JP2010537592A - 無線通信システムにおける方法及び通信装置 - Google Patents

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Abstract

無線通信システムは、中継ノードと、第1ノードと、第2ノードとを含む。MIMO方式のネットワークコーディングを行う方法は、第1ノードが第1データを中継ノードに送信し、かつ第2ノードが第2データを中継ノードに送信することを含む。第1ノード及び第2ノードは双方共に、共通の/異なるリソースに関し、空間多重方式、時分割多重方式及び周波数分割多重方式のうちの1つ以上を利用する。中継ノードは、第1ノード及び第2ノードからの送信信号を受信し、所定のネットワークコーディング方法を用いて第1データ及び第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成する。中継ノードは、ネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により第1ノード及び第2ノードに送信し、第1、第2ノードの各々は、中継ノードからMIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、第1データ及び第2データを復元する。ネットワークコーディング法は、デコード及びフォワード方式(DF)、マップ及びフォワード方式(MF)並びに増幅及びフォワード方式(AF)を含む。第1ノード及び第2ノードは、同じカバレッジ領域内のノードのグループのメンバである。MIMO方式のネットワークコーディングされた送信信号をスケジューリングする方法も説明される。ハイブリッド自動再送要求(HARQ)送信もネットワークコーディングされる。

Description

本発明は無線通信システムに関連する。特に、本発明は無線通信システムにおけるネットワークコーディング方法に関連する。
ネットワークコーディング(Network coding)は、中継ノードにおいて複数のソースノードから受信した情報を混合し、混合された情報を1つ以上の宛先ノードに送信し直すことで、無線ネットワークの容量やスループットを増やす。宛先ノードは、中継ノードに入った情報に基づいて、中継ノードから送信された情報内容を導出できる。当該技術分野で既知のデコード技法を利用して、ネットワークコーディングと無線ブロードキャストを組み合わせることで、双方向トラフィックのユニキャストスループットを増やすことができる。
図1は、中継局(RS)104を利用して、基地局(BS)102及び移動局(MS)106間で情報交換する従来の方法(すなわち、ネットワークコーディングを行わない方法)を示す。タイムスロットT1において、MS106はBS102当てのパケット「a」を送信する。BS102は通信範囲外なので、RS104がパケット「a」を取得し、それをタイムスロットT2においてBS102に中継する。タイムスロットT3において、BS102はMS106へパケット「b」を返し、このパケットも中継局RSで取得され、T4において中継される。したがって、BS102及びMS106間の情報交換を完了するまでに、タイムスロット4つ分の時間がかかる。
図2もBS102及びMS106間の情報交換の様子を示すが、この場合、RS104は従来のネットワークコーディングを行う。この場合、中継ノード(すなわち、RS104)は、複数のソースノード(すなわち、BS102及びMS106)から受信した情報をエンコードしてマルチキャストする。T1において、MS106はパケット「a」をRS104に送信する。T2において、BS102はパケット「b」をRS104に送信する。T3において、RS104は、混合パケット「a+b」をBS102及びMS106の双方にマルチキャストする(ここで、「+」は二進法のXORコーディングを意味する。)。したがって、情報交換を完了するのにタイムスロット3つ分の時間で済む。図2における状況は、シングルインプットシングルアウトプット(SISO)アンテナシステム、BS−RS−MSのシステム、及びタイムスロットのスケジューリングが等しいことを想定している。
従来の無線ネットワークコーディングは、SISOアンテナシステムとともに、ネットワークレイヤ以上高いレイヤにおけるバイナリビットレベルで行われる。一般に、ネットワークレイヤ以上高いレイヤでの処理は、復調及び復号の際に複雑化を招いてしまう。
既存の無線通信システムの技法によれば、送信機及び/又は受信機において1つのアンテナ又は複数のアンテナを使用している。マルチインプットマルチアウトプット(MIMO)無線通信システムは、送信機及び受信機の複数のアンテナ間で使用される複数の通信チャネルを使用する。したがって、MIMOシステムの場合、送信する装置はN個の送信アンテナを有し、受信する装置はM個の受信アンテナを有する。空間−時間符号化法は、N本の送信アンテナの各々からどのデータが送信されるかを制御する。送信機における空間−時間エンコード機能は、送信されるデータを処理し、N本の送信アンテナから送信する固有の情報を作成する。M本の受信アンテナ各々は、N本の送信アンテナ各々から送信された情報を受信する。受信する装置における空間−時間デコード機能は、N本の送信アンテナから送信された情報を合成し、データを復元する。
仮想MIMOシステムの場合、複数の移動局が協働して1つの移動局データを送り、あたかもMIMO送信であるかのように見せる。例えば、1つのアンテナを有する移動局2台が、1つの移動局データを送信する。そして、2アンテナの基地局は、その2つの信号を受信し、MIMOの技法を用いてそれらを処理する。適応仮想MIMO(Adaptive virtual MIMO)は、仮想MIMOと仮想MIMOでないMIMOとの組み合わせ/混合をも含む概念であり、したがってその特殊な場合として仮想MIMOだけの場合がある。さらに、適応仮想MIMOは、仮想MIMO、シングルインプットマルチアウトプット(SIMO)、又は仮想MIMOとSIMOとの組み合わせをも含む概念である。適応仮想MIMOの利点は、様々なユーザのチャネル状態に適合させることが可能な柔軟性にある。
開示される発明の課題は、従来の問題点を少なくとも軽減する装置及び方法を提供することである。
開示される発明の一形態による方法は、
複数のアンテナを有する中継ノードと、第1ノードと、第2ノードとを含む無線通信システムにおいて、MIMO方式のネットワークコーディングを行う方法であって、
前記第1ノードが第1データを前記中継ノードに送信し、かつ前記第2ノードが第2データを前記中継ノードに送信するステップと、
前記中継ノードが、前記第1ノード及び前記第2ノード双方からの送信信号を受信し、所定のネットワークコーディング方法を用いて前記第1データ及び前記第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成するステップと、
前記中継ノードが、前記ネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により前記第1ノード及び前記第2ノード双方に送信するステップと、
前記第1ノードが、MIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、前記第2データを復元するステップと、
前記第2ノードが、MIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、前記第1データを復元するステップと
を有する方法である。
BS、MS及びRS間の情報交換がネットワークコーディングせずに行われる従来方法を示す図。 ネットワークコーディングを利用してBS、MS及びRS間で情報交換を行う方法を示す図。 MIMO方式のネットワークコーディングを行う一例を示すフローチャート。 DFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図。 図4AのDFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図。 図4Aの形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブル。 MFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図。 図5AのMFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図。 図5Aの形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブル。 AFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図。 図6AのAFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図。 図6Aの形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブル。 図3の予備処理ステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャート。 図3のネットワークコーディング及びダウンリンクステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャート。 図3のネットワークデコードステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャート。 開示される発明の一形態において使用されるスケジューラの概略図。 一形態における無線通信環境を示す図。 図11の無線通信環境における例示的なタイミング図。 図11及び12に示される例に関するフローチャート。 一形態における無線通信環境を示す図。 図14の無線通信環境における例示的なタイミング図。 図14及び15に示される例に関するフローチャート。 MIMO方式のネットワークコーディングにより実現されるネットワークゲインを示す例示的なグラフ。
開示される一形態によるシステム及び方法は、ユニキャスト送信を行う適応仮想MIMO方式、MIMO方式のネットワークコーディング、及びマルチキャスト送信を行うマルチユーザMIMO方式を使用する。適応仮想MIMO方式は、1つ以上のリソースユニットにより送信を行う1つ以上の移動局を使用する。
一形態において使用されるネットワークコーディング法は、デコード及びフォワード(DF)法、マップ及びフォワード(MF)法、そして増幅及びフォワード(AF)法の何れかである。
一形態において、マルチユーザMIMOのマルチキャスト送信は、空間−時間ブロック符号化(STC)及びビームフォーミングの何れかを使用する。
一形態におけるMIMO方式のネットワークコーディングは、MF及びAFコーディング方法の何れかを使用して、低いレイヤである物理レイヤで実行される。
一形態では、より柔軟性に富んだ簡易なリソース割当を行うために、簡易なスケジューラが使用される。
一形態では、図1や図2に示されているもの(すなわち、BS−RS−MS)以外の応用例が使用可能である。その応用例は、MS−BS−MS、RS−BS−RS、MS−BS−RS、BS−RS−RS、BS−RS−MS、BS−MS−MS及びRS−MS−MSを含む。複数のMSが互いに近接していた場合、それらはグループを形成することができ、これはMSグループ(MSG)として取り扱われる。そのような状況は、MSG−BS−MSG、MSG−BS−RS、BS−RS−MSG、BS−MSG−MSG及びRS−MSG−MSGを含む。
一形態では、RSのような中継局は、適応仮想MIMO方式の送信信号を受信し、その受信した情報にMIMO方式のネットワークコーディングを施し、エンコードされたハイブリッド自動再送要求(HARQ)メッセージをアップリンクでサービング局に送信する。
一形態では、複数のアンテナを有する中継ノードと、第1ノードと、第2ノードとを含む無線通信システムにおいて、MIMO方式のネットワークコーディングを行う方法が使用される。本方法は、第1ノードが第1データを中継ノードに送信すること、及び第2ノードが第2データを中継ノードに送信することを含み、本方法は、中継ノードが、第1ノード及び第2ノード双方からの送信信号を受信し、所定のネットワークコーディング方法を用いて第1データ及び第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成することを含む。本方法は、中継ノードが、ネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により第1ノード及び第2ノードに送信し、第1ノード及び第2ノード双方が、MIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、第1データ及び第2データを復元することを含む。
第1ピアノードは、同じカバレッジエリア内の全ピアノードのグループに属する。第2ピアノードは、同じカバレッジエリア内の全ピアノードのグループに属する。
別形態では、MIMO方式のネットワークコーディングを行う無線通信システムにおける通信装置(トランシーバ)が使用される。通信装置は、複数のアンテナと、回路とを有し、その回路は、第1ノードからの第1データ及び第2ノードからの第2データを受信すること、所定のネットワークコーディング方法を用いて第1データ及び第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成すること、及びネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により第1ノード及び第2ノードに送信することを行う。
開示される発明の具体的な形態に関する以下の説明により、開示されるシステム及び方法の他の形態や特徴が、当業者にとってさらに明らかになるであろう。
以下、開示される発明を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
一実施例において、MIMO方式のネットワークコーディングは、以下の特徴を含む。
a.2つのピアノード(又はグループ)が、同一の又は異なる無線リソース(例えば、帯域幅、時間スロット等)を用いて、中継ネットワークエンコーディングノード二乗法を送信する。情報は、空間多重法、時間分割多重法及び周波数分割多重法のうちの1つ以上を用いて送信される。一実施例において、情報は、適応仮想MIMO方式を用いて送信される。この場合において、ピアノードグループの各々は、1つ以上の近くのピアノードを含む。以下の説明において、ピアノードは、ピアノードグループをも包含する概念である。
b.中継ネットワークエンコーディングノードは、送信された信号を受信し、受信した情報にネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報をマルチユーザMIMO方式により送信する。一実施例において、MIMO方式の送信信号は、空間分割多重された送信信号である。
c.各ピアノード(又はグループ)は、MIMOストリームを受信し、適用可能なネットワークデコード処理を適用し、情報を復元する。
図3は、MIMO方式のネットワークコーディングを行うフローチャート例を示す。図3は、本願で説明される様々な形態各々に含まれている様々なステップの上位概念的な概要を与えるものである。
図4Aは、DFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図である。図3のステップの全部又は一部は、説明及び図示される他の形態にも適用可能であるが、説明の簡明化のため、図3の様々な上位概念的ステップは、図4Aに示される形態に関して説明される。
図3に示されるMIMO方式のネットワークコーディングに関する一般的な方法は、様々なレベルのネットワークコーディングを実行可能にし、その様々なレベルのネットワークコーディングは、二進ビットレベル、有限体演算レベル(finite field arithmetic level)、変調シンボルレベル及び信号波形レベル等を含む。適応仮想MIMO、STC及びビームフォーミング等を含む様々なMIMO技術が使用可能である。本アーキテクチャは、直交周波数分割多重方式(OFDM)、時間分割多重アクセス方式(TDMA)及び符号分割多重アクセス方式(CDMA)等を含む様々なエアインターフェースにも適用可能である。
スケジューリングステップ302は、図4AのBS402のような中継ネットワークエンコーディングノードにおけるパケットのスケジューリング及び待ち行列処理に関する。スケジューリングステップ302は、スケジューラにより実行され、スケジューラは、MIMO方式のネットワークコーディングを行うことでゲインを最大化することに寄与する。スケジューリングステップ302については、図10に示されるスケジューラの一形態に関連してさらに詳細に説明される。
ステップ304では、予備処理がピアノード404、406において行われる。予備処理ステップの詳細な説明は、図7を参照しながら行われる。
ステップ306において、仮想MIMO方式を利用して、MS−A404からBS402へパケット「a」がアップリンクで送信される。また、仮想MIMO方式を利用して、MS−B406からBS402へパケット「b」がアップリンクで送信される。仮想MIMOアップリンクにより、双方のピアノードは、同じリソースユニットを利用して、中継ネットワークエンコーディングノードに対する送信を行うことができる。
図3に示されてはいないが、実際には、(DF及びMFの場合)復調ステップ及び(DFの場合)復号ステップがBS402において実行され、最小二乗平均誤差(MMSE)検出技法を用いて受信情報をデコードする(あるいは、MMSEソフト干渉計算法(MMSE−SIC)又はゼロフォーシング法が使用されてもよい。)。
ステップ308では、ネットワークエンコーディングノード(図4ではBS402)においてネットワークエンコーディングが実行される。本実施例の場合、ネットワークコーディングは、バイナリ線形結合(又は有限体演算線形結合)を含む。
ステップ310において、BS402は、ダウンリンクMIMO送信信号によりMS−A404及びMS−B406の双方へ同時にa+bをマルチキャストする。
図4Bは、図4AのDFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図である。図4Cは、本形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブルである。
図4B及び4Cを以下において説明する。図4Cのテーブルにおける行1を例にとる。ネットワークレイヤにおいて、MS−A404は情報ビットbA=0を生成している。MS−B406は情報ビットbB=0を生成している。
MS−A404及びMS−B406の双方は、ネットワークレイヤから物理レイヤへ情報ビットを渡し、その情報を適切な変調シンボルに変換し、リソースユニット#1によりBS402へ送信する。バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)変調の場合、情報ビット0は変調シンボル−1にマッピングされ(対応づけられ)るので、xA=−1及びxB=−1となる。
BS402は、MS−A404及びMS−B406双方からの2つのシンボルの和を受信する。ノイズを無視すると、受信シンボルは、yBS=−2となる。BS402は、MIMO復調器及び順方向誤り制御(FEC)復号器を使用して、情報ビットを推定し(^bA及び^bB)、それらをネットワークレイヤに渡す。ネットワークレイヤにおいて、BS402は情報の混合を処理し、例えばXOR演算を考慮し、ネットワークコーディングされたビットbBS=0を求める。BSはbBSを物理レイヤに下ろし、適切な変調を利用して(すなわち、xDF=−1)、リソースユニット#2によりMS−A404及びMS−B406双方へマルチキャストする。
図4Cのテーブルにおける行2、3及び4についても同様な考察が可能である。行2の場合、MS−A404は情報ビットbA=1を生成し、MS−B406は情報ビットbB=0を生成する。行3の場合、MS−A404は情報ビットbA=0を生成し、MS−B406は情報ビットbB=1を生成する。行4の場合、MS−A404は情報ビットbA=1を生成し、MS−B406は情報ビットbB=1を生成する。
ステップ308及び310に関する詳細な説明は、図8を参照しながら行われる。
ステップ312において、MS−A404及びMS−B406は、先ず、ネットワークコーディングされたパケットをデコードし、自身が送信した情報とともに線形演算(例えば、XOR)を行うことで所望の情報を抽出する。すなわち、MS−A404は、自身のパケット「a」の情報を利用して、BS402からの送信信号をデコードし、パケット「b」を算出する。同様に、MS−B406は、自身のパケット「b」の情報を利用して、BS402からの送信信号をデコードし、パケット「a」を算出する。
図4Aに示される例の利点は、仮想MIMO方式のアップリンクにおいて唯1つのリソースユニットしか使用されていないこと、及びネットワークコーディングにより、ダウンリンクで唯1つのリソースユニットしか使用されていないことである。
図5Aは、MFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図である。
ステップ306において、仮想MIMO方式を利用して、MS−A504からBS502へパケット「a」がアップリンクで送信される。また、仮想MIMO方式を利用して、MS−B506からBS502へパケット「b」がアップリンクで送信される。このステップは、同時に(すなわち、同じリソースユニットを使用して)実行可能である。
ステップ308では、BS502においてネットワークコーディングが実行される。本実施例の場合、BS502は、到来してきたシンボル「a」及び「b」を、判定領域に応じて適切なシンボルコンステレーションにマッピングする(対応付ける)。この様子が図5Bに示されている。
ステップ310において、BS502は、ダウンリンクMIMO送信信号を用いて、MS−A504及びMS−B506の双方へ同時に(例えば、STC又はビームフォーミングを利用して)aMFbMFをマルチキャストする。
ステップ312において、MS−A504及びMS−B506は、先ず、ネットワークコーディングされたパケットをデコードし、自身が送信した情報とともに線形演算(例えば、XOR)を行うことで所望の情報を抽出する。すなわち、MS−A504は、自身のパケット「a」の情報を利用して、BS502からの送信信号をデコードし、パケット「b」を算出する。同様に、MS−B506は、自身のパケット「b」の情報を利用して、BS502からの送信信号をデコードし、パケット「a」を算出する。
図5Aに示される例の利点は、仮想MIMO方式のアップリンクにおいて唯1つのリソースユニットしか使用されていないこと、及びネットワークコーディングにより、ダウンリンクで唯1つのリソースユニットしか使用されていないことである。さらに、中継ノードにおいてデコード処理が不要である。
図5Bは、図5AのMFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図である。図5Cは、本形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブルである。
図5B及び5Cを以下において説明する。図5Cのテーブルにおける行2を例にとる。ネットワークレイヤにおいて、MS−A504は情報ビットbA=1を生成している。MS−B506は情報ビットbB=0を生成している。
MS−A504及びMS−B506の双方は、ネットワークレイヤから物理レイヤへ情報ビットを渡し、その情報を適切な変調シンボルに変換し、リソースユニット#1によりBS502へ送信する。BPSK変調の場合、情報ビット1はシンボルxA=1にマッピングされ、情報ビット0はシンボルxB=−1にマッピングされる。
BS502は、MS−A504及びMS−B506双方からの2つのシンボルの和を受信する。ノイズを無視すると、受信シンボルは、yBS=0となる。
BS502は、MIMO復調器(FEC復号器を備えていない)を使用し、受信した信号を、物理レイヤにおける適切な変調シンボルxMFにマッピングする(対応付ける)。対応づけの規則(マッピングルール、又はBPSKのMF判定領域とも言及される)の一例は、図5Bの下側に示されている。目下の例の場合、yBS=0なので、シンボルxMF=+1にマッピングされる。したがって、xMFは物理レイヤのネットワークエンコーディングされた変調シンボルである。そして、BS502は、リソースユニット#2によりによりMS−A504及びMS−B506双方へxMFをマルチキャストする。
図5Cのテーブルにおける行1、3及び4についても同様な考察が可能である。
図6Aは、AFネットワークコーディング法を使用する形態における無線通信環境を示す概念図である。
再び図3を参照するに、ステップ304において、ピアノード604、606が予備処理を行う。
ステップ306において、仮想MIMO方式を利用して、MS−A604からBS602へパケット「a」がアップリンクで送信される。また、仮想MIMO方式を利用して、MS−B606からBS602へパケット「b」がアップリンクで送信される。このステップは、同時に(すなわち、同じリソースユニットを使用して)実行可能である。
ステップ308では、BS602においてネットワークコーディングが実行される。本実施例の場合、BS602は、MIMO信号を(波形レベルで)増幅する。この様子が図6Bに示されている。
ステップ310において、BS602は、ダウンリンクMIMO送信信号を用いて、MS−A604及びMS−B606の双方へ同時に(例えば、STC又はビームフォーミングを利用して)aMFbMFをマルチキャストする。
ステップ312において、MS−A604及びMS−B606は、先ず、自身の情報を差し引き、減算されたパケットをデコードして所望の情報を取得する。すなわち、MS−A604は、自身のパケット「a」の情報を利用して、BS602からの送信信号をデコードし、パケット「b」を算出する。同様に、MS−B606は、自身のパケット「b」の情報を利用して、BS602からの送信信号をデコードし、パケット「a」を算出する。
図6Aに示される例の利点は、仮想MIMO方式のアップリンクにおいて唯1つのリソースユニットしか使用されていないこと、及びネットワークコーディングにより、ダウンリンクで唯1つのリソースユニットしか使用されていないことである。さらに、ピアノードにおいてデコード処理が不要であり、復調プロセスも不要である。
図6Bは、図6AのAFネットワークコーディング法を利用した場合におけるネットワークレイヤ及び物理レイヤ間のビット処理の様子を示す概略図である。図6Cは、本形態における様々な処理段階を通過する際の各変数の値を示すテーブルである。
図6B及び6Cを以下において説明する。図6Cのテーブルにおける最後の行を例にとる。ネットワークレイヤにおいて、MS−A604は情報ビットbA=1を生成している。MS−B606は情報ビットbB=1を生成している。
MS−A604及びMS−B606の双方は、ネットワークレイヤから物理レイヤへ情報ビットを渡し、その情報を適切な変調シンボルに変換し、リソースユニット#1によりBS602へ送信する。BPSK変調の場合、情報ビット1はシンボル1にマッピングされるので、xA=1及びxB=1である。
BS602は、MS−A604及びMS−B606双方からの2つのシンボルの和を受信する。ノイズを無視すると、受信シンボルは、yBS=2となる。
BS602は、受信信号yBSに係数βを乗算し、信号xAFを求める。この場合において、MIMO方式の復調器やFEC復号器は必要でないことに留意を要する。
次に、BS602は、リソースユニット#2によりMS−A604及びMS−B606の双方にxAFをマルチキャストする。
図6Cのテーブルにおける行1、2及び3についても同様な考察が可能である。
図4A、4B、4C、5A、5B、5C、6A、6B及び6Cの各々は、本発明の実施例に使用可能な通信システム又は通信システムの構成要素の具体例を示す。本発明の実施例はあるアーキテクチャを有する通信システムとともに実現可能であることが理解されるべきであり、そのアーキテクチャは、ここで説明された具体例とは異なるが、ここで説明された実施形態と矛盾しないように動作するものである。
例えば、ネットワークエンコーディングノードは、RSノード、BSノード又はMSノードでもよく、ネットワークデコーディングノードは、MSノード、RSノード又はBSノードでもよい。ネットワークコーディングの形態は、MS−BS−MS、MS−RS−MS、MS−BS−RS、RS−BS−RS、BS−RS−RS、BS−MS−MS 、RS−MS−MS、MSG−BS−MSG(MSグループ)、MSG−RS−MSG、BS−MSG−MSG、RS−MSG−MSG及びMSG−BS−RSを含む。ネットワークパス(ネットワーク経路)は、上記のネットワークコーディングの基本構成各々又はそれらの組み合わせにより構築可能である。ネットワークは、上記のネットワークコーディング構成及び/又はネットワークパスの各々又はそれらの組み合わせにより構築可能である。ネットワークは、1対多(PMP:Point to Multipoint)のトポロジ又はメッシュトポロジを使用することができる。
図7は、予備処理ステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャートである。ステップ302、306、308、310及び312は、図3を参照しながら説明したのと同様に実行される。図7は、予備処理ステップ304に関する部分のみを詳細に示している。
一実施例では、情報ビットの予備処理が以下のように実行される。ステップ702において、複数の情報ビットがまとめられ、ステップ704において、媒体アクセス制御(MAC)ヘッダ及び巡回冗長検査(CRC)が付加される。ステップ706において、順方向誤り制御符号化(例えば、畳み込み符号、ターボ符号、低密度パリティチェック符号(LDPC:low density parity check code))が適用される。ステップ708において、結果の情報が変調シンボルにマッピングされる(例えば、変調シンボルは、直交位相シフトキーイング(QPSK)、16QAM(直交振幅変調)、64QAMにおけるシンボルである。)。ステップ710において、MFネットワークコーディング法が使用されているか否かを判断する。使用されていた場合、プリディストーションを適用し(例えば、コンステレーション回転及び/又は電力制御を行い)、ステップ714に進み、そうでなかった場合、直接的にステップ714に進み、ベースバンド変調シンボルが、帯域通過波形信号に変換される。そして、図3に関して説明済みのアップリンク適応仮想MIMO送信ステップ306に進む。
図8は、ネットワークコーディング及びダウンリンクステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャートである。ステップ302、304、306及び312は、図3を参照しながら説明したのと同様に実行される。図8は、ネットワークコーディングステップ308及びダウンリンクステップ310に関する部分のみを詳細に示している。
ステップ802において、中継ノードは双方のピアノードから情報/信号を受信する。ステップ804において、どのネットワークコーディング法が使用されているかが判別される。ネットワークコーディング法がMFであった場合、処理はステップ806に進む。ネットワークコーディング法がAFであった場合、処理はステップ808に進む。ネットワークコーディング法がDFであった場合、処理はステップ810に進む。
ステップ806において(すなわち、ネットワークコーディング法がMFであった場合)、所定の判定領域にしたがって受信信号を正しい変調シンボルにマッピングする(これは、ステップ712におけるプリディストーションプロセスに依存する。)。処理はステップ818に進む。
ステップ808において(すなわち、ネットワークコーディング法がAFであった場合)、受信信号を増幅し、ステップ818に進む。
ステップ810において(すなわち、ネットワークコーディング法がDFであった場合)、何れかの受信処理(例えば、ツェンダーフレームワーク(ZF:Zend Framework)、MMSE、MMSE−SIC)を使用して、後処理された信号を求める。ステップ812では、ピアノード各々のデータストリームについて、復調、復号、分離(de−MAC)を行い、情報ビットを取得する。ステップ814において、ネットワークは、XOR演算(又は他の有限体演算)を行うことで、双方のピアノードからの情報信号をエンコードする。双方のピアからのパケットサイズが異なっていた場合、ネットワークコーディングを行う前に、短いパケットについて単にゼロを挿入する。ステップ816において、MACヘッダを付加し、FEC符号化を適用し、変調コンステレーションを適用する。そして、ステップ818へ進む。
ステップ818において、ベースバンド信号を通過帯域信号に変換し、(例えば、STC又はビームフォーミングを使用して)ダウンリンクMIMO送信信号により、ネットワークエンコーディングノードから双方のピアノードに信号をマルチキャストする。そして、図3に関して説明済みのネットワークデコードステップ312に進む。ネットワークデコードステップのさらに詳細な説明については、図9を参照しながら行う。
図9は、ネットワークデコードステップの詳細とともにMIMO方式のネットワークコーディングアーキテクチャを示すフローチャートである。ステップ302、304、306、308及び310は、図3を参照しながら説明したのと同様に実行される。図9は、ネットワークデコーディングステップ312に関する部分のみを詳細に示している。
ステップ912において、各々のピアノードはマルチキャスト信号を受信する。ステップ904において、どのネットワークコーディング方法が使用されているかが判別される。ネットワークコーディング法がMF又はDFであった場合、ステップ906に進む。ネットワークコーディング法がAFであった場合、ステップ914に進む。
ステップ906において(すなわち、ネットワークコーディング法がDF又はMFであった場合)、信号を適切な変調シンボルに復調する。ステップ908において、FEC符号のデコード処理を行う。ステップ910において、ヘッダを分離し(de−MAC)(及びCRCを検査し)、(ネットワークコーディングされた)情報ビットを取得する。ステップ912において、受信した(ネットワークコーディングされた)情報ビットと、送信した情報ビットとをXOR演算(又は他の有限体演算)することで合成し、ネットワークデコーディング(復号)を実行し、所望の情報ビットを取得する。復調906、復号908、ネットワークデコーディング912及びdeMAC910の一連の処理は、反復的に行われてもよい。そして、処理はステップ922に進む。
ステップ914において(すなわち、ネットワークコーディング法がAFであった場合)、受信したマルチキャスト信号から、送信した情報信号を減算する。ステップ916において、減算した信号を適切な変調シンボルに復調する。ステップ918において、順方向誤り制御符号デコード処理を行う。ステップ920において、ヘッダを分離し(de−MAC)(及びCRCを検査し)、所望の情報ビットを取得する。そして、ステップ922に進む。
ステップ922では、所望の情報ビットが上位レイヤに運ばれる。
図10は、開示される発明の一形態において使用されるスケジューラの概略図である。
一組のアンテナ1004、1006を有するBS1000が示されている。BS1000は、MS−A1008及びMS−B1010と無線通信するように示されている。BS1000は、何らかのネットワーク又はネットワークの一部に接続され、そのネットワーク等を介してパケット1012が基地局1000に運ばれる又は、そのネットワーク等にパケット1012が基地局1000から運ばれることに留意を要する。UL及びDLスイッチ1014も図示されており、このスイッチを利用して、BS1000にパケットを(ダウンリンクにおいて)送信する及びBS1000からパケットを(アップリンクにおいて)受信する。
DF用のネットワークコードエンコーダ1016も示されており、これは、仮想キューA1018(すなわち、MS−A1008からのパケットのキュー)又は仮想キューB1020(すなわち、MS−B1010からのパケットのキュー)から受信したパケットをエンコードするのに使用される。エンコードの後、パケット1012はUL及びDLスイッチ1014に転送され、上述の方法によりMS−A1008及びMS−B1010に送信される。
BS1000は、MIMO方式のネットワークコーディングスケジューラ1002も有する。MIMO方式のネットワークコーディングスケジューラ1002は、仮想キューA1018又は仮想キューB1020のパケットの中から、送信するパケットを選択する。MIMO方式のネットワークコーディングスケジューラ1002は、ネットワークコーディングゲインを増やすように使用され、そのネットワークコーディングゲインは、本実施例が使用されなかったならば達成できなかったものである。
MIMO方式のネットワークコーディングスケジューラ1002は、アップリンク及びダウンリンクにおける柔軟なリソース割当を行う。アップリンクの場合、同一の(又は異なる)リソースユニットにおいて、双方のピアが割り当てを受ける。この場合において、リソースユニットは次のように定義される:(i)OFDMの場合、時間−周波数サブチャネル、(ii)TDMAの場合、タイムスロット、及び(iii)CDMAの場合、直交コード。ダウンリンクの場合、STC及びビームフォーミングを使用してネットワークエンコーディングノードがマルチキャストを行うためのリソースが割り当てられる。キューの長さや公平性(fairness)のような実際上の要因も(スケジューリングに)考慮される。
動作中に、MS−A1008からのパケット(実線で示されている)が、UL及びDLスイッチ1014を介してBS1000に到着する。MS−B1010からのパケット(破線で示されている)も同様に到着する。何れの場合も、パケットは、UL及びDLスイッチ1014によりMIMO方式のネットワークコーディングスケジューラ1002に転送され、パケットは、受信された順序で初期仮想キュー1022に入る。そして、パケットがMS−A1008又はMS−B1010の何れから取得されたものであるかに依存して、パケットは、初期仮想キュー1022から仮想キューA1018又は仮想キューB1020に転送される。
双方の仮想キューが空でなかった場合、ネットワークコードエンコーダ1016は双方のキューからのパケットをエンコードし、それをUL及びDLスイッチ1014に運び、双方のピアへのダウンリンクマルチキャストに備える。このようにして、ネットワークコーディングの恩恵が増進し、システムパフォーマンスが強化される。一方のキューのみが空でなかった場合、ネットワークコードエンコーダ1016は、空でないキューからUL及びDLスイッチ1014にパケットを単に運ぶ。これは、ネットワークコードエンコーダ1016を備えていない従来のスケジューラと同様な動作である。双方のキューが空であった場合、ネットワークコードエンコーダ1016は何もしない。
ネットワークコーディングの恩恵を増進するため、スケジューリングの際、アップリンク関して、最低キュー最優先(LQHP:Lowest Queue Highest Priority)アルゴリズムと呼ばれるポリシを使用する。これにより、スケジューラ1002は、より短いキューのユーザに最高の優先度を与え、ネットワークゲイン及びシステムパフォーマンスを増進させる。
図11ないし16に関する例を説明する。これらの例は、HARQ再送に関連するMIMO方式のネットワークコーディングを使用する場合に特に適している。
中継ネットワークが、中継局においてネットワークコーディング機能を提供していなかった場合(中継局は、RS又はMSであるが、簡明化のため、以下の文脈においてRSはRS又はMSを意味するものとする。)、中継局からサービング局(例えば、BS)への様々なソース局(例えば、移動局)に関するHARQ再送は、アップリンク方向における様々なリソースを使用する。ここで説明される例は、MIMO方式のネットワークコーディングを利用して、ネットワークコーディングされたHARQ情報をサービング局へ転送する。これは、HARQの信頼性を増やすことができ、その結果リソースの消費量が減る。
HARQ再送の一形態では、以下の基本ステップが行われる。
(1)複数のMSが、同じ(又は異なる)無線リソース(例えば、帯域幅、タイムスロット)を利用して、中継局へ情報を送信する。この送信信号は基地局により部分的に受信される。
(2)RSは、その送信信号を受信し、受信した情報についてMIMO方式のネットワークコーディングを適用し、エンコードされたHARQ情報信号をアップリンク方向でサービング局(例えば、BS)に送信する。
(3)BSは、(1)によりソース局から部分的なストリームを受信することに加えて、(2)によりエンコードされたHARQ情報信号をRSから受信する。BSは、インターリーブ復号、復調及び検出処理を行い、MSからの元の情報を復元する。
図11は、一形態における無線通信環境を示す図である。基地局(BS)1102、中継局(RS)1104及び2つの移動局MS1−1106、MS2−1108を含むセルラ無線ネットワークが示されている。BS1102は、MS1−1106及びMS2−1108に対するサービング局である。サービング局であるので、BS1102は、アップリンクの送信及びHARQ再送に関するリソースの割当計画を立てること(スケジューリング)、及び肯定応答(ACK)/否定応答(NACK)を必要に応じて送信することに対する責務を有する。
図11は、「H」1110によりマークされているBS1102の上位の地理的領域を示す。また、「M」1112によりマークされているBS1102の中位の地理的領域、及び「L」1114によりマークされているBS1102の下位の地理的領域も示されている。そして、RS1104のカバレッジ領域は「C」1116によりマークされている。MS1−1106及びMS2−1108はともに中位の地理的領域1112に位置しており、かつRS1104のカバレッジ領域1116内に位置している。
周知のように、MSsはBS又はRSのカバレッジ領域にわたって分散している。第2MS(例えば、中位の地理的領域に存在しているMS)よりもBSに近い第1MS(例えば、上位の地理的領域に存在しているMS)は、アップリンク及びダウンリンク方向においてBSと通信する際、比較的低い電力しか要しない。
目下の例の場合、BS1102の同期信号及び制御信号は中位の地理的領域1112に到達可能である。図12は、図11の無線通信環境における例示的なタイミング図である。図13は、図11及び12に示される例に関するフローチャートである。
図11−13を参照するに、ステップ1302において、BS1102は、BS制御パケットB−SCHをRS1104、MS1−1106及びMS2−1108に送信することで、スケジューリングを実行する。ステップ1304において、MS1−1106及びMS2−1108の双方は、同じ/異なるリソースユニットを用いて(この例の場合、適応仮想MIMO方式により)RS1104及びBS1102に対して自身のパケットd1、d2をマルチキャストする。
ステップ1306において、BS1102は、MS1−1106及びMS2−1108から受信したd1及びd2をそれぞれデコードしようとする。ステップ1308における成否判定によりデコードが成功していた場合、BS1102は、ステップ1316において、MS1−1106、MS2−1108及びRS1104にACKパケットをマルチキャストする。そして、本プロセスはステップ1320にて終了する。
デコードが成功していなかった場合、BS1102は、ステップ1314において、RS1104にNACKパケットをユニキャストする。RS1104は、ステップ1310において、MS1−1106及びMS2−1108から受信したd1及びd2を復調及び/又は復号する。ステップ1312において、RS1104は、(上記のネットワークエンコーディング法の何れかを使用して)MIMO方式のネットワークコーディングを実行し、エンコードされたHARQをBS1102にユニキャストする。
ステップ1306において、BS1102は、ステップ1304及びステップ1312から受信した信号を集め、反復的なネットワーク処理及びチャネル復号処理を実行し、MS1−1106及びMS2−1108から送信された元の情報d1、d2を取得する。ステップ1308における成否判定によりデコードが成功していた場合、BS1102は、ステップ1316において、MS1−1106、MS2−1108及びRS1104にACKパケットをマルチキャストする。そうでなければ、ステップ1314が繰り返される。そして、本プロセスはステップ1320にて終了する。
図14は、一形態における無線通信環境を示す図である。BS1402、RS1404及び2つの移動局MS1−1406、MS2−1408を含むセルラ無線ネットワークが示されている。
図14は、「H」1410によりマークされているBS1402の上位の地理的領域を示す。また、「M」1412によりマークされているBS1402の中位の地理的領域、及び「L」1414によりマークされているBS1402の下位の地理的領域も示されている。そして、RS1404のカバレッジ領域は「C」1416によりマークされている。MS1−1406は中位の地理的領域1412に位置しており、MS2−1408は下位の地理的領域1414に位置している。MS1−1406及びMS2−1408は、ともにRS1404のカバレッジ領域1416内に位置している。
BS1402の同期信号及び制御信号が下位の地理的領域1414をカバーできる場合、BS1402は、MS1−1406及びMS2−1408のサービング局になる。これは、トランスペアレントモード(透過モード)と呼ばれる。そうでない場合、RS1404は、同期信号及び制御信号をMS2−1408に送信する必要がある。その場合、BS1402がMS1−1406のサービング局であり、RS1404がMS2−1408のサービング局になる。これは、ノントランスペアレントモード(非透過モード)と呼ばれる。サービング局(BS1402及び場合によってはRS1404)は、アップリンクの送信及びHARQ再送に関するリソースの割当計画を立てること(スケジューリング)、及びACK/NACKを必要に応じて送信することに対する責務を有する。
目下の例の場合、BS1402の同期信号及び制御信号は、中位の地理的領域1414には届くが、下位の地理的領域1414には届かない。
図15は、図14の無線通信環境における例示的なタイミング図である。図16は、図14及び15に示される例に関するフローチャートである。以下の説明では、図14−16を適宜参照する。
ステップ1602において、BS1402は、リソーススケジューリング用のBS制御パケットB−SCHをRS1404、及びMS1−1406に送信することで、スケジューリングを実行する。ステップ1604において、RS1404は、リソーススケジューリング用のRS制御パケットR−SCHを送信することで、スケジューリングを実行する、あるいはBS1402がMS2−1608をスケジューリングする(明示的には図示されていないが、それは透過モードの場合である。)。
ステップ1606において、MS1−1406がBS1402及びRS1404にd1をマルチキャストし、MS2−1408が、同じ/異なるリソースユニットを使用してRS1404にd2をユニキャストする。
ステップ1608において、RS1404は、MS1−1406及びMS2−1408からそれぞれ受信したd1及びd2を復調/復号する。説明の便宜上、このステップは成功したものとする。RS1404は、(MS2−1408から受信した情報d2に関して)ACKパケットをMS2−1408にユニキャストし、(MS1−1406から受信した情報d1に関して)ACKパケットをBS1402にユニキャストする。
ステップ1610において、BS1402はMS1−1406から受信したd1を復号しようとする。復号が成功しなかった場合、BS1402はRS1404にNACKパケットをユニキャストし、ステップ1620において、RS1404は、(上記のネットワークエンコーディング法の何れかを使用して)d1及びd2についてMIMO方式のネットワークコーディング及びチャネルコーディングをともにを実行し(JNCC:Joint Network and Channel Coding)(d1及びd2は、MS1−1406及びMS2−1408からそれぞれ送信された情報である。)、エンコードされた情報(JNCC−HARQ情報と言及する)をBS1402にユニキャストする。
BS1402は、ステップ1606及び1620からの信号を集め、反復的なネットワーク処理及びチャネル復号処理を実行し、MS1−1406からの元の情報d1及びMS2−1408からのd2を取得する。
ステップ1624におけるデコードが成功していた場合、BS1402は、MS1−1406及びRS1404にACKパケットをマルチキャストし、本プロセスはステップ1626にて終了する。そうでなかった場合、BS1402は、RS1404にNACKパケットをユニキャストし、プロセスはステップ1620に戻る。
ステップ1612を再び参照するに、ステップ1612においてデコードが成功していた場合、BS1402はACKパケットをMS1−1406及びRS1404にマルチキャストする。ステップ1614において、RS1404は、(MS2−1408からの)d2についてチャネルコーディングを実行し、BS1402にその情報をユニキャストする。
BS1402は、その情報を受信し、チャネルデコーディングを行って、MS2−1408からの元の情報d2を取得する。ステップ1618において、デコードが成功していた場合、BS1402はACKパケットをRS1404にマルチキャストし、本プロセスはステップ1626にて終了する。そうでなかった場合、BS1402は、NACKパケットをRS1404にユニキャストし、本プロセスはステップ1614に戻る。
図17は、MIMO方式のネットワークコーディングにより実現されるネットワークゲインを示す例示的なグラフである。横軸は、BSのカバレッジ半径を示す(図示の例の場合、1.4km、1.0km又は0.5kmである。)。縦軸は規格化されたスループットを示す。
6つのSISOシステムの規格化されたスループットが、比較のために1に等しく示されている。
BSのカバレッジ半径が1.4kmである第1システム例の場合、DFネットワークコーディングを利用することで、8.6%ゲインが向上した。BSのカバレッジ半径が1kmである第2システムの場合、DFネットワークコーディングを利用することで、12.99%ゲインが向上した。BSのカバレッジ半径が0.5kmである第3システムの場合、DFネットワークコーディングを利用することで、22.03%ゲインが向上した。
MIMO方式のネットワークコーディングにより達成されるゲインを検討するのに使用された設定事項は、次のとおりである。BSは2つのアンテナを使用し、2つのMSはそれぞれ1つのアンテナを使用している。アップリンクについて仮想MIMOが使用され、ネットワークコーディングによるマルチキャストダウンリンクについて時空間送信ダイバーシチ(STTD)が使用されている。DFネットワークコーディングが使用されている。フレーム当たりアップリンク及びダウンリンクで等しいスループットが予定され、1つのセル、ドロップ当たり2つのMS(two MSs per drop)、1000個の実現例(realization)が使用されている。
上記の設定事項を使用すると、BSのカバレッジ半径が1.4kmの場合、MIMOゲインは88.67%になり、ネットワークコーディングゲインは17.02%になった。BSのカバレッジ半径が1kmの場合、MIMOゲインは71.06%になり、ネットワークコーディングゲインは23.94%になった。BSのカバレッジ半径が0.5kmの場合、MIMOゲインは50.87%になり、ネットワークコーディングゲインは37.23%になった。
したがって、MIMO方式のネットワークコーディングのゲイン全体は、85%より大きく見られた。この例の場合、MIMOは、ネットワークコーディングゲインを純粋に改善していることも確認された。
以上、本発明原理による応用例が例示的に説明されてきた。本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、他の形態や方法が当業者により実現可能である。
<関連出願>
本願は、西暦2007年8月27日付けで出願された米国仮出願番号第60/968,206号、及び西暦2007年11月9日付けで出願された米国仮出願番号60/986,682号に基づく優先的利益を享受し、これらの出願は本願のリファレンスに組み入れられる。

Claims (20)

  1. 複数のアンテナを有する中継ノードと、第1ノードと、第2ノードとを含む無線通信システムにおいて、MIMO方式のネットワークコーディングを行う方法であって、
    前記第1ノードが第1データを前記中継ノードに送信し、かつ前記第2ノードが第2データを前記中継ノードに送信するステップと、
    前記中継ノードが、前記第1ノード及び前記第2ノード双方からの送信信号を受信し、所定のネットワークコーディング方法を用いて前記第1データ及び前記第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成するステップと、
    前記中継ノードが、前記ネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により前記第1ノード及び前記第2ノード双方に送信するステップと、
    前記第1ノードが、MIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、前記第2データを復元するステップと、
    前記第2ノードが、MIMO方式の送信信号を受信してネットワークデコーディングを行い、前記第1データを復元するステップと
    を有する方法。
  2. 前記MIMO方式の送信信号が、空間分割多重方式による送信信号である、請求項1記載の方法。
  3. 前記第1ノードが第1データを前記中継ノードに送信し、前記第2ノードは、空間多重方式、時分割多重方式及び周波数分割多重方式のうちの1つ以上を利用して、第2データを前記中継ノードに送信する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1ノードが第1データを前記中継ノードに送信し、前記第2ノードは、適応仮想MIMO方式を利用して、第2データを前記中継ノードに送信する、請求項1、2又は3に記載の方法。
  5. 前記第1ノードが、同じカバレッジ領域内のノードのグループに属する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記第2ノードが、同じカバレッジ領域内のノードのグループに属する、請求項1ないし5の何れか1項に記載の方法。
  7. ネットワークコーディングが、前記中継ノードにおいて、前記第1データと前記第2データを排他的OR(XOR)演算することで行われる、請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記中継ノードにおいて行われる前記ネットワークコーディングは、デコード及びフォワード方式(DF)、マップ及びフォワード方式(MF)並びに増幅及びフォワード方式(AF)の内の何れかである、請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記中継ノードが、中継局(RS)、移動局(MS)及び基地局(BS)の内の何れかである、請求項1ないし8の何れか1項に記載の方法。
  10. 請求項1ないし9の何れか1項に記載の方法を使用して、MIMO方式のネットワークコーディングされた送信信号をスケジューリングするスケジューラであって、
    前記第1ノードからの1つ以上のパケットを格納する第1キューと、
    前記第2ノードからの1つ以上のパケットを格納する第2キューと、
    を有し、ネットワークコーディング用のパケットをスケジューリングする際、前記第1キュー及び前記第2キューの内、より短いキューの長さを有するものに対して、より高い優先度が与えられる、スケジューラ。
  11. 前記ネットワークコーディングされた情報が、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)メッセージである、請求項1ないし9の何れか1項に記載の方法。
  12. MIMO方式のネットワークコーディングを行う無線通信システムにおける通信装置であって、
    複数のアンテナと、
    回路とを有し、該回路は、
    第1ノードからの第1データ及び第2ノードからの第2データを受信し、
    所定のネットワークコーディング方法を用いて前記第1データ及び前記第2データにネットワークコーディングを施し、ネットワークコーディングされた情報を生成し、及び
    該ネットワークコーディングされた情報を、マルチユーザMIMO方式により前記第1ノード及び前記第2ノードに送信する、通信装置。
  13. 前記マルチユーザMIMO方式の送信信号が、空間分割多重方式による送信信号である、請求項12記載の通信装置。
  14. 前記第1ノードが第1データを前記中継ノードに送信し、前記第2ノードは、空間多重方式、時分割多重方式及び周波数分割多重方式のうちの1つ以上を利用して、第2データを前記中継ノードに送信する、請求項12又は13に記載の通信装置。
  15. ネットワークコーディングが、前記第1データと前記第2データを排他的OR(XOR)演算することで行われる、請求項12、13又は14に記載の通信装置。
  16. 前記ネットワークコーディングは、デコード及びフォワード方式(DF)、マップ及びフォワード方式(MF)並びに増幅及びフォワード方式(AF)の内の何れかである、請求項12、13又は14に記載の通信装置。
  17. 当該通信装置が、中継局(RS)又は移動局(MS)である、請求項12ないし16の何れか1項に記載の通信装置。
  18. 当該通信装置が、基地局(BS)である、請求項12ないし17の何れか1項に記載の通信装置。
  19. スケジューラをさらに有する請求項12ないし18の何れか1項に記載の通信装置であって、該スケジューラは、
    前記第1ノードからの1つ以上のパケットを格納する第1キューと、
    前記第2ノードからの1つ以上のパケットを格納する第2キューと
    を有し、ネットワークコーディング用のパケットをスケジューリングする際、前記第1キュー及び前記第2キューの内、より短いキューの長さを有するものに対して、より高い優先度が与えられる、通信装置。
  20. 前記ネットワークコーディングされた情報が、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)メッセージである、請求項12ないし19の何れか1項に記載の通信装置。
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