JP2010534489A - 遺伝子クラスターまたはその一部分をクローニングするためのベクターおよび方法 - Google Patents

遺伝子クラスターまたはその一部分をクローニングするためのベクターおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ストレプトマイセス(streptomycete)の二次代謝物の生合成遺伝子クラスターのクローニング、伝達および異種発現を容易にするための、シャトルBACベクターに関する。本発明はまた、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、二次代謝物の生合成遺伝子クラスターをストレプトマイセス(streptomycetes)からクローニングするプロセスを増強するための、このベクターを用いたプラスミドレスキュー方法にも関する。その後、クローニングしたDNAを、推定上の二次代謝物の遺伝子クラスターの配列決定または異種発現に使用することができる。
【図1】

Description

本発明は、遺伝子クラスターの全体または一部分を含有する大きな核酸断片を、1つの原核生物から別の原核生物へとクローニングまたは移すためのベクターおよび方法に関する。本発明はまた、様々な生物中の挿入したDNA片に隣接する染色体DNAを単離するためのプラスミドレスキュー方法にも関する。
放線菌(Actinomycetes)およびストレプトマイセス(Streptomycetes)を含めた放線菌目(Actinomycetales)のグラム陽性細菌は、巨大な量の有用な薬学的活性を有する天然物を産生する。これらの天然物の多くは、非常に多様な化学構造および生物活性を有するポリケチドまたは非リボソームペプチドのファミリーのどちらかに属する。ポリケチド合成酵素(PKS)および非リボソームペプチドシンセターゼ(NRPS)は、対応する化学物質の合成を担っているマルチモジュールのメガンザイム(meganzyme)である(Staunton J、Weissman K.J.、2004、Nat Prod Rep、2001、18:380〜416;Finking R、Marahiel MA、Annu Rev Microbiol、58:453〜488;Annu Rev Microbial.、2004;58:453〜88)。多酵素系をコードする遺伝子は、通常、染色体上でグループを作っており、明確な生合成遺伝子クラスターを形成している。最終産物次第では、遺伝子クラスターの大きさは100kbの規模であることができる(August,P.R.、Tang,L.、Yoon,Y.J.、Ning,S.、Muller,R.、Yu,T.W.、Taylor,M.、Hoffmann,D.、Kim,C.G.、Zhang,X.、Hutchinso,C.R.、およびFloss,H.G.、1998、S699、Chem.Biol.、5:69〜79)。この現象は、異種発現の研究に特に有用である、1つのクローン内に大きな遺伝子クラスターをクローニングすることに対する挑戦を提示している。細菌人工染色体(BAC)の適用によりクローニングプロセスが容易になるが、任意の大きな遺伝子クラスターを大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(Streptomycetes)へと伝達することは、依然として挑戦を要する。最近、この挑戦を乗り越えるために大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(Streptomyces)シャトルBACベクターが構築された(Sosio,M.、F.Giusino、C.Cappellano、E.Bossi、A.M.Puglia、およびS.Donadio、2000、Nat.Biotechnolo.、18:343〜345;Martinez,A.他、2004、Appl.Environ.Microbiol.、70(4):2452〜63)。どちらの研究においても、染色体内にベクターを部位特異的に組み込むために、φC31 attP−int組換え系を利用した。
大きな遺伝子クラスターをストレプトマイセス(Streptomycetes)からクローニングするために使用する慣用方法は、通常、コスミドまたはBACのライブラリのどちらかの複雑かつ困難な構築およびスクリーニングを含む。現在、全ゲノム配列決定データが数々のストレプトマイセス(Streptomycetes)株について利用可能である。さらに、天然物の生合成経路のさらなる特徴づけは、益々興味が持たれている領域である。
プラスミドレスキュー方法が、様々な生物中の挿入したDNA片に隣接する染色体DNAを単離するために使用されている(Hamilton,B.A.、Zinn,K.、1994、Methods Cell Biol.、44:81〜94;Kiessling,U.、Platzer,M.、およびStrauss,M.、1984、Mol Gen Genet.、193:512〜519;Weinrauch,Y.、およびDubnau,D.、1983、J Bact.、154:1077〜1087;McMahon T.L.、Wilczynska,Z.、Barth,C.、Fraser,B.D.、Pontes,L.、およびFisher P.R.、1996、Nucleic Acids.Res.、24:4096〜4097)。この目的のために使用するベクターのクローニング容量が限定されているため、この方法は、主に挿入部位に直接隣接した領域のクローニングおよび同定に使用されている。
本明細書中で参考文献の引用する際はすべて、そのような参考文献が本発明の従来技術として利用可能であることの承認ではない。
本発明は、約20kb〜約100kbの範囲の大きさの遺伝子クラスターを直接クローニングするためのシャトルBACベクターを提供する。ベクターは、クローニングしたDNAを原核生物から放線菌(Actinomycetes)の株内へと伝達して組み込むために用いる。クローニングしたDNAの組込みは、レシピエントの染色体のφBT1 attB部位で起こる。本発明はまた、コスミドまたはBACのライブラリの作製およびスクリーニングを必要とせずに、大きなDNA断片を指定した放線菌(Actinomycetes)株から直接クローニングするために使用することができるプラスミド(BAC)レスキュー方法も提供する。これらの大きなDNA断片は、インタクトな遺伝子クラスターまたは遺伝子クラスターの主要部分を含有し得る。
第1の態様では、本発明は、少なくとも2つの複製起点、原核F因子分配系、伝達起点、ベクターをレシピエント細胞内に組み込むことを可能にする部位特異的組換え系、および選択マーカーを含む、遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)の種へクローニングまたは伝達するためのベクターを提供する。
第2の態様では、本発明は、少なくとも2つの複製起点、原核F因子分配系、伝達起点、φBT1 attP−int組換え系、および選択マーカーを含む、遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)の種へクローニングまたは伝達するためのベクターを提供する。
一実施形態では、本発明は、遺伝子クラスターの全体または一部分をさらに含む、本明細書中に記載のベクターを提供する。
一実施形態では、本発明のベクターをその中から伝達する原核生物は、大腸菌(E.coli)である。他の実施形態では、原核生物は、同じもしくは異なる放線菌(actinomycetes)の株、または遺伝物質を1つの生物から別の生物へと伝達するために当業者に知られている任意の他の原核生物であり得る。遺伝物質のドナーは原核または真核生物であり得る。
一実施形態では、本発明のベクターは細菌人工染色体(BAC)ベクターである。一実施形態では、BACベクターはシャトルBACベクターである。一実施形態では、シャトルBACベクターは、大腸菌(E.coli)−放線菌(Actinomycetes)接合ベクター、pSBAC(配列番号1)である。
一実施形態では、本発明のベクターの少なくとも2つの複製起点は、大腸菌(E.coli)の複製起点である。一実施形態では、2つの大腸菌(E.coli)複製起点は、ori2およびoriVである。一実施形態では、複製起点の少なくとも1つはori2およびoriVから選択される。一実施形態では、複製起点の少なくとも1つは、配列番号2または配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、ori2核酸配列は、配列番号2に記載されている。一実施形態では、oriV核酸配列は配列番号3に記載されている。
一実施形態では、本発明のベクターの原核F因子分配系は、大腸菌(E.coli)のF因子分配系である。一実施形態では、大腸菌(E.coli)のF因子分配系の核酸配列は、配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、本発明のベクターの伝達起点はoriTである。一実施形態では、伝達起点は、配列番号5に記載のヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、シャトルBACベクターは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、本発明のベクターは、二次代謝物の特異的な生合成経路の一部である1つまたは複数の遺伝子産物をコードする遺伝子クラスターの全体または一部分を含む、大きなDNA断片のクローニングまたは伝達を提供する。一実施形態では、遺伝子産物は、ポリケチドおよび非リボソームポリペプチド(NRP)から選択される。一実施形態では、ポリケチドは、抗生物質、免疫抑制剤、抗癌剤、抗真菌剤およびコレステロール降下剤からなる群から選択される。一実施形態では、本発明のポリケチドは、マクロライド抗生物質またはテトラサイクリン抗生物質である。一実施形態では、マクロライド抗生物質は、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシンおよびトロレアンドマイシンからなる群から選択される。一実施形態では、テトラサイクリンは、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびデメクロサイクリンからなる群から選択される。一実施形態では、本発明のポリケチドは、ラパマイシン、アスコマイシン(FK520)およびタクロリムス(FK−506)からなる群から選択される免疫抑制剤である。一実施形態では、本発明のポリケチドは、抗癌剤ドキソルビシンである。一実施形態では、本発明のポリケチドは、抗真菌剤アムホテリシンBである。一実施形態では、本発明のポリケチドは、コレステロール降下剤ロバスタチンである。一実施形態では、本発明の非リボソームポリペプチド(NRP)は、免疫抑制剤または抗生物質である。一実施形態では、本発明の非リボソームポリペプチド(NRP)は、免疫抑制剤シクロスポリンAである。一実施形態では、本発明の非リボソームポリペプチド(NRP)は、抗生物質ペニシリンである。一実施形態では、本発明のベクターは、アクチノロージンまたはメリダマイシンの生合成に関与しているタンパク質をコードする遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片の、クローニングまたは伝達を提供する。一実施形態では、本発明のベクターは、メリダマイシンの生合成に関与しているタンパク質をコードする遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片の、クローニングまたは伝達を提供し、遺伝子クラスターは、配列番号31の核酸配列を含むmer遺伝子クラスターである。
本発明の第3の態様は、大きなDNA断片を単離またはクローニングするためのプラスミドレスキュー方法であって、大きなDNA断片は約20kb〜約100kbの範囲の大きさであり、ベクターの組込みを可能にする部位特異的組込み配列を有する核酸を含有する本発明のベクターのうちの任意のものをレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞へと伝達するステップと、放線菌(Actinomycetes)染色体内に取り込まれたベクターを含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞を選択するステップと、DNAをレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞の染色体から単離するステップと、DNAを大腸菌(E.coli)細胞内に伝達するステップと、ベクターのうちの任意のものを含有する大腸菌(E.coli)細胞についてスクリーニングするステップと、大きなDNA断片を大腸菌(E.coli)細胞から単離するステップとを含む方法を提供する。
本発明の第4の態様は、大きなDNA断片を単離またはクローニングするためのプラスミドレスキュー方法であって、大きなDNA断片は約20kb〜約100kbの範囲の大きさであり、ベクターの組込みを可能にする相同配列を含有する本発明のベクターのうちの任意のものをレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞へと伝達するステップと、放線菌(Actinomycetes)染色体内に取り込まれたベクターを含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞を選択するステップと、DNAをレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞の染色体から単離するステップと、前のステップからの単離したDNAを大腸菌(E.coli)細胞内に伝達するステップと、本発明のベクターのうちの任意のものを含有する大腸菌(E.coli)細胞についてスクリーニングするステップと、大きなDNA断片を大腸菌(E.coli)細胞から単離するステップとを含む方法を提供する。
一実施形態では、本発明のプラスミドレスキュー方法は、遺伝子クラスターの全体または一部分である大きなDNA断片を単離またはクローニングすることを提供する。一実施形態では、遺伝子クラスターは、アクチノロージンまたはメリダマイシンの生合成に関与しているタンパク質をコードする。
一実施形態では、本発明のプラスミドレスキュー方法は、レシピエント細胞内に部位特異的組込み配列を提供し、これはatt部位である。一実施形態では、レシピエント細胞内のatt部位は、配列番号6のヌクレオチド配列を含むattB部位である。
一実施形態では、本発明のプラスミドレスキュー方法は、ベクターによってレシピエント細胞に伝達される生物学的活性または酵素活性について選択することを含む選択ステップを提供する。
一実施形態では、本発明のプラスミドレスキュー方法は、ベクターの伝達が、ベクターを含有するドナー細胞をレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞と接合させることを含むことを提供する。
本発明の第5の態様は、配列番号31のmer遺伝子クラスターによってコードされているアミノ酸を発現させることを含む、メリダマイシンの産生方法を提供する。
一実施形態では、mer遺伝子クラスターは、配列番号1のpSBACベクター内に取り込まれている。
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図面および詳細な説明を参照することでより良好に理解されるであろう。
大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(Streptomycetes)BACベクターpSBACのマップを示す図である。 プラスミドレスキューの模式図およびレスキューしたクローンの分析を示す図である。 act遺伝子クラスターをエス・セリカラー(S.coelicolor)からレスキューするために使用した戦略の模式図およびレスキューしたクローンの分析を示す図である。 エス・セリカラー(S.coelicolor)、エス・リビダンス(S.lividans)K4−114および相補株ACTres12の粗抽出物の吸収スペクトルを示す図である。 (A)mer遺伝子クラスター全体をpSBACベクター内にクローニングすることを示す図である。mer遺伝子クラスターの模式図を示す。矢印はMerP遺伝子の翻訳開始コドン部位を表す。実線はライブラリのスクリーニングに使用したプローブを表し、斜線はサザンハイブリダイゼーションに使用したプローブを表す。(B)サザン分析によって、mer遺伝子クラスターが異種宿主内に導入されたことが確認された。 様々な株におけるmer遺伝子クラスターの転写の半定量的RT−PCR分析を示す図である。 エス・リビダンス(S.lividans)K4−114、HL30−K3、E7、元のメリダマイシン産生株NRRL30748ならびにメリダマイシンおよび3−ノルメルジアマイシン標準の発酵抽出物のLC/MS分析を示す図である。 4%のプロリンおよび10mMのマロン酸ジエチルを添加したFKA培地中で成長させたストレインE7からのメルダマイシンおよび3−ノルメリダマイシンの産生の、HRMS確認を示す図である。
本方法および処理方法を記載する前に、本発明は、記載した特定の方法および実験条件に限定されず、そのような方法および条件は変化し得ることを理解されたい。また、本明細書中で使用する用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しないことも理解されたい。
本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈により明らかにそうでないと表されない場合以外は、複数形の言及も含まれる。したがって、例えば、「方法」への言及には、1つまたは複数の方法、および/または本明細書中に記載するおよび/または本開示を読解した際に当業者に明らかとなる種類のステップなどが含まれる。
したがって、本出願中では、当分野の技術範囲内にある慣用の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を用い得る。そのような技術は文献中に十分に記載されている。例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor(本明細書中で「Sambrook他、1989」);DNAクローニング:実用的アプローチ(DNA Cloning:A Practical Approach)、第IおよびII巻(D.N.Glover編、1985);オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J.Gait編、1984);核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985));転写および翻訳(Transcription And Translation)(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984));動物細胞培養(Animal Cell Culture)(R.I.Freshney編(1986));固定細胞および酵素(Immobilized Cells And Enzymes)(IRL Press、(1986));B.Perbal、分子クローニングの実用的指針(A Practical Guide To Molecular Cloning)(1984);F.M.Ausubel他(編)、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley&Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
本明細書中に記載のものと類似または均等である任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。本明細書中で言及するすべての出版物は、その全体が参考として組み込まれている。
定義
本明細書中で使用する用語は当業者に理解かつ知られている意味を持つが、利便性および完全性のために、特定の用語およびその意味を以下に記載する。
用語「約」とは、20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。本発明の一実施形態では、用語「約」とは、20kb〜100kbの範囲である、本発明中に記載する遺伝子クラスターの大きさをいう。一実施形態では、用語「約」とは、本明細書中に記載する実際の大きさまたは範囲をいう。
「放線菌(Actinomycetes)」とは、非運動性かつ糸状のグラム陽性細菌である。放線菌(Actinomycetes)は、成長するにつれて、枝分れする細胞のフィラメントを形成し、これは菌糸体と呼ばれる糸状のネットワークとなり、外観が一部の真菌の菌糸体と似ている。放線菌(Actinomycetes)はまた、胞子を形成し、数々の抗生物質を産生するその様式も独特である。この群の、圧倒的に最も盛大な属はストレプトマイセス(Streptomyces)であり、500を超える種が存在する。ストレプトマイセス(Streptomycetes)は、その枝分れする糸状構造が真菌に似ている細菌である、細菌目の放線菌目(Actinomycetales)のメンバーである。しかし、これらは、真核の真菌細胞とは異なり、真の細菌、すなわち原核細胞である。ストレプトマイセス(Streptomyces)種とは、マクロライド抗生物質複合体を産生する陸生の放線菌(actinomycete)をいう。
アクチノロージンとは、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)由来の青色色素を有する芳香族ポリケチド抗生物質をいい、その基本的な炭素骨格はII型ポリケチド合成酵素(PKS)に由来する。(A.ZeeckおよびP.Christiansen、Liebigs Ann.Chem.、724(1969)、ページ172〜182)。
「抗生物質生合成経路」には、一次代謝物を抗生物質へと変換するプロセスに必要な抗生物質生合成遺伝子の全集合が含まれる。これらの遺伝子は当分野で周知の方法によって単離することができ、例えば米国特許第4,935,340号を参照されたい。
「att」部位とは、2つの核酸分子間の部位特異的組換えを容易にする、核酸の同一性または類似性を有する部位をいう。例えば、本発明中に記載する1つのatt部位は、φBT1バクテリオファージの組込み部位である(Gregory,MA他、2003、J.Bacteriol.、185、第17号:5320〜5323)。「attB」部位とは、細菌細胞の染色体上の付着部位をいい、「attP」部位とは、バクテリオファージ上の付着部位をいう。φBT1系のバクテリオファージ中のattP部位の核酸配列を配列番号7に示し、φBT1系の細菌細胞(放線菌(Actinomycetes))中のattB部位の核酸配列を配列番号6に示す。「att」部位の別の例は、Bierman他によって記載されているφC31 att部位である(Bierman,M.、R.Logan、K.O’Brien、E.T.Seno、R.N.Rao、およびB.E.Schoner(1992)、Gene、116:43〜49ならびにKieser,T.、M.J.Bibb、M.J.Buttner、K.F.Chater、およびD.A.Hopwood(2000)、実用的なストレプトマイセスの遺伝学(Practical Streptomyces genetics)、ノッティンガム大学、英国Nottingham)。
本明細書中で使用する用語「BAC」(細菌人工染色体)とは、大きなDNA断片をその中に挿入することができる細菌の染色体に由来するクローニングおよび配列決定ベクターを意味することを意図する。大きなDNA断片は、約20kb〜約400kbの範囲の大きさであり得る。一実施形態では、大きなDNA断片は、約20kb〜約300kbの範囲の大きさであり得る。一実施形態では、大きなDNA断片は、約20kb〜約100kbの範囲の大きさの遺伝子クラスターの全体または一部分を含む。大きなDNA断片のBACは、単一コピーの大腸菌(E.coli)のFプラスミドに基づいており、>300kbのヒトゲノムDNA、ならびにバキュロウイルスおよびネズミサイトメガロウイルスのものを含めた大きなDNAウイルスのゲノムを安定に維持することが以前に実証されている(Shizuya,H.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:8794 8797(1992);Luckow,V.A.他、J.Virol.、67:4566 4579(1993);Messerle,M.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:14759 14763(1997))。本明細書中で使用する用語「組換え細菌人工染色体」(BAC)とは、約20kb〜約400kbまでの範囲の大きさの大きなDNA挿入物を含有するBACベクターをいう。一実施形態では、大きなDNA挿入物は、特異的生合成代謝経路の一部である1つまたは複数の遺伝子産物をコードする、約20kb〜約100kbの遺伝子クラスターの全体または一部分を含む。組換えBACのDNAが宿主細菌内に導入された後、これは、自己複製するか、または宿主の染色体内に組み込まれることができる。
用語「二次代謝物のための生合成経路」とは、薬学的に使用するために二次代謝物を合成するための、細菌、ヒト、および様々な植物の遺伝子からなる生合成ネットワークをいう。この経路は、一般に、一連の天然に存在する酵素に制御された反応を含み、1つの物質が別の物質に変換されて、二次代謝物または副産物の放出がもたらされる。
「コード配列」またはRNA、ポリペプチド、タンパク質、もしくは酵素などの発現産物を「コードする」配列とは、発現された場合にRNA、ポリペプチド、タンパク質、または酵素の産生をもたらすヌクレオチド配列であり、言い換えると、ヌクレオチド配列は、そのポリペプチド、タンパク質または酵素のアミノ酸配列をコードする。タンパク質のコード配列には、開始コドン(通常はATG)およびストップコドンが含まれ得る。
本明細書中で使用する用語「接合」とは、細胞の直接接触を介した、1つの原核細胞から別の原核細胞への核酸の直接伝達をいう。したがって、「接合ベクター」(例えばpSBAC)とは、目的の核酸を含有するベクターであり、そのような核酸は、ベクターを含有する細胞と2つの細胞の直接接触後に核酸が伝達されるレシピエント細胞との間の直接接触を介して、1つの細胞から別の細胞へと直接伝達される(すなわち、配列を単離せずに核酸配列を1つの細胞から別の細胞へと受け渡される)。本明細書中で使用する用語「接合伝達」とは、2つの細菌細胞の一時的な結合をいい、その間に、一方の細胞がその遺伝物質の一部または全体を他方の細胞に伝達する。
用語「誘導体」とは、活性親化合物と機能的には均等であるが、構造的には異なり得る化学合成有機分子をいう。これはまた、生体利用度、吸収を増加させるため、または毒性を低下させるために化学的に変更した、化学的に類似の化合物もいい得る。例えば、誘導体とは、類似の化合物から形成される化合物、または別の化合物から、1個の原子を別の原子もしくは原子群で置き換えた場合に生じることが予想される化合物、または前駆体化合物から形成され得る化合物である。
用語「発現する」および「発現」とは、遺伝子またはDNA配列中の情報が顕在化することを可能にするまたは引き起こすこと、例えば、対応する遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによってタンパク質を産生させることを意味する。DNA配列は、細胞内または細胞によって発現されて、タンパク質などの「発現産物」を形成する。発現産物自体、例えば、生じるタンパク質も、細胞によって「発現された」と言ってもよい。発現産物は、細胞内、細胞外または分泌されたものとして特徴づけることができる。用語「細胞内」とは、細胞内に存在するものを意味する。用語「細胞外」とは、細胞外に存在するものを意味する。物質は、細胞上または細胞内のどこかから、細胞外に顕著な量で見られる場合に、細胞によって「分泌された」ものである。
用語「発現制御配列」とは、一緒になってコード配列の転写を調節するプロモーターおよび任意のエンハンサーまたは抑制要素をいう。好ましい実施形態では、この要素は複製起点である。
「F因子」または「原核F因子」とは、原核生物中に見つかる稔性因子をいう。これは、細菌が他の細菌との接合を媒介することを可能にする、小さなエピソームDNA片である。その染色体外の状態では、この因子は約62kbの分子量を有し、少なくとも20個の伝達遺伝子、複製起点ならびに不和合および複製のための他の遺伝子をコードする。F因子は3つの異なる状態で存在することができる。「F」とは、上述の遺伝情報のみを含有する、自律性の染色体外状態の因子をいう。「Hfr」(「高頻度組換え」を指す)状態とは、因子が、恐らくはその様々な挿入配列が原因で、自身を染色体内に組み込んだ状況を説明している。最後に、「F’」または(Fダッシュ)状態とは、染色体外の要素として存在する因子をいうが、追加の要件として、染色体DNAの一部分がそれと共有結合して含有されている。F因子を含有しない株は「F」であると言う。F因子の「分配系」とは、どちらの娘細胞にも親プラスミドのコピーが遺伝していることを確実にする系をいう。
「断片」とは、親のタンパク質もしくはポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも4個のアミノ酸残基(好ましくは、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも15個のアミノ酸残基、少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも25個のアミノ酸残基、少なくとも40個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも60個のアミノ酸残基、少なくとも70個のアミノ酸残基、少なくとも80個のアミノ酸残基、少なくとも90個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも125個のアミノ酸残基、もしくは少なくとも150個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むタンパク質もしくはポリペプチド、または、親核酸のヌクレオチド配列の少なくとも10個の塩基対(好ましくは少なくとも20個の塩基対、少なくとも30個の塩基対、少なくとも40個の塩基対、少なくとも50個の塩基対、少なくとも50個の塩基対、少なくとも100個の塩基対、少なくとも200個の塩基対)のヌクレオチド配列を含む核酸のいずれかをいう。任意の所定の断片は、親の核酸またはタンパク質またはポリペプチドの機能的活性を保有していても、していなくてもよい。
用語「遺伝子」とは、1つまたは複数のタンパク質または酵素の全体または一部を含む特定のアミノ酸配列をコードするまたはそれに対応するDNA配列を意味し、例えば遺伝子が発現される条件を決定するプロモーター配列などの調節DNA配列が含まれていても、含まれていなくてもよい。構造遺伝子ではない一部の遺伝子は、DNAからRNAへと転写されるが、アミノ酸配列へと翻訳されない場合がある。他の遺伝子は、構造遺伝子の調節因子またはDNA転写の調節因子として機能し得る。
用語「遺伝子クラスター」とは、同じまたは類似の産物をコードする、2つ以上の密に関連する遺伝子の任意の群をいう。本発明では、遺伝子クラスターは、本明細書中に定義する二次代謝物の合成を担っているマルチモジュールのメガンザイム(多酵素系)をコードする。例えば、ポリケチド合成酵素(PKS)および非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)は、どちらも対応する化学物質の合成を担っているマルチモジュールのメガンザイムである(Staunton J.他、Nat Prod Rep.(2001)8月;18(4):380〜416;Finking,R.他、Annu Rev Microbiol.、2004;58:453〜88参照)。これらの多酵素系をコードする遺伝子は、通常、染色体上でグループを作っており、明確な生合成遺伝子クラスターを形成している。
本明細書中で使用する「遺伝子産物」とは、遺伝子によって、その遺伝子が発現された際に産生される産物をいう。典型的には、この語句は、核酸、タンパク質またはポリペプチドをいう。例えば、本発明では、この語句は、ポリケチド合成酵素などの酵素もしくは非リボソームポリペプチドの合成に役割を果たす任意の酵素をいうか、または、実際のポリケチドもしくは非リボソームポリペプチドもいう場合がある。この例は、米国特許公開第20050272133号、または第20030134398号および第20030124689号中に見つけ得る。さらなる例は、米国特許第6,495,348号中に見つけ得る。
用語「異種」とは、天然に存在しない要素の組合せをいう。例えば、異種DNAとは、天然では細胞内または細胞の染色体部位内に位置しないDNAをいう。異種DNAには、細胞に外来性である遺伝子が含まれ得る。異種発現調節要素とは、それが天然で作動可能に会合しているものとは異なる遺伝子と作動可能に会合している要素をいう。
「相同組換え」とは遺伝的組換えの種類であり、2本の異なるDNA分子鎖間で生じる物理的な再配置プロセスである。相同組換えは、鎖間で物質の交換を生じるための、同一または類似の配列のアラインメント、2つの分子のアラインメントした相同的なDNA鎖間のクロスオーバー、ならびにDNAの切断および修復を含む。相同組換えは他の種類の組換えとは区別される。例えば、反転可能な要素、リゾルバーゼ、および一部のファージ組込み事象によって例示される「部位特異的組換え」が、非相同的組換えの例である。多くの場合、2つの組換え部位で同一または類似の配列が必要であるが、配列は短く、相同組換えで用いられる、より長いストレッチ(数百個の塩基対)から区別される。(J RubnitzおよびS Subramani、1984、Mol Cell Biol.、4:2253〜2258)。
核酸分子は、核酸分子の一本鎖形態が、適切な温度および溶液イオン強度の条件下で他の核酸分子とアニーリングすることができる場合に、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」である(Sambrook他、上記参照)。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同核酸の予備スクリーニングには、55℃のT(融解温度)に対応する低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、例えば、5×SSC、0.1%のSDS、5×デンハート溶液、およびホルムアミドなし;または30%のホルムアミド、5×SSC、0.5%のSDS、5×デンハート溶液を使用することができる。中等度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、より高いT、例えば、40%のホルムアミド、5×または6×SCC、5×デンハート溶液に対応する。高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、最も高いT、例えば、50%のホルムアミド、5×または6×SCC、5×デンハート溶液に対応する。SCCは、0.15MのNaCl、0.015MのNa−クエン酸緩衝液である。5×デンハート溶液は、0.1%のフィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、0.1%gのBSA(w/v)である。ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補配列を含有することを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第では、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズさせるための適切なストリンジェンシーは、当分野で周知の変数である、核酸の長さおよび相補性の度合に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の度合が大きければ大きいほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドのT値は高くなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性(より高いTに相当)は、以下の順序で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100個を超えるヌクレオチドのハイブリッドでは、Tを計算するための方程式が導かれている(Sambrook他、上記、9.50〜9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーションでは、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook他、上記、11.7〜11.8参照)。ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約10個のヌクレオチド;好ましくは少なくとも約15個のヌクレオチドであり;より好ましくは、長さは少なくとも約20個のヌクレオチドである。
用語「組込み部位」とは、レシピエント細胞のゲノム内への核酸の挿入部位をいう。組込み部位は、ランダムであるか、または当業者に知られている部位特異的機構によって起こり得る。保存的な部位特異的組換えでは、例えば、クロスオーバーで見られるものと類似の手段によって可動DNA要素を1本のDNA鎖内に挿入する。可動要素上のDNAのセグメントが標的上のDNAのセグメントと正確に一致し、これにより、インテグラーゼと呼ばれる酵素が可動要素の残りの部分を標的内に挿入することが可能となる。インテグラーゼとは、特別な種類のリコンビナーゼ酵素である。リコンビナーゼとは、二本鎖DNAを特異的部位で切断してリン酸ジエステル結合の損失をもたらす酵素である。この反応は、ホスホチロシン結合を介してリコンビナーゼとDNAとの間に共有結合が形成されることによって安定化する。部位特異的組換えの別の形態である転位組換えは、可動要素内のDNAの同一の鎖が標的DNAと一致することを必要としない。その代わりに、関与するインテグラーゼが可動要素および標的DNAの両方に切れ目を導入し、可動DNAが配列に入ることを可能にする。その後、切れ目をリガーゼによって除去する。また、配列相同性を含有しないDNA配列間の組換えは、非相同的末端結合とも呼ばれる。
一般論として、単語「単離すること」とは、目的の物質をその元の環境(例えば、それが天然に存在する場合は天然の環境、またはそれを配置した環境から)から取り出すことをいう。例えば、「単離した」ペプチドまたはタンパク質は、タンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞物質もしくは他の汚染タンパク質を実質的に含まない、または化学合成した場合に化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。本発明では、プラスミドレスキュー方法は、組込み部位に隣接して位置する遺伝子クラスターを、任意の他の汚染性の遺伝物質または細胞物質を含まないように、「単離」または回収する手段を提供する。
本明細書中で使用する用語「大きなDNA断片」とは、約20キロ塩基〜約400キロ塩基の範囲のおおよその大きさを有する一片のDNAをいう。一実施形態では、「大きなDNA断片」は、約20kb〜約300kbの範囲であり得る。一実施形態では、「大きなDNA断片」は、約20kb〜約200kbの範囲であり得る。一実施形態では、「大きなDNA断片」は、約20kb〜約100kbの範囲であり得る。一実施形態では、「大きなDNA断片」は、遺伝子クラスターの全体または一部分を含み得る。
「メリダマイシン」とは、in vitroで強力なFKBP12結合活性および顕著な神経保護活性を有することが示されているマクロライドポリケチドであり、以下の構造(I)を有する。
Figure 2010534489
これは、ブダペスト条約の規約の下、2004年5月18日に農業研究局カルチャーコレクション(Agricultural Research Service Culture Collection、NRRL)(受託番号NRLL30748)に寄託されている、陸生放線菌(actinomycetes)のWyeth培養物LL−BB0005によって産生される。メリダマイシンは、FK結合タンパク質と結合するイムノフィリンリガンドとして機能する。
「天然物」とは、天然に見つかり、通常は薬学的な創薬および薬物設計で使用するための薬理学的活性または生物活性を有する、化学物質または生きた生物によって産生される物質である。天然物は、全合成によって調製することができる場合でも、そのようにみなすことができる。すべての天然物を完全に合成できるわけではなく、多くの天然物は非常に複雑な構造を有しており、その一部は工業的スケールで合成するには困難かつ高価すぎる。そのような化合物は、その天然源から収穫することしかできない。さらに、収穫から得ることができる構造的類似体の数は非常に限定されている。時折、このような問題を避けるために半合成手順を使用する。これは、しばしば、最終(リード)化合物自体ではなく生合成の中間体を天然源から収穫することを含む。その後、慣用の合成によって中間体を最終産物に変換することができる。この手法は2つの利点を有することができる。第1に、中間体は、最終産物自体よりも容易かつ高収率で抽出し得る。第2に、これは、最終産物の類似体を合成する可能性を可能にし得る。半合成ペニシリンがこの手法の例示である。別の例は、パクリタキセルのそれである。これは、10−デアセチルバッカチンIIIをイチイの樹の針葉から抽出し、その後、4段階の合成を実施することによって製造する。
用語「非リボソームポリペプチド」とは、コンベヤベルトと同じように機能するモジュール式の酵素複合体を用いて合成されるポリペプチドをいう。非リボソームペプチドは、主に単細胞生物、植物および真菌に限定されている。これらの複合体はすべて同様の様式で配置されており、多くの異なるモジュールを含有して、開発中の生成物に化学操作の多様な集合を行うことができる。一般に、これらのペプチドは環状であるが(しばしば高度に複雑な環状構造を有する)、直鎖状の非リボソームペプチドも一般的である。この系はモジュール式であり、脂肪酸およびポリケチドを構築する機構に密に関連しているため、ハイブリッド化合物がしばしば見つかる。オキサゾール、チアゾールおよびそれらの還元された対応物は、しばしば、化合物がこの様式で合成されたことを示している。非リボソームポリペプチドの他の例には、バンコマイシン、チオストレプトン、ラモプラニン、テイコプラニン、グラミシジン、およびバシトラシンが含まれる。
「ポリケチド」とは、細菌、真菌、植物および動物からの二次代謝物である。二次代謝物は生物の個体発生に不必要であると思われるが、防御および細胞間通信などの用途を有すると考えられる。ポリケチドは、アセテート、プロピオネートまたはブチレートなどの単純なカルボキシレートの連続的な縮合から誘導される、大きな天然物の群を表す。また、これらは、広範囲の天然物の構成単位として役割を果たすか、または誘導体化されている。ポリケチドは、非常に広い範囲の生物活性および薬理学的特性を有する、構造的に非常に多様な天然物のファミリーである。ポリケチド抗生物質、抗真菌剤、細胞分裂抑制性剤、抗コレステロール剤、抗寄生虫剤、抗コクシジウム剤、動物成長促進物質および天然の殺虫剤が商業的に使用されている。例には、マクロライド、例えば、ピクロマイシン、エリスロマイシンA、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシンが含まれる。また、免疫抑制剤タクロリムス(FK506)およびラパマイシン、ならびにポリエン抗生物質、例えばアムホテリシンも含まれる。また、テトラサイクリン抗生物質ファミリーも含まれる。抗癌化合物、ダウノマイシン、ブリオスタチンおよびディスコデルモリドもポリケチドである。獣医学用化合物モネンシンおよびアベルメクチンもポリケチドである。また、アクチノロージンおよびメリダマイシンも含まれる。ポリケチドは、1つまたは複数の特殊化したポリケチド合成酵素(PKS)の酵素によって合成する(米国特許公開第20070148717号参照)。
「核酸分子」とは、一本鎖形態または二本鎖ヘリックスのどちらかの、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンもしくはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、もしくはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマーの形態、またはホスホロチオエートおよびチオエステルなどのその任意のホスホエステル類似体をいう。二本鎖のDNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAヘリックスが可能である。用語、核酸分子、特にDNAまたはRNA分子とは、分子の一次および二次構造のみを指し、それをどのような特定の三次形態にも限定しない。したがって、この用語には、とりわけ、直鎖状(例えば制限断片)または環状のDNA分子、プラスミド、および染色体中に見つかる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を記述するにあたって、本明細書中で、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同的な配列を有する鎖)に沿って5’から3’の方向でのみ配列を与えるという通常の習慣に従って記載し得る。「組換えDNA分子」とは、分子生物学的な操作を受けたDNA分子をいう。
「ヌクレオチド」とは、窒素含有塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)、リン酸分子、ならびに糖分子(DNA中ではデオキシリボース、RNA中ではリボース)からなるDNAまたはRNAのサブユニットをいう。
ベクターを宿主細胞内で増殖させるためには、そこで複製が開始される特異的な核酸配列である、1つまたは複数の「複製起点」部位(しばしば「ori」と呼ぶ)を含有し得る。したがって、本明細書中で使用する用語「複製起点」または「ori」とは、核酸の複製を開始する核酸配列をいう。起点では、2本のDNAの鎖が引き離されて複製バブルが形成される。これは、バブルの各側に一本鎖DNAの領域を生じる。その後、DNAポリメラーゼ機構が入り込み、古い鎖を鋳型として使用して新しいDNA鎖の合成を開始することができる。複製「フォーク」が起点からどちらの方向にもDNAに沿って移動し、新しいDNAを合成する。
「ori2」とは、単一コピーの複製を可能にする、大腸菌(E.coli)プラスミド由来の「複製起点」をいう。(Shizuya,H.、Birren,B.、Kim,U.J.、Mancino,v.、Slepak,TI、Tachiiri,Y.、およびSimon,M.、1992、Proc.Natl.Aca.Sci.、890:8794〜8797)。
「oriV」とは、高コピーの複製を可能にする、大腸菌(E.coli)プラスミド由来の「複製起点」をいう。(Perri,S.およびHelinski,D.R.、1993、RK2複製開始タンパク質とプラスミド起点反復との相互作用のDNA配列要件(DNA sequence requirements for interaction of the RK2 replication initiation protein with plasmid origin repeats)、J.Biol.Chem.、268:3662〜2669)。
「oriT」とは、ベクターが1つの細菌細胞から別の細菌細胞へと伝達することを許容する「伝達起点」をいう。
「伝達起点」(例えばoriT)とは、伝達プロセスが開始されるベクター上の部位を表す。これはまた、伝達させるDNAに対してシスで必要な領域として、遺伝的に定義される。接合に特異的なDNA複製は、プラスミド伝達因子もコードするoriT領域内で開始される。
「φBT1 attP−int組換え系」とは、ベクターがレシピエント細胞の染色体のattB部位内に部位特異的に組み込まれることを許容する部位特異的組換え系をいう。(Gregory,M.A.、Till,R.、およびSmith,M.C.M.、2003、J Bacteriol.、185:5320〜5323;GenBank受託番号AJ550940)
「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」とは、DNAおよびRNAなどの核酸中の一連のヌクレオチド塩基であり、2個以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ヌクレオチド配列は、典型的には、タンパク質および酵素を作製するために細胞機構によって使用される情報を含めた、遺伝情報を保有する。これらの用語には、二本鎖または一本鎖のゲノムDNAおよびcDNA、RNA、任意の合成および遺伝子操作したポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方(ただし、センスストランドのみを本明細書中で表す)が含まれる。これには、一本鎖および二本鎖の分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド、ならびに塩基をアミノ酸主鎖とコンジュゲートさせることによって形成される「タンパク質核酸」(PNA)が含まれる。また、これには修飾された塩基を含有する核酸、例えばチオ−ウラシル、チオ−グアニンおよびフルオロ−ウラシルも含まれる。本明細書中の核酸は、天然の調節(発現制御)配列が隣接していてもよいか、または、プロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答要素、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’−および3’−非コード領域などを含めた異種配列と会合していてもよい。また、核酸は、当分野で知られている数多くの手段によって修飾されていてもよい。そのような修飾の非限定的な例には、メチル化、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数を類似体で置換すること、ならびにヌクレオチド間修飾、例えば、無荷電結合を用いたもの(例えば、ホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)および荷電結合を用いたもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)などが含まれる。ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の追加の共有結合した部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属など)、およびアルキル化剤などを含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルのリン酸トリエステルまたはアルキルホスホロアミデート結合の形成によって誘導体化し得る。さらに、本明細書中のポリヌクレオチドはまた、検出可能なシグナルをもたらすことができる標識を用いて、直接または間接的に修飾し得る。例示的な標識には、放射性同位体、蛍光分子、ビオチンなどが含まれる。
「プロモーター」または「プロモーター配列」とは、細胞内でRNAポリメラーゼと結合して、下流(3’方向)のコード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を定義する目的で、プロモーター配列は、その3’末端で転写開始部位によって結合しており、上流(5’方向)に伸びて、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始させるために必要な最小数の塩基または要素が含まれる。プロモーター配列内には、転写開始部位(便宜上、例えば、ヌクレアーゼS1を用いてマップ作成することによって定義する)、およびRNAポリメラーゼの結合を担っているタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見つかる。プロモーターは、エンハンサーおよびリプレッサー配列を含めた他の発現制御配列と作動可能に会合していてもよい。
「原核F因子分配系」とは、細胞分裂において娘F因子の正しい分離および忠実な分布を確実にする活性な位置決めプロセスをいう。(Niki,H.およびHiraga,S.、1997、細胞分裂周期中の大腸菌における分配が活動的なFプラスミドの細胞内分布(Subcellular distribution of actively partitioning F plasmid during the cell division cycle in E.coli.)、Cell、90:951〜957)。この分配系は3つの機能的に明確な領域を含有する。そのうちの2つ(sopAおよびsopB)はトランスで作用する遺伝子産物をコードする一方で、第3の領域(sopC)はシスで機能する。すべての領域が細胞分裂中のプラスミドの分配に必須である。(Ogura T.、Hiraga S.、1983、Cell、32:351〜60)。
用語「レシピエント細胞」とは、本明細書中に記載の目的のベクターを受け取るために選択された細胞をいう。「レシピエント細胞」はまた、「宿主細胞」とも呼び得る。例えば、本発明では、一実施形態は、放線菌(Actinomycetes)をレシピエント細胞として提供する。一実施形態では、本発明は、放線菌(Actinomycetes)の属、特にストレプトマイセス(Streptomycetes)の種を、レシピエント細胞として提供する。一実施形態では、大腸菌(E.coli)がレシピエント細胞であり得る。さらに、レシピエント細胞は、特定の遺伝子、DNAもしくはRNA配列、またはタンパク質を発現するように操作したものであり得る。レシピエント細胞はさらに、スクリーニングに使用することができる。レシピエント細胞は、in vitroで培養するか、または1つもしくは複数の細胞を非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物もしくは一過的に形質移入した動物)に伝達し得る。レシピエント細胞は、原核(例えば細菌)細胞、植物細胞、ならびに昆虫細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞を含めた真核細胞を含めた、任意の生物有機体から選択され得る。適切なレシピエント細胞の他の代表的な例には、任意の他の細菌細胞;真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス(Aspergillus)細胞など;ならびに昆虫細胞、例えばショウジョウバエ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞などが含まれる。
「二次代謝物」とは、生物の正常な成長、発生、または繁殖に直接関与していない有機化合物である。一次代謝物とは異なり、二次代謝物が存在しないことは、生存性/繁殖力の低下、美的な差、または表現型にまったく変化がないことなど、生物にとって穏和な機能障害しかもたらさない。二次代謝物は、しばしば、系統学的群内の狭い一組の種に限定されている。生物に対するこれらの化合物の機能または重要性は、通常、これらが捕食者、寄生生物および疾患に対する防御として、種間競合のため、ならびに繁殖プロセスを促進するため(着色料、魅力的な匂いなど)として使用されるため、生態学的な性質のものである。これらの化合物は、通常、はるかに限定されている生物群に制限されているため、これらは長い間、分類学研究において最重要であった。人類における目的の二次代謝物のほとんどは以下の分類に当てはまり、一部は複数に当てはまる。これらの分類は広い分類であり、二次代謝物をその生合成起源に基づいて分類する。二次代謝物は、しばしば、修飾された一次代謝物合成酵素によって、すなわち、一次代謝物起源の基質を「借りる」ことによって作製されるため、これらの分類は、分類中のすべての分子が二次代謝物であると示していると解釈されるべきでなく(例えばステロイド分類)、むしろ、これらの分類中に二次代謝物が存在すると解釈されるべきである。これらの分類の例およびそれぞれの分類中の試料には、アルカロイド、例えば、ヒヨスチアミン、アトロピン、コカイン、コデイン、モルヒネ、テトロドトキシンなど;テルペノイド、例えば、アザジラクチン、アルテミシン、テトラヒドロカンナビノールなど;ステロイド、例えば、テルペン、サポニンなど;グリコシド、例えば、ノジリマイシンおよびグルコシノレートなど;フェノール、例えばレスベラトロールなど;フェナジン、例えば、ピオシアニンおよびフェナジン−1−カルボン酸(ならびに誘導体)などが含まれる。
用語「選択すること」とは、目的のベクターを含有するレシピエント細胞の同定および単離をいう。形質転換させた微生物、すなわち、組換え分子を含有するものは、様々な陽性および/または陰性の選択方法またはマーカーを用いて選択し得る。特定の態様では、陽性選択マーカーは、アミノ酸などの必須の栄養素が存在しない場合に成長を可能にする遺伝子である。例えば、チミンおよびチミジンが存在しない場合に、thyA遺伝子を発現する細胞は生存する一方で、この遺伝子を発現しない細胞は生存しない。様々な適切な陽性/陰性選択の対が、当分野で利用可能である。例えば、当分野で知られている様々なアミノ酸類似体を陰性選択として使用することができる一方で、最少培地(アミノ酸類似体に関して)上での成長を陽性選択として使用することができる。視覚的に検出可能なマーカーも本発明における使用に適しており、陽性および陰性によって選択するか、かつ/または蛍光活性化細胞分取(FACS)もしくはマイクロフルイディクスなどの技術を用いてスクリーニングし得る。検出可能なマーカーの例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光マーカー、発光マーカー、生物発光マーカーなどが含まれる。適切な蛍光タンパク質の例には、それだけには限定されないが、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリスリンなどが含まれる。適切な生物発光マーカーの例には、それだけには限定されないが、ルシフェラーゼ(例えば、細菌、ホタル、コメツキムシなど)、ルシフェリン、エクオリンなどが含まれる。視覚的に検出可能なシグナルを有する適切な酵素系の例には、それだけには限定されないが、ガラクトシダーゼ、グルコリニダーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、コリンエステラーゼなどが含まれる。他の態様では、陽性選択マーカーとは、遺伝子が存在しない場合に細胞にとって致死的となる化合物に対する耐性を与える遺伝子である。例えば、抗生物質耐性遺伝子を発現する細胞は抗生物質の存在下で生存する一方で、その遺伝子を欠く細胞は存在しない。例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子の存在は、テトラサイクリンの存在下で陽性に選択することができ、フザリン酸の存在下において陰性に選択することができる。適切な抗生物質耐性遺伝子には、それだけには限定されないが、アンピシリン−耐性遺伝子、ネオマイシン−耐性遺伝子、ブラストサイジン−耐性遺伝子、ハイグロマイシン−耐性遺伝子、プロマイシン−耐性遺伝子、クロラムフェニコール−耐性遺伝子、アプラマイシン−耐性遺伝子などの遺伝子が含まれる。特定の態様では、陰性選択マーカーは、特定の基質の存在下で標的細胞に対して致死的な遺伝子である。例えば、thyA遺伝子は、トリメトプリムの存在下で致死的である。したがって、トリメトプリムの存在下で成長する細胞は、thyA遺伝子を発現しない。陰性選択マーカーには、それだけには限定されないが、thyA、sacB、gnd、gapC、zwJ、talA、taiB、ppc、gdhA、pgi、Jbp、pykA、cit、acs、edd、icdA、groEL、secAなどの遺伝子が含まれる。
本明細書中で使用する用語「生物学的活性または酵素活性について選択すること」とは、ベクターによってレシピエント細胞に伝達される遺伝子産物、例えば、それだけには限定されないがポリケチド合成酵素などの遺伝子クラスターによってコードされている酵素に関連する生物活性を測定すること、または、酵素自体の活性を測定することによって、レシピエント細胞、例えば、伝達したベクターを含有する放線菌(actinomycetes)細胞を同定および選択することをいう。また、これは、ポリケチドまたは非リボソームポリペプチドであり得る最終産物の生物活性をいう場合もある。
用語「選択マーカー」または「選択可能マーカー」とは、薬物を、形質転換体のクローニングおよび同定を補助するマーカーとして使用または含めることをいい、例えば、アプラマイシン、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を与える遺伝子が有用な選択可能マーカーである。したがって、本発明の核酸構築体を含有する細胞は、マーカーをベクター内に含めることによって、in vitroまたはin vivoで同定し得る。そのようなマーカーは細胞に識別可能な変化を与え、ベクターを含有する細胞の容易な同定が可能となる。一般に、選択可能マーカーとは、選択を可能にする特性を与えるものである。陽性の選択可能マーカーとは、マーカーの存在がその選択を可能にするものである一方で、陰性の選択可能マーカーとは、その存在がその選択を阻止するものである。陽性の選択可能マーカーの例は薬物耐性マーカーである。条件の実行に基づいて形質転換体の区別を可能にする表現型を与えるマーカーに加えて、比色分析に基づくGFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含めた他の種類のマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(「tk」)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)などのスクリーニング可能な酵素を利用し得る。当業者は、免疫マーカーを、場合によってはFACS分析と併せて、どのように用いるかも知っているであろう。使用するマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることが可能である限りは、重要でないと考えられる。選択可能およびスクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者に周知である。
したがって、用語「配列類似性」とは、進化上の起源が共通であるまたは共通でない場合がある、タンパク質の核酸またはアミノ酸の配列間の同一性または対応性の度合をいう。
「シャトルベクター」とは、一般に、2つの異なる生物、例えば、酵母および大腸菌(E.coli)内などで複製されることができるプラスミドをいう。本発明では、シャトルベクターは、遺伝子クラスターの全体または一部分を含めた大きなDNA断片の、大腸菌(E.coli)および放線菌(Actinomycetes)間の伝達を可能にする。さらに、本発明のシャトルベクターは、約20kb〜約400kbのDNAの大きな断片の伝達を可能にし、2つの異なる生物内で複製されることができるベクターである、「シャトル細菌人工染色体(BAC)ベクター」である。
「部位特異的組込み配列」とは、2つの核酸分子間の組換えおよびドナー核酸分子からレシピエント核酸分子への組込みを容易にする、ドナーまたはレシピエントの核酸分子中の核酸配列をいう。
「部位特異的組換え」または「部位特異的組換え系」とは、一般に20〜30個の塩基の長さの付着(att)部位と呼ばれるそれぞれの分子の独特の部位で起こる、2つのDNA分子間の組換えプロセスをいう。特殊化した酵素「インテグラーゼ」が2つのatt部位を認識し、2つのDNA分子を一緒にし、DNA二重鎖の切断および再結合事象を触媒して、レシピエント細胞のDNA分子のうちの一方が他方のDNA内に組み込まれる。(N.D.Grindley、K.L.Whiteson、P.A.Rice、2006、Annu.Rev.Biochem.、75、567〜605)。
具体的な実施形態では、用語「標準ハイブリダイゼーション条件」とは55℃のTをいい、上述の条件を利用する。
言語「細胞物質を実質的に含まない」には、ポリペプチド/タンパク質が、それを単離または組換えによって産生した細胞の細胞成分から分離されている、ポリペプチド/タンパク質の調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まないポリペプチド/タンパク質には、約30%、20%、10%、5%、2.5%、または1%未満(乾重量)の汚染タンパク質しか有さないポリペプチド/タンパク質の調製物が含まれる。ポリペプチド/タンパク質を組換えによって産生した場合は、培地を実質的に含まないことも好ましい、すなわち、培地は、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、または5%未満を表す。ポリペプチド/タンパク質を化学合成によって生成した場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まないことが好ましい、すなわち、タンパク質の合成に関与している化学前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、ポリペプチド/タンパク質のそのような調製物は、約30%、20%、10%、5%未満(乾重量)の、目的のポリペプチド/タンパク質断片以外の化学前駆体または化合物しか有さない。「単離した」または「精製した」核酸分子とは、核酸分子の天然源中に存在する他の核酸分子から分離されているものである。さらに、cDNA分子もしくはRNA分子、または遺伝子クラスターなどの「単離した」核酸分子は、他の細胞物質、または組換え技術によって産生した場合は培地を実質的に含まないことができ、または化学合成した場合は化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。
具体的な実施形態では、2つのDNA配列は、BLAST、FASTA、DNA Striderなどの配列比較アルゴリズムによって決定して、ヌクレオチドの少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90または95%が、定義した長さのDNA配列にわたって一致する場合に、「実質的に相同的」または「実質的に類似」している。そのような配列の例は、本発明の特定の遺伝子の対立遺伝子または種の変異体である。実質的に相同的な配列は、配列データバンクで利用可能な標準のソフトウェアを用いて、または、例えば、その特定の系について定義されたストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で配列を比較することによって、同定することができる。
同様に、特定の実施形態では、2つのアミノ酸配列は、80%を超えるアミノ酸が同一である、または約90%を超えるアミノ酸が類似である場合に、「実質的に相同的」または「実質的に類似」である。好ましくは、アミノ酸は機能的に同一である。好ましくは、類似または相同的な配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group、GCGパッケージ用のプログラム説明書、バージョン7、ウィスコンシン州Madison)のパイルアッププログラム、または上述のプログラムのうちの任意のもの(BLAST、FASTAなど)を用いたアラインメントによって同定する。
用語「伝達する(transferring)」とは、電気穿孔(電気ショックを用いて細胞膜に一過性の穴を作ること)、接合(細胞の直接接触を介した、1つの原核細胞から別の原核細胞への核酸の直接伝達をいう)、形質導入(細菌DNAをウイルスによって1つの細菌から別の細菌へと移すプロセス)または形質移入(典型的には、細胞膜に一過性の孔もしくは「穴」を開けて、物質の取り込みを可能にすることを含む、外来物質を細胞内に導入すること。形質移入は、しばしば、カチオン性脂質を物質と混合してリポソームを生成することによって実施し、これは、細胞膜と融合してその内容物を内部に入れる。)を含めた、任意の手段によって、核酸を細胞内に導入することをいう。形質転換とは、外来遺伝物質の取り込みおよび発現によりもたらされる、細胞の遺伝子変化である。
「ベクター」とは、プラスミド、ファージ、細菌人工染色体(BAC)またはコスミドなどのレプリコンであり、結合したセグメントの複製をもたらすために、それに別のDNAセグメント(例えば外来遺伝子)を取り込ませてもよく、これにより、導入した配列の発現がもたらされる。ベクターは、導入したDNAに異種であるが、宿主細胞に認識され、それによって使用される、プロモーターおよび1つまたは複数の制御要素(例えばエンハンサー要素)を含み得る。あるいは、ベクター内に導入する配列は、宿主細胞によって認識および発現され得るその天然のプロモーターを保持する(Bormann他、J.Bacteriol、1996;178:1216〜1218)。「レプリコン」とは、細胞内で自律したDNA複製単位として機能する、すなわち、それ自身の制御下で複製することができる、任意の遺伝要素(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である。一実施形態では、本発明のベクターは、例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)および大腸菌(E.coli)の間の接合を許容する、細菌人工染色体(BAC)シャトルベクターである。1つのDNAセグメントを別のDNAセグメント内に挿入する一般的な方法は、制限部位と呼ばれる特異的部位(ヌクレオチドの特異的な群)でDNAを切断する、制限酵素と呼ばれる特定的な酵素の使用を含む。「カセット」とは、定義した制限部位でベクター内に挿入することができる発現産物をコードする、DNAコード配列またはDNAセグメントをいう。カセット制限部位は、カセットが正しいリーディングフレーム内に挿入されることを確実にするように設計されている。一般に、外来DNAは、ベクターDNAの1つまたは複数の制限部位で挿入され、その後、ベクターによって、伝播可能なベクターDNAと共に宿主細胞内に運ばれる。発現ベクターなどの、挿入または付加されたDNAを有するDNAのセグメントまたは配列は、「DNA構築体」と呼ぶこともできる。ベクターの一般的な種類は「プラスミド」であり、これは、一般に、追加の(外来)DNAを容易に受け入れることができ、適切な宿主細胞内に容易に導入することができる、通常は細菌起源の自己完結的な二本鎖DNA分子である。プラスミドベクターは、しばしば、コードDNAおよびプロモーターDNAを含有し、外来DNAの挿入に適した1つまたは複数の制限部位を有する。コードDNAとは、特定のタンパク質または酵素の特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列である。プロモーターDNAとは、開始、調節、または他の様式でコードDNAの発現を媒介もしくは制御するDNA配列である。プロモーターDNAおよびコードDNAは、同じ遺伝子または異なる遺伝子に由来してもよく、同じまたは異なる生物に由来してよい。組換えクローニングベクターには、しばしば、クローニングまたは発現のための1つまたは複数の複製系、宿主中の選択のための1つまたは複数のマーカー、例えば抗生物質耐性、および1つまたは複数の発現カセットが含まれる。ベクター構築体は、当分野の技術範囲内にある慣用の分子生物学および組換えDNA技術を用いて生成し得る。そのような技術は文献中に十分に記載されている。例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor(本明細書中で「Sambrook他、1989」);DNAクローニング:実用的アプローチ(DNA Cloning:A Practical Approach)、第IおよびII巻(D.N.Glover編、1985);F.M.Ausubel他(編)、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley&Sons,Inc.(1994)を参照されたい。
概要
本発明は、以下の構成要素を含有するベクター(pSBAC)を提供する。第1に、これは、2つの複製起点(単一コピーの複製の開始のためのori2および高コピーの複製の開始のためのoriV)ならびに大腸菌(E.coli)のF因子に基づいた分配系(ParA、ParBおよびParC)を有する、細菌人工染色体(BAC)ベクターpCC1BACの主鎖を含有する;第2に、これは、ベクターが1つの細菌細胞から別の細菌細胞へと伝達されることを許容する伝達起点(oriT)を含有し、この機能は、核酸が直接の細胞間接触を介して1つの原核細胞から別の原核細胞へと伝達されることをもたらす、接合に重要である;第3に、これは、レシピエントの染色体のattB部位内へのベクターの部位特異的組込みを許容する部位特異的な組換え系をコードする、φBT1 attP−int DNA断片も含有する。これらの構成要素すべてにおいて、このベクターは、大きなDNA断片を抱えること、およびクローニングしたDNAを大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(streptomycetes)へと伝達すること、ならびにクローニングしたDNAを放線菌(Actinomycetes)ゲノム内にφBT1 attB座位で組み込むことが可能である。φBT1は、幅広く使用されているφC31 attP−int系とは異なる組込み部位を有するため、このベクターは、よく利用されているφC31 attP−int系とは異なる組込み系を表す。このベクター系は利用可能な組込み接合ベクターのレパートリーを拡大し、φC31 attP−int系によって引き起こされる潜在的な有害な影響を回避する。(例えば、φC31 attP−int系の使用は、ストレプトマイセス・トヨカエンシス(Streptomyces toyocaensis)において、糖ペプチド抗生物質であるA47934の産生を、対照株の59%まで減少させる。さらに、φC31 attP−int系の使用は、サッカロポリスポラ・スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)において、既知の農業用殺虫剤であるスピノシンの産生を、対照株の96%まで減少させる。(Baltz,R.H.、1998、Trends Microbiol.、6:76〜83;Matsushima,P.他、1994、Gene、146:39〜45;Matsushima,P.およびBaltz,R.H.、1996、Microbiology、142:261〜127)
二次代謝物の産生を担っている遺伝子は、大きさが100kbの規模であることができるクラスター内に位置するため、このベクターは、これらの遺伝子クラスターをクローニングするため、ならびに、これらの大きな遺伝子セグメントをベクターが自己複製される大腸菌(E.coli)と染色体内のφBT1 attB座位内に部位特異的に組み込まれる様々な放線菌(Actinomycetes)宿主との間でシャフリングするための、重要なビヒクルを提供する。
プラスミドレスキュー方法が、様々な生物中の挿入したDNA片に隣接する染色体DNAを単離するために使用されている。しかし、この目的のために使用するベクターのクローニング容量が限定されているため、この方法は主に、外来性DNAが挿入された座位の隣接領域のクローニングおよび同定に使用した。BACベクターが大きなDNA断片をクローニングする能力を利用して、本発明はまた、pSBACベクターを用いて大きなDNA断片上の生合成遺伝子クラスターをストレプトマイセス(streptomycetes)からクローニングする、プラスミド(BAC)レスキュー方法も提供する。この方法の実装が成功すれば、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、大きなDNA断片のクローニング、特に、微生物の二次代謝物の生合成経路が大きく促進される。原理の証拠として、最初に、ベクターをストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)内に、大腸菌(E.coli)S17−1(pSBAC)からの接合によって伝達した。アプラマイシン−耐性の接合完了体を回収した。そのうち2つのさらなる分析により、ベクターがφBT1 attB座位内に特異的に組み込まれたことが明らかとなった。これら2つのゲノムDNAを単離し、異なる制限酵素で消化し、消化したDNAをパルスフィールド電気泳動に供した。電気泳動のDNA画分の様々な部分を回収した。自己ライゲーションおよび形質転換の後、レスキューしたDNAを大腸菌(E.coli)株、TranforMax EPI300内に導入した。BAC DNAをいくつかの形質転換体から単離し、制限酵素消化およびパルスフィールド電気泳動で分析した。結果により、φBT1 attB部位に隣接した40〜50kbのDNA断片を、この方法を用いてルーチン的にクローニングできることが実証された。この方法が一般的な応用の潜在性を有することを証明するために、エス・セリカラー(S.coelicolor)のアクチノロージン遺伝子クラスターの末端の2kbのDNA断片を増幅し、attP−int座位を有さないpSBACベクター内にクローニングした。その後、この構築体をエス・セリカラー(S.coelicolor)内に形質転換させ、相同組換えにより単一のクロスオーバーがもたらされ、構築体が相同領域内に部位特異的に挿入された。接合完了体のゲノムDNAを単離し、上述の手順を用いた、アクチノロージン遺伝子クラスター全体の単一の大腸菌(E.coli)クローン内へのレスキューが成功した。その後、φBT1 attP−int断片をレスキューしたクローン内に導入して、続く遺伝子クラスターの特異的座位内への組込みを容易にした。最後に、アクチノロージン遺伝子クラスターを、アクチノロージン遺伝子クラスターを事前に欠失させた突然変異したエス・リビダンス(S.lividans)株内に伝達した。クローニングしたアクチノロージン遺伝子クラスターの発現の成功は、アクチノロージンの産生の修復によって実証した。
大きな核酸断片をクローニングおよび伝達する方法
本発明の一態様は、核酸の大きな断片、例えば遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)へとクローニングまたは伝達するためのベクターを提供する。一実施形態では、原核生物は大腸菌(E.coli)の株である。他の実施形態では、原核生物は、核酸を1つの生物から別の生物へと、例えば、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)へと伝達するために使用する、放線菌(actinomycetes)の同じもしくは異なる株、または当業者に知られている任意の他の生物である。遺伝物質のドナーは、遺伝物質を1つの生物から別の生物へと伝達するために使用する、当業者に知られている原核または真核生物であり得る。
一実施形態では、ベクターは細菌人工染色体(BAC)ベクターである。一実施形態では、BACベクターはシャトルBACベクターである。一実施形態では、シャトルBACベクターは、pSBACと呼ばれる、大腸菌(E.coli)−放線菌(Actinomycetes)接合ベクターである。一実施形態では、ベクターは、遺伝子クラスターの全体または一部分をさらに含む。ベクターはBACベクターであることを想定するが、大きな核酸断片を伝達することができる他のベクターも使用が想定される。これらには、バクテリオファージ由来の人工染色体(PAC)および酵母人工染色体(YAC)が含まれる。
細菌人工染色体(BAC)およびバクテリオファージ由来の人工染色体(PAC)は、大きなDNA断片のクローニングに用いられている。さらに、BACおよびPACは、従来の大きなDNAのクローニング系である酵母人工染色体(YAC)を超える特定の利点を有し得る。これには、大きな保有容量(約100〜300kbまで)、高いクローナル安定性、低いキメラ化現象、および取扱いの容易さが含まれる(Shizuya,H.、Birren,B.、Kim,U.J.、Mancino,V.、Slepak,T.、Tachiiri,Y.、およびSimon,M.、1992、PNAS、89:8794〜8797;Ioannou,P.A.、Amemiya,C.T.、Garnes,J.、Kroisel,P.M.、Shizuya,H.、Chen,C.、Batzer,M.A.、およびde Jong,P.J.、1994、Nat.Genet.、6:84〜89;Marra,M.A.、Kucaba,T.A.、Dietrich,N.L.、Green,E.D.、Brownstein,B.、Wilson,R.K.、McDonald,K.M.、Hillier,L.W.、McPherson,J.D.、およびWaterston,R.H.、1997、Genome Res.、7:1072〜1084;Kelley,J.M.、Field,C.E.、Craven,M.B.、Bocskai,D.、Kim,U.J.、Rounsley,S.D.、およびAdams,M.D.、1999、Nucleic Acids Res.、27:1539〜1546);Mozo,T.、Dewar,K.、Dunn,P.、Ecker,J.R.、Fischer,S.、Kloska,S.、Lehrach,H.、Marra,M.、Martienssen,R.、Meier−Ewert,S.、1999、Nat.Genet.、22:271〜275;Hoskins,R.A.、Nelson,C.R.、Berman,B.P.、Laverty,T.R.、George,R.A.、Ciesiolka,L.、Naeemuddin,M.、Arenson,A.D.、Durbin,J.、David,R.G.、2000、Science、287:2271〜2274;Osoegawa,K.、Tateno,M.、Woon,P.Y.、Frengen,E.、Mammoser,A.G.、Catanese,J.J.、Hayashizaki,Y.、およびde Jong,P.J.、2000、Genome Res.、10:116〜128;McPherson,J.D.、Marra,M.、Hillier,L.、Waterston,R.H.、Chinwalla,A.、Wallis,J.、Sekhon,M.、Wylie,K.、Mardis,E.R.、Wilson,R.K.、2001;Nature、409:934〜941)。
細菌人工染色体(BAC)(Shizuya,H.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:8794 8797(1992))およびP1−人工染色体(PAC)(Ioannou,P.A.他、Nature Genet.、6:84 89(1994))の開発は、物理的なマップ作成プロジェクトおよびゲノム配列決定を大きく援助している。BACおよびPACは、ミクログラム単位の量のベクターを調製することの容易さを含めた、大きなDNA挿入物をクローニングすることに関して酵母人工染色体(YAC)を超える多くの利点を有する(Monaco,A.P.、およびLarin,Z.、Trends Biotech.、12:280 286(1994))。
BACおよびPACからの遺伝子発現は、細胞培養系(Wade−Martins,R.他、Nature Biotech、18:1311 1314(2000年12月);Compton,S.H.他、Gene Ther.、7:1600 1605(2000);Kim,S.Y.他、Genome Res.、8:404 412(1998))およびトランスジェニック動物モデル(Antoch,M.P.他、Cell、89:655 667(1997);Yang,X.W.他、Nature Genet.、22:327 335(1999))において実証されている。Wade−Martins他は、BACおよびEBVエピソーム技術の融合に基づいて、ヒト細胞における遺伝子発現のための大きな挿入シャトルベクターを開発している(Wade−Martins,R.他、Nature Biotech、18:1311 1314(2000年12月);Wade−Martins,R.他、Nucleic Acids Res.、27:1674 1682(1999))。このベクターは、EBVに基づいたエピソームとしてヒト細胞内に保持されるゲノムDNA導入遺伝子によって、細胞培養表現型を補完するために使用された(Wade−Martins,R.他、Nature Biotech、18:1311〜1314(2000年12月))。構築体の染色体外維持は、構築体の組込みでしばしば見られるDNA再配置を防止した。Wade−Martins、上記によって記載されているベクターは、EBVの特長にのみ基づいている。
Westphal,E.M.他、Human Gene Therapy、9:1863 1873(1998年9月)およびVos他の国際公開公報WO00/12693号は、大きなゲノム挿入物を既存のBACまたはPACライブラリからヒト細胞へとシャトルするためのベクター系に関する。この系は、ヒト細胞内での複製のために、BACと同様にFに基づいた複製系およびEBVのoriPを含有する、ハイブリッドBAC−HAEC(ヒト人工エピソーム染色体)を利用する。ヒトβ−グロビン遺伝子(185kb)の転写がin vitroで観察された。
Heintz他の米国特許第6,143,566号は、標的化したBAC修飾に関する。この特許は、クローニングベクター内に含有される特定の遺伝子中に欠失、置換、および/または点突然変異を生じることを含めた、組換え欠乏宿主細胞内の独立した起源に基づくクローニングベクター(具体的な一実施形態ではBACなど)を直接修飾する方法を教示する。修飾されたクローニングベクターを用いて、修飾された異種遺伝子を宿主細胞内に導入し得る。提示する一例では、修飾されたBACをネズミ対象動物内に挿入し、in vivoの異種遺伝子発現が実証された。本発明の方法は、RecA宿主細胞におけるクローニングベクターと条件的複製シャトルベクターとの相同組換えを含み、条件的複製シャトルベクターは、RecA様タンパク質をコードする。好ましい実施形態では、ベクターは、温度感受性シャトルベクターpSV1.RecAとの相同組換えを受けたBACである。
Sosio他は、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(streptomycetes)宿主の間でシャトルされ、染色体内に組み込まれることができるBACを記載している。彼らは、部位特異的組込みのための遺伝子カセットを宿主の染色体内に取り込ませることによって宿主内に安定して維持することができるBACの誘導体の構築を提案している。具体的には、彼らは、φC31−attB−int系およびチオストレプトンに対する耐性を与えるためにtsrを用いた。(Sosio他(2000)、Nature Biotechnology、18:343〜345)。しかし、ベクターをφC31−attB部位内に組み込むことは、抗生物質の産生に有害な影響が与えられる場合があることが報告されている。(Baltz他(1998)、Trends Microbiol.、6:76〜83)。これらの報告されている抗生物質の合成の減少は、挿入による突然変異誘発または偽attB部位内への組込みまたは何らかの他の因子が原因であり得る。
本発明は、φBT1−attB組込み系を使用することで本明細書中に記載のベクターをレシピエント細胞の染色体内へ部位特異的に組み込み、それにより、φC31−attB−int系に関連する有害な影響をすべて排除することを提供する。この組込み部位は、Gregory他によって記載されている(Gregory他(2003)、J.Bacteriol.、17:5320〜5323)。
さらに、BACベクターを使用する主な利点は、非常に大きなDNA断片をクローニングおよび伝達するため、ならびにクローンの安定性のためであるが、DNAの回収量は非常に低い。(Wild他(2002)、Genome Res.、12:1434〜1444)。本発明は、2つの複製起点、すなわちori2およびoriVをベクター内に取り込んでおり、したがって本発明のクローニングしたDNAの全収率が向上する。
明らかに、大容量DNAクローニングベクター内のDNA挿入物(特に大きなDNA挿入物)をより容易に細胞に伝達できるように、例えばBACおよびPACなどの大容量DNAクローニングベクターの遺伝子送達系を、単純化および増強する必要性が当分野で存在する。より詳細には、大きなDNA断片、例えば、遺伝子クラスターの全体または一部分を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)へとクローニングおよび伝達する能力を最適化する必要性が存在する。
上述のように、クローニングおよび伝達ビヒクルのレパートリーを拡大するため、ならびに一部の株においてφC31 attP−int系によって引き起こされる潜在的な有害な影響を回避するために(Baltz,R.H.、1998、Trends Microbiol.、6:76〜83)、本出願の発明者らは、φBT1 attP−int座位を用いることによって、新規の大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(Streptomyces)シャトルBACベクター系を開発した。φBT1 attP−int系に基づく組込みベクターは、広い宿主範囲を持つだけでなく、φC31 attP−int系に基づくベクターとも適合性を有し、したがって、ストレプトマイセス(streptomycetes)の分子遺伝学を研究するという追加の選択肢を与えることが報告されている。
シャトルベクターpSBACを、最初に、エス・セリカラー(S.coelicolor)のφBT1付着部位内に部位特異的組換えによって導入した。attB部位で隣接する様々な大きさの領域は、プラスミドレスキュー戦略によって大腸菌(E.coli)内に容易にクローニングできる。さらに、この方法を用いてアクチノロージン遺伝子クラスター全体をクローニングし、続いて異種宿主内で発現させた。
ストレプトマイセス(streptomycete)の二次代謝物の生合成遺伝子クラスターのクローニング、伝達および異種発現を容易にするために、多目的の大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(Streptomyces)シャトル細菌人工染色体ベクター、pSBACを構築した。このベクターは、大きなDNA断片を抱えること、クローニングしたDNAを大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(streptomycetes)へと伝達すること、ならびにクローニングしたDNAをストレプトマイセス(streptomycete)ゲノム内にファージφBT1 attB座位で組み込むことが可能である。このベクターを用いたプラスミドレスキュー方法は、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、二次代謝物の生合成遺伝子クラスターをストレプトマイセス(streptomycetes)からクローニングするプロセスを加速させるために開発されている。その後、クローニングしたDNAを、推定上の二次代謝物の遺伝子クラスターの配列決定または異種発現に使用することができる。応用の一例として、エス・セリカラー(S.coelicolor)由来のアクチノロージン遺伝子クラスター(act)は、このベクターによる単一の大腸菌(E.coli)クローン内でのレスキューが成功し、続いて、act遺伝子クラスターを欠失させた突然変異したエス・リビディアンス(S.lividians)株内に伝達した。アクチノロージンの産生の修復により、クローニングしたact遺伝子クラスターの発現の成功が実証された。
BACベクターが大きなDNA断片をクローニングする能力を利用して、新規BACベクターを使用してストレプトマイセス(Stretptomycetes)から大きなDNA断片をクローニングするための、プラスミド(BAC)レスキュー方法を開発した。最初に、目的の遺伝子に対する一片の相同配列を有するBACベクターを目的の株内に接合した。相同組換えにより、ベクターが標的として座位内に挿入されることがもたらされる。その後、接合完了体のゲノムDNAを単離し、制限酵素で消化し、その後、環状化し、大腸菌(E.coli)内に形質転換させた。元のベクター内に複製起点(ori)が存在いるためにレスキューしたプラスミドは大腸菌(E.coli)内で複製し、ベクター内に含まれる耐性選択マーカーのために形質転換体を寒天プレート上で選択した。様々なストレプトマイセス(Streptomycetes)中の相同組換え機構、およびBACベクターの大きなDNA断片をクローニングする独特な能力を利用することによって、この方法では、部位特異的な挿入部位に隣接する顕著な長さの配列を破壊された株から回収することができる。この方法の実装が成功すれば、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、大きなDNA断片のクローニング、特に、微生物の二次代謝物の生合成経路が大きく促進される。
本方法は、BACまたはPACなどの大容量クローニングベクターを利用する。BACまたはPACが特に好ましい大容量クローニングベクターであるが、当業者に知られている他の大容量クローニングベクターも、本発明で使用することができる。これらには、例えば、コスミド(Evans他、Gene、79:9 20(1989))、酵母人工染色体(YACS)(Sambrook,J.他、分子クローニング:実験室の手引き(A Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor(1989)、哺乳動物人工染色体(Vos他、Nature Biotechnology、15:1257 1259(1997)、ヒト人工染色体(Harrington他、Nature Genetics、15:345 354(1997))、またはウイルスに基づいたベクター、例えば、CMV、EBV、もしくはバキュロウイルスなどが含まれる。
本明細書中で使用する用語「BAC」(細菌人工染色体)とは、大きなゲノムDNA断片、典型的には400kbまでのものをその中に挿入することができる細菌の染色体に由来するクローニングおよび配列決定ベクターを意味することを意図する。BACは、単一コピーの大腸菌(E.coli)のFプラスミドに基づいており、>300kbのヒトゲノムDNA、ならびにバキュロウイルスおよびネズミサイトメガロウイルスのものを含めた大きなDNAウイルスのゲノムを安定に維持することが以前に実証されている(Shizuya,H.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:8794 8797(1992);Luckow,V.A.他、J.Virol.、67:4566 4579(1993);Messerle,M.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:14759 14763(1997)。
本明細書中で使用する用語「PAC」とは、大きなゲノムDNA断片、典型的には300kbまでをその中に挿入することができる、P1バクテリオファージに由来するクローニングおよび配列決定ベクターを意味することを意図する。PACは、Ioannou,P.A.他、Nature Genetics、6:84〜89(1994)およびSternberg他、Proc.Natl Acad Sci USA、87:103 107(1990)に記載されている。
BACまたはPACライブラリ、特にヒトゲノムプロジェクトの結果としてヒトゲノムDNAを含有するものは、当業者が容易に入手可能である(例えば、Simon,M.I.、Nature Biotechnol.、15:839(1997))を参照。
一般に、特に上記例では、宿主微生物を、構成要素ポリヌクレオチドを保有するベクターで形質転換させることは、慣用技術を用いて実施する。一実施形態では、ベクターは、2つの生物間の接合によって、宿主またはレシピエント細胞へと伝達する。一実施形態では、ベクターは、形質移入方法によって宿主細胞またはレシピエント細胞へと伝達し得る。本明細書中で使用する用語「形質転換」および「形質移入」とは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAB−デキストラン媒介形質移入、リポフェクション、電気穿孔、光穿孔、機械的注入、微粒子銃注入などを含めた、外来性核酸配列(例えばDNA)を宿主細胞内に導入するための、様々な当分野で認識された技術を指すことを意図する。宿主細胞を形質転換または形質移入するための適切な方法は、Sambrook他(分子クローニング:実験室の手引き(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州Cold Spring Harbor、1989)、および同様の実験室の手引き中に見つかる。
選択マーカー
一実施形態では、シャトルベクターには、目的の核酸を含有する細胞中で機能的な「選択マーカー」または「選択可能マーカー」が含まれる。この「選択マーカー」は、発現された際、宿主細胞が目的の核酸を含有しない細胞から区別されることを可能にすることができる。例えば、用語「選択マーカー」または「選択可能マーカー」とは、薬物を、形質転換体のクローニングおよび同定を補助するマーカーとして使用または含めることをいい、例えば、アプラマイシン、ネオマイシン、プロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を与える遺伝子が有用な選択可能または選択マーカーである。したがって、本発明の核酸構築体を含有する細胞は、マーカーをベクター内に含めることによって同定し得る。そのようなマーカーは細胞に識別可能な変化を与え、ベクターを含有する細胞の容易な同定が可能となる。一般に、選択可能マーカーとは、選択を可能にする特性を与えるものである。陽性の選択可能マーカーとは、マーカーの存在がその選択を可能にするものである一方で、陰性の選択可能マーカーとは、その存在がその選択を阻止するものである。陽性選択マーカーの例は薬物耐性マーカーである。本実施形態では、陽性選択マーカーとは、遺伝子が存在しない場合に細胞にとって致死的となる化合物に対する耐性を与える遺伝子である。例えば、抗生物質耐性遺伝子を発現する細胞は抗生物質の存在下で生存する一方で、その遺伝子を欠く細胞は存在しない。例えば、テトラサイクリン耐性遺伝子の存在は、テトラサイクリンの存在下で陽性に選択することができ、フザリン酸の存在下において陰性に選択することができる。適切な抗生物質耐性遺伝子には、それだけには限定されないが、アンピシリン−耐性遺伝子、ネオマイシン−耐性遺伝子、ブラストサイジン−耐性遺伝子、ハイグロマイシン−耐性遺伝子、プロマイシン−耐性遺伝子、クロラムフェニコール−耐性遺伝子、アプラマイシン耐性遺伝子などの遺伝子が含まれる。特定の態様では、陰性選択マーカーは、特定の基質の存在下で標的細胞に対して致死的な遺伝子である。例えば、thyA遺伝子は、トリメトプリムの存在下で致死的である。したがって、トリメトプリムの存在下で成長する細胞は、thyA遺伝子を発現しない。陰性選択マーカーには、それだけには限定されないが、thyA、sacB、gnd、gapC、zwJ、talA、taiB、ppc、gdhA、pgi、Jbp、pykA、cit、acs、edd、icdA、groEL、secAなどの遺伝子が含まれる。一実施形態では、選択可能マーカー遺伝子は、アプラマイシン耐性を提供する遺伝子である。(GenBank受託番号AJ414670参照)
別の実施形態では、選択マーカー遺伝子は検出遺伝子であり得る。検出遺伝子は、直接または間接的な標識として、すなわち、細胞を分別するために、すなわち、FACSによる細胞濃縮のために使用することができるタンパク質をコードする。本実施形態では、選択可能マーカー遺伝子自体のタンパク質産物が、選択可能遺伝子を発現する細胞を区別するために役割を果たすことができる。本実施形態では、適切な選択可能遺伝子には、すべて市販されている、すなわち、Clontech,Inc.の、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼをコードするものが含まれる。
あるいは、選択可能マーカー遺伝子は、選択の基準として使用することができる標識と結合するタンパク質をコードする。すなわち、選択可能マーカー遺伝子は、間接標識または検出遺伝子として役割を果たす。例えば、視覚的に検出可能なマーカーも本発明における使用に適しており、陽性および陰性によって選択するか、かつ/または蛍光活性化細胞分取(FACS)もしくはマイクロフルイディクスなどの技術を用いてスクリーニングし得る。検出可能なマーカーの例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光マーカー、発光マーカー、生物発光マーカーなどが含まれる。適切な蛍光タンパク質の例には、それだけには限定されないが、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリスリンなどが含まれる。適切な生物発光マーカーの例には、それだけには限定されないが、ルシフェラーゼ(例えば、細菌、ホタル、コメツキムシなど)、ルシフェリン、エクオリンなどが含まれる。視覚的に検出可能なシグナルを有する適切な酵素系の例には、それだけには限定されないが、ガラクトシダーゼ、グルコリニダーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、コリンエステラーゼなどが含まれる。
本発明の別の態様は、上述のpSBACベクターを用いて大きなDNA断片をストレプトマイセス(streptomycetes)からクローニングする、プラスミド(BAC)レスキュー方法を提供する。この方法は、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、大きなDNA断片のクローニング、特に、微生物の二次代謝物の生合成経路を大きく促進する。第1のステップとして、最初に、pSBACベクターを、エス・セリカラー(S.coelicolor)内に、大腸菌(E.coli)S17−1(pSBAC)からの接合によって伝達した。いくつかのアプラマイシン−耐性の接合完了体を選択し、そのうちの1つからのゲノムDNAを単離し、ScaIで部分的に消化した。消化したDNAをパルスフィールド電気泳動に供し、40〜50kbに対応するDNA画分を回収し、自己ライゲーションし、その後、大腸菌(E.coli)EPI300(商標)内に形質転換させた。BAC DNAをいくつかの形質転換体から単離し、制限酵素消化およびパルスフィールド電気泳動で分析した。結果により、φBT1 attB部位に隣接した40〜50kbのDNA断片を、この方法を用いてルーチン的にクローニングできることが実証された。
以下の実施例は、本発明の特定の態様を実証する。しかし、これらの実施例は例示のためのみであり、本発明の条件および範囲に関して完全に決定的であることを主張しないことを理解されたい。典型的な反応条件(例えば、温度、反応時間など)を与えた場合、指定した範囲の上および下の条件をどちらも、一般には利便性が下がるが使用できることを理解されたい。別段に指定しない限りは、本明細書中で言及するすべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての温度は摂氏で表す。
(実施例1)
pSBACベクターの構築およびプラスミドレスキュー手順の開発
材料および方法
細菌株およびプラスミド:
ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)株M145およびエス・リビダンス(S.lividans)TK24を本研究で用いた。エス・リビダンス(S.lividans)K4−441(ZiermannおよびBetlach、1999、BioTechniques、26:106〜110)を、アクチノロージン遺伝子クラスターを発現させる異種宿主として用いた。大腸菌(Escherichia coli)株EPI300(商標)(Epicentre、ウィスコンシン州Madison)を、pSBACベクターおよびそれに由来する構築体のクローニングおよび増幅に用いた。大腸菌(E.coli)株NovaBlue(Novagen、ウィスコンシン州Madison)を他のクローニング目的のために使用した。大腸菌(E.coli)株S17−1を、大腸菌(E.coli)からのプラスミドをエス・リビダンス(S.lividans)に導入するための接合に使用した。プラスミドpHLW3は、oriTおよびアプラマイシン耐性遺伝子を有する、BAC(細菌人工染色体)に由来するベクターであった。pSBACはpHLW3に由来し、φBT1のattP−intカセットが導入されている。プラスミドpHLW21、22、23、および24は、pSBACをエス・セリカラー(S.coelicolor)のゲノムのφBT1付着部位内への接合に由来する株からレスキューしたBACクローンである。プラスミドpHLW35は、アクチノロージン遺伝子クラスターの3’末端に対応するプライマー組を用いて、エス・セリカラー(S.coelicolor)から増幅した2kbのPCR産物が挿入された、pHLW3に由来する。プラスミドpHLW38、39、40、41、および42は、pHLW35のエス・セリカラー(S.coelicolor)のアクチノロージン遺伝子クラスター内への接合に由来する株からレスキューしたBACクローンである。最後に、プラスミドpHLW76および78は、φBT1のattB−intカセットをそれぞれプラスミドpHLW41および42内に付加することによって誘導した。
培養培地および成長条件:
大腸菌(E.coli)株は、アプラマイシン(50μg/ml)またはアンピシリン(100μg/ml)のどちらかを添加したLuria−Bertani(LB)培地中で成長させた。エス・セリカラー(S.coelicolor)およびエス・リビダンス(S.lividans)株を、28℃で、MYM、R2YEまたはR4培地中で成長させた(Kieser,T.M.J.,Bibb、M.J.,Buttner、K.F.,Chater、およびD.A.Hopwood(2000)、実用的なストレプトマイセスの遺伝学(Practical Streptomyces Genetics)、ノッティンガム大学、英国Nottingham)。接合に使用したR6培地には、アプラマイシン(50μg/ml)およびナリジクス酸(25μg/ml)を添加した。
分子遺伝学的技術:
KODホットスタートDNAポリメラーゼ(Novgen)を、製造者の指示に従ったPCR増幅に使用した。既に記載した手順を用いて、ストレプトマイセス(Streptomycetes)のゲノムDNAを単離した(Magarvey,N.A.、Haltli,B.、He,M.、Greenstein,M.、およびHucul J.A.、2006、Antimicrob Agents Chemosther.、50:2167〜2177)。Zappyプラスミドミニプレップキット(Zymo Research)を用いてプラスミドDNAを単離した。BACMAX DNA精製キット(Epicentre)を用いて大きな挿入物を有するBACクローンを単離した。プラスミドの大腸菌(E.coli)内への形質転換は、NovaBlueコンピテント細胞またはEPI300(商標)電気コンピテント細胞のどちらかを用いて行った。意図するプラスミドを保有する大腸菌(E.coli)S17−1をドナー株として用いて、接合ベクターをエス・リビダンス(S.lividans)TK24またはK4−114内に導入した。パルスフィールド電気泳動を、CHEF−DR IIIパルスフィールド電気泳動システム(Bio−Rad)を用いて、製造者の指示に従って実施した。手短に述べると、消化したDNAを0.5×TBEランニングバッファー中の1%のパルスフィールドアガロース(Bio−Rad)中で分離した。以下のパラメータを用いてゲルを流した:1秒間の初期スイッチ時間、6秒間の最終スイッチ時間、120°の開先角度および16時間の実行時間、14℃、6ボルト/cmの条件下。
pSBACベクターの構築
pSBACベクターの主鎖を、プラスミドpCC1BAC(配列番号8参照)(Epicentre、ウィスコンシン州Madison)から、プライマー組pCC1BACFor:5’−AGGGCTTCCCGGTATCAACAG−3’(配列番号9)およびpCC1BACRev:5’−GGTTACTCCGTTCTACAGGTTAC−3’(配列番号10)を用いて増幅した。伝達起点領域(oriT)およびアプラマイシン耐性遺伝子を、複数のクローニング部位と一緒に、プラスミドpBWA2(Magarvey,N.A.、Haltli,B.、He,M.、Greenstein,M.、およびHucul J.A.、2006、Antimicrob Agents Chemosther.、50:2167〜2177)から、プライマー組:pB1:5’−TCAGGCCTTCGCCACCTCTGACTTGAGC−3’(配列番号11)およびpB2:5’−ATAGGCCTCAGTGAGGCACCTATCTCAG−3’(配列番号12)を用いて増幅した。第1のプライマー組から増幅された6.5kbのPCR産物および第2のプライマー組から増幅された4kbのPCR産物を一緒にライゲーションして、プラスミドpHLW3を生成した。その後、φBT1のattP−int含有する2kbのDNA断片を合成し(Celtek−genes、テネシー州Nashville)、pHLW3の独特のScaI部位内に導入して、最終構築体pSBACが得られた。
プラスミドレスキュー手順
S17−1(pSBAC)のエス・セリカラー(S.coelicolor)内への接合から得られた接合完了体を、アプラマイシン(50μg/ml)を添加したMYM液体培地中で成長させた。ゲノムDNAをScaIで部分的に消化し、その後、消化したDNAを、パルスフィールド電気泳動を用いて分離した。40〜60kbに対応するDNA画分を切り出し、ゲルから電気泳動によって電気溶出させた。電気溶出させたDNAを、Fast−linkDNAライゲーションキット(Epicentre Bio)を用いて自己ライゲーションした。その後、ライゲーション混合物を、1.8%のグルコースを含む1%のアガロース中で脱塩し、1μlの最終ライゲーション混合物を用いて、大腸菌(E.coli)EC100コンピテント細胞を電気穿孔した。いくつかの形質転換体をランダムに選択し、プラスミドDNAを単離した。レスキューしたプラスミドの大きさを確認するためにプラスミドDNAを様々な制限酵素で消化し、その一部を配列決定に供した。act遺伝子クラスターをエス・セリカラー(S.coelicolor)からレスキューするために、遺伝子クラスターの3’末端に対応する2kbのPCR産物(GenBank受託番号AL939122.1のゲノム配列位置:170311〜172280に対応)を、プライマー組Scres1:5’−CTGAATTCCGACGTCGACGTGTACTACCTGACCC−3’(配列番号13)(EcoRI部位に下線を引いた)およびScres2:5’−GAAAGCTTACGCGATAGCGATTGCCGTTGTCGTC−3’(配列番号14)(HindIII部位に下線を引いた)を用いて増幅した。
この2kbのPCR産物をEcoRIおよびHindIIIで消化し、その後、pHLW3の対応する部位とライゲーションした。その後、生じたプラスミドpHLW35を接合によってエス・セリカラー(S.coelicolor)内に導入した。プラスミドのACT遺伝子クラスター内への特異的組込みを、いくつかの接合完了体においてPCR分析によって最初に確認した。その後、上述の手順を用いてact遺伝子クラスターをレスキューした。これらのクローンからのact遺伝子全体の存在は、プライマー組pACT1:5’−CAGTTCGGCGGGCCGGACGTACTGGGCCTC−3’(配列番号15)およびpACT2:5’−CGGCGAGGGCTTCCGGTCCGCCGTGGCAGT−3’(配列番号16)を用いたPCR分析によって確認され、act遺伝子クラスターの最先端(GenBank受託番号AL939122のゲノム配列位置:147001〜147640に対応)に対応する。
抽出物の調製および質量分析:
様々な株におけるアクチオノロージンの産生を分析するために、適切な株を10mlのR2YE中、28℃で、5日間成長させた。1mlの培養物をそれぞれの試料から採取し、等体積の酢酸エチル−メタノール(95:5[体積:体積])で抽出した。その後、抽出物を高速真空機によって乾燥させ、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC/MS)分析のために200μlのメタノールに再懸濁させた。分析は、LCQ Deca質量分析装置と接続したAgilent1100システムで実施した。試料は、HO/0.025%のギ酸中の5%から95%のMeCN/0.025%のギ酸を用いて、15分間かけて、YMC ODS S−3カラム(2.0×100mm)上でクロマトグラフィーを行った。
結果:
大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(streptomycetes)BACベクターpSBACの構築
大きなDNA断片のクローニングを容易にするために大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(streptomycetes)接合BACベクター、pSBAC(図1)を構築し、続いて、これらの断片を大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(streptomycetes)へと伝達した。このベクターは、2つの複製起点(単一コピーの複製の開始のためのori2および高コピーの複製の開始のためのoriV)ならびに大腸菌(E.coli)のF因子に基づいた分配系(ParA、ParBおよびParC)を有する、細菌人工染色体(BAC)ベクターpCC1BACの主鎖を含有する(Wild,J.、Hradecna,Z.、およびSzybalski W.、2002、Genome Res.、12:1434〜1444)。pSBACベクターはまた、ベクターが1つの細菌から別の細菌へと伝達されることを許容する伝達起点(oriT)も含有し、この機能は、核酸が直接の細胞間接触を介して1つの原核細胞から別の原核細胞へと伝達されることをもたらす、接合に重要である;これはまた、レシピエントの染色体のattB部位内へのベクターの部位特異的組込みを許容する部位特異的な組換え系をコードする、φBT1 attP−int DNA断片も含有する。これらの構成要素すべてにおいて、このベクターは、大きなDNA断片を抱えること、およびクローニングしたDNAを大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(streptomycetes)へと伝達すること、ならびにクローニングしたDNAをストレプトマイセス(streptomycetes)ゲノム内にφBT1 attB座位で組み込むことが可能である。φBT1は、幅広く使用されているφC31 attP−int系とは異なる組込み部位を有するため、このベクターは、よく利用されているφC31 attP−int系とは異なるが、それでも適合性のある組込み系を表す。このベクター系の構築は本発明者らの利用可能な組込み接合ベクターのレパートリーを拡大し、φC31 attP−int系によって引き起こされる潜在的な有害な影響を回避する。二次代謝物の産生を担っている遺伝子は大きさが100kbの規模であることができるクラスター内に位置するため、このベクターは、これらの遺伝子クラスターをクローニングするため、ならびに、これらの大きな遺伝子セグメントをベクターが自己複製される大腸菌(E.coli)と染色体内のφBT1 attB座位内に部位特異的に組み込まれる様々なストレプトマイセス(streptomycetes)宿主との間でシャフリングするための、重要なビヒクルを提供する。
pSBACベクターを用いたプラスミドレスキュー方法の開発
プラスミドレスキュー方法が、様々な生物中の挿入したDNA片に隣接する染色体DNAを単離するために使用されている(Weinrauch,Y.、およびDubnau,D.、1983、J.Bact.、154:1077〜1087;Kiessling,U.、Platzer,M.、およびStrauss,M.、1984、Mol Gen Genet.、193:512〜519.;McMahon T.L.、Wilczynska,Z.、Barth,C.、Fraser,B.D.、Pontes,L.、およびFisher P.R.、1996、Nucleic Acids,Res.、24:4096〜4097)。しかし、この目的のために使用するベクターのクローニング容量が限定されているため、この方法は主に、外来性DNAが挿入した座位の隣接領域のクローニングおよび同定に使用された。BACベクターが大きなDNA断片をクローニングする能力を利用して、pSBACベクターを用いて大きなDNA断片をストレプトマイセス(streptomycetes)からクローニングする、プラスミド(BAC)レスキュー方法を開発した。この方法の実装が成功すれば、コスミドまたはBACのライブラリの高度な作製およびスクリーニングなしに、大きなDNA断片のクローニング、特に、微生物の二次代謝物の生合成経路が大きく促進される。原理を証明するための第1のステップとして、最初に、pSBACベクターをエス・セリカラー(S.coelicolor)内に、大腸菌(E.coli)S17−1(pSBAC)からの接合によって伝達した。いくつかのアプラマイシン−耐性の接合完了体を選択し、そのうちの1つからのゲノムDNAを単離し、ScaIで部分的に消化した。消化したDNAをパルスフィールド電気泳動に供し、40〜50kbに対応するDNA画分を回収し、自己ライゲーションし、その後、大腸菌(E.coli)EPI300(商標)内に形質転換させた。BAC DNAをいくつかの形質転換体から単離し、制限酵素消化およびパルスフィールド電気泳動で分析した(図2)。図2aは、pSBACベクターを用いたプラスミドレスキューに使用した戦略の概要を示す。図2bは、HindIIIで消化した4つのレスキューしたクローンのパルスフィールドゲル電気泳動分析の結果を示す。(レーン1:パルスマーカー;レーン2〜5:レスキューしたクローンpHLW21、22、23および24)。Apra:アプラマイシン耐性マーカー。結果により、φBT1 attB部位に隣接した40〜50kbのDNA断片を、この方法を用いてルーチン的にクローニングできることが実証された。
プラスミドレスキューによるアクチノロージン遺伝子クラスターのクローニングおよび代理宿主におけるこの遺伝子クラスターの異種発現
pSBACを用いて開発したプラスミドレスキュー方法の応用性をさらに拡大するために、また、この方法が一般的な応用の潜在性を有し、目的の大きな遺伝子クラスターをクローニングするために使用できることを証明するために、十分に特徴づけられたアクチノロージン遺伝子クラスターを、さらなるクローニングおよび発現研究のために選択した。図3aは、act遺伝子クラスターをエス・セリカラー(S.coelicolor)からレスキューするために使用した戦略の模式図を示し、3bは、レスキューしたクローンの分析を示す。エス・セリカラー(S.coelicolor)のアクチノロージン遺伝子クラスターの末端に対応する2kbのDNA断片を、プライマー組Scres1およびScres2を用いて増幅し、その後、attP−int座位を有さないという点でpSBACとは異なるベクターpHLW3内にクローニングした。その後、生じた構築体をエス・セリカラー(S.coelicolor)内に形質転換させ、相同組換えにより単一のクロスオーバーがもたらされ、構築体が相同領域内に部位特異的に挿入された(図3a)。PCR分析によって接合完了体の一部への部位特異的組込みを確認した後(データ示さず)、これらの株のうちの1つのゲノムDNAを単離し、ゲノムDNAをより小さな小片へと機械的に剪断した。その後、生じたDNAをパルスフィールド電気泳動によって分離し、40〜50kbのDNA画分を回収した。図3bは、act遺伝子クラスター全体を潜在的に含有する、レスキューしたクローンのうちの5つのパルスフィールドゲル電気泳動分析の結果を示す(レーン1:パルスマーカー;レーン2〜7:EcoRIで消化したクローンpHLW38、39、40、41および42;レーン8〜13、HindIIIで消化した上記クローン;レーン14:1kbのDNAラダー)。回収したDNAを、End−it(商標)DNA末端修復キット(Epicentre)を用いて平滑末端化し、その後、自己ライゲーションし、大腸菌(E.coli)EPI300(商標)電気コンピテント細胞内に形質転換させた。数々の形質転換体をPCR分析に供して、アクチノロージン遺伝子クラスターの先頭および終末をどちらも含有するクローンを選択した。確認されたクローンは、遺伝子クラスターの両末端が存在するため、アクチノロージン遺伝子クラスター全体を潜在的に含有するクローンであった。その後、続く遺伝子クラスターの特異的attB付着座位内への組込みを容易にするために、φBT1 attP−int断片を、レスキューしたクローンのAvrII部位内に導入した。最後に、アクチノロージン遺伝子クラスター全体を有するクローンを、アクチノロージン遺伝子クラスターを事前に欠失させたエス・リビダンス(S.lividans)株K4−114内に伝達した。接合完了体を、アプラマイシンおよびナリジクス酸を添加したR6プレートから選択し、アパラマイシンおよびナリジクス酸を添加したMYM寒天プレート上に再度画線した。28℃で5日間インキュベーションした後、画線したコロニーのほとんどが赤−青色を示し、アクチノロージン遺伝子クラスターの新しい宿主内への導入および発現が成功したことが示された(データ示さず)。R2YE寒天プレートまたは液体培地のどちらかにおける、代表的なクローン成長による青色色素の産生を検査することによって、アクチノロージンの産生をさらに特徴づけた。(Bystrykh,L.V.、Fernandez−Moreno,M.A.、Herrema,J.K.、Malpartida,F.、Hopwood,D.A.、およびDijkhuizen,L.、1996、J Bacteriol、178:2238〜2244;Floriano,B.、およびBibb,M.、1996、Mol Microbiol、21:385〜396)。最後に、LC/MS分析により、このクローンにおけるアクチノロージンの産生が確認された(図4)。アクチノロージンの産生の修復により、クローニングしたアクチノロージン遺伝子クラスターの異種宿主中での発現が成功したことが実証された。興味深いことに、K4−114の親株であるエス・リビダンス(S.lividans)TK24は、通常の成長条件下でアクチノロージンを産生しないため(Hopwood,D.A.、Malpartida,F.およびChater,K.F.、1986、二次代謝物形成の制御(regulation of secondary metabolite formation)、Kleinkauf,H.他(編)、VCH、ドイツWeinheim、ページ23〜33)、これらの接合完了体におけるアクチノロージンの検出は、接合に使用したレスキューしたプラスミドクローンが、エス・リビダンス(S.lividans)におけるアクチノロージンの産生を活性化するための調節要素を含有していることを示唆しており、この結果は、エス・セリカラー(S.coelicolor)中のact遺伝子クラスターのactII領域が、エス・リビダンス(S.lividans)においてact遺伝子クラスターの発現を誘発できる陽性調節配列を含有することを示す以前の研究と矛盾していない(Fernandez−Moreno,M.A.、Caballero,J.L.、Hopwood,D.A.およびMalpartida,F.、1991.Cell、66:769〜780)。
新規の大腸菌(E.coli)−ストレプトマイセス(Streptomycetes)シャトルベクター、pSBACを構築し、このベクターは、小さな、中程度または大きな遺伝子クラスターを直接クローニングすること、クローニングしたDNAを大腸菌(E.coli)から様々な土壌細菌ストレプトマイセス(streptomycetes)株へと伝達すること、およびクローニングしたDNAをレシピエントの染色体のφBT1 attB部位へと組み込むことに使用することができる。このベクターは、広く使用されているφC31 attP−int系とは異なるが、それでも適合性を有する組込み系を表し、利用可能な組込み接合ベクターのレパートリーを拡大する。本発明で開発したプラスミド(BAC)レスキュー方法は、コスミドまたはBACのライブラリの作製およびスクリーニングなしに、大きなDNA断片を、ストレプトマイセス(streptomycetes)の遺伝子破壊形質転換体から直接クローニングするために使用することができる。これは、DNA取扱いのいくつかの単純なステップのみを含み、高品質なBACライブラリの構築に必須であるゲノムDNAの完全性を傷つける手順を、最小限にする。
(実施例2)
pSBACを用いた、メリダマイシン生合成遺伝子クラスターの迅速なクローニングおよび異種発現
メリダマイシンおよびその天然に存在する類似体3−ノルメリダマイシンは、ドーパミン作動性ニューロン中で強力な神経保護活性を有する、非免疫抑制性のFKBP12結合大環状ポリケチドである。メリダマイシンの生合成遺伝子クラスターは、ストレプトマイセス(Streptomyces)sp.NRRL30748からクローニングされており、いくつかの重複するコスミド上に見つかっている(He他、Gene、(2006)8月、1;377:109〜18)。遺伝子クラスターの全体は約90kbまでであり、合計15個のI型ポリケチド合成酵素モジュール、1個のNRPSモジュール、1個のチトクロームP450モノオキシゲナーゼならびにいくつかの調節および輸送タンパク質をコードする大きな転写単位を含有する。この巨大なポリケチド合成酵素複合体は、MerA、MerBおよびMerCと呼ばれる3つの大きなサブユニットを含む。
本発明では、異種宿主中での伝達および発現を容易にするために、mer遺伝子クラスターをpSBACベクター内にクローニングした。より詳細には、pSBACを使用することによって、メリダマイシン生合成遺伝子クラスター全体(約97kbまで)を単一の大腸菌(E.coli)内にクローニングし、その後、異種発現のためにストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)内に伝達した。元のmerプロモーターが異種宿主中で遺伝子クラスター全体の転写を駆動することができたが、メリダマイシンの産生は、元のプロモーターがermEプロモーターで置き換えられた場合にのみ、質量分析で検出可能であった。半定量的RT−PCRにより、mer遺伝子クラスターのプロモーター効率および転写レベルが、新しい宿主におけるメリダマイシンおよびその類似体の産生に影響を与える最も重要な因子であることが明らかとなった。エチルマロニルCoAの前駆体の供給も、メリダマイシンおよびその類似体の産生を増大させた。
材料および方法
細菌株およびプラスミド
本研究中で使用した様々な株およびプラスミドを、以下の表1に要約する。
Figure 2010534489
Figure 2010534489
培養培地および成長条件
大腸菌(E.coli)株は、アプラマイシン(50μg/ml)またはアンピシリン(100μg/ml)のどちらかを添加したLuria−Bertani(LB)培地中で成長させた。エス・セリカラー(S.coelicolor)およびエス・リビダンス(S.lividans)株を、28℃で、MYM、R2YE(Kieser,T.、Bibb,M.J.、Buttner,M.J.、Chater,K.F.、およびHopwood,D.A.(編)、2000、実用的なストレプトマイセスの遺伝学(Practical Streptomycetes genetics)、The John Innes Foundation、英国Norwich)またはFKA培地(Leaf,T.、Burlingam,M.、Desai,R.、Regentin,R.、Woo,E.、Ashley,G.、およびLicari,P.、2002、J.Chem.Tech.Biotech.、77:1122〜1126)中で成長させた。接合に使用したR6培地(Magarvey,N.A.、Haltli,B.、He,M.、Greenstein,M.、およびHucul J.A.、2006、Antimicrob.Agents Chemother.、50:2167〜2177)には、アプラマイシン(50μg/ml)およびナリジクス酸(25μg/ml)を添加した。
DNA操作
KODホットスタートDNAポリメラーゼ(Novgen、カリフォルニア州San Diego)を、製造者の指示に従ったPCR増幅に使用した。既に記載した手順を用いて、ストレプトマイセス(Streptomycetes)のゲノムDNAを単離した(Magarvey,N.A.、Haltli,B.、He,M.、Greenstein,M.、およびHucul J.A.、2006、Antimicrob.Agents Chemother.、50:2167〜2177)。Zappyプラスミドミニプレップキット(Zymo Research、カリフォルニア州Orange)を用いてプラスミドDNAを単離した。BACMAX DNA精製キット(Epicentre、ウィスコンシン州Madison)を用いて大きな挿入物を有するBACクローンを単離した。プラスミドの大腸菌(E.coli)内への形質転換は、NovaBlueコンピテント細胞またはEPI300(商標)電気コンピテント細胞のどちらかを用いて行った。意図するプラスミドを保有する大腸菌(E.coli)S17−1またはET12567(pUZ8002)をドナー株として用いて、接合ベクターをエス・リビダンス(S.lividans)TK24またはK4−114内に導入した。パルスフィールド電気泳動を、CHEF−DR IIIパルスフィールド電気泳動システム(Bio−Rad、カリフォルニア州Hercules)を用いて、製造者の指示に従って実施した。手短に述べると、消化したDNAを0.5×TBEランニングバッファー中の1%のパルスフィールドアガロース(Bio−Rad)中で分離した。以下のパラメータを用いてゲルを流した:1秒間の初期スイッチ時間、6秒間の最終スイッチ時間、120°の開先角度および16時間の実行時間、14℃、6ボルト/cmの条件下。
pSBACを用いたメリダマイシン生合成遺伝子クラスターの迅速なクローニング
ストレプトマイセス(Streptomyces)sp.NRRL30748を、TSBC液体培地中、72時間、28℃で成長させた。菌糸体を収集し、脱イオン水で洗浄した。ゲノムDNAプラグの調製は、CHEFゲノムDNAプラグキット(Bio−Rad)の取扱い説明書に従って実施した。手短に述べると、菌糸体ペレットを細胞懸濁緩衝液に再懸濁させ、その後、プラグカビを用いてCleanCutアガロースに包埋した。その後、固化したアガロースプラグをリゾチームで処理し、続いてプロテイナーゼKで処理した。プラグを1×洗浄バッファーで2回洗浄した後、1mMのPMSFで処理して、残留プロテイナーゼKを失活化した。最後に、プラグを十分に洗浄し、使用時まで1×洗浄バッファー中に4℃で保管した。DNAプラグの前処理および制限消化は、Peterson他に記載のプロトコルを用いて行った(Peterson,D.G.、Tomkins,J.P.、Frisch,D.A.、Wing,R.A.、およびPaterson,A.H.、2000、Journal of Agricultural Genomics、5:1〜100)。その後、DNAプラグを刻み、制限酵素MfeIによって37℃で2時間消化した。EDTAを最終濃度50mMまで加えることによって消化反応を停止させた。その後、消化したDNAプラグの小片を、0.5×TBEランニングバッファー中の1%のパルスフィールドアガロース(Bio−Rad)中のパルスフィールド電気泳動に、以下のパラメータを用いて供した:初期スイッチ時間=1.0秒間、最終スイッチ時間=50.0秒間、実行時間=16時間、ボルト/cm=6、開先角度=120°、温度=14℃。90〜110kbに対応するDNA画分を切り出し、電気溶出によってゲルから溶出させた。溶出したDNAを沈殿させ、濃縮した後、Fast−linkDNAライゲーションキット(Epicentre Bio)を用いてEcoRIで消化したpSBACベクターとライゲーションさせた。その後、ライゲーション混合物を、1.8%のグルコースを含有する1%のアガロース中で脱塩し、1μlの最終ライゲーション混合物を用いて、大腸菌(E.coli)EPI300コンピテント細胞を電気穿孔した。mer遺伝子クラスターに隣接する配列に由来するDNAプローブを用いて約300個の組換えコロニーをスクリーニングし、メリダマイシン生合成遺伝子クラスター全体を含有するpHLW30の同定がもたらされた。
RNAの単離およびRT−PCR分析
様々なストレプトマイセス(Streptomycete)株からの全RNAを、Van Dessel、W.V(2004)(Van Dessel,W.、Van Mellaert,L.、Geukens,N.、Lammertyn,EおよびAnne,J.、2004、J.Microbiol.Methods、58:135〜137)によって記載されている方法に変更を加えて用いて、単離した。手短に述べると、72時間成長させた3mlの培養物を収集し、2倍体積のRNA保護試薬(Qiagen)をすぐに加え、室温で5分間静置し、その後、遠心分離して、菌糸体ペレットが得られた。ペレットを1mlの5mg/mlのリゾチームで1時間、37℃で処理し、その後、フェノール:クロロホルム(5:1;pH4.5)で抽出し、2mlのエタノール、250μlの1Mのトリス(pH8.0)および100μlの5MのNaClで沈殿させた。沈殿したRNAを80%のエタノールで1回洗浄し、乾燥させ、100ulのRNA保管緩衝液(Ambion、テキサス州Austin)に溶解した。DNase1消化(Ambion)によってDNA汚染を排除し、上記手順を繰り返して再度精製した。RT−PCRに用いたプライマー組は、mer遺伝子クラスターの5’末端の増幅のためには、RT1:5’−GCGCGGACCGAGCCCTACGAC−3’(配列番号19)、RT2:5’−CCCCCGGCCCTCCAGCAGATG−3’(配列番号20);プライマー16sFor:5’−GGTTACCTTGTTACGACTT−3’(配列番号21)および16sRev:5’−AGAGTTTGATCCTGGC TCAG−3’(配列番号22)を、等量の全RNAがそれぞれの試料中に存在することを確実にするための内部対照として使用した。半定量的RT−PCRは、以前に記載した方法に類似であるが(Noonan,K.E.、Beck,C.、Holzmayer,T.A.、Chin,J.E.、Wunder,J.S.、Audrulis,I.L.、Gazdar,A.F.、William,C.L.、Griffith,B.、Hoff,D.D.VおよびRoninson、I.B.、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:7160〜7164)、1ステップのRT−PCRキット(Qiagen)を取扱い説明書に従って使用した。RT−PCRが増幅の対数期中に実施されることを確実にするために、サイクル数および鋳型の量を注意深く較正した。
元のmerプロモーターをermEプロモーターで変更する
元の/ネイティブMerPプロモーターすぐ下流に対応する2kbのPCR産物を、プライマー組P1:GCTCTAGAGTGGGGAATTCAGGCGCACCC(配列番号23)(XbaI部位に下線を引いた)およびP2:AGCAAGCTTGGGGACTCCGGTGGAGCCGGA(配列番号24)(HindIII部位に下線を引いた)を用いて増幅した。PCR産物を精製し、XbaIおよびHindIIIで消化し、その後、プラスミドpSE34(Schmitt−John,T.およびEngels,J.W.、1992、Appl.Microbiol.Biotechnol.、36:493〜498)内の対応する部位内にクローニングして、プラスミドpHLW70を生成した。このベクターを動員するために、1.2kbのoriT配列を、プラスミドpBWV2(Magarvey,N.A.、Haltli,B.、He,M.、Greenstein,M.、およびHucul J.A.、2006、Antimicrob.Agents Chemother.、50:2167〜2177)から、プライマー組:oriTFOR:5’−TTGCCTTGCTCGTCGGTGA−3’(配列番号25)およびoriTREV:5’−CGCACGATATACAGGATTTGC−3’(配列番号26)を用いて増幅した。1.2kbのPCR産物を精製し、その5’末端をT4 PNKによってリン酸化した。最終産物をpHLW70の平滑末端化したBstBI部位内にクローニングし、プラスミドpHLW71を生じた。プラスミドを異種宿主HL30−2およびHL30−K3内に接合した。数々の接合完了体を、プライマー組:ErmE1:5’−GGGGAGGATCTGACCGACGCGG−3’(配列番号27);ErmE2:5’−CGTTGGCGTGGACCCATGTGG CG−3’(配列番号28)、およびErmE3:5’−AGCCCGACCCGAGCACGCGCCG−3’(配列番号29);ErmE4:5’−CGGGCGCACAGCTCGCGCAGATCGT−3’(配列番号30)を用いたさらなるコロニーPCR分析について選択して、意図する単一のクロスオーバーを含有する株を選択し、この結果、ermEプロモーターがmer遺伝子クラスターの前に配置された。PCR産物をクローニングし、配列決定して、部位特異的組込みを確認した。ermEプロモーターの制御下のmer遺伝子クラスターを含有する最終株E3およびE7は、それぞれHL30−2およびHL30−K3に由来する。
抽出物の調製および質量分析
15mlの発酵培養物には、1gのHP20樹脂を加え、28℃で2時間、200rpmで振盪しながらインキュベーションした。菌糸体をHP20と一緒に、遠心分離によって収集した。10mlの酢酸エチル:メタノール(95:5)を加え、5分間渦攪拌した。遠心分離して層を分離し、上部の酢酸エチル層を収集し、SpeedVacを用いて乾燥させ、その後、500μlのメタノールに再度溶解した。エレクトロスプレーイオン化を陰イオンモードで用いたAgilent1100システム上の液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を使用して、メリダマイシンおよびその類似体を検出した。試料を、A中の65%〜90%のBを用いて、15分間かけて、0.3ml/mlの流速で、Agilent Zorbox SB−C18カラムで溶出させた(A=5mMの酢酸アンモニア;B=メタノール)。高分解能の精密質量測定(HRMS)用に試料を調製するために、粗抽出物を、水中の5%から95%のアセトニトリルの直線勾配を用いて、YMC−ODS 4.6×150mmの5μmカラムを用いたLCQ質量分析装置上で分画した。メリダマイシンおよび3−ノルメリダマイシンに対応する画分を収集し、乾燥させ、30μlのMeOHに再懸濁させ、HRMSに供した。アクティブ遮蔽された9.4 Tesla超伝導磁石(Magnex Scientific Ltd.、英国)、外部Bruker Apollo ESI源、およびSynrad 50W CO2 CWレーザーを備えたBruker Daltonics(マサチューセッツ州Billerica)のAPEX II FTICR質量分析装置を用いて、高分解能質量スペクトル(HRMS)が得られた。この装置およびその性能の詳細な説明は、以前に公開されている(Palmblad,M.、Hakansson,K.、Hakansson,P.、Feng,X.、Cooper,H.J.、Giannakopulos,A.E.、およびDerrick,P.J.、2000、Eur.J.Mass.Spectrom.、6:267〜275)。試料の量が非常に限られているため、ナノエレクトロスプレーを用いた。約5μlの試料を、伝導性コーティングを有するナノエレクトロスプレーチップ(New Objective、マサチューセッツ州Woburn)に載せ、事前に載せた、同量の1%のギ酸を含有するメタノールと混合した。約−800Vの高電位をナノエレクトロスプレーチップとキャピラリーの間に適用した。Agilent ES調整ミックスを用いて質量スペクトルを外部較正した。Bruker Xmassソフトウェア(バージョン7)を、予測された質量の計算を含めたデータの獲得および分析に用いた。誤差は、実測値と予測値の間の差異をmDaで表したものである。
結果および考察:
メリダマイシン生合成遺伝子クラスターの単一の大腸菌(E.coli)クローン内へのpSBACクローニング
事前に、ストレプトマイセス(Streptomyces)sp.NRRL30748からのメリダマイシン(mer)生合成遺伝子クラスターをいくつかのコスミドクローン内にクローニングし、配列結果により、メリダマイシンのコア構造の構築を担っている遺伝子がDNA断片の約90kbに位置することが明らかとなっている(He,M.、Halti,B.、Summers,M.、Feng,X.およびHucul,J.(2006)、Gene、377:109〜118)。配列データの制限消化分析から、2つの制限酵素部位(MfeI)が、それぞれmer遺伝子クラスターの378bp上流および約16kbまで下流に位置することが判明している。このMfeI DNA断片は、mer遺伝子クラスター全体をカバーするDNAを含有し、その元のプロモーターおよび多くの下流の修飾酵素コード領域を有する(図5A)。サザン分析により、ゲノムDNAをMfeIで消化し、mer遺伝子クラスター特異的プローブとハイブリダイズさせた場合に、97kbのバンドの存在が実証された(データ示さず)。この遺伝子クラスターをクローニングするために、大きなDNA挿入物を収容するためにBACベクターの必須構成要素を有するだけでなく、接合によって大腸菌(E.coli)からストレプトマイセス(streptomycetes)へのベクターの伝達を許容する伝達起点(oriT)、およびベクターのレシピエントの染色体のattB部位内への部位特異的組込みを許容する部位特異的組換え系をコードするφBT1 attP−int DNA断片も含有する、大腸菌(E.coli)ストレプトマイセス(streptomycetes)シャトルBACベクター、pSBACを用いて、MfeIで消化したゲノムBACライブラリを構築した(LiuおよびHe.、原稿準備中)。
約300個の組換えクローンを、mer遺伝子クラスターの中間に対応するDNAプローブを用いたコロニーハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。1つの陽性クローンであるpHLW30をさらなる分析のために選択した(配列番号31:mer遺伝子クラスター)。末端配列決定、制限消化およびmer遺伝子クラスターの両末端に対応するプライマー組を用いたPCR増幅により、遺伝子クラスター全体を1つの単一のクローン内にクローニングすることが成功したことが確認された。このクローンはまた、プロモーターとして機能する可能性がある、遺伝子クラスターの378bp上流の領域、および潜在的なテイラー酵素をコードする遺伝子を含有する16kb下流の領域も含有する。
エス・リビダンス(S.lividans)におけるmer遺伝子クラスターの異種発現
BACクローンpHLW30を、大腸菌(E.coli)S17を用いて、接合によって、エス・リビダンス(S.lividans)TK24およびK4−114株内に伝達した。K4−114株は、K4−114中のact遺伝子クラスターの一部が欠失してアクチノロージンを産生するその能力が消滅しており、したがって異種発現に関してよりきれいなバックグラウンドが提供されるという点で、TK24とは異なる。アプラマイシン−耐性の接合完了体を選択し、mer遺伝子クラスターの両末端に対応するプライマー組を用いたPCR分析により、遺伝子クラスターの新しい宿主内への導入が確認された(データ示さず)。サザン分析により、それぞれTK24およびK4−114から誘導した新しい宿主であるHL30−2およびHL30−K3中に遺伝子クラスターが存在することが、さらに確認された(図5B)。具体的には、様々な株からのプラスミドpHLW30およびゲノムDNAをEcoRIで消化し、その後、merP特異的DNA断片でプロービングした。(pHL30−2:TK24中にMer遺伝子クラスター;pHL30−K3:K4−114中にMer遺伝子クラスター(Act−株))。株HL30−2およびHL30−K3のFKA発酵培地中での小スケールの発酵(25ml)では、LC−MS分析によって検出可能な量のメリダマイシンが産生されなかった。異種宿主が意図する化合物を産生できなかった結果の可能性のある理由を調査するための第1のステップとして、本発明者らは、RT−PCRを用いて遺伝子クラスターの転写物を分析することによって、mer遺伝子クラスターの元のプロモーターが新しい宿主中で活性を有するかどうかを検査した。この遺伝子クラスターの転写物をどちらの宿主からも検出することができ、プロモーターが機能的であることが示唆された(データ示さず)。さらなる半定量的RT−PCRにより、異種宿主からのmer遺伝子クラスターの転写物のレベルが元の産生株NRRL30748よりもはるかに低いことが明らかとなり(図6)、元のmerプロモーターが新しい宿主中で効率的でないことが示唆され、転写制御が新しい宿主におけるメリダマイシンの産生に影響を与える最重要な因子である可能性が示された。図6の上パネルは、MerP遺伝子の一部を増幅する、プライマー組RT1およびRT2を用いた様々な株のRNAからのRT−PCR増幅の結果を示す。図6の下パネルは、16sr rRNAの一部を増幅する、プライマー組16sForおよび16sRevを用いた対応する株のRNAからのRT−PCR増幅の結果を示す。(TK24:エス・リビダンス(S.lividans)TK24、K4−114:エス・リビダンス(S.lividans)K4−114、HL30−2:エス・リビダンス(S.lividans)TK24中にmer遺伝子クラスター、HL30−K3:エス・リビダンス(S.lividans)K4−114中にMer遺伝子クラスター、E3:エス・リビダンス(S.lividans)TK24中にMer遺伝子クラスターおよびermEプロモーター、E7:エス・リビダンス(S.lividans)K4−114中にmer遺伝子クラスターおよびermEプロモーター)。この結果により、元のmerプロモーターを、エス・リビダンス(S.lividans)において強力なプロモーターが証明されている構成的に活性のあるermEプロモーターに変更することが促された(Bibb,M.J.、Janssen,G.R.、およびWard,J.M.、1985、Gene、38:215〜226)。MerP遺伝子の先頭の2kbの相同配列の前にermEプロモーターを有するプラスミドpHLW71を用いて、相同組換えの結果として元のmerプロモーターをermEプロモーターで置き換えた(図6)。数々の接合完了体を選択し、PCRを用いて、予測される単一のクロスオーバーの相同組換えを有する株を選択した。この組換えの結果、ermEプロモーターがmer遺伝子クラスター全体の前に配置され、その転写の駆動に使用された。続く半定量的RT−PCRにより、プロモーターの変更によりmer遺伝子クラスターの転写が劇的に増加したことが実証された(図6)。ermEプロモーターに変更することでエス・リビダンス(S.lividans)におけるmer遺伝子クラスターの転写が有意に増加したが(3倍)、新しい宿主におけるmer遺伝子クラスターの全体的な転写は、依然として元の産生株NRRL30748よりも低かった(図6)。元のメリダマイシン産生株が、遺伝子クラスターの発現を駆動する非常に効率的なプロモーターを有すると仮定することが合理的である。
続くLC−MS検出により、エス・リビダンス(S.lividans)K4−114の背景で元のmerプロモーターをermEプロモーターに変更した、E7株からのメリダマイシンの産生が実証された(図7)。図7の左パネルは、2mMのピペコレートおよび10mMのマロン酸ジエチルを添加したFKA培地中で成長させた株からの、メリダマイシンの産生の検出を示す。図7の右パネルは、0.4%のプロリンおよび10mMのマロン酸ジエチルを添加したFKA培地中で成長させた株からの、3−ノルメリダマイシンの産生の検出を示す。矢印は、メリダマイシンまたは3−ノルメリダマイシンのどちらかの、予測される分子量を有するピークおよび保持時間を示す。エス・リビダンス(S.lividans)TK24に由来する対応する株(株HL30−2)が検出可能な量のメリダマイシンを産生できないことは、前駆体の供給または宿主代謝物からの妨害が原因であり得る(図7)。目的の生成物が何であるかは、長い蓄積時間を有するナノエレクトロスプレー源を用いたFTMS高分解能の精密質量スペクトルによって、さらに確認した。低い存在量のメリダマイシンおよびノルメリダマイシンのナトリウム付加分子イオンは、陽イオンモードで、それぞれm/z844.51928およびm/z830.50298で検出され、これらは予測値と非常に良好に一致し([M+Na]1+、メリダマイシン:予測値844.51815、Δ=1.13mDa;ノルメリダマイシン:予測値830.50250、Δ=0.48mDa)、したがって、生成物がメリダマイシンおよび3−ノルメリダマイシンであることが確認された(図8)。
クローニングしたメリダマイシン生合成遺伝子クラスターのそれぞれのATドメインの以前の分析により、マロネート−CoA、メチルマロネート−CoAおよびエチルマロネート−CoAを含めた3つの異なる伸長単位が、メリダマイシンの完全合成に提示されなければならないことが明らかとなっている(He,M.、Halti,B.、Summers,M.、Feng,X.およびHucul,J.(2006)、Gene、377:109〜118)。モジュール4中のアシルトランスフェラーゼ(AT)が、エチルマロニル−CoAのメリダマイシンのポリケチド主鎖内への取り込みを担っているが(He他、2006)、遺伝子クラスターはエイトルマロネート伸長単位を生合成する遺伝子を欠いており、他の機能的遺伝子クラスターがエチマロネートを合成でき、それをメリダマイシンの産生に提供している可能性があることが示唆されている。エス・リビダンス(S.lividans)はエチルマロニル−CoAを産生するが(Hu,Z.、Reid,R.、およびGramajo,H.、2005、J.Antibiot.、58:625〜633)、この前駆体は、異種宿主による一部のポリケチドの合成を制限する重要な因子であることが実証されている(Jung,W.S.、Lee,S.K.、Hong,J.S.J.、Park.,S.R.、Jeong,S.J.、Han,A.R.、Sohng,J.K.、Kim B.G.、Choi,C.Y.、Sherman,D.H.、およびYoon,Y.J.、2006、App.Microbiol.Biotech.、72:763〜769)。エチルマロニルCoAの供給が異種宿主におけるメリダマイシンの産生に影響を与えるかどうかを調査するために、E7株を、エチルマロニル−CoAの有効な前駆体であることが証明されている10mMのジエチルマロン酸を添加したFKA培地中で培養した(Jung,W.S.、Lee,S.K.、Hong,J.S.J.、Park.,S.R.、Jeong,S.J.、Han,A.R.、Sohng,J.K.、Kim B.G.、Choi,C.Y.、Sherman,D.H.、およびYoon,Y.J.、2006、App.Microbiol.Biotech.、72:763〜769)。結果により、マロン酸ジエチルを供給することでメリダマイシンの産生が2倍増加したことが示された(150μg/Lから300μg/L)。
元のメルジアマイシン産生株NRRL30748に関連する問題の1つは、メリダマイシン、3−ノルメリダマイシンおよびC9−デオキソメリダマイシンの混合物である、発酵産物の不均一性である。メリダマイシン生合成遺伝子クラスターをエス・リビダンス(S.lividans)中で異種発現させることによって、3−ノルメリダマイシンは、プロリンを培地に添加した場合に、E7株からのみ検出可能であった(図8)。
Figure 2010534489

Claims (34)

  1. (a)少なくとも2つの複製起点、
    (b)原核F因子分配系、
    (c)伝達起点、
    (d)ベクターをレシピエント細胞内に組み込むことを可能にする部位特異的組換え系、および
    (e)選択マーカー
    を含む、遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)の種へクローニングまたは伝達するためのベクター。
  2. 大きなDNA断片をさらに含む、請求項1に記載のベクター。
  3. 大きなDNA断片が遺伝子クラスターの全体または一部分を含む、請求項2に記載のベクター。
  4. (a)少なくとも2つの複製起点、
    (b)原核F因子分配系、
    (c)伝達起点、
    (d)φBT1 attP−int組換え系、および
    (e)選択マーカー
    を含む、遺伝子クラスターの全体または一部分を含む大きなDNA断片を、1つの原核生物から放線菌(Actinomycetes)の種へとクローニングまたは伝達するためのベクター。
  5. 大きなDNA断片をさらに含む、請求項4に記載のベクター。
  6. 大きなDNA断片が遺伝子クラスターの全体または一部分を含む、請求項5に記載のベクター。
  7. 原核生物が大腸菌(E.coli)である、請求項1から6のいずれかに記載のベクター。
  8. ベクターが細菌人工染色体(BAC)ベクターである、請求項1から7のいずれかに記載のベクター。
  9. BACベクターがシャトルBACベクターである、請求項8に記載のベクター。
  10. シャトルBACベクターが大腸菌(E.coli)−放線菌(Actinomycetes)接合ベクター、pSBACである、請求項9に記載のベクター。
  11. 2つの複製起点が大腸菌(E.coli)の複製起点である、請求項1から10のいずれかに記載のベクター。
  12. 複製起点の少なくとも1つがori2およびoriVから選択される、請求項11に記載のベクター。
  13. 複製起点の少なくとも1つが配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載のベクター。
  14. 原核F因子分配系が大腸菌(E.coli)のF因子分配系である、請求項1から13のいずれかに記載のベクター。
  15. 大腸菌(E.coli)のF因子分配系が配列番号4の核酸配列を含む、請求項14に記載のベクター。
  16. 伝達起点がoriTである、請求項1から15のいずれかに記載のベクター。
  17. 伝達起点が配列番号5のヌクレオチド配列を含む、請求項16に記載のベクター。
  18. 遺伝子クラスターが、二次代謝物の特異的な生合成経路の一部である1つまたは複数の遺伝子産物をコードする、請求項3または請求項6から17のいずれかに記載のベクター。
  19. 遺伝子クラスターが、アクチノロージン、メリダマイシン、またはその誘導体の生合成に関与しているタンパク質をコードする、請求項18に記載のベクター。
  20. 二次代謝物のための生合成経路の遺伝子産物(複数可)がポリケチドまたは非リボソームポリペプチド(NRP)である、請求項18に記載のベクター。
  21. ポリケチドが、抗生物質、免疫抑制剤、抗癌剤、抗真菌剤およびコレステロール降下剤からなる群から選択される、請求項20に記載のベクター。
  22. 大きなDNA断片を単離またはクローニングするためのプラスミドレスキュー方法であって、大きなDNA断片が約20kb〜約100kbの範囲の大きさであり、
    (a)請求項1から21のいずれかに記載のいずれかのベクターを、ベクターの組込みを可能にする部位特異的組込み配列を有する核酸を含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞に伝達するステップと、
    (b)放線菌(Actinomycetes)染色体内に取り込まれたベクターを含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞を選択するステップと、
    (c)DNAをレシピエント細胞の染色体から単離するステップと、
    (d)ステップc)からのDNAを大腸菌(E.coli)細胞内に伝達するステップと、
    (e)請求項20に記載のいずれかのベクターを含有する大腸菌(E.coli)細胞についてスクリーニングするステップと、
    (f)ステップe)のベクターから大きなDNA断片を単離するステップと
    を含む方法。
  23. 大きなDNA断片が遺伝子クラスターの全体または一部分を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 遺伝子クラスターが、アクチノロージン、メリダマイシン、またはその誘導体の生合成に関与しているタンパク質をコードする、請求項23に記載の方法。
  25. レシピエント細胞内の部位特異的組込み配列がatt部位である、請求項22に記載の方法。
  26. レシピエント細胞内のatt部位が、配列番号6のヌクレオチド配列を含むattB部位である、請求項22に記載の方法。
  27. 大きなDNA断片を単離またはクローニングするためのプラスミドレスキュー方法であって、DNA断片は約20kb〜約100kbの範囲の大きさであり、
    (a)請求項1から21のいずれかに記載のいずれかのベクターを、ベクターの相同組換えを可能にする相同配列を含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞に伝達するステップと、
    (b)放線菌(Actinomycetes)染色体内に取り込まれたベクターを含有するレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞を選択するステップと、
    (c)DNAをレシピエント細胞の染色体から単離するステップと、
    (d)ステップc)からのDNAを大腸菌(E.coli)細胞内に伝達するステップと、
    (e)請求項20に記載のいずれかのベクターを含有する大腸菌(E.coli)細胞についてスクリーニングするステップと、
    (f)ステップe)のベクターからDNA断片を単離するステップと
    を含む方法。
  28. 大きなDNA断片が遺伝子クラスターの全体または一部分である、請求項27に記載の方法。
  29. 遺伝子クラスターが、アクチノロージン、メリダマイシン、またはその誘導体の生合成に関与しているタンパク質をコードする、請求項28に記載の方法。
  30. 選択するステップが、ベクターによってレシピエント細胞に伝達される生物学的活性または酵素活性について選択することを含む、請求項22または27のいずれかに記載の方法。
  31. ベクターの伝達が、ベクターを含有するドナー細胞をレシピエント放線菌(Actinomycetes)細胞と接合させることを含む、請求項22または27のいずれかに記載の方法。
  32. 配列番号31のmer遺伝子クラスターによってコードされているアミノ酸を発現させることを含む、放線菌(actinomycetes)中でメリダマイシンを産生する方法。
  33. mer遺伝子クラスターが配列番号1のpSBACベクター内に取り込まれている、請求項32に記載の方法。
  34. 遺伝子クラスターが配列番号31を含む、請求項19に記載のベクター。
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