JP2010535803A - ホスファプラチン、ならびにシスプラチンおよびカルボプラチンに対し耐性を有する癌の治療におけるその使用 - Google Patents

ホスファプラチン、ならびにシスプラチンおよびカルボプラチンに対し耐性を有する癌の治療におけるその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ホスファプラチン、すなわち白金(II)および(IV)の安定な単離されたモノマーリン酸錯体、ならびに、シスプラチン耐性癌およびカルボプラチン耐性癌を含む癌を治療するためのそれらの使用方法を提供する。シスプラチンとは異なり、これらの錯体は容易に加水分解せず、水溶液に極めて可溶であり水溶液中で安定している。さらに、これらの錯体は、シスプラチン、カルボプラチンおよび関連した白金系抗癌剤とは異なり、DNAに結合しない。むしろ、データは、ホスファプラチンが、fasおよびfas関連転写因子、ならびにBakおよびBax等のいくつかのアポトーシス促進遺伝子の過剰発現を誘引することを示唆している。にもかかわらず、当該錯体は、癌細胞に対し驚異的な細胞傷害性を示す。したがって、本発明は、当技術分野におけるものとは異なる分子標的を有する新規な白金抗癌剤を提供する。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.セクション119(e)の下、2007年8月6日出願の米国特許仮出願第60/954,126号、および2007年9月20日出願の米国特許仮出願第60/973,926号の優先権の利益を主張し、その両方の全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
白金ジアミン錯体は、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、およびその他の形態の癌の治療におけるシスジアミンジクロロ白金(II)(シスプラチン)の驚異的な成功のために、当技術分野において周知である。さらに、シスプラチンは、放射線治療を含むその他の治療計画と併せて使用される。この白金化学療法剤は、特に高用量において、主に転写阻害および複製阻害プロセスによって細胞周期のG2期におけるアポトーシスを仲介する。鎖内および鎖間の両方の形態によるグアニンおよびアデニン塩基のN7位を介したDNAとの共有結合が、一般に、アポトーシスにつながる一連の細胞応答の伝達における重要な分子事象であると考えられている。
シスプラチンは極めて効果的であるにもかかわらず、腎臓毒性、腎毒性、および神経毒性を示す。さらに、多くの患者はシスプラチン治療に対し経時的に耐性を持つようになり、したがってシスプラチン治療により治癒されない。他の2つのFDA認可白金薬、すなわちカルボプラチン(ジアミン−1,1−ジカルボキシラートシクロブタン−白金(II))およびオキサリプラチン(ジアミン−オキサラト白金(II))もまた、シスプラチンと同様の様式で機能すると考えられている。カルボプラチンは、シスプラチン耐性腫瘍細胞に対し特に効果的であるが、シスプラチンに耐性を持つ患者を効果的に治療するためには比較的高い用量が必要である。そのような高用量はまた、関連した毒性を有する。
多くの新しい白金アミン錯体が合成され、その抗癌活性に関して試験されてきた。しかしながら、有望な結果を示しているのは、これらの錯体(そのいくつかが図14に列挙されている)のうち極僅かである。これらの新たな錯体は、様々な置換可能な非アミン配位子だけでなく、DNA結合および細胞取込みにとって重要であると考えられている置換不可能なアミン配位子を含有する。一般に、これらおよび当技術分野において知られたその他の関連した白金アミン錯体は、シスプラチンの調製に使用されるプロセス、すなわち、テトラクロロ白金酸(PtCI 2−)がアミン配位子を受容してPtCl(アミン/ジアミン)となるプロセスにより合成される。テトラクロロ錯体から開始すると、一般に、その他の生成物が提供されるため、PtI 2−を使用してシス異性体の高収量および純度を確実とし、続いてPtI 2−をPtl(アミン/ジアミン)に変換した後、PtCl(アミン/ジアミン)に変換することもできる。Ptl(アミン/ジアミン)のPtCl(アミン/ジアミン)への変換において、2当量の硝酸銀、またはその他の可溶性銀塩でジヨード錯体を低pHで処理することにより、ジヨード錯体がジアクア錯体に変換される。得られるジアクア錯体は、容易に塩化カリウムまたは塩酸と反応して対象となるジクロロ錯体を生成する。一般に、比較的高いpHではジアクア錯体の二量体化または重合が急速に生じ、望ましくない生成物が生成されるため、対象となる白金錯体は、置換可能な配位子を導入するために低いpHにおいて対応するジアクア錯体から合成される。
置換可能な塩素配位子の代わりに、当技術分野における白金アミン錯体はまた、窒素、硫黄、カルボキシレート、およびホスホネートを置換可能な配位子として有する。しかしながら、癌の治療に最も有望であるそれらの錯体の1つの特徴は、白金(柔らかい酸)に配位した置換可能な硬い塩基の配位子である。優れた抗癌特性を示したそのような硬−柔の組合せの例は、カルボキシラト、カルボナト、ホスホナト白金錯体である。
シスプラチンをより効果的な化学療法剤と置換するための多大なる努力にもかかわらず、置換可能な配位子としてのホスフェートとの白金(II)および白金(IV)錯体は、ほとんど開発されていなかった。これは、主として、白金(II)ホスファト錯体に対する初期の研究では通常ホスフェート架橋複核錯体が得られたことに起因する。いくつかの複核ホスファト白金(II)錯体の優れた抗癌特性の報告にもかかわらず、これらの錯体の水溶液における低い溶解度のために、その応用のさらなる探求は限られていた。ある種のモノマーピロホスフェートおよびトリホスフェート錯体が当技術分野において知られているが、そのような錯体は、中程度の酸性溶液中でリン酸加水分解し、不溶性の複核生成物が得られるため、医薬組成物には適していない(本明細書およびBose et al., Inorg. Chem. 1985, 24, 3989-3996に記載の、モノマー錯体二量体am−2を記載している、Odaniらに対する米国特許第7,342,122号を参照;さらに、潜在的抗癌薬としてのモノマーam−2を記載している、Odaniらに対するWO2005/000858号も参照)。
したがって、当技術分野において、癌の治療のためのシスプラチンおよびカルボプラチンに代わる安定で効果的な代替物の必要性が残されている。
本発明は、ホスファプラチン、すなわち図1に示される一般式(式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、RおよびRのうちの一方がNHである場合には、RおよびRのうちの他方がNHではなく、Sはないか、または水酸化物、酢酸、酪酸、およびアルファ−ヒドロキシ酸から選択される)を有する白金(II)および(IV)の安定なモノマーホスファト錯体を提供する。また、ホスホプラチンを作製および単離する方法も提供する。
本発明は、単独で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて、ホスファプラチンの有効量をそのような治療が必要な対象に投与することにより、シスプラチンおよび/またはカルボプラチン耐性癌を含む癌を治療するための方法も提供する。
本発明の白金(II)および白金(IV)錯体の構造を示す図である。R1、R2、およびR3は、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、R1およびR2のうちの一方がNH3である場合、R1およびR2の他方はNH3ではない。ある特定の実施形態において、R1およびR2は、アミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキサンアミン、アニリン、ピリジン、および置換ピリジンから選択される。ある特定の実施形態において、R3は、エチレンジアミンおよびシクロヘキサンジアミンから選択される。Sは、水酸化物、酢酸、酪酸、およびアルファ−ヒドロキシ酸から独立して選択される。ある特定の実施形態において、化合物の薬学的に許容される塩を特許請求の範囲に記載する。 本発明のいくつかの単離された錯体、すなわち(A)am−2としても知られるジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)、(B)am−4としても知られるシス−ジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)、(C)en−2としても知られる1,2−エタンジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)、(D)en−4としても知られる1,2−エタンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)、(E)dach−2としても知られる(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)、および(F)dach−4としても知られる(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)の構造を示す図である。 ナトリウム対イオンを有するam−4のX線結晶構造を示す図である。 ピロホスフェート側から見た異なる立体構造のen−4のX線結晶構造を示す図である。 pHの関数として31P化学シフトにより測定される、図2に示される錯体のプロトン化の程度を示す図である。予測される酸性度定数を表1に示す。これらのデータから、酸性溶液と中性溶液との間の、これらの錯体の溶解度の差を把握することができる。2未満のpH値における開示された条件下で、これらの錯体は完全にプロトン化され、したがって低下した溶解度を示すと予測される。 (A)pH4.2および(B)pH8におけるdach−2の示差的な安定性を示す図である。pH8では、白金(II)に配位したピロホスフェートイオンの最長6日間の保持により明らかなように、dach−2の分解は観察されなかった。対照的に、pH4.2では、遊離ピロホスフェートシグナルから、著しい分解が明らかである。スペクトルは、各パネルの一番下から始まって、24時間間隔で記録されている。 シスプラチンおよびカルボプラチン耐性ヒト卵巣細胞株(A2780/C30)におけるマイクロモル濃度の関数としての、dach−2、シスプラチン、およびカルボプラチンの細胞傷害性効果を比較したプロットである。この細胞株は、30マイクロモルのシスプラチンおよび100マイクロモルのカルボプラチンに耐性を有する。 dach−2とFDA認可シスプラチンおよびカルボプラチン抗癌薬のヒト卵巣細胞株(A2780)に対する細胞傷害性効果を比較したプロットである。 (A)シスプラチン感受性および(B)シスプラチン耐性頭頸部癌細胞株に対するdach−2の細胞傷害性を表す図である。シスプラチン感受性細胞に対しては、dach−2のIC50値は1マイクロモル未満であり、シスプラチン耐性細胞に対しては、5マイクロモル未満である。 所与の濃度において、dach−2はシスプラチンと比較してより少ない量で細胞に取り込まれる(原子吸光分析により測定した場合)ことを示す図である。例えば、10μM濃度では、A2780細胞におけるシスプラチンの蓄積は3.0ng Pt/10細胞であったが、dach−2は1.0ng Pt/10細胞を示した。他の濃度において、白金の蓄積について同様の傾向が当てはまる。 2時間シスプラチンをインキュベートした後に原子吸光分析により測定されるヒト卵巣細胞株(A2780)における濃度の関数としての、シスプラチンによるDNA結合の程度を示す図である。A2780細胞が50マイクロモル濃度までのdach−2で処理された場合、該細胞が24時間処理されても、同じ技法を用いてDNAに結合した白金は検出されなかった。 プロトンNMR分光法による、シスプラチン(下)、am−2(中央)、およびdach−2(上)のグアニン塩基結合(シスプラチンの主要なDNA結合部位)の比較である。上のスペクトルは、8.05ppmにおいてプリン環のH8水素に対応する遊離グアニン塩基のシグナルを示し、下のスペクトルは、8.43ppmにおいてプリン環のN7位を介したグアニンのシスプラチンへの結合に起因したH8プロトンに対応する追加のシグナルを示し、中央のスペクトルは、非結合グアニンH8シグナルのみを示し、白金結合のシグナルを示していない。下のスペクトルは、48時間後に記録された。中央および上のスペクトルは、それぞれ96時間後および106時間後に記録された。本発明の錯体がグアニン塩基(シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチンのDNA結合部位)に共有結合しないということは、シスプラチンに対し提唱されているものとは異なるアポトーシス機序を示唆している。 dach−2によるヒト卵巣細胞におけるDNA結合の欠如を確証するH NMR分光法データである。関連した実験において、細胞用量の濃度より250倍程度高い濃度で、dach−2を二本鎖ウシ胸腺DNA、合成オリゴヌクレオチド(5−ATGATTTAGGTGACACTATAGCAGT−3’)、ジヌクレオチド(dGpG)、ならびにヌクレオチドモノホスフェート(5’−dGMPおよび5’−dAMP)と反応させた。DNA結合の程度は、H NMR分光法によりモニターした。並行して、シスプラチンを用いた同様の反応を、同一条件下で行った。25−merオリゴヌクレオチドを使用した典型的なNMR実験からの結果が図に示されているが、これは、dach−2は測定可能ないかなるDNA結合も示さず、一方シスプラチンは、8.4から8.95ppm域における新たなシグナルの形成により明らかなように、DNAとの共有結合付加体を容易に形成することを示している。しかしながら、シスプラチンは上記ヌクレオチドのすべてと容易に付加体を形成したが、一方、7日後であっても、ヌクレオチドと結合するdach−2の検出可能なNMRシグナルは観察されなかった。 薬物として使用されている、または可能性ある薬物として評価されている、または臨床試験中である、当技術分野で知られる有効な白金錯体のうちのいくつかの構造を示す図である。 図1のホスファプラチン錯体を形成するために使用される錯体の構造を示す図であり、Xはハロゲンであり、R1、R2およびR3はそれぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択される。
本明細書において、シスプラチンおよび/またはカルボプラチン耐性癌の治療を含む癌治療のための、安定なモノマー白金(II)および(IV)ピロホスフェート錯体(ホスファプラチンと呼ばれる)が提供される。一般に、ホスファプラチンは容易に加水分解せず、中性pHの水溶液に可溶であり、中性pHの水溶液中で安定である。さらに、ホスファプラチンは、癌細胞株において全体的な細胞傷害性を示し、シスプラチンおよびカルボプラチンの一方または両方に対し耐性を有する細胞株において有効である。したがって、ホスファプラチンは有効であり、ある場合には、既知のプラチン系制癌剤と比較して、癌細胞死の誘引においてより効果的であり、患者への投与に好適な溶液における望ましい安定性および可溶性を示す。本明細書において本発明のホスファプラチンに関して使用される場合、安定とは、6〜8の範囲のpHの水溶液中で2日から6日間にわたり維持された場合の、加水分解に対する錯体の耐性を指す。
ホスファプラチンは、シスプラチン、カルボプラチンおよび関連の白金系抗癌剤とは異なり、DNAに共有結合しないと考えられる。シスプラチン耐性は、核除去修復酵素を含む様々な酵素によるDNA損傷の効率的修復から生じると考えられているため、またホスファプラチンはDNAに共有結合しないため、DNA修復機序によるホスファプラチンに対する耐性は生じないと思われる。データは、ホスファプラチンが、fasおよびfas関連転写因子、ならびにBakおよびBax等のいくつかのアポトーシス促進遺伝子の過剰発現を誘引することを示唆している。さらに、ホスファプラチンの細胞結合はシスプラチンよりずっと少ないが、ホスファプラチンは驚異的な細胞傷害性を示す。したがって、本発明は、当技術分野におけるものとは異なる分子標的を有する有効な白金抗癌剤を提供する。
いくつかの実施形態において、錯体は、図1に示される一般式(式中、R1、R2、およびR3が、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、R1およびR2のうちの一方がNH3である場合、R1およびR2の他方がNH3ではない)を有する。ある特定の実施形態において、R1およびR2は、アミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキサンアミン、アニリン、ピリジン、および置換ピリジンから選択される。ある特定の実施形態において、R3は、エチレンジアミンおよびシクロヘキサンジアミンから選択される。Sは、水酸化物、酢酸、酪酸、およびアルファ−ヒドロキシ酸から独立して選択される。ある特定の実施形態において、化合物の薬学的に許容される塩が特許請求の範囲に記載される。したがって、本発明の抗癌剤は、ある特定の実施形態において、図2の錯体を含む。
また、本明細書において、安定なモノマー白金(II)および(IV)ピロホスフェート錯体を合成および単離する方法が提供される。一実施例において、当該方法は、過剰のピロホスフェートと図15に示される式の白金錯体(式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、RおよびRのうちの一方がNHである場合、RおよびRのうちの他方がNHではなく、Xは、ハロゲンから独立して選択される)とを含む水性反応混合物を、約7から約9のpHで、約12時間から約18時間にわたり、約30℃から約60℃の温度に維持することにより、図1(I)および(III)の式を有する錯体を形成するステップを含む。
図15に示される錯体は、任意の好適な方法で作製することができる。当技術分野において一般に説明されるように、いくつかの例では、シス−(アミン/ジアミン)ジクロロ白金(II)錯体は、ヨウ化カリウムの添加によりKPtCIからKPtIに変換することにより調製することができる。次いでこれを所望のアミン配位子と反応させる。次いで、得られるシス−(アミン/ジアミン)ジヨード白金(II)錯体を、2当量の硝酸銀を添加することにより、対応するシス−(アミン/ジアミン)ジアクア白金(II)錯体にin situで変換する。次いで、シス−ジアクア種[Pt(アミン/ジアミン)(HO) 2+]を、塩化カリウムの添加によりシス−ジクロロ錯体に変換する。
その他の好適な反応条件を使用することができることが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、温度は、約35℃から約45℃であってもよい。したがって、反応温度は、約30〜31、31〜32、32〜33、33〜34、34〜35、35〜36、36〜37、37〜38、38〜39、39〜40、40〜41、41〜42、42〜43、43〜44、44〜45、45〜46、46〜47、47〜48、48〜49、49〜50、50〜51、51〜52、52〜53、53〜54、54〜55、55〜56、56〜57、57〜58、58〜59、59〜60℃、およびその間の増分であってもよい。40℃で良好な結果が得られている。いくつかの例では、約13時間から約16時間反応を進行させる。したがって、反応時間は、約12〜13、13〜14、14〜15、15〜16、16〜17、および17〜18時間、ならびにその間の増分であってもよい。15時間の反応時間で良好な結果が得られている。いくつかの例では、pHは、約6〜7、7〜8、および8〜9、ならびにその間の増分であってもよい。pH約8で良好な結果が得られている。
当該方法は、後に水性反応混合物を、ピロホスフェートの沈殿物が形成しないように濃縮するステップをさらに含む。水性反応混合物は任意の好適な方法で濃縮することができることが理解される。例えば、水性反応混合物は、回転蒸発により濃縮することができる。
当該方法は、好適な酸の添加により、反応混合物のpHを、約2未満のpHに急速に低下させるステップをさらに含む。いくつかの例では、硝酸を使用してpHを低下させることができる。いくつかの実施形態において、該pHは、約1から約2の間の範囲である。pH1で良好な結果が得られている。
いくつかの例では、当該方法はまた、反応混合物を濃縮した後に、反応混合物を、5℃から周囲温度の間の温度にするステップをさらに含む。別の実施例において、当該方法はまた、反応混合物のpHを低下させた後に、反応混合物を、5℃から周囲温度の間の温度に冷却するステップをさらに含む。
別の実施形態において、図1(II)および(IV)に係る錯体を形成する方法が提供される。当該方法は、上述した通りであるが、反応混合物を、約7から約9のpHで、約12時間から約18時間にわたり、約30℃から約60℃に維持した後で、過酸化水素、ならびに任意選択で、酢酸塩、酪酸塩およびアルファ−ヒドロキシ酸の塩とを、反応混合物に添加するステップをさらに含む。
いくつかの例では、反応混合物の濃縮前に過酸化水素とともに添加される任意選択の試薬は、酢酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびアルファ−ヒドロキシ酸のナトリウム塩から選択される。別の例において、反応混合物の濃縮前に過酸化水素とともに添加される任意選択の試薬は、酢酸カリウム、酪酸カリウム、およびアルファ−ヒドロキシ酸のカリウム塩から選択される。
新規な方法はダイマーまたはオリゴマーホスフェート化合物を生成しないため、本明細書に記載のモノマー錯体の合成および単離の方法は従来技術と区別することができる。例えば、Boseら、Inorg. Chem. 1985, 24, 3989-3996(「Bose 1985」)により報告された方法は、中性pHでアニオン交換樹脂にアニオン性ピロホスフェート錯体を吸着させ、より低いpHの溶離液で溶離させることによる、反応混合物からのPt(NH(H)(am−2)の単離を含むが、これはam−4、en−2、en−4、dach−2、およびdach−4の合成および単離には有用ではなかった。Bose 1985の方法を使用する場合、より低いpHの電解液での溶離による分離を試みると、これらの錯体はイオン交換ベッド上で分解した。まず、錯体は黒褐色に変色し、次にイオン交換樹脂内に不溶性の黒色沈殿物が形成された。am−4、en−2、en−4、dach−2、およびdach−4のそれぞれの反応混合物からの分離は、Bose 1985の方法が本明細書に記載のように修正されたときのみ可能であった。各反応混合物は、次のステップにおいてpHを低下したときに未反応のピロリン酸が沈殿しない程度に真空蒸発により濃縮された(ピロホスフェート配位子の溶解度は、pHにより大きく変化する)。選択的な沈降を始めるために、最終濃度は0.05Mから0.08Mの間であったが、これは、体積のさらなる低下が、反応の間に過剰に存在しなければならない未反応ピロホスフェートの共沈殿を生じさせるからである。濃縮後、反応混合物を冷却し、錯体のプロトン化形態と脱プロトン化形態との間の溶解度の差を利用して沈降を誘引するために、pHを1.0まで急速に低下した。
中性pHでは、本発明の単離されたモノマーPt(II)およびPt(IV)錯体は安定である。31P NMRスペクトルにより示されるように、pH6〜8の範囲では、該錯体は、水溶液中での中性pHにおける6日間の時間間隔において、アミンまたはピロホスフェート配位子の損失に起因するいかなる脱配位も受けなかった。しかしながら、pH4.2では、同じ時間間隔において、ピロホスフェート配位子の放出に起因する緩やかな脱配位が、−10.3ppmにおける遊離ピロホスフェートのシグナルの出現により明らかであった。同時に、不溶性のピロホスファト架橋複核白金(II)生成物が形成された。データはまた、酸分解が酸性度に大きく依存する、つまり酸性度がより高いほど分解がより速いことを示している(図5、表1、および表2を参照)。
Figure 2010535803
Figure 2010535803
本発明の錯体は、様々な癌の治療に有用である。ヒト卵巣細胞株(A2780)およびチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)における細胞傷害性アッセイは、これらの錯体が1回目の治療法として有効であることを示しており、シスプラチンおよびカルボプラチン耐性卵巣細胞(C30)(表3を参照)を用いたアッセイは、これらの錯体が耐性癌の好適な2回目の治療法であることを示している。本発明の錯体は、in vivoで毒性を低減する可能性があるため特に望ましい。これらの錯体は、シスプラチンと比較して、低減された量が細胞に取り込まれ、シスプラチンおよびその他の白金癌治療薬の用量と比較して、必要とされる用量がより低くなる可能性がある。例えば、10μM濃度では、A2780細胞におけるシスプラチン蓄積は3.0ng Pt/10細胞であり、一方dach−2は1.0ng Pt/10細胞を示し、耐性細胞株においては、dach−2はそのIC50値において1.4ng Pt/10細胞を示し、一方シスプラチンは>5ng Pt/10細胞を示したが、前者の錯体のIC50値は、後者の錯体の半分未満である(図10および表4を参照)。
Figure 2010535803
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当該データは、本発明の錯体が、シスプラチンおよびその他の白金薬とは異なる分子機序および細胞機序によりアポトーシスを誘引し得ることを示唆している。第1に、共有結合がないこと(図12および実施例13を参照)は、本発明の錯体がDNA結合経路を介して機能しないことを示している。当業者には、一般に、獲得されるシスプラチン耐性は、ヌクレオチド除去修復プロセスによるDNAからの白金の効果的除去に起因すると考えられている。DNA結合が明らかに存在しないために、ひいてはDNA修復機序が本発明の錯体では行われない可能性のために、この錯体に対する細胞耐性を排除することができる。この結論は、dach−2がシスプラチンおよびカルボプラチン耐性細胞株の両方において有効であることを示す細胞傷害性データから裏付けられる(表3を参照)。
第2に、本発明の錯体が、シスプラチンおよびその他の白金薬とは異なる分子機序および細胞機序によりアポトーシスを誘引する証拠は、dach−2をシステインおよびグルタチオン(データは示されていない)と反応させた実験から得られる。dach−2のピロホスフェート配位子は、チオールによる同時連結により容易に置換されたが、これはシステインまたはメチオニン残基を介した細胞表面タンパク質の可能性あるタンパク質アンカー部位を示している。
第3に、本発明の錯体が、シスプラチンおよびその他の白金薬とは異なる分子機序および細胞機序によりアポトーシスを誘引する証拠は、fasおよびそれと関連したメンバーの過剰発現を含む実験から得られる(実施例11参照)。本発明の錯体に応答したそのような過剰発現は、DNAを損傷する経路以外のシグナル伝達経路が本発明の錯体の細胞傷害性活性の発現に最も関与すると考えられることを暗示している。平均的に、細胞が本発明の錯体で処理された場合にfasは6倍過剰発現し、シスプラチンで処理された細胞においては有意な過剰発現は観察されなかった。
本明細書に記載のように、本発明の錯体は、一般に使用されるシスプラチンおよびカルボプラチンと同程度有効であるか、またはそれよりも有効であり、したがって、以前はシスプラチンおよびカルボプラチン治療に代わる有効な代替物のなかった患者の癌治療の方法を提供する。しかしながら、患者は、本明細書に記載の錯体および方法で治療するために、以前にシスプラチンまたはカルボプラチンで治療されている必要はない。治療の施行は、病院またはその他の医療施設において医療関係者により行うことができる。
本発明の錯体は、個々の患者の病態、投与する部位および方法、投与スケジュール、患者の年齢、性別、体重ならびに医者に知られているその他の因子を考慮して、適切な医療行為に従い投与および服用される。したがって、本明細書の目的において、薬学的に「有効な量」は、当技術分野において知られるようなそのような考慮点により決定される。該量は、改善された生存率もしくはより急速な回復、または症状および当業者により適切な目安として選択されるその他の指標の改善もしくは排除を含むがこれらに限定されない改善を達成するよう有効でなければならない。本発明の錯体は、哺乳動物を含む動物に投与することができる。
本発明の治療方法において、本発明の錯体は、様々な方法で投与することができる。それらは錯体として投与することができ、またこれらの錯体の優れた溶解度を利用して水溶液として単独で、または、有効成分として薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバントおよびビヒクルと組み合わせて投与することができる。該錯体は、経口、皮下、または、非経口、例えば静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、気管内および鼻腔内投与ならびに髄腔内および注入技法などで投与することができる。該錯体の埋込みもまた有用である。治療対象の患者は、温血動物、特にヒトを含む哺乳動物である。薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバントおよびビヒクル、ならびに埋込み用担体は、一般に、本発明の有効成分と反応しない、不活性かつ非毒性の固体または液体の充填剤または希釈剤または封入材料を指す。
用量は、単回投与または数日間にわたる複数回投与であってもよい。治療期間は、一般に、疾病過程の長さ、薬の有効性および治療対象の患者の種に比例した長さを有する。
本発明の錯体を非経口投与する場合、それらは一般に単位用量の注射剤型(溶液、懸濁液、エマルジョン)として製剤化される。注射に好適な医薬製剤は、滅菌水溶液または分散液、および注射用無菌溶液または分散液にもどすための無菌粉末を含む。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であってもよい。
例えばレシチン等のコーティングを使用することにより、分散の場合は必要な粒径を維持することにより、および界面活性剤の使用により、適正な流動性を維持することができる。綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、ピーナツ油、およびミリスチン酸イソプロピル等のエステル等の非水性媒体もまた、組成物の溶媒系として使用することができる。さらに、抗菌性保存剤、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性、無菌性、および等張性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の活動の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等により確実とすることができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム等を含めることが望ましい。注射用医薬剤型の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によりもたらすことができる。しかしながら、本発明においては、使用されるいかなる媒体、または希釈剤、または添加剤も、当該錯体と適合性がなければならない。
注射用無菌溶液は、本発明の実施に利用される錯体を、必要な場合は様々なその他の成分とともに、必要量の適切な溶媒中に組み込むことにより調製することができる。
本発明の薬理学的な製剤は、様々な媒体、アジュバント、添加剤および希釈剤等の任意の適合性の担体を含有する注射製剤として患者に投与することができ、あるいは、本発明において利用される錯体は、徐放性皮下埋込み物の形態で、または、モノクローナル抗体、ベクター送達、イオントフォレシス、ポリマーマトリックス、リポソーム、およびミクロスフェア等の標的送達系の形態で、患者に非経口投与することができる。その他多くのそのような埋込み物、送達系およびモジュールが、当業者に周知である。
本発明は、以下の実験的実施例を参照して、より詳細に説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、限定を意図しない。したがって、本発明は、本明細書に記載される教示の結果明らかとなるあらゆる変形を包含するものと解釈されたい。
上記の説明および続く実施例は、以前に開示された合成方法とは異なる様式でのピロホスファト白金錯体の合成を示す。これらの錯体は、シスプラチンおよびカルボプラチン耐性癌などにおいて、抗癌活性を有することが示されている。予期せぬことに、示された抗癌活性は、現在投与されているいくつかの白金錯体と同等であり、それよりも比較的低い用量で活性である。また、予期せぬことに、データは、本発明の錯体が、現在投与されている白金錯体とは異なる作用機序を有する、つまり治療の間それらはDNAに結合しないことを示唆している。したがって本発明の錯体は、これまで効果的な治療を得ることが困難であったシスプラチンおよびカルボプラチン耐性癌を含む癌の治療に有用な、新規なクラスの白金治療薬を提示する。
本発明は本明細書において例示的に説明されており、使用されている用語は、限定のための用語ではなく本質的に説明のための用語であることが意図されることを理解されたい。明らかに、本明細書の教示に照らして本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本発明は具体的に記載されているものとは異なって実施され得ることを理解されたい。
実施例1:ジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)(am−2)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびシスプラチン0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させると、生成物が淡黄色粉末として沈殿した。氷上で冷却することにより沈降を終了させ、真空濾過により生成物を単離し、冷水およびアセトンで洗浄した。収量Pt(NH(H):0.04g(30%)。31P NMRスペクトルは、外部標準としての85%リン酸と比較して、pH7.99で2.12ppmに単一ピークを示している。195Pt NMR共鳴が、−1503ppmに検出される。
実施例2:シス−ジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金
(IV)
(am−4)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびシスプラチン0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、反応混合物に1mLの30%Hを添加し、さらに3時間反応させた。次いで溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させると、生成物が淡黄色粉末として沈殿した。氷上で冷却することにより沈降を終了させ、真空濾過により生成物を単離し、冷水およびアセトンで洗浄した。収量シス,トランス−Pt(NH(OH)(H):0.05g(34%)。31P NMRスペクトルは、pH8.11で2.32ppmに単一ピークを示しており、195Pt−31P結合定数は15.4Hzである。195Pt NMRスペクトルは、1733ppmに五重項を示しており、195Pt−14N結合定数は232Hzである。
実施例3:1,2−エタンジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)(en−2)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させても、生成物は沈殿しなかった。31P NMRによりin situで生成物の特性を決定した。31P NMRスペクトルにおいて1.93ppmに単一ピークが観察され、195Pt−31P定数は29.73Hzである。
実施例4:1,2−エタンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)(en−4)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびジクロロ(エチレンジアミン)白金(II)0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、反応混合物に1mLの30%Hを添加し、さらに3時間反応させた。次いで溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させると、生成物が淡黄色粉末として沈殿した。氷上で冷却することにより沈降を終了させ、真空濾過により生成物を単離し、冷水およびアセトンで洗浄した。収量トランス−Pt(OH)(C)(H):0.07g(49%)。31P NMRスペクトルは、pH8.13で2.30ppmに単一ピークを示しており、195Pt−31P結合定数は25.9Hzである。195Pt NMRスペクトルは、1582ppmに広いピークを示した。
実施例5:(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)
(dach−2)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびジクロロ(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキシル)白金(II)0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させると、生成物が淡黄色粉末として沈殿した。氷上で冷却することにより沈降を終了させ、真空濾過により生成物を単離し、冷水およびアセトンで洗浄した。収量トランス−Pt(C14)(H):0.05g(38%)。31P NMRスペクトルは、pH7.93で1.78ppmに単一ピークを示しており、195Pt−31P結合定数は25.03Hzである。195Pt NMRシグナルが、−1729ppmに記録されている。
実施例6:(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)(dach−4)
ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.4g)およびジクロロ(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキシル)白金(II)0.1gを、pH8の蒸留水250mLに溶解させ、40℃で15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、反応混合物に1mLの30%Hを添加し、さらに3時間反応させた。次いで溶液を回転蒸発により5〜10mLまで濃縮し、濾過していかなる未反応出発材料も除去した。1N HNOの添加により約1.0までpHを急速に低下させると、生成物が淡黄色粉末として沈殿した。氷上で冷却することにより沈降を終了させ、真空濾過により生成物を単離し、冷水およびアセトンで洗浄した。収量トランス−Pt(OH)(C14)(H):0.07g(52%)。31P NMRスペクトルは、pH7.95で2.41ppmに単一ピークを示しており、195Pt−31P結合定数は25.9Hzである。195Pt NMRスペクトルは、1613ppmに広いピークを示した。
実施例7
31P NMR分光法を使用して、図2に示され実施例1〜6に記載のジアミン(ピロホスファト)白金(II)およびジアミン(ジヒドロキソ)ピロホスファト)白金(IV)錯体がそれぞれ本明細書に記載の新規な方法により合成および単離されたことを確認することができる。
該錯体のそれぞれが、単一の31P NMR共鳴を示し、化学シフトは1.78〜2.12ppmの範囲であった。これらの化学シフトは、遊離ピロホスフェート配位子と比較して9〜11ppm下側であり、当技術分野において報告されているホスフェートキレートで観察される配位化学シフトと一致している。予測される2組の二重項の欠落により明らかなように、単座ピロホスファト錯体は最終生成物では検出されなかった。31P NMRデータはまた、それぞれの場合における単一のピロホスファト白金(IV)錯体の形成により明らかなように、HによるPt(II)錯体からPt(IV)錯体への酸化が選択的であることを示した。
実施例8
ヒト卵巣癌細胞A2780を、Dr. Thomas Hamilton(Fox Chase Cancer Center、Philadelphia、PA)から入手した。5%CO気体を連続的に導入しながら、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、0.25単位/mLインスリンおよびペニシリン/ストレプトマイシンを加えたRPMI 1640を使用して、37℃のインキュベータ内で細胞を単層で培養した。細胞の指数増殖を維持するために、HBSS中0.0625%トリプシンを使用して細胞を継代培養した。
IC50値は、クローン原性アッセイを使用して決定した。簡潔に説明すると、細胞接着させるために、薬物処理の24時間前に単一細胞懸濁液からの500個のA2780細胞を60mmペトリ皿に播種した。薬物処理の日に、培地を傾斜して除き薬物と置換し、これらの処理後の細胞を37℃のインキュベータに1時間戻した。各薬物濃度に対し3つのペトリ皿を用意した。1時間の薬物処理後、薬物を含有する培地を移して新鮮な培地と置換した。これらのペトリ皿を37℃のインキュベータに戻し、1週間かけてコロニーを形成させた。コロニーを固定し、無水メタノール中2%クリスタルバイオレットを使用して染色した。50を超える細胞を含有するコロニーを評点した。3つのペトリ皿からの評点したコロニーの数を平均し、この数を播種した細胞の数で割り、コロニー形成細胞の割合の値を得た。次いで、これらのコロニー形成細胞の割合の値を、薬物で処理しなかったペトリ皿中のコロニー形成細胞の数で割ることにより、播種効率に関して補正した。
表3は、シスプラチンおよびカルボプラチンと比較した、IC50値として表される本明細書に記載の錯体の抗癌活性を示す。データから分かるように、dach−2は、耐性細胞株において、シスプラチンおよびカルボプラチンの両方よりも良好な性能を示す。さらに、dach−4は、カルボプラチンよりもはるかに優れた活性を示す。データはまた、dach−4がシスプラチン/カルボプラチン耐性癌細胞およびシスプラチン感受性細胞に対し同程度またはより効果的であることを示し、これはホスファプラチンが耐性を発現しない可能性をさらに示唆している。
シスプラチンおよびカルボプラチンとは異なり、本発明のホスファト錯体は、これらの錯体を細胞に効率的に輸送するのを補助し得るホスファト配位子の存在に起因して、より低い毒性を示すと予測される。さらに、シスプラチンとは異なり、これらのホスファト錯体は、図12に示されるように、72時間以内に、測定可能ないかなるDNAに対する結合も示さなかった。シスプラチンは、ゲノムDNAへの結合機能を有すると考えられている。したがって、本発明のホスファト錯体は、異なる細胞標的を有する。
実施例9
Dr. Thomas Hamilton(Fox Chase Cancer Center、Philadelphia、PA)から得たシスプラチン耐性卵巣細胞株(C30)(Hamaguchi, et al., 1993)を、本発明のモノマー白金錯体(図2に示される)で処理した。この細胞株はカルボプラチンに対する交差耐性も有する。10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、0.25単位/mLインスリンおよびペニシリン/ストレプトマイシンを加えたRPMI 1640を使用して、5%CO気体を連続的に導入しながら、37℃のインキュベータ内で細胞を単層で培養した。細胞の指数増殖を維持するために、HBSS中0.025%トリプシンを使用して細胞を継代培養した。
IC50値は、クローン原性アッセイを使用して決定した。簡潔に説明すると、細胞接着させるために、薬物処理の24時間前に単一細胞懸濁液からの500個のC30細胞を60mmペトリ皿に播種した。薬物処理の日に、培地を傾斜して除き薬物と置換し、これらの処理後の細胞を37℃のインキュベータに1時間戻した。各薬物濃度に対し3つのペトリ皿を用意した。1時間の薬物処理後、培地を傾斜して除き薬物を移して新鮮な培地と置換した。これらのペトリ皿を37℃のインキュベータに戻し、1週間かけてコロニー形成させた。コロニーを固定し、無水メタノール中2%クリスタルバイオレットを使用して染色した。50を超える細胞を含有するコロニーを評点した。3つのペトリ皿からの評点したコロニーの数を平均し、この数を播種した細胞の数で割り、コロニー形成細胞の割合の値を得た。次いで、これらのコロニー形成細胞の割合の値を、薬物で処理しなかったペトリ皿中のコロニー形成細胞の数で割ることにより、播種効率に関して補正した。
実施例10
ヒト頭頸部扁平上皮細胞癌から誘導されたUMSCC10b(シスプラチン感受性)およびUMSCC10b/15s(シスプラチン耐性)細胞株を、カリフォルニア大学(Dan Diego)のDr. Stephen B. Howellから得た。10%ウシ胎仔血清、100単位/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを加えた1640 RPMI中で細胞を培養した。24ウェルプレートに、各ウェルプレートにつき約20,000細胞/500μl培地を播種した。1.12μMから最大72μMの範囲の可変濃度のdach−2に細胞を曝露した。dach−2錯体の原液を調製し、これらの溶液の一定量を添加してそれらの有効濃度を作製した。次いで細胞を72時間にわたり増殖させた。この試験では、12の異なる濃度を使用した。各濃度に対し1つの対照、全体で12対照が存在した。
UMSCC10b(シスプラチン感受性)のIC50は、1.0μM未満であると推定することができる。それと比較して、シスプラチンのIC50値は同じ細胞株において17μMである(Zheng et al., Clinical Cancer Research, 1997, 3, 1157-1165を参照)。UMSCC10b/15s(シスプラチン耐性)のIC50は、5μMと決定された。図9は、シスプラチン感受性およびシスプラチン耐性細胞株の細胞生存曲線を示す。
実施例11
シスプラチンと比較した本発明の錯体に関する遺伝子発現予備実験(データは示されていない)を、BCL2スーパーファミリー、アポトーシス促進および抗アポトーシスの両方、カスパーゼ、BIRファミリー、TNF 受容体活性化因子、p53およびその同族体、ならびにfas関連メンバーを含む、84遺伝子を含有するアポトーシスアレイを用いて、リアルタイムPCRにより行った。2組の遺伝子発現をより詳細に見てみると、発現パターンにいくつかの差が明確に示されていることが分かった。例えば、fasおよびfasスーパーファミリー遺伝子のメンバーは、dach−2で処理された細胞において過剰発現しており、一方シスプラチンは、これらの遺伝子の発現に僅かな変化しか与えていない。具体的には、fasは対照と比較して6倍過剰発現し、TNFRSF−10B等のTNFRS遺伝子は、対照より2〜3倍過剰発現した。これらの後者の受容体因子は、fasスーパーファミリーに属する。BAK1およびBAX等のアポトーシス促進BCL2メンバーがdach−2により約2〜3倍過剰発現し、一方シスプラチンはその発現に有意な変化をもたらさなかったことが分かるのは興味深い。
実施例12:白金の細胞蓄積およびDNAに結合した白金の推定
黒鉛炉原子吸光分析器(Perkin Elmer AA-600)で、水中のシスプラチンまたはピロdach−2を使用して確立された較正曲線から、白金含有量を定量的に推定した。細胞(5×10)を、T75cmフラスコに播種した。24時間後、次いでこれらの細胞を種々の濃度(0、10、20、30および50μM)のシスプラチンおよびピロdach−2で処理した。白金錯体による1時間の曝露後、薬物含有培地を除去して細胞を氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。次いで細胞をトリプシン処理し、ペレット状に遠心分離した。McGahanの方法に従い、分析前に細胞ペレットを濃HNOおよびH中で分解させた。表4に報告されたデータは、それぞれ2回ずつ行われた3つの独立した実験から収集された。シスプラチン蓄積に対しては、所与の濃度における単一試料から、3回の実験によりデータを得た。
DNA−Pt測定では、T75cmフラスコに1.0×10細胞を播種した。24時間後、白金錯体を、0、10、20、30および50μMの異なる濃度で添加した。白金錯体で細胞を24時間処理した。処理後、培地を除去して細胞を氷冷PBSで洗浄した。細胞をトリプシン処理し、ペレット状に遠心分離した。Wizard(登録商標)SV DNA精製キット(Promega)を使用してDNAを抽出した。NanoDrop UV-Vis装置を使用して、260nmの吸収からDNAを定量的に推定した。
実施例13:NMRによる白金−DNA結合
Bruker 500MHz NMR装置で、99%(原子)DO中、水抑制パルスシーケンスによりプロトンNMR分光実験を行った。試料は、リン酸および炭酸緩衝液(10〜20mM)により維持されたpH7.0で、シスプラチン(2.0mM)またはピロdach−2(2.0mM)およびヌクレオチド(5’−dGMP、5’−dAMP、dGpG(5.0mM))、ならびに一本鎖および二本鎖DNA(ウシ胸腺、5.0mM)を含有した。シスプラチン(0.25mM)およびピロdach−2(0.25mM)と合成25−mer:5’−ATGATTTAGGTGACACTATAGCAGT−3’(0.25mM)との反応もまた、同一条件下で行った。反応は最高7日間行い、Hおよび31P NMRスペクトルを一定の時間間隔で記録した。通常、5μsのパルス幅、1.0sの反復遅延を測定に使用した。典型的には、10,000Hzの掃引幅および32Kデータ点を選択して自由誘導減衰を収集した。1Hzの線幅拡大因子をフーリエ変換に適用した。H−O−Dピークを参照すると、化学シフトは4.67ppmに見られた。

Claims (33)

  1. 癌を治療するための組成物であって、
    図1に記載の式I、II、IIIおよびIVの1もしくは複数の単離されたモノマー白金錯体
    (式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、
    およびRのうちの一方がNHである場合、RおよびRのうちの他方がNHではなく、
    Sが、水酸化物、酢酸、酪酸、およびアルファ−ヒドロキシ酸から独立して選択される)、または
    その薬学的に許容される塩
    を含む組成物。
  2. およびRが、それぞれ、アミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキサンアミン、アニリン、ピリジン、および置換ピリジンから独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. が、エチレンジアミンおよびシクロヘキサンジアミンから選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記単離されたモノマー白金錯体が、1,2−エタンジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)である、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記単離されたモノマー白金錯体が、(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)である、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記単離されたモノマー白金錯体が、シス−ジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記単離されたモノマー白金錯体が、1,2−エタンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記単離されたモノマー白金錯体が、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項1に記載の組成物。
  9. 癌を治療するための組成物であって、
    (i)シス−ジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV);
    (ii)1,2−エタンジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II);
    (iii)1,2−エタンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV);
    (iv)(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II);
    (v)トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV);および
    (vi)その薬学的に許容される塩
    から選択される1もしくは複数の単離されたモノマー白金錯体を含む組成物。
  10. 前記単離されたモノマー白金錯体が、約6から約8のpHの水溶液中で安定である、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記単離されたモノマー白金錯体が、DNAに結合しない、請求項9に記載の組成物。
  12. 前記単離されたモノマー白金錯体が、fasおよびfas関連転写因子の過剰発現を誘引する、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記単離されたモノマー白金錯体が、アポトーシス促進遺伝子の過剰発現を誘引する、請求項11に記載の組成物。
  14. 前記アポトーシス促進遺伝子が、BakおよびBaxである、請求項13に記載の組成物。
  15. 単離されたモノマー白金(II)錯体を調製する方法であって、
    (i)過剰のピロホスフェートと、図15に記載の式VおよびVIの白金錯体
    (式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、Xが、ハロゲンから独立して選択される)
    とを含む水性反応混合物を、約7から約9のpHで、約12時間から約18時間にわたり、約30℃から約60℃の温度に維持するステップと、
    (ii)続いて前記水性反応混合物を、ピロホスフェートの沈殿物が形成しないように濃縮するステップと、
    (iii)酸の添加により、前記反応混合物のpHを2未満のpHに急速に低下させるステップとを含み、
    前記単離されたモノマー白金錯体は、図1に記載の式IまたはIII
    (式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択される)を有し、
    前記単離されたモノマー白金錯体が、約6から約9の間のpHの水溶液中で安定である、前記方法。
  16. 調製される前記単離されたモノマー白金錯体が、(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記温度が40℃であり、前記反応時間が15時間であり、前記pHが7から8の間である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記反応混合物を濃縮した後に、前記反応混合物を、約5℃から周囲温度の間の温度に冷却するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  19. 前記反応混合物のpHを低下させた後に、前記反応混合物を、約5℃から周囲温度の間の温度に冷却するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  20. 単離されたモノマー白金(IV)錯体を調製する方法であって、
    (i)過剰のピロホスフェートと、図15に記載の式VおよびVIの白金錯体
    (式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、Xが、ハロゲンから独立して選択される)
    とを含む水性反応混合物を、約7から約9のpHで、約12時間から約18時間にわたり、約30℃から約60℃に維持するステップと、
    (ii)過酸化水素と、任意選択で酢酸塩、酪酸塩およびアルファ−ヒドロキシ酸の塩、ならびにそれらの組合せの群から選択される試薬とを、前記反応混合物に添加するステップと、
    (iii)続いて前記水性反応混合物を、ピロホスフェートの沈殿物が形成しないように濃縮するステップと、
    (iv)硝酸の添加により、前記反応混合物のpHを2未満のpHに急速に低下させるステップとを含み、
    前記単離されたモノマー白金錯体が、図1に記載の式IIまたはIV
    (式中、R、R、およびRが、それぞれ、置換または非置換の脂肪族または芳香族アミンから独立して選択され、
    Sが、水酸化物、酢酸、酪酸、およびアルファ−ヒドロキシ酸から独立して選択される)を有し、
    前記単離されたモノマー白金錯体が、約6から約9の間のpHの水溶液中で安定である、前記方法。
  21. 前記温度が40℃であり、前記反応時間が15時間であり、前記pHが7から8の間である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記反応混合物を濃縮した後に、前記反応混合物を、5℃から周囲温度の間の温度に冷却するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  23. 前記反応混合物のpHを低下させた後に、前記反応混合物を、5℃から周囲温度の間の温度に冷却するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  24. 前記反応混合物の濃縮前に過酸化水素とともに添加される任意選択の前記試薬が、酢酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびアルファ−ヒドロキシ酸のナトリウム塩から選択される、請求項20に記載の方法。
  25. 前記反応混合物の濃縮前に過酸化水素とともに添加される任意選択の前記試薬が、酢酸カリウム、酪酸カリウム、およびアルファ−ヒドロキシ酸のカリウム塩から選択される、請求項20に記載の方法。
  26. 前記過酸化水素が、30%の初期vol/vol濃度である、請求項20に記載の方法。
  27. 調製される前記単離されたモノマー白金錯体が、シス−ジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項20に記載の方法。
  28. 調製される前記単離されたモノマー白金錯体が、1,2−エタンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項20に記載の方法。
  29. 調製される前記単離されたモノマー白金錯体が、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン−トランス−ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)である、請求項20に記載の方法。
  30. 癌を治療する方法であって、請求項1の錯体から選択される少なくとも1つの単離されたモノマー白金錯体の治療上有効な量と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤またはアジュバントまたは媒体とを投与するステップを含む方法。
  31. 前記癌が、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、および頭頸部癌から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンから選択される1もしくは複数の抗癌剤に耐性を有する癌を治療する方法であって、ジアミン(二水素ピロホスファト)白金(II)および請求項1の錯体から選択される少なくとも1つの単離されたモノマー白金錯体の治療上有効な量と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤またはアジュバントまたは媒体とを投与するステップを含む方法。
  33. 前記癌は、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、および頭頸部癌から選択される、請求項32に記載の方法。
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