JP2010538652A - B型肝炎プレs2核酸 - Google Patents
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Abstract
Description
抗体に基づくアプローチを用いる臨床サンプル中のHBVの適当な検出および定量は、組換えSHBと組換えMHBとの最適な混合物を含む陽性タンパク質対照または校正用物質に基づくものでありうる。HBV表面タンパク質MHBおよびSHBを発現させるために非コザックプレS2開始部位および野生型コザックS開始部位を使用する発現系は最適未満のMHBを与える。本発明者らは、非コザック配列から部分的コザック配列へのプレS2開始部位の改変が、HBV表面タンパク質MHBおよびSHBの混合物を、これらの2つのタンパク質間の抗原性の比の改善を伴って発現しうる核酸を与えるという発見をなした。驚くべきことに、突然変異により誘導された部分的コザックプレS2開始部位を使用するHBV表面タンパク質発現は、臨床サンプル中に見られるSHB対MHB抗原の比を、より正確に反映するようである。そのような修飾配列を使用して発現されたMHBは、抗HBVタンパク質抗体の反応性を試験するための陽性対照として既知濃度または比で、単独で、またはSHBと共に使用されうる。
本明細書中で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであるに過ぎず、限定的なものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる単数形表現は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形の対象物を含む。
本明細書中で用いる「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgFの抗体またはそれらのフラグメントもしくは誘導体、例えばFab、F(ab’)2、Fdおよび一本鎖抗体、ジアボディ、二重特異性抗体、二官能性抗体ならびにそれらの誘導体を意味しうる。抗体は、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対する十分な結合特異性を示すモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティ精製抗体またはそれらの混合物でありうる。抗体はまた、キメラ抗体でありうる。抗体は、当技術分野で公知の1以上の化学的部分、ペプチド部分またはポリペプチド部分の結合により誘導体化されうる。抗体は化学的部分にコンジュゲート化されうる。
ポリペプチドおよび固体支持体に言及するために本明細書中で用いる「結合」または「固定化」は、該ポリペプチドおよび該固体支持体の間の結合が、結合、洗浄、分析および除去の条件下で安定であるために十分なものであることを意味しうる。該結合は共有結合または非共有結合でありうる。共有結合は該ポリペプチドと該固体支持体との間で直接的に形成されることが可能であり、あるいは架橋剤により、または固体支持体もしくはプローブもしくはその両方の分子上に特異的反応性基を含有させることにより形成されうる。非共有結合は静電性、親水性および疎水性相互作用の1以上でありうる。非共有結合に含まれるのは、該支持体への例えばストレプトアビジンのような分子の共有結合、および該ストレプトアビジンへのビオチン化ポリペプチドの非共有結合である。固定化は共有的相互作用と非共有的相互作用との組合せを含みうる。
本明細書中で用いる「コード配列」は、適当な調節配列の制御下に配置された場合にmRNAへと転写される又はポリペプチドへと翻訳されるポリヌクレオチド配列を意味しうる。コード配列の境界は、5’末端の翻訳開始コドンおよび3’末端における翻訳停止コドンにより決定されうる。コード配列はmRNAまたは組換えポリペプチド配列を含みうる。
核酸に言及するために本明細書中で用いる「相補体」または「相補性」は、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック(例えば、A−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン塩基対を意味しうる。
本明細書中で用いる「エピトープ」または「抗原」はポリペプチドの抗原決定基を意味しうる。エピトープは、該エピトープに特有の空間的コンホメーションにおける3アミノ酸を含みうる。エピトープは少なくとも4〜10アミノ酸を含みうる。空間的コンホメーションの検査方法は当技術分野で公知であり、X線結晶学および二次元核磁気共鳴を包含する。
本明細書中で用いる「遺伝子」は、転写および/もしくは翻訳調節配列ならびに/またはコード領域および/もしくは非翻訳配列(例えば、イントロン、5’−および3’−非翻訳配列)を含む天然(例えば、ゲノム)または合成遺伝子でありうる。遺伝子のコード領域は、アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列でありうる。遺伝子はまた、コード領域に対応するmRNAまたはcDNA(例えば、エキソンおよびmiRNA)であることが可能であり、これは、場合によっては、それに連結された5’−または3’−非翻訳配列を含む。遺伝子はまた、コード領域および/またはそれに連結された5’−もしくは3’−非翻訳配列の全部または一部を含むインビトロで産生された増幅核酸分子でありうる。
本明細書中で用いる「宿主細胞」は、天然に存在する細胞、またはベクターを含有し該ベクターの複製を支持しうる形質転換された細胞でありうる。宿主細胞は、培養細胞、外植片、インビボの細胞などでありうる。宿主細胞は原核生物細胞、例えば大腸菌(E.coli)、または真核生物細胞、例えば酵母、昆虫、両生類または哺乳類細胞、例えばCOS−7、CHOおよびHeLaでありうる。
2以上のポリペプチド配列の文脈において本明細書中で用いる「同一」または「同一性」は、それらの配列が、特定された領域にわたって同一である特定された割合(%)の残基を有することを意味しうる。該割合は、2つの配列を最適に整列させ、特定された領域にわたってそれらの2つの配列を比較し、同一残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、一致した位置の数を、特定された領域における位置の総数で割り算し、その結果に100を掛け算して、配列同一性の割合(%)を得ることにより計算されうる。それらの2つの配列が、異なる長さのものである場合、または該整列(アライメント)が1以上の食い違った末端を与え、特定された比較領域が単一の配列のみを含む場合には、単一配列の残基を該計算の分母には含め分子には含めない。
本明細書中で用いる「標識」または「検出可能な標識」は、それが結合している分子の直接的または間接的な定量的または相対的測定を可能にするシグナルを生成しうる部分を意味しうる。該標識は固体、例えばマイクロタイタープレート、粒子、微粒子または顕微鏡スライド;酵素;酵素基質;酵素インヒビター;補酵素;酵素前駆体;アポ酵素;蛍光物質;色素;化学発光性化合物;発光性物質;着色物質;磁性物質;または金属粒子、例えば金コロイド;放射性物質、例えば125I、131I、32P、3H、35Sまたは14C;リン酸化フェノール誘導体、例えばニトロフェニルホスファート、ルシフェリン誘導体またはジオキセタン誘導体などでありうる。該酵素は、デヒドロゲナーゼ;オキシドレダクターゼ、例えばレダクターゼまたはオキシダーゼ;官能基、例えばアミノ、カルボキシル、メチル、アシルまたはホスファート基の転移を触媒するトランスフェラーゼ;エステル、グリコシド、エーテルまたはペプチド結合のような結合を加水分解しうるヒドロラーゼ;リアーゼ;イソメラーゼ;またはリガーゼでありうる。該酵素は別の酵素にコンジュゲート化されることも可能である。
本明細書中で用いる「核酸分子」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味しうる。一本鎖の記載は相補鎖の配列をも定める。したがって、核酸分子は、記載されている一本鎖の相補鎖をも含む。与えられている核酸と同じ目的で、核酸分子の多数の変異体が使用されうる。したがって、核酸分子は、実質的に同一の核酸分子およびその相補体をも含む。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズしうるプローブを与える。したがって、核酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブをも含む。
本明細書中で用いる「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の領域を意味しうる。ORFはコード配列の一部分またはコード配列全体を表しうる。
本明細書中で用いる「機能的に連結(された)」は、遺伝子の発現が、それが空間的に連結されているプロモーターの制御下にあることを意味しうる。プロモーターは、その制御下の遺伝子の5’側(上流)または3’(下流)に位置しうる。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、該プロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じでありうる。当技術分野で公知のとおり、この距離における変動は、プロモーター機能の喪失を伴うことなく適合化されうる。該プロモーターはT7、TP1、ラクターゼまたはメタロチオニンプロモーターを含みうる。
本明細書中で用いる「ペプチド」または「ポリペプチド」はアミノ酸の連結配列を意味することが可能であり、天然物、合成物または天然物と合成物との組合せ若しくは修飾体でありうる。
本明細書中で用いる「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与、活性化または増強しうる合成由来または天然由来分子を意味しうる。プロモーターは、発現を更に増強するための並びに/又はその空間的および/もしくは時間的発現を改変するための1以上の特異的転写調節配列を含みうる。プロモーターは、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置しうる遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素をも含みうる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫および動物を含む起源に由来しうる。プロモーターは、構成的に、あるいは発現が生じる細胞、組織もしくは器官に関して又は発現が生じる発生段階に関して示差的に、あるいは外部刺激、例えば生理的ストレス、病原体、金属イオンまたは誘導物質に応答して、遺伝子成分の発現を調節しうる。プロモーターの代表例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター−プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV−LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーターおよびCMV IEプロモーターが含まれる。
本明細書中で用いる「組換えポリペプチド」または「組換えタンパク質」は少なくとも、その起源または操作により、それに天然で又はライブラリーの形態において付随しているポリヌクレオチドの全部または一部を伴っていない、あるいはそれが天然で連結されているもの以外のポリヌクレオチドに連結されている、ゲノム、半合成または合成由来のポリペプチドを意味しうる。該組換えポリペプチドは、必ずしも、示されているHBV核酸配列から翻訳されなくてもよい。該組換えポリペプチドはまた、化学合成または組換え発現系の発現を含む任意の方法で製造されることが可能であり、あるいはHBVから単離されることが可能である。
本明細書中で用いる「選択マーカー」なる語は、遺伝的構築物でトランスフェクトまたは形質転換された細胞の特定および/または選択を促進するために、それが発現される宿主細胞に表現型を付与する任意の遺伝子を意味しうる。選択マーカーの代表例には、アンピシリン耐性遺伝子(Ampr)、テトラサイクリン耐性遺伝子(Tcr)、細菌カナマイシン耐性遺伝子(Kanr)、ゼオシン耐性遺伝子、抗生物質アウレオバシジンAに対する耐性を付与するAURI−C遺伝子、ホスフィノトリシン耐性遺伝子、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(nptII)、ヒグロマイシン耐性遺伝子、ベータ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、グリーン蛍光タンパク質(GFP)コード化遺伝子およびルシフェラーゼ遺伝子が含まれる。
本明細書中で用いる「固体支持体」または「固相」は、反応トレイのウェルの壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ、ニトロセルロース片、膜、微粒子、例えばラテックス粒子などでありうる。固体支持体は決定的なものではなく、当業者により選択されうる。したがって、ラテックス粒子、微粒子、磁性または非磁性ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコンチップおよびヒツジ赤血球の全てが適例である。固体支持体上にペプチドを固定化するための適当な方法には、イオン性、疎水性、共有結合相互作用などが含まれる。固体支持体はまた、不溶性である任意の物質であることが可能であり、あるいは後続の反応により不溶性にされうる。固体支持体は、捕捉試薬を誘引し固定化するその固有の能力に関して選択されうる。あるいは、固体支持体は、捕捉試薬を誘引し固定化する能力を有する追加的受容体を保有しうる。該追加的受容体には、捕捉試薬自体とは逆に荷電した、または捕捉試薬にコンジュゲート化された荷電物質とは逆に荷電した荷電物質が含まれうる。さらにもう1つの代替手段として、該受容体分子は、特異的結合反応により捕捉試薬を固体化する能力を有する、固体支持体上に固定化(結合)された任意の特異的結合メンバーでありうる。該受容体分子は、アッセイの実施前またはアッセイの実施中に、固体支持体物質への捕捉試薬の間接的結合を可能にする。したがって、固体支持体は、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性または非磁性金属、試験管のガラスまたはシリコン(ケイ素)表面、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップおよび当業者に公知の他の形態でありうる。
本明細書中で用いる「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、例えば核酸の複雑な混合物において、第1核酸配列(例えば、プローブ)が第2核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味しうる。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、状況によって様々となるであろう。ストリンジェントな条件は、一定のイオン強度、pHにおいて特異的配列に関する融解温度(Tm)より約5〜10℃低くなるよう選択されうる。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡時に標的配列にハイブリダイズする(一定のイオン強度、pHおよび核酸濃度における)温度である(Tmにおいては、標的配列が過剰に存在する場合、プローブの50%が平衡時に占拠される)。ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において塩濃度がナトリウムイオン約1.0M未満、例えばナトリウムイオン(または他の塩)濃度約0.01〜1.0Mであり、温度が、短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチド以上)に関しては少なくとも約60℃である条件でありうる。ストリンジェントな条件は例えばホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成されうる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションのためには、陽性シグナルはバックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍でありうる。典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は以下のものを含む:50% ホルムアミド、5×SSCおよび1% SDS、42℃でのインキュベーション、または5×SSC、1% SDS、65℃でのインキュベーション、ならびにそれに伴う、0.2×SSCおよび0.1% SDS中、65℃での洗浄。
本明細書中で用いる「実質的に同一」は、第1配列と第2配列とが8〜100個またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸にわたって少なくとも50%〜99%同一であることを意味しうる。
核酸に関して本明細書中で用いる「変異体」は、(i)言及されているヌクレオチド配列の一部分、(ii)言及されているヌクレオチド配列の相補体またはその一部分、(iii)言及されている核酸と実質的に同一である核酸またはその相補体、あるいは(iv)言及されている核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、その相補体またはそれと実質的に同一の配列を意味しうる。ポリペプチドに関して本明細書中で用いる「変異体」は、(i)言及されているポリペプチドの一部分、あるいは(ii)言及されているタンパク質と実質的に同一であるタンパク質を意味しうる。変異体はまた、例えばタンパク質分解、リン酸化または他の翻訳後修飾により異なってプロセシングされたポリペプチドでありうる。
本明細書中で用いる「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味しうる。ベクターはプラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体でありうる。ベクターはDNAまたはRNAベクターでありうる。ベクターは、自己複製性染色体外ベクター、または宿主ゲノム内に組込まれるベクターでありうる。多数の適当なベクターおよびプロモーターが当業者に公知であり、商業的に入手可能である。以下のベクターが例示される。細菌性:pINCY(Incyte Pharmaceuticals Inc.,Palo Alto,Calif)、pSPORT1(Life Technologies,Gaithersburg,Md.)、pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen) pBs、ファジスクリプト(phagescript)、psiX174、pBluescript SK、pBsKS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223 3、pKK233 3、pDR540、pRIT5(Pharmacia);真核性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。
本発明は、HBVのゲノムに由来しうるHBV関連核酸およびその変異体を提供する。該核酸はまた、組換え体でありうる。該核酸は、HBV表面タンパク質またはその変異体をコードしうるオープンリーディングフレームを含みうる。
該核酸はプレS2領域を含みうる。プレS2領域は、表1に記載されている配列を含みうる中HBV表面タンパク質(MHB)をコードしうる。
プレS2領域は、MHBの翻訳が開始される起点となりうるプレS2開始配列を含みうる。該プレS2開始配列は配列5’−CTTATGCAG−3’(配列番号3)を含みうる。該プレS2開始配列は改変されることが可能であり、これは、該核酸から発現される小HBV表面タンパク質(SHB)に対するMHBの比に影響を及ぼしうる。該プレS2開始配列は部分的コザック配列またはコザック配列をも含みうる。
コザック配列は、突然変異プレS2開始配列からの翻訳を増強する能力を有しうる。翻訳の増強は、プレS2領域から産生されるMHBのレベルを増加させうる。増加したMHBレベルは、該核酸中に含有されるS領域から翻訳されるSHBのレベルと相関しうる。あるいは、理論により束縛されるものではないが、臨床由来物質において見られるものをより厳密に反映する粒子集合またはタンパク質フォールディングにより、MHBの翻訳の増強はSHBとMHBとの生成タンパク質混合物の抗原性に影響を及ぼしうる。
部分的コザック配列は、プレS2開始配列からの翻訳を増強する能力を有しうる。翻訳の増強は、プレS2領域から産生されるMHBのレベルを増加させうる。増加したMHBレベルは、該核酸中に含有されるS領域から翻訳されるSHBのレベルと相関しうる。あるいは、臨床由来物質において見られるものをより厳密に反映する粒子集合またはタンパク質フォールディングにより、MHBの翻訳の増強はSHBとMHBとの生成タンパク質混合物の抗原性に影響を及ぼしうる。
該核酸はS領域を含むことも可能であり、これは小HBV表面タンパク質(SHB)をコードすることが可能であり、このSHBは、表4に記載されている配列を含みうる。
S領域は、SHBの翻訳が開始される起点となりうるS開始配列を含みうる。該S開始配列は配列5’−AACATGG−3’(配列番号11)を含むことが可能であり、本明細書に記載されているコザック配列を含むことが可能である。
該S開始配列は突然変異S開始配列を含みうる。該突然変異S開始配列は、コザック配列でも部分的コザック配列でもなくてもよい配列をも含みうる。突然変異S開始配列は、プレS2開始配列または突然変異プレS2開始配列からのMHBの翻訳に影響を及ぼさない可能性がある。突然変異S開始配列はMHBの抗原性にも影響を及ぼさない可能性がある。突然変異S開始配列は、メチオニンから任意の他のアミノ酸(これはロイシンでありうる)への突然変異をコードする核酸を含みうる。突然変異S開始配列は配列5’−AACTTGG−3’(配列番号12)または5’−AACCTGG−3’(配列番号13)を含みうる。
該核酸はプレS1領域を含むことも可能であり、これは大HBV表面タンパク質(LHB)をコードしうる。LHBは約389アミノ酸長であることが可能であり、HBVエンベロープの一部分を形成することが可能でありうる。
本発明は、HBV関連核酸によりコードされうるポリペプチドを提供する。該ポリペプチドはHBVタンパク質またはその変異体でありうる。該HBVタンパク質はHBV表面タンパク質であることが可能であり、組換え体でありうる。該ポリペプチドは標識を含みうる。
該HBVタンパク質は、約281アミノ酸長でありうるMHBでありうる。MHBは、S領域によりコードされる小HBV表面タンパク質の226アミノ酸を含有することが可能であり、プレS2領域によりコードされる追加的な55アミノ酸を含有することが可能である。MHBはグリコシル化されうる。MHBは、HBVエンベロープの一部を形成する能力を有することが可能であり、これはMHBをHBV粒子の表面上に露出させうる。
HBVタンパク質はまた、約226アミノ酸長でありうるSHBでありうる。SHBはグリコシル化されることも可能である。SHBは、HBVエンベロープの一部を形成する能力を有することが可能であり、これはSHBをHBV粒子の表面上に露出させうる。SHBは、抗原性でありうる又は免疫監視の標的でありうるSHBエピトープを含みうる。
本発明は、HBVタンパク質を含みうる及びHBV関連核酸をも含みうるHBV組成物を提供する。該HBV組成物はMHBおよびSHBを1:1000〜1000:1の比で含むことも可能である。該組成物は、HBVタンパク質への抗体の結合もしくは質、またはHBVタンパク質に対する抗体を含む若しくはHBVタンパク質を含むキットの質を測定するために使用されうる。
本発明は、HBV関連核酸を含みうるベクターを提供する。該核酸は、該核酸によりコードされるポリペプチドを発現させる能力を有しうるプロモーターに機能的に連結されうる。該ベクターは選択マーカーをも含みうる。
本発明は、該ベクターを含みうる宿主細胞を提供する。該宿主細胞は、該ベクターによりコードされるポリペプチドを発現する能力を有しうる。該ベクターは一過性にトランスフェクトされることが可能であり、あるいは安定にトランスフェクトされることが可能であり、あるいは該宿主細胞内に組込まれることが可能である。一過性トランスフェクションは、該宿主細胞内で複製されず該宿主細胞内にほとんど組込まれないベクターによるものでありうる。
本発明は該ポリペプチドの製造方法を提供する。該ポリペプチドは合成可能であり、あるいはそれは宿主細胞内で発現されうる。宿主細胞からの発現は、該ポリペプチドの発現を可能にする適当な条件下で該宿主細胞を培養することによるものでありうる。発現は、該宿主細胞において機能的な発現シグナルを含有しうるベクターからのものでありうる。発現は、該核酸に機能的に連結された調節可能なプロモーターの活性を誘導することによっても達成されうる。発現はまた、HBV関連核酸および融合配列を含みうるベクターからのものでありうる。
本発明は、試薬、例えばHBV関連核酸、該ベクター、該宿主細胞、該HBV組成物、候補抗体またはそれらの組合せを含みうるキットを提供する。例えば、該キットは、該ベクター、該ベクターによりコードされるHBVタンパク質の発現を誘導しうる物質、および陽性対照として使用される既知濃度のHBVタンパク質を含むHBV組成物を含むことが可能であり、HBVポリペプチドを発現させるために使用されうる。該キットは、該ベクターでの形質転換に適した宿主細胞をも含みうる。該キットは、該ベクターからのHBVタンパク質の発現の確認において使用するための、HBVタンパク質を検出しうる抗体をも含みうる。
本発明は、HBVポリペプチドへの候補抗体の結合のレベルを測定することを含みうる、抗体の結合の測定方法を提供する。該方法は、(1)該HBV組成物を固相上に提示させ、候補抗体を含有する試験サンプルを該HBV組成物と反応させ、標識に結合した抗ヒト抗体で、該HBV組成物に結合した候補抗体を検出すること、または(2)抗ヒト抗体を固相に結合させ、候補抗体を含むサンプルを結合候補抗体と反応させ、ついで、標識を含むHBV組成物を加えて、該サンプル中に存在する候補抗体を検出することを含む一般的形態によるものでありうる。どちらの形態においても、該アッセイの意図される目的に応じて、該抗ヒト抗体試薬は全ての抗体クラスを認識しうるか、あるいは特定のクラスまたはサブクラスの抗体に特異的でありうる。これらのアッセイ形態および他の公知形態は本発明の範囲内であると意図され、当業者によく知られている。
候補抗体はHBVタンパク質への結合能を有しうる。該HBVタンパク質は、野生型HBVタンパク質、または突然変異HBVタンパク質でありうる変異HBVタンパク質でありうる。
該標識は、半自動化または全自動化免疫分析装置により使用されるよう適合化された固相を含みうる検出系を用いて検出されうる。サンプルおよび試薬が該系内に挿入されたら、該検出系は、使用者の介入を伴わずに、サンプルおよび試薬(これは抗体、標識、バッファーなどを含みうる)を反応容器へ運搬し、インキュベーションを行い、場合によっては、未結合標識ポリペプチドを結合標識ポリペプチドから洗い落としうる。そのような系は、該サンプルおよび試薬を該系内に挿入した後、使用者の介入を伴うことなく48時間以内に少なくとも8、16,64または128アッセイを該系が行いうることにより、手動の又はそれほど自動化されていない系から区別されうる。該系は、サンプルが該系内にローディングされたら、人間による計算または入力の必要性を伴うことなく、サンプル中のポリペプチドの濃度または量を自動的に計算することも可能でありうる。
抗体の質を試験し、MHBまたはSHBのようなHBVタンパク質でありうるその標的にそれが結合する能力を実証することが望ましいかもしれない。本発明は抗体の質の測定方法を提供する。試験抗体は、既に知られている抗HBV抗体の新たに製造されたロット、既に知られている抗HBV抗体の古いロット、または候補抗HBV抗体からのものでありうる。
Abbott所有のプラスミド(Colemanら,1999.J Med Virol.59:19−24)からのMHBまたはSHB配列を、HindIIIおよびNotI制限部位を使用してpcDNA3.1+プラスミド(Invitrogen)内に導入して、MHBおよびSHBプラスミドを得た。
COS−7細胞(ATCC)を、10% ウシ胎児血清(FBS)および1×抗生物質−抗真菌物質(AbAm,Invitrogen)で補足されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)内で、5% CO2中、37℃で培養した。一過性トランスフェクションのために、該細胞を350,000細胞/35mmウェルの密度で2mLの抗生物質−抗真菌物質非含有DMEM/10% FBS内にプレーティングした。翌日、4μgのプラスミドを250μLのOpti−MEM I Reduced Serum Medium (Invitrogen)中に希釈し、穏やかに混合した。12μLのLipofectamine 2000(Invitrogen)を250μLのOpti−MEM中に希釈し、穏やかに混合し、5分間インキュベートした。該希釈DNAを該希釈Lipofectamine 2000と混合し、20分間インキュベートし、該細胞に加えた。37℃で4〜6時間のインキュベーションの後、該細胞を2mLのDMEM/10% FBS/AbAmで洗浄し、追加的な2mLの培地を加えた。トランスフェクションの3日後、該細胞培養上清を集めた。
野生型タンパク質および突然変異タンパク質を、以下のプラスミドでトランスフェクトされたCOS−7細胞において産生させた:MHB、MHB−コザックGAG、MHB−MlLおよび野生型SHB。トランスフェクションの3日後、該細胞培養上清を集め、アッセイ試験のために正常ヒト血漿中で1:10希釈した。
アッセイ方法CをAuszyme Monoclonal(Abbott Laboratories)パッケージインサートに従い用いて、サンプルおよびアッセイ陽性/陰性対照を使用した。H53、H57、H166および116−34モノクローナル抗体を含む捕捉試薬としての抗体のパネルを使用して、追加的なビーズアッセイを行った。ヤギ抗HBsコンジュゲートを検出試薬として使用した。データは、1〜3個の独立したトランスフェクションからの合計2〜9回の重複実験を表している。
Architect HBsAg(Abbott Laboratories)パッケージインサートに従い、サンプルおよびアッセイ陽性/陰性対照を使用した。データは、1〜3個の独立したトランスフェクションからの合計2〜9回の重複実験を表している。
Claims (19)
- 中(middle)B型肝炎ウイルス表面タンパク質(MHB)をコードする核酸分子またはそれと実質的に同一の核酸分子であって、該分子のヌクレオチド配列が、配列番号4を含むプレS2開始配列を含む、核酸分子。
- 該MHBが、配列番号1に記載されているヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも90%同一である配列を有する、請求項1記載の核酸分子。
- 該プレS2開始配列が配列番号5を含む、請求項1記載の核酸分子。
- 該核酸分子のヌクレオチド配列が配列番号7を含む、請求項3記載の核酸分子。
- 該プレS2開始配列が配列番号6を含む、請求項1記載の核酸分子。
- 該核酸分子のヌクレオチド配列が配列番号8を含む、請求項5記載の核酸分子。
- 該核酸分子が、小(small)B型肝炎ウイルス表面タンパク質(SHB)をコードするヌクレオチド配列またはそれと実質的に同一のヌクレオチド配列を更に含む、請求項1記載の核酸分子。
- 請求項1記載の核酸分子を含んでなるベクター。
- 請求項8記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
- 組換えMHBを1×10−12〜1×10−2gmsの濃度で含んでなる組成物。
- 該組成物が組換えSHBを更に含む、請求項10記載の組成物。
- 該SHBが1×10−12〜1×10−2gmsの濃度で存在する、請求項11記載の組成物。
- MHB対SHBの比が1:1000〜1000:1である、請求項11記載の組成物。
- 請求項8記載のベクターを含んでなるキット。
- 請求項9記載の宿主細胞を含んでなるキット。
- 請求項10記載の組成物を含んでなるキット。
- (a)候補抗体を請求項10記載の組成物と接触させ、
(b)MHBへの該抗体の結合を測定することを含んでなる、MHBへの抗体の結合の測定方法。 - (a)候補抗体を準備し、
(b)請求項17記載の方法に従い、MHBへの該抗体の結合を測定することを含んでなる、MHBに対する抗体の質の測定方法であって、該抗体の質が、結合のレベルを所定の値と比較することにより測定される方法。 - (a)候補抗体を準備し、
(b)請求項17記載の方法に従い、MHBへの該抗体の結合を測定することを含んでなる、MHBに対する抗体を含むキットの質の測定方法であって、該キットの質が、結合のレベルを所定の値と比較することにより測定される方法。
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