ターボ過給機は強制吸気システムの種類である。ターボ過給機は、圧縮空気をエンジン吸気に供給し、より多くの燃料の燃焼を可能にし、このように、エンジン重量を大幅に増すことなくエンジンの馬力を増強する。これにより、より小さなターボ過給エンジンの使用が可能になり、より大きな物理的寸法の無過給エンジンに取って代わり、このように車両の質量及びその空気力学的な前部領域を低減する。ターボ過給機は、エンジンからの排気流を使用して、タービンを駆動し、次にエアコンプレッサを駆動する。始動時、ターボ過給機の温度は0℃未満であるかもしれない。タービンは極めて高い速度で、150,000RPM〜300,000RPMの範囲で回転し、機械的に排気システムと接続されるので、タービンは、ガソリンエンジンでは最高1050℃の高水準の温度を受け、振動を受ける。このような状態は、ターボ過給機の構成要素に対し有害な作用を及ぼす。これらの不利な条件のため、設計、材料及び許容公差は、所与の市場コストに対し組立体の充分な寿命を提供するように選択されなければならない。これらの条件を満たすために必要な設計選択では、VTG構成要素の腐食がしばしばもたらされ、この結果固着が生じる。
タービンの流れ及び圧力制御のある形態を利用するターボ過給機は、複数の名称で呼ばれ、様々な手段による制御を提供する。あるものは回転ベーンを有し、あるものは摺動部分又はリングを有する。これらの装置のいくつかの名称は、可変タービン設計(VTG)、可変ジオメトリタービン(VGT)、可変ノズルタービン(VNT)、又は単に可変ジオメトリ(VG)である。本特許の主題は可変タービンの回転ベーン型式であり、本明細書の以降の部分ではVTGと称される。
可変タービンジオメトリ(VTG)ターボ過給機が公知であり、タービンホイールへの排気ガス流の量を制御するためにベーンリング又はノズル壁部に回転可能に接続される調整可能なガイドベーンを利用する。VTGターボ過給機は、ガイドベーンが排気供給管路及びタービンホイールに対し適切に配置されるように組み立てられかつタービンハウジングに配置されなければならない多数の構成要素を有する。VTGターボ過給機は、ガス流量を制御するためのベーンの運動を作動する調整リングを使用することができる。
排気ガスは、高温の腐食性ガスである。高クロム、高バナジウム鋼のような耐食性の材料の構成要素を製造することが知られているが、これらの材料は機械加工性が低く、また高価であるため、ターボ過給機タービンハウジングの材料及び製造コストを容認できないほどに増大させる。ターボ過給機のタービンハウジングは、最も一般的には、鋳造成形が比較的廉価かつ容易である鋳鉄から製造される。しかし、鋳鉄は、著しく多孔性の材料であり、特に高温サイクルの状態及びディーゼル排気凝縮水にさらされて、非常に腐食を生じやすい。腐食効果は、調整リングのような鋳鉄製ハウジングと接触する構成要素に拡散する可能性がある。ベーンを作動するために比較的精密な運動を必要とする調整リングは、タービンハウジングからの腐食により故障しやすいことがある。
Zollingerに付与された米国特許第6,925,806号明細書では、出願人は、図1に示したような典型的な調整又はユニゾンリング構造について記載している。可変ジオメトリターボ過給機組立体(38)は、タービンハウジング(44)の排気流通路(42)内に運動可能に配置される複数のベーン(40)を有し、各ベーンをノズル壁部(48)に接続するために支柱(46)が使用される。環状のユニゾンリング(50)は、タービンハウジング(44)内に配置され、中央ハウジング面の肩部(54)によって支承される。ユニゾンリング(50)は、中央ハウジングと直接接触している。
中央ハウジング面は、半径方向に外側方向に肩部(54)からある距離延在する凹部(56)を有し、この凹部により、ユニゾンリング(50)の内面と中央ハウジングとの間に環状空間(58)が設けられる。凹部(56)は、空気がユニゾンリング(50)の背後で循環して、それらの間の望ましくない水分蓄積の制御を補助するために、通気通路を設けるように機能する。肩部(54)から半径方向内側に移動すると、中央ハウジングは、いくつかのボルト(62)によって中央ハウジングに取り付けられる環状の熱シュラウド(60)を含む。熱シュラウドは、ユニゾンリングと中央シャフト開口部(64)との間に概ね延在する中央ハウジング面の領域に嵌合するように構成されるディスク形状の環状構造体である。熱シュラウドは、タービンハウジングから中央ハウジングへの熱伝達量を制御するように動作する。
Zollinger出願人は、中央ハウジング面の部分によってかつそれと直接接触して支承されるユニゾンリング(50)の欠点を正確に指摘している。鋳鉄製中央ハウジングは、ユニゾンリング(50)と中央ハウジングとの間の水分形成と組み合わさってターボ過給機のこの領域における腐食をもたらす。腐食は、適切なユニゾンリングの回転運動を妨げる可能性があり、これによって、所望のベーン動作を制限するか又は妨げる。
Arnoldに付与された米国特許第6,679,057号明細書には、タービン調整リング(19A)及びコンプレッサ調整リング(40A)が、可変タービン及び可変コンプレッサジオメトリのターボ過給機について図1Aに示されている。調整リング(19A)と(40A)の両方は、腐食効果がリングの故障をもたらす可能性があるハウジングと直接接触している。
米国特許第6,925,806号明細書を再び参照すると、Zollinger出願人は、インサート締結具によって適所に保持され、かつユニゾンリングの運動を制御するために使用できるリングインサートを設けることによって、腐食効果のこの問題を防止しようと試みている。図2に示したように、可変ジオメトリターボ過給機組立体(148)は、インサートを中央ハウジング面に接続するために使用されるユニゾンリングインサート締結具(152)を有するユニゾンリングインサート(150)と、インサートによって中央ハウジングに対し適所に保持される任意の頭部シュラウド(154)とを含む。凹部又は環状空間(156)が、中央ハウジング面(158)とユニゾンリング(162)の内面(160)との間に設けられる。中央ハウジング面内に構成された半円形又は「C」字形の管路の形態で、拡大環状空間(156)が設けられる。拡大環状空間により、ユニゾンリング(150)と中央ハウジングとの間にさらに高い程度のガス循環及び通気を提供して、その間の望ましくない水分蓄積に対する制御性を高めるように試みられる。
Zollingerのユニゾンリングインサート(150)は、すでに複雑なシステムにさらに複雑さをもたらし、追加の部品を増やし、ターボ過給機の応力の多い環境において故障することがあるインサート締結具(152)及び頭部シュラウド(154)を含むコストを増大させる。さらに、インサート締結具(152)及び頭部シュラウド(154)を有するユニゾンリングインサート(150)の構造及びベーン及びベーン支柱のようなターボ過給機の他の構成要素に対するそれらの配置のため、ターボ過給機の組立はより難しくなり、時間がかかる。
図3を参照すると、ターボ過給機(1)は、タービンハウジング(2)と、中央ハウジング(3)と、互いに接続されかつ回転軸Rに沿って配置されたコンプレッサハウジング(3a)とを有する。タービンハウジング(2)は、ベーンリング(20)の円周にわたってガイドベーン(7)の外側のガイド格子、又は1対のベーンリング(20、30)を有する。ガイドベーン(7)は、各対のベーンがベーン(7)の回動位置に従って、選択的に可変断面のノズルを画定するように、ベーンリング(20)のボアに挿入された回動軸(8)によって回動させることが可能である。このことにより、タービンロータ(4)に対し排気ガスをより多量に又はより少量に供給することができる。排気ガスは、タービンハウジングの渦巻室(9)によってガイドベーン(7)及びロータ(4)に供給される。排気ガスは、エクスデューサ(exducer)(10)を通して放出され、ロータ(4)は、ロータの軸(20)に締結されたコンプレッサインペラ(21)を駆動する。本発明の開示では、タービンハウジング(2)、中央ハウジング(3)及びコンプレッサハウジング(3a)の1つ以上を互いに一体に形成することも考えられる。図3Aは、ベーンの近傍の状況をより明瞭に示すために拡大されている。
ガイドベーン(7)の位置を制御するために、作動装置(11)を設けることができ、この作動装置は、そこに収容された棒部材(14)の作動運動を制御し、この棒部材の軸方向運動は、上方ベーン支持リング(30)の背後に位置する調整又は制御リング(5)の回転運動に変換される。この回転運動によって、ガイドベーン(7)は、実質的に接線方向の端部位置から実質的に半径方向に延在する端部位置に変位させることができ、その逆もできる。このようにして、タービンハウジングの渦巻室(9)によって燃焼機関から供給されたより多量又は少量の排気ガスをタービンロータ(4)に送り、エクスデューサ(10)を通じて放出することができる。上方ベーンリング(30)とタービンハウジング(2)の輪郭部(15)との間に、制御リング(5)の周りの空気の自由運動を許容する相対的に小さな空間(13)を設けることができる。この空間(13)の形状及び寸法は、高温の排気ガスによる熱膨張を考慮しつつ、ターボ過給機(1)の効率を高めるように選択することができる。この理由は、この空間が、排気ガス流によって湿潤される領域であるノズル領域に流体連通され、ガイドベーンと上方及び下方のベーンリングとの間の体積によって画定されるからである。空気空間(13)の幅及びタービンハウジングの輪郭面(15)からのベーン支持リング(6)の距離を確保するため、ベーン支持リング(30)は、この支持リングに形成されたスペーサ(16)を有することができる。
さらに図4〜図8を参照すると、中央ハウジング(3)に対する調整リング(5)の軸方向位置又は行程は、1つ以上の運動制御装置(300)によって制御することができる。運動制御装置(300)は、腐食を防止するために中央ハウジング(3)と調整リング(5)との分離を行う。ベーンリング(20、30)に対する調整リング(5)の軸方向位置又は軸方向行程は、ベーンレバー(350)(例えば、フォークレバー)、又は調整リングをベーン(7)に動作可能に接続する他の駆動連結装置によって制御することができる。しかし、本発明の開示では、ベーン支持リング(6)に対する調整リング(5)の軸方向運動を制御するための他の構造体又は技術の使用も考えられる。このような他の構造体又は技術により、調整リング(5)がタービンハウジング(2)に接触することを防止することができる。
例示的な実施形態において、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)及び調整リング(5)の一方又は両方に接続される任意の数のスタンドオフ部材又はピンであることができる。例えば、スタンドオフ部材(300)は、調整リング(5)に向かう方向に中央ハウジング(3)から軸方向に延在することができる。他の例では、スタンドオフ部材(300)は、中央ハウジング(3)に向かう方向に調整リング(5)から軸方向に延在することができる。さらに他の例では、スタンドオフ部材(300)の1つ以上(例えば、第1の群)は、調整リング(5)に向かう方向に中央ハウジング(3)から軸方向に延在することができ、スタンドオフ部材(300)の1つ以上(例えば、第2の群)は、中央ハウジング(3)に向かう方向に調整リング(5)から軸方向に延在することができる。スタンドオフ部材(300)は、スタンドオフ部材及び調整リング(5)との間の空間(310)を選択的に画定する長さであることができる。空間(310)は、リングの軸方向運動を制限するための当接面(305)を提供し、かつリングと中央ハウジング(3)との接触を防止しつつ、ガイドベーン(7)の配置を制御するための調整リング(5)の回転運動を容易にするための隙間を付与する。スタンドオフ部材(300)及び結果として得られる空間(310)の長さは、スタンドオフ部材、ならびに他のターボ過給機構成要素の軸方向の熱膨張を考慮するように選択することができる。スタンドオフ部材(300)用の材料の選択は、熱膨張係数、機械加工性、コスト、強度及び耐久性を含むいくつかの要因に基づくことができる。
スタンドオフ部材(300)は、図4により明瞭に示されているように、中央ハウジング(3)の周縁の近傍に配置される複数のスタンドオフ部材であることができる。しかし、本発明の開示では、スタンドオフ部材(300)が中央ハウジング(3)の長手方向軸から他の距離に配置されることが考えられる。スタンドオフ部材(300)は、中央ハウジング(3)の円周を中心に又はその近くで等距離に離間させることができる。図3〜図8の例示的な実施形態は、調整リング(5)の軸方向運動を制限するために3つのスタンドオフ部材(300)を有するが、本発明の開示では、他の数のスタンドオフ部材の使用が考えられる。中央ハウジング(3)に接続されるスタンドオフ部材(300)の特定の数、位置及び構造は、調整リング(5)の当接面(320)との整列を含むいくつかの要因に応じて変更することができる。好ましくは、リングが、スタンドオフ部材(300)に対し、又は密に近接して当接しているときでさえも、当接面(320)により、調整リング(5)の回転運動が可能である。当接面(305)と(320)は、調整リング(5)の回転運動を容易にするために滑らかであることができる。空間(310)は、部材(300)及び調整リング(5)の選択的な当接を可能にする。
図(6)により明瞭に示されているように、スタンドオフ部材(300)の各々を接続するために、孔(400)が中央ハウジング(3)に設けられる。図3〜図8の例示的な実施形態では、孔(400)の各々は、完全に中央ハウジング(3)を通して形成される。孔(400)を貫通孔として形成することによって、本明細書に記載した運動制御システムの製造及び組立を容易にすることができる。例えば、スタンドオフ部材(300)は、ターボ過給機の組立後に中央ハウジング(3)の外面から孔(400)に挿入することができる。さらに、孔(400)用の貫通孔を使用することにより、運動制御装置、例えばスタンドオフ部材(300)を組み立て済みのターボ過給機内に後装着することが可能である。例えば、中央ハウジング(3)は、外側から機械加工して孔(400)を形成することができ、次に、ターボ過給機の分解を必要とすることなく、スタンドオフ部材(300)を調整リング(5)の近くの軸方向の制限位置に孔を通して挿入することができる。中央ハウジング(3)に形成される孔(400)の特定の数、位置及び構造は、製造の容易さ、スタンドオフ部材(300)との接続強度及び/又は調整リング(5)におけるスタンドオフ部材と当接面(320)との整列を含むいくつかの要因に応じて変更することができる。孔(400)は、円形孔(400)として示されているが、本発明の開示では、運動制御部材(300)の形状に対応してもよく又は対応しなくてもよい他の形状及び孔用の形状の組み合わせが考えられる。例えば、圧入嵌めを形成するために、孔(400)の形状と比較して、スタンドオフ部材(300)の領域の形状を変形させてもよい。
本発明の開示では、孔(400)用の盲孔の使用も考えられる。盲孔は、中央ハウジング(3)及びスタンドオフ部材(300)の内面に機械加工又は別の方法で形成することができるか、あるいは他の運動制御装置を上記内面に挿入することができ、次に、ターボ過給機の残りの構成要素の組立が行われる。孔用の盲孔を使用することにより、ターボ過給機のシールを容易にし得る。上述の貫通孔と同様に、盲孔(400)は、製造の容易さ、スタンドオフ部材(300)との接続強度及び/又は調整リング(5)におけるスタンドオフ部材と当接面(320)との整列を含むいくつかの要因に応じて、様々な数、位置、形状及び構造を有することができる。本発明の開示では、孔(400)用の貫通孔と盲孔との組み合わせの使用も考えられる。
スタンドオフ部材(300)は、孔(400)に挿入してその中に確実に接続できるセルフロックロック構造体であることができる。スタンドオフ部材(300)は、溶接、例えば熱又は摩擦溶接を含む様々な工程又は材料によって中央ハウジング(3)に接続することができる。スタンドオフ部材(300)におけるセルフロック構造体と、二次工程又は他の接続材料との組み合わせも、部材を中央ハウジング(3)に確実に接続するために使用することができる。
図9を参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)の盲孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(500)であることができる。スタンドオフ部材(500)は、孔(400)から延在し、かつリングの軸方向行程を制限するための調整リング(5)に当接することができる縮小寸法の頭部(510)を有する。部材(500)は、プレス嵌め及び/又は溶接を含む様々な方法によって孔(400)に接続することができる。部材(500)の拡大した根元(520)は、中央ハウジング(3)に接続するための強度及び剛性を提供し、縮小した頭部(510)が摩擦を低減し、組立を容易にし、他の構成要素の運動を可能にする。
図10を参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)から延在しているのが示されているスタンドオフ部材(600)であることができる。スタンドオフ部材(600)は、リングの軸方向行程を制限するための調整リング(5)に当接することができる。部材(600)は、中央ハウジング(3)に鋳込まれることが好ましい。部材(600)を中央ハウジング(3)と共に鋳造することによって、中央ハウジングからの部材の切断を生じる熱膨張の問題をなくすことができる。さらに、接続構造体及び/又は接続技術の起こり得る故障もなくすことができる。スタンドオフ(600)を大きな鋳物に鋳込む実施形態に関する唯一の追加のコストは、結び目の頂部の機械加工である。
図11aと図11bを参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)の盲孔(400)に配置されているのが示さているスタンドオフ部材(700)であることができ、リングの軸方向行程を制限するための調整リング(5)に当接することができる。スタンドオフ部材(700)は、孔(400)に形成された係合構造体(730)と一致する1つ以上のバーブ又は突起部(720)を有するセルフロック端部(710)を有する。突起部又はバーブ(720)は、孔(400)内への部材(700)の挿入を可能にし、大きな又は所定の力量の適用なしには取り除きを妨げる。バーブ又は突起部(720)の寸法、形状及び/又は構造は、所望の接続強度及び容易な組立を含む様々な要因に基づき選択することができる。
図12を参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)の盲孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(800)であることができる。スタンドオフ部材(800)は、実質的に均一な円筒形状を有し、リングの軸方向行程を制限するための調整リング(5)に当接することができる。部材(800)は、プレス嵌めによって孔(400)に接続することができる。
図13aと図13bを参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)の盲孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(900)であることができる。スタンドオフ部材(900)は、孔400から延在し、かつリングの軸方向行程を制限するための調整リング5に当接することができる縮小寸法の頭部(910)を有する。部材(900)は、ステーキング工程によって孔(400)に接続することができ、中央ハウジング(3)の1つ以上の部分は、保持ステーキ(930)を形成するために変形させられる。ステーキ(930)は、部材(900)の拡大した根元(920)の周りで離間させることができるか、あるいは孔(400)を取り囲む連続的なステーキであることができる。拡大した根元(920)を使用することにより、中央ハウジング(3)に接続するための強度及び剛性が提供され、一方、縮小した頭部(910)は、特に空間が重要であるターボ過給機内の環境において、調整リング及び組立体との摩擦の低減を容易にする。縮小した頭部は、ステーキ(930)を形成するプレス工具が拡大した根元(920)に重なり合わなければならないときに、ステーキング操作を容易にする。ステーキング工程は、大きな力のステーキング及び/又は高温ステーキングを含む様々な工具及び技術を使用することができる。
図14を参照すると、運動制御装置(300)は、貫通孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(1000)であることができる。スタンドオフ部材(1000)は、それを通して形成されたスロット(1020)を有する拡張可能な遠位端(1010)を有する。スロット(1020)は、孔(400)を通して部材(1000)を挿入できるように、遠位端(1010)の一時的な圧縮を可能にする。遠位端(1010)が孔(400)を通過するとき、遠位端は、拡張して部材(1000)を孔の適所にロックする。部材(1000)の反対側端部は、中央ハウジング(3)の外側に当接して、部材が孔(400)を完全に通過することを防止する頭部又は他の維持機構(1030)を有することができる。部材(1000)は、運動制御装置の組立を容易にするが、この理由は、ターボ過給機の組立後に中央ハウジング(3)の孔(400)の各々に当該部材を挿入することができるからである。スタンドオフ部材(1000)を孔(400)に挿入するための組立手順を逆にすることによって、スタンドオフ部材を取り除くか又はリセットすることが可能である。
図15を参照すると、運動制御装置(300)は、貫通孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(1100)であることができる。スタンドオフ部材(1100)は、拡張して部材を孔(400)にロックするように、例えば軌道リベッタで変形させることができる遠位端(1110)を有するリベットである。軌道リベット(1100)の遠位端(1110)の変形は、振動ハンマ技術によることができる。部材(1100)の反対側端部は、中央ハウジング(3)の外側に当接して、部材が孔(400)を完全に通過することを防止する頭部又は他の維持機構(1120)を有することができる。
図15を参照すると、運動制御装置(300)は、貫通孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(1100)であることができる。スタンドオフ部材(1100)は、シャンク(400)と突起部(1100)との間に平坦部を有するリベットである。平坦部は、拡張して部材を孔(400)にロックするように、例えば軌道リベッタで変形させることができる。リベット(1100)の平坦部の変形は、振動ハンマ技術によることができる。部材(1100)の反対側端部は、中央ハウジング(3)の外側に当接して、部材が孔(400)を完全に通過することを防止する頭部又は他の維持機構(1120)を有することができる。
図16を参照すると、運動制御装置(300)は、矢印(1250)で示されているように、中央ハウジング(3)の孔(400)に挿入されているのが示されているスタンドオフ部材(1200)であることができる。スタンドオフ部材(1200)は、当接頭部(1210)と、遠位端(1220)を通して形成されたスロット(1230)を有する拡張可能な当該遠位端を有する。スロット(1230)は、部材(1200)を孔(400)に挿入できるように、遠位端(1220)の一時的な圧縮を可能にする。遠位端(1220)が孔(400)に挿入されるとき、環状スロット(410)に達し、拡張して部材(1200)を孔内の適所にロックする。当接頭部(1210)は縮小寸法であり、孔(400)から延在して、調整リング(5)に当接しかつリングの軸方向行程を制限する。
図17aと図17bを参照すると、運動制御装置(300)は、環状空洞(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(1300)であることができる。スタンドオフ部材(1300)は、環状空洞(400)に挿入するために拡張することができるスナップリングである。スナップリング(1300)がその非付勢状態に戻るとき、スナップリングは、環状空洞(400)に確実に維持される。スナップリング(1300)は、調整リング(5)に向かう方向に環状空洞(400)から延在して、リングの軸方向行程を制限する。スナップリング(1300)の拡張のために、挿入工程中に様々な工具を使用することができる。本発明の開示では、空洞に挿入するときにスナップリング(1300)が圧縮されるように、環状空洞(400)よりも大きなスナップリング(1300)も考えられる。
図18を参照すると、運動制御装置(300)は、中央ハウジング(3)の盲孔(400)に配置されているのが示されているスタンドオフ部材(1400)であることができる。スタンドオフ部材(1400)は、孔(400)と比較して縮径である。摩擦溶接工程を利用して、部材(1400)を孔(400)内に接続することができる。部材(1400)のいずれかの側面の空間(450)は、部材と孔(400)との寸法差により、摩擦溶接を達成するために十分な表面積及び運動面積を提供する。
調整リング(5)の軸方向行程を制限するため、運動制御装置(300)のために他の様々な形状、寸法及び構造を使用することができる。ベーン位置を調整して、タービンロータへの排気ガス流を制御する調整リングに関し、上述の例示的な実施形態について説明してきた。しかし、本発明の開示では、コンプレッサロータに対するベーン位置を調整して、コンプレッサロータへの圧縮性流体の流れを制御するための調整リングを含む、ターボ過給機の他の調整リングの軸方向行程の制限が考えられていることを理解すべきである。さらに、本発明の開示では、可変タービンジオメトリ及び可変コンプレッサジオメトリの両方を有するターボ過給機の調整リングの軸方向行程を制限するための運動制御部材(300)の使用が考えられる。可変コンプレッサジオメトリ用のこのような構成は、可変タービンジオメトリについて上述した構成要素の多く、ならびに当該技術分野で公知の他の構成要素を有することができる。
説明目的のために選択された特定の実施形態を参照して本発明について説明してきたが、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなしに、本発明に対し多数の修正を当業者によって行うことができるであろうことを理解すべきである。