JP2010540101A - ブロックコポリマーより製作される埋込型医療機器 - Google Patents

ブロックコポリマーより製作される埋込型医療機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2010540101A
JP2010540101A JP2010527102A JP2010527102A JP2010540101A JP 2010540101 A JP2010540101 A JP 2010540101A JP 2010527102 A JP2010527102 A JP 2010527102A JP 2010527102 A JP2010527102 A JP 2010527102A JP 2010540101 A JP2010540101 A JP 2010540101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block
elastomeric
polymer
glassy
matrix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010527102A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5372941B2 (ja
JP2010540101A5 (ja
Inventor
ワン,ユンビン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Abbott Cardiovascular Systems Inc
Original Assignee
Abbott Cardiovascular Systems Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Abbott Cardiovascular Systems Inc filed Critical Abbott Cardiovascular Systems Inc
Publication of JP2010540101A publication Critical patent/JP2010540101A/ja
Publication of JP2010540101A5 publication Critical patent/JP2010540101A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5372941B2 publication Critical patent/JP5372941B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/14Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L31/148Materials at least partially resorbable by the body
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/12Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material
    • A61L31/125Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material having a macromolecular matrix
    • A61L31/129Composite materials, i.e. containing one material dispersed in a matrix of the same or different material having a macromolecular matrix containing macromolecular fillers

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

例えばステント等の、生分解性のポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作された医療機器が開示されている。前記複合物は、エラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックを含むブロックコポリマーから構成される。

Description

本発明はブロックコポリマーを含むポリマー−ポリマー複合物から製作される埋込型医療機器、およびかかる埋込型医療機器を製作する方法に関する。
≪技術水準の説明≫
本発明は、体内の管腔への埋込みに適した、径方向に拡張可能な内部人工器官に関する。「内部人工器官」は、体内に設置される人工の機器に該当する。「管腔」とは、血管などの管状器官の空洞を指す。
ステントはそのような内部人工器官の一例である。ステントは、一般的に円柱状の形状をした機器で、血管または尿路および胆管など他の解剖学的管腔の一セグメントを開いた状態に保持し、時には拡張するよう機能する。ステントは、血管中のアテローム硬化型狭窄の治療によく使用される。「狭窄」は、体内の導管または開口部の直径が狭小化または収縮することを指す。そのような治療においてステントは、身体の血管を補強し、血管系における血管形成の後の再狭窄を阻止する。「再狭窄」は、一見して成功裏に(例えば、バルーン血管形成、ステントによる治療または弁形成によって)治療を受けた後の、血管内または心臓弁における狭窄の再発を指す。
ステントを用いた患部または病変の治療は、ステントの送達および展開の両方を含む。「送達」は、体内の管腔を通して、病変部のような治療を要する血管内の領域にステントを導入および輸送することを指す。「展開」は、治療領域において管腔内でステントを拡張することに該当する。ステントの送達および展開は、カテーテルの一端部の回りにステントを配置すること、皮膚を通して体内の管腔へこのカテーテルの端部を挿入すること、体内の管腔内のカテーテルを所望の治療位置へ進めること、治療位置でステントを拡張すること、および管腔からカテーテルを除去することによって成し遂げられる。
バルーン拡張型ステントの場合、ステントは、カテーテル上に配置したバルーンの周囲に取り付けられる。ステントを取り付けることは、典型的にはステントをバルーンに圧着するか、または縮みしわを付けるように押し付けることを含む。次いでバルーンを膨らませることによって、ステントを拡張する。次いでバルーンを収縮させ、カテーテルを引き抜く。自己拡張型ステントの場合には、ステントを引込み式シースまたはソックス状のカバーのような拘束部材を介してカテーテルに固定してもよい。ステントが体内の所望の位置にある時点で、シースを引き抜いて、ステントを自己拡張させることができる。
ステントは、いくつかの機械的な必要条件を満たすことができなければならない。第1に、ステントは、構造上の負荷、すなわちステントが血管の壁を支えることによりステントにかけられる径方向の圧縮力に耐えることができなければならない。したがって、ステントには適切な径方向の強度がなくてはならない。径方向の強度は、径方向の圧縮力に抵抗するステントの性能であり、ステントの周方向の強度および剛性に起因する。それ故、径方向の強度および剛性は、フープ強度および剛性、または、周方向強度および剛性といってもよい。
鼓動する心臓が誘発する周期的な負荷を含む、様々な力がステントにかかることになるが、ステントは、一度拡張されれば、そのサイズおよび形状を耐用年数の間十分に維持しなくてはならない。例えば、径方向の力はステントを内向きに後退させてしまうことがある。一般的に、後退は最小限にすることが望ましい。加えて、ステントは、圧着、拡張、および周期的負荷を許容するのに十分な可撓性を持っていなくてはならない。ステントを、蛇行した血管通路を通じて操作でき、線状でない、もしくは湾曲しやすい展開部位に適合できるようにするために、長手方向の可撓性が重要となる。最終的には、有害な血管反応を誘発しないようにするために、ステントは生体適合性を有さねばならない。
ステントの構造は、典型的には、業界でストラット(支柱)あるいはバーアーム(棒腕)としばしば呼ばれる、相互接続している構造要素のパターンまたは網目を含む骨格で構成される。骨格はワイヤ、チューブ、または円柱形状に巻かれたシート材料から形成することができる。骨格は、ステントを径方向に圧縮(圧着可能なように)および径方向に拡張(展開可能なように)できるように設計されている。従来のステントは、あるパターンを持つ個別の構造要素の相互間の動作を介して、拡張および収縮することができる。
さらに、薬ステントは、金属骨格またはポリマー骨格のいずれかの表面に、活性薬剤、生理活性薬剤、あるいは薬物を含むポリマー担体をコーティングすることにより製作してもよい。ポリマー骨格が活性薬剤または薬物の担体として使用されてもよい。
さらに、ステントは生分解性であることが望ましいこともある。多くの治療用途において、体内のステントの存在は、意図した機能、例えば血管の開通性を維持する機能および/または薬物送達の機能が成し遂げられるまでの限られた期間の間、必要であり得る。したがって、生体吸収性ポリマーのような生分解性、生体吸収性、および/または生体侵食性材料から製作されたステントは、その臨床的必要性が完了した後にのみ完全に侵食されるように構成されるべきである。
ポリマーステントの潜在的問題として、それらが不適当な靭性を有する可能性があること、および特定の治療について望ましいよりも遅い分解速度を有する可能性があることが挙げられる。
本発明の様々な実施の形態は、生分解性のポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体(stent body)であって、前記複合物はエラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーを備え、前記エラストマー相は前記エラストマー状ホモポリマーブロックを含むとともに、前記マトリクスは前記ガラス状ブロックを含み、前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、ステント体を含む。
本発明の更なる実施の形態は、マトリクス中に分散するエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体であって、前記複合物はガラス状マトリクスポリマーにブレンドされるブロックコポリマーを備え、前記ブロックコポリマーはエラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含み、前記エラストマー相は前記エラストマー状ブロックを含み、前記マトリクス相は前記ガラス状マトリクスポリマーとガラス状ポリマーブロックとを含み、前記エラストマー状ブロックは、生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ガラス状マトリクスポリマーよりも靭性が高い、ステント体を含む。
本発明の追加的な実施の形態は、ポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体であって、前記複合物はエラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーを備え、前記エラストマー相は前記エラストマー状ホモポリマーブロックを含むとともに、前記マトリクスは前記ガラス状ブロックを含み、前記ガラス状ブロックの分子量は前記ポリマーマトリクスを形成するのに十分大きく、前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、ステント体を含む。
本発明の別の実施の形態は、ポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体であって、前記複合物はエラストマー状ポリマーブロックとPLGAブロックとを含むブロックコポリマーを備え、前記エラストマー相は前記エラストマー状ブロックを含むとともに、前記ポリマーマトリクスは前記PLGAブロックを含み、前記PLGAブロックの分子量は前記ポリマーマトリクスを形成するのに十分大きく、前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、ステント体を含む。
図1Aは、ステントを示す図である。 図1Bは、図1Aに示すステントの構造要素の一部分を示す図である。 図2は、典型的なポリマーを4つの温度において検査した場合の荷重−伸び曲線であり、力学的挙動の領域を示す線図である。 図3は、図1Bに示す部分拡大概略図である。 図4は、2元ポリマーブレンド形成の概略図である。 図5は、不連続ポリマー相と連続ポリマー相との境界面の拡大概略図である。 図6は、3元ポリマーブレンド形成の概略図である。 図7は、ラットの組織に移植されたPLLAおよびPGAのホモポリマーならびにコポリマーの半減期を示す線図である。 図8Aは、長いガラス状ブロックと共にエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーの実施の形態を示す図である。 図8Bは、長いガラス状ブロックと共にエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーの実施の形態を示す図である。 図8Cは、長いガラス状ブロックと共にエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーの実施の形態を示す図である。 図8Dは、長いガラス状ブロックと共にエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーの実施の形態を示す図である。 図8Eは、長いガラス状ブロックと共にエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーの実施の形態を示す図である。 図9は、不連続相領域の図3の部分、および不連続相領域と連続相との境界面を示す拡大概略図である。 図10はPDO−b−PLLAブロックコポリマーの合成経路を示す図である。
本明細書で用いる「埋込型医療機器」は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステントグラフト、および一般的チューブ型医療機器を含むがこれに限定されない。
埋込型医療機器は治療薬の局所送り用に設計できる。埋込型医療機器は、治療薬を含むコーティング材料により機器または基質をコーティングすることによって構成されてもよい。機器の基質が治療薬を含んでもよい。
図1Aはステント100を示す図である。一部の実施の形態においては、ステントは、相互接続している構造要素105のパターンまたは網目を含んでもよい。ステント100はチューブ(不図示)から形成してもよい。構造要素110のパターンとしては様々なパターンを用いることができる。機器の構造パターンは実質上どのようなデザインとすることもできる。本明細書に開示されている実施の形態は、図1Aに示すステントあるいはステントパターンに限定されるものではない。本実施の形態は他のパターンおよび他の機器に容易に適用できる。パターン構造の変形例は実質上無制限である。ステント100のようなステントは、レーザーカッティングまたは化学エッチングのような技法を用いてパターンを形成することにより、チューブから形成してもよい。 .
埋込型医療機器は、生分解性、生体吸収性、生体安定性のポリマーから、部分的にまたは完全に作ることができる。埋込型医療機器を製作する際に使用するポリマーは、生体安定性、生体吸収性、生分解性、または生体侵食性であってもよい。生体安定性とは、生分解性ではないポリマーを指す。生分解性、生体吸収性、および生体侵食性という用語は可換的に用いられ、血液等の体液に晒された場合に完全に分解および/または侵食され得るものであり、身体により徐々に再吸収、吸収、および/または排出され得るポリマーを指す。ポリマーの分解および吸収のプロセスは、例えば、加水分解および代謝プロセスに起因するものであってよい。
ステント等の埋込型医療機器に適する一部のポリマーには潜在的欠点がある。例えば、一部の結晶質または半晶質ポリマーは、ステント基質または骨格が管腔を適度に支持できるように、生理学的条件下における強度および堅さに主に基づいて選択されることがある。生理学的条件とは、限定されはしないが、体温を含むヒト患者体内の条件を指す。このようなポリマーはガラス状であるか、または体温よりも高いTgを有することがあり、体温よりも高いTgを有することは、約37℃の体温においてポリマーを堅く、強くする。「ガラス状ポリマー」とは、体温よりも高いTgを有するポリマーを指す。結晶質または半晶質といったポリマーの欠点の1つは、特にステントへの適用に用いる際に、それらの靭性が望ましい靭性よりも低いということである。例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、またはそれらのコポリマー、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)等のポリマーは生理学的条件下または人体内の条件下において脆い傾向がある。
PGAは他の生分解性のポリマーに比べて結晶性が高く、結晶度範囲は35〜75%と報告されている。PGAの分子構造およびその結果としての結晶構造は、非常に密な鎖のパッキングを可能にするとともに、結果的にこの材料にいくつかの非常に独特な力学的、物理的、および化学的性質を与える(以下の表1を参照)。例えば、その比重は、ポリマー材料としては非常に高い、およそ1.5〜1.7である。また、融点が高く、大部分の有機溶媒中においても溶解度が低い。PGAは、最も単純な線状脂肪族ポリエステルだが、容易に接触可能かつ加水分解的に不安定な脂肪族エステル結合の加水分解によって分解する。分解期間は、通常数ヶ月だが、分子量、結晶度、結晶形態、および環境の物理化学的特性といった多様な要因によって変化する。
PLLAは構造的にはPGAに大変類似しているが、α炭素上にペンダントメチル基が存在しているため、かなり異なる化学的、力学的、および物理的性質をいくらか有する。これによりPLAはキラル分子となるとともに、D、L、およびDL異性体があり得る。PLLAは半晶質のポリマーである一方、D,L−PLAは完全に非晶質材料である。PLAにおけるこのメチル基により、エステル結合のカルボニル基は立体配置的に加水分解攻撃の影響を受けにくくなっている。PLLAの種類、分子量、および結晶度のような特定の要因にもよるが、このような性質により、PLLAは同じ環境に晒された場合、概してPGAよりも加水分解的に安定である。
図2は典型的なポリマーを4つの温度において検査した場合の荷重−伸び曲線であり、力学的挙動の領域を示す。曲線Aは低温(Tgよりも低い温度)で発生する脆性破壊メカニズムを示す。曲線Aでは、曲線の終端における損傷もしくは破断点まで、伸びの増加とともに、荷重は概ね線形的に上昇する。破断点での伸びは典型的に5%より少ない。曲線Aの挙動において、損傷の前にはほとんどもしくは全く塑性変形はない。曲線Bは、降伏点B1が観察されるより高い温度においての延性破壊メカニズムを示す。降伏点B1の後に、典型的に10〜20%の伸びにおいて損傷の前に荷重が下降する。曲線AおよびBに示す挙動を呈するポリマーは大変堅く(弾性率が高く)、比較的高い強度(損傷時の荷重で)を有する。このようなポリマーは比較的靭性が低い。曲線Cはさらに高い温度におけるポリマーの挙動を示し、この曲線では歪み硬化が起こる。降伏点C1の後、くびれが安定し、平坦な領域C2が示すように低温延伸が続き、延長はしばしば1000%まで至る。曲線Dはさらに高い温度における挙動を示し、この曲線では、破断において大変大きな伸びを伴う均一なゴム状の変形が起こる。非晶質のポリマーにおいては、このゴム状の挙動はTgより高い温度で起こり、つまり、応力レベルは大変低い。
以下に示すように、靭性の1つの尺度は、歪みゼロから破断時の歪みまでの応力−歪みもしくは荷重−伸び曲線下の面積である。したがって、弾性率、破断時の応力(強度)、および破断時の伸びはポリマーの靭性に関係している。例えば、低い強度を有するポリマーは、それが破断時の高い伸びおよび低い弾性率を有するとすれば、脆いポリマーよりも高い靭性を有することができる。
生理学的条件下において破壊靱性の低いポリマーの破壊靱性を増加させる1つの方法は、破壊靱性の低いポリマーを生理学的条件においてより高い破壊靭性を有するポリマーとブレンドしたものを含むポリマー−ポリマー複合物を形成することである。「複合物」とは一般に、2つ以上の異なる、構造的に相補的な物質を組み合わせて、どのような個々の成分にも存在しない構造的もしくは機能的性質を作り出す材料を指す。この2つ以上の物質は、金属、セラミック、ガラス、およびポリマー等の異なる種類の材料の組み合わせであってもよい。また、この2つ以上の物質は異なる相を形成する2つ以上の異なるポリマーの組合せであってもよい。
このようなポリマー−ポリマー複合物においては、破壊靱性の低いポリマーは、生理学的条件下において高いもしくは比較的高い破壊靱性を有する別のポリマーとブレンドされる。また、この破壊靱性がより高いポリマーは破壊靱性の低いポリマーと不混和性であり、その中で不連続または分散相を形成する。この不連続相は、機器の破壊靭性を増加させる複合物から作成された機器に課される応力により生じるエネルギーを吸収することができる。相間の境界面における良好なエネルギー移動を確保するには、相間に十分な結合または密着性があることが重要である。Y.Wang,etc.Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,39,2001,2755−2766を参照のこと。
一部の生分解性のポリマーの別の欠点は、特定のステント治療用の分解速度が望まれるよりも遅いか、または速いことである。例えば、分解速度が遅すぎることがある。結果として、そのようなポリマーから作成されたステントの分解期間は望ましいよりも長くなることがある。分解期間の減少により、必要であれば、治療を行った血管の更なる手術もしくは介入治療をより早期に行うことができる。加えて、分解期間の減少は遅発性ステント血栓症の症例の減少に寄与する。遅発性ステント血栓症とは、展開の数ヶ月もしくは数年後にステント表面に血塊が形成する状態のことである。例えば、PLLAから作成されたステントは約2年から3年の間、またはそれよりも長い分解期間を有し得る(表1参照)。「分解期間」とは、血管内に移植されたステントが完全に吸収されるのに必要な期間を指す。また、「分解期間」は、インビトロ条件下においてステントが完全に吸収されるのに必要な時間を指す。一部の治療状況では、1年未満の分解期間が望ましく、例えば、3ヶ月から12ヶ月の間、またはより狭い範囲としては、4ヶ月から8ヶ月の間が望ましい。
加水分解により分解可能なポリマーの分解は、ポリマーへの水分の浸透と、これに続くポリマー中の結合の加水分解とを含む順序に従う。そのため、ポリマーの分解は、ポリマーの親水性およびポリマー中の水分の拡散率の影響を受ける。疎水性のポリマーは親水性が低く、結果として水分は比較的浸透しにくい。さらに、ポリマーの結晶質領域中の水分の拡散率は非晶質領域よりも低い。したがって、ポリマーの親水性の減少、または結晶度の増加のいずれかに従って、ポリマーの水分浸透および水分含量は減少し、結果的に分解速度は遅くなる。
本発明の様々な実施の形態は、ポリマーマトリクスもしくは連続ポリマー相中に分散する不連続ポリマー相を含むポリマー−ポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント等の埋込型医療機器を含む。一部の実施の形態においては、不連続相ポリマーはマトリクスポリマーよりも高い靭性を有する。このような実施の形態においては、この靭性の高いポリマーは高い破断時の伸び、低い弾性率、もしくは両方を有する。別の実施の形態においては、不連続相ポリマーはマトリクスポリマーよりも速い分解速度を有する。一部の実施の形態においては、不連続相は複合物の靭性を増加させるか、複合物の分解速度を増加させるか、もしくは複合物の靭性および分解速度の両方を増加させる。
例示的な実施の形態においては、靭性の高いポリマーは、ポリマーマトリクスよりも少なくとも2、4、10、もしくは少なくとも100倍大きい、または100倍よりも大きい破断時の伸びを有してもよい。別の例示的な実施の形態においては、靭性の高いポリマーはマトリクスポリマーの20%、50%より小さい、または80%より小さい弾性率を有してもよい。一部の例示的な実施の形態においては、靭性の高いポリマーの分解期間は、マトリクスポリマーの分解期間の20%、30%、50%、または80%未満であってもよい。
図1Bは、図1Aに示すステントにおける支柱105のセグメント110の一部を示す。図3は、図1Bに示す支柱のセグメント110の部分140の微視的区域220を示す図である。部分140は、連続相210内に不連続または分散相200を含む。
一般に、ポリマー−ポリマーまたはポリマーブレンドは、個々のポリマーの性質とは著しく異なる性質を示す。Macaubas P.H.,Demarquette N.R.,Rheology as a Tool for Immiscible Polymer Blends Characterization:Interfacial tension and compatibilization,in RheoFuture.2002,Thermo Electron Coporation:Karlsruhe,Germany.を参照のこと。破壊靱性の高いポリマーは複合物の破壊靱性を増強することができる。機器が応力下に置かれた場合、破断が構造要素に広がり始めた際に不連続相がエネルギーを吸収する傾向にあると考えられる。そして、連続相中の亀裂の広がりは減少または抑制される。結果として、複合物の破壊靱性、ひいては複合物から製作される機器の構造要素の破壊靭性が増加する。そのため、脆いポリマーは、引張弾性率が低いため、その微細構造に「応力集中部」として作用する靭性の高い成分を組み込むことにより靭性を高めることができる。より脆い連続相に植え込まれた応力集中部は、弾性エネルギーの蓄積または破断に対する抵抗が増加する延性降伏メカニズムを可能にする。Meredith J.C.,Amis E.J.,LCST phase separation in biodegradable polymer blends:poly(D,L−lactide) and poly(ε−caprolactone),Macromol.Chem.Phys.,2000.201(6):p.733−739.を参照のこと。
特定の実施の形態においては、不連続相ポリマーはエラストマー状である。「エラストマー状」または「ゴム状」ポリマーとは、天然ゴムのように、力によって起こる変形に抵抗するとともに変形から回復することができるポリマーを指す。一の実施の形態においては、エラストマーまたはゴム状ポリマーは、少なくとも元の長さの2倍まで繰り返して引き伸ばすことができ、応力の解放時に瞬時に、力を伴って概ね元の長さに戻ることができる。エラストマー状ポリマーは、脆いポリマー等の靭性の低いポリマーよりも大きい破断時の伸び率を有する傾向がある。
一部の実施の形態においては、靭性の低いポリマーはそのTgよりも高い温度に置かれてもよい。一部の実施の形態においては、エラストマー状ポリマー等の分散相の靭性の低いポリマーは体温よりも低いTgを有する。別の実施の形態においては、分散相の靭性の低いポリマーは周囲温度よりも低いTgを有する。周囲温度とは、20℃から30℃の間の温度を指す。加えて、一部のエラストマーもしくはゴム状ポリマーは実質的にもしくは完全に非晶質である。
本発明の特定の実施の形態は、ガラス状ポリマーブロックと、このガラス状ポリマーブロックよりも靭性の高いブロックを含むブロックコポリマーを含むポリマー−ポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体を含む。一部の実施の形態においては、この靭性の高いブロックはエラストマー状ブロックである。以下に記述する実施の形態はエラストマー状ブロックに関わる。このような実施の形態においては、一般に、ガラス状ブロックよりも高い靭性を有するブロックを用いることができる。これらの実施の形態においては、不連続相がエラストマー状ブロックとマトリクスとを含むか、または連続相がガラス状ブロックを含む。靭性、強度、弾性率、および破断時の伸びに関する靭性の高いポリマーの実施の形態は、靭性の高いブロックもしくはエラストマー状ブロックに対応する。
複合物中のブロックコポリマーの様々な実施の形態について考察する。第1の実施の形態においては、複合物はブロックコポリマーとマトリクスポリマーとのブレンドであってもよい。このような実施の形態においては、不連続相がエラストマー状ブロックを含むとともに、連続相がガラス状ブロックとマトリクスポリマーとを含む。第2の実施の形態においては、複合物は、ブロックコポリマーと、エラストマー状ポリマーと、マトリクスポリマーとのブレンドであってもよい。このような実施の形態においては、不連続相がエラストマー状ポリマーとエラストマー状ブロックとを含むとともに、連続相がガラス状ブロックとマトリクスポリマーとを含む。第3の実施の形態においては、複合物は、ガラス状ブロックがマトリクスまたは連続相の実質部分もしくは100%を構成するような、十分大きい分子量を持つガラス状ブロックを有するブロックコポリマーを含んでもよい。
全てのこのような実施の形態において、ステントの1つ以上の構造要素または支柱はこの複合物から製作される。別のこのような実施の形態においては、ステントの本体(body)、骨格、または基質はこの複合物から作成される。ステントが体内の管腔内で展開されると、本体、骨格、または基質が体内の管腔壁に対する力学的支持を主として担うようにしてもよい。ステント体、骨格、または基質とは、ステント構造の製造に用いるものとは異なる材料のコーティングもしくは層がない外表面を有するステント構造を指す。本体がコーティングプロセスによって製造される場合、ステント体とは、異なる材料による追加的なコーティング層の塗布の前の状態を指す。「外表面」とは、空間的に方向付けられた、体組織もしくは体液に接触する何らかの表面を意味する。ステント体、骨格、もしくは基質は、レーザーカッティングによりパターンをチューブまたは円柱形上に巻かれたシートに形成したステント構造を指す。
一部の実施の形態においては、ステント体、骨格、もしくは基質の大部分、実質的全体、もしくは全体が複合物から作成されてもよい。本体の実質的全体とは、本体の90%、95%より大きい、または99%よりも大きいことを指す。
一般に、靭性の増加を促進するためには、連続ポリマー相の全体にわたり不連続相領域が均一または実質的に均一に分散していることが望ましい。不連続相領域がより分散している場合には、靭性はより増加される。加えて、靭性の増加は不連続相のサイズに関係する。エラストマー状ブロックの長さもしくは分子量により、分散の度合いと不連続相のサイズの両方を制御することができる。不連続相の特徴的長さは、1nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1000nm、1000nm〜10000nm、または10000nmより大きくてもよい。一部の実施の形態においては、不連続相領域の望ましい特徴的長さを得るためには、エラストマー状ブロックの分子量は、約1kg/mol〜50kg/molの間とするのがよい。別の実施の形態においては、エラストマー状ブロックの分子量は50〜100kg/mol、100〜150kg/mol、または150kg/molより大きくてもよい。
第1および第2の実施の形態においては、ガラス状ブロックの主な目的は、不連続相と連続相との密着を促進することである。そのため、ガラス状ブロックの長さは、マトリクスポリマー鎖に比べて相対的に小さいもしくは短い。つまり、ガラス状ブロックの分子量は、マトリクスポリマーの分子量に比べて相対的に小さい。このような実施の形態においては、ガラス状ブロックの分子量は20〜200kg/molもしくは200kg/molよりも大きくてもよい。
第1の実施の形態において、ステント体の複合物はブロックコポリマーとマトリクスポリマーとのブレンドを含む。このような実施の形態においては、不連続相がエラストマー状ブロックを含むとともに、連続相がガラス状マトリクスポリマーを含む。一部の実施の形態においては、マトリクスポリマーはポリマーブレンドの大部分であり、大部分とは50重量%よりも多いことを意味する。更なる実施の形態においては、マトリクスポリマーは、ポリマーブレンドの60、80、95重量%よりも多いか、または99重量%よりも多い。これらの実施の形態においては、エラストマー状ブロックはマトリクスポリマーと不混和性であり、これにより、マトリクスポリマー中に分散した不連続相の形成が可能となる。不連続相のエラストマー状ブロックは、マトリクスポリマーの靭性、ひいては複合物の靭性を増加する傾向がある。
図4は、ブロックコポリマーとマトリクスポリマーとの2元ブレンドの形成を示す概略図である。ブロックコポリマー214はエラストマー状ブロック218とガラス状ブロック216とを含む。矢印217が示すように、ブロックコポリマー214はマトリクスポリマー220とブレンドされる。
さらに、一部の実施の形態においては、ガラス状ブロックはマトリクスポリマーと混和性である。これは、ガラス状ブロックが連続相中に含まれるように、ガラス状ブロックが部分的もしくは完全に連続相へと相分離できるようにするためである。このような実施の形態においては、ガラス状ブロックの化学組成はマトリクスポリマーと同一である。これらの実施の形態においては、ガラス状ブロックは、相同士を結合させることにより不連続相と連続相との密着性を増加させる傾向を持つアンカーセグメントとして作用する。そのため、ガラス状ブロックは相間の境界面のエネルギー移動を促進し、靭性の高い不連続相が複合物の靭性を増加させることを可能とする。複合物の靭性の増加は、連続相と不連続相との密着度によって決まると考えられる。
図5は、不連続相200と連続ポリマー相210との境界面を含む部分215の拡大概略図である。ブロックコポリマー230はエラストマー状ブロック235とガラス状ブロック240とを含む。線245は不連続相200と連続相210との境界線を描写している。ガラス状ブロック240は連続相210内に示されている。
加えて、密着度はガラス状ブロックの分子量によって決まる。ガラス状ブロックの分子量の増加に従い不連続相と連続相との密着度が増加すると考えられる。そのため、一部の実施の形態においては、不連続相が複合物の靭性を増加できるように、ガラス状ブロックの分子量は十分大きくなるよう調整してもよい。上述のように、ガラス状ブロックはマトリクスポリマーと同一もしくは類似の組成であってもよい。ガラス状ブロックの分子量は、マトリクスポリマーの分子量の10%、20%、30%まで、または40%までとすることができる。
一般に、マトリクスポリマーよりも高い破壊靱性を有するブロックコポリマーのエラストマー状ブロックが選択される。一部の実施の形態においては、上記のように、エラストマー状ブロックは、マトリクスポリマーよりも低い弾性率、高い破断時の伸び、またはその両方を有してもよい。特定の実施の形態においては、エラストマー状ブロックは、破壊靱性が高いか、またはエラストマー状のポリマーを形成する官能単位もしくは官能基を含んでもよい。比較的高い破壊靱性を有する生分解性のポリマーとしては、限定されはしないが、ポリカプロラクトン(PCL)およびポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ならびにポリ(コハク酸ブチル)(PBS)が挙げられる。したがって、一部の実施の形態のエラストマー状ブロックはCL、TMC、DO、HB、およびBSモノマーを含んでもよい。これらのポリマーの一部の力学的および分解性質を表1に示す。
さらに、PLLA、PGA、またはPLGA等のマトリクスポリマーは、特定のステント治療について望ましい分解速度よりも遅い分解速度を有することもあり得る。特定の実施の形態においては、エラストマー状ブロックは、不連続相が複合物の分解速度を増加するように選択される。不連続相は、マトリクスポリマーよりも速い分解速度を有するポリマーを含んでもよい。このような実施の形態においては、不連続相は、複合物のステントまたは複合物から製作されるステントの一部の分解期間を減少させてもよい。一部の実施の形態においては、複合物ステントの分解期間は、マトリクスポリマーから製作されるステントの75%、50%、40%よりも短いか、または25%よりも短くてもよい。
例示的な実施の形態においては、エラストマー状ブロックは機器用に複合物の靭性を増加させるように選択されてもよい。加えて、エラストマー状ブロックは、この複合物から製作される機器の分解速度もしくは分解期間を増加もしくは減少するように選択されてもよい。表1は、PLLA、PGA、およびPLGAよりも低い弾性率および大きい破断時の伸びを有するPCLおよびPDOポリマーを示す。PCLは、PLLA、PGA、およびPLGAよりも比較的低い弾性率と何倍も大きい破断時の伸びを有するエラストマー状ポリマーである。しかしながら、分解速度はPLLAと同様である。そのため、高い破断時の伸びおよび低い弾性率が示すように、CLを含むエラストマー状ブロックは靭性を増加させると考えられるが、複合物の分解速度を増加させない場合もある。PDOも、PLLA、PGA、およびPLGAよりも低い弾性率を有する。しかしながら、その破断時の伸びは、これらのポリマーよりも高いが、PCLよりもかなり低い。しかし、PDOはPCLよりも速い分解速度を有する。結果として、DOを含むエラストマー状ブロックは複合物の分解速度を増加させるとともに、その複合物から製作される複合物の分解期間を減少させると考えられる。以下に述べるように、エラストマー状ブロックはコポリマーもしくはホモポリマーであってもよい。
Figure 2010540101
さらに、複合物の靭性および分解速度はブロックコポリマーの含量(例えば、重量パーセント)によって決まる。靭性および分解速度は、ブロックコポリマーの含量の増加に従って増加すると考えられる。しかしながら、含量が増加するに従い、複合物の可撓性も増加するが、同時に径方向強度の減少を伴うと考えられる。そのため、ブロックコポリマーの含量が非常に高くなり、ステント骨格に用いるには複合物の径方向強度が低くなりすぎることもあり得る。
一部の実施の形態において、エラストマー状ブロックはコポリマーであってもよい。ホモポリマーエラストマー状ブロックでなくコポリマーとすることの1つの利点は、2つ以上の官能基が存在することにより結晶度を減少させることである。これにより、不連続相の分解速度を増加させる。したがって、コポリマーの分解速度は、マトリクスポリマーよりも速い分解速度となることがある。そのため、複合物の分解期間を減少できる。コポリマーの別の利点は、2つ以上の官能基の存在により、不連続相の靭性または分解速度の調整において追加的な自由度を得られることである。両性質(力学的性質、分解速度もしくは期間)および官能基の相対的な組成は複合物の性質に影響する。
例として、表1が示すように、CLを含むホモポリマーエラストマー状ブロックは複合物の靭性を増加させるが、分解速度を望ましい程度まで増加できないこともあり得る。したがって、コポリマーは、靭性を増進する官能基(靭性の高い官能基)および分解速度を増加させる官能基(分解の速い官能基)を含んでもよい。詳しくは、エラストマー状ブロックは、高い親水性を有する、および/または靭性の高い官能基もしくはマトリクスポリマーよりも加水分解活性の高い、分解の速いモノマーを含んでもよい。
例示的な実施の形態においては、エラストマー状ブロックは、CLまたはTMC等の靭性の高い官能基よりも分解の速いグリコリド(GA)モノマーと、PLLA等のマトリクスポリマーとを含んでもよい。例示的エラストマー状ブロックとしては、P(GA−co−CL)もしくはP(GA−co−TMC)のランダムコポリマーまたは交互コポリマーが挙げられる。分解の速いGAモノマーは、平衡水分含量および複合物への浸透を増加させることにより、ポリマー複合物の分解速度を増加させることができる。GAセグメントの酸性および親水性の分解生成物も複合物の分解速度を増加させるように作用する。
一部の実施の形態においては、不連続相の靭性および分解速度は、分解が速く、靭性の高い官能基の比率によって調節されてもよい。例えば、P(GA−co−CL)セグメントにおいてCLの比率が増加すると、ポリマーの可撓性および靭性が高くなる。また、不連続相セグメントのTgは、構成モノマーの比率を調節することにより、所望の値に調整されてもよい。例えば、不連続相ブロックのTgを体温より低くなるように調整し、生理学的条件下においてより可撓性の高い不連続相を得てもよい。加えて、不連続相の、ひいてはブレンドの分解速度は、不連続相セグメント中におけるGAの割合を増やすことによって増加されてもよい。例示的な実施の形態においては、P(GA−co−CL)セグメントは、1重量%、5重量%、20重量%、50重量%、70重量%、80重量%、または90重量%よりも多いGAモノマーを有してもよい。
例示的ブロックコポリマーとしては、P(GA−co−CL)−b−PLLAおよびP(GA−co−TMC)−b−PLLAが挙げられる。PLLAのマトリクスポリマーを有するP(GA−co−CL)−b−PLLAのブロックコポリマーの2元ポリマーブレンドにおいては、PLLAブロックは連続相のPLLAマトリクスへと相分離する。PLLAブロックは不連続相を連続相に結合させ、ポリマーブレンドの破壊靱性の増加を促進する。例示的な実施の形態においては、ポリマーブレンドまたは複合物は、約1〜40重量%、または、より狭い範囲としては5〜30重量%のブロックポリマーと、約75〜95重量%のマトリクスポリマーとを含んでもよい。
別の実施の形態においては、エラストマー状ブロックはホモポリマーであってもよい。コポリマーでなくホモポリマーエラストマー状ブロックとすることの利点は、以下に記述するように合成プロセスが単純化されることである。ホモポリマーは、複合物が所望の靭性(力学的性質)および分解速度を有するように選択されてもよい。例示的な実施の形態においては、エラストマー状ブロックはPCL、PDO、PHB、またはPBSのホモポリマーであってもよい。靭性および分解速度は、複合物中のエラストマー状ブロックの重量パーセントにより調整されてもよい。例示的ブロックコポリマーとしては、PCL−b−PLLA、PDO−b−PLLA、PHB−b−PLLA、もしくはPBS−b−PLLAが挙げられる。例示的な実施の形態においては、ポリマーブレンドまたは複合物は、PLLA中に、約1〜40重量%、5〜25重量%、または、より狭い範囲としては5〜30重量%の上記例示的ブロックコポリマーの1つを含んでもよい。
表1に示すように、PDOブロックは、PLLAよりも分解期間がかなり短く、PDOブロックは1年以内に分解し得る。また、PDOおよび他のエラストマー状ブロックの分解生成物は酸性および親水性である。そのため、PDOおよびこれらの他のエラストマー状ブロックは、侵食が進むのに従い、PLLAの分解速度を増進させる酸性の分解生成物を形成する。この分解生成物は親水性でもあり、ポリマー中の水分の平衡レベルを増加させる。これら両メカニズムは、これらの材料から製造されるいかなる移植片の分解速度も増加させる。加えて、ブロックコポリマーのエラストマー状ブロックの侵食が進むのに従い、それらは多孔構造を後に残す。この多孔構造は、PLLAの分解速度を増進させる。
例示的な実施の形態においては、上記ブロックコポリマーのPLLAブロックのLLA含量は、ブロックコポリマーの20重量%、30重量%、50重量%よりも少ないか、もしくは50重量%よりも多い。別の例示的な実施の形態においては、PLLAブロックの分子量は、50kg/mol、60kg/mol、70kg/molよりも少ないか、もしくは70kg/molよりも多い。
複合物は、ブロックコポリマーとマトリクスポリマーとを混合もしくはブレンドすることによって形成してもよい。ポリマーは、当該技術において周知の種々の混合方法を用いて、例えば、押出機(エクストルーダー)内でポリマーを混合することによりブレンドしてもよい。エクストルーダーの代表的な例としては、限定されはしないが、単軸スクリュー押出機、噛合型同方向回転二軸スクリュー押出機および噛合型異方向回転二軸スクリュー押出機、ならびに他の多軸スクリュー粉砕押出機(masticating extruder)が挙げられる。
第2の実施の形態においては、複合物はブロックコポリマーと、エラストマー状ポリマーと、マトリクスポリマーとのブレンドであってもよい。これらの実施の形態においては、エラストマー状コポリマーは不連続相の大部分または実質部分を構成している。例示的な実施の形態においては、エラストマー状ポリマーは、不連続相の50、60、80、95重量%よりも多いか、もしくは99重量%よりも多い。このエラストマー状ポリマーは、ブロックコポリマーのエラストマー状ブロックと同じものであってもよい。あるいは、エラストマー状ポリマーは、エラストマー状ポリマーとエラストマー状ブロックとが混和性である限りにおいて、少し異なる組成を有してもよい。
図6は、ブロックコポリマーと、エラストマー状ポリマーと、マトリクスポリマーとの3元ブレンドの形成を示す概略図である。ブロックコポリマー250は、エラストマー状ブロック254とガラス状ブロック252とを含む。また、3元ブレンドは、エラストマー状ポリマー258とマトリクスポリマー256とを含む。矢印253が示すように、ブロックコポリマー250は、エラストマー状ポリマー258およびマトリクスポリマー256とブレンドされる。
これらの実施の形態においては、エラストマー状ポリマーはランダムコポリマーまたは交互コポリマーであってもよい。エラストマー状ポリマーは、エラストマー状ブロックのために上述のような組成を有してもよい。一部の実施の形態においては、エラストマー状ブロックの分子量は約1kg/mol〜50kg/molの間であってもよい。別の実施の形態において、エラストマー状ブロックの分子量は50〜100kg/mol、100〜150kg/mol、または150kg/molより大きくてもよい。
例示的な実施の形態においては、エラストマー状ポリマーは、例えば、P(CL−co−GA)およびP(TMC−co−GA)であってもよい。また、エラストマー状ポリマーはホモポリマーであってもよい。例示的エラストマー状ホモポリマーとしては、例えば、PDO、PCL、PTMC、およびPHBが挙げられる。
これらの実施の形態において、ブロックコポリマーは、不連続相と連続相との密着を促進することにより、マトリクスポリマーとエラストマー状ポリマーとの間における相溶化剤として作用する傾向がある。一般に、「相溶化剤」とは、不混和性のポリマーブレンドの性質を変化させ、均一なブレンドの形成を促進する界面剤を指し、相間の境界面の密着性を増加させる。「相溶化」とは、不混和性のポリマーブレンド中の界面性質を変化させ、結果として相間界面(相間の濃度勾配領域)を形成させるとともに、形態を安定させるプロセスを指す。
3元複合物の1つの利点は、不連続相と連続相の密着度と、複合物の靭性および分解速度を調整することとを、少なくとも部分的に切り離して扱えることである。密着度は、ブロックコポリマーの重量パーセント、組成、および分子量によって決まる。ブロックコポリマーは力学的性質および分解速度に影響するが、エラストマー状ポリマーは不連続相のほとんどを構成しているので、エラストマー状ポリマーの性質が複合物の力学的性質に対してより大きく影響すると思われる。
例示的な実施の形態において、3元ブレンドは、マトリクスポリマーとしてPLLA;エラストマー状ポリマーとしてPDO、PCL、PTMC、PHB、もしくはPBS;および、ブロックコポリマーとしてPDO−b−PLLAもしくはPCL−b−PLLA、PCL−b−PLLA、PTMC−b−PLLA、PHB−b−PLLAもしくはPBS−b−PLLAを含んでもよい。このような実施の形態においては、1つのもしくは上記のエラストマーは、ブロックポリマーのエラストマー状ブロックと共に不連続相中にある。PLLAブロック相は、連続相のPLLAマトリクスポリマーへと相分離する。例示的な実施の形態においては、3元ポリマーブレンドは、約1〜40重量%、または、より狭い範囲としては5〜30重量%のエラストマー状ポリマーと;約0.5〜5重量%のブロックコポリマーとを含んでもよい。
複合物は、ブロックコポリマーをエラストマー状ポリマーおよびマトリクスポリマーと混合またはブレンドすることによって形成してもよい。例示的な実施の形態においては、3元ブレンドは、マトリクスポリマーとしてPLLAと;P(GA−co−CL)コポリマーと;P(GA−co−CL)−b−PLLAとを含んでもよい。このような実施の形態においては、P(GA−co−CL)コポリマーはブロックポリマーのP(GA−co−CL)ブロックと共に不連続相中にある。PLLAブロックは、連続相のPLLAマトリクスポリマーへと相分離する。例示的な実施の形態においては、3元ポリマーブレンドは、約1〜40重量%、もしくは、より狭い範囲としては5〜30重量%のP(GA−co−CL)と;約0.5〜5重量%のP(GA−co−CL)−b−PLLAとを含んでもよい。
更なる実施の形態においては、マトリクスポリマーは、このマトリクスポリマーの分解速度を増加させるように選択される官能基を有するコポリマーであってもよい。このような官能基の1つは、コポリマーの他の官能基よりも高い親水性を有するか、または加水分解活性が高くてもよい。例示的な実施の形態において、マトリクスコポリマーはポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)であってもよい。GAはLLAよりも加水分解活性が高いため、GA含量の増加によりPLGAの分解速度を増加させることができる。コポリマー中のGAの重量パーセントは、少なくとも約1%、5%、10%、15%、30%、40%、50%、または50%よりも大きくてもよい。
表1の文献データが示すように、PLGAの分解期間は、GA含量が0重量%から50重量%まで増加するのに従い、3〜4年から6ヶ月未満まで減少する。別のモノマーの追加によるポリマー鎖の規則性の断裂のため、PLGAはGA含量の広範囲に渡って非晶質である。分解期間の減少は、GAの結晶度の減少と加水分解活性の増加の両方により起こる。
さらに、図7に示すように、コポリマー組成と材料の力学的性質および分解性質との関係は線形ではない。図7は、ラットの組織に移植されたPLLAおよびPGAのホモポリマーならびにコポリマーの半減期を示す。Journal of Biomedical Materials Research,11:711,1977を参照のこと。図7の半減期とは、ポリマーの分解により、ポリマーの弾性率が1/2まで減少するのに必要な時間を指す。例えば、50%GAおよび50%LLAのコポリマーはいずれのホモポリマーよりも速く分解する。
一部の実施の形態においては、ブロックコポリマー複合物の分解期間は、マトリクスポリマー中のGA含量を利用することにより減少されてもよい。別の実施の形態においては、マトリクスポリマー中のGA含量および侵食の速いエラストマー相の両方により分解期間を減少してもよい。特定の例示的な実施の形態においては、ステント骨格の分解期間が、18ヶ月、12ヶ月、8ヶ月、5ヶ月、3ヶ月より少なくなるか、もしくは、より狭い範囲としては3ヶ月よりも少なくなるように、GAおよびエラストマーの含量の重量パーセントを調整してもよい。
加えて、ブロックコポリマーのガラス状ブロックは、このガラス状ブロックがマトリクスコポリマーと混和性であるように選択されてもよい。一の実施の形態においては、ガラス状ブロックはマトリクスコポリマーと同一の組成を有してもよい。別の実施の形態においては、ガラス状ブロックは、マトリクスコポリマーとは異なるが、ガラス状ブロックがマトリクスポリマーと混和性であるように十分に近い組成を有してもよい。別の実施の形態においては、ガラス状ブロックは、マトリクスコポリマーと混和性であればマトリクスポリマーとは異なる組成を有してもよい。例えば、一部の実施の形態は、PLLAマトリクスポリマーとPLGAガラス状ブロックとを含む。別の実施の形態は、PLGAのマトリクスポリマーと、PLLAガラス状ブロックまたはPLGAガラス状ブロックとを含む。
更なる実施の形態は、マトリクスもしくは連続相の全てまたは一部を形成するガラス状ブロックを有するブロックコポリマーを含む複合物を含む。このような実施の形態においては、ガラス状ブロックがマトリクスまたは連続相の大部分、実質部分、または全てを構成できるほど、分子量が十分に大きい。例えば、このような「長い」ガラス状ブロックの実施の形態は、連続相の50、70、90、95、または99重量%を超える比率よりも大きい部分を構成してもよい。ガラス状ブロックは、上述の「短い」エラストマー状ブロックよりも実質的に長い。特定の実施の形態においては、ガラス状ブロックの分子量は、エラストマー状ブロックの分子量の少なくとも2、5、8、10、または10倍よりも大きくてもよい。例示的な実施の形態においては、長いガラス状ブロックの分子量は50〜1000kg/mol、または1000kg/molよりも大きくてもよい。一部の実施の形態においては、マトリクスは、ブロックコポリマーのブロックではないマトリクスポリマーを含まなくてもよい。
ここで、長いガラス状ブロックを持つエラストマー状ブロックを有するブロックコポリマーのいくつかの実施の形態について説明する。一の実施の形態は、長いガラス状ブロックと短いエラストマー状ブロックとを含むジブロックコポリマーを含む。図8Aは、第1端がエラストマー状ブロック152(破線で図示)を有し、第2端がガラス状ブロック154(実線で図示)を有するジブロックコポリマー150を示す。
別の実施の形態はトリブロックコポリマーを含む。トリブロックコポリマーは、中間部にエラストマー状ブロックおよび両端に長いガラス状ブロックを有するか、または中間部にガラス状ブロックおよび両端にエラストマー状ブロックを有する。図8Bは、長いガラス状ブロック160と162との間にエラストマー状ブロック158を有するトリブロックコポリマー156を示す。図8Cは、エラストマー状ブロック168と170との間にガラス状ブロック166を有するトリブロックコポリマー164を示す。
追加的な実施の形態は少なくとも3つのアームを有するスターブロックコポリマーを含む。スターブロックコポリマーは、コアとしてのエラストマー状ブロックを内側に、外殻としての長いガラス状ブロックを外側に含むか、またはコアとしての長いガラス状ブロックを内側に、外殻としてのエラストマー状ブロックを外側に含んでもよい。図8Dは、4つのアーム174を有するスターブロックコポリマー172を示す。アーム174は内部セグメント176(破線で図示)と外部セグメント178とを有する。内部セグメント176はエラストマー状ブロックであり、外部セグメント178は長いガラス状ブロックである。図8Eは、4つのアーム182を有するスターブロックコポリマー180を示す。アーム182は内部セグメント184と外部セグメント186とを有する。内部セグメント184は長いガラス状ブロックであり、外部セグメント186はエラストマー状ブロックである。
図9は、不連続相領域200の図3における部分215、および不連続相領域200と連続相210との境界面を示す拡大概略図である。部分215は、内部セグメント310と外部セグメント320とを持つ図8Dのスターブロックコポリマーを含む。線330は、不連続相領域200と連続相210とのおおよその境界を示している。Lは不連続相領域200の特徴的な寸法である。
長いガラス状ブロックを有する複合物の一部の実施の形態においては、エラストマー状ブロックはランダムコポリマーもしくは交互コポリマーであってもよい。このような例示的な実施の形態においては、長いPLLAガラス状ブロックは、限定されはしないが、P(GA−co−CL)、P(GA−co−TMC)、P(GA−co−CL−co−TMC)、またはP(CL−co−TMC)を含むエラストマー状ブロックと結合してもよい。例示的な実施の形態においては、ポリマー材料は、1〜30重量%、より狭い範囲としては2〜20重量%のエラストマー状ブロックと約80〜98重量%の長いガラス状PLLAブロックとを含んでもよい。
別の実施の形態においては、複合物は、エラストマー状ホモポリマーを持つ長いガラス状ブロックを有してもよい。例示的ジブロックコポリマーとしては、長いガラス状PLLAブロックが短いエラストマー状ブロックに結合された、PLLA−b−PDO、PLLA−b−PTMC、およびPLLA−b−PCLが挙げられる。
例示的トリブロックコポリマーとしては、長いガラス状PLLAブロックを両端に、短いエラストマー状ブロックを中間部に有する、PLLA−b−PDO−b−PLLA、PLLA−b−PCL−b−PLLAが挙げられる。
追加的な例示的トリブロックコポリマーとしては、長いガラス状PLLAブロックを中間部に、短いエラストマー状ブロックを両端に有する、PDO−b−PLLA−b−PDO、PCL−b−PLLA−b−PCLが挙げられる。
例示的スターブロックコポリマーとしては、短い内部コアエラストマー状ブロックと、外殻としての長いガラス状PLLAブロックを有する、PLLA−b−PDOおよびPLLA−b−PCLが挙げられる。あるいは、スターブロックコポリマーは、内部コアとしての長いガラス状PLLAブロックと、外殻としての短いエラストマー状ブロックとを有してもよい。
更なる実施の形態においては、ブロックコポリマーの長いガラス状ブロックは、ランダムコポリマーもしくは交互コポリマーであってもよい。このような実施の形態においては、長いガラス状ブロックはPLGAであってもよい。上述のように、GA含量は複合物の分解速度を増加させ、これにより複合物ステントの分解期間が減少する。ステント骨格の分解期間が18ヶ月、12ヶ月、8ヶ月、5ヶ月、3ヶ月未満、または、より狭い範囲としては3ヶ月未満となるように、ガラス状ブロック中のGAの含量は、単独で、または複合物の他のパラメータとの組合せで調整されてもよい。
一部の実施の形態においては、本明細書に記述するガラス状ブロックとエラストマー状ブロックとを含むブロックポリマーは溶液重合によって形成されてもよい。別の実施の形態においては、このようなブロックコポリマーは溶融相重合によって形成されてもよい。溶液重合においては、重合反応に関わる反応成分は溶媒に溶解している。反応スキームは、一般に、エラストマー状ブロックを形成するステップとガラス状ブロックを形成するステップとを含む。エラストマー状ブロックを最初に形成し、これに続いてガラス状ブロックを形成してもよい。あるいは、ガラス状ブロックを最初に形成してもよい。
反応成分は、エラストマー状ブロックおよびガラス状ブロックを形成するためのモノマーと、開始剤と、触媒とを含む。ポリマー化が進行できるように、反応成分は合成スキームにおける選択される段階の溶媒に溶解させる。これに続くブロックコポリマーの合成では、ブロックコポリマーは上記溶液をブロックコポリマーの非溶媒に注入することにより、反応溶液から沈殿される。
一の実施の形態において、コポリマーの合成に使用する溶媒はアルコール官能基を全く持たないものである。アルコール官能基はポリマーにおける連鎖成長の開始剤として作用することがある。ブロックコポリマーの合成に使用する溶媒としては、限定されはしないが、クロロホルム、トルエン、キシレン、およびシクロヘキサンが挙げられる。開始剤としては、限定されはしないが、ペンタエリスリトール、ドデカノール、エタノール、エチレングリコール、およびポリエチレングリコールが挙げられる。コポリマーの合成を促進するために使用する触媒としては、限定されはしないが、オクチル酸スズ、トリフルオロメタンスルホン酸スズが挙げられる。
溶液重合の実施の形態は前駆ブロックの形成を含む。前駆ブロックは、エラストマー状ブロックまたはガラス状ブロックのいずれであってもよい。前駆ブロックのモノマー単位、適当な開始剤、および適当な触媒を適当な溶媒に加え、ポリマー化溶液を形成する。適当な開始剤、触媒、および溶媒を以下の実施例に記述するが、本発明はこの記述される開始剤、触媒、および溶媒に限定されるものではない。前駆ブロックは、第2ブロックのポリマー化を開始するマクロ開始剤として作用する。前駆ブロックの形成後、第2ブロックのモノマー単位と選択の触媒とを上記溶液に加え、エラストマー状ブロックとガラス状ブロックとを持つブロックコポリマーを形成する。第2ブロックを形成するための溶媒(複数可)は、前駆ブロックと加えられた第2ブロックのモノマー単位とがコポリマー化できるように、前駆ブロックがこの溶媒(複数可)に溶解可能なように選択されてもよい。
一部の実施の形態においては、ジブロックコポリマー、各端の長いガラス状ブロックと中間部のエラストマー状ブロックとを有するトリブロックコポリマー、およびエラストマー状ブロックの内部コアと長いガラス状ブロックの外殻を有するスターブロックコポリマーの合成において、エラストマー状ブロックは最初に形成される。特定の実施の形態においては、各端のエラストマー状ブロックと中間部の長いガラス状ブロックとを有するトリブロックコポリマー、および長いガラス状ブロックの内部コアとエラストマー状ブロックの外殻を有するスターブロックコポリマーの合成において、長いガラス状ブロックは最初に形成される。
別の実施の形態においては、形成された前駆コポリマーを第2ブロックのモノマーを含む溶媒で膨潤させ、これを反応させることによりブロックコポリマーを形成してもよい。当業者は、前駆ポリマーを膨潤させても溶解させない溶媒を選択することができる。前駆ブロックは、加えられる第2ブロックのモノマーと反応できるように、形成後に溶媒によって膨潤する。
本明細書に記述される複合物の実施の形態は、巻くか、あるいは、接合することによりチューブを形成できる、チューブまたはシート等のポリマー構築物に形成してもよい。そして、この構築物から埋込型医療機器を形成してもよい。例えば、ステントは、パターンをチューブにレーザー加工することにより、チューブから製作してもよい。別の実施の形態においては、ポリマー構築物は、射出成形器を用いて複合物から形成してもよい。
上述のように、ステントが収縮状態から一度展開されると管腔を支持できるように、ステントが高い径方向強度を有することが重要である。一般に、ポリマー構築物を変形させることで、変形軸に沿って構築物のポリマーを強化できる。ポリマーチューブからステントを製作する一部の実施の形態において、ポリマーチューブは、チューブの径方向強度を増加するために径方向に拡張される。そして、ステントは、拡張された状態のポリマーチューブから製作してもよい。加えて、ステントパターンをカッティングする前に径方向にチューブを変形することにより、ステント骨格の靭性が増加することが認められている。詳しくは、径方向の変形は、ステント支柱の亀裂および破断を減少または除去する。
埋込型医療機器を製作するために用いてもよいポリマーの代表的な例としては、限定されはしないが、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−co−バレレート)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド);ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエチレンアミド、ポリエチレンアクリレート、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、co−ポリ(エーテルエステル)(PEO/PLA等)、ポリホスファゼン、生体分子(フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、およびヒアルロン酸等)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−αオレフィンのコポリマー、ポリアクリレート以外のアクリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルのポリマーおよびコポリマー(塩化ビニル等)、ポリビニルエーテル(ポリビニルメチルエーテル等)ポリハロゲン化ビニリデン(ポリ塩化ビニリデン等)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族(ポリスチレン等)、ポリビニルエステル(ポリビニルアセテート等)、アクリロニトリルスチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン66およびポリカプロラクタム等)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨントリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、ならびにカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
本明細書に開示する方法によって埋込型医療機器を製作する上で特によく適合しうるポリマーの追加の代表例としては、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般名EVOHまたは商品名EVALとして一般的に知られている)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)(例えば、SOLEF21508,Solvay Solexis PVDF,Thorofare,NJより入手可能である)、ポリフッ化ビニリデン(KYNARとしても知られ、ATOFINA Chemicals,Philadelphia,PAより入手可能である)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
上述のように、ステント等の埋込型医療機器は、機器を覆うコーティングまたは機器の基質中に活性薬剤を組み込むことにより薬物を含ませてもよい。
本発明の目的のため、以下の用語および定義を適用する。
「分子量」とは、個々のセグメント、ブロック、またはポリマー鎖の分子量を指す。また、「分子量」は、セグメント、ブロック、またはポリマー鎖の種類についての重量平均分子量もしくは数平均分子量を指す。
数平均分子量(Mn)は、個々のセグメント、ブロック、またはポリマー鎖の分子量の共通の平均値、代表値である。これは、N個のポリマー分子の分子量を測定し、重量を合計し、Nで除することにより決定される。
Figure 2010540101
上記式において、Nは、分子量Miのポリマー分子の個数である。重量平均分子量は次の式によって得られる。
Figure 2010540101
上記式において、Nは、分子量Mの分子の個数である。
「ガラス転移温度」Tgは、大気圧において、ポリマーの非晶質ドメインが脆いガラス状態から、固い、変形可能または延性のある状態に変化する温度である。言い換えれば、Tgは、ポリマー鎖内でセグメント運動が開始する温度に相当する。非晶質または半晶質ポリマーが温度の上昇に晒されると、ポリマーの膨張係数および熱容量の両方が温度上昇に伴って増加し、分子運動の増加を示す。温度上昇時には、試料中の実際の分子体積は一定に保たれるので、膨張係数が高くなるほど、系に伴う自由体積は増加し、したがって分子が運動する自由度は増す。増加する熱容量は、運動を介した熱放散の増加に相当する。所与のポリマーのTgは、加熱速度に依存し得るものであり、ポリマーの熱履歴に左右され得る。さらに、ポリマーの化学構造は、可動性に影響を与えることでガラス転移に多大な影響を与える。
「応力」は、平面内の小さい領域を通して作用する力におけるような、単位面積当たりの力を指す。応力は、それぞれ垂直応力および剪断応力と呼ばれる、平面に対し垂直および平行な成分に分割することができる。真応力とは、力と面積が同時に測定される応力のことをいう。引張りおよび圧縮試験に適用される公称応力は力を当初のゲージ長さで割ったものである。
「強さ(強度)」とは、材料が破断の前に耐えるであろう、軸に沿った最大応力を指す。極限強度は、試験中に加えられる最大負荷を当初の断面積で割って算出する。
「弾性率」は、材料に加えられた単位面積当たりの力すなわち応力の成分を、加えられた力により生じる、加えられた力の軸に沿ったひずみで割った比率と定義される。例えば、材料は引張弾性率と圧縮弾性率の両方を有している。比較的高い弾性率を持つ材料は堅いか、または剛性である傾向がある。逆に、比較的低い弾性率を持つ材料は柔軟である傾向がある。材料の弾性率は、分子の組成および構造、材料の温度、変形量、ならびにひずみ速度または変形速度に依存する。例えば、Tgより低い温度では、ポリマーは高い弾性率をもって脆い傾向がある。ポリマーの温度がTgより低い温度からTgよりも高い温度へ上昇するにつれて、弾性率は減少する。
「ひずみ」とは、所与の応力または負荷において材料に発生する伸び(伸長)または圧縮の量を指す。
「伸び」は、応力を受けたときに生じる材料の長さの増加と定義される。伸びは典型的には当初の長さに対するパーセンテージとして表される。
破断伸びは、試料が破断するときの試料の歪みである。これは、通常パーセントで表される。
「靭性」は、破壊(破断)の前に吸収されるエネルギーの量であり、すなわちある材料(物質)を破壊(破断)するために必要な仕事量と同等である。靭性の一つの基準は、応力−ひずみ曲線下の、ひずみゼロから破壊(破断)でのひずみまでの面積である。応力は材料における引張力に比例し、歪みは長さに比例する。そして、曲線下の領域は、破壊(破断)前にポリマーが伸びた距離に渡って力を積分したものに比例する。この積分は試料の破壊(破断)に必要な仕事量(エネルギー)である。靭性は、試料が破壊(破断)前に吸収できるエネルギーの尺度である。靭性と強度とは異なる。強度が高いが、靭性が高くない材料は脆いといえる。脆い物質は強度が高いが、破壊(破断)する前にあまり変形できない。
「溶媒」は、1つ以上の他の物質を溶解または分散させるか、あるいは、少なくとも物質の一部を溶解または分散させ、選択された温度および圧力において、分子またはイオンの大きさのレベルで均一に分散した溶液を形成することが可能な物質と定義される。溶媒は、1mlの溶媒あたり少なくとも0.1mgのポリマーを溶解可能であるべきで、より狭い範囲としては、選択された温度および圧力、例えば、大気温度および大気圧において1mlあたり0.5mgを溶解可能であるべきである。
下記の実施例および実験データは説明のみを目的とするものであって、本発明を何ら限定するものではない。以下の実施例は本発明の理解を促進するために提供するものであり、本発明は実施例の特定の材料または手順に限定されるものではないことを理解されたい。以下の実施例は、限定のためではなく、説明のためにのみ提供されるものである。パラメータおよびデータは、本発明の実施の形態の範囲の限定を意味するものではない。
≪実施例1−短いPDOおよびPLLAブロックを有するPDO−b−PLLAブロックコポリマーの合成≫
図10はPDO−b−PLLAブロックコポリマー作成の合成経路を示す。このコポリマーは2つのステップで合成される。第1ステップにおいて、ジオキサノン(モノマー)、アルコール(開始剤)、触媒、および溶媒を酸素および水分を除去した反応器に加える。第1のPDOブロックが形成されたらすぐに、LLAを反応器に加えPLLAブロックを形成する。以下にポリマー化プロセスを詳細に記述する:
ステップ1:機械的攪拌棒を備えた1つの500mL三口ガラス反応器を、高純度窒素が充填されたグローブボックス内に配置する。反応器を予熱して全ての水分を除去する。
ステップ2:モノマーとしてジオキサノン(DO)20g、開始剤としてドデカノール0.04mL、溶媒としてトルエン70mL、および触媒としてオクチル酸スズ0.12mLを反応器に加える。この混合物を100℃で48時間攪拌する。
ステップ3:次に、LLAモノマー10gを反応器に加え、この溶液をさらに48時間攪拌する。
ステップ4:次に、CHCl100mLを反応器に加えて、最終生成物を希釈する。そして、生成物の溶液をメタノール600mLに沈殿、ろ過し、一定重量(恒量)となるまで80℃で真空乾燥する。
ブロックコポリマー合成の別の合成アプローチでは、ヒドロキシル末端基を有するPLLAブロックを最初に形成し、次に、これをマクロ開始剤として用いてPDOブロックを形成する。
実施例2、3a〜b、4a〜bでは、長いPLLAブロックと、短い、侵食の速いエラストマー状ホモポリマーブロックとを有するブロックコポリマーの合成を説明する。
≪実施例2:長いPLLAブロックと短いPDOブロックとを有するPLLA−b−PDOジブロックコポリマーの合成(図8A参照)≫
実施例2においては、開始剤としてドデカノール、モノマーとしてジオキサノン(DO)、およびL−ラクチド(LLA)、ならびに触媒としてオクチル酸スズを用いる。
ステップ1:DO40g、ドデカノール372mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を24時間攪拌し、短いPDOブロックを形成する。
ステップ2:LLA200g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLLAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例3a:両端に長いPLLAブロックを、中間部に短いPDOブロックを有するPLLA−b−PDO−b−PLLAトリブロックコポリマーの合成(図8B参照)≫
実施例3a〜bでは、開始剤としてエチレングリコール、モノマーとしてDOおよびLLA、触媒としてオクチル酸スズ、ならびに溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:DO40g、エチレングリコール124mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、短いPDOブロックを形成する。
ステップ2:LLA200g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、両端に長いPLLAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例3b:中間に長いPLLAブロックを、両端に短いPDOブロックを有するPDO−b−PLLA−b−PDOトリブロックコポリマーの合成(図8C参照)≫
ステップ1:LLA200g、エチレングリコール124mg、およびキシレン300mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ562mgをこのポリマー化溶液に加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、長いPLLA鎖を形成する。
ステップ2:DO40g、キシレン100mL、およびオクチル酸スズ140mgを反応器に加え、両端に短いPDO鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例4a:短いPDO内部コアと長いPLLA外殻とを有するPDO−b−PLLAスターブロックコポリマーの合成(図8D参照)≫
実施例4a〜bでは、開始剤としてペンタエリスリトール、モノマーとしてDOおよびLLA、触媒としてオクチル酸スズ、ならびに溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:DO20g、ペンタエリスリトール136mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgをこのポリマー化溶液に加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、短いPDO鎖を形成する。
ステップ2:LLA200g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLLA鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例4b:長いPLLA内部コアと短いPDO外殻とを有するPLLA−b−PDOスターコポリマーの合成(図8E参照)≫
ステップ1:LLA200g、ペンタエリスリトール136mg、およびキシレン300mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ562mgを加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、長いPLLA鎖を形成する。
ステップ2:DO20g、キシレン100mL、およびオクチル酸スズ140mgを反応器に加え、短いPDO鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
実施例5aおよび5bでは、長いPLGAブロックとエラストマー状ブロックとを有するジブロックコポリマーの合成を説明する。
≪実施例5a:長いPLGAブロックと短いPDOホモポリマーブロックとを有するPLGA−b−PDOジブロックコポリマーの合成(図8A参照)≫
実施例5aにおいては、開始剤としてドデカノール、モノマーとしてジオキサノン(DO)、L−ラクチド(LLA)、およびグリコリド(GA)、触媒としてオクチル酸スズを用いる。
ステップ1:DO40g、ドデカノール372mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を24時間攪拌し、短いPDOブロックを形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLGAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例5b:長いPLGAブロックと短いP(GA−co−CL)ランダムブロックとを有するPLGA−b−P(GA−co−CL)ジブロックコポリマーの合成(図8A参照)≫
実施例5bにおいては、開始剤としてドデカノール、モノマーとしてL−ラクチド(LLA)、カプロラクトン(CL)、およびグリコリド(GA)、触媒としてオクチル酸スズを用いる。
ステップ1:CL20g、GA20g、ドデカノール372mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を120℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を48時間攪拌し、短いP(GA−co−CL)ブロックを形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLGAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
実施例6a〜cでは、長いPLGAブロックとエラストマー状ブロックとを有するトリブロックコポリマーの合成を説明する。
≪実施例6a:両端に長いPLGAブロックを、中間部に短いPDOホモブロックを有するPLGA−b−PDO−b−PLGAトリブロックコポリマーの合成(図8B参照)≫
実施例6a〜bでは、開始剤としてエチレングリコール、モノマーとしてDO、LLA、およびGA、触媒としてオクチル酸スズ、溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:DO40g、エチレングリコール124mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、短いPDOブロックを形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、両端に長いPLGAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例6b:中間部に長いPLGAブロックを、両端に短いPDOブロックを有するPDO−b−PLGA−b−PDOトリブロックコポリマーの合成(図8C参照)≫
ステップ1:LLA180g、GA20g、エチレングリコール124mg、およびキシレン300mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ562mgをこのポリマー化溶液に加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、長いPLGA鎖を形成する。
ステップ2:DO40g、キシレン100mL、およびオクチル酸スズ140mgを反応器に加え、両端に短いPDO鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例6c:両端に長いPLGAブロックを、中間部に短いP(GA−co−CL)ランダムブロックを有するPLGA−b−P(GA−co−CL)−b−PLGAトリブロックコポリマーの合成(図8B参照)≫
実施例6cでは、開始剤としてエチレングリコール、モノマーとしてCL、GA、およびLLA、触媒としてオクチル酸スズ、ならびに溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:CL20g、GA20g、エチレングリコール124mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を120℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgを加え、この溶液を120℃で48時間攪拌し、短いP(GA−co−CL)ブロックを形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、両端に長いPLGAブロックを形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
実施例7a〜cでは、長いPLGAブロックとエラストマー状ブロックとを有するスターブロックコポリマーの合成を説明する。
≪実施例7a:短いPDO内部コアと長いPLGA外殻とを有するPDO−b−PLGAスターブロックコポリマーの合成(図8D参照)≫
実施例7a〜bでは、開始剤としてペンタエリスリトール、モノマーとしてDO、LLA、およびGA、触媒としてオクチル酸スズ、溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:DO40g、ペンタエリスリトール136mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgをポリマー化溶液に加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、短いPDO鎖を形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLGA鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例7b:長いPLGA内部コアと短いPDO外殻とを有するPLGA−b−PDOスターブロックコポリマーの合成(図8E参照)≫
ステップ1:LLA180g、GA20g、ペンタエリスリトール136mg、およびキシレン300mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を110℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ562mgを加え、この溶液を110℃で24時間攪拌し、長いPLGA鎖を形成する。
ステップ2:DO40g、キシレン100mL、およびオクチル酸スズ140mgを反応器に加え、短いPDO鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例7c:短いP(GA−co−CL)内部コアと長いPLGA外殻とを有するP(GA−co−CL)−b−PLGAスターブロックコポリマーの合成(図8D参照)≫
実施例7cでは、開始剤としてペンタエリスリトール、モノマーとしてCL、GA、およびLLA、触媒としてオクチル酸スズ、ならびに溶媒としてキシレンを用いる。
ステップ1:CL20g、GA20g、ペンタエリスリトール136mg、およびキシレン100mLを水分および酸素を除去した反応器に加える。全ての化学薬品を機械的攪拌を介して混合し、溶液を120℃まで熱する。そして、オクチル酸スズ140mgをポリマー化溶液に加え、この溶液を120℃で48時間攪拌し、短いP(GA−co−CL)鎖を形成する。
ステップ2:LLA180g、GA20g、キシレン300mL、およびオクチル酸スズ562mgを反応器に加え、長いPLGA鎖を形成する。
ステップ3:約48時間後、最終生成物はメタノールに沈殿され、真空乾燥機内で、90℃で48時間または恒量となるまで乾燥する。
≪実施例9−実施例1〜8において作成されたブロックコポリマーからの生体吸収性ステントの作成≫
ステップ1:長いPLLAブロックと短く侵食が速いエラストマー状ホモ/ランダムブロックとで合成されたコポリマーを、単軸スクリュー押出機を用いて、200℃で指定の内径(ID)0.021インチおよび外径(OD)0.64インチを持つチューブに押出し成形する。
ステップ2:押出し成形されたチューブを拡張し、軸方向および径方向に沿った機械的特性を改善する。
ステップ3:拡張されたチューブからフェムト秒レーザーを用いてステントをカットし、クリンピングの(押しつけて縮みしわをつけた)後に全てのステントを滅菌する。
本発明の特定の実施の形態を示し、記述してきたが、本発明のより広い局面を逸脱しない限り、変更および変形を施すことも可能であることは当業者にとって自明であろう。したがって、添付の請求項はその範囲において本発明の真の精神および範囲に含まれる全ての変更および変形を包含する。

Claims (25)

  1. 生分解性のポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されたステント体であって、
    前記複合物は、エラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーを備え、
    前記エラストマー相は前記エラストマー状ホモポリマーブロックを含むとともに、前記マトリクスは前記ガラス状ブロックを含み、
    前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、
    ステント体。
  2. 前記エラストマー状ホモポリマーブロックはPCL、PTMC、PHB、およびPDOからなる群より選択され、
    前記ガラス状ブロックはPLLAおよびPLGAからなる群より選択される、
    請求項1に記載のステント体。
  3. 前記ガラス状ブロックは体温よりも高いTgを有するとともに、前記エラストマー状ブロックは体温よりも低いTgを有する、
    請求項1に記載のステント体。
  4. 前記エラストマー状ホモポリマーブロックは前記ポリマーマトリクスよりも分解速度が速く、
    前記エラストマー相の前記分解により前記ステント体の分解期間は減少する、
    請求項1に記載のステント体。
  5. 前記エラストマー相が前記ステント体の靭性を増加できるように、前記ブロックコポリマーは前記ポリマーマトリクスと前記エラストマー相との密着性を増加させる、
    請求項1に記載のステント体。
  6. 前記ポリマーマトリクスはガラス状マトリクスポリマーをさらに含み、
    前記ガラス状マトリクスポリマーは前記ブロックコポリマーとブレンドされ、
    前記ガラス状ブロックは前記ガラス状マトリクスポリマーと混和性である、
    請求項1に記載のステント体。
  7. 前記エラストマー相の大部分は前記エラストマー状ブロックと同じエラストマー状ポリマーを含む、
    請求項6に記載のステント体。
  8. 前記ガラス状ブロックの分子量は前記ポリマーマトリクスを形成するのに十分大きく、
    前記ポリマーマトリクスの大部分は前記ガラス状ブロックを含む、
    請求項1に記載のステント体。
  9. マトリクス中に分散するエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されたステント体であって、
    前記複合物は、ガラス状マトリクスポリマーにブレンドされたブロックコポリマーを備え、
    前記ブロックコポリマーはエラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含み、
    前記エラストマー相は前記エラストマー状ブロックを含み、
    前記マトリクス相は前記ガラス状マトリクスポリマーとガラス状ポリマーブロックとを含み、
    前記エラストマー状ブロックは、生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ガラス状マトリクスポリマーよりも靭性が高い、
    ステント体。
  10. 前記エラストマー状ホモポリマーブロックはPCL、PTMC、PHB、およびPDOからなる群より選択され、
    前記ガラス状ブロックはPLLAおよびPLGAからなる群より選択される、
    請求項9に記載のステント体。
  11. 前記PLLAガラス状ブロックは20kg/molから200kg/molの間の分子量を含む、
    請求項10に記載のステント体。
  12. 前記ガラス状ブロックは体温よりも高いTgを有するとともに、前記エラストマー状ブロックは体温よりも低いTgを有する、
    請求項9に記載のステント体。
  13. 前記エラストマー状ホモポリマーブロックは前記ガラス状マトリクスポリマーよりも分解速度が速く、
    前記エラストマー相の分解により前記ステント体の分解期間は減少する、
    請求項9に記載のステント体。
  14. 前記エラストマー相が前記ステント体の靭性を増加できるように、前記ブロックコポリマーは前記マトリクスと前記エラストマー相との密着性を増加させる、
    請求項9に記載のステント体。
  15. 前記複合物は、前記エラストマー状ブロックと同一の組成を有するエラストマー状ポリマーをさらに含み、
    前記エラストマー相の大部分は前記エラストマー状ポリマーを含み、
    前記ブロックコポリマーは前記エラストマー相と前記マトリクスとの間の相溶化剤として作用する、
    請求項9に記載のステント体。
  16. 前記ガラス状マトリクスポリマーおよび前記ガラス状ブロックはPLLAを含み、
    前記エラストマー状ブロックはPCL、PTMC、PHB、およびPDOからなる群より選択される、
    請求項15に記載のステント体。
  17. ポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体であって、
    前記複合物は、エラストマー状ホモポリマーブロックとガラス状ポリマーブロックとを含むブロックコポリマーを備え、
    前記エラストマー相は前記エラストマー状ホモポリマーブロックを含むとともに、
    前記マトリクスは前記ガラス状ブロックを含み、
    前記ガラス状ブロックの分子量は前記ポリマーマトリクスを形成するのに十分大きく、
    前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、
    ステント体。
  18. 前記マトリクスは、ガラス状ブロックからなる、
    請求項17に記載のステント体。
  19. 前記ガラス状ブロックはPLLAおよびPLGAからなる群より選択され、
    前記エラストマー状ホモポリマーブロックはPCL、PTMC、PHB、およびPDOからなる群より選択される、
    請求項17に記載のステント体。
  20. 前記ガラス状ブロックは50kg/molから1,000kg/molの間の分子量を有する、
    請求項17に記載のステント体。
  21. 前記ブロックコポリマーはジブロックコポリマーを含み、
    前記ジブロックコポリマーの第1端は前記エラストマー状ブロックであるとともに、
    前記ジブロックコポリマーの第2端は前記ガラス状ブロックである、
    請求項17に記載のステント体。
  22. 前記ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーを含み、
    前記トリブロックコポリマーは2つのガラス状ブロックの間に前記エラストマー状ブロックを含むか、または前記トリブロックコポリマーは2つのホモポリマーエラストマー状ブロックの間に前記ガラス状ブロックを含む、
    請求項17に記載のステント体。
  23. 前記ブロックコポリマーは少なくとも3つのアームを有するスターブロックコポリマーを含み、
    前記アームは内部セグメントと外部セグメントとを有し、
    前記内部セグメントは前記エラストマー状ホモポリマーブロックを含むとともに、
    前記外部セグメントは前記ガラス状ブロックを含む、
    請求項17に記載のステント体。
  24. 前記ブロックコポリマーは少なくとも3つのアームを有するスターブロックコポリマーを含み、
    前記アームは内部セグメントと外部セグメントとを有し、
    前記内部セグメントは前記ガラス状ブロックを含むとともに、
    前記外部セグメントは前記エラストマー状ブロックを含む、
    請求項17に記載のステント体。
  25. ポリマーマトリクス中に分散する生分解性のエラストマー相を含むポリマー複合物から少なくとも部分的に製作されるステント体であって、
    前記複合物は、エラストマー状ポリマーブロックとPLGAブロックとを含むブロックコポリマーを備え、
    前記エラストマー相は前記エラストマー状ブロックを含むとともに、
    前記ポリマーマトリクスは前記PLGAブロックを含み、
    前記PLGAブロックの分子量は前記ポリマーマトリクスを形成するのに十分大きく、
    前記エラストマー状ブロックは生理学的条件下において前記ガラス状ブロックおよび前記ポリマーマトリクスよりも靭性が高い、
    ステント体。
JP2010527102A 2007-09-28 2008-09-24 ブロックコポリマーより製作される埋込型医療機器 Expired - Fee Related JP5372941B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11/864,729 2007-09-28
US11/864,729 US7956100B2 (en) 2007-09-28 2007-09-28 Implantable medical devices fabricated from block copolymers
PCT/US2008/077477 WO2009045808A2 (en) 2007-09-28 2008-09-24 Implantable medical devices fabricated from block copolymers

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010540101A true JP2010540101A (ja) 2010-12-24
JP2010540101A5 JP2010540101A5 (ja) 2011-11-04
JP5372941B2 JP5372941B2 (ja) 2013-12-18

Family

ID=40229730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010527102A Expired - Fee Related JP5372941B2 (ja) 2007-09-28 2008-09-24 ブロックコポリマーより製作される埋込型医療機器

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7956100B2 (ja)
EP (1) EP2203197B1 (ja)
JP (1) JP5372941B2 (ja)
ES (1) ES2533724T3 (ja)
WO (1) WO2009045808A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014528798A (ja) * 2011-10-03 2014-10-30 アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド ゴム補強された生体吸収性ポリマー末梢足場

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5931855A (en) 1997-05-21 1999-08-03 Frank Hoffman Surgical methods using one-way suture
RU2404717C2 (ru) 2004-05-14 2010-11-27 Квилл Медикал, Инк. Способы и устройства для наложения швов
US20080243228A1 (en) * 2007-03-28 2008-10-02 Yunbing Wang Implantable medical devices fabricated from block copolymers
US8915943B2 (en) * 2007-04-13 2014-12-23 Ethicon, Inc. Self-retaining systems for surgical procedures
EP2197501B8 (en) * 2007-09-27 2012-10-03 Ethicon, LLC Self-retaining sutures including tissue retainers having improved strength
US20090112259A1 (en) * 2007-10-31 2009-04-30 Angiotech Pharmaceuticals, Inc. Recombinant expressed bioadsorbable polyhydroxyalkonate monofilament and multi-filaments self-retaining sutures
US8916077B1 (en) 2007-12-19 2014-12-23 Ethicon, Inc. Self-retaining sutures with retainers formed from molten material
JP5518737B2 (ja) 2007-12-19 2014-06-11 エシコン・エルエルシー 熱接触媒介リテーナを備えた留置縫合糸
US8118834B1 (en) 2007-12-20 2012-02-21 Angiotech Pharmaceuticals, Inc. Composite self-retaining sutures and method
US8501290B2 (en) * 2008-01-15 2013-08-06 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable medical devices fabricated from polyurethanes with biodegradable hard and soft blocks and blends thereof
US8615856B1 (en) 2008-01-30 2013-12-31 Ethicon, Inc. Apparatus and method for forming self-retaining sutures
WO2009097556A2 (en) 2008-01-30 2009-08-06 Angiotech Pharmaceuticals, Inc. Appartaus and method for forming self-retaining sutures
US9125647B2 (en) 2008-02-21 2015-09-08 Ethicon, Inc. Method and apparatus for elevating retainers on self-retaining sutures
US8641732B1 (en) 2008-02-26 2014-02-04 Ethicon, Inc. Self-retaining suture with variable dimension filament and method
US9259515B2 (en) * 2008-04-10 2016-02-16 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable medical devices fabricated from polyurethanes with grafted radiopaque groups
BRPI0911132B8 (pt) 2008-04-15 2021-06-22 Angiotech Pharm Inc sutura para ser usada em um procedimento aplicado ao tecido
US8961560B2 (en) 2008-05-16 2015-02-24 Ethicon, Inc. Bidirectional self-retaining sutures with laser-marked and/or non-laser marked indicia and methods
EP2349981A4 (en) 2008-10-11 2016-11-30 Univ Rutgers BIOCOMPATIBLE POLYMERS FOR MEDICAL DEVICES
BRPI0921810B8 (pt) 2008-11-03 2021-06-22 Angiotech Pharm Inc montagem para inserir um comprimento de sutura no interior do corpo de um mamífero
US8119704B2 (en) * 2009-07-21 2012-02-21 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable medical device comprising copolymer of L-lactide with improved fracture toughness
WO2011014860A1 (en) 2009-07-31 2011-02-03 Rutgers, The State University Of New Jersey Monomers and phase-separated biocompatible polymer compositions prepared therefrom for medical uses
EP2486081B1 (en) 2009-10-11 2018-12-05 Rutgers, The State University of New Jersey Biocompatible polymers for medial devices
KR101883143B1 (ko) 2010-05-04 2018-07-31 에티컨, 엘엘씨 자가-유지형 봉합재를 생성하기 위한 레이저 커팅 시스템 및 방법
BR112012031606B1 (pt) 2010-06-11 2020-11-10 Ethicon Llc distribuidor de sutura
AU2011323299B2 (en) 2010-11-03 2016-06-30 Ethicon Llc Drug-eluting self-retaining sutures and methods relating thereto
EP2637574B1 (en) 2010-11-09 2016-10-26 Ethicon, LLC Emergency self-retaining sutures
RU2659454C2 (ru) 2011-03-23 2018-07-02 ЭТИКОН ЭлЭлСи Самоудерживающиеся нити с регулируемой петлей
US8545546B2 (en) * 2011-05-13 2013-10-01 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Bioabsorbable scaffolds made from composites
US20130172931A1 (en) 2011-06-06 2013-07-04 Jeffrey M. Gross Methods and devices for soft palate tissue elevation procedures
CA2863203C (en) 2012-02-03 2020-03-24 Rutgers, The State Of University Of New Jersey Polymeric biomaterials derived from phenolic monomers and their medical uses
US11472918B2 (en) 2012-02-03 2022-10-18 Rutgers, The State University Of New Jersey Polymeric biomaterials derived from phenolic monomers and their medical uses
US9254212B2 (en) 2012-04-06 2016-02-09 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Segmented scaffolds and delivery thereof for peripheral applications
US20130338762A1 (en) * 2012-06-15 2013-12-19 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Bioresorbable polymer peripheral scaffolds made from block copolymers of poly(l-lactide) and hydrophilic polymers
US8968387B2 (en) 2012-07-23 2015-03-03 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Shape memory bioresorbable polymer peripheral scaffolds
US9277983B2 (en) * 2013-03-13 2016-03-08 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Drug delivery device for peripheral artery disease
US10774030B2 (en) 2014-12-23 2020-09-15 Rutgers, The State University Of New Jersey Polymeric biomaterials derived from phenolic monomers and their medical uses
WO2016103224A2 (en) 2014-12-23 2016-06-30 Rutgers, The State University Of New Jersey Biocompatible iodinated diphenol monomers and polymers
CN110366436A (zh) 2016-12-29 2019-10-22 波士顿科学国际有限公司 由聚合物细丝形成的医疗装置
AU2017391591B2 (en) * 2017-01-04 2022-12-22 Pharmathen S.A. Process for preparing biodegradable polymers of high molecular weight
CN113831249A (zh) * 2021-08-18 2021-12-24 江苏斯德瑞克化工有限公司 一种可降解的双子表面活性剂及其制备方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1157018A (ja) * 1997-08-01 1999-03-02 Schneider Usa Inc 生体吸収性の自己膨張性ステント
JP2004500153A (ja) * 1999-06-03 2004-01-08 アメリカン メディカル システムズ インコーポレイテッド 生体再吸収性ステント
WO2004069097A2 (en) * 2003-01-31 2004-08-19 Poly-Med, Inc. Absorbable / biodegradable tubular stent and methods of making the same
US20060140999A1 (en) * 2000-07-14 2006-06-29 Mnemoscience Gmbh Systems for releasing active ingredients, based on biodegradable or biocompatible polymers with a shape memory effect
US20070224234A1 (en) * 2006-03-22 2007-09-27 Mark Steckel Medical devices having biodegradable polymeric regions
WO2007126598A2 (en) * 2006-03-31 2007-11-08 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Degradable polymeric implantable medical devices with a continuous phase and discrete phase
WO2007143116A2 (en) * 2006-06-01 2007-12-13 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable medical devices fabricated from branched polymers

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3835200A (en) 1972-08-23 1974-09-10 Gen Electric Composition of a polyphenylene ether, a rubber styrene graft copolymer and normally rigid block copolymer of a vinyl aromatic compound and a conjugated diene
US4744365A (en) 1986-07-17 1988-05-17 United States Surgical Corporation Two-phase compositions for absorbable surgical devices
US4866126A (en) 1988-04-15 1989-09-12 Borg-Warner Chemicals, Inc. Polymer blend compositions including copolymer compatibilizing agents
US5716981A (en) 1993-07-19 1998-02-10 Angiogenesis Technologies, Inc. Anti-angiogenic compositions and methods of use
US8313759B2 (en) 2003-03-06 2012-11-20 Boston Scientific Scimed, Inc. Implantable or insertable medical devices containing miscible polymer blends for controlled delivery of a therapeutic agent
WO2007019439A2 (en) * 2005-08-04 2007-02-15 Angiotech International Ag Block copolymer compositions and uses thereof
US8343530B2 (en) 2006-05-30 2013-01-01 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Polymer-and polymer blend-bioceramic composite implantable medical devices
US7842737B2 (en) * 2006-09-29 2010-11-30 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Polymer blend-bioceramic composite implantable medical devices
US9089627B2 (en) * 2006-07-11 2015-07-28 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Stent fabricated from polymer composite toughened by a dispersed phase
US20080033540A1 (en) 2006-08-01 2008-02-07 Yunbing Wang Methods to prepare polymer blend implantable medical devices
US7691402B2 (en) * 2006-11-06 2010-04-06 Medtronic Vascular, Inc. Block biodegradable copolymers for medical devices
US20080243228A1 (en) * 2007-03-28 2008-10-02 Yunbing Wang Implantable medical devices fabricated from block copolymers

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1157018A (ja) * 1997-08-01 1999-03-02 Schneider Usa Inc 生体吸収性の自己膨張性ステント
JP2004500153A (ja) * 1999-06-03 2004-01-08 アメリカン メディカル システムズ インコーポレイテッド 生体再吸収性ステント
US20060140999A1 (en) * 2000-07-14 2006-06-29 Mnemoscience Gmbh Systems for releasing active ingredients, based on biodegradable or biocompatible polymers with a shape memory effect
WO2004069097A2 (en) * 2003-01-31 2004-08-19 Poly-Med, Inc. Absorbable / biodegradable tubular stent and methods of making the same
US20070224234A1 (en) * 2006-03-22 2007-09-27 Mark Steckel Medical devices having biodegradable polymeric regions
WO2007126598A2 (en) * 2006-03-31 2007-11-08 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Degradable polymeric implantable medical devices with a continuous phase and discrete phase
WO2007143116A2 (en) * 2006-06-01 2007-12-13 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable medical devices fabricated from branched polymers

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014528798A (ja) * 2011-10-03 2014-10-30 アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド ゴム補強された生体吸収性ポリマー末梢足場

Also Published As

Publication number Publication date
JP5372941B2 (ja) 2013-12-18
EP2203197B1 (en) 2014-12-31
ES2533724T3 (es) 2015-04-14
WO2009045808A2 (en) 2009-04-09
EP2203197A2 (en) 2010-07-07
WO2009045808A3 (en) 2010-05-14
US7956100B2 (en) 2011-06-07
US20090088835A1 (en) 2009-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5372941B2 (ja) ブロックコポリマーより製作される埋込型医療機器
JP5743136B2 (ja) 生分解性ハード及びソフトブロックを有するポリウレタン、並びにそのブレンドから作られた埋め込み型医療デバイス
US9931431B2 (en) Implantable medical devices fabricated from branched polymers
US9682178B2 (en) Implantable medical devices fabricated from polymers with radiopaque groups
US7923022B2 (en) Degradable polymeric implantable medical devices with continuous phase and discrete phase
US7964210B2 (en) Degradable polymeric implantable medical devices with a continuous phase and discrete phase
US20080033540A1 (en) Methods to prepare polymer blend implantable medical devices
EP2134381B1 (en) Implantable medical devices fabricated from block copolymers
JP2009543595A (ja) 分散相により靭性を高めたポリマー複合材料から作製されたステント
US8262723B2 (en) Implantable medical devices fabricated from polymer blends with star-block copolymers
WO2009158290A2 (en) Implantable medical devices fabricated from radiopaque polymers with high fracture toughness
WO2009126479A2 (en) Implantable medical devices fabricated from polyurethanes with grafted radiopaque groups

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110915

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130827

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130918

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5372941

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees