JP2010541303A - 移動ネットワークにネストされた移動ノードが最適経路通信を行うためのシステム、方法及び装置 - Google Patents
移動ネットワークにネストされた移動ノードが最適経路通信を行うためのシステム、方法及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ネスト状態の移動ネットワーク内の移動ホスト又は移動ルータが複数のモビリティ・アンカー・ポイントを含むドメイン内でローミングしている際に、ネスト状態の移動ネットワーク・ツリーパス内の移動ホスト又は移動ルータが、そのリージョナル気付アドレスを得るために異なるモビリティ・アンカー・ポイントを選択する場合、ルーティングの準最適性が発生する。このようなルーティングの準最適性を克服するため、本発明は2つの主要な方法を提示する。第1の方法では、そのツリーパス内の下流ノードが別のモビリティ・アンカー・ポイントからリージョナル気付アドレスを得たことを移動ルータが検出し、その他のモビリティ・アンカー・ポイントで適切なオンデマンド二重登録を行う。第2の方法では、移動ルータが他のモビリティ・アンカー・ポイント・アドレスを自身のモビリティ・アンカー・ポイントに知らせ、それにより、移動ルータのモビリティ・アンカー・ポイントは移動ルータの位置エントリを他のモビリティ・アンカー・ポイントへ転送する。
Description
本発明は、パケット交換データ通信ネットワークにおける電気通信分野に関し、特に、エンド・ツー・エンド型経路最適化プロトコル及び階層化モビリティ管理プロトコルが実装された移動ノードに最適経路を提供することに関する。
今日、多くのデバイスは、インターネット・プロトコル・バージョン6(IPv6)を用いて相互に通信を行っている。モバイル機器のモビリティ・サポートを提供するために、インターネット技術調査会(IETF)は、「IPv6でのモビリティ・サポート(MIPv6)」(非特許文献1)を作成した。非特許文献1におけるモビリティ・サポートは、ホーム・エージェント(HA)と呼ばれるホーム・ネットワークにおけるエンティティの導入により行われる。移動ノード(MN)は、バインディング・アップデート(BU)と呼ばれるメッセージにより、ホーム・エージェントに、外部リンク内でMNが入手する自身の気付アドレスを登録する。このBUにより、ホーム・エージェントは、ホーム・リンク内で入手した長期アドレスであるホーム・アドレスと、移動ノードの気付アドレス間でバインディングを生成することができる。ホーム・エージェントは、移動ノードのホーム・アドレス(HoA)宛てのメッセージを受信し、パケットのカプセル化(すなわち、1つのパケットを新しいパケットのペイロードにすることであり、パケット・トンネリングとも呼ばれる)により、移動ノードの気付アドレスにパケットを転送する。また、MIPv6は、通信相手ノード(CN)との通信の際の経路最適化(RO)方法を定める。このROメカニズムにより、MNとCNがMNのホーム・エージェントを経由せずにMNの気付アドレスにより相互に通信を行うことができるよう、MNはCNにおいてその気付アドレスの有効な登録を行うことができる。CNでは、MNによって開始されるリターン・ルータビリティ(RR)テストにより、MNの気付アドレスの有効な登録が行われる。このリターン・ルータビリティ・テストにより、CNは、MNの気付アドレスとMNのホーム・アドレスとが結び付けられているという証明を得ることができる。上記ROメカニズムは任意のものであり、CNがROメカニズムをサポートする何らかの機能性を有する場合にのみその利点が発揮されることとなる。
MIPv6の問題点の一つとして、MNは、ネットワーク接続におけるたった一つの変更に対し、一つ又は複数のホーム・エージェント及び一つ又は複数の通信相手ノードを更新しなければならないということが挙げられる。これにより、高速で移動しているMNのためにネットワークへ投入されるシグナリング負荷が増大する。また、ネットワーク接続における一つ一つの変更がRR及びBUメッセージの送信を伴うため、ネットワーク接続における変更ごとのCNとの平均ハンドオフ確立時間は長くなる。そのため、フロー又は接続に関連するセッション中は、かなりの時間がハンドオフの確立に割り当てられ、それによりジッターやパケット・ロスが生じることとなる。上記ジッターは、ボイス・オーバーIP(VoIP)、マルチメディア、ビデオ・ストリーミングなどのアプリケーションに弊害をもたらすものであり、また、上記パケット・ロスは、重要なテキスト情報を運ぶフローに弊害をもたらすものである。さらに、パケット・ロスは、伝送制御プロトコル(TCP)を情報重要データ・アプリケーションに利用する場合、TCPスループットを低下させる。
そのようなMIPv6の問題に対処するため、IETFは、非特許文献2に開示されている階層化モビリティ管理プロトコル・バージョン6(HMIPv6)と呼ばれるプロトコルの標準化を行った。HMIPv6は、二種類の気付アドレスと、モビリティ・アンカー・ポイント(MAP)と呼ばれる新しいノードとを用いる。その基本原理としては、MNは、それが接続されている新しいネットワークにおいて、二つの気付アドレスを取得する。その二つの気付アドレスの内の一方は、ローカル気付アドレス(LCoA)と呼ばれ、MNが直接接続されているネットワークから入手したアドレスである。また、その他方のアドレスは、リージョナル気付アドレス(RCoA)と呼ばれ、MAPのホーム・ネットワーク・プレフィックスから得られる。RCoAは、MNがCN及びHAと通信する際に気付アドレスとして用いるアドレスである。MAPは好ましくはルーティング階層の上位に置かれる固定ルータであるので、このRCoAは頻繁に変更されることはない。MAPオプションに組み込まれているMAPアドレスなどのMAP情報が入手可能なネットワーク・セグメント内でMNがローミングする限り、リージョナル気付アドレスが変更されることはない。このプロトコルでは、ネットワーク接続におけるすべての変更についてのハンドオフ確立処理には、主に、LCoAが登録されているMAPが用いられる。MNがMAP外へ移動し、それによりRCoAが変更される時にのみ、MAP、CN、HAに対して更新又はハンドオフ確立が同時に行われる。従って、ネットワーク接続における変更ごとのネットワークへのシグナリング負荷は、平均して、純粋なMIPv6に比べてかなり低い。さらに、ネットワーク接続におけるすべての変更についてのハンドオフ確立時間は、平均して短い。これは、大抵の場合、ハンドオフが、ローミングMNにごく接近したところに位置するMAPでの単純なLCoA登録だけで済まされるためである。このため、前述のジッターやパケット・ロスなどの問題はここではずっと少ない。このプロトコルは、フローに省電力化を必要とするノード、及び、厳しいQoSパラメータを求めるフローを運ぶノードに使用される、広く認められた標準プロトコルである。
無線デバイスがますます普及する中、複数のノードからなるネットワーク全体がその接続点を変えるネットワークモビリティ、すなわちNEMOのような新しいタイプのモビリティ技術が出現することが予見される。IETFは、非特許文献3に開示されている基本的なネットワーク・モビリティ・サポートに対する解決法を開発した。この場合、移動ルータ(MR)は、BUをホーム・エージェントに送信する際、移動ネットワーク内のノードが使用しているネットワーク・プレフィックスを指定するよう規定されている。これらのネットワーク・プレフィックスは、BU内に挿入するネットワーク・プレフィックス・オプションと呼ばれる特別なオプションにより指定される。これらにより、ホーム・エージェントは、ホーム・エージェントが、これらのプレフィックスと共に宛て先に送信された任意のパケットを移動ルータの気付アドレスへトンネルするように、プレフィックス・ベースのルーティング・テーブルを作成することができる。
MNがNEMOに深くネストされると、二種類の問題が発生する。一つ目の問題としては、多重カプセル化のオーバーヘッドや、データ・パケットの準最適ルーティングが挙げられる。これは、ネスト状態のNEMOにおける、ネスト状態のトンネリングによるものである。多重カプセル化は、パケット・サイズの増大に起因するデータ・パケットの遅延を引き起こし、さらに、パケット・フラグメンテーションを招くこともある。さらに、パケット・フラグメンテーションは、データ・パケット・ロスを引き起こすこともある。準最適ルーティングは、データ・パケットの遅延、ネットワーク負荷の増大、HAの処理負荷増大につながる。
二つ目の問題としては、深くネストされたMNに対するレイヤ3ハンドオフ確立の大幅な遅延や、RR及びBUストリームのシグナリング・オーバーヘッドに起因してネットワークへ投入される高いシグナリング負荷が挙げられる。これは、MNが深くネストされ、ネットワーク接続に変更があった場合、入手した新しい気付アドレスはCN又はHAにて登録する必要があるからである。このような登録には、ハンドオフ登録に関与するパケットが多重にカプセル化され、上流のすべてのMR及びそれらのホーム・エージェントを含むピンボール・ルーティング・パスを移動することにより、大幅な遅延が発生することとなる。前述のように、ハンドオフ遅延時間の増加は、高速で移動するMNによって運ばれるフローの全セッション又は接続時間に大きく関係し、それによりジッターやパケット・ロスが生じることとなる。さらにまた、一定期間内でのMNによる過度のハンドオフ確立シグナリングは、ネットワーク内で運ばれるその他のフローにも影響を及ぼすことになる。
一つ目の問題を解決するため、関連技術分野における、いわゆるネスト状態のトンネルの最適化に関して様々な提案がなされている。具体的には、非特許文献4には、アクセス・ルータ・オプション(ARO)と呼ばれる解決法が開示されている。送信者(すなわち、移動ルータ又は移動ホスト)は、このアクセス・ルータ・オプションと呼ばれる新しいオプションを使って、受信者(例えば、ホーム・エージェント又は通信相手ノード)に、該送信者が直接接続されているアクセス・ルータの一次グローバルアドレスを知らせる。移動ノードは、アクセス・ルータ・オプションと共にバインディング・アップデート・メッセージを送信後、送信するデータ・パケットに「直接転送要求」シグナルと呼ばれる特別なシグナルを挿入することができる。このシグナルにより、上流の移動ルータは自身のバインディング・アップデートを宛先アドレスに送信する。この処理は、「直接転送要求」シグナルを把握していないアクセス・ルータ(通常、アクセス・ネットワークの固定ルータ)に達するまで繰り返される。上流のすべての移動ルータがバインディング・アップデートを宛先に送信することで、宛先では、移動ノードが接続されている移動ルータの連鎖を形成することができる。これは、拡張タイプ2ルーティングヘッダ(RH2)の作成に利用することができるため、宛先ノードがパケットを移動ノードに送り返したい場合、ルーティング・ヘッダを有するパケットを埋め込むことができ、パケットが移動ルータの連鎖を介して移動ノードへ直接転送される。この方法は、エンド・ツー・エンド型経路最適化を、セキュリティーを犠牲にせずに実現するのに適した方法であると考えられる。
二つ目の問題を解決し、一つ目の問題を部分的に解決するため、非特許文献5には、ネスト状態のトンネリングやレイヤ3(L3)ハンドオフ確立の遅延などの問題への対処法が開示されている。この方法では、ハンドオフ効率及びシグナリング・オーバーヘッドの改善、MAP環境においてネストされたMNのエンド・ツー・エンド型経路最適化の適切な実行を図る。この方法において、すべてのMNは、HMIPv6で規定された通りに動作する。MNは、ローカル・ネットワーク接続におけるそれぞれの変更については、そのLCoAをMAPにて更新し、RCoA又はMAPドメインにおけるそれぞれの変更については、そのCNとHAに対してRCoAを更新する。この方法では、MRは、MNに対し、HMIPv6プロトコルで規定された通りに動作するが、若干の変更も伴うものとする。MRは、ルータ・モードで動作する場合、そのルータ通知(RA)におけるMAPオプションを通知し、それに接続されているMNやMRへとMAPサービスを拡大する。さらに、MAPがMNのLCoAに到達する最適経路をトレースするのを助けるため、MRは、純粋なHMIPv6タイプの登録の代わりに、MAPにてプレフィックス・スコープ・バインディング・アップデート(PSBU)を行う。MNがいくつかのMRの配下に深くネストされているとすると、MAPのバインディング・キャッシュは、MNのLCoAとRCoAのほかに上流のMRのLCoA、RCoA、プレフィックスも有することとなる。MAPが、MNの上流のMRに関連するすべてのLCoAの位置を特定するのに、このプレフィックスをいかに利用可能であるかは当業者には公知である。このようなトレースが可能であるのは、MN又はMRのLCoAがそのアクセス・ルータのプレフィックスから得られているからである。
宛先アドレスが、MNに関連するRCoAであるMAPにデータ・パケットが到着すると、MAPは、まず、そのバインディング・キャッシュ(BC)内でのこのRCoAの位置を特定し、その後、バインディング・キャッシュ・エントリ(BCE)からそのRCoAに関連する対応LCoAを見つけ出す。続いて、MAPは、このMNのLCoAに一致するプレフィックスを検索する。これにより、MAPは、MNの直結する移動ルータの位置パラメータを見つけ、上流のすべてのMRのLCoAが得られるまで上記処理を繰り返すことができる。そのようにMAPにてトレースが繰り返し行われると、上流のすべてのMRのLCoAから成るトンネルにルーティング・ヘッダを挿入することで、データ・パケットがMNにトンネルされる。HMIPv6と同様、パケットをCNへ送信する場合、MNは、まず、MAPへと続くトンネルにパケットをカプセル化する。MNの上流のすべてのMRは、MAPにバインディングを有するので、MAPへと続く別々のトンネルにさらにパケットをカプセル化する。この方法によって最終的に得られる効果としては、受信データ・パケットには、拡張ルーティング・ヘッダを有するMAPからのトンネルが単一となるということである。送信データ・パケットには、無線ドメインにおいてMN/MRからMAPへ多重カプセル化が行われる。このプロトコルは、主に、NEMOに深くネストされたMNに対するハンドオフやシグナリングの向上を図るものであることを理解することが重要である。この方法を非特許文献4に開示されているようなARO方式と比較する場合、ARO方式は、より優れたエンド・ツー・エンドROを実現することを理解することが重要である。これは、AROでは、無線ドメインには逆方向にトンネルが存在しないのに対し、非特許文献5の無線ドメインには複数のトンネルが存在するためである。また、AROでは、順方向にトンネルが存在しない。
上記から予見し得るのは、データ・フロー、端子、ネットワークの目的を達成するためには、今後、複数の異なるタイプのプロトコルをシステムに実装する必要がある可能性があるということである。データ・フローについて言えば、その主な目的は、遅延、ジッター、パケット・ロスを軽減することである。ネットワークにより認識されるQoSに関する主な目的は、ネットワーク負荷、より正確には、ネットワークへのシグナリング負荷を軽減することである。MNに関する目的は、省電力化である。従って、これらのすべての目的を一つの目標として組み合わせるためには、複数のプロトコルをシステムに実装する必要がある可能性が非常に高い。MNは、今後、異なるQoSニーズを持つ異なるタイプのフローをサポートすることが必要になるかもしれない。例えば、MNは、厳しいエンド・ツー・エンドROを必要とするいくつかのフローと、それほど厳しいエンド・ツー・エンドROを必要としないいくつかのフローとを運ぶ必要が生じる可能性ある。それほど厳しいエンド・ツー・エンドROを必要としないフローについては、MNは、ネットワークに投入されるシグナリング負荷の向上を考慮し、頻繁に行われるバインディング・アップデートを軽減し省電力化を図ることが必要になるかもしれない。このように、MN、MR、いくつかの主要なルータ、CNには、今後、異なるタイプの複数のプロトコルを実装する必要があるということが予見し得る。
今後、AROプロトコルと、あるHMIPv6に関係のあるプロトコル(純粋なHMIPv6又はROを備えたHMIPv6)の両方がMN、MRに実装されることも有り得る。さらに、そのような異種のプロトコルを実装するノードは、複数のモビリティ・アンカー・ポイント又はローカル・モビリティ管理アンカー(LMA)を有するローカル・モビリティ管理ドメイン内でローミングする可能性がある。上記LMAは、ネットワーク・ベースのローカル・モビリティ管理(NetLMM)IETFワーキング・グループにおける明確な用語であり、MIPv6のホーム・エージェント機能又はHMIPv6のMAP機能を有し得る。LMAの詳細については、非特許文献6に記載されている。上記の通り異種のプロトコルが実装されたネスト状態のNEMOが、NetLMMドメイン内でローミングしている場合、ネスト状態のNEMO内のMN、MRのいずれも、アーキテクチャ内の利用可能なローカル・モビリティ管理機能を知ることはなく、ネスト状態のNEMO内のすべてのMN、MRは、HMIPv6関連のスタックをトリガーすることはなく、CNとの通信にAROメカニズムのみを使用する。NetLMMドメインではなく、MAPが得られるドメインでは、前述の異種プロトコルを有する、ネスト状態のNEMOのMN及びMRが、フローのQoSニーズ、MN/MRの電力状態、ネットワークのトラフィック状態に応じて、ARO及び/又はHMIPv6関連のスタックをトリガーする。ネットワークのトラフィック状態は、ネットワーク帯域幅の利用状態又はネットワーク輻輳状態を示している。
複数のMAPを有する上記ローカル・モビリティ管理ドメインでは、さらに、これらすべてのMAPが、ローミングするMN及びMRと同じHMIPv6機能を有するとされている。これは、つまり、ドメイン内のMAPはすべて、同一のHMIPv6のRO機能を有することを意味している。上記HMIPv6のRO機能としては、ARO対応のHMIPv6機能、特許文献3に簡潔に記載されたプレフィックス・デレゲーション・ベースのHMIPv6機能、又は、非特許文献5に開示されたようなPSBUベースのHMIPv6機能が用いられる。
上記ARO対応のHMIPv6機能は、MAPが、そのホーム・アドレスがMAPオプションとして付与され、MN及びMRがこのアドレスのプレフィックスからRCoAを導き出し、MAPにてローカル登録を行うことができる、純粋なHMIPv6のMAPと同様のものである。また、このARO対応のHMIPv6のMAPは、ローカル・バインディング・アップデート内のAROオプションとして送信されたアドレスもサポートし、非特許文献4に概要が示された同様のAROベースのトレースを実行する。AROオプションのMAPに送信されたパラメータとしては、移動アクセス・ルータのホーム・アドレス又は移動アクセス・ルータのリージョナル気付アドレスを使うことができる。ARO対応のHMIPv6のMAPでのトレースは、MN又はMRに関連するRCoAのためのものである。最適にこのRCoAへ到達するのに必要なすべてのLCoAは、MAPにて登録された一つ又は複数のAROパラメータによりトレースされる。これについては、本明細書の他のセクションにてさらに詳しく説明する。
上記プレフィックス・デレゲーション・ベースのHMIPv6機能とは、MAPがROに対応しており、要求に応じてプレフィックスをMRに委譲し、MRは、プレフィックス・オプションのこの委譲されたプレフィックスを用いてMAPによりローカルPSBUを行う。MRに接続されたMN及びMRは、このMAPから委譲されたプレフィックスを用いてそのLCoAを得るものとする。MAPは上記ローカルPSBUをそのまま受け入れる。このプレフィックスがMAP自身によって与えられたものであるため、MAPは、RCoA、LCoA、プレフィックス間の配置テストを行う必要がない。CNからのパケットがMAPに届くと、MAPは初めにRCoAエントリを探し、対応するLCoAを見つける。その後、LCoAのプレフィックスと一致するものをプレフィックス欄で探す。プレフィックス・エントリが見つかると、トレース機構が上記の見つけられたプレフィックスに関連するLCoAエントリを探し、一致するプレフィックスが見つからなくなるまでそのような検索を続ける。このほかのやり方では、ある特定のMN/MRの上流のMRに対応付けられているLCoAがすべて見つかると、トレースが終了するものとする。
上記PSBUベースのHMIPv6のMAP機能とは、上記プレフィックスがそのホーム・ネットワークからMRに与えられるMAPにて、MRがPSBUを行うものである。この場合、MAPは、上記ローカルPSBUを受け取る前に、RCoA、LCoA、プレフィックスの配置テストを行わなければならない。これについては、非特許文献5の説明の際に、本明細書内ですでに詳細に説明されている。
さらに、前述の異種プロトコルを有するネスト状態のNEMOノードが、アーキテクチャに複数のMAPが存在するドメイン内でローミングしているものとする。複数のMAPがドメインに実装されるのは、通常、ロードバランシングのためである。例えば、ドメイン内にMAPが一つであり、それがネットワーク・アーキテクチャのかなり上方でネットワークの大部分をカバーした状態で配置されている場合、ローカル・モビリティ管理ドメインは大きなものとなり、多数のMN及びMRが、ローカル・モビリティ管理サービスのためにこのMAPの使用を要求することになる。これにより、MAPの負荷が増大する。MAPは、通常、MN及びMRがホーム・リンク・プレフィックスから得るRCoA値に対して、近隣探索(ND)プロキシ・シグナリングを行う。多数のMN及びMRに対してこのNDプロキシ・シグナリングが行われると、MAPからかなりの量の電力が流出することとなり、MAPにかかる処理負荷が増大する。さらに、MAPで登録された多くのRCoA値にやって来る大量のパケットのトンネリングを、たった一つのMAPで行わなければならず、その結果、MAPにかかる処理負荷がさらに増大する。また、ローカル・モビリティ管理ドメインに多くのノードが存在し、アーキテクチャにはMAPが一つしかない場合、この一つのMAPでのBCEは消耗的で、MAPはそのBCEのためにそのメモリのかなり大きな部分を使用するので、MAPのリソースが浪費されてしまう。上記一つのMAPには、送信トラフィックのための大量のデトンネリング処理も行われ、これによってもMAPの処理負荷はさらに増大する。このような単一MAPアーキテクチャは、多数のMN及びMRを収容しなければならないローカル・モビリティ管理ドメインにとって好ましいものではないということが、単一MAPに関連するこれらすべての不具合により示唆されている。単一のMAPを使用すると、多数のノードがMAP機能を利用した場合にMAPの不具合を生じる可能性が高い。このため、ロードバランシングのためには、ローカル・モビリティ・ドメインに複数のMAP、NetLMMドメインに複数のLMA、又はプロキシ・モバイルIP(PMIP)ドメインに複数のプロキシ・ホーム・エージェントが必要であることは明らかである。PMIP及びプロキシ・ホーム・エージェントについては、非特許文献7にさらに詳細に説明されているので、本明細書では簡潔に後述する。
前述したアーキテクチャの単一MAPに関連するすべての問題を解決するためには、非特許文献2にも概説されているように、複数のMAPを配備するのがごく一般的である。非特許文献2では、これらのMAPをドメイン内に階層的に配置し得ることが概説されている。ドメイン内のMAP配置の階層とは、一つ又は複数のルートMAPが存在し、ドメインにはモザイク式にMAPの階層がn層(n>1)存在し得るということを意味している。その他の階層式の配置としては、ドメイン内のすべてのMAPをたった一つの層に配置することも可能である。複数MAPアーキテクチャの配置方法には、基準となる方法又は必須の方法というものはない。
MAPの階層的配置では、MN及びMRは、それらのデフォルト・ルーティング経路上のMAPに関連するMAPオプションを受信する。場合によっては、複数のデフォルト・ルーティング経路が存在することもあり、その場合MN及びMRが多くのMAPオプションを利用可能となる。MN及びMRが高速で移動している場合、グローバル登録を頻繁に行わなくていいように、より遠いMAPを選んでもよいが、その場合、遠く離れたMAPから終端のMN/MRまでのトンネルが長く、そのため、さらなるデータ・パケット遅延が生じる。一方、低速で移動するMN及びMRについては、下層のMAPを選ぶことができる。下層MAPの利点としては、トンネルの長さが短いことにある。さらに、下層MAPが、低速で移動するMN及びMRに適している理由としては、RCoA率の変化がそれほど高くなく、よってグローバル登録の頻度が所望の制限内であるということがある。非特許文献2では、MAP間のロードバランシング機構として、基準となるものはない。一つの方法としては、MAPが、非常に過負荷な状態であると認識した場合、そのMAPオプションの優先値を「ゼロ」に設定する。この場合、MN/MRは、そのMAPを絶対に使用してはいけない。しかしながら、他のあらゆる場合においては、MN/MRが利用可能ないくつかのMAPから、任意のMAPを選択可能である。非特許文献2の先行技術によって、ローミングしているMN/MRのみ、複数MAPの利用の可能性が公開されており、複数MAPシナリオにおいてローミングしているネスト状態のNEMOに対してなされた分析や研究は存在しない。次に、そのような分析がなされ、経路最適化の問題点が特定された図1について検証する。
図1では、VMN10がMR20に直接接続され、これらのノードはいずれも、MAP30とMAP31の2つのMAPを有するローカル・モビリティ管理ドメイン101内でローミングしている。ローカル・モビリティ管理ドメインは、インターネット100に接続されている。図1では、さらに、VMN10がCN50とデータ通信セッション中であるものとする。VMN10、MR20のホーム・エージェントは、それぞれHA40、HA41である。また、MAP30とMAP31は、前述のARO対応のHMIPv6機能を有し、VMN10とMR20は、ARO及び純粋なHMIPv6プロトコルを実装する。固定アクセス・ルータ(AR)に加えて、MRも、受信した全MAPオプションのリレーを行うものとする。このシナリオでは、MR20は、受信したRAのMAPオプション内のMAP30のアドレスとMAP31のアドレスを受信し、自身のRA内の両MAPオプションをさらにリレーするものとする。VMN10は、AROオプションと上記両MAPオプションとを受信する。MR20は上記両MAPオプションのみを受信する。VMN10は、そのRCoAを得るのにMAP31のオプションのみを選択し、AROオプションの処理も行うものとする。VMN10がCN50と通信するために同じMAPドメインから2つのRCoAを取得しなければならない理由など一切ないことが当業者には理解可能であろう。さらに、MR20は、MAPオプションの処理を行うだけであり(MAPオプションを受信するだけなので)、MAP30のオプションを利用してRCoA値を得る。VMN10及びMR20は、MAPオプションに与えられる優先値が「ゼロ」よりも高い限り、ローカル・モビリティ管理ドメイン内のどのMAPを使ってもよいことを理解することが重要である。トラフィック要求がドメイン内に一様に分布している非階層的MAPアーキテクチャでは、MAP30及びMAP31から受信したMAPオプションは、それらの使用量が同じ量であるため、同様の優先値を有する可能性が非常に高い。一方、階層的アーキテクチャでは、MAP30又はMAP31のどちらかが階層の上方に存在する場合、アーキテクチャ内で上位にあるMAPの方が低い優先値をとる可能性が高い。なぜなら、そのMAPの方がわずかに他方よりも過負荷状態にある、若しくは、その使用頻度が他方よりもわずかに高いからである。しかしながら、VMN10及びMR20によるMAP選択は全くの任意であり、それらは、利用したいMAPをどれでも選ぶことができる。
MR20は、MAP30のオプションを処理すると、MAP30のアドレス・プレフィックスによりRCoA値を取得し、MAP30にてローカル登録を行う。上記登録値は、図1にBCE61によって示される。この登録に続いて、VMN10は、その対応するMAP、すなわち、MAP31にてローカル登録を行う。VMN10は、AROとMAP31の両オプションを処理したので、AROオプションを添付することでそのMAP31にてローカル登録を行う。このAROオプションは、その中にMR20のグローバル・ホーム・アドレスを有することが好ましい。上記MAP31での登録により、BCE62の第1行目のエントリが作成される。MAP31は、確認応答(ACK)を上記ローカル登録に送信する場合、このACKをMR20のホーム・アドレスを介してVMN10へソース・ルーティングする。このACKパケットは、VMN10のLCoAへとさらにルーティングされる前に、まず、MR20に到達する。MR20は、このACKを受信後、MAP31にてARO登録を行う。この登録は、非特許文献4に概説されているような通常のRR及びMIPv6登録であるが、MR20のRCoAを気付アドレスとして使用している。上記ARO登録値は、BCE62の第2行目のエントリによって示されている。MR20は、そのHMIPv6スタックがトリガーされ、その気付アドレスがそのRCoAであるため、RCoAによりMAP31でのARO登録を行うことが当業者により十分理解されるであろう。
MAP31でのローカル登録が完了すると、VMN10は、そのHA40とCN50のそれぞれで、適切なグローバル登録を行う。ここで、VMN10は、RRを実行後、CN50にて、そのRCoAをその気付アドレスとして使用して、MIPv6ベースのARO登録を行うものとする。BCE60の第1行目のエントリには、VMN10のグローバル登録値が示されている。BCE60の第3列目には、VMN10によって与えられたARO値が示されている。CN50は、ACKをMR20のホーム・アドレスを介して明確にソース・ルーティングすることで、VMN10のRCoAへACKを送信することもできる。CN50から上記ACKを受信すると、MR20は、そのRCoAをその気付アドレスとして使用して、その適切なARO登録をCN50へ送信する。上記登録値は、BCE60の第2行目のエントリにより示されている。
CNがVMN10へデータ・パケットを送信する場合、宛先アドレスがMR20のRCoAに設定される。このような宛先アドレスは、BCE60を利用したAROトレースを行うことで設定される。このパケットは、パス120を移動し、MAP30に到達した後、MR20に到達する。MAP30は、MR20のRCoAへの経路を有しているため、CN50から送られてきたデータ・パケットは、MAP30にて、MR20のLCoAへとさらにトンネリングされる。パス120を経由して到達したパケットがMR20により処理されると、次に到達予定のアドレスがVMN10のRCoAとなり、MR20によって設定される。MR20はVMN10のRCoAへの経路を有していないため、パケットは、MAP30とMR20のホーム・エージェントとを経由して、VMN10のRCoAへ送信される。これらの経路は、パス・セグメント121、122としてそれぞれ示されている。HA41では、パス122を介して移動したパケットがデカプセル化されると、宛先がVMN10のRCoAとして見つかり、パケットがこのRCoAが得られたMAP31へ送信される。MAP31は、BCE62からも分かるように、VMN10のRCoAへのルーティング・パスを有する。次にVMN10のRCoAに到達するホップは、MR20のRCoAである。このため、パケットは、パス124を経由してさらにルーティングされ、MAP30に到達する。MAP30では、MR20のRCoAに達する経路が得られ、パケットはパス125に沿ってMR20を経由し、最終的にVMN10に到達する。
CN50からVMN10までのルーティング・パスは、非常に長く、曲折しており、準最適であることがはっきりと見て取れる。この複数のMAPを経由した長いピンポン・ルーティングは、主に、VMN10及びMR20のローカル登録(LCoA登録)が異なるMAPにて行われることに起因している。ネスト状態のNEMOに接続されたMN又はMRのRCoAに最適に到達するのに必要なすべてのLCoAをトレースするためには、該MN又はMRの上流のすべてのMRが、上記RCoAが得られるMAPで何らかの形式の永続的若しくは半永続的な登録を必要とすることが好ましい。図1では、VMN10の上流のMRが、VMN10のMAPとは異なる他のMAPに接続されているので、VMN10のRCoAは、MAP31にて最適なトレースを行うことができない。MAP31ではMR20のLCoA登録が行われておらず、それが上記のMAP間ピンポン・ルーティングの根本的な原因である。そのため、パケットはMAP間を行ったり来たりせねばならず、これにより過剰なルーティング遅延が生じる。過剰なルーティング遅延は、リアルタイムかつタイム・クリティカルなアプリケーションに大きな悪影響を及ぼすものである。
上記ルーティング問題についてさらに理解を深めるため、次に、図2について検証する。図2には、図1で示したルーティングの準最適性問題についてさらに詳しく示されている。図2は、ルーティング遅延について示すだけでなく、図1に示したシナリオに関連する過度のトンネリングについてもさらに詳しく示されている。CN50がVMN10のHoAにデータ・パケットを送信したい場合、BCE60(図1参照)はAROメカニズムによりトレースされ、そのようなトレースによって得られるアドレスは、MR20のRCoAとVMN10のRCoAである。このため、図2のパケット構造208で示されるように、CN50は、宛先アドレスがMR20のRCoAに設定されるデータ・パケットを作成し、このルーティング・ヘッダのアドレスがVMN10のRCoAやHoAであるRH2を挿入する。このパケット208は、インターネットを介してルーティングされ、MR20のRCoAが得られたMAP30に到達する。CN50からMAP30へのルーティング・パスは、図2の200により示される。MAP30は、このパケット208を受信し、宛先アドレス、すなわち、MR20のRCoAへの適切な経路を探す。MAP30は、MR20のRCoAへの経路を有するため、パケット208をトンネルにカプセル化する。このカプセル化されたパケットは、図2の209により示される。トンネル・ヘッダは、送信元アドレスをMAP30のアドレスに設定し、宛先アドレスをMR20のLCoAに設定していることが分かる。このMAP30にてカプセル化されたパケットは、パス201を介して移動し、宛先アドレス、すなわち、MR20のLCoAに到達する。
MR20は、パケット209をデカプセル化し、そのパケットがそれ自身に宛てられていると認識する(内部パケット宛先アドレスがMR20のRCoAである)。そのような場合、MAP30は、RH2を確認することでパケットをさらに調べ、次のアドレスがVMN10のRCoAであることを認識する。MR20は、その後、パケットの宛先アドレスをVMN10のRCoAに設定し、RH2にMR20のRCoAを付加する。パケット210の最も内側のパケットに、このパケット構造を示す。MR20は、VMN10のRCoAへの経路を有していないので、イングレスフィルタリングを避けるため、2つのトンネルにパケットをカプセル化する。直近のトンネルはそのホーム・エージェント、すなわち、HA41につながり、最も外側のトンネルはそのMAP、すなわち、MAP30へとつながる。この二重にカプセル化されたパケット210は、まず、パス202を介してMAP30へ送信される。そこで、最も外側のトンネルが除去され、一重にカプセル化されたパケットは、パス203を介してMRのHA、すなわち、HA41へとさらにルーティングされる。
HA41では、単一のトンネルが完全に除去され、最も内側のパケットがようやくMAP31に到達する。HA41にて完全にデカプセル化されたパケットは、VMN10のRCoAへ宛てられ、パス204を介して移動し、MAP31に受信される。MAP31は、図1に示すようにBCE62を利用し、トンネル・ルーティング・ヘッダに関連するアドレスを見つけ出す。上記BCE62のエントリを使ったAROトレースにより、以下のトンネル・アドレスが得られる。得られたトンネル・アドレスは、MR20のRCoAとVMN10のLCoAである。これはパケット211に示されている。211に示すように、トンネル宛先アドレスは、MR20のRCoAに設定され、トンネルRH2は、VMN10のLCoAを有する。このカプセル化されたパケットは、パス205を介して移動し、MAP30により受信される。MAP30は、パケット211を調査し、まずは宛先アドレスを調べる。宛先アドレスがMR20のRCoAであり、さらに、MAP30はMR20のRCoAへの経路を有しているため、MAP30はトンネルにパケットをさらにカプセル化する。この二重にカプセル化されたパケットは、図2の212により示される。パケット212に関連付けられている最も外側のトンネルの宛先アドレスはMR20のLCoAなので、パケット212はパス206を介してMR20に到達する。パケットは、MR20で一旦デカプセル化される。最も外側のトンネルを取り除いた後、MR20は、再度、宛先がMR20のRCoAに設定されていると認識する。その場合、MR20は、RH2を調べ、そこでVMN10のLCoAを見つける。その場合、MR20は、宛先アドレスをVMN10のLCoAに変更し、さらにパケット213を、パス207を介してルーティングする。VMN10では、パケット213が完全にデカプセル化され処理される。
図2から、パス・セグメント200〜207から成るルーティング・パスが明らかに準最適なものであることがはっきりと見て取れる。また、図2からは、この準最適ルーティング・パスでは様々なレベルのカプセル化が施されていることも見て取れる。従って、平均パケット・サイズは、CN50で発生したパケット208よりもかなり大きい。これらはすべて、カプセル化及びデカプセル化処理を実行するルータに関連する、過度の遅延や大きな処理負荷につながる。
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これまでの説明からも分かるように、大きなローカル・モビリティ管理ドメインは、ロードバランシングのために多数のMAPを有することが不可欠である。そのような場合、ネスト状態のNEMO内のMN又はMRは、MAP間のロードバランスをサポートするため、それらのデフォルト・ルーティング・パス上のすべてのMAPアドレスを受信することが好ましい。ロードバランシングのためそのような設計を取り入れる場合、前述の問題解析にも見られるように、MN/MR及びその上流のMRは、そのRCoAを得てローカル登録を行うのにそれぞれ異なるMAPを選択してしまう可能性がある。ネスト状態のNEMOツリーパス内のMN及びMRがそれぞれ異なるMAPを選択し、ネスト状態のNEMO内の上記MN又はMRがRCoAによりCNとグローバルMIPv6登録を行う場合、すでに説明したように、明らかなルーティングの準最適性が発生する。
そこで、本発明は、上記先行技術の不具合や欠点を克服する、若しくは、大幅に改善することを目的とする。具体的には、本発明は、アーキテクチャに複数のMAPが存在する、上記のARO及びHMIPv6の混在するシナリオにおいて、2つの目的を有する。第1の目的は、NEMOにネストされたMN又はMRにローカル・モビリティ管理サービスを提供し、複数のMAPシナリオのロードバランスを犠牲にせずに、CNとの最適なルーティングを実現することにある。つまり、上記目的は、上記MN/MRが、理想的には利用可能なn個のMAPの内一つのMAPのみからそのRCoAを設定することで、経路の準最適性の問題を解消するということである。第2の目的は、無線ドメインを介した過度のシグナリング、又は、ローカル・モビリティ管理ネットワークドメインにおける過度のシグナリングを行わずに、複数のMAPシナリオにおいて上記経路最適化を可能とすることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、以下のシステム、方法及び装置を提供する。
本発明は、VMN、MR,MAP、HA、CNを含む通信ノードのシステムを提供し、VMN及びMRは、AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装しているものとする。また、このシステムでは、ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、それらのMAPには、上記VMN、MRと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されているものと考える。このようなシステムにおいて、ネスト状態のNEMO内のMRは、それが接続されているMAPに関係なく、ネスト状態のNEMOツリーパス内のその下流のMR及びVMNのMAPにて登録を行う。この他のMAPでの代替の二重登録は、他のMAPから新しいリージョナル気付アドレスを設定せずに行われる。
本発明は、VMN、MR,MAP、HA、CNを含む通信ノードのシステムを提供し、VMN及びMRは、AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装しているものとする。また、このシステムでは、ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、それらのMAPには、上記VMN、MRと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されているものとする。このようなシステムにおいて、ネスト状態のNEMO内のMRは、そのネスト状態のNEMOツリーパス内のMN及びMRが利用可能なすべてのMAPオプションに関する情報を有しており、そのローカル・バインディング・アップデート内のその他のMAPアドレスを、選択したMAPに添付する。さらに、ネスト状態のNEMOツリーパス内のすべてのMN及びMRは、ネスト状態のNEMOが利用可能ないくつかのMAPの内一つのMAPに接続するものとする。
本発明によれば、上記システムの各ノードにより用いられる方法及び装置も提供される。
本発明は、AROやHMIPv6が混在する環境下でも有用な機構を提供することができるという利点を有する。
本発明では、主に2つの方法を提示する。第1の方法としては、ネスト状態のNEMO内のMN/MRに対して、複数MAPシナリオにおけるロードバランシングの原理を侵害することなく、ローカル・モビリティ管理ベースの経路最適化(すなわち、RCoAをCNに対する気付アドレスとして使用)を実行するために、MRは、自身のMAPとは異なる他のMAPにその下流のMN/MRが接続されていると認識した場合、他のMAPにて適切な位置登録を行う。MRによりそのような登録が行われることにより、下流のMN/MRが上記MRのNEMOから移動するまでその他のMAPにて半永続的な登録が実現される。また、経路の準最適性問題を解決するために上記MRはその他のMAPでの別のRCoA取得しないため、ロードバランシングが達成される。上記MRがその他のMAPから別のRCoAを取得する場合、その他のMAPはこのアドレスに対しNDプロキシ・シグナリングを行わなければならず、その結果、上記その他のMAPにかかる負荷が増大する。
第2の方法としては、ここでも、複数MAPシナリオにおけるロードバランシングの原理を侵害することなく、ネスト状態のNEMO内のMN/MRに対して、ローカル・モビリティ管理ベースの経路最適化(すなわち、RCoAを気付アドレスとして使用)を実行するために、上記MN/MRがそのRCoAを得たMAPへ、MN又はMRの上流のMRのLCoA登録が転送される。MRは、つまり、そのRCoAを得たMAPに、利用可能なその他のMAPアドレスを通知し、この情報により、固定ネットワークリンクを介してMAP間で適切なMAP転送が行われる。
第1の方法と比較した場合、第2の方法は以下の利点を有する。第1の方法では、不十分な無線帯域幅により無線ドメインを介しオンデマンドの登録が行われるのに対し、第2の方法では、固定ネットワーク内で転送が行われる。しかしながら、第2の方法では、この方法を実施するためMAPにさらなる変更を加えなければならず、そのような転送を行うためMAPにより大きな処理負荷をかける必要があり、そして、MAPのバインディング・キャッシュにその他のMAPアドレスを記憶するためより大きな記憶容量が必要である。
第1の好適な実施形態では、上記第1の方法が開示されている。図3は、任意のVMN10と任意のCN50がこれまでに概説した第1の方法により通信を行っている場合のメッセージ・シーケンス・チャートである。VMN10はMR20に直接接続され、MR20はAR25に直接接続される。VMN10とMR20は、MAP30とMAP31を含むローカル・モビリティ管理ドメイン内でローミングしている。VMN10、MR20のホーム・エージェントは、それぞれHA40、HA41である。ここでは、VMN10とCN50が互いにデータ通信セッション中であるものとする。また、VMN10とMR20は、ARO及び純粋なHMIPv6プロトコルを実装し、MAP30とMAP31は、ARO対応HMIPv6タイプのMAPであるものとする。さらに、HA40、HA41、CN50もARO対応のものであると想定する。
MR20は、AR25がそのデフォルト・ルータであるサブネットワーク内へローミングする。レイヤ2にて適切な認証・接続を行った後、MR20は、MAP30とMAP31の存在を示すMAPオプションを含むRA300を受信する。MAPオプションで得られる優先値は「ゼロ」より大きく、MR20はそのRCoAを設定するためMAP30のみを用いることを決めるものとする。そのLCoAとRCoAを設定後、MR20は、MAP30を用いて、301で示されるローカル登録を行う。上記登録が完了すると、302に示すようなBCEがMAP30にて得られる。
このローカル登録に続いて、MR20は、次に、BUメッセージ303を送信することで、そのホーム・エージェントHA41にてグローバル登録を実行する。BCE304は、登録303の結果HA41にて作成されるBCEを示している。次に、MR20は、そのNEMOリンク内のMAP30、MAP31、及びAROオプションを含むRA305を送信する。VMN10は、AROオプションとMAP31オプションを処理することを決めた状態であってもよい。VMN10は、MAPオプションの内一つだけを選択するものとする。上述したように、CN50と通信するために両方の利用可能なMAPオプションを処理しなければならない理由など一切ない。
LCoAとRCoAを設定後、VMN10は、MAP31にてローカル登録を行う。このローカルBUは、メッセージ・セグメント306、307、308、309により示される。MR20はMAP31に対し登録を行っていないため、上記メッセージ・セグメントには、様々なレベルのトンネリングが行われることが当業者により理解されるであろう。MAP31にてVMN10によるローカル登録が完了すると、MAP31には、BCE310に示すようなエントリが含まれる。VMN10によりARO及びMAP31オプションが処理されるので、AROオプションはローカルBUに付与される。ARO対応MAPであるMAP31は、次に、ACKをこのローカル登録へと送信する。このACKは、第1宛先アドレスとして、MR20のホーム・アドレスを含み、このACKメッセージは、図3では、311により示されている。メッセージ311に関しては、詳細なトンネリングやルーティング・パスは図示されていないが、当業者であれば容易に想到しうる。
VMN10は、ローカルBUの送信後直ちに、グローバルBUをそのHA40に送信することが可能である。このことは、メッセージ・セグメント312、313、314、315、316によって示されている。ここでも、MR20がMAP31、HA40にて登録を行なっていないため、このグローバル登録メッセージには様々なレベルのカプセル化が行われることが分かる。HA40にてVMN10によるグローバル登録が完了すると、HA40にはBCE317が作成される。HA40は、AROに対応しているため、ACKの第1宛先アドレスがMR20のホーム・アドレスであるACKを送信する。図3では、このACKメッセージは318で示されている。ここでも、やはり、メッセージ318に関連する詳細なトンネリングやルーティングは、便宜上説明を省く。
MR20は、ACK311を受信すると、メッセージがドメイン内の別のMAPから送信されたものであると認識する。本発明によると、MR20は、それ自身のMAP若しくはCNではないことを認識しているので、このMAPでは登録を行う必要がない。たとえMR20が登録を行うとしても、その気付アドレスとしてRCoAを取得しているので、MAP31では、通常、HoAやRCoAの登録を行う。その代わりに、MAP31がVMN10のLCoAやMR20のLCoAをトレースすることができるよう、MR20は、MAP31にてHoAやLCoA登録を行う。この登録は、第1の主要な発明であり、メッセージ319により示されている。MAP31にて作成された登録は、BCE320の第2行目のエントリによって示されている。ここでもまた、上述したように、メッセージ319に関連している全トンネリングや全ルーティング・パスについては便宜上説明を省く。メッセージ319に関連するHoAやLCoA登録は、RR処理も含む必要があることは容易に理解し得るであろう。また、VMN10のRCoAは、BCE320やAROトレース機構により完全にトレース可能であることは当業者であれば十分に理解し得るものである。AROトレース後は、MAP31にて十分な登録エントリが入手できるので、MR20やVMN10のLCoAが取得可能である。そのような登録319が終了すると、MR20は、次に、HA40から受信したACKに応答し、適切な登録メッセージ321をHA40に送信する。MR20は、その状態表にHA40に対する特別な分類が何もないので、HA40を通常のCNと見なす。
ローカル及びグローバル位置登録シグナリングが完了すると、VMN10は、CN50とのローカル・モビリティ管理に関連するROの実行を要求し、CN50とRRやMIPv6BUを行い、そのRCoAをその気付アドレスとして開示する。このようなCN50に対する登録や、その結果CN50に作成されるBCEは、それぞれ、322、323で示されている。CN50は、VMN10へデータを送信したい時は、VMN10のRCoAへパケットを送信する。この場合、パケットはMAP31のホーム・リンクに到達し、MAP31に受信される。MAP31は、VMN10のRCoAに最適に到達するのに必要なすべてのLCoAを有する(BCE320)。これにより、上記データ・パケットはトンネルに挿入され、トンネル宛先アドレスはMR20のLCoAに設定される。トンネルRH2は、VMN10のLCoAとVMN10のRCoAを有する。これが最適なパスとなり、このような双方向データ・メッセージは、図3のメッセージ・セグメント324、325により示されている。VMN10で作成され、CN50に送られるデータ・パケットも、トンネルに挿入される。トンネルの送信元アドレスは、VMN10のLCoAであり、宛先アドレスはMAP31のアドレスであり、NEMO転送ホップバイホップ・オプションがトンネルに挿入される。MR20は、このオプションを調査し、送信元アドレスをそのLCoAに変更し、さらに、パケットをルーティングする。そして、このトンネルは、MAP31により完全に除去される。上記トンネルをデカプセル化した後、内部パケットは、標準IPv6ルーティング機構により、さらにCN50に向かってルーティングされる。
上記方法は、要するに、MR20はVMN10が接続されるまでその他のMAPにて繰り返し登録しさえすればよいといったオンデマンド登録方法の概要を示したものである。この方法の唯一の欠点は、ネスト状態のNEMO内に多数のMNやMRがあり、利用可能なMAPが多数存在する場合、上記他のMAPの登録によって、シグナリング負荷が大幅に増大し、ネスト状態のNEMO内のデータ・トラフィックに対し利用可能な帯域幅が縮小してしまうことである。しかしながら、実際のシナリオの多くでは、ネスト状態のNEMOはそれほど大きくはなく、この方法が、従来技術で述べられたようなルーティングの準最適性問題を解消するのに非常に有用であることが証明されている。また、このオンデマンド方式で他のMAPを登録する方法では、ネスト状態のNEMO内のMNやMRは、そのデフォルト・ルーティング・パスにおけるMAPからいずれかのMAPをランダムに選択することができ、それにより、ある特定の一つのMAPが過負荷となる可能性が非常に低くなる。
本発明の別の好適な実施形態では、図3に示すのと同様のシナリオについて、図3に示された主要な発明についてさらに詳しく説明する。図4Aは、上述の主要な発明が作用している別のシナリオを示している。図4Aでは、VMN410とMR420が、ARO及びいくつかのHMIPv6RO機能を有するものとする。このシナリオでは、さらに、VMN410、MR420、MAP430、MAP431が、図3に示すものとは異なるHMIPv6RO機能を有するものとする。また、これらはすべて、プレフィックス・デレゲーション/PSBUタイプのHMIPv6RO機能又は改良されたARO対応HMIPv6機能を有し、その自身のMAPでローカル登録を行う際、移動アクセス・ルータのRCoAがAROパラメータとして付与される。
システム・ノード(VMN410、MR420、MAP430、MAP431)がプレフィックス・デレゲーション・ベースの、若しくは、PSBUベースのHMIPv6RO機能を有する場合、MAP430とMAP431で作成されたバインディング・キャッシュは、それぞれ、BCE461とBCE463により示される。一方、システム・ノード(VMN410、MR420、MAP430、MAP431)が、移動アクセス・ルータのRCoAをAROパラメータとしてそのMAPに付与する、改良されたARO対応HMIPv6機能を有する場合、MAP430とMAP431で作成されたバインディング・キャッシュは、それぞれ、BCE462とBCE464により示される。
まずは、VMN410、MR420、MAP430、MAP431がプレフィックス・デレゲーション・ベースの、若しくは、PSBUベースのHMIPv6RO機能を有するサブシナリオについて考えてみよう。VMN410はMR420に直接接続されている。MR420はMAP430を用いてそのRCoAを設定し、VMN410はMAP431を用いてそのRCoAを設定する。VMN410とMR420のホーム・エージェントは、それぞれ、HA440、HA441である。VMN410はCN450とデータ通信セッション中であるものとする。上記二つのMAPはMAPドメイン471に強固に設置されており、MAPドメイン471はインターネット470に接続されている。
MR420は、MAP430にてプレフィックス指向のローカル登録を行うことが可能である。そのような登録後作成されたエントリはBCE461により示されている。MR420のRCoAはMAP430から得られ、MAP430に登録されたプレフィックスはMAP430又はHA441から委譲されたプレフィックスであってもよい。続いて、VMN410は、自身のMAPであるMAP431にてローカル登録を行うことが可能である。このようなVMN410による登録後にMAP431に作成されたエントリは、BCE463の第1行目のエントリによって示されている。BCE463内のVMN410のLCoAは、BCE461に示されるプレフィックス・パラメータから得られる。MAP431がそのACKをVMN410のLCoAへ送信する場合、このACKは、ホーム・エージェントHA441からトンネリングされる、及び/若しくは、MAP430からトンネリングされる必要がある。この場合、もともとMAP431から送信されたこのACKをデトンネリングした後、MR420は、MAP431と接続されておらず(ACKパケットがMR420のホーム・エージェント及び/若しくはMAP430からトンネリングされたため)、さらに、下流のMN/MRがこの別のMAPに接続されていることを認識する。このような場合、図3に示す第1の主要な発明を利用することで、MR420は、このデトンネリング後に入手したアドレス(MAP431)が他のMAPアドレスであることをチェックし、MAP431にてまた別の登録を行う。この登録後、作成されたエントリは、BCE463の第2行目のエントリとなる。上記BCE463の第2行目のエントリはBCE461のエントリと同一である。MR420はそのMAP431での登録のためにMAP431で別のRCoAを入手しているわけではないことを理解することが重要である。別のRCoAが入手されると、それによりMAP431でのNDプロキシ・シグナリングが増大し、そこにさらなるメモリ資源が費やされてしまうので、問題が一層複雑になってしまう。さらに、VMN410のLCoAは、この別のMAPからMR420へと委譲されたプレフィックスから入手しなければならず、これによりRAシグナリング負荷が増大してしまう。MR420が自身のMAP430で使用した同じ位置登録値(すなわち、BCE461のエントリ)を使ってMAP431にて二重登録を行うことがより良い解決法であることが、上記考察から十分理解されるであろう。
前述の考察から、MAP431にて登録されたMR420のRCoAが、MAP430から得られたものであることは明らかである。さらに、BCE463で登録されたプレフィックス・エントリは、MAP430によりMR420へ委譲されたプレフィックス、若しくは、HA441からMR420へ与えられたプレフィックスであってもよい。このように、MAP430にてMR420が行った同様の登録が、単純にMAP431にて繰り返されている。このような二重登録方法では、MR420は、共通の信頼できるキーを使ってそのMAP430にて設定したローカル登録値を非常に容易にパスすることができる。MAP430とMAP431は共通の信頼できるキーをあらかじめ決めることができ、このキーは、MAP430と良好なローカル登録を確立する際、MR420へ手渡すことが可能である。このような鍵は、MR420がMAP431にて別のMAP二重登録を行う際、適切な認証ヘッダ(AH)、証明書、若しくは、カプセル化セキュリティペイロード(ESP)を作成するのに利用できる。MAP431が、MR420による上記登録に対してアドレスの有効性をチェックする必要がないことは当業者により十分理解されるであろう。なぜなら、MAP430がもうすでに行ったと信用しているからである。
さらに、VMN410のRCoAに最適に到達するために必要なすべてのLCoAが本実施形態に開示される主要な発明に関連する方法によりMAP431で手に入れることができるので、VMN410はそのRCoAをRRとMIPv6登録を介してCN450に渡すことが可能である。このような登録がCN450で行われる場合、BCEはBCE460に示されたようになる。CN450がデータ・パケットをVMN410へ送信すると、宛先アドレスがVMN410のRCoAに設定され、パケットはMAP431で受信される。MAP431は、VMN410のこのRCoAへの経路を探す。MAP431は、LCoAプレフィックスをプレフィックス・エントリに一致させるプレフィックス・マッチング法を用いてRCoAに最適に到達するのに必要なすべてのLCoAを見つける。このような方法を使って、MAP431は、MR420のLCoAやVMN410のLCoAを容易にトレースすることができる。そのため、上記データ・パケットはトンネルにカプセル化され、最適なパスを介してVMN410へ送信される。このような最適ルーティング経路は、図4Aのメッセージ・セグメント480、481により示されている。要約すると、他のMAPで適切なオンデマンド二重登録を行うことで、ローカル・モビリティ管理ベースのROがVMN410とCN450との間で実現される。このようなローカル・モビリティ管理ベースのROはVMN410のバッテリー電力を節約し、VMN410によるネットワーク接続における変更ごとにネットワークに投入される平均位置管理シグナリングを軽減するのに非常に効果的である。
次に、VMN410、MR420、MAP430、MAP431が、そのMAPでの登録の際に移動アクセス・ルータのRCoAをAROパラメータとして付与する、改良されたARO対応HMIPv6機能を有するサブシナリオについて考察する。この場合でも、MR420はMAP430からRCoAを設定し、MAP430にてローカル登録を行う。このように登録されたエントリはBCE462により示されている。VMN410は、RAから受信するAROオプションを介して入手可能なMR420のRCoAを有するものとする。このMR420のRCoAはMAP430から得られる。この場合、VMN410は、自身のMAP431にて登録を行う際このAROパラメータを利用できることが好ましい。このように作成されたエントリはBCE464の第1行目のエントリによって示されている。MAP431は、MR420のRCoAに設定された第1宛先アドレスを持つACKを送信する。この場合、MR420は、この他のMAP431にてRCoAやLCoA登録を行う。このMAP431でのMR420による登録によって、BCE464の第2行目のエントリに示されるようなエントリが作成される。BCE464の第2行目のエントリは、BCE462のエントリと同一である。AROの通常動作では、MR420は、そのグローバル・ホーム・アドレスに宛てられたACKを受信した場合のみ上記のような繰り返し登録を行う。しかし、MR420の新しい機能を使うことで、そのRCoAに送信されたACKを受信した場合でも、その二重登録を送信するものとする。ここでも、VMN410のRCoAに最適な形で到達するのに必要なすべてのLCoAを見つけるのにBCE464を利用可能なのは当業者により容易に理解されるであろう。また、前述したように、MR420はすでにMAP431に接続されているので他のMAPにて別の登録を行う必要がないことは理解されるであろう。しかし、下流のMN/MRへの経路最適化を可能とするため、VMN410のMAPにてそのような二重登録が行われる。
本発明の別の好適な実施形態では、前述の二重オンデマンド登録方法を実施する、MRの機能アーキテクチャを開示する。図4Bにこの機能アーキテクチャを示す。プロトコル・スタック482は、他のピア・ノードとの通信に参加するのに必要なすべてのソフトウェア及びハードウェアを備えている。MRは、いくつかのCNと通信したい場合に、MNとして動作することもあると想定する。下層プロトコル・モジュール483は、物理層及びデータリンク層の機能を実装するのに必要なすべてのソフトウェア及びハードウェアを備えている。モジュール484は、すべてのルーティングに関連するソフトウェア及びハードウェア機能を備えている。モジュール485は、上層プロトコル機能を実装するのに必要なすべてのソフトウェア及びハードウェアを備えている。この上層プロトコル485は、トランスポート層プロトコル、ソケット層プロトコル、アプリケーション層プロトコルであってもよい。図4Bでは、信号経路486がモジュール483、484間のインターフェースを示し、信号経路487がモジュール484、485間のインターフェースを示す。これらのインターフェースは、その終点として形成されるモジュール間でパケットを転送するのに必要なハードウェア及びソフトウェアを備えている。
ルーティング・モジュール484は、複数のサブモジュールとして実装可能であることが好ましい。これらのサブモジュールは、IPv6モジュール488、MIPv6モジュール489、NEMO基本モジュール490、AROモジュール491、HMIPv6ROモジュール492である。また、純粋にサブモジュールに関係するコードのみがそのサブモジュールに実装されるものとする。他のいくつかのサブモジュールに実装された、いくつかのコードは、サブモジュール間をインターフェースで適切に接続することで、サブモジュールにより再利用が可能である。従ってこれらのサブモジュールがさらに相互接続されているとみなすことができる。なお、本発明の要旨から逸脱することなく、ルーティング層機能を実装する方法は一つだけではないことが当業者により十分理解されるであろう。
IPv6サブモジュール488は、MIPv6サブモジュール489と、インターフェース494を介して相互接続されている。MIPv6サブモジュール489は、NEMO基本490、AROモジュール491、HMIPv6ROモジュール492と、それぞれインターフェース495、497、496を介して相互接続されている。NEMO基本サブモジュール490は、サブモジュール492、491と、それぞれインターフェース499、498を介して相互接続されている。AROサブモジュール491は、インターフェース499Aを介してHMIPv6ROモジュールと相互作用している。このアーキテクチャでは、MRは、すべてのサブモジュールが同時にトリガーされる、若しくは、サブモジュールの一部のみがトリガーされる状態であってもよいものとする。MRがMAPドメイン内でローミングしている場合、すべてのMAPに関連する機能は、HMIPv6ROサブモジュール492により処理されるものとする。HMIPv6ROサブモジュール492は、MAP登録を行うのに必要なプロトコルを備えている。このMAP登録は、前述の実施形態で説明されたようなROパラメータを用いて行われる。このサブモジュール492には、小型のサブモジュール493がさらに埋め込まれている。具体的には、このモジュール493は、他のMAP(MR自身のMAPではない)にて二重登録を行うためのものである。
IPv6ルーティング・モジュール488は、RAの生成・処理、リンク・ローカル・ルーティングの実行、インターネット制御メッセージプロトコル(ICMPv6)メッセージの送受信、IPv6ヘッダの形成、IPv6ヘッダの処理、アドレス設定、近隣探索、などを行うものである。MIPv6モジュール489は、MIPv6機能を実装するのに必要なすべてのソフトウェア及びハードウェアを司るものである。これは移動ルータであるが、MIPv6機能は二つの目的で利用される。MIPv6機能は、MRがMNとして機能する場合に利用することができ、また、他の高度な機能を入手するのに利用することができる。つまり、MIPv6は基本クラスとして利用することが可能で、その他のNEMO基本、ARO、HMIPv6ROなどの導出クラスはそこから導出することができる。パケットが、サブモジュール488で処理された後、インターフェース486を介してIPv6モジュールに到着すると、そのパケットは、IPv6モジュール488では処理不可能な未知のパラメータ(モビリティ・ヘッダ)がある場合、MIPv6モジュールに送信される。そうでなければ、IPv6モジュールは、パケットをある程度処理した後インターフェース487を介して上層プロトコルに渡す。若しくは、パケットを完全に処理し消費する。パケットがインターフェース487を介してIPv6モジュールに到着した場合、これらのパケットは、MRがホーム・リンクにある場合に限り、モジュール488のみにより処理される。そうでなければ、パケットはMIPv6モジュール489に送信され、さらに処理される。制御パケットなどのパケットがルーティング・モジュール484にて作成された場合、IPv6はそのパケットをその性質に応じて形成する。例えば、ICMPv6パケットはIPv6モジュール488により形成される。
インターフェース494を介して到着する全てのパケットは、前述のサブモジュールへと送られ、パケット及びMRに処理されるオプションに見られるパラメータ(例えば、パケットの宛先アドレス)に基づきさらに処理される。上記オプションは、前述の実施形態で説明したMAPオプション、AROオプション、プレフィックス・オプションである。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、ルーティング層484でパケットを処理する際のMRの動作をさらに理解するため、次に、MRのフローチャートを示す。図4Cに示すフローチャートは、主に、図4Bのモジュール484でのパケット処理を示す。RAが受信されると、ステップ401Aがトリガーされる。ステップ401Aでは、MAPオプションを処理するか否かが判断される。MAPオプションを処理すると判断された場合、ステップ402Aが実行される。このステップ402Aは、複数のMAPオプションの内の一つのMAPオプションの処理に関係する方法に関与する。具体的には、LCoAやRCoAを設定し、選択されたMAPにてローカル登録を行い、一つ又は複数のMRのホーム・エージェント及び(もしあれば)MRのCNにてグローバル登録を行う。ステップ402Aを実行後、制御はステップ403Aへと進む。このステップ403Aでは、受信したすべてのMAPオプションがRAに組み込まれ、送信される。このステップ403A後、制御はステップ404Aへと続く。このステップ404Aでは、MAPアドレス以外のアドレスとのイングレス・インターフェースにパケットがあるかどうかを判断する。若しくは、MRに作成されたパケットをMRが持っているかどうかを判断する。ステップ404Aで「yes」と判定された場合、ステップ405Aが実行される。パケットはその他のアドレス(MAPアドレス以外)に宛てられたものである場合、MRはそのHAを介してパケットをトンネリングしてもよい。ステップ405Aでは、MRのレイヤ3にてトリガーされる標準スタックに応じて従う標準ルーティング機構を示す。当業者であれば、このステップ405Aの機能を、MRに実装されたモビリティ・ルーティング機構に基づき、容易に解釈することができるであろう。
ステップ401Aで「false(偽)」又は「no」と判定された場合、ステップ404Aが再度実行され、ステップ404Aで「yes」と判定されると、前述のステップ405Aが行われる。
ステップ405Aで「no」と判定された場合、ステップ406Aが実行される。このステップ406Aでは、パケットがイングレス・インターフェースを介して到着したか否か、また、宛先アドレスが(RAを介して受信した)MRの知っているMAPアドレスに設定されているか否かを判断する。ステップ406Aで「yes」と判定された場合、ステップ407Aが実行される。このステップ407Aでは、パケットの宛先アドレスが、MRがそのRCoAを導出したMAPアドレスと同じであるか否かを判断する。もしそうである場合、MRは、そのMAPアドレスで登録があることを把握し、ステップ408Aを実行する。ステップ408Aは、パケットをMRのMAPにトンネリングする、若しくは、送信元アドレスをMRのLCoAに変更し、パケットをさらにルーティングする方法に関連する。このステップ408A後、制御はステップ401Aへ戻る。
ステップ407Aで「no」と判断された場合、イングレス・インターフェースでパケットに関連する宛先アドレスが他のMAPアドレスと同じであることを意味する。このため、次に、ステップ411Aが実行され、MRがこのMAPで登録があるか否かを判断する。ステップ411Aで「no」と判断された場合、ステップ414Aが実行される。これは、他のMAPで登録がない場合、MRは他のMAPで適切な登録を行うことを意味している。前述の実施形態でも説明したように、他のMAPでの登録パラメータの種類は、ドメイン内のMAPのHMIPv6RO機構に依存する。この他のMAPでの登録を行った後、制御はステップ405Aへと進み、そこで通常の操作によりパケットが正常にルーティングされる。若しくは、パケットをしばらくの間バッファリングし、他のMAPでの登録により作成された最適経路を介して送信することができる。ステップ411Aを行った時に、他のMAPにてもうすでに登録が行われていることが分かった場合、ステップ412Aが実行される。このような場合、パケットは他のMAPにトンネリングされるか、送信元アドレスがLCoAに変更され、さらに他のMAPへと送信される。
ステップ406Aで「no」と判断された場合、制御はステップ409Aへと進む。このステップ409Aは、パケットがエグレス・インターフェースを介して到着したか否か、かつ、パケットがMRに宛てられたものであるか否かを判断する方法である。ステップ409Aで「yes」と判断された場合、ステップ410Aが実行される。ステップ410Aを実行すると、パケットはMRによって消費される。このパケットは、MRのレイヤ3にて完全に処理される、若しくは、MRの上層へと送信される。ステップ409Aで「yes」と判断された場合、パケットがまずデカプセル化されることを意味し、その後、ステップ413Aが行われる。このステップ413Aでは、デカプセル化後、内部パケット送信元アドレスが他のMAPアドレスと同じであるか否かを判断する。この場合、MRは、他のMAPで登録がないことを把握しているので、制御はステップ414Aへと進む。他のMAPにて再度適切な登録が行われ、パケットがステップ405Aへと引き渡され、そこで通常の機構を用いてパケットをさらにルーティングする。ステップ405Aを行った後、制御はステップ401Aへと戻る。ステップ413Aで「no」と判断された場合、パケットは再度ステップ405Aへと送信され、さらにルーティングされる。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、主要な発明の第2の方法、いうなれば第2の主要な発明が開示される。この第2の主要な発明とは、ここでもロードバランシング機能を犠牲にせずに、複数MAP環境下のVMN−CN間のデータ・トラフィックを行うように、ローカル・モビリティ管理ベースのROを備えるものである。しかし第2の主要な発明では、最適経路を介してVMNのRCoAに達するために必要なLCoA登録が、固定ネットワークを介して、一つ又は複数のMAPから、RCoAが導出されたMAPへと転送されている。これにより、前述の実施形態の第1方法と比べ、無線ドメインにかかるシグナリング負荷が少なくなる。この第2の発明は、この第2の方法を示した関連する図5A乃至図5Cを把握することで、さらに明確に理解されるであろう。
図5Aでは、VMN510はMR520に直接接続され、MR520はMR521に直接接続され、MR521にルートされたネスト状態のNEMOはローカル・モビリティ管理ドメイン571に接続されている。MAPドメイン571はインターネット570に接続されているものとする。また、VMN510はCN550とデータ通信セッション中であり、CN550はインターネット570に接続されているものとする。このシナリオでは、VMN510、MR520、MR521は2つのMAPオプション、すなわち、MAP530に由来するMAPオプションとMAP531に由来するMAPオプションとを受信するものとする。
図5Aに示す第2の方法の主要なポイントとしては、ネスト状態のNEMOツリーパス内のMN及びMRは、利用可能なMAPオプションの内の任意の一つのMAPオプションを選択してそのRCoAを設定することができ、かつ、MN又はMRのRCoAに到達するのに必要なすべてのLCoAが、MAP間の転送を介してRCoAが導出されるMAPにて入手可能であるということである。従って、この方法では、MRは、選択したMAPへローカル登録を送信する場合、そのRAで確認したその他のMAPアドレスを送信するものとする。要するに、MRは、ネスト状態のNEMOツリーパス内のMN/MRがそれらのローカル登録を行うその他のMAPについての「ヒント」を自身のMAPに与える。MAPは、この(その他のMAPアドレスを介して与えられる)「ヒント」を用いて自身の位置登録エントリをその他のMAPに渡す。それにより、それらのMAPは、上記MAPから一意的に導出されたRCoAに達するのに必要なすべてのLCoAをトレースすることができる。
このような方法が実施されている場合、図5Aでは、MR521はMAP531オプションを処理してそのRCoAを設定するものとする。その後、MR521はMAP531にてローカル登録を行い、作成されたエントリはBCE562の第1行目に示されている。MR521は、ローカル登録を行う際、そのBUモビリティ・ヘッダ内のオプションとしてのMAP530アドレスである、その他のMAPアドレスを付加することが好ましい。BCE562に示すROパラメータは、システムに実装されたHMIPv6関連のRO機構を反映する。これらの図示のROパラメータとしては、上流の移動アクセス・ルータのHoA、上流の移動アクセス・ルータのRCoA、又は、自身のMAP若しくは自身のHAに委譲されたプレフィックスが挙げられる。これらのROパラメータは、最適にRCoAに達するのに必要なすべてのLCoAをトレースするために必須のパラメータであることは当業者により理解されるであろう。さらに、前述の実施形態では、これらのROパラメータをどのように利用して関連するLCoAを見つけ出すかや、トレース機構について、詳細かつ明確な説明がなされた。本実施形態での説明を簡潔なものとするため、上記についてのさらなる詳細な説明はしない。
次に、選択したMAPにて適切なローカル登録が行われた後、MR521はそのRAを送信し、MR520はMAP531オプションを処理してローカル登録を行うものとする。MR520によりローカル登録が完了すると、作成されたエントリがBCE562の第2行目のエントリによって示される。ここでも、MR520は、BUを行う際、MAP530アドレスを付与する。これは、MR521やMR520に関連付けられた同じネスト状態のNEMOツリーパス内の他のMN又はMRがこのMAP530に接続されている可能性があり、MAP530にて登録されたRCoAをトレースするためにMR521やMR520エントリが必要となる可能性がある、というMAP531に対する「ヒント」である。MR520がそのRAを送信する場合、VMN510はMAP530アドレスによりローカル登録を行うものとする。VMN510は、移動ノードであってルータではないので、そのBU内のその他のMAPアドレスを送信する必要はない。このことは当業者であれば容易に理解し得ることである。なぜなら、他のどのMAPもRCoAに達するのにこのVMN510のLCoA(VMN510のLCoAはリーフ・アドレスである)を必要とはしていないからである。このMAP530での登録後に作成されたローカル登録エントリがBCE561に示されている。
MAP531は、新しいエントリを手に入れるたび、又は、古いエントリがリフレッシュされた時は、第2の主要な発明に関連する機構をトリガーする。この機構は、MAP531が同じ他のMAPアドレスを有するエントリを検索するためのものである。これらのエントリが新しいエントリ又はリフレッシュされたばかりのエントリである場合、MAP531はこれらのエントリをすべてその他のMAPアドレスに転送する。つまり、このシナリオでは、MAP531はBCE562に示す(他のMAPアドレスを除く)すべての登録エントリをMAP530に転送する。この転送後、BCE563は、MAP530にて作成された新しいエントリを与える。上記MAP間転送は、MAPドメイン571内のMAP間で相互に受諾されたセキュリティ・キーにより安全に行われる。BCE562の第4列目に他のMAPアドレスが複数存在する場合、2行分のエントリがそのすべての他のMAPアドレスに転送されなければならないということが当業者により容易に理解されるであろう。BCE563はVMN510のRCoAに最適に到達するのに必要なすべてのエントリを有しているので、VMN510とCN550の間の双方向データ通信は、図示のパス・セグメント581、582に示されるような最適経路を介して行われるということが容易に理解されるであろう。
本実施形態に記載される方法と、無線ドメインを介して行われるオンデマンド二重登録の相違点を理解することが重要である。二重エントリは、ネスト状態のNEMO内の他のノードからの要求に応じてのみ、必要なMAPにて作成されるという点では、二つの方法は同様の効果を有する。それらの方法の優れた特徴は、ほかに、ロードバランスが犠牲になることはなく、ネスト状態のNEMO内の任意のMN/MRは、利用可能なn個のMAPの中からいずれかのMAPを1/nの確率で選択することができるという点である。その結果、上記n個のMAPがすべて均等に使用され、過負荷によるMAPの不具合を回避することができる。
本発明の別の好適な実施形態では、図5Aに対応する実施形態でのMAP動作についての理解をさらに深めるため、MAPの機能アーキテクチャを説明する。図5Bにこの機能アーキテクチャを示す。図5Bでは、500Aは、プロトコル機能を実装するのに必要なすべてのソフトウェア及びハードウェアを含むMAPプロトコル・スタックを示す。下層プロトコル・モジュール502Aは、すべての物理層及びデータリンク層のプロトコルから成る。モジュール501Aは、ルーティング層プロトコル機能を示す。MAPは、主に固定ルータであるので、上層のプロトコル層がない。ルーティング層501Aは、IPv6モジュール504Aと、HMIPv6ROモジュール505Aと、新しい高度処理モジュール506Aとをさらに備えている。IPv6モジュールは、標準のIPv6機構に対応するすべての機能を実装する。HMIPv6ROモジュールは、すでに概説された特別なHMIPv6RO機構を実装する。このHMIPv6ROモジュールの内部には、モジュールに対応するバインディング・キャッシュも存在することとする。上記の新しい高度処理モジュール506Aは、モジュール505A内のBCエントリを定期的に監視し、BCエントリを特定された一つ又は複数のMAPに関連性を持って転送する機能を備えている。IPv6モジュール504Aは、508Aを介してHMIPv6ROモジュール505Aと接続されている。HMIPv6ROモジュール505Aは、インターフェース507Aを介して新しい高度処理モジュール506Aと接続されている。下層プロトコル・モジュール502Aは、インターフェース503Aを介してルーティング・モジュール501Aと接続されている。
パケットは、インターフェース503Aを介してルーティング・モジュール501Aに到達すると、IPv6モジュールにより完全に処理されるか、HMIPv6ROモジュールに転送される。要するに、IPv6モジュールがそのようなパケットを完全に処理することができるのであれば、そのパケットはそこで処理される。そうでなければ、HMIPv6ROモジュールがそのパケットを処理する。
本発明のさらに好適な実施形態では、図5Bのモジュール501AでのMAPパケット処理方法について説明する。図5Cに上記層でのMAP処理を示す。MAPでは、初めに、ステップ500Bが行われる。ステップ500Bでは、まず、パケットがエグレス・インターフェースに到着したか否かを判断する。ステップ500Bで「yes」と判断された場合、制御はステップ501Bへ移動する。ここで、パケットの宛先アドレスが、前述の実施形態で説明したHMIPv6ROモジュールのBC内のエントリを有しているか否かを判断する。ステップ501Bで「yes」と判断された場合、ステップ502Bが実行される。このステップ502Bでは、宛先アドレスに到達するのに必要なすべてのLCoAを見つけるために、BCのトレースが行われる。必要なLCoAが見つかったら、ステップ503Bが行われる。このステップ503Bでは、ステップ502Bで特定されたLCoAを用いてパケットをトンネルにカプセル化し、さらにルーティングされる。このステップ502B終了後、制御は(初めに処理されるべきイベントの時間に応じて)ステップ500B又は512Bに移動する。ステップ501Bで「no」と判断された場合、パケットは通常の機構に従って正常にルーティングされる。つまり、MAPは宛先アドレスに対するBCエントリを持っていないので、パケットのルーティングはIPv6ルーティング機構により行う必要がある。
ステップ500Bで「no」と判断された場合、ステップ505Bが実行される。ステップ505Bでは、パケットがイングレス・インターフェースを介して到着したか否かを判断する。ステップ505Bで「no」と判断された場合、パケットはMAPから発信され、ステップ506Bが実行される。ステップ506Bでは、パケットは通常の機構と同様にして構築され、ルーティングされる。一方、ステップ505Bで「yes」と判断された場合、制御部はステップ507Bへと移行する。ステップ507Bでは、イングレス・インターフェースに到着したパケットがそのMAP宛てのものであるか否かを判断する。ステップ507Bで「yes」と判断された場合、ステップ508Bが実行される。ステップ508Bでは、このパケットがローカルBUであるか否か、かつ、他のMAPアドレスが添付されているか否かを判断する。ステップ508Bで「yes」と判断された場合、ステップ509Bが実行される。ステップ509Bでは、その他のMAPアドレスが、RCoA値に対応するメモリの位置に配置される。ステップ508Bで「no」と判断された場合、ステップ510Bが実行される。ステップ510Bでは、通常通りにローカルBUエントリが配置される。
イベント・スケジューラにおける現在のイベントが、ステップ512Bに対応するものである場合、そのステップ512Bがトリガーされる。ステップ512Bでは、新しくBCエントリが作成されたか否か、若しくは、エントリの更新又はリフレッシュが行われたか否かが判断される。ステップ512Bで「yes」と判断された場合、ステップ513Bが実行される。ステップ513Bは、共通の他のMAPアドレスを持つBCエントリをまとめてグループ化する機能を有する。ステップ513Bの処理が終了すると、制御はステップ514Bへと移行する。ここでは、変更されたBCエントリ又は新しいBCエントリを、ステップ513Bで特定された他のMAPに通知する。ステップ514Bが完了すると、制御はメインループへと移動する。それはイベント・スケジューラにおける最初のイベント次第で500B、又は512Bとなる。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、図5AのMR521は、受信したRAに複数のMAPオプションがあった場合、得られたすべてのMAPオプションの中から、ある一定の数のMAPだけを選択することが好ましい。また、MR521は、その優先レベルがある程度の閾値よりも大きいMAPオプションを選択することが好ましい。ここで、優先レベルは、通常、MAPが過負荷状態でない場合に、高く設定されるものであると理解することが重要である。MR521がこのようにMAPオプションのフィルタリング又は選択処理を行うことで、MAP間の転送シグナリングの軽減、及び、MAPドメインにおける輻輳の軽減を図ることができる。つまり、MRにより登録される他のMAPアドレスの数が少ないと、この登録を行うMAPからエントリが転送されてくるMAPドメイン内のMAPの数も少なくなる。その結果、MAPドメイン内のネットワーク・トラフィックが縮小する。また、すでにかなりの負荷がかけられているMAPにこれ以上の負荷をかけることはしない上記のフィルタリング方法によって、より良いロードバランスを実現することが可能である。MR521によっていくつかのMAPオプションを除去するという判断は、MAPクラウドの他のMAPにより行われる。
本発明の好適な実施形態では、MR521及びMR520は、選択したMAPにて登録を行う場合、他のMAPアドレスを送信する必要がない。MAPは、そこに登録されたRCoAに到達するのに必要なすべてのLCoAが存在するかどうかを判断するために、BCEのセルフチェックを行うことができる。例えば、図5AのROパラメータが上流の移動アクセス・ルータのRCoAである場合、BCE561のROパラメータ・エントリにはMR520のRCoAが含まれる。MAP530は、セルフチェックを行うことで、BCE561にはMR520のRCoAに対応するものが見当たらないため、BCE561にはこれ以上VMN510のRCoAをトレースするためのエントリが存在しないということを確認することができる。この場合、MAP530は、MR520のRCoAを調べることで、このアドレスが別のMAPから得られたものであることをインテリジェントに把握することができる。MAP530は、ドメイン内のすべてのMAPアドレスに関する情報を有することが好ましく、それにより、MR520アドレス・プレフィックスのRCoAと一致する適切なMAPアドレス・プレフィックスを見つけることができる。MAP530が上述のマッチング方法を使ってMAP531アドレスを決定すると、MAP530は、MR520のRCoAを添付したクエリーをMAP531に送信する。そして、MAP531は、このクエリーを理解し、MR520のRCoAを用いて、MAP530に転送すべき必要なエントリをトレースする。このように、MAP531はまず、そのBCE562においてMR520のRCoAを見つけ出し、その後トレースを行って、BCE562の2行のエントリを転送する必要があると判断し、それらをMAP530へ転送する。
この方法は、オプションで他のMAPアドレスを送信する前述の方法と、以下の点で異なる。つまり、この方法では、BCEエントリを得るには「クエリー」と「応答」が必要であり、これはむしろ反応型の転送であるのに対し、前者の方法は、先行型の転送である。別の方法では、MAP530は他のMAP情報を持っていなくてもよく、MR520のRCoAのプレフィックスにより構成されたエニキャスト・メッセージを送信して対応するMAPをトレースすることができる。そのMAP531にはエニキャスト・アドレス値を割り当てなければならないことは言うまでもない。当業者にとっては、これらの方法以外にも、本実施形態に記載されたクエリーメッセージを送信するためにMAPをトレースする方法はいくらでもある。システムがプレフィックス・デレゲーション・ベースの、若しくは、PSBUベースのHMIPv6RO機構を有する場合、MAP530は、単にBCE561のVMN510のLCoAのエントリを調べるだけで、他のエントリが入手可能なMAPを見つけ出すことができるということを理解することも重要である。これは当業者であれば容易に理解し得ることである。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、MRが、何らかの方法で、MAPオプションが下流のMR又はMNにより処理される(例えば、MR520とVMN510はMR521の下流側にある)ということを知っている場合、MRは、自身のMAPに行う登録の際、MAPアドレスを下流のMRやMNに送信しさえすればよい。なぜなら、ある特定のMRの位置登録値は、下流のMRやMNのMAPにおいてのみ必要とされるからである。上流のMRやMAPは、下流のMRの登録を必要としない。これにより、図5Aで説明した前記実施形態のように、すべてのMAPアドレスを送信しなくてもよくなる。従って、本実施形態の方法は、図5Aに示された第2の主要な発明の最適化である。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、主要な発明の変更例を説明する。図6にこの変更例を示す。この変更例では、オンデマンド二重登録は行われない。一方、ドメイン内で同じ優先レベルを有するMAPに対し、この方法では、いくつかのMAPに負担をかけ過ぎるかもしれない。図6の詳細な分析によりさらに詳しく説明する。
図6では、VMN610がMR620に直接接続され、MR620がAR625に直接接続される。AR625はMAPクラウド671に接続される。クラウド671には、MAP630とMAP631の2つのMAPが配置されているものとする。また、AR625は、受信するRAメッセージ681内の2つのMAPオプションを受信する。AR625は、受信したRAの処理を行い、パケット681と同じ構造の新しいRA682を送信する。VMN610はCN650とデータ通信セッション中であるとする。本実施形態の発明が実施されている時、CN650のBCEは660によって示される。
システム(VMN610、MR620、MAP630、MAP631)が、移動アクセス・ルータのRCoAをAROパラメータとする、ARO対応HMIPv6機能を有する場合(サブシナリオ1)、本実施形態の発明が実施されている時、MAP630にてBCE661が作成されるものとする。また、システム(VMN610、MR620、MAP630、MAP631)が、移動アクセス・ルータのHoAといくつかのMAP知能をAROパラメータとするARO対応HMIPv6機能を有する場合(サブシナリオ2)、本実施形態の発明が実施されている時、MAP630にてBCE662が作成されるものとする。さらに、システム(VMN610、MR620、MAP630、MAP631)が、移動アクセス・ルータのHoAをAROパラメータとするARO対応HMIPv6機能を有する場合(サブシナリオ3)、本実施形態の発明が実施されている時、MAP630にてBCE663が作成されるものとする。
従来技術の問題を分析すると、複数のMAPオプションを持つ複数MAPシナリオでは、ネスト状態のNEMOツリーパス内のMNとMRは、RCoAを設定するのに異なるMAPを選択してしまう可能性があり、その結果、経路の準最適性が生じてしまう。この問題を解消するため、MR620は、RA682を受信し、複数のMAPそれぞれにそれほど負荷がかけられていない、又は、複数のMAPが同等の優先値を有することを認識した場合、一つのMAP(この場合、MAP630)で登録を行うことを決め、作成するRA内でMAP630オプションのみを送信する。これが本実施形態の発明の主要なポイントである。MR620は、MAP630にてローカル登録を行う。このことは、BCE661、BCE662、BCE663の第1行目のエントリにて示されている。その後、MR620はRA683を送信するが、このRA683では、MAP630オプションのみを送信する。このことはパケット680から見て取れる。このパケット680は、AROパラメータ及び/又はいくつかのプレフィックス・パラメータを有していてもよい。
そのようなRA683を受信する際、サブシナリオ1のVMN610は、まず、MAP630オプションを処理し、BCE661にてローカル登録を行う。ここで作成されたエントリは、BCE661の第2行目のエントリにより示されている。BCE661から、VMN610のRCoAはARO機構により容易にトレース可能であることが分かる。そのため、CN650から受信するデータ・パケットは、MAP630にて一つのトンネルにカプセル化される。トンネルの第1宛先アドレスは、MR620のLCoAとなり、その最終的なアドレスは、VMN610のLCoAとなる。
上記RA683を受信する際、サブシナリオ2のVMN610は、まず、MAP630オプションを処理し、BCE662にてローカル登録を行う。ここで作成されたエントリは、BCE662の第2行目のエントリにより示されている。第2行目のエントリを作成後、MAP630は、MR620のHoAに対する登録を行っていないので、ACKをVMN610に送信するが、第1宛先アドレスをMR620のHoAに設定する。MR620は、これを受信すると、その気付アドレスがRCoAに設定されているため、RCoAによりARO登録を送信する。このARO再帰エントリは、BCE662の第3行目のエントリにより示されている。MAP630は、最適にVMN610のRCoAに到達するのに必要なすべてのLCoAを見つけ出すためにインテリジェントなトレースを利用することも可能である。
上記RA683を受信する際、サブシナリオ3のVMN610は、まず、MAP630オプションを処理し、BCE663にてローカル登録を行う。この登録により作成されたエントリは、BCE663の第2行目のエントリにより示されている。第2行目のエントリを作成後、MAP630は、MR620のHoAに対する登録を行っていないので、ACKをVMN610に送信するが、第1宛先アドレスをMR620のHoAに設定する。MR620は、これを受信すると、登録されたアドレスがVMN610のHoAとLCoAであるARO登録を送信する。このARO再帰エントリは、BCE663の第3行目のエントリにより示されている。MAP630は、最適にVMN610のRCoAに到達するのに必要なすべてのLCoAを見つけ出すために通常のAROトレース処理を行うことも可能である。
ネスト状態のNEMOツリーパス内のすべてのMN及びMRを一つのMAPに接続することで、ネスト状態のNEMOツリーパス内のMN又はMRに対応するRCoAに最適に到達するのに必要なすべてのLCoAをトレースすることができる(分割キャッシュ問題なし)ことは当業者であれば十分に理解し得るものである。そのため、CN650からのデータ・パケットは、図6にメッセージ・セグメント685、684で示される最適経路を介して移動する。
図3、図4A乃至図4C、図5A乃至図5Cに示す方法と比較すると、本実施形態の方法の主な問題は、ネスト状態のNEMO(単一のルートMRを持つネスト状態のNEMOを想定)内のすべてのMN及びMRは、一つのMAPを選択し、ネスト状態のNEMOのノード(ネスト状態のNEMOの多数のノード)の分布がMAPドメイン内でローミングしているNEMOの間で一様ではない。そのため、MAPクラウド671内のいくつかのMAPが酷使されてしまう場合があり、MAP障害が発生することもある。一方、MAPにかかる負荷が非常に軽い場合(場合によっては、優先値によりMR620に通知される)、本実施形態の方法は有用である。
ネスト状態のNEMOが非常に輻輳した状態である場合、MRは、図3又は図4A乃至図4Cに示す方法から、図6に示す方法へ、モードを切り替えてもよい。この場合、MRには2つの機構が実装されることになる。ネスト状態のNEMOが輻輳状態である場合、無線ドメインを介したオンデマンド二重登録はあまり効率的ではなく、図6に示す方法が有用である。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、図6のMR620は、(おそらく同一MAPドメイン内の)別のMAPに向かって移動していると認識した場合、MAP630であるその現在のMAPにヒントを与えることができる。このような場合、MAP630は、MR620にルートされたネスト状態のNEMOのノードに対応するすべてのRCoA値を転送し、新しいMAPに、そのRCoA値に対して二重アドレス検出(DAD)を行うよう要求する。新しいMAPは、DADを実行する前に、明らかに、上記RCoAプレフィックスを、自身のアドレス・プレフィックスへと変更する必要がある。新しいMAPリンクにアドレス・クラッシュが存在しない場合、これをMAP630に通知する。MR620にルートされたネスト状態のNEMOに対応するすべてのBCEは、MAP630から新しいMAPへと転送することができる。MR620にルートされたネスト状態のNEMOのノードは、新しいMAPでさらなるローカル登録を行わなくてもよい。それらは新しいMAPアドレス・プレフィックスさえ分かればよく、新しいMAPには今後のLCoAの変更のみが登録されればよい。このような転送は、MAP630が過負荷の状態でも行うことができる。ネスト状態のNEMOに対してMAPが変更されると、MNのLCoAとネスト状態のNEMOのMRが変更されなくても、多くの新しいローカル登録を行わなければならないので、この方法は有用である。この方法は、このようなローカル登録の集中発生も防止する。この方法では、新しいMAPへの転送を行う前のMAPによりローカル登録が行われ、MAPの変更はネスト状態のNEMOのノードに通知される。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、主要な発明の変更例を説明する。この変更例を、図7を参照してさらに詳しく説明する。図3、図4A乃至図4Cにて説明した主要な発明では、オンデマンド二重登録は、非常に混雑したネスト状態のNEMOにおいて、シグナリング負荷を大幅に増大させることが分かった。図5A乃至図5Cに示すネットワーク・サポート解決法でさえ、MRは、その選択したMAPに、ローカルBU内のMAPアドレスを付与する必要があることが明らかとなった。このネットワーク・サポート解決法はまた、無線帯域幅の相当部分を占有する。本実施形態では、従来技術で概説された経路の準最適性問題に対する完全なネットワーク・ベースの解決法を説明する。
図7では、VMN710がMR720に接続され、MR720がMR721に接続される。MR721は、ローカル・モビリティ管理ドメイン771に接続され、ローカル・モビリティ管理ドメイン771はインターネット770に接続される。MAPクラウド又はローカル・モビリティ管理ドメイン771は、複数のMAPを有するとする。MR721は、RAを介して、MAP730とMAP731からMAPオプションを受信する。こうして受信したRAパケットは781に示される。MR721はMAP731オプションを利用してそのRCoAを設定し、MAP731にてローカル登録を行う。BCE762に、MAP731のバインディング・キャッシュを示す。MAP731で行われる上記ローカル登録は、BCE762の第1行目のエントリにより示される。次に、MR721は、そのRA782を送信する。このRA782は、780で示されるようなパケット構造を有している。MR720はこのRAを受信し、MAP731を利用してそのRCoAを設定ものとする。MR720は、LCoAとRCoAを得ると、MAP731にてローカル登録を行う。この登録エントリは、BCE762の第2行目のエントリにて示される。このようなローカル登録の後、MR720はRA783を送信する。このRAは780に示すものと同様の構造を有している。VMN710は、MAP730オプションを処理し、そのローカル登録をMAP730に送信する。本実施形態では、ホーム・エージェントで行われるグローバル登録については明記しないが、当業者であれば容易に理解し得るものである。
VMN710がMAP730でローカル登録を行うと、MAP730で作成されたエントリがBCE761に示される。VMN710は、CN750と、ローカル・モビリティ管理ベースのROを行っているものとする。従って、VMN710は、CN750と、RCoAをその気付アドレスとして、RR及びMIPv6BUを実行するものとする。CN750におけるBCEはBCE760である。
本実施形態では、MAPクラウド771の任意のMAPには、そのバインディング・キャッシュが十分なものであるか否か、若しくは、対応するエントリを得るにはどのMAPにクエリーを行えばよいかを調べる機能が備わっていないものとする。また、各MAPはドメイン内の他のすべてのMAPを把握しているものとする。この方法では、新しい、又は、更新されたバインディング・キャッシュ・エントリが、各MAPからドメイン内のその他すべてのMAPに送信されるものとする。このBCE転送のフラッディングは、シグナリング・メッセージ786により示される。このような転送786の後、すべてのMAPのバインディング・キャッシュ・エントリが同じになる。転送786の後、BCE761が確実にMR720とMR721のすべてのエントリを持つことは容易に理解し得る。このような場合、VMN710のRCoAがMAP730にて完全にトレース可能であることは当業者にも明らかである。しかし、この方法では、ノードがドメイン内(ドメインそのものが大きく多くのMN及びMRを含む可能性がある)でローミングを行う間、MAPには不要な二重の永続的なエントリが作成されるということも明らかである。これがこの方法の欠点である。CN750がVMN710にデータ・パケットを送信すると、パケットはMAP730で受信され、VMN710への単一のトンネルにカプセル化される。VMN710とCN750の間の経路最適化データパスは、図7のパス・セグメント784、785により示されている。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、図7の方法に加えられる小さな変更について説明する。MAPクラウド771のすべてのMAPは、最初は、MAPドメイン内のすべてのMAPのすべてのRCoAエントリを持っている。すべてのMAPは、RCoAをトンネリングするのに使われるバインディング・キャッシュ・エントリを特定・分類できる機能を利用し、特定されたこれらのエントリを転送したMAPを見つけ出す。使われていない、若しくは、使われることのないエントリについては、MAPは、そのような未使用のエントリを転送したMAPに、しばらくはエントリを転送しないように要求する。MAPは、そのような要求シグナリングを行うため、どのエントリがどのMAPによって転送されたかを監視する必要がある。MAPは、メッセージ786の送信元アドレスを監視することで、未使用エントリを送信したのはどのMAPであるかを把握することができる。
本発明の別の好適な実施形態では、ネスト状態のNEMOツリーパス内のMN及びMRがn個のMAPの中から一つのMAPを選択し、選択したMAPにて登録を行う方法を開示する。本実施形態では、図7に示すようなMAP間におけるBCEのフラッディングが発生しないが、それぞれのMAPは、MAPで処理されたパケットの送信元アドレスを調べることでどのMAPエントリが必要かを監視する。MAPの持つエントリが、そこから得られたRCoAに対応するLCoAを見つけるのに不適切である場合、パケットが他のMAPからそのMAPに届く(MAP間ピンポン)。他のMAPからそのMAPへパケットが届くと、そのMAPはその他のMAPに、それぞれの登録エントリを送信するよう要求するものとする。こうして、上記MAPは、そこから得られたRCoAをトレースするためのすべてのエントリを手に入れることができ、MAP間のピンポン準最適経路を除去することができる。本実施形態に概説された方法を用いることで、図7に示すような永久的な二重登録を生じさせずに、上記準最適ルーティングを解消することができる。別の方法では、MRは、MAPを選択し、選択したことを、RAを介してそのMAPに通知することができる。ネスト状態のNEMOツリーパス内の下流のMRは、この情報を受け取ると、上流のMRのMAPを見つけ、この情報(上流のMRのMAPアドレス)を自身のMAPへ送信できる。下流のMRのMAPは、上流のMRのMAPに、(MAPアドレスを知っているため)それらのエントリを転送するよう要求することができる。こうして、MAP間のピンポン準最適ルーティングが解消される。
以上、複数MAPシナリオでのネスト状態のNEMOにおける経路の準最適性問題を解消するための主要な発明及びその変更例を説明してきた。実施形態で説明された2つの主要な方法において、第1の方法は、端末(MR)の登録の他のMAPでの二重登録であり、第2の方法は、ネットワークドメインで行われる転送による二重登録であることが分かる。次に、別のシナリオでの特定の問題解決に上記のような二重登録が有用であるいくつかのシナリオを見てみよう。
現在、ローカル・モビリティ管理では、NetLMMドメインが注目を集めている。NetLMMドメインでは、ローカル・モビリティ管理シグナリングが完全に固定ネットワークを介して行われており、ローミングするMN/MRは、その気付アドレスの変更どころかNetLMMドメイン内で移動していることも認識していない。このようなドメインでは、ロードバランシングのため、複数のローカル・モビリティ・アンカー(LMAs)を配備するのが一般的である。非特許文献7に開示されているようなプロキシ・モバイルIPv6ドメインと呼ばれる別のドメインでは、プロキシ・モバイル・アンカー(PMA)は、ローミングしているMN/MR/IPv6ホストの代わりに、プロキシMIPv6シグナリングをプロキシ・ホーム・エージェント(PHA)へ送信する。このようなプロキシMIPv6ドメインでも、ロードバランシングのために、複数のプロキシ・ホーム・エージェントを配置することができる。プロキシ・モバイル・IPv6ドメインは、NetLMMドメインに類似したドメインであるが、その主な目的は、ホーム・ドメイン内でローミングするIPv6ホストへモビリティ・サービスを拡大することにある。次に、MRから始まる上記二重位置登録と、前述の実施形態に説明された位置登録のMAP間転送とが、NetLMMドメインやプロキシMIPv6ドメインのいくつかの問題解決にどのように有用であるかを考察してみる。
以下の実施形態では、NetLMMドメインにおいて、MNの代わりに、通常ARに実装されるMAG機能により、位置管理シグナリングを行うこととする。非特許文献6に開示されるようなMAG機能は、PMIPクライアントの中心に位置することもできる。このような場合、PMIPクライアントは、ローカルBUをLMAに送信し、MN識別子又はMNの気付アドレスを、(そのMNが現在接続されている)ARのアドレスに結合する。ローカルBUは、PMIPクライアント機能を有するARによっても送信できることは当業者であれば十分理解し得る。非特許文献7に開示されているプロキシMIPv6ドメインでは、MAG機能を、プロキシMIPv6エージェントに配置することができる。ここでは、上記エージェントは、プロキシ・ホーム・エージェントにてプロキシ登録を行う。このプロキシ・ホーム・エージェントは、NetLMMドメインのLMAに類似している。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、ロードバランシングのため、LMA間で位置エントリ転送を行う方法を開示する。この方法は図8を参照しさらに詳しく説明する。図8では、MN810がNetLMMドメイン841内でローミングしている。NetLMMドメイン841はさらにインターネット840に接続されていることとする。MN810は、モビリティ・アクセス・ゲートウェイ(MAG)820に直接接続されている状態である。MAG820は、ローミングしているMN810がリンクやサブネットワークにおける変更に気付かないようにする特別な機能を有するARである。NetLMMドメイン841はLMA830、LMA831、LMA832をそのアーキテクチャに備え、これらすべてのLMAは固定リンク860により接続されていることとする。また、MAG820は、固定リンク861、862それぞれを介してLMA830、LMA831に直接接続されており、MAG821は固定リンク863を介してLMA831に接続されていることとする。さらに、MAG820は、LMA830、LMA831の両方からプレフィックスを受信するが、そのRA870での送信用にはLMA831からのプレフィックスを選択することを決定する。この場合、MN810はLMA831のプレフィックスから気付アドレスを設定する。さらに、MAG820はLMA831にてローカル登録を行い、これが図8の871で示される。この登録により、MN810の気付アドレスがMAG820のアドレスと結合する。
このようなシナリオでは、LMA831は、LMA830の使用法についての情報を持っており、それがあまり使用されていないことを把握できることもある。この情報を得るためデータベースにクエリーを行うことが好ましい。このような場合、LMA831は、(ロードバランシングのために)MAG820からのエントリを含むそのエントリのいくつかをLMA830へ転送してもよい。この転送は、図8のメッセージ872に示されている。上記転送は、LMA831がそのエントリを削除し、転送又はエントリのコピーをとり、その後転送を行うといった完全な転送であってもよい。MN810の関連性のための、MAG820及びLMA831に対応するセキュリティ・キーもLMA830に転送されることとする。この場合、LMA830は、LMA831に送信されるパケットを捕まえるためにいくつかの経路を投入しなければならない、若しくは、それがデフォルトパス内にある場合、転送されたアドレスに届いたパケットを調べ、それらのパケットをMAG820へとトンネリングすることもできる。捕獲されたパケットがLMA830にとって興味のあるものでない場合(宛先アドレスは転送されたエントリと同じではない)、パケットはLMA831へとルーティングされる。このことは当業者であれば容易に理解し得ることである。
MN810がCN850にてMIPv6登録を行ったものとする。CN850は、MN810にデータ・パケットを送信し、宛先アドレスを、LMA831のプレフィックスから導出した値に設定する。LMA830は、このデータ・パケットを捕獲し、MAG820へのトンネルにカプセル化する。MAG820は、このデータ・パケットをデカプセル化し、MN810へパケットを転送する。固定NetLMMリンクを介してLMA831及びLMA830に作成した二重エントリにより、ロードバランスを保つことができ、また、LMA831は膨大な量のデータ・パケットに対してトンネリングを行う必要がなく、その結果処理負荷を軽減することができるということを理解することは重要である。LMA831−LMA830間の転送後のデータ・パケット・ルーティング・パスは、図8の873にて示される。
図8では、NetLMMドメインはプロキシMIPv6ドメインであってもよく、LMAはプロキシ・ホーム・エージェントであってもよく、MAGはPMAであってもよい。本実施形態のそのようなLMA間転送は、同様の目的で(PHA間のロードバランス)、プロキシMIPv6ドメインでのプロキシ・ホーム・エージェント間転送にも適用可能であることは容易に理解し得る。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、重要性の高いデータの転送の信頼性を上げる目的で、NetLMM固定リンクを介して、複数のLMAにおいて二重登録が行われている。この二重登録は、バイキャスティング目的で行われ、NetLMMドメインの固定リンクが輻輳している場合、バイキャスティングは重要なデータの転送に欠かせないものであることは当業者にも十分理解されるであろう。このことは図9を参照してさらに詳しく説明する。図9では、MN910がMAG920に接続され、MAG920が固定リンク960を介してLMA930及びLMA931に直接接続されている。MN910は、CN950とデータ通信セッション中であり、このデータ情報は非常に重要であり、パケット・ロスは最小限で、データ配信がタイムリーであることが必須であることとする。
このようなシナリオでも、MAG920はLMA930のプレフィックスをRA970で送信する。さらに、MAG920は、LMA930にてローカル登録を行い、これが図9のメッセージ971にて示されている。信頼性のためにMN910に関連する内容をLMA931に転送する必要があるといったいくつかのヒントは(971を介して)LMA930に転送され、それによりデータ・トラフィックのバイキャスティングが達成される。LMA930は、そのような転送又は二重登録を行い、これがメッセージ972により示される。LMA930は、バイキャスティングを実現可能なように、LMA931への転送後もエントリを保持する。
CN950がデータ・パケットをMN910に送信すると、このデータ・パケットは、ルーティング階層の上部にあるため、若しくは、パケットを得るため経路を投入したため、最初にLMA931に到達する。いずれの場合も、LMA931はパケットを複製し、そのパケットをLMA930へさらにルーティングする。続いて、データ・パケットの一つのバージョンはLMA931からMAG920へとトンネリングされ、LMA930に送信された他のバージョンは、LMA930からMAG920へとトンネリングされる。このバイキャスティングは、図9の975及び974に示されている。MAG920はトンネリングされたパケットをデカプセル化し、それをさらに976を介してMN910へとルーティングし、そこでパケットはMN910により処理される。
本発明のさらに別の好適な実施形態では、NetLMMドメインに固定リンクの不具合がある場合でもデータ・パケットを取得する目的で、二重登録が複数のLMAで行われる。図10にこの方法を示し、本実施形態でさらに詳しく説明する。図10では、MN1010は、MAG1020に接続され、MAG1020は、固定リンク1061、1062それぞれを介してLMA1030、LMA1031に接続される。NetLMMドメイン1041には、LMA1030、LMA1031、LMA1032の3つのLMAがある。これらのLMAは固定リンク1060により相互に接続されている。
MAG1020は、RA1070でLMA1030のプレフィックスを送信し、MN1010は、LMA1030のプレフィックスを使って気付アドレスを設定する。続いて、MAG1020は、LMA1030でMN1010の代わりにローカル登録を行う。しばらくしてから、MAG1020は(リンクの断絶若しくは輻輳により)リンク1061からのパケットの取得を停止する。MAGは、そのRA内のLMA1030のプレフィックスを使用し続けることを判断するが、LMA1031を介してLMA1030にてローカル登録を行う。MAG1020は、リンク1061が断絶又は輻輳状態にあるといったヒントをL2から取得し、この別の方法を使うことを決定してもよい。LMA1030へのローカル登録は、LMA1031を介してトンネリングされ、これが図10のメッセージ1071に示されている。LMA1031は、このローカル登録メッセージにデトンネリングを行い、好ましくは、登録パラメータのコピーを取った上で、LMA1030へメッセージをルーティングする。さらにルーティングされたメッセージは、図10の1072に示されている。LMA1030は、転送されたエントリに対しDADを実行し、ローカルACKをLMA1031へ送信することができ、LMA1031はこれをMAG1020に転送する。このメッセージは、MAG1020へ送信されるようLMA1031にトンネリングされる、若しくは、ACKの内容がLMA1031に送信され、LMA1031はローカルACKを設定する。上記処理を行う方法は数多くあり、当業者であれば容易に想到しうる。二重登録は、両方のLMA(LMA1030及びLMA1031)にて行われる。将来的には、エントリの更新の際、LMA1031はLMA1030に要求する必要がなくなり、ただ単に、LMA1030の代わりにACKを送信すればよい。
本実施形態では、LMA1030は、過負荷状態ではないものとされるので、CN1050から送信されてくるデータ・パケットを受信し続けることができる。さらに、LMA1031は、LMA1030のプレフィックスから導出したパケットを捕獲するために経路を投入する必要がないものとする。
さらに、MN1010は、CN1050にてRR及びMIPv6登録を行うものとする。データ・パケットはLMA1030に到達し、このメッセージが図10の1073に示されている。LMA1030は、LMA1031への次のホップを設定し、データ・パケットをトンネリングする。このメッセージは1074により示される。LMA1031は、デトンネリングを行い、パケットをMAG1020へ送信する。LMA1031は、MN1010に対応するエントリを持っているので、そのBCエントリをパケットのトンネリングに利用することができるということは容易に理解し得る。従って、リンクが断絶又は輻輳状態であっても、二重エントリを維持することで、MN1010はパケットを受信し続けることができる。
以上、本発明を最も実用的で好適と思われる実施形態で説明したが、当業者であれば、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、設計の詳細及びパラメータに種々の変更がなし得ることを理解することができるだろう。例えば、本発明は、ネスト状態の移動ネットワークにおいて使用される経路最適化メカニズムとしてAROスキームを採用している。本発明は、何らかの方法で移動ルータのアドレスを利用して経路最適化を達成するものなど、他の経路最適化メカニズムにも適用可能であることは当業者により理解されるであろう。また、本発明は、ローカル・モビリティ管理プロトコルとして、HMIPv6を採用している。本発明は、その他のローカル・モビリティ管理プロトコルにも適用可能であることは当業者により理解されるであろう。さらに、本発明では、MAPを含むローカル・モビリティ管理ドメイン、複数のLMAを含むNetLMMドメイン、複数のプロキシ・ホーム・エージェントを含むプロキシ・モバイルIPv6ドメインにおけるローミングについて論じている。本発明は、異なるタイプのモビリティ管理アンカーから成る他のローカル・モビリティ管理ドメインにも適用可能であることは当業者により理解されるであろう。
本発明は、AROやHMIPv6が混在する環境下でも有用な機構を提供することができるという利点を有し、パケット交換通信の分野に適用可能である。
Claims (4)
- VMN、MR,MAP、HA、CNを含む通信ノードのシステムであって、
前記VMN及びMRは、AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装しており、
ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、前記MAPには、前記VMN、MRと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されており、
ネスト状態のNEMO内のMRは、それが接続されているMAPに関係なく、ネスト状態のNEMOツリーパス内のその下流のMR及びVMNのMAPにて登録を行うシステム。 - VMN、MR,MAP、HA、CNを含む通信ノードのシステムであって、
前記VMN及びMRは、AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装しており、
ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、前記MAPには、前記VMN、MRと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されており、
ネスト状態のNEMO内のMRは、そのネスト状態のNEMOツリーパス内のMN及びMRが利用可能なすべてのMAPオプションに関する情報を有しており、そのローカル・バインディング・アップデート内のその他のMAPアドレスを、選択したMAPに添付するシステム。 - AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装した移動ルータであって、
ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、前記MAPには前記移動ルータと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されているネットワークに接続可能な上流ネットワーク・インターフェースと、
ネスト状態のNEMOツリーパス内の、AROといくつかのHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装した下流のMR及びVMNに接続可能な下流ネットワーク・インターフェースと、
前記移動ルータが接続されているMAPに関係なく、ネスト状態のNEMOツリーパス内における自身の下流のMR及びVMNのMAPにて登録を行う登録部とを具備する移動ルータ。 - AROとあるHMIPv6のRO対応プロトコルとを実装した移動ルータであって、
ローカル・モビリティ管理ドメイン・アーキテクチャ内に複数のMAPが存在し、前記MAPには前記移動ルータと同様に、あるHMIPv6のRO機能が実装されているネットワークに接続可能な上流ネットワーク・インターフェースと、
そのネスト状態のNEMOツリーパスが利用可能なすべてのMAPオプションに関する情報を記憶する情報記憶部と、
そのローカル・バインディング・アップデート内のその他のMAPアドレスを、選択したMAPに添付する情報添付部とを具備する移動ルータ。
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