JPWO2008132780A1 - オーバレイネットワークノード及びモバイルノード並びにモバイルルータ - Google Patents

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Abstract

経路最適化の確立処理に係る冗長なシグナリングの発生を抑える技術が開示される。ネットワーク上にオーバレイネットワークが形成されており、pHA(プロキシホームエージェント)124によってホームエージェントのオーバレイネットワークサービスが提供されており、MR(モバイルルータ)130及びそのモバイルネットワークに接続されているVMN(訪問モバイルノード)140が共に、このオーバレイネットワークサービスに加入している。このとき、例えばMRがVMNのホームエージェントへの経路最適化処理を行おうとした場合には、pHAは、VMNにホームエージェントをMRのホームエージェントに変更するように通知する変更HAメッセージ216、218を送信する。VMNが、ホームエージェントをMRのホームエージェントに変更することによって、MRは、VMNのホームエージェントへの経路最適化処理が必要ないことを把握する。

Description

本発明は、IP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワークなどのパケット交換型データ通信ネットワークを抽象化するオーバレイネットワーク(overlay network)のノードとして機能するオーバレイネットワークノードに関する。
現在、多数のデバイスが、インターネットプロトコルを使用して、互いに通信を行っている。モバイル機器にモビリティサポートを提供するために、IETF(Internet Engineering Task Force)では、下記の非特許文献1において、IPv6におけるモビリティサポートが規定されている。モバイルIPでは、各モバイルノードは、不変のホームドメインを持っている。モバイルノードが、自身のホームネットワークに接続している場合、モバイルノードには、ホームアドレス(HoA:Home Address)として知られるプライマリグローバルアドレスが割り当てられる。一方、モバイルノードがホームネットワークから離れている場合、すなわち、他のフォーリンネットワークに接続している場合には、通常、モバイルノードには、気付アドレス(CoA:Care-of Address)として知られる一時的なグローバルアドレスが割り当てられる。モビリティサポートの考えは、モバイルノードが他のフォーリンネットワークに接続している場合でも、自身のホームアドレスで、そのモバイルノードまで到達可能となるようにするものである。
このような考えは、非特許文献1において、ホームエージェント(HA:Home Agent)と呼ばれるエンティティを、ホームネットワークに導入することによって実践されている。モバイルノードは、バインディングアップデート(BU:Binding Update)と呼ばれるメッセージを使用して、ホームエージェントへの気付アドレスの登録を行う。これにより、ホームエージェントは、モバイルノードのホームアドレスと気付アドレスとの間のバインディングを生成することが可能となる。ホームエージェントは、モバイルノードのホームアドレスに向けられたメッセージを受信(intercept)し、パケットのカプセル化(あるパケットを新たなパケットのペイロードとすることであり、パケットトンネリングとしても知られている)を用いて、そのパケットをモバイルノードの気付アドレスに転送する機能を担っている。
一方、無線デバイスの台数の増加はさらに加速しており、モビリティ技術において、新たな技術分野(class)が現れるであろうことが予想される。その1つが、ノードを含むネットワーク全体が、そのまま接続ポイントを変えるネットワークモビリティである。これは、個々のホスト用のモビリティサポートの概念を、ノードを含むネットワーク用のモビリティサポートに拡張した場合に、移動を行うネットワークに係る解決策として、モバイルネットワークがインターネットに対してどの接続ポイントで接続している場合でも、プライマリグローバルアドレスでモバイルネットワーク内のノードに到達可能とすることができる機構の提供を目的としている。
IETFでは、下記の非特許文献2に、ネットワークモビリティについて言及されている。この非特許文献2では、モバイルルータがホームエージェントに対してBUを送信する際に、モバイルルータによって、モバイルネットワーク内のノードが使用しているネットワークプリフィックスが指定される。このネットワークプリフィックスは、BUに挿入されるネットワークプリフィックスオプションとして知られる特別なオプションを使用して指定される。これにより、ホームエージェントは、プリフィックスに基づくルーティングテーブルを構築し、その結果、ホームエージェントは、こうしたプリフィックスを有する送信先に送信されるパケットを、モバイルルータの気付アドレスに転送することが可能となる。
この技術は、モビリティサポートを提供する単純かつ的確な方法の1つであるが、モバイルノードで送受信されるパケットはホームエージェントを通過しなければならず、冗長な経路をたどり、パケット伝送の遅延を引き起こす可能性がある。さらに、モバイルネットワークが別のモバイルネットワークの背後に存在しておりネスト状態の場合には、パケットは複数回のカプセル化を受けるとともに、所望のあて先に到達するまでに複数のホームエージェントを経由しなければならない。
このような事態に対処するため、関連する技術分野において、例えばネスト状態のトンネルの最適化を行うための様々な提案が行われている。
特に、下記の特許文献1や下記の特許文献2には、アクセスルータオプションの開放として知られている解決方法が提案されている。ここでは、モバイルIPv6で規定されるモビリティヘッダに新たなオプションが定義される。
アクセスルータオプションと呼ばれるこの新しいオプションは、送信者(すなわち、モバイルルータ又はモバイルホスト)から受信者(ホームエージェント又はコレスポンデントノード)に対して、送信者が接続されているアクセスルータのプライマリグローバルアドレスを通知するために用いられる。
アクセスルータオプションがセットされたバインディングアップデートメッセージを送信した後、モバイルノードは、特別な信号(“ダイレクト転送要求”信号と呼ばれる)を、モバイルノードが送信するデータパケットに挿入することが可能である。この信号によって、上流のモバイルアクセスルータは、そのあて先に対して、自身のバインディングアップデートを送信する。この処理は、最上位のモバイルアクセスルータに到達するまで繰り返し行われる。
そして、上流のモバイルアクセスルータすべてがバインディングアップデートをそのあて先ノードに送信することで、あて先ノードは、モバイルノードが接続されているモバイルアクセスルータの繋がり(ネスト状態)の情報を取得できるようになる。また、タイプ2の拡張ルーティングヘッダによって、この情報を利用することができる。この場合には、あて先ノードがモバイルノードにパケットを返送しようとしている場合に、あて先ノードがパケットにルーティングヘッダを埋め込むことで、パケットは一連のモバイルアクセスルータの繋がりを経由して(各ホームエージェントを経由せずに)モバイルノードに直接転送される。
また、例えば、下記の非特許文献3や下記の特許文献3には、ネットワークエレメントによる別の形式の経路最適化が提供されている。これに関しては、図1Aを参照しながら説明する。
図1Aには、インターネットなどのグローバル通信ネットワーク10にオーバレイネットワーク110が配置された場合の一例が図示されている。オーバレイネットワーク110は、ホームエージェント(HA:Home Agent)120と、プロキシホームエージェント(pHA:proxy Home Agent)122、124、126、128により構成されている。また、pHA122、124、126の近くには、それぞれアクセスネットワーク12、14、16が存在している。また、モバイルノード(MN:Mobile Node)135は、そのホームエージェント及びホームネットワークがHA120及びホームネットワーク100であり、グローバル通信ネットワーク10を移動するモバイルノードである。
ここで、MN135がコレスポンデントノード(CN:Correspondent Node)30と通信を行っていると仮定する。NEMOベーシックサポートによって、MN135からCN30に送信されるパケットはカプセル化され、まず経路40を経由してMR130に送られる。このとき、MR130は、パケットのカプセル化を行い、経路42に示されているように、HA120にパケットをトンネルする。HA120は、パケットのデカプセル化を行い、経路44を経由して実際のデータパケット(インナパケット)をCN30に転送する。HA120に対するモバイルネットワーク102及びCN30の相対的な位置に依存するが、パケットの伝送経路は、MN135とCN30との間の最短パスよりもかなり長くなり、その結果、パケット伝送に大きな遅延が生じることになる。
グローバルなホームエージェントのオーバレイネットワークでは、グローバル通信ネットワーク10上にホームエージェント及びプロキシホームエージェントのシステムが配置される。ホームネットワークの外部にモバイルネットワークが移動する場合には、そのモバイルネットワークを管理するモバイルルータの最も近くに存在するプロキシホームエージェントが割り当てられる。そして、モバイルネットワークによって送受信されるパケットは、オーバレイネットワークにおいて、送信元(モバイルネットワークノード)及びあて先(このモバイルネットワークノードが通信を行っているコレスポンデントノード)のそれぞれの最も近くに存在する2つのプロキシホームエージェント間で転送される。
図1Aに図示されている例を使用すると、MR130がアクセスネットワーク14に接続されている場合には、pHA124がプロキシホームエージェントとして機能する。すなわち、バインディングアップデート情報やカプセル化されたデータパケットはpHA124に伝送され、HA120に代わってpHA124で処理される。
例えばMN135がCN30にデータパケットを送信する場合、MR130は、パケットをカプセル化してpHA124に送信する(経路50)。pHA124はデカプセル化を行った後、あて先(すなわち、CN30)がオーバレイネットワーク110のpHA122の最も近くに存在していることを特定する。そして、データパケットは経路52を経由してpHA122に転送される。なお、この転送は、例えばpHA122とpHA124との間のトンネルを経由して行われる。pHA122は、経路54を経由してCN30にパケットを転送する。
オーバレイネットワーク110を使用しない経路(経路42、44)とオーバレイネットワーク110を使用した経路(経路50、52、54)とを比較すれば分かるように、グローバルなホームエージェントのオーバレイネットワーク110を使用した場合には、より短いパケット伝送パスが実現される。このように、オーバレイネットワーク110には、モバイルノード又はコレスポンデントノードに透過的(トランスペアレント)に経路最適化が実現されるという利点がある。ネットワークによって提供される経路最適化は、例えば、下記の特許文献4や下記の特許文献5にも見られる。
特許文献4には、ネットワークベースの経路最適化方法が開示されている。この特許文献4に開示されている技術によれば、無線LAN又は3Gネットワーク(第3世代ネットワーク)を移動しているモバイルノードの実際の位置が、3G1Xシステムのモバイルスイッチングセンタにアップデートされる。これにより、モバイルスイッチングセンタは、モバイルノードにメッセージを送信する際には、モバイルノードのホームネットワークを経由する代わりに、モバイルノードの実際の位置に直接送信することが可能となる。
また、特許文献5には、モバイルIPv4環境で使用される方法が開示されている。この方法では、パケットは、モバイルノードのホームエージェントを経由する代わりに、モバイルノードが接続しているフォーリンエージェントに直接発送される。
さらに、下記の特許文献6には、あるホームエージェントが別のホームエージェントにバインディングアップデートを送信するためのホームエージェント同期化方法が開示されている。
なお、このようなオーバレイネットワークは、モバイルルータに対してだけではなく、モバイルホストに対しても同様に経路最適化を提供できることは明らかである。例えば図1Aにおいて、モバイルネットワーク102内の訪問モバイルノード(VMN:Visiting Mobile Node)140が、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110に加入することも可能である。
国際公開公報WO2004/036841 国際公開公報WO2005/094015 国際公開公報WO2006/064960 米国特許公開2005/0276273A1 国際公開公報WO2000/054523 国際公開公報WO2006/068439 Johnson, D. B., Perkins, C. E., and Arkko, J., "Mobility Support in IPv6", Internet Engineering Task Force Request For Comments 3775, June 2004. Devarapalli, V., et. al., "NEMO Basic Support Protocol", Internet Engineering Task Force Request For Comments 3963, January 2005. Thubert, P., et al. "Global HA to HA protocol", Internet Draft: draft-thubert-nemo-global-haha-02.txt, September 28, 2006.
しかしながら、例えば図1Aにおいて、モバイルルータ(MR)130とVMN140の両方がホームエージェントのオーバレイネットワーク110に加入しており、モバイルルータ(MR)130及びVMN140が両方共、ネスト状態のトンネルを最適化する経路最適化処理を試みた場合には、無駄なシグナリングが発生する可能性がある。この問題に関して、以下、図1Bを参照しながら説明する。
図1Bには、VMN140及びMR130がネスト状態の経路最適化を使用している一方、これらのノードに対してネットワークベースの経路最適化が透過的に提供されている場合のメッセージのシーケンスチャートが図示されている。
図1Bにおいて、まず、MR130はBUメッセージ60をホームエージェント(MR130のホームエージェント)に送信する。MR130は、アクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124は、MR130に関するホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
次に、VMN140はBUメッセージ70をホームエージェント(VMN140のホームエージェント)に送信する。MR130は、このメッセージをカプセル化してトンネルパケット72によってトンネルする。そして、MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124が、このトンネルパケットをデカプセル化し、VMN140から送信されたBUメッセージ70を見つける。ここで、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であり、pHA124は、VMN140に関してもVMN140のホームエージェントとしての役割を引き受ける。その結果、pHA124において、VMN140からのBUメッセージの処理が行われる。
ここで、MR130が、BUメッセージ70をトンネルによって転送する際に、BUメッセージ70に記載されているあて先との間で経路最適化を行うことを決定したとする。このとき、MR130は、BUメッセージ70のあて先(VMN140のホームエージェント)とリターンルータビリティ(RR:Return Routability)処理74を開始する。そして、この処理の後、VMN140のホームエージェントにBUメッセージ76が送信される。この処理が成功すると、MR130は、そのあて先(VMN140のホームエージェント)をバインディングアップデートリストに記載し、MR130は、あて先にバインディング情報を送信する処理を行う。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間80が経過した後には、MR130は、バインディングアップデートリスト内に記載されているノードにアップデートを行う必要がある。その結果、MR130はBUメッセージ82を自身のホームエージェントに送信する。この場合、MR130のホームエージェントとしての役割を引き受けるpHA(接続ポイントを移動しなかった場合には、pHA124)が、このパケットの受信(intercept)及び処理を行う。さらに、MR130は、リターンルータビリティ処理84を開始し、BUメッセージ86をVMN140のホームエージェントに送信する。
以上の動作において、VMN140はMR130と同一のホームエージェントのオーバレイネットワークに加入しているので、リターンルータビリティ処理74、84や、BUメッセージ76、86において冗長なシグナリングが発生しているという問題がある。これは、MR130(場合によってはVMN140)が同一の効果を奏するBUメッセージ60、70の送信(オーバレイネットワーク110に対して、モバイルネットワーク102とMR130の気付アドレスとのバインディングを通知)を行っていることによる。
上記の問題に鑑み、本発明は、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノード(VMN:訪問モバイルノード)もオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のオーバレイネットワークノードは、所定のネットワークの上位に形成されているオーバレイネットワークに属しており、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに係る機能を有するオーバレイネットワークノードであって、
前記オーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータ又はモバイルノードを識別する手段と、
前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルルータのモバイルネットワークに、前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルノードが接続されている状態を検出し、前記モバイルルータから経路最適化処理に係るメッセージを受信した場合には、前記モバイルルータからの経路最適化処理に係るメッセージの送信を抑えるための通知メッセージを、前記モバイルルータ又は前記モバイルノードに送信するメッセージ送信手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段が、前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する前記通知メッセージを前記モバイルノードに送信するように構成されている。
この構成により、経路終端ノードをモバイルルータからネットワーク上のノードに移し、モバイルルータにおける冗長な経路最適化に係るシグナリングが発生しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記所定のホームエージェントが前記モバイルルータのホームエージェントである。
この構成により、モバイルルータのホームエージェントとモバイルノードのホームエージェントとを同一とすることで、モバイルルータによる冗長な経路最適化に係るシグナリングが発生しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信後、前記モバイルルータから前記モバイルノードの変更前のホームエージェントへの経路最適化処理に係るメッセージを破棄する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルノードが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する。
この構成により、理解不可能なモバイルルータに対して、通知メッセージを送信しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段が、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する前記通知メッセージを前記モバイルルータに送信するように構成されている。
この構成により、経路終端ノードをモバイルルータからネットワーク上のノードに移し、モバイルルータにおける冗長な経路最適化シグナリング処理が行われないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記所定のノードが前記モバイルルータのホームエージェントである。
この構成により、モバイルルータのホームエージェントを経路終端ノードに指定することが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルルータが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する。
この構成により、理解不可能なモバイルルータに対して、通知メッセージを送信しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように前記モバイルノードに指示する処理、及び、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように前記モバイルルータに指示する処理のどちらを行うかを判断する手段を有する。
この構成により、任意の条件(例えば、モバイルノード及びモバイルルータのどちらが本発明に対応しているか)に基づいて、冗長なシグナリングを低減するための適切な処理を選択することが可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明のモバイルルータは、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータであって、
前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する通知メッセージを受信する手段と、
前記通信の経路を所定のノードに終端させるための処理を行う手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードの有効性を検証する手段を有する。
この構成により、通知された所定のノード(経路終端ノード)の有効性を検証することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードのアドレスを格納する手段を有する。
この構成により、通知された所定のノード(経路終端ノード)のアドレスを記憶することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードとの間に最適化経路が確立されているか否かを確認し、確立されていない場合には、最適化経路の確立処理を行う手段を有する。
この構成により、経路終端ノードとモバイルルータとの間の通信が最適化されるようになる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、自身のモバイルネットワークに接続されている特定のモバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨の通知を前記モバイルルータ又は前記特定のモバイルノードから受信する手段と、
自身が有するバインディングアップデートリストから、前記特定のモバイルノードに関する経路最適化の情報を削除する手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な最適化経路に関する処理を行わせないようにすることが可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明のモバイルノードは、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルノードであって、
前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、ホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する通知メッセージを受信する手段と、
前記所定のホームエージェントにホームエージェントを変更するための処理を行う手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のホームエージェントのアドレスを格納する手段を有する。
この構成により、通知された新たなホームエージェントのアドレスを記憶することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、所定の時間経過するまでは、変更前のホームエージェントにパケットを送信しないように制御する手段を有する。
この構成により、変更前のホームエージェントとの通信をなくし、他のノード(モバイルノードが接続されているモバイルルータ)のバインディングアップデートリストから、このホームエージェントのエントリを削除することで、冗長なシグナリングの発生を抑えることが可能となる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
本発明は、上記の構成を有しており、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減するという効果を有している。
従来の技術及び本発明の第1及び第2の実施の形態におけるネットワーク構成に一例を示す図 従来の技術において、ネットワークベースの経路最適化が行われる場合のメッセージのシーケンスチャート 本発明の第1の実施の形態におけるホームエージェント変更方法に関するメッセージのシーケンスチャート 本発明の第1の実施の形態における変更HAメッセージのフォーマットの一例を示す図 本発明の第1の実施の形態におけるVMNの好適な機能アーキテクチャを示す図 本発明の第2の実施の形態におけるコレスポンデントルータの方法に関するメッセージのシーケンスチャート 本発明の第2の実施の形態におけるUse−CRメッセージのフォーマットの一例を示す図 本発明の第2の実施の形態におけるMRの好適な機能アーキテクチャを示す図 本発明の第1及び第2の実施の形態に従って、プロキシホームエージェントが受信パケットを処理するために使用するアルゴリズムの一例を示すフローチャート
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
本発明によれば、モバイルルータと、このモバイルルータのモバイルネットワークに接続されているモバイルネットワークノードが両方共、同一のホームエージェントのオーバレイネットワークに加入している場合に、余分なシグナリングが発生するという問題が解決される。本発明では、この解決方法として2つの方法が提供される。
第1の方法(以下、ホームエージェント変更方法と呼ぶこともある)では、主としてモバイルネットワークノードが新たな機能を実装する必要があり、一方、第2の方法(以下、コレスポンデントルータの方法と呼ぶこともある)では、主としてモバイルルータが新たな機能を実装する必要がある。
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態において、ホームエージェント変更方法について説明する。このホームエージェント変更方法では、基本的に、ホームエージェントのオーバレイネットワークからモバイルネットワークノードに対して、モバイルネットワークノードに割り当てられているホームエージェントがモバイルルータと同一のホームエージェントに変更されたことが通知される。この結果、モバイルネットワークノード及びモバイルルータは、同一のホームエージェント(実際には、オーバレイネットワーク上の最も近くに位置するプロキシホームエージェント)と通信を行うことになる。
そして、モバイルルータは、モバイルネットワークノードの代わりに経路最適化を開始しようとした場合に、モバイルネットワークノードが自身のホームエージェント(モバイルルータのホームアドレスと気付アドレスとの間の現在のバインディングが既に通知されているホームエージェント)と通信を行っていることを発見する。これによって、モバイルルータは、モバイルネットワークノードの代わりに経路最適化の処理を行う必要がないことを把握し、経路最適化に係る余分なシグナリングメッセージが送信されることがなくなる。
以下、図2を参照しながら、本発明の第1の実施の形態における動作について説明する。なお、図2では、図1Aで示される構成を前提とする。すなわち、VMN140はMR130に接続されており、さらに、MR130はアクセスネットワーク14に接続されている。また、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110において、MR130及びVMN140のホームエージェントにはpHA124が透過的に割り当てられている。なお、オーバレイネットワーク110の任意のノード(例えば、pHA124)は、MR130やVMN140がホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であることを確認する必要があるが、この確認方法は本発明では特に限定されるものではなく、任意の確認方法を利用することが可能である。
図2には、本発明の第1の実施の形態におけるホームエージェント変更方法に関するメッセージのシーケンスチャートが図示されている。まず、MR130が、BUメッセージ60をそのホームエージェントに送信する。MR130はアクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124がMR130のホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
続いて、VMN140が、BUメッセージ210をそのホームエージェントに送信する。MR130はこのメッセージをトンネルパケット212でカプセル化する。MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124は、このトンネルパケット212を受信してデカプセル化を行う。このとき、pHA124は、デカプセル化された後のパケットがVMN140から送信されたBUメッセージ210であることが分かる。そして、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者である場合には、pHA124は、VMN140のホームエージェントとしての役割も引き受ける。その結果、pHA124は、VMN140からのBUメッセージ210の処理を行う。
ここで、MR130は、トンネルによってBUメッセージ210の転送を行った場合に、BUメッセージ210に記載されているあて先アドレスとの間で経路最適化を開始する決定を行うかもしれない。このように経路最適化の確立処理を開始した状態は、図2においては、BUメッセージ210のあて先との間におけるリターンルータビリティ処理(RR処理)214として図示されている。
しかしながら、pHA124は、BUメッセージ210を受信した際に、VMN140がMR130のモバイルネットワークに存在していることを把握することが可能である。この場合、VMN140のホームエージェントは実質的にオーバレイネットワーク全体(pHA124を含む)であり、MR130がBUメッセージ210のあて先(VMN140のホームエージェント)との間におけるリターンルータビリティ処理を行う必要はない。したがって、例えば、pHA124は、本発明に係るホームエージェント変更方法を実行する。VMN140のホームエージェントの代理として動作しているpHA124は、VMN140に変更HA(Change−HA)メッセージ218を送信することが可能である。この変更HAメッセージは、まずMR130に送信されるトンネルパケット216によってカプセル化され、MR130でデカプセル化された後、VMN140に送信される。
変更HAメッセージ218は、VMN140に対して、そのホームエージェントをMR130のホームエージェントと同一のものに変更するように通知するものである。ここでは、pHA124がVMN140に対して変更HAメッセージ218の通知を行っているが、少なくとも変更HAメッセージ218の通知に関しては、オーバレイネットワーク上のどのノードが行ってもよい。この変更HAメッセージ218の通知を行うオーバレイネットワーク上のノードは、任意の方法によって動的又は静的に決定可能である。
なお、pHA124は、変更HAメッセージ218の送信前に、VMN140がこの変更HAメッセージを理解できるか(すなわち、本発明に係る機能を有するMNか)を確認し、理解可能なVMN140に対してのみ変更HAメッセージ218を送信することが望ましい。また、例えば、VMN140が本発明に係る機能を有していない場合には、pHA124は、MR130が本発明に係る機能を有しているか否かを判断し、MR130が本発明に係る機能を有している場合には、後述のコレスポンデントルータの方法の実行に切り換えるようにしてもよい。
VMN140はこの変更HAメッセージ218を受信すると、変更HAメッセージ218によって通知された新たなホームエージェント(MR130のホームエージェント)に新たなBUメッセージ220を送信する。
MR130は、さらにトンネルパケット222によってBUメッセージ220を自身のホームエージェントあてに転送する。なお、BUメッセージ220のあて先アドレスフィールドに、MR130のバインディングアップデートリストの中に既に存在しているMR130のホームエージェントが記載されている場合には、MR130とMR10自身のホームエージェントとの間の経路最適化は既に確立されているので、MR130は経路最適化を開始する必要はない。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間230が経過した後には、MR130は、バインディングアップデートリストに記載されているすべてのノードに対して、新たなバインディングアップデートメッセージを送信する必要がある。なお、ここでは、MR130のバインディングアップデートリストの中には、1つのノード(MR130のホームエージェント)のみが存在しているとする。このとき、MR130は、MR130のバインディングアップデートリストに記載されているMR130のホームエージェントに1つのBUメッセージ232を送信すればよい。このBUメッセージ232は、pHA124(あるいは、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110によってMR130に割り当てられる任意のプロキシホームエージェント)によって、透過的(トランスペアレント)に処理される。
なお、図2において、VMN140から送信された最初のBUメッセージ210を受信した時点で、MR130は、BUメッセージ210のあて先(VMN140のホームエージェント)との間で経路最適化の開始を試みる可能性もある。この経路最適化が成功すると、MR130のバインディングアップデートリストには、VMN140のホームエージェントが追加されることになる。この経路最適化処理が行われると、MR130は、移動するたびに、あるいはバインディングをリフレッシュする必要があるたびに、VMN140のホームエージェントにBUメッセージの送信を行わなければならず、その結果、冗長なシグナリングが発生することになる。
上記のように、MR130のバインディングアップデートリストにVMN140のホームエージェントが登録された場合に発生し得る冗長なシグナリングに対処可能な方法として、例えば下記の2つの対処方法が存在する。
第1に、変更HAメッセージ218を受信した後には、VMN140は、パケットをそのオリジナルのホームエージェントに送信しないようにする。これにより、VMN140のホームエージェントとの通信が行われずに一定時間が経過した後、MR130は、VMN140のオリジナルのホームエージェントとの間における経路最適化セッションは必要なくなったと判断して、バインディングアップデートリストからVMN140のホームエージェントを削除する。その結果、VMN140のホームエージェントがMR130のバインディングアップデートリストから削除され、冗長なシグナリングは発生しなくなる。
第2に、pHA124は、オーバレイネットワーク110内のホームエージェントに送信されるすべてのメッセージを受信(intercept)して処理しているので、MR130からのリターンルータビリティのシグナリングの処理も行う。このとき、pHA124は、MR130がオーバレイネットワーク内のホームエージェントとの間で不必要な経路最適化を確立しようとしていることを推測することが可能である。そして、pHA124は、MR130がVMN140のホームエージェントとの間で行う経路最適化の要求を拒絶し、これによって、MR130がVMN140のホームエージェントをバインディングアップデートリストに追加しないようになる。
なお、上記の対処方法以外に、MR130が、自身のバインディングアップデートリストに登録されているVMN140のホームエージェントを積極的に削除できるようにしてもよい。この場合には、MR130は、例えばpHA124やVMN140から、バインディングアップデートリスト内のVMN140に関するエントリが不要である旨(VMN140による通信の経路最適化は不要である旨)の通知を受け、この通知に基づいてVMN140に関するエントリを削除するように構成される。なお、バインディングアップデートリスト内のVMN140に関するエントリが不要である旨の通知は、例えば、pHA124やその他のオーバレイネットワークノードから行われてもよく、あるいは、ホームエージェントを変更したVMN140から行われてもよい。なお、この通知は、pHA124やその他のオーバレイネットワークノードからMR130に対して送信されるUse−CRメッセージ(後述)を利用して行われてもよい。また、MR130は、BUメッセージ220、222の転送時に、BUメッセージ220のあて先(MR130のホームエージェント)を認識して、バインディングアップデートリスト内のVMN140のエントリ(VMN140のホームエージェントを含む)が不要であることを把握し、このエントリを削除してもよい。
また、図3には、本発明の第1の実施の形態における変更HAメッセージのフォーマット300の一例が図示されている。図3において、送信元アドレスフィールド302には送信者のアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド304には受信者のアドレスが含まれる。
また、ここでは、変更HAメッセージにモビリティメッセージを使用しているが、任意の形式のメッセージヘッダを変更HAメッセージに使用することが可能である。モビリティメッセージの場合、変更HAメッセージのフォーマット300にはモビリティヘッダ320が含まれている。
タイプフィールド322には、このメッセージが変更HAメッセージであることが示され、長さフィールド324には、モビリティヘッダ320のサイズが示されている。また、モビリティヘッダ320内にはHAアドレスフィールド326が存在する。このHAアドレスフィールド326は、受信者に対して変更を要求する新たなホームエージェントのアドレスが含まれている。
図2に図示されている例の場合には、変更HAメッセージ218の内容は、送信元アドレスフィールド302にVMN140のホームエージェントのアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド304にVMN140の気付アドレスが含まれ、HAアドレスフィールド326にMR130のホームエージェントのアドレスが含まれる。なお、変更HAメッセージのフォーマット300には他のフィールドも存在し得るが、ここでは、説明を簡潔にするためにその他のフィールドに関しては図示省略する。なお、メッセージ内のその他のフィールドとしては、例えば、ホームアドレスあて先オプションや、フローラベルなどの通常のIPv6ヘッダフィールド、暗号化ヘッダフィールドなどが挙げられる。
上述のように、ホームエージェント変更方法では、VMN140は、変更HAメッセージを理解する必要があり、新たな機能を実装する必要がある。さらに、VMN140は、VMN140のオリジナルのホームエージェントやVMN140のホームアドレスとは同一のプレフィックスを共有しないアドレスのホームエージェントに変更できる必要がある。なお、VMN140の新たなホームエージェントはMR130のホームエージェントと同一のアドレスであり、VMN140のオリジナルのホームエージェントやVMN140自身のアドレスとはアドレスプレフィックスが異なる可能性が高い。
図4には、本発明の第1の実施の形態におけるVMN140の好適な機能アーキテクチャ400が図示されている。
VMN140は、パケットの送受信を行うための1つ又は複数のネットワークインタフェース410、パケットの発送方法や転送方法を決定するルーティング決定部420、パケットの発送方法や転送方法に関する情報を含むルーティングテーブル425、例えばモバイルIPv6などのモビリティ管理機能を実装するモビリティ管理モジュール430を有している。
ネットワークインタフェース410は、このノードが任意の通信媒体を介して別のノードと通信するために必要なすべてのハードウェア及びソフトウェアを包含する機能ブロックである。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いた場合、ネットワークインタフェース410は、レイヤ1(物理層)とレイヤ2(データリンク層)の通信コンポーネント、ファームウェア、ドライバ、及び通信プロトコルを表している。なお、VMN140の機能アーキテクチャ400において、1つ以上のネットワークインタフェース410が設けられていてもよい。
また、ルーティング決定部420は、パケットの発送方法に関するあらゆる決定を行う機能を有している。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いると、ルーティング決定部420は、例えば、IPv4やIPv6などのようなレイヤ3(ネットワーク層)プロトコルの実装を表している。
また、ルーティングテーブル425には、ルーティング決定部420が決定処理を行う際に参照する、パケットのルーティングを定めるルールが含まれている。なお、ルーティングテーブル425には、ルーティングエントリのリストが含まれており、各ルーティングエントリには、次ホップノードのアドレス、及び/又は、発送されるパケットに存在するあて先アドレス、送信元アドレス、その他の情報などに基づいて定められたパケットを渡す対象となるネットワークインタフェース410などが記載されている。
また、シグナル/データパス452を通じて、ルーティング決定部420は、ルーティングテーブル425のエントリをアップデートするとともに、ルーティングテーブル425からエントリを抽出することが可能である。また、シグナル/データパス450を通じて、ルーティング決定部420は、適切なネットワークインタフェース410との間でパケットの送受信を行うことが可能である。
また、モビリティ管理モジュール430は、モバイルノードにおけるモバイルIPv6の機能を実現する。このモビリティ管理機能には、ホームエージェント及び/又はコレスポンデントノードへのバインディングアップデートメッセージの送信、気付アドレスとホームアドレスの管理、ホームアドレスを用いたホームエージェントへのパケットの転送、ホームエージェントからのトンネルパケットの受信などが含まれる。
また、モビリティ管理モジュール430には、バインディングアップデートリスト435が含まれている。このバインディングアップデートリスト435には、モバイルノードのホームアドレスと気付アドレスとのマッピングが通知されているすべてのノードが記録される。
また、モビリティ管理モジュール430は、現在のホームエージェントのアドレスを格納するための新たなメモリ格納部であるホームエージェントアドレス433を有している。なお、モバイルノードは、有効な変更HAメッセージを受信するたびに、ホームエージェントアドレス433の内容をアップデートする必要がある。
また、シグナルパス454を通じて、ルーティング決定部420とモビリティ管理モジュール430との間でパケットの伝送が行われる。
また、シグナルパス456を通じて、モビリティ管理モジュール430は、ルーティングテーブル425内に格納されているルーティング情報のアップデートや検索を行うことが可能である。例えば、モビリティ管理モジュール430がコレスポンデントノード又はホームエージェントへのバインディングアップデートメッセージの送信に成功した場合、以降、コレスポンデントノード又はホームエージェントへ送信されるパケットは、送信元としてモバイルノードの気付アドレスが使用されてトンネルインタフェースを通じて発送されるように、ルーティングテーブル425に経路が導入される必要がある。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態において、コレスポンデントルータの方法について説明する。このコレスポンデントルータの方法では、基本的に、モバイルネットワークノードのホームエージェントに代わって、モバイルルータに割り当てられるホームエージェントのオーバレイネットワークのプロキシホームエージェントがコレスポンデントルータとして機能する。
すなわち、モバイルルータのプロキシホームエージェントは、モバイルルータの背後に存在するモバイルネットワークノードのホームエージェントに代わって、経路最適化セッションを終端することをモバイルルータに対して通知する。この結果、基本的に、モバイルルータは、モバイルネットワークノードのホームエージェントとの間で経路最適化を開始しようとする場合は、プロキシホームエージェントと経路最適化を確立することになる。
プロキシホームエージェントはモバイルルータのホームエージェントとして動作し、常にモバイルルータの気付アドレスとホームアドレスとの間のバインディングの通知を受けているので、モバイルルータとプロキシホームエージェントとの間で新たなシグナリングが行われる必要はない。
以下、図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態における動作について説明する。なお、図5では、図1Aで示される構成を前提とする。すなわち、VMN140はMR130に接続されており、さらに、MR130はアクセスネットワーク14に接続されている。また、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110において、MR130及びVMN140のホームエージェントにはpHA124が透過的に割り当てられている。なお、オーバレイネットワーク110の任意のノード(例えば、pHA124)は、VMN140がホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であることを確認する必要があるが、この確認方法は本発明では特に限定されるものではなく、任意の確認方法を利用することが可能である。
図5には、本発明の第2の実施の形態におけるコレスポンデントルータの方法に関するメッセージのシーケンスチャートが例示されている。まず、MR130がBUメッセージ60をそのホームエージェントに送信する。MR130はアクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124がMR130のホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
続いて、VMN140が、BUメッセージ510をそのホームエージェントに送信する。MR130はこのメッセージをトンネルパケット512でカプセル化する。MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124は、このトンネルパケット512を受信したデカプセル化を行う。このとき、pHA124は、デカプセル化された後のパケットがVMN140から送信されたBUメッセージ510であることが分かる。そして、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者である場合には、pHA124は、VMN140のホームエージェントとしての役割も引き受ける。その結果、pHA124は、VMN140からのBUメッセージ510の処理を行う。
ここで、MR130は、トンネルによってBUメッセージ510の転送を行った場合に、BUメッセージ510に記載されているあて先アドレスとの間で経路最適化を開始する決定を行うかもしれない。この処理は、BUメッセージ510のあて先との間におけるイニット(Init)RRメッセージ(RR開始メッセージ)メッセージ514として図示されている。
しかしながら、pHA124は、BUメッセージ510を受信したことで、VMN140がMR130のモバイルネットワーク内に存在していることを把握している。そしてこの場合、pHA124は、本発明に係るコレスポンデントルータの方法を使用して、モバイルルータが冗長なシグナリングを実行しないようにすることが可能となる。
VMN140のホームエージェントの代理として動作しているpHA124は、RR開始メッセージ514に対する応答としてMR130にUse−CRメッセージ516を送信することが可能である。このUse−CRメッセージ516は、MR130に対して、送信者(すなわち、VMN140のホームエージェント)との間で経路最適化を確立するために、受信者(すなわち、MR130)が、Use−CRメッセージ516に記載されているコレスポンデントルータを使用するように通知するものである。Use−CRメッセージ516に記載されるコレスポンデントルータは、例えばMR130のホームエージェントである。
また、MR130は、Use−CRメッセージ516を受信すると、オプションとして処理(CRテスト処理)518を行い、コレスポンデントルータの有効性のテストを行ってもよい。
なお、本発明は、MR130がコレスポンデントルータの有効性を検証する方法に関しては特に規定するものではなく、任意の検証方法を利用することが可能である。コレスポンデントルータの有効性を検証する好適な方法の1つとしては、例えば、MR130がVMN140のホームエージェントに対してセキュリティトークンを含むテストパケットを送信し、そのパケットを受信(intercept)してセキュリティトークンを使用した応答を行うことができる特定のコレスポンデントルータが現れるのを待つ方法が挙げられる。また、Use−CRメッセージ516に、特定のコレスポンデントルータが認証済みであることを検証できる認証者によってサインされた証明書が含まれていてもよい。
MR130は、特定のコレスポンデントルータ(すなわち、MR130のホームエージェント)が有効であることを把握すると、このコレスポンデントルータとの間で経路最適化セッションが既に確立されているか否かの確認を行う。例えば、コレスポンデントルータがMR130のホームエージェントである場合には、そのホームエージェントとの間における経路最適化はデフォルトで既に確立されている。したがって、MR130は、コレスポンデントルータとの間の経路最適化を確立するために更なるシグナリングを行う必要はない。一方、このコレスポンデントルータとの間で経路最適化セッションが確立されていない場合には、このコレスポンデントルータに対して経路最適化を確立するためのシグナリングを行うことが望ましい。
なお、pHA124は、Use−CRメッセージ516の送信前に、MR130がこのUse−CRメッセージを理解できるか(すなわち、本発明に係る機能を有するMRか)を確認し、理解可能なMR130に対してのみUse−CRメッセージ516を送信することが望ましい。また、本発明に係る機能を有さないMR130は、Use−CRメッセージ516の通知の有無にかかわらず、再度繰り返してRR開始メッセージ514を送信してRRシグナリングの実行を試みる可能性があるが、pHA124は、これらのRR開始メッセージ514を破棄することが望ましい。また、例えば、MR130が本発明に係る機能を有していない場合には、pHA124は、VMN140が本発明に係る機能を有しているか否かを判断し、VMN140が本発明に係る機能を有している場合には、上述のホームエージェント変更方法の実行に切り換えるようにしてもよい。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間530が経過した後には、新たなバインディングアップデートメッセージをバインディングアップデートリストに記載されているすべてのノードに送信する必要がある。なお、ここでは、MR130のバインディングアップデートリストの中には、1つのノード(MR130のホームエージェント)のみが存在しているとする。このとき、MR130は、MR130のバインディングアップデートリストに記載されているMR130のホームエージェントに1つのBUメッセージ532を送信すればよい。このBUメッセージ532は、pHA124(あるいは、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110によってMR130に割り当てられる任意のプロキシホームエージェント)によって、透過的(トランスペアレント)に処理される。
また、図6には、本発明の第2の実施の形態におけるUse−CRメッセージのフォーマット600の一例が図示されている。図6において、送信元アドレスフィールド602には送信者のアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド604には受信者のアドレスが含まれる。
また、ここでは、Use−CRメッセージにモビリティメッセージを使用しているが、任意の形式のメッセージヘッダをUse−CRメッセージに使用することが可能である。モビリティメッセージの場合、USE−CRメッセージのフォーマット600にはモビリティヘッダ620が含まれている。
タイプフィールド622には、このメッセージがUse−CRメッセージであることが示され、長さフィールド624には、モビリティヘッダ620のサイズが示されている。また、モビリティヘッダ620内にはCRアドレスフィールド626が存在する。このCRアドレスフィールド626は、Use−CRメッセージの受信者が、Use−CRメッセージの送信者との間における経路最適化を確立する際に使用すべきコレスポンデントルータのアドレスが含まれている。
図5に図示されている例の場合には、Use−CRメッセージ516の内容は、送信元アドレスフィールド602にVMN140のホームエージェントのアドレス、あて先アドレスフィールド604にMR130のアドレス、CRアドレスフィールド626にMR130のホームエージェントのアドレスが含まれる。
なお、MR130にとって、MR130のホームエージェントのアドレスは既知なので、例えば、Use−CRメッセージ516において、MR130のホームエージェントをCRとして利用するように通知するフラグを規定しておくことで、このフラグを有効にしたUse−CRメッセージ516によって、MR130のホームエージェントをCRとして利用するようにMR130に通知できるようにしてもよい。
なお、Use−CRメッセージのフォーマット600には他のフィールドも存在し得るが、ここでは、説明を簡潔にするためにその他のフィールドに関しては図示省略する。なお、メッセージ内のその他のフィールドとしては、例えば、ホームアドレスあて先オプションや、フローラベルなどの通常のIPv6ヘッダフィールド、カプセル化ヘッダフィールドなどが挙げられる。さらにモビリティヘッダ620には、例えば、コレスポンデントルータが代理として経路最適化セッションを終端することが可能なアドレスの範囲など、コレスポンデントルータに関する情報が含まれてもよい。
上述のように、コレスポンデントルータの方法では、MR130は、Use−CRメッセージを理解する必要があり、新たな機能を実装する必要がある。図7には、本発明の第2の実施の形態におけるMR130の好適な機能アーキテクチャが図示されている。
MR130は、パケットの送受信を行うための1つ又は複数のネットワークインタフェース、パケットの発送方法や転送方法を決定するルーティング決定部720、パケットの発送方法や転送方法に関する情報を含むルーティングテーブル725、例えばNEMOベーシックサポートなどのネットワークモビリティ管理機能を実装するネットワークモビリティ管理モジュール730を有している。
ネットワークインタフェース710は、このノードが任意の通信媒体を介して別のノードと通信するために必要なすべてのハードウェア及びソフトウェアを包含する機能ブロックである。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いた場合、ネットワークインタフェース710は、レイヤ1(物理層)とレイヤ2(データリンク層)の通信コンポーネント、ファームウェア、ドライバ、及び通信プロトコルを表している。なお、MR130の機能アーキテクチャ700において、1つ以上のネットワークインタフェース710が設けられていてもよい。
また、ルーティング決定部720は、パケットの発送方法に関するあらゆる決定を行う機能を有している。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いると、ルーティング決定部720は、例えば、IPv4やIPv6などのようなレイヤ3(ネットワーク層)プロトコルの実装を表している。
また、ルーティングテーブル725には、ルーティング決定部720が決定処理を行う際に参照する、パケットのルーティングを定めるルールが含まれている。なお、ルーティングテーブル725には、ルーティングエントリのリストが含まれており、各ルーティングエントリには、次ホップノードのアドレス、及び/又は、発送されるパケットに存在するあて先アドレス、送信元アドレス、その他の情報などに基づいて定められたパケットを渡す対象となるネットワークインタフェース710などが記載されている。
また、シグナル/データパス752を通じて、ルーティング決定部720は、ルーティングテーブル725のエントリをアップデートするとともに、ルーティングテーブル725からエントリを抽出することが可能である。また、シグナル/データパス750を通じて、ルーティング決定部720は、適切なネットワークインタフェース710との間でパケットの送受信を行うことが可能である。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、モバイルルータにおけるNEMO(ネットワークモビリティ)の機能を実現する。このネットワークモビリティ管理機能には、ホームエージェント、コレスポンデントノード及び/又はコレスポンデントルータへのバインディングアップデートメッセージの送信、気付アドレスとホームアドレスの管理、モバイルネットワークプレフィックスを用いたホームエージェントへのパケットの転送、ホームエージェントからのトンネルパケットの受信などが含まれる。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730には、バインディングアップデートリスト735が含まれている。このバインディングアップデートリスト735には、モバイルルータのホームアドレスと気付アドレスとのマッピングが通知されているすべてのノードが記録される。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、新たなメモリ格納部であるコレスポンデントルータリスト(CRリスト)733を有している。CRリスト733には、コレスポンデントルータや、コレスポンデントルータが経路最適化セッションを代わりに終端することが可能な関連ノード/関連アドレスが格納される。なお、モバイルルータは、有効なUse−CRメッセージを受信するたびに、コレスポンデントルータリスト733の内容をアップデートする必要がある。
また、シグナルパス754を通じて、ルーティング決定部720とネットワークモビリティ管理モジュール730との間でパケットの伝送が行われる。
また、シグナルパス756を通じて、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、ルーティングテーブル725内に格納されているルーティング情報のアップデートや検索を行うことが可能である。例えば、ネットワークモビリティ管理モジュール730がコレスポンデントノード、コレスポンデントルータ、又はホームエージェントへのバインディングアップデートメッセージの送信に成功した場合、以降、コレスポンデントノード、コレスポンデントルータ、又はホームエージェントへ送信されるパケットは、送信元としてモバイルルータの気付アドレスが使用されてトンネルインタフェースを通じて発送されるように、ルーティングテーブル725に経路が導入される必要がある。
以上、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る2つの解決方法について説明したが、これらの2つの解決方法は、システムにおいて静的に固定されて行われてもよいが、2つの解決方法のいずれか一方が動的に選択されて行われてもよい。
以下では、ホームエージェントのオーバレイネットワークのプロキシホームエージェントがこれらの2つの解決方法のうちのどちらが適切であり、どちらの方法を使用するかを決定する方法について説明する。
図8には、本発明の第1及び第2の実施の形態に従って、プロキシホームエージェントが受信パケットを処理するために使用するアルゴリズムが図示されている。
プロキシホームエージェントでは受信パケットに関して、まず、パケットがオーバレイネットワーク内のホームエージェントに送信されるバインディングアップデート(BU)メッセージか否かが確認される(ステップS800)。
受信パケットがバインディングアップデートメッセージの場合には、そのバインディングアップデートメッセージの処理が行われる(ステップS860)。そして、バインディングアップデートメッセージの処理後、バインディングアップデートメッセージに記載されている気付アドレス(CoA)のチェックが行われ、バインディングアップデートメッセージに記載されている気付アドレスに、ホームエージェントのオーバレイネットワークに加入しているモバイルルータによって管理されているモバイルネットワークプレフィックス(MNP:Mobile Network Prefix)が含まれているか否かが確認される(ステップS870)。
ここで、気付アドレスにモバイルネットワークプレフィックスが含まれていない場合には、特別な処理は行われない。
一方、気付アドレスにモバイルネットワークプレフィックスが含まれている場合には、バインディングアップデートメッセージの送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか(送信者が変更HAメッセージを理解できるか)否かの確認が行われる(ステップS880)。
なお、プロキシホームエージェントは、様々な方法により、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか否かを把握することが可能である。例えば、プロキシホームエージェントが、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか否かを示す情報を、管理構成情報から静的に把握できるようにしてもよい。
また、送信者によってこの方法がサポートされていることを前提として、プロキシホームエージェントから変更HAメッセージの送信が行われてもよい。このとき、送信者からの応答がない場合や、送信者がオリジナルのHAを使用し続ける場合(すなわち、HAの変更を行わない場合)には、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしていないことが分かる。なお、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしていない場合には、特別な処理は行われない。
一方、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしている場合には、プロキシホームエージェントは、モバイルルータのホームエージェントを新たなホームエージェントに設定する変更HAメッセージをこの送信者に送信する(ステップS890)。なお、モバイルルータのホームエージェントは、送信者の気付アドレスを構成するモバイルネットワークプレフィックスを管理している。
また、ステップS800で受信パケットがバインディングアップデートメッセージではない場合には、そのパケットがオーバレイネットワークのホームエージェントとの間における経路最適化を開始するためのメッセージか否かが確認される(ステップS810)。
このような経路最適化を開始するためのメッセージの一例としては、リターンルータビリティ処理の気付テストイニット(CoTI:Care-of Test Init)メッセージやホームテストイニット(HoTI:Home Test Init)メッセージなどが挙げられる。
パケットがこのようなメッセージではない場合には、パケットに関して、通常の処理(例えば、通常の転送処理など)が行われる(ステップS820)。
一方、受信パケットが経路最適化の開始メッセージの場合には、受信パケットの送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かが確認される(ステップS830)。
なお、プロキシホームエージェントは、様々な方法により、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かを把握することが可能である。例えば、プロキシホームエージェントが、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かを示す情報を、管理構成情報から静的に把握できるようにしてもよい。
また、送信者によってこの方法がサポートされていることを前提として、プロキシホームエージェントからUse−CRメッセージの送信が行われてもよい。このとき、送信者からの応答がない場合や、送信者が経路最適化処理を続行する場合には、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしていないことが分かる。
送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしていない場合には、プロキシホームエージェントは、例えば、経路最適化に係る開始メッセージを破棄するなど、経路最適化の試みを拒否する処理を行う(ステップS850)。
一方、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしている場合には、プロキシホームエージェントは、この送信者にUSE−CRメッセージを送信する(ステップS840)。このUSE−CRメッセージによって、送信者が経路最適化を確立するために使用するコレスポンデントルータとして、送信者のホームエージェントが指定される。
なお、本明細書では、本発明が最も実用的かつ好適な実施例となるように考慮されて図示及び説明されているが、当業者であれば、様々な構成要素に係る設計やパラメータの詳細において、発明の範囲から逸脱しない程度に様々な変更が行われてもよいことは明白である。例えば、本発明は、モバイルホスト及びモバイルルータの両方に経路最適化を提供するオーバレイネットワークに適用可能である。さらに、本発明は、モバイルIPv6を動作させているモバイルホスト及びネットワークモビリティサポートを動作させているモバイルルータのどちらに対しても適用可能である。例えば、本発明は、モバイルホスト及びモバイルルータの両方に、経路最適化サポートを提供するオーバレイネットワークに関して適用可能であることは明らかである。また、本発明は、モバイルルータのネスト数に依存するものではない。さらに、本発明におけるオーバレイネットワークがグローバルネットワーク上に配置される場合について説明したが、ローカルモビリティ管理(Local Mobility Management)においても適用可能である。例えば、ローカルモビリティ管理方法の1つであるPMIP(Proxy Mobile IP)はMAG(Mobile Access Gateway)がLMA(Local Mobility Anchor)に移動端末の移動登録を行うことにより、移動端末に対するモビリティサポートを提供しているが、本明細書におけるホームエージェントやプロキシホームエージェントがMAGに対応する形で適用可能である。この場合、モバイルノードの移動の起点(ある時点を基準とするものであったり(相対的)、ネットワークオペレータへの登録の状態(確定的)であったり、様々な場合があり得る)となるホームエージェント若しくはモバイルノードの接続先であるホームエージェントから登録情報を受信する他のホームエージェントはLMAに対応すると考えることができる。また、本明細書において、ホームエージェント及びプロキシホームエージェントという用語を用いて説明しているが、移動端末にとってのホームエージェント(初期設定のホームエージェント)とプロキシホームエージェントの関係は相対的及び経時変化する関係にあることは当業者にとっては明白である。つまり、ある移動端末にとってのホームエージェントは、他の移動端末にとってプロキシホームエージェントとなる場合があり、またその逆に、ある移動端末にとってのプロキシホームエージェントが、他の移動端末にとってホームエージェントであるという状況があり得る。さらに、同一の移動端末においても、ある時点でのプロキシホームエージェントが移動、設定変更などの後、ホームエージェントとなり、これまでホームエージェントであったものが、プロキシホームエージェントの1つとなるという状況もあり得る。また、上述の実施の形態では、モバイルルータ(及びその配下のノード)により構成されたモバイルネットワーク(若しくは階層化されたモバイルネットワーク)であることが仮定されているが、この点をローカルモビリティ管理の環境に本発明を適用することも可能である。例えば、本明細書におけるモバイルルータがMAGに対応する形で適用可能である。この場合、モバイルルータのホームエージェントはLMAに対応すると考えることができる。さらに、階層化されたモバイルネットワークはPMIPを用いたネットワークを提供するネットワークオペレータがローミング関係などにより、PMIPで構成しているMAG−LMA間のトンネルを多段に用いるような場合に相当する。さらに、本発明のモバイルルータの機能は実体としてのモバイルルータだけでなく、論理的なエンティティとしてネットワーク内を移動する(移動下に相当する状態を配下のモバイルネットワークノードに提供する)場合にも適用可能である。これは接続ポイントを変更した場合であっても、配下のモバイルノードに対して通知するネットワークプレフィックスを変更しないようにするためにコンテキストトランスファ(Context Transfer)を行う場合などに相当する。
また、上記の本発明の実施の形態の説明で用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
本発明は、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減するという効果を有しており、IPネットワークなどのパケット交換型データ通信ネットワークを抽象化するオーバレイネットワークに関する技術分野、モビリティ管理における経路最適化に関する技術分野、ネットワークモビリティに関する技術分野に適用可能である。
本発明は、IP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)ネットワークなどのパケット交換型データ通信ネットワークを抽象化するオーバレイネットワーク(overlay network)のノードとして機能するオーバレイネットワークノードに関する。
現在、多数のデバイスが、インターネットプロトコルを使用して、互いに通信を行っている。モバイル機器にモビリティサポートを提供するために、IETF(Internet Engineering Task Force)では、下記の非特許文献1において、IPv6におけるモビリティサポートが規定されている。モバイルIPでは、各モバイルノードは、不変のホームドメインを持っている。モバイルノードが、自身のホームネットワークに接続している場合、モバイルノードには、ホームアドレス(HoA:Home Address)として知られるプライマリグローバルアドレスが割り当てられる。一方、モバイルノードがホームネットワークから離れている場合、すなわち、他のフォーリンネットワークに接続している場合には、通常、モバイルノードには、気付アドレス(CoA:Care-of Address)として知られる一時的なグローバルアドレスが割り当てられる。モビリティサポートの考えは、モバイルノードが他のフォーリンネットワークに接続している場合でも、自身のホームアドレスで、そのモバイルノードまで到達可能となるようにするものである。
このような考えは、非特許文献1において、ホームエージェント(HA:Home Agent)と呼ばれるエンティティを、ホームネットワークに導入することによって実践されている。モバイルノードは、バインディングアップデート(BU:Binding Update)と呼ばれるメッセージを使用して、ホームエージェントへの気付アドレスの登録を行う。これにより、ホームエージェントは、モバイルノードのホームアドレスと気付アドレスとの間のバインディングを生成することが可能となる。ホームエージェントは、モバイルノードのホームアドレスに向けられたメッセージを受信(intercept)し、パケットのカプセル化(あるパケットを新たなパケットのペイロードとすることであり、パケットトンネリングとしても知られている)を用いて、そのパケットをモバイルノードの気付アドレスに転送する機能を担っている。
一方、無線デバイスの台数の増加はさらに加速しており、モビリティ技術において、新たな技術分野(class)が現れるであろうことが予想される。その1つが、ノードを含むネットワーク全体が、そのまま接続ポイントを変えるネットワークモビリティである。これは、個々のホスト用のモビリティサポートの概念を、ノードを含むネットワーク用のモビリティサポートに拡張した場合に、移動を行うネットワークに係る解決策として、モバイルネットワークがインターネットに対してどの接続ポイントで接続している場合でも、プライマリグローバルアドレスでモバイルネットワーク内のノードに到達可能とすることができる機構の提供を目的としている。
IETFでは、下記の非特許文献2に、ネットワークモビリティについて言及されている。この非特許文献2では、モバイルルータがホームエージェントに対してBUを送信する際に、モバイルルータによって、モバイルネットワーク内のノードが使用しているネットワークプリフィックスが指定される。このネットワークプリフィックスは、BUに挿入されるネットワークプリフィックスオプションとして知られる特別なオプションを使用して指定される。これにより、ホームエージェントは、プリフィックスに基づくルーティングテーブルを構築し、その結果、ホームエージェントは、こうしたプリフィックスを有する送信先に送信されるパケットを、モバイルルータの気付アドレスに転送することが可能となる。
この技術は、モビリティサポートを提供する単純かつ的確な方法の1つであるが、モバイルノードで送受信されるパケットはホームエージェントを通過しなければならず、冗長な経路をたどり、パケット伝送の遅延を引き起こす可能性がある。さらに、モバイルネットワークが別のモバイルネットワークの背後に存在しておりネスト状態の場合には、パケットは複数回のカプセル化を受けるとともに、所望のあて先に到達するまでに複数のホームエージェントを経由しなければならない。
このような事態に対処するため、関連する技術分野において、例えばネスト状態のトンネルの最適化を行うための様々な提案が行われている。
特に、下記の特許文献1や下記の特許文献2には、アクセスルータオプションの開放として知られている解決方法が提案されている。ここでは、モバイルIPv6で規定されるモビリティヘッダに新たなオプションが定義される。
アクセスルータオプションと呼ばれるこの新しいオプションは、送信者(すなわち、モバイルルータ又はモバイルホスト)から受信者(ホームエージェント又はコレスポンデントノード)に対して、送信者が接続されているアクセスルータのプライマリグローバルアドレスを通知するために用いられる。
アクセスルータオプションがセットされたバインディングアップデートメッセージを送信した後、モバイルノードは、特別な信号(“ダイレクト転送要求”信号と呼ばれる)を、モバイルノードが送信するデータパケットに挿入することが可能である。この信号によって、上流のモバイルアクセスルータは、そのあて先に対して、自身のバインディングアップデートを送信する。この処理は、最上位のモバイルアクセスルータに到達するまで繰り返し行われる。
そして、上流のモバイルアクセスルータすべてがバインディングアップデートをそのあて先ノードに送信することで、あて先ノードは、モバイルノードが接続されているモバイルアクセスルータの繋がり(ネスト状態)の情報を取得できるようになる。また、タイプ2の拡張ルーティングヘッダによって、この情報を利用することができる。この場合には、あて先ノードがモバイルノードにパケットを返送しようとしている場合に、あて先ノードがパケットにルーティングヘッダを埋め込むことで、パケットは一連のモバイルアクセスルータの繋がりを経由して(各ホームエージェントを経由せずに)モバイルノードに直接転送される。
また、例えば、下記の非特許文献3や下記の特許文献3には、ネットワークエレメントによる別の形式の経路最適化が提供されている。これに関しては、図1Aを参照しながら説明する。
図1Aには、インターネットなどのグローバル通信ネットワーク10にオーバレイネットワーク110が配置された場合の一例が図示されている。オーバレイネットワーク110は、ホームエージェント(HA:Home Agent)120と、プロキシホームエージェント(pHA:proxy Home Agent)122、124、126、128により構成されている。また、pHA122、124、126の近くには、それぞれアクセスネットワーク12、14、16が存在している。また、モバイルノード(MN:Mobile Node)135は、そのホームエージェント及びホームネットワークがHA120及びホームネットワーク100であり、グローバル通信ネットワーク10を移動するモバイルノードである。
ここで、MN135がコレスポンデントノード(CN:Correspondent Node)30と通信を行っていると仮定する。NEMOベーシックサポートによって、MN135からCN30に送信されるパケットはカプセル化され、まず経路40を経由してMR130に送られる。このとき、MR130は、パケットのカプセル化を行い、経路42に示されているように、HA120にパケットをトンネルする。HA120は、パケットのデカプセル化を行い、経路44を経由して実際のデータパケット(インナパケット)をCN30に転送する。HA120に対するモバイルネットワーク102及びCN30の相対的な位置に依存するが、パケットの伝送経路は、MN135とCN30との間の最短パスよりもかなり長くなり、その結果、パケット伝送に大きな遅延が生じることになる。
グローバルなホームエージェントのオーバレイネットワークでは、グローバル通信ネットワーク10上にホームエージェント及びプロキシホームエージェントのシステムが配置される。ホームネットワークの外部にモバイルネットワークが移動する場合には、そのモバイルネットワークを管理するモバイルルータの最も近くに存在するプロキシホームエージェントが割り当てられる。そして、モバイルネットワークによって送受信されるパケットは、オーバレイネットワークにおいて、送信元(モバイルネットワークノード)及びあて先(このモバイルネットワークノードが通信を行っているコレスポンデントノード)のそれぞれの最も近くに存在する2つのプロキシホームエージェント間で転送される。
図1Aに図示されている例を使用すると、MR130がアクセスネットワーク14に接続されている場合には、pHA124がプロキシホームエージェントとして機能する。すなわち、バインディングアップデート情報やカプセル化されたデータパケットはpHA124に伝送され、HA120に代わってpHA124で処理される。
例えばMN135がCN30にデータパケットを送信する場合、MR130は、パケットをカプセル化してpHA124に送信する(経路50)。pHA124はデカプセル化を行った後、あて先(すなわち、CN30)がオーバレイネットワーク110のpHA122の最も近くに存在していることを特定する。そして、データパケットは経路52を経由してpHA122に転送される。なお、この転送は、例えばpHA122とpHA124との間のトンネルを経由して行われる。pHA122は、経路54を経由してCN30にパケットを転送する。
オーバレイネットワーク110を使用しない経路(経路42、44)とオーバレイネットワーク110を使用した経路(経路50、52、54)とを比較すれば分かるように、グローバルなホームエージェントのオーバレイネットワーク110を使用した場合には、より短いパケット伝送パスが実現される。このように、オーバレイネットワーク110には、モバイルノード又はコレスポンデントノードに透過的(トランスペアレント)に経路最適化が実現されるという利点がある。ネットワークによって提供される経路最適化は、例えば、下記の特許文献4や下記の特許文献5にも見られる。
特許文献4には、ネットワークベースの経路最適化方法が開示されている。この特許文献4に開示されている技術によれば、無線LAN又は3Gネットワーク(第3世代ネットワーク)を移動しているモバイルノードの実際の位置が、3G1Xシステムのモバイルスイッチングセンタにアップデートされる。これにより、モバイルスイッチングセンタは、モバイルノードにメッセージを送信する際には、モバイルノードのホームネットワークを経由する代わりに、モバイルノードの実際の位置に直接送信することが可能となる。
また、特許文献5には、モバイルIPv4環境で使用される方法が開示されている。この方法では、パケットは、モバイルノードのホームエージェントを経由する代わりに、モバイルノードが接続しているフォーリンエージェントに直接発送される。
さらに、下記の特許文献6には、あるホームエージェントが別のホームエージェントにバインディングアップデートを送信するためのホームエージェント同期化方法が開示されている。
なお、このようなオーバレイネットワークは、モバイルルータに対してだけではなく、モバイルホストに対しても同様に経路最適化を提供できることは明らかである。例えば図1Aにおいて、モバイルネットワーク102内の訪問モバイルノード(VMN:Visiting Mobile Node)140が、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110に加入することも可能である。
国際公開公報WO2004/036841 国際公開公報WO2005/094015 国際公開公報WO2006/064960 米国特許公開2005/0276273A1 国際公開公報WO2000/054523 国際公開公報WO2006/068439 Johnson, D. B., Perkins, C. E., and Arkko, J., "Mobility Support in IPv6", Internet Engineering Task Force Request For Comments 3775, June 2004. Devarapalli, V., et. al., "NEMO Basic Support Protocol", Internet Engineering Task Force Request For Comments 3963, January 2005. Thubert, P., et al. "Global HA to HA protocol", Internet Draft: draft-thubert-nemo-global-haha-02.txt, September 28, 2006.
しかしながら、例えば図1Aにおいて、モバイルルータ(MR)130とVMN140の両方がホームエージェントのオーバレイネットワーク110に加入しており、モバイルルータ(MR)130及びVMN140が両方共、ネスト状態のトンネルを最適化する経路最適化処理を試みた場合には、無駄なシグナリングが発生する可能性がある。この問題に関して、以下、図1Bを参照しながら説明する。
図1Bには、VMN140及びMR130がネスト状態の経路最適化を使用している一方、これらのノードに対してネットワークベースの経路最適化が透過的に提供されている場合のメッセージのシーケンスチャートが図示されている。
図1Bにおいて、まず、MR130はBUメッセージ60をホームエージェント(MR130のホームエージェント)に送信する。MR130は、アクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124は、MR130に関するホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
次に、VMN140はBUメッセージ70をホームエージェント(VMN140のホームエージェント)に送信する。MR130は、このメッセージをカプセル化してトンネルパケット72によってトンネルする。そして、MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124が、このトンネルパケットをデカプセル化し、VMN140から送信されたBUメッセージ70を見つける。ここで、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であり、pHA124は、VMN140に関してもVMN140のホームエージェントとしての役割を引き受ける。その結果、pHA124において、VMN140からのBUメッセージの処理が行われる。
ここで、MR130が、BUメッセージ70をトンネルによって転送する際に、BUメッセージ70に記載されているあて先との間で経路最適化を行うことを決定したとする。このとき、MR130は、BUメッセージ70のあて先(VMN140のホームエージェント)とリターンルータビリティ(RR:Return Routability)処理74を開始する。そして、この処理の後、VMN140のホームエージェントにBUメッセージ76が送信される。この処理が成功すると、MR130は、そのあて先(VMN140のホームエージェント)をバインディングアップデートリストに記載し、MR130は、あて先にバインディング情報を送信する処理を行う。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間80が経過した後には、MR130は、バインディングアップデートリスト内に記載されているノードにアップデートを行う必要がある。その結果、MR130はBUメッセージ82を自身のホームエージェントに送信する。この場合、MR130のホームエージェントとしての役割を引き受けるpHA(接続ポイントを移動しなかった場合には、pHA124)が、このパケットの受信(intercept)及び処理を行う。さらに、MR130は、リターンルータビリティ処理84を開始し、BUメッセージ86をVMN140のホームエージェントに送信する。
以上の動作において、VMN140はMR130と同一のホームエージェントのオーバレイネットワークに加入しているので、リターンルータビリティ処理74、84や、BUメッセージ76、86において冗長なシグナリングが発生しているという問題がある。これは、MR130(場合によってはVMN140)が同一の効果を奏するBUメッセージ60、70の送信(オーバレイネットワーク110に対して、モバイルネットワーク102とMR130の気付アドレスとのバインディングを通知)を行っていることによる。
上記の問題に鑑み、本発明は、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノード(VMN:訪問モバイルノード)もオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のオーバレイネットワークノードは、所定のネットワークの上位に形成されているオーバレイネットワークに属しており、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに係る機能を有するオーバレイネットワークノードであって、
前記オーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータ又はモバイルノードを識別する手段と、
前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルルータのモバイルネットワークに、前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルノードが接続されている状態を検出し、前記モバイルルータから経路最適化処理に係るメッセージを受信した場合には、前記モバイルルータからの経路最適化処理に係るメッセージの送信を抑えるための通知メッセージを、前記モバイルルータ又は前記モバイルノードに送信するメッセージ送信手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段が、前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する前記通知メッセージを前記モバイルノードに送信するように構成されている。
この構成により、経路終端ノードをモバイルルータからネットワーク上のノードに移し、モバイルルータにおける冗長な経路最適化に係るシグナリングが発生しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記所定のホームエージェントが前記モバイルルータのホームエージェントである。
この構成により、モバイルルータのホームエージェントとモバイルノードのホームエージェントとを同一とすることで、モバイルルータによる冗長な経路最適化に係るシグナリングが発生しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信後、前記モバイルルータから前記モバイルノードの変更前のホームエージェントへの経路最適化処理に係るメッセージを破棄する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルノードが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する。
この構成により、理解不可能なモバイルルータに対して、通知メッセージを送信しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段が、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する前記通知メッセージを前記モバイルルータに送信するように構成されている。
この構成により、経路終端ノードをモバイルルータからネットワーク上のノードに移し、モバイルルータにおける冗長な経路最適化シグナリング処理が行われないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記所定のノードが前記モバイルルータのホームエージェントである。
この構成により、モバイルルータのホームエージェントを経路終端ノードに指定することが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルルータが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する。
この構成により、理解不可能なモバイルルータに対して、通知メッセージを送信しないようにすることが可能となる。
さらに、本発明のオーバレイネットワークノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように前記モバイルノードに指示する処理、及び、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように前記モバイルルータに指示する処理のどちらを行うかを判断する手段を有する。
この構成により、任意の条件(例えば、モバイルノード及びモバイルルータのどちらが本発明に対応しているか)に基づいて、冗長なシグナリングを低減するための適切な処理を選択することが可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明のモバイルルータは、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータであって、
前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する通知メッセージを受信する手段と、
前記通信の経路を所定のノードに終端させるための処理を行う手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードの有効性を検証する手段を有する。
この構成により、通知された所定のノード(経路終端ノード)の有効性を検証することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードのアドレスを格納する手段を有する。
この構成により、通知された所定のノード(経路終端ノード)のアドレスを記憶することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードとの間に最適化経路が確立されているか否かを確認し、確立されていない場合には、最適化経路の確立処理を行う手段を有する。
この構成により、経路終端ノードとモバイルルータとの間の通信が最適化されるようになる。
さらに、本発明のモバイルルータは、上記の構成に加えて、自身のモバイルネットワークに接続されている特定のモバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨の通知を前記モバイルルータ又は前記特定のモバイルノードから受信する手段と、
自身が有するバインディングアップデートリストから、前記特定のモバイルノードに関する経路最適化の情報を削除する手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な最適化経路に関する処理を行わせないようにすることが可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明のモバイルノードは、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルノードであって、
前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、ホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する通知メッセージを受信する手段と、
前記所定のホームエージェントにホームエージェントを変更するための処理を行う手段とを、
有する。
この構成により、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減できるようになる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、前記通知メッセージによって通知される前記所定のホームエージェントのアドレスを格納する手段を有する。
この構成により、通知された新たなホームエージェントのアドレスを記憶することが可能となる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、所定の時間経過するまでは、変更前のホームエージェントにパケットを送信しないように制御する手段を有する。
この構成により、変更前のホームエージェントとの通信をなくし、他のノード(モバイルノードが接続されているモバイルルータ)のバインディングアップデートリストから、このホームエージェントのエントリを削除することで、冗長なシグナリングの発生を抑えることが可能となる。
さらに、本発明のモバイルノードは、上記の構成に加えて、前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する。
この構成により、モバイルルータに無駄な経路最適化の確立処理を行わせないようにすることが可能となる。
本発明は、上記の構成を有しており、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減するという効果を有している。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
本発明によれば、モバイルルータと、このモバイルルータのモバイルネットワークに接続されているモバイルネットワークノードが両方共、同一のホームエージェントのオーバレイネットワークに加入している場合に、余分なシグナリングが発生するという問題が解決される。本発明では、この解決方法として2つの方法が提供される。
第1の方法(以下、ホームエージェント変更方法と呼ぶこともある)では、主としてモバイルネットワークノードが新たな機能を実装する必要があり、一方、第2の方法(以下、コレスポンデントルータの方法と呼ぶこともある)では、主としてモバイルルータが新たな機能を実装する必要がある。
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態において、ホームエージェント変更方法について説明する。このホームエージェント変更方法では、基本的に、ホームエージェントのオーバレイネットワークからモバイルネットワークノードに対して、モバイルネットワークノードに割り当てられているホームエージェントがモバイルルータと同一のホームエージェントに変更されたことが通知される。この結果、モバイルネットワークノード及びモバイルルータは、同一のホームエージェント(実際には、オーバレイネットワーク上の最も近くに位置するプロキシホームエージェント)と通信を行うことになる。
そして、モバイルルータは、モバイルネットワークノードの代わりに経路最適化を開始しようとした場合に、モバイルネットワークノードが自身のホームエージェント(モバイルルータのホームアドレスと気付アドレスとの間の現在のバインディングが既に通知されているホームエージェント)と通信を行っていることを発見する。これによって、モバイルルータは、モバイルネットワークノードの代わりに経路最適化の処理を行う必要がないことを把握し、経路最適化に係る余分なシグナリングメッセージが送信されることがなくなる。
以下、図2を参照しながら、本発明の第1の実施の形態における動作について説明する。なお、図2では、図1Aで示される構成を前提とする。すなわち、VMN140はMR130に接続されており、さらに、MR130はアクセスネットワーク14に接続されている。また、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110において、MR130及びVMN140のホームエージェントにはpHA124が透過的に割り当てられている。なお、オーバレイネットワーク110の任意のノード(例えば、pHA124)は、MR130やVMN140がホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であることを確認する必要があるが、この確認方法は本発明では特に限定されるものではなく、任意の確認方法を利用することが可能である。
図2には、本発明の第1の実施の形態におけるホームエージェント変更方法に関するメッセージのシーケンスチャートが図示されている。まず、MR130が、BUメッセージ60をそのホームエージェントに送信する。MR130はアクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124がMR130のホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
続いて、VMN140が、BUメッセージ210をそのホームエージェントに送信する。MR130はこのメッセージをトンネルパケット212でカプセル化する。MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124は、このトンネルパケット212を受信してデカプセル化を行う。このとき、pHA124は、デカプセル化された後のパケットがVMN140から送信されたBUメッセージ210であることが分かる。そして、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者である場合には、pHA124は、VMN140のホームエージェントとしての役割も引き受ける。その結果、pHA124は、VMN140からのBUメッセージ210の処理を行う。
ここで、MR130は、トンネルによってBUメッセージ210の転送を行った場合に、BUメッセージ210に記載されているあて先アドレスとの間で経路最適化を開始する決定を行うかもしれない。このように経路最適化の確立処理を開始した状態は、図2においては、BUメッセージ210のあて先との間におけるリターンルータビリティ処理(RR処理)214として図示されている。
しかしながら、pHA124は、BUメッセージ210を受信した際に、VMN140がMR130のモバイルネットワークに存在していることを把握することが可能である。この場合、VMN140のホームエージェントは実質的にオーバレイネットワーク全体(pHA124を含む)であり、MR130がBUメッセージ210のあて先(VMN140のホームエージェント)との間におけるリターンルータビリティ処理を行う必要はない。したがって、例えば、pHA124は、本発明に係るホームエージェント変更方法を実行する。VMN140のホームエージェントの代理として動作しているpHA124は、VMN140に変更HA(Change−HA)メッセージ218を送信することが可能である。この変更HAメッセージは、まずMR130に送信されるトンネルパケット216によってカプセル化され、MR130でデカプセル化された後、VMN140に送信される。
変更HAメッセージ218は、VMN140に対して、そのホームエージェントをMR130のホームエージェントと同一のものに変更するように通知するものである。ここでは、pHA124がVMN140に対して変更HAメッセージ218の通知を行っているが、少なくとも変更HAメッセージ218の通知に関しては、オーバレイネットワーク上のどのノードが行ってもよい。この変更HAメッセージ218の通知を行うオーバレイネットワーク上のノードは、任意の方法によって動的又は静的に決定可能である。
なお、pHA124は、変更HAメッセージ218の送信前に、VMN140がこの変更HAメッセージを理解できるか(すなわち、本発明に係る機能を有するMNか)を確認し、理解可能なVMN140に対してのみ変更HAメッセージ218を送信することが望ましい。また、例えば、VMN140が本発明に係る機能を有していない場合には、pHA124は、MR130が本発明に係る機能を有しているか否かを判断し、MR130が本発明に係る機能を有している場合には、後述のコレスポンデントルータの方法の実行に切り換えるようにしてもよい。
VMN140はこの変更HAメッセージ218を受信すると、変更HAメッセージ218によって通知された新たなホームエージェント(MR130のホームエージェント)に新たなBUメッセージ220を送信する。
MR130は、さらにトンネルパケット222によってBUメッセージ220を自身のホームエージェントあてに転送する。なお、BUメッセージ220のあて先アドレスフィールドに、MR130のバインディングアップデートリストの中に既に存在しているMR130のホームエージェントが記載されている場合には、MR130とMR10自身のホームエージェントとの間の経路最適化は既に確立されているので、MR130は経路最適化を開始する必要はない。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間230が経過した後には、MR130は、バインディングアップデートリストに記載されているすべてのノードに対して、新たなバインディングアップデートメッセージを送信する必要がある。なお、ここでは、MR130のバインディングアップデートリストの中には、1つのノード(MR130のホームエージェント)のみが存在しているとする。このとき、MR130は、MR130のバインディングアップデートリストに記載されているMR130のホームエージェントに1つのBUメッセージ232を送信すればよい。このBUメッセージ232は、pHA124(あるいは、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110によってMR130に割り当てられる任意のプロキシホームエージェント)によって、透過的(トランスペアレント)に処理される。
なお、図2において、VMN140から送信された最初のBUメッセージ210を受信した時点で、MR130は、BUメッセージ210のあて先(VMN140のホームエージェント)との間で経路最適化の開始を試みる可能性もある。この経路最適化が成功すると、MR130のバインディングアップデートリストには、VMN140のホームエージェントが追加されることになる。この経路最適化処理が行われると、MR130は、移動するたびに、あるいはバインディングをリフレッシュする必要があるたびに、VMN140のホームエージェントにBUメッセージの送信を行わなければならず、その結果、冗長なシグナリングが発生することになる。
上記のように、MR130のバインディングアップデートリストにVMN140のホームエージェントが登録された場合に発生し得る冗長なシグナリングに対処可能な方法として、例えば下記の2つの対処方法が存在する。
第1に、変更HAメッセージ218を受信した後には、VMN140は、パケットをそのオリジナルのホームエージェントに送信しないようにする。これにより、VMN140のホームエージェントとの通信が行われずに一定時間が経過した後、MR130は、VMN140のオリジナルのホームエージェントとの間における経路最適化セッションは必要なくなったと判断して、バインディングアップデートリストからVMN140のホームエージェントを削除する。その結果、VMN140のホームエージェントがMR130のバインディングアップデートリストから削除され、冗長なシグナリングは発生しなくなる。
第2に、pHA124は、オーバレイネットワーク110内のホームエージェントに送信されるすべてのメッセージを受信(intercept)して処理しているので、MR130からのリターンルータビリティのシグナリングの処理も行う。このとき、pHA124は、MR130がオーバレイネットワーク内のホームエージェントとの間で不必要な経路最適化を確立しようとしていることを推測することが可能である。そして、pHA124は、MR130がVMN140のホームエージェントとの間で行う経路最適化の要求を拒絶し、これによって、MR130がVMN140のホームエージェントをバインディングアップデートリストに追加しないようになる。
なお、上記の対処方法以外に、MR130が、自身のバインディングアップデートリストに登録されているVMN140のホームエージェントを積極的に削除できるようにしてもよい。この場合には、MR130は、例えばpHA124やVMN140から、バインディングアップデートリスト内のVMN140に関するエントリが不要である旨(VMN140による通信の経路最適化は不要である旨)の通知を受け、この通知に基づいてVMN140に関するエントリを削除するように構成される。なお、バインディングアップデートリスト内のVMN140に関するエントリが不要である旨の通知は、例えば、pHA124やその他のオーバレイネットワークノードから行われてもよく、あるいは、ホームエージェントを変更したVMN140から行われてもよい。なお、この通知は、pHA124やその他のオーバレイネットワークノードからMR130に対して送信されるUse−CRメッセージ(後述)を利用して行われてもよい。また、MR130は、BUメッセージ220、222の転送時に、BUメッセージ220のあて先(MR130のホームエージェント)を認識して、バインディングアップデートリスト内のVMN140のエントリ(VMN140のホームエージェントを含む)が不要であることを把握し、このエントリを削除してもよい。
また、図3には、本発明の第1の実施の形態における変更HAメッセージのフォーマット300の一例が図示されている。図3において、送信元アドレスフィールド302には送信者のアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド304には受信者のアドレスが含まれる。
また、ここでは、変更HAメッセージにモビリティメッセージを使用しているが、任意の形式のメッセージヘッダを変更HAメッセージに使用することが可能である。モビリティメッセージの場合、変更HAメッセージのフォーマット300にはモビリティヘッダ320が含まれている。
タイプフィールド322には、このメッセージが変更HAメッセージであることが示され、長さフィールド324には、モビリティヘッダ320のサイズが示されている。また、モビリティヘッダ320内にはHAアドレスフィールド326が存在する。このHAアドレスフィールド326は、受信者に対して変更を要求する新たなホームエージェントのアドレスが含まれている。
図2に図示されている例の場合には、変更HAメッセージ218の内容は、送信元アドレスフィールド302にVMN140のホームエージェントのアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド304にVMN140の気付アドレスが含まれ、HAアドレスフィールド326にMR130のホームエージェントのアドレスが含まれる。なお、変更HAメッセージのフォーマット300には他のフィールドも存在し得るが、ここでは、説明を簡潔にするためにその他のフィールドに関しては図示省略する。なお、メッセージ内のその他のフィールドとしては、例えば、ホームアドレスあて先オプションや、フローラベルなどの通常のIPv6ヘッダフィールド、暗号化ヘッダフィールドなどが挙げられる。
上述のように、ホームエージェント変更方法では、VMN140は、変更HAメッセージを理解する必要があり、新たな機能を実装する必要がある。さらに、VMN140は、VMN140のオリジナルのホームエージェントやVMN140のホームアドレスとは同一のプレフィックスを共有しないアドレスのホームエージェントに変更できる必要がある。なお、VMN140の新たなホームエージェントはMR130のホームエージェントと同一のアドレスであり、VMN140のオリジナルのホームエージェントやVMN140自身のアドレスとはアドレスプレフィックスが異なる可能性が高い。
図4には、本発明の第1の実施の形態におけるVMN140の好適な機能アーキテクチャ400が図示されている。
VMN140は、パケットの送受信を行うための1つ又は複数のネットワークインタフェース410、パケットの発送方法や転送方法を決定するルーティング決定部420、パケットの発送方法や転送方法に関する情報を含むルーティングテーブル425、例えばモバイルIPv6などのモビリティ管理機能を実装するモビリティ管理モジュール430を有している。
ネットワークインタフェース410は、このノードが任意の通信媒体を介して別のノードと通信するために必要なすべてのハードウェア及びソフトウェアを包含する機能ブロックである。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いた場合、ネットワークインタフェース410は、レイヤ1(物理層)とレイヤ2(データリンク層)の通信コンポーネント、ファームウェア、ドライバ、及び通信プロトコルを表している。なお、VMN140の機能アーキテクチャ400において、1つ以上のネットワークインタフェース410が設けられていてもよい。
また、ルーティング決定部420は、パケットの発送方法に関するあらゆる決定を行う機能を有している。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いると、ルーティング決定部420は、例えば、IPv4やIPv6などのようなレイヤ3(ネットワーク層)プロトコルの実装を表している。
また、ルーティングテーブル425には、ルーティング決定部420が決定処理を行う際に参照する、パケットのルーティングを定めるルールが含まれている。なお、ルーティングテーブル425には、ルーティングエントリのリストが含まれており、各ルーティングエントリには、次ホップノードのアドレス、及び/又は、発送されるパケットに存在するあて先アドレス、送信元アドレス、その他の情報などに基づいて定められたパケットを渡す対象となるネットワークインタフェース410などが記載されている。
また、シグナル/データパス452を通じて、ルーティング決定部420は、ルーティングテーブル425のエントリをアップデートするとともに、ルーティングテーブル425からエントリを抽出することが可能である。また、シグナル/データパス450を通じて、ルーティング決定部420は、適切なネットワークインタフェース410との間でパケットの送受信を行うことが可能である。
また、モビリティ管理モジュール430は、モバイルノードにおけるモバイルIPv6の機能を実現する。このモビリティ管理機能には、ホームエージェント及び/又はコレスポンデントノードへのバインディングアップデートメッセージの送信、気付アドレスとホームアドレスの管理、ホームアドレスを用いたホームエージェントへのパケットの転送、ホームエージェントからのトンネルパケットの受信などが含まれる。
また、モビリティ管理モジュール430には、バインディングアップデートリスト435が含まれている。このバインディングアップデートリスト435には、モバイルノードのホームアドレスと気付アドレスとのマッピングが通知されているすべてのノードが記録される。
また、モビリティ管理モジュール430は、現在のホームエージェントのアドレスを格納するための新たなメモリ格納部であるホームエージェントアドレス433を有している。なお、モバイルノードは、有効な変更HAメッセージを受信するたびに、ホームエージェントアドレス433の内容をアップデートする必要がある。
また、シグナルパス454を通じて、ルーティング決定部420とモビリティ管理モジュール430との間でパケットの伝送が行われる。
また、シグナルパス456を通じて、モビリティ管理モジュール430は、ルーティングテーブル425内に格納されているルーティング情報のアップデートや検索を行うことが可能である。例えば、モビリティ管理モジュール430がコレスポンデントノード又はホームエージェントへのバインディングアップデートメッセージの送信に成功した場合、以降、コレスポンデントノード又はホームエージェントへ送信されるパケットは、送信元としてモバイルノードの気付アドレスが使用されてトンネルインタフェースを通じて発送されるように、ルーティングテーブル425に経路が導入される必要がある。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態において、コレスポンデントルータの方法について説明する。このコレスポンデントルータの方法では、基本的に、モバイルネットワークノードのホームエージェントに代わって、モバイルルータに割り当てられるホームエージェントのオーバレイネットワークのプロキシホームエージェントがコレスポンデントルータとして機能する。
すなわち、モバイルルータのプロキシホームエージェントは、モバイルルータの背後に存在するモバイルネットワークノードのホームエージェントに代わって、経路最適化セッションを終端することをモバイルルータに対して通知する。この結果、基本的に、モバイルルータは、モバイルネットワークノードのホームエージェントとの間で経路最適化を開始しようとする場合は、プロキシホームエージェントと経路最適化を確立することになる。
プロキシホームエージェントはモバイルルータのホームエージェントとして動作し、常にモバイルルータの気付アドレスとホームアドレスとの間のバインディングの通知を受けているので、モバイルルータとプロキシホームエージェントとの間で新たなシグナリングが行われる必要はない。
以下、図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態における動作について説明する。なお、図5では、図1Aで示される構成を前提とする。すなわち、VMN140はMR130に接続されており、さらに、MR130はアクセスネットワーク14に接続されている。また、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110において、MR130及びVMN140のホームエージェントにはpHA124が透過的に割り当てられている。なお、オーバレイネットワーク110の任意のノード(例えば、pHA124)は、VMN140がホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者であることを確認する必要があるが、この確認方法は本発明では特に限定されるものではなく、任意の確認方法を利用することが可能である。
図5には、本発明の第2の実施の形態におけるコレスポンデントルータの方法に関するメッセージのシーケンスチャートが例示されている。まず、MR130がBUメッセージ60をそのホームエージェントに送信する。MR130はアクセスネットワーク14に接続されているので、pHA124がMR130のホームエージェントの役割を引き受け、BUメッセージ60の処理を行う。
続いて、VMN140が、BUメッセージ510をそのホームエージェントに送信する。MR130はこのメッセージをトンネルパケット512でカプセル化する。MR130のホームエージェントとして動作しているpHA124は、このトンネルパケット512を受信したデカプセル化を行う。このとき、pHA124は、デカプセル化された後のパケットがVMN140から送信されたBUメッセージ510であることが分かる。そして、VMN140もホームエージェントのオーバレイネットワーク110の加入者である場合には、pHA124は、VMN140のホームエージェントとしての役割も引き受ける。その結果、pHA124は、VMN140からのBUメッセージ510の処理を行う。
ここで、MR130は、トンネルによってBUメッセージ510の転送を行った場合に、BUメッセージ510に記載されているあて先アドレスとの間で経路最適化を開始する決定を行うかもしれない。この処理は、BUメッセージ510のあて先との間におけるイニット(Init)RRメッセージ(RR開始メッセージ)メッセージ514として図示されている。
しかしながら、pHA124は、BUメッセージ510を受信したことで、VMN140がMR130のモバイルネットワーク内に存在していることを把握している。そしてこの場合、pHA124は、本発明に係るコレスポンデントルータの方法を使用して、モバイルルータが冗長なシグナリングを実行しないようにすることが可能となる。
VMN140のホームエージェントの代理として動作しているpHA124は、RR開始メッセージ514に対する応答としてMR130にUse−CRメッセージ516を送信することが可能である。このUse−CRメッセージ516は、MR130に対して、送信者(すなわち、VMN140のホームエージェント)との間で経路最適化を確立するために、受信者(すなわち、MR130)が、Use−CRメッセージ516に記載されているコレスポンデントルータを使用するように通知するものである。Use−CRメッセージ516に記載されるコレスポンデントルータは、例えばMR130のホームエージェントである。
また、MR130は、Use−CRメッセージ516を受信すると、オプションとして処理(CRテスト処理)518を行い、コレスポンデントルータの有効性のテストを行ってもよい。
なお、本発明は、MR130がコレスポンデントルータの有効性を検証する方法に関しては特に規定するものではなく、任意の検証方法を利用することが可能である。コレスポンデントルータの有効性を検証する好適な方法の1つとしては、例えば、MR130がVMN140のホームエージェントに対してセキュリティトークンを含むテストパケットを送信し、そのパケットを受信(intercept)してセキュリティトークンを使用した応答を行うことができる特定のコレスポンデントルータが現れるのを待つ方法が挙げられる。また、Use−CRメッセージ516に、特定のコレスポンデントルータが認証済みであることを検証できる認証者によってサインされた証明書が含まれていてもよい。
MR130は、特定のコレスポンデントルータ(すなわち、MR130のホームエージェント)が有効であることを把握すると、このコレスポンデントルータとの間で経路最適化セッションが既に確立されているか否かの確認を行う。例えば、コレスポンデントルータがMR130のホームエージェントである場合には、そのホームエージェントとの間における経路最適化はデフォルトで既に確立されている。したがって、MR130は、コレスポンデントルータとの間の経路最適化を確立するために更なるシグナリングを行う必要はない。一方、このコレスポンデントルータとの間で経路最適化セッションが確立されていない場合には、このコレスポンデントルータに対して経路最適化を確立するためのシグナリングを行うことが望ましい。
なお、pHA124は、Use−CRメッセージ516の送信前に、MR130がこのUse−CRメッセージを理解できるか(すなわち、本発明に係る機能を有するMRか)を確認し、理解可能なMR130に対してのみUse−CRメッセージ516を送信することが望ましい。また、本発明に係る機能を有さないMR130は、Use−CRメッセージ516の通知の有無にかかわらず、再度繰り返してRR開始メッセージ514を送信してRRシグナリングの実行を試みる可能性があるが、pHA124は、これらのRR開始メッセージ514を破棄することが望ましい。また、例えば、MR130が本発明に係る機能を有していない場合には、pHA124は、VMN140が本発明に係る機能を有しているか否かを判断し、VMN140が本発明に係る機能を有している場合には、上述のホームエージェント変更方法の実行に切り換えるようにしてもよい。
また、MR130が接続ポイントを変更した場合や所定のタイムアウト期間530が経過した後には、新たなバインディングアップデートメッセージをバインディングアップデートリストに記載されているすべてのノードに送信する必要がある。なお、ここでは、MR130のバインディングアップデートリストの中には、1つのノード(MR130のホームエージェント)のみが存在しているとする。このとき、MR130は、MR130のバインディングアップデートリストに記載されているMR130のホームエージェントに1つのBUメッセージ532を送信すればよい。このBUメッセージ532は、pHA124(あるいは、ホームエージェントのオーバレイネットワーク110によってMR130に割り当てられる任意のプロキシホームエージェント)によって、透過的(トランスペアレント)に処理される。
また、図6には、本発明の第2の実施の形態におけるUse−CRメッセージのフォーマット600の一例が図示されている。図6において、送信元アドレスフィールド602には送信者のアドレスが含まれ、あて先アドレスフィールド604には受信者のアドレスが含まれる。
また、ここでは、Use−CRメッセージにモビリティメッセージを使用しているが、任意の形式のメッセージヘッダをUse−CRメッセージに使用することが可能である。モビリティメッセージの場合、USE−CRメッセージのフォーマット600にはモビリティヘッダ620が含まれている。
タイプフィールド622には、このメッセージがUse−CRメッセージであることが示され、長さフィールド624には、モビリティヘッダ620のサイズが示されている。また、モビリティヘッダ620内にはCRアドレスフィールド626が存在する。このCRアドレスフィールド626は、Use−CRメッセージの受信者が、Use−CRメッセージの送信者との間における経路最適化を確立する際に使用すべきコレスポンデントルータのアドレスが含まれている。
図5に図示されている例の場合には、Use−CRメッセージ516の内容は、送信元アドレスフィールド602にVMN140のホームエージェントのアドレス、あて先アドレスフィールド604にMR130のアドレス、CRアドレスフィールド626にMR130のホームエージェントのアドレスが含まれる。
なお、MR130にとって、MR130のホームエージェントのアドレスは既知なので、例えば、Use−CRメッセージ516において、MR130のホームエージェントをCRとして利用するように通知するフラグを規定しておくことで、このフラグを有効にしたUse−CRメッセージ516によって、MR130のホームエージェントをCRとして利用するようにMR130に通知できるようにしてもよい。
なお、Use−CRメッセージのフォーマット600には他のフィールドも存在し得るが、ここでは、説明を簡潔にするためにその他のフィールドに関しては図示省略する。なお、メッセージ内のその他のフィールドとしては、例えば、ホームアドレスあて先オプションや、フローラベルなどの通常のIPv6ヘッダフィールド、カプセル化ヘッダフィールドなどが挙げられる。さらにモビリティヘッダ620には、例えば、コレスポンデントルータが代理として経路最適化セッションを終端することが可能なアドレスの範囲など、コレスポンデントルータに関する情報が含まれてもよい。
上述のように、コレスポンデントルータの方法では、MR130は、Use−CRメッセージを理解する必要があり、新たな機能を実装する必要がある。図7には、本発明の第2の実施の形態におけるMR130の好適な機能アーキテクチャが図示されている。
MR130は、パケットの送受信を行うための1つ又は複数のネットワークインタフェース、パケットの発送方法や転送方法を決定するルーティング決定部720、パケットの発送方法や転送方法に関する情報を含むルーティングテーブル725、例えばNEMOベーシックサポートなどのネットワークモビリティ管理機能を実装するネットワークモビリティ管理モジュール730を有している。
ネットワークインタフェース710は、このノードが任意の通信媒体を介して別のノードと通信するために必要なすべてのハードウェア及びソフトウェアを包含する機能ブロックである。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いた場合、ネットワークインタフェース710は、レイヤ1(物理層)とレイヤ2(データリンク層)の通信コンポーネント、ファームウェア、ドライバ、及び通信プロトコルを表している。なお、MR130の機能アーキテクチャ700において、1つ以上のネットワークインタフェース710が設けられていてもよい。
また、ルーティング決定部720は、パケットの発送方法に関するあらゆる決定を行う機能を有している。なお、関連する技術分野で周知の用語を用いると、ルーティング決定部720は、例えば、IPv4やIPv6などのようなレイヤ3(ネットワーク層)プロトコルの実装を表している。
また、ルーティングテーブル725には、ルーティング決定部720が決定処理を行う際に参照する、パケットのルーティングを定めるルールが含まれている。なお、ルーティングテーブル725には、ルーティングエントリのリストが含まれており、各ルーティングエントリには、次ホップノードのアドレス、及び/又は、発送されるパケットに存在するあて先アドレス、送信元アドレス、その他の情報などに基づいて定められたパケットを渡す対象となるネットワークインタフェース710などが記載されている。
また、シグナル/データパス752を通じて、ルーティング決定部720は、ルーティングテーブル725のエントリをアップデートするとともに、ルーティングテーブル725からエントリを抽出することが可能である。また、シグナル/データパス750を通じて、ルーティング決定部720は、適切なネットワークインタフェース710との間でパケットの送受信を行うことが可能である。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、モバイルルータにおけるNEMO(ネットワークモビリティ)の機能を実現する。このネットワークモビリティ管理機能には、ホームエージェント、コレスポンデントノード及び/又はコレスポンデントルータへのバインディングアップデートメッセージの送信、気付アドレスとホームアドレスの管理、モバイルネットワークプレフィックスを用いたホームエージェントへのパケットの転送、ホームエージェントからのトンネルパケットの受信などが含まれる。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730には、バインディングアップデートリスト735が含まれている。このバインディングアップデートリスト735には、モバイルルータのホームアドレスと気付アドレスとのマッピングが通知されているすべてのノードが記録される。
また、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、新たなメモリ格納部であるコレスポンデントルータリスト(CRリスト)733を有している。CRリスト733には、コレスポンデントルータや、コレスポンデントルータが経路最適化セッションを代わりに終端することが可能な関連ノード/関連アドレスが格納される。なお、モバイルルータは、有効なUse−CRメッセージを受信するたびに、コレスポンデントルータリスト733の内容をアップデートする必要がある。
また、シグナルパス754を通じて、ルーティング決定部720とネットワークモビリティ管理モジュール730との間でパケットの伝送が行われる。
また、シグナルパス756を通じて、ネットワークモビリティ管理モジュール730は、ルーティングテーブル725内に格納されているルーティング情報のアップデートや検索を行うことが可能である。例えば、ネットワークモビリティ管理モジュール730がコレスポンデントノード、コレスポンデントルータ、又はホームエージェントへのバインディングアップデートメッセージの送信に成功した場合、以降、コレスポンデントノード、コレスポンデントルータ、又はホームエージェントへ送信されるパケットは、送信元としてモバイルルータの気付アドレスが使用されてトンネルインタフェースを通じて発送されるように、ルーティングテーブル725に経路が導入される必要がある。
以上、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る2つの解決方法について説明したが、これらの2つの解決方法は、システムにおいて静的に固定されて行われてもよいが、2つの解決方法のいずれか一方が動的に選択されて行われてもよい。
以下では、ホームエージェントのオーバレイネットワークのプロキシホームエージェントがこれらの2つの解決方法のうちのどちらが適切であり、どちらの方法を使用するかを決定する方法について説明する。
図8には、本発明の第1及び第2の実施の形態に従って、プロキシホームエージェントが受信パケットを処理するために使用するアルゴリズムが図示されている。
プロキシホームエージェントでは受信パケットに関して、まず、パケットがオーバレイネットワーク内のホームエージェントに送信されるバインディングアップデート(BU)メッセージか否かが確認される(ステップS800)。
受信パケットがバインディングアップデートメッセージの場合には、そのバインディングアップデートメッセージの処理が行われる(ステップS860)。そして、バインディングアップデートメッセージの処理後、バインディングアップデートメッセージに記載されている気付アドレス(CoA)のチェックが行われ、バインディングアップデートメッセージに記載されている気付アドレスに、ホームエージェントのオーバレイネットワークに加入しているモバイルルータによって管理されているモバイルネットワークプレフィックス(MNP:Mobile Network Prefix)が含まれているか否かが確認される(ステップS870)。
ここで、気付アドレスにモバイルネットワークプレフィックスが含まれていない場合には、特別な処理は行われない。
一方、気付アドレスにモバイルネットワークプレフィックスが含まれている場合には、バインディングアップデートメッセージの送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか(送信者が変更HAメッセージを理解できるか)否かの確認が行われる(ステップS880)。
なお、プロキシホームエージェントは、様々な方法により、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか否かを把握することが可能である。例えば、プロキシホームエージェントが、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしているか否かを示す情報を、管理構成情報から静的に把握できるようにしてもよい。
また、送信者によってこの方法がサポートされていることを前提として、プロキシホームエージェントから変更HAメッセージの送信が行われてもよい。このとき、送信者からの応答がない場合や、送信者がオリジナルのHAを使用し続ける場合(すなわち、HAの変更を行わない場合)には、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしていないことが分かる。なお、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしていない場合には、特別な処理は行われない。
一方、送信者がホームエージェント変更方法をサポートしている場合には、プロキシホームエージェントは、モバイルルータのホームエージェントを新たなホームエージェントに設定する変更HAメッセージをこの送信者に送信する(ステップS890)。なお、モバイルルータのホームエージェントは、送信者の気付アドレスを構成するモバイルネットワークプレフィックスを管理している。
また、ステップS800で受信パケットがバインディングアップデートメッセージではない場合には、そのパケットがオーバレイネットワークのホームエージェントとの間における経路最適化を開始するためのメッセージか否かが確認される(ステップS810)。
このような経路最適化を開始するためのメッセージの一例としては、リターンルータビリティ処理の気付テストイニット(CoTI:Care-of Test Init)メッセージやホームテストイニット(HoTI:Home Test Init)メッセージなどが挙げられる。
パケットがこのようなメッセージではない場合には、パケットに関して、通常の処理(例えば、通常の転送処理など)が行われる(ステップS820)。
一方、受信パケットが経路最適化の開始メッセージの場合には、受信パケットの送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かが確認される(ステップS830)。
なお、プロキシホームエージェントは、様々な方法により、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かを把握することが可能である。例えば、プロキシホームエージェントが、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしているか否かを示す情報を、管理構成情報から静的に把握できるようにしてもよい。
また、送信者によってこの方法がサポートされていることを前提として、プロキシホームエージェントからUse−CRメッセージの送信が行われてもよい。このとき、送信者からの応答がない場合や、送信者が経路最適化処理を続行する場合には、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしていないことが分かる。
送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしていない場合には、プロキシホームエージェントは、例えば、経路最適化に係る開始メッセージを破棄するなど、経路最適化の試みを拒否する処理を行う(ステップS850)。
一方、送信者がコレスポンデントルータの方法をサポートしている場合には、プロキシホームエージェントは、この送信者にUSE−CRメッセージを送信する(ステップS840)。このUSE−CRメッセージによって、送信者が経路最適化を確立するために使用するコレスポンデントルータとして、送信者のホームエージェントが指定される。
なお、本明細書では、本発明が最も実用的かつ好適な実施例となるように考慮されて図示及び説明されているが、当業者であれば、様々な構成要素に係る設計やパラメータの詳細において、発明の範囲から逸脱しない程度に様々な変更が行われてもよいことは明白である。例えば、本発明は、モバイルホスト及びモバイルルータの両方に経路最適化を提供するオーバレイネットワークに適用可能である。さらに、本発明は、モバイルIPv6を動作させているモバイルホスト及びネットワークモビリティサポートを動作させているモバイルルータのどちらに対しても適用可能である。例えば、本発明は、モバイルホスト及びモバイルルータの両方に、経路最適化サポートを提供するオーバレイネットワークに関して適用可能であることは明らかである。また、本発明は、モバイルルータのネスト数に依存するものではない。さらに、本発明におけるオーバレイネットワークがグローバルネットワーク上に配置される場合について説明したが、ローカルモビリティ管理(Local Mobility Management)においても適用可能である。例えば、ローカルモビリティ管理方法の1つであるPMIP(Proxy Mobile IP)はMAG(Mobile Access Gateway)がLMA(Local Mobility Anchor)に移動端末の移動登録を行うことにより、移動端末に対するモビリティサポートを提供しているが、本明細書におけるホームエージェントやプロキシホームエージェントがMAGに対応する形で適用可能である。この場合、モバイルノードの移動の起点(ある時点を基準とするものであったり(相対的)、ネットワークオペレータへの登録の状態(確定的)であったり、様々な場合があり得る)となるホームエージェント若しくはモバイルノードの接続先であるホームエージェントから登録情報を受信する他のホームエージェントはLMAに対応すると考えることができる。また、本明細書において、ホームエージェント及びプロキシホームエージェントという用語を用いて説明しているが、移動端末にとってのホームエージェント(初期設定のホームエージェント)とプロキシホームエージェントの関係は相対的及び経時変化する関係にあることは当業者にとっては明白である。つまり、ある移動端末にとってのホームエージェントは、他の移動端末にとってプロキシホームエージェントとなる場合があり、またその逆に、ある移動端末にとってのプロキシホームエージェントが、他の移動端末にとってホームエージェントであるという状況があり得る。さらに、同一の移動端末においても、ある時点でのプロキシホームエージェントが移動、設定変更などの後、ホームエージェントとなり、これまでホームエージェントであったものが、プロキシホームエージェントの1つとなるという状況もあり得る。また、上述の実施の形態では、モバイルルータ(及びその配下のノード)により構成されたモバイルネットワーク(若しくは階層化されたモバイルネットワーク)であることが仮定されているが、この点をローカルモビリティ管理の環境に本発明を適用することも可能である。例えば、本明細書におけるモバイルルータがMAGに対応する形で適用可能である。この場合、モバイルルータのホームエージェントはLMAに対応すると考えることができる。さらに、階層化されたモバイルネットワークはPMIPを用いたネットワークを提供するネットワークオペレータがローミング関係などにより、PMIPで構成しているMAG−LMA間のトンネルを多段に用いるような場合に相当する。さらに、本発明のモバイルルータの機能は実体としてのモバイルルータだけでなく、論理的なエンティティとしてネットワーク内を移動する(移動下に相当する状態を配下のモバイルネットワークノードに提供する)場合にも適用可能である。これは接続ポイントを変更した場合であっても、配下のモバイルノードに対して通知するネットワークプレフィックスを変更しないようにするためにコンテキストトランスファ(Context Transfer)を行う場合などに相当する。
また、上記の本発明の実施の形態の説明で用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
本発明は、モバイルルータが、オーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受けると同時、かつ、このモバイルルータに接続されたモバイルノードもオーバレイネットワークによって提供されるネットワークベースの経路最適化サービスを受ける場合に発生し得る冗長なシグナリングを低減するという効果を有しており、IPネットワークなどのパケット交換型データ通信ネットワークを抽象化するオーバレイネットワークに関する技術分野、モビリティ管理における経路最適化に関する技術分野、ネットワークモビリティに関する技術分野に適用可能である。
従来の技術及び本発明の第1及び第2の実施の形態におけるネットワーク構成に一例を示す図 従来の技術において、ネットワークベースの経路最適化が行われる場合のメッセージのシーケンスチャート 本発明の第1の実施の形態におけるホームエージェント変更方法に関するメッセージのシーケンスチャート 本発明の第1の実施の形態における変更HAメッセージのフォーマットの一例を示す図 本発明の第1の実施の形態におけるVMNの好適な機能アーキテクチャを示す図 本発明の第2の実施の形態におけるコレスポンデントルータの方法に関するメッセージのシーケンスチャート 本発明の第2の実施の形態におけるUse−CRメッセージのフォーマットの一例を示す図 本発明の第2の実施の形態におけるMRの好適な機能アーキテクチャを示す図 本発明の第1及び第2の実施の形態に従って、プロキシホームエージェントが受信パケットを処理するために使用するアルゴリズムの一例を示すフローチャート

Claims (19)

  1. 所定のネットワークの上位に形成されているオーバレイネットワークに属しており、ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに係る機能を有するオーバレイネットワークノードであって、
    前記オーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータ又はモバイルノードを識別する手段と、
    前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルルータのモバイルネットワークに、前記オーバレイネットワークサービスを受けているモバイルノードが接続されている状態を検出し、前記モバイルルータから経路最適化処理に係るメッセージを受信した場合には、前記モバイルルータからの経路最適化処理に係るメッセージの送信を抑えるための通知メッセージを、前記モバイルルータ又は前記モバイルノードに送信するメッセージ送信手段とを、
    有するオーバレイネットワークノード。
  2. 前記メッセージ送信手段が、前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する前記通知メッセージを前記モバイルノードに送信するように構成されている請求項1に記載のオーバレイネットワークノード。
  3. 前記所定のホームエージェントが前記モバイルルータのホームエージェントである請求項2に記載のオーバレイネットワークノード。
  4. 前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信後、前記モバイルルータから前記モバイルノードの変更前のホームエージェントへの経路最適化処理に係るメッセージを破棄する手段を有する請求項2に記載のオーバレイネットワークノード。
  5. 前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルノードが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する請求項2に記載のオーバレイネットワークノード。
  6. 前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する請求項2に記載のオーバレイネットワークノード。
  7. 前記メッセージ送信手段が、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する前記通知メッセージを前記モバイルルータに送信するように構成されている請求項1に記載のオーバレイネットワークノード。
  8. 前記所定のノードが前記モバイルルータのホームエージェントである請求項7に記載のオーバレイネットワークノード。
  9. 前記メッセージ送信手段による前記通知メッセージの送信前に、前記モバイルルータが前記通知メッセージを理解できるか否かを確認する手段を有する請求項7に記載のオーバレイネットワークノード。
  10. 前記モバイルノードのホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように前記モバイルノードに指示する処理、及び、前記モバイルルータが行っている通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように前記モバイルルータに指示する処理のどちらを行うかを判断する手段を有する請求項1に記載のオーバレイネットワークノード。
  11. ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルルータであって、
    前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、通信の最適化経路をネットワーク上の所定のノードに終端させるように指示する通知メッセージを受信する手段と、
    前記通信の経路を所定のノードに終端させるための処理を行う手段とを、
    有するモバイルルータ。
  12. 前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードの有効性を検証する手段を有する請求項11に記載のモバイルルータ。
  13. 前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードのアドレスを格納する手段を有する請求項11に記載のモバイルルータ。
  14. 前記通知メッセージによって通知される前記所定のノードとの間に最適化経路が確立されているか否かを確認し、確立されていない場合には、最適化経路の確立処理を行う手段を有する請求項11に記載のモバイルルータ。
  15. 自身のモバイルネットワークに接続されている特定のモバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨の通知を前記モバイルルータ又は前記特定のモバイルノードから受信する手段と、
    自身が有するバインディングアップデートリストから、前記特定のモバイルノードに関する経路最適化の情報を削除する手段とを、
    有する請求項11に記載のモバイルルータ。
  16. ホームエージェントのオーバレイネットワークサービスに加入しているモバイルノードであって、
    前記オーバレイネットワークサービスを提供しているオーバレイネットワークノードから、ホームエージェントを所定のホームエージェントに変更するように指示する通知メッセージを受信する手段と、
    前記所定のホームエージェントにホームエージェントを変更するための処理を行う手段とを、
    有するモバイルノード。
  17. 前記通知メッセージによって通知される前記所定のホームエージェントのアドレスを格納する手段を有する請求項16に記載のモバイルノード。
  18. 所定の時間経過するまでは、変更前のホームエージェントにパケットを送信しないように制御する手段を有する請求項16に記載のモバイルノード。
  19. 前記モバイルルータによる前記モバイルノードのための経路最適化処理が不要である旨を前記モバイルルータに通知する手段を有する請求項16に記載のモバイルノード。
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