一般事項。本発明の特定の態様、様式、実施形態、変形物および特色が、本発明の実質的な理解を提供するために様々なレベルで詳細に以下に記述されることが認識されるべきである。
本発明は、一般的にゲルゾリンポリペプチドに結合することができるゲルゾリン結合剤(例えば抗体)を提供する。本発明のゲルゾリン結合剤は、生物学的サンプルからゲルゾリンタンパク質を精製する方法に加えて、試験サンプル中のゲルゾリンポリペプチド(別名、標的ポリペプチド)を検出するのに、単独でまたは組合せで、有用である。ゲルゾリン結合剤は、その必要性のある被験体におけるゲルゾリンに関連する医学的状態を診断するのに有用である。ヒトゲルゾリンポリペプチド(配列番号:1)のアミノ酸配列を、表1中に示す。
いくつかの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤(例えば抗ゲルゾリン抗体または抗ゲルゾリン様抗体)は、ゲルゾリンの活性形態または未結合形態を検出する。理論によって限定されることは意図しないが、遊離ゲルゾリン分子と複合体を形成した(アクチンに対して)ゲルゾリン分子の機能特性は異なる。遊離ゲルゾリンはアクチンフィラメントを切断することができるが、複合体のアクチンゲルゾリンは切断できない。ゲルゾリンの切断活性はマイクロモルのCa2+により活性化され、ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)およびホスファチジルイノシトール一リン酸(PIP)により阻害されることが示されている。細胞外Ca2+濃度がミリモルレベルであり、細胞外液が、通常はゲルゾリンを阻害する形態のPIPまたはPIP2を含んでいないので、血漿ゲルゾリンは細胞外液中で構成的に活性がある。
本発明の様々な態様は、医学的状態に起こしやすい個体の同定、または薬物応答性、副作用もしくは至適薬物用量に関する個体の分類に、本発明のゲルゾリン結合剤を使用する診断方法およびキットにさらに関する。他の態様において、本発明は、例えば、血漿からのネイティブのヒトゲルゾリンを含む、生物学的サンプルからのゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチドを精製する方法を提供する。したがって、これらの態様を例示する様々な特定の実施形態を以下に示す。
本発明の実行には、分子生物学、タンパク質生化学、細胞生物学、免疫学、微生物学および組換えDNAにおける多くの従来の技術が使用される。これらの技術は周知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology、I−III巻、Ausubel編(1997);Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(コールドスプリングハーバーラボラトリー出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989));DNAクローニング:DNA Cloning:A Practical Approach、IおよびII巻、Glover編(1985);Oligonucleotide Synthesis、Gait編(1984);Nucleic Acid Hybridization、HamesおよびHiggins編(1985);Transcription and Translation、HamesおよびHiggins、編(1984);Animal Cell Culture、Freshney編(1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRLプレス(IRL Press)、1986年);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning;Meth.Enzymol.シリーズ、(アカデミックプレス社(Academic Press, Inc.)、1984年);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells、MillerおよびCalos編(コールドスプリングハーバーラボラトリー、ニューヨーク(1987));ならびにMeth.Enzymol.、154巻および155巻、それぞれWuおよびGrossman編、およびWu編中で説明される。ポリペプチド遺伝子発現産物(すなわち遺伝子翻訳レベル)のレベルを検出および測定する方法は、当技術分野において周知であり、抗体検出および定量化技術などの、ポリペプチド検出方法の使用を含む(StrachanおよびRead、ヒト分子遺伝学(Human Molecular Genetics)、第2版(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley and Sons,Inc.)、ニューヨーク(1999))もまた参照)。
特別に定義されない限り、本明細書において使用したすべての技術的用語および科学的用語は、一般的に当業者により一般に理解されるような同じ意味を有している。この明細書および添付された請求項において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、特別に内容が明確に指示しない限り、複数の指示物を含む。例えば、「1つの細胞(a cell)」への参照は、2つまたは複数の細胞の組合せおよび同種のものを含む。一般的に、本明細書、並びに以下で記述される細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学および核酸化学並びにハイブリダイゼーションにおける実験手順において使用される呼称は周知であり、一般に当技術分野において使用されるものである。本明細書において引用されるすべての参照は、各個々の出版物、特許または特許出願がすべての目的のために具体的および個別にその全体を参照することにより組み入れられるのと同じ程度で、すべての目的のためにそれらの全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。
定義。この明細書において使用されるような特定の用語の定義は以下に提供される。他の用語の定義は、Illustrated Dictionary of Immunology、第2版(Cruse,J.M.およびLewis,R.E.、Boca Raton,FL編:CRCプレス(CRC Press)、1995)中に見出すことができる。特別の指示のない限り、本明細書において使用される場合の用語「ゲルゾリン」は、ヒトのタンパク質および遺伝子を指す。
本明細書において使用される時、被験体または被験体への薬剤または薬物の「投与」は、その意図された機能を実行するように、被験体に化合物を導入または送達する任意の経路を含む。投与は、経口的、鼻腔内、非経口的(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、経直腸的、または局所的なものを含む、任意の適切な経路により行なうことができる。投与は、自己投与および他の人による投与を含む。記述されるような医学的状態の治療または防止の様々な様式は、ある程度の生物学的または医学的に適切な結果が達成される完全なまた完全未満の治療または防止を含む、「実質的」を意味するように意図されることもまた認識されるべきである。
本明細書において使用される時、用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸に類似する方式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物に加えて、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸を含む。天然に存在するアミノ酸は、後に修飾されるアミノ酸(例えば,ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−フォスフォセリン)に加えて,遺伝暗号によりコードされるものである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合されるα−炭素)を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルフォキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。かかる類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保有する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸に類似する方式で機能する構造を有する化学化合物を指す。アミノ酸は、一般に公知の3文字記号またはIUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨される1文字記号のいずれかによって、本明細書において指されうる。
本明細書において使用される時、用語「抗体」は抗原(例えばゲルゾリンポリペプチド)を特異的に結合および認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを意味する。用語、抗体の使用は、一本鎖全抗体を含む全抗体、およびその抗原結合断片を含むように意味される。それらが所望される生物学的活性を示すかまたは機能する限り、用語「抗体」は二重特異性抗体および多重特異性抗体を含む。
本明細書において使用される時、用語「抗体関連ポリペプチド」は、以下のポリペプチドエレメントのすべてまたは一部と共に、単独または組合せで可変領域を含むことができる一本鎖抗体を含む、抗原結合抗体断片を意味する。抗体分子のヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメイン。可変領域およびヒンジ領域、CH1、CH2ならびにCH3ドメインの任意の組合せもまた本発明中に含まれる。本発明の結合剤として有用な抗体関連分子は、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLまたはVHのドメインを含む断片を含むが、これらに限定されない。実例は、(i)Fab断片(VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価断片);(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合される2つのFab断片を含む二価断片);(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単腕のVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature341:544−546,(1989));および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。それゆえ、「抗体断片」は、全長抗体の一部(一般的にその抗原結合領域または可変領域)を含むことができる。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片;ダイアボディ;直線状抗体;一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。一本鎖抗体分子は、多数の個々の分子による多量体(例えば二量体、三量体または他の多量体)を含むことができる。
本明細書において使用される時、用語「CDRがグラフトされた抗体」は、望ましい抗原特異性を保持する「ドナー」抗体からのCDR「グラフト」によって「アクセプター」抗体の少なくとも1つのCDRが置換される抗体を意味する。
本明細書において使用される時、用語「キメラ抗体」は、1つの種からのモノクローナル抗体のFc定常領域(例えば、マウスFc定常領域)が、組換えDNA技術を使用して、他の種の抗体からのFc定常領域(例えば、ヒトFc定常領域)で、置換される抗体を意味する。一般的には、Robinson et al.、PCT/US86/02269;Akira et al.、ヨーロッパ特許出願第184,187号;Taniguchi、ヨーロッパ特許出願第171,496号;Morrison et al.、ヨーロッパ特許出願第173,494号;Neuberger et al.、WO86/01533;Cabilly et al.米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、ヨーロッパ特許出願第125,023号;Better et al.,Science 240:1041−1043(1988);Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443(1987);Liu et al.,J.Immunol 139:3521−3526(1987);Sun et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218(1987);Nishimura et al.,Cancer Res 47:999−1005(1987);Wood et al.,Nature314:446−449(1985);およびShaw et al.,J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559(1988)を参照。
本明細書において使用される時、用語「臨床応答」は、応答、無応答、および有害応答(すなわち副作用)の定量的測定のいずれかまたはすべてを意味する。
本明細書において使用される時、用語「臨床試験」は、特定の治療に対する応答に基づく臨床データーを収集するようにデザインされた任意の研究試験を意味し、第I相、第II相および第III相の臨床試験を含むが、これらに限定されない。標準的方法を使用して、患者集団を定義し被験体を組入れる。
本明細書において使用される時、用語「コンセンサスFR」は、コンセンサス免疫グロブリン配列中のフレームワーク(FR)抗体領域を意味する。抗体のFR領域は抗原に接触しない。
本明細書において使用される時、用語「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を備えた小さな抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖(VHVL)中に軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメインとの間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、もう一つの鎖の相補的なドメインと対合し、2つの抗原結合部位を生じることを強いられる。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)中でより完全に記述される。
本明細書において使用される時、用語「エフェクター細胞」は、免疫応答の認識相および活性化相に対立する、免疫応答のエフェクター相に関与する免疫細胞を意味する。例示的な免疫細胞は、骨髄性またはリンパ性起源の細胞、例えば、リンパ球(例えば、B細胞および細胞傷害T細胞(CTL)を含むT細胞)、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多核白血球、顆粒球、マスト細胞および好塩基球を含む。エフェクター細胞は特異的Fc受容体を発現し、特異的免疫機能を実行する。エフェクター細胞は抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導することができ、例えば、好中球はADCCを誘導することができる。例えば、FcαRを発現する単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は、標的細胞の特異的死滅および免疫系の他の成分への抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。エフェクター細胞は、標的抗原、標的細胞、転移癌細胞、または微生物をファゴサイトーシスすることもできる。
本明細書において使用される時、用語「エピトープ」は、抗体への特異的結合が可能なタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性のある表面配置からなり、比電荷特質に加えて、特異的3次元構造特性を通常有する。立体配座的エピトープおよび非立体配座的エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。1つの実施形態において、ゲルゾリンの「エピトープ」は、本発明のゲルゾリン結合剤が結合するゲルゾリンタンパク質中の領域である。本発明の選択した実施形態において、このエピトープは、配列番号:1の約321〜約330、約636〜約645、または約661〜670のアミノ酸残基にわたるドメインである。
エピトープに結合するゲルゾリン結合剤についてスクリーニングするために、Antibodies, A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー、Ed Harlow and David Lane(1988)中で記述されていたものなどのルーチンの交差ブロッキング分析を実行することができる。この分析を使用して、ゲルゾリン結合剤が本発明のゲルゾリン抗体と同じ部位またはエピトープを結合するかどうか決定することができる。あるいはまたはさらに、エピトープマッピングを当技術分野において公知の方法により実行することができる。例えば、抗体配列をアラニンスキャニングによってなどで変異させて、接触残基を同定することができる。異なる方法では、ゲルゾリンの異なる領域に対応するペプチドは、検査抗体による競合分析、または検査抗体および特性が評価されたエピトープもしくは公知のエピトープを備えた抗体による競合分析において使用することができる。
本明細書において使用される時、用語、組成物の「効果的な量」または「薬学的に効果的な量」または「療法的に効果的な量」は、所望される療法的および/または予防的効果を達成するのに十分な量、例えば治療されている疾患に関連する症状(例えば標的ポリペプチド(例えばゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチド)に関連する疾患または医学的状態)の防止または減少をもたらす量である。被験体に投与される本発明の組成物の量は、疾患のタイプおよび重症度、ならびに公衆衛生、年齢、性別、体重および薬物への耐性などの個体の特質に依存するだろう。疾患の程度、重症度およびタイプにも依存するだろう。当業者は、これらおよび他の因子に依存して適切な投薬を決定することができるだろう。本発明の組成物は、1つまたは複数の追加の療法的化合物と組み合わせてもまた投与することができる。本発明の方法において、ゲルゾリンは、疾患または外傷状態により引き起こされたゲルゾリンレベルが減少した被験体に投与され、それによって被験体中の血漿ゲルゾリンのレベルを増加させる。例えば、ゲルゾリンの「療法的に効果的な量」は、遊離細胞外アクチンの毒性効果が最小で寛解されるレベルが意味される。
本明細書において使用される時、「発現」は、1つまたは複数の以下のもの含むが、これらに限定されない。前駆mRNAへの遺伝子の転写;前駆mRNAのスプライシングおよび他のプロセッシングによる成熟mRNAの産生;mRNAの安定;タンパク質への成熟mRNAの翻訳(コドン使用頻度およびtRNA利用度を含む);ならびに適切な発現および機能のために必要とされるならば、翻訳産物の 糖鎖付加および/または他の修飾。
本明細書において使用される時、用語「ゲルゾリン」は、多機能のアクチン結合タンパク質を指す。哺乳類において、ゲルゾリンは、細胞質変異型および細胞外変異型の2つのアイソフォームを含む。ヒト血漿ゲルゾリンは分子のN末端への約25アミノ酸の追加によってだけで細胞ゲルゾリンとは異なり、両方のゲルゾリンは単一遺伝子産物である。血漿ゲルゾリンは3つのアクチン結合部位を有しており、G−アクチンまたはF−アクチンのいずれかへ高い親和性で結合する。「ゲルゾリン」は、哺乳類ポリペプチドの組換え形態もまた指す。
本明細書において使用される時、「ゲルゾリン様ポリペプチド」は、ゲルゾリンポリペプチドとは異なるが、本発明のゲルゾリン結合剤と免疫学的に反応性であるポリペプチドを意味する。ゲルゾリン様ポリペプチドは、ゲルゾリンポリペプチドと同じ生物または異なる生物に由来することができる。ゲルゾリン様ポリペプチドは、ゲルゾリンポリペプチドと同じ遺伝子または異なる遺伝子によりコードされうる。ゲルゾリン様ポリペプチドは、ゲルゾリンポリペプチドの免疫反応性の断片(例えばC末端断片)でありえる。
本明細書において使用される時、用語「遺伝子」は発現を制御するプロモーター、エクソン、イントロンおよび他の非翻訳領域を含む、RNA産物の調節された生合成のための情報をすべて含むDNAのセグメントを意味する。
本明細書において使用される時、用語「ヒト配列抗体」は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在するならば)を有する抗体を含む。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロのランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発、またはインビボの体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。かかる抗体は、例えばPCT公報番号WO01/14424およびWO00/37504中で記述されているように、非ヒトトランスジェニック動物において生成することができる。しかしながら、用語「ヒト配列抗体」は、本明細書において使用される時、別の哺乳類種の生殖細胞系列に由来するCDR配列(マウスなどの)がヒトフレームワーク配列(例えばヒト化抗体)上にグラフトされた抗体を含むようには意図されない。
本明細書において使用される時、用語、非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ヒト化抗体は大部分についてはヒト免疫グロブリンであり、レシピエントの超可変領域残基は、所望される特異性、親和性および容量を有するマウス、ラット、ウサギまたはヒト以外の霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)からの超可変領域残基により置換される。いくつかの実例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体において見出さない残基を含むことができる。これらの修飾を行って、結合親和性などの抗体パフォーマンスをさらに改良する。一般的に、ヒト化抗体は、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域は結合親和性を改善する1つまたは複数のアミノ酸置換を含みうるが、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である、少なくとも1つ典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むだろう。FR中のこれらのアミノ酸置換の数は、典型的には、重鎖において最高6、および軽鎖において最高3である。ヒト化抗体は、任意で免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部もまた含むだろう。さらに詳細のためには、Jones et al.,Nature321:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照。
本明細書において記述されるゲルゾリン抗体の「1つまたは複数のアミノ酸配列の修飾」が検討される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましいだろう。ゲルゾリン抗体のアミノ酸配列変異型は、抗体核酸の中へ適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。かかる修飾は、例えば、ゲルゾリン抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失および/またはその中への挿入および/またはその置換を含む。得られた抗体が所望される特性を保持する限り、欠失、挿入および置換の任意の組合せは、対象となる抗体を得るために行なわれる。修飾はタンパク質の 糖鎖付加パターンの変化もまた含む。変異誘発のための好ましい位置の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells in Science,244:1081−1085(1989)により記述されるような「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれるものである。次に、変異抗体は所望される活性についてスクリーニングされる。もし抗体の変異型が所望される特性を保持するならば、本発明は、CGMCCアクセッション番号2114、2115、2116、2247および2248をそれぞれ有する、ハイブリドーマGC1C10、CN3E9、GF2D6、GC5D1、GC4A10によって定義されるアミノ酸配列の1つまたは複数のアミノ酸の追加、欠失および/または置換を備えた抗体変異型を含む。
本明細書において使用される時、用語「超可変領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般的に「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VL中のおよそ残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)、ならびにVH中のおよそ31〜35B(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3))(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局、国立衛生研究所、ベセズダ、メリーランド(1991))および/または「超可変ループ」からのアミノ酸残基(例えば、VL中の残基26〜32(L1)および50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびにVH中の26〜32(H1)、52A〜55(H2)および96〜101(H3))(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。
本明細書において使用される時、用語「同一の」またはパーセント「同一性」は、2つまたは複数の核酸配列またはポリペプチド配列のコンテキストにおいて使用された場合、同じであるか、または以下で記述されるデフォルトパラメーターによるBLASTもしくはBLAST2.0の配列比較アルゴリズムを使用してまたは手動のアライメントおよび目視点検によって測定して(例えば、NCBIウェブサイトを参照)、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの指定のパーセンテージ(すなわち、比較ウィンドウまたは指定の領域にわたり最大で一致するように比較およびアライメントさせた場合、指定の領域(例えば、本明細書において記述される抗体をコードするヌクレオチド配列または本明細書において記述される抗体のアミノ酸配列)にわたり約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性)を有する、2つまたは複数の配列またはサブ配列を指す。かかる配列は「実質的に同一である」とされる。この用語は、検査配列の相補物も指すか、または相補物にも適用することができる。用語は、置換を有する配列に加えて、欠失および/または追加を有する配列もまた含む。アルゴリズムはギャップおよび同種のものを説明することができる。典型的には、同一性は、少なくとも約25のアミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域、または少なくとも約50〜100のアミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたり存在する。
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはその生物学的に活性のある部分は、ゲルゾリン結合剤が由来する細胞または組織源からの細胞物質または他の混入ポリペプチドが実質的にないか、または化学的に合成された場合、化学的前駆体または他の化学物質が実質的にない。例えば、抗ゲルゾリンまたは抗ゲルゾリン様抗体である単離されたゲルゾリン結合剤は、薬剤の診断的使用または療法的使用を妨害する物質がないだろう。かかる妨害物質は酵素、ホルモンならびに他のタンパク性および非タンパク性溶質を含みうる。あるいは、本発明のゲルゾリン結合剤と免疫反応性である、単離されたゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチドは、ポリペプチドの診断的使用または療法的使用を妨害する物質が実質的にないだろう。
本明細書において使用される時、用語「インタクトな抗体」は、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2つの重(H)鎖ポリペプチドおよび2つの軽(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVHとして本明細書において短縮される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLと本明細書において短縮される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL)を含む。VHおよびVLの領域は、相補性決定領域(CDR)と名付けられた超可変性領域へとさらに細分することができ、フレームワーク領域(FR)と名付けられたより保存された領域が散在する。各々のVHおよびVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシル末端へ並んだ3つのCDRおよび4つのFRからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合するドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。
本明細書において使用される時、用語、「免疫学的に交差反応性のある」および「免疫学的に反応性のある」は、同じ抗原(「免疫学的に反応性のある」)または異なる抗原(「免疫学的に交差反応性のある」)を使用して生成された抗体と特異的に反応性のある抗原を意味するように交換可能に使用される。一般的に、抗原は、ゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチド、その変異型またはサブ配列である。
本明細書において使用される時、用語「免疫学的に反応性のある条件」は、抗体が他の実質的にすべてのエピトープに結合するよりも検出可能に高い程度で、一般的にバックグラウンド結合の少なくとも2倍を越えて、好ましくはバックグラウンドの少なくとも5倍を越えて、抗原の特定のエピトープに対して生成された抗体がそのエピトープに結合することを可能にする条件を意味する。免疫学的に反応性のある条件は抗体結合反応の形式に依存的で、典型的には免疫分析プロトコールにおいて利用されるものである。免疫分析形式および条件の記述については、HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual(コールドスプリングハーバー出版、ニューヨーク(1988))を参照。
本明細書において使用される時、用語「医学的状態」は、治療および/または防止が望ましい1つまたは複数の身体的および/または心理的な症状として現われる任意の状態または疾患を含むが、これらに限定されず、以前におよび新しく同定された疾患および他の障害を含む。例えば、医学的状態は、肝炎、SLE、癌、腎不全、敗血症性ショック、脳卒中、癌、心筋梗塞、ならびに化学療法および放射線療法の副作用でありえる。
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体(すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる天然に存在する可能性のある変異を除いて同一である)の集団から得られる抗体を指す。例えば、モノクローナル抗体は、任意の真核生物クローン、原核生物クローン、またはファージクローンを含む単一クローンに由来する抗体でありえ、それが産生される方法に由来する抗体ではない。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープについて単一の結合特異性および親和性を示す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原部位に対して向けられている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を典型的には含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体は各抗原上の単一決定基に対して向けられる。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に抗体の均質集団から得られているような抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈することができない。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換技術、およびファージディスプレイ技術を含むが、これらに限定されない当技術分野において公知の様々な技術を使用して調製することができる。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)により最初に記述されたハイブリドーマ方法により作製することができるか、または組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)により作製することができる。例えば、「モノクローナル抗体」は、Clackson et al.,Nature352:624−628(1991)およびMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)中で記述されている技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
本明細書において使用される時、用語「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与と適合性のある、任意の溶媒およびすべての溶媒、分散物溶媒、コーティング、抗菌化合物および抗真菌化合物、等張化合物および吸収遅延化合物、ならび同種のものを含むように意図される。
本明細書において使用される時、用語「ポリクローナル抗体」は、抗体の調製物が、少なくとも2つの異なる抗体産生細胞株に由来することを意味する。この用語の使用は、抗原の異なるエピトープまたは領域に対して特異的に結合する抗体を含む少なくとも2つの抗体の調製物を含む。
本明細書において使用される時、用語、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意のRNAまたはDNAを意味し、それは未修飾または修飾されたRNAまたはDNAでありえる。ポリヌクレオチドは、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖領域および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNA、一本鎖領域および二本鎖領域の混合物であるRNA、ならびに一本鎖、より典型的には二本鎖でありえるDNAおよびRNAまたは一本鎖領域および二本鎖領域の混合物を含むハイブリッド分子を、限定されずに含む。さらに、ポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。用語、ポリヌクレオチドは、安定性または他の理由のために修飾された骨格を備えた、1つまたは複数の修飾塩基およびDNAまたはRNAを含んでいるDNAまたはRNAもまた含む。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ゲルゾリン遺伝子からのポリヌクレオチド配列を含んでいる。
本明細書において使用される時、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合により互いに対して連結された2つまたは複数のアミノ酸を含む多量体(すなわち、ペプチドイソスター)を意味するように交換可能に本明細書において使用される。ポリペプチドは、短鎖(通常はペプチド、糖ペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる)およびより長鎖(一般的にタンパク質と呼ばれる)の両方を指す。ポリペプチドは、遺伝子にコードされる20のアミノ酸以外のアミノ酸を含みうる。ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの天然プロセス、または当技術分野において周知の化学的修飾技術により修飾されたアミノ酸配列を含む。かかる修飾は、多数の研究文献に加えて、基礎的な教科書およびより詳細なモノグラフ中で十分に記述されている。特定の実施形態において、ポリペプチドは、ゲルゾリンタンパク質からのポリペプチド配列を含む。
本明細書において使用される時、用語「集団」は少なくとも2人の個体の任意の群でありえる。集団は、例えば、参照集団、集団群、家族集団、臨床的集団、および同性集団を含むが、これらに限定されない。
本明細書において使用される時、用語「組換え」は、例えば、細胞、または核酸、タンパク質もしくはベクターへの参照と共に使用された場合、異種の核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質の変化によって、細胞、核酸、タンパク質もしくはベクターが修飾されるか、または物質がそのように修飾された細胞に由来することを指す。したがって、例えば、組換え細胞は、細胞の天然(非組換え)形態の中では見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ、異常発現、低発現、もしくは無発現で天然の遺伝子を発現する。
本明細書において使用される時、用語「参照レベル」は、比較の目的のための対象となりうるバイオマーカー量または濃度(例えばゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチドのレベル)を指す。1つの実施形態において、参照レベルは、健康な被験者の対照集団から得られる少なくとも1つのバイオマーカーのレベルの平均として表現される少なくとも1つのバイオマーカーのレベルでありえる。別の実施形態において、参照レベルは、より早い時間での(すなわち現在の分析前の)同じ被験体における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルでありえる。さらに別の実施形態において、参照レベルは、治療レジームを受ける前の被験体における少なくとも1つのバイオマーカーのレベルでありえる。
本明細書において使用される時、用語「参照スタンダード」は、化合物の投与前の参照スタンダード集団または単一被験体のいずれかにおいて観察される、1つまたは複数の遺伝子またはタンパク質の発現のパターンである。「参照スタンダード集団」は、1つまたは複数の生物学的特質(例えば、薬物応答性、遺伝子型、ハプロタイプ、表現型など)により特徴づけられる集団を意味する。
本明細書において使用される時、語句「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボの血清半減期の増加に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。例えば、抗体の血清半減期を増加させるために、米国特許第5,739,277号中で記述されるように、抗体(特に抗体断片)の中へサルベージ受容体結合エピトープを組み入れることができる。
本明細書において使用される時、用語「サンプル」は、生細胞に由来するかまたは接触されたサンプル物質を意味する。用語「サンプル」は、被験体内に存在する組織、細胞および液体に加えて、被験体から単離された組織、細胞および生物学的液体を含むように意図される。本発明の生物学的サンプルは、例えば、全血、血漿、精液、唾液、涙、尿、糞便物質、汗、バッカル、皮膚、脳脊髄液、および毛髪を含むが、これらに限定されない。生物学的サンプルは、内部臓器の生検または癌から得ることもできる。生物学的サンプルは、診断または研究のために被験体から得ることができるか、または疾患ではない個体から対照としてまたは基礎研究のために得ることができる。
本明細書において使用される時、用語「一本鎖抗体」または「一本鎖Fv(scFv)」は、Fv断片の2つのドメイン(VLおよびVH)の抗体融合分子を指す。Fv断片の2つのドメイン(VLおよびVH)は別の遺伝子によりコードされるが、それらは一価分子(一本鎖Fv(scFv)として公知)を形成するようにVLおよびVHの領域が対合する単一タンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え方法を使用して結合することができる。例えば、Bird et al.,Science 242:423−426(1988);およびHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988)を参照。かかる一本鎖抗体は、用語「抗体」断片への参照により含まれており、組換え技術またはインタクトな抗体の酵素分解または化学分解により調製することができる。
本明細書において使用される時、用語「特異的結合」は、少なくとも10-6Mの結合親和性でのゲルゾリン結合剤と抗原との間の接触を意味する。好ましい結合剤は、少なくとも約10-7M、および好ましくは10-8M〜10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの親和性で結合する。
本明細書において使用される時、用語「被験体」は、被験体がヒトなどの哺乳類であるが、動物、例えば、家庭動物(例えば、イヌ、ネコおよび同種のもの)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマおよび同種のもの)および実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットおよび同種のもの)でもありえることを意味する。
本明細書において使用される時、用語「置換」は当技術分野において一般的に使用される変異の1つである。それらの置換変異型は、異なる残基により置換されたゲルゾリン結合剤中の少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異誘発のために最も興味のある部位は超可変領域を含むが、FRの変更もまた検討される。「保存的置換」は、「好ましい置換」の見出しの下で以下の表において示される。かかる置換が生物学的活性の変化を結果的にもたらすならば、次により実質的な変化(表2中で表示された「例示的な置換」、または、アミノ酸クラスに関してさらに以下で記載されるように)を導入することができ、産物はスクリーニングされる。
特に好ましいタイプの置換変異型は、親抗体の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。かかる置換変異型の作製のための便利な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。具体的には、いくつかの超可変領域部位(例えば6〜7の部位)を変異させて各部位で可能なすべてのアミノ酸置換を作製する。このように生成された抗体変異型は、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として線状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。次にファージにディスプレイされた変異型は、本明細書において開示されるように、生物学的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾用の候補の超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を実行して抗原結合ゲルゾリンに有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。あるいはまたはさらに、抗原抗体複合体の結晶構造を解析して抗体とゲルゾリンとの間の接触点を同定することは有益でありえる。かかる接触残基および隣接残基は、本明細書において詳述された技術に記載の置換のための候補である。一旦かかる変異型が生成されれば、変異型のパネルは本明細書において記述されるようにスクリーニングされ、1つまたは複数の適切な分析において類似する特性または優れた特性を備えた抗体は、さらなる開発のために選択されうる。抗体変異型が所望される特性を保持するならば、本発明は、CGMCCアクセッション番号2114、2115、2116、2247および2248をそれぞれ有するハイブリドーマGC1C10、GN3E9、GF2D6、GC5D1およびGC4A10によって定義される、免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の超可変領域に1つまたは複数のアミノ酸置換(特に保存的置換)を備えた抗体変異型を含む。
本明細書において使用される時、「試験サンプル」は、対象となる被験体から得られた生物学的サンプルを意味する。例えば、試験サンプルは、生物学的液体(例えば血清または尿)、細胞もしくは組織サンプル、培養培地もしくは増殖培地からのサンプル、またはそれらに由来する単離された核酸もしくはポリペプチドでありえる。
本明細書において使用される時、用語「療法剤」は、効果的な量で存在する場合に、その必要性のある被験体に対する所望される療法効果を生ずる化合物を意味するように意図される。
本明細書において使用される時、用語「治療すること」もしくは「治療」または「緩和」は、標的とする病理学的な状態または障害を防止または減速(減少)させることが目的である、療法的な治療および予防的または防止的な手段の両方を指す。本発明の方法に記載のネイティブゲルゾリンまたは組換えゲルゾリンの療法的な量を投与された後に、被験体が血清ゲルゾリンレベルの変化に関連する特定の疾患または状態の1つまたは複数の徴候および症状において、観察可能および/または測定可能な低減または非存在を示すならば、ゲルゾリンレベルの低下により特徴づけられる障害についての「治療」が被験体で成功する。
本明細書において使用される時、用語「可変」は、抗体の中の可変ドメインの特定のセグメントの配列が広く異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を仲介し、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は可変ドメインのアミノ酸スパンにわたって均一に分布していない。むしろ、V領域は、各9〜12のアミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる非常に可変性であるより短い領域により分離された15〜30のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的可変性のないストレッチからなる。ネイティブの重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々、3つの超可変領域(β−シート構造を接続するループを形成し、いくつかの場合ではβ−シート構造の一部を形成する)によって連結された、4つのFR(主としてβ−シート立体配置を採用する)を含む。各鎖における超可変領域はFRによって非常に近接して一緒に保持され、他の鎖からの超可変領域と共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局、国立衛生研究所、ベセズダ、メリーランド(1991)を参照)。定常ドメインは抗体を抗原に結合することに直接関与しないが、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
I.本発明の組成物
A.ゲルゾリン結合剤。
1つの態様において、本発明はゲルゾリン結合剤組成物(別名、結合剤)を提供する。1つの実施形態において、本発明の結合剤は、ゲルゾリン、ゲルゾリン様ポリペプチド、ホモログ、断片、またはその誘導体に向けられた、インタクトな抗体である。対象となる結合剤は、遊離した全長の活性のあるゲルゾリンに特異的に結合するものでありえるが、アクチンに結合されるゲルゾリンを「事実上」(または「実質的に」)結合しない。かかる実施形態において、蛍光励起細胞分取(FACS)解析、ELISA、ウエスタンブロット、または放射免疫分析によって決定されるように、これらのタンパク質への本発明の結合剤の結合の程度は、約10%未満、好ましくは、または約5未満%、または約1%未満になるだろう。あるいは、結合剤(またはその組合せ)は、ゲルゾリンの断片(例えばC末端断片)を結合しうるが、全長ゲルゾリンに実質的に結合しない。
定義されたエピトープ(特に機能的ゲルゾリンに関連するエピトープ)を備えたモノクローナル抗体を生成する以前の取り組みは、大部分は不成功だった。ゲルゾリンは高度に保存されたタンパク質で、種の中で高度に相同である。また、ゲルゾリンは血漿中で多量にあり、そのことは免疫系による寛容性が良好であることを必要とする。さらに、ゲルゾリンが主要なアクチン結合タンパク質であるという事実のために、エピトープの露出は、アクチンおよび他の血漿タンパク質とのゲルゾリンの複合体形成により限定される。ゲルゾリンに対するいくつかのモノクローナル抗体は産生された(Hiyoshi et al.,Biochem Mol Biol Int.32:755−62(1994)を参照)が、血漿ゲルゾリンの定量的測度のための免疫分析はない。
本発明者は、免疫およびスクリーニングの両方のためのヒトゲルゾリンタンパク質の様々な形態(ネイティブゲルゾリン、組換え全長ゲルゾリン、ならびにN末端およびC末端のゲルゾリン断片を含む)を使用して、ゲルゾリン結合剤をデザインする戦略を見出した。さらに、本発明者の戦略は、免疫応答の修飾物質を使用して、ヒトゲルゾリンの共通のエピトープに対する免疫寛容性を破壊するようにデザインされる。この戦略の結果は、臨床設定において使用できる、血漿ゲルゾリンおよび/または尿ゲルゾリン様ポリペプチド(すなわちゲルゾリン断片)のための迅速な、正確なおよび定量的な分析を可能にする、定義されたエピトープを備えたゲルゾリン結合剤である。
本発明の結合剤は、結合剤によって認識または特異的に結合される本発明のポリペプチドのエピトープ(複数可)または部分(複数可)、例えばゲルゾリンポリペプチドの表面上に位置するポリペプチドの領域(例えば親水性領域)に関して記述または指定することができる。1つの実施形態において、本発明は、ゲルゾリン結合剤、例えば、FAQGALKSED(配列番号:2)、SEPDGFWEAL(配列番号:3)およびACSNKIGRFV(配列番号:4)からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、ゲルゾリンポリペプチド(別名標的ポリペプチド)に向けられた抗体または抗体関連ポリペプチドを提供する。
選択された実施形態において、本発明は、表3中で要約されたゲルゾリン結合剤を提供する。
表5(上記)中で要約されたゲルゾリン結合剤に関連する生物学的物質の寄託は、表4中で以下に詳述されるように、China General Microbiological Culture Collection Center (CGMCC)、China Committee for Culture Collection of Microorganisms、私書箱2714、北京100080、中華人民共和国、により行なわれた。
別の実施形態において、本発明は、アクチンに結合したゲルゾリンではなく、活性のあるゲルゾリンに結合する所望される特質を有する抗体の生成のために使用することができる、ゲルゾリンの他のエピトープを解明する方法を提供する。エピトープに対して向けられた結合剤は異なる可変領域またはCDR領域を有してもよいが、本発明の抗体の結合特性および機能特性を有するべきである。標的化抗体産生のための手段として、親水性および疎水性の領域を示す疎水性プロットは、例えば、フーリエ変換と共にまたはフーリエ変換なしのいずれかで、Kyte Doolittle法またはHopp Woods法を含む当技術分野において周知の任意の方法により生成することができる(例えば、Hopp and Woods,Proc.Nat.Acad.Sci.USA78:3824−3828(1981);Kyte and Doolittle, J.Mol.Biol.157:105−142(1982)を参照)。例えば、N末端およびC末端の位置によって、近接するアミノ酸残基のサイズによって、本明細書において記述されるように、エピトープ(複数可)またはポリペプチドの部分(複数可)は指定することができる。本発明は、本発明のポリペプチドを特異的に結合する結合剤を含んでおり、その除外を可能にする。本発明は、立体配座的エピトープまたは非立体配座的エピトープであるエピトープを特異的に結合する結合剤を含む。上述されるように、立体配座的エピトープまたは非立体配座的エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合が失われるが、後者への結合は失われないという点で区別される。
本発明の結合剤は、それらの交差反応性に関して記述または指定することもできる。本発明の標的ポリペプチドの任意の他の類似体、オルソログ、ホモログを結合しない結合剤が含まれる。95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の同一性(当技術分野において公知のおよび本明細書において記載の方法を使用して計算されるように)でポリペプチドを本発明のポリペプチドに結合しない結合剤もまた、本発明中に含まれる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(本明細書において記述されるような)、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドのみを結合する結合剤が、本発明中にさらに含まれる。
本発明の結合剤は、それらの結合親和性に関してもまた記述または指定することができる。好ましい結合親和性は、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、および10-15M未満の解離定数またはKdのものを含む。1つの実施形態において、本発明は、ヒトゲルゾリンに高くとも1×10-8のKd値、好ましくは高くとも約1×10-9のKd値で、少なくとも結合するゲルゾリン結合剤を提供する。
本発明の範囲内のゲルゾリン結合剤は、例えば、標的ポリペプチド、ホモログ、誘導体またはその断片を特異的に結合する、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ダイアボディ、ならびにヒトモノクローナル抗体およびヒトポリクローナル抗体を含むが、これらに限定されない。本発明の結合剤として有用な抗体は、例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、またはIgM、およびIgYを含むが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本発明の結合剤は、ゲルゾリンポリペプチド、ホモログまたはその誘導体に向けられた抗体関連ポリペプチドである。典型的には、結合剤の抗原結合領域(例えば、抗ゲルゾリンの結合領域)は、本発明の結合剤の結合の特異性および親和性において最も重大である。いくつかの実施形態において、ゲルゾリン結合剤は、例えば、抗体の部分の欠失、追加、または置換によって修飾された、抗ゲルゾリンポリペプチドモノクローナル抗体、抗ゲルゾリンポリペプチドキメラ抗体、および抗ゲルゾリンポリペプチドヒト化抗体などの、抗ゲルゾリンポリペプチド抗体である。
1つの実施形態において、ゲルゾリンポリペプチドの特定のドメインに特異的な抗体の選択は、かかるドメインを保持するゲルゾリンポリペプチドの断片に結合するハイブリドーマの生成によって促進される。したがって、ゲルゾリンポリペプチド、またはその誘導体、断片、類似体もしくはホモログ内の所望されるドメインに特異的抗体であるゲルゾリン結合剤もまた、本明細書において提供される。
本発明は、本発明の結合剤に対する抗イディオタイプの抗体をさらに含む。本発明の結合剤は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはそれ以上の多重特異性でありえる。多重特異性結合剤は、本発明のゲルゾリンポリペプチドの異なるエピトープに特異的でありえるか、または異種のポリペプチドもしくは固体支持体材などの異種の組成物とともに、本発明のゲルゾリンポリペプチドの両方に特異的でありえる。例えば、WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt et al.,J.Immunol.147:60−69(1991);米国特許第5,573,920号、第4,474,893号、第5,601,819号、第4,714,681号、第4,925,648号;第6,106,835号;Kostelny et al.,J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照。本発明の結合剤は、鳥類および哺乳類を含む任意の動物起源からでありえる。例えば、結合剤は、ヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリからでありえる。
本発明の結合剤は、単独でまたは他の組成物と組み合わせてのいずれか使用することができる。例えば、本発明のゲルゾリン結合剤は当技術分野において公知の1つまたは複数の抗ゲルゾリン抗体(例えば、限定されないが、抗体GS−2C4)と組み合わせて使用することができる(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)社、カタログ番号G4896;Afify and Werness.Appl.Immunohistochem.6:30 (1998))。
本発明のゲルゾリン結合剤は、N末端またはC末端で異種のポリペプチドへ組換えによりさらに融合されるか、またはポリペプチドまたは他の組成物に化学的にコンジュゲートすることができる(共有結合コンジュゲーションおよび非共有結合コンジュゲーションを含む)。例えば、本発明のゲルゾリン結合剤は、異種ポリペプチドまたは薬物または毒素など、検出分析における標識およびエフェクター分子として有用な分子に組換えにより融合またはコンジュゲートすることができる。例えば、WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP0396387を参照。
B.本発明のゲルゾリン結合剤を調製する方法
全体的な概説。標的ポリペプチドに向けられた結合剤を生成するための技術は当業者に周知である。かかる技術の例は、例えば、ディスプレイライブラリー、ゼノマウスまたはヒューマブマウス、ハイブリドーマ、および同種のものを含む技術を含むが、これらに限定されない。本発明の範囲内の標的ポリペプチドは、抗原性を示すことが可能な任意のポリペプチドまたはポリペプチド誘導体を含む。実例は、ゲルゾリンおよびその断片を含むが、これらに限定されない。
本開示に従う使用のための結合剤として、ゲルゾリンポリペプチドおよびその断片に向けられた、天然に存在する抗体が適切であるだけではなく、組換えにより操作された抗体および抗体断片(例えば抗体関連ポリペプチド)もまた適切であることを理解するべきである。
本明細書において示される技術に使うことができる結合剤(例えば、抗ゲルゾリン抗体)は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにFab、Fab’、F(ab’)2、Fd、scFv、ダイアボディ、抗体軽鎖、抗体重鎖および/または抗体断片などの抗体断片を含む。抗体Fv含有ポリペプチド(例えばab’およびF(ab’)2抗体断片)の高収率産生のために有用な方法が記述されている。米国特許第5,648,237号を参照。
一般的に、結合剤は起源の種から得られる。より詳細には、標的ポリペプチド抗原についての特異性を有する起源の種の抗体の軽鎖、重鎖または両方の可変部分の核酸またはアミノ酸配列が得られる。起源の種は、本発明の結合剤または結合剤のライブラリーを生成するのに有用な任意の種(例えばラット、マウス、ウサギ、ニワトリ、サル、ヒトおよび同種のもの)である。
いくつかの実施形態において、ゲルゾリン結合剤は抗ゲルゾリン抗体である。ファージまたはファージミドのディスプレイ技術は本発明の結合剤を得るのに有用な技術である。本発明において有用な抗ゲルゾリン抗体は、「ヒト抗体」(例えばヒトから単離された抗体)、または「ヒト配列抗体」である。ヒト抗体は、ファージディスプレイ方法を含む当技術分野において公知の様々な方法により作製することができる。米国特許第4,444,887号、第4,716,111号、第5,545,806号、および第5,814,318号;ならびにWO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741もまた参照。ポリファージ粒子のスクリーニングによる、多量体ポリペプチド複合体のメンバーをコードする核酸配列の同定のために有用な方法が記述されている。Rudert et al.、米国特許第6,667,150号。また、組換え免疫グロブリンは産生することができる。Cabilly、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、U.S.6,331,415およびQueen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)。モノクローナル抗体の生成およびクローニングのための技術は当業者に周知である。本発明のゲルゾリン結合剤は、高い免疫反応性(すなわち、特異的に標的抗原を結合することができるように、正しく折り畳まれる抗体分子のパーセンテージ)を適切に有する。結合剤(例えば本発明の抗体)をコードする配列の発現は、大腸菌(E.coli)において、かかる発現が、少なくとも80%、90%、95%または99%の免疫反応性を通常もたらすように実行することができる。
これらのタンパク質または遺伝子の特定の短縮は、完全な配列タンパク質または遺伝子の調節機能または酵素機能を実行する。したがって、例えば、核酸配列コーディングは、機能的に等価なタンパク質または遺伝子を提供する、置換、追加、欠失または多量体発現によって変化させることができる。核酸コーディング配列の縮重に起因する、天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を実質的にコードする他の配列は、本発明の実施において使用することができる。これらは、配列内で機能的に等価なアミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって変更され、したがってサイレント変化を産生する、上述のポリペプチドをコードする核酸配列のすべてまたは部分を含む核酸配列を含むが、これらに限定されない。標準的方法(「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」Macromolecule Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications、アランR.リス社(Alan R.Liss,Inc.)、127−149、1998)により計算されるように、かかる変異形態がゲルゾリンまたはゲルゾリン様ポリペプチドを認識する作動可能な抗体を形成する限り、本発明に記載の免疫グロブリンのヌクレオチド配列が、最大25%までの配列相同変異を許容することが認識される。例えば、ポリペプチド配列内の1つまたは複数のアミノ酸残基は、機能的等価物として働く類似した極性の別のアミノ酸により置換することができ、サイレント変化を結果として生じる。配列内のアミノ酸についての置換物はアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。正に荷電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンを含む。負に荷電した(酸性)アミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。翻訳の間にまたはその後に、例えば、糖鎖付加、タンパク質分解を生ずる切断、抗体分子または他の細胞リガンドへの結合などによって、差異的に修飾されたタンパク質またはその断片もしくは誘導体もまた、本発明の範囲内に含まれる。さらに、核酸配列をコードする阻害剤は、インビトロまたはインビボで、翻訳配列、開始配列および/もしくは終止配列を生じる、および/もしくは破壊するように、またはコーディング領域中の変異を生じる、および/もしくは新しい制限酵素部位を形成する、もしくは先に存在するものを破壊するように変異させて、インビトロの修飾をさらに促進することができる。インビトロの部位特異的変異誘発、J.Biol.Chem.253:6551(1978)、Tabリンカー(ファルマシア(Pharmacia)社)の使用、および同種のものを含むが、これらに限定されない、当技術分野において公知の変異誘発のための任意の技術を使用することができる。
ポリクローナル抗血清および免疫原の調製。本発明の抗体または抗体断片を生成する方法は、典型的には、精製されたゲルゾリンもしくはゲルゾリン様ポリペプチドまたはそのホモログもしくは断片、またはゲルゾリンもしくはゲルゾリン様ポリペプチドまたはそのホモログもしくは断片を発現する細胞により、被験体(一般的にマウスまたはウサギなどの非ヒト被験体)を免疫することを含む。ゲルゾリンポリペプチドの任意の免疫原性部分を免疫原として使用することができる。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換えにより発現されたゲルゾリンポリペプチドまたは化学的に合成されたゲルゾリンポリペプチドを含むことができる。単離されたゲルゾリンポリペプチドまたはその部分もしくは断片は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体調製のための標準的技術を使用して、ゲルゾリンポリペプチドまたは部分もしくは断片に結合するゲルゾリン結合剤を生成する免疫原として使用することができる。免疫原として全長ゲルゾリンポリペプチドを使用することができるか、またはあるいは、本発明は、ゲルゾリンポリペプチド断片の使用を提供する。ゲルゾリンポリペプチドは、配列番号:1において示されるアミノ酸配列の少なくとも4アミノ酸残基を含み、ペプチドに対して作製された抗体がゲルゾリンポリペプチドと特異的免疫複合体を形成するようなゲルゾリンポリペプチドのエピトープを包含する。抗原性ペプチドは、少なくとも5、8、10、15、20、または30アミノ酸残基を含むことができる。より長い抗原性ペプチドは、用途に依存して、当業者に周知の方法に従って、より短い抗原性ペプチド以上に時には好ましい。典型的には、免疫原は、長さで少なくとも約8アミノアシル残基、または長さで少なくとも約10アシル残基であるだろう。既定のエピトープの多量体は、モノマーよりも時には効果的である。
必要とあれば、ゲルゾリンポリペプチド(またはその断片)の免疫原性は、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)またはオボアルブミン(OVA)などのハプテンへの融合またはコンジュゲーションによって増加することができる。多くのかかるハプテンが当技術分野において公知である。フロインド完全アジュバントまたは不完全アジュバントなどの従来のアジュバントとゲルゾリンポリペプチドを組み合わせて、被験体のポリペプチドに対する免疫反応を増加させることもできる。免疫学的応答の増加に使用する様々なアジュバントは、フロインド(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、ジニトロフェノールなど)、カルメット・ゲラン桿菌およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)などのヒトアジュバント、または類似する免疫刺激化合物を含むが、これらに限定されない。これらの技術は当技術分野において標準的である。
便宜上、免疫応答は、「一次」免疫応答または「二次」免疫応答のいずれかとして本発明においてしばしば記述される。一次免疫応答(「防御」免疫応答とも記載される)は、特定の抗原(例えばゲルゾリンポリペプチド)に対するある程度の初回曝露(例えば初回「免疫」)の結果として、個体において産生される免疫応答を指す。かかる免疫は、例えば、抗原へのある程度の自然曝露(例えば抗原を示すかまたは提示するいくつかの病原体による初回感染からの)の結果として、または個体中のいくつかの腫瘍の癌細胞(例えば悪性メラノーマ)によって提示された抗原から、起こりうる。あるいは、免疫は、抗原を含むワクチンによる個体のワクチン接種の結果として起こりうる。例えば、ワクチンは、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドからの1つまたは複数の抗原を含むゲルゾリンワクチンでありえる。
一次免疫応答は、経時的に弱くもしくは減ずるようになりえ、消滅するか、または少なくとも検出不可能なほど減ずるようになる。したがって、本発明は、「二次」免疫応答(本明細書において「記憶免疫応答」としてもまた記述される)にもまた関する。用語、二次免疫応答は、一次免疫応答が既に産生された後に個体において誘発される免疫応答を指す。
したがって、二次応答または免疫応答は、例えば、弱くまたは減ずるようになった既存の免疫応答を促進するように、または消滅するかまたはもはや検出することができないかのいずれかである以前の免疫応答を再び生じるように引き出すことができる。二次免疫応答または記憶免疫応答は、液性(抗体)応答または細胞性応答のいずれかでありえる。二次液性応答または記憶液性応答は、抗原の第1の提示で生成された記憶B細胞の刺激に応じて起こる。遅延型過敏症(DTH)反応は、CD4+細胞によって仲介されるタイプの細胞性の二次免疫応答または記憶免疫応答である。抗原への最初の曝露は免疫系をプライミングし、追加の曝露はDTHをもたらす。
適切な免疫に後続して、ゲルゾリン結合剤、例えば、抗ゲルゾリンポリクローナル抗体を、被験体の血清から調製することができる。所望されるならば、ゲルゾリンポリペプチドに対して向けられた抗体分子は、哺乳類から(例えば血液から)単離することができ、IgG画分を得るプロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技術によってさらに精製することができる。
モノクローナル抗体。1つの実施形態において、結合剤は抗ゲルゾリンモノクローナル抗体である。例えば、いくつかの実施形態において、抗ゲルゾリンモノクローナル抗体は、ヒトまたはマウスの抗ゲルゾリンモノクローナル抗体でありえる。特定のゲルゾリンポリペプチド、またはその誘導体、断片、類似体もしくはホモログへ向けられたモノクローナル抗体の調製のために、連続的な細胞株培養による抗体分子の産生を提供する任意の技術を利用することができる。かかる技術は、ハイブリドーマ技術(例えば、Kohler & Milstein,Nature256:495−497(1975)を参照);トリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozbor,et al.,Immunol.Today4:72(1983)を参照)およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBVハイブリドーマ技術(例えば、Cole,et al.,In:Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、アランR.リス社、77−96(1985)を参照)を含むが、これらに限定されない。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施において利用することができ、ヒトハイブリドーマの使用(例えば、Cote,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−2030(1983)を参照)によって、またはエプスタインバーウイルスによるヒトB細胞のインビトロの形質転換(例えば、Cole,et al.,In:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、アランR.リス社、77−96(1985)を参照)によって、産生することができる。例えば、抗体の領域をコードする核酸の集団は単離することができる。抗体の保存領域をコードする配列に由来するプライマーを利用するPCRを使用して、集団から抗体の部分をコードする配列を増幅し、次に増幅配列から、可変ドメインなどの抗体またはその断片をコードするDNAを再構築する。かかる増幅配列は、ファージまたは細菌の上での融合ポリペプチドの発現およびディスプレイのために、他のタンパク質(例えばバクテリオファージコートまたは細菌細胞表面タンパク質)をコードするDNAに融合することもできる。次に増幅配列を発現させ、ゲルゾリンポリペプチド上に存在する抗原またはエピトープについて、発現させた抗体またはその断片の、例えば、親和性に基づいてさらに選択または単離することができる。あるいは、抗ゲルゾリンモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマは、被験体の免疫によって調製することができ、次にルーチンの方法を使用して、被験体の脾臓からハイブリドーマを単離する。例えば、Milstein et al.,Galfre and Milstein,Methods Enzymol 73:3−46(1981)を参照。標準的方法を使用するハイブリドーマのスクリーニングは、変化した特異性(すなわち、異なるエピトープについて)および親和性のモノクローナル抗体を産生するだろう。所望される特性(例えば、ゲルゾリン結合)を備えた選択されたモノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって発現されたままで使用することができ、ポリエチレングリコール(PEG)などの分子に結合して特性を変更することができるか、またはそれをコードするcDNAは、様々な方法で単離、配列決定、および操作することができる。合成デンドロマーの(dendromeric)ツリーを反応性アミノ酸側鎖(例えば、リジン)に追加して、ゲルゾリンポリペプチドの免疫原特性を促進することができる。また、CPGジヌクレオチド技術を使用してゲルゾリンポリペプチドの免疫原特性を促進することができる。他の操作は、保存の間にまたは被験体への投与の後に抗体の不安定性に寄与する特定のアミノアシル残基の置換または欠失、およびゲルゾリンポリペプチドの抗体の親和性を改善する親和性成熟技術を含む。
ハイブリドーマ技術。1つの実施形態において、本発明の結合剤は、不死化細胞に融合した、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得られたB細胞を含む、ハイブリドーマによって産生された抗ゲルゾリンモノクローナル抗体である。ハイブリドーマ技術は、当技術分野において公知であり、Harlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual、コールドスプリングハーバーラボラトリー、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク349(1988);Hammerling et al.,Monoclonal Antibodies And T−Cell Hybridomas,563−681(1981)中で教示されたものを含む。ハイブリドーマおよびモノクローナル抗体を産生する他の方法は、当業者に周知である。
ファージディスプレイ技術。上述されるように、本発明の結合剤は、組換えDNA技術およびファージディスプレイ技術の適用を介して産生することができる。例えば、本発明の結合剤(例えば、抗ゲルゾリン抗体)は、当技術分野において公知の様々なファージディスプレイ方法を使用して調製することができる。ファージディスプレイ方法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上にディスプレイされる。所望される結合特性を備えたファージは、抗原(典型的には、固体表面またはビーズに結合または捕捉された抗原)により直接選択することによって、レパートリー抗体ライブラリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えばヒトまたはマウス)から選択される。これらの方法において使用されるファージは、典型的にはfdおよびM13を含む線状ファージであり、Fab抗体ドメイン、Fv抗体ドメインまたはジスルフィドで安定化したFv抗体ドメインは、ファージの遺伝子IIIタンパク質または遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換えにより融合される。さらに、方法をFab発現ライブラリー(例えば、Huse,et al.,Science 246:1275−1281,(1989)を参照)の構築に適合して、ゲルゾリンポリペプチド(例えばポリペプチド、またはその誘導体、断片、類似体もしくはホモログ)について所望される特異性を備えたモノクローナルFab断片の迅速で効果的な同定を可能にすることができる。本発明の結合剤を作製するために使用することができるファージディスプレイ方法の他の例は、Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.85:5879−5883(1988);Chaudhary et al.,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.87:1066−1070(1990);Brinkman et al.,J.Immunol.Methods 182:41−50(1995);Ames et al.,J.Immunol.Methods 184:177−186(1995);Kettleborough et al.,Eur.J.Immunol.24:952−958(1994);Persic et al.,Gene 187:9−18(1997);Burton et al.,Advances in Immunology 57:191−280(1994);PCT/GB91/01134;WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;WO96/06213;WO92/01047(国立医学研究所ら);WO97/08320(モルフォシス(Morphosys)社);WO92/01047(CAT/MRC);WO91/17271(アフィマックス(Affymax)社);ならびに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727および第5,733,743号中で開示されたものを含む。ジスルフィド結合を介するポリペプチドの結合によるバクテリオファージ粒子の表面上でのポリペプチドのディスプレイに有用な方法は、Lohning、米国特許第6,753,136号によって記述された。上述の参照において記述されるように、ファージ選択後に、ファージからの抗体コーディング領域は単離され、ヒト抗体を含む全抗体、または他の所望される抗原結合断片の生成に使用することができ、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む任意の所望される宿主において発現することができる。例えば、組換えによりFab、Fab’およびF(ab’)2断片を産生する技術は、WO92/22324;Mullinax et al.,BioTechniques12:864−869(1992);およびSawai et al.,AJRI 34:26−34(1995);およびBetter et al.,Science240:1041−1043(1988)中で開示されたものなどの当技術分野において公知の方法を使用して利用することもできる。
一般的に、ディスプレイベクターの中へクローニングされるハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体断片は、抗体または抗体断片がファージまたはファージミド粒子の表面上に存在するので、十分な結合活性を維持した変異型を同定するために、適切な抗原に対して選択することができる。例えば、Barbas III et al.,Phage Display,A Laboratory Manual(コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、2001)を参照。しかしながら、他のベクター形式をこのプロセスのために使用すること(例えば、選択および/またはスクリーニングのための溶菌ファージベクター(修飾T7システムまたはラムダザップシステム)の中への抗体断片ライブラリーのクローニング)ができるかもしれない。
組換えゲルゾリン結合剤の発現。上述されるように、本発明の結合剤は、組換えDNA技術の適用を介して産生することができる。本発明のゲルゾリン結合剤をコードする組換えポリヌクレオチドコンストラクトは、典型的には、天然に結合されるプロモーター領域または異種のプロモーター領域を含む抗ゲルゾリン抗体鎖のコーディング配列に作動可能に結合した発現制御配列を含む。それゆえ、本発明の別の態様は、本発明のゲルゾリン結合剤をコードする1つまたは複数の核酸配列を含むベクターを含んでいる。本発明の1つまたは複数のポリペプチドの組換え発現のために、ゲルゾリン結合剤をコードするヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含む核酸は、当技術分野において周知のおよび以下で詳述されるような組換えDNA技術によって、適切なクローニングベクターまたは発現ベクター(すなわち挿入されたポリペプチドコーディング配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含むベクター)の中へ挿入される。多様な集団のベクターを産生する方法は、Lerner et al.、米国特許第6,291,160号;第6,680,192号によって記述されている。
一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、プラスミドがベクターの最も通常は使用される形態であるので、「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に使用することができる。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たす、技術的にプラスミドでないウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターの他のかかる形態を含むように意図される。かかるウイルスベクターは、被験体の感染およびその被験体における化合物の発現を可能にする。発現制御配列は、典型的には、真核生物宿主細胞を、形質転換またはトランスフェクションすることが可能なベクターにおける真核生物プロモーターシステムである。一旦ベクターが適切な宿主の中へ組み入れられたならば、宿主は、ゲルゾリン結合剤をコードするヌクレオチド配列の高レベル発現、ならびにゲルゾリン結合剤(例えば交差反応する抗ゲルゾリン抗体)の回収および精製のために適切な条件下で維持される。一般に、米国特許出願第20020199213号を参照。これらの発現ベクターは、典型的には、エピソームとして、または宿主染色体DNAの組み込み部分として宿主生物中で複製可能である。通常は、発現ベクターは、所望されるDNA配列により形質転換された細胞の検出を可能にする、選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性)を含む。ベクターは、細胞外への抗体断片の分泌の指令に有用なシグナルペプチド(例えば、ペクチン酸リアーゼ)もまたコードすることができる。米国特許第5,576,195号を参照。
組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現のために適切な形態でゲルゾリン結合特性を備えた化合物をコードする核酸を含み、それは組換え発現ベクターが1つまたは複数の調節配列(発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択される)を含み、発現される核酸配列に作動可能に結合されることを意味する。組換え発現ベクター内で、「作動可能に結合された」は、ヌクレオチド配列の発現を可能にする方式で(例えば、インビトロの転写/翻訳システムにおいて、またはベクターが宿主細胞の中への導入されるときに宿主細胞において)、対象となるヌクレオチド配列が調節配列(複数可)に結合されることを意味するように意図される。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むように意図される。かかる調節配列は、例えば、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods In Enzymology 185、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア(1990)中で記述される。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターのデザインが形質転換される宿主細胞の選択、所望されるポリペプチドの発現のレベルなどのような因子に依存できることは、当業者によって認識されるだろう。組換えポリペプチド発現(例えば、ゲルゾリン結合剤)のプロモーターとして有用な典型的な調節配列は、例えば、3−ホスホグリセレートキナーゼおよび他の解糖酵素を含むが、これらに限定されない。誘導可能な酵母プロモーターは、数ある中で、アルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、およびマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素からのプロモーターを含む。1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤をコードするポリヌクレオチドは、araBプロモーターに作動可能に結合され、宿主細胞において発現可能である。米国特許第5,028,530号を参照。本発明の発現ベクターを宿主細胞の中へ導入して、それによって本明細書において記述されるような核酸によってコードされる融合ポリペプチドを含む、ポリペプチドまたはペプチド(例えばゲルゾリン結合剤など)を産生することができる。
本発明の別の態様は、1つまたは複数のゲルゾリン結合剤をコードする核酸を含む、ゲルゾリン結合剤発現宿主細胞に関する。本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞におけるゲルゾリン結合剤の発現のためにデザインすることができる。例えば、ゲルゾリン結合剤は、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、真菌細胞(例えば酵母)、酵母細胞または哺乳類細胞において発現させることができる。適切な宿主細胞は、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods In Enzymology 185、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア(1990)中でさらに論じられる。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、転写しインビトロで翻訳することができる。確率論的に生成されたポリヌクレオチド配列の発現を介して、所定の特性(例えばゲルゾリン結合剤)を有するポリペプチドの調製スクリーニングのために有用な方法が記述されている。米国特許第5,763,192号;第5,723,323号;第5,814,476号;第5,817,483号;第5,824,514号;第5,976,862号;第6,492,107号;第6,569,641号を参照。
原核生物におけるポリペプチドの発現は、融合ポリペプチドまたは非融合ポリペプチドのいずれかの発現を指令する構成的プロモーターまたは誘導可能プロモーターを含むベクターを有する大腸菌においてほとんどの場合実行される。融合ベクターは、その中にコードされたポリペプチドに(通常は組換えポリペプチドのアミノ末端に)多数のアミノ酸を追加する。かかる融合ベクターは、典型的には、(i)組換えポリペプチドの発現を増加させること;(ii)組換えポリペプチドの溶解度を増加させること;および(iii)親和性精製におけるリガンドとして働くことによって組換えポリペプチドの精製を支援すること、の3つの目的を果たす。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解を生ずる切断部位を融合部分および組換えポリペプチドの接合点で導入して、融合ポリペプチドの精製に続く融合部分からの組換えポリペプチドの分離を可能にする。かかる酵素、およびそれらの同族の認識配列は、第Xa因子およびトロンビンおよびエンテロキナーゼを含んでいる。典型的な融合発現ベクターは、pGEX(ファルマシア・バイオテク社(Pharmacia Biotech Inc);Smith and Johnson,Gene 67:31−40(1988))pMAL(ニューイングランド・バイオラボ(New England Biolabs)社、ベヴァリー、マサチューセッツ)およびpRIT5(ファルマシア社、ピスカタウェイ、ニュージャージー)を含み、それぞれ標的組換えポリペプチドに、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合ポリペプチド、またはポリペプチドAを融合させる。
適切な誘導可能な非融合大腸菌発現ベクターの例は、pTrc(Amrann et al.,Gene 69:301−315(1988))、およびpET11d(Studier et al.,Gene Expression Technology:Methods In Enzymology 185、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア60−89(1990))を含む。ポリペプチド融合を介して多機能のポリペプチドをもたらす異なる活性のペプチドドメインまたはタンパク質ドメインの標的化集合のための方法は、Pack et al.、米国特許第6,294,353号;第6,692,935号によって記述されている。組換えポリペプチドの発現(例えばゲルゾリン結合剤)を最大化する大腸菌における1つの戦略は、組換えポリペプチドをタンパク質分解的に切断する能力が減少した宿主菌中でポリペプチドを発現することである。例えば、Gottesman、Gene Expression Technology:Methods In Enzymology 185、アカデミックプレス、サンディエゴ、カリフォルニア119−128(1990)を参照。別の戦略は、各アミノ酸についての個々のコドンが発現宿主(例えば大腸菌)中で優先的に利用されるものであるように、発現ベクターの中へ挿入される核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wada,et al., Nucl.Acids Res.20:2111−2118(1992)を参照)。本発明の核酸配列のかかる変化は、標準的DNA合成技術によって実行することができる。
別の実施形態において、ゲルゾリン結合剤の発現ベクターは酵母発現ベクターである。酵母サッカロミセス・セリビジエ(Saccharomyces cerivisae)における発現のためのベクターの例は、pYepSec1(Baldari,et al.,EMBO J.6:229−234(1987))、pMFa(Kurjan and Herskowitz,Cell30:933−943(1982))、pJRY88(Schultz et al., Gene 54:113−123(1987))、pYES2(インビトロゲン社(Invitrogen Corporation)、サンディエゴ、カリフォルニア)、およびpicZ(インビトロゲン社、サンディエゴ、カリフォルニア)を含む。あるいは、ゲルゾリン結合剤は、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞において発現させることができる。ポリペプチド(例えばゲルゾリン結合剤)の発現のために利用可能なパキュロウイルスベクターは、培養昆虫細胞(例えばSF9細胞)における、pAcシリーズ(Smith,et al.,Mol.Cell.Biol.3:2156−2165(1983))およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers,Virology 170:31−39(1989))を含む。
さらに別の実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤をコードする核酸は、哺乳類発現ベクターを使用して、哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例は、例えば、pCDM8(Seed,Nature329:840(1987))、およびpMT2PC(Kaufman,et al.,EMBO J.6:187−195(1987))を含むが、これらに限定されない。哺乳類細胞において使用された場合、発現ベクターの制御機能はウイルス性調節エレメントによってしばしば提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウィルス、およびシミアンウイルス40に由来する。他の本発明のゲルゾリン結合剤の発現に有用な原核細胞および真核細胞の両方のために適切な発現システムについては、例えば、Sambrook,et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manualの16章および17章。第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、(1989)を参照。
別の実施形態において、組換え哺乳類発現ベクターは、特定の細胞タイプにおける核酸の発現を優先的に指令することができる(例えば、組織特異的調節エレメントを核酸の発現に使用する)。組織特異的調節エレメントは当技術分野において公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定例は、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkert,et al.,Genes Dev.1:268−277(1987))、リンパ系特異的プロモーター(Calame and Eaton,Adv.Immunol.43:235−275(1988))、特にT細胞受容体のプロモーター(Winoto and Baltimore,EMBO J.8:729−733(1989))、および免疫グロブリン(Banerji,et al.,Cell33:729−740(1993);Queen and Baltimore,Cell 33:741−748(1983))、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrne and Ruddle,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:5473−5477(1989))、膵臓特異的プロモーター(Edlund,et al.,Science230:912−916(1985))、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳漿プロモーター;米国特許第4,873,316号およびヨーロッパ出願公報第264,166号)を含む。発生で調節されるプロモーターは、例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss,Science249:374−379(1990))、およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman,Genes Dev.3:537−546(1989))もまた包含する。
本発明の別の態様は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。「宿主細胞」、「組換え宿主細胞」という用語は、交換可能に本明細書において使用される。かかる用語が特定の被験体細胞だけでなく、かかる細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことが理解される。特定の修飾が変異または環境の影響のいずれかのために次世代で起こりうるので、実際は、かかる子孫は親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書において使用される時、なお用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞は任意の原核生物または真核細胞でありえる。例えば、ゲルゾリン結合剤は、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞において発現することができる。哺乳類細胞は、免疫グロブリンまたはその断片をコードするヌクレオチドセグメントの発現のための1つの宿主である。Winnacker、From Genes To Clones、(VCH出版社((VCH Publishers)、ニューヨーク(1987))を参照。インタクトな異種タンパク質を分泌することができる多数の適切な宿主細胞株は、当技術分野において開発されており、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞およびミエローマ細胞株を含む。好ましくは、細胞はヒト以外である。これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサーなどの発現制御配列、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写ターミネーター配列などの必要なプロセッシング情報部位を含むことができる。Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986)。好ましい発現制御配列は、内在性遺伝子、サイトメガロウィルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピロマウイルス、および同種のものに由来するプロモーターである。Co et al.,J Immunol.148:1149(1992)。他の適切な宿主細胞は当業者に公知である。
ベクターDNAは従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞の中へ導入することができる。本明細書において使用される時、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウムの共沈殿、DEAE−デキストラン仲介性トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む、宿主細胞の中への外来の核酸(例えばDNA)の導入のための様々な当技術分野で認められている技術を指すように意図され、微粒子銃またはウイルスベースのトランスフェクションは他の細胞性宿主のために使用することができる。哺乳類細胞を形質転換するために使用する他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、および顕微注射の使用を含む(Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manualを一般的に参照)。宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションのために適切な方法は、Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual。第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク(1989))、および他の実験手引き書中で見出すことができる。対象となるDNAセグメントを含むベクターは、細胞性宿主のタイプに依存して、周知の方法によって宿主細胞の中へ導入することができる。
哺乳類細胞の安定性トランスフェクションについては、細胞のごく一部分のみが、使用する発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、ゲノムの中へ外来性DNAを組込みうることが公知である。これらの組込んだものを同定および選択するために、一般的に選択可能なマーカー(例えば抗生物質耐性)をコードする遺伝子を対象となる遺伝子と共に宿主細胞の中へ導入する。様々な選択マーカーは、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートなどの薬物への耐性を与えるものを含む。選択可能なマーカーをコードする核酸は、ゲルゾリン結合剤をコードするものと同じベクター上で宿主細胞の中へ導入することができるか、または別のベクター上で導入することができる。導入した核酸により安定的にトランスフェクションされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、他の細胞は死滅するが、選択可能なマーカー遺伝子を組み入れた細胞は生き残るだろう)。
本発明のゲルゾリン結合剤を含む、原核宿主細胞または真核宿主細胞などの培養宿主細胞を使用して、組換えゲルゾリン結合剤を産生(すなわち発現)することができる。1つの実施形態において、方法は、ゲルゾリン結合剤が産生されるように、発明の宿主細胞(ゲルゾリン結合剤をコードする組換え発現ベクターが導入された)を適切な培地中で培養することを含む。別の実施形態において、方法は、溶媒または宿主細胞からゲルゾリン結合剤を単離する工程をさらに含む。一旦発現されたならば、ゲルゾリン結合剤(例えば、抗ゲルゾリン抗体または抗ゲルゾリン抗体関連ポリペプチド)の回収物は、培養培地および宿主細胞から精製される。ゲルゾリン結合剤は、HPLC精製、カラムクロマトグラフイー、ゲル電気泳動および同種のものを含む、当技術分野の標準的手順に従って精製することができる。1つの実施形態において、ゲルゾリン結合剤は、Boss et al.、米国特許第4,816,397号の方法によって宿主生物において産生される。通常、抗ゲルゾリン抗体鎖はシグナル配列と共に発現され、したがって培養培地へ放出される。しかしながら、抗ゲルゾリン抗体鎖が宿主細胞によって自然に分泌されないならば、抗ゲルゾリン抗体鎖は、穏やかな界面活性剤による処理によって放出させることができる。組換えポリペプチドの精製は当技術分野において周知であり、硫安沈澱、親和性クロマトグラフィー精製技術、カラムクロマトグラフイー、イオン交換精製技術、ゲル電気泳動および同種のものを含む(Scopes、Protein Purification(シュプリンガー・フェアラーク(Springer−Verlag)、ニューヨーク(1982))を一般的に参照)。
ゲルゾリン結合剤をコードするポリヌクレオチド(例えば抗ゲルゾリンの抗体コーディング配列)を、トランスジェニック動物のゲノムの中への導入および続いてトランスジェニック動物の乳汁中での発現のためにトランスジーン中に組み入れることができる。例えば、米国特許第5,741,957号、第5,304,489号、および第5,849,992号を参照。適切なトランスジーンは、カゼインまたはβ−ラクトグロブリンなどの乳腺特異的遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーとの作動可能な結合で、軽鎖および/または重鎖のコーディング配列を含む。トランスジェニック動物の産生のために、トランスジーンを受精卵母細胞の中へ顕微注射できるか、またはトランスジーンを胚性幹細胞のゲノムの中へ組み入れ、かかる細胞の核を除核卵母細胞の中へ導入することができる。
一本鎖抗体。1つの実施形態において、本発明の結合剤は一本鎖抗ゲルゾリン抗体である。本発明に従って、技術は、ゲルゾリンポリペプチドに特異的な一本鎖抗体の産生に適合させることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照)。本発明の一本鎖Fvsおよび抗体の産生に使用することができる技術の例は、米国特許第4,946,778号および第5,258,498号;Huston et al.,Methods in Enzymology,203:46−88(1991);Shu,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:7995−7999(1993);およびSkerra et al.,Science240:1038−1040(1988)中に記述されるものを含む。
キメラ抗体およびヒト化抗体。1つの実施形態において、本発明の結合剤はキメラ抗ゲルゾリン抗体である。1つの実施形態において、本発明の結合剤はヒト化抗ゲルゾリン抗体である。本発明の1つの実施形態において、ドナー抗体およびアクセプター抗体は、異なる種からのモノクローナル抗体である。例えば、アクセプター抗体はヒト抗体(ヒトにおけるその抗原性を最小限にする)であり、その場合には結果として生じるCDRがグラフトされた抗体は、「ヒト化」抗体と称される。
キメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体などの、ヒト部分および非ヒト部分の両方を含む組換え抗ゲルゾリン抗体は、標準的組換えDNA技術を使用して作製することができ、本発明の範囲内である。ヒトにおける本発明の結合剤のインビボの使用に加えて、これらの薬剤のインビトロの検出分析の使用を含むいくつかの使用のために、キメラ抗ゲルゾリン抗体、ヒト化抗ゲルゾリン抗体、またはヒト抗ゲルゾリン抗体を使用することが好ましい。かかるキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の組換えDNA技術によって産生することができる。かかる有用な方法は、例えば、国際出願番号PCT/US86/02269;米国特許第5,225,539号;ヨーロッパ特許第184187号、ヨーロッパ特許第171496号;ヨーロッパ特許第173494号;PCT国際公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;第5,225,539号;ヨーロッパ特許第125023号;Better,et al.,Science 240:1041−1043(1988);Liu,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439−3443(1987);Liu,et al.,J.Immunol.139:3521−3526(1987);Sun,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218(1987);Nishimura,et al.,Cancer Res.47:999−1005 91987);Wood,et al.,Nature314:446−449(1985);Shaw,et al.,J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559(1988);Morrison,Science229:1202−1207(1985);Oi,et al.,BioTechniques4:214(1986);Jones,et al.,Nature321:552−525(1986);Verhoeyan,et al.,Science239:15341988);Morrison,Science229:1202(1985);Oi et al.,BioTechniques4:214(1986);Gillies et al.,J.Immunol.Methods,125:191−202(1989);米国特許第5,807,715号;およびBeidler,et al.,J.Immunol.141:4053−4060(1988)中で記述される方法を含むが、これらに限定されない。例えば、CDRグラフト(EP0239400;WO91/09967;米国特許第5号,第530,101号;第5,585,089号;第5,859,205号;第6,248,516号;EP460167)、ベニアリングまたは表面置換(EP0592106;EP0519596;Padlan E.A.,Molecular Immunology,28:489−498(1991);Studnicka et al.,Protein Engineering7:805−814(1994);Roguska et al.,PNAS91:969−973(1994))、および鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む様々な技術を使用して、抗体はヒト化できる。1つの実施形態において、マウス抗ゲルゾリンモノクローナル抗体をコードするcDNAは、Fc定常領域をコードする配列を除去するように特異的に選択された制限酵素により消化され、ヒトFc定常領域をコードするcDNAの等価部分が置換される(Robinson et al.、PCT/US86/02269;Akira et al.、ヨーロッパ特許出願184,187;Taniguchi、ヨーロッパ特許出願第171,496号;Morrison et al.、ヨーロッパ特許出願第173,494号;Neuberger et al.、WO86/01533;Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.、ヨーロッパ特許出願第125,023号;Better et al.,Science240:1041−1043(1988);Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439−3443(1987);Liu et al.,J Immunol139:3521−3526(1987);Sun et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:214−218(1987);Nishimura et al.,Cancer Res47:999−1005(1987);Wood et al.,Nature314:446−449(1985);およびShaw et al.,J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559(1988);米国特許第6,180,370号;米国特許第6,300,064号;第6,696,248号;第6,706,484号;第6,828,422号を参照)。
1つの実施形態において、本発明は、ヒト抗マウス抗体(以下、「HAMA」と呼ぶ)応答を恐らく誘導しないが、なお効果的な抗体エフェクター機能を有するヒト化抗ゲルゾリン抗体の構築を可能にする。本明細書において使用される時、用語「ヒト」および「ヒト化」は、抗体に関して、ヒト被験体において療法上耐容される弱い免疫原性応答を誘発すると予想される任意の抗体に関する。1つの実施形態において、本発明はヒト化ゲルゾリン抗体(重鎖および軽鎖の免疫グロブリン)を提供する。
CDR抗体。1つの実施形態において、本発明の結合剤は抗ゲルゾリンCDR抗体である。一般的に、抗ゲルゾリンのCDR抗体の生成に使用されるドナー抗体およびアクセプター抗体は、異なる種からのモノクローナル抗体である。典型的には、アクセプター抗体はヒト抗体(ヒトにおける抗原性を最小限にする)であり、その場合には結果として生じるCDRがグラフトされた抗体は「ヒト化」抗体と称される。グラフトは、アクセプター抗体の単一のVHもしくはVL内の単一CDR(または単一CDRの一部でさえ)でありえるか、またはVHおよびVLの1つもしくは両方の内の複数のCDR(またはその一部)でありえる。結果として生じるCDRがグラフトされた抗体のMetAp3への適切な結合を可能にすることに必要な置換のみが必要とされるが、しばしばアクセプター抗体のすべての可変ドメイン中のすべての3つのCDRは対応するドナーCDRと置換されるだろう。CDRがグラフトされたヒト化抗体を生成する方法は、Queen et al.、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号;米国特許第5,693,762号;およびWinter、U.S.5,225,539;ならびにEP0682040によって教示される。VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを調製するのに有用な方法は、Winter et al.、米国特許第4,816,397号;第6,291,158号;第6,291,159号;第6,291,161号;第6,545,142号;EP0368684;EP0451216;EP0120694によって教示される。
同じファミリーおよび/または同じファミリーメンバーからの適切なフレームワーク領域候補の選択の後に、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のどちらかまたは両方は、ハイブリッドフレームワーク領域の中への起源の種からのCDRのグラフトによって産生される。上述の態様のいずれかに関するハイブリッド可変鎖領域を有するハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体断片の集合は、当業者に公知の従来の方法を使用して、遂行することができる。例えば、本明細書において記述されるハイブリッド可変ドメインをコードするDNA配列(すなわち、標的種に基づいたフレームワーク、および起源の種からのCDR)は、オリゴヌクレオチド合成および/またはPCRによって産生することができる。CDR領域をコードする核酸は、適切な制限酵素を使用して、起源の種抗体から単離することができ、適切なライゲーション酵素でライゲーションすることによって、標的種フレームワークの中へライゲーションすることができる。あるいは、起源の種の抗体の可変鎖のフレームワーク領域は、部位特異的変異誘発によって変化させることができる。
ハイブリッドが各フレームワーク領域に対応する複数の候補の中の選択から構築されるので、本明細書において記載した原理に従う構築に適用可能な配列の多くの組合せが存在する。したがって、ハイブリッドのライブラリーは個々のフレームワーク領域の異なる組合せを備えたメンバーを集合させることができる。かかるライブラリーは、配列の電子データベース的収集またはハイブリッドの物理的収集でありえる。
このプロセスは、典型的にはグラフトCDRに隣接するアクセプター抗体のFRを変更しない。しかしながら、当業者は、既定のFRの特定の残基を置換してFRをドナー抗体の対応するFRにさらに類似するようにすることによって、結果として生じる抗ゲルゾリンCDRグラフト抗体の抗原結合親和性を、時には改善することができる。置換の好ましい位置は、CDRに隣接するアミノ酸残基、またはCDRと相互作用することができるアミノ酸残基を含む(例えば、US5,585,089、特にカラム12−16を参照)。または当業者は、ドナーFRでスタートし、アクセプターFRまたはヒトコンセンサスFRにさらに類似するように修飾することができる。これらの修飾を生じさせるための技術は当技術分野において公知である。特に、結果として生じるFRの位置にヒトコンセンサスFRがあてはめられるならば、またはかかるコンセンサスFRに少なくとも90%またはそれ以上で同一であるならば、そうすることは、完全なヒトFRを備えた同じ抗体と比較して、結果として生じる修飾された抗ゲルゾリンCDR抗体の抗原性を有意に増加させないだろう。
融合タンパク質。1つの実施形態において、本発明の結合剤は融合タンパク質である。本発明のゲルゾリン結合剤は、第2のタンパク質に融合した場合、抗原タグとして使用することができる。ポリペプチドに融合することができるドメインの例は、異種のシグナル配列だけでなく他の異種の機能的領域も含んでいる。融合は必ずしも直接的である必要がないが、リンカー配列を介して起こりうる。さらに、本発明の融合タンパク質はゲルゾリン結合剤の特質を改善するためにも操作することができる。例えば、追加のアミノ酸(特に荷電アミノ酸)の領域を、ゲルゾリン結合剤のN末端に追加して、宿主細胞からの精製または後の取り扱いおよび保存の間の安定性および持続性を改善することができる。また、ペプチド部分をゲルゾリン結合剤に追加して精製を促進することができる。かかる領域は、ゲルゾリン結合剤の最終的な調製の前に除去することができる。ポリペプチドの取り扱いを促進するペプチド部分の追加は、当技術分野においてなじみ深いルーチンな技術である。本発明のゲルゾリン結合剤は、融合したポリペプチドの精製を促進するペプチドなどのマーカー配列に融合することができる。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、数ある中で、pQEベクター(キアゲン社(QIAGEN,Inc.)、チャッツワース、カリフォルニア)中で提供されるタグなどのヘキサ−ヒスチジンペプチドであり、それらの多くは市販で入手可能である。Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)中で記述されるように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは融合タンパク質の都合のよい精製を提供する。精製に有用な別のペプチドタグ、「HA」タグは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応する。Wilson et al.,Cell37:767(1984)。
したがって、これらの上述の融合のいずれかは、ポリヌクレオチドまたは本発明のポリペプチドを使用して操作することができる。また、融合タンパク質はインビボで半減期の増加を示しうる。
ジスルフィド結合二量体構造を有する融合タンパク質(IgGに起因する)は、単量体の分泌タンパク質またはタンパク質断片単独よりも、他の分子の結合および中和において効率的でありえる。Fountoulakis et al.,J.Biochem.270:3958−3964(1995)。
同様に、EP−A−O464533は、別のヒトタンパク質またはその一部と共に免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合において、融合タンパク質中のFc部分は、治療および診断において有益であり、したがって、例えば、薬物動態学的特性の改善をもたらすことができる。EP−A0232262を参照。あるいは、融合タンパク質が発現、検出、および精製された後に、Fc部分を欠失させることが所望されるだろう。例えば、融合タンパク質が抗原として免疫に使用されるならば、Fc部分は治療および診断を妨げうる。薬物開発において、例えば、hIL−5などのヒトタンパク質をハイスループットスクリーニング分析の目的のためにFc部分と融合して、hIL−5のアンタゴニストが同定されている。Bennett et al.,J.Molecular Recognition8:52−58(1995);Johanson et al.,J.Biol.Chem.,270:9459−9471(1995)。
標識されたゲルゾリン結合剤。1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤は標識部分(すなわち、検出可能基)とカップリングされる。ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドへの本発明のゲルゾリン結合剤の特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明のゲルゾリン結合剤へコンジュゲートする特定の標識または検出可能基は、本発明の重大な態様ではない。検出可能基は、検出可能な物理的特性または化学的特性を有する任意の物質でありえる。かかる検出可能標識は免疫分析および画像診断の分野において良く発達しており、一般に、かかる方法に有用な大部分の任意の標識は本発明へ適用することができる。したがって、標識は、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段または化学的手段によって、検出可能な任意の組成物である。本発明における有用な標識は、磁気ビーズ(例えば、ダイナビーズ(Dynabeads)(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、および同種のもの)、放射標識(例えば、3H、14C、35S、125I、121I、131I、112In、99mTc)、マイクロバブルなどの他の造影剤(超音波画像診断のための)、18F、11C、15O(ポジトロン放出断層撮影のための)、99mTC、111In(単一光子放出断層撮影のための)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼおよび一般にELISAの中で使用される他のもの)、およびコロイド金もしくは色ガラスなどの呈色標識またはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス、および同種のもの)のビーズを含む。かかる標識の使用について記述する特許は、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;および第4,366,241号を含み、各々は全体を参照することによりおよびすべての目的のために本明細書に組み入れられる。Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(第6版、モレキュラープローブ社(Molecular Probes,Inc.)、ユージーン、オレゴン(1996))もまた参照。
標識は、当技術分野において周知の方法に従って分析の所望される成分へ直接または間接的にカップリングすることができる。上で示されるように、様々な標識は、必要とされる感度、化合物とのコンジュゲーションの容易性、必要とされる安定性、利用可能な機器類、および処分規定に依存する標識の選択により使用することができる。
非放射性標識は、しばしば間接手段によって結合される。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)は、分子へ共有結合される。次にリガンドは、検出可能な酵素、蛍光化合物、または化学発光化合物などの、先天的に検出可能であるかまたはシグナルシステムに共有結合されるかのいずれかである抗リガンド(例えばストレプトアビジン)分子と結合する。多数のリガンドおよび抗リガンドは使用することができる。リガンドが天然の抗リガンド(例えば、ビオチン、チロキシン、およびコルチゾール)を有する場合、標識された天然に存在する抗リガンドと併用して使用することができる。あるいは、任意のハプテン化合物または抗原化合物は、抗体(例えば抗ゲルゾリン抗体)と組み合わせて使用することができる。
分子は、例えば酵素または蛍光団とのコンジュゲーションによって、シグナル生成化合物へ直接コンジュゲートすることもできる。標識として対象となる酵素は、主として加水分解酵素(特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼ)または酸化還元酵素(特にペルオキシダーゼ)であるだろう。標識部分として有用な蛍光化合物は、例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ならびに同種のものを含むが、これらに限定されない。標識部分として有用な化学発光化合物は、例えば、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えば、ルミノール)を含むが、これらに限定されない。使用することができる様々な標識システムまたはシグナル産生システムの総説については、米国特許第4,391,904号を参照。
標識を検出する手段は、当業者に周知である。したがって、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段は、オートラジオグラフィーでのようなシンチレーションカウンターまたは感光性フィルムを含む。標識が蛍光標識である場合、それは適切な波長の光による蛍光色素の励起および結果として生じる蛍光の検出によって検出することができる。蛍光は、感光性フィルムによって、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管および同種のものなどの電子検出器の使用によって、視覚的に検出することができる。同様に、酵素による標識は、酵素についての適切な基質の提供および結果として生じる反応生成物の検出によって、検出することができる。最終的に単純な呈色標識は、標識と結合させた色の観察によって単純に検出することができる。したがって、様々なディップスティック分析において、コンジュゲートされた金はしばしばピンク色に見えるが、コンジュゲートされた様々なビーズはビーズの色に見える。
いくつかの分析形式は、標識成分の使用を必要としない。例えば、凝集分析を使用して標的抗体(例えば抗ゲルゾリン抗体)の存在を検出することができる。この場合、抗原でコートした粒子は、標的抗体を含むサンプルによって凝集される。この形式において、成分のどれも標識される必要はなく、標的抗体の存在は単純な目視検査によって検出される。
C.本発明のゲルゾリン結合剤の同定および特性評価
本発明の結合剤の同定および/またはスクリーニングのための方法。ゲルゾリンポリペプチドに対する所望される特異性を有する結合剤(例えば、抗ゲルゾリン抗体および抗ゲルゾリン抗体関連ポリペプチド)の同定およびスクリーニングに有用な方法は、当技術分野内で公知の任意の免疫学仲介性技術を含む。免疫応答の成分は、当業者に周知の様々な方法によってインビトロで検出することができる。例えば、(1)細胞傷害性Tリンパ球を放射性標識された標的細胞と共にインキュベートし、これらの標的細胞の溶解物は放射能の放出によって検出することができる;(2)ヘルパーTリンパ球を抗原および抗原提示細胞と共にインキュベートし、サイトカインの合成および分泌は標準的方法によって測定することができる(Windhagen A;et al.,Immunity,2:373−80(1995));(3)抗原提示細胞をタンパク質全体の抗原と共にインキュベートし、MHC上でのその抗原の提示はTリンパ球活性化分析または生物物理的方法のいずれかによって検出することができる(Harding et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,86:4230−4(1989));(4)マスト細胞をそれらのFcε受容体を架橋する試薬と共にインキュベートし、ヒスタミン放出は酵素免疫分析によって測定することができる(Siraganian et al.,TIPS,4:432−437(1983));および(5)酵素結合免疫吸着分析(ELISA)。
同様に、モデル生物(例えばマウス)またはヒト被験体のいずれかにおける免疫応答の産物もまた、当業者に周知の様々な方法によって検出することができる。例えば、(1)ワクチン接種に応答した抗体の産生は、臨床検査室において現在使用される標準的方法(例えば、ELISA)によって容易に検出することができる;(2)炎症の部位に対する免疫細胞の移動は、皮膚の表面を引っ掻き、滅菌済み容器を配置して掻傷部位の上の移動細胞を捕捉することによって検出することができる(Peters et al.,Blood,72:1310−5(1988));(3)マイトジェンまたは混合リンパ球反応に応答した末梢血単核細胞の増殖は、3H−チミジンを使用して測定することができる;(4)PBMCにおける、顆粒球、マクロファージおよび他の食細胞の貪食能は、標識された粒子と共にウェル中にPMBCを配置することによって測定することができる(Peters et al.,Blood,72:1310−5(1988));および(5)免疫系細胞の分化は、CD4およびCD8などのCD分子への抗体によるPBMCの標識およびこれらのマーカーを発現するPBMCの画分の測定によって測定することができる。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤は、複製可能な遺伝子パッケージの表面上の候補結合剤のディスプレイを使用して選択される。例えば、米国特許第5,514,548号;第5,837,500号;第5,871,907号;第5,885,793号;第5,969,108号;第6,225,447号;第6,291,650号;第6,492,160号;EP585 287;EP605522;EP616640;EP1024191;EP589 877;EP774 511;EP844 306を参照。所望される特異性を備えた結合分子をコードするファージミドゲノムを含む糸状バクテリオファージ粒子の産生/選択に有用な方法が記述されている。例えば、EP774 511;US5871907;US5969108;US6225447;US6291650;US6492160を参照。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤は、酵母宿主細胞の表面上での候補結合剤のディスプレイを使用して選択される。酵母表面のディスプレイによるscFvポリペプチドの単離に有用な方法は、Kieke et al.,Protein Eng.,10(11):1303−10(1997)によって記述されている。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤はリボソームディスプレイを使用して選択される。リボソームディスプレイを使用してペプチドライブラリー中のリガンドを同定するのに有用な方法は、Mattheakis et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:9022−26(1994);およびHanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:4937−42(1997)によって記述された。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤は、候補結合剤のtRNAディスプレイを使用して選択される。tRNAディスプレイを使用するリガンドのインビトロの選択に有用な方法は、Merryman et al.,Chem.Biol.9:741−46(2002)によって記述されている。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤は、RNAディスプレイを使用して選択される。RNAディスプレイライブラリーを使用するペプチドおよびタンパク質の選択ために有用な方法は、Roberts et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:12297−302(1997);およびNemoto et al.,FEBS Lett.,414:405−8(1997)によって記述されている。天然に存在しないRNAディスプレイライブラリーを使用するペプチドおよびタンパク質の選択ために有用な方法は、Frankel et al.,Curr.Opin.Struct.Biol.,13:506−12(2003)によって記述されている。
1つの実施形態において、本発明のゲルゾリン結合剤はグラム陰性菌のペリプラスムにおいて発現され、標識されたゲルゾリンポリペプチドと混合される。WO02/34886を参照。ゲルゾリンポリペプチドへの親和性を備えた組換えポリペプチドを発現するクローンにおいて、Harvey et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.22:9193−98(2004)および米国特許第2004/0058403号中に記述されているように、結合剤に結合された標識ゲルゾリンポリペプチドの濃度は増加し、細胞がライブラリーの残りから単離されることを可能にする。
所望されるゲルゾリン結合剤の選択の後に、当業者に公知の任意の技術(例えば、原核細胞または真核細胞の発現および同種のもの)によって大量に産生させることができるかが検討される。例えば、抗ゲルゾリンのハイブリッド抗体または断片であるが、これらに限定されないゲルゾリン結合剤は、従来の技術を使用して、起源種の抗体結合特異性の保有に必要とされるCDRおよび必要であるならば可変領域フレームワークの最小の部分(本明細書において記述される技術に従って操作されるように)が起源の種の抗体に由来し、抗体の残りの部分が本明細書において記述されるように操作できる標的種の免疫グロブリンに由来し、それによってハイブリッド抗体重鎖の発現のためのベクターを産生する、抗体重鎖をコードする発現ベクターを構築することによって産生される。
ゲルゾリン結合の測定。1つの実施形態において、ゲルゾリン結合分析は、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドとゲルゾリン結合剤との間の結合、およびゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドとゲルゾリン結合剤との間の結合量の査定のために適切な条件下で、ゲルゾリンポリペプチドおよびゲルゾリン結合剤が混合される、分析形式を指す。結合の量は、適切な対照(ゲルゾリンポリペプチドの非存在下において結合する量、非特異的免疫グロブリン組成物の存在下における結合の量または両方でありえる)と比較される。結合の量は任意の適切な方法によって査定することができる。結合分析方法は、例えば、ELISA、放射免疫分析、シンチレーション近接分析、蛍光エネルギー移動分析、液体クロマトグラフィー、膜濾過分析、および同種のものを含む。ゲルゾリン結合剤に対するゲルゾリンポリペプチド結合の直接測定のための生物物理的分析は、例えば、核磁気共鳴、蛍光、蛍光偏光、表面プラズモン共鳴(BIACORチップ)、および同種のものである。特異的結合は、当技術分野において公知の標準的分析(例えば、放射性リガンド結合分析、ELISA、FRET、免疫沈降、SPR、NMR(2D−NMR)、質量分析、および同種のもの)によって決定される。候補ゲルゾリン結合剤の特異的結合が候補ゲルゾリン結合剤の非存在下において観察された結合よりも少なくとも1パーセント高いならば、候補ゲルゾリン結合剤は本発明のゲルゾリン結合剤として有用である。
ゲルゾリンポリペプチドおよびゲルゾリン結合剤の共結晶も、分子間相互作用を決定する方法として本発明によって提供される。ゲルゾリン結合剤とゲルゾリンポリペプチドとの間の結合に適切な条件は、化合物およびそのリガンドに依存し、当業者によって容易に決定することができる。
II.本発明のゲルゾリン結合剤の使用
一般事項。本発明の結合剤は、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの局在および/または定量化に関する当技術分野において公知の方法で有用である(例えば、適切な生理学的なサンプル内のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルの測定における使用のための、診断法における使用のための、ポリペプチドの造影における使用ための、および同種のもの)。本発明の結合剤は、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準的技術によってゲルゾリンポリペプチドを単離するのに有用である。本発明のゲルゾリン結合剤は、ホストシステムにおいて発現された組換え産生の免疫反応性のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドに加えて、生物学的サンプル(例えば哺乳類の血清、尿、または細胞)からの天然の免疫反応性のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの精製を促進することができる。さらに、ゲルゾリン結合剤を使用して、免疫反応性のポリペプチドの発現の存在量およびパターンを評価するために、免疫反応性のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチド(例えば、血漿、尿、細胞溶解物または細胞上清中の)を検出することができる。本発明のゲルゾリン結合剤を診断的に使用して、例えば、既定の治療レジメンの有効性を決定する臨床試験手順の一部として、組織中の免疫反応性のゲルゾリンおよび/またはゲルゾリン様ポリペプチドレベルをモニタリングすることができる。上述されるように、検出は、検出可能な物質に本発明のゲルゾリン結合剤をカップリングする(すなわち物理的に結合する)ことによって促進することができる。
ゲルゾリンポリペプチドの検出。生物学的サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの存在または非存在を検出する例示的な方法は、被験者から生物学的サンプルを得ること、およびゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの存在が生物学的サンプル中に検出されるように、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出できる本発明のゲルゾリン結合剤と生物学的サンプルを接触させることを含む。ゲルゾリン結合剤の例は、配列番号:1またはそのホモログもしくは断片に対して作製された抗体であり、ゲルゾリンポリペプチド(ゲルゾリンポリペプチド断片)またはゲルゾリン様ポリペプチドへの結合が可能である。ゲルゾリン結合剤は標識することができる。結合剤に関して、用語「標識された」は、直接標識された別の化合物との反応による結合剤の間接標識に加えて、結合剤へ検出可能な物質をカップリングする(すなわち物理的に結合する)ことによる結合剤の直接標識を包含するように意図される。間接標識の例は、蛍光標識された二次抗体を使用して一次抗体を検出すること、および蛍光標識されたストレプトアビジンにより検出できるようにビオチンによりDNAプローブを末端標識することを含む。
適切な実施形態において、尿サンプルは、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドについて分析される。理論によって限定されることは意図しないが、尿のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドは血漿ゲルゾリンの利用の産物でありえる。血漿ゲルゾリンは90kDaポリペプチドであり、損傷細胞から放出されたアクチンおよび他の毒性物質の結合およびクリアランスにおいて重要な生物学的機能を有する。より低いレベルの血漿ゲルゾリンは多くの疾患と関連し、血漿ゲルゾリンの枯渇が疾患プロセスの間に起こることを示唆する。アクチンへの結合後に、全長ゲルゾリンは腎臓によって取り除かれうる。したがって、尿ゲルゾリン断片は、血漿ゲルゾリンのインビボの利用のためのバイオマーカーを表わす。
本発明の検出方法を使用して、インビボに加えてインビトロの生物学的サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出することができる。ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの検出のためのインビトロの技術は、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、放射免疫分析および免疫蛍光法を含む。さらに、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの検出のためのインビボの技術は、被験体の中へ標識されたゲルゾリン結合剤(例えば抗ゲルゾリン抗体)を導入することを含む。例えば、抗体は、被験体中での存在および位置が標準的画像診断技術によって検出できる放射性のマーカーにより標識することができる。1つの実施形態において、生物学的サンプルは、被験者からのポリペプチド分子を含む。
免疫分析および画像診断。本発明のゲルゾリン結合剤は、抗体ベースの技術を使用する生物学的サンプル(例えばヒト血漿)中のゲルゾリンポリペプチドレベルまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルの分析に使用することができる。例えば、組織中のタンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法により研究することができる。Jalkanen,M.et al.,J.Cell.Biol.101:976−985(1985);Jalkanen,M.et al.,J.Cell.Biol.105:3087−3096(1987)。タンパク質遺伝子発現の検出に有用な他の抗体ベースの方法は、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)および放射免疫分析(RIA)などの免疫分析を含む。適切な抗体解析標識は当技術分野において公知であり、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識、ならびにヨウ素(125I、121I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)およびテクネチウム(99mTc)などの放射性同位元素または他の放射性薬剤、ならびにフルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ならびにビオチンを含む。
生物学的サンプル中のゲルゾリンポリペプチドレベルまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルの分析に加えて、ゲルゾリンポリペプチドレベルまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルを画像診断によってインビボでも検出することができる。ゲルゾリンポリペプチドレベルまたはゲルゾリン様ポリペプチドのインビボの画像診断のためのゲルゾリン結合剤(例えば抗ゲルゾリン抗体)標識またはマーカーは、X線検査、NMRまたはESRによって検出可能なものを含む。X線検査のために適切な標識は、バリウムまたはセシウムなどの放射性同位元素を含み、検出可能な放射線を放射するが、被験体にとって明らかに有害ではない。NMRおよびESRに適切なマーカーは、検出可能な特有のスピン(重水素などの)によるものを含み、それは適切なscFvクローンに対する栄養素の標識によってゲルゾリン結合剤の中へ取り込むことができる。
放射性同位元素(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴により検出可能な物質などの適切な検出可能な造影部分により標識されたゲルゾリン結合剤は、被験体の中へ導入される(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内)。被験体のサイズおよび使用される画像診断システムが、診断的画像の産生に必要とされる造影部分の量を決定するであろうことは当技術分野において理解されるだろう。放射性同位元素部分の場合において、ヒト被験体については、注射される放射能の量は通常は約5〜20ミリキュリーにわたる99mTcであろう。次に標識ゲルゾリン結合剤は、特異的標的ポリペプチドを含む細胞の位置に優先的に蓄積するだろう。例えば、インビボの腫瘍画像診断は、S.W.Burchiel et al.,Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer13(1982)中に記述される。
したがって、本発明は、(a)個体の細胞または体液中の本発明のゲルゾリン結合剤の結合を測定することによってポリペプチドの発現を分析することと;(b)標準的レベルと比較した分析ポリペプチドの増加または減少が医学的状態を表す場合に、タンパク質の量を標準と比較することとを含む医学的状態の診断法を提供する。
親和性精製。本発明のゲルゾリン結合剤を使用して、サンプルからの免疫反応性のゲルゾリン(例えば、ネイティブ血漿ゲルゾリン)を精製することができる。いくつかの実施形態において、抗体(例えばGN3E9、GC1C10、GC5D1、GC4A10、および/またはGF2D6)は固体支持体上に固定化することができる。かかる固体支持体の例は、ポリカーボネートなどのプラスチック、アガロースおよびセファロースなどの複合炭水化物、ポリアクリルアミドなどのアクリル樹脂、ならびにラテックスビーズを含む。かかる固体支持体に抗体をカップリングするための技術は当技術分野において周知である(Weir et al.、「Handbook of Experimental Immunology」第4版、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーション(Blackwell Scientific Publications)、オックスフォード、イギリス、10章(1986);Jacoby et al.,Meth.Enzym.34、アカデミックプレス、ニューヨーク(1974))。
抗原を抗体支持マトリックスに結合させる最も単純な方法は、カラム中にビーズを回収して、抗原溶液をカラムを通して通過させることである。この方法の効率は、固定化抗体と抗原との間の接触時間に依存し、それは低流速の使用によって延長することができる。抗原が通りすぎて流れるとき、固定化抗体は抗原を捕捉する。あるいは、抗原は、抗原溶液を支持体(例えば、ビーズ)と混合し、スラリーを回転または振動させることによって、抗体支持マトリックスと接触させることができ、抗原と固定化抗体との間の最大の接触が可能になる。結合反応が完了した後に、スラリーはビーズの回収のためのカラムの中へ通過される。ビーズは適切な洗浄緩衝液を使用して洗浄され、次に純粋または実質的に純粋な抗原が溶出される。
対象となる抗体またはポリペプチドは、ビーズなどの固体支持体にコンジュゲートすることができる。さらに、ビーズなどの第1の固体支持体は、所望されるならば、ポリペプチドの支持体へのコンジュゲーションのために本明細書において開示されたものを含む、任意の適切な手段によって、第2のビーズまたは他の支持体でありえる第2の固体支持体にコンジュゲートすることもできる。したがって、固体支持体へのポリペプチドのコンジュゲーションを参照して本明細書において開示された任意のコンジュゲーションの方法および手段は、第1の支持体のコンジュゲーションを第2の支持体に適用することができ、第1の固体支持体および第2の固体支持体は同じまたは異なることがありえる。
固体支持体へのポリペプチドのコンジュゲートのための使用に適切なリンカー(それは架橋剤でありえる)は、支持体の表面上に存在する官能基と、またはポリペプチドと、または両方と反応することができる様々な薬剤を含む。架橋剤として有用な試薬は、ホモ二官能性試薬および特にヘテロ二官能性試薬を含む。有用な二官能性架橋剤は、N−SIAB、ジマレイミド、DTNB、N−SATA、N−SPDP、SMCCおよび6−HYNICを含むが、これらに限定されない。架橋剤を選択して、ポリペプチドと固体支持体との間に選択的に切断可能な結合を提供することができる。例えば、3−アミノ−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸などの感光性架橋剤は、固体支持体からのポリペプチドの切断のための手段として利用することができる(Brown et al.,Mol.Divers4−12(1995);Rothschild et al.,Nucl.Acids Res.24:351−66(1996);および米国特許第5,643,722号)。他の架橋試薬は当技術分野において周知である(例えば、Wong(1991)、前出;およびHermanson(1996)、前出を参照)。
抗体またはポリペプチドは、カルボキシル基官能化ビーズとポリペプチドのアミノ末端との間に形成された共有結合性アミド結合、または反対にアミノ基官能化ビーズとポリペプチドのカルボキシル末端との間に形成された共有結合性アミド結合を介して、ビーズなどの固体支持体上に固定化することができる。さらに、二官能性トリチルリンカーは、アミノ樹脂による樹脂上のアミノ基またはカルボキシル基を介して、支持体に(例えば、ワング樹脂などの樹脂上の4−ニトロフェニル活性エステルに)結合することができる。二官能性トリチルアプローチを使用して、固体支持体は、ポリペプチドの切断および除去を保証するために、ギ酸またはトリフルオロ酢酸などの揮発性酸による処理を必要としうる。かかる場合において、ポリペプチドは、固体支持体のウェルの底で、または固体支持体の平坦表面上で、ビーズがないパッチとして沈着することができる。マトリックス溶液の追加後に、ポリペプチドはMSの中へ脱着される。
揮発性酸または適切なマトリックス溶液(例えば、3−HPAを含むマトリックス溶液)の使用によって、疎水性トリチルリンカーを酸不安定リンカーとして利用して、ポリペプチドからアミノ結合トリチル基を切断することもできる。例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチルまたはトリメトキシトリチルは、ポリペプチドの適切なパラ置換のまたはより酸不安定なトリチルアミン誘導体に変化させることができ、すなわち、トリチルエーテル結合およびトリチルアミン結合はポリペプチドに作製することができる。したがって、ポリペプチドは、例えば、疎水性引力の破壊によって、または酸性条件下(所望されるならば、3−HPAなどのマトリックスが酸として働く典型的なMSの条件下を含む)で、トリチルエーテル結合またはトリチルアミン結合の切断によって、疎水性リンカーから除去することができる。
直交切断可能リンカーは、また第1の固体支持体(例えばビーズ)を第2の固体支持体に結合することに、または固体支持体に対象となるポリペプチドを結合することに有用になりえる。かかるリンカーを使用すると、第1の固体支持体(例えばビーズ)は支持体からポリペプチドを切断せずに、第2の固体支持体から選択的に切断することができ、次にポリペプチドは後にビーズから切断することができる。例えば、ジスルフィドリンカー(DTTなどの還元剤を使用して切断することができる)を利用してビーズを第2の固体支持体に結合することができ、酸切断可能二官能性トリチル基を使用して支持体にポリペプチドを固定化することができる。所望されるように、固体支持体へのポリペプチドの結合は、例えば、第1の支持体と第2の支持体との間の結合はインタクトなままで、最初に切断することができる。トリチルリンカーは共有結合性コンジュゲーションまたは疎水性コンジュゲーションを提供することができ、コンジュゲーションの性質に関係なく、トリチル基は酸性条件で容易に切断される。
例えば、ビーズは、固体支持体へのビーズの高密度結合、またはビーズへのポリペプチドの高密度結合が促進されるような長さおよび化学的性質を有するように選択できる結合基を介して、第2の支持体に結合することができる。かかる結合基は、例えば「樹状の」構造を有することができ、それによって、固体支持体上で1つの結合部位あたり多重性の官能基を提供する。かかる結合基の例は、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ペンタ−エリスロールおよびトリス−ヒドロキシ−アミノメタンを含む。
非共有結合的会合。非共有相互作用を介して、抗体またはポリペプチドは固体支持体にコンジュゲートすることができるか、または第1の固体支持体もまた第2の固体支持体にコンジュゲートすることができる。例えば、強磁性材で作製された磁性ビーズ(磁化することができる)は、磁性固体支持体に引きつけることができ、磁場の除去によって支持体から遊離することができる。あるいは、固体支持体は、イオン部分または疎水性部分(それぞれ、イオン部分または疎水性部分の相互作用を可能にできる)と共に、ポリペプチド(例えば、結合されたトリチル基を含むポリペプチド)と共に、または疎水性性質を有する第2の固体支持体と共に提供することができる。
固体支持体は特異的結合ペアのメンバーで提供することができ、したがって相補的な結合部分を含むポリペプチドまたは第2の固体支持体にコンジュゲートすることができる。例えば、アビジンもしくはストレプトアビジンによりコートされたビーズは、ビオチン部分を組み入れたポリペプチドに、またはビオチンもしくはイミノ−ビオチンなどのビオチンの誘導体によりコートされた第2の固体支持体に結合することができる。
本明細書において開示された、またはそうでなければ当技術分野において公知の任意の結合メンバーは、反対にできることが認識されるべきである。したがって、例えば、ビオチンはポリペプチドまたは固体支持体のいずれかの中へ組み入れることができ、反対に、アビジンまたは他のビオチン結合部分はそれぞれ支持体またはポリペプチドの中へ組み入れられるだろう。使用のために本明細書において検討される他の特異的結合ペアは、ホルモンおよびそれらの受容体、酵素およびそれらの基質、ヌクレオチド配列およびその相補的な配列、抗体、およびそれが特異的に相互作用する抗原、ならびに当業者に公知の他のかかるペアを含むが、これらに限定されない。
A.ゲルゾリン結合剤の診断用使用
一般事項。本発明のゲルゾリン結合組成物は診断法に有用である。それゆえ、本発明は、被験体におけるゲルゾリン関連の医学的状態の診断において本発明の結合剤を使用する方法を提供する。本発明の結合剤がゲルゾリンポリペプチドに対して任意のレベルのエピトープ結合特異性および非常に高い結合親和性を有するように、本発明の結合剤を選択することができる。一般に、結合剤の結合親和性が高ければ高いほど、よりストリンジェントな洗浄条件を免疫分析において実行して、標的ポリペプチドを除去せずに、非特異的に結合した物質を除去することができる。したがって、診断アッセイにおいて本発明のゲルゾリン結合剤は、通常、少なくとも108、109、1010、1011または1012M-1の結合親和性を有することができる。さらに、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも5時間、およびより好ましくは少なくとも1時間で、標準条件下で平衡を達成するように、診断試薬として使用されるゲルゾリン結合剤が十分な反応速度結合率を有することは望ましい。
ゲルゾリン結合剤を診断試薬として任意の種類のサンプルに使用することができるが、それらはヒトの生物学的サンプルのための診断試薬として最も有用である。ゲルゾリン結合剤を使用して、様々な標準的分析形式における既定のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出することができる。かかる形式は、免疫沈降、ウエスタンブロッティング、ELISA、放射免疫分析、および免疫測定分析を含む。Harlow & Lane、Antibodies,A Laboratory Manual(コールドスプリングハーバー・パブリケーション、ニューヨーク(1988));米国特許第3,791,932号;第3,839,153号;第3,850,752号;第3,879,262号;第4,034,074号、第3,791,932号;第3,817,837号;第3,839,153号;第3,850,752号;第3,850,578号;第3,853,987号;第3,867,517号;第3,879,262号;第3,901,654号;第3,935,074号;第3,984,533号;第3,996,345号;第4,034,074号;および第4,098,876号を参照。生物学的サンプルは、被験体の任意の組織または体液から得ることができる。
免疫測定分析またはサンドイッチ分析は、本発明の診断法のための好ましい形式である。米国特許第4,376,110号、第4,486,530号、第5,914,241号および第5,965,375号を参照。かかる分析は、固相へ固定化された1つのゲルゾリン結合剤(例えば、抗ゲルゾリン抗体または抗ゲルゾリン抗体の集団)、および溶液中の別の抗ゲルゾリン抗体または抗ゲルゾリン抗体の集団を使用する。典型的には、溶液の抗ゲルゾリン抗体または抗ゲルゾリン抗体の集団は標識されている。抗体集団が使用されるならば、集団は標的ポリペプチド内の異なるエピトープ特異性への抗体結合を含むことができる。したがって、同じ集団は固相抗体および溶液抗体の両方に使用することができる。抗ゲルゾリンモノクローナル抗体が使用されるならば、異なる結合特異性を有する第1のゲルゾリンモノクローナル抗体および第2のゲルゾリンモノクローナル抗体は、固相および溶液相に使用される。固相(「捕捉」とも呼ばれる)抗体および溶液(「検出」とも呼ばれる)抗体は、順番にまたは同時にのどちらかで、標的抗原と接触させることができる。固相抗体が最初に接触されるならば、分析は前進分析であると呼ばれる。反対に、溶液抗体が最初に接触させられるならば、分析は後退分析であると呼ばれる。標的が両方の抗体と同時に接触されるならば、分析は同時分析と呼ばれる。抗ゲルゾリン抗体とゲルゾリンポリペプチドを接触させた後に、サンプルを、期間(通常約10分〜約24時間で変化し、通常約1時間である)の間インキュベートする。次に洗浄工程を実行して診断試薬として使用される抗ゲルゾリン抗体に特異的に結合されないサンプルの成分を除去する。固相抗体および溶液抗体が分離した工程で結合される場合、洗浄はいずれかの結合工程または両方の結合工程の後に実行することができる。洗浄後に、結合は、典型的には、標識溶液抗体の結合を介して固相に結合された標識の検出によって定量される。通常、既定の1対の抗体または抗体の集団および既定の反応条件について、検量曲線が標的抗原の既知の濃度を含むサンプルから調製される。次に検査されるサンプル中のゲルゾリンポリペプチドの濃度は、補間によって検量曲線から読み取られる。被検体は、平衡時に結合された標識溶液抗体の量から、または平衡が達成される前に一連のタイムポイントで結合された標識溶液抗体の反応速度測定によってのいずれかで、測定することができる。かかる曲線の勾配は、サンプル中のゲルゾリンポリペプチドの濃度の測定値である。
上記の方法で使用される適切な支持体は、例えばニトロセルロース膜、ナイロン膜および誘導体化ナイロン膜、またアガロースなどの粒子、デキストランベースのゲル、ディップスティック、微粒子、ミクロスフェア、磁性粒子、試験管、マイクロタイターウェル、セファデックス(商標)(アマシャム・ファルマシア・バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)社、ピスカタウェイ、ニュージャージー)、ならびに同種のものを含む。固定化は、吸収によるかまたは共有結合によることができる。任意で、抗ゲルゾリン抗体は、表面に結合されたアビジンなどのリンカーへの結合のために、ビオチンなどのリンカー分子に連結することができる。
本発明は、個体がゲルゾリンポリペプチドの発現または活性に関連する障害を発症するリスクがあるかどうかの決定のための予後の(または予測の)分析もまた提供する。かかる分析を予後または予測の目的に使用し、それによってゲルゾリンポリペプチドによって特徴づけられる障害またはゲルゾリンポリペプチドに関連する障害の発病の前に個体を予防的に治療することができる。さらに、本発明の方法を使用して、本発明のゲルゾリン結合剤が多型形態のゲルゾリンポリペプチドに対するより高い親和性を有する(または逆の)例において、個体がゲルゾリンポリペプチドまたは多型形態のゲルゾリンポリペプチドを発現するかどうかを査定することもまたできる。
ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドへの本発明のゲルゾリン結合剤の結合を利用して、例えば、変更されたゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルに関連する障害を有するかまたは発症のリスクがある被験体を同定することができる。あるいは、予後の分析は疾患または障害を有するかまたは発症のリスクがある被験体を同定に利用することができる。したがって、本発明は、被験体から試験サンプルを得てゲルゾリンペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出し、ゲルゾリンペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの変化の存在が、異常なゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または活性に関連する疾患または状態を有するかまたは発症のリスクがある被験体のための診断である、異常なゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または活性に関連する疾患または状態を同定する方法を提供する。
さらに、本明細書において記述される予後の分析を使用して、被験体が化合物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、ポリペプチド、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を投与できるかどうかを決定し、異常なゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または活性に関連する疾患または障害を治療することができる。例えば、かかる方法を使用して、ゲルゾリンポリペプチドレベルに影響を与える化合物(例えば、化学療法剤)により被験体が効果的に治療できるかどうかを決定することができる。したがって、本発明は、異常なゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または活性に関連する障害または状態について化合物により被験体が効果的に治療きるかどうかを決定し、ゲルゾリン結合剤を使用して試験サンプルを得てゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出する方法を提供する。(例えば、ここで、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの存在または非存在は、異常なゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または活性に関連する障害を治療する化合物を投与できる被験体についての診断である)。
被験体から得られた尿サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドのレベルは決定され、疾患または病態のない個体から得られた尿サンプルにおいて見出されるレベルと比較される。健康な被験者から得られたサンプルと比較して、ゲルゾリンレベルに影響を与える疾患または状態を有する疑いのある被験体から得られたサンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの不十分な量(または過剰量)は、検査されている被験体におけるゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドに関連する疾患または状態を表す。さらなる検査は確定診断を行なうために必要とされうる。例えば、健康的な対照と比較した被験体の尿中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの増加量は、被験体が血漿ゲルゾリンの利用の増加をもたらす疾患または状態を患っていることを示しうる。
特定のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチド分子の不十分な量(または過剰量)の程度が、疾患に罹患する被験体が特定のタイプの療法または治療に応答しそうかどうかを表すことが公知である、多数の疾患がある。したがって、サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出する方法を、予後予測の方法として使用し、例えば、被験体が療法または治療に応答する可能性を評価することができる。血漿ゲルゾリンレベルが対照被験体と比較して低下した状態の例は、敗血症性ショック、多臓器機能障害症候群、関節リウマチ、外傷、脳卒中、心筋梗塞、癌、化学療法および放射線療法、全身性自己免疫性疾患、ならびに慢性肝炎を含むが、これらに限定されない。したがって、尿ゲルゾリン様ポリペプチドレベルは、健康な対照被験体と比較して、これらの状態を患う被験体において増加するだろう。
本明細書において記述される方法は、例えば、臨床設定において便利に使用することができる、例えば、少なくとも1つのプローブ試薬(例えば、本明細書において記述されるゲルゾリン結合剤)を含む、プレパッケージされた診断キットの利用によって実行して、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドに関与する疾患または疾病の症状を示す被験体を診断することができる。さらに、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドが発現される任意の細胞タイプまたは組織は、本明細書において記述される予後の分析において利用することができる。
標準対照集団への被験体の相関関係。治療への臨床応答と特定のレベルの血漿ゲルゾリンとの間の相関関係を推定するために、治療を受けた個体の集団(すなわち臨床的集団)によって示された臨床応答に関するデーターを得ることが必要である。この臨床データーは、1つまたは複数の臨床試験の結果の後ろ向き解析によって得ることができる。あるいは、臨床データーは1つまたは複数の新しい臨床試験のデザインおよび実行によって得ることができる。臨床的集団データーの解析は標準対照集団を定義するのに有用であり、今度は、それは臨床試験登録のため、または療法的な治療の選択のために被験体を分類するのに有用である。好ましい実施形態において、臨床的集団中に含まれる被験体は、対象となる医学的状態の存在について類別される。可能性のある被験体の類別は、例えば、標準的健康診断または1つもしくは複数の臨床検査を含むことができる。あるいは、被験体の類別は、遺伝子発現パターンの使用を含むことができる。例えば、発現パターンと疾患または状態に対する罹病性または重症度との間で強い相関関係がある場合、血漿または尿のゲルゾリンのレベルは類別基準として有用である。1つの実施形態において、被験体は、被験体における1つまたは複数のバイオマーカーの測定レベルと標準対照集団において観察される1つまたは複数のバイオマーカーのレベルとの間の類似性に基づいて、特定の群またはクラスに分類または割り当てられる。
本発明の1つの実施形態において、対象となる療法的な治療は試験集団中の各被験体に投与され、各被験体の治療への応答は1つまたは複数の所定の基準を使用して測定される。多くの事例において、試験集団は広範囲にわたる応答を示し、研究者は、様々な応答によって構成された多数の応答者群(例えば、低、中、高)を選択するだろうことが予測される。さらに、バイオマーカー(例えば尿ゲルゾリン)の発現レベルは定量され、それは治療の投与前および/または治療の後に行うことができる。次にこれらの結果を解析して、群間の臨床応答における任意の観察された変異が統計的に有意かどうかを決定する。使用することできる統計分析方法は、L.D.Fisher & G.vanBelle、Biostatistics:A Methodology for the Health Sciences(ワイリー−インターサイエンス(Wiley−Interscience)社、ニューヨーク(1993))中で記述される。
当業者は、上述された分析から発現レベルの関数として臨床応答を予測する数理モデルを構築することができる。臨床応答とバイオマーカーの発現レベルとの間の関連性の同定は、治療に応答するもしくはしない個体、またはあるいは、より低レベルで応答し、したがってより多くの治療(すなわちより多用量の薬物)を必要としうる個体を決定する診断方法をデザインする根拠でありえる。診断方法は、いくつかの形態(例えば、ELISAもしくは抗体ベースの検査、血清検査、または健康診断測定)のうちの1つを採用することができる。唯一の必要条件は、診断検査結果と根底にある状態との間に十分な相関関係があるということである。1つの実施形態において、この診断方法は上述されるような血清または尿のゲルゾリンについて抗体解析を使用する。
1つの実施形態において、第1の被験体から得られた血液サンプルまたは組織サンプルにおけるバイオマーカー分子のレベルは決定され、バイオマーカーに関連する疾患のない第2の被験体から得られた血液サンプルまたは同じ組織タイプからのサンプルにおいて見出されたレベルと比較される。健康な(第2の)被験体から得られたサンプルと比較して、バイオマーカーに関連する疾患を有する疑いのある第1の被験体から得られたサンプルにおけるバイオマーカー分子の過剰量(または不十分な量)は、検査されている被験体におけるバイオマーカーに関連する疾患を表す。さらなる検査は確定診断を行なうために必要とされうる。
1つの実施形態において、第1のタイムポイントで被験体から得られた血液、尿または組織のサンプルにおけるバイオマーカー分子(例えば、ゲルゾリン)のレベルは決定され、後のタイムポイントで被験体から得られた尿サンプルにおいて見出されたレベルと比較される。第1のタイムポイントで被験体から得られたサンプルにおけるバイオマーカー分子の過剰量(または不十分な量)は、第2のタイムポイントで被験体から得られたサンプルと比較することができ、第2のタイムポイントでのバイオマーカーレベルと比較した第1のタイムポイントとの間のバイオマーカーレベルの増加は、ゲルゾリン補充療法を必要とする被験体を表す。さらなる検査は確定診断を行なうために必要とされうる。
特定のバイオマーカー分子の過剰発現(または低発現)の程度が、疾患に罹患する被験体が特定のタイプの療法または治療に応答しそうかどうかを表すことが公知である、多数の疾患がある。したがって、サンプル中のバイオマーカー分子を検出する方法を、予後予測の方法として使用し、例えば、被験体が療法または治療に応答する可能性を評価することができる。したがって別の実施形態において、第1の被験体から得られた血液サンプルまたは尿サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカー分子のレベルが決定され、化合物(例えば対象となる療法的化合物)に応答性の第2の被験体または標準対照集団から得られた血液サンプルまたは尿サンプルにおいて見出される少なくとも1つのバイオマーカー分子のレベルと比較される。第2の被験体または標準対照集団から得られた血液サンプルまたは尿サンプルにおいて見出された少なくとも1つのバイオマーカー分子のレベルと比較して、第1の被験体から得られた血液サンプルまたは尿サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカー分子の発現のレベルまたはパターンの類似性は、第1の被験体が化合物(例えば対象となる療法的化合物)に応答性であることを示す。すなわち、被験体からの適切な組織または生物学的サンプルにおける適切なバイオマーカーのレベルは決定され、適切な対照(例えば、同じ疾患に罹患するが治療に順調に応答する被験体のレベル)と比較される。対照と比較して、バイオマーカーがサンプルにおいて過剰発現される(または低発現される)程度は、被験体が治療または療法に順調に応答しない(例えば、化学療法に耐容性がある)可能性の予測でありえる。対照に比べて過剰発現(または低発現)が大きいほど、被験体は治療に応答しない可能性が高い。
特定のバイオマーカー分子の過剰発現(または低発現)の程度(すなわち、バイオマーカーに関連する疾患または医学的状態)が、被験体が疾患を発症するかどうかを表すことが公知である、多数の疾患がある。したがって、サンプルにおけるバイオマーカーを検出する方法は、被験体が疾患を発症するかどうかを予測する方法として使用することができる。疾患または状態を発症するリスクがある被験体からの適切な尿サンプルまたは血液サンプル中の1つまたは複数のバイオマーカーのレベルは決定され、適切な対照(例えば、その疾患を発症するリスクがある被験体におけるレベル)と比較される。対照と比較した、1つのまたは複数のバイオマーカーがサンプルにおいて過剰発現される(または低発現される)程度は、被験体がその疾患を発症する可能性の予測でありえる。対照に比べて過剰発現(または低発現)が大きいほど、被験体は疾患を発症する可能性が高い。
本明細書において記述される方法は、少なくとも1つのプローブ試薬(例えば本明細書において記述される抗ゲルゾリンのポリペプチド抗体)を含む、プレパッケージされた診断キットの利用によって、例えば実行することができ、例えば、それを臨床設定において都合よく使用して本発明のバイオマーカーに関与する疾患または疾病の症状または家族歴を示す患者を診断することができる。さらに、本発明のバイオマーカーが発現される任意の細胞タイプまたは組織を、本明細書において記述される予後予測の分析において利用することができる。
臨床的有効性のモニタリング。1つの実施形態において、本発明はゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現または利用に対する薬剤(例えば薬物、化合物、または低分子)の影響のモニタリングを提供する。かかる分析は、基本的な薬物スクリーニングおよび臨床試験において適用することができる。例えば、ゲルゾリンポリペプチドレベルまたはゲルゾリン様ポリペプチドレベルを増加(または減少)させる薬剤の有効度は、ゲルゾリンの発現の低下を示す被験体の臨床試験においてモニタリングすることができる。ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現に影響を与える薬剤は、薬剤の投与および応答の観察によって同定することができる。このように、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの発現パターンは、マーカー(薬剤への被験体の生理反応を表す)として働くことができる。したがって、この応答状態は、薬剤による個体の治療の前に、およびその間の様々なポイントで決定することができる。
被験体分類。ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの標準対照レベルは異なる対照群におけるレベルを測定することによって決定される。次に対照レベル(参照レベル)は、既定の被験体におけるゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの測定されたレベルと比較される。被験体はどの程度同様かに基づいて特定の群に分類または割り当てることができ、測定されたレベルは既定の群についての参照レベルと比較された。
当業者に理解されるように、この決定に関与する特定の不確実性があるだろう。したがって、対照群レベルの標準偏差は確率的決定を行なうために使用することができ、本発明の方法は、広範囲の確率ベースの遺伝子型群決定にわたり適用可能である。したがって、例えばおよび限定するのではなく、1つの実施形態において、ゲルゾリンポリペプチドの測定されたレベルが対照群のいずれかの平均の2.5標準偏差以内にあるならば、その個体はその群に割り当てることができる。別の実施形態において、ゲルゾリンポリペプチドの測定されたレベルが対照群のいずれかの平均の2.0標準偏差以内にあるならば、その個体はその群に割り当てることができる。なお別の実施形態において、ゲルゾリンポリペプチドの測定されたレベルが対照群のいずれかの平均の1.5標準偏差以内にあるならば、その個体はその群に割り当てることができる。さらに別の実施形態において、ゲルゾリンポリペプチドの測定されたレベルが対照群レベルのいずれかの平均の1.0以下の標準偏差であるならば、その個体はその群に割り当てることができる。
したがってこのプロセスは、確率の様々な程度で、特異的被験体が配置されるべき群の決定を可能にし、次にかかる割り当ては個体が配置されるべきリスクカテゴリーを決定するだろう。
B.キット
本発明のゲルゾリン結合剤組成物(例えば、モノクローナル抗体)および使用説明書を含むキットもまた、本発明の範囲内にある。キットは、例えば任意の体液、例えば血清、血漿、リンパ、嚢胞液、尿、便、脳脊髄液、腹水または血液を含み、体組織の生検標本を含むが、これらに限定されない、生物学的サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの存在の検出に有用である。例えば、キットは、生物学的サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを結合することができる1つまたは複数のゲルゾリン結合剤(例えば、CGMCCアクセッション番号2114、2115、および2116からなる群から選択される寄託細胞株によって産生される抗体と同じ抗原結合特異性を有する抗体またはその抗原結合断片)と;サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの量の決定のための手段と;サンプル中のゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドの量を標準と比較するための手段とを含むことができる。1つまたは複数のゲルゾリン結合剤は標識することができる。キット成分(例えば試薬)は、適切な容器中にパッケージングすることができる。キットは、ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチドを検出するキットを使用するための説明書をさらに含むことができる。
抗体ベースのキットについては、キットは、例えば、1)マーカーまたは本発明に対応するポリペプチドに結合する、第1の抗体(例えば、固体支持体に結合された)と;任意で;2)ポリペプチドまたは第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた、第2の異なる抗体とを含むことができる。
キットは、例えば、緩衝剤、防腐剤またはタンパク質安定化剤もまた含むことができる。キットは、検出可能な標識を検出するために必要な成分(例えば、酵素または基質)をさらに含むことができる。キットは対照サンプルまたは一連の対照サンプルもまた含むことができ、それは分析されて試験サンプルと比較することができる。キットの成分は各個別容器内に封入でき、すべての様々な容器は、キットを使用して実行された分析の結果の解釈のための説明書と共に、単一パッケージ内にありえる。本発明のキットは、キット容器上にまたはその中に製品の書面情報を含むことができる。製品の書面情報は、キットに含まれる試薬を使用する方法、例えば、被験体における医学的状態の防止または治療のための戦略の決定に本発明のバイオマーカーを使用する方法について記述する。いくつかの実施形態において、試薬の使用は本発明の方法に記載のものになりえる。
C.ゲルゾリン置換療法の予防的および療法的な使用
一般事項。本発明のゲルゾリン結合剤および方法はゲルゾリン補充療法と共に使用することができる。具体的には、本発明は、異常なゲルゾリンの発現もしくは活性に関連する障害のリスクがあるかもしくはそれに対する感受性のある被験体、または異常なゲルゾリンの発現もしくは活性に関連する障害を有する被験体を治療する、予防的方法および療法的方法の両方を提供する。ゲルゾリン結合剤および方法を使用して、例えば、ゲルゾリン補充療法の被験体の適性の確認、またはかかる療法を受ける被験体におけるゲルゾリン補充療法の有効性のモニタリングを行なう。1つの実施形態において、療法的に効果的な量の組換えゲルゾリン化合物またはネイティブの精製されたゲルゾリン化合物は、過剰な細胞外アクチンの二次的な毒性効果に対する療法的利益が提供されるように、投与される。「過剰な」細胞外アクチンによって、血漿タンパク質が二次的な組織損傷または毒性効果なしで細胞外液からアクチンを結合し取り除く能力を越える細胞外アクチンの量が意味される。「二次的な」組織損傷または毒性効果によって、血漿中の過剰な細胞外アクチンの存在(通常、身体の他の部分での「一次」組織損傷の結果として)に起因し、それがなければ健康である組織、器官、および細胞の中に起こる組織損傷または毒性効果が意味される。理論によって限定されることは意図しないが、ゲルゾリンの注入は、a)アクチン単量体のアクチンフィラメントへの凝縮を防止するようにそれらに結合すること、および/またはb)アクチンフィラメントを単量体状態へ切断すること、および/またはc)アクチン結合タンパク質またはその断片と複合体形成したかかるアクチンの血中循環または細胞外組織環境からのクリアランスを促進することをもたらす。
任意で、投与は、放射線、化学療法の治療、または他の細胞保護剤もしくは免疫修飾剤の投与の組合わせサイクルなどの補助療法コースの間になされる。それゆえ、本発明の結合剤および補助療法に有用な化合物は、その投与を必要とする被験体に同時におよび連続して投与することができる。
1つの態様において、本発明は、被験体にゲルゾリンを投与することによって、異常なゲルゾリン発現または活性に関連する疾患または状態を被験体において予防する方法を提供する。疾患または障害が防止されるかまたはあるいは進行が遅延されるようにする、予防的ゲルゾリン結合剤の投与は、変調に特徴的な症状が現われる前に行なわれうる。療法的適用において、ゲルゾリンは、血清ゲルゾリンレベルの減少を疑われるか、既に患っている被験体に投与される。療法的または予防的な治療を遂行するのに適切な量は、療法的または予防的に効果的な用量として定義される。
ゲルゾリン結合剤ベース療法の生物学的効果の決定。本発明の様々な実施形態において、適切なインビトロまたはインビボの分析を実行して、ゲルゾリン補充療法の効果および被験体における影響を受けた組織の治療に投与が適応されるかを決定する。
典型的には、療法的または予防的効果の達成に十分な効果的な量のゲルゾリンは、1日あたり1キログラム体重あたり約0.000001mg〜1日あたり1キログラム体重あたり約10,000mgにわたる。好ましくは、投与量範囲は、1日あたり1キログラム体重あたり約0.0001mg〜1日あたり1キログラム体重あたり約100mgである。ゲルゾリンの投与については、投薬量は、1週ごとに、2週間ごとに、または3週間ごとに、宿主体重について約0.0001〜100mg/kg、およびより通常は0.01〜5mg/kgにわたる。例えば、投薬量は、1週ごとに、2週間ごとに、もしくは3週間ごとに、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1週ごとに、2週間ごとに、もしくは3週間ごとに、1〜10mg/kgの範囲内でありえる。例示的な治療レジームは、2日ごとに1回または週に1回または1月ごとに1回の投与を課す。ゲルゾリンは、複数の機会で通常投与される。単一投薬の間の間隔は、毎日、毎週、毎月、または毎年でありえる。被験体における抗体の血中濃度を測定することによって示されるように、間隔は不規則でもありえる。いくつかの方法において、投薬量は、被験体における血清ゲルゾリン濃度を、約75μg/mL〜約125μg/mL、100μg/mL〜約150μg/mL、約125μg/mL〜約175μg/mL、または約150μg/mL〜約200μg/mLにするように調整される。あるいは、ゲルゾリンは持続放出製剤として投与することができ、この事例においては頻繁な投与はそれほど必要とされない。投薬量および頻度は、被験体におけるゲルゾリン結合剤の半減期に依存して変化する。投与の投薬量および頻度は治療が予防的かまたは療法的かどうかに依存して変化しうる。予防的適用において、長期間にわたって比較的希な間隔で、比較的低い投薬量を投与する。幾人かの被験体は、残りの人生の間治療を受け続ける。療法的適用において、疾患の進行が低減されるかまたは終了するまで、および好ましくは被験体の疾患の症状の部分的または完全な改善が示されるまで、時には比較的短い間隔での比較的高投薬量が必要とされる。その後に、本特許は予防的レジームを投与することができる。
毒性。好ましくは、効果的な量(例えば用量)の本明細書において記述されたゲルゾリンは、被験体に実質的な毒性を引き起こさずに、療法的利益を提供するだろう。本明細書において記述されたゲルゾリンの毒性は、例えば、LD50(集団の50%までの致死用量)またはLD100(集団の100%までの致死用量)の決定によって、細胞培養または実験動物における標準薬学的手順によって決定することができる。毒性と療法効果との間の用量比率が治療指数である。これらの細胞培養分析および動物研究から得られたデーターは、ヒトにおける使用のための非毒性投与量範囲の処方に使用することができる。本明細書において記述されたゲルゾリンの投薬量は、好ましくは毒性がほとんどまたは全くない効果的な用量を含む、血中循環濃度の範囲内に存在する。投薬量は、利用された投薬形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化することができる。個々の医師は、被験体の状態を考慮して、正確な処方、投与経路および投薬を選択することができる。例えば、Fingl et al.、In:The Pharmacological Basis of Therapeutics Ch.1(1975)を参照。
医薬組成物の製剤。本発明の方法に従って、ゲルゾリンを投与に適切な医薬組成物の中へ組み入れることができる。医薬組成物は、一般的に、組換えゲルゾリン、または実質的に精製されたネイティブゲルゾリン、および被験体への投与に適切な形態の薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体は、組成物の投与に使用される特定の方法に加えて、投与されている特定の組成物によっても部分的に決定される。したがって、タンパク質組成物の投与のための様々な適切な医薬組成物の製剤がある(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、マック・パブリッシング社(Mack Publishing Co.)、イーストン、ペンシルバニア、第18版(1990)を参照)。医薬組成物は、一般的に、滅菌済みで実質的に等張なものとして、アメリカ食品薬品局の医薬品最適製造基準(GMP)条令を全面遵守して製剤化される。
用語「薬学的に許容される」、「生理的に耐容される」およびその文法的な変形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指すように交換可能に使用され、物質が、組成物の投与を妨げる程の所望されない生理的効果を産生することなしに被験体へまたは被験体上に投与可能であることを示す。例えば、「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に、安全で非毒性で望ましい医薬組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、ヒト薬学的使用に加えて獣医学の使用にも許容される賦形剤を含む。かかる賦形剤は、固体、液体、半固体、または、エアゾール組成物の事例では、ガスでありえる。「薬学的に許容される塩およびエステル」は、薬学的に許容され、所望される薬理学的特性を有する塩およびエステルを意味する。かかる塩は、ゲルゾリン中に存在する酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応できる場合、形成することができる塩を含む。適切な無機塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム、マグネシウム、カルシウム、ならびにアルミニウム)により形成されるものを含む。適切な有機塩は、アミン塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、および同種のもの)などの有機塩基により形成されるものを含む。かかる塩は、無機酸(例えば、塩酸および臭化水素酸)および有機酸(例えば酢酸、クエン酸、マレイン酸、ならびにメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸などのアルカン−スルホン酸およびアレーン−スルホン酸)により形成される酸付加塩もまた含む。薬学的に許容されるエステルは、ゲルゾリン中に存在するカルボキシ基、スルホニルオキシ基、およびホスホノキシ(phosphonoxy)基から形成されるエステル(例えばC1-6アルキルエステル)を含む。2つの酸性基が存在する場合、薬学的に許容される塩またはエステルは、モノ酸モノ塩もしくはエステル、またはジ塩もしくはエステルになりえ;同様に2つ以上の酸性基が存在する場合、かかる基のいくつかまたはすべては塩化またはエステル化することができる。ゲルゾリンポリペプチドは、非塩化形態もしくは非エステル化形態、または塩化形態および/もしくはエステル化形態でありえ、かかるゲルゾリンポリペプチドの名称は、もとの(非塩化および非エステル化)化合物ならびにその薬学的に許容される塩およびエステルの両方を含むように意図される。また、特定のゲルゾリンポリペプチドは1つ以上の立体異性形態でありえ、かかるゲルゾリンポリペプチドの名称は、すべての単一立体異性体およびかかる立体異性体のすべての混合物(ラセミ化合物またはそうでないものでも)を含むように意図される。当業者は、本発明の特定の薬物および組成物の投与の適切なタイミング、連続順序および投薬量をたやすく決定する。
かかる担体または希釈剤の例は、水、食塩水、リンガー液、ブドウ糖溶液、および5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。リポソームおよび固定油などの非水性媒質も使用することができる。薬学的に活性のある物質のためのかかる溶媒および化合物の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の溶媒または化合物がゲルゾリン結合剤と非適合性である場合以外は、組成物におけるその使用が検討される。追加の活性化合物もまた組成物の中へ組み入れることができる。
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路と適合性のあるように製剤化される。ゲルゾリン組成物は、非経口経路、局所用経路、静脈経路、経口経路、皮下経路、動脈内経路、皮内経路、経皮経路、直腸経路、頭蓋内経路、腹腔内経路、鼻腔内経路;筋肉内経路によって、または吸入薬として投与することができる。ゲルゾリンは、様々なアクチン関連疾患またはマイクロフィラメント関連疾患を含む様々な疾患を治療するのに、少なくとも部分的に効果的な他の薬剤と組み合わせて任意で投与することができる。
非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される溶液または懸濁物は、以下の成分を含むことができる。注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌済み希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌化合物;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート化合物;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの等張性調整のための化合物。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基により調整することができる。非経口調製は、ガラスまたはプラスチックで作製されたアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアル中に封入することができる。
注射可能使用に適切な医薬組成物は、滅菌済みの水性溶液(水溶性の場合)または分散物、および滅菌済みの注射可能な溶液または分散物の即時調整のための滅菌済み粉末を含む。静脈内投与については、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(BASF、パーシッパニー、ニュージャージー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。すべての事例において、組成物は滅菌済みで、容易な注射針通過性が存在する程度に液体であるべきである。それは製造および保存の条件下で安定し、細菌および真菌などの微生物の混入活動に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、および同種のもの)、およびその適切な混合物を含む、溶媒または分散媒でありえる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散物の事例においては必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物活動の防止は、様々な抗菌化合物および抗真菌化合物(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、および同種のもの)によって達成することができる。多くの事例において、組成物中に等張化合物(例えば、糖、マンニトールおよびソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウム)を含むことは好ましいだろう。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる化合物(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含むことによって成し遂げることができる。
滅菌済みの注射可能な溶液は、上記で列挙された成分の1つまたはそれらの組合せと共に、適切な溶媒中に必要な量でゲルゾリンを組み入れ、必要に応じて、続いて濾過滅菌を行なうことによって調製することができる。一般的に、分散物は、基本的な分散媒および上記で列挙されたものからの必要な他の成分を含む滅菌済みの媒質の中へ薬剤を組み入れることによって調製される。滅菌済みの注射可能溶液の調製のための滅菌済み粉末の事例において、調製の方法は、事前に滅菌済みのその濾過溶液からの、任意の追加の所望される成分を加えた活性成分の粉末をもたらす、真空乾燥および凍結乾燥である。薬剤は、活性成分の持続放出またはパルス放出を可能にするような方式で製剤化することができるデポー注射またはインプラント調製の形態で投与することができる。
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセル中に封入されか、またはタブレットへと圧縮することができる。経口の療法的投与目的のために、ポリペプチドは賦形剤と共に組み入れられて、タブレット、トローチまたはカプセルの形態で使用することができる。経口組成物は、マウスウォッシュとしての使用のために液体担体を使用して調製することもでき、液体担体中の化合物は、経口的に、吸い込んで吐くか、または飲み込んで適用される。薬学的に適合性のある結合化合物および/またはアジュバント物質は、組成物の一部として含むことができる。タブレット、ピル、カプセル、トローチおよび同種のものは、以下の成分のいずれか、または類似する性質の化合物を含むことができる。微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊化合物;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロテス(Sterotes)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖もしくはサッカリンなどの甘味化合物;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味などの香味化合物。
吸入による投与については、ゲルゾリンは、適切な噴射剤(例えば二酸化炭素などのガス)を含む加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からエアゾールスプレーの形態で送達される。
全身投与は、経粘膜手段または経皮手段によることもできる。経粘膜投与または経皮投与については、バリアの浸透に適切な浸透剤は製剤中に使用される。かかる浸透剤は、当技術分野において一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻内スプレーまたは坐剤の使用を介して遂行することができる。経皮投与については、ゲルゾリンは、当技術分野において一般的に公知であるような軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームへと製剤化される。
ゲルゾリンは、直腸送達のために、坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤と共に)または停留浣腸の形態で医薬組成物として調製することもできる。
1つの実施形態において、ゲルゾリンは、インプラントおよびマイクロカプセル化された送達システムを含む、身体からの迅速除去に対してゲルゾリンを保護する担体(制御放出製剤などの)により調製される。生体分解性生体適合ポリマーは、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などを使用することができる。かかる製剤の調製のための方法は、当業者に明らかであろう。物質は、アルザ社(Alza Corporation)およびノバ・ファーマシューティカルズ社(Nova Pharmaceuticals,Inc)から商業的に得ることができる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染細胞へ標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号中に記述されているように、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
組換えゲルゾリンの調製。下記の大部分の考察は、ゲルゾリンをコードする核酸を含むベクターにより形質転換された細胞を培養することおよび細胞培養からポリペプチドを回収することによる、ゲルゾリンの産生に関する。ゲルゾリンは、血漿から親和性精製(上述された)を使用して、ネイティブゲルゾリンを精製することによって産生されうることがさらに想定される。タンパク質、およびタンパク質をコードするDNA配列は標準的方法を使用して産生することができる。精製は、クロマトグラフィーを使用すること、ポリペプチドに対して向けられた抗体を使用すること、または精製を支援して次に切断可能部分(またはタグ)に融合される形態のポリペプチドを産生することによって、タンパク質の単離などの標準的手順を使用して遂行することもできる。
ゲルゾリンポリペプチドまたはゲルゾリン様ポリペプチド(例えば配列番号:1のポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野において周知の試薬および技術を使用して、多くの市販で入手可能な発現ベクターのいずれかの中へ挿入することができる。組換え発現コンストラクトの調製において、本発明の様々なポリヌクレオチドは細菌性プラスミドベクターの中へ挿入または置換することができる。細菌性複製システム、細菌における選択を可能にするマーカー、および一般的に1つまたは複数の特有の便利に位置するクローニング部位を有することによって特徴づけられる任意の都合のよいプラスミドを利用できる。ベクターと呼ばれる多数のプラスミドが、形質転換のために利用可能である。適切なベクターは以下のものを含むが、これらに限定されない:λベクターシステムgt11、シャロン4などのウイルスベクター、ならびにpBR322、pBR325、pACYC177、pACYC1084、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19、pLG339、pR290、pKC37、pKC101、SV40、pブルースクリプトII SK+/−またはKS+/−(ストラタジーン(Stratagene)社、ラ・ホーヤ、カリフォルニア)、およびその任意の派生物などのプラスミドベクター。また、適切なものはクローニングおよび発現のために高度に有用でありえる酵母発現ベクターである。例示的な酵母プラスミドは、pPICZおよびpFLD(インビトロゲン社、カールズバッド、カリフォルニア)を含むが、これらに限定されない。ベクターの選択は好ましい形質転換技術および標的宿主細胞に依存するだろう。
ゲルゾリンをコードする核酸分子は、選択されたプロモーターの制御下でコードされたタンパク質の発現のためにオープンリーディングフレームが適切に方向付けされるように、5’〜3’方向でベクターの中へ挿入される。このように、ゲルゾリン構造遺伝子はプロモーターに「作動可能に結合される」と表現される。単一核酸または複数の核酸は、各々が適切なプロモーターの制御下で、適切なベクターの中へこのように挿入されて、本発明の核酸コンストラクトを調製することができる。
特定の調節配列も本発明の発現コンストラクトの中へ組み入れることができる。これらは、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用するベクターの非転写領域を含む。かかるエレメントの強度および特異性は変化しうる。利用されたベクターシステムおよび宿主に依存して、最小限の5’プロモーターエレメントに加えて、構成的プロモーター、誘導可能プロモーターおよび抑制可能プロモーターを含む、任意の数の適切な転写エレメントおよび/または翻訳エレメントを使用することができる。
構成的プロモーターは、細胞における遺伝子の持続的な発現を指令するプロモーターである。異種ポリヌクレオチドの発現の誘導のために広く使用されるいくつかの構成的プロモーターの例は、酵母における発現のためのADH1プロモーター、大部分の真核細胞タイプにおいて発現することが公知である任意のいくつかのアクチン遺伝子に由来するプロモーター、および多くの細胞タイプで蓄積することが公知である遺伝子産物のプロモーターであるユビキチンプロモーターを含む。哺乳類細胞で使用される構成的プロモーターの例は、ラウス肉腫ウイルスに由来するRSVプロモーター、サイトメガロウィルスに由来するCMVプロモーター、β−アクチンおよび他のアクチンプロモーター、ならびにEF1αプロモーターを含む。
また、本発明のプラスミドにおけるプロモーターとして適切なものは、遺伝子発現調節に対する外部制御を可能にするプロモーターである。遺伝子発現の量およびタイミングを調節する1つの方法は、誘導可能プロモーターを使用することである。構成的プロモーターとは異なり、誘導可能プロモーターは常に至適な活性があるわけでない。誘導可能プロモーターは、誘導剤(または誘導因子)に応答する1つまたは複数のDNA配列または遺伝子の転写を直接または間接的に活性化することができる。いくつかの誘導可能プロモーターは、特定の温度で活性化される熱ショックプロモーター(HSP)などの物理的手段によって活性化される。他のプロモーターは化学的手段(例えばIPTG)によって活性化される。誘導可能プロモーターの他の例は、重金属イオンによって活性化されるメタロチオネインプロモーター、および特定のホルモンの処理によって活性化されるホルモン応答性プロモーターを含む。誘導因子の非存在下において、誘導可能プロモーター制御下で、核酸配列または遺伝子は転写されないか、または最小限転写されるのみだろう。本発明の核酸コンストラクトのプロモーターは、同種(宿主細胞と同じ種に由来)、または異種(宿主細胞とは異なる種に由来)でありえる。
一旦本発明の核酸コンストラクトが調製されたならば、宿主細胞の中へ取り込まれうる。これは、Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、コールドスプリングハーバーる:コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク(2001)によって記述されるような、当技術分野において公知の標準的手順を使用して、本発明のプラスミドコンストラクトによる宿主または細胞の形質転換またはトランスフェクションによって実行される。本発明のために適切な宿主および細胞は、細菌細胞、ウイルス、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、およびヒト細胞を含む哺乳類細胞に加えて、組換えタンパク質の産生に適切な他の細胞システムを含むが、これらに限定されない。例示的な細菌細胞は、大腸菌およびマイコバクテリウム種(Mycobacterium sp.)を含むが、これらに限定されない。例示的な酵母宿主は、ピスキア・パストリス(Pischia pastoris)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を含むが、これらに限定されない。形質転換またはトランスフェクションの方法は、プラスミド中に含まれる対象となる遺伝子の一過性発現または安定性発現をもたらしうる。形質転換後に、形質転換された宿主細胞は、適切な培養中で選択し増やすことができる。形質転換細胞は、本発明の核酸コンストラクトと共に宿主細胞の中へ同時に導入した選択マーカーを使用して、最初に同定される。適切なマーカーは、カナマイシン、ゲンタマイシン、アンピシリン、ハイグロマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、および同種のものに対する耐性などの抗生物質耐性をコードするマーカーを含む。任意の公知の抗生物質耐性マーカーは、本発明に従って、形質転換および形質転換された宿主細胞の選択に使用することができる。細胞または組織を抗生物質を含む選択培地で増殖させ、それによって、一般的に抗生物質耐性マーカーを発現する形質転換体のみが増殖し続ける。さらに、または別の方法では、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)または強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を含むが、これらに限定されないレポーター遺伝子は、形質転換細胞の選択のために使用することができる。利用される選択マーカーは標的種に依存するだろう。
ゲルゾリンタンパク質を得るために、コーディング配列が誘導可能プロモーターの制御下にあるならば、発現が誘導される。タンパク質を単離するために、発現ベクターを保有する宿主細胞を増殖させ、ホモジナイズし、ホモジネートを遠心分離して細菌残屑を除去する。次に上清は連続する硫安沈澱を行なう。本発明のタンパク質を含む画分は、適切なサイズのデキストランカラムまたはポリアクリルアミドカラムでゲル濾過し、タンパク質を分離する。必要であるならば、タンパク質画分はHPLCによってさらに精製することができる。適切なものとして、タンパク質精製の代替方法を使用することができる。J.E.Coligan et al.編、Current Protocols in Protein Science(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(2003))を参照。実質的に精製された組換えタンパク質を得ると同時に、タンパク質は本明細書において記述されるような被験体に投与されうる。[あるいは、標準的な陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、組換えゲルゾリンは精製することができる。Oberley,R.E.et al.,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol287:L296−306(2004)。]
以下の実施例はより完全に本発明のいくつかの実施形態を示すために提示される。これらの実施例は、添付された請求項によって定義されるので、本発明の範囲の限定として一切解釈されるべきではない。
本発明は、以下の実施例によってさらに示され、それは多少なりとも限定するようには解釈されるべきでない。
実施例1−GN3E9、GC1C10およびGF2D6モノクローナル抗体の精製
PCT出願第PCT/CN2007/002467号中に記述されるように、抗ゲルゾリンモノクローナル抗体GN3E9、GC1C10およびGF2D6を調製した。選択した抗ゲルゾリン抗体のアイソタイプは、ヤギ抗マウスアイソタイプ特異的抗体(サザン・バイオテク(Southern Biotech)社、バーミンガム、アラバマ)によって決定した。GN3E9のアイソタイプはマウスIgG2bκとして決定され、GC1C10およびGF2D6のアイソタイプはマウスIgG1κとして決定された。
GN3E9は、セファロースGL−4B親和性精製媒質(ファルマシア社、ウプサラ、スウェーデン)を使用して、親和性クロマトグラフィーによって精製した。GC1C10抗体およびGF2D6抗体は、プロテインGセファロースCL−4B親和性精製媒質(ファルマシア社、ウプサラ、スウェーデン)を使用して、親和性クロマトグラフィーによって精製した。培養上清は、1分あたり2mlの流速でカラムに適用した。培養上清をカラムを介して通過させた後、50mlのPBSにより洗浄した。タンパク質は、溶出緩衝液(0.1Mグリシン、0.15M NaCl(pH2.4))により溶出した。各々の溶出した画分(1ml)の光学的濃度はOD280nmで測定した。OD280が0.1ユニットより大きい画分を回収した。画分への100μlの中和緩衝液(1Mトリス塩酸pH8.5)の追加後に、溶出液を透析チューブ中に個別に入れ、溶出液は1LのPBS(pH7.5)に対して4℃で透析した。透析緩衝液は2回変えた。アフィニティー精製した各抗体を1mg/mlに濃縮し、滅菌し、使用まで4℃で保存した。
実施例2−本発明のゲルゾリン結合剤によるヒト尿ゲルゾリンの免疫沈降
尿ゲルゾリンポリペプチドの免疫沈降。ゲルゾリンの1つまたは複数の尿形態を免疫沈降させる本発明のゲルゾリン結合剤の能力を決定するために、GN3E9抗体およびGC1C10抗体は、2mg/mlのビーズ濃度で、CNBr活性化セファロース4B(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社(ピスカタウェイ、ニュージャージー))にコンジュゲートした。コンジュゲーション手順は製造者の使用説明書に従って実行された。簡潔には、前活性化したビーズ(660mg;およそ2mLの最終ビーズ容積に等しい)を15容の1mM HCl 中に懸濁し、30分間膨潤させた。次にビーズは、ゲルの15容の1mMの冷(4℃)HClにより洗浄し、続いて15容のカップリング緩衝液(0.5M NaClを含む0.1M NaHCO3、pH8.3)により洗浄して、「洗浄したゲル」と呼ばれるビーズがもたらされた。各々の抗ゲルゾリン抗体(GN3E9、GC1C10およびGF2D6)は、0.5〜1.0mg/mlのカップリング緩衝液中で希釈し、pHをpH8.3に調整した。洗浄したゲルを各々の抗ゲルゾリン抗体溶液に追加し、混合物は4℃で一晩インキュベートして、「カップリングしたゲル」がもたらされた。カップリングしたゲルを、15容の1Mエタノールアミン中で室温で2〜4時間再懸濁して、活性化されたビーズ上の使用されない活性化された化学的コンジュゲーション部位をブロッキングした。次にブロッキングしたゲルは、15容の50mMトリス、1M NaCl(pH8.0)緩衝液、および50mMグリシン、1M NaCl(pH3.5)緩衝液により交互に8回洗浄し、続いてゲルの10容のPBSにより最終洗浄して、未結合物質を除去した。
次に、短時間遠心分離して沈殿物を除去した1mLのヒト尿サンプルは、10μlの抗ゲルゾリン抗体コンジュゲートビーズ(すなわち、GN3E9またはGC1C10をコンジュゲートしたビーズ)と共に2時間室温でインキュベートした。遠心分離(14,000rpm、3分)によりビーズをペレットにすること、上清を除去すること、および次にPBS中の再懸濁によりペレットにしたビーズを洗浄することによって、抗ゲルゾリン抗体コンジュゲートビーズまたはブランクビーズから、未結合物質を洗い落とした。5回の洗浄サイクルに続いて、抗ゲルゾリン抗体コンジュゲートビーズに結合された物質は、ペレットにしたビーズに、40μlのSDS−PAGEローディング緩衝液(3×ストックの混合によって調製されたSDS−PAGEローディング緩衝液:1Mトリス−Cl(pH6.8)2.4ml;20%SDS 3ml;グリセロール(100%)3ml;B−メルカプトエタノール1.6ml;ブロモフェノールブルー0.006 g、10ml)を追加すること、およびサンプルを5分間煮沸することによって、変性条件下で取り出された。免疫沈降したタンパク質を10%SDS−PAGE上で分画し、標準的技術を使用するクマシーブルー染色により染色して可視化した。脱染色の後に、ゲルはHPの写真スキャナーを使用してスキャンした。結果を図1中に示す。上部パネルは、N末端特異的抗ゲルゾリン抗体GN3E9による免疫沈降の結果を示す。下部パネルは、C末端特異的抗ゲルゾリン抗体GC1C10による免疫沈降の結果を示す。図1中に示されるSDS−PAGEのレーンは、以下のとおりである。レーン1〜3:健康な対照患者;レーン4〜8:ICUからの重篤な脳卒中患者。
本発明のC末端特異的抗ゲルゾリン抗体(GC1C10およびGF2D6)は、ICU患者から2つの〜50kDaポリペプチドを免疫沈降させることができたが、健康な対照患者からは免疫沈降させなかった。N末端特異的抗ゲルゾリン抗体GN3E9は、対照患者またはICU患者のいずれかからもこれらの断片を免疫沈降させることができなかった。それゆえ、本試験において検査された本発明のゲルゾリン結合剤は、ヒト尿サンプルから〜50kDaの免疫反応性ポリペプチドを同定することができた。これらの〜50kDaポリペプチドの同一性は、質量分析解析によってC末端ゲルゾリン断片であると確定された(実施例2を参照)。
ゲルゾリン様ポリペプチドを免疫沈降させることが検査された本発明の選択されたゲルゾリン結合剤の能力は、本発明の方法におけるこれらの結合剤の使用に有利である。具体的には、免疫反応性のゲルゾリンポリペプチドを沈降させることができる本発明のゲルゾリン結合剤は、尿サンプル中のゲルゾリン様断片の検出に利用することができる。
ウエスタンブロット解析。ウエスタンブロット解析技術は、生物学的サンプルからの尿ゲルゾリン断片の免疫沈降の査定に使用された。すなわち、尿ゲルゾリン断片の同一性をさらに決定するために、抗ゲルゾリン抗体により免疫沈降させたヒト尿タンパク質のウエスタンブロット解析を実行した。3人の正常なヒト被験体および3人の重篤な脳卒中(ICU)被験体の尿サンプルは、C末端特異的抗ゲルゾリン抗体GN3E9またはGC1C10により上述されるように免疫沈降させた。免疫沈降したタンパク質を10%SDS−PAGEによって分画し、標準的技術を使用してニトロセルロース膜上にウエスタンブロットした。エレクトロブロットしたニトロセルロース膜(ブロット)を5%(w/v)脱脂乳を使用して室温で1時間ブロッキングした後、HRP(1μg/ml)にカップリングした精製抗ゲルゾリン抗体のGN3E9またはGC1C10によりブロットを2時間間室温でプロービングした。未結合抗ゲルゾリン抗体は、0.02%ツイーン20を含むPBSにより振盪しながら10分間室温で洗浄することによってブロットから洗い落とした。複合体はHRP仲介性化学発光を使用して可視化した。具体的には、ブロットは、ルミグロー(LumiGLO)(登録商標)ペルオキシダーゼ化学発光基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、メリーランド)により3分間インキュベートし、X線フィルムに露光した。結果を図2中に示す。レーン6におけるサンプルを除いて、N末端特異的抗体GN3E9は、尿サンプル中の全長ゲルゾリン以外の断片を検出しなかった。図2B中で示されるように、ヒトゲルゾリンの断片に対応する有意な量の免疫反応性ペプチドは、ICU被験体(レーン4〜8)から得られたサンプルにおいて同定されたが、対照被験体(レーン1〜3)においては同定されない。したがって、本発明のゲルゾリン結合剤は、ウエスタンブロット分析における尿サンプル中の免疫反応性のゲルゾリン様ポリペプチドを検出することができる。
実施例3−ゲルゾリン結合剤によって結合された免疫反応性ポリペプチドの特性評価
抗ゲルゾリン抗体によって免疫沈降させたタンパク質がヒトゲルゾリンの断片であることを確認するために、タンパク質バンドはSDS−PAGEから切断し、その内容物に対して、生物医学解析ナショナル・センター(National Center of Biomedical Analysis)(北京、中国)での標準的技術を使用する質量分析による解析を行なった(Lewis et al.、Identification of Viral Mutants by Mass Spectrometry、Proc Nat Acad Sci USA95:8596−8601(1998)を参照)。実施例1中に記述されるように、C末端特異的抗ゲルゾリン抗体GF2D6を使用して尿タンパク質を免疫沈降させた。解析された個々のタンパク質バンドを図1中に示す。断片のF1およびF2をゲルから切断し、質量分析による解析を行なった。断片のF1およびF2から質量分析によって同定されたペプチドは、それぞれ表5および6の下線の領域で示される。
プロテオミクスデータベース(Swiss−Prot/TrEMBL)検索により、ポリペプチドがヒトゲルゾリンのC末端断片であることが示された。F1断片のN末端配列が得られ、F1断片が配列番号:1のアミノ酸410〜782に対応すること示された。したがって、本発明の抗ゲルゾリン抗体によって免疫沈降された〜50kDaポリペプチドは、C末端断片ヒトゲルゾリンとして確定された。
実施例4−ヒト尿ゲルゾリンのC末端断片に特異的抗体ペア
尿ゲルゾリンC末端断片の免疫沈降。尿ゲルゾリンの免疫沈降断片への本発明のゲルゾリン結合剤の能力を決定するために、GC5D1抗体をCNBr活性化セファロース4B(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社、ピスカタウェイ、ニュージャージー)に2mg/mlのビーズ濃度でコンジュゲートした。コンジュゲーション手順は製造者の使用説明書に従って実行された。簡潔には、前活性化したビーズ(660mg;およそ2mLの最終ビーズ容積に等しい)を15容の1mM HCl中に懸濁し、30分間膨潤させた。次にビーズは、ゲルの15容の1mMの冷(4℃)HClにより洗浄し、続いて15容のカップリング緩衝液(0.5M NaClを含む0.1M NaHCO3、pH8.3)により洗浄して、「洗浄したゲル」と呼ばれるビーズがもたらされた。GC5D1抗体は、0.5〜1.0mg/mlのカップリング緩衝液中で希釈し、pHをpH8.3に調整した。洗浄したゲルを各々の抗ゲルゾリン抗体溶液に追加し、混合物は4℃で一晩インキュベートして、「カップリングしたゲル」がもたらされた。カップリングしたゲルを、15容の1Mエタノールアミン中で室温で2〜4時間再懸濁して、活性化されたビーズ上の使用されない活性化された化学的コンジュゲーション部位をブロッキングした。次にブロッキングしたゲルは、15容の50mMトリス、1M NaCl(pH8.0)緩衝液、および50mMグリシン、1M NaCl(pH3.5)緩衝液により交互に8回洗浄し、続いてゲルの10容のPBSにより最終洗浄して、未結合物質を除去した。
次に、短時間遠心分離して沈殿物を除去した1mLの対照患者および重篤な脳卒中患者からのヒト尿サンプルは、10μlのGC5D1抗体をコンジュゲートしたビーズと共に2時間室温でインキュベートした。遠心分離(14,000rpm、3分)によりビーズをペレットにすること、上清を除去すること、および次にPBS中の再懸濁によりペレットにしたビーズを洗浄することによって、抗ゲルゾリン抗体コンジュゲートビーズから、未結合物質を洗い落とした。5回の洗浄サイクルに続いて、GC5D1抗体コンジュゲートビーズに結合された物質は、ペレットにしたビーズに、40μlのSDS−PAGEローディング緩衝液(3×ストックの混合によって調製されたSDS−PAGEローディング緩衝液:1Mトリス−Cl(pH6.8)2.4ml;20%SDS 3ml;グリセロール(100%)3ml;B−メルカプトエタノール1.6ml;ブロモフェノールブルー0.006g、10ml)を追加すること、およびサンプルを5分間煮沸することによって、変性状態下で取り出された。免疫沈降したタンパク質を10%SDS−PAGE上で分画し、標準的技術を使用してニトロセルロース膜上にウエスタンブロットした。エレクトロブロットしたニトロセルロース膜(ブロット)を5%(w/v)脱脂乳を使用して室温で1時間ブロッキングした後、HRP(1μg/ml)にカップリングしたGF2D6によりブロットを2時間室温でプロービングした。未結合抗ゲルゾリン抗体は、0.02%ツイーン20を含むPBSにより振盪しながら10分間室温で洗浄することによってブロットから洗い落とした。複合体はHRP仲介性化学発光を使用して可視化した。具体的には、ブロットは、ルミグロー(LumiGLO)(登録商標)ペルオキシダーゼ化学発光基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、メリーランド)により3分間インキュベートし、X線フィルムに露光した。結果を図3中に示す。
本発明(GC5D1、GF2D6)のC末端特異的抗ゲルゾリン抗体は、ICU患者から2つの〜50kDaポリペプチドを免疫沈降させ検出することができたが、健康な対照患者からはできなかった。全長ゲルゾリンポリペプチドはこれらの2つの抗体の組合せを使用して検出されなかった。それゆえ、本試験において検査された本発明のゲルゾリン結合剤は、ヒト尿サンプルから〜50kDaの免疫反応性のポリペプチドを同定することができた。
免疫沈降で検査された本発明の選択したゲルゾリン結合剤の能力は、本発明の方法におけるこれらの結合剤の使用に有利である。具体的には、免疫反応性のゲルゾリンポリペプチドを沈降させることができる本発明のゲルゾリン結合剤は、尿サンプル中のゲルゾリン様ポリペプチドの検出に利用することができる。
実施例5−本発明のゲルゾリン結合剤を使用する尿ゲルゾリン断片の定量的測定
抗ゲルゾリン抗体を検査して、尿ゲルゾリン断片の検出のための捕捉抗体または検出抗体として働く能力を決定した。ゲルゾリンELISAを以下のように実行した。ELISAプレート(96ウェル;BDバイオサイエンス(BD biosciences)社、カリフォルニア)は、10μg/mlの捕捉抗体(GC5D1)により4℃で一晩コートした。未結合の捕捉抗体は、PBSによりプレートを3回洗浄することによってウェルから洗い落とした。次に、非特異的結合部位は、PBS中の3%(w/v)BSAによるウェルのインキュベートによってブロッキングした(1時間、室温)。ブロッキング溶液をウェルから除去し、プレートは真空密封前に風乾し、使用前に4℃で保存した。
組換えゲルゾリン免疫原の濃度を変化させて(0.01〜1,000ng/mL)、ELISAプレートに追加した。免疫原は、全長ゲルゾリン(FL)、配列番号:1のアミノ酸13〜440を含むN末端(NT)断片、または配列番号:1のアミノ酸440〜782を含むC末端断片(CT)のいずれかであった。未結合ゲルゾリン免疫原は、PBSにより3回洗浄することによってウェルから洗い落とされた。
結合したゲルゾリン免疫原は、HRPコンジュゲート2D6抗体(1:10,000)によりウェルをインキュベートすること(30分;37℃)によって検出した。未結合のHRPコンジュゲート2D6抗体は、PBSによりウェルを3回洗い落とすことによって除去した(各々5分)。抗体複合体は、ショアブルー(SureBlue)TMBワンコンポーネントマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、メリーランド)を使用して測定した。具体的には、ショアブルーTMBワンコンポーネントマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(KPL社、ゲーサーズバーグ、メリーランド)を、ウェルに追加し、プレートを10分間インキュベートして、基質のHRP仲介性変換を可能にした。酵素反応は、100μlの2N H2SO4の追加により停止された。次に、サンプルウェルの光学的密度は、ELISAプレート読取り装置を使用して450nm/650nmで測定した。
以下で詳述されるような、選択したゲルゾリン結合剤の結合特質の決定に実行された試験の結果の概要を図4中に示す。C末端抗体ペアは、C末端ゲルゾリン免疫原に対する用量依存性の応答を示したが、N末端免疫原または全長免疫原は検査された濃度の範囲にわたり有意に検出されなかった。それゆえ、選択したゲルゾリン結合剤は、特異的に定量的方式で尿ゲルゾリン断片を検出する能力を有している。したがって、これらのゲルゾリン結合剤を利用して、ELISA形式で尿サンプル中のゲルゾリン様ポリペプチドを検出することができる。
実施例6.臨床的サンプル中の尿ゲルゾリン断片の検出
ゲルゾリンELISA分析の臨床設定における尿ゲルゾリン断片の定量能力を検査するために、正常な患者および外傷患者からのサンプルを得て、実施例5中に記述されるようなELISA分析を使用して解析した。サンプルは、様々な種類の外傷または医学的状態を患う被験体から得られた。これらは、救急(ICU)患者および癌患者(すなわち手術、化学療法または放射線療法などの任意の重大な治療より以前に新しく癌と診断された患者)を含んでいた。さらなるサンプルは重大な手術を受ける患者から得られ、ここで重大な手術は、麻酔または呼吸補助を含む任意の外科的手順として定義される。患者の組入れのための基準は今までに記述された(Wang et al.,Eur J Clin Pharmacol 62:927−31(2006)を参照)。敗血症患者は、新規の臓器機能不全、低血圧、または血流低下に関連する敗血症に罹患したそれらの患者を含んでいた。患者の組入れのための基準は今までに記述された(Chen et al.,Genes Immun8:439−43(2007)を参照)。最終的に、サンプルは腎炎(腎臓の炎症)を有する患者から得られた。
結果を図5中に示す。正常な患者は尿ゲルゾリン断片が非常に低いレベルであったが、その一方で、分析によって測定されるように、腎不全患者、救急患者、癌患者、手術後患者、敗血症患者、および腎炎患者は、上昇したレベルの尿ゲルゾリンを示した(図5Aおよび5B)。これらの結果は、臨床設定において尿ゲルゾリン断片を定量する本発明のゲルゾリン結合剤の能力を実証する。さらに、この研究は、ゲルゾリン様ポリペプチドが、ヒトの腎不全、脳卒中、敗血症、癌、外傷、腎炎のバイオマーカーであることを実証する。さらに、本発明のゲルゾリン結合剤は、患者の治療後に血清ゲルゾリンレベルを測定することによって、ゲルゾリン補充療法に対する患者の後続する応答の測定に使用することができる。
実施例7−全長血漿ゲルゾリンと尿ゲルゾリン断片との間の逆相関関係
この実施例において、正常な個体または救急患者のいずれかからの患者にマッチしたサンプルを使用して、全長血漿ゲルゾリンレベルと尿ゲルゾリン断片との間の相関関係を調べた。図5中に記述されているように、尿ゲルゾリン断片のレベルを測定した。
血漿サンプルについてのゲルゾリンELISAを以下のように実行した。ELISAプレート(96ウェル;BDバイオサイエンス社、カリフォルニア)は、10μg/mlの捕捉抗体GN3E9により4℃で一晩コートした。未結合の捕捉抗体は、PBSによりプレートを3回洗浄することによってウェルから洗い落とした。次に、非特異的結合部位は、PBS中の3%(w/v)BSAによるウェルのインキュベートによってブロッキングした(1時間、室温)。ブロッキング溶液をウェルから除去し、プレートは真空密封前に風乾し、使用前に4℃で保存した。50μlのヒト血漿を、室温まで平衡化した捕捉抗体により処理されたゲルゾリンELISAプレートの適切なウェルに最初に追加した。プレートへのサンプルの追加の直後に、50μlのHRPコンジュゲート検出抗体GC1C10(ブロッキングバッファー中で〜0.1μg/ml)を、適切なウェルに追加し、プレートを37℃で20分間インキュベートした。未結合の物質は、PBSによりプレートを3回洗浄することによってウェルから洗い落とした。捕捉された血漿ゲルゾリン:HRPコンジュゲート抗体複合体を、追加の100μlの ECL基質緩衝液(KPL社、ゲーサーズバーグ、メリーランド)の追加によって測定した。3分間37℃でのインキュベーション後に、各々のウェルの光学的密度は、ELISAプレート読取り装置において450nm/650nmで測定した。
結果は図6中に示され、上昇したレベルの尿ゲルゾリン断片の救急患者は血漿ゲルゾリンの枯渇したレベルも示す。同様に、低レベルの尿ゲルゾリン断片の健康な患者は、より高いレベルの血漿ゲルゾリンを有していた。それゆえ、血漿ゲルゾリンレベルと尿ゲルゾリン断片のレベルとの間に逆相関関係がある。
実施例7−臨床転帰に対する尿ゲルゾリン断片レベルの相関関係
ゲルゾリンELISA分析の臨床設定における尿ゲルゾリン断片を定量能力を検査するために、上述されるように、救急患者からのサンプルを得て解析する。各々の患者についての臨床転帰または疾患ステージが査定される。尿ゲルゾリン断片レベルの関数として臨床応答または転帰を予測する数理モデルが構築される。臨床応答と尿ゲルゾリン断片のレベルとの間の関連性の同定は、治療に応答するかまたはしない被験体、またはあるいはより低レベルで応答してしたがってより多くの治療(すなわち化合物、薬物または治療のより大きな用量)を必要とする被験体を決定する診断方法をデザインする根拠である。数理モデルによって測定された相関関係を使用して、本発明のゲルゾリン結合剤を使用するゲルゾリンELISAは患者の臨床転帰を決定するのに有用である。
同等物
本発明は、本発明の個々の態様の単一の実例として意図される本出願中に記述される特定の実施形態に関して限定されるのではない。本発明の多くの修飾および変形は、当業者に明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱せずに行うことができる。本発明の範囲内の機能的に等価な方法および組成物は、本明細書において列挙されたものに加えて、前述から当業者に明らかになるだろう。かかる修飾および変形は、添付される請求項の範囲以内にあるように意図される。本発明は、かかる請求項が権利化される対応特許の全範囲に加えて、添付された請求項に関してのみ限定されるべきある。当然変化することができる、特定の方法、試薬、化合物組成物または生物学的システムに本発明が限定されないことが理解されるべきである。本明細書において使用される用語が、特定の実施形態のみを記述する目的のためのものであり、限定するようには意図されないこともまた理解されるべきである。
他の実施形態は以下の請求項内で説明される。