JP2010538972A - 転移性癌の処置のためのvegfr−2阻害剤の使用 - Google Patents

転移性癌の処置のためのvegfr−2阻害剤の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は転移性癌を処置するための組成物および方法を提供する。転移を有するか転移の進行の危険がある患者が処置され得る。本発明に有用な組成物にはVEGFR-2特異的阻害剤が含まれる。

Description

関連出願
本出願は、2007年8月20日に出願された米国仮特許出願第60/965,574号の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に引用される。
本発明は、バイオロジーと病態の間に介在するVEGF-VEGFR経路を遮断する革新的なタンパク質を用いた、転移性癌の処置に関する。本発明はまた、薬剤中の革新的なタンパク質およびそのようなタンパク質の誘導体、ならびに転移性癌の処置におけるその使用に関する。
(序論)
体のおおよその遠隔部の原発腫瘍から始まる悪性腫瘍の転移の形成は、癌の最も深刻な作用の1つであり、その満足な治療方法は現在のところない。患者が複数の腫瘍増殖に屈するように、癌の腫瘍転移は病気の治療における大部分の治療不全に関わっている。
転移の生じる範囲は、個々の腫瘍のタイプによって異なる。メラノーマ、リンパ腫、乳癌、肺癌、大腸癌および前立腺癌は、共通して、とりわけ転移しやすいタイプの癌である。転移が生じると、体の様々な部位に二次腫瘍が形成され得る(肺、肝臓、脳および骨がより一般的な部位である)。
癌療法に現在用いることができる方法、例えば外科的療法、放射線療法、化学療法および他の免疫生物学的方法は、転移の阻止において不成功に終わるか、または、これらの方法は深刻で望ましくない副作用を引き起こす。
多くの臨床的に診断された固形腫瘍(該腫瘍は限局性増殖である)において、外科的除去が治療の主要な手段であるとされている。しかしながら、外科手術後および/またはいくらかの遅延期間の後、何度も、該原発腫瘍が転移して癌浸潤の二次部位が全身に広がったことが認められ、その後、患者は二次的な癌増殖により死亡する。他の具体例においては、腫瘍の位置(例えば、脳の特定の領域)により腫瘍の外科的除去は適切でなく、放射線、化学療法、または他の免疫生物学的方法が唯一の代替法である。
切除可能な腫瘍を有する個体においては、原発腫瘍増殖または局所再発が死因となることは多くないことを示す報告がされている。にもかかわらず現在、手術可能な腫瘍を有する癌犠牲者の40%近くが、最終的には手術後の転移性疾患で死亡している。
転移はいくつかの腫瘍で常に生じている。しかしながら、転移はよく手術そのものによって誘発される。手術の過程において、悪性細胞が腫瘍塊から遊離し、循環系に入ることで転移の可能性が増大され得る。
癌の治療において化学療法が広く用いられているけれども、それは通常は細胞増殖の阻止に基づく全身療法である。従って、化学療法は非-特異的治療法であり、全ての増殖細胞(正常細胞を含む)に作用し、望ましくない高頻度の重篤な副作用(例えば免疫抑制、汎血球減少症(貧血、血小板減少症、および白血球減少症を含む骨髄細胞の増殖阻害)、下痢、悪心または脱毛症(抜け毛))を引き起こす。
一般的に、現在の全身療法は、遠隔臓器(肺、肝臓、骨髄または脳)にすでに存在する微小転移に少しだけ効果を有することが分かっており、該腫瘍の他の組織への転移の阻止にはほとんど効果がない。
従って、腫瘍の転移を阻害する方法が必要とされている。とりわけ、重篤な副作用を引き起こすことなく(微小)転移を阻害する方法が、より望ましい。
(発明の概要)
本発明の一態様は、本発明の新規タンパク質を単独かまたは他の細胞傷害性薬物もしくは治療薬と組み合わせて投与することによる、転移性癌が進行しているかまたは進行する危険がある対象の処置方法を提供する。該癌は、例えば、乳癌、大腸癌、卵巣癌、骨肉腫、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、滑膜癌(synovial carcinoma)、メラノーマ、皮膚癌、膵臓癌、または未だ明らかになっていない他の癌であって非発癌性細胞と比べて生理学的にVEGFR-2レベルが上昇、上方制御、変異もしくは変化されるもの、のうちの1つ以上であり得る。
本発明は、本発明の新規タンパク質を単独かまたは他の細胞傷害性薬物もしくは治療薬と組み合わせて投与することによる、転移性癌が進行しているかまたは進行する危険がある対象の処置方法を提供する。とりわけ、好ましい細胞傷害性薬物および治療薬としては、ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミド、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、カペシタビン、タモキシフェン、トレミフェン、レトロゾール、アナストロゾール、フルベストラント、エキセメスタン、ゴセレリン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、デキサメタゾン、アンチド、ベバシズマブ(ベバシズマブ(商標))、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、レバミゾール、イリノテカン、エトポシド、トポテカン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エストラムスチン、ミトキサントロン、アバレリックス、ゾレドロネート、ストレプトゾシン、リツキシマブ(リツキサン(商標))、イダルビシン、ブスルファン、クロラムブシル、フルダラビン、イマチニブ、シタラビン、イブリツモマブ(ゼヴァリン(商標))、トシツモマブ(ベキサール(商標))、インターフェロンα-2b、メルファラン(melphalam)、ボルテゾミブ(ベルケイド(商標))、アルトレタミン、アスパラギナーゼ、ゲフィチニブ(イレッサ(商標))、エルロチニブ(erlonitib)(タルセバ(商標))、抗EGF受容体抗体(セツキシマブ(商標)、Abx-EGF)、およびエポチロンが挙げられる。より好ましくは、該治療薬は、白金剤(例えばカルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)、ゲムシタビン、またはカンプトテシンである。
一実施態様において、本発明のタンパク質を投与することを含む、疾患の処置方法を提供する。さらなる実施態様において、投与されるタンパク質は抗血管新生薬である。別の実施態様において、第2の薬剤もまた投与される。該第2の薬剤は、本明細書に記載のいずれの細胞傷害性薬物または治療薬であってよく、例として、以下に記載の治療薬: スーテント(商標)(すなわち、スニチニブマレート、米国特許第6,573,293号に記載)、タイケルブ(Tykreb)(商標)(すなわち、ラパチニブ、米国特許第6,727,256号に記載)、ネクサバール(商標)(すなわち、バイエル BAY 43-9006/ソラフェニブ、米国特許出願第09/425,228号およびPCT/US00/00648に記載)、AZD2171(すなわち、レセンチン(Recentin)(商標)、PCT国際出願公開第00/47212号に開示)、ベバシズマブ(すなわち、ベバシズマブ(商標)、米国特許第6,054,297号に記載)、VEGFトラップ(例えばKim et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:11399-404; Holash et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:11393-8に記載、例:AVE0005)、例えばラパマイシンおよびその誘導体(CCl-779、すなわちテムシロリムスを含む、ラパマイシンのヒドロキシエステルの製造および使用が米国特許第5,362,718号に開示されている)などのmTor阻害剤、細胞質部分のキナーゼに作用するキナーゼ阻害剤、ゲムシタビン(すなわち、ジェムザール(商標)、米国特許第4,808,614号に開示)、テモゾロミド(すなわち、テモダール(商標)、癌の治療におけるその使用が米国特許第5,939,098号に開示されている)、ダサチニブ(すなわち、スプリセル(商標)、米国特許第6,596,746号に開示)、セツキシマブ(アービタックス(商標)、例えば米国特許第6,217,866号に開示)、イクサベピロン(Bristol-Myers SquibbのBMS-247550)、イマチニブメシレート(すなわち、グリベック(Gleevac)(商標)、米国特許第5,521,184号に開示)、トラスツズマブ(例えば米国特許第5,677,171号に開示のハーセプチン(商標))、または例えばパクリタキセル(すなわちタキソール(商標)、米国特許第5,439,686号に開示)およびドセタキセル(すなわち、タキソテール(商標)、米国特許第4,814,470号に開示)といったタキサン類のメンバーから選択することができる。一実施態様において、本発明のタンパク質は2週間毎に1回投与される。
一実施態様において、疾患の治療方法には治療上有効な量の本発明のタンパク質を対象に投与することが含まれる。別の実施態様において、治療方法にはさらに、治療上有効な量の第2の治療薬を対象に投与することが含まれる。一態様において、治療対象はヒトである。
さらに、本発明のタンパク質を第2の治療用タンパク質と単一の分子として、あるいは 適宜、第3の治療用タンパク質と単一の分子として合わせることが好ましい場合がある。そのような治療用の分子は、PEGまたは他のポリマー(例えば、Cys-Cysジスルフィドまたはポリペプチド)によって1つ以上の治療用タンパク質に連結した、VEGFR-2に対する本発明のタンパク質を含む。そのような治療用タンパク質には、抗体誘導体(例えば、Fab、ラクダ抗体およびその誘導体、ドメイン抗体(例えば、約50 kD未満のサイズ)および単鎖抗体(好ましくは約50 kD未満のサイズ))、フィブロネクチンベースのスキャフォールド(例えばアドネクチン(商標))、ならびに好ましくは〜5から〜40 kdの範囲のタンパク質が含まれる。
本発明のタンパク質の標的としては、とりわけヒトバージョン(場合によってはモデル種(例えばマウス、ラット、サルおよびイヌ)であるけれども): FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Kit、ヒトp185受容体様チロシンキナーゼ、HER2/Her2、Her3、c-Met、葉酸受容体、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF) A、VEGF C、VEGF D、ヒトCD20、ヒトCD18、ヒトCD11a、ヒトアポトーシス受容体-2(Apo-2)、ヒトα4β7インテグリン、ヒトGPIIb-IIIaインテグリン、幹細胞因子(SCF)、ヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)、およびヒトCD3が挙げられる。加えて、本発明の態様は、第1の標的および少なくとも1つの他の標的を結合する多機能タンパク質を含む。多くの実施態様においてそのようなタンパク質はポリペプチドまたは他のポリマーリンカーもしくは非ポリマーリンカーによって連結され得るけれども、好ましくは、そのようなタンパク質は本明細書に記載のPEG関連発明によって連結される。
安定に連結した本発明のタンパク質は、癌の治療的処置に用いられ得る。2つ、3つ、4つまたはそれ以上の治療標的もしくはエピトープに対する場合、本発明の多重特異的なタンパク質は、2つ以上の治療標的の調節、遮断または阻害において有利性を有する。
いずれのタイプの腫瘍およびいずれのタイプの腫瘍抗原は該治療薬(therapeutic)の対応するバイオロジーによって標的とされ得ると予期される。該癌は、例えば、乳癌、大腸癌、卵巣癌、骨肉腫、子宮頸癌、前立腺癌、肺癌、滑膜の癌、膵臓癌、メラノーマ、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、および横紋筋肉腫、またはいまだ明らかになっていない他の癌であって非発癌性細胞と比べて生理学的にVEGFR-2レベルが上昇、上方制御、変異もしくは変化されるもの、のうちの1つ以上であり得る。
標的とされ得る腫瘍のタイプの他の例としては、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、胆道癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、ホジキンリンパ腫、肺癌、甲状腺髄様癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、腎癌、卵巣癌、膵臓癌、神経膠腫、メラノーマ、肝臓癌、前立腺癌、および膀胱癌が挙げられる。
いくつかの実施態様において、転移性癌の治療、予防、または拡散の低減方法を提供し、該方法は、処置を必要とする患者に処置用のVEGFR-2特異的阻害剤を投与することを含む。いくつかの実施態様において、該患者は乳癌を患っている。いくつかの実施態様において、該VEGFR-2特異的阻害剤は、ヒトVEGFR-2に結合する第1のポリペプチドを有し、約80から約150アミノ酸を含有する該ポリペプチドは、少なくとも2つのβシートに分布した少なくとも5〜7のβストランドもしくはβ-様ストランド、および2つのストランド(βストランドまたはβ-様ストランド)を結合する少なくとも1つのループ部分(該ループ部分はVEGFR-2への結合に関与する)を含有する、構造的構成を有し、ここで該ポリペプチドは、1 x 10-6 M未満の解離定数(Kd)でヒトVEGFR-2タンパク質の細胞外ドメインに結合し、VEGFR-2媒介血管新生を阻害する。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、配列番号:1に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、配列番号:2-60のいずれかからなるグループから選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、ポリオキシアルキレン部分をさらに含む。いくつかの実施態様において、該ポリオキシアルキレン部分はポリエチレングリコール(PEG)部分である。
いくつかの実施態様において、該処置方法はVEGFR-2特異的阻害剤および第2の化学療法薬の投与を含む。いくつかの実施態様において、該第2の薬剤はスニチニブマレート、ラパチニブ、ソラフェニブ、AZD2171、ベバシズマブ、アフリベルセプト、mTor阻害剤、ラパマイシン、ゲムシタビン、テモゾロミド、ダサチニブ(dastinib)、セツキシマブ、テムシロリムス、イクサベピロン、イマチニブメシレート、トラスツズマブ、タキサン、オキサリプラチン、または5-フルオロウラシルから選択される。いくつかの実施態様において、該VEGFR-2特異的阻害剤は、第2のポリペプチド(該ポリペプチドはSEQ NO:1に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する)をさらに含む。
該方法に有用なVEGFR-2特異的阻害剤としては、小分子、ポリマー、糖および他の巨大分子、ポリペプチド(抗体を含む)、または核酸(アンチセンス核酸、リボザイム、および低分子干渉RNAまたはsiRNAを含む)が挙げられる。VEGFR-2特異的阻害剤は、VEGFR-2の活性を、好ましくは少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、98、99または100%程度、調節、影響、変化、阻害または減衰するいずれの成分も包含し、該活性には標的結合、酵素活性またはチロシンキナーゼのチロシンリン酸化作用が含まれる。例示的な実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤はタンパク質である。
とりわけin vivoでの適用において、該VEGFR-2特異的阻害剤は、VEGFR-1およびVEGFR-3に比べてVEGFR-2に対して選択的であることがしばしば望ましいであろう。そのような選択性は、好ましくは、少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約10,000倍、および少なくとも約100,000倍である。加えて、とりわけ高親和性VEGFR-2阻害剤は、治療薬(therapeutic)もしくはタンパク質の所定の濃度またはそれ以下で、検出可能なほどVEGFR-1およびVEGFR-3を結合しないことが望ましい場合がある(該濃度は約100 nM、約1 μM、または約10 μMである)。VEGFR-1およびVEGFR-3よりもVEGFR-2へ結合する阻害剤の選択性の関係はまた、アッセイに応じて測定または計算されるKd、IC50、およびKi'sを比較するか; あるいは同一の生化学的または生物学的パラメーター(例えば、Kd、IC50、およびKi's)の比として表され得る。そのような比には、好ましくは、VEGFR-2結合または他の測定値に対するVEGFR-1およびVEGFR-3結合または他の測定値の比、約100、約1,000、約10,000もしくは約100,000が含まれる。
ある実施態様において、該VEGFR-2特異的阻害剤としては、米国特許出願第11/482,641号および第11/448,171号、ならびにPCT国際出願第05/056764号に開示のものが挙げられ、引用によりその全てが本明細書に援用される。配列は、例えば該配列の最後のアミノ酸の次にシステインを付加することにより、さらに修飾されてもよい。
いくつかの実施態様において、本発明の方法に有用なVEGFR-2特異的阻害剤は、約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でVEGFR-1およびVEGFR-3を結合する第1タンパク質を含み;ここで、該第1タンパク質は、ヒトVEGFR-2に関して実質的に1価の結合を有する実質的に単一ドメインであり、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。該VEGFR-2特異的阻害剤は、ペプチド結合により該第1タンパク質に連結した第2タンパク質をさらに含んでよく、ここで該第2タンパク質は、約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1μM以上の結合親和性でVEGFR-1およびVEGFR-3と結合する。該VEGFR-2特異的阻害剤は、少なくとも1つのペプチド結合(別のタンパク質ドメインを介する連結を含む)により該第1タンパク質に連結した第2タンパク質をさらに含んでよく、ここで該第2タンパク質は約300 nM以下の結合親和性でヒト血清アルブミンを結合する。該VEGFR-2特異的阻害剤は、好ましくは、約100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でVEGFR-1およびVEGFR-3を結合する、第1タンパク質を含む。該VEGFR-2特異的阻害剤は、より好ましくは、約10 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でVEGFR-1およびVEGFR-3を結合する第1タンパク質を含む。そのような第1タンパク質は好ましくは、フィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)であり、それはVEGFR-2に対する1価の結合を有する単一特異的タンパク質の1つの例であり、他の作動可能に連結したタンパク質を含んでもよい。該VEGFR-2特異的阻害剤は、PEGによって該第1タンパク質に連結した第2タンパク質をさらに含んでよく、ここで該第2タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でVEGFR-1およびVEGFR-3を結合する。好ましくは、該第1および第2タンパク質はフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)であり、それはVEGFR-2に対する2価の結合を有する単一特異的タンパク質の1つの例である。好ましくは、PEGは約5 kDから約50 kDである。
本発明の方法の一態様として、特異的にヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質を含有するVEGFR-2特異的阻害剤が含まれ; ここで、該第1タンパク質は約4 kDから約40 kDの分子量であり、ヒトVEGF-A、VEGF-C、またはVEGF-Dに対して約30%未満のアミノ酸同一性を有し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。該VEGFR-2特異的阻害剤はさらに、本明細書に記載するPK調節部分(modulation moiety)を有することができる。該VEGFR-2特異的阻害剤は、該第1タンパク質に共有結合したPEG部分を含むPK調節部分を有し得る。そのような結合は、CysまたはLysアミノ酸に限定はされないが、とりわけ、VEGFR-2を結合するタンパク質としてフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)が好ましい。該VEGFR-2特異的阻害剤は、該第1タンパク質の半減期を増大させるヒトタンパク質を結合し、そして該第1タンパク質に作動可能に連結している第2タンパク質を含むPK調節部分を含み得る。そのようなヒトタンパク質はヒト血清アルブミンであってよい。該VEGFR-2特異的阻害剤は、適切には、ヒト血清アルブミンを結合する第2タンパク質を含むPK調節部分を含み得て、該第2タンパク質は該第1タンパク質に共有結合しており、該第1タンパク質はヒトVEGFR-2に対して約1 nM以下の解離定数を有する。該VEGFR-2特異的阻害剤は、ヒトVEGFR-2に対して約10 pM以下の解離定数を有する該第1タンパク質を含み得る。該VEGFR-2特異的阻害剤は、好ましくは、VEGFR-2活性化に依存するセルラインでの細胞ベースアッセイにおいて、アポトーシスを誘導する。該VEGFR-2特異的阻害剤は、該物質の組成が1つ以上のリガンド(例えばVEGF-A、VEGF-C、またはVEGF-D)のVEGFR-2への結合を阻止する性質を有するように設計され得る。該VEGFR-2特異的阻害剤は好ましくは、VEGF-A、VEGF-C、および/またはVEGF-DのVEGFR-2への結合を阻止し、該第1タンパク質に共有結合した少なくとも約10 kDのPEGをさらに含む。
PEGは、本発明の多くの態様で用いてもよく、異なるサイズを目的の治療または他のin vivo効果(例えばイメージング)のために本明細書に記載のとおり用いてもよい。体内、血液中、非血液性細胞外液中、または組織中での半減期を増大させるには、より大きなPEGが好ましい。in vivo細胞活性のためには、約10から60 kDの範囲のPEG、ならびに約100 kD未満のPEGが好ましく、約60 kD未満のPEGがより好ましいが、約100 kDより大きいサイズも同様に用いることができる。
好ましくは、本発明の方法に有用なタンパク質はフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)を含む。該第1もしくは第2タンパク質またはその両方がフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)であることができ、本明細書に記載の実施態様において用いることができる。該タンパク質には、単一特異的、二重特異的、三重特異的および他の多重特異的な形態の本発明が含まれ得る。これには、PEGを含む本発明の態様、およびPEGベースでないポリペプチドリンカーまたは他のリンカーを含む本発明の態様が含まれる。一般的に、アドネクチン(商標)はフィブロネクチンの誘導体であり、とりわけ10番目のドメインである。
約100 nMの結合親和性でヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質と、ヒトタンパク質を結合する第2タンパク質とに連結する第1PEGを含有する、PEGベースの物質の組成もまた本発明の方法において有用であり; ここで該PEGは約5 kDから約100 kDであり、該物質の組成は実質的にPEGフリーであり、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。好ましくは、PEGは、Cysを介して該第1タンパク質に連結し、Cysを介して該第2タンパク質に連結する。あるいは、Cysを介して該第1タンパク質に連結したPEG、およびLysを介して該第2タンパク質に連結したPEGを有することが望ましい場合もある。ヘテロ官能性PEGを用いて本明細書に記載のそのような実施態様および他の実施態様を製造することができる。該PEGベースの物質の組成は、約300 nM以下の結合親和性でヒト血清アルブミンを結合する第2タンパク質を含むことができる。該PEGベースの物質の組成は、約100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えば ヒトインスリン受容体、VEGFR-1およびVEGFR-3)を結合する該第1タンパク質を含んでよい。好ましくは、該第2タンパク質は、約1 nM以下の結合親和性で少なくとも1つのヒトチロシン受容体を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合する。
該PEGベースの物質の組成は、以下のタンパク質リガンドのヒトバージョンのうちの少なくとも1つを結合する本発明のタンパク質を含み得る: Ang1、Ang2、FGF(線維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、VEGF-A(血管内皮増殖因子-A)、VEGF-C、およびVEGF-D。そのような本発明のタンパク質を他の本発明のタンパク質とともに用いて、本発明の治療方法において使用できる単一特異的もしくは多重特異的タンパク質を創り出してもよい。好ましくは、そのようなタンパク質はPEGにより連結される。
該PEGベースの物質の組成は、好ましくは、該第1タンパク質がフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)であり、該第2タンパク質がフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)である、分子を含む。あるいは該PEGベースの組成物は、第1もしくは第2タンパク質またはその両方と、単鎖抗体部分を含み得る。
本発明の方法において有用なタンパク質ベースの物質の組成は、ヒトタンパク質を結合する第2タンパク質に作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質を含有し; ここで、該第1タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。好ましくは、該第1タンパク質および該第2タンパク質はあわせて1または0個のジスルフィド結合を有する。このことは細胞ベースの系におけるタンパク質産生の向上に望ましくあり得る。好ましくは、該第1タンパク質は実質的には、VEGFR-2に対する1価の結合を実質的に有する単一ドメインである。このことは細胞ベースの系におけるタンパク質産生の向上に望ましくあり得る。好ましくは、該第1タンパク質は約100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、該第1タンパク質のヒトVEGFR-2への結合に関与する少なくとも2つの構造的ループ(structural loop)を有する。好ましくは、該第2タンパク質は、少なくとも1つのペプチド結合によって該第1タンパク質に連結したフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)である。いくつかの実施態様において、該第1タンパク質および第2タンパク質は少なくとも1つのジスルフィド結合により連結される。これは細胞内において達成され得るけれども、細胞を用いないin vitroでこの連結を行うことが望ましい場合もある。該タンパク質ベースの物質の組成は、約300 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質を含んでよく、ヒトVEGFR-2への該第1タンパク質の結合に関与する少なくとも2つの構造的ループを有してよい。好ましくは、該第1タンパク質は約1 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合する。好ましくは、該タンパク質ベースの物質の組成は、該第1タンパク質または該第2タンパク質のいずれかに作動可能に連結したPEG部分をさらに含む。好ましくは、該第2タンパク質はヒト癌において上方制御されたヒトチロシンキナーゼ受容体を結合し、ここで該第2タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒトチロシンキナーゼ受容体を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体、例えばヒトインスリン受容体を結合する。
本発明の方法において有用なタンパク質治療薬は、ヒト治療標的を結合する第2タンパク質部分に作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質部分を含み; ここで該第1タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; さらに、該第2タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒト治療標的を結合し、1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。該タンパク質治療薬は該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分を含み得て、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分が全体として少なくとも6個のジスルフィド結合を有する。好ましくは、該第1タンパク質および該第2タンパク質は微生物由来の単一のポリペプチドである。好ましくは、該第1タンパク質は約100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、該第1タンパク質のヒトVEGFR-2への結合に関与する少なくとも2つの構造的ループを有する。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分の少なくとも1つが抗体部分である、実施態様が挙げられる。好ましくは、そのような抗体部分は約50 kD未満である。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分の少なくとも1つが単鎖抗体部分である実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第2タンパク質部分が以下のタンパク質のヒトバージョンのうちの1つを結合する実施態様が挙げられる: 受容体: EGFR、葉酸受容体、Her2、Her3、c-kit、c-Met、FGFRI、FGFR2、PDGFR、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、およびTie2; およびリガンド: Ang1、Ang2、FGF(線維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、幹細胞因子(SCF)、VEGF-A(血管内皮増殖因子-A)、VEGF-C、およびVEGF-D。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分の少なくとも1つがリポカリンの誘導体である実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質成分の少なくとも1つがテトラネクチンの誘導体である実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質成分および該第2タンパク質成分の少なくとも1つがアビマー(アビマー)の誘導体である実施態様が挙げられる。
本発明の方法において有用なタンパク質治療薬は、ヒト治療標的を結合する第2タンパク質部分に作動可能に連結したPEGに作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質部分を含有し; ここで、該第1タンパク質部分は約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; さらに、該第2タンパク質部分は約10 nM以下の結合親和性でヒト治療標的を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分があわせて少なくとも約8個のジスルフィド結合を有する実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質および該第2タンパク質が微生物由来の単一ポリペプチドである実施態様が挙げられる。
該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質が約100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、該第1タンパク質のヒトVEGFR-2への結合に関与する少なくとも2つの構造的ループを有する実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分のうちの少なくとも1つが約40 kD未満の抗体部分である実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分のうちの少なくとも1つが単鎖抗体部分である実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分および該第2タンパク質部分の少なくとも1つがリポカリン、テトラネクチン、アビマー、またはアンキリンの誘導体である実施態様が挙げられる。
本明細書において有用なタンパク質治療薬は、ヒト治療標的を結合する第2タンパク質部分に作動可能に連結したPEGに作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質部分を含有し; ここで、該第1タンパク質部分は、約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合し、ヒトVEGFR-2に対する結合は実質的に1価であり、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; さらに、該第2タンパク質部分は、約10 nM以下の結合親和性でヒト治療標的を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない。VEGFR-2への実質的に1価の結合は、本発明の該実施態様および他の実施態様において、VEGFR-2活性化の減衰に役立つ。場合によっては、VEGFR-2は、VEGFR-2への多価の結合(例えば結合活性)を有する全長抗体(full length antibodies)またはFabといったタンパク質により影響を受け得る。さらに、Fabおよび全長抗体は、活性化リガンドを模倣し得るより強固な構造を有する。これはまた、受容体二量体化を引き起こし得る。該タンパク質治療薬としては、該PEGが少なくとも約5 kD、少なくとも約10 kD、少なくとも約20 kD、少なくとも約40 kD、および少なくとも約50 kDである実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質が単一のCysまたはLysを介してPEGに作動可能に連結している実施態様が挙げられる。好ましくは、該実施態様および他の実施態様において、該第1タンパク質は単一のCysのみを有する。該タンパク質治療薬としては、該第2タンパク質が単一のCysまたはLysを介してPEGに作動可能に連結している実施態様が挙げられる。好ましくは、該実施態様および他の実施態様において、該第2タンパク質は単一のCysのみを有する。該タンパク質治療薬としては、該単一のCysまたはLysが該第1タンパク質において、該アミノ酸配列中の非野生型である部位に位置している実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該単一のCysまたはLysが該第2タンパク質において、該アミノ酸配列中の非野生型である部位に位置している実施態様が挙げられる。
本明細書において有用なタンパク質治療薬は、ヒト治療標的を結合する第2タンパク質部分に作動可能に連結した生体適合性ポリマーに作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質部分を含有し; ここで、該第1タンパク質部分は、約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; また、該第2タンパク質部分は約10 nM以下の結合親和性でヒト治療標的を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連受容体(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; さらに、該第1タンパク質部分および第2タンパク質部分は、非治療的影響を最小化し、そして2以上の治療標的への結合の治療的有用性を最大化するように最適化されている、それらの各々の標的に対する親和性を有する。
該タンパク質治療薬としては、生体適合性ポリマーリンカーがポリペプチドを含有する実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該生体適合性ポリマーがPEGである実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該PEGが少なくとも約30 kDである実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分がアポトーシスを誘導する実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質部分が細胞増殖を阻害し、VEGF結合を阻止し、細胞ベースアッセイにおいて基準以下の(sub)IC50濃度でヒトVEGFR-2を活性化しない、実施態様が挙げられる。該タンパク質治療薬は、該実施態様および他の実施態様において、IV、IPまたは皮下投与に対する医薬的に許容される製剤をさらに含有し得る。
該タンパク質治療薬は、少なくとも約20 kDまたは約30 kDであるPEGを含み得る。PEGは該第1タンパク質部分とともに、アポトーシスの誘導を促進し得る。この目的のためにはより大きなPEGが好ましい。VEGFR-2への単一特異的活性および多価(例えば二価)の結合を有するPEGの具体例が、VEGFR-2活性(例えばアポトーシスの制御、リン酸化または二量体化)を阻止するために、特に好ましい。好ましくは、該第1タンパク質部分は、細胞増殖を阻害し、VEGF-A、VEGF-C、または/およびVEGF-D結合を阻止し、細胞ベースアッセイにおいて基準以下のIC50濃度でヒトVEGFR-2を活性化しない。該タンパク質治療薬は、IV、IPまたは皮下投与に対する医薬的に許容される製剤をさらに含有し得る。好ましくは、該第1タンパク質部分は約1 nMまたは約10 pM未満のIC50での細胞ベースアッセイにおいて、アポトーシスを誘導する。好ましくは、第1タンパク質部分は、細胞増殖を阻害し、VEGF-A、VEGF-C、および/またはVEGF-D結合を阻止し、約1 nMまたは約100 pM未満のIC50での細胞ベースアッセイにおいて基準以下のIC50濃度でヒトVEGFR-2を活性化しない。
本明細書において有用なタンパク質としては、第1もしくは第2タンパク質またはポリペプチドリンカーが、血液中または標的組織中のプロテアーゼにより切断され得るプロテアーゼ部位を有する実施態様が挙げられる。そのような実施態様を用いて、そのようなタンパク質の別々の製造に比べて、よりよい送達特性もしくは治療特性またはより効率的な製造のために、2つ以上の治療用タンパク質を放出することができる。
本明細書において有用なタンパク質としては、2つ以上のタンパク質またはポリペプチドリンカーが生体適合性ポリマー(例えば多糖)を用いている実施態様が挙げられる。そのようなポリマー糖は血液または標的組織中の酵素により切断され得る酵素切断部位を含むことができる。そのような実施態様を用いて、そのようなタンパク質の別々の製造に比べて、よりよい運搬特性もしくは治療特性またはより効率的な製造のために、2つ以上の治療用タンパク質を放出することができる。
本発明の方法は、ヒトタンパク質に結合する第2タンパク質に作動可能に連結したPEGに作動可能に連結したヒトVEGFR-2を結合する第1タンパク質を含有する(ここで、該第1タンパク質は、約10 nM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、約1 μM以上の結合親和性でヒトVEGFR-1およびVEGFR-3を結合し、ヒトVEGFR-2のアンタゴニストであり、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がなく; さらに、該第2タンパク質は約10 nM以下の結合親和性でヒト治療標的を結合し、約1 μM以上の結合親和性で非関連標的(例えばヒトインスリン受容体)を結合し、in vivo投与に適切であるように実質的に微生物汚染がない)タンパク質治療薬を含む。
該タンパク質治療薬には、該第1タンパク質が細胞増殖を阻害し、少なくとも55℃のTmを有していて、そのアミノ酸配列の領域中に、ヒトVEGFR-2への結合を実質的に妨げない非野生型CysまたはLysを有する、実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬には、該第1タンパク質および該第2タンパク質が微生物由来の単一ポリペプチドである実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬には、該第1タンパク質が、約50 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、該第1タンパク質のヒトVEGFR-2への結合に関与する2つの構造的ループを有する実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬としては、該タンパク質治療薬が、IV投与を用いた場合に少なくとも1日のin vivo半減期を有する実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬としては、該タンパク質治療薬が、げっ歯類において投与後24時間にわたって、ヒトVEGFR-2に対する該第1タンパク質の結合親和性の少なくとも約10倍の濃度の曝露レベルを有する実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬としては、該タンパク質治療薬が、げっ歯類において、投与後24時間にわたって、ヒトVEGFR-2に対する該第1タンパク質の結合親和性の少なくとも100倍の濃度の曝露レベルを有する実施態様が含まれる。該タンパク質治療薬としては、該第1タンパク質が、100 pM以下の結合親和性でヒトVEGFR-2を結合し、該第1タンパク質のヒトVEGFR-2への結合に関与する少なくとも2つの構造的ループを有する実施態様が含まれる。好ましくは、該第1もしくは第2タンパク質またはその両方は、フィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)である。
加えて、腫瘍関連標的が本発明の方法において標的とされ得る。いくつかの実施態様において、抗原ターゲッティングは、該組織または目的の細胞タイプのいずれかにおける、組織分布または増大された局所濃度の影響の観点から、該治療薬の局在化に役立つであろう。あるいは、本明細書に記載の標的(そのための治療薬が作られている)のうちの1つに沿って癌に効果のある、さらなる作用メカニズムを提供し得る。そのような抗原または標的としては、限定はされないが、炭酸脱水酵素IX、A3、A33抗体に特異的な抗原、BrE3-抗原、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD79a、CD80、HLA-DR、NCA95、NCA90、HCGおよびそのサブユニット、CEA(CEACAM-5)、CEACAM-6、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、低酸素誘導因子(HIF)、KC4-抗原、KS-1-抗原、KS1-4、Le-Y、マクロファージ遊走阻止因子(macrophage inhibition factor)(MIF)、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4-抗原、PSA、PSMA、RS5、S100、TAG-72、p53、テネイシン、IL-6、IL-8、インスリン様増殖因子-I(insulin growth factor-I)(IGF-I)、インスリン様増殖因子-II(insulin growth factor-II)(IGF-II)、Tn抗原、トムソン・フリーデンライヒ(Thomson-Friedenreich)抗原、腫瘍壊死抗原、胎盤増殖因子(P1GF)、17-1A-抗原、血管新生マーカー(例えば、ED-Bフィブロネクチン)、オンコジーンマーカー、オンコジーン産物、ならびに他の腫瘍関連抗原が挙げられる。腫瘍関連抗原に関する最近の報告としては、Mizukami et al. (2005, Nature Med. 11:992-97); Hatfield et al. (2005, Curr. Cancer Drug Targets 5:229-48); Vallbohmer et al. (2005, J. Clin. Oncol. 23:3536-44); およびRen et al. (2005, Ann. Surg. 242:55-63)が挙げられ、各々、引用により本明細書に援用される。
他の実施態様において、抗血管新生薬は治療薬の一部を形成し得て、VEGFR-2特異的阻害剤に作動可能に連結し得る。有用な抗血管新生薬の例としては、アンジオスタチン、バキュロスタチン(baculostatin)、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体またはペプチド、抗胎盤増殖因子抗体もしくはペプチド、抗Flk-1抗体、抗Flt-1抗体もしくはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子、組織メタロプロテアーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP-10、Gro-β、トロンボスポンジン、2-メトキシエストラジオール、プロリフェリン-関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール(carboxiamidotriazole)、CM101、マリマスタット、ペントサンポリ硫酸、アンジオポエチン2、インターフェロン-α、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP-470、エンドスタチン、パクリタキセル、アクチン(accutin)、アンジオスタチン、シドホビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM-1470、血小板因子4またはミノサイクリンが挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の要素の1つ以上およびそれら要素の使用説明書を含有する、転移性癌の治療に有用なキットを提供する。好ましい実施態様において、本発明のキットは、本発明のタンパク質を単独でまたは第2の治療薬とともに含む。この好ましい実施態様についての説明書には、本発明のタンパク質を単独でまたは第2の治療薬とともに用いて癌細胞の増殖を阻害するための説明書、および/またはそれを用いて癌患者を治療する方法についての説明書が含まれる。
図1はMDA-MB-231同所性肺癌転移モデルにおけるComp-Iおよびベバシズマブの効果を示す。MDA-MB-231乳腺腫瘍細胞をマウスの乳腺脂肪パッドに移植し、生じた腫瘍を24日目に切除した。薬物治療を28日目に開始し、118日目にマウスを屠殺して、局所再増殖および肺転移を調べた。
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書で用いる「転移」は、循環系もしくはリンパ系または生来の体腔を介した、通常は腫瘍、癌または新生物の原発巣から体の遠隔部位への、悪性腫瘍細胞もしくは新生物の遊走または移動、およびそれに続く、1つもしくは多数の新しい部位における、1つもしくは多数のその二次性腫瘍またはコロニーの増殖として定義される。「転移」は、転移の結果として形成された二次性腫瘍またはコロニーを含み、微小転移を包含する。
本明細書で用いる用語「処置」、「処置すること」などは、望ましい薬理学的および/または生理学的効果を得ることを言う。該効果は、その障害もしくは症状を完全にまたは部分的に予防する観点において予防的であってよく、ならびに/あるいは、障害および/または該障害による有害な影響に対する部分的もしくは完全な治癒の観点において治療的であってよい。本明細書で用いる「処置」は、哺乳動物、とりわけヒトにおける、疾病の治療のいずれをも含み: (a) 生存期間の増大; (b) 該疾病による死亡リスクの減少; (c) 該疾病に罹りやすいがまだそれを有すると診断されていない対象において該疾患が発症するのを予防すること; (d) 該疾患を抑制すること、すなわち、その進行の抑止(例えば、疾病の進行速度の低下); および(e) 該疾病の軽減、すなわち、疾病の退行をもたらすこと、が含まれる。具体的には、該疾病/障害はその転移または進行である。
本明細書で用いる場合、障害または症状を「予防する」治療薬は、統計サンプルにおいて、未処置の対照サンプルと比べて、処置したサンプルにおける障害または症状の出現を減少させるか、あるいは未処置の対照サンプルと比べて、障害または症状の1つ以上の徴候の発症を遅延するかまたは重篤性を減少させる化合物である。転移を予防する薬剤は、転移の進行を完全に阻止し得るか、あるいは生じる転移の数を対照と比べて減少させ得る。
「ポリペプチド」は、長さ、翻訳後修飾、または機能にかかわらず、2以上のアミノ酸のいずれの配列をも意味する。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書において互換的に用いられる。ポリペプチドとしては、天然のアミノ酸および非天然のアミノ酸、例えば米国特許第6,559,126号に記載のもの(引用により本明細書に援用される)を挙げることができる。また、ポリペプチドを、様々な標準的な化学的方法のいずれかにおいて修飾することもできる(例えば、アミノ酸を保護基で修飾することができるか; 該カルボキシ-末端のアミノ酸を末端アミド基にすることができるか; 該アミノ-末端残基を基で修飾して、例えば親油性を高めることができるか;あるいは、該ポリペプチドを化学的にグリコシル化するかまたは他の修飾をして、安定性またはin vivo半減期を増大させることができる)。ポリペプチド修飾としては、該ポリペプチドへの別の構造(例えば環状化合物または他の分子)の結合を挙げることができ、また、変化した立体配位(すなわち、RまたはS; あるいは、LまたはD)中に1つ以上のアミノ酸を有するポリペプチドも挙げることができる。該用語「単一ドメインポリペプチド」は、対象ポリペプチドの標的結合活性(例えば、VEGFR-2結合活性)が、例えば抗原結合活性が通常H鎖可変ドメインおよびL鎖可変ドメインの両方によって寄与される抗体および単鎖抗体とは異なり、単一の構造ドメイン内に位置することを意味するように用いられる。本明細書に記載された種類のうちの複数の単一ドメインポリペプチドが結合して、結合活性が増大した複合分子を作り得ることが意図される。同様に、単一ドメインポリペプチドは、あらゆる他のポリペプチド、例えば蛍光ポリペプチド、ターゲッティングポリペプチドおよび明確な治療効果を有するポリペプチドに結合し得る(例えば、融合タンパク質として)。
免疫グロブリンスキャフォールドまたは免疫グロブリン様スキャフォールドのいずれかの単一ドメインポリペプチドは、ある特定の構造的特性を共有する傾向にあるだろう。例えば、該ポリペプチドは約80から約150アミノ酸を含有し得て、そのアミノ酸は一組のβまたはβ-様ストランドに構造的に構成されて、該βまたはβ-様ストランドが介在するループ部分によって結合されたβシートを形成し得る。該βシートは単一ドメインポリペプチドの安定なコアを形成し、一方で、該βまたはβ-様ストランドを結合するループから成る2つの「面」を生じる。本明細書に記載の通り、これらのループを変化させてカスタマイズされたリガンド結合部位を創出することができ、適当な制御によって、該タンパク質の全体的安定性を壊さずにそのような変化を生じさせることができる。抗体において、3つのこれらのループが周知の相補性決定領域(または「CDR」)である。
単一ドメインポリペプチドの形成のためのスキャフォールドは、生理的条件下において高い溶解性および安定性を示すべきである。免疫グロブリンスキャフォールドの例は、単一ドメインVHまたはVLスキャフォールド、ならびに単一ドメインのラクダ科動物VHHドメイン(ラクダ科動物において見いだされた可変H鎖ドメインの形態)または天然に見いだされたかもしくは実験室において操作された他の免疫グロブリン可変ドメインである。本明細書に記載の単一ドメイン型において、免疫グロブリンポリペプチドは、結合活性を達成するために第2のポリペプチドと二量体を形成する必要はない。従って、第2タンパク質へのジスルフィド架橋結合を媒介するシステインを天然に含有するいずれのそのようなポリペプチドを、該システインを除去するように変化させることができる。あるいは、該システインは、さらなる部分(例えばPEG)を該単一ドメインポリペプチドに結合させるのに用いるために保持され得る。
他のスキャフォールドは非抗体スキャフォールドタンパク質であり得る。「非抗体スキャフォールドタンパク質またはドメイン」は、免疫グロブリン-様フォールドを有する非抗体ポリペプチドを意味する。「免疫グロブリン-様フォールド」は2層の逆平行βシートを含む約80-150アミノ酸残基のタンパク質ドメインを意味し、その中の該2つのβシートのフラットで疎水性の面は互いにパックされている。そのようなスキャフォールドの例が「フィブロネクチン-ベースのスキャフォールドタンパク質」であり、それはフィブロネクチンタイプIIIドメイン(Fn3)に基づくポリペプチドを意味する。フィブロネクチンは、細胞外マトリックスの形成および細胞間相互作用において重要な役割を果たす大きなタンパク質であり; それは3つのタイプ(タイプI、II、およびIII)の小さなドメインの多くの繰り返しから成る(Baron et al. Philos. Trans. R. Soc. Lond. B. Biol. Sci. 1991 May 29;332(1263):165-70)。Fn3それ自体は、細胞接着分子、細胞表面のホルモン受容体およびサイトカイン受容体、シャペロニング、ならびに炭水化物結合ドメインの一部分を含む、大きなサブファミリーのパラダイムである。参考として、Bork and Doolittle, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1992 Oct 1;89(19):8990-4; Bork et al. J. Mol. Biol. 1994 Sep 30;242(4):309-20; Campbell and Spitzfaden, Structure. 1994 May 15;2(5):333-7; Harpez and Chothia, J. Mol. Biol. 1994 May 13;238(4):528-39)を参照。
好ましくは、該フィブロネクチン-ベースのスキャフォールドタンパク質は「10FN3」スキャフォールドであり、それはヒトフィブロネクチンタイプIIIタンパク質の10番目のモジュールに基づくポリペプチド変異体を意味し、その1つ以上の溶媒露出ループ、とりわけ、BCループ(アミノ酸23-30)、DEループ(アミノ酸52-56)およびFGループ(アミノ酸77-87)として同定された該3つのループ(該番号付け方法は10番目のヒトフィブロネクチンのタイプIIIドメインにおける配列に基づいており、アミノ酸Val-Ser-Asp-Val-Pro(配列番号:62)はアミノ酸番号1−5を表す) の1つ以上がランダム化または変異されている。ヒトフィブロネクチンタイプIIIドメインの野生型10番目のモジュールのアミノ酸配列は:
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWDAPAVTVRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGSKSTATISGLKPGVDYTITGYAVTGRGDSPASSKPISINYRT (配列番号:1)である。従って、該野生型BCループはDAPAVTVR(配列番号:63)の配列を含有し; 該野生型DEループはGSKST(配列番号:64)の配列を含有し; 該野生型FGループはGRGDSPASSKP(配列番号:65)の配列を含有する。該BC、DE、およびFGループに隣接する配列はまたフレームワーク1、2、3、および4と称される。好ましくは、該フィブロネクチンベースのスキャフォールドは配列番号:1に基づいている。
様々な改良変異体10Fn3スキャフォールドが同定されている。修飾されたAsp7は非-負荷電アミノ酸残基(例えば、Asn、Lysなど)で置換されている。これらの変異は両者とも、該変異体10Fn3の中性pHでの安定性を、野生型と比べて大きく促進する作用を有する。10Fn3スキャフォールドにおける同等または有益な様々なさらなる変化が開示されている。例えば、Batori et al. Protein Eng. 2002 Dec;15(12):1015-20; Koide et al. Biochemistry 2001 Aug 28;40(34):10326-33参照。
変異型および野生型の10Fn3タンパク質の両者は、同一の構造、すなわち7つのβ-ストランドドメイン配列(AからGと命名)および7つのストランドドメイン配列を結合する6つのループ領域(ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、EFループ、およびFGループ)により特徴づけられる。N-およびC-末端の最も近くに位置するβストランドは溶液中においてβ-様構造をとり得る。配列番号:1において、該ABループは残基15-16に相当し、該BCループは残基22-30に相当し、該CDループは残基39-45に相当し、該DEループは残基51-55に相当し、該EFループは残基60-66に相当し、そして該FGループは残基76-87に相当する。該BCループ、DEループ、およびFGループは、該ポリペプチドの同じ末端に全て存在する。同様に、免疫グロブリンスキャフォールドは、少なくとも7つのβまたはβ-様ストランド、しばしば9つのβまたはβ-様ストランド有する傾向がある。アドネクチン(商標)は、他のFn3型フィブロネクチンドメインを(それらが10Fn3型ドメインの有用な活性および特性を示す限り)含むことができる。
本明細書に記載の単一ドメインポリペプチドは、少なくとも2つのβシート間に分布した少なくとも5から7つのβまたはβ-様ストランド、および2つのβまたはβ-様ストランドを結合する少なくとも1つのループ部分(該ループ部分は、1 x 10-6 M未満、好ましくは1 x 10-8 M未満の解離定数により特徴づけられる、VEGFR-2への結合に関与する)を有し得る。本明細書に記載の通り、VEGFシグナル伝達を阻害するためにin vivoにおいて治療的に使用するには、5 x 10-9 M未満の解離定数を有するポリペプチドが特に望ましい。ex vivoまたはin vivoでのVEGFR-2タンパク質の検出または標識の用途に対しては、1 x 10-6 Mから5 x 10-9 Mの解離定数を有するポリペプチドが望ましい場合がある。
場合によって、「VEGFR-2結合タンパク質」は同一種からの他の関連タンパク質と比べて、VEGFR-2に特異的に結合するであろう。「特異的な結合」は、サンプル(例えば、生物サンプル)中において、標的タンパク質(例えば、VEGFR-2)を認識してそれと相互作用するが、他の分子を実質的に認識してそれと相互作用することがないポリペプチドを意味する。好ましい実施態様において、本発明のポリペプチドは、少なくとも500 nMの強さのKdでVEGFR-2を特異的に結合するであろう。該ポリペプチドは、好ましくは、1 pMから500 nM、より好ましくは1 pMから100 nM、さらに好ましくは1 pMから10 nM、および最も好ましくは1 pMから1 nMまたはそれ以下のKdでVEGFR-2を特異的に結合するであろう。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の「エフェクター機能」を少なくとも1つ有する。「エフェクター機能」の例には、C1q結合; 補体依存性細胞傷害(CDC); Fc受容体結合; 抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC); 食作用; 細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体; BCR)の下方制御などが挙げられる。一般的に、そのようなエフェクター機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合されることを必要とし、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当分野で公知の様々なアッセイを用いて評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見いだされたFc領域のアミノ酸配列に対して同一のアミノ酸配列を含有する。
「変異Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によってネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なったアミノ酸配列を含有する。好ましくは、該変異Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域中に、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドFc領域と比べて、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、約1から約10のアミノ酸置換、および好ましくは約1から約5のアミノ酸置換を有する。本明細書における変異Fc領域は、好ましくはネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドFc領域と少なくとも約80%の配列同一性を有し、最も好ましくはそれらと少なくとも約90%の配列同一性、さらに好ましくはそれらと少なくとも約95%の配列同一性を有するであろう。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」および「ADCC」とは、Fc受容体(FcR)を発現させる非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて該標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介反応を言う。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現させ、一方、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現させる。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991)の464ページの表3に要約されている。in vitro ADCCアッセイ(例えば米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載のもの)を行って、目的の分子のADCC活性を評価してもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。別法として、またはこれに加えて、目的の分子のADCC活性を、in vivo、例えば、動物モデル(例えばClynes et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に記載のもの)において評価してもよい。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現させ、エフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、該細胞は少なくともFcγRIIIを発現させ、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられ; PBMCおよびNK細胞が好ましい。該エフェクター細胞は、それらの天然資源(native source)、例えば血液またはPBMCから、本明細書に記載の通り単離してもよい。
用語「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を意味する。好ましいFcRはネイティブ配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRはIgG抗体(γ受容体)を結合するものであり、それにはFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子多型および選択的スプライス型(alternatively spliced form)が含まれる)が挙げられる。FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体(activating receptor)」)およびFcγRIIB(「抑制性受容体(inhibiting receptor)」)が挙げられ、それらはその細胞質ドメインにおいて主に異なる類似したアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有する。抑制性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)に概説)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991); Capel et al. Immunomethods 4:25-34 (1994); および、de Haas et al. J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)に概説されている。他のFcR(将来的に同定されるものを含む)は、本明細書の「FcR」に包含される。該用語はまた、母親のIgGの胎児への運搬に関与する新生児の受容体、FcRn、も含む(Guyer et al. J. Immunol. 117:587 (1976); およびKim et al. J. Immunol. 24:249 (1994))。
本明細書における「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大パーセントの配列同一性を成すように、配列をアライメントして必要であればギャップを導入した後、いずれの保存的置換(conservative substitution)も配列同一性の一部として考慮に入れないで、選択した配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当分野の技術内の様々な方法、例えば、公的に利用可能なコンピューターソフトウェア(例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2またはMegalign (DNASTAR)ソフトウェア)を用いて達成することができる。当業者は、アライメントを測定するための適当なパラメーター(比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要ないずれのアルゴリズムをも含む)を決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のためには、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を用いて以下の記載のように得る。該ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムはGenentech, Inc.による著作であり、アメリカ合衆国著作権局(Washington D.C., 20559)に登録申請され、アメリカ合衆国著作権登録番号第TXU510087号のもとに登録されており、Genentech, Inc.(South San Francisco, Calif)を介して公的に利用することができる。該ALIGN-2プログラムは、使用するために、UNIX オペレーティングシステム、好ましくはDigital UNIX V4.0Dにおいてコンパイルするべきである。全ての配列比較パラメーターはALIGN-2プログラムによって設定されており、変化させない。
本明細書の目的のため、所定のアミノ酸配列Bに対する所定のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所定のアミノ酸配列Bに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有する所定のアミノ酸配列Aとして表現することができる)は以下のように計算される: 比X/Y(ここでXは、プログラムのアライメントAおよびBにおいて、配列アライメントプログラムALIGN-2により完全な一致として記録されたアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の総数である)を100倍する。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%はAに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解されよう。
「ポリペプチド鎖」は、そのドメインの各々が、非共有結合性相互作用またはジスルフィド結合ではなくペプチド結合により、他のドメインに結合しているポリペプチドである。
「単離された」ポリペプチドは、その天然の環境(natural environment)の構成成分から、同定ならびに分離および/または回収されたものである。その天然の環境のコンタミ成分は、ポリペプチドの診断または治療用途を妨げうる物質であり、それには、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。好ましい実施態様において、該ポリペプチドは、(1) ローリー法による測定で95重量%以上、最も好ましくは99重量%以上のポリペプチドまで、(2) 回転カップ(spinning cup)シークエネーターを用いて、少なくとも15残基のN-末端または内部(internal)アミノ酸配列を十分得られる程度まで、あるいは(3) クマシーブルーか好ましくは銀染色を用いて、還元または非還元条件下でのSDS-PAGEによって均質になるまで、精製され得る。ポリペプチドの天然の環境のうち少なくとも1つの構成成分が存在しないであろうという理由から、単離されたポリペプチドはリコンビナント細胞内でそのままの該ポリペプチドを含む。しかしながら通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程を経て調製されるであろう。
標的は、該標的のフラグメントであってもよい。従って標的は、免疫反応を誘発することができる該標的のフラグメントでもある。標的はまた、全長標的に対して産生された単一ドメイン抗体を結合することができる該標的のフラグメントでもある。
本明細書で用いるフラグメントとは、100%未満の配列(例えば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%など)だが、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25またはそれ以上のアミノ酸を含有する配列を言う。フラグメントは、目的の相互作用が1 x 10-6 Mまたはそれ以上の親和性で維持される十分な長さである。
本明細書で用いるフラグメントとは、野生型標的に対して産生された単一ドメイン抗体に結合する標的の能力を実質的には変化させない、1つ以上のアミノ酸の選択的挿入、欠失および置換も言う。アミノ酸挿入、欠失または置換の数は、好ましくは、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69または70アミノ酸である。
「細胞死を誘導する」本発明のタンパク質は、生存細胞を生存不能にするものである。一般的に、該細胞は該タンパク質が結合する抗原を発現させるもの、とりわけ該抗原を過発現させる細胞である。好ましくは、該細胞は癌細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、大腸、甲状腺、膵臓または膀胱の細胞である。in vitroにおいて、該細胞は、SKBR3、BT474、Calu 3、MDA-MB453、MDA-MB-361またはSKOV3細胞であり得る。in vitroにおける細胞死は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)により誘導される細胞死を識別するために、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下で判定され得る。従って、細胞死に対するアッセイは熱不活性化血清(すなわち、補体の非存在下)を用いて、および免疫エフェクター細胞の非存在下において実施され得る。本発明のタンパク質が、細胞死を誘導できるかどうかの決定は、ヨウ化ピロリジウム(PI)、トリパンブルー(Moore et al. Cytotechnology 17:1-11 (1995)参照)または7AADの取り込みによる評価での膜完全性の喪失を、未処理細胞と比較して評価することができる。
「アポトーシスを誘導する」本発明のタンパク質は、アポトーシス関連分子の結合またはアポトーシス関連イベント(例えば、アネキシンV、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞断片化(cell fragmentation)、および/または膜小胞(アポトーシス小体と呼ぶ)の形成)により決定されるプログラム細胞死を誘導するものである。該細胞は該タンパク質が結合する抗原を発現させるものであり、該抗原を過発現させるものであってもよい。該細胞は、腫瘍細胞、例えば、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、唾液腺、肺、腎臓、大腸、甲状腺、膵臓、または膀胱の細胞であり得る。In vitroにおいて、該細胞は、SKBR3、BT474、Calu 3細胞、MDA-MB453、MDA-MB-361またはSKOV3細胞であってよい。様々な方法を、アポトーシスに関連する細胞イベントを評価するのに用いることができる。例えば、ホスファチジルセリン(PS)転座はアネキシン結合により測定することができ; DNA断片化は、本明細書の実施例に記載のDNAラダー検出(laddering)を介して評価することができ; DNA断片化に伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞におけるいずれの増加によっても評価することができる。好ましくはアポトーシスを誘導するタンパク質は、本発明のタンパク質が結合する抗原を発現させる細胞を用いたアネキシン結合アッセイにおいて、未処理細胞に比べて約2から50倍、好ましくは約5から50倍、および最も好ましくは約10から50倍のアネキシン結合をもたらすものである。
用語「治療上有効な量」とは、哺乳動物において疾病または障害の治療に有効な薬剤の量を言う。癌の場合、治療上有効な量の薬剤は、癌細胞の数を減らし; 腫瘍のサイズを縮小し; 末梢器官への癌細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の遅延化および好ましくは停止)し; 腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の遅延化および好ましくは停止)し; 腫瘍の増殖をある程度阻害し; および/または該障害に関連した症候の1つ以上をある程度軽減し得る。該薬剤が存在する癌細胞の増殖を阻止し得る、および/または死滅させ得る範囲内で、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。癌治療において、in vivoにける有効性は、例えば、無増悪期間(time to disease progression)(TTP)の評価および/または奏効率(RR)の決定により評価することができる。
用語「PK」は「薬物動態(pharmokinetic)」の頭文字であり、化合物の特性(例として、対象による吸収、分布、代謝、および排出を含む)を包含する。「PK調節タンパク質」とは、生物活性分子と結合されるか、または共に投与される場合に、生物活性分子の薬物動態学的特性に影響を及ぼすいずれのタンパク質またはペプチドをも指す。PK調節タンパク質の例としては、PEG、ならびに米国特許出願第11/106,415号および第11/331,415号に開示のヒト血清アルブミン(HSA)結合剤が挙げられる。
(概説)
本発明は、転移の治療、予防、または重症度の低減のための新規の方法を提供する。 一つに、本発明は、VEGFR2の選択的阻害が癌モデルにおける転移の発生率(prevalence)を低下させるという驚くべき発見をもたらす。
本明細書に記載の方法をうまく用いて、転移性癌の治療に有用であり得る本発明のタンパク質が開発されており、それには、限定はされないが、少なくとも2つの関連するタンパク質構造の群(免疫グロブリンフォールドを有するタンパク質および免疫グロブリン-様フォールドを有するタンパク質)由来の単一ドメインVEGFR-2結合ポリペプチドが含まれる。
転移の治療
一態様において、本発明は、VEGFR-2特異的阻害剤の投与を含む、転移性癌を患っている患者の治療方法を提供する。該阻害剤の投与により、生存期間、無増悪生存期間、奏効率または奏効期間による測定で統計的に有意および臨床的に有意義な、治療した患者の好転がもたらされる。いくつかの実施態様において、該患者は転移性乳癌、転移性結腸直腸癌、または転移性肺癌を患っている。
いくつかの実施態様において、治療を受ける患者は転移性癌の進行の危険性がある。例えば、癌患者は、癌のタイプに依存して転移の高い危険性を示し得る。該阻害剤の投与は、転移の進行の危険性を低下させるか、転移の数を減少させるか、または転移の大きさを縮小させる。
本発明により治療可能な(amendable for treatment)癌としては、限定はされないが、カルシノーマ、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病もしくはリンパ系腫瘍が挙げられる。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌および様々なタイプの頭頸部癌、ならびにB-細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL); 小リンパ球性(SL)NHL; 中悪性度/濾胞性NHL; 中悪性度びまん性NHL; 高悪性度免疫芽球性NHL; 高悪性度リンパ芽球性NHL; 高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL; 巨大腫瘤病変(bulky disease)NHL; マントル細胞リンパ腫; AIDS-関連リンパ腫; およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む); 慢性リンパ性白血病(CLL); 急性リンパ性白血病(ALL); ヘアリーセル白血病; 慢性骨髄芽球性白血病; および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに、母斑症に関連した異常血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連したもの)、およびメイグス症候群が挙げられる。好ましくは、該癌は、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非症細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド腫瘍(carcinoid carcinoma)、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、中皮腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される。本発明の方法は、血管新生した腫瘍の治療に特に適している。
いくつかの実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤の投与は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%、または100%程度、転移を阻害する。いくつかの実施態様において、リンパ節への転移の阻害方法を提供する。いくつかの実施態様において、肺への転移の阻害方法を提供する。
併用化学療法
他の治療的処置において、VEGFR-2阻害剤は、1つ以上のさらなる治療薬と共に投与されるかまたは連続して投与される。適切な治療薬としては、限定はされないが、標的治療薬、他の標的生物製剤、および細胞傷害性薬物または細胞分裂阻害剤が挙げられる。場合によっては、同一もしくは別個の、治療上許容される、液剤を入れるバイアル、シリンジまたは他の投与デバイスから薬剤を投与するのが好ましいであろう。
癌治療薬は、癌細胞を死滅させるかまたは癌細胞の増殖を制限する一方で、患者への影響が最小のものであることを意図する。従って、そのような薬剤は、癌細胞の特性(例えば、代謝、血管新生または細胞表面抗原提示)の中の正常な宿主細胞とのいずれの差違をも利用し得る。腫瘍の形態における差違は、治療介入が可能な部分であり: 例えば、第2の治療薬は抗体(例えば、固形腫瘍の内部の血管新生を遅らせることによって、増殖速度を遅延させることに有用である抗VEGF抗体)であり得る。他の治療薬としては、限定はされないが、補助剤(例えばグラニセトロンHCl)、アンドロゲン阻害剤(例えばロイプロリド酢酸塩)、抗生物質(例えばドキソルビシン)、抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン)、代謝拮抗剤(例えばインターフェロンα-2a)、細胞傷害性薬物(例えばタキソール)、酵素阻害剤(例えばrasファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)、免疫調節剤(例えばアルデスロイキン)、およびナイトロジェンマスタード誘導体(例えばメルファランHCl)などが挙げられる。
いくつかの実施態様において、本発明は、有効な量のVEGFR-2特異的阻害剤および抗悪性腫瘍剤組成物を患者に投与することを含む、転移性癌を有するかまたはその発生の危険性のあるヒト患者の生存期間の増大方法であって、該抗悪性腫瘍剤組成物は少なくとも1つの化学療法薬を含有し、VEGFR-2特異的阻害剤および該抗悪性腫瘍剤組成物の共投与により生存期間を効果的に増大させる方法を提供する。
いくつかの実施態様において、本発明は、有効な量のVEGFR-2特異的阻害剤および抗悪性腫瘍剤組成物を患者に投与することを含む、転移性癌を有するかまたはその発生の危険性のあるヒト患者の無増悪生存期間の増大方法であって、該抗悪性腫瘍剤組成物は少なくとも1つの化学療法薬を含有し、VEGFR-2特異的阻害剤および該抗悪性腫瘍剤組成物の共投与により無増悪生存期間を効果的に増大させる方法を提供する。
さらに、本発明は、有効な量のVEGFR-2特異的阻害剤および抗悪性腫瘍剤組成物を患者に投与することを含む、転移性癌を有するかまたはその発生の危険性のあるヒト患者の群を治療する方法であって、該抗悪性腫瘍剤組成物は少なくとも1つの化学療法薬を含有し、VEGFR-2特異的阻害剤および該抗悪性腫瘍剤組成物の共投与により該群の患者における奏効率を効果的に増大させる方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、有効な量のVEGFR-2特異的阻害剤および抗悪性腫瘍剤組成物を患者に投与することを含む、転移性癌を有するかまたはその発生の危険性のあるヒト患者の奏効期間の増大方法であって、該抗悪性腫瘍剤組成物は少なくとも1つの化学療法薬を含有し、VEGFR-2特異的阻害剤および該抗悪性腫瘍剤組成物の共投与により奏効期間を効果的に増大させる方法を提供する。
本明細書において有用な化学療法薬としては、アルキル化剤、例えばチオテパおよび シトキサン(商標)シクロホスファミド(cyclosphosphamide); スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン; アジリジン、例えば ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa); エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine)、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine); アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン); カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む); ブリオスタチン; カリスタチン; CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン(bizelesin)合成アナログを含む); クリプトフィシン(とりわけ、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8); ドラスタチン; デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCB1-TM1を含む); エリュテロビン; パンクラチスタチン; サルコジクチン; スポンギスタチン; ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロマファジン(chlomaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード; ニトロソウレア(nitrosurea)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine); 抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、とりわけカリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1(例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl. 33:183-186 (1994)を参照); ジネミシン、例えばジネミシンA; ビスホスホネート、例えばクロドロネート; エスペラミシン; ならびにネオカルジノスタチンクロモホアおよび関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモホア)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin); カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(商標)ドキソルビシン(モルホリノ(inorpholino)-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリン-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えばマイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ドキソルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン; 代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU); 葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテノプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート; プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン; ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン; アンドロゲン、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン; 抗副腎薬(anti-adrenal)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン; 葉酸補充薬(folic acid replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid); アセグラトン; アルドホスファミドグリコシド; アミノレブリン酸; エニルウラシル; アムサクリン; ベストラブシル; ビサントレン; エダトレキサート; デフォファミン(defofamine); デメコルチン; ジアジクオン; エルホルミチン(elformithine); エリプチニウムアセテート; エポチロン; エトグルシド; 硝酸ガリウム; ヒドロキシウレア; レンチナン; ロニダイニン(lonidainine); マイタンシノイド、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン; ミトグアゾン; ミトキサントロン; モピダンモール(mopidanmol); ニトラエリン(nitraerine); ペントスタチン; フェナメット; ピラルビシン; ロソキサントロン; ポドフィリン酸(podophyllinic acid); 2-エチルヒドラジド; プロカルバジン; PSKTM多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.); ラゾキサン; リゾキシン; シゾフラン(sizofuran); スピロゲルマニウム; テヌアゾン酸; トリアジコン; 2,2',2”-トリクロロトリエチルアミン; トリコテシン(とりわけ、T-2トキシン、ベルカリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン); ウレタン; ビンデシン; ダカルバジン; マンノムスチン; ミトブロニトール; ミトラクトール; ピポブロマン; ガシトシン(gacytosine); アラビノシド(「Ara-C」); シクロホスファミド; チオテパ; タキソイド、例えば、タキソール(商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、アブラキサン(商標)クレモホア-フリー(Cremophor-free)、アルブミン-人工ナノ粒子形態のパクリタキセル(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Ill.)、および タキソテール(商標)ドセタキセル(doxetaxel)(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France); クロラムブシル(chloranbucil); ジェムザール(商標)ゲムシタビン; 6-チオグアニン; メルカプトプリン; メトトレキサート; 白金配位化合物、例えばシスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン; ビンブラスチン; 白金; エトポシド(VP-16); イホスファミド; ミトキサントロン; ビンクリスチン; ナベルビン(商標)ビノレルビン; ノバントロン; テニポシド; エダトレキサート; ダウノマイシン; アミノプテリン; ゼローダ; インバドロネート; イリノテカン(例えば、CPT-11); トポイソメラーゼ阻害剤 RFS 2000; ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO); レチノイド、例えばレチノイン酸; カペシタビン; ならびに、上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
さらなる薬剤としては、アバレリックス、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アンチド、アスパラギナーゼ、AZD2171 (レセンチン(Recentin)(商標))、カルメット・ゲラン菌(Bacillus Calmette-Guerin/BCG)(TheraCys(商標)、TICE(商標))、ベバシズマブ(米国特許第6,054,297号参照; ベバシズマブ(商標))、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ(ベルケイド(商標))、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン(campothecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ(アービタックス(商標))、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ((米国特許第6,596,746号参照; スプリセル(商標))、ダウノルビシン、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、デキサメタゾン、ドセタキセル(タキソテール(商標))、ドキソルビシン、Abx-EGF、エポチロン、エピルビシン、エルロチニブ(タルセバ(商標))、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、5-フルオロウラシル、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルベストラント、ゲフィチニブ(イレッサ(商標))、ゲムシタビン(米国特許第4,808,614号参照; ジェムザール(商標))、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブメシレート(米国特許第5,521,184号参照; グリベック(Gleevac)(商標))、インターフェロン、イリノテカン、イブリツモマブ(ゼヴァリン(商標))、イロノテカン(ironotecan)、イクサベピロン(BMS-247550)、ラパチニブ(米国特許第6,391,874号参照; タイケルブ(商標))、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、モテサニブ二リン酸(motesanib diphosphate)(AMG 706)ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル(タキソール(商標))、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラパマイシン、リツキシマブ(リツキサン(商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(商標)/Bayer BAY43-9006)、ストレプトゾシン、スラミン、スニチニブマレート(米国特許第6,573,293号参照; スーテント(商標))、タモキシフェン、テムシロリムス(米国特許第5,362,718号参照; CCl-779)、テモゾロミド(米国特許第5,260,291号参照; テモダール(商標))、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ(ベキサール(商標))、トラスツズマブ(米国特許第5,821,337号; ハーセプチン(商標))、トレチノイン、VEGFトラップ(アフリベルセプト;米国特許第5,844,099号に記載の製剤)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、ゾレドロネートが挙げられる。
いくつかの実施態様において、該抗悪性腫瘍剤組成物はフルオロウラシルベースの組み合わせレジメンである。該組み合わせレジメンは、例えば、5-FU+ロイコボリン、5-FU+ロイコボリン+イリノテカン(IFL)、または5-FU+ロイコボリン(leucorvin)+オキサリプラチン(FOLFOX)を含み得る。
また、化学療法薬のこの定義には、腫瘍におけるホルモンの作用を制御または阻害する働きをもつ抗ホルモン剤(例えばタモキシフェン(ノルバデックス(商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびフェアストン トレミフェンを含む、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)など); 副腎でのエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、メゲース(MEGASE)(商標)、メゲストロールアセテート、アロマシン(商標)エキセメスタン、ホルメスタイン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(商標)ボロゾール、フェマーラ(商標)レトロゾール、およびアリミデックス(商標)アナストロゾールなど; および、抗-アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン; ならびに、トロキサシタビン(1,3-ジオキソラン ヌクレオシドシトシンアナログ); アンチセンスオリゴヌクレオチド、とりわけ、接着性(abherant)細胞増殖に関わるシグナル経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-α、RalfおよびH-Rasなど; リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(商標)リボザイム)およびHER2発現阻害剤; ワクチン、例えば遺伝子治療ワクチン(例えばアロベクチン(商標)ワクチン、ロイベクチン(LEUVECTIN)(商標)ワクチン、およびVAXID(商標)ワクチン); プロロイキン(PROLEUKIN)(商標)rIL-2; ルートテカン(LURTOTECAN)(商標)トポイソメラーゼ1阻害剤; アバレリックス(商標)rmRH; ならびに、上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸、または誘導体も含まれる。
本明細書で用いられる場合、「増殖阻害薬」とは、in vitroおよび/またはin vivoにおいて細胞の増殖を阻害する化合物または組成物を言う。従って、該増殖阻害薬は、S期の細胞の割合を著しく減少させるものであり得る。増殖阻害薬の例としては、細胞周期の進行を(S期以外で)阻害する薬剤、例えば、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤が挙げられる。典型的M期遮断薬(Classical M-phase blocker)としては、ビンカ(vinca)(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキソール(商標)、およびトポイソメラーゼII(topo II)阻害剤(例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシン)が挙げられる。G1を停止する薬剤はまた、S-期停止、例えば、DNA アルキル化剤(例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、およびara-C)にも及ぶ。さらなる情報を、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn and Israel, eds., Chapter 1, entitled “Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs” by Murakami et al. (WB Saunders: Philadelphia, 1995), とりわけ p.13に見いだすことができる。
用語「サイトカイン」は、別の細胞上で細胞間メディエーターとして作用する一細胞集団によって放出されるタンパク質の総称である。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンである。該サイトカインに含まれるものは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニル ヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン; 副甲状腺ホルモン; チロキシン; インスリン; プロインスリン; レラキシン; プロリラキシン; 糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体ホルモン (LH); 上皮増殖因子; 肝細胞増殖因子(hepatic growth factor); 線維芽細胞増殖因子; プロラクチン; 胎盤性ラクトゲン; 腫瘍壊死因子-αおよび-β; ミュラー管抑制因子; マウスゴナドトロピン-関連ペプチド; インヒビン; アクチビン; 血管内皮増殖因子; インテグリン; トロンボポエチン(TPO); 神経成長因子、例えばNGF-α; 血小板増殖因子(platelet-growth factor); トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGF-αおよびTGF-β; インスリン様成長因子-Iおよび-II; エリスロポエチン(EPO); 骨誘導因子(osteoinductive factor); インターフェロン(例えばインターフェロン-α、-βおよび-γ)、コロニー刺激因子(CSF)(例えばマクロファージ-CSF(M-CSF)); 顆粒球マクロファージ-CSF(GM-CSF); および顆粒球-CSF(G-CSF); インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12; 腫瘍壊死因子、例えばTNF-αまたはTNF-β; ならびに他のポリペプチド因子(LIFおよびkitリガンド(KL)を含む)である。本明細書で用いられるとおり、用語サイトカインは、天然の供給源またはリコンビナント細胞培養からのタンパク質、およびネイティブ配列のサイトカインの生物活性等価物(biologically active equivalent)を含む。
本明細書で用いる用語「プロドラッグ」とは、親薬剤に比べて腫瘍細胞に対する細胞傷害性が少なく、酵素的に活性化されるかまたはより活性な親形態に変換され得る、医薬的に活性な物質の前駆体または誘導体の形態を言う。例えば、Wilman, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)および、Stella et al. “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt et al. (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照。本発明のプロドラッグとしては、限定はされないが、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、適宜置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは適宜置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロウリジンプロドラッグが挙げられ、それらはより活性な細胞傷害性フリーの薬剤に変換することができる。本発明で用いるためのプロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞傷害性薬物の例としては、限定はされないが、上記の化学療法薬が挙げられる。
1つ以上のさらなる治療薬を、該VEGFR-2特異的阻害剤の前、同時、または後で投与することができる。各治療薬について特定の投与順序が有利となり得ることが当業者には理解されよう。同様に、各治療薬について、該薬剤と該VEGFR-2特異的阻害剤が投与される間の時間の長さが変化されうることが当業者には理解されよう。
放射線治療および外科手術との併用療法
別の態様において、本発明は、VEGFR-2特異的阻害剤の投与を含む第1の療法、および放射線照射および/または外科手術を含む第2の療法を含有する、転移性癌を有するかまたはその発生の危険性のある患者の治療方法を提供する。
VEGFR-2特異的阻害剤の投与は、放射線照射および/または外科手術の前か、放射線照射および/または外科手術の後か、あるいは放射線照射および/または外科手術と同時でもよい。例えば、VEGFR-2特異的阻害剤の投与は、分〜週の範囲の間隔で、放射線照射および/または外科手術療法の前または後にされてもよい。いくつかの実施態様において、第1と第2の療法の間の期間は、VEGFR-2特異的阻害剤および放射線/外科手術が有利に組み合わされた効果を該細胞にさらに与えることができるような期間である。例えば、該VEGFR-2特異的阻害剤を、放射線照射および/または外科手術の、約1、3、6、9、12、18、24、48、60、72、84、96、108、120時間のいずれか未満前に投与してもよい。いくつかの実施態様において、該VEGFR-2特異的阻害剤を、放射線照射および/または外科手術の約9時間未満前に投与してもよい。いくつかの実施態様においては、ナノ粒子組成物は、放射線照射/外科手術の、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日のいずれか未満前に投与される。いくつかの実施態様においては、該VEGFR-2特異的阻害剤は、放射線照射および/または外科手術の、約1、3、6、9、12、18、24、48、60、72、84、96、108、または120時間のいずれか未満後に投与される。いくつかの実施態様においては、治療期間を大きく延長する(ここで、該2つの療法間において数日から数週経過する)ことが望ましい場合がある。
本明細書に意図される放射線としては、例えば、y線、X線(体外ビーム)、および放射性同位元素の腫瘍細胞への直接的なデリバリーが挙げられる。他の形態のDNA損傷因子(例えばマイクロ波)もまた意図され、UV照射もまた意図される。放射線は、単一線量または線量分割スケジュールの一連の小線量で照射してよい。本明細書に意図される放射線の量は、約1から約100 Gy(例えば、約5から約80、約10から約50 Gy、または約10 Gyを含む)の範囲である。全ての線量を分割レジメンで照射してもよい。例えば、該レジメンは、分割された個別線量2 Gyを含み得る。放射性同位元素の投与量の範囲は、同位元素の半減期および放射する放射線の強度とタイプに依存して広く変化される。
該放射線照射が放射性同位元素の使用を含む場合、該同位元素は、放射性ヌクレオチドを標的組織に運搬するターゲッティング剤(例えば治療用抗体)に結合され得る。適切な放射性同位元素としては、限定はされないが、アスタチン21114炭素、51クロム、36クロリン、58コバルト、銅67152Eu、ガリウム673水素、ヨウ素123、ヨウ素131、インジウム11157鉄、59鉄、32リン、レニウム18675セレニウム、35硫黄、テクニシウム99、および/またはイットリウム90が挙げられる。
いくつかの実施態様において、十分な放射線を個体に照射することで、少なくとも約5%、10%、20%、30%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のいずれかと同程度の治療効果に必要とされるVEGFR-2特異的阻害剤の通常の用量を減らすことができる。いくつかの実施態様において、十分なVEGFR-2特異的阻害剤を投与することで、少なくとも約5%、10%、20%、30%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上のいずれかと同程度の治療効果に必要とされる放射線の通常の線量を減らすことができる。いくつかの実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤の用量および放射線の線量の両者は、各々が単独で用いられた場合の通常の用量に比べて減少される。
いくつかの実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤の投与および放射線治療の組み合わせにより相乗作用が生み出される。いくつかの実施態様において、該VEGFR-2特異的阻害剤は毎日1回投与され、該放射線は80 Gyで毎日5回照射される。
本明細書に記載の外科手術には、癌組織の全てもしくは一部を物理的に除去、切除(exercised)、および/または破壊する、切除が含まれる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を言う。外科手術による治療としては、腫瘍切除に加えて、レーザー手術、凍結手術、電気手術、およびマイクロ光学的制御(micropically controlled)外科手術(モース術)が含まれる。表在性組織の除去手術、前癌性の組織もしく正常な組織の除去も意図される。
化学療法薬の投与に加えて該放射線治療および/または外科手術を実施してもよい。例えば、該個体に、まずタキサン含有ナノ粒子組成物および少なくとも1つの他の化学療法薬を投与し、その後、放射線治療および/または外科手術を行ってもよい。別法として、該個体を、まず放射線治療および/または外科手術で治療した後、ナノ粒子組成物および少なくとも1つの他の化学療法薬を投与してもよい。他の組み合わせもまた意図される。
一実施態様において、本発明は、転移性癌になりやすいかまたは転移性癌であると診断されたヒト患者の生存期間を増大するために用いることができる。生存期間は、薬剤の最初の投与から死までの期間と定義される。好ましい態様において、VEGFR-2特異的阻害剤を1つ以上の化学療法薬と組み合わせてヒト患者に投与し、それによって該患者の生存期間を化学療法単独に比べて効果的に増大させる。例えば、少なくとも2つ、好ましくは3つの化学療法薬の混合物と組み合わせたVEGFR-2特異的阻害剤で治療した患者群は、同一の化学療法薬混合物のみで治療した患者群に比べて、少なくとも約2か月、好ましくは約2から約5か月長い平均生存期間を有し得る(該増加は統計的に有意である)。生存期間はまた、治療群対対照群の層別ハザード比(stratified hazard ratio)(HR)(それは治療中における患者の死亡リスクを示す)により評価することができる。好ましくは、VEGFR-2特異的阻害剤と1つ以上の化学療法薬の併用療法は、化学療法単独に比べて、死亡リスクを少なくとも約30%(すなわち、約0.70の層別HR)程度、好ましくは少なくとも約35%(すなわち、約0.65の層別HR)程度、顕著に低下させる。
別の実施態様において、本発明は、転移性癌になりやすいかまたは転移性癌であると診断されたヒト患者の無増悪生存期間を増大させる方法を提供する。無増悪期間は、薬剤の投与から病状悪化までの期間として定義される。好ましい実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤および1つ以上の化学療法薬を用いた本発明の併用療法は、化学療法単独での治療に比べて、少なくとも約2か月、好ましくは約2から約5か月程度、無増悪生存期間を顕著に増大させる。
さらに別の実施態様において、本発明の治療は、転移性癌になりやすいかまたは転移性癌であると診断されたヒト患者群であって、様々な治療薬で治療を受けた患者群において、奏効率を顕著に増大させる。奏効率は、治療に反応を示した治療患者の率として定義される。一態様において、VEGFR-2特異的阻害剤と1つ以上の化学療法薬を用いた本発明の併用療法は、治療患者群の奏効率を、化学療法単独での治療群に比べて有意に増大させる(該増大はカイ二乗のp値 0.005未満を有する)。
一態様において、本発明は、癌になりやすいかまたは癌であると診断されたヒト患者もしくはヒト患者群における奏効期間を増大させる方法を提供する。奏効期間は、最初の反応から病状悪化までの期間として定義される。VEGFR-2特異的阻害剤および1つ以上の化学療法薬を用いた本発明の併用療法において、統計的に有意な少なくとも2か月の奏効期間の増大を得ることができ、好ましい。
VEGFR-2特異的阻害剤
VEGFR-2特異的阻害剤を、米国特許出願第11/482,641号、第11/448,171号、およびPCT国際出願公開第05/056764号(それらは引用により本明細書に援用される)に記載のとおり製造した。これらの阻害剤は米国仮特許出願第60/899,094号(引用により本明細書に援用される)にさらに記載されている。
本発明に有用な好ましいVEGFR-2結合10Fn3ポリペプチドの配列は以下の通りである。
配列番号:2
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITVYAVTEGPNERSLFIPISINYRT
配列番号:3
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITVYAVTEGPNERSLFIPISINYRT
配列番号:4
GEVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITVYAVTDGRNGRLLSIPISINYRTEIDKPCQ
配列番号:5
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITVYAVTDGRNGRLLSIPISINYRT
配列番号:6
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITGYAVTMGLYGHELLTPISINYRT
配列番号:7
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITGYAVTDGENGQFLLVPISINYRT
配列番号:8
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITGYAVTMGPNDNELLTPISINYRT
配列番号:9
EVVAATPTSLLISWRHPHFPTRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPLQPPTATISGLKPGVDYTITGYAVTAGWDDHELFIPISINYRT
配列番号:10
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本発明のタンパク質は、最初の8アミノ酸の欠失を有する開示のアミノ酸配列を含み、N-またはC-末端にさらなるアミノ酸を含み得る。例えば、N-末端にさらなるMG配列が位置していてよい。該Mは、通常、切断され、N-末端のGEV... 配列を切り離し得る。N-末端での正常な8アミノ酸の再付加によっても、望ましい特性を有するVEGFR-2結合タンパク質が製造される。いくつかの実施態様において、該N-末端メチオニンが切断される。in vivoでの使用のため、PEG化に適した形態が製造され得る。一実施態様において、システインを含有するC-末端尾部を付加することができる(例えば、EIDKPCQ (配列番号:61)がC-末端に付加される)。
さらなるタンパク質実施態様
本明細書において有用なタンパク質には、本明細書に記載の単一ドメインポリペプチド、一般的には標的に結合するポリペプチド(例えばVEGFR-2)が含まれ、ここで、例えば抗原結合活性が通常H鎖可変ドメインおよびL鎖可変ドメインの両方によって寄与される抗体および単鎖抗体とは異なり、標的結合活性は単一の構造ドメイン内に位置している。本発明はまた、標的に結合する単一ドメインポリペプチドを有し得る、より大きいタンパク質を提供する。例えば、複数の単一ドメインポリペプチドが結合して、増大した結合活性または多価を有する複合分子を作り得る。同様に、単一ドメインポリペプチドは、あらゆる他のポリペプチドに結合し得る(例えば、融合タンパク質として)。ある特定の態様において、単一ドメインポリペプチドは、少なくとも2つのβシートに分布した少なくとも5から7のβまたはβ-様ストランドを含有し得る(例えば免疫グロブリンおよび免疫グロブリン様ドメイン)。β-様ストランドは、単一ドメインポリペプチドの安定化に関与するが、必ずしもβストランド構造の形態をとる必要がないアミノ酸の鎖である。β-様ストランドが該タンパク質の安定化に関与するかどうかは、該鎖の削除もしくは該鎖の配列の変更、およびタンパク質の安定性が低下するかどうかを解析することにより評価され得る。安定性は、例えば、熱変性および再生研究により評価され得る。好ましくは、単一ドメインポリペプチドは2以下のβ-様ストランドを含みうる。β-様ストランドは通常、α-へリックス構造をとらず、ランダムコイル構造をとり得る。免疫グロブリンドメインまたは免疫グロブリン-様ドメインにおいて、β-様ストランドは、該構造中の、最もN-末端のβストランドまたは最もC-末端のβストランドにより占められるポジションに、最も頻繁に存在し得る。アミノ酸鎖は、タンパク質配列の内部に位置する場合、通常はβストランドを形成し、N-またはC-末端近くの位置に存在する場合、明確にはβストランドではない構造をとり得て、本明細書ではそれをβ-様ストランドと言う。
ある特定の実施態様において、本発明は、VEGFR-2に結合する単一ドメインポリペプチドを提供する。好ましくは、該単一ドメインポリペプチドはヒトVEGFR-2またはモデル種VEGFR-2に結合する。単一ドメインポリペプチドは、約80から約150アミノ酸を含み得て、以下を含有する構造的構成を有する: 少なくとも2つのβシートに分布した少なくとも7つのβストランドまたはβ-様ストランド、および2つのβストランドまたはβ-様ストランドを結合する少なくとも1つのループ部分(該ループ部分はVEGFR-2への結合に関与する)。言い換えると、ループ部分は、2つのβストランド、2つのβ-様ストランドまたは1つのβストランドおよび1つのβ-様ストランドを結びつけ得る。βまたはβ-様ストランド部分(とりわけ、ループ部分の最も近くに位置するβまたはβ-様ストランド部分)の1つ以上がまたVEGFR-2結合に関与し得ることが可能であるけれども、典型的には、ループ部分の1つ以上がVEGFR-2結合に関与し得る。単一ドメインポリペプチドは、免疫グロブリンドメインまたは免疫グロブリン-様ドメインである構造ユニットを含み得る。単一ドメインポリペプチドはVEGFR-2のいずれの部分にも結合し得るが、VEGFR-2の細胞外ドメインに結合するポリペプチドが好ましい。結合は、平衡定数(例えば、解離定数、Kd)の観点、および動力学的定数(kinetic constant)(例えば、結合速度定数、kon、および解離速度定数、koff)の観点において評価してもよい。単一ドメインポリペプチドは、典型的には、約10-6 M未満または約10-7 M未満、約5 x 10-8 M、約10-8 M未満または約10-9 M未満のKdでVEGFR-2に結合するように選択され得る。VEGFR-2結合ポリペプチドは、VEGFファミリーの1、2またはそれ以上のメンバー(とりわけ、VEGF-A、VEGF-C、および/またはVEGF-D)と結合に関して競合し得て、1つ以上のVEGFR-2-媒介生物学的イベント(例えば癌細胞の増殖および癌転移)を阻害し得る。VEGFR-2結合ポリペプチドは、治療目的、ならびにVEGFR-2の検出または結合を含むいずれの目的のために用いられ得る。治療用途のポリペプチドは通常、5 x 10-8 M未満、10-8 M未満または10-9 M未満のKdを有し得るが、該koffが十分に低いかもしくは該kon が十分に高い場合、より高いKd値が許容され得る。
ある特定の実施態様において、該単一ドメインポリペプチドは免疫グロブリン(Ig)可変ドメインを含有する。該Ig可変ドメインは、例えば: ヒトVLドメイン、ヒトVHドメインおよびラクダ科動物VHHドメインからなる群から選択され得る。該Ig可変ドメインの1、2、3またはそれ以上のループはVEGFR-2への結合に関与し得て、典型的には、CDR1、CDR2またはCDR3として知られるループのいずれかがVEGFR-2結合に関与し得る。
ある特定の実施態様において、該単一ドメインポリペプチドは免疫グロブリン-様ドメインを含有する。該免疫グロブリン-様ドメインの1、2、3またはそれ以上のループがVEGFR-2への結合に関与し得る。好ましい免疫グロブリン-様ドメインはフィブロネクチンタイプIII(Fn3)ドメインである。そのようなドメインは、N-末端からC-末端に順番に、βまたはβ-様ストランドA; ループAB; βストランドB; ループBC; βストランドC; ループCD; βストランドD; ループDE; βストランドF; ループFG; およびβもしくはβ-様ストランドGを含有し得る。
場合によっては、ループAB、BC、CD、DE、EFおよびFGのいずれかまたは全てはVEGFR-2結合に関与し得るが、好ましいループはBC、DEおよびFGである。好ましいFn3ドメインは、ヒトフィブロネクチン由来のFn3ドメイン、とりわけ、フィブロネクチンの10番目のFn3ドメイン(10Fn3と言う)である。本明細書に記載のVEGFR-2結合ポリペプチドのいずれも天然の10Fn3と同一のアミノ酸配列を有さず; 該配列を修飾してVEGFR-2結合タンパク質を得るが、10Fn3の基本的な構造特性を有するタンパク質、およびとりわけ天然の10Fn3に対する認識可能な配列相同性を保持するものは、それでもなお本明細書において「10Fn3ポリペプチド」と言うことに留意すべきである。この命名は抗体分野で見られるのと同様であり、例えば、特定の標的タンパク質に対して作られたリコンビナント抗体VLドメインはいずれの天然のVLドメインにも一致しないかもしれないが、それでもなお該タンパク質は認識可能なVLタンパク質である。10Fn3ポリペプチドはヒト10Fn3ドメインに対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%一致し得る(配列番号:1に示される)。通常、大きな可変性(variability)が1つ以上のループで生じ得る。10Fn3ポリペプチドのβまたはβ-様ストランドの各々は、配列番号:1の対応するβまたはβ-様ストランドの配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは100%一致しているアミノ酸配列から基本的に成ってよいが、ただし、そのような変異は生理的条件下において該ポリペプチドの安定性を破壊しない。10Fn3ポリペプチドは、ループAB、CD、およびEFの各々において、配列番号:1の対応するループの配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは100%一致しているアミノ酸配列から基本的に成る配列を有し得る。多くの場合、ループBC、DE、およびFGのいずれかまたは全てが、配列番号:1に対する保存が不十分であり得る。例えば、ループBC、DE、およびFGは全て、配列番号:1においてそれらの対応するループに対して20%、10%、または0%未満の同一性であり得る。
ある特定の実施態様において、本発明は、VEGFR-2に結合する免疫グロブリン-様フォールドを有するドメインを含有する非-抗体ポリペプチドを提供する。該非-抗体ポリペプチドは20 kD未満、または15 kD未満の分子量であってよく、通常、基準のタンパク質、または「スキャフォールド」タンパク質、例えばFn3スキャフォールドに由来し得る(例えば、アミノ酸配列の変更により)。該非-抗体ポリペプチドは、10-6 M未満もしくは10-7 M未満、5 x 10-8 M未満、10-8 M未満もしくは10-9 M未満のKdで、VEGFR-2を結合し得る。未変更の基準のタンパク質は、VEGFR-2に有意義に結合しないか、または10-6 M以上のKdで結合し得る。該非-抗体ポリペプチドはVEGFR-2シグナル伝達を阻害し得る(ここで、とりわけ該非-抗体ポリペプチドは5 x 10-8 M未満、10-8 M未満または10-9 M未満のKdを有するが、該koffが十分に低い(例えば、5 x 10-4 s-1未満)場合、より高いKd値が許容され得る)。該免疫グロブリン-様フォールドは10Fn3ポリペプチドであってよい。
ある特定の実施態様において、本発明は、VEGFR-2に結合する免疫グロブリンフォールドを有する単一ドメインを含有するポリペプチドを提供する。該ポリペプチドは、20 kD未満、または15 kD未満の分子量であってよく、通常、免疫グロブリンの可変ドメイン由来であり得る(例えば、アミノ酸配列の変更により)。該ポリペプチドは、10-6 M未満または10-7 M未満、5 x 10-8 M未満、10-8 M未満または10-9 M未満のKdで、VEGFR-2を結合し得る。該ポリペプチドはVEGFR-2シグナル伝達を阻害し得る(ここで、とりわけ該ポリペプチドは5 x 10-8 M未満、10-8 M未満または10-9 M未満のKdを有するが、該koffが十分に低いかまたは該konが十分に高い場合、より高いKd値が許容され得る)。ある好ましい実施態様において、免疫グロブリンL鎖可変ドメイン由来の免疫グロブリンフォールドを有し、VEGFR-2に結合できる単一ドメインポリペプチドは、表に記載のものからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは配列番号:1に対して少なくとも80%一致しているアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、配列番号:2-60のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドはさらにPEGを含む。
ある好ましい実施態様において、本発明は、最も望ましい生化学的特性を有する、表に記載のいずれかのアミノ酸配列を含有するVEGFR-2結合ポリペプチドを提供する。そのようなアミノ酸配列を含有するポリペプチドの場合、PEG部分または目的の他の部分は、タンパク質に依存して約85から100の位置のシステインに共有結合し得る。該PEG部分はまた、ポリペプチド中のアミン部分に共有結合し得る。該アミン部分は、例えば、ポリペプチドのN-末端に見られる第1級アミンまたはアミノ酸(例えばリジンまたはアルギニン)に存在するアミン基であってよい。ある特定の実施態様において、該PEG部分は: a) N-末端; b) N-末端と最もN-末端のβストランドまたはβ-様ストランドとの間; c)標的結合部位の反対のポリペプチドの面に位置するループ; d) C-末端と最もC-末端のβストランドまたはβ-様ストランドとの間; および、e) C-末端からなる群から選択されるポリペプチド上の位置で結合している。
ある特定の態様において、本発明は、VEGFR-2結合を媒介する短いペプチド配列を提供する。そのような配列は、単離された形態において、または特定のタンパク質構造(例えば免疫グロブリンまたは免疫グロブリン-様ドメイン)に挿入されている場合、VEGFR-2結合を媒介し得る。そのような配列の例としては、開示のもの(例えば配列番号:2-60)、および配列番号:1に対して少なくとも85%、90%、または95%一致しており、VEGFR-2結合活性を保持する他の配列が挙げられる。従って、本発明は、そのような配列のいずれかの配列に対して少なくとも85%一致しているアミノ酸配列を含有する、実質的に純粋なポリペプチドを提供し、ここで該ポリペプチドはVEGFR-2に結合し、VEGFR-2への結合においてVEGF種と競合する。そのようなポリペプチドの例としては、配列番号:2-60のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%もしくは100%一致しているアミノ酸配列を含有するポリペプチドが挙げられる。好ましくは、そのようなポリペプチドはVEGFの生物学的活性を阻害し得て、10-6 M未満または10-7 M未満、5 x 10-8 M未満、10-8 M未満または10-9 M未満のKdでVEGFR-2に結合し得る。
ある特定の実施態様において、本明細書に記載のVEGFR-2結合ポリペプチドのいずれかは、1つ以上のさらなる部分(例えば、またVEGFR-2に結合する部分(例えば、第2の同一もしくは異なるVEGFR-2結合ポリペプチド)、異なる標的に結合する部分(例えば、二重特異的結合剤を創出するように)、標識部分、タンパク質精製を促進する部分、または改善された薬物動態を提供する部分が含まれる)に結合していてもよい。改善された薬物動態は、既に認識された(perceived)治療的必要性に従って評価され得る。生物学的利用能を増大させること、および/または、おそらく投与後に該タンパク質が血清中において利用能を保持している時間を増大させることによって、投与間の時間を増大させることがしばしば望ましい。場合によっては、時間経過にともなう該タンパク質の血清濃度の持続性の向上(例えば、投与直後と次の投与直前のタンパク質の血清濃度の差の減少)が望ましい。血液からのタンパク質のクリアランスを遅延させる傾向のある部分としては、ポリエチレングリコール、糖(例えば、シアル酸)、および耐容性良好なタンパク質部分(例えば、Fcフラグメントまたは血清アルブミン)が挙げられる。該単一ドメインポリペプチドは、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、またはヒト)における該ポリペプチドのクリアランス速度を、未修飾ポリペプチドに比べて3倍以上低下させる部分に結合しうる。改善された薬物動態を評価する他の尺度としては、しばしばα相とβ相に分けられる血清中半減期が挙げられる。いずれかまたは両方の相が、適当な部分の付加により著しく改善され得る。ポリエチレングリコールを用いる場合、1つ以上のPEG分子はタンパク質の異なる位置で結合し得て、そのような結合は、アミン、チオールまたは他の適切な反応基との反応により達成され得る。PEG化は、適切な反応基がタンパク質に導入されてPEG化が優先的に生じる部位を創り出す、部位特異的PEG化によって達成され得る。好ましい実施態様において、目的の位置にシステイン残基を有するように該タンパク質を修飾して、システインにおける部位特異的PEG化を可能にする。PEGは分子量において幅広く変化し得て、分枝状でも直線状でもよい。とりわけ、本開示は、PEG化は10Fn3ポリペプチドの標的結合活性と互換性があり、さらに、PEG化はそのようなポリペプチドの薬物動態を改善することを証明する。従って、一実施態様において、本発明は、そのようなポリペプチドが結合することができる標的にかかわらず、10Fn3ポリペプチドのPEG化形態を提供する。
さらなる二重特異的および多重特異的実施態様
多くの実施態様において、多重特異的組成物、例えば、2つ以上の標的または目的の他のタンパク質を結合する組成物を作製することが望ましいであろう。
一態様において、本発明の方法において有用なタンパク質は、第1の目的の標的(例えば、VEGFR-2)に対して約10 nMの結合親和性(本明細書に記載の他の適当な親和性)もしくはそれ以下で第1タンパク質を含有し、約1 μMの結合親和性(本明細書に記載の他の適当な親和性)もしくはそれ以上で、目的でない関連標的(例えば、VEGFR-1およびVEGFR-3)を結合し、好ましくは単一ドメインであるかまたは実質的に1価であり、第2の目的の標的(例えば、c-kit、Her-2、FGFR-1、VEGFR-1、VEGF-A、VEGF-C、VEGF-D、葉酸受容体、c-Met、EGFR)に対する約10 nMの結合親和性(本明細書に記載の他の適当な親和性)またはそれ以下で第2タンパク質に結合しており、約1 μMの結合親和性(本明細書に記載の他の適当な親和性)またはそれ以上で目的でない関連標的(例えば、ヒトインスリン受容体)を結合し、好ましくは単一ドメインであるかまたは実質的に1価である。二重特異的親和性を有するそのような分子は、他の分子(本明細書に記載の他のタンパク質が含まれる)にさらに結合することができる。
さらなるPEG実施態様
治療方法のいくつかの実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤は、CysまたはLysアミノ酸の遺伝子操作を有するフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)である。
PEG(または機能的に類似の分子)を用いて、2つ以上の異なる標的または目的のタンパク質(例えば、PK調節タンパク質)、とりわけ各結合タンパク質が単一ドメインまたは複数のドメイン(通常、各ドメインは(5から20アミノ酸の小ペプチドとは対照的に)約50、約60、または約75アミノ酸以上である)から成るタンパク質を結合する非抗体部分である、2つのタンパク質を結合する。好ましくはフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)を、より好ましくはCysまたはLysアミノ酸の適当な遺伝子操作を施して、そのような実施態様においてうまく用いることができる。
加えて、VEGFR-2特異的阻害剤の非PEGおよびPEG態様としては、抗体部分(例えば、ラクダ抗体およびその誘導体、ならびに単鎖およびドメイン抗体; とりわけ微生物から発現されるもの) 、ならびに抗体様部分(例えば、リポカイン、アンキリン、多(multiple)Cys-Cysドメイン、およびテトラネクチンの誘導体; とりわけ微生物から発現されるもの)、とりわけ、PEGにより結合される約40 kD未満のもの、およびより好ましくは限られた数のCysアミノ酸を有するものが挙げられる。
多くのPEG結合タンパク質には特性および利点がある。そのようなタンパク質が微生物で発現される場合、ドメインを単離した後、PEGまたは他のポリマーリンカーを介してそれを結合することが好ましいであろう。PEG、または他の機能的に操作可能なポリマーリンカーを用いて、1つ以上の以下の特徴を有するタンパク質を創り出すように、各タンパク質部分間の距離を最適に変化させることができる: 1) 目的のタンパク質(例えば、標的)に結合する場合の、1つ以上のタンパク質ドメインの結合の立体障害の減少または増大、2) 異なる標的を結合する2つ以上のドメインの結合、3) 安定性または溶解性を増大させる(例えば、少なくとも約20 mg/mLもしくは少なくとも約50 mg/mLの溶解性)さらなるアミノ酸置換を探すことのない、タンパク質安定性または溶解性の増大、4) (例えば、SECによる測定としての)安定性を低下させるさらなるアミノ酸置換を探すことのない、タンパク質凝集の減少、4) さらなる結合ドメインの付加による、目的のタンパク質に対する該タンパク質の全体的な結合活性または親和性の増大。PEG結合タンパク質のさらなる利点としては、PEG結合タンパク質に含まれるタンパク質ターゲッティング部分の数に依存して、単一特異的な多価結合様式、ならびに多重特異的な1価または多価結合様式を急速に作製することが挙げられる。
本発明の方法に有用な10Fn3ポリペプチドはPEG化されてもリガンド結合活性を保持することができる。好ましい実施態様において、該PEG化10Fn3ポリペプチドは、部位特異的PEG化、とりわけN-またはC-末端におけるシステイン部分へのPEGの結合により製造される。従って、本発明は改善された薬物動態特性を有する標的結合10Fn3ポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは:約80から約150アミノ酸を有する10Fn3ドメインであって、該10Fn3ドメインのループの少なくとも1つが標的結合に関与する、10Fn3ドメイン; および、共有結合したPEG部分であって、該10Fn3ポリペプチドが100 nM未満のKdで標的に結合し、哺乳動物において30 mL/時間/kg未満のクリアランス速度を有するPEG部分、を含有する。該PEG部分は、部位特異的PEG化、例えばCys残基(ここで該Cys残基は、10Fn3ポリペプチドのN-末端またはN-末端と最もN-末端のβもしくはβ-様ストランド間、あるいは10Fn3ポリペプチドのC-末端またはC-末端と最もC-末端のβもしくはβ-様ストランド間に位置していてよい)への結合により、該10Fn3ポリペプチドに結合し得る。Cys残基は、同様に他の位置に、とりわけ標的結合に関与しないループのいずれかに位置し得る。PEG部分はまた、他の化学(アミンへの結合が含まれる)により結合し得る。加えて、本発明は、抗体成分(例えば、ラクダ抗体およびその誘導体、ならびに単鎖およびドメイン抗体; とりわけ微生物から発現されるもの) 、ならびに抗体様部分(例えば、リポカイン、アンキリン、多Cys-Cysドメイン、およびテトラネクチンの誘導体; とりわけ微生物から発現されるもの)、とりわけ、PEGにより結合される約40 kD未満のもの、およびより好ましくは限られた数のCysアミノ酸を有するものへの、このタイプのNまたはC末端のPEGの結合を含む。
本発明の一つの具体的な実施態様において、対象の可溶性ポリペプチドの修飾形態は、対象の可溶性ポリペプチドの非タンパク質性ポリマーへの結合を含有する。一つの具体的な実施態様において、該ポリマーは、米国特許第4,640,835号; 第4,496,689号; 第4,301,144号; 第4,670,417号; 第4,791,192号もしくは第4,179,337号に記載のとおり、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンである。本発明の修飾ポリペプチドの例としては、本明細書にさらに記載されたPEG化タンパク質が挙げられる。
PEGは、市販されているか、または当分野で周知の方法(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York, Vol. 3, ページ138-161)に従ってエチレングリコールの開環重合により製造することができる、周知の水溶性ポリマーである。用語「PEG」は、サイズまたはPEGの末端における修飾に関係なく、いずれのポリエチレングリコール分子をも包含するように広く用いられ、式:
X-O(CH2CH2O)n-1CH2CH2OH (1)
(式中、nは20から2300であり、XはHまたは末端修飾、例えば、C1-4アルキルである)により表される。一実施態様において、本発明のPEGはヒドロキシまたはメトキシ(すなわち、XはHまたはCH3(「メトキシPEG」)である)である一端で終結する。PEGは、結合反応に必要なさらなる化学基を含むことができ; それは分子の化学合成に由来するか; あるいは該分子の各部位の最適距離についてのスペーサーである。加えて、そのようなPEGは一緒に結合された1つ以上のPEG側鎖から成り得る。2以上のPEG鎖を有するPEGは、分岐PEGまたは分枝PEGと呼ばれる。分枝PEGは、例えば、様々なポリオール(グリセロール、ペンタエリトリトール(pentaerythriol)、およびソルビトールが含まれる)にポリエチレンオキシドを付加することによって製造することができる。例えば、4分岐型分枝PEGは、ペンタエリトリトールおよびエチレンオキシドから製造することができる。分枝PEGは、例えば、欧州公開特許第0473084号および米国特許第5,932,462号に記載されている。PEGの一形態として、リジンの1級アミノ基を介して結合した2つのPEG側鎖(PEG2)が挙げられる(Monfardini, C. et al. Bioconjugate Chem. 6 (1995) 62-69)。
好ましい実施態様において、PEG化10Fn3ポリペプチドは、部位特異的PEG化、とりわけN-またはC-末端におけるシステイン部分へのPEGの結合により製造される。従って、本発明は、改善された薬物動態特性を有する標的結合10Fn3ポリペプチドを提供し、該ポリペプチドは:約80から約150アミノ酸を有する10Fn3ドメインであって、該10Fn3ドメインのループの少なくとも1つが標的結合に関与する、10Fn3ドメイン; および、共有結合したPEG部分であって、該10Fn3ポリペプチドが100 nM未満のKdで標的に結合し、哺乳動物において30 mL/時間/kg未満のクリアランス速度を有するPEG部分、を含有する。該PEG部分は、部位特異的PEG化、例えばCys残基(ここで該Cys残基は、10Fn3ポリペプチドのN-末端またはN-末端と最もN-末端のβもしくはβ-様ストランド間、あるいは10Fn3ポリペプチドのC-末端またはC-末端と最もC-末端のβもしくはβ-様ストランド間に位置していてよい)への結合により、該10Fn3ポリペプチドに結合し得る。Cys残基は、同様に他の位置に、とりわけ標的結合に関与しないループのいずれかに位置し得る。PEG部分はまた、他の化学(アミンへの結合が含まれる)により結合し得る。
ペプチドまたはタンパク質へのPEG結合は、一般的に、PEGの活性化、および標的タンパク質/ペプチドへの活性化PEG中間体の直接的なカップリングまたはリンカー(その後活性化され標的タンパク質/ペプチドにカップリングする)への活性化PEG中間体のカップリングを伴う(Abuchowski, A. et al, J. Biol. Chem., 252, 3571 (1977)およびJ. Biol. Chem., 252, 3582 (1977), Zalipsky, et al.ならびにHarris et. al., in: Poly(ethylene glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications; (J. M. Harris ed.) Plenum Press: New York, 1992; Chap.21および22を参照)。PEG分子を含有する結合ポリペプチドは複合タンパク質としても知られており、ここで、結合したPEG分子を欠く該タンパク質は非複合型(unconjugated)と呼ぶことができることに留意されたい。
本発明の結合ポリペプチドへの結合について、PEGの様々な分子量形態、例えば、約1,000 ダルトン(Da)から100,000 Da(nは20から2300である)を選択することができる。PEG中の繰り返し単位の数「n」はダルトンで表記される分子量の概算値になる。活性化リンカーにおけるPEGの合計分子量は、医薬的使用に適していることが好ましい。従って、一実施態様において、該PEG分子の分子量は100,000 Daを超えない。例えば、3つのPEG分子がリンカーに結合している(ここで各PEG分子は分子量12,000 Da(各nは約270)の同一の分子量を有する)場合、リンカー上のPEGの総分子量は約36,000 Da(トータルのnは約820)である。リンカーに結合するPEGの分子量は異なることもでき、例えばリンカー上の3つの分子のうち、2つのPEG分子は各々5,000 Da(各nは約110)であり、1つのPEG分子は12,000 Da(nは約270)であり得る。
本発明の特定の実施態様において、VEGFR-2特異的阻害剤は、式: -CO-(CH2)x-(OCH2CH2)m-OR(ここで、結合ポリペプチドのアミノ基の1つとのアミド結合を形成するポリ(エチレングリコール)基のCO(すなわち、カルボニル)を有し; Rは低級アルキル; xは2または3; mは約450から約950; ならびにnおよびmは結合ポリペプチドを差し引いた該複合体の分子量が約10から40 kDであるように選択される)の1つのポリ(エチレングリコール)基に共有結合している。一実施態様において、結合ポリペプチドのε-アミノ基であるリジンは利用可能な(遊離)アミノ基である。
上記の複合体は、式(II): P-NHCO-(CH2)x-(OCH2CH2)m-OR (II)(ここで、Pは本明細書に記載の結合ポリペプチドの基(すなわち、式(II)に示されるカルボニルとのアミド結合を形成するアミノ基を有さない)であり; および、Rは低級アルキルであり; xは2または3であり; mは約450から約950であって結合ポリペプチドを差し引いた該複合体の分子量が約10から約40 kDであるように選択される) によってより具体的に示されてもよい。本明細書で用いられる「m」の所定の範囲は、指針的意味合いを有する。いずれの場合でも、「m」の範囲は該PEG基の分子量により正確に決定される。
当業者であれば、例えば、PEG化結合ポリペプチドを治療的に用いる方法、望ましい用量、循環時間、タンパク質分解に対する抵抗性、免疫原性、および他の考察に基づいて、PEGの適切な分子量を選択することができる。PEGおよびタンパク質の特性を増大させるためのその使用についての考察は、N. V. Katre, Adv. Drug Delivery Rev. 10: 91-114 (1993)を参照。
本発明の一実施態様において、PEG分子を活性化して、結合ポリペプチド上のアミノ基、例えばリジンと反応させてもよい(Bencham C. O. et al. Anal. Biochem., 131, 25 (1983); Veronese, F. M. et al. Appl. Biochem., 11, 141 (1985).; Zalipsky, S. et al. Polymeric Drugs and Drug Delivery Systems, adrs 9-110 ACS Symposium Series 469 (1999); Zalipsky, S. et al. Europ. Polym. J., 19, 1177-1183 (1983); Delgado, C. et al. Biotechnol. Appl. Biochem., 12, 119-128 (1990))。
1つの具体的な実施態様において、PEGのカーボネートエステルを用いてPEG-結合ポリペプチド複合体を形成する。N,N'-ジスクシンイミジルカーボネート(DSC)をPEGとの反応に用いて活性な混合PEG-スクシンイミジルカーボネートを形成させた後、それをリンカーの求核性基または結合ポリペプチドのアミノ基と反応させてもよい(米国特許第5,281,698号および第5,932,462号参照)。同様のタイプの反応において、1,1'-(ジベンゾトリアゾリル)カーボネートおよびジ-(2-ピリジル)カーボネートをPEGと反応させて、各々、PEG-ベンゾトリアゾリルおよびPEG-ピリジル混合カーボネート(米国特許第5,382,657号)を形成させてもよい。
最新の方法に従って、例えば該結合ポリペプチドと求電子的に活性なPEG(供給元: Shearwater Corp., USA, www.shearwatercorp.com)との反応により、10Fn3ポリペプチドのPEG化を行うことができる。本発明の好ましいPEG試薬は、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミジルプロピオネート(PEG-SPA)、ブタノエート(PEG-SBA)、PEG-スクシンイミジルプロピオネートまたは分枝N-ヒドロキシスクシンイミド(例えばmPEG2-NHS (Monfardini, C., et al. Bioconjugate Chem. 6 (1995) 62-69))である。そのような方法を用いて、結合ポリペプチドのε-アミノ基であるリジンまたは該結合ポリペプチドのN-末端のアミノ基でPEG化してもよい。
別の実施態様において、PEG分子を結合ポリペプチド上のスルフヒドリル基にカップリングさせてもよい(Sartore, L., et al. Appl. Biochem. Biotechnol. 27, 45 (1991); Morpurgo et al. Bioconjugate Chem. 7, 363-368 (1996); Goodson et al. Bio/Technology (1990) 8, 343; 米国特許第5,766,897号)。米国特許第6,610,281号および第5,766,897号は、スルフヒドリル基とカップリングされ得る反応性のPEG種の例を記載する。
PEG分子が結合ポリペプチド上のシステイン残基に結合しているいくつかの実施態様において、該システイン残基は該結合ポリペプチドに対してネイティブであるが、他の実施態様において、1以上のシステイン残基が該結合ポリペプチド内に遺伝子操作される。変異を、配列をコードする結合ポリペプチドに導入して、システイン残基を作製してもよい。これは、例えば、1つ以上のアミノ酸残基をシステインに変異させることによって、達成され得る。システイン残基へ変異させるのに好ましいアミノ酸としては、セリン、スレオニン、アラニンおよび他の親水性残基が挙げられる。好ましくは、システインに変異される残基は表面露出残基(surface-exposed residue)である。タンパク質の一次配列に基づいた残基の表面露出性(surface accessibility)の予測のためのアルゴリズムは、当分野において周知である。あるいは、結合ポリペプチドを設計および発展させる基礎となったフレームワークの結晶構造が解かれており(Himanen et al. Nature (2001) 20-27;414(6866):933-8参照)、それにより表面露出残基が同定されているのであれば、結合ポリペプチドのアミノ酸配列と比較することによって表面残基を予測してもよい。一実施態様において、システイン残基は結合ポリペプチドに、N-および/またはC-末端あるいはその近くに導入されるか、またはループ領域内に導入される。
いくつかの実施態様において、該PEG化結合ポリペプチドは、N-末端のアミノ酸のαアミノ基に共有結合したPEG分子を含有する。部位特異的N-末端還元的アミノ化が、Pepinsky et al. (2001) J. Pharmacol. Exp. Ther. 297,1059、および米国特許第5,824,784号に記載されている。他の利用可能な求核性アミノ基を用いたタンパク質の還元的アミノ化のためのPEG-アルデヒドの使用が、米国特許第4,002,531号、Wieder et al. (1979) J. Biol. Chem. 254,12579、およびChamow et al. (1994) Bioconjugate Chem. 5, 133に記載されている。
別の実施態様において、PEG化結合ポリペプチドはリンカーに共有結合した1つ以上のPEG分子を含有し、該リンカーは同様に該結合ポリペプチドのN-末端でアミノ酸残基のαアミノ基に結合する。そのようなアプローチは、米国特許出願第09/967,223号およびPCT国際出願公開第94/01451号に記載されている。
一実施態様において、結合ポリペプチドはC-末端でPEG化される。特定の実施態様において、タンパク質は、C-末端のアジド-メチオニンの導入およびそれに続く conjugation of aシュタウディンガー反応を介したメチル-PEG-トリアリールホスフィン化合物の結合により、C-末端でPEG化される。このC-末端の結合方法は、Cazalis et al. Bioconjugate Chem. 2004;15(5):1005-1009に記載されている。
結合ポリペプチドのモノPEG化はまたPCT国際出願公開第94/01451号に記載されている一般的な方法に従って行うことができる。WO94/01451は、修飾末端アミノ酸α-炭素反応基を用いたリコンビナントポリペプチドの製造方法を記載する。該方法の工程は、リコンビナントポリペプチドを形成すること、およびN-末端のα-アミンおよびC-末端のα-カルボキシルを1つ以上の生物学的に付加される保護基を用いて保護することを含む。次いで、該ポリペプチドを化学的保護剤と反応させて反応性側鎖基を選択的に保護し、それにより側鎖基を修飾から防ぐことができる。その後、該ポリペプチドを生物学的保護基に対して特異的な切断試薬で切断し、保護されていない末端のアミノ酸α-炭素反応基を形成する。保護されていない末端のアミノ酸α-炭素反応基を化学的修飾剤により修飾する。その後、該側鎖保護末端修飾単一コピー(single copy)ポリペプチドを、側鎖基において脱保護し、末端修飾リコンビナント単一コピーポリペプチドを形成する。該方法中の工程の数および順序は、該ポリペプチドのN-および/またはC-末端アミノ酸での選択的修飾を達成するために変化させることができる。
結合反応における活性化PEGに対する結合ポリペプチドの比は、約1:0.5から1:50、約1:1から1:30、または約1:5から1:15であり得る。様々な水性バッファーを本方法において用い、PEGの該結合ポリペプチドへの共有結合的付加を触媒することができる。一実施態様において、用いるバッファーのpHは約7.0から9.0である。別の実施態様において、該pHはわずかに塩基性域、例えば約7.5から8.5である。中性のpH域に近いpKaを有するバッファー、例えば、リン酸バッファーを用いてもよい。多重特異的PEG結合タンパク質を作製する場合は、他の比、例えば約1:4から1:8または約1:3から1:5が用いられ得る。
当分野で公知の従来の分離および精製技法を用いてPEG化結合ポリペプチドを精製することができる(例えば、分子ふるいクロマトブラフィー(例えば、ゲル濾過)およびイオン交換クロマトグラフィー)。生成物はまた、SDS-PAGEを用いても分離され得る。分離され得る生成物は、モノ-、ジ-、トリ-、ポリ-および非-PEG化結合ポリペプチド、ならびに遊離PEGを含む。溶離ピーク周辺の広範なフラクションをプールすることにより、モノ-PEG複合体の割合を制御して、該組成物中のモノ-PEGの割合を増加させることができる。約90%のモノ-PEG複合体が、収率と活性の良好なバランスを示す。例えば、少なくとも92%または少なくとも96%の複合体がモノ-PEG種である組成物が望ましい場合がある。本発明の一実施態様において、モノ-PEG複合体の割合は90%から96%である。
一実施態様において、本発明のPEG化結合ポリペプチドは、1、2またはそれ以上のPEG部分を含む。一実施態様において、該PEG部分は、タンパク質の表面上の、および/または標的リガンドに接触する表面から離れているアミノ酸残基に結合される。一実施態様において、PEG-結合ポリペプチド中のPEGの合計もしくは総分子量は約3,000 Daから60,000 Da、適宜、約10,000 Daから36,000 Daである。一実施態様において、PEG化結合ポリペプチド中のPEGは実質的に直線状の直鎖PEGである。
本発明の一実施態様において、PEG化結合ポリペプチドのPEGは、室温での8から16時間にわたるヒドロキシルアミンアッセイ(例えば450 mMヒドロキシルアミン(pH 6.5))を用いて、PEG化アミノ酸残基から加水分解されないことから、安定である。一実施態様において、組成物の80%以上、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%が安定なモノ-PEG-結合ポリペプチドである。
別の実施態様において、本発明のPEG化結合ポリペプチドは、少なくとも約25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%の無修飾タンパク質に関連した生物学的活性を保持するのが好ましいであろう。一実施態様において、生物学的活性とは、VEGFR-2に対するその結合能力(Kd、konまたはkoffによる測定として)を言う。一つの具体的な実施態様において、該PEG化結合ポリペプチドタンパク質はVEGFR-2に対する結合を、非PEG化結合ポリペプチドに比べて増大させる。
PEG-修飾ポリペプチドの血清クリアランス速度は、無修飾結合ポリペプチドのクリアランス速度に比べて、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%程度、または90%程度も低下され得る。該PEG-修飾ポリペプチドは、無修飾タンパク質の半減期に比べて増大された半減期(t1/2)を有し得る。PEG-結合ポリペプチドの半減期は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%または500%程度、あるいは1000%程度も、無修飾結合ポリペプチドの半減期に比べて増大され得る。いくつかの実施態様において、該タンパク質半減期は、in vitroにおいて、例えば緩衝生理食塩水または血清において決定される。他の実施態様において、該タンパク質半減期は、in vivo半減期、例えば動物の血清または他の体液中のタンパク質の半減期である。
さらなるベクターおよびポリヌクレオチド実施態様
本明細書に記載の様々なタンパク質もしくはポリペプチドのいずれかをコードする核酸を化学的に合成してもよい。細胞での発現を向上させるように、コドン使用が選択され得る。そのようなコドン使用は、選択された細胞種に依存し得る。特化したコドン使用パターンが、大腸菌および他のバクテリア、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞用に開発されている。例えば: Mayfield et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2003 Jan 21;100(2):438-42; Sinclair et al. Protein Expr. Purif. 2002 Oct;26(1):96-105; Connell ND. Curr. Opin. Biotechnol. 2001 Oct;12(5):446-9; Makrides et al. Microbiol Rev. 1996 Sep;60(3):512-38; およびSharp et al. Yeast. 1991 Oct;7(7):657-78を参照。
核酸操作の一般的な技法が、例えばSambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2 ed., 1989、またはF. Ausubel et al. Current Protocols in Molecular Biology (Green Publishing and Wiley-Interscience: New York, 1987) および定期更新版に記載されており、引用により本明細書に援用される。ポリペプチドをコードするDNAは、哺乳動物、ウイルス、もしくは昆虫遺伝子由来の、適切な転写調節因子または翻訳調節因子に作動可能に連結している。そのような調節因子としては、転写プロモーター、転写を制御する選択的(optional)オペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。宿主における複製能力(通常は複製開始点により付与される)および形質転換体の認識を促進する選択遺伝子もさらに包含される。
該タンパク質は、直接的組換えだけでなく、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドのような組換えで製造してもよく、それは好ましくは、成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する、シグナル配列または他のポリペプチドである。選択される異種のシグナル配列は好ましくは、宿主細胞によって認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。天然のシグナル配列を認識およびプロセシングしない原核生物の宿主細胞に関して、該シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物のシグナル配列によって置換される。酵母での分泌に関して、天然のシグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(サッカロマイセスおよびクリベロマイセス.α.-因子リーダー、もしくは酸性ホスファターゼリーダーが含まれる)、カンジダ・アルビカンスグルコアミラーゼリーダー、またはPCT国際出願公開第90/13646号に記載のシグナルによって置換され得る。哺乳動物細胞での発現において、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。そのような前駆体領域に対するDNAは、リーディングフレーム中で該タンパク質をコードするDNAに結合し得る。
発現およびクローニングベクターの両者とも、1つ以上の選択された宿主細胞において、ベクターが複製できるようにする核酸配列を含む。一般的に、クローニングベクターにおいてこの配列は、ベクターが宿主染色体DNAとは独立して複製できるようにするものであり、複製開始点または自己複製配列が含まれる。そのような配列は様々なバクテリア、酵母、およびウイルスについてよく知られている。プラスミドpBR322からの複製開始点が大部分のグラム陰性菌に適しており、2μプラスミド開始点が酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が、哺乳類動物細胞においてクローニングベクターに有用である。一般的に、該複製開始点構成成分は哺乳動物の発現ベクターには必要でない(初期プロモーターを含むという理由のみで、典型的にはSV40開始点が用いられ得る)。
発現およびクローニングベクターは、選択遺伝子(選択マーカーとも呼ばれる)を含み得る。典型的な選択遺伝子は、(a) 抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンに対する抵抗力を与える、(b) 栄養要求性欠乏を補完する、あるいは(c) 複合培地から得られない必須栄養素を供給する、タンパク質(例えば、桿菌のD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコードする。
選択スキームの一例は、宿主細胞の増殖を停止するために薬剤を用いる。異種遺伝子を用いてうまく形質転換された細胞は、薬剤耐性を与えるタンパク質を産生することで、選択レジメンにおいて生存する。そのような優性選択の例は、薬剤(ネオマイシン、ミコフェノール酸およびハイグロマイシン)を用いる。
加えて、1.6 μm環状プラスミドpKD1由来のベクターをクリベロマイセス酵母の形質転換に用いることができる。別法として、リコンビナント仔ウシキモシンの大規模生産のための発現系が、クルイベロミセス・ラクチスについて報告された(Van den Berg, Bio/Technology, 8:135 (1990)参照)。クリベロマイセスの工業株による成熟リコンビナントヒト血清アルブミンの分泌のための安定な多コピー発現ベクターもまた開示されている(Fleer et al. Bio/Technology, 9:968-975 (1991)参照)。
発現およびクローニングベクターは通常、宿主生物により認識され、本発明のタンパク質、例えば、フィブロネクチンベースのスキャフォールド(例えばドネクチン(商標))をコードする核酸に作動可能に連結されるプロモーターを含む。原核生物の宿主で用いるのに適切なプロモーターとしては、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにハイブリッドプロモーター(例えば、tacプロモーター)が挙げられる。しかしながら、他の公知のバクテリアプロモーターも適している。バクテリア系において用いるプロモーターはまた、本発明のタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結したシャイン・ダルガノ(S.D.)配列を含み得る。
真核生物についてプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始点から70〜80塩基上流で見られる別の配列はCNCAAT領域(Nはいずれのヌクレオチドであってもよい)である。大部分の真核生物の遺伝子の3'末端は、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであり得るAATAAA配列である。これらの配列の全てが、真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主で用いるのに適切なプロモーター配列(promoting sequence)の例としては、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼ、のプロモーターが挙げられる。
生育条件により制御される転写のさらなる利点を有する誘導プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコール脱水素酵素2、イソシトクロム(isocytochrome)C、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素、マルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素に対するプロモーター領域である。酵母発現において用いるのに適切なベクターおよびプロモーターは、欧州特許第73,657号にさらに記載されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモーターとともに有利に用いられる。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、 鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはサルウイルス40(SV40))のゲノムから得られたプロモーター、および異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、ならびに熱ショックプロモーターから得られたプロモーターにより制御することができるが、ただし、そのようなプロモーターは宿主細胞系と適合性があることが条件である。
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターはSV40制限断片(restriction fragment)として都合よく得られ、それはSV40ウイルス複製開始点も有する。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、HindIII E 制限断片として都合よく得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを用いて哺乳動物宿主においてDNAを発現させる系が、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の修飾は米国特許第4,601,978号に記載されている。また、単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下におけるマウス細胞でのヒトβ-インターフェロンcDNAの発現についてのReyes et al. Nature 297:598-601 (1982)も参照。別法として、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列をプロモーターとして用いることができる。
高等真核生物による本発明のタンパク質をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより、しばしば増大される。現在、哺乳動物遺伝子からの多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)。しかしながら典型的には、真核細胞ウイルスからのエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製開始点の後半側 (bp 100-270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後半側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。また、真核生物のプロモーターを活性化させる強化エレメント(enhancing element)についてのYaniv, Nature 297:17-18 (1982)を参照。該エンハンサーは多価抗体コード配列に対してポジション5'または3'でベクターに挿入され得るが、好ましくは該プロモーターから5'の部位に位置する。
真核宿主細胞(例えば、酵母、真菌類、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物からの有核細胞)において用いられる発現ベクターはまた、転写の終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含み得る。そのような配列は通常、真核生物またはウイルスのDNAもしくはcDNAの5'および時折3'非翻訳領域からの入手可能である。これらの領域は、多価抗体をコードするmRNAの非翻訳部分に、ポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチド断片を有する。1つの有用な転写終結成分(component)は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である(PCT国際出願公開第94/11026号およびそれに開示の発現ベクターを参照)。
リコンビナントDNAはまた、タンパク質の精製に有用であり得るいずれのタイプのタンパク質tag配列も含むことができる。タンパク質tagの例としては、限定はされないが、ヒスチジンtag、FLAG tag、myc tag、HA tag、またはGST tagが挙げられる。バクテリア、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主とともに用いるのに適当なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, New York, 1985)において見いだすことができ、関連する開示が引用により本明細書に援用される。
発現コンストラクトは宿主細胞に適した方法を用いて宿主細胞に導入され、このことは当業者には明らかであるだろう。宿主細胞への核酸の導入についての様々な方法が当分野において公知であり、限定はされないが、エレクトロポレーション; 塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を用いたトランスフェクション; 微粒子銃; リポフェクション; およびインフェクション(ベクターが感染病原体である場合)が含まれる。
適切な宿主細胞としては、原核生物、酵母、哺乳動物細胞、またはバクテリア細胞が挙げられる。適切なバクテリアとしては、グラム陰性またはグラム陽性菌、例えば、大腸菌(E. coli)または桿菌種、酵母、好ましくはサッカロマイセス属からのもの、例えば出芽酵母、が挙げられ、ポリペプチドの製造に用いてもよい。様々な哺乳動物または昆虫細胞培養系もまた、リコンビナントタンパク質の発現に用いることができる。昆虫細胞における異種タンパク質の製造のためのバキュロウイルス系が、LuckowおよびSummers(Bio/Technology, 6:47, 1988)により概説されている。適切な哺乳動物宿主細胞株の例としては、内皮細胞、COS-7サル腎細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞、HeLa、293、293T、およびBHK細胞株が挙げられる。適切な宿主/ベクター系を培養してリコンビナントタンパク質を発現させることによって、精製ポリペプチドを調製する。多くの応用においては発現の好ましい方法として、本明細書に記載の小サイズの多くのポリペプチドが大腸菌において発現される。その後、該タンパク質を培地または細胞抽出物から精製する。
さらなる発現および細胞の実施態様
製造において好ましいタンパク質および細胞の実施態様は、フィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)、および関連タンパク質である。
本明細書におけるベクター中のDNAのクローニングまたは発現に適切な宿主細胞は、上記の原核生物、酵母または高等真核生物細胞である。この目的に適切な原核生物としては、真正細菌、例えばグラム陰性またはグラム陽性菌(例えば、大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ(例えば、サルモネラ・チフィリウム)、セラチア(例えば、セラチア・マルセセンス)および赤痢菌などの腸内細菌科、ならびに枯草菌およびバチルス・リケニフォルミス(例えば、1989年4月12日に公開されたDD 266,710に開示のバチルス・リケニフォルミス41P)などの桿菌、緑膿菌およびストレプトマイセスなどのシュードモナスが挙げられる。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,446)であるけれども、他の菌株、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、および大腸菌W3110(ATCC 27,325)も適切である。これらの例は限定ではなくむしろ例示である。
原核生物に加えて、真核微生物(例えば糸状菌または酵母)も、タンパク質コードベクターの適切なクローニング宿主または発現宿主である。出芽酵母、または通常のパン酵母が、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に用いられる。しかしながら、いくつかの他の属、種、および株が一般的に利用可能であり、本明細書において有用である(例えば、分裂酵母; クリベロマイセス宿主、例えば、クリベロマイセス・ラクチス、クリベロマイセス・フラジリス(ATCC 12,424)、クリベロマイセス・ブルガリカス(ATCC 16,045)、クリベロマイセス・ウィッケラミイ(wickeramii)(ATCC 24,178)、クリベロマイセス・ワルティイ(waltii)(ATCC 56,500)、クリベロマイセス・ドロソフィラルム(drosophilarum)(ATCC 36,906)、クリベロマイセス・サーモトレランス、およびクリベロマイセス・マルキシアヌス(marxianus)など; ヤロウイア(EP 402,226); ピキア・パストリス(EP 183,070); カンジダ; トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesia)(EP 244,234); アカパンカビ; シュワニオマイセス(Schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オキシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis); ならびに、例えばパンカビ、アオカビ、トリポクラジウム(Tolypocladium)、およびアルペルギルス宿主(例えばアスペルギルス・ニデュランスおよびクロコウジカビ)などの糸状菌)。
本発明のグリコシル化されたタンパク質の発現に適切な宿主細胞は多細胞生物由来である。無脊椎動物細胞の例としては、植物および昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株および変異株、ならびに、ヨトウガ(イモムシ)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、およびカイコといった宿主からの対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクション用の様々なウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異株およびカイコNPVのBm-5株が公的に入手可能であり、そのようなウイルスは、とりわけヨウトガ細胞のトランスフェクションのために、本発明に従ってウイルスとして本明細書で用いられ得る。
場合によっては、脊椎動物細胞においてタンパク質を製造すること(例えばグリコシル化)が望ましく、培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖が日常的な方法となっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40により形質転換したサル腎臓細胞CV1株(COS-7, ATCC CRL 1651); ヒト胎児由来腎臓細胞株(懸濁培養での増殖用にサブクローニングした293または293細胞、Graham et al. J. Gen Virol. 36:59. (1977)); ベビーハムスター腎臓細胞(BHK, ATCC CCL 10); チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)); マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)); サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70); アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587); ヒト子宮頸癌細胞(HELA, ATCC CCL 2); イヌ腎臓細胞(MDCK, ATCC CCL 34); バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442); ヒト肺細胞(W138, ATCC CCL 75); ヒト肝臓細胞(Hep G2, HB 8065); マウス乳房腫瘍(MMT 060562, ATCC CCL51); TRI細胞(Mather et al. Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)); MRC 5細胞; FS4細胞; ヒトヘパトーマ株(Hep G2); およびミエローマまたはリンパ腫細胞(例えば、Y0、J558L、P3およびNS0細胞)(米国特許第5,807,715号参照)である。
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ豆、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養物もまた宿主として用いることができる。
宿主細胞を、タンパク質産生用の本明細書記載の発現ベクターまたはクローニングベクターを用いて形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または目的の配列をコードする遺伝子の増幅をするために適するように改変した通常の栄養培地において培養する。
細胞の培養
本発明のタンパク質の製造に用いる宿主細胞は、様々な培地において培養され得る。市販の培地、例えばHam's F10(Sigma)、基礎培地((MEM), Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM), Sigma)が、宿主細胞の培養に適切である。さらに、Ham et al. Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes et al. Anal. Biochem.102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号; 第4,657,866号; 第4,927,762号; 第4,560,655号; もしくは第5,122,469号; PCT国際出願公開第90/03430号; 第87/00195号; または米国特許第Re. 30,985号に記載の培地のいずれも宿主細胞の培地として用いてよい。これらの培地に、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えばインスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン(商標)薬)、微量元素(通常は最終濃度にマイクロモルの範囲で存在する無機化合物と定義される)、およびグルコースまたは同等のエネルギー源を補充してもよい。いずれの他の必要なサプリメントもまた適当な濃度で含まれ得て、それは当業者に公知であろう。培養条件、例えば、温度、pHなどは、発現用に選択した宿主細胞で以前用いられたものであり、当業者には明らかであろう。
本明細書に記載のタンパク質はまた、細胞翻訳系を用いて製造することもできる。そのような目的のためには、mRNAを産生するためにin vitro転写が可能なように、および用いられる特定の無細胞系におけるmRNAの無細胞翻訳(哺乳動物もしくは酵母などの真核生物無細胞翻訳系、またはバクテリアなどの原核生物の無細胞翻訳系)が可能なように、ポリペプチドをコードする核酸を修飾しなければならない。
本発明のタンパク質はまた、化学合成(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984, The Pierce Chemical Co., Rockford, ILに記載の方法により)により製造することもできる。タンパク質に対する修飾もまた、化学合成によって成すことができる。
本発明のタンパク質は、タンパク質化学の分野で公知の一般的なタンパク質の単離/精製方法によって精製することができる。非限定的な例としては、抽出、再結晶化、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムを用いて)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疏水クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組みあわせが挙げられる。精製後、ポリペプチドを、当分野で公知の様々な方法(限定はしないが、濾過および透析が含まれる)のいずれかによって、異なるバッファーへ交換し、および/または濃縮してもよい。
精製されたポリペプチドは、好ましくは少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも98%純粋である。純度の正確な数値にかかわらず、該ポリペプチドは医薬品として用いるのに十分に純粋である。
さらなるグリコシル化実施態様
いくつかの実施態様において、本発明に用いられるタンパク質をグルコシル化することが好ましい場合がある。好ましくは、そのようなタンパク質はフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)である。アドネクチン(商標)はグルコシル化部位を通常は含まないけれども、そのようなグルコシル化を該タンパク質に遺伝子操作してもよい。
タンパク質のグルコシル化は典型的には、N-結合またはO-結合である。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への糖鎖の結合を言う。該トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニン(ここで、Xはプロリン以外のいずれのアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖鎖の酵素的結合に対する認識配列である。これらを本発明のタンパク質、とりわけフィブロネクチンベースのスキャフォールド、例えばアドネクチン(商標)、およびそれらの対応するポリヌクレオチドに遺伝子操作することができる。従って、ポリペプチドにこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在することでグルコシル化可能部位が作り出される。O-結合グルコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸(5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも用いられ得るけれども、最も一般的にはセリンまたはスレオニン)への糖(N-アセチルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロース)のうちの1つの結合を言う。
本発明のタンパク質へのグルコシル化部位の付加が、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変化させることによって、都合よく達成される(N-結合グルコシル化部位の場合)。該変更は、原(original)抗体の配列への、1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加、あるいは1つ以上のセリンまたはスレオニン残基による置換によってなされてもよい(O-結合グルコシル化部位についての場合)。
そのような本発明のタンパク質のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当分野で公知の様々な方法により製造される。これらの方法としては、限定はされないが、天然供給源(natural source)からの単離(天然のアミノ酸配列変異体の場合)、または先に調製した変異体または非変異型のタンパク質(例えば、アドネクチン(商標)などのフィブロネクチンベースのスキャフォールド)のオリゴヌクレオチド媒介(または部位直接的)変異誘発による製造、PCR変異誘発、およびのカセット変異導入が挙げられる。
例えば抗体の抗原依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するように、エフェクター機能に関して本発明のタンパク質を修飾することが望ましい場合がある。これは、Fc領域の活性部分の導入ならびに該タンパク質(例えば、アドネクチン(商標)といったフィブロネクチンベースのスキャフォールド)のFc領域における1つ以上のアミノ酸修飾の導入によって、変異Fc領域を形成させることにより、達成されうる。該Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸の位置でのアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含有してもよい。
一実施態様において、該変異Fc領域はネイティブ配列Fc領域よりも、ヒトエフェクター細胞の存在下においてより効果的に抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を媒介し得るか、あるいはより高い親和性でFcγ受容体(FcγR)を結合し得る。そのようなFc領域変異体は、Fc領域のポジション256、290、298、312、326、330、333、334、360、378または430のうちのいずれか1つ以上でのアミノ酸修飾を含有し得る(ここで、Fc領域中の残基のナンバリングはKabatによるEUインデックスである)。
部分および誘導体を含む、さらなる抗体ベースタンパク質
本発明に有用なタンパク質のさらなる実施態様としては単一ドメイン抗体が挙げられ、相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体は、好ましくは、VEGFR-2を対象とするとともに、本発明のPEG結合タンパク質に含まれる。例としては、限定はされないが、H鎖抗体、天然にL鎖を欠く抗体、通常の4本鎖抗体由来の単一ドメイン抗体、遺伝子操作抗体、および単一ドメインスキャフォールド(抗体由来のもの以外)が挙げられる。単一ドメイン抗体は、当分野の、または将来出現するいずれの単一ドメイン抗体であってもよい。単一ドメイン抗体は、限定はされないが、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシを含むいずれの種由来であってもよい。本発明の一態様によると、本明細書で用いる単一のドメイン抗体は、L鎖を欠くH鎖抗体として知られる天然の単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、PCT国際出願公開第94/04678号に記載されている。天然にL鎖を欠くH鎖抗体由来のこの可変ドメインは本明細書において、4本鎖免疫グロブリンの通常のVHと区別するために、VHHまたはナノボディ(nanobody)として呼ばれている。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、例えばラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、ビクーニャ、アルパカおよびグアナコで産生された抗体由来であることができる。ラクダ科に加えて他の種も、天然にL鎖を欠くH鎖抗体を産生し得て; そのようなVHHは本発明の範囲内である。
本発明によって、および当業者に公知のとおり、VHHは、天然にL鎖を欠く免疫グロブリン由来のH鎖可変ドメイン、例えばPCT国際出願公開第94/04678号に記載のラクダ科由来のもの(以降、VHHドメインまたはナノボディと言う)である。VHH分子は、IgG分子よりも約10倍小さい。それらは、単一ポリペプチドであり、非常に安定で、極端なpHおよび温度条件に抵抗性がある。さらにそれらは、通常の抗体の場合にはない、プロテアーゼの作用に対する抵抗性がある。さらにその上、VHHのin vitro発現は、高収率で、適切に折りたたまれた機能的VHHを産生する。加えて、ラクダ科の動物で産生された抗体は、抗体ライブラリーの使用によってin vitroで産生された抗体によってか、またはラクダ科の動物以外の哺乳動物の免疫化を介して産生された抗体によって認識されるもの以外のエピトープを認識するであろう(PCT国際出願公開第9749805号参照)。そのように、抗VEGFR-2 VHHは通常の抗体よりもより効果的にVEGFR-2と相互作用し得て、それによりVEGFRリガンドとのその相互作用をより効果的に遮断する。VHHは「異常な」エピトープ(例えば腔または溝)に結合すると知られている(PCT国際出願公開 第97/49805号参照)ことから、そのようなVHHの親和性が治療的処置に、より一層適し得る。
本発明の方法において有用なVEGFR-2特異的阻害剤の別の例は、VEGFR-2または近縁のファミリーメンバーに対するラクダ科VHHの配列に対応する配列から成る抗VEGFR-2である。本発明はまた、該ポリペプチドの相同配列、機能部分または相同配列の機能的部分に関する。本発明はまた、該ポリペプチドをコードし得る核酸に関する。本発明の単一ドメイン抗体は、VEGFR-2または近縁のファミリーメンバーに対するものであってよい。
本明細書において有用なポリペプチドコンストラクトは、例えば血清アルブミンといった他の標的に対する単一ドメイン抗体をさらに含んでよい。標的に対する単一ドメイン抗体とは、10-6 M以上の親和性で該標的に結合し得る単一ドメイン抗体を意味する。
本発明はさらに、ヒト様配列を有するクラスに属するVHHの単一ドメイン抗体の使用に関する。1つのそのようなクラスは、該VHHが、Kabatナンバリングに従って、ポジション45に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、またはグルタミンからなる群からのアミノ酸(例えばL45)を有し、ポジション103にトリプトファンを有することを特徴とする。このように、このクラスに属するポリペプチドはヒトVHフレームワーク領域に対して高いアミノ酸配列相同性を示し、該ポリペプチドは、それによる望ましくない免疫反応の生じるおそれ、およびさらなるヒト化の負担を伴わずに、ヒトに直接投与され得るであろう。
ラクダ科単一ドメイン抗体の別のヒト様クラスはPCT国際出願公開第03/035694号に記載されており、ヒト由来または他の種由来の通常の抗体において典型的に見いだされる疎水性FR2(フレームワーク2)を含有するが、この親水性の喪失を二本鎖抗体からのVHに存在する保存されたトリプトファン残基を置換するポジション103に付けられたアルギニン残基により補う。このように、これらの2つのクラスに属するペプチドはヒトVHフレームワーク領域に対する高いアミノ酸配列相同性を示し、該ペプチドはそれによる望ましくない免疫反応の生じるおそれ、およびさらなるヒト化の負担を伴わずにヒトに直接投与され得るであろう。本発明はまた、該ポリペプチドをコードし得る核酸に関する。
ポリペプチドは、全長ラクダ科抗体、すなわちFcおよびVHHドメインを含み得る。
抗アルブミンVHHは、担体タンパク質として知られる血清アルブミンとより効果的な方法で相互作用し得る。担体タンパク質として、血清アルブミンのエピトープのいくつかは、結合タンパク質、ペプチドおよび小さな化合物により隔絶され得る。VHHは「異常な」または通常でないエピトープ、例えば腔に結合すると知られている(PCT国際出願公開第97/49805号参照)ことから、循環アルブミン(circulating albumin)に対するそのようなVHHの親和性は、治療的処置に対してより一層適切であり得る。該血清タンパク質は、対象の血清中に認められるいずれの適切なタンパク質またはそのフラグメントであってよい。本発明の一態様において、該血清タンパク質は血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン-結合タンパク質、トランスフェリンまたはフィブリノーゲンである。目的の用途(例えば効果的な治療に必要な半減期および/または標的抗原の細分化(compartimentalisation))に依存して、該VHH-パートナーは上記の血清タンパク質のうちの1つに向けられ得る。
「抗体フラグメント」は、無傷抗体の一部(一般に、無傷抗体の抗原結合部位を含むことによって抗原を結合する能力を保持する部分)のみを含む。本定義により包含される抗体フラグメントの例としては: (i) VL、CL、VHおよびCH1ドメインを有するFabフラグメント; (ii) CH1ドメインのC-末端に1つ以上のシステイン残基を有するFabフラグメントである、Fab'フラグメント; (iii) VHおよびCH1ドメインを有するFdフラグメント; (iv) VHおよびCH1ドメインならびにCH1ドメインのC-末端に1つ以上のシステイン残基を有するFd'フラグメント; (v) 抗体の単一アーム(single arm)のVLおよびVHドメインを有するFvフラグメント; (vi) VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward et al. Nature 341, 544-546 (1989)); (vii) 単離されたCDR領域; (viii) F(ab')2フラグメント、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により結合した2つのFab'フラグメントを含む2価のフラグメント; (ix) 単鎖抗体分子(例えば、単鎖Fv; scFv)(Bird et al. Science 242:423-426 (1988); およびHuston et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883 (1988)); (x) 2つの抗原結合部位を有し、同一のポリペプチド鎖中においてL鎖可変ドメイン(VL)に結合したH鎖可変ドメイン(VH)を含有する「二重特異性抗体」(例えば、欧州特許第404,097号; PCT国際出願公開第93/11161号; およびHollinger et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照); (xi)相補的L鎖ポリペプチドと一緒になって1対の抗原結合領域を形成する1対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含有する「線状抗体」(Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995); および米国特許第5,641,870号)が挙げられる。
様々な技法が抗体フラグメントの製造のために開発されており、それを本発明で用いる抗体フラグメントの作製に用いてもよい。伝統的には、無傷抗体のタンパク質消化を介してこれらのフラグメントを得ていた(例えば、Morimoto et al. J. Biochem. Bioph. Methods 24:107-117 (1992); およびBrennan et al. Science, 229:81 (1985)参照)。しかしながら現在では、これらのフラグメントはリコンビナント宿主細胞により直接的に製造することができる。例えば、該抗体フラグメントは、上述の抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SHフラグメントを大腸菌から直接的に回収し、化学的にカップリングさせてF(ab')2フラグメントを形成することができる(Carter et al. Bio/Technology 10:163-167 (1992))。別の方法に従って、F(ab')2フラグメントをリコンビナント宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体フラグメントの製造に関する他の技法は当業者には明かであろう。他の実施態様において、一般に好まれる抗体は単鎖Fvフラグメント(scFv)である(PCT国際出願公開第93/16185号ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号参照)。該抗体フラグメントはまた、例えば米国特許第5,641,870号に記載ものといった「線状抗体」であり得る。そのような線状抗体フラグメントは単一特異的または二重特異的であってよい。
別の標的タンパク質治療薬
ある特定の実施態様において、本明細書に記載の本明細書において有用なタンパク質は、1つ以上のアビマー配列を含み得る。アビマーは様々な標的分子(本明細書に記載のものを含む)に対して親和性および特異性を有するタイプの結合タンパク質である。これらのタンパク質は、本発明のPEG結合実施態様に包含され得る。それらは、in vitroエキソンシャッフリングおよびファージディスプレイによってヒト細胞外受容体ドメイン(extracellular receptor domain)から開発された(Silverman et al. 2005, Nat. Biotechnol. 23:1493-94; およびSilverman et al. 2006, Nat. Biotechnol. 24:220.参照)。得られた多ドメインタンパク質は、複数の独立した結合ドメインを含み、単一エピトープ結合タンパク質と比べて、親和性(場合によってはナノモル以下)および特異性の向上を示し得る。様々な実施態様において、アビマーは、例えばPEGまたはポリペプチドリンカーを用いて結合され得る。アビマーの構築および使用についてのさらなる詳細は、例えば、米国特許出願第10/693,057号、第10/693,056号、第10/840,723号、第10/871,602号および第10/966,064号に開示されており、その各々の実施例の項ならびに全般が、引用により本明細書に援用される。
ある特定の実施態様において、本明細書に記載の本発明の方法において有用なタンパク質は、1つ以上のリポカリン関連配列、例えば、アンチカリン(anticalin)またはリポカリン誘導体を含み得る。アンチカリンまたはリポカリン誘導体は、様々な標的分子(本明細書に記載のものを含む)に対して親和性および特異性を有するタイプの結合タンパク質である。そのようなタンパク質は、米国特許出願第11/224,071号-アンチカリン、米国特許出願第10/490,953号-「ヒト好中球ゼラチナーゼ-関連リポカリンおよび関連タンパク質の変異タンパク質」、米国特許出願第10/491,001-「アポリポタンパク質dの変異タンパク質」およびPCT国際出願公開第06/056464号に記載されている。これらのタンパク質は本発明のPEG結合実施態様に包含され得る。
ある特定の実施態様において、本明細書に記載の本発明の方法において有用なタンパク質は、1つ以上のテトラネクチンC-型レクチン関連配列またはトリネクチン、例えば、テトラネクチンC-型レクチンまたはテトラネクチンC-型レクチン誘導体を含み得る。テトラネクチンC-型レクチンまたはテトラネクチンC-型レクチン誘導体は様々な標的分子(本明細書に記載のものを含む)に対して親和性および特異性を有するタイプの結合タンパク質である。異なるテトラネクチンC-型レクチンおよび関連タンパク質は、PCT国際出願公開第06/053568号; 第05/080418号; 第04/094478号; 第04/039841号; 第04/005335号; 第02/048189号; および第98/056906号、ならびに米国特許出願第11/064,115号に記載されている。これらのタンパク質は本発明のPEG結合実施態様に包含され得る。
本発明のタンパク質に結合する毒物および他の分子
本明細書に記載の本発明の方法において有用なタンパク質は、細胞傷害性薬物に結合し得る。そのような実施態様は、必要に応じてin vitroまたはin vivoでの方法によって製造することができる。
in vitroでの方法には、タンパク質と互換性のある化学作用、例えば特定のアミノ酸(CysおよびLysなど)に対する化学作用を含む、当分野で周知の共役化学が含まれる。細胞傷害性薬物を本発明のタンパク質に結合させるために、結合基または反応性基が用いられる。適切な結合基は当分野で周知であり、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光解離性基、ペプチダーゼ不安定基およびエステラーゼ不安定基が含まれる。好ましい結合基は、ジスルフィド基およびチオエーテル基である。例えば、複合体は、ジスルフィド交換反応を用いてか、あるいは該抗体および該細胞傷害性薬物間のチオエーテル結合の形成によって構築することができる。好ましい細胞傷害性薬物は、マイタンシノイド、タキサンおよびCC-1065のアナログである。
in vivoでの方法には、毒性タンパク質、タグ化タンパク質またはラベル化タンパク質を本発明のタンパク質に融合タンパク質として結合させることが含まれる。単一のポリペプチドは、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて製造される。毒性タンパク質は、毒物抵抗性または毒物非感受性細胞において発現させるか、あるいは感受性細胞において誘導プロモーターを用いて発現させることにより、制御することができる。
非限定的であるけれども、様々な実施態様において、本発明のタンパク質は、細菌性毒素、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、プロテアーゼ、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素(diphtherin toxin)、シュードモナス外毒素、シュードモナスエンドトキシン、ランピルナーゼ(Ranpimase)(Rap)、Rap(N69Q)、酵素、または蛍光タンパク質などのタンパク質に結合し得る。
マイタンシノイドおよびマイタンシノイドアナログは、好ましい細胞傷害性薬物である。適切なマイタンシノイドの例としては、マイタンシノールおよびマイタンシノールアナログが挙げられる。適切なマイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号; 第4,256,746号; 第4,294,757号; 第4,307,016号; 第4,313,946号; 第4,315,929号; 第4,331,598号; 第4,361,650号; 第4,362,663号; 第4,364,866号; 第4,450,254号; 第4,322,348号; 第4,371,533号; 第6,333,410号; 第5,475,092号; 第5,585,499号; および第5,846,545号に記載されている。
タキサンもまた好ましい細胞傷害性薬物である。本発明における使用に適切なタキサンは米国特許第6,372,738号および第6,340,701号に記載されている。
CC-1065およびそのアナログもまた、本発明における使用に好ましい細胞傷害性薬物である。CC-1065 およびそのアナログは米国特許第6,372,738号; 第6,340,701号; 第5,846,545号および第5,585,499号に記載されている。
そのような細胞毒性複合体(cytotoxic conjugate)の製剤の魅力的な候補はCC-1065であり、それはストレプトマイセス・ゼレンシス(Streptomyces zelensis)の培養ブロスから単離された強力な抗腫瘍抗生物質である。CC-1065は、通常用いる抗癌剤、例えばドキソルビシン、メトトレキサートおよびビンクリスチンよりも、in vitroにおいて約1000倍強力である(B. K. Bhuyan et al. Cancer Res., 42, 3532-3537 (1982))。
細胞傷害性薬物、例えばメトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、およびカリチアマイシンもまた、本発明の複合体の製剤に適しており、該薬物分子はまた、中間の担体分子(例えば血清アルブミン)を介して抗体分子に結合することができる。
結合(Conjugation)
検出可能な部分へのタンパク質の結合のための当分野で公知のいずれの方法を用いてもよく、Hunter, et al. Nature 144:945 (1962); David, et al. Biochemistry 13:1014 (1974); Pain, et al. J. Immunol. Meth. 40:219 (1981); およびNygren, J. Histochem. and Cytochem. 30:407 (1982)により記載の方法が含まれる。
in vitroでの方法には、タンパク質と互換性のある化学作用、例えば特定のアミノ酸(CysおよびLysなど)に対する化学作用を含む、当分野で周知の共役化学が含まれる。ある部分(例えばPEG)を本発明のタンパク質に結合させるために、結合基または反応基が用いられる。適切な結合基は当分野で周知であり、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光解離性基、ペプチダーゼ不安定基およびエステラーゼ不安定基が含まれる。応用に応じて、好ましい結合基は、ジスルフィド基およびチオエーテル基である。
Cysアミノ酸を持たないフィブロネクチンベースのスキャフォールド(例えばアドネクチン(商標))または他のタンパク質に関しては、結合のための場所を作り出すと同時に、タンパク質の活性が許容されるような位置に、Cysを遺伝子操作することができる。
製剤および投与
本発明の治療用製剤は、目的の純度である記載のタンパク質と、適宜、生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))を混合することにより、水溶液、凍結乾燥もしくは他の乾燥製剤の形態で、保存用に製造される。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる用量および濃度においてレシピエントに対して無毒であり、それには、バッファー、例えばリン酸、クエン酸および他の有機酸; 抗酸化剤(アスコルビン酸およびメチオニンが含まれる); 保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジル(octadecyidimethylbenzyl)アンモニウムクロリド; ヘキサメトニウムクロリド; ベンザルコニウムクロリド, ベンゼトニウムクロリド; フェノール, ブチルまたはベンジルアルコール; アルキルパラベン(例えばメチルまたはプロピルパラベン); カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; およびm-クレゾール); 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン; 親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン; アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン; 単糖、二糖、および他の糖(グルコース、マンノース、またはデキストランが含まれる); キレート剤、例えばEDTA; 糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール; 塩形成カウンターイオン、例えばナトリウム; 金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体); および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)、が含まれる。
本明細書の製剤はまた、治療される特定の徴候のために、必要に応じて2以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含み得る。活性化合物の組み合わせの例を本明細書に提供する。そのような分子は、適切には、意図された目的に対して有効である量の組み合わせで存在する。
該活性成分は、例えば、コアセルベーション技法または界面重合により製造されたマイクロカプセル、例えば各々、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションで封入され得る。そのような技法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。
in vivo投与に用いる製剤は無菌でなくてはならない。これは、無菌濾過膜を通して濾過することにより容易に達成される。
徐放製剤を製造してもよい。徐放製剤に適切な例としては、本発明のタンパク質を含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリクス(semipermeable matrices)が挙げられ、該マトリクスは成形物(shaped article)、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放マトリクスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919)、L-グルタミン酸およびγ-エチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性エチレン-ビニルアセテート、分解性乳酸-グリコール酸共重合体(例えばLUPRON DEPOT(商標))(乳酸-グリコール酸共重合体およびロイプロリド酢酸塩から成る注入可能なミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。ポリマー(例えばエチレン-ビニルアセテートおよび乳酸-グリコール酸)は100日間以上にわたって分子の放出が可能である一方、いくつかのハイドロゲルはより短期間にタンパク質を放出する。カプセルに封入した場合、本発明のタンパク質は体内に長期間保持され、37℃での水分への曝露を受けて変性または凝集され得て、その結果、生物学的活性の損失および免疫原性における変化をもたらす。関与するメカニズムに応じ、安定化について論理的ストラテジーを考案することができる。例えば、凝集メカニズムがチオ-ジスルフィド交換を介した分子間S-S結合形成であると見いだされた場合、安定化は、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分量の制御、適当な添加剤の使用、および特異的ポリマーマトリクス組成物の開発により達成され得る。
当業者であれば各治療薬の用量は薬剤の特性に依存し得ることを理解するであろうが、好ましい用量は約10 mg/平方メートルから約2000 mg/平方メートル、より好ましくは約50 mg/平方メートルから約1000 mg/平方メートルの範囲であり得る。好ましい薬剤(例えば白金剤(カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン))について、好ましい用量は約10 mg/平方メートルから約400 mg/平方メートルであり、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)についての好ましい用量は約20 mg/平方メートルから約150 mg/平方メートルであり、ゲムシタビンについての好ましい用量は約100 mg/平方メートルから約2000 mg/平方メートルであり、そして、カンプトテシンについて好ましい用量は約50 mg/平方メートルから約350 mg/平方メートルである。この治療薬および他の治療薬の用量は、本発明の抗体、抗体フラグメントまたは複合体が、治療薬と同時に投与されるか連続して投与されるかどうかに依存し得る。
VEGFR-2特異的阻害剤は、医薬的に許容される剤形で対象に投与される。それらを、ボーラスとしてまたは一定期間にわたる持続注入により静脈内に投与するか、筋肉内、皮下、関節内、滑液嚢内、くも膜下腔内、眼球内、経口、局所、あるいは吸入経路により投与することができる。該タンパク質を、局所ならびに全身に治療効果を与えるように、腫瘍内、腫瘍周囲、病巣内、または病変周囲経路によって投与してもよい。適切な医薬的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤は周知であり、臨床状態が許容するように当業者により決定することができる。適切な担体、希釈剤および/または賦形剤の例としては: (1) 約1 mg/mLから25 mg/mLのヒト血清アルブミンを含有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、pH約7.4、 (2) 0.9%生理食塩水(0.9% w/v NaCl)、および(3) 5% (w/v)ブドウ糖が挙げられる。本発明の方法は、in vitro、in vivo、またはex vivoで実施することができる。製剤の例は、pH約4から約7.5の、5-100 mM 酢酸ナトリウム、50 mMから高張濃度を含む濃度のマンニトールまたは同等の賦形剤(例えば、ソルビトール)、適宜、塩化ナトリウム0からら約200 mMを含む。一実施態様において、該製剤は、pH4.5で、約10 mM 酢酸ナトリウム、約100 mM 塩化ナトリウム、および約110 mM マンニトールを含有する。別の実施態様において、該製剤は、pH約4.5から約6で、10 mM 酢酸ナトリウムおよび100 mMのマンニトールを含有する。該阻害剤は、製剤中に1から15 mg/mLの濃度であることができる。一実施態様において、該タンパク質の濃度は約9から約11 mg/mLである。VEGFR-2特異的阻害剤、および1つ以上のさらなる治療薬の投与は、共投与であろうと連続投与であろうと、上記のとおりであり得る。共投与用の適切な医薬的に許容される担体、希釈剤、および賦形剤は、共投与される特定の治療薬の特性に依存することが当業者により理解されるであろう。
凍結乾燥ではなく水性剤形で存在する場合、該タンパク質は、典型的には約0.1 mg/mLから約100 mg/mLの濃度(これらの範囲を超えて幅広い変化が可能であるけれども)で製剤化され得る。疾患の治療において、該抗体または複合体の適当な用量は、上記のような治療する疾患の種類、該疾患の重症度および経過、抗体が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の治療の経過、患者の臨床歴および該抗体への反応、および担当医の裁量に依存するであろう。該タンパク質は適切には、1回の処置または一連にわたる処置で患者に投与される。
疾患の種類および重症度に依存して、例えば、1回以上の個別投与によってであろうと連続注入によってであろうと、好ましくは約1 mg/平方メートルから約2000 mg/平方メートルのタンパク質、より好ましくは約10 mg/平方メートルから約1000 mg/平方メートルの抗体が、患者への投与の初期の候補用量である。数日間またはそれ以上にわたる反復投与に関しては、該症状に応じて、病徴の望ましい抑制が生じるまで該治療が繰り返される。しかしながら、他の投与レジメンが有用であってもよく、除外されない。
本発明はまた、転移性癌を有するか転移性癌が進行する危険のある患者の治療に有用なキットも含み、該キットは本明細書に記載の1つ以上の要素、およびそれら要素の使用のための説明書を含む。好ましい実施態様において、本発明のキットはVEGFR-2特異的阻害剤および抗悪性腫瘍剤組成物を含む。該キットに用いる抗悪性腫瘍剤組成物は、本明細書に前述したいずれの癌のためのいずれの適切な化学療法薬を含んでよい。
キットを提供する場合、該構成物の異なる構成要素を別個の容器に入れ、使用の直前に混合してもよい。構成要素のそのような別個の包装は、活性成分の機能を損失させることなく、長期保存を可能にし得る。
キットに含まれる試薬は、異なる要素の有効期間が保持され、容器の材質により吸着または変質されないような、いずれの種類の容器で提供することができる。例えば、密閉ガラスアンプルは凍結乾燥させた治療薬またはバッファーを含み得て、それは中性の非反応性気体(例えば窒素)の下でパックされる。アンプルは、いずれの適切な材質、例えばガラス、有機ポリマー(例えばポリカーボネート、ポリスチレンなど)、セラミック、金属、または同様の試薬を入れるのに典型的に用いられるいずれの他の材質から成り得る。適切な容器の他の例としては単純なボトルが挙げられ、それはアンプルおよびエンベロープと同様の物質から作ってもよく、ホイルで裏打ちした内部(例えばアルミニウムまたは合金)を有してもよい。他の容器には、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、IVバッグ、シリンジなどが含まれる。容器は無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、皮下注射針を刺し通すことができる栓を有するボトル)。他の容器は容易に取り外し可能な膜により区切られた2つの区画を有してよく、その膜を取り外すことにより該成分が混合される。取り外し可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであってよい。
キットはまた、取扱説明資料とともに提供され得る。取扱説明書は紙または他の材質に印刷されていてよく、および/または電子可読媒体(electronic-readable medium)、例えばフロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープ、フラッシュメモリーデバイスなど、として提供してもよい。詳細な説明はキットに付随しない場合があり; その代わりに使用者は、キットの製造業者または販売業者によって指定されたインターネットウェブサイトにより指示され得るか、あるいは電子メールとして提供される。
本明細書に記載の方法で投与される細胞傷害性薬物または治療薬の用量は、当業者によって容易に決定され得る。適切な用量の決定において、医薬品添付文書もまた参考にされ得る。例として、以下の添付文書がワールドワイドウェブ:
スーテント(商標)については pfizer.com/pfizer/download/news/asco/sutent_fact_sheet.pdf:
ネクサバール(商標)については
univgraph.com/bayer/inserts/nexavar.pdf;
ベバシズマブについてはgene.com/gene/products/information/oncology/herceptin/index.jsp;
トラスツズマブについてはgene.com/gene/products/information/oncology/herceptin/index.jsp;
ゲムシタビンについてはpi.lilly.com/us/gemzar.pdf;
テモゾロミドについてはfda.gov/cder/foi/label/1999/21029lbl.pdf;
グリベック(商標)についてはaccessdata.fda.gov/scripts/cder/onctools/labels.cfm?GN=imatinib%20mesylate;
パクリタキセルについてはaccessdata.fda.gov/scripts/cder/onctools/labels.cfm?GN=paclitaxel;
ドセタキセルについては http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/onctools/labels.cfm?GN=docetaxel;
で入手可能であり、引用により援用される。
さらなる特許参考文献
以下のさらなる特許出願および特許に記載の方法および組成物もまた本発明に含まれる: 米国特許出願第10/897,406号; 第10/735,916号; 第10/886,838号; 第10/800,197号; 第10/363,552号; 第10/309,722号; 第11/259,232号; 第11/154,103号; 第10/553,105号; 第10/650,592号; 第10/650,591号; 第10/792,498号; 第10/676,873号; 第10/728,078号; 第10/989,723号; 第11/483,918号; 第11/448,171号; および第11/482,641号; 米国特許第5,707,632号; 第6,818,418号; および第7,115,396号; ならびにPCT国際出願公開第05/085430号; 第04/019878号; 第04/029224号; 第05/056764号; 第01/064942号; および第02/032925号。
引用による援用
本明細書に記載の全ての文献および参照(特許文献およびウェブサイトを含む)は、全体または一部として本明細書に記載された場合それと同様の範囲まで、引用により本明細書に個々に援用される。
本発明は、以下の実施例を参照することにり説明されるが、それは単に例示目的であり、本発明を制限することを意図しない。本発明は詳細に説明されているが、その特定の実施態様に関して、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更および改変が可能であることが当業者には明かであろう。
実施例1
腫瘍転移の同所性モデルにおいて、Comp-Iはベバシズマブよりも実質的により一層活性であった。ヒトMDA-MB-231乳癌細胞をマウス乳腺脂肪パッドに、0日目に移植した(1 x 106 MDA-MB-231乳癌細胞)。生じた腫瘍を24日目に切除し、4日後に治療を開始した(切除時の平均腫瘍容積 = 400 mm3)。治療群は以下の通りであった: 対照: PBS、Comp-I: 30 mg/kg、およびベバシズマブ 5 mg/kg(週に2回、100 μL 腹腔内(IP)注射)。マウスを屠殺し、局所的な再増殖の範囲および肺転移の数を調べた。Comp-Iはベバシズマブよりも少ないマウス当りの生じた肉眼的転移を生じさせた。さらに、Comp-Iは該研究において、転移の発生率に顕著な効果を有した。ベバシズマブ処置動物での74%、および対照コホートでの84%に比べて、Comp-I処置マウスではたった30%が肺転移を示した(図1参照)。
配列表
配列番号:1はヒトフィブロネクチンタイプIIIドメインの10番目のモジュールである。
配列番号:2-60はVEGFR-2結合10Fn3ポリペプチドである。
配列番号:61はPEG化に適切なC-末端尾部である。
配列番号:62-65はフラグメント、とりわけヒトフィブロネクチンタイプIIIドメインの10番目のモジュールのループ構造である。

Claims (28)

  1. 転移性癌の治療、予防、または拡散の低減方法であって、それら処置を必要とする患者に処置用のVEGFR-2特異的阻害剤を投与することを含む、該方法。
  2. 該患者が乳癌を患っている、請求項1に記載の方法。
  3. 該VEGFR-2特異的阻害剤は、ヒトVEGFR-2に結合する第1のポリペプチドを含み、約80から約150のアミノ酸を含有する該ポリペプチドは、a)少なくとも2つのβシートに分布した少なくとも5〜7のβストランドもしくはβ-様ストランド、およびb)βストランドもしくはβ-様ストランドである2つのストランドを結合する少なくとも1つのループ部分(該ループ部分はVEGFR-2への結合に関与する)を含有する構造的構成を有し、ここで該ポリペプチドはヒトVEGFR-2タンパク質の細胞外ドメインに1 x 10-6 M未満の解離定数(Kd)で結合し、VEGFR-2媒介血管新生を阻害する、請求項1に記載の方法。
  4. 該ポリペプチドが配列番号:1に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含有する、請求項3に記載の方法。
  5. 該ポリペプチドが配列番号:2-60のいずれかからなる群から選択されるアミノ酸配列を含有する、請求項3に記載の方法。
  6. 該ポリペプチドがポリオキシアルキレン部分をさらに含有する、請求項3に記載の方法。
  7. 該ポリオキシアルキレン部分がポリエチレングリコール(PEG)部分である、請求項6に記載の方法。
  8. 第2の化学療法薬を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 該第2の薬剤がスニチニブマレートである、請求項8に記載の方法。
  10. 該第2の薬剤がラパチニブである、請求項8に記載の方法。
  11. 該第2の薬剤がソラフェニブである、請求項8に記載の方法。
  12. 該第2の薬剤がAZD2171である、請求項8に記載の方法。
  13. 該第2の薬剤がベバシズマブである、請求項8に記載の方法。
  14. 該第2の薬剤がアフリベルセプトである、請求項8に記載の方法。
  15. 該第2の薬剤がmTor阻害剤である、請求項8に記載の方法。
  16. 該mTor阻害剤がラパマイシンである、請求項15に記載の方法。
  17. 該第2の薬剤がゲムシタビンである、請求項8に記載の方法。
  18. 該第2の薬剤がテモゾロミドである、請求項8に記載の方法。
  19. 該第2の薬剤がダサチニブである、請求項8に記載の方法。
  20. 該第2の薬剤がセツキシマブである、請求項8に記載の方法。
  21. 該第2の薬剤がテムシロリムスである、請求項8に記載の方法。
  22. 該第2の薬剤がイクサベピロンである、請求項8に記載の方法。
  23. 該第2の薬剤がイマチニブメシレートである、請求項8に記載の方法。
  24. 該第2の薬剤がトラスツズマブである、請求項8に記載の方法。
  25. 該第2の薬剤がタキサンである、請求項8に記載の方法。
  26. 該第2の薬剤がオキサリプラチンである、請求項8に記載の方法。
  27. 該第2の薬剤が5-フルオロウラシルである、請求項8に記載の方法。
  28. 該VEGFR-2特異的阻害剤が、配列番号:1に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含有する第2のポリペプチドをさらに含む、請求項3に記載の方法。
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