JP2010540850A - 可変変速装置 - Google Patents

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Abstract

変速装置システムに入力する回転を受け取る/付与するための入力軸、および変速装置システムから回転を伝達するための出力軸と、リングギヤ部分およびプラネットギヤ部分を有し前記入力軸の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、これら自身の回転または非回転が前記フライホイール構成部の回転および/または公転運動に影響を及ぼす第1変速軸および第1変速構成部と、第1変速構成部とともに回転する第2変速軸と、第2変速軸とともに回転し、自身の回転または非回転および前記第1変速軸の回転または非回転が前記出力軸の全体/正味に作用する第2変速構成部と、自身の回転または非回転が前記変速軸の1つの回転または非回転にリンクされた変調軸であって、前記変調軸にリンクされた前記変速軸の回転を加速または減速するために、連続的に変動して増進または減退するトルクを前記変調軸に適用し、この連続的に変動する前記変速軸の回転の加速または減速が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動を可能にする、少なくとも1つの変調軸と、を備える、変速装置システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、ギヤボックスを含む変速装置システムに関するが、これに限定されるものではない。
一般的用語としての変速装置システムは、エンジンや他の原動機から出力軸までの回転を、異なる速度の回転にしたり、異なる向きの回転にしたり、あるいはこれら双方をするように、回転を変換する機能を果たす。ギヤボックスは変速装置システムとして一般的なものである。ギヤボックスの一般的な使用として、高速で低トルクの回転をより低い速度でより高いトルクの回転に変換する。この好適な例として自動車のギヤボックスがある。
従来の自動車に用いられる内燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000rpmまでの間のエンジン速度で動作する。したがって、エンジンの出力駆動軸(クランクシャフト)が生み出す回転の速度は、800rpmから7000rpmまでの間である。しかしながら、0km/hrから120km/hrまでの間の速度で走行する通常の自動車にとって、自動車の車輪(タイヤを含む)の外径をおよそ40cmとすれば、自動車の車輪は0rpmから1591rpmまでの間で回転さえすればよい。さらに、自動車用内燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000rpmまでの動作領域における中間部分に含まれるエンジン速度で最大トルクを生み出す。これに対し、一定速度あるいは低速度からより高い速度へ車を加速するときに最大トルクが通常必要とされる。この結果、自動車は典型的に、エンジンが生み出す高速で低トルクの回転を、自動車の推進に適したより低い速度でより高いトルクの回転に変換する変速装置システムまたは“ギヤボックス”を備える。
変速装置システムは自動車の他にも、回転を利用し、回転をより高いあるいはより低い速度に変換したり回転の向きを変えたりすることを必要とする多種多様な乗り物や他の機械的応用形態に利用される。この分野における当業者は、変速装置システムを用いた他の実施形態を熟知しているであろうから、更なる実施形態については説明を待つまでもない。また、本発明が自動車や他の特別な実施形態や決して限定されないことと、上述の自動車の例は変速装置システムの実施形態の説明を目的とするにすぎないことが、明らかに理解されるであろう。
多くの変速装置システムが、エンジンまたは原動機によって生み出される回転速度と、変速装置システムによって変換された結果としての回転速度/回転方向との間において、1つ以上の変換比率を備える。これは、ギヤボックス形式の変速装置システムにおいて、異なる大きさからなる一連の歯車群を備え、異なる大きさの歯車を互いに噛合させることによって全体として変換比を変化させることによって、実現される。変速装置に与えられる異なるギヤ比は、如何なる歯車の組み合わせが係合するかによる。これら歯車は典型的にケーシングに収容されることから、この種類の変速装置システムには“ギヤボックス”という口語体の名称がある。
前の段落で説明した変速装置システムにおける大きな問題の1つは、概して、個々に離散した不連続なギヤ比を少数しか備えないことである。これは、ギヤボックス内部の各々の歯車の大きさが固定され、それゆえ、可能なギヤ比の数が、互いに異なる大きさであって係合可能な歯車同士の組み合わせの可能な異なり具合に限定されるためである。例えば、殆どの自動車用ギヤボックスは、7個あるいはそれ以下のギヤ比(バックギヤを含む)を備える。このため、変速装置システムに入力される回転の速度と変速装置システムから出力される回転の速度との理想的な比が、幾つかの不連続なギヤ比の1つと一致しないという問題または非効率性に至る。
前の段落で説明された問題に関する1つの可能な実例として自動車の例を再び参照することが有用である。一般的に起こる状況は、要求される自動車速度において自動車エンジンが最適な燃料効率で動作することができる伝達比と、自動車のギヤボックスの可能な幾つかの比の1つとが、一致しないということである。それゆえ、自動車が所望の速度で走行するために、自動車のギヤボックスは非理想的なギヤ比にされ、自動車エンジンは最適な燃料効率によって実現するエンジン速度よりも高いあるいは低い速度で運転しなければならない。この分野の当業者は、他の実施例において、この種類のギヤボックスによって得られる不連続なギヤ比によって引き起こされる他の問題または非効率を認識するであろう。
それゆえ、不連続なギヤ比に限定されない、あるいは、極めて多数のギヤ比を少なくとも有する(好ましくは7種類を超えるのが良く、好ましくは互いに近似する)変速装置システムを備えることが有利である。これにより変速装置システムは、与えられた実施例における特定の動作速度のために要求される(あるいは、この要求に近似する)入力−出力比の条件にされる。
発明された変速装置システムは、不連続なギヤ比に限定されない。一般的に、これら異なる変速装置システムは、エンジンまたは原動機から伝達される回転の速度と、回転が変速装置システムによって変換された結果として得られる回転の速度/向きとの比が、連続的に変動するよう、大抵は与えられた範囲内で動作する。換言すると、それらは、伝達装置の入力−出力比に連続的あるいは無限の変動性を与えるよう、大抵は伝達装置の動作速度範囲内で動作する。
装置の入力−出力比に連続的変動性を与える上述した伝達装置の多くは、直径が可変のプーリあるいは"リーブズドライブ"(Reeves Drive)と称する構造を基本とする。リーブズドライブ形式の装置は1対の回転プーリ(1つの駆動/入力プーリおよび1つの従動/出力プーリ)と、これらプーリ間を延びるベルトを有する。各プーリは2つの分離した側部を有し、一緒に組み合わされることによりプーリ外周にV字形状の溝を形成する。それぞれのプーリにおける分離した側部は、後述のように、互いに近づくよう、および互いに離れるよう動くことができる。プーリが回転すると、ベルトは各プーリのV字溝に沿ってぐるりと走る。ベルトも典型的にはV字形状の断面を有することから、ベルトの側部はV字溝の側部と近似する勾配を有する。これにより、ベルトの側部はV字溝の側部に密接に接触し、ベルトとプーリとの間のスリップを最小限にする。
これらリーブズドライブ形式の装置による変速機の入力−出力比の変動は、一方のプーリの両側部を互いに近づくよう動かすとともに他方のプーリの両側部を互いに離れるよう動かすことによって達成される。これにより、一方のプーリのV字溝の幅が減少するとともに他方のプーリのV字溝の幅が増大する。駆動/入力プーリの両側部が互いに近づき、従動/出力プーリの両側部が互いに離れると、ベルトは駆動/入力プーリの外径側へ押し出されてより大きな直径でプーリの外周を動き、従動/出力プーリのV字溝の幅が増大してベルトはより小さな直径でプーリの外周を動く。この結果、従動/出力プーリの回転のために必要な駆動/入力プーリの回転はより少ないものとなる。したがって、変速装置システムは原動機から入力される回転をより高い速度に変換することができる。反対に、従動/出力プーリの両側部が互いに近づき、駆動/入力プーリの両側部が互いに離れると、逆の効果が得られる(すなわち変速装置システムは原動機から入力される回転をより低い速度に変換する)。
したがって、上述のようにプーリの両側部を動かすことによりプーリの直径を効果的に変化させ、これにより変速装置システムの入力−出力比を変化させる。この分野における当業者は、これらリーブズドライブ形式の装置において、これら2つのプーリの距離が変化せず、ベルトの長さも変化しないことから、入力−出力比を変化させるに際し、ベルトの張力を適切に保持するためには、双方のプーリを同時に調整しなければならない(すなわち一方の有効径が増加するのであればもう一方の有効径を減少しなければならない)ことを理解するであろう。これらシステムにおける重要な点の1つとして、各プーリの両側部間の間隔を変化させるに際して間隔の変化は不連続なものに限定されず、プーリの両側部間の空間を変動させることによって、変速装置システムの入力−出力比を連続的に変動させることが可能である。
本発明の目的は、変速装置システムの代替となり、システムの入力−出力比を連続的に変動することができ、極めて多種類のギヤ比を少なくとも備える形態を提供することである。本発明の変速装置システムは、様々な実施例に適用可能である。しかしながら明らかに理解されることは、ここで参照される先行または現存の変速装置システム、あるいは他の背景資料または情報は、いずれの変速装置システムまたはいずれの種類の他の情報またはこれらの組み合わせもこの分野における一般的常識の一部であるとか、またはオーストラリアや他のいかなる国において認識可能な先行技術であるとかという認定または認識を構成するものではないことである。
1つの形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するためのものであり、固定取り付けされた第1入力ギヤ12を有し、これにより前記第1入力ギヤ12を同じ速度で回転させる回転入力手段と、
・第1側で前記第1入力ギヤ12と係合し、前記回転入力手段の回転によって回転する第1リングギヤ21と、
・前記第1リングギヤ21の第2側に同軸に設けられた第1出力プラネットギヤ22と、
・前記第1出力プラネットギヤ22と係合する第2リングギヤ41と、
・第1変速軸31の第1端に設けられ、前記第1出力プラネットギヤ22および前記第2リングギヤ41と係合する第1サンギヤ32と、
・回転一致のために前記第2リングギヤ41と同軸に設けられた第3リングギヤ42と、
・第2変速軸51の第1端に設けられ、前記第3リングギヤ42と係合する第2出力ギヤ52と、
・第2変速軸51の第2端に設けられた第2入力ギヤ53と、
・前記第1変速軸31と同軸に設けられ、前記第2入力ギヤ53と係合する第4リングギヤ61と、
・前記第1変速軸31と同軸に設けられた第5リングギヤ62と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記第5リングギヤ62、および前記第1変速軸31の第2端に位置する第2サンギヤ33と係合する第2プラネットギヤ72と、
・前記第1変速軸31または前記第2変速軸51の少なくとも1つと係合し、前記回転入力手段に対する前記回転出力手段の速度および/または向きを制御するために、自身の回転速度が選択的に変動する回転可能な変調手段81または91とを備える。
他の形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって回転速度を選択的に連続して変化される変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の回転速度の変動が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動に作用する。
好ましくは、前記回転変調手段の速度を異ならせて、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの比を異ならせる。
他の形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって、回転を多数の異なる速度から選択して採用する変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の異なる速度が、前記入力回転の速度および/または向きと前記出力回転との異なる比を生成する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転を伝達するための入力軸と、
・前記入力軸の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転を伝達するための出力軸と、
・前記フライホイール構成部から前記出力軸へ回転を伝達するための変速部と、
・回転可能であって、その速度および/または向きを選択的に連続して変化させることができる少なくとも1つの変調軸とを備え、
少なくとも前記変調軸の回転または非回転が、前記変速部と相互に作用して、少なくとも前記変調軸の回転の速度および/または向きの変化が、入力軸の回転の速度および向きに対する出力軸の回転の速度および/または向きの変化に作用する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と、
・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記フライホイール構成部から前記出力部へ回転を伝達するためのものであって、第1変速軸および第2変速軸を含み、全体/正味の出力回転の速度および/または向きが、少なくとも一部において、前記第1変速軸の回転の速度/向きおよび前記第2変速軸の回転の速度/向きに依存する変速部と、
・少なくとも1つの前記変速軸に関連する変調部であって、当該変調部に適用される、あるいは当該変調部による、連続して変動する加速または減速の影響が、前記変速軸の少なくとも1つの回転を加速または減速し、入力回転の速度および/または向きに対する出力回転の速度および/または向きを連続的に変動させる変調部とを備える。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と、
・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・回転または非回転によって前記フライホイール構成部の回転に作用する第1変速軸および第1変速構成部と、
・自身が回転する場合に前記第1変速構成部が回転する前記第2変速軸と、
・前記第2変速軸が回転する場合に回転し、自身の回転または非回転および前記第1変速軸の回転または非回転が前記出力回転の全体/一部に作用する第2変速構成部と、
・自身の回転または非回転が前記変速軸の1つの回転または非回転にリンクされた変調部であって、前記変調部にリンクされた前記変速軸の回転を加速または減速するために、連続的に変動して増進または減退するトルクを前記変調部に適用し、この連続的に変動する前記変速軸の回転の加速または減速が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動を可能にする、少なくとも1つの変調部とを備える。
ほとんどの変速装置システムと同様に、本発明の変速装置システムは、原動機によって生み出される回転を、異なる速度の回転、異なる向き、あるいはその両方に変換するよう典型的に動作する。本発明に最もよく用いられる原動機の種類として予測されるものは、内燃機関エンジンまたは電気モータである。しかしながら、本発明の変速装置システムには、回転運動を生み出す他のいかなる形態の原動機、例えば風車、水車、手動で回転させられるクランク等、またはこれらの組み合わせ、を代替的に用いることができる。この分野における当業者は、変速装置システムの駆動回転として用いることができるその他の可能な原動機を認識することができるであろう。
変速装置システムは、原動機が生み出す回転を変速装置システムへ入力する手段を含む。最も典型的には、原動機が、原動機によって生み出される回転運動を“出力する”駆動軸、クランクシャフト、またはこれに類似するものを有する。これらの場合において、変速装置システムは、原動機の駆動軸に接続可能であり、あるいは駆動軸にリンク可能(おそらく一連のリンク構成部を用いる方法か他の機構)な入力軸を有する。これにより、回転が入力軸を経由して変速装置システムへ伝達される。それゆえ、入力軸は、本発明に用いられる“入力”または“回転入力手段”のおそらく最も一般的な形態である。
しかしながら、入力軸は、変速装置システムが原動機から回転を受け取るための唯一の手段ではない。例えば、原動機の駆動軸が変速装置システムの中へ直接延在してもよい。この場合、変速装置システムの内側の構成部(内歯車または軸等)の1つとして、ソケット、スロット、または原動機の駆動軸を挿通することができるかあるいは駆動軸と接続することができる他の開口であってもよい。これに代えて、変速装置システムの内側の構成部は、プラグ、または原動機の駆動軸先端のソケットに差し込まれる一種の突起であってもよく、これにより駆動軸と接続する。これらの場合において、変速装置システムの内側の構成部に位置する、ソケット、スロット、プラグ、突起等は、原動機から変速装置システムへ回転を伝達する“入力部”または“回転入力手段”である。同様に用いられる他の回転入力手段として、例えば水または油を用いた結合(hydraulic linkage)がある。この分野における当業者は、さらに可能な回転入力手段または機構(またはこれらの組み合わせ)について知っており、かかる手段はいずれも発明の範囲以内にある。
変速装置システムはまた、“出力する”ため、あるいは変速装置システムによって伝達および変換された回転を伝達するための手段を含む。換言すれば変速装置システムは、回転可能な機械、または駆動するために変速装置システムを用いる他の装置へ回転を受け渡す手段を有する。回転入力手段に関して前述したように、同様の考察が、この“出力部”または“回転出力手段”に適用される。それゆえ、変速装置システムは、ほとんど典型的に、変速装置システムが駆動している機械/装置と接続可能な出力軸を備え、あるいは何らかの手法によってかかる機械/装置とリンクし(可能であれば一連の結合構成部またはその他の機構)、これにより、回転がかかる機械/装置に伝達される。しかしながら、前述のように回転入力手段に使用可能な機構または配列のいずれも、回転出力手段に同様に使用可能である。
本発明の変速装置システムは、変速装置システム入力部から変速装置システム出力部へ回転を伝達するための“変速部”または“変速手段”を有する。また、回転可能であって変速部の動作に作用する“変調部”または“変調手段”を有する。1実施形態として、変調手段は極めて多種類の個々に離散した角速度を選択的に採用するものであってもよい。この点に関し、変調手段は6種類以上の回転速度を採用可能であるべきであり、好ましくは10種類以上であり、好ましくは50種類以上である。しかしながら、他の実施形態では(おそらくより好ましくは)、変調手段の回転速度が選択的および連続的に変動可能である。換言すると、無限の数の速度を、おそらくは与えられた動作範囲内で採用することができる。前述した“変速部”または“変速手段”の回転は、“変速部”または“変速手段”と相互に作用する。ここで、極めて多種類の個々に離散した速度を変速手段の回転に採用することができ、変調手段の異なる速度が、変速装置システムの入力回転および出力回転の速度および/または向きの間で、異なる比を生成する。ここで、変調手段の回転速度は連続的に変動可能であり、変調手段の回転速度の変動によって、入力回転に対する出力回転の速度および/または向きを連続的に変動させることができる。
前の段落で述べたように、変速装置システムは“変速部”または“変速手段”(以下単に変速部という)を有する。変速部は好ましくは第1変速軸および第2変速軸を含み、全体/正味の出力回転の速度および/または向きは、少なくとも一部において、第1変速軸の回転速度/向きと第2変速軸の回転速度/向きとの差異に依存する。前述したように、“変調部”または“変調手段”(以下単に変調部という)の回転は変速部と相互に作用して変速装置システムの入力回転に対する出力回転の速度/向きを変動させる。好ましくは、変調部が変速軸の少なくとも1つの回転の速度/向きを変動させることによってこれを行う。
前述した入力および出力手段と同様に、変調部は広い様々な形態が可能である。変調器、あるいは各変調器は、回転可能な変調軸を通常有することが予想される。変調軸の回転は変速軸の少なくとも1つの回転とリンクし、これにより変調部の回転が変速軸の少なくとも1つの回転に作用する。しかしながら、変調部は軸またはシャフトの形態を有する必要はなく、その他の様々な形態が可能である。例えば、変調部はその他の形態の回転構成部を有し(そのようなものとして例えばプーリ、またはローラ、またはスピニングベルト(spinning belt)、またはチェーンなどがある)、その回転はベルト、チェーン、流体結合(hydraulic linkage)、相互に係合する歯車、スプロケット、磁気的または電気的なカップリング、または同様の結果を達成することができる他のいかなる器具/機構によって1つの変速軸の回転と関連してもよい。にもかかわらず、上述したように、(各)変調部は典型的に回転可能な変調軸の形態を有する。
本発明の好ましい実施形態として、変調軸は第1および第2変速軸のそれぞれに設けられる。したがって、第1変調軸が設けられて、その回転が第1変速軸の回転とリンクし、第2変調軸が設けられて、その回転が第2変速軸の回転とリンクする。特に好ましい実施形態として、第1変調軸が第1変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有し、第2変調軸が第2変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有する。したがって、第1変調軸に適用される加速/減速が、ベベルギヤ同士の係合を経由して伝達され、対応する加速/減速を第1変速軸に引き起こす。同様に、第2変調軸に適用される加速/減速が、対応する加速/減速を第2変速軸に引き起こす。
変速装置システムはフライホイール構成部を備えてもよい。フライホイール構成部は好ましくは変速装置システムの入力部に機能的にリンクし、入力部の回転(すなわち入力回転)はフライホイール構成部の回転を引き起こす。フライホイール構成部はベルト、歯車、プーリ、チェーン等によって入力部と機能的にリンクする。しかしながら、より好ましくは、フライホイール構成部はリングギヤ部分を含み、入力部は入力ギヤが固定取り付けされた入力軸を有し、入力ギヤが入力軸とともに同じ速度で回転する。適切な形態として、入力ギヤはフライホイール構成部のリングギヤ部分に係合して、入力軸の回転がフライホイール構成部の回転を引き起こす。これらの実施形態では、フライホイール構成部のリングギヤ部分の直径が入力ギヤのそれよりも大きい。その結果、入力ギヤとフライホイール構成部のリングギヤ部分の係合が、フライホイール構成部に回転を付与するが、フライホイール構成部の回転を、入力軸よりも遅くする。
変速装置システムの“変速部”はまた、第1変速構成部および第2変速構成部を含んでいてもよい。好ましくは、第1および第2変速構成部の双方が第2変速軸と機能的にリンクし、第2変速軸が回転すると双方の変速構成部が回転する。第1および第2変速構成部はベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって第2変速軸と機能的にリンクする。また、1つの変速構成部が第2変速軸の一方と機能的にリンクし、他の1つの変速構成部が第2変速軸の他方と機能的にリンクしてもよい。しかしながら好ましい実施形態として、各変速構成部がリングギヤ部分を含み、第2変速軸は分離した平歯車部分を有する。1つの平歯車部分は第1変速構成部のリングギヤ部分と係合し、他の平歯車部分は第2変速構成部のリングギヤ部分と係合する。好ましくは、第2変速軸の平歯車部分が第2変速軸の何れか一方端に固定取り付けされた平歯車を有する。第1および第2変速構成部は第2変速軸のいずれか一方端に配置されて(すなわちこれにより第2変速軸は変速構成部の間に位置する)、変速構成部のうち第2変速軸に向かうそれぞれの部分にはリングギヤ部分が形成される。
各変速構成部のリングギヤ部分の直径は、典型的に第2変速軸の平歯車の直径よりも大きい。結果的に、第2変速軸のそれぞれの平歯車と第1および第2変速構成部のそれぞれのリングギヤ部分との係合によって、第2変速軸の回転が第1および第2変速構成部に伝達されて、各変速構成部の回転は第2変速軸の回転よりも遅い。
第1変速構成部もフライホイール構成部と機能的にリンクしてもよく、これにより第1変速構成部の回転または非回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的なリンクは、ベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現される。好ましくは、フライホイール構成部は平歯車タイプのプラネットギヤ部分を有し、第1変速構成部を有する。これは、上記の2つの段落で説明した第1変速構成部のリングギヤ部分と同様であってよく、あるいは第1変速構成部の分離したリングギヤ部分であってもよい。いずれにしても、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分は、第1変速構成部のリングギヤ部分と係合する。特に好ましい実施形態として、第1変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネットギヤ部分の歯の接線速度と同じになると、フライホイール構成部は自身の主軸に関してのみ回転する。しかしながら、第1変速構成部の回転によって、リングギヤ部分の歯の接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネットギヤ部分の歯の接線速度と異なれば、フライホイール構成部は自身の主軸に関して回転することに加えて公転運動する。
この分野における当業者は、リングギヤが典型的に、輪に沿った一連のギヤ歯を伴うリングを有し、ギヤ歯がリングの円筒主軸に向かって放射状に指向することを認識するであろう。しかしながらこの明細書では、要求される他の事情がない限り、“リングギヤ”という用語が、かかる従来の形式だけでなく、輪の外側で延びる一連のギヤ歯を備え、これらギヤ歯は外方へ放射状に指向するリング(したがって歯はリングの円筒主軸から離れて指す)を含むとして理解されなければならない。
第1変速軸はフライホイール構成部と機能的にリンクして、第1変速軸の回転または非回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的なリンクは、ベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現される。好ましくは、第1変速軸は、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分と係合するギヤ部分(平歯車タイプのサンギヤが第1変速軸の一方端に取り付けられる)を有する。
好ましい実施形態として、第2変速構成部の回転または非回転および第1変速軸の回転または非回転が、変速装置システムの出力部から伝達される全体/正味の回転に作用する。第1変速軸は第2変速軸と類似することが適切であり、この場合、他端に固定取り付けされた平歯車を有する。特に好ましい実施形態として、第1変速軸は第1および第2変速構成部と同軸であり、第1変速軸の細長い軸部分が第1および第2変速構成部それぞれに設けられた軸方向孔を貫通して延びる。
特に好ましい実施形態として、変速装置出力部は出力軸を有し、出力軸は段付きの形状を有する。特に出力軸は、第1変速軸と同軸であって第1変速軸と共通する軸線を中心として回転する細長い部分と、この共通する軸線を周回する軌道を描く偏心部分とを有する。好ましくは、平歯タイプのプラネットギヤ(出力プラネットギヤ)が出力軸の偏心部分にピボットで取り付けられている。出力プラネットギヤは第2変速構成部のリングギヤ部分(これは前述した第2変速構成部のリングギヤ部分と同じであるか分離したリングギヤ部分である)と係合し、出力プラネットギヤはまた第1変速軸の先端の歯車と係合する。
前の段落で説明した実施形態につき特に好ましくは、第2変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と同じ大きさであって逆向きになると、出力プラネットギヤはこのリングギヤ部分と第1変速軸のこの歯車の双方と係合することから、この状況で出力プラネットギヤは自身の主軸に関してのみ回転する。しかしながら、第2変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と異なれば(異なる大きさ、異なる向き、または双方)、出力プラネットギヤは自身の主軸に関して回転することに加えて公転運動する。出力軸の偏心部分は出力プラネットギヤとピボットで接続することから、出力プラネットギヤの公転運動によって出力軸の偏心部分は同じ軌道を動く。しかし、出力プラネットギヤと出力軸のピボット接続により、出力軸は出力プラネットギヤの公転運動に追従するのみで、出力ギヤの自身の主軸に関する回転に追従しない。出力軸の偏心部分の公転運動によって第1変速軸と同軸である出力軸の部分の回転を引き起こし、これにより変速装置システムの外へ回転が伝達される。
図面を参照して、発明の1実施形態を説明する。しかしながら発明は、説明中の実施形態の特定の特徴に限定されるものではない。
本発明を説明する実施例になる“ギヤボックス”タイプの可変変速装置システムを示す斜視図である。 図1とは少し異なった角度から見た可変ギヤボックスの斜視図である。 可変ギヤボックスの側面図である。 可変ギヤボックスの平面図である。 可変ギヤボックスを一方端から見た図である。 可変ギヤボックスを図5とは反対の他方端から見た図である。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 本発明の実施例である可変変速装置システムを示す模式図である。
以下の実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態になる変速装置システムの運動学的解析を行った。変速装置システムの形態が図10に図示される。変速装置システムの入力端には、内部減速歯車組を伴い入力軸を駆動する直流モータが設けられ、入力軸は様々な負荷のもと実際上一定速度で駆動され、異なる動作領域の調査および実演を単純化する。
出力部はハンドホイール(hand wheel)である。2つの操作輪が設けられ、各制御輪は直角のベベルギヤを経由して変速装置内のそれぞれの中間軸と機械的に接続する。制御I輪はリングギヤと噛合する歯車に取り付けられ、制御II輪はサンギヤに取り付けられる。これら2つの制御の関係は固定され、1つの制御を特定の速度で駆動するか、他の1つの制御を(異なる)特定の速度で駆動することにより、与えられた出力/入力比を達成する。
機構の運動学的解析は、出力速度が、入力速度および制御速度に基づいて計算されることを可能にする2つの方程式を提供する。方程式の形式は、制御Iまたは制御IIを用いるものであり、入力および制御の合計に重み付けをしたものが出力である。ここの注目点は遊星歯車組の特徴を“合計すること”である。
出力=0.375×制御I−0.125×入力 ・・・・・・・(式1)
出力=0.75×制御II+0.25×入力 ・・・・・・・(式2)
表1は幾つかの可能な変速装置の運動学的状態を示し、−入力から+入力までの間で制御Iまたは制御IIを駆動することにより達成される。表示される数値は、入力軸の1回転に対して変速装置の要素が達成する回転の数を示し、あるいはこれに対応して、入力軸の速度が1であるときの変速装置の要素の速度を示す。それぞれの運動学的シナリオ(a)から(e)までは異なる制御速度を有する。またリングギヤ要素の速度が表に示される。
表1の内容は、以下の表2に図解的に表される。
(c)を除くすべてのシナリオは制御を速度0または±1で駆動することにより達成可能である。これらのシナリオは、固定の静止している要素(制御速度0のため)のように、ギヤボックス・シャシ上で制御に物理的にブレーキをかけることにより、あるいは、制御を入力あるいは逆回転する入力に直接(クラッチによって)つなぐことにより(制御値±1のため)、機械的に達成される。
制御Iおよび制御IIの有益な特徴はそれぞれ、“片側の操作”および“広い範囲”である。考えられる限り、これらの特徴は、複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)において、組み合わせることができる。以下の表3に図解的に表す。
表3のチャートを参照して、各制御は速度0から+入力までの間のみによって駆動される。この場合、制御Iはリバース、ニュートラルギヤ、およびローギヤを達成するために用いられ、制御IIは低い比から高い比を達成するために用いる。これは、(CVTのような)外部速度変更装置を制御Iあるいは制御IIのいずれかに選択的につなぐよう設計されたクラッチによって、機械的に実行することができる。最も単純なCVTは負数の比および正数の比の双方を実現しない。この複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)を用いることにより、負数の比および正数の比の双方を生み出す外部変数速度装置が不要になる。この結果、制御Iや制御IIのみを使用するよりも、より単純な機械的製品が可能になる。
以下において図面を詳細に説明する。図面より、可変ギヤボックスは以下に説明する構成部分を含むことが理解される。
・入力軸11および入力ギヤ12からなる入力構成部10。入力ギヤ12は平歯車であって、入力軸11の内側端に固定接続される。これにより入力ギヤ12は入力軸11と同じ回転速度で回転する。
・リングギヤ部分21(“フライホイールリングギヤ”)および平歯車タイプのプラネットギヤ部分22(“フライホイールプラネットギヤ”)を有する“フライホイール”構成部20。フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の平坦な裏面に設けられて、フライホイールリングギヤ21と同軸にされる。これによりフライホイールプラネットギヤ22はフライホイールリングギヤ21と同じ回転速度で回転する。
・細長い剛体の軸部分31と、平歯タイプの入力側サンギヤ32と、平歯タイプの出力側サンギヤ33からなる第1変速軸30。入力側サンギヤ32は、入力構成部10に最も近い軸31の一方端に固定接続される。出力側サンギヤ33は軸31の他方端に固定接続される。したがって軸31、入力側サンギヤ32、および出力側サンギヤ33はすべて同じ速度で一緒に回転する。軸31は、後述する変速構成部の軸線上に設けられた孔を貫通して延びる。第1変速軸30は、軸部分31の途中に固定されるベベルギヤ34をさらに有する。この機能についても後述する。
・おおよそ円筒形状であって、構成部を半分に分離する分割壁44で2つの円形部分に分割された第1変速構成部40。構成部の一方の半分は第1入力側リングギヤ41を形成し、他方の半分は第1出力側リングギヤ42を形成する。分割壁44は軸線貫通孔43を含み、この孔を第1変速軸30の軸部分31が通過して延びる。
・細長い剛体の軸部分51と、平歯タイプの入力側ギヤ52(入力ギヤ12とは区別される)と、平歯タイプの出力側ギヤ53(後述する出力プラネットギヤ72とは区別される)からなる第2変速軸50。入力側ギヤ52は、入力構成部10に最も近い軸51の一方端に固定接続され、出力側ギヤ53は軸51の他方端に固定接続される。したがって軸51、入力側ギヤ52、および出力側ギヤ53はすべて同じ速度で一緒に回転する。第2変速軸50は、軸部分51の途中に設けられたベベルギヤ54をさらに有する。
・段付きに形成された出力軸71および平歯タイプの出力プラネットギヤ72からなる出力構成部70。重要なことには、入力構成部10と比較した出力構成部70の相違点が、入力軸11が直線形状であることに対し出力軸71が段付き形状にされていることだけではなく、入力ギヤ12が入力軸11に固定接続されることに対し出力プラネットギヤ72が出力軸71にピボットで接続されることである。なぜなら、出力プラネットギヤ72が出力軸71の内側端にピボットで接続されることにより、出力軸71を安定維持する一方で出力プラネットギヤ72が回転することが可能になるからである。
・変調軸81およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ82を有する第1変調部80。第1変調ベベルギヤ82は、第1変速軸31に設けられたベベルギヤ34と噛合する。この機能については後述する。
・第1変調部80と同様に、変調軸91およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ92を有する第2変調部90。第2変調ベベルギヤ92もまた、第2変速軸51に設けられたベベルギヤ54と噛合し、この機能については後述する。
実際のところ、図面に表された可変ギヤボックスは、図示されない多数の構成部を包含する。例えば、ギヤボックス構成部は通常、ケーシングの中に収容される。ケーシングは典型的にギヤボックス構成部を包囲する殻を形成するが、入力軸11、出力軸71、第1変調軸81、および第2変調軸91がギヤボックスの外の構成部を駆動しまたは駆動されるよう接続するための開口または接続手段を伴う。様々なギヤボックス構成部をケーシング内に配設するために、様々な取付具、軸受部、締結手段、またはそのようなものも、ギヤボックスのケーシング内に設けられる。かかる点につき当然のことながら、ギヤボックス内の多くの構成部が“固定される”が、この意味するところは、ギヤボックスが要求通り動作するように、構成部がそれぞれの円筒主軸に関して回転可能であって、他の形態の運動が規制されることである。ただし、これには幾つかの例外がある。例えば、第2プラネットギヤ72は自身の軸線に関して回転することに加え、出力側サンギヤ33を周回する軌道を描くよう運動してもよい(場合によっては、入力−出力比を変化させるためにどのようにギヤボックスを動作させるかによる)。この種の公転運動は、遊星歯車配列において極めて一般的である。また、フライホイール構成部20は、“浮動”構成部であって、これによりフライホイール構成部20は、フライホイールプラネットギヤ22が入力側サンギヤ32の周囲を運動するような軌道に沿って、運動してもよい(これも、入力−出力比を変化させるためにどのようにギヤボックスを動作させるかによる)。様々な構成部の運動については、後で詳細に説明する。回転を生み出す原動機(例えば内燃機関エンジンまたは電気モータ)は、何らかの方法により入力軸11に接続される駆動軸を備え、原動機の回転が入力軸11の回転をもたらし、原動機からギヤボックスへ回転を伝達する。入力軸11の回転は入力ギヤ12の回転と一致する。入力ギヤ12上にある外方へ向けて延びる平歯車の歯は、フライホイールリングギヤ21上にある内方へ向けて延びるリングギヤの歯に噛合し、これにより回転がフライホイール構成部20に伝達する。
この点につき、図面に表される特定の実施例では、様々な“リングギヤ”タイプの構成部が、様々な平歯車タイプのギヤの直径よりも3倍以上大きな直径を有することが有用である。リングギヤタイプの構成部は、様々な平歯車タイプの構成部の3倍の歯数を有する。
最初の説明の目的は、上述した入力軸11および入力ギヤ12の回転が、入力ギヤの歯とフライホイールリングギヤ21の歯との噛合により、フライホイール構成部20に同じ向きの回転をもたらすということを第1に述べることである。フライホイールリングギヤの直径が入力ギヤ12の直径よりも(3倍)大きいために、フライホイール構成部20は入力軸よりもゆっくりと回転する。また、この回転は、フライホイール構成部全体の正味運動量である。
前述したように、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の裏面に固定取り付けされる。これにより、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の残りの部分と同じ速度および向きで回転する。
図1に示すように、フライホイールプラネットギヤ22は、(第1変速軸31と接続する)入力側サンギヤ32および(第1変速構成部40の一部である)第1入力側リングギヤ41の双方と係合する。これにより、フライホイール構成部20の回転が、第1変速軸30および第1変速構成部40の双方に回転を付与することができる。しかしながら、回転がこれら構成部の双方または一方に付与すられるか否かは、加速または減速トルクが変調部に適用されるか否かによる。あるいは、変調部に適用される加速または減速トルクの組み合わせによる。この点については後述する。
最初の説明の目的は、いずれの変調部にも加速または減速トルクのいずれも適用されない場合を考えることである。このため、各変調部は、それぞれと係合する変速軸の回転とともに回転する。この場合において、フライホイール構成部20の回転は、入力側サンギヤ32および第1入力側リングギヤ41の双方に回転を付与する。したがって、第1変速軸30および第1変速構成部40の双方が回転する。入力軸11の回転が図1に矢印で示される向きであって、回転速度ω(したがって、同じ速度であるが逆の向きであれば−ωと表される)である場合を想定する。このとき、入力ギヤ12も角速度ωで回転する。しかしながら、フライホイール構成部20の直径は入力ギヤ12のそれよりも3倍大きいため、フライホイール構成部20の回転はより遅く、ω/3の速度である。したがって、フライホイールプラネットギヤ22の回転もω/3の回転速度である。
加速または減速トルクが変調部のいずれにも適用されない場合に、第1変速構成部40の回転はフライホイール構成部20の回転よりも遅くなるが、回転の向きは同じである。もっと具体的にいうと、第1変速構成部40の直径はフライホイールプラネットギヤ22の直径よりも3倍大きいため、第1変速構成部40は角速度ω/9で回転する。(プラネットギヤ22およびサンギヤ32は同じ直径を有するため)入力側サンギヤ32の回転はフライホイール構成部20の回転と同じ速度であるが、フライホイール構成部とは回転の向きが逆である。したがって、入力側サンギヤ32は回転速度−ω/3で回転する。
入力側サンギヤ32は第1変速軸31に直接取り付けられ、図2に示すように、第1変速軸31は何ら干渉することなく、第1変速構成部40の中心にある孔43を貫通して延びる。同じように、第1変速軸31の他端も何ら干渉することなく、図1に示すように、第2変速構成部60の孔63を貫通して延びる。この結果、以前の段落で説明した入力側サンギヤ32に付与される回転は第1変速軸30の他の部分へ伝達される。換言すれば、第1変速軸31、ベベルギヤ34、および出力側サンギヤ33は、入力側サンギヤ32と同じ速度および同じ向きに、つまり−ω/3で回転する。ここに示される状況は、加速/減速がいずれの変調部にも適用されず、これにより上述した第1変速軸30の回転が第1変調ベベルギヤ82を経由して伝達され、第1変調部80が回転する。第1変調部80は第1変速軸30と直交して配置される。それゆえ、上述してきたような回転の向きを表す+/−の記号による表現は、第1変調部80に適用されない(第2変調部90も同様である)。しかしながら、第1変調ベベルギヤ82の歯数がベベルギヤ34の歯数と等しく、それゆえ第1変調部80の回転速度の大きさは|ω/3|である。
上述のように、加速/減速がいずれの変調部にも適用されない状況では、フライホイール構成部20の回転によって、第1変速構成部40がω/9の回転速度で回転する。図2に示すように、入力側ギヤ52は内方へ向けて延びる第1出力側リングギヤ42の歯に係合する。この結果、第1変速構成部40の回転が入力側ギヤ52の回転を引き起こす。入力側ギヤ52の直径は第1出力側リングギヤ42の直径の3分の1である。それゆえ入力側ギヤ52は、第1出力側リングギヤ42と同じ向きで回転するが、3倍の速度、つまりω/3である。
入力側ギヤ52は第2変速軸50の先端に固定接続される。それゆえ、入力側ギヤ52の回転が第2変速軸50の他の部分(つまり第2変速軸51、出力側ギヤ53、およびベベルギヤ54)の回転を引き起こし、ω/3の速度で回転させる。上述した第2変速軸50の回転が第2変調ベベルギヤ92を経由して第2変調部90に伝達され、第2変調部90も回転する。第2変調部90の回転速度の大きさは|ω/3|である。
この点につき付言すると、入力軸11が速度ωで回転して加速/減速が変調部のいずれにも適用されない当該状況において、第1変速軸30は−ω/3の速度で回転し、第2変速軸50はω/3の速度で回転する。換言すると、これら変速軸は、入力回転の3分の1の速度で、それぞれ反対の方向に回転している。
再び図1を参照して、(第2変速軸50の一部である)出力側ギヤ53は、第2変速構成部60の第2入力側リングギヤ61と係合する。これにより、第2変速構成部は第2変速軸50と同じ向きに回転するが、(第2変速構成部60の直径が出力側ギヤ53のそれの3倍であるため)速度は3分の1である。したがって、第2変速構成部は速度ω/9で回転させられる。
また前述したように、ギヤボックスの出力側に向かって延びる第1変速軸30の先端が、第2変速構成部60の軸方向孔63を貫通する。図2に示すように、第1変速軸30の当該先端には出力側サンギヤ33が取り付けられる。出力側サンギヤ33は出力プラネットギヤ72と係合する。しかしながら、出力プラネットギヤ72も第2変速構成部60の第2出力側リングギヤ62と係合する。それゆえ出力プラネットギヤ72は出力側サンギヤ33および第2出力側リングギヤ62の双方と係合する。
前述したように、出力側サンギヤ33(および第1変速軸30全体)は−ω/3の速度で回転している。また前述したように、第2変速構成部60はω/9の速度で回転している。しかしながら、第2変速構成部60の直径は出力側サンギヤ33の直径よりも3倍大きい。それゆえ、出力プラネットギヤ72と係合する出力側サンギヤ33の歯の接線速度は、出力プラネットギヤ72と係合する第2出力側リングギヤの歯と厳密に等しい。この効果として、出力プラネットギヤ72が、出力側サンギヤ33の周囲を回る軌道に沿って運動することなく、単に“1つの箇所に留まって”自身の主軸に関してのみ回転する。また、出力プラネットギヤ72は出力軸71にピボットで接続するため、出力プラネットギヤ72がこのように1つの箇所で回転するときに出力軸71は動かないままである。出力軸71を回転可能にする唯一の方法は、出力プラネットギヤが出力側サンギヤ33の周囲を公転運動することである。
結果的に、入力軸11が速度ωで回転し加速/減速が変調部のいずれにも適用されない当該状況では、第1変速軸30および第2変速構成部60の回転より得られる結果として、ギヤボックスを通過して伝達される回転はない(しかしながら各変調部は前述した|ω/3|の大きさで回転する)。換言すると、当該状況では、ギヤボックスにおける出力速度/入力速度の比が0である。図7は、当該状況における様々な構成部の回転の速度および向きの図式的な概要を示す。
次に、以下記載の(図式的に図8に代表される)別な状況につき考えてみる。
・第1変調部80を適切な位置に固定するために第1変調部80に十分に大きな減速トルクが適用され(すなわち全く回転しないようにする)、
・第2変調部90にトルクが適用され、第2変調部90が|ω/2|の大きさの一定の角速度で回転し(向きを図8に示す)、および
・入力軸が上述した速度ωと同じ角速度で回転している。
この別のシナリオでは、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21との係合が、フライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転をもたらす。しかしながら、第1変調部80は現在固定されているため、入力側サンギヤ32も固定状態になる。それゆえ、入力側サンギヤ32は固定される。結果的に、フライホイール構成部20の回転と、フライホイールプラネットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合により、フライホイールプラネットギヤ22は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。この公転運動の速度は、図8に矢印で示すように、−ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図8に示す向きに回転するため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述のように、各変速構成部のリングギヤの直径が第2変速軸50の両端にあるギヤの直径よりも3倍大きいため、第1および第2変速構成部の回転は第2変速軸50よりも遅い。したがって、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は速度ω/6で回転する。
それゆえ、この別な状況では、(第1変速軸30全体が動かないため)出力側サンギヤ33は動かない。その一方で、(第2変速構成部60全体が速度ω/6で回転しているため)第2出力側リングギヤ62は速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72は出力側サンギヤ33および第2出力側リングギヤ62の双方と係合する。それゆえ、出力プラネットギヤ72の全体/正味の回転(および出力軸71の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リングギヤ62との相互作用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定される。この場合、第2出力側リングギヤ62の回転は、自身の円筒の主軸に関し、出力プラネットギヤ72を速度ω/2(すなわちリングギヤ62の速度の3倍であるが同じ向き)で回転させる。しかしながら、これは、出力プラネットギヤ72が出力側サンギヤ33の周囲の軌道に沿って回転することを意味する(なぜなら出力側サンギヤ33は回転することなく固定されているためである)。それゆえ、出力プラネットギヤ72は、自身の主軸に関して速度ω/2で回転するだけでなく、出力側サンギヤ33の周囲を公転速度ω/2で公転運動する。その結果、出力プラネットギヤ72の公転運動によって、出力軸71は速度ω/2で回転する。
それゆえ、この別な状況では、第1変調部80を回転しないよう固定すること、および第2変調部90を(図8に示すように)速度|ω/2|で回転させることの効果は、入力軸が速度ωで回転する間、入力回転と同じ向きの出力回転をもたらすが、速度は3分の1になるという効果である。したがって、速度ω/2の出力回転をもたらす効果がある。他の言い方をすれば、ギヤボックスの出力速度/入力速度の比を2とする。
図9は、さらに別の例の状況を概略図示するものであり、
・第1変調部80にトルクが適用されて、第1変調部80は大きさ|2ω|(図9に向きを示す)になる一定の角速度で回転し、
・第2変調部90にトルクが適用されて、第2変調部90は大きさ|ω/2|(図9に向きを示す)になる一定の角速度で回転し、
・入力軸は前述のように同じ角速度ωで回転している。
このさらに別のシナリオでも同様に、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21との係合が、フライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転をもたらす。しかしながら、第1変調部80は現在速度|2ω|で回転しているため、これにより第1変速軸30は−2ωの速度で回転する。それゆえ、入力側サンギヤ32は−2ωで回転する。結果的に、フライホイール構成部20の回転と、フライホイールプラネットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合により、フライホイールプラネットギヤ22は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。この公転運動の速度は、図9に矢印で示すように、−2ω+ω/3=−5ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図9に示す向きに回転するため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述した例と同じ理由により、双方の変速構成部の回転は速度ω/6(すなわち第2変速軸50の速度の3分の1)である。
それゆえ、このさらに別な状況では、出力側サンギヤ33が速度−2ωで回転する(なぜなら第1変速軸30全体が当該速度で回転しているため)。その一方で、第2出力側リングギヤ62は(前の段落で説明したように)速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72の全体/正味の回転(および出力軸71の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リングギヤ62との相互作用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定される。このさらなる場合、出力プラネットギヤ72が(速度ω/6で回転している)第2出力側リングギヤ62および(速度−2ωで回転している)出力側サンギヤ33と係合することによる正味の効果は、出力プラネットギヤ72に、自身の主軸に関して速度ω/2の回転を引き起こし、また公転速度が−2ω+ω/2=−3ω/2となる出力プラネットギヤ72の公転運動を引き起こすことである。
換言すると、このさらに別の状況では、(図9に示すように)第1変調部80が速度|2ω|で回転することおよび(図9に示すように)第2変調部90が速度|ω/2|で回転することの効果として、入力軸が速度ωで回転する間、出力軸71の出力回転を、入力回転とは反対の向きに、1.5倍の速度にすることである。したがって、この状況では、ギヤボックスの出力/入力比が−3/2=−1.5である。
これらの例では、第1および第2変調部の加速/減速トルクの組み合わせを変化させることにより、ギヤボックスの入力軸の速度に対する出力軸の速度および向きを変動させる効果を有することを、実演した。さらには、(これらのうち少なくとも1つの)変調部に適用される加速/減速が連続的に変動可能であり、これにより、ギヤボックスの入力出力比を連続的に変化させることが達成できることが理解されよう。これに代えて、時には、これら変調部(あるいはこれらのうちの1つ)に適用される加速/減速を連続的に変化させることができない場合がある。代わりに、一方または双方の変調部が、個々に離散した極めて多種類の速度で、可能ならば一方または両方の向きで、回転することが可能であってもよい。これらの場合、より多くの種類の速度が一層好ましい(基本的には多ければよい)が、少なくとも1つの変調部につき6種類以上の異なる回転速度を可能とするべきである。また、個々に離散した異なる速度は、互いに極めて近似するべきである(すなわち、不連続な速度同士の間のギャップを大きくするべきではない)。互いに近似する不連続な速度により、変速装置システムの出力/入力比を適切に微調整することが可能になる。変速装置の出力/入力比を適切に微調整する能力は、背景技術の欄で前述した問題を緩和するのに役立つ。つまり、従来のギヤボックスは個々に離散した比を僅かしか供給せず、エンジンを理想の速度で運転しつつ所望の出力速度を得るための伝達比を供給できないため、原動機を最適な速度よりもより高いまたはより低い動作速度で運転する必要があった。互いに近似した極めて多種類の不連続な変調部速度を具備することにより、本発明の変速装置システムは、理想の伝達比に近似する伝達比を少なくとも供給する。
当業者は、発明の範囲および思想から逸脱しない限り、説明された特定の実施例に様々な変形および修正を加えることを認識するであろう。
本発明は、ギヤボックスを含む変速装置システムに関するが、これに限定されるものではない。
一般的用語としての変速装置システムは、エンジンや他の原動機から出力軸までの回転を、異なる速度の回転にしたり、異なる向きの回転にしたり、あるいはこれら双方をするように、回転を変換する機能を果たす。ギヤボックスは変速装置システムとして一般的なものである。ギヤボックスの一般的な使用として、高速で低トルクの回転をより低い速度でより高いトルクの回転に変換する。この好適な例として自動車のギヤボックスがある。
従来の自動車に用いられる内燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000rpmまでの間のエンジン速度で動作する。したがって、エンジンの出力駆動軸(クランクシャフト)が生み出す回転の速度は、800rpmから7000rpmまでの間である。しかしながら、0km/hrから120km/hrまでの間の速度で走行する通常の自動車にとって、自動車の車輪(タイヤを含む)の外径をおよそ40cmとすれば、自動車の車輪は0rpmから1591rpmまでの間で回転さえすればよい。さらに、自動車用内燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000rpmまでの動作領域における中間部分に含まれるエンジン速度で最大トルクを生み出す。これに対し、一定速度あるいは低速度からより高い速度へ車を加速するときに最大トルクが通常必要とされる。この結果、自動車は典型的に、エンジンが生み出す高速で低トルクの回転を、自動車の推進に適したより低い速度でより高いトルクの回転に変換する変速装置システムまたは“ギヤボックス”を備える。
変速装置システムは自動車の他にも、回転を利用し、回転をより高いあるいはより低い速度に変換したり回転の向きを変えたりすることを必要とする多種多様な乗り物や他の機械的応用形態に利用される。この分野における当業者は、変速装置システムを用いた他の実施形態を熟知しているであろうから、更なる実施形態については説明を待つまでもない。また、本発明が自動車や他の特別な実施形態や決して限定されないことと、上述の自動車の例は変速装置システムの実施形態の説明を目的とするにすぎないことが、明らかに理解されるであろう。
多くの変速装置システムが、エンジンまたは原動機によって生み出される回転速度と、変速装置システムによって変換された結果としての回転速度/回転方向との間において、1つ以上の変換比率を備える。これは、ギヤボックス形式の変速装置システムにおいて、異なる大きさからなる一連の歯車群を備え、異なる大きさの歯車を互いに噛合させることによって全体として変換比を変化させることによって、実現される。変速装置に与えられる異なるギヤ比は、如何なる歯車の組み合わせが係合するかによる。これら歯車は典型的にケーシングに収容されることから、この種類の変速装置システムには“ギヤボックス”という口語体の名称がある。
前の段落で説明した変速装置システムにおける大きな問題の1つは、概して、個々に離散したギヤ比を少数しか備えないことである。これは、ギヤボックス内部の各々の歯車の大きさが固定され、それゆえ、可能なギヤ比の数が、互いに異なる大きさであって係合可能な歯車同士の組み合わせの可能な異なり具合に限定されるためである。例えば、殆どの自動車用ギヤボックスは、7個あるいはそれ以下のギヤ比(バックギヤを含む)を備える。このため、変速装置システムに入力される回転の速度と変速装置システムから出力される回転の速度との理想的な比率が、個々に離散したギヤ比の1と一致しないという問題または非効率性に至る。
前の段落で説明された問題に関する1つの可能な実例として自動車の例を再び参照することが有用である。一般的に起こる状況は、要求される自動車速度において自動車エンジンが最適な燃料効率で動作することができる伝達比と、自動車のギヤボックスの可能な比の1つとが、一致しないということである。それゆえ、自動車が所望の速度で走行するために、自動車のギヤボックスは非理想的なギヤ比にされ、自動車エンジンは最適な燃料効率によって実現するエンジン速度よりも高いあるいは低い速度で運転しなければならない。この分野の当業者は、他の実施例において、この種類のギヤボックスによって得られる個々に離散したギヤ比によって引き起こされる他の問題または非効率を認識するであろう。
それゆえ、個々に離散したギヤ比に限定されない、あるいは、極めて多数のギヤ比を少なくとも有する(好ましくは7種類を超えるのが良く、好ましくは互いに近似する)変速装置システムを備えることが有利である。これにより変速装置システムは、与えられた実施例における特定の動作速度のために要求される(あるいは、この要求に近似する)入力−出力比の条件にされる。
発明された変速装置システムは、個々に離散した比に限定されない。一般的に、これら異なる変速装置システムは、エンジンまたは原動機から伝達される回転の速度と、回転が変速装置システムによって変換された結果として得られる回転の速度/向きとの比が、連続的に変動するよう、大抵は与えられた範囲内で動作する。換言すると、それらは、伝達装置の入力−出力比に連続的あるいは無限の変動性を与えるよう、大抵は伝達装置の動作速度範囲内で動作する。
装置の入力−出力比に連続的変動性を与える上述した伝達装置の多くは、直径が可変のプーリあるいは"Reeves Drive"と称する構造を基本とする。Reeves Drive形式の装置は1対の回転プーリ(1つの駆動/入力プーリおよび1つの従動/出力プーリ)と、これらプーリ間を延びるベルトを有する。各プーリは2つの分離した側部を有し、一緒に組み合わされることによりプーリ外周にV字形状の溝を形成する。それぞれのプーリにおける分離した側部は、後述のように、互いに近づくよう、および互いに離れるよう動くことができる。プーリが回転すると、ベルトは各プーリのV字溝に沿ってぐるりと走る。ベルトも典型的にはV字形状の断面を有することから、ベルトの側部はV字溝の側部と近似する勾配を有する。これにより、ベルトの側部はV字溝の側部に密接に接触し、ベルトとプーリとの間のスリップを最小限にする。
これらReeves Drive形式の装置による変速機の入力−出力比の変動は、一方のプーリの両側部を互いに近づくよう動かすとともに他方のプーリの両側部を互いに離れるよう動かすことによって達成される。これにより、一方のプーリのV字溝の幅が減少するとともに他方のプーリのV字溝の幅が増大する。駆動/入力プーリの両側部が互いに近づき、従動/出力プーリの両側部が互いに離れると、ベルトは駆動/入力プーリの外径側へ押し出されてより大きな直径でプーリの外周を動き、従動/出力プーリのV字溝の幅が増大してベルトはより小さな直径でプーリの外周を動く。この結果、従動/出力プーリの回転のために必要な駆動/入力プーリの回転はより少ないものとなる。したがって、変速装置システムは原動機から入力される回転をより高い速度に変換することができる。反対に、従動/出力プーリの両側部が互いに近づき、駆動/入力プーリの両側部が互いに離れると、逆の効果が得られる(すなわち変速装置システムは原動機から入力される回転をより低い速度に変換する)。
したがって、上述のようにプーリの両側部を動かすことによりプーリの直径を効果的に変化させ、これにより変速装置システムの入力−出力比を変化させる。この分野における当業者は、これらReeves Drive形式の装置において、これら2つのプーリの距離が変化せず、ベルトの長さも変化しないことから、入力−出力比を変化させるに際し、ベルトの張力を適切に保持するためには、双方のプーリを同時に調整しなければならない(すなわち一方の有効径が増加するのであればもう一方の有効径を減少しなければならない)ことを理解するであろう。これらシステムにおける重要な点の1つとして、各プーリの両側部間の間隔を変化させるに際して間隔の変化は不連続なものに限定されず、プーリの両側部間の空間を変動させることによって、変速装置システムの入力−出力比を連続的に変動させることが可能である。
本発明の目的は、変速装置システムの代替となり、システムの入力−出力比を連続的に変動することができ、極めて多種類のギヤ比を少なくとも備える形態を提供することである。本発明の変速装置システムは、様々な実施例に適用可能である。しかしながら明らかに理解されることは、ここで参照される先行または現存の変速装置システム、あるいは他の背景資料または情報は、いずれの変速装置システムまたはいずれの種類の他の情報またはこれらの組み合わせもこの分野における一般的常識の一部であるとか、またはオーストラリアや他のいかなる国において認識可能な先行技術であるとかという認定または認識を構成するものではないことである。
1つの形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって回転速度を選択的に連続して変化される変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の回転速度の変動が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動に作用する。
他の形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって、回転を多数の異なる速度から選択して採用する変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の異なる速度が、前記入力回転の速度および/または向きと前記出力回転との異なる比を生成する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転を伝達するための入力軸と、
・前記入力軸の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転を伝達するための出力軸と、
・前記フライホイール構成部から前記出力軸へ回転を伝達するための変速部と、
・回転可能であって、その速度および/または向きを選択的に連続して変化させることができる少なくとも1つの変調軸とを備え、
少なくとも前記変調軸の回転または非回転が、前記変速部と相互に作用して、少なくとも前記変調軸の回転の速度および/または向きの変化が、入力軸の回転の速度および向きに対する出力軸の回転の速度および/または向きの変化に作用する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と、
・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記フライホイール構成部から前記出力部へ回転を伝達するためのものであって、第1変速軸および第2変速軸を含み、全体/正味の出力回転の速度および/または向きが、少なくとも一部において、前記第1変速軸の回転の速度/向きおよび前記第2変速軸の回転の速度/向きに依存する変速部と、
・少なくとも1つの前記変速軸に関連する変調部であって、当該変調部に適用される、あるいは当該変調部による、連続して変動する加速または減速の影響が、前記変速軸の少なくとも1つの回転を加速または減速し、入力回転の速度および/または向きに対する出力回転の速度および/または向きを連続的に変動させる変調部とを備える。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と、
・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・回転または非回転によって前記フライホイール構成部の回転に作用する第1変速軸および第1変速構成部と、
・自身が回転する場合に前記第1変速構成部が回転する前記第2変速軸と、
・前記第2変速軸が回転する場合に回転し、自身の回転または非回転および前記第1変速軸の回転または非回転が前記出力回転の全体/一部に作用する第2変速構成部と、
・自身の回転または非回転が前記変速軸の1つの回転または非回転にリンクされた変調部であって、前記変調部にリンクされた前記変速軸の回転を加速または減速するために、連
続的に変動して増進または減退するトルクを前記変調部に適用し、この連続的に変動する前記変速軸の回転の加速または減速が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動を可能にする、少なくとも1つの変調部とを備える。
ほとんどの変速装置システムと同様に、本発明の変速装置システムは、原動機によって生み出される回転を、異なる速度の回転、異なる向き、あるいはその両方に変換するよう典型的に動作する。本発明に最もよく用いられる原動機の種類として予測されるものは、内燃機関エンジンまたは電気モータである。しかしながら、本発明の変速装置システムには、回転運動を生み出す他のいかなる形態の原動機、例えば風車、水車、手動で回転させられるクランク等、またはこれらの組み合わせ、を代替的に用いることができる。この分野における当業者は、変速装置システムの駆動回転として用いることができるその他の可能な原動機を認識することができるであろう。
変速装置システムは、原動機が生み出す回転を変速装置システムへ入力する手段を含む。最も典型的には、原動機が、原動機によって生み出される回転運動を“出力する”駆動軸、クランクシャフト、またはこれに類似するものを有する。これらの場合において、変速装置システムは、原動機の駆動軸に接続可能であり、あるいは駆動軸にリンク可能(おそらく一連のリンク構成部を用いる方法か他の機構)な入力軸を有する。これにより、回転が入力軸を経由して変速装置システムへ伝達される。それゆえ、入力軸は、本発明に用いられる“入力”または“回転入力手段”のおそらく最も一般的な形態である。
しかしながら、入力軸は、変速装置システムが原動機から回転を受け取るための唯一の手段ではない。例えば、原動機の駆動軸が変速装置システムの中へ直接延在してもよい。この場合、変速装置システムの内側の構成部(内歯車または軸等)の1つとして、ソケット、スロット、または原動機の駆動軸を挿通することができるかあるいは駆動軸と接続す
ることができる他の開口であってもよい。これに代えて、変速装置システムの内側の構成部は、プラグ、または原動機の駆動軸先端のソケットに差し込まれる一種の突起であってもよく、これにより駆動軸と接続する。これらの場合において、変速装置システムの内側の構成部に位置する、ソケット、スロット、プラグ、突起等は、原動機から変速装置システムへ回転を伝達する“入力部”または“回転入力手段”である。同様に用いられる他の回転入力手段として、例えば水または油を用いた結合(hydraulic linkage)がある。この分野における当業者は、さらに可能な回転入力手段または機構(またはこれらの組み合わせ)について知っており、かかる手段はいずれも発明の範囲以内にある。
変速装置システムはまた、“出力する”ため、あるいは変速装置システムによって伝達および変換された回転を伝達するための手段を含む。換言すれば変速装置システムは、回転可能な機械、または駆動するために変速装置システムを用いる他の装置へ回転を受け渡す手段を有する。回転入力手段に関して前述したように、同様の考察が、この“出力部”または“回転出力手段”に適用される。それゆえ、変速装置システムは、ほとんど典型的に、変速装置システムが駆動している機械/装置と接続可能な出力軸を備え、あるいは何らかの手法によってかかる機械/装置とリンクし(可能であれば一連の結合構成部またはその他の機構)、これにより、回転がかかる機械/装置に伝達される。しかしながら、前述のように回転入力手段に使用可能な機構または配列のいずれも、回転出力手段に同様に使用可能である。
本発明の変速装置システムは、変速装置システム入力部から変速装置システム出力部へ回転を伝達するための“変速部”または“変速手段”を有する。また、回転可能であって変速部の動作に作用する“変調部”または“変調手段”を有する。1実施形態として、変調手段は極めて多種類の個々に離散した角速度を選択的に採用するものであってもよい。この点に関し、変調手段は6種類以上の回転速度を採用可能であるべきであり、好ましくは10種類以上であり、好ましくは50種類以上である。しかしながら、他の実施形態では(おそらくより好ましくは)、変調手段の回転速度が選択的および連続的に変動可能である。換言すると、無限の数の速度を、おそらくは与えられた動作範囲内で採用することができる。前述した“変速部”または“変速手段”の回転は、“変速部”または“変速手段”と相互に作用する。ここで、極めて多種類の個々に離散した速度を変速手段の回転に採用することができ、変調手段の異なる速度が、変速装置システムの入力回転および出力回転の速度および/または向きの間で、異なる比を生成する。ここで、変調手段の回転速度は連続的に変動可能であり、変調手段の回転速度の変動によって、入力回転に対する出力回転の速度および/または向きを連続的に変動させることができる。
前の段落で述べたように、変速装置システムは“変速部”または“変速手段”(以下単に変速部という)を有する。変速部は好ましくは第1変速軸および第2変速軸を含み、全体/正味の出力回転の速度および/または向きは、少なくとも一部において、第1変速軸の回転速度/向きと第2変速軸の回転速度/向きとの差異に依存する。前述したように、“変調部”または“変調手段”(以下単に変調部という)の回転は変速部と相互に作用して変速装置システムの入力回転に対する出力回転の速度/向きを変動させる。好ましくは、変調部が変速軸の少なくとも1つの回転の速度/向きを変動させることによってこれを行う。
前述した入力および出力手段と同様に、変調部は広い様々な形態が可能である。変調器、あるいは各変調器は、回転可能な変調軸を通常有することが予想される。変調軸の回転は変速軸の少なくとも1つの回転とリンクし、これにより変調部の回転が変速軸の少なくとも1つの回転に作用する。しかしながら、変調部は軸またはシャフトの形態を有する必要はなく、その他の様々な形態が可能である。例えば、変調部はその他の形態の回転構成部を有し(そのようなものとして例えばプーリ、またはローラ、またはスピニングベルト(spinning belt)、またはチェーンなどがある)、その回転はベルト、チェーン、流体結合(hydraulic linkage)、相互に係合する歯車、スプロケット、磁気的または電気的なカップリング、または同様の結果を達成することができる他のいかなる器具/機構によって1つの変速軸の回転と関連してもよい。にもかかわらず、上述したように、(各)変調部は典型的に回転可能な変調軸の形態を有する。
本発明の好ましい実施形態として、変調軸は第1および第2変速軸のそれぞれに設けられる。したがって、第1変調軸が設けられて、その回転が第1変速軸の回転とリンクし、第2変調軸が設けられて、その回転が第2変速軸の回転とリンクする。特に好ましい実施形態として、第1変調軸が第1変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有し、第2変調軸が第2変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有する。したがって、第1変調軸に適用される加速/減速が、ベベルギヤ同士の係合を経由して伝達され、対応する加速/減速を第1変速軸に引き起こす。同様に、第2変調軸に適用される加速/減速が、対応する加速/減速を第2変速軸に引き起こす。
変速装置システムはフライホイール構成部を備えてもよい。フライホイール構成部は好ましくは変速装置システムの入力部に機能的にリンクし、入力部の回転(すなわち入力回転)はフライホイール構成部の回転を引き起こす。フライホイール構成部はベルト、歯車、プーリ、チェーン等によって入力部と機能的にリンクする。しかしながら、より好ましくは、フライホイール構成部はリングギヤ部分を含み、入力部は入力ギヤが固定取り付けされた入力軸を有し、入力ギヤが入力軸とともに同じ速度で回転する。適切な形態として、入力ギヤはフライホイール構成部のリングギヤ部分に係合して、入力軸の回転がフライホイール構成部の回転を引き起こす。これらの実施形態では、フライホイール構成部のリングギヤ部分の直径が入力ギヤのそれよりも大きい。その結果、入力ギヤとフライホイール構成部のリングギヤ部分の係合が、フライホイール構成部に回転を付与するが、フライホイール構成部の回転を、入力軸よりも遅くする。
変速装置システムの“変速部”はまた、第1変速構成部および第2変速構成部を含んでいてもよい。好ましくは、第1および第2変速構成部の双方が第2変速軸と機能的にリンクし、第2変速軸が回転すると双方の変速構成部が回転する。第1および第2変速構成部はベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって第2変速軸と機能的にリンクする。また、1つの変速構成部が第2変速軸の一方と機能的にリンクし、他の1つの変速構成部が第2変速軸の他方と機能的にリンクしてもよい。しかしながら好ましい実施形態として、各変速構成部がリングギヤ部分を含み、第2変速軸は分離した平歯車部分を有する。1つの平歯車部分は第1変速構成部のリングギヤ部分と係合し、他の平歯車部分は第2変速構成部のリングギヤ部分と係合する。好ましくは、第2変速軸の平歯車部分が第2変速軸の何れか一方端に固定取り付けされた平歯車を有する。第1および第2変速構成部は第2変速軸のいずれか一方端に配置されて(すなわちこれにより第2変速軸は変速構成部の間に位置する)、変速構成部のうち第2変速軸に向かうそれぞれの部分にはリングギヤ部分が形成される。
各変速構成部のリングギヤ部分の直径は、典型的に第2変速軸の平歯車の直径よりも大きい。結果的に、第2変速軸のそれぞれの平歯車と第1および第2変速構成部のそれぞれのリングギヤ部分との係合によって、第2変速軸の回転が第1および第2変速構成部に伝
達されて、各変速構成部の回転は第2変速軸の回転よりも遅い。
第1変速構成部もフライホイール構成部と機能的にリンクしてもよく、これにより第1変速構成部の回転または非回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的なリンクは、ベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現される。好ましくは、フライホイール構成部は平歯車タイプのプラネットギヤ部分を有し、第1変速構成部を有する。これは、上記の2つの段落で説明した第1変速構成部のリングギヤ部分と同様であってよく、あるいは第1変速構成部の分離したリングギヤ部分であってもよい。いずれにしても、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分は、第1変速構成部のリングギヤ部分と係合する。特に好ましい実施形態として、第1変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネットギヤ部分の歯の接線速度と同じになると、フライホイール構成部は自身の主軸に関してのみ回転する。しかしながら、第1変速構成部の回転によって、リングギヤ部分の歯の接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネットギヤ部分の歯の接線速度と異なれば、フライホイール構成部は自身の主軸に関して回転することに加えて公転運動する。
この分野における当業者は、リングギヤが典型的に、輪に沿った一連のギヤ歯を伴うリングを有し、ギヤ歯がリングの円筒主軸に向かって放射状に指向することを認識するであろう。しかしながらこの明細書では、要求される他の事情がない限り、“リングギヤ”という用語が、かかる従来の形式だけでなく、輪の外側で延びる一連のギヤ歯を備え、これらギヤ歯は外方へ放射状に指向するリング(したがって歯はリングの円筒主軸から離れて指す)を含むとして理解されなければならない。
第1変速軸はフライホイール構成部と機能的にリンクして、第1変速軸の回転または非回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的なリンクは、ベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現される。好ましくは、第1変速軸は、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分と係合するギヤ部分(平歯車タイプのサンギヤが第1変速軸の一方端に取り付けられる)を有する。
好ましい実施形態として、第2変速構成部の回転または非回転および第1変速軸の回転または非回転が、変速装置システムの出力部から伝達される全体/正味の回転に作用する。第1変速軸は第2変速軸と類似することが適切であり、この場合、他端に固定取り付けされた平歯車を有する。特に好ましい実施形態として、第1変速軸は第1および第2変速構成部と同軸であり、第1変速軸の細長い軸部分が第1および第2変速構成部それぞれに設けられた軸方向孔を貫通して延びる。
特に好ましい実施形態として、変速装置出力部は出力軸を有し、出力軸は段付きの形状を有する。特に出力軸は、第1変速軸と同軸であって第1変速軸と共通する軸線を中心として回転する細長い部分と、この共通する軸線を周回する軌道を描く偏心部分とを有する。好ましくは、平歯タイプのプラネットギヤ(出力プラネットギヤ)が出力軸の偏心部分にピボットで取り付けられている。出力プラネットギヤは第2変速構成部のリングギヤ部分(これは前述した第2変速構成部のリングギヤ部分と同じであるか分離したリングギヤ部分である)と係合し、出力プラネットギヤはまた第1変速軸の先端の歯車と係合する。
前の段落で説明した実施形態につき特に好ましくは、第2変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と同じ大きさであって逆向きになると、出力プラネットギヤはこのリングギヤ部分と第1変速軸のこの歯車の双方と係合することから、この状況で出力プラネットギヤは自身の主軸に関してのみ回転する。しかしながら、第2変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と異なれば(異なる大きさ、異なる向き、または双方)、出力プラネットギヤは自身の主軸に関して回転することに加えて公転運動する。出力軸の偏心部分は出力プラネットギヤとピボットで接続することから、出力プラネットギヤの公転運動によって出力軸の偏心部分は同じ軌道を動く。しかし、出力プラネットギヤと出力軸のピボット接続により、出力軸は出力プラネットギヤの公転運動に追従するのみで、出力ギヤの自身の主軸に関する回転に追従しない。出力軸の偏心部分の公転運動によって第1変速軸と同軸である出力軸の部分の回転を引き起こし、これにより変速装置システムの外へ回転が伝達される。
図面を参照して、発明の1実施形態を説明する。しかしながら発明は、説明中の実施形態の特定の特徴に限定されるものではない。
本発明を説明する実施例になる“ギヤボックス”タイプの可変変速装置システムを示す斜視図である。 図1とは少し異なった角度から見た可変ギヤボックスの斜視図である。 可変ギヤボックスの側面図である。 可変ギヤボックスの平面図である。 可変ギヤボックスを一方端から見た図である。 可変ギヤボックスを図5とは反対の他方端から見た図である。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 本発明の実施例である可変変速装置システムを示す模式図である。
以下の実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態になる変速装置システムの運動学的解析を行った。変速装置システムの形態が図10に図示される。変速装置システムの入力端には、内部減速歯車組を伴い入力軸を駆動する直流モータが設けられ、入力軸は様々な負荷のもと実際上一定速度で駆動され、異なる動作領域の調査および実演を単純化する。
出力部はハンドホイール(hand wheel)である。2つの操作輪が設けられ、各制御輪は直角のベベルギヤを経由して変速装置内のそれぞれの中間軸と機械的に接続する。制御I輪はリングギヤと噛合する歯車に取り付けられ、制御II輪はサンギヤに取り付けられる。これら2つの制御の関係は固定され、1つの制御を特定の速度で駆動するか、他の1つの制御を(異なる)特定の速度で駆動することにより、与えられた出力/入力比を達成する。
機構の運動学的解析は、出力速度が、入力速度および制御速度に基づいて計算されることを可能にする2つの方程式を提供する。方程式の形式は、制御Iまたは制御IIを用いるものであり、入力および制御の合計に重み付けをしたものが出力である。ここの注目点は遊星歯車組の特徴を“合計すること”である。
出力=0.375×制御II−0.125×入力 ・・・・・・・(式1)
出力=0.75×制御II+0.25×入力 ・・・・・・・(式2)
表1は幾つかの可能な変速装置の運動学的状態を示し、−入力から+入力までの間で制御Iまたは制御IIを駆動することにより達成される。表示される数値は、入力軸の1回転に対して変速装置の要素が達成する回転の数を示し、あるいはこれに対応して、入力軸の速度が1であるときの変速装置の要素の速度を示す。それぞれの運動学的シナリオ(a)から(e)までは異なる制御速度を有する。またリングギヤ要素の速度が表に示される。
表1:入力、制御、および出力の速度の関係を表す変速装置システムの運動学的状態の例
表1の内容は、以下の表2に図解的に表される。
(c)を除くすべてのシナリオは制御を速度0または±1で駆動することにより達成可能である。これらのシナリオは、固定の静止している要素(制御速度0のため)のように、ギヤボックス・シャシ上で制御に物理的にブレーキをかけることにより、あるいは、制御を入力あるいは逆回転する入力に直接(クラッチによって)つなぐことにより(制御値±1のため)、機械的に達成される。
制御Iおよび制御IIの有益な特徴はそれぞれ、“片側の操作”および“広い範囲”である。考えられる限り、これらの特徴は、複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)において、組み合わせることができる。以下の表3に図解的に表す。
表3のチャートを参照して、各制御は速度0から+入力までの間のみによって駆動される。この場合、制御Iはリバース、ニュートラルギヤ、およびローギヤを達成するために用いられ、制御IIは低い比から高い比を達成するために用いる。これは、(CVTのような)外部速度変更装置を制御Iあるいは制御IIのいずれかに選択的につなぐよう設計されたクラッチによって、機械的に実行することができる。最も単純なCVTは負数および正数の比の双方を実現しない。この複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)を用いることにより、負数および正数の比の双方を生み出す外部変数速度装置が不要になる。この結果、制御Iや制御IIのみを使用するよりも、より単純な機械的製品が可能になる。
以下において図面を詳細に説明する。図面より、可変ギヤボックスは以下に説明する構成部分を含むことが理解される。
・入力軸11および入力ギヤ12からなる入力構成部10。入力ギヤ12は平歯車であって、入力軸11の内側端に固定接続される。これにより入力ギヤ12は入力軸11と同じ回転速度で回転する。
・リングギヤ部分21(“フライホイールリングギヤ”)および平歯車タイプのプラネットギヤ部分22(“フライホイールプラネットギヤ”)を有する“フライホイール”構成部20。フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の平坦な裏面に設けられて、フライホイールリングギヤ21と同軸にされる。これによりフライホイールプラネットギヤ22はフライホイールリングギヤ21と同じ回転速度で回転する。
・細長い剛体の軸部分31と、平歯タイプの入力側サンギヤ32と、平歯タイプの出力側サンギヤ33からなる第1変速軸30。入力側サンギヤ32は、入力構成部10に最も近い軸31の一方端に固定接続される。出力側サンギヤ33は軸31の他方端に固定接続される。したがって軸31、入力側サンギヤ32、および出力側サンギヤ33はすべて同じ速度で一緒に回転する。軸31は、後述する変速構成部の軸線上に設けられた孔を貫通して延びる。第1変速軸30は、軸部分31の途中に固定されるベベルギヤ34をさらに有する。この機能についても後述する。
・おおよそ円筒形状であって、構成部を半分に分離する分割壁44で2つの円形部分に分割された第1変速構成部40。構成部の一方の半分は第1入力側リングギヤ41を形成し、他方の半分は第1出力側リングギヤ42を形成する。分割壁44は軸線貫通孔43を含み、この孔を第1変速軸30の軸部分31が通過して延びる。
・細長い剛体の軸部分51と、平歯タイプの入力側ギヤ52(入力ギヤ12とは区別される)と、平歯タイプの出力側ギヤ53(後述する出力プラネットギヤ72とは区別される)からなる第2変速軸50。入力側ギヤ52は、入力構成部10に最も近い軸51の一方端に固定接続され、出力側ギヤ53は軸51の他方端に固定接続される。したがって軸51、入力側ギヤ52、および出力側ギヤ53はすべて同じ速度で一緒に回転する。第2変速軸50は、軸部分51の途中に設けられたベベルギヤ54をさらに有する。
・段付きに形成された出力軸71および平歯タイプの出力プラネットギヤ72からなる出力構成部70。重要なことには、入力構成部10と比較した出力構成部70の相違点が、入力軸11が直線形状であることに対し出力軸71が段付き形状にされていることだけではなく、入力ギヤ12が入力軸11に固定接続されることに対し出力プラネットギヤ72が出力軸71にピボットで接続されることである。なぜなら、出力プラネットギヤ72が出力軸71の内側端にピボットで接続されることにより、出力軸71を安定維持する一方で出力プラネットギヤ72が回転することが可能になるからである。
・変調軸81およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ82を有する第1変調部80。第1変調ベベルギヤ82は、第1変速軸31に設けられたベベルギヤ34と噛合する。この機能については後述する。
・第1変調部80と同様に、変調軸91およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ92を有する第2変調部90。第2変調ベベルギヤ92もまた、第2変速軸51に設けられたベベルギヤ54と噛合し、この機能については後述する。
実際のところ、図面に表された可変ギヤボックスは、図示されない多数の構成部を包含する。例えば、ギヤボックス構成部は通常、ケーシングの中に収容される。ケーシングは典型的にギヤボックス構成部を包囲する殻を形成するが、入力軸11、出力軸71、第1変調軸81、および第2変調軸91がギヤボックスの外の構成部を駆動しまたは駆動されるよう接続するための開口または接続手段を伴う。様々なギヤボックス構成部をケーシング内に配設するために、様々な取付具、軸受部、締結手段、またはそのようなものも、ギヤボックスのケーシング内に設けられる。かかる点につき当然のことながら、ギヤボックス内の多くの構成部が“固定される”が、この意味するところは、ギヤボックスが要求通り動作するように、構成部がそれぞれの円筒主軸に関して回転可能であって、他の形態の運動が規制されることである。ただし、これには幾つかの例外がある。例えば、第2プラネットギヤ72は自身の軸線に関して回転することに加え、出力側サンギヤ33を周回する軌道を描くよう運動してもよい(場合によっては、入力−出力比を変化させるためにどのようにギヤボックスを動作させるかによる)。この種の公転運動は、遊星歯車配列において極めて一般的である。また、フライホイール構成部20は、“浮動”構成部であって、これによりフライホイール構成部20は、フライホイールプラネットギヤ22が入力側サンギヤ32の周囲を運動するような軌道に沿って、運動してもよい(これも、入力−出力比を変化させるためにどのようにギヤボックスを動作させるかによる)。様々な構成部の運動については、後で詳細に説明する。回転を生み出す原動機(例えば内燃機関エンジンまたは電気モータ)は、何らかの方法により入力軸11に接続される駆動軸を備え、原動機の回転が入力軸11の回転をもたらし、原動機からギヤボックスへ回転を伝達する。入力軸11の回転は入力ギヤ12の回転と一致する。入力ギヤ12上にある外方へ向けて延びる平歯車の歯は、フライホイールリングギヤ21上にある内方へ向けて延びるリングギヤの歯に噛合し、これにより回転がフライホイール構成部20に伝達する。
この点につき、図面に表される特定の実施例では、様々な“リングギヤ”タイプの構成部が、様々な平歯車タイプのギヤの直径よりも3倍以上大きな直径を有することが有用である。リングギヤタイプの構成部は、様々な平歯車タイプの構成部の3倍の歯数を有する。
最初の説明の目的は、上述した入力軸11および入力ギヤ12の回転が、入力ギヤの歯とフライホイールリングギヤ21の歯との噛合により、フライホイール構成部20に同じ向きの回転をもたらすということを第1に述べることである。フライホイールリングギヤの直径が入力ギヤ12の直径よりも(3倍)大きいために、フライホイール構成部20は入力軸よりもゆっくりと回転する。また、この回転は、フライホイール構成部全体の正味運動量である。
前述したように、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の裏面に固定取り付けされる。これにより、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の残りの部分と同じ速度および向きで回転する。
図1に示すように、フライホイールプラネットギヤ22は、(第1変速軸31と接続する)入力側サンギヤ32および(第1変速構成部40の一部である)第1入力側リングギヤ41の双方と係合する。これにより、フライホイール構成部20の回転が、第1変速軸30および第1変速構成部40の双方に回転を付与することができる。しかしながら、回転がこれら構成部の双方または一方に付与すられるか否かは、加速または減速トルクが変調部に適用されるか否かによる。あるいは、変調部に適用される加速または減速トルクの組み合わせによる。この点については後述する。
最初の説明の目的は、いずれの変調部にも加速または減速トルクのいずれも適用されない場合を考えることである。このため、各変調部は、それぞれと係合する変速軸の回転とともに回転する。この場合において、フライホイール構成部20の回転は、入力側サンギヤ32および第1入力側リングギヤ41の双方に回転を付与する。したがって、第1変速軸30および第1変速構成部40の双方が回転する。入力軸11の回転が図1に矢印で示される向きであって、回転速度ω(したがって、同じ速度であるが逆の向きであれば−ωと表される)である場合を想定する。このとき、入力ギヤ12も角速度ωで回転する。しかしながら、フライホイール構成部20の直径は入力ギヤ12のそれよりも3倍大きいため、フライホイール構成部20の回転はより遅く、ω/3の速度である。したがって、フライホイールプラネットギヤ22の回転もω/3の回転速度である。
加速または減速トルクが変調部のいずれにも適用されない場合に、第1変速構成部40の回転はフライホイール構成部20の回転よりも遅くなるが、回転の向きは同じである。もっと具体的にいうと、第1変速構成部40の直径はフライホイールプラネットギヤ22の直径よりも3倍大きいため、第1変速構成部40は角速度ω/9で回転する。(プラネットギヤ22およびサンギヤ32は同じ直径を有するため)入力側サンギヤ32の回転はフライホイール構成部20の回転と同じ速度であるが、フライホイール構成部とは回転の向きが逆である。したがって、入力側サンギヤ32は回転速度−ω/3で回転する。
入力側サンギヤ32は第1変速軸31に直接取り付けられ、図2に示すように、第1変速軸31は何ら干渉することなく、第1変速構成部40の中心にある孔43を貫通して延びる。同じように、第1変速軸31の他端も何ら干渉することなく、図1に示すように、第2変速構成部60の孔63を貫通して延びる。この結果、以前の段落で説明した入力側サンギヤ32に付与される回転は第1変速軸30の他の部分へ伝達される。換言すれば、第1変速軸31、ベベルギヤ34、および出力側サンギヤ33は、入力側サンギヤ32と同じ速度および同じ向きに、つまり−ω/3で回転する。ここに示される状況は、加速/減速がいずれの変調部にも適用されず、これにより上述した第1変速軸30の回転が第1変調ベベルギヤ82を経由して伝達され、第1変調部80が回転する。第1変調部80は第1変速軸30と直交して配置される。それゆえ、上述してきたような回転の向きを表す+/−の記号による表現は、第1変調部80に適用されない(第2変調部90も同様である)。しかしながら、第1変調ベベルギヤ82の歯数がベベルギヤ34の歯数と等しく、それゆえ第1変調部80の回転速度の大きさは|ω/3|である。
上述のように、加速/減速がいずれの変調部にも適用されない状況では、フライホイール構成部20の回転によって、第1変速構成部40がω/9の回転速度で回転する。図2に示すように、入力側ギヤ52は内方へ向けて延びる第1出力側リングギヤ42の歯に係合する。この結果、第1変速構成部40の回転が入力側ギヤ52の回転を引き起こす。入力側ギヤ52の直径は第1出力側リングギヤ42の直径の3分の1である。それゆえ入力側ギヤ52は、第1出力側リングギヤ42と同じ向きで回転するが、3倍の速度、つまりω/3である。
入力側ギヤ52は第2変速軸50の先端に固定接続される。それゆえ、入力側ギヤ52の回転が第2変速軸50の他の部分(つまり第2変速軸51、出力側ギヤ53、およびベベルギヤ54)の回転を引き起こし、ω/3の速度で回転させる。上述した第2変速軸50の回転が第2変調ベベルギヤ92を経由して第2変調部90に伝達され、第2変調部90も回転する。第2変調部90の回転速度の大きさは|ω/3|である。
この点につき付言すると、入力軸11が速度ωで回転して加速/減速が変調部のいずれにも適用されない当該状況において、第1変速軸30は−ω/3の速度で回転し、第2変速軸50はω/3の速度で回転する。換言すると、これら変速軸は、入力回転の3分の1の速度で、それぞれ反対の方向に回転している。
再び図1を参照して、(第2変速軸50の一部である)出力側ギヤ53は、第2変速構成部60の第2入力側リングギヤ61と係合する。これにより、第2変速構成部は第2変速軸50と同じ向きに回転するが、(第2変速構成部60の直径が出力側ギヤ53のそれの3倍であるため)速度は3分の1である。したがって、第2変速構成部は速度ω/9で回転させられる。
また前述したように、ギヤボックスの出力側に向かって延びる第1変速軸30の先端が、第2変速構成部60の軸方向孔63を貫通する。図2に示すように、第1変速軸30の当該先端には出力側サンギヤ33が取り付けられる。出力側サンギヤ33は出力プラネットギヤ72と係合する。しかしながら、出力プラネットギヤ72も第2変速構成部60の第2出力側リングギヤ62と係合する。それゆえ出力プラネットギヤ72は出力側サンギヤ33および第2出力側リングギヤ62の双方と係合する。
前述したように、出力側サンギヤ33(および第1変速軸30全体)は−ω/3の速度で回転している。また前述したように、第2変速構成部60はω/9の速度で回転している。しかしながら、第2変速構成部60の直径は出力側サンギヤ33の直径よりも3倍大きい。それゆえ、出力プラネットギヤ72と係合する出力側サンギヤ33の歯の接線速度は、出力プラネットギヤ72と係合する第2出力側リングギヤの歯と厳密に等しい。この効果として、出力プラネットギヤ72が、出力側サンギヤ33の周囲を回る軌道に沿って運動することなく、単に“1つの箇所に留まって”自身の主軸に関してのみ回転する。また、出力プラネットギヤ72は出力軸71にピボットで接続するため、出力プラネットギヤ72がこのように1つの箇所で回転するときに出力軸71は動かないままである。出力軸71を回転可能にする唯一の方法は、出力プラネットギヤが出力側サンギヤ33の周囲を公転運動することである。
結果的に、入力軸11が速度ωで回転し加速/減速が変調部のいずれにも適用されない当該状況では、第1変速軸30および第2変速構成部60の回転より得られる結果として、ギヤボックスを通過して伝達される回転はない(しかしながら各変調部は前述した|ω/3|の大きさで回転する)。換言すると、当該状況では、ギヤボックスにおける出力速度/入力速度の比が0である。図7は、当該状況における様々な構成部の回転の速度および向きの図式的な概要を示す。
次に、以下記載の(図式的に図8に代表される)別な状況につき考えてみる。
・第1変調部80を適切な位置に固定するために第1変調部80に十分に大きな減速トルクが適用され(すなわち全く回転しないようにする)、
・第2変調部90にトルクが適用され、第2変調部90が|ω/2|の大きさの一定の角速度で回転し(向きを図8に示す)、および
・入力軸が上述した速度ωと同じ角速度で回転している。
この別のシナリオでは、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21との係合が、フライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転をもたらす。しかしながら、第1変調部80は現在固定されているため、入力側サンギヤ32も固定状態になる。それゆえ、入力側サンギヤ32は固定される。結果的に、フライホイール構成部20の回転と、フライホイールプラネットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合により、フライホイールプラネットギヤ22は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。この公転運動の速度は、図8に矢印で示すように、−ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図8に示す向きに回転するため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述のように、各変速構成部のリングギヤの直径が第2変速軸50の両端にあるギヤの直径よりも3倍大きいため、第1および第2変速構成部の回転は第2変速軸50よりも遅い。したがって、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は速度ω/6で回転する。
それゆえ、この別な状況では、(第1変速軸30全体が動かないため)出力側サンギヤ33は動かない。その一方で、(第2変速構成部60全体が速度ω/6で回転しているため)第2出力側リングギヤ62は速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72は出力側サンギヤ33および第2出力側リングギヤ62の双方と係合する。それゆえ、出力プラネットギヤ72の全体/正味の回転(および出力軸71の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リングギヤ62との相互作用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定される。この場合、第2出力側リングギヤ62の回転は、自身の円筒の主軸に関し、出力プラネットギヤ72を速度ω/2(すなわちリングギヤ62の速度の3倍であるが同じ向き)で回転させる。しかしながら、これは、出力プラネットギヤ72が出力側サンギヤ33の周囲の軌道に沿って回転することを意味する(なぜなら出力側サンギヤ33は回転することなく固定されているためである)。それゆえ、出力プラネットギヤ72は、自身の主軸に関して速度ω/2で回転するだけでなく、出力側サンギヤ33の周囲を公転速度ω/2で公転運動する。その結果、出力プラネットギヤ72の公転運動によって、出力軸71は速度ω/2で回転する。
それゆえ、この別な状況では、第1変調部80を回転しないよう固定すること、および第2変調部90を(図8に示すように)速度|ω/2|で回転させることの効果は、入力軸が速度ωで回転する間、入力回転と同じ向きの出力回転をもたらすが、速度は3分の1になるという効果である。したがって、速度ω/2の出力回転をもたらす効果がある。他の言い方をすれば、ギヤボックスの出力速度/入力速度の比を2とする。
図9は、さらに別の例の状況を概略図示するものであり、
・第1変調部80にトルクが適用されて、第1変調部80は大きさ|2ω|(図9に向きを示す)になる一定の角速度で回転し、
・第2変調部90にトルクが適用されて、第2変調部90は大きさ|ω/2|(図9に向きを示す)になる一定の角速度で回転し、
・入力軸は前述のように同じ角速度ωで回転している。
このさらに別のシナリオでも同様に、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21との係合が、フライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転をもたらす。しかしながら、第1変調部80は現在速度|2ω|で回転しているため、これにより第1変速軸30は−2ωの速度で回転する。それゆえ、入力側サンギヤ32は−2ωで回転する。結果的に、フライホイール構成部20の回転と、フライホイールプラネットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合により、フライホイールプラネットギヤ22は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。この公転運動の速度は、図9に矢印で示すように、−2ω+ω/3=−5ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図9に示す向きに回転するため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述した例と同じ理由により、双方の変速構成部の回転は速度ω/6(すなわち第2変速軸50の速度の3分の1)である。
それゆえ、このさらに別な状況では、出力側サンギヤ33が速度−2ωで回転する(なぜなら第1変速軸30全体が当該速度で回転しているため)。その一方で、第2出力側リングギヤ62は(前の段落で説明したように)速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72の全体/正味の回転(および出力軸71の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リングギヤ62との相互作用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定される。このさらなる場合、出力プラネットギヤ72が(速度ω/6で回転している)第2出力側リングギヤ62および(速度−2ωで回転している)出力側サンギヤ33と係合することによる正味の効果は、出力プラネットギヤ72に、自身の主軸に関して速度ω/2の回転を引き起こし、また公転速度が−2ω+ω/2=−3ω/2となる出力プラネットギヤ72の公転運動を引き起こすことである。
換言すると、このさらに別の状況では、(図9に示すように)第1変調部80が速度|2ω|で回転することおよび(図9に示すように)第2変調部90が速度|ω/2|で回転することの効果として、入力軸が速度ωで回転する間、出力軸71の出力回転を、入力回転とは反対の向きに、1.5倍の速度にすることである。したがって、この状況では、ギヤボックスの出力/入力比が−3/2=−1.5である。
これらの例では、第1および第2変調部の加速/減速トルクの組み合わせを変化させることにより、ギヤボックスの入力軸の速度に対する出力軸の速度および向きを変動させる効果を有することを、実演した。さらには、(これらのうち少なくとも1つの)変調部に適用される加速/減速が連続的に変動可能であり、これにより、ギヤボックスの入力出力比を連続的に変化させることが達成できることが理解されよう。これに代えて、時には、これら変調部(あるいはこれらのうちの1つ)に適用される加速/減速を連続的に変化させることができない場合がある。代わりに、一方または双方の変調部が、個々に離散した極めて多種類の速度で、可能ならば一方または両方の向きで、回転することが可能であってもよい。これらの場合、より多くの種類の速度が一層好ましい(基本的には多ければよい)が、少なくとも1つの変調部につき6種類以上の異なる回転速度を可能とするべきである。また、個々に離散した異なる速度は、互いに極めて近似するべきである(すなわち、不連続な速度同士の間のギャップを大きくするべきではない)。互いに近似する不連続な速度により、変速装置システムの出力/入力比を適切に微調整することが可能になる。変速装置の出力/入力比を適切に微調整する能力は、背景技術の欄で前述した問題を緩和するのに役立つ。つまり、従来のギヤボックスは個々に離散した比を僅かしか供給せず、エンジンを理想の速度で運転しつつ所望の出力速度を得るための伝達比を供給できないため、原動機を最適な速度よりもより高いまたはより低い動作速度で運転する必要があった。互いに近似した極めて多種類の不連続な変調部速度を具備することにより、本発明の変速装置システムは、理想の伝達比に近似する伝達比を少なくとも供給する。
当業者は、発明の範囲および思想から逸脱しない限り、説明された特定の実施例に様々な変形および修正を加えることを認識するであろう。
本発明は、ギヤボックスを含む変速装置システムに関するが、これに限定されるもので
はない。
一般的用語としての変速装置システムは、エンジンや他の原動機から出力軸までの回転
を、異なる速度の回転にしたり、異なる向きの回転にしたり、あるいはこれら双方をする
ように、回転を変換する機能を果たす。ギヤボックスは変速装置システムとして一般的な
ものである。ギヤボックスの一般的な使用として、高速で低トルクの回転をより低い速度
でより高いトルクの回転に変換する。この好適な例として自動車のギヤボックスがある。
従来の自動車に用いられる内燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000r
pmまでの間のエンジン速度で動作する。したがって、エンジンの出力駆動軸(クランク
シャフト)が生み出す回転の速度は、800rpmから7000rpmまでの間である。
しかしながら、0km/hrから120km/hrまでの間の速度で走行する通常の自動
車にとって、自動車の車輪(タイヤを含む)の外径をおよそ40cmとすれば、自動車の
車輪は0rpmから1591rpmまでの間で回転さえすればよい。さらに、自動車用内
燃機関エンジンは典型的に、800rpmから7000rpmまでの動作領域における中
間部分に含まれるエンジン速度で最大トルクを生み出す。これに対し、一定速度あるいは
低速度からより高い速度へ車を加速するときに最大トルクが通常必要とされる。この結果
、自動車は典型的に、エンジンが生み出す高速で低トルクの回転を、自動車の推進に適し
たより低い速度でより高いトルクの回転に変換する変速装置システムまたは“ギヤボック
ス”を備える。
変速装置システムは自動車の他にも、回転を利用し、回転をより高いあるいはより低い
速度に変換したり回転の向きを変えたりすることを必要とする多種多様な乗り物や他の機
械的応用形態に利用される。この分野における当業者は、変速装置システムを用いた他の
実施形態を熟知しているであろうから、更なる実施形態については説明を待つまでもない
。また、本発明が自動車や他の特別な実施形態や決して限定されないことと、上述の自動
車の例は変速装置システムの実施形態の説明を目的とするにすぎないことが、明らかに理
解されるであろう。
多くの変速装置システムが、エンジンまたは原動機によって生み出される回転速度と、
変速装置システムによって変換された結果としての回転速度/回転方向との間において、
1つ以上の変換比率を備える。これは、ギヤボックス形式の変速装置システムにおいて、
異なる大きさからなる一連の歯車群を備え、異なる大きさの歯車を互いに噛合させること
によって全体として変換比を変化させることによって、実現される。変速装置に与えられ
る異なるギヤ比は、如何なる歯車の組み合わせが係合するかによる。これら歯車は典型的
にケーシングに収容されることから、この種類の変速装置システムには“ギヤボックス”
という口語体の名称がある。
前の段落で説明した変速装置システムにおける大きな問題の1つは、概して、個々に離
散した不連続なギヤ比を少数しか備えないことである。これは、ギヤボックス内部の各々
の歯車の大きさが固定され、それゆえ、可能なギヤ比の数が、互いに異なる大きさであっ
て係合可能な歯車同士の組み合わせの可能な異なり具合に限定されるためである。例えば
、殆どの自動車用ギヤボックスは、7個あるいはそれ以下のギヤ比(バックギヤを含む)
を備える。このため、変速装置システムに入力される回転の速度と変速装置システムから
出力される回転の速度との理想的な比が、幾つかの不連続なギヤ比の1つと一致しないと
いう問題または非効率性に至る。
前の段落で説明された問題に関する1つの可能な実例として自動車の例を再び参照する
ことが有用である。一般的に起こる状況は、要求される自動車速度において自動車エンジ
ンが最適な燃料効率で動作することができる伝達比と、自動車のギヤボックスの可能な
つかの比の1つとが、一致しないということである。それゆえ、自動車が所望の速度で走
行するために、自動車のギヤボックスは非理想的なギヤ比にされ、自動車エンジンは最適
な燃料効率によって実現するエンジン速度よりも高いあるいは低い速度で運転しなければ
ならない。この分野の当業者は、他の実施例において、この種類のギヤボックスによって
得られる不連続なギヤ比によって引き起こされる他の問題または非効率を認識するであろ
う。
それゆえ、不連続なギヤ比に限定されない、あるいは、極めて多数のギヤ比を少なくと
も有する(好ましくは7種類を超えるのが良く、好ましくは互いに近似する)変速装置シ
ステムを備えることが有利である。これにより変速装置システムは、与えられた実施例に
おける特定の動作速度のために要求される(あるいは、この要求に近似する)入力−出力
比の条件にされる。
発明された変速装置システムは、不連続なギヤ比に限定されない。一般的に、これら異
なる変速装置システムは、エンジンまたは原動機から伝達される回転の速度と、回転が変
速装置システムによって変換された結果として得られる回転の速度/向きとの比が、連続
的に変動するよう、大抵は与えられた範囲内で動作する。換言すると、それらは、伝達装
置の入力−出力比に連続的あるいは無限の変動性を与えるよう、大抵は伝達装置の動作速
度範囲内で動作する。
装置の入力−出力比に連続的変動性を与える上述した伝達装置の多くは、直径が可変の
プーリあるいは"リーブズドライブ"(Reeves Drive)と称する構造を基本とする。リーブ
ズドライブ形式の装置は1対の回転プーリ(1つの駆動/入力プーリおよび1つの従動/
出力プーリ)と、これらプーリ間を延びるベルトを有する。各プーリは2つの分離した側
部を有し、一緒に組み合わされることによりプーリ外周にV字形状の溝を形成する。それ
ぞれのプーリにおける分離した側部は、後述のように、互いに近づくよう、および互いに
離れるよう動くことができる。プーリが回転すると、ベルトは各プーリのV字溝に沿って
ぐるりと走る。ベルトも典型的にはV字形状の断面を有することから、ベルトの側部はV字溝の側部と近似する勾配を有する。これにより、ベルトの側部はV字溝の側部に密接に接触し、ベルトとプーリとの間のスリップを最小限にする。
これらリーブズドライブ形式の装置による変速機の入力−出力比の変動は、一方のプー
リの両側部を互いに近づくよう動かすとともに他方のプーリの両側部を互いに離れるよう
動かすことによって達成される。これにより、一方のプーリのV字溝の幅が減少するとと
もに他方のプーリのV字溝の幅が増大する。駆動/入力プーリの両側部が互いに近づき、
従動/出力プーリの両側部が互いに離れると、ベルトは駆動/入力プーリの外径側へ押し
出されてより大きな直径でプーリの外周を動き、従動/出力プーリのV字溝の幅が増大し
てベルトはより小さな直径でプーリの外周を動く。この結果、従動/出力プーリの回転の
ために必要な駆動/入力プーリの回転はより少ないものとなる。したがって、変速装置シ
ステムは原動機から入力される回転をより高い速度に変換することができる。反対に、従
動/出力プーリの両側部が互いに近づき、駆動/入力プーリの両側部が互いに離れると、
逆の効果が得られる(すなわち変速装置システムは原動機から入力される回転をより低い
速度に変換する)。
したがって、上述のようにプーリの両側部を動かすことによりプーリの直径を効果的に
変化させ、これにより変速装置システムの入力−出力比を変化させる。この分野における
当業者は、これらリーブズドライブ形式の装置において、これら2つのプーリの距離が変
化せず、ベルトの長さも変化しないことから、入力−出力比を変化させるに際し、ベルト
の張力を適切に保持するためには、双方のプーリを同時に調整しなければならない(すな
わち一方の有効径が増加するのであればもう一方の有効径を減少しなければならない)こ
とを理解するであろう。これらシステムにおける重要な点の1つとして、各プーリの両側
部間の間隔を変化させるに際して間隔の変化は不連続なものに限定されず、プーリの両側
部間の空間を変動させることによって、変速装置システムの入力−出力比を連続的に変動
させることが可能である。
本発明の目的は、変速装置システムの代替となり、システムの入力−出力比を連続的に
変動することができ、極めて多種類のギヤ比を少なくとも備える形態を提供することであ
る。本発明の変速装置システムは、様々な実施例に適用可能である。しかしながら明らか
に理解されることは、ここで参照される先行または現存の変速装置システム、あるいは他
の背景資料または情報は、いずれの変速装置システムまたはいずれの種類の他の情報また
はこれらの組み合わせもこの分野における一般的常識の一部であるとか、またはオースト
ラリアや他のいかなる国において認識可能な先行技術であるとかという認定または認識を
構成するものではないことである。
1つの形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するためのものであり、固定取り
付けされた第1入力ギヤ12を有し、これにより前記第1入力ギヤ12を同じ速度で回転
させる回転入力手段と、
・第1側で前記第1入力ギヤ12と係合し、前記回転入力手段の回転によって回転する第
1リングギヤ21と、
・前記第1リングギヤ21の第2側に同軸に設けられた第1出力プラネットギヤ22と、
・前記第1出力プラネットギヤ22と係合する第2リングギヤ41と、
・第1変速軸31の第1端に設けられ、前記第1出力プラネットギヤ22および前記第2
リングギヤ41と係合する第1サンギヤ32と、
・回転一致のために前記第2リングギヤ41と同軸に設けられた第3リングギヤ42と、
・第2変速軸51の第1端に設けられ、前記第3リングギヤ42と係合する第2出力ギヤ
52と、
・第2変速軸51の第2端に設けられた第2入力ギヤ53と、
・前記第1変速軸31と同軸に設けられ、前記第2入力ギヤ53と係合する第4リングギ
ヤ61と、
・前記第1変速軸31と同軸に設けられた第5リングギヤ62と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記第5リングギヤ62、および前記第1変速軸31の第2端に位置する第2サンギヤ
33と係合する第2プラネットギヤ72と、
・前記第1変速軸31または前記第2変速軸51の少なくとも1つと係合し、前記回転入
力手段に対する前記回転出力手段の速度および/または向きを制御するために、自身の回
転速度が選択的に変動する回転可能な変調手段81または91とを備える。
他の形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって回転速度を選択的に連続して変化される変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の
転速度の変動が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的
変動に作用する。
好ましくは、前記回転変調手段の速度を異ならせて、前記入力回転に対する前記出力回
転の速度および/または向きの比を異ならせる。
他の形態として、本発明は変速装置システムに広く適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するための回転入力手段と、
・前記入力手段の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
・前記フライホイール構成部から前記出力手段へ回転を伝達するための変速手段と、
・回転可能であって、回転を多数の異なる速度から選択して採用する変調手段とを備え、
前記変調手段の回転または非回転が、前記変速手段と相互に作用して、前記変調手段の異
なる速度が、前記入力回転の速度および/または向きと前記出力回転との異なる比を生成
する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムへ回転を伝達するための入力軸と、
・前記入力軸の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記変速装置システムから回転を伝達するための出力軸と、
・前記フライホイール構成部から前記出力軸へ回転を伝達するための変速部と、
・回転可能であって、その速度および/または向きを選択的に連続して変化させることが
できる少なくとも1つの変調軸とを備え、
少なくとも前記変調軸の回転または非回転が、前記変速部と相互に作用して、少なくとも
前記変調軸の回転の速度および/または向きの変化が、入力軸の回転の速度および向きに
対する出力軸の回転の速度および/または向きの変化に作用する。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入
力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と

・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・前記フライホイール構成部から前記出力部へ回転を伝達するためのものであって、第1
変速軸および第2変速軸を含み、全体/正味の出力回転の速度および/または向きが、少
なくとも一部において、前記第1変速軸の回転の速度/向きおよび前記第2変速軸の回転
の速度/向きに依存する変速部と、
・少なくとも1つの前記変速軸に関連する変調部であって、当該変調部に適用される、あ
るいは当該変調部による、連続して変動する加速または減速の影響が、前記変速軸の少な
くとも1つの回転を加速または減速し、入力回転の速度および/または向きに対する出力
回転の速度および/または向きを連続的に変動させる変調部とを備える。
さらに他の形態として、本発明は変速装置システムに適用されるものであり、
・前記変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入
力部、および前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力部と

・前記入力部の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
・回転または非回転によって前記フライホイール構成部の回転に作用する第1変速軸およ
び第1変速構成部と、
・自身が回転する場合に前記第1変速構成部が回転する前記第2変速軸と、
・前記第2変速軸が回転する場合に回転し、自身の回転または非回転および前記第1変速
軸の回転または非回転が前記出力回転の全体/一部に作用する第2変速構成部と、
・自身の回転または非回転が前記変速軸の1つの回転または非回転にリンクされた変調部
であって、前記変調部にリンクされた前記変速軸の回転を加速または減速するために、連
続的に変動して増進または減退するトルクを前記変調部に適用し、この連続的に変動する
前記変速軸の回転の加速または減速が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および
/または向きの連続的変動を可能にする、少なくとも1つの変調部とを備える。
ほとんどの変速装置システムと同様に、本発明の変速装置システムは、原動機によって
生み出される回転を、異なる速度の回転、異なる向き、あるいはその両方に変換するよう
典型的に動作する。本発明に最もよく用いられる原動機の種類として予測されるものは、
内燃機関エンジンまたは電気モータである。しかしながら、本発明の変速装置システムに
は、回転運動を生み出す他のいかなる形態の原動機、例えば風車、水車、手動で回転させ
られるクランク等、またはこれらの組み合わせ、を代替的に用いることができる。この分
野における当業者は、変速装置システムの駆動回転として用いることができるその他の可
能な原動機を認識することができるであろう。
変速装置システムは、原動機が生み出す回転を変速装置システムへ入力する手段を含む
。最も典型的には、原動機が、原動機によって生み出される回転運動を“出力する”駆動
軸、クランクシャフト、またはこれに類似するものを有する。これらの場合において、変
速装置システムは、原動機の駆動軸に接続可能であり、あるいは駆動軸にリンク可能(お
そらく一連のリンク構成部を用いる方法か他の機構)な入力軸を有する。これにより、回
転が入力軸を経由して変速装置システムへ伝達される。それゆえ、入力軸は、本発明に用
いられる“入力”または“回転入力手段”のおそらく最も一般的な形態である。
しかしながら、入力軸は、変速装置システムが原動機から回転を受け取るための唯一の
手段ではない。例えば、原動機の駆動軸が変速装置システムの中へ直接延在してもよい。
この場合、変速装置システムの内側の構成部(内歯車または軸等)の1つとして、ソケッ
ト、スロット、または原動機の駆動軸を挿通することができるかあるいは駆動軸と接続す
ることができる他の開口であってもよい。これに代えて、変速装置システムの内側の構成
部は、プラグ、または原動機の駆動軸先端のソケットに差し込まれる一種の突起であって
もよく、これにより駆動軸と接続する。これらの場合において、変速装置システムの内側
の構成部に位置する、ソケット、スロット、プラグ、突起等は、原動機から変速装置シス
テムへ回転を伝達する“入力部”または“回転入力手段”である。同様に用いられる他の
回転入力手段として、例えば水または油を用いた結合(hydraulic linkage)がある。こ
の分野における当業者は、さらに可能な回転入力手段または機構(またはこれらの組み合
わせ)について知っており、かかる手段はいずれも発明の範囲以内にある。
変速装置システムはまた、“出力する”ため、あるいは変速装置システムによって伝達
および変換された回転を伝達するための手段を含む。換言すれば変速装置システムは、回
転可能な機械、または駆動するために変速装置システムを用いる他の装置へ回転を受け渡
す手段を有する。回転入力手段に関して前述したように、同様の考察が、この“出力部”
または“回転出力手段”に適用される。それゆえ、変速装置システムは、ほとんど典型的
に、変速装置システムが駆動している機械/装置と接続可能な出力軸を備え、あるいは何
らかの手法によってかかる機械/装置とリンクし(可能であれば一連の結合構成部または
その他の機構)、これにより、回転がかかる機械/装置に伝達される。しかしながら、前
述のように回転入力手段に使用可能な機構または配列のいずれも、回転出力手段に同様に
使用可能である。
本発明の変速装置システムは、変速装置システム入力部から変速装置システム出力部へ
回転を伝達するための“変速部”または“変速手段”を有する。また、回転可能であって
変速部の動作に作用する“変調部”または“変調手段”を有する。1実施形態として、変
調手段は極めて多種類の個々に離散した角速度を選択的に採用するものであってもよい。
この点に関し、変調手段は6種類以上の回転速度を採用可能であるべきであり、好ましく
は10種類以上であり、好ましくは50種類以上である。しかしながら、他の実施形態で
は(おそらくより好ましくは)、変調手段の回転速度が選択的および連続的に変動可能で
ある。換言すると、無限の数の速度を、おそらくは与えられた動作範囲内で採用すること
ができる。前述した“変速部”または“変速手段”の回転は、“変速部”または“変速手
段”と相互に作用する。ここで、極めて多種類の個々に離散した速度を変速手段の回転に
採用することができ、変調手段の異なる速度が、変速装置システムの入力回転および出力
回転の速度および/または向きの間で、異なる比を生成する。ここで、変調手段の回転速
度は連続的に変動可能であり、変調手段の回転速度の変動によって、入力回転に対する出
力回転の速度および/または向きを連続的に変動させることができる。
前の段落で述べたように、変速装置システムは“変速部”または“変速手段”(以下単
に変速部という)を有する。変速部は好ましくは第1変速軸および第2変速軸を含み、全
体/正味の出力回転の速度および/または向きは、少なくとも一部において、第1変速軸
の回転速度/向きと第2変速軸の回転速度/向きとの差異に依存する。前述したように、
“変調部”または“変調手段”(以下単に変調部という)の回転は変速部と相互に作用し
て変速装置システムの入力回転に対する出力回転の速度/向きを変動させる。好ましくは
、変調部が変速軸の少なくとも1つの回転の速度/向きを変動させることによってこれを
行う。
前述した入力および出力手段と同様に、変調部は広い様々な形態が可能である。変調器
、あるいは各変調器は、回転可能な変調軸を通常有することが予想される。変調軸の回転
は変速軸の少なくとも1つの回転とリンクし、これにより変調部の回転が変速軸の少なく
とも1つの回転に作用する。しかしながら、変調部は軸またはシャフトの形態を有する必
要はなく、その他の様々な形態が可能である。例えば、変調部はその他の形態の回転構成
部を有し(そのようなものとして例えばプーリ、またはローラ、またはスピニングベルト
(spinning belt)、またはチェーンなどがある)、その回転はベルト、チェーン、流体
結合(hydraulic linkage)、相互に係合する歯車、スプロケット、磁気的または電気的
なカップリング、または同様の結果を達成することができる他のいかなる器具/機構によ
って1つの変速軸の回転と関連してもよい。にもかかわらず、上述したように、(各)変
調部は典型的に回転可能な変調軸の形態を有する。
本発明の好ましい実施形態として、変調軸は第1および第2変速軸のそれぞれに設けら
れる。したがって、第1変調軸が設けられて、その回転が第1変速軸の回転とリンクし、
第2変調軸が設けられて、その回転が第2変速軸の回転とリンクする。特に好ましい実施
形態として、第1変調軸が第1変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有し、第2
変調軸が第2変速軸上のベベルギヤと係合するベベルギヤを有する。したがって、第1変
調軸に適用される加速/減速が、ベベルギヤ同士の係合を経由して伝達され、対応する加
速/減速を第1変速軸に引き起こす。同様に、第2変調軸に適用される加速/減速が、対
応する加速/減速を第2変速軸に引き起こす。
変速装置システムはフライホイール構成部を備えてもよい。フライホイール構成部は好
ましくは変速装置システムの入力部に機能的にリンクし、入力部の回転(すなわち入力回
転)はフライホイール構成部の回転を引き起こす。フライホイール構成部はベルト、歯車
、プーリ、チェーン等によって入力部と機能的にリンクする。しかしながら、より好まし
くは、フライホイール構成部はリングギヤ部分を含み、入力部は入力ギヤが固定取り付け
された入力軸を有し、入力ギヤが入力軸とともに同じ速度で回転する。適切な形態として
、入力ギヤはフライホイール構成部のリングギヤ部分に係合して、入力軸の回転がフライ
ホイール構成部の回転を引き起こす。これらの実施形態では、フライホイール構成部のリ
ングギヤ部分の直径が入力ギヤのそれよりも大きい。その結果、入力ギヤとフライホイー
ル構成部のリングギヤ部分の係合が、フライホイール構成部に回転を付与するが、フライ
ホイール構成部の回転を、入力軸よりも遅くする。
変速装置システムの“変速部”はまた、第1変速構成部および第2変速構成部を含んで
いてもよい。好ましくは、第1および第2変速構成部の双方が第2変速軸と機能的にリン
クし、第2変速軸が回転すると双方の変速構成部が回転する。第1および第2変速構成部
はベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって第2変速軸と機能
的にリンクする。また、1つの変速構成部が第2変速軸の一方と機能的にリンクし、他の
1つの変速構成部が第2変速軸の他方と機能的にリンクしてもよい。しかしながら好まし
い実施形態として、各変速構成部がリングギヤ部分を含み、第2変速軸は分離した平歯車
部分を有する。1つの平歯車部分は第1変速構成部のリングギヤ部分と係合し、他の平歯
車部分は第2変速構成部のリングギヤ部分と係合する。好ましくは、第2変速軸の平歯車
部分が第2変速軸の何れか一方端に固定取り付けされた平歯車を有する。第1および第2
変速構成部は第2変速軸のいずれか一方端に配置されて(すなわちこれにより第2変速軸
は変速構成部の間に位置する)、変速構成部のうち第2変速軸に向かうそれぞれの部分に
はリングギヤ部分が形成される。
各変速構成部のリングギヤ部分の直径は、典型的に第2変速軸の平歯車の直径よりも大
きい。結果的に、第2変速軸のそれぞれの平歯車と第1および第2変速構成部のそれぞれ
のリングギヤ部分との係合によって、第2変速軸の回転が第1および第2変速構成部に伝
達されて、各変速構成部の回転は第2変速軸の回転よりも遅い。
第1変速構成部もフライホイール構成部と機能的にリンクしてもよく、これにより第1
変速構成部の回転または非回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的な
リンクは、ベルト、歯車、プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現され
る。好ましくは、フライホイール構成部は平歯車タイプのプラネットギヤ部分を有し、第
1変速構成部を有する。これは、上記の2つの段落で説明した第1変速構成部のリングギ
ヤ部分と同様であってよく、あるいは第1変速構成部の分離したリングギヤ部分であって
もよい。いずれにしても、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分は、第1変速構成
部のリングギヤ部分と係合する。特に好ましい実施形態として、第1変速構成部の回転に
よって、そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネ
ットギヤ部分の歯の接線速度と同じになると、フライホイール構成部は自身の主軸に関し
てのみ回転する。しかしながら、第1変速構成部の回転によって、リングギヤ部分の歯の
接線速度が、フライホイール構成部の回転中のプラネットギヤ部分の歯の接線速度と異な
れば、フライホイール構成部は自身の主軸に関して回転することに加えて公転運動する。
この分野における当業者は、リングギヤが典型的に、輪に沿った一連のギヤ歯を伴うリ
ングを有し、ギヤ歯がリングの円筒主軸に向かって放射状に指向することを認識するであ
ろう。しかしながらこの明細書では、要求される他の事情がない限り、“リングギヤ”と
いう用語が、かかる従来の形式だけでなく、輪の外側で延びる一連のギヤ歯を備え、これ
らギヤ歯は外方へ放射状に指向するリング(したがって歯はリングの円筒主軸から離れて
指す)を含むとして理解されなければならない。
第1変速軸はフライホイール構成部と機能的にリンクして、第1変速軸の回転または非
回転がフライホイール構成部の動きに影響する。この機能的なリンクは、ベルト、歯車、
プーリ、チェーン、磁気的なカップリング等によって実現される。好ましくは、第1変速
軸は、フライホイール構成部のプラネットギヤ部分と係合するギヤ部分(平歯車タイプの
サンギヤが第1変速軸の一方端に取り付けられる)を有する。
好ましい実施形態として、第2変速構成部の回転または非回転および第1変速軸の回転
または非回転が、変速装置システムの出力部から伝達される全体/正味の回転に作用する
。第1変速軸は第2変速軸と類似することが適切であり、この場合、他端に固定取り付け
された平歯車を有する。特に好ましい実施形態として、第1変速軸は第1および第2変速
構成部と同軸であり、第1変速軸の細長い軸部分が第1および第2変速構成部それぞれに
設けられた軸方向孔を貫通して延びる。
特に好ましい実施形態として、変速装置出力部は出力軸を有し、出力軸は段付きの形状
を有する。特に出力軸は、第1変速軸と同軸であって第1変速軸と共通する軸線を中心と
して回転する細長い部分と、この共通する軸線を周回する軌道を描く偏心部分とを有する
。好ましくは、平歯タイプのプラネットギヤ(出力プラネットギヤ)が出力軸の偏心部分
にピボットで取り付けられている。出力プラネットギヤは第2変速構成部のリングギヤ部
分(これは前述した第2変速構成部のリングギヤ部分と同じであるか分離したリングギヤ
部分である)と係合し、出力プラネットギヤはまた第1変速軸の先端の歯車と係合する。
前の段落で説明した実施形態につき特に好ましくは、第2変速構成部の回転によって、
そのリングギヤ部分の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と同じ
大きさであって逆向きになると、出力プラネットギヤはこのリングギヤ部分と第1変速軸
のこの歯車の双方と係合することから、この状況で出力プラネットギヤは自身の主軸に関
してのみ回転する。しかしながら、第2変速構成部の回転によって、そのリングギヤ部分
の歯の接線速度が、第1変速軸の回転中の歯車の歯の接線速度と異なれば(異なる大きさ
、異なる向き、または双方)、出力プラネットギヤは自身の主軸に関して回転することに
加えて公転運動する。出力軸の偏心部分は出力プラネットギヤとピボットで接続すること
から、出力プラネットギヤの公転運動によって出力軸の偏心部分は同じ軌道を動く。しか
し、出力プラネットギヤと出力軸のピボット接続により、出力軸は出力プラネットギヤの
公転運動に追従するのみで、出力ギヤの自身の主軸に関する回転に追従しない。出力軸の
偏心部分の公転運動によって第1変速軸と同軸である出力軸の部分の回転を引き起こし、
これにより変速装置システムの外へ回転が伝達される。
図面を参照して、発明の1実施形態を説明する。しかしながら発明は、説明中の実施形
態の特定の特徴に限定されるものではない。
本発明を説明する実施例になる“ギヤボックス”タイプの可変変速装置システムを示す斜視図である。 図1とは少し異なった角度から見た可変ギヤボックスの斜視図である。 可変ギヤボックスの側面図である。 可変ギヤボックスの平面図である。 可変ギヤボックスを一方端から見た図である。 可変ギヤボックスを図5とは反対の他方端から見た図である。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 図1と全く同じギヤボックスを示す斜視図であって、異なる加速/減速が変調軸に適用される状況におけるさまざまな構成部の回転速度を符号で表すものである。 本発明の実施例である可変変速装置システムを示す模式図である。
以下の実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態になる変速装置システムの運動学的解析を行った。変速装置システム
の形態が図10に図示される。変速装置システムの入力端には、内部減速歯車組を伴い入
力軸を駆動する直流モータが設けられ、入力軸は様々な負荷のもと実際上一定速度で駆動
され、異なる動作領域の調査および実演を単純化する。
出力部はハンドホイール(hand wheel)である。2つの操作輪が設けられ、各制御輪は
直角のベベルギヤを経由して変速装置内のそれぞれの中間軸と機械的に接続する。制御I
輪はリングギヤと噛合する歯車に取り付けられ、制御II輪はサンギヤに取り付けられる。
これら2つの制御の関係は固定され、1つの制御を特定の速度で駆動するか、他の1つの
制御を(異なる)特定の速度で駆動することにより、与えられた出力/入力比を達成する
機構の運動学的解析は、出力速度が、入力速度および制御速度に基づいて計算されるこ
とを可能にする2つの方程式を提供する。方程式の形式は、制御Iまたは制御IIを用いるものであり、入力および制御の合計に重み付けをしたものが出力である。ここの注目点は遊星歯車組の特徴を“合計すること”である。
出力=0.375×制御I−0.125×入力 ・・・・・・・(式1)
出力=0.75×制御II+0.25×入力 ・・・・・・・(式2)
表1は幾つかの可能な変速装置の運動学的状態を示し、−入力から+入力までの間で制
御Iまたは制御IIを駆動することにより達成される。表示される数値は、入力軸の1回転
に対して変速装置の要素が達成する回転の数を示し、あるいはこれに対応して、入力軸の
速度が1であるときの変速装置の要素の速度を示す。それぞれの運動学的シナリオ(a)
から(e)までは異なる制御速度を有する。またリングギヤ要素の速度が表に示される。
表1の内容は、以下の表2に図解的に表される。
(c)を除くすべてのシナリオは制御を速度0または±1で駆動することにより達成可
能である。これらのシナリオは、固定の静止している要素(制御速度0のため)のように
、ギヤボックス・シャシ上で制御に物理的にブレーキをかけることにより、あるいは、制
御を入力あるいは逆回転する入力に直接(クラッチによって)つなぐことにより(制御値±
1のため)、機械的に達成される。
制御Iおよび制御IIの有益な特徴はそれぞれ、“片側の操作”および“広い範囲”であ
る。考えられる限り、これらの特徴は、複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)
において、組み合わせることができる。以下の表3に図解的に表す。
表3のチャートを参照して、各制御は速度0から+入力までの間のみによって駆動され
る。この場合、制御Iはリバース、ニュートラルギヤ、およびローギヤを達成するために
用いられ、制御IIは低い比から高い比を達成するために用いる。これは、(CVTのよ
うな)外部速度変更装置を制御Iあるいは制御IIのいずれかに選択的につなぐよう設計されたクラッチによって、機械的に実行することができる。最も単純なCVTは負数の比および正数の比の双方を実現しない。この複数の制御を用いる方策(マルチコントロール)を用いることにより、負数の比および正数の比の双方を生み出す外部変数速度装置が不要になる。この結果、制御Iや制御IIのみを使用するよりも、より単純な機械的製品が可能になる。
以下において図面を詳細に説明する。図面より、可変ギヤボックスは以下に説明する構
成部分を含むことが理解される。
・入力軸11および入力ギヤ12からなる入力構成部10。入力ギヤ12は平歯車であ
って、入力軸11の内側端に固定接続される。これにより入力ギヤ12は入力軸11と同
じ回転速度で回転する。
・リングギヤ部分21(“フライホイールリングギヤ”)および平歯車タイプのプラネ
ットギヤ部分22(“フライホイールプラネットギヤ”)を有する“フライホイール”構
成部20。フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の平坦な裏面
に設けられて、フライホイールリングギヤ21と同軸にされる。これによりフライホイー
ルプラネットギヤ22はフライホイールリングギヤ21と同じ回転速度で回転する。
・細長い剛体の軸部分31と、平歯タイプの入力側サンギヤ32と、平歯タイプの出力
側サンギヤ33からなる第1変速軸30。入力側サンギヤ32は、入力構成部10に最も
近い軸31の一方端に固定接続される。出力側サンギヤ33は軸31の他方端に固定接続
される。したがって軸31、入力側サンギヤ32、および出力側サンギヤ33はすべて同
じ速度で一緒に回転する。軸31は、後述する変速構成部の軸線上に設けられた孔を貫通
して延びる。第1変速軸30は、軸部分31の途中に固定されるベベルギヤ34をさらに
有する。この機能についても後述する。
・おおよそ円筒形状であって、構成部を半分に分離する分割壁44で2つの円形部分に
分割された第1変速構成部40。構成部の一方の半分は第1入力側リングギヤ41を形成
し、他方の半分は第1出力側リングギヤ42を形成する。分割壁44は軸線貫通孔43を
含み、この孔を第1変速軸30の軸部分31が通過して延びる。
・細長い剛体の軸部分51と、平歯タイプの入力側ギヤ52(入力ギヤ12とは区別さ
れる)と、平歯タイプの出力側ギヤ53(後述する出力プラネットギヤ72とは区別され
る)からなる第2変速軸50。入力側ギヤ52は、入力構成部10に最も近い軸51の一
方端に固定接続され、出力側ギヤ53は軸51の他方端に固定接続される。したがって軸
51、入力側ギヤ52、および出力側ギヤ53はすべて同じ速度で一緒に回転する。第2
変速軸50は、軸部分51の途中に設けられたベベルギヤ54をさらに有する。
・段付きに形成された出力軸71および平歯タイプの出力プラネットギヤ72からなる
出力構成部70。重要なことには、入力構成部10と比較した出力構成部70の相違点が
、入力軸11が直線形状であることに対し出力軸71が段付き形状にされていることだけ
ではなく、入力ギヤ12が入力軸11に固定接続されることに対し出力プラネットギヤ7
2が出力軸71にピボットで接続されることである。なぜなら、出力プラネットギヤ72
が出力軸71の内側端にピボットで接続されることにより、出力軸71を安定維持する一
方で出力プラネットギヤ72が回転することが可能になるからである。
・変調軸81およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ82を有する第1変調部80
。第1変調ベベルギヤ82は、第1変速軸31に設けられたベベルギヤ34と噛合する。
この機能については後述する。
・第1変調部80と同様に、変調軸91およびこの先端に固定された変調ベベルギヤ9
2を有する第2変調部90。第2変調ベベルギヤ92もまた、第2変速軸51に設けられ
たベベルギヤ54と噛合し、この機能については後述する。
実際のところ、図面に表された可変ギヤボックスは、図示されない多数の構成部を包含
する。例えば、ギヤボックス構成部は通常、ケーシングの中に収容される。ケーシングは
典型的にギヤボックス構成部を包囲する殻を形成するが、入力軸11、出力軸71、第1
変調軸81、および第2変調軸91がギヤボックスの外の構成部を駆動しまたは駆動され
るよう接続するための開口または接続手段を伴う。様々なギヤボックス構成部をケーシン
グ内に配設するために、様々な取付具、軸受部、締結手段、またはそのようなものも、ギ
ヤボックスのケーシング内に設けられる。かかる点につき当然のことながら、ギヤボック
ス内の多くの構成部が“固定される”が、この意味するところは、ギヤボックスが要求通
り動作するように、構成部がそれぞれの円筒主軸に関して回転可能であって、他の形態の
運動が規制されることである。ただし、これには幾つかの例外がある。例えば、第2プラ
ネットギヤ72は自身の軸線に関して回転することに加え、出力側サンギヤ33を周回す
る軌道を描くよう運動してもよい(場合によっては、入力−出力比を変化させるためにど
のようにギヤボックスを動作させるかによる)。この種の公転運動は、遊星歯車配列にお
いて極めて一般的である。また、フライホイール構成部20は、“浮動”構成部であって
、これによりフライホイール構成部20は、フライホイールプラネットギヤ22が入力側
サンギヤ32の周囲を運動するような軌道に沿って、運動してもよい(これも、入力−出
力比を変化させるためにどのようにギヤボックスを動作させるかによる)。様々な構成部
の運動については、後で詳細に説明する。回転を生み出す原動機(例えば内燃機関エンジ
ンまたは電気モータ)は、何らかの方法により入力軸11に接続される駆動軸を備え、原
動機の回転が入力軸11の回転をもたらし、原動機からギヤボックスへ回転を伝達する。
入力軸11の回転は入力ギヤ12の回転と一致する。入力ギヤ12上にある外方へ向けて
延びる平歯車の歯は、フライホイールリングギヤ21上にある内方へ向けて延びるリング
ギヤの歯に噛合し、これにより回転がフライホイール構成部20に伝達する。
この点につき、図面に表される特定の実施例では、様々な“リングギヤ”タイプの構成
部が、様々な平歯車タイプのギヤの直径よりも3倍以上大きな直径を有することが有用で
ある。リングギヤタイプの構成部は、様々な平歯車タイプの構成部の3倍の歯数を有する
最初の説明の目的は、上述した入力軸11および入力ギヤ12の回転が、入力ギヤの歯
とフライホイールリングギヤ21の歯との噛合により、フライホイール構成部20に同じ
向きの回転をもたらすということを第1に述べることである。フライホイールリングギヤ
の直径が入力ギヤ12の直径よりも(3倍)大きいために、フライホイール構成部20は
入力軸よりもゆっくりと回転する。また、この回転は、フライホイール構成部全体の正味
運動量である。
前述したように、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイール構成部20の裏
面に固定取り付けされる。これにより、フライホイールプラネットギヤ22はフライホイ
ール構成部20の残りの部分と同じ速度および向きで回転する。
図1に示すように、フライホイールプラネットギヤ22は、(第1変速軸31と接続す
る)入力側サンギヤ32および(第1変速構成部40の一部である)第1入力側リングギ
ヤ41の双方と係合する。これにより、フライホイール構成部20の回転が、第1変速軸
30および第1変速構成部40の双方に回転を付与することができる。しかしながら、回
転がこれら構成部の双方または一方に付与すられるか否かは、加速または減速トルクが変
調部に適用されるか否かによる。あるいは、変調部に適用される加速または減速トルクの
組み合わせによる。この点については後述する。
最初の説明の目的は、いずれの変調部にも加速または減速トルクのいずれも適用されな
い場合を考えることである。このため、各変調部は、それぞれと係合する変速軸の回転と
ともに回転する。この場合において、フライホイール構成部20の回転は、入力側サンギ
ヤ32および第1入力側リングギヤ41の双方に回転を付与する。したがって、第1変速
軸30および第1変速構成部40の双方が回転する。入力軸11の回転が図1に矢印で示
される向きであって、回転速度ω(したがって、同じ速度であるが逆の向きであれば−ω
と表される)である場合を想定する。このとき、入力ギヤ12も角速度ωで回転する。し
かしながら、フライホイール構成部20の直径は入力ギヤ12のそれよりも3倍大きいた
め、フライホイール構成部20の回転はより遅く、ω/3の速度である。したがって、フ
ライホイールプラネットギヤ22の回転もω/3の回転速度である。
加速または減速トルクが変調部のいずれにも適用されない場合に、第1変速構成部40
の回転はフライホイール構成部20の回転よりも遅くなるが、回転の向きは同じである。
もっと具体的にいうと、第1変速構成部40の直径はフライホイールプラネットギヤ22
の直径よりも3倍大きいため、第1変速構成部40は角速度ω/9で回転する。(プラネ
ットギヤ22およびサンギヤ32は同じ直径を有するため)入力側サンギヤ32の回転は
フライホイール構成部20の回転と同じ速度であるが、フライホイール構成部とは回転の
向きが逆である。したがって、入力側サンギヤ32は回転速度−ω/3で回転する。
入力側サンギヤ32は第1変速軸31に直接取り付けられ、図2に示すように、第1変
速軸31は何ら干渉することなく、第1変速構成部40の中心にある孔43を貫通して延
びる。同じように、第1変速軸31の他端も何ら干渉することなく、図1に示すように、
第2変速構成部60の孔63を貫通して延びる。この結果、以前の段落で説明した入力側
サンギヤ32に付与される回転は第1変速軸30の他の部分へ伝達される。換言すれば、
第1変速軸31、ベベルギヤ34、および出力側サンギヤ33は、入力側サンギヤ32と
同じ速度および同じ向きに、つまり−ω/3で回転する。ここに示される状況は、加速/
減速がいずれの変調部にも適用されず、これにより上述した第1変速軸30の回転が第1
変調ベベルギヤ82を経由して伝達され、第1変調部80が回転する。第1変調部80は
第1変速軸30と直交して配置される。それゆえ、上述してきたような回転の向きを表す
+/−の記号による表現は、第1変調部80に適用されない(第2変調部90も同様であ
る)。しかしながら、第1変調ベベルギヤ82の歯数がベベルギヤ34の歯数と等しく、
それゆえ第1変調部80の回転速度の大きさは|ω/3|である。
上述のように、加速/減速がいずれの変調部にも適用されない状況では、フライホイー
ル構成部20の回転によって、第1変速構成部40がω/9の回転速度で回転する。図2
に示すように、入力側ギヤ52は内方へ向けて延びる第1出力側リングギヤ42の歯に係
合する。この結果、第1変速構成部40の回転が入力側ギヤ52の回転を引き起こす。入
力側ギヤ52の直径は第1出力側リングギヤ42の直径の3分の1である。それゆえ入力
側ギヤ52は、第1出力側リングギヤ42と同じ向きで回転するが、3倍の速度、つまり
ω/3である。
入力側ギヤ52は第2変速軸50の先端に固定接続される。それゆえ、入力側ギヤ52
の回転が第2変速軸50の他の部分(つまり第2変速軸51、出力側ギヤ53、およびベ
ベルギヤ54)の回転を引き起こし、ω/3の速度で回転させる。上述した第2変速軸5
0の回転が第2変調ベベルギヤ92を経由して第2変調部90に伝達され、第2変調部9
0も回転する。第2変調部90の回転速度の大きさは|ω/3|である。
この点につき付言すると、入力軸11が速度ωで回転して加速/減速が変調部のいずれ
にも適用されない当該状況において、第1変速軸30は−ω/3の速度で回転し、第2変
速軸50はω/3の速度で回転する。換言すると、これら変速軸は、入力回転の3分の1
の速度で、それぞれ反対の方向に回転している。
再び図1を参照して、(第2変速軸50の一部である)出力側ギヤ53は、第2変速構
成部60の第2入力側リングギヤ61と係合する。これにより、第2変速構成部は第2変
速軸50と同じ向きに回転するが、(第2変速構成部60の直径が出力側ギヤ53のそれ
の3倍であるため)速度は3分の1である。したがって、第2変速構成部は速度ω/9で
回転させられる。
また前述したように、ギヤボックスの出力側に向かって延びる第1変速軸30の先端が
、第2変速構成部60の軸方向孔63を貫通する。図2に示すように、第1変速軸30の
当該先端には出力側サンギヤ33が取り付けられる。出力側サンギヤ33は出力プラネッ
トギヤ72と係合する。しかしながら、出力プラネットギヤ72も第2変速構成部60の
第2出力側リングギヤ62と係合する。それゆえ出力プラネットギヤ72は出力側サンギ
ヤ33および第2出力側リングギヤ62の双方と係合する。
前述したように、出力側サンギヤ33(および第1変速軸30全体)は−ω/3の速度
で回転している。また前述したように、第2変速構成部60はω/9の速度で回転してい
る。しかしながら、第2変速構成部60の直径は出力側サンギヤ33の直径よりも3倍大
きい。それゆえ、出力プラネットギヤ72と係合する出力側サンギヤ33の歯の接線速度
は、出力プラネットギヤ72と係合する第2出力側リングギヤの歯と厳密に等しい。この
効果として、出力プラネットギヤ72が、出力側サンギヤ33の周囲を回る軌道に沿って
運動することなく、単に“1つの箇所に留まって”自身の主軸に関してのみ回転する。ま
た、出力プラネットギヤ72は出力軸71にピボットで接続するため、出力プラネットギ
ヤ72がこのように1つの箇所で回転するときに出力軸71は動かないままである。出力
軸71を回転可能にする唯一の方法は、出力プラネットギヤが出力側サンギヤ33の周囲
を公転運動することである。
結果的に、入力軸11が速度ωで回転し加速/減速が変調部のいずれにも適用されない
当該状況では、第1変速軸30および第2変速構成部60の回転より得られる結果として
、ギヤボックスを通過して伝達される回転はない(しかしながら各変調部は前述した|ω
/3|の大きさで回転する)。換言すると、当該状況では、ギヤボックスにおける出力速
度/入力速度の比が0である。図7は、当該状況における様々な構成部の回転の速度およ
び向きの図式的な概要を示す。
次に、以下記載の(図式的に図8に代表される)別な状況につき考えてみる。
・第1変調部80を適切な位置に固定するために第1変調部80に十分に大きな減速トル
クが適用され(すなわち全く回転しないようにする)、
・第2変調部90にトルクが適用され、第2変調部90が|ω/2|の大きさの一定の角
速度で回転し(向きを図8に示す)、および
・入力軸が上述した速度ωと同じ角速度で回転している。
この別のシナリオでは、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21との係合が、フ
ライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転をもたらす。
しかしながら、第1変調部80は現在固定されているため、入力側サンギヤ32も固定状
態になる。それゆえ、入力側サンギヤ32は固定される。結果的に、フライホイール構成
部20の回転と、フライホイールプラネットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合によ
り、フライホイールプラネットギヤ22は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。こ
の公転運動の速度は、図8に矢印で示すように、−ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図8に示す向きに回転す
るため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部4
0および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述のように
、各変速構成部のリングギヤの直径が第2変速軸50の両端にあるギヤの直径よりも3倍
大きいため、第1および第2変速構成部の回転は第2変速軸50よりも遅い。したがって
、第1変速構成部40および第2変速構成部60の双方は速度ω/6で回転する。
それゆえ、この別な状況では、(第1変速軸30全体が動かないため)出力側サンギヤ
33は動かない。その一方で、(第2変速構成部60全体が速度ω/6で回転しているた
め)第2出力側リングギヤ62は速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72は出力側サンギヤ33および第2出力
側リングギヤ62の双方と係合する。それゆえ、出力プラネットギヤ72の全体/正味の
回転(および出力軸71の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リン
グギヤ62との相互作用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定さ
れる。この場合、第2出力側リングギヤ62の回転は、自身の円筒の主軸に関し、出力プ
ラネットギヤ72を速度ω/2(すなわちリングギヤ62の速度の3倍であるが同じ向き
)で回転させる。しかしながら、これは、出力プラネットギヤ72が出力側サンギヤ33
の周囲の軌道に沿って回転することを意味する(なぜなら出力側サンギヤ33は回転する
ことなく固定されているためである)。それゆえ、出力プラネットギヤ72は、自身の主
軸に関して速度ω/2で回転するだけでなく、出力側サンギヤ33の周囲を公転速度ω/
2で公転運動する。その結果、出力プラネットギヤ72の公転運動によって、出力軸71
は速度ω/2で回転する。
それゆえ、この別な状況では、第1変調部80を回転しないよう固定すること、および
第2変調部90を(図8に示すように)速度|ω/2|で回転させることの効果は、入力
軸が速度ωで回転する間、入力回転と同じ向きの出力回転をもたらすが、速度は3分の1
になるという効果である。したがって、速度ω/2の出力回転をもたらす効果がある。他
の言い方をすれば、ギヤボックスの出力速度/入力速度の比を2とする。
図9は、さらに別の例の状況を概略図示するものであり、
・第1変調部80にトルクが適用されて、第1変調部80は大きさ|2ω|(図9に向き
を示す)になる一定の角速度で回転し、
・第2変調部90にトルクが適用されて、第2変調部90は大きさ|ω/2|(図9に向
きを示す)になる一定の角速度で回転し、
・入力軸は前述のように同じ角速度ωで回転している。
このさらに別のシナリオでも同様に、入力ギヤ12とフライホイールリングギヤ21と
の係合が、フライホイール構成部20に、自身の円筒部主軸に関して角速度ω/3の回転
をもたらす。しかしながら、第1変調部80は現在速度|2ω|で回転しているため、こ
れにより第1変速軸30は−2ωの速度で回転する。それゆえ、入力側サンギヤ32は−
2ωで回転する。結果的に、フライホイール構成部20の回転と、フライホイールプラネ
ットギヤ22と入力側サンギヤ32との係合により、フライホイールプラネットギヤ22
は入力側サンギヤ32の周囲を公転運動する。この公転運動の速度は、図9に矢印で示す
ように、−2ω+ω/3=−5ω/3である。
この間、第2変調部90が大きさ|ω/2|の一定の角速度で図9に示す向きに回転す
るため、第2変速軸50に速度ω/2の回転をもたらす。これにより、第1変速構成部4
0および第2変速構成部60の双方は同じ向きに回転する。しかしながら、前述した例と
同じ理由により、双方の変速構成部の回転は速度ω/6(すなわち第2変速軸50の速度
の3分の1)である。
それゆえ、このさらに別な状況では、出力側サンギヤ33が速度−2ωで回転する(な
ぜなら第1変速軸30全体が当該速度で回転しているため)。その一方で、第2出力側リ
ングギヤ62は(前の段落で説明したように)速度ω/6で回転している。
次に、前述したように、出力プラネットギヤ72の全体/正味の回転(および出力軸7
1の全体/正味の回転)は、出力側サンギヤ33と第2出力側リングギヤ62との相互作
用に出力プラネットギヤ72を組み合わせることによって、決定される。このさらなる場
合、出力プラネットギヤ72が(速度ω/6で回転している)第2出力側リングギヤ62
および(速度−2ωで回転している)出力側サンギヤ33と係合することによる正味の効
果は、出力プラネットギヤ72に、自身の主軸に関して速度ω/2の回転を引き起こし、
また公転速度が−2ω+ω/2=−3ω/2となる出力プラネットギヤ72の公転運動を
引き起こすことである。
換言すると、このさらに別の状況では、(図9に示すように)第1変調部80が速度|
2ω|で回転することおよび(図9に示すように)第2変調部90が速度|ω/2|で回
転することの効果として、入力軸が速度ωで回転する間、出力軸71の出力回転を、入力
回転とは反対の向きに、1.5倍の速度にすることである。したがって、この状況では、
ギヤボックスの出力/入力比が−3/2=−1.5である。
これらの例では、第1および第2変調部の加速/減速トルクの組み合わせを変化させる
ことにより、ギヤボックスの入力軸の速度に対する出力軸の速度および向きを変動させる
効果を有することを、実演した。さらには、(これらのうち少なくとも1つの)変調部に
適用される加速/減速が連続的に変動可能であり、これにより、ギヤボックスの入力出力
比を連続的に変化させることが達成できることが理解されよう。これに代えて、時には、
これら変調部(あるいはこれらのうちの1つ)に適用される加速/減速を連続的に変化さ
せることができない場合がある。代わりに、一方または双方の変調部が、個々に離散した
極めて多種類の速度で、可能ならば一方または両方の向きで、回転することが可能であっ
てもよい。これらの場合、より多くの種類の速度が一層好ましい(基本的には多ければよ
い)が、少なくとも1つの変調部につき6種類以上の異なる回転速度を可能とするべきで
ある。また、個々に離散した異なる速度は、互いに極めて近似するべきである(すなわち
、不連続な速度同士の間のギャップを大きくするべきではない)。互いに近似する不連続
な速度により、変速装置システムの出力/入力比を適切に微調整することが可能になる。
変速装置の出力/入力比を適切に微調整する能力は、背景技術の欄で前述した問題を緩和
するのに役立つ。つまり、従来のギヤボックスは個々に離散した比を僅かしか供給せず、
エンジンを理想の速度で運転しつつ所望の出力速度を得るための伝達比を供給できないた
め、原動機を最適な速度よりもより高いまたはより低い動作速度で運転する必要があった
。互いに近似した極めて多種類の不連続な変調部速度を具備することにより、本発明の変
速装置システムは、理想の伝達比に近似する伝達比を少なくとも供給する。
当業者は、発明の範囲および思想から逸脱しない限り、説明された特定の実施例に様々
な変形および修正を加えることを認識するであろう。

Claims (14)

  1. 変速装置システムへ回転(“入力回転”)を伝達するためのものであり、固定取り付けされた第1入力ギヤ12を有し、これにより前記第1入力ギヤ12を同じ速度で回転させる回転入力手段と、
    第1側で前記第1入力ギヤ12と係合し、前記回転入力手段の回転によって回転する第1リングギヤ21と、
    前記第1リングギヤ21の第2側に同軸に設けられた第1出力プラネットギヤ22と、
    前記第1出力プラネットギヤ22と係合する第2リングギヤ41と、
    第1変速軸31の第1端に設けられ、前記第1出力プラネットギヤ22および前記第2リングギヤ41と係合する第1サンギヤ32と、
    回転一致のために前記第2リングギヤ41と同軸に設けられた第3リングギヤ42と、
    第2変速軸51の第1端に設けられ、前記第3リングギヤ42と係合する第2出力ギヤ52と、
    第2変速軸51の第2端に設けられた第2入力ギヤ53と、
    前記第1変速軸31と同軸に設けられ、前記第2入力ギヤ53と係合する第4リングギヤ61と、
    前記第1変速軸31と同軸に設けられた第5リングギヤ62と、
    前記変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための回転出力手段と、
    前記第5リングギヤ62、および前記第1変速軸31の第2端に位置する第2サンギヤ33と係合する第2プラネットギヤ72と、
    前記第1変速軸31または前記第2変速軸51の少なくとも1つと係合し、前記回転入力手段に対する前記回転出力手段の速度および/または向きを制御するために、自身の回転速度が選択的に変動する回転可能な変調手段81または91と、
    を備える、変速装置システム。
  2. 前記回転可能な変調手段の速度を異ならせて、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの比を異ならせる、請求項1に記載の変速装置システム。
  3. 前記入力回転は原動機によって生み出される、請求項1または2に記載の変速装置システム。
  4. 前記原動機は、内燃機関エンジン、電気モータ、風車、水車、クランク、または同種のもの、またはこれらの組み合わせである、請求項3に記載の変速装置システム。
  5. 前記原動機は、前記変速装置システムの前記回転入力手段に接続される、請求項3または4に記載の変速装置システム。
  6. 前記回転入力手段は、入力軸、ソケット、スロット、プラグ、突起、水または油を用いた結合、または同種のもの、またはこれらの組み合わせである、請求項1〜5のいずれかに記載の変速装置システム。
  7. 前記回転可能な変調手段は、6種類以上の個々に離散した回転速度を選択するものであり、好ましくは10種類以上の個々に離散した回転速度を選択するものであり、より好ましくは50種類以上の個々に離散した回転速度を選択するものである、請求項1〜6のいずれかに記載の変速装置システム。
  8. 前記回転可能な変調手段の回転速度は、選択可能であって、連続的に変動する、請求項1〜7のいずれかに記載の変速装置システム。
  9. 前記回転可能な変調手段は、回転可能な軸を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の変速装置システム。
  10. 前記第1および第2変速軸の双方は、回転可能な変調手段を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の変速装置システム。
  11. 前記第1リングギヤ21の直径が前記第1入力ギヤ12のそれよりも大きい、請求項1〜10のいずれかに記載の変速装置システム。
  12. 前記回転可能な変調手段の回転または非回転が、前記変速装置と相互に作用して、前記回転可能な変調手段の回転の速度および/または向きの変動が、前記回転入力手段の回転の速度および向きに対する前記回転出力手段の回転の速度および/または向きの変動に作用する、請求項1〜11のいずれかに記載の変速装置システム。
  13. 前記回転可能な変調手段に適用されるまたは前記回転可能な変調手段による、連続的に変動する加速または減速が、結果的に前記第1および第2変速軸の少なくとも1つの回転の加速または減速に影響し、前記回転可能な変調手段によって、入力回転に対する出力回転の速度および/または向きが連続的に変動することができる、請求項1〜12のいずれかに記載の変速装置システム。
  14. 変速装置システムに入力する回転(“入力回転”)を受け取る/付与するための入力、および変速装置システムから回転(“出力回転”)を伝達するための出力と、
    前記入力の回転によって回転を生じるフライホイール構成部と、
    これら自身の回転または非回転が前記フライホイール構成部の回転に影響を及ぼす第1変速軸および第1変速構成部と、
    前記第1変速構成部とともに回転する第2変速軸と、
    前記第2変速軸とともに回転し、自身の回転または非回転および前記第1変速軸の回転または非回転が前記出力回転の全体/正味に作用する第2変速構成部と、
    自身の回転または非回転が前記変速軸の1つの回転または非回転にリンクされた変調部であって、前記変調部にリンクされた前記変速軸の回転を加速または減速するために、連続的に変動して増進または減退するトルクを前記変調部に適用し、この連続的に変動する前記変速軸の回転の加速または減速が、前記入力回転に対する前記出力回転の速度および/または向きの連続的変動を可能にする、少なくとも1つの変調部と、
    を備える、変速装置システム。
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