JP2011002270A - ハロゲン化炭化水素及び/又はカビ臭物質の選択的検出用化学センサー及びこれらの選択的検出法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 汚染物質含有水を一定のpHにし、センサーとして次の(I)〜(V)からなるCD誘導体を添加して紫外線を照射し、特定の波長での蛍光強度を測定し汚染を検出・特定する。使用するCD誘導体は、(I)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βCD、(II)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βCD、(III)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−γCD、(IV)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−γCD、(V)3−デオキシ−3−(2−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−αCDである。
【選択図】 図16
Description
浄水場は、地下水、河川より原水を取入れこれを処理して水道水として各家庭に供給しているが、その品質を維持することは、近年必ずしも容易では無くなっている。一つは、処理不十分な汚染物質を含む工場排水が河川に流入する機会の増加していることや、また、工場内の敷地から有毒な化学物質が地中に滲出し、地下水脈に混入し、地下水を汚染する機会も増えているためである。
水中に含まれる微量の汚染物質であるハロゲン化炭化水素及び/又はカビ臭物質を選択的に検出する方法であって、
1.センサーとして下記の(I)〜(V)からなるシクロデキストリン誘導体のグループを準備する工程、
(I)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(II)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(III)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(IV)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(V)3−デオキシ−3−(2−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−αシクロデキストリン
2.当該汚染物質含有水をpH緩衝剤により一定のpHに調整し、検水iを得る工程、
3.当該検水iに(I)〜(V)の少なくとも一種を添加し、検水iiを得る工程、及び
4.当該検水iiに紫外線を照射して当該汚染物質に応じた蛍光を発生させる工程、
を含む汚染物質の検出方法、が提供される。
(新規CD誘導体)
本発明においては、二級水酸基側にナフトール単位を導入した新規CD誘導体をハロゲン化炭化水素やカビ臭物質等の汚染物質の検出用化学センサーとして使用することを特徴とする。
(I) 3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(II)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(III)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(IV)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(V)3−デオキシ−3−(2−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−αシクロデキストリンの5種類である。
念のため、上記(I)〜(V)を構造式として示すと以下のとおりである。
本発明における(I)〜(V)は、〔化6〕に示す合成スキームによって合成することができる。
((I)の合成)
1.3−アミノβCD0.5gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10mLに溶解し、6−オキシ−2−ナフトエ酸0.09g、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)0.12g及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)0.07gを加え、0℃で2時間反応させた後、室温で24時間反応させた。(なお、出発物質の3−アミノβCDは試薬として市販されており、容易に入手可能である。(以下の3−アミノCDについても同様。))
2.反応終了後、当該反応液にアセトンを加えて再沈し、沈殿物を回収・乾燥し、粗生成物を得た。その後逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した(カラム:C18;移動相:メタノール/H2O(4−45%)、検出波長:300nm、流速:3mL/分))。このようにして、精製物として、(I)の黄色の固体0.4gを得た。
6−オキシ−2−ナフトエ酸0.09gを3−オキシ−2−ナフトエ酸0.09gに替えた以外、(I)の合成と同様にして反応及び精製を行い、(II)の白色の個体0.4gを得た。
1.3−アミノγCD0.5gをDMF10mLに溶解し、3−オキシ−2−ナフトエ酸0.08g、DCC0.15g及びHOBt0.08gを加え、0℃で2時間反応させた後、室温で50時間反応させた。
2.反応終了後、(I)の合成と同様にして精製を行い、(III)の薄茶色の固体0.6gを得た。
3−オキシ−2−ナフトエ酸0.08gを6−オキシ−1−ナフトエ酸0.08gに替えた以外、(III)の合成と同様にして反応及び精製を行い、(IV)の黄色の個体0.4gを得た。
1.3−アミノαCD0.5gをDMF10mLに溶解し、2−オキシ−1−ナフトエ酸0.11g、DCC0.14g及びHOBt0.1gを加え、0℃で2時間反応させた後、室温で50時間反応させた。
2.反応終了後、(I)の合成と同様にして精製を行い、(V)の白色の固体0.12gを得た。
(a)TLC
メルク社のTLCプレート(シリカゲル60F254層厚0.25mm)と展開溶媒(1−ブタノール:エタノール:水=5:4:3)を用いて行った。
島津製作所製のMALDI III−TOF質量分析器により行った。
VarianVXR−500S FT−NMRにより行った。
合成したCD誘導体(I)〜(V)の物性値を表1にまとめて示す。
本発明においては、すでに述べたように、浄水場における水質の管理上特に問題となる水中に溶存する微量なハロメタン等及びカビ臭物質を対象としている。
ハロメタン等としては、下記に示すジクロロメタン(1)、クロロホルム(2)、四塩化炭素(3)等が挙げられる。
また、クロロホルムは、フミン質を含む原水を浄化する過程で、殺菌用に塩素を投与する際に生成される代表的な副産物である。
なお、ハロメタンは、発ガン性があるかもしれない物質(国際ガン研究機関)であるため、水道水(飲料水)の水質基準項目に定められ、厳しく制限されているものである。
本発明においては、汚染物質含有水をpH緩衝剤により一定のpHに調整し、検水iを得るものであるが、好ましくは、測定pH領域としては、ナフトールの水酸基が非解離状態の領域と、解離状態の領域との二つの領域に調整して検水iとすることが望ましい。非解離状態領域としては、pH範囲が好ましくは4〜7、より好ましくは5〜7、最も好ましくは6.5であり、解離状態領域としては、pH範囲が好ましくは7.5〜11、より好ましくは8〜10、最も好ましくは9.7である。以下、CD誘導体の蛍光スペクトルの測定は、この最も好ましいpHにおいて実施する。
(ア)CD(I)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジクロロメタン(CH2Cl2)を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は306nmとした。結果を図1(a)に示す。
(イ)CD(I)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジクロロメタンを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は315nmとした。結果を図1(b)に示す。
(ア)CD(I)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにクロロホルム(CHCl3)を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は301nmとした。結果を図2(a)に示す。
(イ)CD(I)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにクロロホルムを添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は315nmとした。結果を図2(b)に示す。
(ア)CD(I)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに四塩化炭素(CCl4)を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は299nmとした。結果を図3(a)に示す。
(イ)CD(I)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに四塩化炭素を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は320nmとした。結果を図3(b)に示す。
(ア)CD(I)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに2−メチルイソボルネオール(2−MIB)を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は299nmとした。結果を図4(a)に示す。
(イ)CD(I)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに2−メチルイソボルネオールを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は315nmとした。結果を図4(b)に示す。
従って、2−メチルイソボルネオールは、CD(I)による当該ハロメタン等の検出に影響を与えないと予想される。
(ア)CD(I)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジェオスミン(Geo)を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は285nmとした。結果を図5(a)に示す。
(イ)CD(I)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジェオスミンを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は315nmとした。結果を図5(b)に示す。
この結果によって、ジェオスミンも、CD(I)による当該ハロメタン等の検出に影響を与えないと予想される。
すなわち、CD(I)の特徴は、カビ臭物質の影響を受けず、pHの変化によって当該ハロメタンの種類を見分けられることである。
このようにして、CD(I)は、カビ臭物質が混在する場合に、単独で当該ハロメタン等の検出用センサーとして利用できる。
(ア)CD(II)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに四塩化炭素を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は337nmとした。結果を図6(a)に示す。
(イ)CD(II)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに四塩化炭素を種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は372nmとした。結果を図6(b)に示す。
CD(II)の特徴は、pH9.7で四塩化炭素のみを検出できることである。
従って、CD(II)により、ジクロロメタン、クロロホルム及びカビ臭物質が混在する場合に、四塩化炭素を選択的に検出用センサーとして利用できる。
なお、四塩化炭素以外の汚染物質を添加したところ、蛍光スペクトルの変化はほとんど見られなかったため記載を省略した(以下同じ。)。
(ア)CD(III)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに2−メチルイソボルネオールを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は348nmとした。結果を図7に示す。
(イ)CD(III)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジェオスミンを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は348nmとした。結果を図8に示す。
CD(III)の特徴は、pH6.5でジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素にほとんど反応せず、カビ臭物質、特に、ジェオスミンに感度良く反応することである。
従って、CD(III)は、当該ハロメタンが混在する場合でも、当該カビ臭物質、特にジェオスミンの検出用センサーとして利用できる。
(ア)CD(IV)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれに2−メチルイソボルネオールを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は320nmとした。
そのスペクトルは、CD(III)の結果を示す図7に比べ、蛍光強度が弱いものの、類似していたため記載を省略した。
(イ)CD(IV)のpH6.5とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジェオスミンを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は315nmとした。
そのスペクトルは、CD(III)の結果を示す図8に比べ、蛍光強度が弱いものの、類似していたため記載を省略した。
CD(V)のpH9.7とした水溶液の蛍光スペクトル、及びこれにジクロロメタンを種々の濃度で添加した場合の蛍光スペクトルを測定した。励起波長(λex)は299nmとした。結果を図9に示す。
CD(V)の特徴は、pH9.7でジクロロメタンのみを検出できることである。
従って、CD(V)は、他の汚染物質が混在する場合でも、ジクロロメタンの選択的に検出用センサーとして利用できる。
まず、センサーとしてCD(I)〜CD(V)からなるシクロデキストリン誘導体のグループを準備する工程を行い、
つぎに、当該汚染物質含有水を、pH緩衝剤により、例えば上記したようなpH6.5や9.7のような特定のpHに調整することにより、検水iを得る工程を行い、
さらに当該検水iに、CD(I)〜CD(V)の少なくとも一種を添加することにより、検水iiを得る工程を行い、さらに
当該検水iiに、紫外線を照射して当該汚染物質に応じた特有の蛍光を発生させる工程、を含む汚染物質の検出方法である。
本発明において、CD(I)〜CD(V)を化学センサーとして使用することにより、以上のような汚染物質を選択的に分析するという効果を奏することができるのは、以下の理由にあると推測される。すなわち、
ひとつは、CDの二級水酸基の一つがアミノ化されることにより、対称性の空洞に歪みが生じ、中へ取り込む汚染物質に対して形状要求が厳しくなり、選択性の高いCD誘導体が導出(創出)されたものと思われる。
〔実施例1〕(CD(I))
CD(I)を1×10-4MとなるようにpH6.5の緩衝液に溶解し、これに各種ハロメタンを種々の濃度で添加し、455nmでの蛍光強度を測定した。
結果を図10に示す。図において、縦軸の蛍光強度差ΔIは、I−I0を表す。I0は汚染物質非存在(無添加)時の455nmにおける蛍光強度であり、Iは汚染物質存在(添加)時の同波長における蛍光強度である。ΔIが正数の場合は、汚染物質の濃度の増加に伴い蛍光強度が増加することを意味し、ΔIが負数の場合は、逆に汚染物質の濃度の増加に伴い蛍光強度が減少することを意味する。このようにして、このデータを基本として、水に溶存する汚染物質の特定及びそれぞれの濃度を求めることができる。
CD(I)を1×10-4MとなるようにpH9.7の緩衝液に溶解し、その他は実施例1と同じ条件で測定を行った。その結果を図11に示す。
図11は、pH9.7下でCD(I)の蛍光強度差ΔIが、ハロメタンの濃度と高い相関を保ちながら、pH6.5の場合(実施例1)とは異なった結果を示している。
実施例1と実施例2は、当該ハロメタンが汚染した検水の場合、CD(I)のpHによるΔIの変化パターンを利用して、それぞれを特定し、感度良く検出できることを示唆している。
CD(II)を1×10-4MとなるようにpH9.7の緩衝液に溶解し、これに四塩化炭素を種々の濃度で添加し、500nmでの蛍光強度を測定した。結果を図12に示す。
実施例3は、他のハロメタンやカビ臭物質が混在している検水の場合、CD(II)を用いて四塩化炭素を選択的に検出できることを示唆している。
CD(III)を1×10-4MとなるようにpH6.5の緩衝液に溶解し、これにカビ臭物質を種々の濃度で添加し、505nmでの蛍光強度を測定した。結果を図13に示す。
CD(IV)を1×10-4MとなるようにpH6.5の緩衝液に溶解し、これに二種類のカビ臭物質を種々の濃度で添加し、520nmでの蛍光強度を測定した。結果を図14に示す。
実施例4と実施例5は、カビ臭物質、特にジェオスミンが汚染した検水の場合、CD(III)とCD(IV)を用いて検出できることを示唆している。
CD(V)を1×10-4MとなるようにpH9.7の緩衝液に溶解し、これにジクロロメタンを種々の濃度で添加し、435nmでの蛍光強度を測定した。結果を図15に示す。
実施例6は、他の汚染物質が混在した検水の場合、CD(V)を用いてジクロロメタンを選択的に検出できることを示唆している。
以上、実施例1〜実施例6の結果を総合すれば、CD(I)〜CD(V)を組み合わせてセンサーとして使用することにより、水中に溶存(混在)するハロメタン及びカビ臭物質からなる汚染物質の特定及びこれらを選択的に検出(定量)することができ、さらには水質監視システムを構成することができる。
検出の対象とする汚染物質としては、図の上部に示したように、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素からなるハロメタンと、2−メチルイソボルネオール、ジェオスミンからなるカビ臭物質を想定する。検水中には、少なくともこのうちの一種類が存在しており、場合によっては、当該五種類の汚染物質のすべてが混在している。
検水をpH6.5及びpH9.7にして、CD(I)を用いてΔIを測定し、当該ΔIの変化パターンに基づいて、当該三種類のハロメタンを特定することができる。
検水をpH9.7にして、CD(V)とCD(II)を用いてΔIを測定する。CD(V)のΔIが正になった場合、ジクロロメタン汚染と、また、CD(II)のΔIが負になった場合、四塩化炭素汚染が発生していると、それぞれ判断できる。
検水をpH6.5にして、CD(III)を用いてΔIを測定する。ΔIが正になった場合、カビ臭物質汚染が発生していると判断できる。
検水をpH6.5にして、CD(IV)を用いてΔIを測定する。CD(IV)は四塩化炭素から受ける影響がCD(III)より小さいため、ΔIが正になった場合、より高い精度でカビ臭物質汚染が発生していると判断できる。
なお、γCD誘導体であるCD(III)及びCD(IV)にとって、ハロメタンの分子サイズが小さいため、それらのγCDの空洞と相互作用が起きにくいことは明白であり、混在してもカビ臭物質の検出にほとんど影響を与えないと考えられる。
図17は、本発明の方法を実施するユニットを組み込んだ水質監視システムの模式図を示すものである。
蛍光発生検出ユニット(AA)で得られたデータは、演算・表示ユニットである(BB)に出力され、処理されて、ΔIが算出される。その結果は、表示手段(CC)に示される。
BB 演算・表示ユニット
CC 表示手段
DD 中央制御ユニット
Claims (3)
- 水中に含まれる微量の汚染物質であるハロゲン化炭化水素及び/又はカビ臭物質を選択的に検出する方法であって、
1.センサーとして下記の(I)〜(V)からなるシクロデキストリン誘導体のグループを準備する工程、
(I)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(II)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−βシクロデキストリン
(III)3−デオキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(IV)3−デオキシ−3−(6−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−γシクロデキストリン
(V)3−デオキシ−3−(2−ヒドロキシ−1−ナフトアミド)−αシクロデキストリン
2.当該汚染物質含有水をpH緩衝剤により一定のpHに調整し、験水iを得る工程、
3.当該検水iに(I)〜(V)の少なくとも一種を添加し、験水iiを得る工程、及び
4.当該検水iiに紫外線を照射して当該汚染物質に応じた蛍光を発生させる工程、
を含む汚染物質の検出方法。
- 請求項1に記載の(I)〜(V)からなるシクロデキストリン誘導体の少なくとも一種からなる水中のハロゲン化炭化水素及び/又はカビ臭物質の検出用化学センサー。
- 化学センサーに好適に使用し得る、請求項1に記載の(I)〜(V)から選択される少なくとも一種であるシクロデキストリン誘導体。
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