面積、Sp:表示領域面積である。
従来のPDP(以下単にパネルとも称する)における、発光効率あるいは放電効率の向上に関する方針は、フィルタを除く基本パネル自体(モジュール)の発光効率(後述するモジュール効率:ηmd)を上げると共に、パネルの反射率(後述する反射率:β)を下げることにより、それらの値(比率)から規定される効率を上げる、という方針であった。なお前記特許文献1に記載の効率(放電効率)とは、上記基本パネル自体の発光効率(ηmd)に相当する。
上記従来の方針では、効率(輝度、コントラスト等)の向上のために再検討の余地がある。
本発明の主な目的は、PDPにおける輝度の向上、及びコントラスト(特に明室コントラスト)の向上を実現できる技術を提供することである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。本発明では、PDPの輝度及びコントラスト(特に明室コントラスト)の向上を実現するために、前述の従来の方針とは異なり、以下で定義する「基本発光効率」(ηfn)を向上させる方針及び対応する構造を特徴とする。本発明の方針では、パネル自体の発光効率(ηmd)ではなく、その代わり、パネル反射率(β)と、その値から規定される基本効率(ηfn)を上げることにより表示性能を向上させる、という方針である。
「基本発光効率」(ηfn)の基本的な定義は、ηfn=ηmd/√β、である(ηmd:モジュール効率:、β:パネル反射率)。
「基本発光効率」(ηfn)を向上させる手段(形態)として以下を有する。基本的な特徴としては、セルを視点(前面)側から見た時の面積に関して、セル面積に対するセル開口部の面積(蛍光体の面積と対応関係有り)の比率(開口率)によって条件を規定するものである。セルの開口率を下げる条件により、反射率(β)を大きく下げることで、基本発光効率(ηfn)を上げる。更に、精度をより高めたい場合は、開口部の上に重なる、前面基板構造体側の不透明電極等の構造も考慮した開口率の条件によって規定するものである。
(1)本形態のPDPは、放電を形成するための放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体(例えば前面基板構造体と背面基板構造体)と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセル(画素、放電セル)と、前記隔壁間に形成される蛍光膜(放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光体から構成される蛍光膜)と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を少なくとも有するPDPである。
そして、前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、特に背面基板構造体側の隔壁等の構造を考慮した第1の開口部の構造(平面b対応)に関して、前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellとを用いて、第1の開口率(セル開口率)Acell=Scell/Spitchとしたとき(式(19))、例えば[0.25≦Acell≦0.55](条件1−2)(Acellが0.25以上且つ0.55以下)を特徴とする。
(2)本形態のPDPは、前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、前記セルの開口部の垂直方向の長さCyと水平方向の長さCxとを用いて、アスペクト比AR=Cy/Cxとしたとき、[1.35≦AR≦2.92](条件3−2)、を特徴とする。
(3)本形態のPDPは、前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、特に背面基板構造体側の隔壁等の構造による第1の開口部の構造に加え、前面基板構造体側の電極等の構造を考慮した第2の開口部の構造(平面a対応)に関して、前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellと、前記セルの開口部の面積Scellから当該開口部の上に重なる不透明部の面積を差し引いた面積(パネル開口部の面積)Spanelとを用いて、第2の開口率(パネル開口率)Apanel=Spanel/Spitchとしたとき(式(20))、[0.14≦Apanel≦0.45](条件2−2)、を特徴とする。
上記各形態で、例えば、前記セルの開口部は、四方をボックス型の隔壁により囲まれて成る構造(ボックス型のセル構造)である。また例えば、前記電極として、前記セルの開口部の上に配置される不透明電極を有する。また例えば、前記隔壁の表面の拡散反射率が20%以下である。
上記構成により、[コントラスト]×[輝度]は[基本発光効率(ηfn)]の二乗に比例するという関係があるから、基本発光効率(ηfn)を上げることにより、コントラストまたは輝度を上げることが実現できる。またそれらを上げる配分については、適宜、設計上の選択が可能である。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。本発明の代表的な実施の形態によれば、PDPに係わり、基本発光効率を向上することができ、これにより、輝度の向上、コントラスト(特に明室コントラスト)の向上を可能とする。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明のため、図示するように、x方向(画面内の横方向)、y方向(画面内の縦方向)、z方向(パネル厚さ方向)を有する。
<基本発光効率>
本発明及び実施の形態を理解するために、PDPにおける新規な性能指標となる「基本発光効率」(ηfn)について説明する。なお、この指標は本発明者等の考察によって、初めてディスプレイの性能指標として見出したものである。
本発明及び実施の形態を理解するために、PDPにおける新規な性能指標となる「基本発光効率」(ηfn)について説明する。なお、この指標は本発明者等の考察によって、初めてディスプレイの性能指標として見出したものである。
図10に、人の視点(S)から観たPDP装置100(横から見た概略構成)を示した。このPDP装置100は、基本的なパネル(PDP)101と、その前面側に配置されるフィルタ102とを有して構成される。パネル101で示す部分が、通常、基本プラズマパネルに相当する部分であり、モジュール等と呼ぶこともある。パネル101とフィルタ102を合わせた部分をセットなどと呼ぶ。Sは人の視点、その矢印は視野方向を示す。
パネル101から出射される表示光cは、フィルタ102を透過して、人の視点(S)に達する。また、室内照明光のような外光(外光入射光a)は、フィルタ102を透過して、パネル101の表面で反射され、その光(外光反射光b)が、再度フィルタ102を透過して、視点(S)に達する。人の視点(S)では、パネル101からの表示光cと外光反射光bを見ることになる。なお、暗室環境は、外光入射光aが無い状態に相当する。以上のような構成で、以下、PDP装置100の性能指標について説明する。
まず、コントラストCは、次の式(1)で表すことができる。
Bponは、発光表示(あるいは最高輝度表示)をした時の輝度であり、Boffは、黒表示をした時の輝度であり、いずれも[cd/m2]の単位で表現される。通常、輝度は輝度計を用いて測定される。
コントラストCは、さらに、明室コントラストCb、および暗室コントラストCdとして区別して測定され、それぞれ、明るい環境(通常は家庭内居間の明るさ即ち照度150〜200[lx(ルクス)]を想定)、および暗室でのコントラストに対応する。
式(1)で求められるコントラストCの値が大きいほど、より鮮明で美しい画像を表現できる。即ち、PDP装置では、より大きなコントラストが求められており、特に明るい環境下での大きなコントラストC(明室コントラストCb)が重要である。
PDP装置においては、暗室における黒表示時の輝度Boffは必ずしも0ではない。なぜなら、予備放電期間における予備放電(リセット放電などとも呼ぶ)や、書き込み放電期間における書き込み放電により、必ずしも画像表示に必要でない発光が生じるからである。
従って、PDP装置においては、暗室コントラストCdも無限大ではなく有限値を有する。この値は、式(2)で表される。
ただし、Bpond、およびBoffdは、それぞれ、「暗室における発光表示(あるいは最高輝度表示)をした時の輝度[cd/m2]」、および「暗室における黒表示をした時の輝度[cd/m2]」である。暗室コントラストCdを大きくするには、Bpondを大きくするか、Boffdを小さくするかであり、セル構造および放電特性によって決定される。
一方、明室コントラストCbを大きくするために、光の透過特性を制御したフィルタ(図10のフィルタ102)が通常用いられる。以下、フィルタ102による明室コントラストCb増大の原理を説明する。
図10の構成において、視点(S)方向からパネル101画面(表示領域)の表示画像を見た時の明室コントラストCbは、概略、下記式(3)となる。
ただし、Bponmは、フィルタ102無しで(即ちパネル101だけで)暗室における発光表示をした時の輝度(モジュール輝度)[cd/m2]であり、Boffmは、フィルタ102無しで(即ちパネル101だけで)暗室における黒表示をした時の輝度[cd/m2]である。また、Brは、室内光輝度であり、明室における外光がフィルタ102前面(フィルタ102の視点(S)側の面)に仮想的に設置した完全反射面(表面反射率100%の拡散反射面)で形成する輝度[cd/m2]である。
また、αはフィルタ102の透過率であり、βはパネル101の表示領域における表示面での表面反射率の平均値、即ち表示領域表面反射率(モジュール反射率、あるいはパネル反射率などと呼ぶ)。明室環境照度をL[lx]とすると、Br=L/π≒L/3.14[cd/m2]である。
表面反射率とは、「ある面(入射面)に入射した光の一部が反射光として出射する状況において、入射光エネルギーに対する反射光エネルギーの割合」である。また、透過率とは、「ある物体の表面(入射面)に入射した光の一部がその物体を透過して透過光として出射する状況において、入射光エネルギーに対する透過光エネルギーの割合」である。
表面反射率および透過率ともに、入射面の任意の場所において入射光の波長程度の精度で場所を特定して定義および測定することが原理的に可能である。通常は、表面反射率および透過率ともに、表面反射率測定器および透過率測定器を用いて入射面の場所の関数として測定される。また、通常は、表面反射率、透過率ともに、入射光の波長の関数である。従って、式(3)の表面反射率βおよび透過率αは、可視光波長の範囲において室内光の波長分布スペクトラムと人間の視感度を考慮して決定される平均値である。さらに簡便には、人間の視感度の大きな波長範囲、即ち500nm〜600nmの波長範囲における表面反射率および透過率の平均値である。また、式(3)においてフィルタ表面での可視光の反射は無いと仮定した。
式(3)において、Br=0としたCbは、暗室コントラストCdを与え、式(4)となる。
式(3)において、通常の明室条件(L=150〜200)では、下記式(5)である(>>:非常に大きい、<<:非常に小さい)。
従って、式(3)は、下記式(6)となる。
即ち、Bponm,Br,βが一定のとき、フィルタ透過率αを小さくすると、明室コントラストCbはαに反比例して大きくなる。これが、フィルタ102により明室コントラストCbを増大させる原理である。
次に、発光効率に関する議論を行う。発光効率ηとして、フィルタ102を用いずパネル101だけの時の発光効率ηm(=ηmd)と、パネル101にフィルタ102を設置した時の発光効率ηsを定義することができ、下記式(7),(8)である(単位[lm/W])。
ただし、ηm(ηmd):フィルタ102を用いない発光効率を、モジュール発光効率(パネル発光効率)などと呼ぶ。ηs:フィルタ102を用いた発光効率を、セット発光効率などと呼ぶ。
また、Sp:発光表示領域の面積([m2])であり、Pdp:放電電力(パネルの放電空間への投入電力)[W])である。ただし、発光は完全拡散発光であると仮定した。式(7),(8)は、任意の階調表示時において成立する。
また、フィルタ102有りのセット状態で暗室における発光表示をした時の輝度を、セット輝度Bpons([cd/m2])と呼ぶことにすると、Bponsは、下記式(9)である。
最終的に重要なのは当然セット(PDP装置100)の性能であり、セットのBC積:Fbcs([cd/m2])、即ち下記式(10)である。
セットのBC積Fbcsを増大させることが、高輝度かつ高コントラストなPDPを実現することになる。
式(6),(9),(10)より、下記式(11)である。
式(11),(7)を用いて、下記式(12)となる。
即ち、下記式(13),(14),(15)となる。A:駆動および環境で定まる係数([W×cd0.5/(lm×m)])であり、ηfn:基本発光効率([lm/W])である。
式(13)〜(15)より、「放電電力Pdpが一定(Aが一定)の下で、セットのBC積Fbcsを増大させるには、基本発光効率ηfnを増大させることが必須であること」がわかる。このことは、本発明者等の考察により初めて明らかになったことである。
式(15)で定義されるηfnを、「基本」発光効率と称する理由について説明する。式(15)は、フィルタ無しのモジュール(パネル101)の物理量であるモジュール発光効率ηm(ηmd)と、同パネル(101)の反射率βとで定義されているが、これと同様の物理量(ηfns)を形式的に下記式(16)と定義する。ηfns:セットの基本発光効率[lm/W]、βs:セットの反射率である。
図10を参考にして、式(17)である。
よって、式(8),(16),(17)より、下記式(18)となる。
即ち、式(16)で定義されるηfnsは、フィルタの透過率αに関係無く一定となり、その値は式(15)で定義されるηfnに等しい。この意味で、式(15)で定義されるηfnを、基本発光効率と称する。
本発明及び実施の形態は、以下で述べる手法(セル構造)によって、この基本発光効率(ηfn)を向上させることにより、PDP装置(PDP)の性能を向上させるものである。基本発光効率(ηfn)を向上できれば、式(10)に示すように、その向上分を輝度(Bpons)向上やコントラスト(Cb)向上などの性能に振り分けることができる。
<開口率の定義>
本発明では、基本発光効率(ηfn)を向上させるために、低開口率セル構造を提案する。本明細書では、「開口率」について、第1の開口率:セル開口率Acellと、第2の開口率:パネル開口率Apanelとの2つの重要なパラメータを定義する。図11を用いて各パラメータを説明する。図11(a)はAcell、図11(b)はApanel、図11(c)は開口部形状及びAR等に関する説明図である。14はセル(画素)、15はそのうちの開口部(蛍光体領域)を示す。
本発明では、基本発光効率(ηfn)を向上させるために、低開口率セル構造を提案する。本明細書では、「開口率」について、第1の開口率:セル開口率Acellと、第2の開口率:パネル開口率Apanelとの2つの重要なパラメータを定義する。図11を用いて各パラメータを説明する。図11(a)はAcell、図11(b)はApanel、図11(c)は開口部形状及びAR等に関する説明図である。14はセル(画素)、15はそのうちの開口部(蛍光体領域)を示す。
図11(a)において、セル開口率Acellは、隔壁等を含む背面基板構造体におけるセル(14)のピッチ面積(Spitch)に対するセルの開口部(15)の面積(Scell)の比率であり、背面基板構造体側に形成されるセルの開口部(隔壁等により規定される)によって決まるパラメータである。セルの開口部(15)の上、前面基板構造体側に配置される電極部等の面積は、Acellの計算に考慮されない。
図11(a)で示されるように、背面基板構造体側において、セル14のピッチ面積をSpitchと定義し、セル開口部15の面積をScellと定義すると、セル開口率Acellは、次の式(19)で表される。
なお、セル開口部15が理想的に長方形の場合(図11(a))には、下記式(19’)が成立する。Cx,Cyは、セル開口部15の長方形における横方向x(短辺)の長さ、縦方向y(長辺)の長さである。Px,Pyは、セル(画素)14の横方向xのピッチの長さ、縦方向yのピッチの長さである。
一方、パネル開口率Apanelは、前面基板構造体側に配置された電極等の不透明部材の領域の面積も含めて考えた開口率である。セル開口部15の面積Scellから、セル開口部15上に位置するバス電極などの不透明電極部の面積(Sblackとする)を差し引いた面積であるパネル開口面積Spanel(=Scell−Sblack)を、ピッチ面積Spitchで除した値が、Apanelとなる(Apanel=(Scell−Sblack)/Spitch)。パネル開口面積Spanelは、視野(S)側から見える放電空間の領域を視野面に投影させた領域の面積となる。
なお上記でいう「セル開口部」等は主に背面基板構造体側の構造を考えて、また、「パネル開口部」等は前面基板構造体側も含めたパネル全体の構造を考えて、そのように呼称している。
パネル開口率Apanelは、式(20)で表すことができる。また、セル開口部15上の不透明電極部を考慮した場合、式(20’)となる。なお、式(20),(20’)は、セル開口部15が理想的に長方形の場合(図11(a),(b))である。
図11(b)の場合、セル開口部15の上(z方向)に、セルの放電のための電極対(X電極、Y電極)を構成する不透明金属バス電極(幅:w、間隔:d)の部分が重なっている。式(20’)では、当該不透明電極部の面積を除くものであり、パネル開口面積Spanel=Scell−Sbus=Cx×(Cy−2w)である。
通常(精度を高める場合)、当該不透明電極部の面積も考慮するため、セル開口率(Acell)に比べてパネル開口率(Apanel)は低い値となる。また、同じセル開口率(Acell)であっても、当該電極の形状や幅などによって、パネル開口率(Apanel)は異なってくる。さらに、上記電極以外にも、ブラックマトリクスなどの不透明部が配置されて、セルの放電領域(セル開口部15)の一部が視野側から見えない場合には、その面積についても上記電極面積(Sblack)と同様に差し引いてパネル開口率(Apanel)を計算する。
従来の代表的なPDP装置では、図12に示すようなセル等の構造となっている。この構造において、上記セル開口率(Acell)およびパネル開口率(Apanel)を計算すると、それぞれ、0.70以上、0.60以上である。
<低開口率セル技術による基本発光効率向上の考え方>
本発明は、上述した基本発光効率(ηfn)のための技術であり、低開口率セル構造(セル開口率(Acell)やパネル開口率(Apanel)を低くしたセル構造)により、基本発光効率(ηfn)の向上を実現する。これは、図1(実施例1)に示すように、図12のような従来例に比べて、セル14の開口部15を小さくする技術である。セル14の開口部15を小さくすることにより、視野(S)側から見える蛍光膜(セル開口部15に形成されている)の面積が小さくなる。パネルを構成する部材のうち蛍光膜の反射率は非常に高いため、この蛍光膜の面積を低減できることは、パネル反射率βの大きな低下につながる。これは、式(18)からもわかるように基本発光効率(ηfn)の向上につながる。
本発明は、上述した基本発光効率(ηfn)のための技術であり、低開口率セル構造(セル開口率(Acell)やパネル開口率(Apanel)を低くしたセル構造)により、基本発光効率(ηfn)の向上を実現する。これは、図1(実施例1)に示すように、図12のような従来例に比べて、セル14の開口部15を小さくする技術である。セル14の開口部15を小さくすることにより、視野(S)側から見える蛍光膜(セル開口部15に形成されている)の面積が小さくなる。パネルを構成する部材のうち蛍光膜の反射率は非常に高いため、この蛍光膜の面積を低減できることは、パネル反射率βの大きな低下につながる。これは、式(18)からもわかるように基本発光効率(ηfn)の向上につながる。
一方、セル開口部15を小さくすることは、放電空間(セルの放電領域)が小さくなることになり、結果として、従来指標の発光効率(ηmd)が低下することが考えられる。これは、基本発光効率(ηfn)の低下につながる懸念があるが、基本発光効率(ηfn)は、式(18)で示すように、反射率βと発光効率ηmdの兼ね合いで決まるので、この発光効率ηmdの低減以上に反射率βを低減することができれば、基本発光効率(ηfn)を向上させることができる。本発明者等は、この点に注目して、セル開口部15が小さい、即ち基本発光効率(ηfn)が高いPDPについて検討した。その結果の一例を図4に示した。
図4のグラフにおいて、横軸のセル開口率(Acell)と、縦軸の発光効率(ηmd)及び反射率(β)等の相対値とを示している。また、それらの値(ηmd,β)から算出される基本発光効率(ηfn)についても示している。ここでは、縦軸の値は、図12に示す現行(現在一般的な従来例)のPDP(PDP装置)のセル構造(セル開口率:0.73)を基準とした相対値(比率)で表している。
このグラフから、セル開口率(Acell)の領域(数値範囲)を、大きく3つの領域に分類する。即ち、図示するように、セル開口率(Acell)の大きい領域から順に、A,B,Cとする。
領域Aでは、セル開口率(Acell)が小さくなるに伴って(例えば0.7→0.3)、発光効率(ηmd)は徐々に小さくなるが(例えば1.0→0.95)、反射率(β)は、その発光効率(ηmd)低減以上に小さくなる(例えば1.0→0.6)。そのため、基本発光効率(ηfn)は徐々に大きくなっていく(例えば1.0→1.2)。ここで、隔壁の拡散反射がパネル反射率(β)に大きく影響するが、本検討では、拡散反射率が20%の隔壁の場合である。
次に、領域Cでは、発光効率(ηmd)はほぼ0となる。これは、放電が安定的に維持されるのに必要といわれる放電空間(放電領域)を確保できていないためである。プラズマディスプレイのような構造の場合、放電を安定的に保持するための目安であるデバイ長は、10−5mから10−4m程度といわれており、少なくとも放電空間(放電領域)の幅として100μm以上が必要である。このことは例えば、J.Plasma Fusion Res Vol.79, No.4に記載されている。
領域Bでは、領域Aと領域Cの間を結ぶように、セル開口率(Acell)が小さくなるに伴って、発光効率(ηmd)は0に向かうように小さくなる。このセル開口率(Acell)の領域では、隔壁(その高さ等の形状)が電極の下側で変化するため、視野(S)側から見える蛍光膜面積は変化しないように見え、そのため、反射率(β)はセル開口率(Acell)が小さくなっても変化しない。従って、この領域Bにおいては、基本発光効率(ηfn)は、発光効率(ηmd)の低下に伴って、急激に小さくなる。
このことから、従来に比べ、基本発光効率(ηfn)の向上を見込める領域は、Aであり、その中でも、現行より高い基本発光効率(ηfn:1.0よりも大きい値)を得るためには、セル開口率(Acell)が0.24以上、0.73未満の範囲となる(条件1−1:0.24≦Acell<0.73)。
さらに、少なくとも人間の眼でその効果を検知するためには、基本発光効率(ηfn)が1.03以上の場合(ηfn≧1.05)には、セル開口率(Acell)は、図4中のR1の範囲、即ち0.25以上0.55以下の範囲であることが望ましい(条件1−2:0.25≦Acell≦0.55)。
また、確実に人間の眼でその効果を検知するためには、基本発光効率(ηfn)として1.1以上が必要であり(ηfn≧1.1)、そのためには、特に、セル開口率(Acell)の範囲は、R2の範囲、即ち0.25以上0.46以下の範囲とすることが必要である(条件1−3:0.25≦Acell≦0.46)。
図5は、図4の各種データを、横軸にパネル開口率(Apanel)をとって同様に示したものである。ここでは、電極の幅(w)は50μmとなっている。図5で、前述同様に、現行よりも高い基本発光効率(ηfn>1.0)を得るためには、パネル開口率(Apanel)が0.14以上0.60未満の範囲となる(条件2−1:0.14≦Apanel<0.60)。
さらに、基本発光効率(ηfn)が1.05以上の場合(ηfn≧1.05)には、パネル開口率(Apanel)は、図5中のR1の範囲、即ち0.14以上0.45以下の範囲であることが望ましい(条件2−2:0.14≦Apanel≦0.45)。
また、確実に人間の眼でその効果を検知するためには、基本発光効率(ηfn)として1.1以上が必要であり(ηfn≧1.1)、そのためには、特に、パネル開口率(Apanel)の範囲は、R2、即ち0.14以上0.35以下の範囲とすることが必要である(条件2−3:0.14≦Apanel≦0.35)。
またさらに、図6は、上記データについて、同様に、横軸をアスペクト比(AR)で示したものである。アスペクト比(AR)は、図11に示すCxとCyの比率(Cy/Cx)(なおCy>Cx)として示される値(一般的な長短比率)である。なお、セル開口部15が理想的に長方形の場合(図11(a)等)には、Cx,Cyは一意に決まるが、製造プロセスによっては、セル開口部15が長方形にならない場合も当然存在する。この場合には、例えばそれぞれの方向で最も長い部分の長さをCx,Cyとする。即ち、図11(c)のように、セル開口部15が楕円の場合には、図示する部分でCx,Cyを定義する。
現行よりも高い基本発光効率(ηfn>1.0)を得るためには、アスペクト比ARが1.32以上3.72未満の範囲となる(条件3−1:1.32≦AR<3.72)。また、基本発光効率(ηfn)が1.05以上の場合(ηfn≧1.05)には、アスペクト比ARは、図6中のR1の範囲、即ち1.35以上2.92以下の範囲であることが望ましい(条件3−2:1.35≦AR≦2.92)。また、確実に人間の眼でその効果を検知するためには、基本発光効率(ηfn)として1.1以上が必要であり(ηfn≧1.1)、そのためには、アスペクト比ARの範囲は、図6中のR2、即ち1.38以上2.56以下の範囲とすることが必要である(条件3−3:1.38≦AR≦2.56)。
以上(図4〜図6)の検討(試作したPDP構成例)は、隔壁の拡散反射率が20%以下の場合である。隔壁の拡散反射率がさらに低い場合、例えば10%以下のような場合(例えば黒リブ構造)には、同じようにセル開口部15の面積が縮小すると、隔壁面積が増えるために、パネル反射率低減効果が大きくなる。このとき、必要なセル開口率(Acell)、パネル開口率(Apanel)、アスペクト比(AR)の範囲は、上述した範囲よりも広くなる。具体的には、それぞれ、図7,図8,図9に示す範囲となる。それぞれ、基本発光効率(ηfn)として、1.05以上を得るための範囲をR1で示し、1.10以上を得るための範囲をR2として示している。
図7では、基本発光効率(ηfn)を、ηfn>1.0とする場合、セル開口率(Acell)は、0.23以上0.73未満の範囲となる(条件4−1:0.23≦Acell<0.73)。また、ηfn≧1.05以上とする場合、セル開口率(Acell)は、図7中のR1の範囲、即ち0.24以上0.59以下の範囲が望ましい(条件4−2:0.24≦Acell≦0.59)。また、ηfn≧1.1以上とする場合、セル開口率(Acell)は、R2の範囲、即ち0.24以上0.50以下の範囲が必要である(条件4−3:0.24≦Acell≦0.50)。
同様に図8のパネル開口率(Apanel)については、基本発光効率(ηfn)を、ηfn>1.0とする場合、Apanelは、0.14以上0.60未満の範囲となる(条件5−1:0.14≦Apanel<0.60)。また、ηfn≧1.05以上とする場合、Apanelは、図8中のR1の範囲、即ち0.14以上0.46以下の範囲が望ましい(条件5−2:0.14≦Apanel≦0.46)。また、ηfn≧1.1以上とする場合、Apanelは、R2の範囲、即ち0.14以上0.37以下の範囲が必要である(条件5−3:0.14≦Apanel≦0.37)。
同様に図9のアスペクト比ARについては、基本発光効率(ηfn)を、ηfn>1.0とする場合、ARは、0.27以上3.72未満の範囲となる(条件6−1:0.27≦AR<3.72)。また、ηfn≧1.05以上とする場合、ARは、図9中のR1の範囲、即ち1.30以上2.92以下の範囲が望ましい(条件6−2:1.30≦AR≦2.92)。また、ηfn≧1.1以上とする場合、ARは、R2の範囲、即ち1.33以上2.70以下の範囲が必要である(条件6−3:1.33≦AR≦2.70)。
<本発明と従来例との違い>
なお、従来例である前記特許文献1では、単位放電セルにおける「単位放電空間の面積」対「単位放電セルの面積」比率を小さくすることによって、放電効率を向上する旨が記載されている。ここで述べられている比率は、本発明、明細書におけるセル開口率(Acell)に概ね相当する。この従来例によれば、当該開口率の範囲が0.4以上0.59以下で放電効率(本明細書での発光効率(ηmd)に概ね相当)を向上させる旨が記載されているが、本発明では、この領域では発光効率(ηmd)は低下する。
なお、従来例である前記特許文献1では、単位放電セルにおける「単位放電空間の面積」対「単位放電セルの面積」比率を小さくすることによって、放電効率を向上する旨が記載されている。ここで述べられている比率は、本発明、明細書におけるセル開口率(Acell)に概ね相当する。この従来例によれば、当該開口率の範囲が0.4以上0.59以下で放電効率(本明細書での発光効率(ηmd)に概ね相当)を向上させる旨が記載されているが、本発明では、この領域では発光効率(ηmd)は低下する。
しかし、本発明では、前述のように、発光効率(ηmd)を向上させるのではなく(発光効率(ηmd)は低下してもよい)、反射率(β)も考慮した基本発光効率(ηfn)を向上することができれば、目的を達成することができる。従って、本発明では、前述のようにセル開口率(Acell)は0.24以上(条件によっては0.25以上)であればよく、従来例で必要とする開口率範囲とは大きく異なる。
他の従来例である前記特許文献2では、放電のpd積を増大させ、あるいは放電ガス中のキセノン組成比を増大させることにより、発光効率を増大し、一方で表示放電領域面積比率Adを0.05以上0.4以下とすることで、セット発光効率やセット輝度を増大させ、さらに明室コントラストを増大させる旨が記載されている。ここで記載されている表示放電領域面積比率は、本発明、明細書でのパネル開口率(Apanel)に概ね相当する。この従来例においては、当該パネル開口率が小さくなることによって低下する発光効率を、放電ガスであるキセノン濃度を増加させることにより解決している。即ち発光効率を低減させないことが前提である。
一方、本発明では、前述のように、基本発光効率(ηfn)を向上できればよく、発光効率(ηmd)は低下してもよい。本発明の前述のセル構造の条件は、この考え方に基づき新規に規定した数値範囲であり、特許文献2に示されている範囲では、本発明で得られる効果が生まれない範囲も含まれている。
上述した実施の形態における考え方及びPDP構成例に基づいた、更に詳細な実施例について、以下説明する。
(実施例1)
図1等を用いて、本実施例1のPDP10を説明する。図1において、実施例1のPDP10のセル14等の構造を示している。本セル構造におけるサイズ等の構成は、図1に示す通りである。左側はセル開口部15(平面bに対応)を含む平面(x−y)、右側はA−A’断面(y−z)である。実施例1のPDPの基本的な構造は、セル開口部15のサイズ等の条件を除けば、従来例と同様である。また、実施例1のPDP10は、比較的透明な(例えば拡散反射率が20%)ボックス型の隔壁8の構造、及びストレートな電極2(不透明金属バス電極)を持つ構造の場合である。
図1等を用いて、本実施例1のPDP10を説明する。図1において、実施例1のPDP10のセル14等の構造を示している。本セル構造におけるサイズ等の構成は、図1に示す通りである。左側はセル開口部15(平面bに対応)を含む平面(x−y)、右側はA−A’断面(y−z)である。実施例1のPDPの基本的な構造は、セル開口部15のサイズ等の条件を除けば、従来例と同様である。また、実施例1のPDP10は、比較的透明な(例えば拡散反射率が20%)ボックス型の隔壁8の構造、及びストレートな電極2(不透明金属バス電極)を持つ構造の場合である。
本セル構造において、前記図11の各サイズは、Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.140mm、Cy=0.426mmである。また、前面基板構造体11の各電極2(不透明金属バス電極)の幅(w)は0.050mmであり、セル開口部15における対の電極2の間隔(d)は0.110mmである。なお透明電極などについては図示していないがあっても構わない。
このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比AR(Cy/Cx)は、それぞれ、Acell=0.54,Apanel=0.37,AR=3.04となる。
なお、本実施例1における電極2の構造とは異なる電極構造、例えば図3に示すような構造としても、同様の効果を得ることができる。図1に対し図3では、セル開口部15における対の電極2において、ストレートな電極部(電極2)はセル外側寄りに配置されており、セル内側方向へ不透明な張り出し部を持つ構造である。
上記図1のような複数のセルを有するPDP10において、発光効率(ηmd)及びパネル反射率(β)を測定した結果、発光効率(ηmd)は、従来例(図12)の値に対する比率(相対値)として、0.97(少し減少)となるが、パネル反射率(β)が0.81(ηmdよりも大きく減少)となるため、結果として、基本発光効率(ηfn)は、従来に対する1.08(増加)となり、即ち8%の向上効果が得られた。
図1のPDP10の詳細を説明しておく。本PDP10は、前面基板構造体11、背面基板構造体12から成る。前面基板構造体11は、前面基板(ガラス基板)1、電極2、誘電体層3、保護層4等から成る。前面基板1の表面(平面a)には、従来、フィルタ(102)等が接続される。前面基板構造体11の放電空間13側の平面bは、背面基板構造体12側のセル構造におけるセル開口部15に対応する平面である。セル開口部15上、電極2が重なっている。背面基板構造体12は、背面基板(ガラス基板)5、アドレス電極6、誘電体層7等から成る構造上に、隔壁8や蛍光体(蛍光膜)9が形成される放電空間13(基板間領域)を有する。放電空間13では放電ガスが充填される。セル(画素)14の四方を囲む(セル開口部15を規定する)、ボックス型の隔壁8の内側の領域(底面及び側面)には、蛍光体9が形成されている。
なお、セル(画素)14は、表示領域全体を単純にセル数で配分して得られる領域であり隔壁8領域を含んでいる。ボックス型の隔壁8の場合、隣接する隔壁8部の中心線同士の間隔(ピッチ)が、セル14の縦横の長さ(Px,Py)である。
(実施例2)
図2に、実施例2のPDP10のセル14等の構造を示す。本構造は、セル開口部15のサイズ等の条件を除けば、従来例と同様である。サイズは、Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.144mm、Cy=0.388mmであり、また、前面基板構造体11の各電極2(バス電極)の幅(w)は0.050mmあり、セル開口部15における対の電極2の間隔(d)は0.110mmである。
図2に、実施例2のPDP10のセル14等の構造を示す。本構造は、セル開口部15のサイズ等の条件を除けば、従来例と同様である。サイズは、Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.144mm、Cy=0.388mmであり、また、前面基板構造体11の各電極2(バス電極)の幅(w)は0.050mmあり、セル開口部15における対の電極2の間隔(d)は0.110mmである。
このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比ARは、それぞれ、Acell=0.50、Apanel=0.41、AR=2.69となる。
このようなセルを有するPDP10において、実施例1と同様に各値の測定結果では、従来例の値に対する比率として、発光効率(ηmd)が0.95、パネル反射率(β)が0.78となり、結果、基本発光効率(ηfn)が1.08、即ち8%の向上効果が得られた。
(実施例3)
実施例3のPDP10のセル14等の構造においては、隔壁8構造(材料)を除けば、実施例1,2と同様である。実施例3の隔壁8には、拡散反射率の低い(例えば拡散反射率が10%)、黒リブ材を用いた。これは、通常の硼珪酸ガラスにマンガンなどの着色材が含まれており、反射率が低くなっている。サイズは、Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.144mm、Cy=0.388mmであり、また、前面基板構造体11の電極2の幅(w)は0.050mmであり、電極対の間隔(d)は0.110mmである。このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比ARは、それぞれ、0.50、0.37、2.69である。
実施例3のPDP10のセル14等の構造においては、隔壁8構造(材料)を除けば、実施例1,2と同様である。実施例3の隔壁8には、拡散反射率の低い(例えば拡散反射率が10%)、黒リブ材を用いた。これは、通常の硼珪酸ガラスにマンガンなどの着色材が含まれており、反射率が低くなっている。サイズは、Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.144mm、Cy=0.388mmであり、また、前面基板構造体11の電極2の幅(w)は0.050mmであり、電極対の間隔(d)は0.110mmである。このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比ARは、それぞれ、0.50、0.37、2.69である。
このようなセルを有するPDP10において、同様に各値の測定結果では、従来例の値に対する比率として、発光効率(ηmd)が0.92、パネル反射率(β)が0.71となり、結果、基本発光効率(ηfn)が1.10、即ち10%の向上効果が得られた。
以上のような各実施例により、本PDP10(PDP装置)の輝度、あるいは明室コントラストを向上することができる。
(従来例)
実施例に対する比較のために示す従来例のPDPの構造は、図12の通りである。Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.148mm、Cy=0.550mmであり、また、前面基板構造体のバス電極の幅は0.050mmであり、電極対の間隔は0.110mmである。このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比ARは、それぞれ、0.73、0.60、3.72となる。このようなセルを有するPDPにおける発光効率(ηmd)、パネル反射率(β)、基本発光効率(ηfn)等を基準として、各実施例での発光効率(ηmd)、パネル反射率(β)、基本発光効率(ηfn)の相対値を算出した。
実施例に対する比較のために示す従来例のPDPの構造は、図12の通りである。Px=0.192mm、Py=0.580mm、Cx=0.148mm、Cy=0.550mmであり、また、前面基板構造体のバス電極の幅は0.050mmであり、電極対の間隔は0.110mmである。このような構成のセルでは、前述したセル開口率Acell、パネル開口率Apanel、アスペクト比ARは、それぞれ、0.73、0.60、3.72となる。このようなセルを有するPDPにおける発光効率(ηmd)、パネル反射率(β)、基本発光効率(ηfn)等を基準として、各実施例での発光効率(ηmd)、パネル反射率(β)、基本発光効率(ηfn)の相対値を算出した。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
他の実施の形態として、例えば、セル開口部14の上に重なる不透明部として、バス電極以外にも、前述のブラックマトリクスなどがある形態も可能である。また、隔壁8はボックス型以外にも可能である。
本発明は、PDP装置に利用可能である。
1…前面基板(ガラス基板)、2…電極、3,7…誘電体層、4…保護層、5…背面基板(ガラス基板)、6…アドレス電極、8…隔壁(リブ)、9…蛍光体(蛍光膜)、10…PDP(パネル)、11…前面基板構造体、12…背面基板構造体、13…放電空間、14…セル(画素)、15…セル開口部、100…PDP装置、101…PDP、102…フィルタ。
Claims (16)
- 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellとを用いて、
第1の開口率Acell=Scell/Spitchとしたとき、
[0.25≦Acell≦0.55]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項1記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[0.25≦Acell≦0.46]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルの開口部の垂直方向の長さCyと水平方向の長さCxとを用いて、
アスペクト比AR=Cy/Cxとしたとき、
[1.35≦AR≦2.92]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項3記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[1.38≦AR≦2.56]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellと、前記セルの開口部の面積Scellから当該開口部の上に重なる不透明部の面積を差し引いた面積Spanelとを用いて、
第2の開口率Apanel=Spanel/Spitchとしたとき、
[0.14≦Apanel≦0.45]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項5記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[0.14≦Apanel≦0.35]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記セルの開口部は、四方をボックス型の隔壁により囲まれて成る構造であり、
前記電極として、前記セルの開口部の上に配置される不透明電極を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記隔壁の表面の拡散反射率が20%以下であること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルの開口部は、四方をボックス型の隔壁により囲まれて成る構造であり、
前記隔壁の表面の拡散反射率が10%以下であり、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellとを用いて、
第1の開口率Acell=Scell/Spitchとしたとき、
[0.24≦Acell≦0.59]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項9記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[0.24≦Acell≦0.50]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルの開口部の垂直方向の長さCyと水平方向の長さCxとを用いて、
アスペクト比AR=Cy/Cxとしたとき、
[1.30≦AR≦2.92]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項11記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[1.33≦AR≦2.70]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 放電ガスが封入された放電空間が形成される基板構造体と、前記放電空間で隔壁により区画される複数のセルと、前記隔壁間に形成される蛍光膜と、前記放電空間に隣接する誘電体層と、前記セルに電圧を印加するための電極と、を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記セルを視点側から見た平面における当該セルの開口部の構造に関して、
前記セルのピッチ面積Spitchと、前記セルの開口部の面積Scellと、前記セルの開口部の面積Scellから当該開口部の上に重なる不透明部の面積を差し引いた面積Spanelとを用いて、
第2の開口率Apanel=Spanel/Spitchとしたとき、
[0.14≦Apanel≦0.46]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項13記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
[0.14≦Apanel≦0.37]、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項9〜14のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記セルの開口部は、四方をボックス型の隔壁により囲まれて成る構造であり、
前記電極として、前記セルの開口部の上に配置される不透明電極を有すること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 請求項9〜15のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記隔壁の表面の拡散反射率が10%以下であること、を特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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