JP2010535825A5 - - Google Patents

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多発性硬化症、アルツハイマー病およびパーキンソン病を処置するためのケモカインのIVIG調節
関連出願の相互参照
この出願は、2007年8月13日に出願された、USSN第60/955,610号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
連邦により支援された研究開発の下で行われた発明の権利に関する宣言
該当なし。
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、またはコンピュータプログラム一覧付属書類への言及
該当なし。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の最も一般的な自己免疫炎症性疾患である。それは、神経学的欠損を引き起こす中枢神経系の白質の脱髄性病変によって特徴付けられる(非特許文献1)。疾患の病因は、免疫細胞、主に活性化T細胞の脳の中への浸潤と関連する(非特許文献1)。この浸潤は、血液脳関門の崩壊を伴う(非特許文献2)。
静脈内免疫グロブリン(IVIG)は、MSを含む、いくつかの自己免疫疾患の処置で有効であることが示されている(非特許文献1)が、IVIGの免疫調節活性の基礎となる正確な作用機序は、完全には説明されていない。自己免疫および炎症性疾患に罹患している患者におけるIVIGの免疫調節効果を説明しようとする、いくつかのモデルがある(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。これらのモデルは、Fcγ受容体媒介免疫調節(非特許文献6)、イディオタイプ/抗イディオタイプネットワークの調節(非特許文献7)、免疫刺激微生物生産物の排除(非特許文献8)、およびサイトカインおよびケモカインに対する中和抗体(非特許文献9)を含む。Th1およびTh2細胞免疫反応性の間の均衡を修飾する、および抗体/補体複合体の形成を阻害する、IVIGの潜在能力も実証されている(非特許文献10、Bayry J.ら、Intravenous immunoglobulin in autoimmune disorders:An insight into the immunregulatory mechanisms)。
MS患者におけるIVIGの有益な効果が、多数の非盲検(open)臨床試験によって(Basta M.ら、Blood, 77:376−80(1991))、および4つの無作為二重盲臨床研究(Sorensen P.S.ら、Eur J Neurol, 9:557−563(2002)、Strasser−Fuchs S.ら、Mult Scler, 2:9−13(2000)、Sorensen P.S.ら、Neurology, 50:1273−1281(1998)、Lewanska M.ら、Eur J Neurol, 9:565−572(2002))によって示された。IVIGは、MS患者における再発率、および脳の磁気共鳴映像法(MRI)で見られるガドリニウム増強病変の数を減少させた(Dudesek A.and Zettl U.K., J Neurol, 253; V/50−V/58)。さらに、IVIGは、活性化末梢T細胞の増殖を抑制することが示された(Bayry J.ら、Neurol Sci, 4:217−221(2003)、Stangel M.and Gold R., Nervenarzt,(2005))。自己反応性末梢T細胞は、血液脳関門を横断することができ、脳の炎症に関与する主要エフェクター細胞であると考えられる(非特許文献1、Helling N.ら、Immunol Res., 1:27−51(2002))。したがって、IVIGによるT細胞機能の調節は、MS患者で見られるIVIGの有益な治療効果を説明することができる。
近年、本発明者らは、IVIGが、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の急性増悪期患者に対する効果的な代替処置であると示した(Elovaara I.ら、Intravenous Immunoglobin is effective and well tolerated in the treatment of MS Relapse、原稿提出済み)。末梢自己反応性T細胞がMSにおける脳の炎症に関与すると考えられるため、本発明者らは、IVIGで処置される急性増悪期のMS患者の末梢T細胞において様々に調節される遺伝子を同定することに着手した。本発明者らは、遺伝子発現プロファイルの違いが、IVIG処置の潜在的な作用機序に関する重要な情報を提供することができると推論した。さらに、遺伝子発現プロファイルの変化は、処置の成功を予測する予後マーカーを提供することができる。そのようなマーカーはまた、新しい治療薬を開発するための標的を同定するのにも役立ち得る
さらに、増加する証拠は、MSだけでなく、アルツハイマー病およびパーキンソン病の病因でも脳の炎症が果たす役割を示唆している(例えば、Wilmsら、Curr.Pharm.Des.13:1925(2007)を参照)。特定のミクログリアでは、常在先天性免疫細胞が、脳の炎症過程で主要な役割を果たし、MSだけでなく、アルツハイマー病およびパーキンソン病とも関連することが知られている(例えば、Yamamotoら、Am.J.Pathology 166:1475(2006)、Huangら、FASEB 19:761(2005)、Kimら、Exp.And Mol.Med.38:333(2006)を参照)。したがって、本発明は、静脈内免疫グロブリン処置適用と関連する処置の成功を予測する新しい予後マーカー、ならびに、MS、例えば、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、パーキンソン病、またはアルツハイマー病の処置で活用されてもよい、新しい治療標的を提供する。
Sospedra M.and Martin R., Immunology of Multiple Sclerosis.Annu Rev Immunol.,(2005)23:683−747 van Horssen J.ら、J Neuropathol Exp Neurol.,(2007)66:321−8 Kazatchkine M.D.ら、Mult Scler,(2000)2:24−6 Kazatchkine M.D.ら、Mult Scler,(2000)33:24−26 Trebst C.and Stangel M., Curr.Pharm.Design,(2006)12:241−2493 Sorensen P.S., Neurol Sci,(2003)4:227−230 Samuelsson A.ら、Science,(2001)291:484−6 Dalakas M.C., Ann Intern Med,(1997)126:721−30 Bayry J.ら、Transfus Clin Biol.,(2003)10:165−9 Andersson U.ら、Immunol Rev,(1994)139:21−42
本発明は、静脈内免疫グロブリン(IVIG)で処置された患者で過剰発現または過小発現される分子マーカーを使用して、多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病の処置の予後を提供するための方法を提供する。また、多発性硬化症の処置または予防に有用である化合物を同定する方法も提供する。いくつかの局面では、多発性硬化症の亜型は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である。
したがって、一実施形態では、本発明は、静脈内免疫グロブリン(IVIG)で処置された被験体からの生体サンプルを、表3a、表3b、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列のうちのいずれかから選択される、少なくとも1つのマーカーに特異的に結合する試薬と接触させ、次いで、マーカーがサンプルで過剰発現または過小発現されているか否かを判定し、したがって、IVIGで処置された被験体におけるMS、パーキンソン病、およびアルツハイマー病の予後を提供することによって、IVIGで処置された被験体における多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病の予後を提供する方法を提供する。この実施形態の局面では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)亜型である。
この実施形態の種々の局面では、試薬は、モノクローナル抗体等の抗体である。代替として、試薬は、オリゴヌクレオチドまたはRT PCRプライマーセットを含む、核酸となり得る。他の局面では、サンプルは、T細胞を含有し得る、血液サンプルである。サンプルはまた、脳脊髄液ともなり得る。この実施形態のいくつかの局面では、マーカーのうちの1つは、ケモカインである。ケモカインの例は、CXCL3、CXCL5、CCL13、およびXCL2を含む。
本発明の別の実施形態は、化合物を、表3a、表3b、表3c、表3d、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列のうちのいずれかから選択される、マーカーを発現する細胞を含むサンプルと接触させ、次いで、マーカーへの化合物の機能的効果を判定し、したがって、多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を予防または処置する化合物を同定することによって、MS、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を予防または処置する化合物を同定する方法を提供する。この実施形態の局面では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)亜型である。
この実施形態の種々の局面では、機能的効果は、マーカーの発現の増加または減少である。他の局面では、機能的効果は、マーカーの活性の増加または減少である。この実施形態の種々の局面で使用される化合物の例は、小分子、siRNA、リボザイム、およびモノクローナル抗体であり得る抗体を含む。
本発明のさらなる実施形態は、被験体に、CXCL5、CXCL3、およびCCL13を含むケモカインに結合する抗体の有効量を投与することによって、被験体における多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する方法を提供し、その場合、有効量は、ケモカインまたはケモカインの細胞シグナル伝達を不活性化するのに十分であり、したがって、多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する。この実施形態の局面では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)亜型である。
本発明のその上さらなる実施形態は、被験体に、CXCL5、CXCL3、およびCCL13の受容体を含むケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を投与することによって、被験体における多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する方法を提供し、その場合、有効量は、ケモカイン受容体の機能を不活性化するのに十分であり、したがって、多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する。この実施形態の局面では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)亜型である。
本発明の別の実施形態は、被験体に、XCL2ケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を投与することによって、被験体における多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する方法を提供し、その場合、有効量は、XCL2ケモカイン受容体を活性化するのに十分であり、したがって、多発性硬化症、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を処置または予防する。この実施形態の局面では、多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)亜型である。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
静脈内免疫グロブリン(IVIG)で処置された被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の予後を提供する方法であって、
(a)IVIGで処置された該被験体からの生体サンプルを、表3a、表3b、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列からなる群より選択される、少なくとも1つのマーカーに特異的に結合する試薬と接触させるステップと、
(b)該マーカーが該サンプルで過剰発現または過小発現されているか否かを判定し、それにより、IVIGで処置された被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の予後を提供するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記試薬は、抗体である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抗体は、モノクローナルである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記試薬は、核酸である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記試薬は、オリゴヌクレオチドである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記試薬は、RT PCRプライマーセットである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記サンプルは、血液サンプルである、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記血液サンプルは、T細胞を含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記サンプルは、脳脊髄液である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記少なくとも1つのマーカーは、ケモカインである、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記ケモカインは、CXCL3、CXCL5、CCL13、およびXCL2からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目13)
多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を予防または処置する化合物を同定する方法であって、
(a)化合物を、表3a、表3b、表3c、表3d、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列からなる群より選択される、マーカーを発現する細胞を含むサンプルと接触させるステップと、
(b)該マーカーに対する該化合物の機能的効果を判定し、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を予防または処置する化合物を同定するステップと、
を含む、方法。
(項目14)
前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記機能的効果は、前記マーカーの発現の増加または減少である、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記機能的効果は、前記マーカーの活性の増加または減少である、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記化合物は、小分子である、項目13に記載の方法。
(項目18)
前記化合物は、siRNAである、項目13に記載の方法。
(項目19)
前記化合物は、リボザイムである、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記化合物は、抗体である、項目13に記載の方法。
(項目21)
前記抗体は、モノクローナルである、項目20に記載の方法。
(項目22)
被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する方法であって、該被験体に、CXCL5、CXCL3、およびCCL13からなる群より選択されるケモカインに結合する抗体の有効量を投与するステップを含み、該有効量は、ケモカインの細胞シグナル伝達を不活性化するのに十分であり、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する、方法。
(項目23)
前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、項目22に記載の方法。
(項目24)
被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する方法であって、該被験体に、CXCL5、CXCL3、およびCCL13の受容体からなる群より選択されるケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を投与するステップを含み、該有効量は、該ケモカイン受容体を不活性化するのに十分であり、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する、方法。
(項目25)
前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、項目24に記載の方法。
(項目26)
被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する方法であって、該被験体に、XCL2ケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を投与するステップを含み、該有効量は、該XCL2ケモカイン受容体を活性化するのに十分であり、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防する、方法。
(項目27)
前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、項目26に記載の方法。
IVIGによる処置中の10人のRRMS患者におけるEDSSスコアの進展を示す。中央値、25%および75%パーセンタイル値、最小値および最大値を含有する箱髭図は、寛解中、ならびに再発中のIVIGによる処置の前後の患者のEDSSスコアを明示する。 IVIGによる処置が、RNAの単離のために得られた細胞の細胞組成を改変しないことを示す。マイクロアレイ分析から得られた相対的遺伝子発現データを、CD3、CD4、CD8、およびCD14について提示する。第0日の遺伝子発現を1として設定し、第6日(A)および第26日(B)の遺伝子発現と比較した。各点は、個々の患者を表す。 代表的な遺伝子の発現を明示する、リアルタイムPCRを示す。中央値、25%および75%パーセンタイル値、最小値および最大値を含有する箱髭図は、示された遺伝子の相対的発現を明示する。遺伝子の発現を、内在性コントロール(リセルアルデヒド−3リン酸脱水素酵素)に正規化させた。リアルタイムPCR実験を三重に行い、異なる日に少なくとも2回確認した。
多発性硬化症(MS)とは、概して、中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす、炎症性脱髄疾患を指す。MSの進行中、ニューロンの軸索を包囲するミエリンが縮退し、後続の軸索変性をもたらす。MSの病因は、T細胞が中枢神経系の複数部分を攻撃し、炎症反応を誘起して、他の免疫細胞の刺激と、サイトカインおよび抗体等の可溶性因子の分泌とをもたらす、自己免疫反応を伴うと考えられる。T細胞によって誘起される炎症過程は、内皮細胞によって形成された血液脳関門における漏出を生成する。順に、血液脳関門における漏出は、脳腫脹、マクロファージの活性化、そして、サイトカインおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ等の他のタンパク質分解タンパクのさらなる分泌等の、多数の他の損傷効果を引き起こす。これらの病理学的過程の最終結果は、ニューロンの脱髄である。例えば、Calabresi, P.A., American Family Physician, 70:1935−1944(2004)を総覧のために参照されたい。
MSが進行するにつれて、ニューロン軸索の漸進的な脱髄および離断が、脳および脊髄の全体を通した所々に発生する。したがって、多発性硬化症という用語は、罹患した個人におけるミエリン鞘上で見出される多発性瘢痕(または硬化症)を指す。この瘢痕化は、瘢痕化の程度に応じて大きく異なる場合があり、ニューロン経路が途絶する症状を引き起こす。
MSの症状および発現の中でも、感覚の変化(感覚鈍麻)、筋衰弱、異常筋痙攣、運動の困難、協調および均衡の困難(運動失調)、発話の問題(構音障害)または嚥下の問題(嚥下困難)、視覚の問題(眼振、視神経炎、または複視)、疲労および急性または慢性疼痛症候群、膀胱および腸の困難、認識機能障害、または情動性症状(例えば、鬱病)を含む。
報告されている最も一般的な初期症状は、腕、脚、または顔面の感覚の変化(33%)、完全または部分的失明(視神経炎)(16%)、衰弱(13%)、複視(7%)、歩行時の不安定(5%)、および平衡障害(3%)である。Navarroら、Rev Neurol 41:601−3(2005)、Jongen P., J Neurol Sci 245:59〜62(2006)を参照されたい。一部の個人では、初期MS発作は、感染症、外傷、または激しい身体的活動(effort)が先行する。
多数の診断検査が、MSの診断に現在使用されている。これらは、身体検査での一貫した異常の所見とともに、MSの神経症状特性の2つの別個のエピソードの臨床提示を含む。代替として、MSの疑いがある個人を評価するために、脳および脊椎の磁気共鳴映像法(MRI)がしばしば使用される。MRIは、T2強調画像またはFLAIR(液体抑制反転回復法)シーケンス上の明るい病変として、脱髄の領域を明らかにする。T1強調画上の活性プラークを明示するために、ガドリニウム造影剤を使用することができる。
脳脊髄液(CSF)の検査は、MSの特性である、中枢神経系の慢性炎症の証拠を提供することができる。そのような検査では、CSFは、確定的MSがある人々の85%から95%で見出される免疫グロブリンである、オリゴクローナルバンドについて検査される。MRIおよび臨床データと組み合わせられると、オリゴクローナルバンドの存在は、MSの確定診断を行うのに役立つことができる。
脳がMSに罹患した個人はしばしば、視神経および感覚神経の刺激にあまり活発に反応しないため、そのような脳の測定も、診断ツールとして使用することができる。これらの脳反応は、視覚誘発電位(VEP)および体感覚性誘発電位(SEP)を使用して検査することができる。いずれか一方の検査での減少した活性は、そうでなければ無症候性であってもよい、脱髄を明らかにすることができる。他のデータとともに、これらの検査は、MSの確定診断のために必要とされる広範囲の神経関与を発見するのに役立つことができる。
MSのいくつかの亜型または進行のパターンが説明されている。1996年に、United States National Multiple Sclerosis Societyが、以下で説明されるような、以下の4つの亜型の定義を標準化した。
再発寛解型MS(RRMS)とは、予測不可能な発作(再発)とその後の、疾患活動性の新しい徴候がない相対的平穏な数ヶ月から数年の期間(寛解)によって特徴付けられる亜型を指す。発作中に受けた欠損は、消散してもよく、または永久的であってもよい。再発寛解型は、MSがある個人の85%から90%の初期経過を表す。
2次進行型は、初期再発寛解型MSがある人々の約80%を表し、次いで、任意の確定的な寛解期なしで、急性発作の間に神経減退が生じ始める。この減退は、新しい神経症状、認知機能の悪化、または他の欠損を含む場合がある。2次進行型は、最も一般的な種類のMSであり、最大量の身体障害を引き起こす。
1次進行型は、初期MS症状後に全く寛解しない個人の約10%を表す。明確な発作なしで、減退が連続的に発生する。1次進行亜型は、発病時に高齢である人々に影響を及ぼす傾向がある。
進行再発型は、MSの発病から、着実な神経減退があるが、重畳発作も患う個人を表し、全ての亜型の中で最も一般的ではない。
現在、MSに対する確定的な治療法はないが、発作後に機能を戻すこと、新しい発作を予防すること、または身体障害を予防することに向けられている、多数の治療法が開発されてきた。したがって、急性発作を体験している患者に、再発寛解亜型がある患者に、進行性亜型がある患者に、脱髄性イベントがある、MSの診断がない患者に、およびMS発作の種々の結果を管理するために、異なる治療法が使用される。
MSに現在使用されている薬剤は、2次進行型MSの再発型で使用するために承認されているインターフェロン、病変部位における炎症を軽減する抗炎症薬を分泌するようにT細胞を刺激する、ミエリン中で見出される4つのアミノ酸でできている合成薬物である、酢酸グラチラマー、進行型、進行再発型、および悪化する再発寛解型MSを処置するために使用される薬剤である、ミトキサントロン、およびα4−インテグリンを認識するモノクローナル抗体である、ナタリズマブを含む。
メチルプレドニゾロン等の高用量の静注用コルチコステロイドが、RRMSの処置で頻繁に投与され、再発寛解型症候性発作の長さを短縮することに効果的であることが示されている。本明細書でさらに詳細に説明されるように、静注用IgG免疫グロブリンも、MSを処置するために使用されてきた。
MSと同様に、上記で説明されるように、パーキンソン病およびアルツハイマー病等の他の病状が、脳の炎症と関連する。例えば、本明細書で説明される、ケモカインCCL13は、ミクログリアおよび星状膠細胞で発現されるケモカイン受容体CCR2を活性化する。これらの細胞型の両方は、パーキンソン病およびアルツハイマー病と関連する。したがって、このマーカーおよび本明細書で説明される他のマーカーは、薬品分析、診断および予後分析、ならびに、アルツハイマー病およびパーキンソン病に対する治療siRNAおよび抗体処置に有用である。
静脈内免疫グロブリン(IVIG)は、多発性硬化症(MS)を含む、多数の中枢神経系の自己免疫疾患を処置するために首尾よく使用されきた。しかしながら、IVIGの基礎作用機序は、完全には説明されていない。したがって、本発明者らは、再発寛解型MS(RRMS)の急性増悪期患者におけるIVIGの免疫調節活性と関連する、遺伝子発現プロファイルの同定に着手した。以下で説明されるように、IVIGによる処置前後の10人のRRMS患者における末梢T細胞の遺伝子発現プロファイルを研究するために、AffymetrixのHU−133マイクロアレイを使用した。静注用メチルプレドニゾロンで処置された患者を対照として含んだ。代表的な遺伝子の差次的発現を、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって確認した。IVIG療法の前後に、神経学的に、および脳および脊髄磁気共鳴映像法によって、全患者を分析した。
実施例において以下で示されるように、IVIG処置中に異なって発現された360個の遺伝子を同定した。いくつかは、脳におけるオリゴデンドロサイト移動の調節に不可欠な受容体である、CXCR2に結合することが知られている、CXCL3およびCXCL5等のケモカインをコードする。その他は、シグナル伝達、増殖、またはアポトーシスに関与するタンパク質をコードする。
本明細書で開示される研究は、異なって発現された遺伝子の中でも、末梢T細胞におけるケモカイン発現の調節が、MSの急性増悪期患者におけるIVIGの重要な新しい作用機序であることを示す。したがって、本明細書で開示される遺伝子は、IVIG療法における処置の成功を予測するための診断マーカーとしての機能を果たし、薬剤開発のための新しい分子標的を提供してもよい。
定義
「静注用IgG」または「IVIG」処置という用語は、概して、免疫不全、炎症性疾患、および自己免疫疾患等の多数の状態を処置するように静脈内投与される、IgG免疫グロブリンの組成物を指す。IgG免疫グロブリンは、典型的には、血清からプールおよび調製される。完全な抗体または断片を使用することができる。
「ケモカイン」という用語は、概して、応答細胞における走化性を促進する種々の細胞によって分泌される、一群の小型サイトカインを指す。ケモカインはまた、SIS群のサイトカイン、SIG群のサイトカイン、SCY群のサイトカイン、血小板因子4スーパーファミリーまたはインタークリンという名称でも通っている。ケモカインによって誘引される細胞は、ケモカイン源に向かって増加するケモカイン濃度のシグナルの方に進む
ケモカイン群のいくつかの構成要素は、リンパ球をリンパ節に方向付けて、組織中に存在する抗原提示細胞との相互作用を通して、病原体侵入のリンパ球監視を可能にすること等によって、免疫学的監視の過程中に免疫系の細胞を制御する。そのようなケモカインは、恒常性ケモカインとして知られており、それらのソース細胞を刺激する必要なく、産生および分泌される。いくつかのケモカインは、例えば、血管形成を促進するか、または細胞成熟にとって重要な特異的シグナルを提供する組織へと細胞を誘導することによって、発生で役割を担う。他のケモカインは、炎症性であり、身体的損傷を引き起こす細菌感染、ウイルス、および薬剤に反応して、多種多様な細胞から放出される。炎症性ケモカインの放出は、しばしば、インターロイキン1等の炎症誘発性サイトカインによって刺激される。炎症性ケモカインは、主に、白血球に対する化学誘引物質として機能し、血液から感染症または組織損傷の部位へと、単球、好中球、および他のエフェクター細胞を動員する。ある炎症性ケモカインは、細胞を活性化して、免疫反応を開始するか、または創傷治癒を促進する。それらは、多くの異なる細胞型によって放出され、先天性免疫系および適応的免疫系の両方の細胞を誘導する働きをする。
構造上、ケモカインは、8〜10kDaの分子量を伴う、低分子タンパク質である。ケモカインはまた、この種類のタンパク質の特性である、ギリシア文字のキー字形を生成するようにペアで互いに相互作用する、4つのシステイン(ほとんどの場合)等の、3次元または3次構造を生成するために重要である、保存アミノ酸も保有し、分子内ジスルフィド結合が、典型的には、ケモカインのタンパク質配列で出現するに番号付けされる、第1システイン残基を第3システイン残基に、第2システイン残基を第4システイン残基に接合する。
ケモカイン群の構成要素は、最初の2つのシステイン残基の間隔に応じて、4つの群に分類される。CCケモカイン(またはβ−ケモカイン)は、それらのアミノ末端付近に2つの隣接するシステインを有する。CCケモカインリガンド(CCL)−1−28と呼ばれる、この亜群の少なくとも27の異なる構成要素が、哺乳類について報告されている。CXCケモカイン(またはα−ケモカイン)における最初の2つのシステイン残基は、「X」で表される1つのアミノ酸によって分離される。CXCモチーフの第1のシステインの直前にある、グルタミン酸ロイシンアルギニン(ELR)の特異的アミノ酸配列(またはモチーフ)があるもの(ELR陽性)、およびELRモチーフがないもの(ELR陰性)といった、2つのカテゴリに細分される、17の異なるCXCケモカインが哺乳類で説明されている。第3群のケモカインは、Cケモカイン(またはγケモカイン)として知られており、1つのN末端システインおよび1つの下流システインといった、2つのシステインのみを有するという点で、あらゆる他のケモカインと違う。第4群は、2つのシステインの間に3つのアミノ酸を有し、CXCケモカイン(またはδ−ケモカイン)と称される。
ケモカイン受容体は、白血球の表面上で見出される7つの膜貫通領域を含有する、Gタンパク質共役受容体である。結合するケモカインの種類に応じて、CXCケモカインを結合するCXCR、CCケモカインを結合するCCR、単独CX3Cケモカイン(CX3CL1)を結合するCX3CR1、および2つのXCケモカイン(XCL1およびXCL2)を結合するXCR1といった4群に分けられる、約19の異なるケモカイン受容体が現在まで特徴付けられている。
「ケモカインの細胞シグナル伝達」とは、概して、Gタンパク質と関連して、リガンド結合後に細胞シグナルを伝送するケモカイン受容体の能力を指す。ケモカイン受容体によるGタンパク質の活性化は、ホスホリパーゼC(PLC)の後続の活性化を引き起こす。PLCは、ホスファチジルイノシトール(4,5)−二リン酸(PIP2)を、細胞内シグナル伝達イベントを誘起するイノシトール三リン酸(IP3)およびジアシルグリセロール(DAG)といった、2つの第2メッセンジャー分子に切断し、DAGは、タンパク質キナーゼ(PKC)と呼ばれる別の酵素を活性化し、IP3は、細胞内貯蔵からのカルシウムの放出を誘起する。これらのイベントは、ケモカイン受容体を持つ細胞内での、走化性、脱顆粒、スーパーオキシドアニオンの放出、およびインテグリン等の細胞接着分子のアビディティの変化を含む、反応を生成する、MAPキナーゼ経路等のシグナル伝達カスケードを促進する。
「マーカー」または「バイオマーカー」といった用語は、細胞において発現され、細胞の表面上で発現され、または細胞によって分泌され、かつ、IVIGで処置された被験体における再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の予後を提供するために有用である、分子(典型的には、タンパク質、核酸、炭水化物、または脂質)を指す。本明細書で開示されるバイオマーカーのうちのいくつかは、IVIGで処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)がある個人において過剰発現される分子であり、IVIGで処置されていない個人またはIVIGによる処置前のRRMS患者と比較して、例えば、1倍過剰発現、2倍過剰発現、3倍過剰発現、またはそれ以上である。代替として、他のバイオマーカーは、IVIGで処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)がある個人において過小発現される分子であり、IVIGで処置されていない個人またはIVIGによる処置前のRRMS患者と比較して、例えば、1倍過小発現、2倍過小発現、3倍過小発現、またはそれ以上である。さらに、マーカーは、IVIGで処置されていない個人またはIVIGによる処置前のRRMS患者と比較すると、IVIGで処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)がある個人において不適切に合成される分子であって、例えば、正常細胞上で発現される分子と比較して欠失、追加、または変異を含有する分子となり得る。
用途のうちのいずれか、例えば、本明細書で開示される、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置の予後診断に、マーカーが単独で、または他のマーカーと組み合わせて使用されてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。
「生体サンプル」は、血液および脳脊髄液等の生体液サンプル、生検および剖検サンプル等の組織切片、および組織学的目的で採取される凍結切片を含む。そのようなサンプルは、血液および血液分画または製剤(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球、および同等物)、脳脊髄液、痰、子宮頸膣液、リンパおよび舌組織、培養細胞、例えば、初代培養物、外植片、および形質転換細胞、便、尿等を含む。生体サンプルは、典型的には、真核生物、最も好ましくは、例えば、チンパンジーまたはヒト等の霊長類、ウシ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、テンジクネズミ、ラット、マウス、ウサギ等の哺乳類、または鳥類、は虫類、または魚類から得られる。
「過剰発現する」、「過剰発現」、または「過剰発現される」、あるいは「上方調節される」という用語は、IVIG処置を受けていない患者と比較して、通常はIVIG処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者において検出可能なより高いレベルで転写または翻訳される、タンパク質または核酸(RNA)を、相互交換可能に指す。該用語は、対照と比較した、転写、転写後プロセシング、翻訳、翻訳後プロセシング、細胞局在(例えば、細胞小器官、細胞質、核、細胞表面)、ならびにRNAおよびタンパク質安定性による、過剰発現を含む。過剰発現は、mRNA(すなわち、RT−PCR、PCR、ハイブリダイゼーション)またはタンパク質(すなわち、ELISA、免疫組織化学的技法)を検出するための従来の技法を使用して、検出することができる。過剰発現は、正常細胞と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上となり得る。ある場合においては、過剰発現は、対照と比較して、1倍、2倍、3倍、4倍、またはそれ以上のより高いレベルの転写または翻訳である。
「過小発現する」、「過小発現」、または「過小発現される」、あるいは「下方調節される」という用語は、IVIG処置を受けていない患者と比較して、通常はIVIG処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者において検出可能なより低いレベルで転写または翻訳される、タンパク質または核酸を、相互交換可能に指す。該用語は、対照と比較した、転写、転写後プロセシング、翻訳、翻訳後プロセシング、細胞局在(例えば、細胞小器官、細胞質、核、細胞表面)、ならびにRNAおよびタンパク質安定性による、過小発現を含む。過小発現は、mRNA(すなわち、RT−PCR、PCR、ハイブリダイゼーション)またはタンパク質(すなわち、ELISA、免疫組織化学的技法)を検出するための従来の技法を使用して、検出することができる。過小発現は、対照と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以下となり得る。ある場合においては、過小発現は、対照と比較して、1倍、2倍、3倍、4倍、またはそれ以上のより低いレベルの転写または翻訳である。
「異なって発現される」または「異なって調節される」という用語は、概して、本発明との関連で、IVIG処置を受けていない患者と比較して、概してIVIG処置された再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者において、少なくとも1つの他のサンプルと比較した1つのサンプルで過剰発現(上方調節)または過小発現(下方調節)される、タンパク質または核酸を指す。
「治療処置」とは、薬物療法、ホルモン療法、免疫療法、および生物学的(標的)療法を指す。
本明細書の「治療的有効量または用量」または「十分な量または用量」とは、投与される、効果を生じる用量である。正確な用量は、処置の目的に依存し、既知の技法を使用して、当業者によって解明可能であろう(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1−3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Pickar, Dosage Calculations(1999)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)。
「同一」または「同一性」率という用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連で、以下で説明される既定のパラメータとのBLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを使用して、または手動整合および目視検査(例えば、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/または同等物を参照)によって測定されるときに、同じであるか、または同じである規定の割合のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列または部分配列を指す(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域にわたって最大対応するように比較および整合されたときの、規定領域にわたる約60%同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い同一性)。次いで、そのような配列は、「実質的に同一」であるといわれる。この定義はまた、試験配列の相補体も指し、またはそれに適用されてもよい。該定義はまた、欠失および/または追加を有する配列、ならびに置換を有する配列も含む。以下で説明されるように、好ましいアルゴリズムは、間隙および同等物を明らかにすることができる。好ましくは、同一性は、長さが少なくとも約25個のアミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって、またはより好ましくは、長さが50〜100個のアミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって存在する。
配列比較のために、典型的には、1つの配列が参照配列の役割を果たし、それと試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要であれば、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。好ましくは、既定のプログラムパラメータを使用することができ、または代替的パラメータを指定することができる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一率を計算する。
本明細書で使用されるような「比較ウィンドウ」は、20から600、通常は約50から約200、さらに通常は約100から約150からなる群より選択される、連続位置の数のうちのいずれか1つのセグメントの参照を含み、その場合、2つの配列が最適に整合された後に、配列が同じ数の連続位置の参照配列と比較されてもよい。比較のための配列の整合方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適な整合は、例えば、Smith & Waterman, Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性整合アルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA
85:2444(1988)の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)によって、または手動整合および目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、eds.1987−2005, Wiley Interscience)を参照)によって、行うことができる。
配列同一および配列類似率を判定するために好適なアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、それぞれ、Altschulら、Nuc.Acids Res.25:3389−3402(1977)、およびAltschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)で説明されている。BLASTおよびBLAST 2.0は、本明細書で説明されるパラメータとともに、本発明の核酸およびタンパク質の配列同一率を判定するために使用される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データーベース配列中の同じ長さの単語と整合されたときに、なんらかの正の値の閾値スコアTに一致するか、または満たす、クエリ配列中の長さWの短い単語を同定することによって、スコアの高い配列ペア(HSP)を最初に同定することを伴う。Tは、近傍単語スコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.、上記参照)。これらの最初の近傍単語ヒットは、それらを含有する、より長いHSPを見つけるように検索を開始するための種の役割を果たす。単語ヒットは、累積整合スコアを増加させることができる限り、各配列に沿った両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一致残基のペアに対する報酬スコア、常に>0)およびN(不一致残基に対する罰則スコア、常に<0)を使用して、計算される。アミノ酸配列については、採点マトリクスが累積スコアを計算するために使用される。各方向の単語ヒットの延長は、累積整合スコアがその最大達成値から量Xだけ下落するとき、1つ以上の負数得点の残基整合の累積により、累積スコアがゼロ以下になるとき、またはいずれか一方の配列の末端に到達したときに、停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、整合の感度および速度を判定する。(ヌクレオチド配列用の)BLASTNプログラムは、既定値として、11の語長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、既定値として、3の語長、10の期待値(E)、およびBLOSUM62採点マトリクス(Henikoff & Henikoff, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照)、50の整合(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両鎖の比較を使用する。
「核酸」とは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、およびそれらの一本鎖または二本鎖いずれかの形態のポリマー、およびそれらの相補体を指す。該用語は、合成、自然発生、および非自然発生である、参照核酸と同様の結合性を有する、および参照ヌクレオチドと同様に代謝される、既知のヌクレオチド類似体または修飾骨格残基または結合を含有する、核酸を包含する。そのような類似体の例は、無制限に、ホスホロチエート、ホスホロアミダート、メチルホスホン酸、キラルメチルホスホン酸、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)を含む。
「RNAi分子」または「siRNA」とは、二本鎖RNAを形成する核酸を指し、その二本鎖RNAは、siRNAが遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞において発現されると、遺伝子または標的遺伝子の発現を低減または阻害する能力を有する。したがって、「siRNA」とは、相補鎖によって形成された二本鎖RNAを指す。二本鎖分子を形成するようにハイブリダイズするsiRNAの相補部分は、典型的には、実質的または完全な同一性を有する。一実施形態では、siRNAとは、標的遺伝子に対する実質的または完全な同一性を有し、二本鎖siRNAを形成する、核酸を指す。siRNAの配列は、全長標的遺伝子またはその部分配列に対応することができる。典型的には、siRNAは、長さが少なくとも約15〜50個のヌクレオチドであり(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、長さが15〜50個のヌクレオチドである)、二本鎖siRNAは、長さが約15〜50個の塩基対であり、好ましくは約20〜30個の塩基ヌクレオチド、好ましくは長さが約20〜25個のヌクレオチド、例えば、長さが20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のヌクレオチドである。
「アンチセンス」ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドに対して実質的に相補的であり、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができる、ポリヌクレオチドである。
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することが可能な酵素RNA分子である。リボザイム分子の組成は、好ましくは、標的mRNAを相補する1つ以上の配列と、mRNA切断に関与する周知の触媒配列または機能的に同等の配列とを含む(例えば、その全体で参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,093,246号を参照)。標的mRNA転写産物触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子はまた、対象標的mRNAsの翻訳を防止するために使用することもできる。
他に指示がない限り、特定の核酸配列は、その保存修飾改変体(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明示的に示される配列も暗示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの第3位置が混合基および/またはデオキシイノシン残基と置換されている、配列を生成することによって達成されてもよい(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991)、Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985)、Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと相互交換可能に使用される。
特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」およびタンパク質の短縮型をコードする核酸配列も暗示的に包含する。同様に、核酸によってコードされる特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体または短縮型によってコードされる任意のタンパク質を暗示的に包含する。「スプライス改変体」とは、名前が示唆するように、遺伝子の代替的スプライシングの産物である。転写後、初期核酸転写産物は、異なる(代替)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするように、スプライシングされてもよい。スプライス改変体の産生の機序は様々であるが、エクソンの代替スプライシングを含む。リードスルー(read-through)転写によって同じ核酸から導出される代替ポリペプチドもまた、この定義によって包含される。スプライス産物の組み換え型を含む、スプライシング反応のあらゆる産物が、この定義に含まれる。核酸は、5’末端において、または3’末端において切断される。ポリペプチドは、N末端またはC末端において切断することができる。核酸またはポリペプチド配列の短縮版は、自然発生であるか、または組み換え生成することができる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために、本明細書で相互交換可能に使用される。該用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する自然発生アミノ酸の人工化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに、自然発生アミノ酸ポリマーおよび非自然発生アミノ酸ポリマーに該当する。
「アミノ酸」という用語は、自然発生および合成アミノ酸、ならびに、自然発生アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。自然発生アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびに、後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、自然発生アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合されるα炭素を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。そのような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、自然発生アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、自然発生アミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
アミノ酸は、本明細書では、それらの一般的に知られている3文字記号によって、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号によって参照されてもよい。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に容認されている1文字コードによって参照されてもよい。
「保存修飾改変体」は、アミノ酸および核酸配列の両方に該当する。特定の核酸配列に関して、保存修飾改変体とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指し、または、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重により、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定されるあらゆる位置において、コードされたポリペプチドを改変することなく、説明された対応するコドンのうちのいずれかにコドンを改変することができる。そのような核酸改変は、保存修飾改変の一種である、「サイレント改変」である。ポリペプチドをコードする、本明細書のあらゆる核酸配列はまた、核酸のあらゆる起こり得るサイレント改変も表す。当業者であれば、機能的に同一の分子を生じるように、核酸中の各コドン(通常はメチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾できることを認識するであろう。したがって、ポリペプチチドをコードする核酸の各サイレント改変は、発現産物に関するそれぞれの説明された配列において潜在するが、実際のプローブ配列に関しては潜在しない。
アミノ酸配列に関して、当業者であれば、コードされた配列中の単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を改変する、付加する、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、改変結果が化学的に同様なアミノ酸とのアミノ酸の置換をもたらす、「保存修飾改変体」であることを認識するであろう。機能的に同様なアミノ酸を提供する保存置換表が当技術分野で周知である。そのような保存修飾改変体は、本発明の多型改変体、種間ホモログ、および対立遺伝子に加えて存在し、かつそれらを除外しない。
以下の8群はそれぞれ、相互の保存置換であるアミノ酸を含有する。1)アラニン(A)、グリシン(G)、2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、4)アルギニン(R)、リシン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、7)セリン(S)、トレオニン(T)、および8)システイン(C)、メチオニン(M)。例えば、Creighton, Proteins(1984)を参照されたい。
「標識」または「検出可能部分」は、分光学的、光学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理的手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、32P、蛍光染料、電子密度の高い試薬、酵素(例えば、ELISAで一般的に使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、または、ハプテンおよびタンパク質(例えば、ペプチドに放射性標識を組み込むことによって検出可能にすることができるか、またはペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用することができるを含む。
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターを参照して使用されるときの「組み換え」という用語は、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種核酸またはタンパク質の導入、あるいは天然核酸またはタンパク質の改変によって修飾されていること、または、細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組み換え細胞は、天然(非組み換え)型の細胞内では見出されない遺伝子を発現するか、または、そうでなければ異常発現される、過小発現される、または全く発現されない、天然遺伝子を発現する。
ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」という語句は、プローブが、典型的には、核酸の複合混合物において、その標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件を指す。ストリンジェント条件は、配列依存性であり、異なる状況で異なる。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範なガイドは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)で見出される。概して、ストリンジェント条件は、定義されたイオン強度pHにおける特異的配列に対する熱的融点(T)よりも約5〜10℃低くなるように選択される。Tは、標的を相補するプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする、(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下の)温度である(Tにおいて、標的配列が過度に存在すると、プローブの50%が平衡状態で占有される)。ストリンジェント条件はまた、ホルミアミド等の不安定剤の添加により達成されてもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションのために、陽性シグナルは、少なくともバックグラウンドの2倍、好ましくは、バックグラウンドの10倍のハイブリダイゼーションである。例示的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、以下のようになり得る。50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベート、または、5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベート(65℃の0.2×SSCおよび0.1%SDS中での洗浄を伴なう)
ストリンジェント条件下で相互にハイブリダイズしない核酸は、コードするポリペプチドが実質的に同一であれば、依然として実質的に同一である。このことは、例えば、遺伝暗号によって可能となる最大コドン縮重を使用して核酸の複製が生成されるときに、発生する。そのような場合、核酸は、典型的には、中程度のストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例示的な「中程度のストリンジェントハイブリダイゼーション条件」は、37℃の40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中のハイブリダイゼーションと、45℃の1×SSC中の洗浄とを含む。陽性ハイブリダイゼーションは、少なくともバックグラウンドの2倍である。当業者であれば、同様のストリンジェンシー条件を提供するために、代替的ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を利用できることを容易に認識するであろう。ハイブリダイゼーションパラメータを判定するための付加的なガイドラインが、多数の参考文献、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, ed.Ausubelら(上記参照)で提供されている。
PCRについては、約36℃の温度が低ストリンジェンシー増幅にとって典型的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに応じて、約32℃から48℃の間で変動してもよい。高ストリンジェンシーPCR増幅については、約62℃の温度が典型的であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に応じて、約50℃から約65℃に及ぶことができる。高ストリンジェンシーおよび低ストリンジェンシー増幅の両方に対する典型的なサイクル条件は、30秒〜2分間の90℃〜95℃の変性期、30秒〜2分持続するアニーリング期、および1〜2分間の約72℃の伸長期を含む。高ストリンジェンシーおよび低ストリンジェンシー増幅反応のためのプロトコルおよびガイドラインは、例えば、Innis et al.(1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc.N.Y.で提供されている。
「抗体」とは、抗原を特異的に結合および認識する、免疫グロブリン遺伝子からのフレームワーク領域を含む、ポリペプチドまたはその断片を指す。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、それらが順に、免疫グロブリン種類であるIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEをそれぞれ定義する。典型的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性において最も重要となる。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル、血清由来、ハイブリドーマ、または組み換えクローン化抗体となり得て、また、キメラ、霊長類化、またはヒト化抗体にもなり得る。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、2つの同一対ポリペプチド鎖から成り、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する、約100から110以上のアミノ酸の可変領域を画定する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語は、これらの軽鎖および重鎖をそれぞれ指す。
抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼによる消化によって産生される無数のよく特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域中のジスルフィド結合より下抗体を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってV−C1に接合される軽鎖である、F(ab)’というFabの二量体を産生する。F(ab)’は、ヒンジ領域中のジスルフィド結合を破壊するように穏和な条件下で還元され、それにより、F(ab)’二量体をFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは、実質的にはヒンジ領域の一部を伴うFabである(Fundamental Immunology(Paul ed., 3d ed.1993)を参照)。無傷の抗体の消化に関して、種々の抗体断片が定義されるが、当業者であれば、そのような断片は、化学的に、または組み換えDNA方法を使用することによって、新たに合成されてもよいことを理解するであろう。したがって、本明細書で使用されるような、抗体という用語はまた、完全な抗体の修飾によって産生される抗体断片、または組み換えDNA方法を使用して新たに合成される抗体断片(例えば、一本鎖Fv)、またはファージディスプレイライブラリを使用して同定される抗体断片も含む(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990)を参照)。
本発明の特定のバイオマーカータンパク質と免疫学的に反応する抗体は、ファージまたは同様のベクターにおける組み換え抗体のライブラリの選択等の組み換え方法によって(例えば、Huseら、Science, 246:1275−1281(1989)、Wardら、Nature, 341:544−546(1989)、およびVaughanら、Nature Biotech., 14:309−314(1996)を参照)、または、抗原で、あるいは抗原をコードするDNAで動物に免疫性を与えることによって、生成することができる。
ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者に公知である(例えば、Harlow & Lane, 1988, Antibodies:A Laboratory Manual.(Cold Spring Harbor Press))。ポリクローナル抗体は、例えば、免疫剤、および所望であれば、アジュバントの1回以上の注射によって、哺乳類の体内で生じさせることができる。典型的には、免疫剤および/またはアジュバントは、複数回の皮下または腹腔内注射によって哺乳類に注射される。免疫剤は、図の核酸によってコードされるタンパク質、またはその断片、またはその融合タンパク質を含んでもよい。免疫性を与えられる哺乳類において免疫原性であることが知られているタンパク質に、免疫剤を共役させることが有用であってもよい。そのような免疫原性タンパク質の例は、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、およびダイズトリプシン阻害因子を含むが、それらに限定されない。採用されてもよいアジュバントの例は、完全フロインドアジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)を含む。免疫付与プロトコルは、必要以上の実験なしで当業者によって選択されてもよい。
抗体は、代替として、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、Kohler & Milstein, Nature, 256:495(1975)によって説明される方法等の、ハイブリドーマ方法を使用して調製されてもよい。ハイブリドーマ方法では、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、典型的には、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生する、または産生することが可能であるリンパ球を誘出するように、免疫剤で免疫性を与えられる。代替として、リンパ球は、インビトロで免疫性を与えられてもよい。概して、ヒト由来の細胞が所望される場合は末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、または、非ヒト哺乳類源が所望される場合は脾臓またはリンパ節細胞が使用される。次いで、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するように、ポリエチレングリコール等の好適な融合剤を使用して、不死化細胞株と融合される(Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, pp.59−103(1986))。不死化細胞株は、通常、形質転換哺乳類細胞、特に、齧歯類、ウシ、およびヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が採用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する、好適な培地で培養されてもよい。例えば、親細胞に酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)が欠けている場合、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT」培地)を含み、その物質がHGPRT欠損細胞の成長を阻害する。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当技術分野で公知の種々の技法を使用して産生することができる(Hoogenboom & Winter, J.Mol.Biol., 227:381(1991); Marksら、J.Mol.Biol., 222:581(1991))。ColeらおよびBoemerらの技法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, p.77(1985)およびBoemerら、J.Immunol., 147(1):86−95(1991))。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウスへの、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって、作製することができる。チャレンジに際し、ヒト抗体産生が観察され、それは、遺伝子再構成、組立、および抗体レパートリを含む、あらゆる点においてヒトで見られるものに酷似している。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号で、および以下の科学出版物、Marksら、BioTechnology, 10:779−783(1992)、Lonbergら、Nature, 368:856−859(1994)、Morrison, Nature, 368:812−13(1994)、Fishwildら、Nature Biotechnology, 14:845−51(1996)、Neuberger, Nature Biotechnology, 14:826(1996)、Lonberg & Huszar, Inter.Rev.Immunol., 13:65−93(1995)で説明されている。
一実施形態では、抗体は、「エフェクター」部分に共役させられる。エフェクター部分は、放射性標識または蛍光標識等の標識部分を含む、任意の数の分子となり得るか、または治療部分となり得る。一局面では、抗体は、タンパク質の活性を調節する。
本発明の異なって発現された遺伝子の核酸またはそれらのコードされたポリペプチドとは、あらゆる形態の核酸(例えば、遺伝子、mRNA前駆体、mRNA)またはタンパク質、それらの多型改変体、対立遺伝子、変異体、および種間ホモログ(核酸またはタンパク質に適用可能であるようなもの)を指し、それらは、(1)参照された核酸または本明細書で説明されるアミノ酸配列によってコードされるポリペプチドに対して、好ましくは、少なくとも約25、50、100、200、500、1000またはそれ以上のアミノ酸の領域にわたって、約60%を上回るアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上のアミノ酸配列同一性を有する、アミノ酸配列を有する、(2)参照されたアミノ酸配列、その免疫原性断片、およびその保存修飾改変体を含む免疫原に対して生じた、抗体、例えば、ポリクローナル抗体に特異的に結合する、(3)ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、参照されたアミノ酸配列をコードする核酸、およびその保存修飾改変体に特異的にハイブリダイズする、(4)参照核酸配列に対して、好ましくは、少なくとも約25、50、100、200、500、1000またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、約95%を上回る、好ましくは、約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を上回るヌクレオチド配列同一性を有する、核酸配列を有する。ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、典型的には、霊長類、例えば、ヒト、齧歯類、例えば、ラット、マウス、ハムスター、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、または任意の哺乳類を含むがそれらに限定されない、哺乳類に由来する。本発明の核酸およびタンパク質は、自然発生分子または組み換え分子の両方を含む。これらの抗原の短縮および代替的スプライス型は、定義に含まれる。
タンパク質、核酸、抗体、または小分子化合物を参照するときの、「特異的に(または選択的に)結合する」という語句は、しばしば、タンパク質または核酸ならびに他の生物製剤(biologics)の不均一集団の中、本発明の異なって発現された遺伝子等のタンパク質または核酸の存在を決定する、結合反応を指す。抗体の場合、指定免疫学的検定条件下で、規定の抗体は、少なくともバックグラウンドの2倍で、より典型的には、バックグラウンドの10〜100倍を上回って特定のタンパク質に結合してもよい。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性のために選択される、抗体を必要とする。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応するが、他のタンパク質とは免疫反応しないポリクローナル抗体のみを得るように選択することができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成されてもよい。特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために、種々の免疫学的検定形式が使用されてもよい。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために、固相ELISA免疫学的検定が慣用的に使用される(特異的免疫反応性を判定するために使用することができる、免疫学的検定形式および条件の説明については、例えば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual(1988)を参照)。
マーカータンパク質を調節する化合物を試験するための検定との関連で、「機能的効果」という語句は、本発明のバイオマーカーの影響を間接的または直接的に受けているパラメータの判定、例えば、改変ケモカインの細胞シグナル伝達等の化学または表現効果を含む。したがって、機能的効果は、とりわけ、リガンド結合活性、転写の活性化または抑制、細胞の増殖する能力、移動する能力を含む。「機能的効果」は、インビトロインビボ、およびエクスビボでの活性を含む。
「機能的効果を判定する」とは、本発明のバイオマーカーの影響を間接的または直接的に受けているパラメータを増加または減少させる化合物について検定を行うこと、例えば、物理的および化学または表現効果を測定することを意味する。そのような機能的効果は、当業者に公知の任意の手段、例えば、分光学的特性(例えば、蛍光性、吸光度、屈折率)、流体動態(例えば、形状)、クロマトグラフ、またはタンパク質の溶解性の変化、リガンド結合分析法、例えば、抗体への結合、誘導性マーカーまたはマーカーの転写活性の測定、酵素活性の変化の測定、細胞増殖、アポトーシス、細胞周期停止を増加または減少させる能力、細胞表面マーカーの変化の測定によって、測定することができる。機能的効果は、当業者に公知の多くの手段、例えば、形態学的特徴の改変の定量的または定質的尺度に対する顕微鏡検査、ケモカイン応答細胞で発現される他の遺伝子のRNAまたはタンパク質レベルの変化の測定、RNA安定性の測定、例えば、化学発光、蛍光、比色反応、抗体結合、誘導性マーカー等を介した、下流またはレポーター遺伝子発現(CAT、ルシフェラーゼ、β−gal、GFP、および同等物)の同定によって、評価することができる。
マーカーの「阻害因子」、「活性化因子」、および「調節因子」とは、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーのインビトロおよびインビボ検定を使用して同定される、活性化、阻害、または調節分子を指すために使用される。阻害因子は、例えば、発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーに結合して、活性を部分的または完全に阻止する、減少させる、防止する、活性化を遅延する、不活性化する、脱感作する、または活性または発現を下方調節する、化合物である。「活性化因子」は、発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーを増加させる、開放する、促進する、活性化する、活性化を増強する、感作する、刺激する、または活性を上方調節する化合物、例えば、作動薬である。阻害因子、活性化因子、または調節因子はまた、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーの遺伝子修飾版、例えば、改変された活性を伴うもの、ならびに、自然発生および合成リガンド、拮抗薬、作動薬、抗体、ペプチド、環状ペプチド、核酸、アンチセンス分子、リボザイム、RNAi分子、有機小分子、および同等物も含む。そのような阻害因子および活性化因子の検定は、例えば、インビトロで、細胞または細胞抽出物において、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーを発現させるステップ、推定調節因子化合物を適用するステップ、次いで、上記で説明されるように、活性への機能的効果を判定するステップを含む。
潜在的な活性化因子、阻害因子、または調節因子で処置される、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーを含むサンプルまたは検定は、阻害の程度を検査するように、阻害因子、活性化因子、または調節因子がない対照サンプルと比較される。対照サンプル(阻害因子で処理されていない)は、100%の相対タンパク質活性値が割り当てられる。再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーの阻害は、対照に対する活性値が、約80%、好ましくは50%、より好ましくは25〜0%であるときに達成される。再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーの活性化は、対照(活性化因子で処理されていない)に対する活性値が、110%、より好ましくは150%、より好ましくは200〜500%(すなわち、対照と比較して2〜5倍高い)、より好ましくは1000〜3000%高いときに達成される。
本明細書で使用されるような、「試験化合物」または「薬剤候補」または「調節因子」といった用語、あるいは文法的同等物は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置に反応するバイオマーカーを直接または間接的に調節する能力について試験される、自然発生または合成のいずれかである、あらゆる分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド(例えば、長さが約5〜約25個のアミノ酸、好ましくは長さが約10〜20個または12〜18個のアミノ酸、好ましくは長さが12、15、または18個のアミノ酸)、有機小分子、多糖類、ペプチド、環状ペプチド、脂質、脂肪酸、siRNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等を表す。試験化合物は、十分な範囲の多様性を提供する、組み合わせまたは無作為ライブラリ等の、試験化合物のライブラリの形となり得る。試験化合物は、随意で、融合パートナー、例えば、標的化合物、救出化合物、二量化化合物、安定化化合物、指定可能化合物、および他の機能的部分に連結される。従来、有用性を伴う新規化学物質は、なんらかの望ましい性質または活性、例えば、阻害活性を伴う試験化合物(「先導化合物」と呼ばれる)を同定し、先導化合物の改変体を生成し、これらの改変化合物の性質および活性を評価することによって、生成される。しばしば、ハイスループットスクリーニング(HTS)方法が、そのような分析に採用される。
「有機小分子」とは、約50ダルトンより多く、約2500ダルトン未満、好ましくは約2000ダルトン未満、好ましくは約100から約1000ダルトン、より好ましくは約200から約500ダルトンの分子量を有する、自然発生または合成いずれかの有機分子を指す。
予後診断方法
本発明は、IVIGで処置された患者において過剰発現または過小発現されるマーカーの発現を検出することによって、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病のIVIG処置の予後を提供する方法を提供する。予後を提供するステップは、患者または患者サンプルにおける、1つ以上のIVIG反応性バイオマーカーポリヌクレオチドまたは対応するポリペプチドのレベルを判定し、次いで、レベルを基準または範囲と比較するステップを伴う。典型的には、基準値は、体液(例えば、血液または脳脊髄液)のサンプル等の生体サンプルを使用して測定されるような、IVIG処置前の再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者におけるポリヌクレオチドまたは核酸のレベルを表す。基準範囲からの本発明のポリヌクレオチドまたは対応するポリペプチドのレベルの変動(上または下のいずれか)は、患者にとって再発寛解型多発性硬化症(RRMS)のIVIG処置が有益であることを示す。
本明細書で使用されるような、「予後を提供する」という用語は、IVIGによる、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病に罹患している患者の処置の推定経過および結果の予測を提供することを指す。該方法はまた、例えば、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を軽減するIVIG処置の失敗を示すことによって、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病に対する好適な代替的または付加的な治療法を考案するために、使用することもできる。予後は、IVIG投与の用量または頻度を調整するためにも使用することができる。
当業者に公知の多数の免疫学的検定のうちのいずれかを使用して、患者サンプル中の本発明のバイオマーカーの発現レベルを検出するために、抗体試薬を検定で使用することができる。免疫学的検定技法およびプロトコルは、概して、Price and Newman, “Principles and Practice of Immunoassay,” 2nd Edition, Grove’s Dictionaries, 1997、およびGosling, “Immunoassays: A Practical Approach,” Oxford University Press, 2000で説明されている。競争的および非競争的免疫学的検定を含む、種々の免疫学的検定技法を使用することができる。例えば、Selfら、Curr.Opin.Biotechnol., 7:60−65(1996)を参照されたい。免疫学的検定という用語は、酵素倍増免疫学的検定技法(EMIT)、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、IgM抗体捕捉ELISA(MAC ELISA)、および微粒子酵素免疫学的検定(MEIA)等の酵素免疫学的検定(EIA)、キャピラリー電気泳動免疫学的検定(CEIA)、放射免疫学的検定(RIA)、免疫放射定量検定(IRMA)、蛍光偏光免疫学的検定(FPIA)、および化学発光検定(CL)を無制限に含む、技法を包含する。所望であれば、そのような免疫学的検定を自動化することができる。免疫学的検定はまた、レーザー誘起蛍光と併せて使用することもできる。例えば、Schmalzingら、Electrophoresis, 18:2184−93(1997)、Bao, J.Chromatogr.B.Biomed.Sci., 699:463−80(1997)を参照されたい。フローインジェクションリポソーム免疫学的検定およびリポソーム免疫センサ等のリポソーム免疫学的検定もまた、本発明で使用するために好適である。例えば、Rongenら、J.Immunol.Methods, 204:105−133(1997)を参照されたい。加えて、タンパク質/抗体複合体の形成が、マーカー濃度の関数としてピーク速度シグナルに変換される増加した光散乱をもたらす、比濁法検定が、本発明の方法で使用するために好適である。比濁法検定は、Beckman Coulter(Brea,CA、キット番号449430)から市販されており、Behring Nephelometer Analyzerを使用して行うことができる(Finkら、J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,27:261−276(1989))。
抗体の特異的免疫結合は、直接または間接的に検出することができる。直接標識は、抗体に付着される、蛍光または発光タグ、金属、染料、放射性核種、および同等物を含む。ヨウ素−125(125I)で標識された抗体を使用することができる。核酸に対して特異的な化学発光抗体を使用する化学発光検定が、タンパク質レベルの敏感な非放射性検出に好適である。蛍光色素で標識された抗体も好適である。蛍光色素の例は、無制限に、DAPI、フルオレセイン、Hoechst 33258、R−フィコシアニン、B−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、ローダミン、テキサスレッド、およびリサミンを含む。間接標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ(AP)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、および同等物等の、当技術分野で周知の種々の酵素を含む。西洋ワサビペルオキシダーゼ検出システムは、例えば、450nmで検出可能な可溶性生成物を過酸化水素の存在下で生じる、発色基質テトラメチルベンジジン(TMB)とともに使用することができる。アルカリフォスファターゼ検出システムは、例えば、405nmで容易に検出可能な可溶性生成物を生じる、発色基質p−ニトロフェリルリン酸塩とともに使用することができる。同様に、β−ガラクトシダーゼ検出システムは、410nmで検出可能な可溶性生成物を生じる、発色基質o−ニトロフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)とともに使用することができる。ウレアーゼ検出システムは、尿素ブロモクレゾールパープル(Sigma Immunochemicals; St.Louis, MO)等の基質とともに使用することができる。
直接または間接標識からのシグナルは、例えば、発色基質から色を検出する分光光度計、125Iの検出用のガンマ測定器等の放射線を検出する放射線測定器、または、ある波長の光の存在下で蛍光を検出する蛍光光度計を使用して、分析することができる。酵素結合抗体の検出のために、製造業者の指図に従ってEMAX Microplate Reader(Molecular Devices;Menlo Park, CA)等の分光光度計を使用して、定量分析を行うことができる。所望であれば、本発明の検定は、自動化するか、またはロボット制御で行うことができ、複数のサンプルからのシグナルを同時に検出することができる。
抗体は、磁性またはクロマトグラフマトリクス粒子、検定プレートの表面(例えば、マイクロタイターウェル)、固体支持層材料または膜の断片(例えば、プラスチック、ナイロン、紙)、および同等物等の、種々の固体支持体の上に固定化することができる。検定細片は、固体支持体上で抗体または複数の抗体を一列に塗布することによって、調製することができる。次いで、この細片を試験サンプルに浸漬し、有色点等の測定可能なシグナルを生成するように、洗浄および検出ステップを通して迅速に処理することができる。
代替として、患者サンプルにおける差次的RNA発現を検出するために、プローブ、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドアレイ、およびプライマー等の、核酸結合分子を検定で使用することができる(例えば、RT−PCR)。一実施形態では、RT−PCRは、当技術分野で公知の標準的方法に従って使用される。別の実施形態では、核酸およびその改変体を検出するために、例えば、Applied Biosystemsから入手可能なTaqman(登録商標)検定等の、PCR検定を使用することができる。別の実施形態では、核酸を検出するために、qPCRおよび核酸マイクロアレイを使用することができる。選択されたバイオマーカーに結合する試薬を、当業者に公知の方法に従って調製してもよく、または商業的に購入してもよい
サザン分析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、または、マーカーをコードする配列の一部分を相補する核酸配列へのハイブリダイゼーション(例えば、スロットブロットハイブリダイゼーション)に基づく任意の他の方法等の、慣用的技法を用いて達成することができる、核酸の分析も、本発明の範囲内である。適用可能なPCR増幅技法は、例えば、Ausubelら、およびInnisら(上記参照)で説明されている。一般的な核酸ハイブリダイゼーション方法は、Anderson,“Nucleic Acid Hybridization,”BIOS Scientific Publishers, 1999で説明されている。複数の核酸配列(例えば、ゲノムDNA、mRNA、またはcDNA)の増幅またはハイブリダイゼーションもまた、mRNAまたはマイクロアレイに配置されたcDNA配列から行うことができる。マイクロアレイ方法は、概して、Hardiman, “Microarrays Methods and Applications: Nuts & Bolts,” DNA Press, 2003、およびBaldiら、“DNA Microarrays and Gene Expression: From Experiments to Data Analysis and Modeling,” Cambridge University Press, 2002で説明されている。
核酸マーカーおよびそれらの改変体の分析は、マイクロアレイ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた分析、配列分析、および電気泳動分析を無制限に含む、当技術分野で公知の技法を使用して行うことができる。PCRを用いた分析の非限定的な例は、Applied Biosystemsから入手可能なTaqman(登録商標)対立遺伝子区別検定を含む。配列分析の非限定的な例は、マクサム・ギルバート配列決定法、サンガー配列決定法、キャピラリーアレイDNA配列決定法、熱サイクル配列決定法(Searsら、Biotechniques, 13:626−633(1992))、固相配列決定法(Zimmermanら、Methods Mol.Cell Biol., 3:39−42(1992))、マトリクス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF/MS、Fuら、Nat.Biotechnol., 16:381−384(1998))等の質量分析による配列決定法、およびハイブリダイゼーションによる配列決定法を含む。Cheeら、Science, 274:610−614(1996)、Drmanacら、Science, 260:1649−1652(1993)、Drmanacら、Nat.Biotechnol., 16:54−58(1998)を参照されたい。電気泳動分析の非限定的な例は、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動等のスラブゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、および変性剤濃度勾配ゲル電気泳動を含む。核酸改変体を検出するための他の方法は、例えば、Third Wave Technologies, Inc.のINVADER(登録商標)検定、制限断片長多型(RFLP)分析、対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、ヘテロ2本鎖移動度検定、一本鎖配座多型(SSCP)分析、単一ヌクレオチドプライマー伸長(SNUPE)、およびパイロシーケンス法を含む。
検出可能部分を本明細書で説明される検定で使用することができる。必要とされる感度、抗体との共役の容易性、安定性の要件、ならびに利用可能な器具および使い捨て提供物に応じた標識の選択とともに、多種多様な検出可能部分を使用することができる。好適な検出可能部分は、放射性核種、蛍光染料(例えば、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、Oregon Green TM 、ローダミン、テキサスレッド、イソチオシアン酸テトラローダミン(TRITC)、Cy3、Cy5等)、蛍光マーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、フィコエリトリン等)、腫瘍関連プロテアーゼによって活性化される自己消光(autoquenched)蛍光化合物、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、ナノ粒子、ビオチン、ジゴキシゲニンを含むが、それらに限定されない。
有用な物理的形式は、複数の異なるマーカーの検出のために、複数の別個の指定可能な場所を有する表面を含む。そのような形式は、マイクロアレイおよびある種のキャピラリデバイスを含む。例えば、Ngら、J.Cell Mol.Med., 6:329−340(2002)、米国特許第6,019,944号を参照されたい。これらの実施形態では、別個の各表面場所は、各場所での検出のために1つ以上のマーカーを固定化するように、抗体を備えてもよい。表面は、代替として、表面の別個の場所で固定化された1つ以上の別個の粒子(例えば、微小粒子またはナノ粒子)を備えてもよく、微小粒子は、検出のために1つ以上のマーカーを固定化するように抗体を含む
種々の物理的形式で、分析を行うことができる。例えば、多数の試験サンプルの処理を促進するために、マイクロタイタープレートまたは自動化の利用を使用することができる。代替として、タイミングの良い予後を促進するように、単一サンプル形式を開発することができる。
代替として、本発明の抗体または核酸プローブを、顕微鏡用スライド上で固定化された患者生検の切片に適用することができる。結果として生じる抗体染色または原位置ハイブリダイゼーションパターンは、当技術分野で公知である、種々の光学または蛍光顕微鏡方法のうちのいずれか1つを使用して、可視化することができる。
別の形式では、本発明の種々のマーカーは、例えば、本発明のバイオマーカーの核酸またはコードされたタンパク質を検出する標識試薬の画像化等の、インビボ画像化のための試薬も提供する。インビボ画像化の目的で、抗体等のIVIG反応性再発寛解型多発性硬化症(RRMS)バイオマーカーによってコードされるタンパク質の存在を検出する試薬は、蛍光マーカー等の適切なマーカーを使用して標識されてもよい。
IVIGの調製および投与
完全な抗体を含むIVIG組成物は、ある自己免疫症状の処置について説明されている(例えば、米国特許出願公開第2002/0114802号、第2003/0099635号、および第2002/0098182号を参照されたい)。これらの参考文献で開示されているIVIG組成物は、ポリクローナル抗体を含む。
本発明による免疫グロブリン製剤は、任意の好適な出発物質から調製することができる。例えば、免疫グロブリン製剤は、ドナー血清、あるいはモノクローナルまたは組み換え免疫グロブリンから調製する。典型的な実施例では、健康なドナーから血液を採取することができる。通常、血液は、免疫グロブリン製剤が投与される被体と同じ種の動物から採取される(典型的には、「同種」免疫グロブリンと呼ばれる)。免疫グロブリンは、例えば、コーン分画、超遠心分離法、電気泳動調製、イオン交換クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、免疫親和性クロマトグラフィ、ポリエチレングリコール分画等の、好適な手順によって血液から単離される(例えば、Cohnら、J.Am.Chem.Soc.68:459−75(1946)、Oncleyら、J.Am.Chem.Soc.71:541−50(1949)、Barundernら、Vox Sang.7:157−74(1962)、Kobletら、Vox Sang.13:93−102(1967)、米国特許第5,122,373号および第5,177,194号、その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)。
ある実施形態では、免疫グロブリンは、当業者に周知である、アルコール分画および/またはイオン交換および親和性クロマトグラフィ方法によって産生される、ガンマグロブリン含有製剤から調製される。精製コーン分画IIが一般的に使用される。出発コーン分画IIペーストは、典型的には、約95パーセントIgGであり、4つのIgG亜型を含む。異なる亜型は、それらが得られるプールヒト血漿で見出されるのと、ほぼ同じ比率で分画IIの中に存在する。分画IIは、投与可能な製剤への処方の前に、さらに精製される。例えば、分画IIペーストは、冷たい精製含水アルコール溶液に溶解させることができ、不純物は、沈殿および濾過を介して除去され得る。最終濾過後、アルコールを除去するように、免疫グロブリン懸濁を透析または透析濾過することができる(例えば、100,000ダルトン以下の公称分子量制限を有する限外濾過膜を使用する)。溶液は、所望のタンパク質濃度を得るように濃縮または希釈することができ、当業者に周知の技法によって、さらに精製することができる。
特定のイソタイプまたは亜型の免疫グロブリンを濃縮するために、調製ステップを使用することができる。例えば、IgGについて、または特定のIgG亜型について免疫グロブリンの混合物を濃縮するために、タンパク質A、タンパク質G、またはタンパク質Hセファロースクロマトグラフィを使用することができる(概して、Harlow and Lane, Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)、米国特許第5,180,810号を参照されたい)
免疫グロブリンの商業的供給源も使用することができる。そのような供給源は、Gammagard S/D(登録商標)(Baxter Healthcare)、BayRho−D(登録商標)製剤(Bayer Biological)、5%Gamimune N(登録商標)(Bayer Biological)、溶媒/界面活性剤処理された5%Gamimune N(登録商標)(Bayer Biological)、10%Gamimune N(登録商標)(Bayer Biological)、Sandoglobulin I.V.(登録商標)(Novartis)、Polygam S/D(登録商標)(American Red Cross)、溶媒/界面活性剤処理された5%Venoglobulin−S(登録商標)溶液(Alpha Therapeutic)、溶媒界面活性剤処理された10%Venoglobulin−S(登録商標)溶液(Alpha Therapeutic)、およびVZIG(登録商標)(American Red Cross)を含むが、それらに限定されない。本発明の方法で使用するための免疫グロブリン製剤の商業的供給源は、重要ではない。
代替的アプローチは、免疫グロブリンのFc断片等の、抗体の断片を使用することである。Fc製剤は、免疫グロブリンのFc断片を含む。「Fc断片」という用語は、少なくとも1つの重鎖定常領域ドメイン(例えば、C2、C3、および/またはC4)またはその抗原部分を含有するが、免疫グロブリンの可変領域を除外する、免疫グロブリン重鎖定常領域の一部分を指す(本明細書で使用されるように、可変領域とは、抗原に結合するが、C1およびCドメインを除外する、免疫グロブリンの領域を指す)。Fc製剤は、Fc断片全体および/またはその部分を含有することができる(例えば、リウマチ因子によって結合されるエピトープを含有する、1つ以上の重鎖定常領域ドメインまたはその部分)。Fc断片は、随意で、免疫グロブリンヒンジ領域、重鎖C1ドメイン、および/または軽鎖Cドメインに接合された重鎖C1ドメインを含むことができる。
Fc製剤は、少なくとも1つのFcイソタイプのFc断片を含み、異なるイソタイプ(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、および/またはIgM)の免疫グロブリンFc断片の混合物を含有することができる。Fc製剤はまた、1つの免疫グロブリンイソタイプからのFc断片を主に含有することができ(少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%)、少量の他の亜型を含有することができる。例えば、Fc製剤は、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のIgG Fc断片を含有することができる。加えて、Fc製剤は、単一のIgG亜型、またはIgG Fc亜型のうちの2つ以上の混合物を含むことができる。好適なIgG亜型は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。具体的実施形態では、Fc製剤は、IgG1 Fc断片を含む
Fc製剤は、F(ab’)断片(すなわち、抗体分子のペプシン消化によって産生することができる、重鎖および軽鎖可変領域および第1の定常領域ならびにヒンジ領域の一部分)、Fab’断片(すなわち、F(ab’)断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成することができる、Fab’断片)、またはFab断片(すなわち、パパインおよび還元剤で抗体分子を処理することによって生成することができる)を実質的に含まない。これに関連して、「実質的に含まない」とは、Fc製剤が、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、または約1%未満のF(ab’)、Fab’、またはFab断片を含有することを意味する。別の実施形態では、Fc製剤は、pF(ab’)、Fab’、またはFab断片を本質的に含まない、Fc断片を含有する。Fc製剤は、典型的には、全(すなわち、全長)免疫グロブリンを本質的に含まない。これに関連して、「実質的に含まない」とは、約25%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約2%未満、約1%未満、または全長免疫グロブリンを含まないことを意味する。
免疫グロブリンは、適用できるならば、Fab、F(ab’)、および/またはF(ab’) 断片からFc断片を分離するように、調製中の任意の好適なとき切断することができる。切断のための好適な酵素は、例えば、パパイン、ペプシン、またはプラスミンである(例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)、Plan and Makula, Vox Sanguinis 28:157−75(1975)を参照)。切断後、Fc部分は、例えば、親和性クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過、または同等物によって、Fab、F(ab’)、および/またはF(ab’) 断片から分離することができる。具体的実施例では、免疫グロブリンは、Fab断片からFc断片を分離するように、パパインで消化される。次いで、消化混合物は、Fab断片からFc断片を分離するように、陽イオン交換クロマトグラフィを受ける。
免疫グロブリンまたはFc断片はまた、ハイブリドーマ、またはモノクローナル抗体を発現する他の培養系から調製することもできる。(例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495−97(1975)、Hagiwara and Yuasa, Hum.Antibodies Hybridomas 4:15−19(1993)、Kozborら、Immunology Today 4:72(1983)、Coleら、in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R.Liss, Inc., pp.77−96(1985)を参照)ヒトモノクローナル抗体は、例えば、ヒトハイブリドーマから(例えば、Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−30(1983)を参照)またはインビトロでヒトB細胞をEBVウイルスにより形質転換することによって(例えば、Cole et al.(上記参照)を参照)、得ることができる。本明細書で説明されるように、または当業者に公知のように、ハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を精製し、Fc断片をFab、F(ab’)、および/またはF(ab’)断片から分離することができる。
免疫グロブリンまたはFc断片はまた、真核細胞培養系から等、組み換えによって産生することもできる。例えば、免疫グロブリンのFc断片は、Fc断片をコードするDNA配列を含有するベクターにより形質転換されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって、組み換えで産生することができる。そのような組み換え哺乳類細胞を生成するための方法は、例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(New York) 2001)、およびAusubelら、Short Protocols in Molecular Biology, 4th ed.(John Wiley & Sons, Inc.(New York) 1999)で説明されており、当業者に公知である。組み換えFcはまた、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞等の他の哺乳類細胞株において産生することもできる。組み換え細胞を培養して組み換えタンパク質を産生する方法も、当業者に公知である。
組み換え免疫グロブリンまたはFc断片を発現するために、種々の他の発現システムも利用することができる。これらは、所望のFc断片をコードする発現カセットによりトランスフェクトまたは形質転換された酵母または細菌等の、昆虫細胞系および微生物を含むが、それらに限定されない。ある実施形態では、哺乳類またはヒトFc断片の糖鎖付加パターンを再現するように、微生物を随意で設計することができる。
ある実施形態では、免疫グロブリンまたはFc製剤を本発明による方法での使用に安全にするために、さらなる調製ステップを使用することができる。そのようなステップは、例えば、溶媒/界面活性剤による処理、低温殺菌、および滅菌を含むことができる。Fc製剤の安全性を確保するために、付加的な調製ステップが使用されてもよい。そのような調製ステップは、例えば、酵素加水分解、還元およびアルキル化を介した化学修飾、スルホン化、β−プロピオラクトンによる処理、低pHでの処理、または同等物を含むことができる。好適な方法の説明は、例えば、米国特許第4,608,254号、第4,687,664号、第4,640,834号、第4,814,277号、第5,864,016号、第5,639,730号、および第5,770,199号、Romerら、Vox Sang.42:62−73(1982)、Romerら、Vox Sang.42:74−80(1990)、およびRutter, J.Neurosurg.Psychiat.57(Suppl.):2−5(1994)(その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)でも見出すことができる。
免疫グロブリンまたはFc製剤の有効量は、概して、静脈内手段によって被験体に投与される。「有効量」という用語は、被験体におけるRRMSの改善または軽減をもたらす、免疫グロブリンまたはFc製剤の量を指す。被験体に投与される有効量は、年齢、体重、疾患重症度、および治療法への反応の個人差を考慮して、医師によって判定することができる。ある実施形態では、免疫グロブリンまたはFc製剤は、毎日約5mg/キログラムから約500mg/キログラムで被験体に投与することができる。付加的な実施形態では、免疫グロブリンまたはFc製剤は、少なくとも約10mg/キログラム、少なくとも15mg/キログラム、少なくとも20mg/キログラム、少なくとも25mg/キログラム、少なくとも30mg/キログラム、または少なくとも50mg/キログラムの量で投与することができる。付加的な実施形態では、免疫グロブリンまたはFc製剤は、毎日最大約100mg/キログラム、最大約150mg/キログラム、最大約200mg/キログラム、最大約250mg/キログラム、最大約300mg/キログラム、最大約400mg/キログラムの用量で、被験体に投与することができる。別の実施形態では、免疫グロブリンまたはFc製剤の用量は、より多いか、またはより少なくなり得る。免疫グロブリンまたはFc製剤は、1日あたり1回以上の用量で投与することができる。
本発明によれば、処置過程を完了するために必要な時間は、医師によって判定することができ、1日ほどの短期から1ヶ月以上に及んでもよい。ある実施形態では、処置過程は、1〜6ヶ月となり得る。
組成物、キット、および統合システム
本発明は、本発明のポリペプチドに特異的な抗体またはポリヌクレオチドに対して特異的な核酸を使用して、本明細書で説明される検定を実践するための組成物、キット、および統合システムを提供する。
本発明の診断検定を実行するためのキットは、典型的には、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに特異的に結合する抗体または核酸配列を含む、プローブと、プローブの存在を検出するための標識とを含む。キットは、いくつかの抗体または本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、例えば、本発明のバイオマーカーによってコードされるタンパク質を認識する抗体の混合物を含んでもよい。
化合物を同定する方法
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を予防または処置する化合物を同定するために、種々の方法が使用されてもよい。典型的には、容易に測定されたパラメータを提供する検定は、本明細書で説明される試験化合物のライブラリの構成要素のスクリーニングを促進するために、多重ウェルプレートのウェルにおいて行われるように適合される。したがって、一実施形態では、適切な数の細胞、例えば、T細胞を、多重ウェルプレートのセルの中へ入れることができ、IVIG反応性再発寛解型多発性硬化症(RRMS)バイオマーカーの発現に対する試験化合物の効果を判定することができる。
試験される化合物は、任意の小化合物、または、タンパク質、糖類、核酸、または脂質等の高分子となり得る。典型的には、試験化合物は、化学小分子およびペプチドとなる。本質的にあらゆる化合物を試験化合物として本発明のこの局面で使用することができるが、最も頻繁には、水溶液または(特にDMSOベースの)有機溶液に溶解させることができる化合物が使用される。検定は、検定ステップを自動化し、任意の便利な供給源から、典型的には(例えば、ロボット検定におけるマイクロタイタープレートでのマイクロタイター形式で)並行して実行される検定に化合物を提供することによって、大型化学ライブラリをスクリーニングするように設計される。Sigma(St.Louis, MO)、Aldrich(St.Louis, MO)、Sigma−Aldrich(St.Louis, MO)、Fluka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs Switzerland)、および同等業者を含む、化合物の多くの供給業者があることが理解されるであろう。
1つの好ましい実施形態では、多数の潜在的治療用化合物を含有する、組み合わせ化学またはペプチドライブラリを提供するステップを伴う、ハイスループット方法が使用される。次いで、そのような「組み合わせ化学ライブラリ」または「リガンドライブラリ」は、所望の特徴的活性を示すライブラリ構成要素(特定の化学種またサブクラス)を同定するように、本明細書に記載のように、1つ以上の検定でスクリーニングされる。この場合、そのような化合物は、本発明の再発寛解型多発性硬化症(RRMS)バイオマーカーの発現を低減または増加させる能力についてスクリーニングされる。
組み合わせ化学ライブラリは、試薬等の多数の化学「構成単位」を組み合わせることによる、化学合成または生物学的合成のいずれかによって生成される、多様な化合物の一群である。例えば、ポリペプチドライブラリ等の線形組み合わせ化学ライブラリは、所与の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)にわたって、全ての可能な方法で一式の化学構成単位(アミノ酸)を組み合わせることによって形成される。化学構成単位のそのような組み合わせ混合を通して、何百万もの化合物を合成することができる。
組み合わせ化学ライブラリの調製およびスクリーニングは、当技術分野で周知である。そのような組み合わせ化学ライブラリは、ペプチドライブラリを含むが、それらに限定されない(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka, Int.J.Pept.Prot.Res., 37:487−493(1991)、おびHoughtonら、Nature, 354:84−88(1991)を参照)。化学的多様性ライブラリを生成するための他の化学的性質も使用することができる。そのような化学的性質は、ペプトイド(例えば、PCT公報第WO 91/19735号)、コードされたペプチド(例えば、PCT公報第WO 93/20242号)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、PCT公報第WO 92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、およびジペプチド等のダイバーソマー(Hobbsら、PNAS USA, 90:6909−6913(1993))、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら、J.Amer.Chem.Soc., 114:6568(1992))、グルコース足場を伴う非ペプチド性ペプチド模倣体(Hirschmannら、J.Amer.Chem.Soc., 114:9217−9218(1992))、小型化合物ライブラリの類似有機合成(Chenら、J.Amer.Chem.Soc., 116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Choら、Science, 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J.Org.Chem., 59:658(1994))、核酸ライブラリ(Ausubel, Berger and Sambrook(上記参照)を参照)、ペプチド核酸ライブラリ(例えば、米国特許第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリ(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology, 14(3):309−314(1996)、およびPCT/US96/10287を参照)、炭水化物ライブラリ(例えば、Liangら、Science, 274:1520−1522(1996)、および米国特許第5,593,853号を参照)、有機小分子ライブラリ(例えば、ベンゾジアゼピン(Baum C&EN, Jan 18, page 33(1993)参照)、イソプレノイド(米国特許第5,569,588号)、チアゾリジノンおよびメタチアザノン(米国特許第5,549,974号)、ピロリジン(米国特許第5,525,735号および第5,519,134号)、モルホリノ化合物(米国特許第5,506,337号)、ベンゾジアゼピン(第5,288,514号)等)を含むが、それらに限定されない。
組み合わせライブラリの調製用デバイスが市販されている(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照)。加えて、多数の組み合わせライブラリ自体が市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Asinex, Moscow, Ru, Tripos, Inc., St.Louis, MO, ChemStar, Ltd, Moscow, RU, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MD等を参照)。
本発明のハイスループット検定では、1日で最大数千もの異なる調節因子またはリガンドをスクリーニングすることが可能である。特に、選択された潜在的調節因子に対して別個の検定を実行するために、マイクロタイタープレートの各ウェルを使用することができ、または、濃度またはインキュベーション時間の効果が観察される場合には、5〜10ウェルずつ単一の調節因子を試験することができる。したがって、単一の標準マイクロタイタープレートが、約96の調節因子の検定を行うことができる。次いで、1536ウェルプレートが使用される場合、単一のプレートが、約100〜約1500の異なる化合物の検定を容易に行うことができる。1日につき多くのプレートの検定を行うことが可能であり、本発明の統合システムを使用して、最大で約6,000、20,000、50,000、または100,000以上の異なる化合物の検定スクリーニングが可能である。
抗体を使用してバイオマーカータンパク質またはバイオマーカー受容体機能を阻害または活性化する方法
本発明のバイオマーカーは、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病のIVIG処置に反応して過剰発現または過小発現されるため、バイオマーカータンパク質またはそれらの細胞受容体は、抗体を使用する多発性硬化症療法の標的としての機能を果たしてもよい。例えば、その発現がIVIGによるRRMSの処置に際し減少させられる、CXCL5、CXCL3、およびCCL13等のケモカインの場合、これらのケモカインまたはそれらの受容体に結合し、それらを不活性化する抗体を、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の処置で使用することができる。代替として、その発現がIVIG処置に際し増加させられる、XCL2等のケモカインの場合、XCL2受容体に結合し、それを活性化する、したがってXCL2結合の効果を模倣する、抗体が生成されてもよい。
上記で説明される抗体は、所望の送達方法に好適な担体を含む医薬組成物に処方されてもよい。好適な担体は、抗体と組み合わせられたときに抗体の機能に干渉せず、被験体の免疫系と反応しない、任意の材料を含む。例は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水、静水、および同等物等の、多数の標準的医薬担体のうちのいずれかを含むが、それらに限定されない(概して、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th ed., 2003を参照)。
抗体製剤は、多発性硬化症に罹患している個人に抗体を送達することが可能な任意の経路を介して投与されてもよい。潜在的に効果的な投与経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、および同等物を含むが、それらに限定されない。1つの好ましい投与経路は、静脈注射によるものである。静脈注射用の好ましい製剤は、保存静菌水溶液中の抗体、滅菌非保存水溶液中の抗体、および/またはアメリカ薬局方注射用0.9%滅菌塩化ナトリウムを含有するポリ塩化ビニルまたはポリエチレンバッグにおいて希釈された抗体を含む。抗体製剤は、凍結乾燥され、好ましくは真空下で滅菌粉末として保存され、次いで、注射前に、例えば、ベンジルアルコール防腐剤を含有する静水中で、または滅菌水中で再構成されてもよい。
処置は、概して、有効用量における、静脈注射(IV)等の容認可能な投与経路を介した抗体製剤の反復投与を伴う。用量は、多発性硬化症の種類、段階、重症度、悪性度、または段階、使用される抗体の結合親和性および半減期、患者におけるバイオマーカーまたは受容体発現の程度、所望の定常状態の抗体濃度レベル、処置の頻度、本発明の処置方法と組み合わせて使用される任意の他の薬剤の影響を無制限に含む、概して当業者によって理解される種々の要因に依存する。典型的な1日用量は、約0.1〜100mg/kgに及んでもよい。1週間につき10〜500mgの範囲のmAbの用量が、効果的かつ耐容性良好であってもよいが、さらに高い週用量が適切および/または耐容性良好であってもよい。適切な用量を定義する際の主要な決定要因は、特定の状況で治療的有効となるために必要な特定の抗体の量である。RRMSにおいてより長く持続する寛解を達成するために、反復投与が必要とされてもよい。初期負荷用量は、より高くてもよい。初期負荷用量は、輸液として投与されてもよい。同様に、初期用量が耐容性良好ならば、周期的維持用量が投与されてもよい。
核酸を使用してマーカータンパク質発現を阻害する方法
本発明のマーカーの機能を阻害するために、アンチセンス核酸、siRNA、またはリボザイム等の、種々の核酸が使用されてもよい。特に、ハンマーヘッド型リボザイムの使用を通して、標的mRNAを破壊するために、部位特異的認識配列においてmRNAを切断するリボザイムを使用することができる。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAとともに相補塩基対を形成する隣接領域によって決定される場所で、mRNAを切断する。好ましくは、標的mRNAは、5’−UG−3’といった、2つの塩基の配列を有する。ハンマーヘッド型リボザイムの構造および産生は、当技術分野で周知である。
遺伝子標的リボザイムは、2つの領域を相補するハイブリダイズ領域を必ず含有し、それぞれ、標的mRNAの長さが少なくとも5個、好ましくはそれぞれ6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続ヌクレオチドである。加えて、リボザイムは、標的センスmRNAを自己触媒的に切断する、高度に特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性を有する。
アンチセンス、siRNA、またはリボザイムオリゴヌクレオチドに関して、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを使用することができる。ホスホジエステル結合の修飾ならびに複素環または糖類の修飾が、有効性の増加を提供してもよい。ホスホジエステル結合を修飾するために、ホスホロチオエートが使用される。N3’−P5’ホスホロアミダート結合が、ヌクレアーゼに対してオリゴヌクレオチドを安定化させ、RNAへの結合を増加させるものとして説明されている。ペプチド核酸(PNA)結合は、リボースおよびホスホジエステル骨格の完全置換であり、ヌクレアーゼに安定であり、RNAへの結合親和性を増加させ、リボヌクレアーゼHによる切断を許容しない。その基本構造もまた、アンチセンス成分としてのその最適化を可能にしてもよい、修飾を受けやすい。複素環の修飾に関して、ある複素環修飾は、リボヌクレアーゼH活性に干渉することなく、アンチセンス効果を増大させることが実証されている。そのような修飾の一例は、C−5チアゾール修飾である。最終的には、糖類の修飾も、考慮されてもよい。2’−O−プロピルおよび2’−メトキシエトキシリボース修飾は、細胞培養およびインビボで、ヌクレアーゼに対してオリゴヌクレオチドを安定化させる。
直接トランスフェクション、または発現ベクターを介したトランスフェクションおよび発現によって、阻害オリゴヌクレオチドを細胞に送達することができる。適切な発現ベクターは、哺乳類発現ベクターおよびウイルスベクターを含み、それには、宿主細胞におけるアンチセンスRNAの発現をもたらすプロモータを含む、適切な調節配列を伴う阻害オリゴヌクレオチドがクローン化されている。好適なプロモータは、構成的または発達特異的プロモータとなり得る。トランスフェクション送達は、当技術分野で公知のリポソームトランスフェクション試薬によって達成することができる(例えば、Xtremeトランスフェクション試薬、Roche, Alameda, CA、Lipofectamine製剤、Invitrogen, Carlsbad, CA)。カチオン性リポソームによって媒介される送達、レトロウイルスベクターによって媒介される送達、および直接送達が効率的である。別の可能な送達モードは、標的細胞の細胞表面マーカーに対する抗体を使用する標的化である。
トランスフェクションのために、1つ以上の核酸分子(ベクターを伴う、または伴わない)を含む組成物は、被験体への投与のために、リポソームを含む送達ビヒクルと、担体と、希釈剤と、それらの塩とを含むことができ、および/または、薬学的に容認可能な剤形で存在することができる。核酸分子の送達のための方法は、例えば、Gilmoreら, Curr Drug Delivery(2006) 3:147−5、およびPatil,ら、AAPS Journal(2005) 7:E61−E77で説明されており、そのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。siRNA分子の送達も、例えば、第2006/0019912号、第2006/0014289号、第2005/0239687号、第2005/0222064号、および第2004/0204377号を含む、いくつかの米国特許公報で説明されており、そのそれぞれの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。核酸分子は、リポソームへの封入、イオントフォレシス(iontophoresis)によるもの、エレクトロポレーションによるもの、または、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例えば、Gonzalezら、 1999, Bioconjugate Chem., 10, 1068−1074、Wangら、国際PCT公報第WO 03/47518号および第WO 03/46185号を参照)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)およびPLCA微小球(例えば、米国特許第6,447,796号および米国特許出願公報第2002/130430号参照)、生分解性ナノカプセル、および生体接着微小球を含む、他のビヒクルへの組み込みによるもの、またはタンパク性ベクターによるもの(O’Hare and Normand,国際PCT公報第WO 00/53722号)を含むがそれらに制限されない、当技術分野で公知の種々の方法によって、細胞に投与することができる。別の実施形態では、本発明の核酸分子はまた、ポリエチレンイミン、および、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)またはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−tri−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)誘導体等の、その誘導体とともに処方または複合することもできる。
本発明とともに使用するリポソームトランスフェクション試薬の例は、例えば、陽イオン性脂質N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミト−y−スペルミンおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1.5(M/M)リポソーム製剤である、CellFectin(GIBCO BRL)、陽イオン性脂質およびDOPEの2:1(M/M)リポソーム製剤である、Cytofectin GSV(Glen Research)、DOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)−N,N,N−tri−メチル−アンニモニウムメチルサルフェート)(Boehringer Manheim)、ポリカチオン性脂質DOSPAおよび中性脂質DOPEの3:1(M/M)リポソーム製剤である、Lipofectamine(GIBCO BRL)、および(5)siPORT(Ambion)、HiPerfect(Qiagen)、X−treme GENE(Roche)、RNAicarrier(Epoch Biolabs)、およびTransPass(New England Biolabs)を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス、siRNA、またはリボザイム配列は、哺乳類発現ベクターを介して、細胞の中へ送達される。例えば、siRNA発現に好適な哺乳類発現ベクターは、例えば、Ambion(例えば、pSilencerベクター)(Austin, TX)、Promega(例えば、GeneClip、siSTRIKE、SiLentGene)(Madison, WI)、Invitrogen(Carlsbad, CA)、InvivoGen(San Diego, CA)、およびImgenex(San Diego, CA)より市販されている。典型的には、siRNA分子を転写するための発現ベクターは、U6プロモータを有する。
いくつかの実施形態では、アンチセンス、siRNA、またはリボザイム配列は、ウイルス発現ベクターを介して、細胞の中へ送達される。細胞にそのような分子を送達するために好適なウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、およびレトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)を含む。例えば、siRNAオリゴヌクレオチドを送達および発現するために開発されたウイルスベクターは、例えば、GeneDetect(Bradenton, FL)、Ambion(Austin, TX)、Invitrogen(Carlsbad, CA)、Open BioSystems(Huntsville, AL)、およびImgenex(San Diego, CA)より市販されている。
請求の範囲に記載されている発明を限定するためではなく、例証するために、以下の実施例を提供する。
実施例1:方法および材料
研究に参加する患者
マクドナルド基準(McDonald W.I.ら、Ann Neurol, 50:121−27(2001))に基づいて格付けされるような急性MS再発がある10人の継続患者を含んだ。確定的MSの診断は、マクドナルド基準に基づいた(Kurtzke J.F., Neurology, 33:1444−1452(1983))。EDSS(Dastidar P.ら、Med Biol Eng Comput, 37:104−7(1999))および体積脳MRIを、基準時(処置直前の再発時)およびIVIG療法の完了後3週間に評価した(Elovaara I.ら、Intravenous Immunoglobulin is effective and well tolerated in the treatment of MS Relapse、原稿提出済み)。研究の1次結果尺度は、基準から第21日のIVIG療法の開始後3週間までのEDSSスコアの変化であった。2次結果尺度は、T1、T2、Flair、およびガドリニウム(Gd)増強病変の体積、Gd増強病変の数、および脳体積の変化(Elovaara I.ら、Intravenous Immunoglobulin is effective and well tolerated in the treatment of MS Relapse, Manuscript submitted; Dastidar P.ら、Med Biol Eng Comput, 37:104−7(1999))であった。
患者の特性を表1に記載する。研究への参加前に、各患者は同意書に署名した。研究は、Ethics Committee of Tampere University(Tampere, Finland)によって承認された。
前の9ヶ月に免疫抑制剤による処置を受けた患者、または前の8週間にコルチコステロイドの投与を受けた患者を除外した。全患者が、0.4g/kg/日のEndobulin(Baxter AG, Vienna, Austria)の投与を5日間受けた。IVIGによる処置の前、第6日の治療法の完了後1日、ならびに第21日の治療法の開始後3週間に、患者の臨床評価を行った。臨床評価は、神経学的検査、EDSSスコアの判定、腕指数、および歩行指数を含んだ。5人の患者による対照群が、100mg/日のIVMPの標準処置を3日間受けた。
Figure 2010535825
MRI分析
説明されているように(Kurtzke J.F., Neurology, 33:1444−1452(1983))、1.5テスラMRIユニット(Philips Gyroscan ACS NT Intera, Best, Netherlands)を使用して、脳MRI検査を行った。MRIプロトコルは、矢状T1ローカライザ、軸方向液体抑制反転回復法(FLAIR)、T1磁化移動造影剤(MTC)、T1スピンエコー(SE)、T2ターボスピンエコー(TSE)(厚さ3mmおよび0mm間隙)、およびガドリニウム増強T1MTCシーケンスを含んだ。T1軸方向SE(厚さ3mmおよび0mm間隙)および軸方向FLAIR(厚さ5mmおよび1mm間隙)シーケンスを、プラークの体積分析に使用した。Windows(登録商標)環境で動作するAnatomaticソフトウェアを使用して、コンピュータによる半自動セグメンテーションおよび体積分析を行った。体積測定結果の観測者間および観測者内可変性が、他の文書で報告されている(Dastidar P.ら、Med Biol Eng Comput, 37:104−7(1999)、Heinonen T.ら、J Med Eng Technol, 22:173−8(1998))。Anatomaticプログラムの体積測定精度を、説明されているように分析した(Dastidar P.ら、Med Biol Eng Comput, 37:104−7(1999))。異なるMRIシーケンスにおいて同じ頭部コイル、同じ解剖学的位置、および同じ画像群を使用して、良好な頭部の再位置付けを制御した。上部および下部に分けて、脊髄全体をスキャンした。全てのMRI検査に同じスキャナを使用した。
RNAサンプルの調製
Vacutainer CPTTM細胞調製管(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)を使用して、血液サンプルを得た。製造業者のプロトコルに従って、密度勾配遠心分離法(Lymphoprep, Nycomed, Roskilde, DK)を使用して、血液採取後60分以内に、末梢血単核細胞(PBMC)を末梢血から分離した。4℃の非刺激抗CD4+および抗CD8+磁気Dynabeads(Dynal Biotech, Oslo, N)の混合物を使用して、細胞をT細胞および非T細胞に分離した。5×10個の細胞から得られた細胞ペレットを、1mlのTRIzol(Invitrogen, Carlsbad, CA)と完全に混合させた。アリコートを凍結させ、さらなる処理まで−80℃で保存した。製造業者のプロトコルに従って、全RNAを単離した。RNAペレットを、ヌクレアーゼを含まない水(Invitrogen, Carlsbad, CA)に溶解させ、−80℃で保存した。
マイクロアレイ分析
約33,000個のヒト遺伝子を含有する HU−133A Genechip(Affymetrix, Santa Clara, CA)を使用した。製造業者のプロトコル(Affymetrix.comを参照)に従って、5μgの全RNAを転写し、標識し、インビトロでアレイ上でハイブリダイズさせた。Bioanalyzer(Agilent Technologies, Palo Alto, CA)を使用して、インビトロ処理の前にRNAの質をチェックした。
遺伝子発現データの統計分析
Microarray Facility Tuebingen, Eberhard−Karls−University(Tuebingen, Germany)で、遺伝子発現データの統計分析を行った。統計データ分析のために、Affymetrix CHPファイルをGenespring 7.1にインポートした。各アレイのシグナルを、ゼロ時点からのアレイの全シグナルの中央値で割った。後に、遺伝子の全シグナルをこの遺伝子のシグナル中央値で割ることによって、「1つの遺伝子あたりの」正規化を行った。したがって、各遺伝子のシグナルは、1前後のゼロ時点で開始し、増加すると1よりも大きい値を示し、逆もまた同様である。シグナルを対数変換し、倍変化およびp値(ウェルチt−検定)(Han T.ら、BMC bioinformatics, 7:9(2006))をペアワイズ比較で各遺伝子について計算した。2より大きい倍変化および0.05未満のp値を伴うプローブセットを火山型プロットで同定し、統計的有意であると呼んだ。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応
4つの代表的な遺伝子についてマイクロアレイ分析によって得られた遺伝子発現データを、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって確認した。この目的で、製造業者のプロトコル(MBI Fermentas, Burlington, Canada)に従って、1μgの全T細胞RNAをcDNAへの逆転写に使用した。分析される各サンプルについて、100mgのcDNAを、5μlのヌクレアーゼを含まない水(Invitrogen, Carlsbad, CA)に溶解させ、異なるTaqMan Assays−on−DemandおよびABPrism 7000(両方ともApplied Biosystems, Foster City, CA)を使用して、定量的に分析した。相対的定量化に一般的に使用されている^^CT方法(Livak K.J.and Schmittgen T.D., Methods, 25:402−40(2001))を使用して、データを分析した。発現データの正規化のために、ヒトグリセルアルデヒド−3リン−酸脱水素酵素をハウスキーピング遺伝子として含んだ。正規化の検証のために、第2のハウスキーピング遺伝子である、β2ミクログロブリンを対照として使用した(データは示されていない)。
実施例2:IVIGによる被験体の処置の臨床結果
研究の臨床結果の分析は、5日間のIVIG療法が、10人全ての患者においてEDSSスコアの有意な低減をもたらしたことを示した(図1)。IVIG療法の有効性は、ほとんどのMRI変数の改善によって支持された(表2)。IVMPによる標準処置を受けた対照群で同様の効果が観察された(表2)が、対照群のMRI変数の変化は、統計的有意性に達しなかった。IVIGによる処置は、安全かつ耐容性良好であった。
Figure 2010535825
実施例3:IVIGによる処置は、RNAの単離のために得られた細胞の細胞組成を有意に改変しない
4℃の非刺激抗CD4+および抗CD8+磁気Dynabeadsの混合物を使用して、末梢血から得られたPBMCを、T細胞および非T細胞に分離した。細胞分離中のT細胞の刺激を防止するために、この手順を選択した。遺伝子発現プロファイルの潜在的な違いが、異なるサンプルの細胞組成の違いによるものではないことを確実にするため、本発明者らは、各患者について異なる時点で得られたサンプルの間で、CD3、CD4、CD8、およびCD14をコードする遺伝子の発現を比較した。本発明者らの結果は、異なる日に各患者から得られたサンプルの細胞組成が同様であることを示す(図2A、2B)。統計的有意な違いは観察されなかった。
実施例4:IVIG処置患者から得られた遺伝子発現データの分析
遺伝子発現データの統計分析は、3つの異なる時間点(処置前、処置開始後第1日、および第21日)において行なわれたマイクロアレイ分析から得られた全結果を含み、IVIG処置患者全10名を含ん。分析によって、末梢T細胞内の360の遺伝子が、IVIG処置過程において、有意に発現が変化したことが明らかとなった。これらの遺伝子のうち91の発現は、第0日と第6日の間で変化し、147の遺伝子の発現は、第0日と第21日の間に変化し、122の遺伝子の発現は、第6日と第21日の間に変化した。
対照(IVMP処置患者群)の統計分析は、583の遺伝子の異なる発現を示し、大部分(218の遺伝子)は、第0日と第6日の間に変化した。
表3a−3dは、IVIGおよびIVMP処置患者において観察された遺伝子発現における20の最も有意な変化を提示する。
表3a:IVIG療法の際、患者の末梢T細胞において、最も広範囲に上方調節された10の遺伝子
Figure 2010535825
表3b:IVIG療法の際、患者の末梢T細胞において、最も広範囲に下方調節された10の遺伝子
Figure 2010535825
表3c:IVMP療法の際、患者の末梢T細胞において、最も広範囲に上方調節された10の遺伝子
Figure 2010535825
表3d:IVMP療法の際、患者の末梢血液細胞において、最も広範囲に下方調節された10の遺伝子
Figure 2010535825
IVIG処置によって、最も発現に影響を受けた遺伝子として、細胞周期を調節するタンパク質(転写調節因子1(TRERF1);サイクリン依存性キナーゼ抑制因子1C(CDKN1C);乳癌1(BRCA1);SH3−ドメイン結合タンパク質 4(SH3BP4))だけでなく、炎症を調節するタンパク質[ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5)]、細胞接着(FAT腫瘍抑制因子ホモログ 2(FAT2))、または細胞分化(初期成長応答(EGR2))をコードする遺伝子が挙げられる。リスト内に含まれる他の遺伝子は、電子伝達、リン酸化反応、グリコシル化、骨格の発育に関与するタンパク質、または機能がまだ定義されていないタンパク質をコードする。
IVIG処置によって異なって調節された他の着目遺伝子は、インターロイキン 11(IL11)、ケモカイン(C モチーフ)リガンド 2(XCL2)、プロスタグランジンE受容体 4(PTGER4)、カスパーゼ2(CASP2)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2ドメイン、短い細胞質テイル1(KIR2DS1)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼキナーゼ 2(MAP4K2)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5),ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 3(CXCL3),C型レクチンドメインファミリ4、メンバーE(CLEC4E)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド 13(CCL13)、およびα−フェトタンパク質(AFP)(表4参照)等の免疫調節に関与するタンパク質をコードした。
表4.免疫調節に関与するタンパク質をコードする、IVIG処置異なって発現された遺伝子(表4では、CLEC4Eの受入番号は、NM_013458ではなく、NM_014358であるべきことに留意されたい)。
Figure 2010535825
実施例5:IVIG処置患者およびIVMP処置患者から得られた遺伝子発現データの比較
IVIG処置患者から得られた遺伝子発現データをIVMP処置患者から得られた遺伝子発現データと比較すると、両群の患者の発現において有意に変化した17の遺伝子が同定された(表5)。これらの17の遺伝子によってコードされるタンパク質の大部分は、細胞周期を調節する(HABP4、STAT1、CDKN1、SH3BP4、およびORC1L)。これらの結果は、細胞周期調節が、両薬物が共通で有する治療効果の機序であり得ることを示唆する。異なって調節されることが認められた他の遺伝子は、2つの処置群中1つにおいてのみ見られ、したがって、2つの薬物のうちの1つにのみ特異的作用機序を反映する。
表5.両IVIG処置およびIVMP処置下で異なって発現された遺伝子の共通性
Figure 2010535825
実施例6:リアルタイムPCRによるマイクロアレイ分析によって得られた遺伝子発現データの確認
マイクロアレイ分析によって得られたデータは、定量リアルタイムPCRによって確認した。本目的のため、免疫調節を調節することで知られるタンパク質をコードした4つの遺伝子を選択した(表4参照):PTGER4、CXCL5、IL11、およびCASP2。リアルタイムPCRの結果は、図3A−Dに示される。リアルタイムPCRによって得られた結果は、マイクロアレイ分析によって得られたデータを裏付ける(図3A−D、表3および4)。
考察
本研究は、IVIGによる処置後、急性増悪期RRMS患者の末梢T細胞内で異なって発現される遺伝子を同定するために設計された。末梢T細胞(CD4+およびCD8+T細胞)は、疾患病因、特に、脱髄および軸索損傷過程に関与することが分かっている(Stinissen P.ら、Mult Scler., 4:203−11(1998))。これは、MS 患者の末梢血液細胞内のいくつかの遺伝子が、健康な双生児におけるそれらと比較した場合、異なって発現されることが分かったという最近の研究によって支持される(Saerkijaervi S.ら、BMC Medical Genetics, 7:11(2006))。
統計データ分析は、IVIG処置後の全患者において、少なくとも2倍上方または下方調節された360の遺伝子を明らかにした。IVIG処置の効果は、IVIG処置開始後第21日に最も顕著であった。IVIG処置によって、発現に最も影響を受けた遺伝子として、細胞周期、シグナル伝達、転写、炎症、細胞間の相互作用、およびアポトーシスを調節するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられた。これらの過程は、MSの病因に関与する可能性がある。IVIG処置によって生じる遺伝子発現に及ぼす影響と、IVMP処置によって生じる影響とを比較した場合、IVMP処置によって異なって調節される583の遺伝子が見つかった。これらの遺伝子の大部分は、治療開始後第0日と比較して、第6日の発現において変化していた。これらの結果は、IVMPが、IVIGよりも早く作用する薬物であり得ることを示唆する。
本発明者らは、両群の患者の発現において、有意に変化した17の遺伝子を同定した。これらの17の遺伝子によってコードされるタンパク質の大部分は、細胞周期を調節する。これらの結果は、細胞増殖の調節、特に、T細胞増殖の調節が、両薬物が共通に所有する作用機序であることを強く示唆する。これらの結果は、MS患者に投与される場合、IVIGは活性T細胞の増殖を抑制することを示す公開データに一致する(Andersson U.ら、Immunol Rev, 139:21−42(1994); Bayry J.ら、Intravenous immunoglobulin in autoimmune disorders:An insight into the immunregulatory mechanisms)。
MSにおけるIVIGの重要な作用機序は、ケモカイン発現の調節であると考えられる。本結論は、ケモカイン(CXCL3、CXCL5、CCL13、およびXCL2)をコードするいくつかの遺伝子が、IVIG処置によって異なって発現されるという本発明者らの所見に基づく。これらの遺伝子発現の変化は、IVMPによる処置患者においては見られなかった。したがって、本発明者らは、末梢 T細胞におけるケモカイン発現の調節が、MSにおけるIVIGの特定の作用機序であり得ると考える。いくつかの研究では、ケモカインおよびケモカイン受容体が、MSの病因に関与することが示されている(Trebst C.and Ransohoff R.M., Arch Neurol, 58:1975−80(2001))。ケモカインは、血液脳関門を横切る免疫細胞の輸送に介在し、活性病変部位に向かって免疫細胞の移動を誘導することが分かっている(Szczucinski A.and Losy J., Acta Neurol Scand, 115:137−146(2007))。さらに、ケモカインは、活性病変内で検出され、再発の際、MS患者の脳脊髄液中で上昇することが分かった(Sindern E.ら、J Neuroimmunol, 131:186−90(2002))。本発明者らの研究において、有意に下方調節されたケモカインのうちの2つ(CXCL3およびCXCL5)は、ケモカイン受容体CXCR2と特に相互作用することが知られている(Omari K.ら、Brain, 128:1003−1015(2005))。以前の研究では、CXCR2は、顆粒球、単球、またはリンパ球等の末梢血液細胞(Murdoch C.ら、Brain, 128:1003−1015(2005(?)); Murphy P.M.ら、Pharmacol Rev., 52:145−76(2000))だけではなく、脳内の乏突起膠細胞でも発現することが分かっている。乏突起膠細胞は、中枢神経系の白質内の軸索の髄鞘形成およびMSにおける炎症の際の軸索の脱随後の再髄鞘形成に最も不可欠である(Blakemore W.F., J Neurol Sci.,(2007))。最近、乏突起膠細胞で発現するCXCR2は、脊椎動物CNSにおける乏突起膠細胞系列、髄鞘形成、および白質の発達および維持に不可欠であることが分かった(Tsai H.H.ら、Cell, 110:373−83(2002); Padovani−Claudio D.ら、Glia, 54:471−483(2006))。乏突起膠細胞発達および移動の調節は、ケモカインCXCL1の局所発現と、乏突起膠細胞前駆細胞および乏突起膠細胞で発現するCXCR2とのその相互作用に依存する(Padovani−Claudio D.ら、Glia, 54:471−483(2006))。したがって、乏突起膠細胞で発現するCXCL1とCXCR2との間の相互作用、またはこの相互作用によって誘発されるシグナル伝達を妨害するいかなる事象も、MS 患者における再髄鞘形成過程の妨害を生じさせ得る。これらの見解に基づいて、本発明者らは、再発の際のRRMS 患者におけるIVIGの新しい作用機序に対し、以下の仮定を提案する。末梢 T細胞および単球は、脳内の炎症によって産生されるケモカインに応答して、CNSに進入する。破壊された血液脳関門(Man S.ら、Brain Pathol., 17:243−50(2007))は、本過程を促進する。両 T細胞および単球は、脳内にケモカインを産生し、乏突起膠細胞前駆細胞および乏突起膠細胞の緊密に調節された活性に干渉する。この干渉は、乏突起膠細胞に発現するCXCR2 受容体の脱感作によって、または乏突起膠細胞で局所的に発現するCXCL1とCXCR2との間の相互作用への干渉によって、生じる可能性がある。IVIGは、末梢T細胞、単球、または両方内のケモカインの発現を下方調節する。結果として、乏突起膠細胞の機能へのこれらの細胞によって産生されるケモカインの干渉は防止され、乏突起膠細胞によって誘発される再髄鞘形成の天然過程が再構築されるであろう。IVIGが、末梢T細胞内のケモカインの発現だけではなく、CNSの細胞、例えば、星状膠細胞内のケモカインの発現も調節し得るかどうかは依然として分かっていない。
本発明者らの研究目的は、MSにおけるT細胞応答と関係する可能性のある遺伝子を同定することであった。本発明者らが正の細胞選択のために使用した戦略は、同定された遺伝子の一部が、T細胞ではなく、末梢単球と関係する可能性を除外するものではない。これは、上述のデータを解釈する場合、考慮される必要がある。IVIG処置下、異なって発現されることが分かった遺伝子は、より大きな研究群による第2の治験において確認されるであろう。異なって発現された遺伝子は、IVIG処置の治療効能の診断マーカとして使用可能である。さらに、着目遺伝子によってコードされるタンパク質のいくつかは、将来的薬物開発のための好適な標的を提供するであろう。
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例証目的のみであって、それらに照らした種々の修正または変更が、当業者に提案され、本願の精神および範囲、ならびに添付の請求項の範囲内に含められることを理解されたい。本明細書に引用される全刊行物、特許、特許出願は、あらゆる目的のために、参照することによって、全体として、本明細書に組み込まれる。
正式ではない配列表
配列番号1: ヒト転写調節因子1(TRERF1)(NM_018415)
Figure 2010535825
Figure 2010535825
配列番号2 ヒト転写調節因子1(TRERF1)(NP_060885.1)
Figure 2010535825
配列番号3 ヒト第19染色体オープンリーディングフレーム28(C19orf28)(NM_174983)
Figure 2010535825
Figure 2010535825
配列番号4 ヒト第19染色体オープンリーディングフレーム28(C19orf28)(NP_778148.2)
Figure 2010535825
配列番号5 ヒトサイクリン依存性キナーゼ抑制因子1C(p57, Kip2)(NM_000076)
Figure 2010535825
配列番号6 ヒトサイクリン依存性キナーゼ抑制因子1C(p57, Kip2)(NP_000067.1)
Figure 2010535825
配列番号7 ヒト乳癌1、早期発症(BRCA1)(NM_007294)
Figure 2010535825
Figure 2010535825
Figure 2010535825
配列番号8 ヒト乳癌1、早期発症(BRCA1)(NP_009225.1)
Figure 2010535825
配列番号9 ヒトSH3ドメイン結合タンパク質4(SH3BP4)(NM_014521)
Figure 2010535825
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配列番号10 ヒトSH3ドメイン結合タンパク質4(SH3BP4)(NP_055336.1)
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配列番号11 ヒトコラーゲン、III型、α1(エーレルス−ダンロー症候群 IV型、常染色体優性)(COL3A1)(NM_000090)
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配列番号12 ヒトコラーゲン、III型、α1(エーレルス−ダンロー症候群 IV型、常染色体優性)(COL3A1)(NP_000081.1)
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配列番号13 ヒトUDP−Gal:ベータGlcNAcベータ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド2(B3GALT2)(NM_003783)
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配列番号14 ヒトUDP−Gal:ベータGlcNAcベータ1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド2(B3GALT2)(NP_003774.1)
Figure 2010535825
配列番号15 ヒトグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホスフォリパーゼD1(GPLD1)(NM_001503)
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配列番号16 ヒトグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホスフォリパーゼD1(GPLD1)(NP_001494.2)
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配列番号17 ヒトミオチューブラリン関連タンパク質7(MTMR7)(NM_004686)
Figure 2010535825
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配列番号18 ヒトミオチューブラリン関連タンパク質7(MTMR7)(NP_004677.2)
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配列番号19 EGF様ドメインおよび2つのフォリスタチン様ドメインを有するヒト膜貫通タンパク質1(TMEFF1)(NM_003692)
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配列番号20 EGF様ドメインおよび2つのフォリスタチン様ドメインを有するヒト膜貫通タンパク質1(TMEFF1)(NP_003683.2)
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配列番号21 ヒトNADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1αサブコンプレックス、5, 13kDa(NDUFA5),ミトコンドリアタンパク質をコードする核の遺伝子(NM_005000)
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配列番号22 ヒトNADHデヒドロゲナーゼ(ユビキノン)1αサブコンプレックス、5, 13kDa(NDUFA5),ミトコンドリアタンパク質をコードする核の遺伝子(NP_004991.1)
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配列番号23 ヒトFAT腫瘍抑制因子ホモログ2(Drosophila)(FAT2)(NM_001447)
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配列番号24 ヒトFAT腫瘍抑制因子ホモログ2(Drosophila)(FAT2)(NP_001438.1)
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配列番号25 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5)(NM_002994)
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配列番号26 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5)(NP_002985.1)
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配列番号27 ヒトzincフィンガータンパク質771(ZNF771)(NM_016643)
Figure 2010535825
配列番号28 ヒトzincフィンガータンパク質771(ZNF771)(NP_057727.1)
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配列番号29 ヒトナトリウム排泄増加性ペプチド受容体C/グアニレートシクラーゼC(房ナトリウム排泄増加性ペプチド受容体C)(NPR3)(NM_000908)
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配列番号30 ヒトナトリウム排泄増加性ペプチド受容体C/グアニレートシクラーゼC(房ナトリウム排泄増加性ペプチド受容体C)(NPR3)(NP_000899.1)
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配列番号31 ヒト早期増殖応答2(Krox−20ホモログ、Drosophila)(EGR2)(NM_000399)
Figure 2010535825
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配列番号32 ヒト早期増殖応答2(Krox−20ホモログ、Drosophila)(EGR2)(NP_000390.2)
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配列番号33 ヒト白血球免疫グロブリン様受容体、サブファミリーA(TMドメイン有り)、メンバー4(LILRA4)(NM_012276)
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配列番号34 ヒト白血球免疫グロブリン様受容体、サブファミリーA(TMドメイン有り)、メンバー4(LILRA4)(NP_036408.3)
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配列番号35 ヒトプロスタグランジンD2シンターゼ 21kDa(脳)(PTGDS)(NM_000954)
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配列番号36 ヒトプロスタグランジンD2シンターゼ 21kDa(脳)(PTGDS)(NP_000945.3)
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配列番号37 ヒトペリオスチン、骨芽細胞特異的因子(POSTN)(NM_006475)
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配列番号38 ヒトペリオスチン、骨芽細胞特異的因子(POSTN)(NP_006466.1)
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配列番号39 ヒトwingless型MMTV組み込み部位ファミリー、メンバー5A(WNT5A)(NM_003392)
Figure 2010535825
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配列番号40 ヒトwingless型MMTV組み込み部位ファミリー、メンバー5A(WNT5A)(NP_003383.2)
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配列番号41 ヒトプロスタグランジンD2シンターゼ 21kDa(脳)(PTGDS)(NM_000954)
Figure 2010535825
配列番号42 ヒトプロスタグランジンD2シンターゼ 21kDa(脳)(PTGDS)(NP_000945.3)
Figure 2010535825
配列番号43 ヒトデフェンシン、α3、好中球特異的(DEFA3)(NM_005217)
Figure 2010535825
配列番号44 ヒトデフェンシン、α3、好中球特異的(DEFA3)(NP_005208.1)
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配列番号45 ヒトPOUドメイン、クラス1、転写因子1(Pit1、増殖ホルモン因子1)(POU1F1)(NM_000306)
Figure 2010535825
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配列番号46 ヒトPOUドメイン、クラス1、転写因子1(Pit1、増殖ホルモン因子1)(POU1F1)(NP_000297.1)
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配列番号47 ヒトカドヘリン13、H−カドヘリン(心臓)(CDH13)(NM_001257)
Figure 2010535825
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配列番号48 ヒトカドヘリン13、H−カドヘリン(心臓)(CDH13)(NP_001248.1)
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配列番号49 ヒト三モチーフ含有58(TRIM58)(NM_015431)
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配列番号58 ヒト三モチーフ含有58(TRIM58)(NP_056246.3)
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配列番号59 ヒトZwilch、動原体関連、ホモログ(Drosophila)(ZWILCH)(NM_017975)
Figure 2010535825
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配列番号60 ヒトZwilch、動原体関連、ホモログ(Drosophila)(ZWILCH)(NP_060445.3)
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配列番号61 ヒトpelotaホモログ(Drosophila)(PELO)(NM_015946)
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配列番号62 ヒトpelotaホモログ(Drosophila)(PELO)(NP_057030.3)
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配列番号63 ヒトzincフィンガータンパク質711(ZNF711)(NM_021998)
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配列番号64 ヒトzincフィンガータンパク質711(ZNF711)(NP_068838.3)
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配列番号65 ヒトインターセクチン1(SH3ドメインタンパク質)(ITSN1)(NM_003024)
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配列番号66 ヒトインターセクチン1(SH3ドメインタンパク質)(ITSN1)(NP_003015.2)
Figure 2010535825
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配列番号67 ヒトホルボール12ミリステート13アセテート誘導タンパク質1(PMAIP1)(NM_021127)
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配列番号68 ヒトホルボール12ミリステート13アセテート誘導タンパク質1(PMAIP1)(NP_066950.1)
Figure 2010535825
配列番号69 ヒト膜貫通タンパク質47(TMEM47)(NM_031442)
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配列番号70 ヒト膜貫通タンパク質47(TMEM47)(NP_113630.1)
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配列番号71 ヒトインターロイキン11(IL11)(NM_000641)
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配列番号72 ヒトインターロイキン11(IL11)(NP_000632.1)
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配列番号73 ヒトケモカイン(Cモチーフ)リガンド2(XCL2)(NM_003175)
Figure 2010535825
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配列番号74 ヒトケモカイン(Cモチーフ)リガンド2(XCL2)(NP_003166.1)
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配列番号74 ヒトプロスタグランジンE受容体4(サブタイプEP4)(PTGER4)(NM_000958)
Figure 2010535825
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配列番号76 ヒトプロスタグランジンE受容体4(サブタイプEP4)(PTGER4)(NP_000949.1)
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配列番号77 ヒトカスパーゼ2、アポトーシス関連システインペプチダーゼ(神経前駆体細胞発現、発生的に下方制御される 2)(CASP2)(NM_032982)
Figure 2010535825
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配列番号78 ヒトカスパーゼ2、アポトーシス関連システインペプチダーゼ(神経前駆体細胞発現、発生的に下方制御される 2)(CASP2)(NP_116764.2)
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配列番号79 ヒトキラー細胞免疫グロブリン様受容体、2ドメイン、短い細胞質テイル1(KIR2DS1)(NM_014512)
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配列番号80 ヒトキラー細胞免疫グロブリン様受容体、2ドメイン、短い細胞質テイル1(KIR2DS1)(NP_055327.1)
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配列番号81 ヒトマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼキナーゼ 2(MAP4K2)(NM_004579)
Figure 2010535825
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配列番号82 ヒトマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼキナーゼキナーゼ 2(MAP4K2)(NP_004570.2)
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配列番号83 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5)(NM_002994)
Figure 2010535825
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配列番号84 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 5(CXCL5)(NP_002985.1)
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配列番号85 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 3(CXCL3)(NM_002090)
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配列番号86 ヒトケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド 3(CXCL3)(NP_002081.2)
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配列番号87 ヒトケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)(NM_005408)
Figure 2010535825
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配列番号88 ヒトケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)(NP_005399.1)
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配列番号89 ヒトα−フェトタンパク質(AFP)(NM_001134)
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配列番号90 ヒトα−フェトタンパク質(AFP)( NP_005399.1)
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配列番号91 ヒトC型レクチンドメイン4、メンバーE(CLEC4E)(NM_014358)
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配列番号92 ヒトC型レクチンドメイン4、メンバーE(CLEC4E)(NP_055173)
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Claims (27)

  1. 静脈内免疫グロブリン(IVIG)で処置された被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の予後を提供するための組成物であって、表3a、表3b、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列からなる群より選択される、少なくとも1つのマーカーに特異的に結合する試薬を含み;
    該組成物は、IVIGで処置された該被験体からの生体サンプルと接触されることを特徴とし;該サンプル中での該マーカー過剰発現または過小発現は、IVIGで処置された被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病の予後を示す組成物
  2. 前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、請求項1に記載の組成物
  3. 前記試薬は、抗体である、請求項1に記載の組成物
  4. 前記抗体は、モノクローナルである、請求項3に記載の組成物
  5. 前記試薬は、核酸である、請求項1に記載の組成物
  6. 前記試薬は、オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の組成物
  7. 前記試薬は、RT PCRプライマーセットである、請求項1に記載の組成物
  8. 前記サンプルは、血液サンプルである、請求項1に記載の組成物
  9. 前記血液サンプルは、T細胞を含む、請求項8に記載の組成物
  10. 前記サンプルは、脳脊髄液である、請求項1に記載の組成物
  11. 前記少なくとも1つのマーカーは、ケモカインである、請求項1に記載の組成物
  12. 前記ケモカインは、CXCL3、CXCL5、CCL13、およびXCL2からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物
  13. 多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を予防または処置する化合物を同定する方法であって、
    (a)化合物を、表3a、表3b、表3c、表3d、および表4に示される、核酸および対応するタンパク質配列からなる群より選択される、マーカーを発現する細胞を含むサンプルと接触させるステップと、
    (b)該マーカーに対する該化合物の機能的効果を判定し、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を予防または処置する化合物を同定するステップと、
    を含む、方法。
  14. 前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記機能的効果は、前記マーカーの発現の増加または減少である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記機能的効果は、前記マーカーの活性の増加または減少である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記化合物は、小分子である、請求項13に記載の方法。
  18. 前記化合物は、siRNAである、請求項13に記載の方法。
  19. 前記化合物は、リボザイムである、請求項13に記載の方法。
  20. 前記化合物は、抗体である、請求項13に記載の方法。
  21. 前記抗体は、モノクローナルである、請求項20に記載の方法。
  22. 被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するための組成物であって、CXCL5、CXCL3、およびCCL13からなる群より選択されるケモカインに結合する抗体の有効量を含み、該有効量は、ケモカインの細胞シグナル伝達を不活性化、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するのに十分である組成物
  23. 前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、請求項22に記載の組成物
  24. 被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するための組成物であって、CXCL5、CXCL3、およびCCL13の受容体からなる群より選択されるケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を含み、該有効量は、該ケモカイン受容体を不活性化、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するのに十分である組成物
  25. 前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、請求項24に記載の組成物
  26. 被験体における多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するための組成物であって、XCL2ケモカイン受容体に結合する抗体の有効量を含み、該有効量は、該XCL2ケモカイン受容体を活性化、それにより、多発性硬化症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を処置または予防するのに十分である組成物
  27. 前記多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)である、請求項26に記載の組成物
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